(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】車外表示装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20240227BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021169988
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 朋宏
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-020523(JP,A)
【文献】特開2019-215958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置情報を取得する自車両位置情報取得部と、
横断歩道の位置情報を取得する横断歩道位置情報取得部と、
前記自車両の周囲の歩行者を検知する周囲情報検知部と、
前記自車両の外部から視認可能な複数の表示領域を有し、かつ、前記表示領域により視認可能な表示情報を異ならせることが可能な表示部と、
前記自車両と前記横断歩道と前記歩行者の位置関係に基づいて、前記表示部により表示される表示情報と、前記表示情報を表示する前記表示領域を変更する表示制御部と、
を備え、
前記複数の表示領域は、少なくとも遠方表示領域と近辺表示領域を有し、
表示制御部は、前記遠方表示領域または前記近辺表示領域のうち、前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な前記表示領域に対して車両の挙動に関する表示情報を表示させ、
少なくとも前記車両と前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者の位置関係が遠方位置の場合は、前記遠方表示領域に表示する表示情報と前記近辺表示領域に表示する表示情報を異なら
せ、
前記自車両と前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者の位置関係が遠方位置であると判定すると、
前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な前記表示領域を前記遠方表示領域に変更し、
前記遠方表示領域に対して将来の車両の挙動に関する表示情報を表示させ、
前記近辺表示領域に対して現在の車両の挙動に関する表示情報を表示させ、
前記車両と前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者の位置関係が近辺位置であると判定すると、
前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な前記表示領域を前記近辺表示領域へ変更し、
前記遠方表示領域に対して将来の車両の挙動に関する表示情報を表示させ、
前記近辺表示領域に対して現在の車両の挙動に関する表示情報を表示させる、
ことを特徴とする車外表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、レンズと、各前記レンズにそれぞれ対応する複数の発光部群により構成され、
前記複数の発光部群は、少なくとも前記遠方表示領域に対応する第一発光部群と、前記近辺表示領域に対応する第二発光部群から構成され、前記第一発光部群と前記第二発光部群が相互に配置されており、
前記表示制御部は、異なる表示情報に基づいて前記第一発光部群および前記第二発光部群をそれぞれ発光させる、
請求項
1に記載の車外表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、更に対向車用表示領域を有し、
前記近辺表示領域および前記対向車用表示領域の間に前記遠方表示領域が配置され、
前記表示制御部は、前記対向車用表示領域に対して前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な車両の挙動に関する表示情報とは異なる表示情報を表示させる、
請求項1または請求項2に記載の車外表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横断歩道を用いて車道を渡りたい歩行者は、横断歩道手前に位置する車両に運転者が乗っている場合、運転者とアイコンタクト等をすることで、車両が横断歩道手前で停車するのか否かを予測することができる。しかし、自動運転が可能な車両が普及するようになり、運転者が存在せず自動運転で走行している車両が横断歩道を通過するという状況も多く出現することとなる。この場合において、横断歩道を用いて車道を渡りたい歩行者は、横断歩道手前に位置し、横断歩道に向かって接近してくる車両が自動運転中の場合、車両が横断歩道手前で停車するのか否かを予測することは困難となる。例えば、特許文献1には、自動運転中の車両が歩行者に対して停止予告情報の表示を路面に照射する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の停止予告情報の表示は、横断歩道周辺にいる歩行者に対して表示されたものであるが、横断歩道周辺にいる歩行者以外もそのメッセージを視認することができる為、横断歩道周辺にいる歩行者以外の歩行者が自分自身へのメッセージと勘違いしてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、歩行者と自車両との位置関係に応じて、伝えたい相手に絞った表示を行い、有益な情報を相手に伝えることができる車外表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に、本発明に係る車外表示装置は、自車両の位置情報を取得する自車両位置情報取得部と、横断歩道の位置情報を取得する横断歩道位置情報取得部と、前記自車両の周囲の歩行者を検知する周囲情報検知部と、前記自車両の外部から視認可能な複数の表示領域を有し、かつ、前記表示領域により視認可能な表示情報を異ならせることが可能な表示部と、前記自車両と前記横断歩道と前記歩行者の位置関係に基づいて、前記表示部により表示される表示情報と、前記表示情報を表示する前記表示領域を変更する表示制御部と、を備え、前記複数の表示領域は、少なくとも遠方表示領域と近辺表示領域を有し、表示制御部は、前記遠方表示領域または前記近辺表示領域のうち、前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な前記表示領域に対して車両の挙動に関する表示情報を表示させ、少なくとも前記車両と前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者の位置関係が遠方位置の場合は、前記遠方表示領域に表示する表示情報と前記近辺表示領域に表示する表示情報を異ならせ、前記自車両と前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者の位置関係が遠方位置であると判定すると、前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な前記表示領域を前記遠方表示領域に変更し、前記遠方表示領域に対して将来の車両の挙動に関する表示情報を表示させ、前記近辺表示領域に対して現在の車両の挙動に関する表示情報を表示させ、前記車両と前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者の位置関係が近辺位置であると判定すると、前記横断歩道の周辺にいる前記歩行者が視認可能な前記表示領域を前記近辺表示領域へ変更し、前記遠方表示領域に対して将来の車両の挙動に関する表示情報を表示させ、前記近辺表示領域に対して現在の車両の挙動に関する表示情報を表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車外表示装置は、自車両と歩行者の位置関係に応じて、伝えたい相手に絞った表示を行い、有益な情報を相手に伝えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る車外表示装置の概略構成を表すブロック図を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る車外表示装置の表示領域設定方法の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る表示部の構成を示す図である。
【
図4-1】
図4-1は、実施形態1に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が遠方位置の場合の表示領域と表示情報を示す図である。
【
図4-2】
図4-2は、実施形態1に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が近辺位置の場合の表示領域と表示情報を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る車外表示装置の制御の一例を示すフローチャート図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る表示部を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る表示部の構成を示す図である。
【
図8-1】
図8-1は、実施形態2に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が遠方位置であり、右折したい対向車がいる場合の表示領域と表示情報を示す図である。
【
図8-2】
図8-2は、実施形態2に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が近辺位置であり、対向車がいる場合の表示領域と表示情報を示す図である。
【
図8-3】
図8-3は、実施形態2に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が近辺位置であり、右折したい対向車がいる場合の表示領域と表示情報を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る車外表示装置の制御の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる車外表示装置1の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る車外表示装置を示す図である。
図2は、実施形態1に係る車外表示装置の表示領域設定方法の一例を示す図である。
図3は、実施形態1に係る表示部の構成を示す図である。
図4-1は、実施形態1に係る自車両と歩行者の相対位置が遠方位置の場合の表示領域と表示情報を示す図である。
図4-2は、実施形態1に係る自車両と歩行者の相対位置が近辺位置の場合の表示領域と表示情報を示す図である。
【0011】
車外表示装置1は、車両Vに適用され、種々の表示を行うための表示装置である。車外表示装置1が適用される車両Vは、電気車両(EV(Electric Vehicle))、ハイブリッド車両(HEV(Hybrid Electric Vehicle))、プラグインハイブリッド車両(PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle))、ガソリン車両、ディーゼル車両など、駆動源としてモータ又はエンジンを用いるいずれの車両であってもよい。また、当該車両Vの運転は、運転者による手動運転、半自動運転、完全自動運転等、いずれであってもよい。また、当該車両Vは、いわゆる個人が所有する自家用車、レンタカー、シェアリングカー、バス、タクシー、ライドシェアカーのいずれであってもよい。
【0012】
以下の説明では、一例として、車両Vは、自動運転(半自動運転、完全自動運転)可能な車両であるものとして説明する。車外表示装置1は、車両Vにおいていわゆる自動運転を実現した上で、車両Vの外部の人物の位置関係に応じて車両の挙動に関する適切な表示を実現するものである。車外表示装置1は、
図1に示す構成要素を車両Vに搭載することで実現される。以下、
図1を参照して車外表示装置1の各構成について詳細に説明する。以下の説明において、車両Vを「自車両V」と表記する場合がある。
【0013】
なお、
図1に図示する車外表示装置1において、電力供給、制御信号、各種情報等の授受のための各構成要素間の接続方式は、特に断りのない限り、電線や光ファイバ等の配索材を介した有線による接続(例えば、光ファイバを介した光通信等も含む)、無線通信、非接触給電等の無線による接続のいずれであってもよい。
【0014】
具体的には、車外表示装置1は、検出部10と、表示部20と、制御部30を備える。
【0015】
まず、検出部10について説明する。検出部10は、
図1に示す構成要素を車両Vに搭載することで実現される。具体的には、検出部10は、GPS受信器11、走行系アクチュエータ12と、車両状態検出部13と、通信モジュール14と、外部カメラ15と、外部レーダ16を有する。
【0016】
GPS受信器11は、周辺状況情報として、車両Vの現在位置を表す現在位置情報、すなわち自車両位置情報X1を検出する。GPS受信器11は、GPS衛星から送信される電波を受信することで、自車両位置情報X1として、車両VのGPS情報(緯度経度座標)を取得する。走行系アクチュエータ12は、車両Vを走行させるための種々の機器である。走行系アクチュエータ12は、典型的には、走行用パワートレーン、操舵装置、制動装置等を含んで構成される。走行用パワートレーンは、車両Vを走行させる駆動装置である。操舵装置は、車両Vの操舵を行う装置である。制動装置は、車両Vの制動を行う装置である。車両状態検出部13は、車速情報、加速度情報、操舵角情報、アクセルペダルの操作量情報、ブレーキペダルの操作量情報、シフトポジション情報、電流値/電圧値情報、蓄電量情報等を含む車両状態情報を検出する。車両状態検出部13は、例えば、車速センサ、加速度センサ、操舵角センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、シフトポジションセンサ、電流/電圧計等の種々の検出器、センサによって構成される。車両状態検出部13は、車両Vにおいて各部を制御するECU(Electronic Control Unit)等の処理部自体を含んでいてもよい。通信モジュール14は、他車両、路上機、クラウド機器、車両Vの外部の人物が所持する電子機器等、車両Vの外部機器との間で無線通信により相互に情報を送受信するものである。これにより、通信モジュール14は、例えば、周辺画像情報、外部物体情報、交通情報、自車両位置情報X1を含む周辺状況情報を検出する。通信モジュール14は、例えば、広域無線、狭域無線等、種々の方式の無線通信により外部機器と通信する。ここで、広域無線の方式は、例えば、ラジオ(AM、FM)、TV(UHF、4K、8K)、TEL、GPS、WiMAX(登録商標)等である。また、狭域無線の方式は、例えば、ETC/DSRC、VICS(登録商標)、無線LAN、ミリ波通信等である。外部カメラ15は、周辺状況情報として、周辺画像情報を構成する車両Vの周辺の画像や白線情報を構成する車両Vの走行路面の画像を撮像する。外部レーダ16は、周辺状況情報として、赤外線、ミリ波、超音波等を用いて外部物体情報を検出する。
【0017】
表示部20は、車両Vに設けられ、自車両Vの外部から視認可能な複数の表示領域E、本実施形態では、2つの表示領域E1,E2を有し、かつ、表示領域E1,E2により視認可能な表示情報Mを異ならせることが可能である。本実施形態では、表示部20は、車両Vに対して前方の車室外または車室内に設置されており、車両Vの遠い前方、特に、左側通行の場合は遠い前方左側に向けて表示を行う領域である遠方表示領域E1と、遠方視認領域E1と隣り合い、車両Vの近い前方、特に、左側通行の場合は近い前方左側に向けて表示を行う領域である遠方表示領域E1と有するものである。ここで、各表示領域E1,E2とは、特定の歩行者にのみ表示部20の表示を見ることが可能な範囲であり、表示部20から表示できる表示角度である。本実施形態の各表示領域E1,E2は、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との相対位置に応じて、表示する表示情報Mが変更される。例えば、
図2に示すように、一般道を速度60km/hで走行中の車両を想定した場合の遠方表示領域E1の算出の仕方を示す。実線S1は乗員に不快を与えない減速度で車両Vが停車する時の減速プロファイルであり、点線S2は車両Vが急ブレーキで停車する距離と速度の関係を表している。乗員に不快を与えない減速度で減速し、停車位置の25メートル手前で表示部20に表示を開始する場合を想定すると、提示開始時点での速度における急ブレーキで車両Vが止まれる距離は約11メートルとなる。車両Vの進行方向を前方方向とし、車両Vの左右方向中心断面から4メートル、かつ、前方11メートル以内に存在する歩行者が飛び出してきた場合、衝突を回避できない為、この範囲に存在する歩行者からは見えないことが望ましい。これを踏まえ、遠方表示領域E1は、式(1)に基づいて設定される。
【0018】
Θ=arctan(H/K)×180/π
=arctan(3/11)×180/π≒15.2…(1)
(Θ:表示角度(自車両Vの前方方向とのなす角度)、H:道路幅、K:急ブレーキ停車できる距離)
【0019】
なお、Θの決め方は、一例であり、タイヤと路面の摩擦係数や、想定する車速、減速度、減速開始位置等は限定しない。また、路面状態や天候、各種センサの精度等、車両が安全に止まれる範囲に影響を与えるパラメータを考慮して決めてもよい。また、車両が減速した際に自動運転車の乗員に与える不快感等の影響を考慮して決めてもよい。
【0020】
表示部20は、
図3に示すように、発光部21と、レンズ22と、カバー23と、ケース24と、基板25を有する。本実施形態における発光部21は、基板25に実装されるものであり、平面において複数配列されている。本実施形態における発光部21は、レンズ22にそれぞれ対応する複数の発光部群21a,21bにより構成される。複数の発光部群21a,21bは、遠方表示領域E1に対応する第一発光部群21aと、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bであり、第一発光部群21aが複数の第一発光部211により構成され、第二発光部群21bが複数の第二発光部212により構成される。第一発光部211は、各レンズ22に対応して配置されており、本実施形態では、各レンズ22に対して中央部に配置されている。第二発光部212は、各レンズ22に対応して配置されており、本実施形態では、第一発光部211と隣り合った状態で、各レンズ22に対して両端部のうち一方の端部に配置されている。第一発光部群21aおよびと第二発光部群21bは、相互に配置されており、自車両Vの挙動に関する表示情報Mに対応する発光を行う。自車両Vの挙動に関する表示情報Mは、表示領域Eに合わせて表示情報Mを変更する。よって、第一発光部群21aと第二発光部群21bは、それぞれ異なる表示情報Mに基づき発光する。具体的には、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との相対位置が遠方位置の場合は、遠方表示領域E1に対応する第一発光部群21aにおいて、遠方位置に応じた将来の車両の挙動に関する表示情報M1を表示する発光を行い、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bにおいて、遠方位置に応じた現在の車両の挙動に関する表示情報M2を表示する発光を行う。しかし、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との相対位置が近辺位置へと変更となった場合、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100の相対位置が遠方位置の場合は、表示情報Mでは横断歩道200の周辺にいる歩行者100の知りたい自車両Vの挙動に関する情報が異なってくる。そこで、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との相対位置が近辺位置へと変更となった場合は、遠方表示領域E1に対応する第一発光部群21aにおいて、近辺位置に応じた将来の車両の挙動に関する表示情報M4を表示する発光を行い、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bには、近辺位置に応じた現在の車両の挙動に関する表示情報M3を表示する発光を行う。このように、車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との位置関係に応じて、第一発光部群21aと第二発光部群21bにて異なる表示情報Mに基づき発光する。レンズ22は、断面が半円形であり、発光部21からの光を透過するものである。レンズ22は、車両Vの外部から見た角度に応じて光の屈折により、発光部21からの光を視認できる位置が異なる。カバー23は、透過性を持ち、発光部21からの光を車両Vの外部から視認可能としている。ケース24は、発光部21と、レンズ22の周囲を囲っており、ケース24の車両Vの外部側にカバー23を嵌めている。
【0021】
制御部30は、
図1に示すように、車外表示装置1の各部を統括的に制御するものである。制御部30は、車両Vの全体を統括的に制御する電子制御ユニットによって兼用されてもよい。制御部30は、車両Vの走行を実現するための種々の演算処理を実行する。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の中央演算処理装置、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部30は、検出部10、表示部20が電気的に接続される。制御部30は、車両Vにおいて各部を制御するECU(例えばボディECU等)を介して検出部10及び表示部20が電気的に接続されてもよい。制御部30は、各種の検出信号や各部を駆動させるための駆動信号等の各種の電気信号を各部との間で相互に授受することができる。
【0022】
具体的には、制御部30は、機能概念的に、インターフェース部31、自車両位置情報取得部32、横断歩道位置情報取得部33、周囲情報取得部34、表示制御部35、及び、記憶部36を含んで構成される。インターフェース部31、自車両位置情報取得部32、横断歩道位置情報取得部33、周囲情報取得部34、表示制御部35、及び、記憶部36は、電気的に接続されている各種機器との間で種々の情報を相互に授受することができる。
【0023】
インターフェース部31は、検出部等の各部と種々の情報を送受信するためのインターフェースである。また、インターフェース部31は、検出部10、自車両位置情報取得部32、横断歩道位置情報取得部33、及び周囲情報取得部34と電気的に接続可能に構成される。インターフェース31部は、各部との間で電線等を介して情報を有線通信する機能、各部との間で無線通信ユニット等を介して情報を無線通信する機能等を有している。
【0024】
自車両位置情報取得部32は、自車両位置情報X1を取得する。自車両位置情報取得部32は、例えば、GPS受信器11により受信した情報に基づき自車両位置情報X1を取得する。
【0025】
横断歩道位置情報取得部33は、横断歩道200の位置情報を取得する。横断歩道位置情報取得部33は、例えば、自車両位置情報X1および予め記憶部36に記憶されている地図情報に基づいて、自車両Vの進行方向に存在する横断歩道200の位置情報である横断歩道位置情報X2を取得する。また、横断歩道位置情報取得部33は、例えば、外部カメラ15により撮像された自車両Vの周囲画像に基づいて、横断歩道位置情報X2を取得してもよい。また、横断歩道位置情報取得部33は、自車両位置情報X1および通信モジュール14により取得した自車両Vの外部に記憶されている地図情報に基づいて横断歩道位置情報X2を取得してもよい。
【0026】
周囲情報取得部34は、自車両Vの周辺の情報を取得する。本実施形態における周囲情報取得部34は、自車両Vの周辺における表示部20の視認対象者となる歩行者100に関する情報を取得する。周囲情報取得部34は、例えば、外部カメラ15により撮像された自車両Vの周囲画像に基づいて、自車両Vの周辺に存在する歩行者位置情報X3を取得してもよい。また、例えば、外部レーダ16により走査され、検出された自車両Vの周囲対象物に基づいて歩行者位置情報X3を取得してもよい。
【0027】
表示制御部35は、表示部20の遠方表示領域E1および近辺表示領域E2における表示部20に表示される自車両Vの挙動に関する表示情報Mを制御するものである。本実施形態の表示制御部35は、自車両位置情報取得部32により取得された自車両位置情報X1と、横断歩道位置情報取得部33により取得された横断歩道位置情報X2と、周囲情報取得部34により取得された歩行者位置情報X3の位置関係に基づいて、自車両Vと周辺の歩行者100との相対位置に応じて表示部20の表示領域Eにおける自車両Vの挙動に関する表示情報Mの変更を行う。具体的には、横断歩道位置情報取得部33により取得した横断歩道位置情報X2と、周囲情報取得部34により取得した歩行者位置情報X3に基づいて横断歩道200と歩行者100の位置関係を算出し、横断歩道200の周辺に歩行者100が位置しているか否か、すなわち歩行者100が横断歩道200の周辺にいるか否かを判断する。なお、歩行者100が横断歩道200の周辺にいるとの判断は、横断歩道200の周辺に歩行者100が位置していると判断し、更に歩行者100の顔や体の向きが横断歩道200の方向を向いているか否かを判断し、歩行者100が横断歩道200の方向を向いていると判断することで、歩行者100が横断歩道200を渡ろうとしていると判断してもよい。そして、横断歩道200の周辺に歩行者100が位置し、更に歩行者100が横断歩道200を渡ろうとしていると判断すると、自車両位置情報取得部32より取得した自車両位置情報X1と、周囲情報取得部34により取得した歩行者位置情報X3に基づき、横断歩道200の周辺にいる歩行者100と自車両Vの位置関係を算出し、横断歩道200の周辺にいる歩行者100と自車両Vの相対位置が遠方位置であると判定すると、表示部20の遠方表示領域E1に遠方位置に応じた将来の自車両の挙動に関する表示情報M1を表示し、近辺表示領域E2に遠方位置に応じた現在の自車両の挙動に関する表示情報M2を表示する。また、自車両位置情報取得部32より取得した自車両位置情報X1と、周囲情報取得部34により取得した歩行者位置情報X3に基づき、横断歩道200の周辺にいる歩行者100と自車両Vの位置関係を算出し、横断歩道200の周辺にいる歩行者100と自車両Vの相対位置が近辺位置であると判定すると、表示部20の近辺表示領域E2に近辺位置に応じた現在の自車両の挙動に関する表示情報M3を表示部20へ表示し、遠方表示領域E1に近辺位置に応じた将来の自車両の挙動に関する表示情報M4を表示する。
【0028】
例えば、車両Vが道路Rを走行している場合において、
図4-1のように、表示制御部35が、横断歩道位置情報取得部33により取得した横断歩道位置情報X2と、周囲情報取得部34により取得した歩行者位置情報X3に基づき、横断歩道200の周辺にいる歩行者100と自車両Vとの相対位置が遠方位置と判定した場合、表示部20の遠方表示領域E1にて表示する表示情報Mを「停車します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100に向けた将来の車両の挙動に関する表示情報M1を行う。これにより、横断歩道200の周辺に位置し、横断歩道200を渡ろうとしている歩行者100は、表示部20の表示が視認可能となる。しかし、横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも車両Vに近い位置に他の歩行者400がいた場合に、横断歩道200の周辺にいる歩行者100に対しての表示に関わらず、横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも車両Vに近い位置にいる歩行者400は自分自身への表示と勘違いしてしまう恐れがある。そこで、近辺表示領域E2には「通過します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも車両Vに近い位置にいる歩行者400に対して、横断歩道200の周辺にいる歩行者100へ向けた表示情報Mとは異なる、現在の車両の挙動に関する表示情報M2の表示を行う。この時、第一発光部群21aは「停車します」という表示情報M1に基づき発光し、第二発光部群22bは「通過します」という表示情報M2に基づき発光する。また、
図4-2のように、無人の自動運転の車両Vが横断歩道200の手前で停車している場合、
図4-1に比べ、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100の相対位置が近辺位置へと変化している為、表示部20の近辺表示領域E2にて表示する表示情報Mを「停車中」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100に向けた現在の車両の挙動に関する表示情報M3の表示を行う。横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも車両Vから離れている歩行者500は、自動運転車がどのような挙動をするか気になる為、車両Vから離れている歩行者500が視認可能な遠方表示領域E1には「発進します」といった将来の車両の挙動に関する表示情報M4の表示を行う。この時、第一発光部群21aは「発進します」という表示情報M4に基づき発光し、第二発光部群21bは「停車中」という表示情報M3に基づき発光する。
【0029】
記憶部36は、自車両の挙動に関するデータを記憶する装置である。記憶部36は、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスクなどの比較的に大容量の記憶装置、あるいは、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)などのデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部36は、制御部30での各種処理に必要な条件や情報、制御部で実行する各種プログラムやアプリケーション、制御データ等が格納されている。記憶部36は、例えば、表示制御部35により制御した表示部20の自車両Vの挙動に関する表示情報M等を記憶する。また、記憶部36は、例えば、自車両位置情報取得部32や横断歩道位置情報取得部33、周囲情報取得部34で取得された各種情報を一時的に記憶することもできる。記憶部36は、表示制御部35によってこれらの情報が必要に応じて読み出される。
【0030】
次に、車外表示装置1における動作の概略を説明する。
図5は、実施形態1に係る車外表示装置の制御の一例を示すフローチャート図である。
【0031】
まず、表示制御部35は、歩行者位置情報X3と、横断歩道位置情報X2に基づいて、横断歩道200の周辺に歩行者100がいるか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、横断歩道位置情報取得部33により取得した横断歩道位置情報X2と、周囲情報取得部34により取得した歩行者位置情報X3に基づいて横断歩道200と歩行者100の位置関係を算出し、横断歩道200を渡ろうとしている歩行者100が存在するか否かを判断する。表示制御部35は、歩行者100の顔や体の向きが横断歩道200の方向を向いている場合や、歩行者100の移動軌跡が横断歩道200に向かっている場合などにおいて、歩行者100が横断歩道200を渡ろうとしていると判断する。
【0032】
表示制御部35は、横断歩道200の周辺に歩行者100がいないと判断する(ステップS1:No)と、横断歩道200の周辺に歩行者100がいるまで、ステップS1を繰り返す。
【0033】
表示制御部35は、横断歩道200の周辺に歩行者100がいると判断する(ステップS1:Yes)と、自車両位置情報X1と、横断歩道位置情報X2と、歩行者位置情報X3に基づいて、自車両Vと横断歩道200と歩行者100の位置関係を計算する(ステップS2)。
【0034】
次に、表示制御部35は、自車両位置情報X1と横断歩道位置情報X2に基づいて、自車両Vが横断歩道200へ接近しているか否かを判断する(ステップS3)。
【0035】
表示制御部35は、自車両Vが横断歩道200へ接近していると判断する(ステップS3:Yes)と、自車両位置情報X1と歩行者位置情報X3に基づいて自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置であるかを判断する(ステップS4)。
【0036】
表示制御部35は、自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置であると判断する(ステップS4:Yes)と、遠方表示領域E1において遠方位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M1、近辺表示領域E2において遠方位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報M2を表示させる(ステップS5)。表示制御部35は、例えば、自車両Vに対して遠方位置の歩行者100が、自車両Vが歩行者100を認識しているか否かを判断できるように、近辺表示領域E2に対応する第一発光部群21aには、遠方位置における将来の車両の挙動に関する表示情報M1を表示する発光を行わせ、「停車します」のような将来の自車両の挙動に関する表示情報M1の表示を行う。しかし、横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも自車両Vに近い位置に歩行者400がいた場合に、横断歩道200の周辺にいる歩行者100に対しての表示に関わらず、横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも自車両Vに近い位置にいる歩行者400は自分自身への表示と勘違いしてしまう恐れがある。そこで、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bには、遠方位置に応じた現在の車両の挙動に関する表示情報M2を表示する発光を行わせ、近辺表示領域には「通過します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100以外の歩行者400に向けた、横断歩道200の周辺にいる歩行者100へ表示する情報とは異なる表示を行う(
図4-1参照)。
【0037】
次に、表示制御部35は、自車両Vと歩行者100と横断歩道200の位置関係を計算し(ステップS2)、自車両Vが横断歩道200へ接近していると判断し(ステップS3:Yes)と、自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置であるかを再び判断する(ステップS4)。これにより、表示制御部35は、歩行者100が自車両Vに対して遠方位置のままの場合、遠方表示領域E1を遠方位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M1の表示状態を維持し、近辺表示領域E2を遠方位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報M2の表示状態を維持する。
【0038】
また、表示制御部35は、自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置でない、すなわち近辺位置であると判断する(ステップS4:No)と、近辺表示領域E2に近辺位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報M3、遠方表示領域E1に近辺位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M4を表示させる(ステップS6)。表示制御部35は、例えば、自車両Vに対して近辺位置にいる歩行者100が横断歩道200を渡ることが可能であるか否かを判断できるように、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bには、近辺位置に応じた現在の車両の挙動に関する表示情報M3を表示する発光を行い、「停車中」のような現在の自車両の挙動に関する表示情報M3の表示を行う。車両Vから離れている歩行者500は、自動運転車がどのような挙動をするか気になる為、遠方表示領域E1に対応する第二発光部群21bには、近辺位置に応じた将来の車両の挙動に関する表示情報M4を表示する発光を行い、車両Vから離れている歩行者500が視認可能な遠方表示領域E1には「発進します」といった将来の車両の挙動に関する表示情報M4の表示を行う(
図4-2参照)。
【0039】
次に、表示制御部35は、横断歩道位置情報X2と、歩行者位置情報X3に基づいて、横断歩道200の周辺に歩行者100がいるか否かを判断する(ステップS7)。ここでは、表示制御部35は、歩行者100が横断歩道200を渡ったか否かを判断する。
【0040】
次に、表示制御部35は、横断歩道200の周辺に歩行者100がいると判断する(ステップS7:Yes)と、自車両Vと歩行者100と横断歩道200の位置関係を計算し(ステップS2)、自車両Vが横断歩道200へ接近していると判断し(ステップS3:Yes)、自車両Vと歩行者100との相対位置が近辺位置であると判断する(ステップS4:No)。これにより、表示制御部35は、歩行者100が自車両Vに対して近辺位置のままの場合、近辺表示領域E2を近辺位置における現在の車両の挙動に関する表示情報M3の表示状態を維持し、遠方表示領域E1を近辺位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M4の表示状態を維持する。
【0041】
次に、表示制御部35は、横断歩道200の周辺に歩行者100がいないと判断する(ステップS7:No)と、表示部20による表示を終了する(ステップS8)。
【0042】
以上で説明した車外表示装置1は、自車両Vと歩行者100の相対位置が変わっても、横断歩道200の周辺にいる歩行者100は常に表示部20の表示を視認でき、自車両Vと歩行者100の相対位置に応じた自車両Vの挙動に関する適切なメッセージを視認することが可能となる。また、横断歩道200の周辺にいる歩行者100以外の歩行者400、500は、横断歩道200の周辺にいる歩行者100とは異なる自車両Vの挙動に関する表示情報Mを視認するので、自身に提供された自車両Vの挙動に関する表示情報Mに基づいて自車両Vの挙動を判断することができる。これにより、横断歩道200の周辺にいる歩行者100以外の歩行者400、500は、自身に提供された自車両Vの挙動に関する表示情報Mに基づいて行動することができるので、自車両Vとの関係性において安全性を維持することができる。つまり、車外表示装置1は、自車両Vと歩行者100,400、500の位置関係に応じて、伝えたい相手に絞った表示を行い、有益な情報を相手に伝えることができる。
【0043】
また、車外表示装置1は、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100の相対位置が遠方位置の場合と近辺位置の場合に応じて表示部20内の発光部21の発光する表示を制御し、表示部20の表示領域Eの表示情報Mを変更する。これにより、車外表示装置1は、一つの表示部20内で複数の表示領域E1、E2を設定することが可能となる。
【0044】
また、車外表示装置1は、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との相対位置に合わせて遠方表示領域E1と近辺表示領域E2に対応する複数の発光部群21a,21bを設けることで、車外から見る角度によって異なる表示を視認することが可能となる。
【0045】
本実施形態では、発光部21と、レンズ22を有するものとして説明したが、これに限定されるものではない。
図6は、変形例に係る表示部を示す図である。遮光部材26は、各発光部21にそれぞれ対応する複数の開口部26aが形成される。開口部26aは、遠方表示領域E1及び近辺表示領域E2における歩行者が対応する発光部群と隣り合う発光部群からの光を視認できない大きさに形成されている。変形例における発光部21は、開口部26aにそれぞれ対応する複数の発光部群により構成される。複数の発光部群は、遠方表示領域E1に対応する第一発光部群21aと、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bから構成され、第一発光部群21aと第二発光部群21bが相互に配置されている。具体的には、遠方表示領域E1に位置する歩行者は、対応する第一発光部群21aの発光が視認可能であり、第一発光部群21aの発光に基づく表示情報Mの表示を視認することができ、近辺表示領域E2に位置する歩行者は、対応する第二発光部群21bの発光が視認可能であり、第二発光部群21bの発光に基づく表示情報Mの表示を視認することができる。
【0046】
変形例における車外表示装置1は、自車両Vと横断歩道200の周辺にいる歩行者100との相対位置に合わせて開口部22eより視認可能な発光部群が異なることにより、自車両と歩行者との相対位置に応じた表示情報を視認可能とさせる。
【0047】
変形例における遮光部材26は、各発光部21にそれぞれ対応する複数の開口部26aが形成されたものとして説明したが、透過型の液晶パネルに置き換えてもよい。
【0048】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る車外表示装置について説明する。
図7は、実施形態2の表示部20の構成を示す図である。
図8-1は、実施形態2に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が遠方位置であり、右折したい対向車がいる場合の表示領域と表示情報を示す図である。
図8-2は、実施形態2に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が近辺位置であり、対向車がいる場合の表示領域と表示情報を示す図である。
図8-3は、実施形態2に係る自車両と横断歩道周辺の歩行者との相対位置が近辺位置であり、右折したい対向車がいる場合の表示領域と表示情報を示す図である。実施形態2に係る車外表示装置1は、実施形態1に係る車外表示装置1の表示領域Eに対向車用表示領域E3が追加されたものである。実施形態2に係る車外表示装置1の基本的構成は、実施形態1に係る車外表示装置1と同一またはほぼ同一なので、相違点について以下に説明する。
【0049】
表示部20の表示領域Eは、遠方表示領域E1と、近辺表示領域E2と、対向車用表示領域E3とを有する。表示領域Eは、近辺表示領域E2と対向車用表示領域E3に挟まれて遠方表示領域E1が配置される構成となっている。発光部21は、レンズ22にそれぞれ対応する複数の発光部群21a,21b,21cにより構成される。複数の発光部群21a,21b、21cは、遠方表示領域E1に対応する第一発光部群21aと、近辺表示領域E2に対応する第二発光部群21bと、対向車用表示領域E3に対応する第三発光部群21cであり、第三発光部群21cが複数の第一発光部213により構成される。第三発光部213は、各レンズ22に対応して配置されており、本実施形態では、第一発光部211と隣り合った状態で、各レンズ22に対して両端部のうち他方の端部に配置されている。第三発光部群21cは、第一発光部群21aおよび第二発光部群21bと異なるあるいは同一の第自車両Vの挙動に関する表示情報Mに対応する発光を行う。対向車用表示領域E3には、横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示を行う。具体的には、
図8―1のように、自車両Vと横断歩道200の周辺の歩行者100との相対位置が遠方位置であり、自車両Vが走行する道路Rに連結されている道路R´へ曲がりたい、すなわち右折したい対向車600がいる場合、遠方表示領域E1には「停車します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100に向けた将来の車両の挙動に関する表示情報M1を表示する。また、近辺表示領域E2には「通過します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも車両Vに近い位置で、かつ道路R´から道路Rに合流したい合流待ちの車両700に対して、横断歩道200の周辺にいる歩行者100へ向けた表示情報M1とは異なる、現在の車両の挙動に関する表示情報M2を表示する。一方、右折したいい対向車600がいた場合に、横断歩道200の周辺にいる歩行者100に対する表示であるにも関わらず、対向車600に向けた表示であると対向車600に乗っているドライバーは勘違いしてしまう恐れがある。そこで、対向車用表示領域E3には「通過します」といった、横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5を表示する。この時、第一発光部群21aは「停車します」という表示情報M1に基づき発光し、第二発光部群22bは「通過します」という表示情報M2に基づき発光し、対向車用表示領域E3に対応する第三発光部群21cは「通過します」という表示情報M5に基づき発光する。また、
図8―2のように、自車両Vと横断歩道200の周辺の歩行者100との相対位置が近辺位置であり、右折したい対向車600がいた場合、近辺表示領域E2には「停車中」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100に向けた現在の車両の挙動に関する表示情報M3を表示する。また、横断歩道200の周辺にいる歩行者100よりも車両Vから離れている歩行者500に向けた「発車します」といった将来の車両の挙動に関する表示情報M4を表示する。また、対向車用表示領域E3には「歩行者横断中」といった、横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示情報M3とは異なる表示情報M4を表示する。この時、第一発光部群21aは「発車します」という表示情報M4に基づき発光し、第二発光部群22bは「停車中」という表示情報M3に基づき発光し、対向車用表示領域E3に対応する第三発光部群21cは「歩行者横断中」という表示情報M5に基づき発光する。これにより、対向車700は、横断歩道200を横断する歩行者100がいることに気付き、横断歩道200の手前で停車することができる。また、
図8―3のように、自車両Vと横断歩道200の周辺の歩行者100との相対位置が近辺位置であり、自車両Vが走行する道路Rに連結されている道路R´へ曲がりたい、すなわち右折したい対向車600がいる場合、近辺表示領域E2には「停車中」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100に向けた現在の車両の挙動に関する表示情報M3を表示する。また、遠方表示領域E1には「直進します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100以外に向けた将来の車両の挙動に関する表示情報M4を表示する。一方、右折したい対向車600がいた場合に、横断歩道200の周辺にいる歩行者100に対する表示であるにも関わらず、対向車600に向けた表示であると対向車600に乗っているドライバーは勘違いし、自車両Vが通過するまで待機してしまう恐れがある。そこで、対向車用表示領域E3には「停車中右折可能」といった、横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5を表示する。この時、第一発光部群21aは「直進します」という表示情報M4に基づき発光し、第二発光部群22bは「停車中」という表示情報M3に基づき発光し、対向車用表示領域E3に対応する第三発光部群21cは「停車中右折可能」という表示情報M5に基づき発光する。これにより、自車両と対向車の位置関係に応じて、伝えたい相手に絞った表示を行い、有益な情報を相手に伝えることができる。
【0050】
次に、車外表示装置1における動作の概略を説明する。
図9は、実施形態2に係る車外表示装置の制御の一例を示すフローチャート図である。実施形態2に係る車外表示装置1の基本的動作は、実施形態1に係る車外表示装置1と同一またはほぼ同一なので、相違点について以下に説明する。
【0051】
表示制御部35は、自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置であると判断する(ステップS4:Yes)と、遠方表示領域E1に遠方位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M1、近辺表示領域E2に遠方位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報M2、対向車用表示領域E3に遠方位置における横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5を表示させる(ステップS9)。例えば、遠方表示領域E1には、自車両Vに対して遠方位置の歩行者100が、自車両Vが歩行者100を認識しているか否かを判断できるように、「停車します」のような将来の自車両の挙動に関する表示情報M1の表示を行う。近辺表示領域E1には「通過します」といった横断歩道200の周辺にいる歩行者100以外の歩行者や車両に向けた、横断歩道200の周辺にいる歩行者100へ表示する情報とは異なる表示M2を行う。また、右折したい対向車600がいた場合に、横断歩道200の周辺にいる歩行者100に対する表示であるにも関わらず、対向車600に向けた表示であると対向車600に乗っているドライバーは勘違いしてしまう恐れがある。そこで、対向車用表示領域E3には「通過します」といった、横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5をする。この時、第一発光部群21aは「停車します」という表示情報M1に基づき発光し、第二発光部群22bは「通過します」という表示情報M2に基づき発光し、対向車用表示領域E3に対応する第三発光部群21cは「通過します」という表示情報M5に基づき発光する(
図8-1参照)。
【0052】
次に、表示制御部35は、自車両Vと歩行者100と横断歩道200の位置関係を計算し(ステップS2)、自車両Vが横断歩道200へ接近していると判断し(ステップS3:Yes)と、自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置であるかを再び判断する(ステップS4)。これにより、表示制御部35は、歩行者100が自車両Vに対して遠方位置のままの場合、遠方表示領域E1には遠方位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M1の表示状態を維持し、近辺表示領域E2には遠方位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報M2の表示状態を維持し、対向車用表示領域E3には遠方位置における横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5の表示状態を維持する。
【0053】
また、表示制御部35は、自車両Vと歩行者100との相対位置が遠方位置でない、すなわち近辺位置であると判断する(ステップS4:No)と、近辺表示領域E2に近辺位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報M3、遠方表示領域E1に近辺位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M4、対向車用表示領域E3に近辺位置における横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5を表示させる(ステップS10)。近辺表示領域E1には、自車両Vに対して近辺位置にいる歩行者100が横断歩道200を渡ることが可能であるか否かを判断できるように、「停車中」のような現在の自車両の挙動に関する表示情報M3の表示を行う。車両Vから離れている歩行者500は、自動運転車がどのような挙動をするか気になる為、車両Vから離れている歩行者500が視認可能な遠方表示領域E1には「発車します」といった将来の車両の挙動に関する表示情報M4の表示を行う。また、対向車用表示領域E3には、「歩行者横断中」といった、横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示M5を行う。この時、第一発光部群21aは「発車します」という表示情報M4に基づき発光し、第二発光部群22bは「停車中」という表示情報M3に基づき発光し、対向車用表示領域E3に対応する第三発光部群21cは「歩行者横断中」という表示情報M5に基づき発光する。(
図8-2参照)。
【0054】
次に、表示制御部35は、横断歩道位置情報X2と、歩行者位置情報X3に基づいて、横断歩道200の周辺に歩行者100がいるか否かを判断する(ステップS11)。ここでは、表示制御部35は、歩行者100が横断歩道200を渡ったか否かを判断する。
【0055】
次に、表示制御部35は、横断歩道200の周辺に歩行者100がいると判断する(ステップS11:Yes)と、自車両Vと歩行者100と横断歩道200の位置関係を計算し(ステップS2)、自車両Vが横断歩道200へ接近していると判断し(ステップS3:Yes)、自車両Vと歩行者100との相対位置が近辺位置であると判断する(ステップS4:No)。これにより、表示制御部35は、歩行者100が自車両Vに対して近辺位置のままの場合、近辺表示領域E2に近辺位置における現在の車両の挙動に関する表示情報M3の表示状態を維持し、遠方表示領域E1に近辺位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報M4の表示状態を維持し、対向車用表示領域E3に近辺位置における横断歩道200の周辺にいる歩行者100が視認可能な車両の挙動に関する表示とは異なる表示情報M5の表示状態を維持する。
【0056】
次に、表示制御部35は、横断歩道200の周辺に歩行者100がいないと判断する(ステップS11:No)と、表示部20による表示を終了する(ステップS12)。
【0057】
以上で説明した車外表示装置1は、自車両Vと対向車の位置関係に応じて、伝えたい相手に絞った表示を行い、有益な情報を相手に伝えることができる。
【0058】
なお、上述した実施形態1,2および変形例に係る車外表示装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
実施形態1,2および変形例における車両Vは、自動運転(半自動運転、完全自動運転)可能な車両であるものとして説明したがこれに限られない。車両Vは、車両Vの運転者による運転操作に応じて車両Vの挙動が制御される手動運転可能な車両であってもよい。
【0060】
実施形態1,2および変形例における表示部20は、車両の挙動に関する表示として「停車します」や「停車中」といったメッセージを表示するものとして説明したがこれに限らず、メッセージ以外、例えば図形、記号、ヒストグラム、絵で表示してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 車外表示装置
20 表示部
21 発光部
22 レンズ
26 遮光部材
26e 開口部
32 自車両位置情報取得部
33 横断歩道位置情報取得部
34 周囲情報検知部
35 表示制御部
100 歩行者
200 横断歩道
E 表示領域
E1 遠方表示領域
E2 近辺表示領域
E3 対向車用表示領域
M 表示情報
M1 遠方表示領域に対する遠方位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報
M2 近辺表示領域に対する遠方位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報
M3 近辺表示領域に対する近辺位置における将来の自車両の挙動に関する表示情報
M4 遠方表示領域に対する近辺位置における現在の自車両の挙動に関する表示情報
M5 対向車用表示領域の自車両の挙動に関する表示情報
V 自車両