(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】浴室給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240227BHJP
F24D 17/00 20220101ALI20240227BHJP
F24H 15/174 20220101ALI20240227BHJP
F24H 15/315 20220101ALI20240227BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20240227BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20240227BHJP
【FI】
F24H15/196 301W
F24D17/00 L
F24H15/174
F24H15/196 301C
F24H15/315
F24H15/36
F24H15/45
(21)【出願番号】P 2019127364
(22)【出願日】2019-07-09
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-185750(JP,A)
【文献】特開2009-133510(JP,A)
【文献】特開平09-097118(JP,A)
【文献】特開2019-087885(JP,A)
【文献】特開2016-223691(JP,A)
【文献】特開2015-124944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/00,15/00-15/493
F24D17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内に温水を供給するガス給湯装置と、このガス給湯装置から供給された温水と冷水を混合して浴室内に吐出する電子混合水栓とを備えた浴室給湯装置において、浴室内から上記
ガス給湯装置の作動を制御する給湯リモコン機能と、上記電子混合水栓における開閉弁及び温水と冷水との混合比を制御する電子水栓リモコン機能とを備えた1個のリモコンを有し、このリモコンに
上記電子混合水栓からの出湯温度を設定する出湯温度設定部を設けると共に、この出湯温度設定部における出湯温度の下限値が上記ガス給湯装置でのガスバーナの燃焼が停止しない値になるように制限する下限値制限手段を設けたことを特徴とする浴室給湯装置。
【請求項2】
上記1個のリモコンに上記ガス給湯装置の出湯温度に対する優先機能を設けるとともに、上記出湯温度設定部に対する出湯温度の設定により、この優先機能に基づくガス給湯装置に対する出湯温度を変更し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の浴室給湯装置。
【請求項3】
上記1個のリモコンに複数の出湯温度を予め設定し記憶する記憶部を設け、これら予め設定された出湯温度の内のいずれかを選択可能とし、かつ選択された出湯温度の温水を上記電子混合水栓から吐出させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浴室給湯装置。
【請求項4】
浴室内における照明その他の環境について複数種類の環境状態を上記記憶部に記憶させ、記憶されている複数の環境状態の内のいずれかを選択し、浴室内の環境状態をその選択された環境状態に変更し得るように構成したことを特徴とする請求項3に記載の浴室給湯装置。
【請求項5】
音声その他の身体特性によって個人を識別しうるセンサを上記浴室内に設け、このセンサによって特定された個人に対応する値を上記記憶部から呼び出すことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の浴室給湯装置。
【請求項6】
リモコンによって操作される電子機器を上記浴室内に設けるとともに、これら電子機器の操作を行うリモコンの機能を上記1個のリモコン内に付加したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の浴室給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス給湯装置から温水の給湯を受けるとともに、その温水と冷水とをミックスして浴室内に吐出する電子混合水栓を備えた浴室給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内に温水を給湯するためにガス給湯装置が用いられる。このガス給湯装置は浴室から離れた位置に設置される場合が多く、そのため、浴室内に風呂リモコンを設けて、この風呂リモコンによって浴室内からガス給湯装置の操作を行うように構成されている。
【0003】
一方、供給された温水と水道管(上水管)を介して供給される冷水とを混合して所望する水温の温水にして浴室内に吐出させる混合水栓が知られている。そして、この混合水栓として、温水と冷水との混合比率や開栓及び閉栓を電気的に行う電子混合水栓が用いられている。この電子混合水栓を用いる場合には、吐出される温水の温度や開栓及び閉栓を電子混合水栓用のリモコンで行うように構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の浴室給湯装置では、ガス給湯装置を用いているが、ガス給湯装置は温水を吐出するためにガスバーナを用いており、吐出温度が低く設定されると、このガスバーナの燃焼量を減少させる。ただし、ガスバーナの燃焼量には下限値が存在し、その下限値より燃焼量を絞るとガスバーナが失火するおそれが生じる。そのため、ガス給湯装置からの給湯温度には給水温度に対して最低限の加熱温度を加えた温度が吐出温度の下限値として存在する。ところが、上記従来の浴室給湯装置では、電子混合水栓用のリモコンとガス給湯装置用の風呂リモコンとが連動していないので、電子混合水栓のリモコンではガス給湯装置の給湯温度の最低温度よりも低い水温を吐出するように設定することが可能になる。ところが、そのような温度を設定してもガス給湯装置側で対応することができないので、電子水栓のリモコンで設定された吐出温度を無視してガス給湯装置を作動させなければならない(特許文献1段落[0038]等)。
【0006】
このため、吐出温度を設定してもその温度の温水が電子混合水栓から吐出されず、違和感を覚え使用勝手が悪いという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、実際に吐出可能な給湯温度を設定することのできる浴室給湯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による浴室給湯装置は、浴室内に温水を供給するガス給湯装置と、このガス給湯装置から供給された温水と冷水を混合して浴室内に吐出する電子混合水栓とを備えた浴室給湯装置において、浴室内から上記ガス給湯装置の作動を制御する給湯リモコン機能と、上記電子混合水栓における開閉弁及び温水と冷水との混合比を制御する電子水栓リモコン機能とを備えた1個のリモコンを有し、このリモコンに上記電子混合水栓からの出湯温度を設定する出湯温度設定部を設けると共に、この出湯温度設定部における出湯温度の下限値が上記ガス給湯装置でのガスバーナの燃焼が停止しない値になるように制限する下限値制限手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
給湯装置をコントロールする機能と電子混合水栓をコントロールする機能とを1個のリモコン内に設けることによって給湯装置のコントロールと電子混合水栓のコントロールとを連動させることができる。
【0010】
給湯装置から出湯される温水を浴室以外に供給する場合には給湯装置の出湯温度の設定に関して浴室側に優先機能を設けることが望ましい。そこで、上記1個のリモコンに上記ガス給湯装置の出湯温度に対する優先機能を設けるとともに、上記出湯温度設定部に対する出湯温度の設定により、この優先機能に基づくガス給湯装置に対する出湯温度を変更し得るように構成する。
【0011】
また、上記1個のリモコンに複数の出湯温度を予め設定し記憶する記憶部を設け、これら予め設定された出湯温度の内のいずれかを選択可能とし、かつ選択された出湯温度の温水を上記電子混合水栓から吐出させるように設定しておけば複数人で使用する際に便利である。
【0012】
その際に、浴室内における照明その他の環境について複数種類の環境状態を上記記憶部に記憶させ、記憶されている複数の環境状態の内のいずれかを選択し、浴室内の環境状態をその選択された環境状態に変更し得るように構成してもよい。
【0013】
また、音声その他の身体特性によって個人を識別しうるセンサを上記浴室内に設け、このセンサによって特定された個人に対応する値を上記記憶部から呼び出すこともできる。
【0014】
さらに、リモコンによって操作される電子機器を上記浴室内に設けるとともに、これら電子機器の操作を行うリモコンの機能を上記1個のリモコン内に付加すれば利便性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明は、電子混合水栓からの吐出温度を設定してもその温度の温水が電子混合水栓から吐出されず、違和感を覚え使用勝手が悪いという従来の不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、BRは本発明による浴室給湯装置が適用される浴室である。1はこの浴室BRに設けられている電子混合水栓2および図外の給湯装置の制御を行うリモコン装置の本体である。2は電子混合水栓であり、後述するように給湯装置から出湯される温水と上水管を通って供給される冷水とを混合し、設定された適温の温水にして吐出するものである。吐出される温水はシャワー21およびカラン22の内のいずれか一方を選択し吐出される。なお、シャワー21と電子混合水栓2とはホース21aで接続されている。
【0018】
この浴室BRには、音響装置として浴室テレビ3が設けられており、その他の外部のオーディオ装置からの音楽などを発音するためのスピーカ32が天井に設けられている。この浴室テレビ3は小型のリモコン31によって操作され、浴室テレビ3の制御のほか、スピーカ32から発音される音楽の選曲および音量設定、更に照明5の明るさや点消灯をこのリモコン31によって行うことができる。このリモコン31は無線式であり、例えば赤外線に制御信号を重畳させて放射する。従って、浴室BR内で、このリモコン31が放射する赤外線信号と同じ赤外線信号を放射すれば、リモコン31に変わって電子混合水栓2からの出湯温度や浴室BR内の音響をおよび照明を制御することができる。
【0019】
4は、浴室BRの天井に設けたマイクなどの集音器であり、浴室BR内の入浴者が発する音声を電気信号に変換してリモコン本体1に入力する。リモコン本体1では入力された音声信号を認識して、どのような内容の音声が発音されたかを音声認識する。
【0020】
本実施の形態では、予め複数の入浴者に対して各々番号付を行い、その番号について出湯温度及び音響の大きさ、照明5の明るさなど浴室BR内の環境データを紐付けして予め記憶しておく。入浴者は浴室BR内で所望する環境の番号を発音すれば、集音器4でその番号が電気信号に変換され、リモコン本体1は発音された番号に紐づけされている環境になるように浴室BR内の環境を制御する。
【0021】
図2を参照して、電子混合水栓2の上面には操作パネルが設けられている。
この操作パネルは上記リモコン装置の本体1の操作パネルであり、ボタン23a,23bは共に温水の出湯および停止を行うボタンであり、ボタン23aを押せば温水はホース21aを通ってシャワー21から吐出され、再びボタン23aを押せばシャワー21からの出湯が停止される。また、シャワー21から出湯されている状態で、ボタン23bを押せば、シャワー21からの出湯が停止し、かつカラン22からの出湯が開始される。その状態で、再びボタン23bを押せばカラン22からの出湯が停止される。出湯温度は、温度調節ボタン24aによって設定され、具体的な出湯温度の表示は表示部24に表示される。
【0022】
温度調節ボタン24aが操作されると、自動的に給湯装置に対して優先温度が設定され、浴室BR以外の場所に設けられた給湯装置用のリモコンから出湯温度が変更されようとしても、その変更操作を受け付けないようにする。また、給湯装置には入水温度に対して何度上昇させるかという吐出温度に関して、バーナの燃焼量から導かれる最低温度が決まっており、その温度以下の温水を設定しようとしても、その温度設定操作を受け付けることなく、表示部24には給湯装置の最低吐出温度が表示される。
【0023】
選択ボタン25は上述の複数の入浴者に対して個別に割り当てられている番号であり、上述のように、音声認識によって番号を選択してもよいが、この選択ボタン25で所望する番号を選択してもよい。また、上記リモコン31が放射する赤外線信号は、赤外線発光部26からも放射することができる。したがって、選択ボタン25で選択された環境にするために、浴室BR内に放射すべき赤外線信号をこの赤外線発光部26から放射することができる。
【0024】
図3は浴室BR周りの配管図であり、上水管61を通ってガス給湯装置6および電子混合水栓2に冷水が供給されると共に、ガス給湯装置6では供給された冷水を加熱して指定された温度の温水として吐出管62から電子混合水栓2および浴室BR以外の各所に給湯する。そして、電子混合水栓2およびガス給湯装置6は共に上記リモコン装置の本体1によって制御されるように構成されている。
【0025】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 リモコン本体
2 電子混合水栓
3 浴室テレビ
4 集音器
5 照明
6 ガス給湯装置
21 シャワー
21a ホース
22 カラン
23a ボタン
23b ボタン
24 表示部
24a 温度調節ボタン
25 選択ボタン
26 赤外線発光部
31 リモコン
61 上水管
62 吐出管
BR 浴室