(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240227BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G10K15/02
(21)【出願番号】P 2019098353
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2022-04-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政之
【合議体】
【審判長】高橋 宣博
【審判官】樫本 剛
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-47754(JP,A)
【文献】特開2013-21466(JP,A)
【文献】特開2014-123085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者端末、及び当該利用者端末と通信可能なサーバ装置を含むカラオケシステムであって、
前記利用者端末のうち、カラオケ歌唱を行う歌唱者が操作する歌唱者端末は、
楽曲の演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う演奏処理部と、
前記演奏処理部が行うカラオケ演奏の演奏音と、集音手段により集音されたカラオケ歌唱の歌唱音声と、撮影手段によりカラオケ歌唱を行う前記歌唱者を撮影して得られる動画像とに基づいて歌唱動画を生成し、前記サーバ装置にストリーミング送信する転送部と、
を有し、
前記利用者端末のうち、前記歌唱動画を視聴する複数の視聴者が操作する複数の視聴者端末は、
前記サーバ装置がライブ配信する歌唱動画を表示手段に表示させる表示制御部と、
前記視聴者端末の動きを検出し、モーションデータとして前記サーバ装置に送信する検出部と、
を有し、
前記サーバ装置は、
受信した複数の前記モーションデータのそれぞれに基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した少なくとも一つのペンライト映像を生成する生成部と、
前記歌唱者端末がストリーミング送信する前記歌唱動画に対し、生成した複数の前記ペンライト映像を合成して前記視聴者端末にライブ配信する配信部と、
を有するカラオケシステム。
【請求項2】
前記視聴者端末は、前記ペンライト映像の発光態様を決定するための発光情報を設定する設定部を有し、
前記検出部は、設定された前記発光情報を前記モーションデータと併せて前記サーバ装置に送信し、
前記生成部は、受信した前記発光情報に基づいて、前記ペンライト映像の発光態様を設定することを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記生成部は、受信した一の前記モーションデータに基づいて、複数のペンライト映像を生成することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記検出部は、記憶手段に予め記憶されている所定のモーションデータを読み出し、前記モーションデータとして前記サーバ装置に送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のカラオケシステム。
【請求項5】
前記検出部は、前記所定のモーションデータとして、前記検出部が検出した前記視聴者端末の動きに基づくモーションデータを記憶させることを特徴とする請求項4記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンのような利用者端末を利用し、誰でも気軽にライブ配信を行うことができるサービスやプラットフォーム(以下、ライブ配信サービス)が普及している。このようなライブ配信サービスの中には、カラオケ用の音源を利用できるものも存在する(非特許文献1及び2参照。以下、カラオケ配信対応サービス)。
【0003】
カラオケ配信対応サービスの利用者は、自己の利用者端末から放音される演奏音に合わせてカラオケ歌唱を行いながら、自らがカラオケ歌唱する姿を利用者端末で撮影する。利用者端末は、撮影された動画像を用いて歌唱動画を生成し、サーバ装置にストリーミング送信する。一方、他の利用者は、自らの利用者端末を用いてサーバ装置にアクセスすることにより、ストリーミング送信されている歌唱動画を自由に視聴することができる。
【0004】
この際、カラオケ歌唱を行った利用者は、歌唱動画を視聴した利用者からのコメントやギフト(カラオケ配信対応サービス内で使用可能な仮想通貨等)を受信することができる。
【0005】
ところで、アーティストのライブコンサートや各種イベント等においては、観客参加型の演出方法が採用されることがある。たとえば、楽曲の演奏や演出に合わせて多数の観客がそれぞれ携帯発光装置(たとえば、ペンライトや腕時計型の発光体)を動かすことで演出効果を高めると共に、アーティストと観客の一体感を得る方法がある。
【0006】
特許文献1には、複数色を発光可能なペンライトを利用した演出用発光装置が開示されている。特許文献1に開示された演出用発光装置は、複数の携帯発光装置(ペンライト)の発光色を、無線接続された一台の発光状態制御装置によって制御することで、観客席において任意の光の文字、画像、模様を表現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】「SHOWROOM」、株式会社第一興商、SHOWROOM株式会社、[令和1年5月6日検索]、インターネット、<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000434.000014607.html>
【0009】
【文献】「LINE LIVE」、株式会社エクシング、LINE株式会社、[令和1年5月6日検索]、インターネット、<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001318.000001594.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ライブ配信されている歌唱動画の視聴者に対し、ライブコンサートにおけるアーティストと観客の一体感と類似する感覚を与えることが可能なカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための一の発明は、複数の利用者端末、及び当該利用者端末と通信可能なサーバ装置を含むカラオケシステムであって、前記利用者端末のうち、カラオケ歌唱を行う歌唱者が操作する歌唱者端末は、楽曲の演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う演奏処理部と、前記演奏処理部が行うカラオケ演奏の演奏音と、集音手段により集音されたカラオケ歌唱の歌唱音声と、撮影手段によりカラオケ歌唱を行う前記歌唱者を撮影して得られる動画像とに基づいて歌唱動画を生成し、前記サーバ装置にストリーミング送信する転送部と、を有し、前記利用者端末のうち、前記歌唱動画を視聴する複数の視聴者が操作する複数の視聴者端末は、前記サーバ装置がライブ配信する歌唱動画を表示手段に表示させる表示制御部と、前記視聴者端末の動きを検出し、モーションデータとして前記サーバ装置に送信する検出部と、を有し、前記サーバ装置は、受信した複数の前記モーションデータのそれぞれに基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した少なくとも一つのペンライト映像を生成する生成部と、前記歌唱者端末がストリーミング送信する前記歌唱動画に対し、生成した複数の前記ペンライト映像を合成して前記視聴者端末にライブ配信する配信部と、を有するカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ライブ配信されている歌唱動画の視聴者に対し、ライブコンサートにおけるアーティストと観客の一体感と類似する感覚を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るカラオケシステムの概略を示す図である。
【
図5】実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図5を参照して、第実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。
【0015】
==カラオケシステム==
カラオケシステム1は、歌唱動画をライブ配信するためのシステムである。歌唱動画は、カラオケ歌唱を行う歌唱者を撮影して得られた動画像に、カラオケ演奏の演奏音及び歌唱音声を合成したものである。
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、複数の利用者端末、及びサーバ装置Sを備える。
【0016】
利用者端末は、カラオケシステム1の利用者が所有するスマートフォンやパーソナルコンピュータである。本実施形態に係る利用者端末には、カラオケシステム1を利用するための専用アプリケーションソフトウェア(以下、「ライブ配信アプリ」)がインストールされている。ライブ配信アプリは、サーバ装置Sや、サーバ装置Sが提供するWebサイトからダウンロードすることで入手できる。
【0017】
ライブ配信アプリは、ライブ配信を行うための歌唱動画を生成するモード(生成モード)と、ライブ配信された歌唱動画を視聴するモード(視聴モード)を備えている。
【0018】
生成モードでは、サーバ装置Sから受信したカラオケ演奏用の演奏データに基づいてカラオケ演奏を行うことができる。また、生成モードで生成される歌唱動画は、サーバ装置Sに順次、ストリーミング送信することができる。すなわち、本実施形態におけるライブ配信アプリを実行することにより、利用者は、カラオケ配信対応サービスを受けることができる。生成モード及び視聴モードの詳細については後述する。
【0019】
図1の例において、利用者U1は、所有する利用者端末M1により、自己のカラオケ歌唱を撮影する。利用者端末M1は、カラオケ歌唱に基づく歌唱動画を生成し、サーバ装置Sにストリーミング送信する。また、不特定多数の利用者U2~利用者Unは、自己の利用者端末M2~利用者端末Mnにより、サーバ装置Sがライブ配信する歌唱動画を視聴する。すなわち、利用者U1は「歌唱者」に相当し、利用者U2~利用者Unは「視聴者」に相当する。また、利用者端末M1は「歌唱者端末」に相当し、利用者端末M2~利用者端末Mnは「視聴者端末」に相当する。歌唱者端末は、利用者端末のうち、カラオケ歌唱を行う歌唱者が操作する端末である。視聴者端末は、利用者端末のうち、歌唱動画を視聴する視聴者が操作する端末である。
【0020】
サーバ装置Sは、各種情報を管理したり、各利用者端末に対して歌唱動画をライブ配信するコンピュータである。
【0021】
==歌唱者端末==
図2を参照して、歌唱者端末の構成について説明する。以下、歌唱者端末として、
図1における利用者端末M1を例に説明する。
図2に示すように、利用者端末M1は、記憶手段10、通信手段11、表示手段12、入力手段13、集音手段14、撮影手段15、放音手段16、及び制御手段17を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0022】
[記憶手段、通信手段、表示手段、入力手段、集音手段、撮影手段、放音手段]
記憶手段10は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段10は、ライブ配信アプリでカラオケ演奏が可能な楽曲の楽曲名や楽曲識別情報や端末識別情報を記憶する。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。端末識別情報は、利用者端末を識別するための端末ID等、各利用者端末に固有の情報である。
【0023】
通信手段11は、サーバ装置Sとの接続を行うためのインターフェースを提供する。表示手段12は、各種情報を表示させるディスプレイである。入力手段13は、利用者が各種指示入力を行うための構成である。なお、一般的なスマートフォンでは、表示手段12がタッチパネル形式で構成されており、入力手段13として機能する。
【0024】
利用者端末M1の集音手段14は、歌唱者(利用者U1)の歌唱音声を集音するためのマイクである。撮影手段15は、利用者端末に備え付けられているカメラである。利用者端末M1の撮影手段15は、カラオケ歌唱を行う歌唱者(利用者U1)を撮影する。放音手段16は、音声を放音するためのイヤホン等である。
【0025】
通常、カラオケ配信対応サービスを利用する際に、歌唱者は、スタンド等に利用者端末を固定し、少し離れた場所においてワイヤレス・イヤホンでカラオケ演奏音を聴きながら、ワイヤレス・マイクで歌唱を行い、撮影手段15に動画像を撮影させる。ワイヤレス・イヤホンからは、ワイヤレス・マイクで集音された歌唱音声がカラオケ演奏音とともに放音される。歌唱音声にはエコーなどの残響効果を付与することもできる。本実施形態におけるカラオケ配信対応サービスにおいても同様の方法で歌唱音声等を得ることができる。すなわち、集音手段14は、利用者端末M1で利用可能なワイヤレス・マイクのような別部材を含む。また、放音手段16は、利用者端末M1で利用可能なワイヤレス・イヤホンのような別部材を含む。
【0026】
[制御手段]
制御手段17は、利用者端末M1における各種の制御を行う。制御手段17は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0027】
ライブ配信アプリを起動し、生成モードが選択された場合(利用者がカラオケ配信対応サービスの利用を希望する場合)、制御手段17は、演奏処理部17a及び転送部17bとして機能する。
【0028】
(演奏処理部)
演奏処理部17aは、楽曲の演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う。具体的に、演奏処理部17aは、演奏データに基づいて演奏音を生成し、放音手段16から放音させる。
【0029】
演奏データは、たとえばサーバ装置Sから取得することができる。具体例として、利用者U1が、利用者端末M1を介してカラオケ歌唱のライブ配信を希望する楽曲Xを選曲したとする。この場合、演奏処理部17aは、楽曲Xの楽曲IDをサーバ装置Sに送信する。サーバ装置Sは、利用者端末M1から受信した楽曲IDに基づいて楽曲Xの演奏データを読み出し、利用者端末M1に送信する。演奏処理部17aは、受信した楽曲Xの演奏データに基づいて演奏音を生成する。なお、記憶手段10が予め複数の楽曲の演奏データを記憶しておくことでもよい。この場合、演奏処理部17aは、利用者U1が選曲した楽曲の演奏データを読み出し、当該演奏データに基づいて演奏音を生成する。
【0030】
利用者U1は、演奏音に併せてカラオケ歌唱を行う。集音手段14は、利用者U1のカラオケ歌唱による歌唱音声を集音する。また、撮影手段15は、少なくとも利用者U1がカラオケ歌唱を行っている間、利用者U1の姿(具体的には顔や上半身)を撮影する。すなわち、利用者U1は、動画像の自撮りを行う。
【0031】
なお、一般に、カラオケ歌唱が可能な楽曲には、演奏データと併せて、楽曲の歌詞を表示させるための歌詞テロップデータが準備されている。演奏処理部17aは、歌詞テロップデータに基づいて歌詞を生成し、演奏音と同期して表示手段12に歌詞を表示させることができる。歌詞テロップデータは、演奏データと同様の方法で取得することができる。
【0032】
(転送部)
転送部17bは、演奏処理部17aが行うカラオケ演奏の演奏音と、集音手段14により集音されたカラオケ歌唱の歌唱音声と、撮影手段15によりカラオケ歌唱を行う歌唱者を撮影して得られる動画像とに基づいて歌唱動画を生成し、サーバ装置Sにストリーミング送信する。
【0033】
転送部17bは、演奏音、歌唱音声、及び歌唱者の動画像を合成し、歌唱動画を生成する。各音声と動画像の合成は、公知の手法を用いることができる。転送部17bは、通信手段11を介し、生成する歌唱動画を順次サーバ装置Sにストリーミング送信する。
【0034】
==視聴者端末==
次に、
図3を参照して、視聴者端末の構成について説明する。以下、視聴者端末として、
図1における利用者端末M2を例に説明する。なお、利用者端末M3~利用者端末Mnも同様の構成を有する。
【0035】
図3に示すように、利用者端末M2のハードウェア構成は、利用者端末M1と同様である。一方、ライブ配信アプリを起動し、視聴モードが選択された場合、制御手段17は、表示制御部17c、検出部17d、及び設定部17eとして機能する。
【0036】
(表示制御部)
表示制御部17cは、サーバ装置Sがライブ配信する歌唱動画を表示手段12に表示させる。
【0037】
たとえば、利用者U2は、視聴モードを選択した後、表示手段12に表示される検索画面で視聴したい歌唱動画を選択する。利用者U1がストリーミング送信中の歌唱動画を選択した場合、表示制御部17cは、サーバ装置Sにアクセスし、利用者U1がストリーミング送信中の歌唱動画のライブ配信を受け、表示手段12に表示させる。よって、利用者U2は利用者U1がストリーミング送信中の歌唱動画を視聴することができる。また、歌唱動画を視聴する利用者U2は、入力手段13を用いてコメントを入力したり、利用者U1に対してギフトを提供することができる。
【0038】
(検出部)
検出部17dは、視聴者端末の動きを検出し、モーションデータとしてサーバ装置Sに送信する。
【0039】
視聴者端末の動きの検出は、視聴者端末に内蔵されている加速度センサ(図示なし)を用いた公知の技術により行うことができる。
【0040】
たとえば、ライブ配信アプリを起動し、視聴モードを選択した場合、表示手段12にペンライト映像を合成するかどうかの選択画面が表示される。利用者U2は、入力手段13を介して「合成する」旨の選択を行った後、歌唱動画のカラオケ歌唱に合わせて、利用者端末M2を左右や上下に振る動作を繰り返し行う。
【0041】
この場合、検出部17dは、利用者端末M2の動きを検出し、モーションデータMDとしてサーバ装置Sに送信する。
【0042】
なお、視聴者端末を振る動作は、ある一定期間だけ(たとえば、5秒間、或いはカラオケ演奏中の楽曲の2小節分)行うことでよい。その後、視聴者は視聴者端末で歌唱動画を視聴することができる。
【0043】
(設定部)
設定部17eは、ペンライト映像の発光態様を決定するための発光情報を設定する。
【0044】
ペンライト映像は、サーバ装置Sにより生成される映像である(詳細は後述)。発光態様は、ペンライト映像における発光色(ペンライト映像の色)、輝度、点灯パターン(常時点灯、点滅など)等である。
【0045】
たとえば、ライブ配信アプリを起動し、視聴モードを選択した場合、表示手段12に発光態様の選択画面が表示される。利用者U2は、入力手段13を介し、複数の発光態様の中から任意の発光態様(たとえば、発光色:赤)を選択する。設定部17eは、選択された発光態様を利用者端末M2のモーションデータMDに対応する発光情報として設定する。
【0046】
検出部17dは、設定された発光情報をモーションデータMDと併せてサーバ装置Sに送信する。
【0047】
==サーバ装置==
図4はサーバ装置Sのハードウェア構成例を示す図である。サーバ装置Sは、記憶手段20、通信手段21、及び制御手段22を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0048】
記憶手段20は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。たとえば、記憶手段20は、カラオケ演奏を行うための複数の楽曲について楽曲データを記憶する。楽曲データは、楽曲識別情報が付与されている。楽曲データは、演奏データ、リファレンスデータ、歌詞テロップデータ等を含む。通信手段21は、サーバ装置Sと各利用者端末とを接続するためのインターフェースを提供する。
【0049】
制御手段22は、サーバ装置Sにおける各種の制御を行う。
図4に示すように、本実施形態に係る制御手段22は、生成部22a及び配信部22bとして機能する。
【0050】
(生成部)
生成部22aは、受信したモーションデータに基づいて、少なくとも一つのペンライト映像を生成する。また、本実施形態において、生成部22aは、受信した発光情報に基づいて、複数のペンライト映像の発光態様を設定する。
【0051】
ペンライト映像は、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した映像である。
【0052】
たとえば、利用者端末M2からモーションデータMDを受信したとする。この場合、生成部22aは、モーションデータMDが示す動きでペンライトの画が動く映像を生成する。ペンライト映像の生成は、公知のCG技術を用いることができる。
【0053】
また、生成部22aがモーションデータMDと併せて「発光色:赤」という発光情報を受信したとする。この場合、生成部22aは、ペンライトの画が赤色で発光しながら動く映像を生成する。
【0054】
なお、生成部22aは、受信した一のモーションデータに基づいて、複数のペンライト映像を生成してもよい。この場合、一のモーションデータに基づいて生成された複数のペンライト映像は、全て同じ映像となる。
【0055】
(配信部)
配信部22bは、歌唱者端末がストリーミング送信する歌唱動画に対し、生成したペンライト映像を合成して視聴者端末にライブ配信する。
【0056】
歌唱動画をライブ配信する方法は公知の手法を利用することができる。たとえば、上記例で述べたように、利用者U1の利用者端末M1からストリーミング送信されている歌唱動画を利用者U2が選択したとする。この場合、配信部22bは、利用者U2が所有する利用者端末M2に対し、利用者端末M1がストリーミング送信中の歌唱動画のライブ配信を行う。
【0057】
利用者U2がペンライト映像の合成を選択している場合、生成部22aは、ペンライト映像を生成する。配信部22bは、利用者端末M1がストリーミング送信する歌唱動画に対し、生成部22aにより生成されたペンライト映像を合成して利用者端末M2にライブ配信を行う。利用者端末M2の表示制御部17cは、ペンライト映像が合成された歌唱動画を表示手段12に表示させる。
【0058】
なお、複数の利用者U2~利用者Unが利用者U1の歌唱動画を視聴している場合、複数の利用者端末M2~利用者端末Mnから複数のモーションデータが送信されることがある。この場合、生成部22aは、複数のモーションデータのそれぞれに基づいて複数のペンライト映像を生成する。また、配信部22bは、生成された複数のペンライト映像を歌唱動画に合成して各視聴者端末に対してライブ配信する。逆に、生成部22aは、複数のモーションデータの一部(但し、2つ以上)のみを用いてペンライト映像を生成してもよい。また、配信部22bは、生成された複数のペンライト映像の一部のみを歌唱動画に合成してライブ配信してもよい。
【0059】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、
図5を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理について述べる。
図5は、カラオケシステム1における処理を示すフローチャートである。この例では、歌唱者端末からストリーミング送信されている歌唱動画を、一の視聴者端末で視聴する例について述べる。
【0060】
歌唱者端末の演奏処理部17aは、楽曲の演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う(カラオケ演奏を開始。ステップ10)。集音手段14は、カラオケ歌唱の歌唱音声を集音する。また、撮影手段15は、カラオケ歌唱を行う歌唱者を撮影し、動画像を得る。
【0061】
転送部17bは、カラオケ演奏の演奏音、歌唱音声、及び動画像に基づいて歌唱動画を生成し、サーバ装置Sにストリーミング送信する(歌唱動画をストリーミング送信。ステップ11)。
【0062】
サーバ装置Sの配信部22bは、歌唱者端末がストリーミング送信中の歌唱動画を視聴者端末にライブ配信する(歌唱動画をライブ配信。ステップ12)。
【0063】
視聴者端末の表示制御部17cは、サーバ装置Sがライブ配信する歌唱動画を表示手段12に表示させる(歌唱動画を表示。ステップ13)。視聴者は、歌唱者の歌唱動画を視聴することができる。
【0064】
ここで、視聴者が、視聴者端末の表示手段12に表示された発光態様の選択画面で任意の発光態様を選択する。設定部17eは、選択された発光態様を視聴者端末における発光情報として設定する(発光情報の設定。ステップ14)。
【0065】
その後、視聴者は、歌唱動画の演奏音に合わせて、視聴者端末を振る動作を行う。この場合、検出部17dは、視聴者端末の動きを検出し、モーションデータ及びステップ14で設定された発光情報を併せてサーバ装置Sに送信する(モーションデータ及び発光情報の送信。ステップ15)。
【0066】
サーバ装置Sの生成部22aは、受信したモーションデータMD及び発光情報に基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬したペンライト映像を生成する(ペンライト映像を生成。ステップ16)。
【0067】
配信部22bは、歌唱者端末がストリーミング送信する歌唱動画に対し、ステップ16で生成したペンライト映像を合成して視聴者端末にライブ配信する(ペンライト映像を合成してライブ配信。ステップ17)。
【0068】
視聴者端末の表示制御部17cは、サーバ装置Sがライブ配信するペンライト映像が合成された歌唱動画を表示手段12に表示させる(ペンライト映像が合成された歌唱動画を表示。ステップ18)。
【0069】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、複数の利用者端末、及び当該利用者端末と通信可能なサーバ装置Sを含む。利用者端末のうち、カラオケ歌唱を行う歌唱者が操作する歌唱者端末は、楽曲の演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う演奏処理部17aと、演奏処理部17aが行うカラオケ演奏の演奏音と、集音手段14により集音されたカラオケ歌唱の歌唱音声と、撮影手段15によりカラオケ歌唱を行う歌唱者を撮影して得られる動画像とに基づいて歌唱動画を生成し、サーバ装置Sにストリーミング送信する転送部17bと、を有する。利用者端末のうち、歌唱動画を視聴する複数の視聴者が操作する複数の視聴者端末は、サーバ装置Sがライブ配信する歌唱動画を表示手段12に表示させる表示制御部17cと、視聴者端末の動きを検出し、モーションデータとしてサーバ装置Sに送信する検出部17dと、を有する。サーバ装置Sは、受信した複数のモーションデータのそれぞれに基づいて、実際に使用されるペンライトの動きを模擬した少なくとも一つのペンライト映像を生成する生成部22aと、歌唱者端末がストリーミング送信する歌唱動画に対し、生成した複数のペンライト映像を合成して視聴者端末にライブ配信する配信部22bと、を有する。
【0070】
このようなカラオケシステム1によれば、複数の視聴者端末の動きに応じたモーションデータのそれぞれに基づいて複数のペンライト映像を生成し、その複数のペンライト映像を歌唱動画に合成して表示させることができる。このようにペンライトによる演出が模擬された歌唱動画を視聴する視聴者は、コンサート会場で実際にペンライトを振っているのと同じ感覚を持つことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、ライブ配信されている歌唱動画の視聴者に対し、ライブコンサートにおけるアーティストと観客の一体感と類似する感覚(すなわち、歌唱者との一体感)を与えることができる。
【0071】
また、視聴者端末は、ペンライト映像の発光態様を決定するための発光情報を設定する設定部17eを有し、検出部17dは、設定された発光情報をモーションデータと併せてサーバ装置Sに送信し、生成部22aは、受信した発光情報に基づいて、ペンライト映像の発光態様を設定してもよい。このようなカラオケシステム1によれば、視聴者が希望する発光態様に応じたペンライト映像を生成することができる。
【0072】
なお、設定部17eは必須の構成ではない。たとえば、予め複数の発光情報をサーバ装置S側で記憶しておくことも可能である。この場合、生成部22aは、ペンライト映像を生成する際に一の発光情報を選択する。そして、生成部22aは、選択した発光情報に基づいてペンライト映像の発光態様を決定する。
【0073】
また、生成部22aは、受信した一のモーションデータに基づいて、複数のペンライト映像を生成してもよい。このようなカラオケシステム1によれば、一のモーションデータに基づいて生成された複数のペンライト映像を表示させることができる。従って、視聴者の数が少ない場合であっても、多数のペンライトが振られている様子を模擬的に実現することができる。
【0074】
<その他>
上記実施形態では、ライブ配信される歌唱動画を視聴している途中で視聴者端末を振る動作を行う例について述べた。この場合、視聴者が視聴者端末を振っている間は歌唱動画の音声しか聴くことができない。一方、記憶手段10に予め記憶させておいた所定のモーションデータを利用することも可能である。この場合、検出部17dは、記憶手段10に予め記憶されている所定のモーションデータを読み出し、視聴者端末の動きに応じたモーションデータとしてサーバ装置Sに送信する。このように予め記憶されているモーションデータを利用することにより、視聴者は歌唱動画の視聴に専念できる。
【0075】
所定のモーションデータは、たとえば、予め決定されているいくつかのパターンの中から一のパターンを採用することができる。このとき、採用された一のパターンをカラオケ演奏する楽曲のテンポ情報に基づいて補正し、所定のモーションデータとしてもよい。
【0076】
或いは、予め検出部17dにより取得したモーションデータを記憶手段10に記憶させておき、当該モーションデータを所定のモーションデータとして採用することができる。この場合、視聴者の好みに合った動きのペンライト映像を表示させることができる。
【0077】
また、配信部22bは、ペンライト映像を合成した歌唱動画を歌唱者端末に対してライブ配信してもよい。この場合、歌唱者は、ペンライト映像が合成された歌唱動画を視認することができるため、ライブコンサートにおけるアーティストと観客の一体感と類似する感覚(すなわち、視聴者との一体感)を得ることができる。
【0078】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 カラオケシステム
17a 演奏処理部
17b 転送部
17c 表示制御部
17d 検出部
17e 設定部
22a 生成部
22b 配信部
M1 利用者端末(歌唱者端末)
M2 利用者端末(視聴者端末)
S サーバ装置