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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】スノコ
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A47K3/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023013319
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2019172682の分割
【原出願日】2013-09-24
(65)【公開番号】P2023041816
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】福西 健介
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-248736(JP,A)
【文献】意匠登録第0654108(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側との通気のための空間を下側に有するように支持される上板部であって、上側を足で踏んで使用し得るものと、
前記上板部を支持するための支持部を有し、
平面視において縦長状の通気孔部であって前記上板部を上下に貫通するものを多数有し
前記上板部の上側における前記各通気孔部の短手方向の側方に隣接して、上向きの膨出部であって平面視において前記通気孔部と平行状をなし、前記短手方向において上向きに凸に湾曲したものを有し
前記上板部の上側と前記通気のための空間は、前記通気孔部を通じて通気し得、
前記上板部のうち前記膨出部が設けられた部分の下側が、前記の通気のための空間の一部を構成することを特徴とするスノコ。
【請求項2】
上記各膨出部の下側の通気のための空間が互いに通じ合う請求項1記載のスノコ。
【請求項3】
上記上板部の下側の通気のための空間は、側方外部と通じるものである請求項1又は2記載のスノコ。
【請求項4】
上記膨出部が縦長状をなす請求項1乃至3の何れか1項に記載のスノコ。
【請求項5】
上記膨出部の平面視形状の縦横比が、4:3以上4:1以下である請求項4記載のスノコ。
【請求項6】
上記膨出部の平面視形状の寸法が、縦10乃至90mm、横5乃至50mmである請求項4記載のスノコ。
【請求項7】
上記膨出部に通気孔部を有しない請求項1乃至6の何れか1項に記載のスノコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足拭きマット等を載置して用いるのに適したスノコに関する。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3104551号には、湯上りの足拭きのためのバスマットの下に敷設される敷板の発明として、「バスマット敷板であって、同幅同長の二枚のスノコ状板からなり、該二枚のスノコ状板の対向する外桁の内端を連結部材を介して折畳み可能に連結するとともに、一方のスノコ状板における中央桁の外端には前記二枚のスノコ状板を逆V字状に保持する支持体を回動自在に設けたことを特徴とするバスマット敷板。」の発明が記載されている。
【0003】
このバスマット敷板によれば、「スノコ状板で構成されているため、通気性に優れ、かつ、軽量で適度の硬さを有した敷板を提供することができる。また、二つ折りが可能な構成となっているため、バスマットを乾燥させる際の干し具としても使用でき、取扱性さらには格納性に優れたバスマット敷板を提供することができるという効果を奏する。」とされている。
【0004】
この敷板によれば、二枚のスノコ状板を逆V字状としてバスマットをその上に掛けて干すことにより、バスマット使用後の乾燥を効果的なものとするものであるが、バスマットによる足拭き効果自体は、敷板を用いるか否かにより特段変わりはなく、バスマットを敷板上に載置した状態でのバスマット乾燥効果は、従来のスノコ上にパスマットを載置した場合と変わりはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3104551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、スノコ上に載置した足拭きマットによる足拭き効果を高めると共に、スノコ上に足拭きマットを載置した状態での足拭きマットの乾燥効果に優れるスノコを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスノコは、次のように表すことができる。
【0008】
(1) 下側に通気のための空間を有するように支持される上板部と、
上板部を支持するための支持部と、
上板部の上側に設けられた多数の上向きの膨出部と、
それらの膨出部間において上板部を上下に貫通する多数の通気孔部を備えてなり、
前記膨出部は、間隔おきに並んでいることを特徴とするスノコ。
【0009】
上板部上に足拭きマットを載置し、濡れた足(足を含めた全身若しくは部分が濡れた状態である場合を含む)でその足拭きマットを踏みつつ、その足拭きマットにより足を拭く場合、足拭きマットは、指を含む足で押えられることにより、膨出部を含む上板部の上側の形状に沿うように変形し得る。
【0010】
そのため、足拭きマットを踏んだ状態の足における隣り合う指の間に、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が位置することにより、又は、足拭きマットを踏んだ状態の足における隣り合う指のうち一方が、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分によって他方よりも上に支持されることにより、或いは、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が、足の凹部や周縁部等に位置することにより、前記足拭きマットによって指同士の間を含めて効果的に足の水分等を拭くことができる。
【0011】
また、水分を吸収した状態の上板部上の足拭きマットは、間隔おきに並んだ多数の膨出部上に支持されると共に、それらの膨出部間には、上板部を上下に貫通する多数の通気孔部を有し、且つ、上板部の下側には通気のための空間を有する。
【0012】
そのため、上板部上における足拭きマットの下側は、多数の膨出部上に支持されることにより、各膨出部間に通気性を有すると共に、膨出部間の多数の通気孔部を介して、上板部の下側の通気のための空間との間にも通気性を有し、水分を吸収した状態の足拭きマットの乾燥に効果的である。
【0013】
なお、足拭きマット以外の吸水性のマット又はその他の物を上板部上に載置して使用することや、上板部上にマット等を載置せずに用いることもできる。
【0014】
(2) 上記間隔おきに並んだ膨出部における隣り合う膨出部の間に通気孔部を有する(1)記載のスノコ。
【0015】
隣り合う膨出部の間に通気孔部を有することにより、水分を吸収した足拭きマットの乾燥効果に優れる。
【0016】
(3) 上記間隔おきに並んだ膨出部における隣り合う膨出部の間に有する通気孔部が、足指の下部が嵌入し得るものである(2)記載のスノコ。
【0017】
上記間隔おきに並んだ膨出部における隣り合う膨出部の間に有する通気孔部が、足指の下部が嵌入し得るものであるため、上板部上に足拭きマットを載置し、濡れた足でその足拭きマットを踏みつつ、その足拭きマットにより足を拭く場合、足拭きマットのうち通気孔部上に位置する部分を足指の下部又はその他の部分が押し下げることとなる。
【0018】
足拭きマットを踏んだ状態の足における隣り合う指の間に、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が位置し、足拭きマットのうち、その膨出部に隣接する通気孔部上の部分を、前記隣り合う足指の下部が押し下げることにより、又は、足拭きマットを踏んだ状態の足における隣り合う指のうち一方が、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分によって支持され、他方の指の下部が、足拭きマットのうちその膨出部に隣接する通気孔部上に位置する部分を押し下げることにより、或いは、足拭きマットのうち通気孔部上に位置する部分を足の凸部等が押し下げることにより、前記足拭きマットによって指同士の間を含めて効果的に足の水分等を拭くことができる。
【0019】
(4) 上記膨出部は、間隔おきに所定方向に並んで列を形成しており、
複数の列が間隔おきに並列している(1)乃至(3)の何れかに記載のスノコ。
【0020】
水分を吸収した状態の上板部上の足拭きマットは、間隔おきに並列した膨出部の列を構成する多数の膨出部上に支持されると共に、それらの膨出部間には、上板部を上下に貫通する多数の通気孔部を有し、且つ、上板部の下側には通気のための空間を有する。
【0021】
そのため、上板部上における足拭きマットの下側は、多数の膨出部上に支持されることにより、膨出部の列における各膨出部間及び並列した列同士の間に通気性を有すると共に、膨出部間の多数の通気孔部を介して、上板部の下側の通気のための空間との間にも通気性を有し、水分を吸収した状態の足拭きマットの乾燥に効果的である。
【0022】
(5) 上記膨出部の列がそれぞれ直線に沿っており、且つ列同士が互いに平行に並列した(3)記載のスノコ。
【0023】
水分を吸収した状態の上板部上の足拭きマットは、間隔おきに並列した、直線に沿った列を構成し、且つ列同士が互いに平行に並列した多数の膨出部上に支持されると共に、それらの膨出部間には、上板部を上下に貫通する多数の通気孔部を有し、且つ、上板部の下側には通気のための空間を有する。
【0024】
そのため、上板部上における足拭きマットの下側は、多数の膨出部上に支持されることにより、膨出部の直線に沿った列における各膨出部間及び互いに平行に並列した列同士の間に通気性を有すると共に、膨出部間の多数の通気孔部を介して、上板部の下側の通気のための空間との間にも通気性を有し、水分を吸収した状態の足拭きマットの乾燥に効果的である。
【0025】
(6) 膨出部の平面視形状が、上記間隔おきに並んだ方向に交差する方向を長手方向とし、前記間隔おきに並んだ方向を短手方向とする縦長形状である(1)乃至(5)の何れかに記載のスノコ。
【0026】
膨出部の平面視形状が、上記間隔おきに並んだ方向に交差する方向を長手方向とし、前記間隔おきに並んだ方向を短手方向とする縦長形状である場合、上板部に載置された足拭きマットを、膨出部が並ぶ方向に指が並ぶように踏んだ際に、その足における隣り合う指の間に、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が位置し易く、又は、その足における隣り合う指のうち一方が、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分によって、他方の指よりも上に支持され易い。
【0027】
(7) 膨出部の少なくとも頂部が弾性材料からなる(1)乃至(6)の何れかに記載のスノコ。
【0028】
膨出部の少なくとも頂部が弾性材料からなるものであることにより、足拭きマットを載置して、或いは載置せずに足で踏んだ場合に、膨出部又は膨出部上の足拭きマットにクッション性が生じ、使用感が良好となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のスノコによれば、上板部上に足拭きマットを載置し、足拭きマットを踏んだ状態の足における隣り合う指の間に、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が位置することにより、又は、足拭きマットを踏んだ状態の足における隣り合う指のうち一方が、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分によって他方よりも上に支持されることにより、或いは、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が、足の凹部や周縁部等に位置することにより、前記足拭きマットによって指同士の間を含めて効果的に足の水分等を拭くことができる。
【0030】
また、水分を吸収した状態の上板部上の足拭きマットは、多数の膨出部上に支持されることにより、各膨出部間に通気性を有すると共に、膨出部間の多数の通気孔部を介して、上板部の下側の通気のための空間との間にも通気性を有し、水分を吸収した状態の足拭きマットの乾燥に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】平面図である。
図2】部分拡大平面図である。
図3】底面図である。
図4】側面図である。
図5】部分拡大側面図である。
図6】正面図である。
図7】部分拡大正面図である。
図8】上方斜視図である。
図9】部分拡大上方斜視図である。
図10】部分拡大下方斜視図である。
図11】逆V字状自立状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図面は何れも本発明のスノコの実施の形態の一例に関するものである。
【0034】
(1) このスノコは、ほぼ同一の長方形板状をなす第一部分Aと第二部分Bからなり、両部分は、それぞれの長辺に設けられたヒンジ部Fを介し、長方形平板状をなす拡開状態と、二つ折り状折り畳み状態と、逆V字状自立状態に変換可能に連結されている。
【0035】
第一部分Aと第二部分Bは、ほぼ同一構成であり、何れも、主として上板部Dと支持部Eとヒンジ部Fと滑り止め部Gからなる。第一部分A及び第二部分Bは、それぞれ、上板部Dと支持部Eとヒンジ部Fが、合成樹脂により一体成形されたものに、滑り止め部Gが固着されてなる。支持部Eは、上板部Dの下側に通気のための空間を有するように支持するものである。
【0036】
(2) 上板部Dの上側には、多数の上向きの膨出部Hと多数の通気孔部Jを有する。上板部Dの下面側は、リブにより補強され、スノコの両長辺(第一部分A及び第二部分Bの短辺)は、上板部Dから垂下して下縁が上下波形状をなす波形状壁部Daに形成され、スノコの両短辺(第一部分A及び第二部分Bの長辺)は、上板部Dから垂下した壁部Dbに形成されている。波形状壁部Daの下縁と載置面との間には波形状の空隙が形成されるため、上板部Dの下側の空間と外部との間の通気性を良好なものとする。
【0037】
(2-1) 膨出部Hは、スノコの短手方向を長手方向とする平面視長方形状をなし、スノコの長辺(第一部分A及び第二部分Bの短辺)に平行な直線に沿って、膨出部Hの横幅(短手方向寸法)にほぼ一致した一定間隔をおいて横に多数並んで列Rを形成し、そのように形成された列Rが、スノコの短手方向に一定間隔おきに並列している。膨出部Hの平面視形状における長さ(長手方向寸法)は45mm縦横比は、約10:3である。膨出部Hの列R同士の間隔は15mmである。なお、例えば、図2の部分拡大平面図に表れる膨出部Hと通気孔部Jが交互に2つずつ並んだ列と、その列の隣に並列する通気孔部Jと膨出部Hが交互に2つずつ並んだ列からなる形態は意匠的にも新規である。
【0038】
それらの各膨出部Hの列Rにおける膨出部H同士の間毎に、両隣の膨出部Hに対し等間隔に近接して、通気孔部Jが設けられている。すなわち、膨出部Hと通気孔部Jがスノコの長辺に平行に一定距離毎に交互に並んだ横列Rが、スノコの短手方向に一定間隔おきに並列している。各通気孔部Jは、スノコの短手方向を長手方向とし、長手方向の両端部が長手方向外方に凸の半円形状である平面視略長方形状をなす一つの孔であり、横幅(短手方向寸法)は膨出部Hの横幅の約半分であり、長手方向寸法は膨出部Hの長手方向寸法よりもやや短く、長手方向中央位置は両隣の膨出部Hと同じである。通気孔部Jの平面視形状における縦横比は、約20:3である。
【0039】
スノコの短手方向(第一部分A及び第二部分Bの長手方向)において隣接する列R同士においては、膨出部Hと通気孔部Jが隣り合う。すなわち、スノコの短辺(第一部分A及び第二部分Bの長辺)に平行な直線に沿って、膨出部Hと通気孔部Jが一定間隔毎に交互に縦に並ぶ
【0040】
従って、膨出部H及び通気孔部Jは、それぞれ、千鳥状に配置されている。
【0041】
(2-2) 各膨出部Hは、上板部Dにおける平坦な上面D1(上板部Dの上面のうち膨出部H及び通気孔部Jが存在しない部分であって、滑り止め部G等の特別な部分を除く部分)から上向きに膨出するものである。
【0042】
膨出部Hの高さは約2.5mmである。膨出部Hの上側面は、平面視における中央部が高くなるように、中央部に向かって上向きの傾斜状をなす上に凸の曲面からなり、その長手方向における曲率は、中央部に向かって次第に減少する。膨出部Hの長手方向においては、両側から中央部に向かう2乃至7度以下程度の緩やかな傾斜状をなし、短手方向においては、両側から内側に向かう傾斜状をなす。膨出部Hの上側面のこのような形状は、足の方向がスノコの短手方向になるように上板部Dを踏んだ状態の足の指や足の裏の形状にフィットし易い形状である。
【0043】
上板部Dの上面は、膨出部Hの短手方向の列Rに沿って波形状をなすと共に、膨出部Hの長手方向の並びに沿って波形状をなす。
【0044】
(2-3) 各通気孔部Jの上部は、上板部Dにおける前記平坦な上面D1に開口し、各通気孔部Jの上部周縁部の断面形状は、上方に向かって外方に拡がるように湾曲している。
【0045】
上板部Dを踏んだ状態の足における指の下部は、通気孔部Jに例えば2乃至5mm程度嵌入し得る。
【0046】
(3) 上記支持部Eは、上板部Dにおける多数の通気孔部Jの全てにおける長手方向の相対する周縁部のうち中間部分からそれぞれ垂下した壁状の一対の垂下部E1の下端部同士が水平板片状の下端連結部E2により連結してなり、断面略U字状をなす。各支持部Eの下端連結部E2は、被載置面上に接して上板部Dを支持する。またこのような構成により、通気孔部Jを通じて上板部Dの上下が通気する。支持部Eにより支持された上板部Dの下側の通気のための空間は、スノコの側方外部と通じる。
【0047】
(4) スノコの上板部Dが上側となるように載置面上に逆V字状に立てた際に両部分のうち載置面に接する部分であるスノコの両短辺部の両端部に、ゴム状材料等からなる滑り止め部Gが設けられることにより、スノコを逆V字状に安定的に立てることができる。
【0048】
(5) 長方形平板状をなす拡開状態における上板部D上に、その上板部Dの平面視形状に対応する足拭きマット(図示せず)を載置して足を拭く際に、足の前後方向がスノコの短手方向に沿うようにすると、濡れた足でその足拭きマットを踏んだ際にその足の指が並ぶ方向が、膨出部Hが間隔おきに並んだ方向に沿うものとなり得る。
【0049】
その場合、その足における隣り合う指の間に、足拭きマットのうち膨出部Hで盛り上がった部分が位置し、足拭きマットのうち、その膨出部Hに隣接する通気孔部J上の部分を、前記隣り合う足指の下部が押し下げることにより、又は、その足における隣り合う指のうち一方が、足拭きマットのうち膨出部Hで盛り上がった部分によって足拭きマットのうち平坦な上面D1上の部分による支持位置よりも上方に支持され、他方の指の下部が、足拭きマットのうちその膨出部Hに隣接する通気孔部J上に位置する部分を押し下げることにより、足拭きマットにより、指同士の間を含めて効果的に足の水分等を拭くことができることとなり易い。或いは、足拭きマットのうち膨出部H上に位置する部分が、足の凹部や周縁部等に位置することにより、又は、足拭きマットのうち通気孔部J上に位置する部分を足の凸部等が押し下げることにより、足拭きマットにより効果的に足の水分等を拭くことができる。
【0050】
上板部Dの上面は、膨出部Hの短手方向の列Rに沿って波形状をなすと共に膨出部Hの長手方向の並びに沿って波形状をなすので、足の指や足の裏の形状にフィットし易い。
【0051】
水分を吸収した状態の上板部D上の足拭きマットは、直線に沿った列Rを構成し、且つ、列R同士が互いに平行に並列した多数の膨出部H上(すなわち、膨出部Hの短手方向の列Rに沿って波形状をなすと共に膨出部Hの長手方向の並びに沿って波形状をなす上板部Dの上面上)に支持され、各列Rにおける膨出部H同士の間には上板部Dを上下に貫通する通気孔部Jを有し、且つ、上板部Dの下側には通気のための空間を有する。
【0052】
そのため、上板部D上における足拭きマットの下側は、多数の膨出部H上に支持されることにより、膨出部Hの直線に沿った列Rにおける各膨出部H間及び互いに平行に並列した列R同士の間に通気性を有すると共に、膨出部H間の多数の通気孔部Jを介して、上板部Dの下側の通気のための空間との間にも通気性を有し、水分を吸収した状態の足拭きマットの乾燥に効果的である。
【0053】
また、ヒンジ部Fの拡開角度60度程度として載置面上に両部分の上板部Dが上側となるように逆V字状に立てて逆V字状の上板部D上に足拭きマットを掛けた状態でそのマットを乾燥させるように用いることができる。
【0054】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0055】
(1) 本発明のスノコは、上板部と支持部を備えてなる。
【0056】
本発明のスノコは、例えば、合成樹脂等の合成高分子材料により成形(例えば一体成形)することにより、或いは、成形(例えば一体成形)された部品を組み立てることにより得ることができるが、これに限るものではない。
【0057】
(2) 上板部は、下側に通気のための空間を有するように支持される。
【0058】
(3) 支持部は、上板部を、下側に通気のための空間を有するように支持するものであって、例えば、壁状又は柱状をなすものとすることができる。
【0059】
支持部の例としては、上板部における後述の多数の通気孔部のうち全て又は一部の周縁部のうち相対する部分からそれぞれ垂下した(例えば壁状又は柱状の)一対の垂下部同士が連結したものを挙げることができる。垂下部は、通気孔部の下方部を囲繞するようなものではなく、通気孔部の周縁部の一部から垂下したものとすることにより、通気孔部の下方部の水平方向における通気性をできるだけ損なわないものとすることが好ましい。
【0060】
支持部は、前記のような一対の垂下部同士の連結を、両垂下部の下端部同士を連結する下端連結部により行い、この下端連結部が被載置面上に接して上板部を支持するもの(断面略U字状をなすもの)とすることもできる。
【0061】
上板部の下側の通気のための空間は、スノコの側方外部と通じるものであることが、通気上好ましい。そのようなスノコの構成の例としては、側部が全て又は部分的に開口しているものを挙げることができる。
【0062】
(4) 上板部の上側には、多数の上向きの膨出部を有する。
【0063】
(4-1) 膨出部は、(例えば3、4又は5以上、好ましくは多数が、)間隔おきに並ぶものとする。間隔は、一定とすることができるが、これに限らず、複数種の間隔を設けることもできる。並んだ膨出部の間隔は、膨出部が並ぶ方向における膨出部の寸法の例えば0.2乃至4倍(好ましくは0.5乃至2倍)又は5乃至50mm(好ましくは10乃至30mm)とすることができる。
【0064】
このような膨出部は、(例えば3、4又は5以上、好ましくは多数が、)間隔おきに所定方向に並んで列を形成するものであってもよい。また、この膨出部の列は、複数が間隔おきに並列しているものであってもよい。その場合、並列した膨出部の列における膨出部が間隔おきに並ぶものとすることができる。これらの場合、上板部の上面は、膨出部が並んだ列に沿って、波形状(曲線、折曲線、又は曲線と直線および/または折曲線からなり、各通気孔部によって中断されていてもよい波形状)をなすものとすることができる。また、上板部の上面は、並列した膨出部の列における膨出部の並びに沿って、波形状(曲線、折曲線、又は曲線と折曲線からなり、各通気孔部によって中断されていてもよい波形状)をなすものとすることができる。
【0065】
このような膨出部の列は、それぞれ直線に沿っており、且つ列同士が互いに平行に並列したものとすることができる。その場合、直交格子の各交点上又は千鳥状格子の各交点上に膨出部が配置されるものとすることができる。
【0066】
尤も、膨出部の列は直線に沿うものに限るものではなく、列の並列は、平行に限るものではない。また、全ての列における膨出部の形状及び膨出部同士の間隔は、例えば、一定であるものとすることができるが、これに限るものではない。
【0067】
膨出部は、前記の場合を含めて、例えば、並列若しくは放射状の又はその他の配列の直線群に沿って配置されるものとすること、直交格子又は千鳥格子の交点上に配置されるものとすること、同心円周上、同心円弧上、楕円周上、楕円弧上、足の指が並ぶ曲線(足の指が並ぶ平均的な曲線)上、その他の曲線上に配置されるものとすることができる。
【0068】
(4-2) 間隔おきに並んだ膨出部は、上板部の所定の上面より膨出するものであり、例えば、足指の高さの5分の1乃至3分の1以上2分の1乃至1倍以下、或いは、例えば2乃至5mm以上10乃至20mm以下程度膨出しているものとすることができる。膨出部(又は膨出部上に位置する足拭きマット)は、上板部(又は上板部上に載置された足拭きマット)を踏んだ状態の足の指の間に位置し得るものとすることができる。また膨出部(又は膨出部上に位置する足拭きマット)は、上板部(又は上板部上に載置された足拭きマット)を踏んだ状態の足の指を、上板部の所定の上面よりも上に支持し得るものとすることができる。
【0069】
(4-3) 膨出部の平面視形状は、例えば、長方形状、正方形状、その他の多角形状、楕円形状、円形状、その他の閉曲線状とすることができるが、これらに限るものではない。膨出部の平面視形状の寸法は、例えば、縦10乃至90mm、横5乃至50mm程度とすることができる。好ましくは、縦20乃至60mm、横10乃至30mmである。
【0070】
膨出部の平面視形状として好ましい態様は、上記の、膨出部が間隔おきに並んだ方向(間隔おきに並んだ方向が複数ある場合はその一つ。)に交差する方向(45乃至90度、好ましくは80乃至90度の角度で交差する方向)を長手方向とし、前記間隔おきに並んだ方向を短手方向とする縦長形状(例えば、縦横比が、4:3乃至2:1以上3:1乃至4:1以下の長方形、四隅部が湾曲状の長方形状、楕円形状)である。
【0071】
(4-4) 上板部の上面のうち膨出部及び通気孔部が存在しない部分は、滑り止め部等の特別な部分を除いて平坦面とすることができ、膨出部は、上板部におけるこのような平坦面等の所定の上面から上向きに膨出するものとすることができる。
【0072】
膨出部の上側面の形状は、特に限られるものではないが、例えば、頂部に近づくに従って曲率が減少する曲面、特に、一定方向に沿って両側から頂部に近づくに従って曲率が減少する曲面からなるものとすることができる。
【0073】
また膨出部の上側面の形状は、例えば、平面視における中央部が高くなるように、中央部に向かって上向きの傾斜状をなす上に凸の曲面又は平面とすることができる。
【0074】
前記の中央部に向かって上向きの傾斜状をなす場合の例としては、一定方向に沿って両側から中央部に向かう傾斜状をなすものを挙げることができる。例えば、前記のように膨出部の平面視形状が縦長形状(特に、膨出部が間隔おきに並んだ方向に交差する方向を長手方向とする縦長形状)である場合、長手方向に沿って両側から中央部に向かう傾斜状をなすものとすることができる。なお、このような一定方向に直交する方向については、例えば、両側から内側に向かう傾斜状をなすものや両側が垂直状をなすものとすることができる。
【0075】
膨出部の上側面の傾斜は、例えば、少なくとも、上板部を踏んだ状態の足の指を支持した状態における指の軸線方向、又は、膨出部が間隔おきに並んだ方向に交差する方向(45乃至90度、好ましくは80乃至90度の角度で交差する方向)において2乃至7又は10度以下程度の緩やかな傾斜、或いは、上板部を踏んだ状態の足の指や足の裏の形状にフィットし易い傾斜とすることができる。
【0076】
(4-5) スノコが平面視において短手方向と長手方向を有する場合に、膨出部が間隔おきに並んだ方向がスノコの長手方向に沿うものとすることにより、上板部上に足拭きマットを載置して足を拭く場合の足拭き効果を高め得る。
【0077】
スノコが平面視において短手方向と長手方向を有する場合は、その上板部上に足拭きマットを載置して足を拭くときに、足の前後方向はスノコの短手方向に沿うことが多い。
【0078】
そのため、膨出部が間隔おきに並んだ方向がスノコの長手方向に沿う場合、濡れた足でその足拭きマットを踏んだ際にその足の指が並ぶ方向が膨出部が間隔おきに並んだ方向に沿うことにより、その足における隣り合う指の間に、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分が位置し、又は、その足における隣り合う指のうち一方が、足拭きマットのうち間隔おきに並んだ膨出部上に位置する部分によって支持されることによって、足拭きマットにより、指同士の間を含めて効果的に足の水分等を拭くことができることとなり易い。
【0079】
(4-6) 膨出部は、全部又は少なくとも頂部が弾性材料からなるものとすることにより、足拭きマットを載置して、或いは載置せずに足で踏んだ場合に、膨出部又は膨出部上の足拭きマットにクッション性が生じ、使用感が良好となる。
【0080】
(5) 上板部には、前記の膨出部間(上板部における膨出部が存在する領域のうち膨出部の位置以外の箇所)において上板部を上下に貫通する多数の通気孔部を有する。
【0081】
(5-1) 通気孔部の上部は、上板部における前記所定の上面に開口するものとすることができる。
【0082】
(5-2) 各通気孔部は、例えば、一つの孔からなるものであってもよく、複数の孔が集合してなるものであってもよい。
【0083】
(5-3) 通気孔部は、例えば、
上記のように間隔おきに並んだ膨出部における隣り合う膨出部の間に有し、上板部を踏んだ状態の足における足指の下部が嵌入し得るものとすることができる。
【0084】
この場合の足指の下部の嵌入は、例えば、指の高さの5分の1乃至3分の1以上2分の1乃至3分の2以下、或いは、例えば2乃至5mm以上7乃至14mm以下とすることができる。
【0085】
このような間隔おきに並んだ膨出部における隣り合う膨出部の間に有する通気孔部は、隣接する膨出部の並んだ方向に直交する方向において、例えば、膨出部の寸法に対し0.8乃至1.2倍の長さにわたるものとすることができる。また、通気孔部の平面視形状の寸法は、例えば、縦10乃至90mm、横3乃至30mm程度とすることができる。好ましくは、縦20乃至60mm、横5乃至15mmである。
【0086】
(6) 本発明のスノコは、例えば、ヒンジ部を介して二つの部分が連結され、ヒンジ部の拡開角度0度で両部分が二つ折り状に折り畳まれた状態と、ヒンジ部の拡開角度180度で両部分を1枚のスノコとして使用し得る状態の間で変形可能なものとすることができる。
【0087】
またこの場合、例えばヒンジ部の拡開角度60度程度として載置面上に両部分の上板部が上側となるように逆V字状に立てて逆V字状の上板部上に足拭きマットを掛けた状態でそのマットを乾燥させるように用いることができる。
【0088】
更に、この場合、載置面上に両部分の上板部が上側となるように逆V字状に立てた際に両部分のうち載置面に接する部分の一部又は全部に、ゴム状材料等からなる滑り止め部を設けて逆V字状に安定的に立て得るようにすることができる。
【0089】
(7) 本発明のスノコの上面部上に載置して使用することができる足拭きマットの例としては、繊維製の吸水性マットやその他の吸水性マットを挙げることができるが、これに限るものではない。また、本発明のスノコの上面部上に載置して使用することができるものは足拭きマットに限らない。
【符号の説明】
【0090】
A 第一部分
B 第二部分
D 上板部
Da 波形状壁部
Db 壁部
D1 上面
E 支持部
E1 垂下部
E2 下端連結部
F ヒンジ部
G 滑り止め部
H 膨出部
J 通気孔部
R 列
図1
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