(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】地盤硬化材及び地盤硬化方法
(51)【国際特許分類】
C09K 17/10 20060101AFI20240227BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20240227BHJP
C09K 17/12 20060101ALI20240227BHJP
C09K 17/08 20060101ALI20240227BHJP
C09K 17/06 20060101ALI20240227BHJP
C09K 17/02 20060101ALI20240227BHJP
C04B 28/08 20060101ALI20240227BHJP
C04B 28/26 20060101ALI20240227BHJP
C09K 103/00 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
C09K17/10 P
E02D3/12 101
C09K17/12 P
C09K17/08 P
C09K17/06 P
C09K17/02 P
C04B28/08
C04B28/26
C09K103:00
(21)【出願番号】P 2019214894
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-06-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-109584(JP,A)
【文献】特開2011-208131(JP,A)
【文献】特開平10-168451(JP,A)
【文献】特開2005-154608(JP,A)
【文献】特開2003-213665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 17/00
E02D 3/12
C04B 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントを含むA液と、ケイ酸アルカリ金属塩及び水酸化アルミニウムを含むB液と、を含む地盤硬化材であって、
下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を混合してゲル化するまでの時間(ゲルタイム)が5秒未満であり、
前記ケイ酸アルカリ金属塩が下記式(1)で示され
、
R
2O・nSiO
2 (1)
(式(1)中、Rはアルカリ金属であり、nは5以上である。)
前記B液が、さらにアルカリ金属の炭酸塩を含み、
前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して20~60質量部であり、
前記アルカリ金属の炭酸塩の含有量が、前記ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して1~30質量部である、地盤硬化材。
[ゲルタイムの測定方法]
(1)5℃において、前記A液と前記B液とを等体積で混合して混合物を得る。得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の20%以上、70%以下の量とする。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
(2)前記工程(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心及び上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、前記混合物と空気との界面が流動して変化するか、又は前記界面が不動であるかを判別する。
(3)前記工程(2)の確認後、前記紙コップを再び水平面に載置する。
(4)前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまで前記工程(2)及び工程(3)を繰り返す。
(5)前記工程(1)の前記A液と前記B液の混合開始時を起点として、前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
【請求項2】
下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから30分後の混合物のゲル強度が4.9N未満である請求項1に記載の地盤硬化材。
[ゲル強度の測定方法]
ゲル強度の測定には豆腐用硬度計(シロ産業製、品番:SOWB-5N)を用い、4cm×4cm×16cmの型枠に混合物を流し込み、所定時間を経過させて作製した供試体表面に硬度計を垂直にあて、抵抗値(N)を測定する。
【請求項3】
前記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから1時間後の混合物のゲル強度が4.9N以上である請求項2に記載の地盤硬化材。
【請求項4】
下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから24時間後の混合物の圧縮強度が0.10N/mm
2以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の地盤硬化材。
[圧縮強度の測定方法]
圧縮強度はJIS R 5201:2015に従って測定する。
【請求項5】
前記ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が、前記セメント100質量部に対して40質量部以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の地盤硬化材。
【請求項6】
前記A液が、さらにカルシウム塩を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の地盤硬化材。
【請求項7】
前記カルシウム塩の含有量が、前記セメント100質量部に対して1質量部以上、15質量部未満である請求項6に記載の地盤硬化材。
【請求項8】
前記セメントが高炉セメントである請求項1~
7のいずれか一項に記載の地盤硬化材。
【請求項9】
前記A液中の前記セメントの含有量が5~60質量%である請求項1~
8のいずれか一項に記載の地盤硬化材。
【請求項10】
前記B液中の前記ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が5~60質量%である請求項1~
9のいずれか一項に記載の地盤硬化材。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の地盤硬化材を用いる地盤硬化方法であって、
前記A液と前記B液とを混合する工程と、
前記A液と前記B液との混合物を地盤へ注入する工程と、
を含むことを特徴とする地盤硬化方法。
【請求項12】
地盤へ注入する直前に前記A液と前記B液とを混合する請求項
11に記載の地盤硬化方法。
【請求項13】
前記A液と前記B液との混合比率(体積比)が1:3~3:1である請求項
11又は
12に記載の地盤硬化方法。
【請求項14】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の地盤硬化材を用いる地盤硬化方法であって、
前記A液と前記B液とをそれぞれ地盤へ注入する工程と、
地盤中で前記A液と前記B液とを混合する工程と、
を含むことを特徴とする地盤硬化方法。
【請求項15】
地盤へ注入する前記A液と前記B液との比率(体積比)が1:3~3:1である請求項
14に記載の地盤硬化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤硬化材及び地盤硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良方法として、硬化性の薬剤を含む地盤硬化材を地盤に注入する薬液注入工法が知られている。薬液注入工法は、ジェットグラウト工法のような高圧の噴流によって地盤を乱しながら改良する工法とは異なり、地盤を極力乱さないで改良でき、また設備がコンパクトである利点を有する。
【0003】
地盤硬化材としては、特定の2液(2液のうちの一方はセメントを含む)を含む地盤硬化材が知られている。該地盤硬化材を用いて地盤を硬化する場合、例えば該2液を別々に圧送し、地盤注入前に該2液を混合し、得られた混合物を地盤に注入することで地盤を硬化させることができる。また、該2液を別々に圧送し、それぞれ地盤へ注入し、地盤中で該2液を混合させることで地盤を硬化させることもできる。一方、逸流防止能を付与する等の観点から、水ガラス(珪酸ナトリウム)等のケイ酸アルカリ金属塩を含む地盤硬化材が知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、高炉スラグ微粉末、分級セメント、ポリアクリル酸系分散剤、消石灰及び水を含むA液と、ケイ酸アルカリ金属塩及び水を含むB液と、を含む地盤注入用薬液が開示されている。また、特許文献2~10には、水ガラス(珪酸ナトリウム)を含む地盤注入剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-159697号公報
【文献】国際公開第2011/027891号
【文献】特開2005-139368号公報
【文献】特開2008-144015号公報
【文献】特開2005-146161号公報
【文献】特開2013-147630号公報
【文献】特開平9-157649号公報
【文献】特開昭52-113505号公報
【文献】特開昭52-87807号公報
【文献】特開昭52-120507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した2液を含む地盤硬化材では、特に水分を多く含む軟弱で変形しやすい地盤を硬化させる際に、該2液混合物の地盤中での逸流や希釈を抑制する観点から、2液混合後に速やかに硬化することが求められている。特に、低温下では硬化速度が低下するため、低温下においても2液混合後に速やかに硬化することが求められている。
【0007】
本発明は、2液を含む地盤硬化材において、低温下においても2液混合後に速やかに硬化する地盤硬化材、及び該地盤硬化材を用いた地盤硬化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を含む。
【0009】
本発明に係る地盤硬化材は、セメントを含むA液と、ケイ酸アルカリ金属塩を含むB液と、を含む地盤硬化材であって、
下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を混合してゲル化するまでの時間(ゲルタイム)が5秒未満であることを特徴とする。
[ゲルタイムの測定方法]
(1)5℃において、前記A液と前記B液とを等体積で混合して混合物を得る。得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の20%以上、70%以下の量とする。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
(2)前記工程(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心及び上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、前記混合物と空気との界面が流動して変化するか、又は前記界面が不動であるかを判別する。
(3)前記工程(2)の確認後、前記紙コップを再び水平面に載置する。
(4)前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまで前記工程(2)及び工程(3)を繰り返す。
(5)前記工程(1)の前記A液と前記B液の混合開始時を起点として、前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
【0010】
本発明に係る地盤硬化方法は、本発明に係る地盤硬化材を用いる地盤硬化方法であって、
前記A液と前記B液とを混合する工程と、
前記A液と前記B液との混合物を地盤へ注入する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る地盤硬化方法は、本発明に係る地盤硬化材を用いる地盤硬化方法であって、
前記A液と前記B液とをそれぞれ地盤へ注入する工程と、
地盤中で前記A液と前記B液とを混合する工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2液を含む地盤硬化材において、低温下においても2液混合後に速やかに硬化する地盤硬化材、及び該地盤硬化材を用いた地盤硬化方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[地盤硬化材]
本発明に係る地盤硬化材は、セメントを含むA液と、ケイ酸アルカリ金属塩を含むB液と、を含む。ここで、下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を混合してゲル化するまでの時間(ゲルタイム)は、5秒未満である。
【0014】
〔ゲルタイムの測定方法〕
(1)5℃において、前記A液と前記B液とを等体積で混合して混合物を得る。得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の20%以上、70%以下の量とする。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
(2)前記工程(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心及び上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、前記混合物と空気との界面が流動して変化するか、又は前記界面が不動であるかを判別する。
(3)前記工程(2)の確認後、前記紙コップを再び水平面に載置する。
(4)前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまで前記工程(2)及び工程(3)を繰り返す。
(5)前記工程(1)の前記A液と前記B液の混合開始時を起点として、前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
【0015】
このように、ゲルタイムは、A液とB液とを混合した際、混合開始時を起点として、混合物が著しく増粘して流動が困難になるまでの時間を意味する。本発明に係る地盤硬化材では、前記方法により5℃で測定されるゲルタイムが5秒未満であるため、低温下において前記A液と前記B液とを混合した場合にも速やかに硬化する。これにより、低温下において、例えば水分を多く含む軟弱で変形しやすい地盤を硬化させる際にも、地盤中における地盤硬化材の逸流や希釈を抑制し、良好に地盤を硬化させることができる。前記ゲルタイムは4.5秒以下が好ましく、4秒以下がより好ましい。前記ゲルタイムの範囲の下限は特に限定されないが、作業性等の観点から例えば1秒以上であることができる。
【0016】
本発明では、後述するように、例えば(A)SiO2含有率の高いケイ酸アルカリ金属塩を用いる(後述する式(1)におけるnが5以上)、(B)ケイ酸アルカリ金属塩の含有量をセメント100質量部に対して40質量部以上、好ましくは40質量部を超えて200質量部以下、より好ましくは50質量部以上150質量部以下とする、(C)A液がカルシウム塩を含む場合、カルシウム塩の含有量をセメント100質量部に対して1質量部以上15質量部未満、好ましくは5質量部以上14質量部以下、より好ましくは8質量部以上13質量部以下とする、(D)B液が水酸化アルミニウム、アルカリ金属の炭酸塩を含む等により、前記ゲルタイムを5秒未満とすることができる。
【0017】
なお、前記ゲルタイムの測定方法の工程(1)において、A液とB液を混合する際のそれぞれの量は、例えば500mLであることができる。また、ゲルタイムを一層正確に測定するため、例えば、(i)予備実験を行っておおよそのゲルタイムを把握しておき、その後に本試験を行う、(ii)1つのみの紙コップで測定を行うのではなく、前記工程(1)で複数の紙コップに混合物を採取し、1秒ごとに、混合物が入った新たな紙コップを傾ける、等の工夫をしてもよい。
【0018】
本発明に係る地盤硬化材では、下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから30分後の混合物のゲル強度が4.9N未満であることが好ましい。30分後の混合物のゲル強度が4.9N未満であることにより、混合物の圧送性が良好となる。30分後の混合物のゲル強度は4N以下であることがより好ましく、3.5N以下であることがさらに好ましく、1N以下であることが特に好ましい。30分後の混合物のゲル強度の範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.1N以上であることができる。
【0019】
また、下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから1時間後の混合物のゲル強度が4.9N以上であることが好ましい。1時間後の混合物のゲル強度が4.9N以上であることにより、一定時間経過後における外力に対する変形が少なく、外力に十分に対抗できるため、地盤の強度が確保される。1時間後の混合物のゲル強度は5N以上であることがより好ましい。1時間後の混合物のゲル強度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば10N以下であることができる。
【0020】
これらのゲル強度の条件を満たすことで、混合物の圧送性が良好となり、かつ、一定時間経過後における地盤の強度が確保されるため、施工性が向上する。前記30分後の混合物のゲル強度が3.5N以下、かつ、前記1時間後の混合物のゲル強度が4.9N以上であることが好ましく、前記30分後の混合物のゲル強度が1N以下、かつ、前記1時間後の混合物のゲル強度が4.9N以上であることがより好ましい。本発明では、例えば前述した(A)~(D)のいずれかの構成を満たすことにより、30分後の混合物のゲル強度を4.9N未満、1時間後の混合物のゲル強度を4.9N以上、とすることができる。
【0021】
〔ゲル強度の測定方法〕
ゲル強度の測定には豆腐用硬度計(シロ産業製、品番:SOWB-5N)を用い、4cm×4cm×16cmの型枠に前記混合物を流し込み、所定時間を経過させて作製した供試体表面に硬度計を垂直にあて、抵抗値(N)を測定する。
【0022】
本発明に係る地盤硬化材では、下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから24時間後の混合物の圧縮強度が0.10N/mm2以上であることが好ましい。24時間後の混合物の圧縮強度が0.10N/mm2以上であることにより、硬化後に十分な強度が得られるため、例えば水分を多く含み軟弱な地盤の硬化に好適である。24時間後の混合物の圧縮強度は0.20N/mm2以上であることがより好ましく、0.30N/mm2以上であることがさらに好ましい。24時間後の混合物の圧縮強度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば5N/mm2以下であることができる。本発明では、例えば前述した(A)~(D)のいずれかの構成を満たすことにより、24時間後の混合物の圧縮強度を0.10N/mm2以上とすることができる。
【0023】
〔圧縮強度の測定方法〕
圧縮強度はJIS R 5201:2015に従って測定した。但し、型詰めはバイブレータを使用しないで、型枠に流し込みとした。
【0024】
(A液)
本発明に係るA液は、基材としてのセメントを含む。A液は、セメント以外に、さらにカルシウム塩、急硬材、急硬材の凝結調整材等を含むことができる。A液は、これらの成分を水と混合してスラリー状としたものであることができる。なお、A液はケイ酸アルカリ金属塩を含まない。A液は、地盤硬化に使用される直前にB液と混合される。
【0025】
<セメント>
セメントとしては特に限定されないが、例えば、普通、早強、超早強、低熱、中庸熱等の各種ポルトランドセメント、該ポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等を混合した各種混合セメント、高炉セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、微粒子セメント等が挙げられる。これらのセメントは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、六価クロム含有量が低い観点から、セメントとしては高炉セメントが好ましい。これらのセメントは、微粉末化して使用してもよい。また、通常セメントに使用されている成分(例えば石膏等)の量を増減して調製されたものも使用可能である。
【0026】
A液中のセメントの含有量は、強度発現の観点から、5~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、15~45質量%であることがさらに好ましい。
【0027】
<カルシウム塩>
A液は、硬化促進、硬化物の強度向上等の観点から、さらにカルシウム塩を含むことができる。カルシウム塩の含有量は、セメント100質量部に対して1質量部以上、15質量部未満であることが、前記ゲルタイムを短くできる傾向にあるため好ましい。カルシウム塩の含有量は、セメント100質量部に対して5質量部以上、14質量部以下であることがより好ましく、8質量部以上、13質量部以下であることがさらに好ましい。また、カルシウム塩の含有量は、セメント100質量部に対して35質量部を超えることもでき、50質量部以上、150質量部以下であることもできる。
【0028】
カルシウム塩としては、例えば消石灰(水酸化カルシウム)、生石灰、石膏(硫酸カルシウム)、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、珪酸カルシウム、酢酸カルシウムなどが挙げられ、カルシウムを含むものであればいずれも使用が可能である。これらの中でも、消石灰が硬化促進、硬化物の強度向上等の観点から好ましい。
【0029】
カルシウム塩のメジアン径は、1~200μmが好ましく、5~150μmがより好ましい。なお、メジアン径はレーザー回折式粒度分布測定機により測定できる。カルシウム塩は、例えば上田石灰社等の市販品を使用することができる。
【0030】
<急硬材>
A液は、凝結、硬化促進の観点から、さらに急硬材を含むことができる。急硬材としては、例えばカルシウムアルミネート等が挙げられる。これらの急硬材は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。市販品では、例えばデンカES、デンカES-L(以上商品名、デンカ(株)製)等を用いることができる。急硬材の含有量は特に限定されないが、例えばセメント100質量部に対して40質量部以上、100質量部以下であることができる。なお、A液は急硬材を含まなくてもよい。
【0031】
<急硬材の凝結調整材>
A液が急硬材を含む場合、凝結、硬化速度を調整する観点から、A液はさらに凝結調整材を含むことができる。凝結調整材としては、例えば酒石酸、オキシカルボン酸等の有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。これらの凝結調整材は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。市販品では、例えばデンカD-100セッター、デンカD-101セッター、デンカD-300セッター(以上商品名、デンカ(株)製)等を用いることができる。凝結調整材の含有量は、急硬材の種類、凝結、硬化速度の調整の程度等によって適宜選択できるが、例えば急硬材100質量部に対して1~50質量部であることができる。
【0032】
特に、A液調製後も一定時間以上硬化せずに保管することができる観点から、凝結調整材としては有機酸とアルカリ金属の炭酸塩との組み合わせを用いることが好ましく、酒石酸と炭酸カリウムとの組み合わせを用いることがより好ましい。この場合、有機酸とアルカリ金属の炭酸塩との質量比(有機酸/アルカリ金属の炭酸塩)は0.1~5であることが好ましく、0.5~2であることがより好ましい。
【0033】
<水、A液の調製方法>
A液は、セメント、並びに、任意成分であるカルシウム塩、急硬材、及び急硬材の凝結調整材等を、水と混合してスラリー状とすることで調製することができる。急硬材及び急硬材の凝結調整材を用いる場合には、先に急硬材の凝結調整材を水と混合し、その後他の成分を混合することができる。A液中の水の含有量は、セメントの種類、セメントの硬化性、所望の硬度、圧送性、地盤への注入性などに応じて適宜選択することができる。例えば、A液中の水の含有量は20~80質量%であることができ、30~70質量%であることもできる。前記成分と水との混合は、例えば本技術分野で公知の各種ミキサー等を用いて行うことができる。
【0034】
(B液)
本発明に係るB液はケイ酸アルカリ金属塩を含む。B液は、ケイ酸アルカリ金属塩以外に、さらに水酸化アルミニウム、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩等を含むことができる。B液は、これらの成分を水と混合してスラリー状としたものであることができる。なお、B液はセメントを含まない。B液は、地盤硬化に使用される直前にA液と混合される。
【0035】
<ケイ酸アルカリ金属塩>
B液は、凝結、硬化促進の観点から、ケイ酸アルカリ金属塩を含む。ケイ酸アルカリ金属塩としては、下記式(1)で示されるケイ酸アルカリ金属塩であることが、前記ゲルタイムを短くできる傾向にあるため好ましい。
R2O・nSiO2 (1)
(式(1)中、Rはアルカリ金属であり、nは5以上である。)
【0036】
前記式(1)において、Rのアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。nは5.1以上であることが好ましく、5.2以上であることがより好ましい。
【0037】
ケイ酸アルカリ金属塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等が挙げられる。これらのケイ酸アルカリ金属塩は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でもケイ酸アルカリ金属塩としては、供給の安定性及びコストの観点からケイ酸ナトリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムとしては、例えば前記式(1)においてRがナトリウム、n=5.2である5号水ガラスが好ましい。なお、ケイ酸アルカリ金属塩の形態は水溶液と粉末があるが、市販品の種類が多く、作業性が良好である観点から、ケイ酸アルカリ金属塩の水溶液を用いることが好ましい。
【0038】
ケイ酸アルカリ金属塩の含有量は、セメント100質量部に対して40質量部以上であることが、前記ゲルタイムを短くできる傾向にあるため好ましい。ケイ酸アルカリ金属塩の含有量は、セメント100質量部に対して40質量部を超えて、200質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上、150質量部以下であることがさらに好ましい。
【0039】
B液中のケイ酸アルカリ金属塩の含有量は、ゲルタイム低減の観点から、5~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、15~40質量%であることがさらに好ましい。
【0040】
<水酸化アルミニウム>
B液は、硬化促進の観点から、さらに水酸化アルミニウムを含むことができる。水酸化アルミニウムの含有量は、ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して20~60質量部であることが好ましく、25~55質量部であることがより好ましく、30~50質量部であることがさらに好ましい。
【0041】
<アルカリ金属の炭酸塩>
B液は、硬化促進の観点から、さらにアルカリ金属の炭酸塩を含むことができる。アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属の炭酸塩は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。アルカリ金属の炭酸塩の含有量は、ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して1~30質量部であることが好ましく、3~20質量部であることがより好ましく、5~15質量部であることがさらに好ましい。
【0042】
なお、前記水酸化アルミニウムと前記アルカリ金属の炭酸塩は共に硬化促進を目的として添加されるが、B液が水酸化アルミニウム及びアルカリ金属の炭酸塩を含む場合、硬化促進の効果がより得られる観点から好ましい。この場合、水酸化アルミニウムとアルカリ金属の炭酸塩の質量比(水酸化アルミニウム/アルカリ金属の炭酸塩)は、1~10であることが好ましく、1.5~7であることがより好ましく、2~5であることがさらに好ましい。
【0043】
<アルカリ土類金属の炭酸塩>
B液は、フィラーとしてさらにアルカリ土類金属の炭酸塩を含むことができる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属の炭酸塩は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。アルカリ土類金属の炭酸塩の含有量は、ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して20~60質量部であることが好ましく、25~55質量部であることがより好ましく、30~50質量部であることがさらに好ましい。
【0044】
<水、B液の調製方法>
B液は、ケイ酸アルカリ金属塩、並びに、任意成分である水酸化アルミニウム、アルカリ金属の炭酸塩、及びアルカリ土類金属の炭酸塩等を、水と混合してスラリー状とすることで調製することができる。B液中の水の含有量は、硬化速度、圧送性、地盤への注入性などに応じて適宜選択することができる。例えば、B液中の水の含有量は30~90質量%であることができ、40~80質量%であることもできる。前記成分と水との混合は、例えば本技術分野で公知の各種ミキサー等を用いて行うことができる。
【0045】
[地盤硬化方法]
本発明に係る地盤硬化方法は、本発明に係る地盤硬化材を用いて地盤を硬化できれば特に限定されない。A液とB液とを混合することで硬化物が得られ、該硬化物により地盤を硬化することができる。
【0046】
A液とB液とを混合する方法や、A液とB液を用いて地盤を硬化する具体的な手順は特に限定されない。例えば、(i)二重管を用いて、先端部でA液とB液を合流混合させて地盤に注入するいわゆる2ショット方式、(ii)A液とB液を、注入ポンプから注入管に至る途中で混合させて注入するいわゆる1.5ショット方式、(iii)ミキサー等の調合槽で予めA液とB液を混合し、地盤に注入する1ショット方式、などを適用することができる。これら方式の実施の際には、公知の注入ポンプ等を用いることができる。
【0047】
すなわち、本発明に係る地盤硬化方法の一実施形態は、A液とB液とを混合する工程と、A液とB液との混合物を地盤へ注入する工程と、を含むことができる。該実施形態では、地盤へ注入する直前にA液とB液とを混合することが、ゲルタイムの短い本実施形態に係る地盤硬化材の圧送性の観点から好ましい。該実施形態において、A液とB液との混合比率(体積比)は特に限定されないが、ゲルタイムの低減、強度発現性の観点から、例えば1:3~3:1とすることができる。
【0048】
また、本発明に係る地盤硬化方法の他の実施形態は、A液とB液とをそれぞれ地盤へ注入する工程と、地盤中でA液とB液とを混合する工程と、を含むことができる。該実施形態では、A液とB液とをそれぞれ地盤へ注入した直後にA液とB液とを混合することが、地盤中における地盤硬化材の逸流や希釈抑制の観点から好ましい。該実施形態において、地盤へ注入するA液とB液との比率(体積比)は特に限定されないが、ゲルタイムの低減、強度発現性の観点から、例えば1:3~3:1とすることができる。なお、A液とB液を同時に地盤へ注入してもよく、地盤中に一方の液を予め注入しておいて、後で他方の液を注入してもよい。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されない。地盤硬化材のゲルタイム、ゲル強度、及び圧縮強度は以下の方法により測定した。
【0050】
〔ゲルタイムの測定方法〕
(1)5℃において、A液500mLと、B液500mLとを混合して混合物を得た。得られた混合物のうち60mLを、水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取した。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いた。
(2)前記工程(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心及び上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、前記混合物と空気との界面が流動して変化するか、又は前記界面が不動であるかを判別した。
(3)前記工程(2)の確認後、前記紙コップを再び水平面に載置した。
(4)前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまで前記工程(2)及び工程(3)を繰り返した。
(5)前記工程(1)の前記A液と前記B液の混合開始時を起点として、前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまでの時間をゲルタイムとした。
【0051】
〔ゲル強度の測定方法〕
ゲル強度の測定には豆腐用硬度計(シロ産業製、品番:SOWB-5N)を用い、4cm×4cm×16cmの型枠にA液とB液の等体積の混合物を流し込み、30分又は1時間経過することで作製した供試体表面に硬度計を垂直にあて、抵抗値(N)を測定した。
【0052】
〔圧縮強度の測定方法〕
圧縮強度は、A液とB液の等体積の混合物(24時間経過後)についてJIS R 5201:2015に従って測定した。但し、型詰めはバイブレータを使用しないで、型枠に流し込みとした。
【0053】
[A液の調製]
下記表1に示される組成を有するA液(A-1液~A-12液)を調製した。高炉セメントとして、高炉セメントB種(商品名、デンカ(株)製)を使用した。消石灰として、上田石灰製造(株)製の消石灰を使用した。石膏として、半水石膏(商品名、吉野石膏(株)製)を使用した。急硬材として、デンカES(商品名、デンカ(株)製、カルシウムアルミネート)を使用した。高炉セメント、カルシウム塩、及び急硬材(含まれる場合)を、ハンドミキサ(WB型、太平洋機工株式会社製)を用いて混合し、粉体材料を調製した。水に凝結調整材(含まれる場合)を添加した後、前記粉体材料を添加し、十分に練り合わせ、各A液を調製した。なお、A-1液~A-4液は、調製後6時間以上、20℃において硬化せずに保管することができた。表1において、括弧内の値は、高炉セメントを100質量部とした場合の各成分の質量部を示す。
【0054】
【0055】
[B液の調製]
下記表2に示される組成を有するB液(B-1液~B-10液)及びB’液(B’-1液、B’-2液)を調製した。5号水ガラス(前記式(1)におけるRがナトリウム、n=5.2)として、富士化学(株)製の5号水ガラスを使用した。下記表2に示される各成分を混合することで、B液及びB’液を調製した。表2において、括弧内の値は、5号水ガラスを100質量部とした場合の各成分の質量部を示す。
【0056】
【0057】
[実施例1~18、比較例1及び2]
下記表3に示されるように、調製したA液とB液(又はB’液)を組み合わせて用いて、前記方法によりゲルタイム、30分後及び1時間後の混合物のゲル強度、並びに24時間後の混合物の圧縮強度を測定した。結果を表3に示す。
【0058】
【0059】
実施例1~18では、ゲルタイムが5秒未満であり、30分後のゲル強度が4.9N未満、1時間後のゲル強度が4.9N以上、24時間後の圧縮強度が0.10N/mm2以上であった。一方、比較例1及び2では、ゲルタイムが5秒以上であり、1時間後のゲル強度が1.0N未満、24時間後の圧縮強度が0.10N/mm2未満であった。実施例1~18では、前述した(A)~(D)の少なくとも一つの構成を有するため、前記ゲルタイム、ゲル強度及び圧縮強度を達成できることが確認された。
【0060】
特に、実施例7~18では、30分後のゲル強度が0.78N以下であるのに対し、1時間後のゲル強度が4.9N以上であり、混合物の圧送性及び一定時間経過後における地盤強度が高いため、施工性が良好であった。また、24時間経過後の圧縮強度も0.25N/mm2以上であり、十分な圧縮強度を示した。これは、実施例7~18ではカルシウム塩の含有量がセメント100質量部に対して1質量部以上15質量部未満であり、またA液で急硬材を用いる代わりに、B液で水酸化アルミニウム及びアルカリ金属の炭酸塩を用いたためと考えられる。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]セメントを含むA液と、ケイ酸アルカリ金属塩を含むB液と、を含む地盤硬化材であって、
下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を混合してゲル化するまでの時間(ゲルタイム)が5秒未満であることを特徴とする地盤硬化材。
[ゲルタイムの測定方法]
(1)5℃において、前記A液と前記B液とを等体積で混合して混合物を得る。得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の20%以上、70%以下の量とする。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
(2)前記工程(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心及び上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、前記混合物と空気との界面が流動して変化するか、又は前記界面が不動であるかを判別する。
(3)前記工程(2)の確認後、前記紙コップを再び水平面に載置する。
(4)前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまで前記工程(2)及び工程(3)を繰り返す。
(5)前記工程(1)の前記A液と前記B液の混合開始時を起点として、前記工程(2)で前記界面が不動となる状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
[2]下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから30分後の混合物のゲル強度が4.9N未満である[1]に記載の地盤硬化材。
[ゲル強度の測定方法]
ゲル強度の測定には豆腐用硬度計(シロ産業製、品番:SOWB-5N)を用い、4cm×4cm×16cmの型枠に混合物を流し込み、所定時間を経過させて作製した供試体表面に硬度計を垂直にあて、抵抗値(N)を測定する。
[3]前記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから1時間後の混合物のゲル強度が4.9N以上である[2]に記載の地盤硬化材。
[4]下記方法によって測定される、前記A液と前記B液を等体積で混合してから24時間後の混合物の圧縮強度が0.10N/mm
2
以上である[1]~[3]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[圧縮強度の測定方法]
圧縮強度はJIS R 5201:2015に従って測定する。
[5]前記ケイ酸アルカリ金属塩が下記式(1)で示される[1]~[4]のいずれかに記載の地盤硬化材。
R
2
O・nSiO
2
(1)
(式(1)中、Rはアルカリ金属であり、nは5以上である。)
[6]前記ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が、前記セメント100質量部に対して40質量部以上である[1]~[5]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[7]前記A液が、さらにカルシウム塩を含む[1]~[6]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[8]前記カルシウム塩の含有量が、前記セメント100質量部に対して1質量部以上、15質量部未満である[7]に記載の地盤硬化材。
[9]前記B液が、さらに水酸化アルミニウム及び/又はアルカリ金属の炭酸塩を含む[1]から[8]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[10]前記B液が前記水酸化アルミニウムを含む場合、前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して20~60質量部であり、
前記B液が前記アルカリ金属の炭酸塩を含む場合、前記アルカリ金属の炭酸塩の含有量が、前記ケイ酸アルカリ金属塩100質量部に対して1~30質量部である[9]に記載の地盤硬化材。
[11]前記セメントが高炉セメントである[1]~[10]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[12]前記A液中の前記セメントの含有量が5~60質量%である[1]~[11]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[13]前記B液中の前記ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が5~60質量%である[1]~[12]のいずれかに記載の地盤硬化材。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の地盤硬化材を用いる地盤硬化方法であって、
前記A液と前記B液とを混合する工程と、
前記A液と前記B液との混合物を地盤へ注入する工程と、
を含むことを特徴とする地盤硬化方法。
[15]地盤へ注入する直前に前記A液と前記B液とを混合する[14]に記載の地盤硬化方法。
[16]前記A液と前記B液との混合比率(体積比)が1:3~3:1である[14]又は[15]に記載の地盤硬化方法。
[17][1]~[13]のいずれかに記載の地盤硬化材を用いる地盤硬化方法であって、
前記A液と前記B液とをそれぞれ地盤へ注入する工程と、
地盤中で前記A液と前記B液とを混合する工程と、
を含むことを特徴とする地盤硬化方法。
[18]地盤へ注入する前記A液と前記B液との比率(体積比)が1:3~3:1である[17]に記載の地盤硬化方法。