IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図1
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図2
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図3
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図4
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図5
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図6
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図7
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図8
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図9
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図10
  • 特許-シート排出装置及び画像形成装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】シート排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/22 20060101AFI20240227BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240227BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B65H29/22 Z
B65H5/06 F
B65H29/52
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019146510
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021024725
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 伸二
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-069001(JP,A)
【文献】特開平05-186085(JP,A)
【文献】特開平05-058527(JP,A)
【文献】特開2006-199431(JP,A)
【文献】特開2008-162708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/20-29/22
B65H 29/52
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により駆動される駆動ローラと、前記駆動ローラに従動回転する従動ローラと、を有し、シートを排出する排出ローラ対と、
前記従動ローラを回転可能に保持するホルダ部材と、
第1ガイド部を有し、前記駆動ローラを回転可能に支持する第1搬送ガイドと、
シートが通過する搬送路を前記第1ガイド部と共に形成する第2ガイド部を有し、前記ホルダ部材を前記駆動ローラから離間する離間方向に移動可能に支持する第2搬送ガイドと、
前記従動ローラが前記駆動ローラに当接した状態から、前記ホルダ部材を第1距離の範囲で前記離間方向に移動可能となるように前記ホルダ部材の移動を規制する規制部と、
前記第1搬送ガイドに支持される外装部材と、
前記駆動ローラの軸線方向において前記排出ローラ対の外側に配置される外側排出ローラ対、外側ホルダ部材及び外側規制部と、を備え、
前記第1距離は、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間の前記離間方向における距離である第2距離よりも小さく、
前記外装部材に前記離間方向の外力が作用した場合、前記第1ガイド部が前記第2ガイド部から離間した状態で、前記ホルダ部材が前記規制部に突き当た
前記外側排出ローラ対は、前記駆動源により駆動され、前記第1搬送ガイドによって回転可能に支持される外側駆動ローラと、前記外側駆動ローラに従動回転する外側従動ローラと、を有し、
前記外側ホルダ部材は、前記外側従動ローラを回転可能に保持し、前記第2搬送ガイドによって前記離間方向に移動可能に支持され、
前記外側規制部は、前記外側従動ローラが前記外側駆動ローラに当接した状態から、前記外側ホルダ部材を前記第1距離よりも大きい第3距離の範囲で前記離間方向に移動可能となるように前記外側ホルダ部材の移動を規制する、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記ホルダ部材は、係合部を有し、
前記規制部は、前記第2搬送ガイドに設けられ、かつ前記係合部に係合可能な被係合部を有し、
前記従動ローラが前記駆動ローラに当接した状態で、前記係合部と前記被係合部は前記離間方向に前記第1距離だけ離れている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記規制部及び前記被係合部は、それぞれ第1規制部及び第1被係合部であり、
前記第2搬送ガイドに設けられ、かつ前記係合部に係合可能な第2被係合部を有する第2規制部を備え、
前記第1規制部及び前記第2規制部は、前記係合部をシート排出方向に挟持すると共に、前記係合部を前記第1被係合部と前記第2被係合部との間で移動可能に支持する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記従動ローラが前記駆動ローラに近づくように前記ホルダ部材を付勢する付勢部材を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部は、互いに近づく方向に延びるリブである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記従動ローラは、第1従動ローラであり、
シート排出方向において前記第1従動ローラの下流に配置され、前記ホルダ部材に回転可能に保持され、かつ前記駆動ローラに従動回転する第2従動ローラを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記離間方向は、鉛直方向に沿った方向である、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記外装部材は、前記シート排出装置の天面を構成する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを排出する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート排出装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出するシート排出装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ等の画像形成装置において、トナー像が形成されたシートを機外に排出するシート排出装置を備えたものが知られている。従来、排出ローラと、排出ローラに従動回転する加圧コロ対と、加圧コロ対を排出ローラに加圧させるように保持するコロホルダと、を有するシート排出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-58527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート排出装置は、例えばシートが機外に排出される排出口の上部に大きな外力が加わった際に、排出口を含む搬送路の上側ガイドが下側ガイドに近接し、搬送路が狭小となってしまう虞がある。これにより、搬送されるシートが搬送路で詰まり、ジャムになってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、搬送路のジャムを低減可能なシート排出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート排出装置において、駆動源により駆動される駆動ローラと、前記駆動ローラに従動回転する従動ローラと、を有し、シートを排出する排出ローラ対と、前記従動ローラを回転可能に保持するホルダ部材と、第1ガイド部を有し、前記駆動ローラを回転可能に支持する第1搬送ガイドと、シートが通過する搬送路を前記第1ガイド部と共に形成する第2ガイド部を有し、前記ホルダ部材を前記駆動ローラから離間する離間方向に移動可能に支持する第2搬送ガイドと、前記従動ローラが前記駆動ローラに当接した状態から、前記ホルダ部材を第1距離の範囲で前記離間方向に移動可能となるように前記ホルダ部材の移動を規制する規制部と、前記第1搬送ガイドに支持される外装部材と、前記駆動ローラの軸線方向において前記排出ローラ対の外側に配置される外側排出ローラ対、外側ホルダ部材及び外側規制部と、を備え、前記第1距離は、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間の前記離間方向における距離である第2距離よりも小さく、前記外装部材に前記離間方向の外力が作用した場合、前記第1ガイド部が前記第2ガイド部から離間した状態で、前記ホルダ部材が前記規制部に突き当た前記外側排出ローラ対は、前記駆動源により駆動され、前記第1搬送ガイドによって回転可能に支持される外側駆動ローラと、前記外側駆動ローラに従動回転する外側従動ローラと、を有し、前記外側ホルダ部材は、前記外側従動ローラを回転可能に保持し、前記第2搬送ガイドによって前記離間方向に移動可能に支持され、前記外側規制部は、前記外側従動ローラが前記外側駆動ローラに当接した状態から、前記外側ホルダ部材を前記第1距離よりも大きい第3距離の範囲で前記離間方向に移動可能となるように前記外側ホルダ部材の移動を規制する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、搬送路のジャムを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
図2】シート排出装置を示す正面図。
図3】シート排出装置を示す斜視図。
図4】(a)は排出ローラ対及びホルダ部材を示す拡大正面図、(b)は排出ローラ対及びホルダ部材を示す拡大斜視図。
図5】(a)は図2及び図4(a)の5A-5A断面図、(b)は図2及び図4(a)の5B-5B断面図。
図6】上カバーに外力が作用した場合のシート排出装置を示す正面図。
図7図6の7A-7A断面図。
図8】第2の実施の形態に係るシート排出装置を示す正面図。
図9】シート排出装置を示す拡大正面図。
図10】第3の実施の形態に係るシート排出装置を示す断面図。
図11】第1従動ローラ及び第2従動ローラを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施の形態>
[全体構成]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタ50は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ50は、図1に示すように、シートを給送可能なシート給送部70と、シート給送部70から給送されたシートに画像を形成する画像形成部60と、定着部80と、シート排出装置100と、を有している。
【0010】
プリンタ50に画像形成の指令が出力されると、プリンタ50に接続された外部のコンピュータ等から入力された画像情報に基づいて、画像形成部60による画像形成プロセスが開始される。画像形成部60は、像担持体である感光体ドラム6を有するカートリッジ9と、レーザースキャナ8と、転写ローラ7と、を有している。レーザースキャナ8は、入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム6に向けてレーザー光を照射する。このとき感光体ドラム6は、帯電ローラ9aにより予め帯電されており、レーザー光が照射されることで感光体ドラム6上に静電潜像が形成される。その後、現像ローラ9bによりこの静電潜像が現像され、感光体ドラム6上にトナー像が形成される。
【0011】
上述の画像形成プロセスに並行して、シート給送部70からシートSが給送される。シート給送部70は、シートSが積載される積載部1と、積載部1に積載されたシートSを給送する給送ローラ3と、給送ローラ3によって給送されたシートSを1枚ずつ分離する分離パッド4と、を有している。給送ローラ3は、駆動モータ2によって駆動される。なお、分離パッド4に代えて、分離ローラや分離斜面を用いてもよい。
【0012】
シート給送部70から給送されたシートSは、搬送ローラ対5によって転写ローラ7に向けて搬送される。転写ローラ7は、転写バイアスが印加されて感光体ドラム6上に形成されたトナー像をシートSに転写する。
【0013】
転写ローラ7によってトナー像が転写されたシートSは、加熱ローラ81及び加圧ローラ82から構成される定着部80によって加熱・加圧処理され、トナー像が定着される。そして、シートSは、シート排出装置100の排出ローラ対11によって排出トレイ12に排出される。
【0014】
[シート排出装置]
次に、シート排出装置100について詳しく説明する。シート排出装置100は、図2及び図3に示すように、フレーム部材である左右の側板17,17と、これら左右の側板17,17に支持される上搬送ガイド18及び下搬送ガイド19と、を有している。上搬送ガイド18の上部には、外装部材としての上カバー21が支持されている。
【0015】
また、シート排出装置100は、側板17,17に左右の軸受16,16を介して回転可能に支持される駆動ローラ13と、複数の従動ローラ14と、従動ローラ14を保持する複数のホルダ部材15と、を有している。駆動ローラ13は、駆動源としての駆動モータ2(図1参照)により駆動される回転軸13bと、回転軸13bに固定される複数(本実施の形態では4つ)のローラ部13aと、を有している。これら複数のローラ部13aは、それぞれゴム材料によって形成されており、回転軸13bの軸線方向ADに間隔を空けて配置されている。
【0016】
各ローラ部13aには、従動ローラ14が当接しており、これらローラ部13a及び従動ローラ14によって排出ローラ対11が構成されている。各従動ローラ14は、ホルダ部材15によって回転可能に保持されている。
【0017】
より詳しくは、図4(a)(b)に示すように、従動ローラ14の両端から突出する回転軸14a,14aは、ホルダ部材15の軸受部15a,15aに回転可能に支持されている。ホルダ部材15は、駆動ローラ13の軸線方向ADに両端部から突出する軸部15b,15bを有している。下搬送ガイド19は、図4(a)乃至図5(b)に示すように、ホルダ部材15を挟んで軸線方向ADの両側に第1リブ19a及び第2リブ19bをそれぞれ有している。ホルダ部材15の係合部としての軸部15bは、これら第1リブ19a及び第2リブ19bによって挟持されている。
【0018】
第1リブ19a及び第2リブ19bは、図4(a)に示すように、軸線方向ADに互いにずれた位置に配置されていると共に、図5(a)に示すように、軸線方向ADに視て互いに対向するように配置されている。そして、軸線方向ADに視て、第1リブ19a及び第2リブ19bによって囲まれる移動空間SPが形成されている。
【0019】
ホルダ部材15の軸部15bは、この移動空間SP内に配置されており、移動空間SP内で圧接方向Z1及び離間方向Z2に移動可能となっている。すなわち、ホルダ部材15は、下搬送ガイド19の第1リブ19a及び第2リブ19bによってシート排出方向に挟持されると共に、圧接方向Z1及び離間方向Z2に移動可能に支持されている。また、圧接方向Z1及び離間方向Z2は、鉛直方向に沿った方向である。
【0020】
図5(a)に示すように、第2規制部としての第1リブ19aは、離間方向Z2においてホルダ部材15の軸部15bの上部に対向する第2被係合部としての第1ストッパ部31を有している。規制部及び第1規制部としての第2リブ19bは、離間方向Z2において軸部15bの下部に対向する被係合部及び第1被係合部としての第2ストッパ部32を有している。これら第1ストッパ部31及び第2ストッパ部32により、ホルダ部材15の圧接方向Z1及び離間方向Z2における移動ストロークが規定されている。
【0021】
例えば、第1ストッパ部31は、ホルダ部材15が後述する距離Yの範囲で圧接方向Z1に移動可能となるように、ホルダ部材15の移動を規制する。第2ストッパ部32は、ホルダ部材15が後述する第1距離としての距離X1の範囲で離間方向Z2に移動可能となるように、ホルダ部材15の移動を規制する。第2ストッパ部32は、ホルダ部材15の軸部15bに係合可能である。
【0022】
ホルダ部材15と下搬送ガイド19との間には、図5(b)に示すように、圧縮バネ20が配設されており、付勢部材としての圧縮バネ20は、ホルダ部材15を圧接方向Z1に付勢している。これにより、ホルダ部材15に保持される従動ローラ14は、ローラ部13aに圧接し、ローラ部13aに従動回転可能となっている。
【0023】
図4(a)に示すように、第1搬送ガイドとしての上搬送ガイド18は、下方に突出する第1ガイド部としての上搬送リブ18cを有している。第2搬送ガイドとしての下搬送ガイド19は、上搬送リブ18cに対向すると共に上方に突出する第2ガイド部としての下搬送リブ19cを有している。すなわち、上搬送リブ18c及び下搬送リブ19cは、互いに近づく方向に延びるリブである。
【0024】
上搬送リブ18c及び下搬送リブ19cは、上搬送ガイド18及び下搬送ガイド19にそれぞれ複数設けられ、シートSが通過する搬送路CP(図1参照)を形成している。また、これら上搬送リブ18c及び下搬送リブ19cによって、シートSの上搬送ガイド18及び下搬送ガイド19に対する摺動抵抗が低下し、シートSを滑らかに搬送することができる。
【0025】
図4(a)及び図5(a)に示すように、上搬送リブ18cと下搬送リブ19cとの間の離間方向Z2における隙間の距離は、第2距離としての距離X2である。また、ホルダ部材15の軸部15bと第2リブ19bの第2ストッパ部32との間の離間方向Z2における隙間の距離は、距離X1である。ホルダ部材15の軸部15bと第1リブ19aの第1ストッパ部31との間の離間方向Z2における隙間の距離は、距離Yである。これらの距離は、駆動ローラ13のローラ部13aと従動ローラ14とが当接しており、かつ上カバー21に外力が作用していない状態での距離である。本実施の形態では、距離X1は、距離X2よりも小さくなるように設定されている(X1<X2)。
【0026】
次に、上カバー21に大きな外力が作用した場合について、図6及び図7を用いて説明する。図6に示すように、上カバー21の軸線方向ADにおける中央部に離間方向Z2の外力Fが作用すると、上カバー21が離間方向Z2に弓なりに変形する。この外力Fは、例えば、ユーザが上カバー21を手で押したり、重量物を上カバー21上に置いたりした場合に作用する。
【0027】
そして、上カバー21が離間方向Z2に変形することで、上搬送ガイド18及び駆動ローラ13も離間方向Z2に押されて移動する。駆動ローラ13が離間方向Z2に移動すると、駆動ローラ13のローラ部13aに当接している従動ローラ14を介して、ホルダ部材15も離間方向Z2に移動する。
【0028】
そして、ホルダ部材15は、図7に示すように、軸部15bが第2リブ19bの第2ストッパ部32に突き当たる位置まで移動可能である。図7は、軸部15bが第2ストッパ部32に突き当たって、距離X1が0となった例を示している。この例では、上搬送リブ18cが下搬送リブ19cから離間した状態で、ホルダ部材15の軸部15bが第2リブ19bの第2ストッパ部32に突き当たる。ホルダ部材15の軸部15bが第2ストッパ部32に突き当たることで、外力Fを下搬送ガイド19で受けることができ、上搬送ガイド18の移動を抑えることができる。
【0029】
この時、上搬送リブ18cと下搬送リブ19cとの間の離間方向Z2における隙間の距離は、図5(a)に示す距離X2よりも距離X1だけ縮まり、距離Xとなる。すなわち、以下の関係式が成り立つ。
X=X2-X1
ここで、上述したように本実施の形態では、X1<X2の関係であるから、
X>0
が成り立つ。
【0030】
以上のように、上カバー21に外力Fが作用しても、上搬送リブ18cと下搬送リブ19cとの間の隙間を距離Xだけ確保することができるため、搬送路CPをシートSが通過することができ、ジャムの発生を低減できる。これは、距離X1を距離X2よりも小さくなるように設定しているためである。
【0031】
なお、軸部15bが第2ストッパ部32に突き当たった時の、上搬送リブ18cと下搬送リブ19cとの間の離間方向Z2における距離Xは、約0.5mm以上となることが好ましいが、例えば距離Xを0.3mm~1.0mmに設定してもよい。距離Xを1.0mm以下とすることで、ホルダ部材15の移動ストロークを抑え、装置を小型化できる。
【0032】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の下搬送ガイド19の構成を変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0033】
図8及び図9に示すように、本実施の形態に係るシート排出装置200は、ローラ部13a、従動ローラ14及びホルダ部材15をそれぞれ4個ずつ有している。下搬送ガイド119は、ホルダ部材15を圧接方向Z1及び離間方向Z2に移動可能に支持する第1リブ29a,39a及び第2リブ29b,39bを有している。
【0034】
軸線方向ADにおける中央側の2つのホルダ部材15は、第1リブ29a及び第2リブ29bにより、圧接方向Z1及び離間方向Z2における移動ストロークが規定されている。軸線方向ADにおける中央側の第1ホルダ部材としての2つのホルダ部材15の軸部15bと第2リブ29bの不図示の第2ストッパ部との間の隙間の距離は、距離X1に設定されている。距離X1は、第1の実施の形態と同様に、距離X2よりも小さくなるように設定されている(X1<X2)。
【0035】
一方で、軸線方向ADにおける両端側の2つのホルダ部材15は、第1リブ39a及び第2リブ39bにより、圧接方向Z1及び離間方向Z2における移動ストロークが規定されている。軸線方向ADにおける両端側の第2ホルダ部材としての2つのホルダ部材15の軸部15bと第2リブ39bの不図示の第2ストッパ部との間の隙間の距離は、第3距離としての距離X3に設定されている。また、距離X3は、距離X1よりも大きくなるように設定されている(X3>X1)。更に、距離X3は、距離X2以上の大きさに設定されている(X3≧X2)。
【0036】
図6で説明したように、上カバー21の軸線方向ADにおける中央部に離間方向Z2の外力Fが作用すると、上カバー21が離間方向Z2に弓なりに変形する。すなわち、上カバー21は、軸線方向ADにおける外側よりも中央側の方が大きく変形する。そのため、上搬送ガイド18及び駆動ローラ13も、軸線方向ADにおける中央部が両端部よりも離間方向Z2に移動する。また、上搬送ガイド18及び駆動ローラ13は、両端部が側板17,17に保持されているため、両端部は中央部よりも離間方向Z2における移動量が少ない。
【0037】
そこで、本実施の形態では、距離X3を距離X1よりも大きくなるように設定すると共に、距離X3を距離X2以上の大きさに設定している。このように距離X3を設定しても、軸線方向ADにおける中央側の2つのホルダ部材15が両端側の2つのホルダ部材15よりも先に下搬送ガイド119の第2リブ29bに突き当たる。これにより、外力Fを下搬送ガイド119で受けることができ、上搬送ガイド18の移動を抑えることができ、上搬送リブ18cと下搬送リブ19cとの間の離間方向Z2における隙間の距離Xを確保することができる(X>0)。
【0038】
以上により、上搬送リブ18cと下搬送リブ19cとの間の隙間を距離Xだけ確保することができるため、搬送路CPをシートSが通過することができ、ジャムの発生を低減できる。
【0039】
また、距離X3を距離X2以上の大きさに設定することで、軸線方向ADにおける両端側のホルダ部材15の離間方向Z2における移動ストロークを大きくすることができ、圧縮バネ20の設定の自由度を向上することができる。
【0040】
また、軸線方向ADにおける両端部がカールしたシートSが排出ローラ対11を通過する際には、軸線方向ADにおける中央部側よりも両端部側の従動ローラ14を押し下げる力が強くなる。よって、距離X3を距離X2以上の大きさに設定することで、カールしたシートSへのダメージを低減し、滑らかにシートSを排出することができる。
【0041】
また、下搬送ガイド119をジャム処理のために着脱可能に構成した場合、ホルダ部材15の移動ストロークが小さいと、下搬送ガイド119を装着する時の抵抗が強くなる。しかしながら、軸線方向ADにおける両端側のホルダ部材15の離間方向Z2における移動ストロークを大きくすることで、下搬送ガイド119を装着する時の抵抗を小さくし、組み付け性を向上できる。
【0042】
<第3の実施の形態>
次いで、本発明の第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態は、第1の実施の形態の従動ローラ14に代えて、第1従動ローラ23及び第2従動ローラ24を適用したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0043】
図10及び図11に示すように、本実施の形態に係るシート排出装置300は、駆動ローラ13と、駆動ローラ13のローラ部13aに当接する第1従動ローラ23及び第2従動ローラ24と、ホルダ部材25と、を有している。第2従動ローラ24は、シート排出方向において従動ローラとしての第1従動ローラ23の下流に配置されている。ホルダ部材25は、第1従動ローラ23及び第2従動ローラ24を回転可能に保持すると共に、圧縮バネ20によってローラ部13aに向けて付勢されている。
【0044】
以上により、駆動ローラ13のローラ部13aと第1従動ローラ23のニップ部N1にシートSをスムーズに導入することができる。また、ローラ部13aと第2従動ローラ24のニップ部N2により、シートSの排出角度(迎角)を大きくすることができる。また、これらローラ部13a、第1従動ローラ23及び第2従動ローラ24により、シートSのカールを矯正することができる。
【0045】
<その他の実施の形態>
なお、既述のいずれの形態においても、下搬送ガイドに設けられた第2リブの第2ストッパ部によってホルダ部材の離間方向Z2における移動を規制していたが、これに限定されない。例えば、下搬送ガイド19とは別体に設けられたストッパ部材によってホルダ部材の離間方向Z2における移動を規制してもよい。
【0046】
また、既述のいずれの形態においても、ローラ部13a及びホルダ部材15,25をそれぞれ4個設けているが、これに限定されない。例えば、これらの部材を、1~3個又は5個以上ずつ設けてもよい。
【0047】
また、既述のいずれの形態においても、ホルダ部材15,25は圧接方向Z1及び離間方向Z2にスライド移動するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、ホルダ部材15は、軸線方向ADに平行に延びる軸を中心に回動可能に構成されてもよい。
【0048】
また、既述のいずれの形態においても、ホルダ部材の軸部、第1リブ及び第2リブの形状は、どのような形状であってもよい。例えば、下搬送ガイドに圧接方向Z1及び離間方向Z2に延びる長孔部を形成し、この長孔部によって軸部の圧接方向Z1及び離間方向Z2における移動を規制してもよい。
【0049】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ50を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
2:駆動源(駆動モータ)/11:排出ローラ対/13:駆動ローラ/14:従動ローラ/15,25:ホルダ部材、第1ホルダ部材、第2ホルダ部材/15b:係合部(軸部)/18:第1搬送ガイド(上搬送ガイド)/18c:第1ガイド部(上搬送リブ)/19:第2搬送ガイド(下搬送ガイド)/19a:第2規制部(第1リブ)/19b:規制部、第1規制部(第2リブ)/19c:第2ガイド部(下搬送リブ)/20:付勢部材(圧縮バネ)/21:外装部材(上カバー)/23:従動ローラ、第1従動ローラ/24:第2従動ローラ/31:第2被係合部(第1ストッパ部)/32:被係合部、第1被係合部(第2ストッパ部)/50:画像形成装置(プリンタ)/100,200,300:シート排出装置/AD:軸線方向/CP:搬送路/X1:第1距離(距離)/X2:第2距離(距離)/X3:第3距離(距離)/Z2:離間方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11