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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/89 20060101AFI20240227BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20240227BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240227BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K8/89
A61K8/19
A61K8/34
A61K8/898
A61Q5/00
A61Q5/06
A61Q5/12
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017107525
(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公開番号】P2018203638
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-05-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 一光
(72)【発明者】
【氏名】中島 析臣
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-169182(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0078209(US,A1)
【文献】特開2000-34207(JP,A)
【文献】特表2008-528686(JP,A)
【文献】特開2004-285047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)組成物の総質量に対して20質量%以上50質量%以下の量の少なくとも1種のシリコーン油、
(b)組成物の総質量に対して10質量%から30質量%の範囲の量の水、及び
(c)組成物の総質量に対して30質量%以上且つ40質量%以下の量のプロピレングリコール
を含む、毛髪を処置するための組成物であって、
(a)シリコーン油が少なくとも1種の揮発性シリコーン油及び少なくとも1種の不揮発性シリコーン油を含んでおり、不揮発性シリコーン油の量が、組成物の総質量に対して1~5質量%であり、
(b)水の量/(c)プロピレングリコールの量の質量比が0.4以上且つ0.8以下である、組成物。
【請求項2】
組成物中の(a)シリコーン油の量が、組成物の総質量に対して、40質量%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
揮発性シリコーン油が、環状シリコーンから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
不揮発性シリコーン油が、ポリジメチルシロキサン及び有機変性されたポリジメチルシロキサンから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
(d)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(e)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
リーブオンタイプ又は濯ぎ落とすタイプである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に適用する工程を含む、毛髪のための美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の美容処置の分野において、リーブオンタイプ及びリーブオフタイプの毛髪用化粧料は、ヘアケアのカテゴリーにおける重要な部門であり、消費者はこれらの毛髪用化粧料を使用して、毛髪に、滑らかさ、湿潤感覚、ボリューム制御等を付与する。最近、消費者は、透明な毛髪用化粧料に対してその清浄な外観から魅力を感じている。
【0003】
特開2009-132625は、特定のカチオン性界面活性剤、1,2-ドデカンジオールへのエチレンオキシド付加体及び水を含み、これらの成分の量がある範囲に制限されている、透明な毛髪用美容組成物を開示している。特開2009-132625で開示されている毛髪用美容組成物は、シリコーンを含むことができる。しかし、シリコーンの量は、組成物の総質量に対して5質量%までに制限されている。
【0004】
特表2008-546807はまた、増粘剤、カチオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤、疎水性化されたアミドシリコーンコポリオールを含み、これらの成分の量がある範囲に制限されている、透明又は半透明な毛髪用美容組成物を開示している。疎水性化されたアミドシリコーンコポリオールの量は、組成物の総質量に対して約10質量%までに制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-132625
【文献】特表2008-546807
【文献】仏国特許出願公開A-8516334
【文献】米国特許第4957732号
【文献】欧州特許第0186507号
【文献】欧州特許出願第0342834号
【文献】特許出願EP-A-337354
【文献】仏国特許第2270846号
【文献】仏国特許第2383660号
【文献】仏国特許第2598611号
【文献】仏国特許第2470596号
【文献】仏国特許第2519863号
【文献】仏国特許第2505348号
【文献】仏国特許第2542997号
【文献】特許出願EP-A-080976
【文献】仏国特許第2077143号
【文献】仏国特許第2393573
【文献】仏国特許第1492597号
【文献】米国特許第4131576号
【文献】米国特許第3589578号
【文献】米国特許第4031307号
【文献】仏国特許第2162025号
【文献】仏国特許第2280361号
【文献】仏国特許第2252840号
【文献】仏国特許第2368508号
【文献】仏国特許第2080759号
【文献】仏国特許第2190406号
【文献】仏国特許第2320330号
【文献】仏国特許第2270846号
【文献】仏国特許第2316271号
【文献】仏国特許第2336434号
【文献】仏国特許第2413907号
【文献】米国特許第2273780号
【文献】米国特許第2375853号
【文献】米国特許第2388614号
【文献】米国特許第2454547号
【文献】米国特許第3206462号
【文献】米国特許第2261002号
【文献】米国特許第2271378号
【文献】米国特許第3874870号
【文献】米国特許第4001432号
【文献】米国特許第3929990号
【文献】米国特許第3966904号
【文献】米国特許第4005193号
【文献】米国特許第4025617号
【文献】米国特許第4025627号
【文献】米国特許第4025653号
【文献】米国特許第4026945号
【文献】米国特許第4027020号
【文献】米国特許第4874554号
【文献】米国特許第4137180号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Walter NOLL、「Chemistry and Technology of Silicones」、(1968年)、Academic Press
【文献】Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、透明で安定であり、ケラチン繊維に、滑らかさ、毛髪への指の通りやすさ、湿潤感覚、毛髪上の増粘性の低さ、及びボリュームダウン制御等の、改善されたコンディショニング及び管理可能な美容効果を付与できる、毛髪等のケラチン繊維のための組成物を提供することである。用語「ボリュームダウン」は、ケラチン繊維の広がりが低減又は制御され、したがってケラチン繊維のスタイルが良好に制御されうることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、
(a)組成物の総質量に対して20質量%以上の量の少なくとも1種のシリコーン油、
(b)水、及び
(c)組成物の総質量に対して10質量%以上の量の少なくとも1種のポリオール
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物であって、
(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比が3以下である、組成物により達成することができる。
【0009】
組成物中の(a)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下でありうる。
【0010】
(a)シリコーン油は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油若しくは少なくとも1種の不揮発性シリコーン油のいずれか、又は少なくとも1種の揮発性シリコーン油と少なくとも1種の不揮発性シリコーン油との双方を含んでもよい。
【0011】
(a)シリコーン油は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油と少なくとも1種の不揮発性シリコーン油との双方を含んでもよく、不揮発性シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
【0012】
揮発性シリコーン油は、環状シリコーンから選択されうる。
【0013】
不揮発性シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン及び有機変性されたポリジメチルシロキサンから選択されうる。
【0014】
有機変性されたポリジメチルシロキサンは、アモジメチコーンから選択されうる。
【0015】
組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲でありうる。
【0016】
(c)ポリオールは、グリセリン、エチレングリコール、ポリジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0017】
組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下でありうる。
【0018】
(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比は、0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上でありうる。
【0019】
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを更に含んでもよい。
【0020】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0021】
本発明による組成物は、リーブオンタイプであってもリーブオフタイプであってもよい。
【0022】
本発明はまた、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する工程を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、発明者らは、透明で安定であり、ケラチン繊維に、滑らかさ、毛髪への指の通りやすさ、湿潤感覚、毛髪上の増粘性の低さ、及びボリュームダウン制御等の、改善されたコンディショニング及び管理可能な美容効果を付与できる、毛髪等のケラチン繊維のための組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0024】
そのため、本発明は、
(a)組成物の総質量に対して20質量%以上の量の少なくとも1種のシリコーン油、
(b)水、及び
(c)組成物の総質量に対して10質量%以上の量の少なくとも1種のポリオール
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物であって、
(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比が3以下である、組成物に主に関する。
【0025】
本発明による組成物は、従来の毛髪用美容組成物と比べ、比較的高量のシリコーン油及びポリオールを含む。
【0026】
本発明による組成物は透明であり、本発明の透明な態様は経時的に安定であり、したがって本発明による組成物は、消費者にとって魅力的でありうる。
【0027】
本発明による組成物はまた、毛髪等のケラチン繊維に、滑らかさ(例えば、ケラチン繊維が濡れている場合でさえ滑らかな櫛通り、及びケラチン繊維が乾いているときの滑らかな触感)、ケラチン繊維が濡れている場合でさえケラチン繊維に指が通りやすいこと、ケラチン繊維が乾いている場合でさえ湿潤感覚があること、ケラチン繊維が乾いているときの毛髪上での粘着性の低さ(又は脂様ではない)、並びにボリュームダウン制御(したがって、それは、本発明による組成物の抗収縮特性に起因して、ケラチン繊維の形をスタイリングしやすい)等の、改善されたコンディショニング及び管理可能な美容効果も付与することができる。
【0028】
以下では、本発明を、詳細に説明する。
【0029】
[組成物]
本発明の一態様は、
(a)組成物の総質量に対して20質量%以上の量の少なくとも1種のシリコーン油、
(b)水、及び
(c)組成物の総質量に対して10質量%以上の量の少なくとも1種のポリオール
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物であって、
(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比が3以下である、組成物に関する。
【0030】
(シリコーン油)
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)シリコーン油を含む。単一のタイプのシリコーン油を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのシリコーン油を組み合わせて使用することもできる。
【0031】
本明細書では、「シリコーン油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体又はペースト状の形態にある、シリコーン化合物又はシリコーン物質を意味する。シリコーン油として、美容製品中で一般に使用されるものが、単独で又はそれらの組合せで使用されうる。
【0032】
シリコーン又はオルガノポリシロキサンは、例としては、Walter NOLLにより「Chemistry and Technology of Silicones」、(1968年)、Academic Pressで定義されている。シリコーン又はオルガノポリシロキサンは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0033】
そのため、(a)シリコーン油は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0034】
そのため、(a)シリコーン油は、少なくとも1種の揮発性シリコーン油若しくは少なくとも1種の不揮発性シリコーン油のいずれか、又は少なくとも1種の揮発性シリコーン油と少なくとも1種の不揮発性シリコーン油との双方を含んでもよい。
【0035】
揮発性又は不揮発性シリコーンは、任意選択で少なくとも1つの有機官能性の部分又は基で変性された、直鎖状、分枝状又は環状シリコーンから選択されうる。
【0036】
例えば、(a)シリコーン油は、ポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルトリメチコーン、ポリジアリールシロキサン;並びにポリ(オキシアルキレン)部分又は基、アミン又はアミド部分又は基、アルコキシ又はアルコキシアルキル部分又は基、ヒドロキシル又はヒドロキシル化部分又は基、アシルオキシ又はアシルオキシアルキル部分又は基、カルボン酸又はカルボキシレート部分又は基、ヒドロキシアシルアミノ部分又は基、アクリル部分又は基、ポリアミン又はポリアミド部分又は基、及びオキサゾリン部分から選ばれる少なくとも1つの有機官能性部分又は基を含む、有機変性されたポリシロキサンからなる群から選択されうる。
【0037】
(a)シリコーン油が揮発性である場合、(a)シリコーン油は、沸点が60℃~260℃の範囲のものから選ばれてよく、例えば以下である:
(i)3~7個の、例としては4~6個のケイ素原子を含むポリジアルキルシロキサン等の環状シリコーン。こうしたシロキサンの非限定的な例には、例としてはUNION CARBIDE社によりVOLATILE SILICONE(登録商標)7207の商品名で、及びRHODIA社によりSILBIONE(登録商標)70045 V2の商品名で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、UNION CARBIDE社によりVOLATILE SILICONE(登録商標)7158の商品名で、及びRHODIA社によりSILBIONE(登録商標)70045 V5で、信越化学工業株式会社によりKF-995で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びに例としてはDow Corning社によりXIAMETER(登録商標)PMX-246の商品名及びDC246 Fluidの商品名で市販されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン(INCI:シクロヘキサシロキサン)、並びにこれらの混合物が挙げられる。シクロメチコーンもまた使用されてもよく、例えばDOW CORNING社によりDC244、DC245、DC344、DC345及びDC246の参照名で市販されているものがある。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのタイプのシクロコポリマーもまた使用されてもよく、例えば式
【0038】
【化1】
【0039】
(式中、
D''は、
【0040】
【化2】
【0041】
であり、
D'は、
【0042】
【化3】
【0043】
である)
の、UNION CARBIDE社により市販されているSILICONE VOLATILE(登録商標)FZ 3109である。
ポリジアルキルシロキサン等の環状シリコーンの、ケイ素由来の有機化合物との組合せもまた使用されてもよく、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの(50/50)混合物、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンとの混合物、
並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含む直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。こうした化合物の非限定的な例は、例としてはTORAY SILICONE社により「SH-200」という商品名で市販されているデカメチルテトラシロキサンである。このクラスに属するシリコーンも、例えば、Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」に記載されている。
【0044】
(a)シリコーン油が揮発性である場合、(a)シリコーン油は、環状シリコーンから選ばれうる。
【0045】
一方、(a)シリコーン油は、上に説明したように、不揮発性シリコーン、例えばポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及び有機変性されたポリシロキサンから選ばれうる。
【0046】
一実施形態によれば、(a)シリコーン油は、不揮発性ポリジアルキルシロキサンから、例えば、ジメチコーンの商品名で知られる、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンから選ばれうる。
【0047】
こうしたポリジアルキルシロキサンに相当する市販製品の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
RHODIA社により市販されている、47及び70 047シリーズのSILBIONE(登録商標)液及びMIRASIL(登録商標)液、例えば70 047 fluid V 500 000、
RHODIAにより市販されているMIRASIL(登録商標)シリーズの液、
DOW CORNING社により市販されている200シリーズの液、例えば粘度が60,000mm2/sのDC200、
DOW CORNING社により市販されているXIAMETER(登録商標)PMX-200 SILICONE FLUID 60000CS、
GENERAL ELECTRIC社のVISCASIL(登録商標)液、及びGENERAL ELECTRIC社のSFシリーズの幾つかの液(例えばSF 96及びSF 18)、並びに
DOW CORNING社によりDC 1664の参照名で市販されている液。
【0048】
このクラスのポリジアルキルシロキサンに属する、GOLDSCHMIDT社により「ABIL Wax(登録商標)9800及び9801」の商品名で市販されている製品は、ポリジアルキル(C1~C20)シロキサンであり、これもまた使用されうる。
【0049】
ポリアルキルアリールシロキサンは、ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選ばれてもよい。
【0050】
こうしたポリアルキルアリールシロキサンの非限定的な例には、以下の商品名で市販されている製品が挙げられる:
RHODIA社からのSILBIONE(登録商標)液の70641シリーズ、RHODIA社からのRHODORSIL(登録商標)液の70 633シリーズ及び763シリーズ、
DOW CORNING社によりDOW CORNING 556 COSMETIC GRADE FLUIDの参照名で市販されているフェニルトリメチコーン液、
BAYER社からのPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
BAYER社からのPNシリーズ、PHシリーズのシリコーン、例えばPN1000製品及びPH1000製品、
並びに
GENERAL ELECTRIC社からの幾つかのSFシリーズの液、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0051】
本発明に従って使用されうる有機変性されたシリコーンとしては、先に定義され、その構造内に、直接結合された又は炭化水素基の手段により結合された少なくとも1つの有機官能性部分又は基を含むもの等のシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
有機変性されたシリコーンとしては、例えば以下を挙げることができる:
C6~C24アルキル部分を任意選択で含む、ポリエチレンオキシ部分及び/又はポリプロピレンオキシ部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばDOW CORNING社によりDC 1248の商品名及びDC Q2-5220の商品名で市販されているジメチコーンコポリオール、及びUNION CARBIDE社により市販されているSILWET(登録商標)L 722、L 7500、L 77及びL 711液、並びにDOW CORNING社によりXIAMETER(登録商標)OFX-0193 FLUIDの商品名で市販されているPEG-12ジメチコーン、並びにDOW CORNING社によりQ2 5200の商品名で市販されている(C12)アルキル-メチコーンコポリオールと呼ばれる製品等;
任意選択で置換されているアミン部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばGENESEE社によりGP4 Silicone Fluid及びGP 7100の商品名で市販されている製品、並びにDOW CORNING社によりQ2 8220、DOW CORNING 929及び939の商品名で市販されている製品。置換されているアミン部分は、例えば、アミノC1~C4アルキル部分から選ばれうる。アミノシリコーン又はアモジメチコーンは、WACKER BELSIL ADM LOG1製品に相当するもの等の追加のC1~C4アルコキシ官能基を有してもよい。
アミノシリコーン又はアモジメチコーンは、好ましくはその分子鎖の末端に、少なくとも1つの、好ましくは2つの、付加的なアルキル基、例えばC12~C20、好ましくはC14~C18、より好ましくはC16~C18アルキル基を有していてもよく、例えばMomentive Performance Materials社により「Silsoft Ax」の商品名で市販されているビス-セテアリールアモジメチコーンであり;
アルコキシル化部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばSWS SILICONES社により「SILICONE COPOLYMER F-755」の商品名で、及びGOLDSCHMIDT社によりABIL WAX(登録商標)2428、2434及び2440の商品名で市販されている製品;
ヒドロキシル化部分を含むポリオルガノシロキサン、例としては、仏国特許出願公開A-8516334に記載されている、ヒドロキシアルキル官能基を有するポリオルガノシロキサン;
アシルオキシアルキル部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、米国特許第4957732号に記載されているポリオルガノシロキサン;
カルボン酸タイプのアニオン性部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばチッソ株式会社により市販されている、欧州特許第0186507号に記載されている製品、並びにカルボキシルアルキルのアニオン性部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば信越化学工業株式会社により市販されているX-22-3701E製品中に存在するもの;
スルホン酸2-ヒドロキシアルキルを含むポリオルガノシロキサン;及びチオ硫酸2-ヒドロキシアルキルを含むポリオルガノシロキサン、例えばGOLDSCHMIDT社により「ABIL(登録商標)S201」及び「ABIL(登録商標)S255」の商品名で市販されている製品;
ヒドロキシアシルアミノ部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば欧州特許出願第0342834号に記載されているポリオルガノシロキサン。相当する市販製品の非限定的な例は、DOW CORNING社により市販されているQ2-8413の製品である;
アクリル部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば3M社によりVS80及びVS70の名称で市販されている製品、並びに
ポリアミン部分を含むポリオルガノシロキサン、及び
オキサゾリン部分
【0053】
【化4】
【0054】
を含むポリオルガノシロキサン。
【0055】
本発明に従って使用されてもよいシリコーンは、1つ又は2つのオキサゾリン基、例えばポリ(2-メチルオキサゾリン-b-ジメチルシロキサン-b-2-メチルオキサゾリン)及びポリ(2-エチル-2-オキサゾリン-ジメチルシロキサン)を含んでもよい。花王株式会社によりOX-40、OS-51、OS-96及びOS-88の参照名で市販されている製品もまた使用されうる。
【0056】
ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンも使用されてもよく、例えばジメチコノール(CTFA)の商品名で販売されているもの、例えばRHODIA社により市販されている48シリーズの液がある。
【0057】
(a)シリコーン油が不揮発性である場合、(a)シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン及び有機変性されたポリジメチルシロキサンから選ばれうる。有機変性されたポリジメチルシロキサンは、アモジメチコーンから選択されうる。ポリジメチルシロキサン又は有機変性されたポリジメチルシロキサンの粘度は、1,000,000cst~20,000,000cstでありうる。
【0058】
(a)シリコーン油が、揮発性又は不揮発性のシリコーン油から、例えば室温で液状又はペースト状である直鎖状又は環式シリコーン鎖を有する揮発性又は不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)から、具体的にはシクロペンタシロキサン及びシクロヘキサシロキサン等のシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン);ペンダントである及び/又はシリコーン鎖の末端にある、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を有するポリジメチルシロキサン(これらの基は、1~24個の炭素原子を有する);フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、シロキシケイ酸2-フェニルエチルトリメチル、及びポリメチルフェニルシロキサン等のフェニルシリコーン;並びにジメチコノール、ジメチコーンコポリオール(例えばPEG-12ジメチコーン)及びアモジメチコーン(例えばビス-セテアリールアモジメチコーン)等の有機変性されたシリコーンから選択されることが好ましい。
【0059】
(a)シリコーン油として、少なくとも1種の揮発性シリコーンと少なくとも1種の不揮発性シリコーンとの組合せを使用することが可能である。こうした組合せの非限定的な例には、シクロペンタシロキサンとジメチコノールとの混合物が挙げられ、例としてはDow Corning社によりXiameter PMX-1501 Fluidの商品名で市販されている。
【0060】
本発明による組成物中の(a)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは23質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。
【0061】
一方、本発明による組成物中の(a)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下でありうる。
【0062】
したがって、本発明による組成物中の(a)シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、20質量%~50質量%、好ましくは23質量%~40質量%、より好ましくは25質量%~35質量%の範囲でありうる。
【0063】
(a)シリコーン油が少なくとも1種の揮発性シリコーン油と少なくとも1種の不揮発性シリコーン油との双方を含む場合、不揮発性シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
【0064】
(水)
本発明による組成物は、(b)水を含む。
【0065】
本発明による組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上でありうる。
【0066】
本発明による組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下でありうる。
【0067】
そのため、本発明による組成物中の(b)水の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%から35質量%、より好ましくは10質量%から30質量%の範囲でありうる。
【0068】
(ポリオール)
本発明の組成物は、(c)少なくとも1種のポリオールを含む。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用することもできる。
【0069】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、並びに糖類又は糖アルコールであって、それらの1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖類又は糖アルコールが挙げられる。
【0070】
(c)ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含むC2~12ポリオール、好ましくはC2~9ポリオールであってもよい。
【0071】
(c)ポリオールは、天然の又は合成のポリオールであってもよい。(c)ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有していてもよい。
【0072】
(c)ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択されうる。
【0073】
(c)ポリオールが、3個以上の炭素原子を有し、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0074】
(c)ポリオールが、1.4以上の屈折率を有することが、より好ましい。
【0075】
ポリオールは、以下の式(I):
Z-{O(AO)l(EO)m-(BO)n}Ha (I)
[式中、
Zは、3~9のヒドロキシル基を有する化合物からヒドロキシル基を除去することによって得られる残基を示し、
AOは、3~4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基を示し、
EOは、オキシエチレン基を示し、
BOは、4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基を示し、
aは、3~9を示し、
l、m及びnは、それぞれ、AO、EO及びBOの平均付加モル数を示し、1≦l≦50、1≦m≦50及び0.5≦n≦5であり、
AOの、EOに対する質量比(AO/EO)は、1/5~5/1の範囲であり、
AO及びEOは、ランダムに又はブロックの形態で付加されていてもよい]
によって表されるオキシド誘導体でありうる。
【0076】
前述のアルキレンオキシド誘導体は、その単一のタイプであってもよく、その複数のタイプの混合物であってもよい。
【0077】
式(I)によって表されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、3~9個のヒドロキシル基を有する化合物からヒドロキシル基を除去することによって得られる残基を示し、aは、化合物のヒドロキシル基の数を示し、3~9である。3~9個のヒドロキシル基を有する化合物の例として、例えば、a=3の場合、グリセリン、及びトリメチロールプロパン;a=4の場合、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、アルキルグリコシド、及びジグリセリン;a=5の場合、キシリトール;a=6の場合、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、及びイノシトール;a=8の場合、スクロース、及びトレハロース;a=9の場合、マルチトール;それらの混合物等を挙げることができる。好ましくは、Zは、3~6個のヒドロキシル基を有する化合物からヒドロキシル基を除去することによって得られる残基を示し、aは、3≦a≦6を満たす。3~9個のヒドロキシル基を有する化合物として、グリセリン又はトリメチロールプロパンが好ましく、特に、グリセリンが好ましい。a≦2の場合、脂肪及び油等の油成分との難相溶性が示され、油ベースの製剤中でのブレンディング安定性が損なわれる傾向がある。10≦aの場合、粘着性が生じうる。
【0078】
AOは、3~4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基を示す。その例として、例えば、オキシプロピレン基、オキシブチレン基(オキシ-n-ブチレン基、オキシイソブチレン基、又はオキシ-t-ブチレン基)、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基等を挙げることができる。オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が好ましく、オキシプロピレン基がより好ましい。
【0079】
lは、AOの平均付加モル数を示し、1≦l≦50、好ましくは2≦l≦20を満たす。mは、EOの平均付加モル数を示し、1≦m≦50、好ましくは2≦m≦20を満たす。lが0であれば、粘着性が生じうる。一方、lが50を超えれば、湿潤効果が減少しうる。加えて、mが0であれば、湿潤効果が減少しうる。一方、mが50を超えれば、粘着性が生じうる。
【0080】
AOのEOに対する質量比(AO/EO)は、1/5~5/1の範囲であり、好ましくは、1/4~4/1の範囲である。AO/EOが1/5未満であれば、粘着性が生じうる。一方、AO/EOが5/1を超えれば、湿潤感覚が減少しうる。AO及びEOの付加の順序は、特に指定されない。AO及びEOは、ランダムに又はブロックの形態で付加されうる。皮膚の粗さを予防する優れた効果を得るためには、AO及びEOがランダムに付加されることが好ましい。
【0081】
BOは、4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基を示す。その例として、例えば、オキシブチレン基(オキシ-n-ブチレン基、オキシ-イソブチレン基、又はオキシ-t-ブチレン基)、オキシテトラメチレン基等を挙げることができる。オキシブチレン基が好ましい。
【0082】
nは、BOの平均付加モル数を示し、0.5<n≦5、好ましくは0.8≦n≦3、より好ましくは1≦n≦3を満たす。nが0.5未満であれば、粘着性が生じうる。一方、nが5を超えれば、湿潤効果が減少しうる。式(I)において、(BO)nが末端の水素原子に結合することが必要である。
【0083】
式(I)によって表されるアルキレンオキシド誘導体は、既知の方法によって生成することができる。例えば、式(I)によって表されるアルキレンオキシド誘導体は、エチレンオキシド及び3~4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを3~9個のヒドロキシル基を有する化合物に付加重合すること、及び続いて、4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドと反応させることによって得ることができる。エチレンオキシド及び3~4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを3~9個のヒドロキシル基を有する化合物に付加重合するとき、エチレンオキシド及びアルキレンオキシドは、ランダムに又はブロックの形態で重合させることができる。
【0084】
式(I)によって表されるアルキレンオキシド誘導体のうち、前述のアルキレンオキシド誘導体の好ましい例には、例えば、以下に示す式(II)
Gly-[O(PO)s(EO)t-(BO)uH]3 (II)
[式中、
Glyは、グリセリンからヒドロキシル基を除去することによって得られる残基を示し、
POは、オキシプロピレン基を示し、
EOは、オキシエチレン基を示し、
s及びtは、それぞれ、PO及びEOの平均付加モル数を示し、1~50の範囲の値を有し、
POのEOに対する質量比(PO/EO)は、1/5~5/1の範囲であり、
BOは、4個の炭素原子を有するオキシアルキレン基を示し、
uは、BOの平均付加モル数を示し、0.5~5の範囲である]
によって表されるアルキレンオキシド誘導体(ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセロール)が挙げられる。
【0085】
式(II)によって表される前述のアルキレンオキシド誘導体は、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのそれぞれのグリセリンに対する3~150モル当量の比で、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドをグリセリンに付加すること、及び続いて、グリセリンに対するその1.5~15モル当量の比で、4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを付加することによって得られうる。
【0086】
前述のアルキレンオキシドをグリセリンに付加する場合、付加反応は、アルカリ触媒、相間移動触媒、ルイス酸触媒等を用いて行われる。一般に、水酸化カリウム等のアルカリ触媒が好ましくは用いられる。
【0087】
式(I)によって表されるアルキレンオキシド誘導体のうち、より好ましい誘導体は、6~10molのエチレンオキシド及び3~7molのプロピレンオキシドをグリセリンに付加すること、及び続いて、2~4molのブチレンオキシドを付加することによって得られる。
【0088】
式(I)によって表されるアルキレンオキシド誘導体のうち、更により好ましい誘導体は、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセロールであり、これは、8molのエチレンオキシド及び5molのプロピレンオキシドをグリセリンに付加すること、及び続いて、3molのブチレンオキシドを付加することによって得られ、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンのINCI名を有する。PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリンは、NOF Corporation社からWILBRIDE S-753の商品名で市販されている。
【0089】
本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下でありうる。
【0090】
一方、本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。
【0091】
したがって、本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは20質量%~45質量%、より好ましくは30質量%~40質量%の範囲でありうる。
【0092】
本発明によれば、(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比は、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下、更により好ましくは0.8以下である。
【0093】
一方、(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比は、0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更により好ましくは0.4以上でありうる。
【0094】
したがって、(b)水の量/(c)ポリオールの量の質量比は、0.1~3、好ましくは0.2~2、より好ましくは0.3~1、更により好ましくは0.4~0.8でありうる。
【0095】
(カチオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含んでもよい。単一の種類のカチオン性ポリマーを使用してもよいが、2種以上の異なる種類のカチオン性ポリマーを組み合わせて使用することもできる。
【0096】
本発明の目的では、用語「カチオン性ポリマー」は、カチオン性基、及び/又はカチオン性基へとイオン化されうる基を含有する、任意のポリマーを示すことに留意されたい。
【0097】
こうしたポリマーは、それ自体が毛髪の美容特性を改善すると既に知られているものから、即ち詳細には特許出願EP-A-337354に、並びに仏国特許第2270846号、第2383660号、第2598611号、第2470596号及び第2519863号に記載されているものから選択されうる。
【0098】
好ましいカチオン性ポリマーは、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基を含む単位を含有するものから選ばれ、このアミン基は、ポリマー主鎖の一部を形成するものであっても、ポリマー主鎖に直接結合している側鎖置換基により保持されているものであっても、いずれでもよい。
【0099】
使用されるカチオン性ポリマーは、数平均分子量が、一般に、およそ500からおよそ5×106の間、好ましくはおよそ103からおよそ3×106の間である。
【0100】
より詳細に挙げることができるカチオン性ポリマーの中には、ポリアミン型、ポリアミノアミド型及びポリ第四級アンモニウム型のポリマーがある。
【0101】
これらは、既知の製品である。それらのポリマーは、詳細には仏国特許第2505348号及び第2542997号に記載されている。前記ポリマーの中で挙げることができるのは、以下である。
【0102】
(1)アクリルの又はメタクリルのエステル又はアミドから誘導され、下式(I)、(II)、(III)又は(IV):
【0103】
【化5】
【0104】
(式中、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はCH3基を示し、
Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、好ましくは2個若しくは3個の炭素原子の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、又は1~4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含有するアルキル基、又はベンジル基、及び好ましくは1~6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素又は1~6個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し、
Xは、無機酸若しくは有機酸から誘導されたアニオン、例えばメト硫酸アニオン、又は塩化物イオン若しくは臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示す)
の単位のうちの少なくとも1つを含むホモポリマー又はコポリマー
【0105】
系統群(1)のポリマーはまた、コモノマーから誘導される1つ又は複数の単位を有することもでき、こうしたコモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素上にて低級(C1~C4)アルキルで置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらのエステル、ビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム等のビニルラクタム、並びにビニルエステルの系統群から選ばれうる。
【0106】
そのため、系統群(1)のこれらのポリマーの中で挙げることができるのは以下である:
- アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで第四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、例えばHercules社によりHercoflocの名称で販売されている製品、
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば特許出願EP-A-080976に記載され、BASF社によりBina Quat P 100の名称で販売されているもの、
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマーで、Hercules社によりRetenの名称で販売されているもの、
- 四級化又は非四級化ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、例えばISP社により「Gafquat」の名称で販売されている製品、例としては「Gafquat 734」若しくは「Gafquat 755」、或いは「Copolymer 845、958及び937」として知られる製品。これらのポリマーは、仏国特許第2077143号及び仏国特許第2393573号に詳説されている、
- ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンのターポリマー、例えばISP社によりGaffix VC 713の名称で販売されている製品、並びに
- ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンのコポリマーで、具体的にはISP社によりStyleze CC 10の名称で販売されているもの、及び第四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのコポリマー、例えばISP社により「Gafquat HS 100」の名称で販売されている製品。
【0107】
(2)第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体で、仏国特許第1492597号に記載され、具体的にはAmerchol社により「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)、又は「LR」(LR 400、LR 30M)の名称で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典で、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロース第四級アンモニウムとしても定義されている。
【0108】
(3)水溶性の第四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロース又はセルロース誘導体のコポリマー等のカチオン性セルロース誘導体で、詳細には米国特許第4131576号に記載されているもの、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例としては特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロース。
【0109】
この定義に相当する市販製品は、より具体的には、Akzo Nobel社によりCelquat L 200及びCelquat H 100の名称で販売されている製品である。
【0110】
(4)カチオン性グアーガム、より詳細には米国特許第3589578号及び第4031307号に記載されているもの、例えばカチオン性のトリアルキルアンモニウム基を含有するグアーガム。使用されるのは、例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩(例えば塩化物)で修飾されたグアーガムである。挙げることができるのは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、例えば特にSolvay社によりJaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17及びJaguar C162の商品名で販売されているものである。
【0111】
(5)ピペラジニル単位と、二価のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基(直鎖又は分枝鎖を含有し、任意選択で酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子に、又は芳香族環若しくは複素環に、割り込まれている)とからなるポリマー、更にはこれらのポリマーを酸化及び/又は第四級化させた製品。こうしたポリマーは、詳細には仏国特許第2162025号及び第2280361号に記載されている。
【0112】
(6)特に、酸性化合物をポリアミンと重縮合させて調製される、水に可溶なポリアミノアミド;これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、不飽和二無水物、ビス-不飽和誘導体、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-ハロゲン化アルキルで、或いはビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-ハロゲン化アルキル、エピハロヒドリン、ジエポキシド又はビス-不飽和誘導体と反応性のある二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーで架橋結合させることが可能であり;架橋結合剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の割合で使用され;これらのポリアミノアミドはアルキル化することができ、又はそれらが1つ又は複数の第三級アミン官能基を含有する場合は、それらは第四級化されうる。こうしたポリマーは、詳細には仏国特許第2252840号及び第2368508号に記載されている。
【0113】
(7)アルキルジアリルアミンの、又はジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマーで、例えば鎖の主要な構成要素として式(V)又は(VI):
【0114】
【化6】
【0115】
[式中、
k及びtは、0又は1に等しく、和k+tは1に等しく、
R9は、水素原子又はメチル基を示し、
R7及びR8は、互いに独立に、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1~5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、低級(C1~C4)アミドアルキル基を示し、又はR7及びR8は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジル若しくはモルホリニル等の複素環基を示すことができ;R7及びR8は、互いに独立に、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を好ましくは示し、
Y-は、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン又はリン酸イオン等のアニオンである]
に相当する単位を含有するホモポリマー又はコポリマー。これらのポリマーは、詳細には仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
【0116】
上で定義したポリマーの中でより特に挙げることができるのは、Nalco社により「Merquat 100」の名称で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(及び質量平均分子量の低い、その同族体)、並びに「Merquat 550」の名称で販売されている、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーである。
【0117】
(8)式:
【0118】
【化7】
【0119】
[式(VII)中、
R10、R11、R12及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含有する脂肪族基、脂環式基若しくはアリール脂肪族基、又は低級ヒドロキシアルキル脂肪族基を表し、或いはR10、R11、R12及びR13は、一緒に又は別々に、それらが結合している窒素原子と共に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含有する複素環を構成し、或いはR10、R11、R12及びR13は、ニトリル、エステル、アシル若しくはアミドの各基、又は-CO-O-R14-D若しくは-CO-NH-R14-D(式中、R14はアルキレン基であり、Dは第四級アンモニウム基である)の各基で置換されている直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基を表し、
A1及びB1は、2~20個の炭素原子を含有するポリメチレン基を表し、これは、直鎖又は分枝状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよく、これは、主鎖に結合した若しくは挿入された1つ若しくは複数の芳香族環、又は1つ若しくは複数の酸素原子若しくは硫黄原子、又はスルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、第四級アンモニウム、ウレイド、アミド若しくはエステルの各基を含有してもよく、
X-は、無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンを示し、
A1、R10及びR12は、それらに結合している2個の窒素原子と共に、ピペラジン環を形成することができ;加えて、A1が、直鎖又は分枝状の、飽和又は不飽和の、アルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を表す場合、B1は、-(CH2)n-CO-D-OC-(CH2)n-基
{式中、Dは、
i)式-O-Z-O-(式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基、又は以下の式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-;及び-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、定義された固有の重合度を表す1~4の整数、又は平均重合度を表す1~4の任意の数を示す)
のうちの1つに相当する基を示す)
のグリコール残基、
ii)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
iii)式-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖状若しくは分枝状の炭化水素系基、或いは二価の基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-を表す)のビス-第一級ジアミン残基、又は
iv)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
を表す}
を表す]
に相当する繰り返しの単位を含有する第四級ジアンモニウムポリマー
【0120】
好ましくは、X-は、塩化物イオン又は臭化物イオン等のアニオンである。
【0121】
これらのポリマーは、一般に、数平均分子量が1,000から100,000の間である。
【0122】
この種類のポリマーは、詳細には、仏国特許第2320330号、第2270846号、第2316271号、第2336434号及び第2413907号、並びに米国特許第2273780号、第2375853号、第2388614号、第2454547号、第3206462号、第2261002号、第2271378号、第3874870号、第4001432号、第3929990号、第3966904号、第4005193号、第4025617号、第4025627号、第4025653号、第4026945号及び第4027020号に記載されている。
【0123】
次式(VIII):
【0124】
【化8】
【0125】
(式中、
R10、R11、R12及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、およそ1~4個の炭素原子を含有するアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、
n及びpは、およそ2~20の範囲の整数であり、
X-は、鉱酸又は有機酸から誘導されるアニオンである)
に相当する繰り返し単位からなるポリマーを使用することが、より特に可能である。
【0126】
1つの特に好ましい式(VIII)の化合物は、R10、R11、R12及びR13がメチル基を表し、n=3、p=6及びX=Clの化合物であり、この化合物は、INCI(CTFA)命名法に従ってヘキサジメスリンクロリドと呼ばれる。
【0127】
(9)Cognis社により販売されているPolyquart H等のポリアミンで、これは、CTFA辞典では参照名「ポリエチレングリコール(15)獣脂ポリアミン」が付されている。
【0128】
(10)架橋されたメタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩のポリマー、例えば、塩化メチルで第四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートを単独重合することによって、又はアクリルアミドを、塩化メチルで第四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートと共重合し、単独重合又は共重合の後に、オレフィン性不飽和、具体的にはメチレンビスアクリルアミドを含有する化合物と架橋結合することによって得られるポリマー。より具体的には、架橋アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(質量比20/80)の、前記コポリマーの50質量%で鉱油中に含有する分散体の形態にあるものが使用されうる。この分散体は、BASF社により「Salcare(登録商標)SC 92」の名称で販売されている。鉱油又は液体エステル中に、架橋されたメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマーを、該ホモポリマーの約50質量%含有するものもまた使用されうる。これらの分散体は、Allied Colloids社により「Salcare(登録商標)SC 95」及び「Salcare(登録商標)SC 96」の名称で販売されている。
【0129】
(11)本発明に関する場合に使用されうる他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミン、具体的にはポリエチレンイミン;ビニルピリジン単位又はビニルピリジニウム単位を含有するポリマー;ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン及びキチン誘導体である。
【0130】
カチオン性ポリマーが、ポリクオタニウムポリマー又は重合性第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
【0131】
重合性第四級アンモニウム塩は、少なくとも1個の第四級化された窒素原子を含むカチオン性ポリマーである。重合性第四級アンモニウム塩として具体的に挙げることができるのは、主として泡の質及び使用後の皮膚の感触、特に使用後の皮膚の感触に寄与するポリクオタニウム製品(CTFA名)である。これらのポリマーは、好ましくは以下のポリマーから選ばれうる:
ポリクオタニウム-5、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 5;
ポリクオタニウム-6、例えばBASF社により販売されている製品Salcare SC 30、及びNalco社により販売されている製品Merquat 100;
ポリクオタニウム-7、例えばNalco社により販売されている製品Merquat S、Merquat 2200、Merquat 7SPR及びMerquat 550、並びにBASF社により販売されている製品Salcare SC 10;
ポリクオタニウム-10、例えばAmerchol社により販売されている製品Polymer JR400;
ポリクオタニウム-11、例えばISP社により販売されている製品Gafquat 755、Gafquat 755N及びGafquat 734;
ポリクオタニウム-15、例えばRohm社により販売されている製品Rohagit KF 720 F;
ポリクオタニウム-16、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat FC905、Luviquat FC370、Luviquat HM552及びLuviquat FC550;
ポリクオタニウム-22、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 295;
ポリクオタニウム-28、例えばISP社により販売されている製品Styleze CC10;
ポリクオタニウム-44、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Care;
ポリクオタニウム-46、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Hold;
ポリクオタニウム-47、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 2001。
【0132】
好ましくは、(d)カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47、及びこれらの混合物から選ばれてよい。
【0133】
(d)カチオン性ポリマーの量は、本発明による組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよく、但し、(d)カチオン性ポリマーの量は、0ではないことを条件とする。(d)カチオン性ポリマーの量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0134】
本発明による組成物は、(d)カチオン性ポリマーを、組成物の総質量に対して、0.01~20質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは1~5質量%の量で含有してもよい。
【0135】
(カチオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでもよい。単一のタイプのカチオン性界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0136】
(e)カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化された、第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0137】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:
以下の一般式(V)のもの:
【0138】
【化9】
【0139】
[式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1~30個の炭素原子を含んで酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を任意選択で含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選ばれる。脂肪族基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、C2~C6ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル基、(C12~C22)アルキルアセテート基及びヒドロキシアルキル基;並びに芳香族基、例えばアリール基及びアルキルアリール基から選ばれてもよく;X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2~C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキルスルホン酸イオン又はアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される];
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例としては以下の式(VI)のもの:
【0140】
【化10】
【0141】
(式中、
R5は、8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば獣脂又はココナツの脂肪酸誘導体から選ばれ、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、及び8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選ばれ、
R7は、C1~C4アルキル基から選ばれ、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選ばれ、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選ばれる。一実施形態では、R5及びR6は、例えば、獣脂の脂肪酸誘導体等の、12~21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選ばれる基の混合物であり、R7はメチルであり、R8は水素である)
このような製品の例には、Witco社により「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGの名称で販売されているクオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年)が挙げられるが、これらに限定されない;
式(VII)のジ四級アンモニウム塩:
【0142】
【化11】
【0143】
(式中、
R9は、16~30個の炭素原子を含む脂肪族基から選ばれ、
R10、R11、R12、R13及びR14は、同一であっても異なっていてもよく、水素及び1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチルスルホン酸イオン及びメチルスルホン酸イオンから選ばれる)
こうしたジ四級アンモニウム塩の一例は、プロパンタロウジアンモニウムジクロリドである);並びに
少なくとも1つのエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば以下の式(VIII)のもの:
【0144】
【化12】
【0145】
(式中、
R15は、C1~C6アルキル基、並びにC1~C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選ばれ、
R16は、
以下の基、
【0146】
【化13】
【0147】
直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C22炭化水素系基R20、並びに水素から選ばれ、
R18は、
以下の基、
【0148】
【化14】
【0149】
直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C6炭化水素系基R22、並びに水素から選ばれ、
R17、R19及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC7~C21炭化水素系基から選ばれ、
r、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数から選ばれ、
yは、1~10の範囲の整数から選ばれ、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲の整数から選ばれ、
X-は、単体及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選ばれ;但しx+y+zの和は1~15の範囲であり、但しxが0であるときR16はR20を示し、但しzが0であるときR18はR22を表す。R15は、直鎖状及び分枝状アルキル基から選ぶことができる。一実施形態では、R15は、直鎖状アルキル基から選ぶことができる。別の実施形態では、R15は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基及びジヒドロキシプロピル基から選ばれ、例えばメチル基及びエチル基から選ばれる。一実施形態では、x+y+zの和は、1~10の範囲である。R16が炭化水素系基R20であるとき、これは長鎖であって12~22個の炭素原子を含んでもよく、又は短鎖であって1~3個の炭素原子を含んでもよい。R18が炭化水素系基R22であるとき、それは、例えば1~3個の炭素原子を含んでいてもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R17、R19及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21炭化水素系基から選ばれ、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21アルキル基及びアルケニル基から選ばれる。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは1に等しい。別の実施形態では、r、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば、2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン;並びにC1~C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選ばれうる。しかし、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオンと、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合性のある任意の他のアニオンが、本発明に従って使用されてもよいアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選ばれる)。
【0150】
別の実施形態では、式(VIII)のアンモニウム塩が使用されてもよく、
式中、
R15は、メチル基及びエチル基から選ばれ、
x及びyは、1に等しく、
zは、0又は1に等しく、
r、n及びpは、2に等しく、
R16は、
以下の基、
【0151】
【化15】
【0152】
メチル基、エチル基、及びC14~C22炭化水素系基、
水素から選ばれ、
R18は、
以下の基、
【0153】
【化16】
【0154】
水素から選ばれ、
R17、R19及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17炭化水素系基から選ばれ、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17アルキル基及びアルケニル基から選ばれる。
【0155】
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
【0156】
挙げることができる式(VIII)の化合物の非限定的な例には、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウムの、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムの、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの塩、例えば、塩化物及びメチル硫酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、アシル基は、14~18個の炭素原子を含んでもよく、例えば植物油、例としてはパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物が幾つかのアシル基を含むとき、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0157】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化された、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に、若しくは植物若しくは動物由来の脂肪酸の混合物に直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えば、ハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選ばれる。
【0158】
こうした化合物は、例えば、Cognis社によりDehyquart(登録商標)の名称で、Stepan社によりStepanquat(登録商標)の名称で、Ceca社によりNoxamium(登録商標)の名称で、またRewo-Goldschmidt社により「Rewoquat(登録商標)WE 18」の名称で販売されている。
【0159】
本発明による組成物は、例えば、第四級アンモニウムモノ-、ジ-及びトリエステル塩の、重量の大部分のジエステル塩との混合物を含むことができる。
【0160】
本発明による組成物中で使用されてもよいアンモニウム塩の混合物の非限定的な例は、15質量%~30質量%のアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムメチルスルフェート、45質量%~60質量%のジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムメチルスルフェート、15質量%~30質量%のトリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムメチルスルフェートを含むものであり、これらの全ての化合物のアシル基は、14~18個の炭素原子を含み、任意選択で部分的に水素化されたパーム油に由来する。
【0161】
本発明による組成物中で使用されてもよいアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4874554号及び同第4137180号に記載されている、少なくとも1個のエステル官能基を含むアンモニウム塩が挙げられる。
【0162】
本発明による組成物中で使用されてもよい上記の第四級アンモニウム塩のうち、これらに限定されないが、式(V)に対応するもの、例えば、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例としては、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(ここでアルキル基は約12~22個の炭素原子を含む)、例えばベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド;パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;並びにVan Dyk社により「Ceraphyl(登録商標)70」の名称で販売されているステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムクロリドが挙げられる。
【0163】
一実施形態によれば、本発明の組成物中で使用されてもよい少なくとも1種のカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩から選ばれ、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(セトリモニウムクロリド)、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選ばれる。
【0164】
(e)カチオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよく、但し、(e)カチオン性界面活性剤の量は、0ではないことを条件とする。(e)カチオン性界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0165】
本発明による組成物は、(e)カチオン性界面活性剤を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の量で含有してもよい。
【0166】
(他の成分)
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分も含んでもよい。
【0167】
任意選択の又は追加の成分は、アニオン性、非イオン性又は両性ポリマー;アニオン性、非イオン性又は両性界面活性剤;有機又は無機UV遮蔽剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;脱毛に有効な薬剤;ふけ防止剤;天然又は合成の水用又は油用増粘剤;懸濁剤;金属イオン封鎖剤;染料;日焼け止め剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、共保存剤、安定剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0168】
任意選択の又は追加の成分の量は、限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%でありうる。
【0169】
[調製]
本発明による組成物は、上に説明した必須成分と、上に説明した任意選択の成分(必要な場合)とを混合することにより調製することができる。
【0170】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合するための方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段が、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明による組成物を調製するために、使用されうる。
【0171】
[形態]
本発明による組成物は、リーブオンタイプであってもリーブオフタイプであってもよく、好ましくはリーブオフタイプである。
【0172】
[方法]
本発明による組成物は、美容組成物として好ましくは使用されうる。美容組成物は、ケラチン繊維を処置するために使用されうる。ケラチン繊維は、毛髪、まつ毛、眉毛等でありうる。
【0173】
具体的には、本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維上への適用が意図されうる。そのため、本発明による組成物は、ケラチン繊維のための美容方法のために使用されうる。
【0174】
本発明はまた、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する工程を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための方法に関する。
【0175】
本発明による組成物が適用されたケラチン繊維は、ケラチン繊維を処置するのに必要とされる適切な時間の間、放置されうる。各処置のための時間の長さは限定されないが、1分~10分、好ましくは1分~5分、より好ましくは1分~3分でありうる。そのため、例えば、本発明による処置のための総時間は、3~30分、好ましくは3~15分、より好ましくは3~10分でありうる。
【0176】
ケラチン繊維は、室温で処置されてもよい。或いは、ケラチン繊維は、本発明による組成物をケラチン繊維上に適用する工程の前に及び/又は間に及び/又は後に、15℃~45℃、好ましくは20℃~40℃、より好ましくは25℃~35℃、更により好ましくは27℃~35℃で加熱されうる。
【0177】
本発明による組成物が適用されたケラチン繊維は、濯がれても濯がれなくてもよい。
【0178】
本発明による方法、好ましくは美容方法は、毛髪等のケラチン繊維に、滑らかさ(例えば、ケラチン繊維が濡れている場合でさえ滑らかな櫛通り、及びケラチン繊維が乾いているときの滑らかな触感)、ケラチン繊維が濡れている場合でさえケラチン繊維に指が通りやすいこと、ケラチン繊維が乾いている場合でさえ湿潤感覚があること、ケラチン繊維が乾いているときの毛髪上での粘着性の低さ(又は脂様ではない)、並びにボリュームダウン制御(したがって、それは、本発明による組成物の抗収縮特性に起因して、ケラチン繊維の形をスタイリングしやすい)等の、改善されたコンディショニング及び管理可能な美容効果を付与することができる。用語「ボリュームダウン」は、ケラチン繊維の広がりが減少され又は制御され、したがってケラチン繊維のスタイルが良好に制御されうることを意味する。
【0179】
具体的には、本発明による方法は、毛髪等のケラチン繊維に、より高いレベルの滑らかさ、湿潤性、ボリューム制御等、並びに過剰な脂様ではない、粘着性の低さを付与することができる。
【実施例
【0180】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかし、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈されるべきではない。
【0181】
(実施例1及び比較例1~6)
[調製]
実施例1及び比較例1~6による毛髪用組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0182】
【表1A】
【0183】
【表1B】
【0184】
[評価]
(外観)
実施例1及び比較例1~6による組成物を調製した直後に、各組成物の外観を室温にて目視で観察し、以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中の「室温での外観」の列に示す。
良好:透明
不良:半透明
きわめて不良:不透明
【0185】
(安定性)
実施例1及び比較例1~6による組成物を調製した24時間後に、各組成物の外観を室温にて目視で観察し、以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中の「室温での24時間後の安定性」の列に示す。
良好:安定(分離なし)
不良:不安定(分離あり)
【0186】
(濡れた状態での櫛通り)
実施例1による組成物と比較例1~6による組成物とのそれぞれの同量を適用しておいた濡れている毛束(1g、27cm)を、コーミング機械(Dia-Stron Limited UK社によるDiastron MTT 175)上に置き、センサーを備えた櫛を毛髪繊維中に入れた。毛束を根元から先端まで動かして毛梳きを実施し、摩擦力を測定した。測定を、濡れた毛束1つ当たり3回実施した。同じ操作を、他の2つの濡れた毛束について繰り返した。総計で、3つの毛束について測定を実施した。最大力を、各毛束の測定データから選択した。3つの最大力の平均値を算出し、以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中の「濡れコーミング力」の列に示す。
良好:≦0.12
不良:>0.12
【0187】
§適用のプロトコル
毛束を、適用前にシャンプーした。毛束をホットプレート(30℃)上に置き、次いで組成物を毛束上に適用し、流水下で濯ぎ落とした。
【0188】
(ボリュームの変化)
実施例1による組成物と比較例1~6による組成物とのそれぞれの同量を適用しておいた毛束(1g、27cm)を乾かし、乾かした直後に、毛束の長さの中央での毛束の幅を測定した。測定した値を以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中の「T0ボリューム/cm幅」の列に示す。次いで、毛束を、湿度80%下で30℃にて24時間放置した。毛束の長さの中央での毛束の幅を再度測定した。測定した値を、以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中の「T24ボリューム/cm幅」の列に示す。
良好:<4.5
不良:≧4.5
【0189】
§適用のプロトコル
毛束を、適用前にシャンプーした。毛束をホットプレート(30℃)上に置き、次いで組成物を毛束上に適用し、流水下で濯ぎ落とした。
【0190】
(感覚評価)
日本人のわずかに脱色させた毛束を使用して、実施例1による組成物と比較例1~6による組成物とのそれぞれを適用した後に、4人のパネリストが、濡れているときの毛髪への指の通り、乾いているときの毛髪の滑らかさ、乾いているときの毛髪の湿潤感覚、及び乾いているときの毛髪の粘着性の各項目を、以下の評価基準に従って評価した。
5:有意に、より強い
4:より強い
3:ベンチマーク
2:より弱い
1:有意に、より弱い
【0191】
パネリストによる各感覚評価についてのスコアの平均を、以下の評価基準に従って分類した。結果を、表1中に、「濡れているときの毛髪への指の通り」、「乾いているときの毛髪の滑らかさ」、「乾いているときの毛髪の湿潤感覚」及び「乾いているときの毛髪の粘着性」の列に示す。
良好:≧4
不良:<4
【0192】
§適用のプロトコル
毛束を、適用前にシャンプーした。毛束をホットプレート(30℃)上に置き、次いで組成物を毛束上に適用し、流水下で濯ぎ落とした。「乾いているときの毛髪の滑らかさ」、「乾いているときの毛髪の湿潤感覚」、「乾いているときの毛髪の粘着性」の評価に関して、毛束を室温にて乾かした。
【0193】
表1は、実施例1による組成物が長時間にわたり透明で安定であったことを示す。実施例1による組成物はまた、低い濡れコーミング力も付与することもでき、これは滑らかな櫛通りに帰着させる。表1はまた、実施例1による組成物が、高温及び高湿度条件下でさえ、適用直後及び適用24時間後に優れたボリューム制御効果を付与できることを示している。表1はまた、実施例1による組成物が、濡れている条件下と乾いている条件下との双方で、より良好な美容効果を毛髪に付与できることを示している。
【0194】
比較例1による組成物は、水を含まず、不透明であった。比較例1による組成物は、高い濡れコーミング力を付与し、これは滑らかさに欠ける櫛通りに帰着させる。比較例1による組成物は、高温及び高湿度条件下での適用直後及び適用24時間後に、不良なボリューム制御効果を付与した。比較例1による組成物は、乾いている条件のときに、きわめて粘着性のある触感を付与した。
【0195】
比較例2による組成物は、シリコーン油を、組成物の総質量に対して20質量%未満含んでおり、半透明で不安定であった。比較例2による組成物は、高い濡れコーミング力を付与し、これは滑らかさに欠ける櫛通りに帰着させる。比較例2による組成物は、高温及び高湿度条件下での適用直後及び適用24時間後に、不良なボリューム制御効果を付与した。比較例2による組成物は、濡れている条件下と乾いている条件下との双方で、毛髪への美容効果が不良であった。
【0196】
比較例3による組成物は、シリコーンを含まず、透明で安定であった。しかし、比較例3による組成物は、高い濡れコーミング力を付与し、これは滑らかさに欠ける櫛通りに帰着させる。比較例3による組成物は、高温及び高湿度条件下での適用直後及び適用24時間後に、不良なボリューム制御効果を付与した。比較例3による組成物は、濡れている条件下と乾いている条件下との双方で、毛髪上の美容効果が不良であった。
【0197】
比較例4による組成物は、ポリオールを含まず、不透明で不安定であった。比較例4による組成物は、低い濡れコーミング力を付与し、これは滑らかな櫛通りに帰着させる。しかし、比較例4による組成物は、高温及び高湿度条件下での適用直後及び適用24時間後に、不良なボリューム制御効果を付与した。比較例4による組成物は、濡れているときの毛髪への指の通り、及び乾いているときの毛髪の粘着性の点で、美容効果が不良であった。
【0198】
比較例5による組成物は、ポリオールを含んでいたが、水/ポリオールの質量比は3超であり、不透明で不安定であった。比較例5による組成物は、高い濡れコーミング力を付与し、これは滑らかさに欠ける櫛通りに帰着させる。比較例5による組成物は、高温及び高湿度条件下での適用直後及び適用24時間後に、不良なボリューム制御効果を付与した。比較例5による組成物は、濡れているときの指の通り、及び乾いているときの毛髪の粘着性の点で、美容効果が不良であった。
【0199】
比較例6による組成物は、ポリオールを含んでいたが、ポリオールの量は組成物の総質量に対して10質量%未満であり、不透明で不安定であった。比較例6による組成物は、低い濡れコーミング力を付与し、これは滑らかな櫛通りに帰着させる。しかし、比較例6による組成物は、高温及び高湿度条件下での適用直後及び適用24時間後に、不良なボリューム制御効果を付与した。比較例6による組成物は、濡れているときの毛髪への指の通り、及び乾いているときの毛髪の粘着性の点で、美容効果が不良であった。