(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】表示装置、その駆動方法およびそのストレス補償システム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3208 20160101AFI20240227BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G09G3/3208
G09G3/20 611H
G09G3/20 631V
G09G3/20 642A
G09G3/20 670J
(21)【出願番号】P 2019040928
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2022-02-01
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】アミン モバッシャー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ウィリアム クック
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0194096(US,A1)
【文献】特開2007-279290(JP,A)
【文献】特開2006-195313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
H10K 59/10 - 59/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、メモリと、デコーダ、駆動電流調節回路、加算回路及びエンコーダを含む表示装置の駆動方法であって、
第1符号化ストレスプロファイルおよび第1シンボル統計資料集合を前記メモリから読み取る段階と、
前記デコーダによって前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して第1復号化ストレスプロファイルと第2シンボル統計資料集合を形成する段階と、
前記駆動電流調節回路によって、前記表示装置の副画素を駆動するために使用する第1の駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第1調整駆動電流を計算する段階と、
前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動する段階と、
前記加算回路によって
、前記第1調整駆動電流に比例する数と前記第1復号化ストレスプロファイルとを加算して、前記第1復号化ストレスプロファイルを増加させて第2ストレスプロファイルを形成する段階と、
前記エンコーダによって前記第2ストレスプロファイルを前記第2シンボル統計資料集合と共に処理して第2符号化ストレスプロファイルを形成する段階と、
前記第2符号化ストレスプロファイルを前記メモリに格納する段階とを含む、表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記第2符号化ストレスプロファイルの形成段階は、エントロピー符号化を使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する段階を含む、請求項1に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第2符号化ストレスプロファイルの形成段階は、算術エンコーディングを使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する段階を含む、請求項2に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第2ストレスプロファイルの形成段階は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第1調整駆動電流に比例する数を加える段階を含む、請求項
1に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動した後、
前記表示装置の副画素を駆動するため
に使用する第2
の駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第2調整駆動電流を計算する段階と、
前記第2調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動する段階とをさらに含む、請求項
1に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記第2ストレスプロファイルの形成段階は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第2調整駆動電流に比例する数を加える段階を含む、請求項
5に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項7】
表示パネルと、メモリと、デコーダ、
駆動電流調節回路、加算回路およびエンコーダを含む処理回路とを含む表示装置のストレス補償システムであって、
前記処理回路は、
第1符号化ストレスプロファイルおよび第1シンボル統計資料集合を前記メモリから読み取り、
前記デコーダを通して前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して第1復号化ストレスプロファイルおよび第2シンボル統計資料集合を形成し、
前記駆動電流調節回路によって、前記表示装置の副画素を駆動するために使用する第1の駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第1調整駆動電流を計算する段階と、
前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動する段階と、
前記加算回路によって
、前記第1調整駆動電流に比例する数と前記第1復号化ストレスプロファイルとを加算して、前記第1復号化ストレスプロファイルを増加させて第2ストレスプロファイルを形成し、
前記エンコーダを通して前記第2ストレスプロファイルを前記第2シンボル統計資料集合と処理して第2符号化ストレスプロファイルを形成し、
前記第2符号化ストレスプロファイルを前記メモリに格納する、表示装置のストレス補償システム。
【請求項8】
前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、エントロピー符号化を使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する、請求項
7に記載のストレス補償システム。
【請求項9】
前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、算術エンコーディングを使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する、請求項
8に記載のストレス補償システム。
【請求項10】
前記第2ストレスプロファイルの形成は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第1調整駆動電流に比例する数を加える、請求項
7に記載のストレス補償システム。
【請求項11】
前記処理回路は、
前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動した後、
前記表示装置の副画素を駆動するために
使用する第2
の駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第2調整駆動電流を計算し、
前記第2調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動する、請求項
7に記載のストレス補償システム。
【請求項12】
前記第2ストレスプロファイルの形成は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第2調整駆動電流に比例する数を加える、請求項
11に記載のストレス補償システム。
【請求項13】
表示パネル、
メモリ、そして
第1デコーダおよびエンコーダを含む処理回路を含み、
前記処理回路は、
第1符号化ストレスプロファイルおよび第1シンボル統計資料集合を前記メモリから読み取り、
前記第1デコーダを通して前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して第1復号化ストレスプロファイルおよび第2シンボル統計資料集合を形成し、
前記第1復号化ストレスプロファイルを増加させて第2ストレスプロファイルを形成し、
前記エンコーダを通して前記第2ストレスプロファイルを前記第2シンボル統計資料集合と処理して第2符号化ストレスプロファイルを形成し、
前記第2符号化ストレスプロファイルを前記メモリに格納する、表示装置。
【請求項14】
前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、エントロピー符号化を使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する、請求項
13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、算術エンコーディングを使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する、請求項
14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、その駆動方法およびそのストレス補償システムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年3月15日付にて米国特許庁に出願した米国特許出願第62/643、622号に基づく優先権を主張し、ここで引用したことにより、この出願の全体内容が本願に含まれる。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード表示装置などのような映像表示装置で寿命期間の間に画質を維持するために出力低下(output decline)に対する補償を使用する。しかし、このような補償を実行するために使用されるデータ量は膨大であるため、費用と表示装置の電力使用量が高くなる。
【0004】
したがって、ストレス補償システムおよび方法を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表示装置のストレスを補償するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による表示装置の駆動方法は、第1符号化ストレスプロファイルおよび第1シンボル統計資料集合をメモリから読み取る段階と、第1デコーダによって前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して第1復号化ストレスプロファイルと第2シンボル統計資料集合を形成する段階と、前記第1復号化ストレスプロファイルを増加させて第2ストレスプロファイルを形成する段階と、エンコーダによって前記第2ストレスプロファイルを前記第2シンボル統計資料集合と共に処理して第2符号化ストレスプロファイルを形成する段階と、前記第2符号化ストレスプロファイルを前記メモリに格納する段階とを含む。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記第2符号化ストレスプロファイルの形成段階は、エントロピー符号化を使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する段階を含むことができる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記第2符号化ストレスプロファイルの形成段階は、算術エンコーディングを使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化する段階を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態による駆動方法は、第2デコーダによって前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して前記第1復号化ストレスプロファイルを形成する段階と、第1原本駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第1調整駆動電流を計算する段階と、前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動する段階とをさらに含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記第2ストレスプロファイルの形成段階は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第1調整駆動電流に比例する数を加える段階を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動した後、第2原本駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第2調整駆動電流を計算する段階と、前記第2調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動する段階とをさらに含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記第2ストレスプロファイルの形成段階は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第2調整駆動電流に比例する数を加える段階を含むことができる。
【0014】
本発明の一実施形態による表示装置のストレス補償システムは、メモリ、そして第1デコーダおよびエンコーダを含む処理回路を含み、前記処理回路は、第1符号化ストレスプロファイルおよび第1シンボル統計資料集合を前記メモリから読み取り、前記第1デコーダを通して前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して第1復号化ストレスプロファイルおよび第2シンボル統計資料集合を形成し、前記第1復号化ストレスプロファイルを増加させて第2ストレスプロファイルを形成し、前記エンコーダを通して前記第2ストレスプロファイルを前記第2シンボル統計資料集合と処理して第2符号化ストレスプロファイルを形成し、前記第2符号化ストレスプロファイルを前記メモリに格納する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、エントロピー符号化を使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、算術エンコーディングを使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化することができる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記処理回路は第2デコーダをさらに含み、前記処理回路は、第2デコーダによって前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して前記第1復号化ストレスプロファイルを形成し、第1原本駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第1調整駆動電流を計算し、前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動することができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記第2ストレスプロファイルの形成は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第1調整駆動電流に比例する数を加えることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記処理回路は、前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動した後、第2原本駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第2調整駆動電流を計算し、前記第2調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動することができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記第2ストレスプロファイルの形成は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第2調整駆動電流に比例する数を加えることができる。
【0021】
本発明の一実施形態による表示装置は、表示パネル、メモリ、そして第1デコーダおよびエンコーダを含む処理回路を含み、前記処理回路は、第1符号化ストレスプロファイルおよび第1シンボル統計資料集合を前記メモリから読み取り、前記第1デコーダを通して前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して第1復号化ストレスプロファイルおよび第2シンボル統計資料集合を形成し、前記第1復号化ストレスプロファイルを増加させて第2ストレスプロファイルを形成し、前記エンコーダを通して前記第2ストレスプロファイルを前記第2シンボル統計資料集合と処理して第2符号化ストレスプロファイルを形成し、前記第2符号化ストレスプロファイルを前記メモリに格納する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、エントロピー符号化を使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記第2符号化ストレスプロファイルの形成は、算術エンコーディングを使用して前記第2ストレスプロファイルを符号化することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記処理回路は第2デコーダをさらに含み、前記処理回路は、第2デコーダによって前記第1符号化ストレスプロファイルを前記第1シンボル統計資料集合と共に処理して前記第1復号化ストレスプロファイルを形成し、第1原本駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第1調整駆動電流を計算し、前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記処理回路は、前記第1調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動した後、第2原本駆動電流および前記第1復号化ストレスプロファイルに基づいて第2調整駆動電流を計算し、前記第2調整駆動電流と同じ電流で前記表示装置の副画素を駆動することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記第2ストレスプロファイルの形成は、前記第1復号化ストレスプロファイルの要素(element)に前記第2調整駆動電流に比例する数を加えることができる。
【0027】
このようにすることにより、表示装置のストレスを効果的に補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による表示装置のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による非圧縮ストレス補償システムのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態による圧縮ストレス補償システムのブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態による表示装置の一部を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるストレス補償システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して後述する詳細な説明は、ストレスプロファイル圧縮システムおよび方法の実施形態に関し、本発明によって実現または利用される形態を全て表現するものではない。以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。しかし、互いに異なる実施形態で具現されるものと同一または均等な機能と構造も本発明の範囲内に含まれる。明細書全体にわたって同一または類似の構成要素には同一の参照符号を付ける。
【0030】
特定種類の映像表示装置は使用に応じて変化する特性を持っている。例えば、有機発光ダイオード(OLED:有機発光ダイオード)表示装置は、複数の画素(pixel)を有している表示パネルを含むことができる。各画素はいくつかの副画素(subpixel)(例:赤色副画素、緑色副画素、青色副画素)からなることができ、各副画素は、当該色の光を発光する有機発光ダイオードを含むことができる。それぞれの有機発光ダイオードの光効率は使用に応じて落ちて、例えば、有機発光ダイオードがしばらくの間動作した後には、特定電流に対する光学的出力が新しいものよりも低いこともある。
【0031】
光効率が落ちると表示装置の寿命期間の間平均的に他の部分より明るい部分を表示する部分にディミング(dimming)が発生する。例えば、監視カメラから受け取ったほとんど変わらない映像を見るために使用される表示装置で、カメラの視野が一日のほとんどの時間において、光が入ってきて相対的に明るい第1部分と日陰で相対的に暗い第2部分を含む場面を含む場合、そのうち第2部分よりも第1部分で光効率がさらに顕著に減少する。このような装置では、映像再生の正確度が時間が経つほど結局は落ちることになる。別の例として、映像の下側に位置し映像の他の部分とは黒い境界で分離された白色の文字を表示するために使用される表示装置の場合、黒い境界部分では光効率の低下の程度が他の部分に比べて少ないものであり、後でこの表示装置のパネル全体が一つの場面を表示するために使用される場合、以前に黒い境界を表示していた部分に明るい帯が表示されることがある(残像)。
【0032】
表示装置のこのような光効率の不均一性の効果を減らすために、表示装置の使用に応じた光効率の減少を補償する機構を表示装置に含ませることができる。
図1を参照すると、このような表示装置は、表示パネル110、処理回路115(後で詳しく説明する)およびメモリ120を含むことができる。“ストレスプロファイル”または“ストレステーブル”として参照されるメモリ120に含まれている内容は、表示装置の寿命期間の間各副画素が受けるストレス量を示す(またはストレス量を推論できる)数値、または“ストレス値”のテーブルであり得る。“ストレス値”は表示装置の寿命の間副画素を通して流れた総(時間積分)駆動電流、つまり、総電荷であり得る。例えば、メモリ120は、各副画素が新たなイメージ(image)を表示するごとにその副画素に対して1つの数を加えることができる。ここで、イメージは一緒に集まって表示映像(video)をなす連続的なイメージストリームの一部である。当該イメージで各副画素に対する駆動電流を測定し、その電流または副画素の明るさを示す数字をメモリ120に加えることもできる。タイミング制御器と複数の駆動集積回路がある表示装置では、処理回路115が一つ以上の駆動集積回路またはその一部であり得る。一部の実施形態によれば、それぞれの駆動集積回路は表示パネル110の一部を駆動するために使用することができ、他の駆動集積回路と個別に当該部分にストレス追跡およびストレス補償を遂行することができる。
【0033】
動作中に、各副画素に対する駆動電流を調節して光効率の予測損失(estimated loss)を補償することができ、光効率の予測損失は副画素の総ストレス(lifetime stress)に基づく。例えば、メモリ120に蓄積された副画素の光効率の予測損失に合わせて(または、それに比例して)各副画素に対する駆動電流を増加させることによって、光効率が低下せず、駆動電流を増加させない状態と同様の光学的出力を出すことができる。副画素の物理モデルまたは実験的データに基づく非線形関数を使用して副画素の総ストレスに基づいた光効率の損失を推論または予測することができる。光効率の予測損失およびそれに伴う駆動電流調節量は処理回路115が計算できる。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態による非圧縮ストレス補償システムのブロック図である。ストレステーブルはメモリ205に格納される。動作中に、ストレステーブルでストレス値を読み取り、このストレス値は、駆動電流調節回路210(“補償ブロック”)が駆動電流調節値を計算するのに使用する。駆動電流調節値は(副画素の所望の光学出力に基づく)生の駆動電流値を副画素の蓄積ストレスにより調節したものである。駆動電流調節値は(表示される副画素の現在ストレス蓄積率を示し)副画素ストレスサンプリング回路215(“ストレスキャプチャーブロック”)に入力され、加算回路220で既存に格納された各ストレス値は現在ストレス蓄積率(つまり、駆動電流調節値に比例する数)ほど増加した後、再びメモリ205に格納される。メモリ制御器225はメモリ205での読み取り/書き込み動作を制御し、必要な場合ストレス値をメモリ205から駆動電流調節回路210および加算回路220に入力し、(現在のストレス蓄積率を加えることにより)増加されたストレス値をメモリ205に再び格納する。
【0035】
各副画素の総ストレスを追跡するためには膨大な量のメモリを必要とする。例えば、1920x1080画素の表示装置で、画素当たり3個の副画素があり、各副画素に4バイト(32ビット)のストレスがあれば、必要なメモリサイズは約25メガバイトである。また、映像の各フレーム(つまり、各表示イメージ)に対するストレス量を更新するのに必要な計算の負担も大きい。
【0036】
副画素ストレスに起因した光効率の減少を追跡し修正する負担を減らすために様々な方法を使用することができる。例えば、副画素ストレスサンプリング回路215が各イメージ(つまり、映像の各フレーム)の駆動電流調節値の一部だけをサンプリングすることができる。例えば、1080画素ライン(または列)を有する表示装置で映像1フレーム当たりストレステーブルの一列だけを更新する実施例がある。例えば、表示映像中の場面が比較的ゆっくり変化する場合には、各副画素に対して一対の駆動電流調節値だけを取り、その間にある1079個の値を捨てても(副画素の総ストレスの尺度として)結果的なストレス値における正確度に少ない許容可能な損失だけが生じるようにすることができる。
【0037】
他の実施形態によれば、副画素ストレスサンプリング回路215もフレームの一部だけをサンプリングすることができる。例えば、1080画素ライン(または列)を有する表示装置で更新率が60Hz(1分当たり60フレーム)であれば、副画素ストレスサンプリング回路215は毎10フレームごとに1回ずつイメージの駆動電流値全体または一部をサンプリングし、ストレステーブルもこれに合わせて更新される。
【0038】
副画素ストレスをストレステーブルに保存するのに必要なメモリサイズを縮める様々な方法がある。例えば、ストレスプロファイルチップセットの上にあるメモリはメモリに保存されるデータを圧縮することによって減らすことができる。
図3を参照すると、本発明の一部の実施形態によれば、ストレステーブルの圧縮板をメモリ205に格納する。圧縮されたストレスデータは第1デコーダ305によって圧縮解除された後に駆動電流調節回路210に入力される。圧縮されたストレスデータも第2デコーダ310によって圧縮解除された後に加算回路220に入力され、増加されたストレス値はエンコーダ315によって符号化または圧縮された後、メモリ205に格納される。エンコーダ315は受信したデータを圧縮する方式で符号化し、第1デコーダ305および第2デコーダ310それぞれはエンコーダ315が遂行した動作の逆動作を遂行する。つまり、第1デコーダ305および第2デコーダ310のそれぞれは受信したデータを圧縮解除する。したがって、ここでは“符号化(暗号化、coding、encoding)”と“圧縮(compressing)”を同じ意味で使用し、“復号化(暗号解除、decoding、unencoding)”と“圧縮解除(decompressing、uncompressing)”を同じ意味で使用する。ハフマンコーディング(Huffman coding)、算術コーディング(arithmatic coding)などのエントロピーコーディング(entropy coding)を含む様々な圧縮方法を使用することができる。
【0039】
ストレステーブルデータは、ここで“薄片(slice)”というブロック単位で符号化および複号化されるが、各薄片は、一般にストレステーブルの所定の部分集合であり得る。本発明の一実施形態によれば、各薄片は、ストレステーブルの正方形または長方形の領域に該当し、表示パネル110の正四角または長方形の領域に該当する。表示パネル110の正方形または長方形の領域は表示装置の薄片と称すことができ、ストレステーブルの該当薄片は表示装置の薄片のストレスプロファイルと称すことができる。特別な言及がない限り、ここで“薄片”は、ストレスプロファイルの薄片という意味で使用する。薄片に対応する表示パネル110の領域の水平方向寸法は“薄片幅”といい、垂直方向寸法は“薄片高さ”または“ライン寸法(line dimension)”という。例えば、
図4に示したように、薄片は表示装置の4行24列に該当するが、この場合、薄片幅は24であり、ラインサイズは4となる。
【0040】
各薄片の圧縮板に割り当てられるメモリ領域のサイズは、使用する圧縮アルゴリズムにより固定されることもでき、変化させることもできる。本発明の一実施形態によれば、使用する符号化方法の予測圧縮率に基づいて固定および選択されることができる。しかし、動作中に得られた圧縮率は、例えば、非圧縮データでシンボルが繰り返される範囲により異なることができる。動作で得られる圧縮率が充分に高くなくて圧縮された薄片が薄片の圧縮板を保存するのに割り当てられたメモリ領域に合わないと、圧縮を遂行する前に生データを切断して(truncate)(つまり、各データワードの最下位ビット中の一つ以上を除去して)メモリに入る薄片の圧縮板の大きさを縮めることによって、当該メモリ領域に合わせる。他の実施形態によれば、最悪の状況を包括できるように必要なメモリの長さを計算できる。他の実施形態によれば、圧縮板の長さを変化させることができ、この場合、圧縮板の長さはテーブルに保存されるかまたは圧縮データに添付される。
【0041】
前述のように、本発明の一実施形態によれば、符号化と復号化はエントロピーコーディングを使用して遂行できる。使用される符号化は適応型(adaptive)であり得、非圧縮薄片を符号化し圧縮薄片を複号化するのに使用される統計資料(statistics)は周期的に更新され得る。本発明の一実施形態によれば、エンコーダ315と第2デコーダ310が併置されて(collocated)いるため、この二つの回路が統計資料を共有することができ、例えば、第2デコーダ310が生成した復号化されたシンボル統計資料はエンコーダ315をシード(seed)するのに使用されることができる。動作時には、第1符号化ストレスプロファイルと第1シンボル統計資料集合をメモリ205から読み取る。第1符号化ストレスプロファイルは第2デコーダ310に入力される入力ビットストリーム510として使用することができ、第1シンボル統計資料集合は複号化されるシンボル統計資料515として第2デコーダ310に入力されることができる。
【0042】
第2デコーダ310は、第1符号化ストレスプロファイルを第1シンボル統計資料集合と共に処理して(i)第1復号化ストレスプロファイル(第2デコーダ310の出力端520)、(ii)(更新された)第2シンボル統計資料集合525を生成し、これをエンコーダ315と共有するレジスター集合またはローカルメモリに保存できる。第1復号化ストレスプロファイルが加算回路220によって増加して第2ストレスプロファイルが形成された後(
図3)、第2ストレスプロファイルはエンコーダ315の入力530に提供され、第2デコーダ310が生成しエンコーダ315と共有する第2シンボル統計資料集合525を使用して符号化される。結果的に第2符号化ストレスプロファイル535はエンコーダ315から出力されてメモリ制御器225に入力され、メモリ205に格納される。薄片が更新されるごとにこの過程を繰り返すことができる。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、エンコーダ315はエントロピー符号化回路に加えて予測および量子化回路を含むことができる。予測および量子化回路は、例えば、薄片の先行する副画素の増加されたストレス値を符号化される副画素の増加されたストレス値の予測値として使用することができる。エンコーダ315は符号化される副画素の増加されたストレス値を直接符号化する代わりに、増加されたストレス値とその予測値の差を符号化することができる。量子化回路は前述したような切断(truncation)を遂行することができる。
【0044】
以上でストレスプロファイル圧縮システムおよび方法に関する一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、エンコーダとデコーダが併置された類似システムおよび方法を使用することもできる。
【0045】
“処理回路”はハードウェア、ファームウエア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせを使用して実現することができる。処理回路は、例えば、応用注文型集積回路(ASIC)、汎用または専用の中央処理装置(CPU)、デジタル信号処理(DSP)、グラフィック処理装置(GPU)、FPGAなどのプログラム可能な論理装置を含むことができる。処理回路でそれぞれの関数は、その機能を遂行する有線ハードウェアまたは非一時的な(non-transitory)記録媒体に格納された命令を遂行するCPUなどの汎用のハードウェアによって遂行できる。処理回路は、単一印刷回路基板(PCB)に製作されるかまたは相互連結されたPCBに分散配置されることができる。処理回路は、他の処理回路を含むことができるが、例えば、PCB上で相互連結されるFPGAおよびCPUを含むことができる。
【0046】
“第1”、“第2”、“第3”などの用語は、本明細書で多様な要素、構成要素、領域、層および/またはセクションを説明するために使用することができるが、これらの要素、構成要素、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、単なる一つの要素、構成要素、領域、層またはセクションを他の要素、構成要素、領域、層またはセクションと区別するために使用される。したがって、上述した第1要素、構成要素、領域、層またはセクションは、本発明の思想および範囲を逸脱せずに、第2要素、構成要素、領域、層またはセクションとも称することができる。
【0047】
“低”、“下”、“下端”、“うえ”、“上”、“上端”などのように空間的に相対的な用語は、図面に示された1つの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係をより容易に説明するために使用される。空間的に相対的なこのような用語は、図面に示した方向に加えて、使用中または動作中の装置の他の方向を含むように意図されるものと理解されるであろう。例えば、図面の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の“下”または“低”または“下端”にあると説明された要素は、他の要素または特徴の“上”に向くことになる。したがって、“下”および“下端”という例示的な用語は、上と下の方向を全て含むことができる。装置は他の方向に向くことがあり(例えば、90度または他の方向に回転できる)、本発明で使用される空間的に相対的な技術用語はそれに合わせて解釈されなければならない。さらに、2つの層の間に1つの層があるものと言及する場合、その層は2つの層の間の唯一の層であるか、あるいは1つまたはそれ以上の介在層が存在することができることも理解しなければならない。
【0048】
本発明で使用される用語は、特定の実施形態だけを説明するためのものであり、本発明の概念を制限しようとするものではない。本発明で使用される用語“実質的に”、“約”および類似な用語は、学術的な用語としてではなく、類似の用語として使用され、測定されたまたは計算された値の固有の偏差を説明するためのものであり、当業者にとって自明に理解できる。本発明で使用される“主成分(major component)”の用語は、組成物または重合体または所定の他の単一成分の量より多い量で組成物、重合体または製品に存在する成分を指す。対照的に、“1次成分(primary component)”の用語は、組成物、重合体または生成物の50重量%以上を構成する成分を意味する。本明細書で使用される“主要部分(major portion)”の用語は、複数の項目に適用される場合にその項目の少なくとも半分を意味する。
【0049】
本発明で使用される単数形態の“1つ”および“1つの”は、文脈上明確に異なって示さない限り、複数形態を含むことを意図している。本発明で使用される“含む”および/または“構成される”という用語は、上述した特徴、整数、段階、動作、構成要素および/または要素の存在を明示しているが、存在を排除しないことがもっと理解されるであろう。または、一つ以上の他の特徴、整数、段階、動作、構成要素、要素および/またはグループの追加を含むことができる。本発明で使用される“および/または”という用語は、一つ以上列挙された項目の任意およびすべての組み合わせを含む。“少なくとも1つ”のような表現は要素のリストに先行する場合に要素の全体リストを修飾し、リストの個別要素を修飾しない。さらに、本発明の概念の実施形態を説明する際に“することができる”の使用は“本発明の1つ以上の実施形態”を示す。また、“例示的な”という用語は例または実例を示す。本発明で使用される“使用”、“使用する”および“使用される”は、それぞれ“利用”、“利用する”および“利用される”と同義語と見なすことができる。
【0050】
要素または層が他の要素または層“上に”、“連結される”、“結合される”または“隣接する”ものとして言及する場合、1つ以上の介在要素または層が存在することもある。対照的に、要素または層が他の要素または層に“直接的に”、“直接連結される”、または“直に隣接する”ものとして言及する場合、介在する要素または層は存在しない。
【0051】
本明細書で言及する所定の数値範囲は言及した範囲内に含まれる同一の数値精度の全ての下位範囲を含む。例えば、“1.0~10.0”の範囲は最小値1.0および最大値10.0の間の全ての下位範囲、つまり、1.0以上の最小値および10.0以下の最大値を有する下位範囲、例えば2.4~7.6を含む。ここで言及する最大数値の上限はそこに含まれる全てのさらに低い数値の上限を含み、本明細書で言及する最小数値の下限はそこに含まれる全てのさらに高い数値の下限を含む。
【0052】
以上、ストレスプロファイル圧縮のシステムおよび方法の例示的な実施形態を本発明で具体的に説明し例示したが、様々な変更および修正が当業者には明らかであろう。したがって、本発明の原理に基づいて構成されたストレスプロファイル圧縮のシステムおよび方法は、ここに具体的に説明されたもの以外にも具現できることを理解しなければならない。本発明はまた、次の特許請求の範囲およびその等価物により定義される。
【符号の説明】
【0053】
110:表示パネル
115:処理回路
120、205:メモリ
210:駆動電流調節回路
215:副画素ストレスサンプリング回路
220:加算回路
225:メモリ制御器
305:第1デコーダ
310:第2デコーダ
315:エンコーダ