(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】遊星変速機
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20240227BHJP
F16H 55/18 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F16H1/28
F16H55/18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018242700
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】10 2018 200 056.5
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・グレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン・ハール
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・レック
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・シュルツ
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-81670(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012207250(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星変速機(1)であって、第1の輪歯車(2)および第2の輪歯車(4)と、共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1の歯車(8)および第2の歯車(10)を含む第1の二重遊星歯車(6)と、を含み、前記第1の二重遊星歯車(6)の前記第1の歯車(8)の歯は前記第1の輪歯車(2)の歯に係合し、前記第1の二重遊星歯車(6)の前記第2の歯車(10)の歯は前記第2の輪歯車(4)の歯に係合する、遊星変速機(1)において、
前記第1の二重遊星歯車(6)の前記第1の歯車(8)は、前記第1の二重遊星歯車(6)の前記第1の歯車(8)の歯が前記第1の輪歯車(2)の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされ、前記第1の二重遊星歯車(6)の前記第2の歯車(10)は、前記第1の二重遊星歯車(6)の前記第2の歯車(10)の歯が前記第2の輪歯車(4)の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされ、
前記遊星変速機(1)は、共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1の歯車(14)および第2の歯車(16)を含む第2の二重遊星歯車(12)を含み、前記第2の二重遊星歯車(12)の前記第1の歯車(14)の歯は前記第1の輪歯車(2)の歯に係合し、前記第2の二重遊星歯車(12)の前記第2の歯車(16)の歯は前記第2の輪歯車(4)の歯に係合し、
前記第2の二重遊星歯車(12)の前記第1の歯車(14)は、前記第2の二重遊星歯車(12)の前記第1の歯車(14)の歯が前記第1の輪歯車(2)の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされ、前記第2の二重遊星歯車(12)の前記第2の歯車(16)は、前記第2の二重遊星歯車(12)の前記第2の歯車(16)の歯が前記第2の輪歯車(4)の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされ、
前記二重遊星歯車の少なくとも1つが、半径方向外側にプリロードされることを特徴とする、遊星変速機(1)。
【請求項2】
前記第1の二重遊星歯車(6)および前記第2の二重遊星歯車(12)は、共通の遊星枠(18)によって駆動される、請求項1に記載の遊星変速機(1)。
【請求項3】
共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1の歯車(22)および第2の歯車(24)を含む第3の二重遊星歯車(20)を含み、前記第3の二重遊星歯車(20)の前記第1の歯車(22)の歯は前記第1の輪歯車(2)の歯に係合し、前記第3の二重遊星歯車(20)の前記第2の歯車(24)の歯は前記第2の輪歯車(4)の歯に係合する、請求項1
または2のいずれか一項に記載の遊星変速機(1)。
【請求項4】
前記第3の二重遊星歯車(20)の前記第1の歯車(22)は、前記第3の二重遊星歯車(20)の前記第1の歯車(22)の歯が前記第1の輪歯車(2)の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされ、前記第3の二重遊星歯車(20)の前記第2の歯車(24)は、前記第3の二重遊星歯車(20)の前記第2の歯車(24)の歯が前記第2の輪歯車(4)の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされる、請求項
3に記載の遊星変速機(1)。
【請求項5】
共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1の歯車(28)および第2の歯車(30)を含む第4の二重遊星歯車(26)を含み、前記第4の二重遊星歯車(26)の前記第1の歯車(28)の歯は前記第1の輪歯車(2)の歯に係合し、前記第4の二重遊星歯車(26)の前記第2の歯車(30)の歯は前記第2の輪歯車(4)の歯に係合し、前記第4の二重遊星歯車(26)の前記第1の歯車(28)は、前記第4の二重遊星歯車(26)の前記第1の歯車(28)の歯が前記第1の輪歯車(2)の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされ、前記第4の二重遊星歯車(26)の前記第2の歯車(30)は、前記第4の二重遊星歯車(26)の前記第2の歯車(30)の歯が前記第2の輪歯車(4)の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされる、請求項
3または
4に記載の遊星変速機(1)。
【請求項6】
前記第1の二重遊星歯車(6)および前記第3の二重遊星歯車(20)は180°だけオフセットしており、前記第2の二重遊星歯車(12)および前記第4の二重遊星歯車(26)は180°だけオフセットしており、前記第1の二重遊星歯車(6)および前記第2の二重遊星歯車(12)は90°だけオフセットしており、前記第3の二重遊星歯車(20)および前記第4の二重遊星歯車(26)は90°だけオフセットしている、請求項
5に記載の遊星変速機(1)。
【請求項7】
少なくとも1つのバネ(32)が、前記少なくとも1つの二重遊星歯車(6、12、20、26)を半径方向外側にプリロードするために、前記遊星枠(18)に配置されている、請求項2、または請求項2を引用する請求項3~
6のいずれか一項に記載の遊星変速機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1のプリアンブルに記載の、第1および第2の輪歯車と、第1の二重遊星歯車と、を含む、遊星変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊星変速機は、通常、複数の歯車を含む。このような遊星変速機の歯車の歯が互いに係合すると、歯間に隙間がしばしば生じる。1方向にのみ回転する歯車では、これはさらなる影響を及ぼさず、それは、互いに係合する2つの歯車の歯が始動中に一度互いに当接し、その後、このように当接したまま回転するためである。さらに動作させても、さらなる当接は起こらない。
【0003】
しかしながら、歯車が回転方向を変える、例えば前進および逆動の両方を行う場合、歯車間の隙間により、歯車の歯は特定の状況下で互いに不均等にぶつかる。これにより、歯車の望ましくない摩耗が引き起こされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、遊星変速機における歯車の歯間の隙間を縮小することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、特許請求項1に記載の遊星変速機によって達成される。
【0006】
このような遊星変速機は、第1および第2の輪歯車、ならびに第1の二重遊星歯車を含む。第1の二重遊星歯車は、共通のシャフトの周りに回転可能に配置された、第1および第2の歯車を含み、第1の二重遊星歯車の第1の歯車の歯は第1の輪歯車の歯に係合し、第1の二重遊星歯車の第2の歯車の歯は第2の輪歯車の歯に係合する。
【0007】
第1の二重遊星歯車の歯と輪歯車の歯との間の隙間を最小限にするため、第1の二重遊星歯車の第1の歯車は、第1の二重遊星歯車の第1の歯車の歯が第1の輪歯車の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされる。さらに、第1の二重遊星歯車の第2の歯車は、第1の二重遊星歯車の第2の歯車の歯が第2の輪歯車の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされる。このように、第1の二重遊星歯車の歯車の歯は、輪歯車に対して、1つは時計回り方向、1つは反時計回りの、2つの異なる方向に(接線方向に)プリロードされる。よって、このプリロードにより、輪歯車の歯と、二重遊星歯車の歯車の歯とが既に接触している。さらに、プリロードにより、この接触は、動作中であっても異なる方向において維持され、歯の間の隙間が防止される。
【0008】
二重遊星歯車の歯車がプリロードされると、これらは、互いに対するそれらの位置において固定される。これは、例えば、溶接、はんだ付け、または接着によって、もたらされ得る。代わりに、これら2つの歯車は、互いに重ねて置かれた場合に2つの歯車を互いに対して固定するスプラインを含むこともできる。このスプラインは、軸方向に有効であり得、すなわち、キーが、歯車の回転軸に垂直な歯車の表面に組み込まれるか、または半径方向にも有効であり得、すなわち、キーが歯車のハブの外側表面、および他方の歯車の内側ボアに、組み込まれる。キーは、最終的に歯車に接続される別個の遊星枠上に組み込まれてもよい。これら2つの歯車が互いに接合されると、その2つの歯車の対向するキー表面は、互いに対してスライドし、よって、歯車が輪歯車の側面に当接し、これによりプリロードを生じるまで、歯車の回転を生じる。この状態で、2つの歯車は互いに固定され得る。2つの対向するキー表面が自動ロック領域に位置するように構成される場合、永続的な固定は省略され得、2つの歯車は、例えばバネ力によって、互いに押し付けられ得る。このメカニズムにより、2つの歯車の互いに対する軸方向位置、よって半径方向位置の連続的な再調節が可能となり、これにより、今度は、例えば歯面の摩耗の場合に、がたつき排除の自動的な再調節が可能となる。
【0009】
遊星変速機に設けられる駆動装置、すなわち、シャフトによって駆動される要素が、例えば輪歯車のうちの1つによって、与えられ得、他方の輪歯車は、出力部として作用する。第1の二重遊星歯車が1つの歯車を介して第1の輪歯車と接触しており、他方の歯車を介して第2の輪歯車と接触しているので、駆動装置として作用する輪歯車の動きは、出力部として作用する輪歯車に伝達される。しかしながら、他の組み合わせも可能である。例えば、駆動装置として作用する遊星枠が設けられ得る。さらに、遊星変速機は、太陽歯車を含むこともできる。
【0010】
1つのみの二重遊星歯車が使用される場合、2つの輪歯車は、互いに対してそれることができる。これを防止するために、一実施形態によれば、遊星変速機は、共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1の歯車および第2の歯車を含む第2の二重遊星歯車を含み得、第2の二重遊星歯車の第1の歯車の歯は第1の輪歯車の歯に係合し、第2の二重遊星歯車の第2の歯車の歯は第2の輪歯車の歯に係合する。
【0011】
第1および第2の二重遊星歯車を使用することにより、遊星変速機の安定性が改善される。第2の二重遊星歯車は、第1の二重遊星歯車が第1および第2の輪歯車に対して半径方向に転置されるのを防止する。これは、第1の二重遊星歯車および第2の二重遊星歯車が共通の遊星枠によって接続されているため、可能である。例えば、遊星枠は、シャフトから二重遊星歯車へ、そしてそれによって輪歯車へと力を伝達する、駆動装置として作用し得る。
【0012】
遊星変速機の第2の二重遊星歯車について隙間を縮小し、かつ輪歯車が互いに対して回転するのを防止するために、第2の二重遊星歯車の第1の歯車は、第2の二重遊星歯車の第1の歯車の歯が第1の輪歯車の歯と接触するように、反時計回りにプリロードされ得る。さらに、第2の二重遊星歯車の第2の歯車は、第2の二重遊星歯車の第2の歯車の歯が第2の輪歯車の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされ得る。
【0013】
2つの輪歯車と二重遊星歯車との間の隙間は、プリロードされた二重遊星歯車を使用することによって、防止される。第1の二重遊星歯車のプリロードと反対である第2の二重遊星歯車のプリロードにより、歯間の隙間はさらによく防止され得る。さらに、2つの二重遊星歯車による均一な力分布により、輪歯車が所定の位置に保持される。特に、ここでプリロード力は、すべての歯車について同じである。
【0014】
一実施形態によれば、遊星変速機は、共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1および第2の歯車を含む第3の二重遊星歯車を含み、第3の二重遊星歯車の第1の歯車の歯は第1の輪歯車の歯に係合し、第3の二重遊星歯車の第2の歯車の歯は第2の輪歯車の歯に係合する。第3の二重遊星歯車により、遊星変速機の負荷容量はさらに増大され得る。3つの遊星歯車は、互いに対して120°の角度で配置されるのが好ましい。遊星変速機の負荷分布は、これによって改善され得る。
【0015】
一実施形態によれば、第3の二重遊星歯車の第1の歯車は、第3の二重遊星歯車の第1の歯車の歯が第1の輪歯車の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされる。同時に、第3の二重遊星歯車の第2の歯車は、第3の二重遊星歯車の第2の歯車の歯が第2の輪歯車の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされる。
【0016】
第1の二重遊星歯車のプリロードに対応し、かつ第2の二重遊星歯車のプリロードと反対である、第3の二重遊星歯車のプリロードにより、遊星変速機の歯の隙間は、第3の二重遊星歯車では縮小される。
【0017】
一実施形態によれば、遊星変速機は、第4の二重遊星歯車を含む。第4の二重遊星歯車も、共通のシャフトの周りに回転可能に配置された第1および第2の歯車を含み、第4の二重遊星歯車の第1の歯車の歯は第1の輪歯車の歯に係合し、第4の二重遊星歯車の第2の歯車の歯は第2の輪歯車の歯に係合する。ここで、第4の二重遊星歯車の第1の歯車は、第4の二重遊星歯車の第1の歯車の歯が第1の輪歯車の歯と接触するように、反時計回り方向にプリロードされる。さらに、第4の二重遊星歯車の第2の歯車は、第4の二重遊星歯車の第2の歯車の歯が第2の輪歯車の歯と接触するように、時計回り方向にプリロードされる。
【0018】
4つの二重遊星歯車を使用することにより、2つの輪歯車と二重遊星歯車との間の隙間、ならびにすべての回転方向、すなわち、前方および後方への、輪歯車の互いに対する回転を防止することができる。第2の二重遊星歯車のプリロードに対応する、第4の二重遊星歯車のプリロードにより、第4の二重遊星歯車の歯車の歯と輪歯車の歯との間の隙間が縮小される。さらに、第4の二重遊星歯車を使用することにより、負荷容量は増大され得る。
【0019】
遊星変速機の負荷のバランスをとるため、4つの二重遊星歯車は、90°だけそれぞれオフセットして配置されるのが好ましい。ここで、第1および第2の二重遊星歯車は、互いに90°だけオフセットして配置されている。第3および第4の二重遊星歯車も、互いに90°だけオフセットしている。第1および第3の二重遊星歯車と、第2および第4の二重遊星歯車とは、それぞれ、180°だけオフセットしている。このように、異なるプリロードが、周辺に均一に分布する。
【0020】
さらなる実施形態によると、二重遊星歯車の少なくとも1つが半径方向外側にプリロードされる。これは、二重遊星歯車の少なくとも1つが輪歯車に向かって押し付けられ、すなわち、半径方向外側にプリロードされることを意味する。このように、二重遊星歯車の少なくとも1つの歯は、輪歯車の歯と、歯の片側だけでなく、歯の両側で接触している。これは、特に3つの二重遊星歯車の使用で好ましい。ここで、プリロードのない二重遊星歯車の1つは、歯車の回転により、プリロードを、半径方向外側にのみ、与えられてよい。
【0021】
半径方向外側のプリロードを可能にするため、少なくとも1つのバネが、輪歯車に向けて少なくとも1つの二重遊星歯車をプリロードするために遊星枠に配置され得る。
【0022】
ここで、バネは、二重遊星歯車を輪歯車に向かって押し付けるのに十分な力を少なくとも1つの二重遊星歯車に及ぼし得る。
【0023】
さらなる利点および有利な実施形態が、説明、図面、および特許請求の範囲において特定される。ここで、特に、説明および図面において特定された特徴の組み合わせは、単に例示的なものであり、そのため、それらの特徴は、個々に存在するか、または他の方法で組み合わせられてもよい。
【0024】
以下では、本発明は、図面に描かれた例示的な実施形態に基づいて、さらに詳細に説明される。ここで、例示的な実施形態、および例示的な実施形態に示す組み合わせは、単に例示的なものであり、発明の範囲を定めることを意図していない。この範囲は、係属中の請求項によってのみ定められる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】遊星変速機の第1の実施形態の断面図を示す。
【
図2】遊星変速機の第2の実施形態の断面図を示す。
【
図3】遊星変速機の第3の実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、同一の要素または機能的に等価な要素は、同じ参照符号で示されている。
【0027】
図1は、第1の輪歯車2および第2の輪歯車4を含む遊星変速機1を示す。さらに、遊星変速機1は、第1の二重遊星歯車6ならびに第2の二重遊星歯車12を含む。これら2つの二重遊星歯車6、12は、これらの間に配置された遊星枠18によって接続される。代わりに、遊星変速機1は、ただ1つの二重遊星歯車6を含むこともできる。さらに、太陽歯車(不図示)が使用され得る。
【0028】
図1に示す実施形態では、第1の輪歯車2は、第2の輪歯車4より大きい。さらに、第1の輪歯車2は固定され、遊星枠18は矢印の方向に回転する駆動装置として作用し、第2の輪歯車4は出力部として作用する。輪歯車2、4および二重遊星歯車6、12の他のデザインならびにサイズ比も可能である。
【0029】
2つの二重遊星歯車6、12はそれぞれ、2つの歯車8、10および14、16を含む。ここで、第1の歯車8、14は第1の輪歯車2と接触しており、第2の歯車10、16は第2の輪歯車4と接触している。
【0030】
歯車8、10、14、16の歯と輪歯車2、4の歯との間の隙間を防止するために、第1の二重遊星歯車6および第2の二重遊星歯車12の歯車8、10、14、16はプリロードされる。この目的のため、第1の二重遊星歯車6の第1の歯車8は、矢印で示すように、第1の輪歯車2の歯に対して時計回り方向にプリロードされる。第1の二重遊星歯車6の第2の歯車10は、やはり矢印で示すように、第2の輪歯車4の歯に対して反時計回り方向にプリロードされる。
【0031】
反対に、第2の二重遊星歯車12の第1の歯車14は、矢印で示すように、第1の輪歯車2の歯に対して反時計回りにプリロードされる。同時に、第2の二重遊星歯車12の第2の歯車16は、矢印で示すように、第2の輪歯車4の歯に対して反時計回りにプリロードされる。このようにして、歯車8、10、14、16間の隙間を防止することができ、この隙間は、動作中に、遊星変速機1に悪影響を及ぼすであろうものである。
【0032】
図2は、第1の二重遊星歯車6および第2の二重遊星歯車12に加えて、第3の二重遊星歯車20および第4の二重遊星歯車26を含む。4つの二重遊星歯車6、12、20、26は、遊星枠18によって接続されている。二重遊星歯車の歯と輪歯車の歯との間の隙間を防止するために、すべての二重遊星歯車6、12、20、26がプリロードされる。
【0033】
ここで、第1の二重遊星歯車6および第2の二重遊星歯車12は、互いに対して90°の角度で配置される。第3の二重遊星歯車20および第4の二重遊星歯車26は、これらに対して逆に配置される。第3の二重遊星歯車も第1の歯車22および第2の歯車24を含み、第1の歯車22は、第1の輪歯車2の歯と接触しており、第2の歯車24は第2の輪歯車4の歯と接触している。第1の歯車22は、第1の輪歯車2の歯に対して時計回り方向にプリロードされ、第2の歯車24は、第2の輪歯車4の歯に対して反時計回り方向にプリロードされる。第4の二重遊星歯車26の第1の歯車28および第2の歯車30は、これらに対して逆にプリロードされる。これは、第1の歯車28が第1の輪歯車2の歯に対して反時計回り方向にプリロードされ、第2の歯車30が第2の輪歯車4の歯に対して時計回り方向にプリロードされることを意味する。
【0034】
4つの二重遊星歯車6、12、20、26を使用することにより、一方では、遊星変速機1全体の負荷容量が増加し得、同時に、歯間の隙間は、輪歯車2、4の外周の周りに見られるように、交互形態にある4つの二重遊星歯車6、12、20、26のプリロードにより、縮小される。
【0035】
代わりに、3つのみの二重遊星歯車6、12、20も設けられ得る。これは
図3に描かれている。ここでは、3つの二重遊星歯車6、12、20が、互いに対して120°の角度で配置されている。ここで、第3の二重遊星歯車20の歯車22、24のプリロードが、第1の二重遊星歯車6または第2の二重遊星歯車12いずれかのプリロードに対応し得る。
【0036】
さらに、遊星枠18には、第3の二重遊星歯車20を第1の輪歯車2および第2の輪歯車4の歯に押し付けるバネ32が設けられ得る。このように、第3の二重遊星歯車20の第1の歯車22および第2の歯車24の歯は、第1の輪歯車2および第2の輪歯車4の歯と、歯の片側だけでなく両側において、接触している。このように、隙間は、3つの二重遊星歯車を使用しても最適に縮小され得る。
【0037】
図4は、二重遊星歯車6の2つの歯車8、10がどのようにして互いに取り付けられ得るかを例として示す。この目的のため、歯車10は、歯車を互いに重ねるために歯車8に導入され得るハブ9を含む。2つの歯車8、10を互いに固定するため、軸方向に有効であるスプライン11が設けられ、すなわち、キーが、歯車8、10の回転軸に垂直である、歯車8、10の表面に組み込まれる。代わりに、キーは、半径方向に有効であってもよく、また、歯車上のハブの外側表面、および他方の歯車の内側ボアに、組み込まれ得る。
【0038】
2つの歯車8、10が互いに接合されるとき、2つの歯車8、10の対向するキー表面11は、互いに対してスライドし、よって、歯車8、10が輪歯車2、4の側面に当接し、これによりプリロードを生じるまで、歯車8、10の回転を生じる。この状態で、2つの歯車は、例えば接着または溶接により、互いに固定され得る。2つの対向するキー表面11が、自動ロック領域に位置するように構成されている場合、永続的な固定は省略され得、2つの歯車8、10は、例えばバネ力によって、互いに押し付けられる。
【0039】
個々の二重遊星歯車の歯車のプリロードにより、二重遊星歯車の歯車の歯と輪歯車の歯との間の隙間が最小限に抑えられ得る。
【符号の説明】
【0040】
1 遊星変速機
2 第1の輪歯車
4 第2の輪歯車
6 第1の二重遊星歯車
8 第1の歯車
9 ハブ
10 第2の歯車
11 スプライン
12 第2の二重遊星歯車
14 第1の歯車
16 第2の歯車
18 遊星枠
20 第3の二重遊星歯車
22 第1の歯車
24 第2の歯車
26 第4の二重遊星歯車
28 第1の歯車
30 第2の歯車
32 バネ