(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240227BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
G03G21/16 176
(21)【出願番号】P 2019168874
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 穰司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 宰
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-055035(JP,A)
【文献】特開2007-279532(JP,A)
【文献】特開2007-264073(JP,A)
【文献】特開2018-013503(JP,A)
【文献】特開2013-029676(JP,A)
【文献】特開2014-219563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0181673(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02843479(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を用いて記録材に画像を形成する画像形成部を備える装置本体と、
前記装置本体に対して着脱方向に着脱可能に構成された、現像剤を収容するカートリッジと、
を備える画像形成装置において、
前記装置本体は、
前記着脱方向のうち前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる方向である離脱方向における前記装置本体の下流側に設けられた内カバーと、
前記内カバーに設けられた開口であって前記カートリッジを前記装置本体に装着する際に前記カートリッジが通過する開口と、
前記開口を開閉するドアと、
前記カートリッジから現像剤を受け取る受取口が設けられ、前記受取口から受け取った現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記受取口を開放する第1開位置と、前記受取口を閉鎖する第1閉位置と、の間を前記現像剤収容部に対し前記着脱方向に沿って移動可能に組み付けられた第1シャッタ部材であって、第1当接部が設けられた第1シャッタ部材と、
前記第1シャッタ部材が前記第1開位置から前記第1閉位置に向かう方向に前記第1シャッタ部材を付勢する第1付勢部材と、
前記装置本体の前記第1シャッタ部材と異なる部分に設けられた第3当接部と、
を備え、
前
記離脱方向は、前記第1付勢部材が前記第1シャッタ部材を付勢する方向であり、
前記カートリッジは、
現像剤を前記現像剤収容部に前記受取口を介して供給するための供給口が設けられた現像剤容器と、
前記供給口を開放する第2開位置と、前記供給口の全域を閉鎖する第2閉位置と、の間を前記現像剤容器に対して前記着脱方向に沿って移動可能に組み付けられ、第4当接部が設けられた第2シャッタ部材と、
前記第2シャッタ部材が前記第2開位置から前記第2閉位置に向かう方向に前記第2シャッタ部材を付勢する第2付勢部材と、
前記第1当接部と当接するように構成された第2当接部と、
を備え、
前記カートリッジが前記装置本体に装着されている状態において、前記第1シャッタ部材の前記第1当接部と、前記カートリッジの前記第2当接部とが前記第1付勢部材の付勢力に抗して当接し、前記装置本体の前記第3当接部と前記第2シャッタ部材の前記第4当接部とが前記第2付勢部材の付勢力に抗して当接する、ように構成されており、
前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる際に、前記第2シャッタ部材が前記第2付勢部材の付勢力によって前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動するまで、前記第1当接部と前記第2当接部の当接状態が維持されるように、前記第1シャッタ部材が前記第1付勢部材によって付勢され
、
前記カートリッジは、前記第1付勢部材の付勢力によって第1位置から第2位置へ移動するように構成され、前記第1位置は、前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1開位置及び前記第2開位置にあって前記供給口と前記受取口とが連通する位置であり、前記第2位置は、前記第1位置よりも前記離脱方向において下流側にあって前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1閉位置及び前記第2閉位置にあり、前記ドアが開いた状態において前記離脱方向における前記カートリッジの下流側の端面が前記内カバーよりも外側にある位置であり、
前記第1付勢部材の前記付勢力は、前記カートリッジを前記第1位置から前記第2位置まで移動するように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2当接部は、前記第2シャッタ部材よりも前記離脱方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる際、前記第1シャッタ部材の前記第1当接部から前記カートリッジの前記第2当接部に作用する力によって、前記装置本体の前記第3当接部から前記第2シャッタ部材の前記第4当接部に作用する力が減じて、前記第2シャッタ部材が前記第2付勢部材の付勢力によって前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジは、前記第1付勢部材の付勢力によって第1位置から第2位置へ移動するように構成され、
前記第1位置は、前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1開位置及び前記第2開位置にあって、前記供給口と前記受取口が連通する位置であり、
前記第2位置は、前記第1位置よりも前記離脱方向において下流側にあって、前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1閉位置及び前記第2閉位置にある位置である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置本体は、規制部材をさらに備え、
前記規制部材は、前記第1付勢部材の付勢力に抗して前記カートリッジが前記第1位置から前記第2位置に移動することを規制する規制位置と、前記第1付勢部材の付勢力によって前記カートリッジが前記第1位置から前記第2位置に移動することを規制しない非規制位置と、の間を移動可能である、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カートリッジは、把持部をさらに備え、
前記装置本体は、前記カートリッジが前記装置本体に着脱される際に前記カートリッジが通過する開口部と、前記開口部を開閉するカバーと、を有し、
前記把持部は、前記カバーが前記開口部を開放している場合において、前記カートリッジが前記第1位置にある時は前記開口部を介して前記装置本体の外部に露出せず、前記第2位置にある時は前記開口部を介して前記装置本体の外部に露出することを特徴とする請
求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体は、前記カートリッジを前記着脱方向に移動可能にガイドするレール部材をさらに備え、
前記第1シャッタ部材が前記受取口の全域を閉鎖する前記第1閉位置にあるときの前記第1付勢部材の付勢力をF1、
前記カートリッジの重量をm、
重力加速度をg、
前記カートリッジと前記レール部材との間の静止摩擦係数をμ1、
としたときに、
F1>μ1mg
が成り立つことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記カートリッジの重量は、前記カートリッジに収容された現像剤が消費され、前記カートリッジの交換が必要なタイミングのときの重量であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体は、前記受取口を囲むように前記現像剤収容部に固定され、前記現像剤収容部と前記第1シャッタ部材との間をシールする第1シール部材をさらに備え、
前記第1シール部材と前記第1シャッタ部材との間の摺動抵抗力をFr、としたときに、
F1>μ1mg+Fr
が成り立つことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カートリッジに収容される現像剤の量が最大のときの前記カートリッジの重量をM、
としたとき、
F1<μ1Mg+Fr
が成り立つことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1付勢部材の付勢力によって、前記第1シャッタ部材に設けられた第1突き当て面と、前記現像剤収容部に設けられた第1規制部と、が当接することで、前記第1シャッタ部材の前記第1閉位置から前記第1開位置への移動が規制され、
前記第1シャッタ部材が前記第1閉位置にあるときの前記付勢力であるF1は、前記第1突き当て面と前記第1規制部とが当接する直前の付勢力であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
現像剤を用いて記録材に画像を形成する画像形成部を備える装置本体と、
前記装置本体に対して着脱方向に着脱可能に構成された、現像剤を収容するカートリッジと、
を備える画像形成装置において、
前記装置本体は、
前記カートリッジから現像剤を受け取る受取口が設けられ、前記受取口から受け取った現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記受取口を開放する第1開位置と、前記受取口を閉鎖する第1閉位置と、の間を前記現像剤収容部に対し前記着脱方向に沿って移動可能に組み付けられた第1シャッタ部材であって、第1当接部が設けられた第1シャッタ部材と、
前記第1シャッタ部材が前記第1開位置から前記第1閉位置に向かう方向に前記第1シャッタ部材を付勢する第1付勢部材と、
前記装置本体の前記第1シャッタ部材と異なる部分に設けられた第3当接部と、
を備え、
前記着脱方向のうち前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる方向である離脱方向は、前記第1付勢部材が前記第1シャッタ部材を付勢する方向であり、
前記カートリッジは、
現像剤を前記現像剤収容部に前記受取口を介して供給するための供給口が設けられた現像剤容器と、
前記供給口を開放する第2開位置と、前記供給口の全域を閉鎖する第2閉位置と、の間を前記現像剤容器に対して前記着脱方向に沿って移動可能に組み付けられ、第4当接部が設けられた第2シャッタ部材と、
前記第2シャッタ部材が前記第2開位置から前記第2閉位置に向かう方向に前記第2シャッタ部材を付勢する第2付勢部材と、
前記第1当接部と当接するように構成された第2当接部と、
を備え、
前記カートリッジが前記装置本体に装着されている状態において、前記第1シャッタ部材の前記第1当接部と前記カートリッジの前記第2当接部とが前記第1付勢部材の付勢力に抗して当接し、前記装置本体の前記第3当接部と前記第2シャッタ部材の前記第4当接部とが前記第2付勢部材の付勢力に抗して当接する、ように構成されており、
前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる際に、前記第2シャッタ部材が前記第2付勢部材の付勢力によって前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動するまで、前記第1当接部と前記第2当接部の当接状態が維持されるように、前記第1シャッタ部材が前記第1付勢部材によって付勢されており、
前記カートリッジは、前記第1付勢部材の付勢力によって、前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1開位置及び前記第2開位置にあって、前記供給口と前記受取口が連通する第1位置から、前記第1位置よりも前記離脱方向において下流側にあって、前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1閉位置及び前記第2閉位置にある第2位置へ移動するように構成され、
前記装置本体は、前記第1付勢部材の付勢力に抗して前記カートリッジが前記第1位置から前記第2位置に移動することを規制する規制位置と、前記第1付勢部材の付勢力によって前記カートリッジが前記第1位置から前記第2位置に移動することを規制しない非規制位置と、の間を移動可能な規制部材をさらに備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対し着脱可能なトナーカートリッジの自動排出機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置は、幅広いユーザによって日常業務において頻繁に使用されている。従って、画像形成装置は、その取扱いに不慣れなユーザにとっても、カートリッジの交換等のメインテナンスを容易に行うことができる構造であることが望ましい。そのため、交換時期まではカートリッジをロックし、交換時期が到来した場合、交換すべきカートリッジが装置本体外へ自動で排出される構成が知られている。
例えば、特許文献1には、カートリッジを排出させる機構として、カートリッジの下方の支持台にギアを備え、ギアを駆動させることでカートリッジを機外に排出させる構成が開示されている。また、特許文献2には、装置本体のトナーカートリッジの後方側に押圧部と押圧部回転支持ピン、ソレノイド、引っ張りバネを備え、ソレノイドを動作させることにより、押圧部を回動させ、トナーカートリッジを取り出し位置に移動させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-202847号公報
【文献】特許第5307200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、支持台を排出するためのギアや駆動構成を設けなければならず、装置の大型化や部品数の増加を招いてしまう。また、特許文献2に記載の構成では、ソレノイドの性能により、カートリッジの移動量や押し出す力が制限される。特に、装置本体とのトナー受け渡し口とそれを開閉するシャッタ部材を有するカートリッジにおいては、トナーの漏れや飛散を抑制するために、取り出し位置ではトナー受け渡し口をシャッタ部材で閉塞していることが望ましい。しかしながら、ソレノイドを用いた排出構成では移動量の制約から、設計の自由度が制限される。
【0005】
本発明は、装置の大型化や部品数の増加を招くことなく、簡易な構成でカートリッジを自動排出でき、取り出し位置でのトナーの漏れや飛散を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
現像剤を用いて記録材に画像を形成する画像形成部を備える装置本体と、
前記装置本体に対して着脱方向に着脱可能に構成された、現像剤を収容するカートリッジと、
を備える画像形成装置において、
前記装置本体は、
前記着脱方向のうち前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる方向である離脱方向における前記装置本体の下流側に設けられた内カバーと、
前記内カバーに設けられた開口であって前記カートリッジを前記装置本体に装着する際に前記カートリッジが通過する開口と、
前記開口を開閉するドアと、
前記カートリッジから現像剤を受け取る受取口が設けられ、前記受取口から受け取った現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記受取口を開放する第1開位置と、前記受取口を閉鎖する第1閉位置と、の間を前記現像剤収容部に対し前記着脱方向に沿って移動可能に組み付けられた第1シャッタ部材であって、第1当接部が設けられた第1シャッタ部材と、
前記第1シャッタ部材が前記第1開位置から前記第1閉位置に向かう方向に前記第1シャッタ部材を付勢する第1付勢手段と、
前記装置本体の前記第1シャッタ部材と異なる部分に設けられた第3当接部と、
を備え、
前記離脱方向は、前記第1付勢部材が前記第1シャッタ部材を付勢する方向であり、
前記カートリッジは、
現像剤を前記現像剤収容部に前記受取口を介して供給するための供給口が設けられた現像剤容器と、
前記供給口を開放する第2開位置と、前記供給口の全域を閉鎖する第2閉位置と、の間を前記現像剤容器に対して前記着脱方向に沿って移動可能に組み付けられ、第4当接部が設けられた第2シャッタ部材と、
前記第2シャッタ部材が前記第2開位置から前記第2閉位置に向かう方向に前記第2シャッタ部材を付勢する第2付勢部材と、
前記第1当接部と当接するように構成された第2当接部と、
を備え、
前記カートリッジが前記装置本体に装着されている状態において、前記第1シャッタ部材の前記第1当接部と、前記カートリッジの前記第2当接部とが前記第1付勢部材の付勢力に抗して当接し、前記装置本体の前記第3当接部と前記第2シャッタ部材の前記第4当接部とが前記第2付勢部材の付勢力に抗して当接する、ように構成されており、
前記カートリッジが前記装置本体から離脱させられる際に、前記第2シャッタ部材が前記第2付勢部材の付勢力によって前記第2開位置から前記第2閉位置へ移動するまで、前記第1当接部と前記第2当接部の当接状態が維持されるように、前記第1シャッタ部材が前記第1付勢部材によって付勢され、
前記カートリッジは、前記第1付勢部材の付勢力によって第1位置から第2位置へ移動するように構成され、前記第1位置は、前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1開位置及び前記第2開位置にあって前記供給口と前記受取口とが連通する位置であり、前記第2位置は、前記第1位置よりも前記離脱方向において下流側にあって前記第1シャッタ部材及び前記第2シャッタ部材がそれぞれ前記第1閉位置及び前記第2閉位置にあり、前記ドアが開いた状態において前記離脱方向における前記カートリッジの下流側の端面が前記内カバーよりも外側にある位置であり、
前記第1付勢部材の前記付勢力は、前記カートリッジを前記第1位置から前記第2位置まで移動するように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カートリッジの排出位置でカートリッジの開口部を確実に閉じることができ、カートリッジ排出時のトナーの漏れや飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1における画像形成装置1の主断面図
【
図2】本発明の実施例1における現像装置9の斜視図
【
図3】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の斜視図
【
図4】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の構成部品の斜視図
【
図5】本発明の実施例1におけるトナー搬送装置14の斜視図
【
図6】本発明の実施例1における画像形成装置1の斜視図
【
図7A】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の排出過程毎の断面図
【
図7B】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の排出過程毎の断面図
【
図7C】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の排出過程毎の断面図
【
図7D】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の排出過程毎の断面図
【
図8】本発明の実施例1におけるトナーカートリッジ13の排出規制構成の模式図
【
図9】比較例のトナーカートリッジの構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施例1]
以下の説明において、画像形成装置等における「前側」や「前方」は、画像形成装置が水平な設置面に載置される通常の設置状態における画像形成装置の正面側(通常の使用時においてユーザが画像形成装置に向かい合った場合の手前側)に対応する。また、画像形成装置等における「後ろ側」や「後方」は、「前側」や「前方」の反対側であって、上記通常の設置状態における画像形成装置の背面側(通常の使用時においてユーザが画像形成装置に向かい合った場合の奥側)に対応する。また、「前後方向」は、「前側」から「後ろ側」に向かう方向あるいはその逆方向に対応し、上記設置面に平行な水平方向でもある。また、「上下」、「上側」、「下側」、「上向」、「下向」、「上方向」、「下方向」等は、画像形成装置の上記設置面に対して垂直な方向を基準とし、画像形成装置の正面に向き合ったユーザから見たときの「上」と「下」とに基づいた表現になる。また、「左右」、「左側」、「右側」、「左方向」、「右方向」等は、上記通常の設置状態における画
像形成装置の奥行方向と直交する水平方向を基準とし、画像形成装置の正面に向き合ったユーザから見たときの「左」と「右」とに基づいた表現になる。
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の全体構成を示す模式的主断面図であり、画像形成装置1を正面側から見たときの断面図である。
【0011】
(給紙)
画像形成装置1の下部には、カセット2が引き出し可能に収納されている。カセット2の端部付近にはカセット給送部3が配設される。カセット2にそれぞれ転写材を積載収容し転写材を1枚毎に分離し、レジストローラ5に給送するようになっている。
【0012】
(画像形成部)
画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎のトナー(現像剤)に対応する画像形成ステーション6Y、6M、6C、6Kを、横一列に並設してなる画像形成手段としての画像形成部6を備えている。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム7Y、7M、7C、7K(以後感光体ドラム7で統一)、感光体ドラム7の表面を均一に帯電する帯電装置8Y、8M、8C、8K(帯電装置8)、静電潜像にトナーを付着させてトナー像(現像剤像)として現像する現像装置9Y、9M、9C、9K(現像装置9)、感光体ドラム7に残っている残留トナーを除去するクリーニングブレード10Y、10M、10C、10K(クリーニングブレード10)が内設されている。また、現像装置9には、各色毎に対応した現像ローラ11Y、11M、11C、11K(現像ローラ11)が各感光体ドラム7に対して当接離間可能な構成で設けられている。静電潜像された画像に合わせて、すなわち現像の必要の有無に応じて、各現像ローラ11毎に当接及び離間を行うことで、現像ローラ11の寿命を向上させている。そして、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム7上に静電潜像を形成するスキャナユニット12が画像形成部6の下部に設けられている。画像形成ステーション6Y、6M、6C、6Kは、プロセスカートリッジとして、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能に構成されている。プロセスカートリッジは、現像ローラ11を備えた現像装置9と、感光体ドラム7、帯電装置8、クリーニングブレード10を備えた感光体ユニットと、をそれぞれ個別に、または両者を一体に、装置本体に対して着脱可能に構成されている。ここで、画像形成装置1の装置本体とは、上述のプロセスカートリッジや後述するトナーカートリッジなどのように、画像形成装置1に対して着脱自在な構成を除いた構成部分のことを指す。
【0013】
(トナーカートリッジ(現像剤カートリッジ))
スキャナユニット12とカセット2との間には、各画像形成ステーション(画像形成部)6にトナーを補給するための補給カートリッジとしてのトナーカートリッジ13Y、13M、13C、13K(トナーカートリッジ13)が略水平に配設されている。トナーカートリッジ13の内部には、各色に対応した補給用トナーが充填されている。トナー搬送装置14Y、14M、14C、14K(トナー搬送装置14)は、トナーカートリッジ13から受け取ったトナーを上方に搬送し、現像装置9にトナーを供給する。トナー搬送装置14は、トナー搬送装置14の下部に配設されたトナー搬送駆動装置15Y、15M、15C、15K(トナー搬送駆動装置15)によって駆動する。トナーカートリッジ13、トナー搬送装置14の詳細説明は後述する。
【0014】
(転写)
現像装置9の上部には中間転写ユニット16が設けられている。中間転写ユニット16は、各画像形成ステーション(画像形成部)6と対向する側を下方にして略水平に配置されている。各感光体ドラム7に対向する中間転写ベルト18は、回転可能な無端状のベルトであり、複数の張架ローラに張架されている。中間転写ベルト18の内面には、一次転写部材として一次転写ローラ19Y、19M、19C、19K(一次転写ローラ19)が
配置されている。各一次転写ローラ19は、中間転写ベルト18を介して各感光体ドラム7と一次転写部20Y、20M、20C、20K(一次転写部20)を形成する位置にそれぞれ配置されている。各一次転写部20で、電圧が印加される一次転写ローラ19によって、各感光体ドラム7から中間転写ベルト18にトナー像が転写される。本実施例では、中間転写ベルト18、中間転写ベルト18を張架する複数の張架ローラ、各一次転写ローラ19を備えるユニットを中間転写ユニット16として装置本体に着脱可能な構成にしている。
【0015】
二次転写部材である二次転写ローラ21は、中間転写ベルト18に接触し、中間転写ベルト18を介して対向側のローラと二次転写部17を形成している。二次転写部17で、中間転写ベルト18上に転写されたトナー像は紙などの転写材(記録材)に二次転写される。二次転写で転写材に転写しきれず、中間転写ベルト18上に残留したトナーがクリーニングユニット22により除去される。クリーニングユニット22で除去されたトナーは、トナー搬送部23を経由しトナー回収容器24へ搬送され、蓄積される。
【0016】
(定着、排紙)
二次転写部17においてトナー像が転写された転写材は、その後、定着装置25に搬送され、定着装置25の内部にある加熱ユニット25aと、加熱ユニット25aに圧接する加圧ローラ25bとで形成されるニップを通過する。定着装置25を通過してトナー像が定着された転写材は、排出ローラ対27へ搬送され、転写材積載部32に排出される。
【0017】
(電源装置)
画像形成装置1の背面側には、画像形成装置1内に設けられている各種モータやファン、ソレノイド等の制御部に電圧を供給する低圧電源装置(不図示)を配置している。また、中間転写ベルト18とトナー回収容器24の間の空間には、帯電装置8・現像装置9・一次転写ローラ19・二次転写ローラ21等に高圧を印加するための高圧電源装置33を配置している。
【0018】
(現像装置)
図2は、現像装置9を後方から見た斜視図である。現像装置9には、現像ローラ11、現像容器トナー受入開口108、現像容器受入シャッタ109、現像容器現像容器トナー受入開口108と現像容器受入シャッタ109の隙間を埋めるための現像容器受入口シール110が備わっている。現像容器受入口シール110は、ゴム等の弾性部材で構成されるシール部材である。本図では、構成説明のために現像容器トナー受入開口108、現像容器受入シャッタ109、現像容器受入口シール110を分離して描いているが、通常、現像容器受入口シール110は現像容器受入シャッタ109と一体で構成されている。現像容器受入シャッタ109は、現像枠体101にスライド移動可能に保持されている。現像装置9が画像形成装置1に装着されてない間は、現像容器受入シャッタ109は現像容器トナー受入開口108を閉塞している。画像形成装置1に現像装置9が装着されると、現像容器受入シャッタ109が画像形成装置1本体内に設けた突起(不図示)に当接し、現像容器受入シャッタ109はスライドして、現像容器トナー受入開口108が開口する。開口した現像容器トナー受入開口108は、トナー搬送装置14から搬送されたトナーを現像装置9内部に受け入れ、現像ローラ11へトナーを供給する。
以下、本発明に関する詳細構成について説明する。
【0019】
(トナーカートリッジの詳細)
図3(a)は、トナーカートリッジ13を左前側の上方から見た斜視図である。
図3(b)は、トナーカートリッジ13を左後ろ側の下方から見た斜視図である。
図3に示すように、トナーカートリッジ13は、画像形成装置1の装置本体に対する着脱方向(挿抜方向)を長手方向とする、略直方体形状の容器本体201を有し、容器本体201内にトナ
ーを収容する。なお、本実施例においては、上記着脱方向(長手方向)が、画像形成装置の前後方向と一致する構成となっているが、これに限定されない。また、本実施例においては、容器本体201が略直方体形状である構成について述べるが、これに限定されない。例えば、円筒体形状であっても本発明の効果は変わらない。トナーカートリッジ13の上壁部の前側には、把持部202が形成されている。把持部202は、容器本体201の上面の一部が凹んだ形状を成しており、ユーザは装置本体から排出されたトナーカートリッジ13の把持部202に指をかけ引き出すことが可能である。
【0020】
図3(b)に示すように、トナーカートリッジ13の後壁面には、駆動カップリング203が回転自在に設けられている。駆動カップリング203は、容器本体201内のスクリュー(不図示)と連結しており、画像形成装置1内に装着された際に、本体側の駆動カップリング(不図示)と係合することで、駆動が伝達される。
【0021】
トナーカートリッジ13の後壁面には、後述する第1当接部314(
図5)と当接する第2当接部204が設けられている。第2当接部204は、後壁面の一部が突出した断面が長方形の凸形状をしており、後述するトナーカートリッジシャッタ207の装置本体前後方向の後ろ側で、左右方向と上下方向の位置は、(?第1当接部314と?)ほぼ同位置に配置されている。
容器本体201下壁部の後壁側には、第2シャッタ部材としてのトナーカートリッジシャッタ207(以下、シャッタ207)、トナーカートリッジシャッタバネ206(以下、シャッタバネ206)、第2開口部シール208が設けられている。第2開口部シール208は、ゴム等の弾性部材で構成されるシール部材である。
【0022】
図4は、トナーカートリッジ13からシャッタ207とシャッタバネ206が取り外された状態を下方から見た斜視図である。
図4に示すように、容器本体201の下壁部の後壁側に、容器本体201内のトナーを供給する略正方形の孔からなる第2開口部(供給口)205が形成されている。第2開口部205周囲の壁部には、第2開口部シール208が両面テープで貼りつけられている。第2開口部シール208の中央部には、第2開口部205と略同形状の連通孔208aが開いており、第2開口部205と連通孔208aの位置が一致するように、第2開口部シール208は容器本体201の下壁に貼りつけられている。この第2開口部シール208は、シャッタ207が容器本体201に取り付けられた際に容器本体201とシャッタ207との間で圧縮され、容器本体201とシャッタ207との間からトナーが漏れるのを抑制している。また、容器本体201は、第1開口部シール208の後ろ側に、第1開口部シール208貼り付け面から下向きに延びた壁である第2突き当て面201cを有しており、後述するシャッタ207の第2規制部207eと当接する。
【0023】
シャッタ207は、長方形の平板形状を有しており、開口孔(第1の連通孔)207a、第4当接部207b、支持ボス207c、フランジ部207d、第2規制部207eを有している。
【0024】
シャッタ207は、容器本体201の長手方向に対して左右に突出しかつ長手方向に沿って延びる一対のフランジ部207dが設けられている。一方、容器本体201には、上記左右の方向に凹みかつ長手方向に沿って延びる一対の溝部201aが設けられている。シャッタ207は、フランジ部207dが溝部201aに嵌まるように容器本体201に組み付けられ、フランジ部207dが溝部201内を長手方向に沿って摺動することで、容器本体201に対して長手方向にスライド自在(相対移動自在)に保持されている。
【0025】
シャッタ207には、第2開口部205とよりも大きい開口孔207aが開いている。第2開口部205及び連通孔208aと、開口孔207aとが一致したとき(互いに重な
るとき)に、トナーを容器本体201の内部から外部へ排出可能になる(容器本体201内のトナーを装置本体側へ供給可能になる)。
【0026】
シャッタ207の前側(
図4中右側)には、前側方向に延びる円筒形状の支持ボス207cを有しており、後述するシャッタバネ206の内径を支持する。第4当接部207bは、シャッタ207から下方に突出しスライド方向に対して左右に長いリブ形状であり、トナーカートリッジ13を着脱する際に、後述する本体側の第3当接部315(
図5)と当接する。
【0027】
シャッタバネ206は、圧縮バネであり、一端が、容器本体201の下壁に設けられた後ろ側に延びるボス201bに保持され、他端が、シャッタ207の支持ボス207cに保持されるように取り付けられる。シャッタバネ206は、容器本体201とシャッタ207との間で前後方向に圧縮され、シャッタ207を容器本体201に対して後ろ側に付勢している。トナーカートリッジ13が画像形成装置1に装着されてない間、シャッタ207の後ろ側の側面の第2規制部207eと容器本体201の第2突き当て面201cがシャッタバネ206の付勢力に抗して当接することでシャッタ207は支持され、このとき、シャッタ207は第2開口部205を閉塞している。
【0028】
(トナー搬送装置14詳細)
図5は、トナー搬送装置14を前方から見た斜視図である。トナー搬送装置14は、トナー受入れ容器(現像剤受取部)301、カバー部材302、中間パイプ303、排出部パイプ304で、トナーを搬送するためのダクトで構成されている。
図5では説明の明瞭化のため、ダクト形状の一部を切り取り、内部を可視化している。トナー水平搬送部材305、トナー上方搬送部材306、トナー排出部搬送部材307は、螺旋形状を有した樹脂製のスクリューであり、それぞれトナー受入れ容器301、中間パイプ303、排出部パイプ304に回転可能に収容されている。なお、本実施例では中間パイプ303およびトナー上方搬送部材306は長尺の一体形状をしているが、組立性の観点などから分割されていてもよい。トナー水平搬送部材305は、トナー受入れ容器301の外部から係合された水平スクリュー駆動ギア308によって伝達された駆動力によって回転する。トナー上方搬送部材306は、トナー受入れ容器301の外部から係合された上方スクリュー駆動ギア309によって伝達された駆動力によって回転する。トナー排出部搬送部材307は、トナー上方搬送部材306から伝達される駆動力によって回転する。本スクリュー同士の駆動伝達は、ねじれ角45°のはすば歯車形状を有した羽根を回転させることで行う。なお、各スクリューの駆動接続手段が本実施例と異なる形態であったとしても、本発明における効果は変わらない。
【0029】
カバー部材302は、トナー受入れ容器301の上方に容器内のトナーが漏れないように密着して設けられ、第1開口部(受取口)310、第1シャッタレール313、第3当接部315、第1規制部318、バネかけフック319を有している。第1開口部310は、前述したシャッタ207の開口孔207aよりも大きい孔であり、トナー受入れ容器301内に連通しており、画像形成装置1内に装着されたトナーカートリッジ13の第1開口部205から供給されたトナーを受け入れる。第1シャッタレール313は、カバー部材302の左右において前後方向に延びる長いリブ形状であり、後述する第1シャッタ部材311のレール溝322と係合することで第1シャッタ部材311の動作を規制する。第3当接部315は、カバー部材302の前縁から上方向に延びた左右に長いリブ形状であり、その前面がシャッタ207の第4当接部207bと当接することで、シャッタ207が開くことができる。第1規制部318は、左右のシャッタレール313の前側に垂直に延びた壁形状であり、後述する第1シャッタ部材311の第1突き当て面317と当接することで、第1シャッタ部材311を閉位置に規制する。バネかけフック319は、カバー部材302の上面から上方向に延びた2つの円ボス形状であり、第1規制部318
の前側に配置されている。
【0030】
カバー部材302の上方には、第1シャッタ部材311、第1開口部310と第1シャッタ部材311の隙間を埋めるための第1シール部材312、第1シャッタバネ316(第1付勢部材)が備わっている。第1シール部材312は、ゴム等の弾性部材で構成されるシール部材である。
図5では、構成説明のために第1シャッタバネ316、第1シャッタ部材311、第1シール部材312を分離して描いている。実際には、第1シール部材312は、カバー部材302に両面テープで密着して設けてある。また、第1シャッタ部材311は、第1シール部材312と密着する高さに、カバー部材302に設けてある第1シャッタレール313に沿って、前後方向(矢印A方向)にカバー部材302に対してスライド可能(相対移動可能)に設けてある。
【0031】
第1シール部材312は、中央部に第1開口部310と略同形状の連通孔312aが空いており、前述したように、カバー部材302の上面に両面テープで孔位置が第1開口部310と一致するように貼りつけられている。
【0032】
第1シャッタ部材311は、壁部320、第1当接部314、第1突き当て面317、バネ規制部321、レール溝322を有している。壁部320は、水平方向に延びた平板形状であり、壁部320の下面が第1シール部材312の連通孔312aの上方に位置するとき、第1開口部310からトナーが漏れるのを抑制する。第1当接部314は、壁部320から鉛直上向きに突出し左右に長いリブ形状であり、その前面がトナーカートリッジ13の第2当接部204と当接することで、第1シャッタ部材311は開閉する。レール溝322は、壁部320の左右に設けられた断面が凹形状の前後方向に延びた溝であり、それぞれ凹部が内側を向いている。この溝形状がカバー部材302の第1シャッタレール313と係合することで、前述したように、第1シャッタ部材311は、カバー部材302に対して前後方向(矢印A方向)にスライド可能となる。第1突き当て面317は、レール溝322の前側の鉛直方向に延びた面であり、後述する第1シャッタバネ316の付勢力を受けて、カバー部材302の第1規制部318と当接する。トナーカートリッジ13の挿入等によって第1シャッタ部材311に作用する第1シャッタバネ316の付勢力が減じる状態にならない限り、第1シャッタ部材311は第1シャッタバネ316の付勢力によって閉位置に規制される。バネ規制部321は、断面が円弧形状をした上方向に延びた壁であり、この外径に第1シャッタバネ316の側面を当接させることで、第1シャッタ部材311を装置本体前側に付勢している。
【0033】
第1シャッタバネ316は、引っ張りバネであり、その両端はカバー部材302の2つのバネフック319にかけられており、前述したように、バネの側面を第1シャッタ部材311のバネ規制部321にかけることで、第1シャッタ部材311を装置本体前側に付勢している。トナーカートリッジ13の非装着時は、前述したように、第1シャッタバネ316の付勢力によりカバー部材302の第1規制部318に第1シャッタ部材311の第1突き当て面317が当接した状態となり、第1シャッタ部材311は壁部320が第1開口部310を閉塞する位置に規制されている。
【0034】
トナーカートリッジ13から供給されたトナーは、第1開口部310からトナー受入れ容器301内部に流入し、各トナー搬送部材によって搬送され、排出部パイプ304に設けてある排出口(不図示)から排出される。排出口部には排出部シャッタ323が、矢印A方向にスライド可能に設けてある。排出部シャッタ323は、現像装置9が装着されるとスライド移動し、排出口を開口する。また、トナー排出口と排出部シャッタ323の隙間を埋めるためのシール(不図示)が備わっている。
【0035】
図6は、画像形成装置1を左前の上方から見た斜視図である。
図6(a)は、全ての扉
が閉じた状態の斜視図、
図6(b)は、トナーカートリッジドア502が開き、トナーカートリッジ13Mが排出されたときの斜視図である。
【0036】
図6(a)に示すように、画像形成装置1の前面は、上下に並んだ3枚の外装から構成されている。上側の外装501は、画像形成ステーション6Y、6M、6C、6Kや、トナー回収容器24を交換する時に開閉するための開閉扉である。中央の外装502(以後、トナーカートリッジドア)は、トナーカートリッジ13を交換する時に開閉する開閉扉である。下側の外装503は、カセット2に固定されている前カバーである。
【0037】
図6(b)に示すように、トナーカートリッジ13を交換する際には、トナーカートリッジドア502を、ドアの下側を支点(不図示)として開閉することで、トナーカートリッジにアクセスすることができる。トナーカートリッジ13の内壁には、5本のガイドリブ502aがドアを開いた状態で前後方向に延びるように設けられており、このガイドリブ502aをガイドとしてトナーカートリッジ13を着脱することができる。
【0038】
トナーカートリッジドア502の内側には、内カバー504が設けられている。内カバー504は、トナーカートリッジ13の断面よりも若干大きい開口が開いており、この開口を通じてトナーカートリッジ13を装着することがでる。また、トナーカートリッジ13装着時に、トナーカートリッジ13前側の上下方向、左右方向の位置を規制している。トナーカートリッジ13の前後方向の位置は規制部材506により、位置が規制さている。
【0039】
図8(a)は、規制部材506によりトナーカートリッジ13の装置本体からの排出が規制された状態(画像形成をするための第1位置である状態)を示す模式的断面図である。トナーカートリッジ13の容器本体201には、装置本体に設けられた規制部材506が係合可能な被係合部136が設けられている。規制部材506は、オペレーションパネルの制御により、被係合部136に係合する係合位置と係合しない非係合位置とに進退移動可能に構成されている。後述するように、装置本体における所定の装着位置(装着完了位置)にある容器本体201には、トナーカートリッジ13を装置本体外部へ排出する方向(後ろ側から前側に向かう方向)に、第1シャッタバネ316による付勢力F1が加わっている。規制部材506が被係合部136と係合した状態にあることで、トナーカートリッジ13の容器本体201は、装置本体における装着完了位置から装置本体外部へ排出される方向に移動することが規制されている。
図8(b)は、規制部材506による規制が解除されることで、把持部202を含むトナーカートリッジ13の一部が装置本体の外部に露出するように排出された状態(カートリッジを交換するための第2位置にある状態)を示す模式的断面図である。規制部材506が被係合部136と係合しない非係合位置まで退避することで、所定の大きさの付勢力F1の作用によりトナーカートリッジ13が排出方向(本体前側)に移動し、把持部202が装置本体外部に露出する状態になる。
なお、ここで示したトナーカートリッジ13の排出規制構成は一例であり、上記構成に限定されるものではない。
【0040】
再び、
図6(b)に示すように、トナーカートリッジ13が規制部材506によって装置本体このとき、トナーカートリッジ13の上面の前側は、内カバー504で覆われており、把持部202にアクセスできないようになっている。トナーカートリッジ13を交換するときには、対象のトナーカートリッジ13が本体前側に移動することで、把持部202が機外に露出し、ユーザは把持部202に指を入れて引き出すことができる。このトナーカートリッジ13の交換は、トナーが無くなったことを不図示の検知手段により検知し、不図示のオペレーションパネルに対象のトナーカートリッジ13の交換を促すメッセージを表示する。その後、ユーザはオペレーションパネルで交換するトナーカートリッジ1
3を選択することで、対象のトナーカートリッジ13が排出される。本実施例では、規制部材506の進退をオペレーションパネルの操作により制御し、トナーカートリッジ13を排出しているが、これに限定されるものではない。例えば、内カバー504に、各トナーカートリッジ13の上側に押しボタンを設け、ボタンを押すことで、排出するようにしてもよい。
【0041】
以上説明した構成を用いて、本実施例の動作について、
図7A~
図7Dを用いて説明する。
図7A~
図7Dは、第1開口部310の中心を通り、画像形成装置1を左側から見た断面図である。
図7Aは、トナーカートリッジ13が画像形成装置1に装着されている状態から上述した規制部材506による規制が解除された瞬間の状態を示す断面図である。
図7Bは、
図7Aの状態から容器本体201だけがトナーカートリッジ13の排出方向に移動し、シャッタ207の第4当接部207bとカバー部材302の第3当接部315の当接が離れる寸前の状態を示す断面図である。
図7Cは、
図7Bの状態から更にトナーカートリッジ13が排出され、第1シャッタ部材311の第1当接部314とトナーカートリッジ13(容器本体201)の第2当接部204が離れる寸前の状態を示す断面図である。
図7Dは、
図7Cから更にトナーカートリッジ13が排出され、第1当接部314と第2当接部204の当接が完全に離れた状態の断面図である。
【0042】
図7Aに示すように、トナーカートリッジ13が画像形成装置1に装着されている状態では、第1開口部310と第2開口部205は連通している。シャッタ207は、第4当接部207bがカバー部材302の第3当接部315にシャッタバネ206の付勢力に抗って当接し、第2規制部207eと容器本体の第2突き当て面201cは離間している。また、第1シャッタ部材311は、第1当接部314がトナーカートリッジ13の第2当接部204に第1シャッタバネ316の付勢力に抗って当接している。このとき、トナーカートリッジ13は、容器本体201の第2当接部204において、第1シャッタバネ316の付勢力を第1当接部314から装置本体前側(図の矢印Bの方向)の力F1a(以後、第1当接力)として受けている。さらに、シャッタバネ206の付勢力からシャッタ207と第2開口部シール208の摺動抵抗を引いた、装置本体前側(図の矢印Bの方向)の力F3a(以後、第3当接力)を、シャッタ207の第4当接部207bにおいてカバー部材302の第3当接部315から受けている。トナーカートリッジ13が画像形成装置1内に装着されているとき、これらの装置本体前側の力を
図8の規制部材506により規制することで、トナーカートリッジ13が排出されるのを防止しつつ、装着完了位置としての画像形成位置に位置決めされている。
【0043】
トナーカートリッジ13を排出する際は、規制部材506の解除手段により、規制部材506の規制を解除することで、上述した付勢力を用いてトナーカートリッジ13を排出する。トナーカートリッジ13を排出する際、画像形成装置1内のトナーカートリッジ13の下側に設けられたレール部材としてのトナーカートリッジレール505により、トナーカートリッジ13をガイドすることで、トナーカートリッジ13を着脱することができる。このとき、トナーカートリッジ13とトナーカートリッジレール505との間で摩擦力が発生するが、この摩擦力よりも上述した付勢力を高めることでトナーカートリッジ13の排出を可能にしている。交換時のトナーカートリッジ13の質量をm、重力加速度をg、トナーカートリッジレール505とトナーカートリッジ13との静止摩擦係数をμ1とすると、以下の関係式が成り立つように第1シャッタバネ316のバネ圧が設定されている。
F1a+F3a>μ1mg
【0044】
この摩擦力μ1mgは、トナーカートリッジ13の前側にバネばかりの可動部を固定し
、トナーカートリッジ13をトナーカートリッジレール505に乗せた状態で、バネばかりで引き抜くことで測定できる。
また、交換時のトナーカートリッジ13の質量mは、収容されたトナーが消費され、画像形成を継続することが困難な残量となって、新たなトナーカートリッジ13への交換が必要となったタイミングにおける重量である。
【0045】
図7Aの状態から排出が開始されると、
図7Bに示すように、シャッタ207の位置は変わらず、先ず容器本体201だけが排出方向に移動することで、シャッタ207の第2規制部207eと容器本体201の第2突き当て面201cが当接する。この状態において、第2開口部205がシャッタ207で閉塞されると同時に、シャッタ207の第4当接部207bに当接するカバー部材302の第3当接部315に対するシャッタバネ206の付勢力の作用が解除される。シャッタバネ206の付勢力は、シャッタ207の第2規制部207eと容器本体201の第2突き当て面201cとの当接部で受けるようなるため、トナーカートリッジ13は、シャッタバネ206の付勢力を外力として受けない(シャッタバネ206の付勢力はトナーカートリッジ13内で完結している)状態となる。このとき、第1開口部310は、第1シャッタ部材311で閉じておらず、第1シャッタ部材311の第1当接部314と容器本体201の第2当接部204との当接は継続しており、シャッタ207の開口孔207aと第1開口部310は連通したままである。このときの第1当接力F1b、第3当接力をF3bとすると、以下の関係式が成り立つようにバネ圧を設定している。
F3b=0
F1b>μ1mg
【0046】
図7Bの状態から更にトナーカートリッジ13が排出されると、
図7Cに示すように、シャッタ207の第4当接部207bとカバー部材302の第3当接部315は完全に離間される。第1シャッタ部材311は、第1突き当て面317とカバー部材302の第1規制部318が当接するまで(
図5参照)、第1シャッタ部材311の第1当接部314と容器本体201の第2当接部204の当接は継続(当接状態が維持)される。したがって、この状態において、トナーカートリッジ13は、第1シャッタバネ316の付勢力を受け続けている。また、第1シャッタ部材311は、第1開口部シール312と密着しながら移動するため、第1開口部シール312からの反発力に応じた摩擦力を受ける。第1突き当て面317と第1規制部318が当接する直前の第1当接力をF1cとし、第1シャッタ部材311と第1開口部シール312との間の摺動抵抗力をFrとすると、以下の関係式が成り立つように第1シャッタバネ316の付勢力は設定されている。
F1c>μ1mg+Fr
【0047】
このときのトナーカートリッジ13の排出量は、
図6(b)に示すように、把持部202が内カバー504から露出する位置である。また、新品(トナー量が最大(満タン)の状態)のトナーカートリッジ13の質量をMとすると、以下の関係式が成り立つように第1シャッタバネ316の付勢力が設定されている。
F1c<μ1Mg+Fr
【0048】
第1突き当て面317と第1規制部318が当接すると、第1シャッタ部材311は、カバー部材302に規制され排出方向(B方向)への移動が停止する。トナーカートリッジ13は、カバー部材302から受けていた第1シャッタバネ316の付勢力の勢い(慣性)のままに更に排出方向に移動する。そうすると、
図7Dに示すように、トナーカートリッジ13は第1当接部314と第2当接部204の当接は解除され、画像形成装置1前側の力を受けなくなる。
【0049】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置1のトナーカートリッジ13から
トナーを受け取る第1開口部310を塞ぐ第1シャッタ部材311に、トナーカートリッジ13の容器本体201の第2当接部204と当接する第1当接部314を設け、第1シャッタ部材311を付勢している第1シャッタバネ316の付勢力を用いて、トナーカートリッジ13を排出している。かかる構成によれば、簡易な構成かつ省スペースでカートリッジを自動排出することが可能である。
【0050】
第1シャッタ部材311の第1当接部314は、トナーカートリッジ13の容器本体201に設けられた第2当接部204と当接することにより、トナーカートリッジ13の安定した排出を可能にする。第2当接部204をトナーカートリッジ13の排出方向におけるシャッタ207(第4当接部207b)の上流側に設けている(排出方向に見たときに両者が一致、あるいは重なる配置にしている)。こうすることで、排出時に第1当接力F1aと第3当接力F3aの位相差により発生するモーメントによるトナーカートリッジ13の傾きを抑制することができ、安定した排出を実現することができる。
【0051】
図9は、第2当接部204の配置を本実施例とは異ならせた比較例の構成を示す模式的斜視図である。
図9(a)に示す比較例1は、本実施例の第2当接部204の位置から水平方向右側にずらした位置に第2当接部204aを配置した構成となっている。また、
図9(b)に示す比較例2は、本実施例の第2当接部204の位置から上側にずらした位置に第2当接部204bを配置した構成となっている。シャッタ207の第4当接部207bで受ける第3当接力F3aと、容器本体201の第2当接部204a又は204bで受ける第1当接力F1aとの間に位相差(排出方向と直交する方向における距離)が発生する。一方、本実施例は、上記位相差が比較例1、2よりも小さい位相差となっている、すなわち、排出方向と直交する方向における両者の位置が近傍となるように構成されている。したがって、本実施例の構成によれば、排出に際してトナーカートリッジ13に発生するモーメントは小さいため、トナーカートリッジ13の排出を安定して行うことができる。
【0052】
さらに、トナーカートリッジ13の排出時に、シャッタ207が、第2開口部205を完全に閉塞した状態でも、トナーカートリッジ13とトナーカートリッジレール505との摩擦力より第1当接力F1bが勝ることで、シャッタ207が完全に閉まる位置まで、途中で止まることなく、トナーカートリッジ13を排出することができる。したがって、第2開口部205からのトナーの漏れや飛散を抑制できる。
【0053】
また、シャッタ207を第1シャッタ部材311と当接させずに、装置本体1に固定されているカバー部材302に当接させることで、それぞれのシャッタが独立して開閉する。したがって、シャッタバネ206の付勢力が、排出に必要な第1シャッタバネ316の付勢力に影響しないため、安定した排出が可能となる。加えて、バネの設計の自由度も向上する。
【0054】
交換時のトナーカートリッジ13の重量に対するトナーカートリッジレール505との摩擦力と第1シャッタ部材311と第1開口部シール312との摩擦力の和よりも、第1シャッタ部材311の第1突き当て面317とカバー部材302の第1規制部318が当接する直前の第1当接力F1cを大きくしている。これにより、第1シャッタ311が第1開口部310を完全に閉塞するまでトナーカートリッジ13を排出することができるため、第1開口部310からのトナーの飛散や漏れを抑制することができる。
【0055】
また、画像形成装置1内に装着されている状態では、トナーカートリッジ13の把持部202は内カバー504に隠れ、上述したトナーカートリッジ13の排出位置で、トナーカートリッジ13の把持部202が内カバー504から露出する。これにより、ユーザが対象のトナーカートリッジ13を認知しやすく、ユーザビリティを向上できる。
【0056】
さらに、新品時のトナーカートリッジ13の重量に対するトナーカートリッジレール505との摩擦力と第1シャッタ部材311と第1開口部シール312との摩擦力の和よりも、第1シャッタ部材311の第1突き当て面317とカバー部材302の第1規制部318が当接する直前の第1当接力F1cを小さくしている。これにより、第1シャッタバネ316のバネ圧を不必要に上げることなく、トナーカートリッジ13が画像形成装置1内に装着されているときの第1シャッタ部材311から受ける荷重を小さくすることができる。したがって、トナーカートリッジ13の容器本体201の撓みやクリープを抑制できる。
【0057】
上述した各々の関係式として、動摩擦係数ではなく、静止摩擦係数を用いることで、排出時にユーザが途中でトナーカートリッジ13の排出を止めたとしても、解放時に確実に排出位置にトナーカートリッジ13を排出することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…画像形成装置、9…現像装置、13…トナーカートリッジ、14…トナー搬送装置、201…容器本体、201c…第2突き当て面、202…把持部、203…駆動カップリング、204…第2当接部、205…第2開口部、206…トナーカートリッジシャッタバネ(第2付勢部材)、207…トナーカートリッジシャッタ、207b…第4当接部、207e…第2規制部、208…第2開口部シール、302…カバー部材、310…第1開口部、311…第1シャッタ部材、312…第1開口部シール(第1シール部材)、313…第1シャッタレール、314…第1当接部、315…第3当接部、316…第1シャッタバネ(第1付勢部材)、317…第1突き当て面、318…第1規制部、319…バネかけフック、320…壁部、321…バネ規制部、322…レール溝、502…トナーカートリッジドア、502a…ガイドリブ、504…内カバー、505…トナーカートリッジレール、F1…第1当接力、F2…第3当接力、m…交換時のトナーカートリッジの質量、M…新品のトナーカートリッジの質量、μ1…トナーカートリッジとトナーカートリッジレールとの静止摩擦係数、μ2…第1シャッタ部材と第1開口部シールとの静止摩擦係数、R…第1シャッタ部材が第1開口部シールから受ける反発力