(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240227BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240227BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240227BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G06F3/12 361
G06F3/12 303
G06F3/12 331
G06F3/12 332
G06F3/12 347
G06F3/12 371
H04N1/00 912
H04N1/00 127A
B41J29/38 201
B41J5/30 Z
(21)【出願番号】P 2019236833
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏章
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196862(JP,A)
【文献】特開2016-215624(JP,A)
【文献】特開2015-111768(JP,A)
【文献】特開2019-181866(JP,A)
【文献】特開平11-165455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 5/00- 5/52
B41J 21/00-21/18
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
外部装置から受信した印刷ジョブを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持した前記印刷ジョブの書誌情報をクラウドサーバーに送信することにより、前記書誌情報を前記クラウドサーバーに登録する送信手段と、
前記保持手段に保持された印刷ジョブであって、印刷設定として複数部の部数設定が為され、かつ、1部に含まれるページ分の描画データを含む印刷ジョブに
ついての送信先を別の印刷装置に設定する指示を、
前記クラウドサーバーから前記書誌情報を取得した前記別の印刷装置から受信した場合、前記指示に係る印刷ジョブを、
前記印刷装置において当該複数部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブにして、前記別の印刷装置に対して送信する送信手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記別の印刷装置が、前記複数部の部数設定が為された印刷ジョブに基づく複数部の印刷出力が可能な印刷装置でない場合に、前記指示に係る印刷ジョブを、
前記印刷装置において前記複数部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブにして、前記別の印刷装置に対して送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷装置は、前記別の印刷装置が、前記複数部の部数設定が為された印刷ジョブに基づく複数部の印刷出力が可能な印刷装置であるか否かを判定する判定手段を更に有し、
前記送信手段は、前記判定手段により、前記別の印刷装置が、前記複数部の部数設定が為された印刷ジョブに基づく複数部の印刷出力が可能な印刷装置でないと判定した場合に、前記指示に係る印刷ジョブを、
前記印刷装置において前記複数部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブにして、前記別の印刷装置に対して送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記別の印刷装置から機器情報を取得し、前記取得した機器情報に基づいて、前記別の印刷装置が、前記複数部の部数設定が為された印刷ジョブに基づく複数部の印刷出力が可能な印刷装置であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記別の印刷装置から取得される機器情報には、描画データから生成される画像データを記憶可能な記憶容量が確保される記憶領域を有しているかどうかを示す情報が含まれることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記記憶領域は、不揮発記憶領域であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記別の印刷装置から受信した前記指示に含まれる情報に基づいて、前記別の印刷装置が、前記複数部の部数設定が為された印刷ジョブに基づく複数部の印刷出力が可能な印刷装置であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記判定手段により、前記別の印刷装置が、前記複数部の部数設定が為された印刷ジョブに基づく複数部の印刷出力が可能な印刷装置であると判定した場合、前記送信手段は、前記指示に係る印刷ジョブを、前記印刷設定として前記複数部の部数設定が為され、かつ、1部に含まれるページ分の描画データを含む印刷ジョブのまま、前記別の印刷装置に対して送信する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の印刷装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
第1の印刷装置および第2の印刷装置を含む印刷システムであって、
前記第1の印刷装置は、
外部装置から受信した印刷ジョブを保持する保持手段と、
前記保持手段に保持した前記印刷ジョブの書誌情報をクラウドサーバーに送信することにより、前記書誌情報を前記クラウドサーバーに登録する送信手段と、
前記保持手段に保持された印刷ジョブであって、印刷設定として複数部の部数設定が為され、かつ、1部に含まれるページ分の描画データを含む印刷ジョブに
ついての送信先を前記第2の印刷装置に設定する指示を、
前記クラウドサーバーから前記書誌情報を取得した前記第2の印刷装置から受信した場合、前記指示に係る印刷ジョブを、
前記第1の印刷装置において当該複数部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブにして、前記第2の印刷装置に対して送信する送信手段と、を有し、
前記第2の印刷装置は、
前記クラウドサーバーに登録されている前記書誌情報を、前記クラウドサーバーから取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記書誌情報に基づいて、前記第1の印刷装置が保持する印刷ジョブの選択をユーザーから前記第2の印刷装置の操作部で受け付けた場合に
、前記選択された印刷ジョブに
ついての送信先を前記第2の印刷装置に設定する前記指示を、前記第1の印刷装置に送信する指示手段と、
前記第1の印刷装置から送信されてきた前記複数
部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブを実行する実行手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
印刷装置の制御方法であって、
外部装置から受信した印刷ジョブであって、印刷設定として複数部の部数設定が為され、かつ、1部に含まれるページ分の描画データを含む印刷ジョブを、当該印刷装置の保持手段に保持する保持工程と、
前記保持手段に保持した前記印刷ジョブの書誌情報をクラウドサーバーに送信することにより、前記書誌情報を前記クラウドサーバーに登録する送信工程と、
前記保持手段に保持された印刷ジョブに
ついての送信先を別の印刷装置に設定する指示を
、前記クラウドサーバーから前記書誌情報を取得した前記別の印刷装置から受信した場合、前記指示に係る印刷ジョブを、
前記印刷装置において当該複数部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブにして、前記別の印刷装置に対して送信する送信工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷装置、制御方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合機には、次のような方法で複数部数の印刷に対応している機種がある。PCなどの外部装置から受信した印刷ジョブの描画データをレンダリングして生成した画像データを不揮発記憶領域に保存し、2部目以降の印刷には不揮発記憶領域に保存されている画像データを使用するという方法である。この方法では、複数部数の印刷のための印刷ジョブには、その1部に含まれるページ数分の描画データが含まれていればよい。
【0003】
しかしながら、安価な複合機には上述したような不揮発記憶領域が無く、記憶容量が十分でないために、描画データから生成された画像データを保存できない機種がある。特許文献1に記載のレーザビームプリンタでは、複数部数印刷のための印刷データの格納が可能な場合は、印刷装置で複数部印刷が実現される。一方、複数部数印刷のための印刷データの格納が不可能な場合は、外部機器から複数回PDLデータを送信することによって複数部印刷が実現されている。
【0004】
また、近年は、複合機が印刷ジョブを受信したら即時に印刷を行うのではなく、複合機の不揮発記憶領域に印刷ジョブを一旦留め置き、その後ユーザーが複合機の操作部で印刷指示を行うことで印刷が実行される留め置き印刷が一般的となってきている。さらに、特許文献2には、印刷ジョブが留め置かれている複合機(入稿機)とは別の複合機(出力機)で、印刷ジョブが実行されるリモート印刷が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-155165号公報
【文献】特開2010-211627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したリモート印刷が行われる環境では、描画データをレンダリングして生成した画像データを記憶可能な記憶容量を備える記憶領域を持つ印刷装置と、そのような記憶容量を仕様上などの理由で十分に確保できない印刷装置が混在することがある。上述した記憶領域を持つ印刷装置で複数部数の印刷ジョブが実行される場合は、印刷ジョブには1部に含まれるページ分の描画データが含まれていればよい。描画データをレンダリングして生成した画像データを記憶領域に保存し、2部目以降の印刷には記憶領域に保存されている画像データを使用できるからである。しかしながら、上述した記憶領域を確保できない印刷装置では同じ方法で複数部数の印刷ジョブを実行することはできない。そこで、上述した記憶領域を確保できない印刷装置で複数部数の印刷ジョブを実行するための方法として、該印刷ジョブに複数部数分の描画データを送信する方法がある。
【0007】
ここで、PCなどの外部装置から印刷装置に対して印刷ジョブが入稿される時点では、出力機となる印刷装置が決まっていないことが一般的である。そのため、複数部数の印刷ジョブとして、1部に含まれるページ数分の描画データが含まれる印刷ジョブが入稿機で留め置かれていて、かつ、出力機が上述した記憶領域を持たない印刷装置であるケースが起こりうる。そのようなケースの場合、1部に含まれるページ数分の描画データが含まれる印刷ジョブが入稿機から出力機に対して送信され、出力機では、1部に含まれるページ数分の描画データが含まれる印刷ジョブが実行されることとなる。
【0008】
しかしながら、出力機が上述した記憶領域を確保できない印刷装置である場合、描画データをレンダリングして生成した画像データを2部目以降の印刷のために装置内に保存できない。つまり、印刷は1部に含まれるページ分しか実行されず、ユーザーは複数部の印刷物を得られなくなってしまう。
【0009】
上記課題を鑑みて、本発明は、入稿機で、複数部数の設定と1部に含まれるページ分の描画データとをもつ印刷ジョブが保持されている場合を想定している。特に、出力機が当該印刷ジョブを実行しても設定された複数部数の印刷物が得られない印刷装置となった場合にも、該出力機で設定された複数部数の印刷物が得られる印刷制御を実行するための仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、外部装置から受信した印刷ジョブを保持する保持手段と、前記保持手段に保持した前記印刷ジョブの書誌情報をクラウドサーバーに送信することにより、前記書誌情報を前記クラウドサーバーに登録する送信手段と、前記保持手段に保持された印刷ジョブであって、印刷設定として複数部の部数設定が為され、かつ、1部に含まれるページ分の描画データを含む印刷ジョブについての送信先を別の印刷装置に設定する指示を、前記クラウドサーバーから前記書誌情報を取得した前記別の印刷装置から受信した場合、前記指示に係る印刷ジョブを、前記印刷装置において当該複数部に対応するページ分の描画データを含む印刷ジョブにして、前記別の印刷装置に対して送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、出力機が当該印刷ジョブを実行しても設定された複数部数の印刷物が得られない印刷装置となった場合にも、該出力機で設定された複数部数の印刷物が得られる印刷制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】クラウドサーバーのソフトウェア構成を示す図
【
図5】複合機のプリントアプリケーションが操作部に表示する画面の一例
【
図6】複合機(入稿機)に保存される印刷ジョブのデータ構成を示す図
【
図7】複合機(出力機)におけるプリントキューの表示処理手順の一例を示すフローチャート
【
図8A】実施例1に係る複合機(出力機)における印刷の処理手順の一例を示すフローチャート
【
図8B】実施例2に係る複合機(出力機)における印刷の処理手順の一例を示すフローチャート
【
図9】複合機(入稿機)における印刷ジョブ要求応答の処理手順の一例を示すフローチャート
【
図10A】実施例1に係る複合機(入稿機)における印刷応答処理の詳細な手順の一例を示すフローチャート
【
図10B】実施例2に係る複合機(入稿機)における印刷応答処理の詳細な手順の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
(実施例1)
<リモート印刷システムのネットワーク構成>
図1は、本発明の実施形態に関わる画像形成装置と情報処理装置とがネットワークを介して通信可能なシステムの構成例を示す図である。
図1において、101は例えばTCP/IPプロトコルをサポートするネットワークである。ネットワーク101には情報処理装置であるパーソナルコンピューター102、クラウドサーバー104および画像形成装置103と105が接続されている。ここで、複合機103は、描画データから生成した画像を記憶可能な記憶容量が確保される記憶領域を有する印刷装置であり、一方、複合機105はそのような記憶領域を有しないスペックの低い印刷装置である。
【0015】
複合機103は、パーソナルコンピューター102から印刷ジョブを受信すると、リモート印刷機能の利用時には、印刷ジョブを記憶する入稿機である。画像形成装置103は受信した印刷ジョブから書誌情報を作成し、クラウドサーバー104へ書誌情報を送信する。
【0016】
クラウドサーバー104は、同一ネットワーク101上で登録されているすべての複合機が記憶している印刷ジョブの書誌情報を一元管理する。ここで、書誌情報を管理する情報処理装置は、複合機103が書誌情報の管理を行う構成も考えられるが、クラウドサーバーが書誌情報の管理を行うことによって享受できるメリットは以下3点である。
・処理負荷集中時も応答性能を維持できる
・管理可能な書誌情報の上限拡張がしやすい
・書誌管理サーバーとしてダウンタイムが削減できる
【0017】
書誌情報管理を複合機にて実施した場合、複合機自体がコピーやスキャンと機能を持つため、書誌情報の管理機能と同時に動作する際や書誌情報管理機能への要求がサーバーに集中した際には、書誌情報管理の応答性能が下がる可能性がある。
【0018】
また、複合機を書誌管理サーバーとした場合、ハードディスクといった永続記憶容量のリソースも限られるため、管理可能な書誌情報の上限に対して拡張性が乏しい。
【0019】
さらに、複合機を書誌管理サーバーとした場合、複合機が電源OFFとなっている場合があるため、書誌情報管理サーバーとしてのダウンタイムが発生しうる。
【0020】
上述したこれらの課題は、クラウドサーバーにて書誌情報を管理することで、解消できる。
【0021】
図1の説明に戻る。複合機105は、ユーザーから認証情報を受信して認証を行う。ユーザー認証後に、クラウドサーバー104から認証情報に基づいて書誌情報を取得し、取得した書誌情報に基づいて入稿機103から印刷ジョブを受信して、印刷を行う出力機である。
【0022】
上記構成は説明を分かりやすくするため一般的な構成を示したものであり、パーソナルコンピューター102や複合機103、105は複数あっても良い。
【0023】
複合機103、105はスキャンやコピー機能といった複合機能を有さず、プリント機能のみを持つプリンターであってもよい。また、本実施例では、入稿機となる複合機103が、描画データから生成した画像を保存するための記憶部を有する印刷装置であり、出力機となる複合機105が、記憶部を有しない印刷装置であるものとして説明・図示している。しかしながら、本実施例はこれに限られるものではなく、入稿機および出力機のいずれも記憶部を有する印刷装置であるケースであっても、本実施例を適用できる。
【0024】
<複合機103、105の概略構成>
図2(a)は本発明の実施形態に関わる複合機103の概略構成を示す図である。
【0025】
図2(a)において、複合機103は、コントローラユニット200、操作部206、スキャナ部208、及びプリンター部209で構成される。
【0026】
コントローラユニット200は複合機あるいはプリンターの制御を行う装置である。コントローラユニット200は、CPU201、RAM202、ROM203,HDD204,操作部I/F205、デバイスI/F207、ネットワークI/F210で構成され、それらはシステムバス211で接続されている。
【0027】
CPU201は、システムバス211に接続された各装置を統括的に制御し、画像形成装置103全体を制御する。RAM202には、オペレーティングシステムやシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータが格納される。ROM203には、システムのブートプログラム、システムプログラムやアプリケーションプログラムが格納されている。さらには、フォントなど画像形成装置に必要な情報が格納されている場合もある。
【0028】
HDD204はハードディスクドライブで、オペレーティングシステム、システムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア、画像データ、設定データ、印刷ジョブ等が格納される。複数部数の印刷のための印刷ジョブが複合機103で実行される場合には、印刷ジョブに含まれる描画データ(1部分)から生成された画像がこのHDD204に記憶される。そのため、印刷ジョブは、複数部数分の描画データを持つ必要がない。
【0029】
RAM202に格納されたプログラムは、CPU201によって実行され、RAM202、ROM203やHDD204に格納された画像データや画像以外のデータを処理する。あるいは、HDD204の代わりに、SSD(Solid State Disk)などフラッシュメモリのようなハードディスク以外の記憶装置を用いた構成でも構わない。
【0030】
操作部I/F205は、タッチパネルを有する操作部206とのインターフェイス部であり、操作部206に表示する画像データを操作部206に対して出力する。また、操作部I/F205は、操作部206からユーザーが入力した情報を、CPU201に伝える。
【0031】
デバイスI/F207は、画像入出力デバイスであるスキャナ部208やプリンター部209とコントローラユニット200とを接続し、画像データの入力や出力を行う。スキャナ部208からデバイスI/F207を介して入力された画像データは、RAM202やHDD204に格納される。格納された画像データは、必要に応じてRAM202に格納されたアプリケーションプログラムで画像処理などが実行される。また、画像データは、デバイスI/F207を介してプリンター部209へ出力される。ネットワークI/F210は、ネットワークに接続し、ネットワーク上の外部機器の画像データ、あるいは複合機を制御する情報との入出力を行う。
【0032】
図2(b)は本発明の実施形態に関わる複合機105の概略構成を示す図である。
【0033】
図2(b)において、複合機105は、コントローラユニット250、操作部255、スキャナ部257、及びプリンター部258で構成される。
図2(a)との違いは、HDDを持たない点である。
【0034】
コントローラユニット250は複合機あるいはプリンターの制御を行う装置である。コントローラユニット250は、CPU251、RAM252、ROM253,操作部I/F254、デバイスI/F256、ネットワークI/F259で構成され、それらはシステムバス260で接続されている。
【0035】
CPU251は、システムバス260に接続された各装置を統括的に制御し、画像形成装置105全体を制御する。RAM252には、オペレーティングシステムやシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータが格納される。ROM253には、システムのブートプログラム、システムプログラムやアプリケーションプログラムが格納されている。さらには、フォントなど画像形成装置に必要な情報が格納されている場合もある。RAM252に格納されたプログラムは、CPU251によって実行され、RAM252、ROM253に格納された画像データや画像以外のデータを処理する。
【0036】
操作部I/F254は、タッチパネルを有する操作部255とのインターフェイス部であり、操作部255に表示する画像データを操作部255に対して出力する。また、操作部I/F254は、操作部255からユーザーが入力した情報を、CPU251に伝える。
【0037】
デバイスI/F256は、画像入出力デバイスであるスキャナ部257やプリンター部258とコントローラユニット250とを接続し、画像データの入力や出力を行う。スキャナ部257からデバイスI/F256を介して入力された画像データは、RAM252に格納される。格納された画像データは、必要に応じてRAM252に格納されたアプリケーションプログラムで画像処理などが実行される。また、画像データは、デバイスI/F256を介してプリンター部258へ出力される。ネットワークI/F259は、ネットワークに接続し、ネットワーク上の外部機器の画像データ、あるいは複合機を制御する情報との入出力を行う。
【0038】
図2(a)、
図2(b)に図示されていない構成であっても、本発明の効果が満たされるのであれば、
図2(a)、
図2(b)の構成に限らない。例えば、FAX機能を持つ複合機の場合には、
図2(a)、(b)には図示していなモデム装置向けI/Fがコントローラユニット200、250に具備されて、モデムによって公衆回線と接続して、FAX伝送を可能としてもよい。あるいは、例えば、フラッシュメモリカードなどに格納されたデータを読み出してプリントすることを可能とするために、コントローラユニット200、250は、図示されていないUSB I/Fを具備してもよい。
【0039】
<複合機103、105のソフトウェア構成>
図3は本発明の実施形態に関わる複合機103、105のソフトウェア構成を示す図であり、コントローラユニット200、250に実装されるものである。複合機あるいはプリンターに内蔵されコントローラユニット200、250によって処理されるソフトウェアは、いわゆるファームウェアとして実装されており、CPU201、251によって実行される。
【0040】
オペレーティングシステム301は、組み込みシステムの制御に最適化された各種資源管理のサービスと枠組みをその上で動作するソフトウェアのために提供する。オペレーティングシステム301は、CPU201,250による処理の実行コンテクストを複数管理することで複数の処理を実質的に並行動作させるマルチタスク管理、タスク間の同期やデータ交換を実現するタスク間通信がある。さらに、オペレーティングシステム301は、メモリ管理、割り込み管理、各種のデバイスドライバ、ローカルインタフェースやネットワークや通信などの各種プロトコルの処理を実装したプロトコルスタック、なども提供する。
【0041】
コントローラプラットフォーム302は、ファイルシステム303やジョブ・デバイス制御304、カウンタ305から構成される。ファイルシステム303はHDD204やRAM202,252などの記憶装置上に構築されたデータを格納するための機構であり、コントローラユニット200,250が扱うジョブをスプールしたり各種データを保存したりするために用いる。ジョブ・デバイス制御304は、複合機あるいはプリンターのハードウェアを制御し、また、主にハードウェアが提供する基本機能(プリント、スキャン、通信、画像変換など)を利用するジョブを制御する。カウンタ305はアプリケーション毎の有効期限や、プリント、スキャンの利用実績に基づくカウンタ値を管理する。
【0042】
システムサービス306は、複合機あるいはプリンター稼働状況をモニタリングすることや、ネットワークを介してソフトウェア配信サーバーから、ソフトウェアやライセンスをダウンロードするためのモジュールである。
【0043】
アプリケーションプラットフォーム307は、オペレーションシステム301、コントローラプラットフォーム302の機構を、後述するシステムライブラリ308や、アプリケーション309から利用可能とするためのミドルウェアである。
【0044】
システムライブラリ308は、アプリケーション309から利用可能なサービスを機能提供するソフトウェアモジュールであり、アカウント管理311、データベース管理312、ネットワーク通信313から構成される。
【0045】
アプリケーション309は、操作部206、255へのメニュー表示や、ユーザーからの入力を受け付けることが可能で、複合機やプリンターが実現する各種機能をユーザーに提供するソフトウェアモジュールである。
【0046】
認証アプリケーション321はアプリケーション309の一つであり、システムライブラリ308であるアカウント管理311を利用して、複合機103、105を利用可能なユーザーを管理する。アカウント管理311は、ネットワーク通信313を利用して、後述するクラウドサービス104の認証アプリケーション410と通信して、ユーザー認証を行う。操作部206、255を介して入力されたユーザー名、パスワードの照合を認証アプリケーション410と通信して行い、ユーザーの認証を実施する。
【0047】
コピーアプリケーション322はアプリケーション309の一つであり、アプリケーションプラットフォーム307を介して、ジョブ・デバイス制御304とアクセスし、紙文書のコピー機能を提供する。
【0048】
スキャンアプリケーション323はアプリケーション309の一つであり、アプリケーションプラットフォーム307を介して、ジョブ・デバイス制御304とアクセスし、紙文書をスキャンして電子データ化する機能を提供する。
【0049】
プリントアプリケーション324はアプリケーション309の一つであり、リモート印刷機能が有効時は、受信した印刷ジョブを留め置き、印刷ジョブから書誌情報を作成し、クラウドサーバー104へ登録要求を送信する。ただし、複合機105は印刷ジョブを留め置くHDDを持たないため、本留め置き機能は有さない。
【0050】
プリントアプリケーション324は、ネットワーク通信313を利用して、クラウドサーバー104と通信し、取得した書誌情報からプリントキューの表示を行う。
【0051】
プリントアプリケーション324は、ネットワーク通信313を利用して、他の複合機103、105と接続し、印刷指示を行うリモート印刷機能を提供する。
【0052】
プリントアプリケーション324は、アプリケーションプラットフォーム307を介して、ジョブ・デバイス制御304とアクセスし、印刷指示により送信された印刷ジョブの出力を実行する機能を提供する。
【0053】
<クラウドサーバー104のソフトウェア構成>
図4は本発明の実施形態に関わるクラウドサーバー104のソフトウェア構成を示す図であり、クラウドサーバー104にて実装されるものである。
【0054】
インフラクチャー401は、クラウドサーバーがサービスを提供するための基盤であり、サーバーと仮想マシン、ストレージ、ネットワーク、オペレーティングシステムから構成される。
【0055】
クラウドプラットフォーム402は、インフラクチャー401を利用して、アプリケーション407へ共通基本機能を提供するフレームワークであり、ファイルシステム403、アカウント・ジョブ制御404、データベース405から構成される。
【0056】
アプリケーション407は、情報処理装置102にて動作するウェブブラウザーと通信し、情報処理装置102のウェブブラウザー画面へメニュー表示や、ユーザーからの入力を受け付けることが可能である。アプリケーション407は、複合機やプリンターを利用可能なユーザーアカウントを管理し、複合機やプリンターの利用統計を可視化し、複合機やプリンターを利用する各種機能をユーザーに提供するソフトウェアモジュールである。
【0057】
認証アプリケーション410はアプリケーション407の一つであり、クラウドプラットフォーム402であるアカウント・ジョブ管理404を利用して、複合機103、105を利用可能なユーザーを管理する。複合機103、105の認証アプリケーション321から認証要求されたユーザー情報をネットワーク経由で受信し、ユーザー名、パスワードの照合を行う。ユーザー認証は、ラウドプラットフォーム402であるアカウント・ジョブ管理404を利用するのではなく、例えばActiveDirectoryやLDAPなどの外部認証サーバーを利用してもよい。
【0058】
デバイス管理アプリケーション411はアプリケーション407の一つであり、接続対象とする複合機103、105の登録、編集、削除といったデバイス管理を行う。
【0059】
設定アプリケーション412はアプリケーション407の一つであり、クラウドサービス104にてユーザーに提供する機能の設定を行う。
【0060】
書誌管理アプリケーション413はアプリケーション407の一つであり、デバイス管理アプリケーション411にて登録された複合機103、105で印刷可能な書誌情報を、認証アプリケーション410で登録されているユーザーごとに管理する。書誌情報とは、印刷ジョブのジョブIDや、受信日時、印刷ジョブが格納されている複合機のIPアドレスおよびディレクトリパス、ジョブ名、印刷設定など、複合機へ投入された印刷ジョブの管理情報である。
【0061】
利用統計アプリケーション414はアプリケーション407の一つであり、印刷、スキャンといった機能の利用実績の統計情報を表示する。統計情報の表示方法は、デバイス管理アプリケーション411にて登録された複合機103、105単位、または、認証アプリケーション410で登録されているユーザー単位にて、情報処理装置102のウェブブラウザー画面へ表示する。
【0062】
<複合機のトップメニュー画面>
図5(a)は実施形態に係る出力機である複合機105におけるトップメニュー画面の一例である。本画面は、複合機105の操作部255に画面表示される。
【0063】
ユーザーは、複合機105に対してICカードなどによりログインすると、ログイン後にトップメニュー500が表示され、このトップメニュー500からユーザーが複合機105にて利用するアプリケーションを選択することが可能となる。複合機105に対してログインした状態のため、ログインユーザー名504が画面上に表示されている。ユーザー名「Sato」がログイン中に表示される画面例を示している。
【0064】
複合機105に搭載されているアプリケーション309がトップメニュー500にてアイコンが表示される。プリントアイコン501は、プリントアプリケーション324のアイコンであり、押下するとプリントアプリケーション324が起動する。
【0065】
コピーアイコン502は、コピーアプリケーション322のアイコンであり、押下するとコピーアプリケーション322が起動する。
【0066】
設定アイコン503は、アプリケーション309のうちの一つであり、複合機105に関する設定を行うアプリケーションのアイコンである。
【0067】
<プリントキュー表示画面の説明>
図5(b)は実施形態に係る出力機である複合機105におけるプリントキュー表示画面の一例である。本画面は、複合機105のCPU251において実行されるプリントアプリケーション324によって操作部255に画面表示される。プリントキュー表示画面では、認証済みユーザーが所持する印刷ジョブの一覧が表示される。
【0068】
図5(b)は、プリントアイコン501の押下によって表示されるプリントアプリケーション324のプリントキュー表示画面510である。ユーザー名「Sato」がログイン中に表示される画面例を示している。各印刷ジョブに対して、ジョブ名511、カラーモノクロ設定512、用紙サイズ513、部数514が表示されている。この画面上で操作可能な印刷ジョブは2つ(515、516)ある。プリントアプリケーション324は、書誌情報を管理するクラウドサーバー104からログインユーザーである「Sato」の書誌情報を取得し、プリントキュー表示画面510に表示する。これらの印刷ジョブに対して、518は印刷ボタン、519は削除ボタン、520は印刷設定ボタンであり、ユーザーは表示されている印刷ジョブの中から所望の印刷ジョブを選択し、これらのボタンを押下することで、対象の印刷ジョブの操作が行われる。518は、ログイン中のユーザーを示している。521は更新ボタンであり、押下すると複合機105のプリントアプリケーション324は、クラウドサーバー104からログインユーザーである「Sato」の書誌情報を再取得し、取得した書誌情報に基づいて印刷ジョブの一覧表示を更新する。
【0069】
<設定変更画面の説明>
図5(c)は、印刷設定ボタン520の押下によって表示される印刷設定画面である。プリントキュー表示画面510にて選択した印刷ジョブに対して印刷設定を変更して印刷の操作が可能である。両面印刷の設定550、カラーモードの設定551、ステイプルの設定552、パンチの設定553、部数の設定554、用紙サイズの設定555に対して現在の設定値を表示する。この中から、ユーザーは変更したい印刷設定を選択し、設定値を変更することが可能である。556は戻るボタンであり、印刷設定を変更しても戻るボタンを押下した場合は、印刷設定の変更が取り消される。559は印刷ボタンであり、ユーザーが設定値変更後にこのボタンを押下すると、プリントアプリケーション324は、変更された印刷設定にて対象の印刷ジョブを印刷する。その後、変更された印刷設定によって書誌情報を更新し、クラウドサーバー104へ書誌情報の更新を要求する。
【0070】
<印刷ジョブのデータ構成>
図6は、入稿機である複合機103にて保存される印刷ジョブのデータ構成の一例を示す図である。ここで保存されている印刷ジョブは、1部に含まれるページ分の描画データをもつ印刷ジョブである。
【0071】
図6は、入稿機である複合機内のHDD204にて保存されている印刷ジョブの例であり、1つの印刷ジョブ700のデータ構造が示されている。印刷ジョブ700は、情報処理装置102にて動作するプリンタドライバーにて作成される。
【0072】
ジョブ開始コマンド701は、印刷ジョブの先頭に配置され、本データのジョブ開始がここから始まることを意味している。
【0073】
ジョブ設定開始パラメーター702は、印刷ジョブの識別子であるジョブID、印刷ジョブのジョブ名、印刷ジョブを保有するユーザー名、印刷ジョブを保有するユーザーが所属するドメイン名から成り、本印刷ジョブに属する情報群が配置されている。
【0074】
ジョブ設定開始コマンド703は、ジョブ設定情報の先頭に配置され、本データのジョブ設定開始がここから始まることを意味している。
【0075】
ジョブ設定パラメーター704は、印刷ジョブの印刷設定を示すものであり、カラー設定、部数指定、片面・両面設定、用紙サイズ指定の設定情報が配置されている。
【0076】
ジョブ設定終了コマンド705は、ジョブ設定情報の終端に配置され、本データのジョブ設定がここで終了することを意味している。
【0077】
描画データ開始コマンド706は、印刷出力物への描画情報を記述するページ記述言語(PDL)データの先頭に配置され、描画データの開始がここから始まることを意味している。
【0078】
描画データ707は、ページ記述言語(PDL)データが配置され、ページ開始コマンド、ページ内に描画するオブジェクト(文字、図形、画像)の指定、ページ終了コマンドから成り、本印刷ジョブで描画する情報が配置されている。
【0079】
描画データ終了コマンド708は、印刷出力物への描画情報を記述するページ記述言語(PDL)データの終端に配置され、描画データの終了を意味している。
【0080】
ジョブ仕上げ開始コマンド709は、ジョブ仕上げ設定情報の先頭に配置され、本データのジョブ仕上げ設定開始がここから始まることを意味している。
【0081】
ジョブ仕上げ設定パラメーター710は、印刷ジョブの仕上げ設定を示すものであり、パンチ穴数、カラー設定、部数指定、片面・両面設定、用紙サイズ指定の設定情報が配置されている。
【0082】
ジョブ仕上げ終了コマンド711は、ジョブ仕上げ設定情報の終端に配置され、本データのジョブ仕上げ設定がここで終了することを意味している。
【0083】
ジョブ終了コマンド712は、ジョブの終端に配置され、本データのジョブがここで終了することを意味している。
【0084】
なお、本実施例における課題は、出力機が不揮発記憶領域を持たない印刷装置である場合、描画データをレンダリングして生成した画像データを不揮発記憶領域に保存できないため、2部目以降の印刷を行えないことである。そこで、入稿機では、設定部数分の描画データが含まれる印刷ジョブを留め置くようにすることも、本実施例の課題を解決する方法として考えられる。この方法により、出力機が上述した不揮発記憶領域をもたない場合にも複数部数の印刷は可能となる。しかしながら、出力機が不揮発記憶領域をもつ場合であっても、複数部数分の描画データすべてに対してレンダリング(画像生成処理)が行われるため、出力に時間がかかってしまう。そのため、入力機では1部に含まれるページ分の描画データをもつ印刷ジョブを保持しておき、出力機が不揮発記憶領域をもたない場合に印刷ジョブを変換することが効果的である。
【0085】
<プリントキューの表示処理手順>
図7は実施形態に係る出力機である複合機105におけるプリントキューのリスト表示処理手順の一例を示すフローチャートであり、複合機105のCPU251において実行される。S901からS909は各ステップを示す。
【0086】
まずS901で認証アプリケーション321は不図示の認証画面を表示し、ユーザーからの認証情報の入力を待機する。ユーザーからの認証情報の入力を受け付けた操作部255は、操作部I/F254を介して認証情報を認証アプリケーション321に送信する。
【0087】
認証アプリケーション321はS902でユーザー認証を行う。S903でユーザー認証が成功したか否か判断し、成功したと判断した場合、認証アプリケーション321は、それぞれのアプリケーション309に認証結果を通知し、S904以降の処理を行う。S903で認証に失敗したと判断した場合、S901の処理に戻る。
【0088】
S904にて、ユーザーがプリントアプリケーションのプリントアイコン501を押下することをトリガーとして、プリントアプリケーション324が起動する。
【0089】
S905にて、起動したプリントアプリケーション324がネットワーク通信313を介して、クラウドサーバー104に接続する。
【0090】
S906にて、プリントアプリケーション324は、クラウドサーバー104へ書誌情報の取得要求を行う。取得要求には、S902にて認証したユーザー名が含まれる。
【0091】
S907にて、プリントアプリケーション324は、クラウドサーバー104からの書誌情報の取得に成功したか否かを判断する。成功した場合は、S908へ進み、プリントアプリケーション324は、取得した書誌情報をもとにプリントキュー表示510を操作部255に対して行う。書誌情報の取得に失敗した場合は、S909へ進み、プリントアプリケーション324は、エラー画面を操作部255に対して行う。
【0092】
<印刷処理手順>
図8Aは実施形態に係る出力機である複合機105において、ユーザーが選択した印刷ジョブに対して印刷ボタン518、559を押下した際に動作する印刷処理手順の一例を示すフローチャートであり、複合機105のCPU251において実行される。S921からS933は各ステップを示す。
【0093】
まず、S921でプリントアプリケーション324は、複合機105の操作部255に対して、プリントキュー表示510を行う。
【0094】
S922にて、プリントアプリケーション324は、プリントキュー510に表示される印刷ジョブ515、516のうち、ユーザーが印刷対象として選択した印刷ジョブを示すリストをアプリケーションプラットフォーム307から受信する。
【0095】
S923にて、プリントアプリケーション324は、受信した印刷実行ジョブリストから先頭の印刷ジョブの書誌情報700をROM253から読み取る。
【0096】
S924にて、プリントアプリケーション324は、書誌情報から印刷ジョブの格納場所(IPアドレス、ディレクトリパス)を抽出する。
【0097】
S925にて、プリントアプリケーション324は、書誌情報からジョブIDを抽出し、印刷ジョブの印刷要求パラメーターのひとつとして設定する。
【0098】
S926にて、プリントアプリケーション324は、書誌情報から印刷設定を抽出し、印刷ジョブの印刷要求パラメーターのひとつとして設定する。
【0099】
S927にて、プリントアプリケーション324は、印刷ジョブの印刷要求パラメーターのひとつとして、動作している複合機105のIPアドレスを印刷ジョブの送信先として設定する。
【0100】
S928にて、プリントアプリケーション324は、S924にて取得した印刷ジョブの格納場所を示すIPアドレスへ、S925、S926、S927で作成した印刷要求パラメーターと合わせて、印刷ジョブ送信を要求する。
【0101】
S929にて、印刷ジョブの格納場所のIPアドレス、つまり、入稿機である複合機103のIPアドレスとの印刷ジョブ送信要求が成功したか否かを判定する。送信失敗した場合は、S930に進み、プリントアプリケーション324は、操作部255に、印刷エラー表示を行う。送信成功した場合は、S931に進む。
【0102】
S931にて、プリントアプリケーション324は、印刷指示されたすべての印刷ジョブを実行したか否か確認する。
【0103】
未実行の印刷ジョブがまだ存在する場合は、S932にて次の印刷ジョブの書誌情報を読み込み、S924以降の処理を繰り返し行う。
【0104】
S930にて、未印刷の印刷ジョブが存在しない場合は、S933に進み、プリントアプリケーション324はプリントキューのリストを操作部255に再表示する。こうして、一連の印刷処理が終了する。
【0105】
また、出力機である複合機105と入稿機である複合機103が同一デバイスであった場合も、格納場所のIPアドレスと印刷ジョブ送信要求先のIPアドレスが同じであるだけであり、本処理自体は変更なく動作可能である。
【0106】
<印刷ジョブ要求応答手順>
図9は実施形態に係る入稿機である複合機103において、出力機105にてユーザーが印刷の操作をした印刷ジョブに対する要求に応答する処理手順の一例を示すフローチャートであり、複合機103のCPU201において実行される。S1001からS1051は各ステップを示す。
【0107】
まず、
図9において、S1001でプリントアプリケーション324は、複合機105で動作するプリントアプリケーション324からの印刷ジョブに対する要求を待つ。
【0108】
S1002にて、プリントアプリケーション324は、複合機105で動作するプリントアプリケーション324からの印刷ジョブに対する要求を受信する。
【0109】
S1003の印刷応答処理の詳細を
図10Aのフローチャートを用いて説明する。S1041にて、プリントアプリケーション324は、受信した印刷ジョブの送信要求における要求パラメーターから、ジョブIDを取得する。送信要求におけるジョブIDの要求パラメーターは、S925にて設定される。
【0110】
S1042にて、プリントアプリケーション324は、取得したジョブIDの印刷ジョブが、複合機103のHDD204にあるか否かを判断する。印刷ジョブが存在しない場合は、印刷送信結果が失敗として、S1056へ進む。印刷ジョブが存在する場合は、S1043へ進み、複合機103のHDD204にある印刷ジョブを削除する。
【0111】
S1043にて、プリントアプリケーション324は、受信した印刷ジョブの送信要求における要求パラメーターから、印刷設定情報を取得する。送信要求における印刷設定の要求パラメーターは、S926にて設定される。
【0112】
S1044にて、プリントアプリケーション324は、複合機103のHDD204に保存されている印刷ジョブの印刷設定を読み込む。
【0113】
S1045にて、プリントアプリケーション324は、読み込んだ保存印刷ジョブの印刷設定と送信要求パラメーターの印刷設定を比較し、差分があるか否かを確認する。差分がある場合は、S1046に進み、複合機103のHDD204に保存されている印刷ジョブを送信要求パラメーターの印刷設定で上書き更新する。上書き対象となる印刷設定は、印刷ジョブ700におけるジョブ設定パラメーター704およびジョブ仕上げパラメーター710である。
【0114】
なお、プリントアプリケーション324は、入稿機である複合機103にて消費済みの印刷設定に関しては、該当する印刷設定を削除して上書き更新する。例えば、出力方式を留め置きとした印刷設定がある場合、入稿機である複合機103にて、すぐ印刷せずに留め置いたことで、留め置きの設定は消費している。従って、出力機である複合機105へ送信する印刷ジョブにおいては、出力方式を留め置きとした印刷設定を削除する。削除しない場合、再度、出力機105にて留め置かれる弊害を避けるためである。
【0115】
S1047にて、プリントアプリケーション324は、HDD204に保存されている印刷ジョブの部数設定が複数部であるか否かを確認する。複数部である場合はS1048に進み、複数部でない場合はS1052へ進む。
【0116】
S1048にて、プリントアプリケーション324は、レンダリング画像保存のための記憶領域を持っているか否かの情報を含む機器情報を取得するためネットワーク通信313を利用して出力機である複合機105に情報取得要求を送る。複合機105のプリントアプリケーション324は、情報取得要求を受信すると、複合機105がHDDを有するかどうかを判断し、その情報を複合機103に送信する。
【0117】
S1049にて、プリントアプリケーション324は、S1048で取得した情報から、複合機105がレンダリング画像保存のための記憶領域を持っているか否かを確認する。レンダリング画像保存のための記憶領域を持っていない場合はS1050に進み、持っている場合はS1052に進む。
【0118】
S1049の判定は、複合機105が複数部数の設定をもち、かつ、1部に含まれるページ分の描画データをもつ印刷ジョブを、後述のS1051で示すような処理なしに、実行することで、複数部数の印刷出力が可能な印刷装置であるか否かを判定している。なお、S1048で、プリントアプリケーション324は、複合機105から機種情報などを含む機器情報を取得してもよい。そして、S1049では取得した機種情報に基づいて、複合機105が、前述のジョブの実行によって複数部数の印刷出力が可能な印刷装置であるか否かを判定してもよい。
【0119】
S1050にて、プリントアプリケーション324は、HDD204に保存されている印刷ジョブのジョブ設定パラメーター704に含まれる部数設定情報を取得、記憶し、部数設定を1に書き換える。
【0120】
S1051にて、プリントアプリケーション324は、HDD204に保存されている印刷ジョブを3つのファイルに分割する。まず、印刷ジョブのジョブ開始コマンド701からジョブ設定終了コマンド705までを第1印刷ファイルとしてHDD204に保存する。次に、描画データ開始コマンド706から描画データ終了コマンド708までを第2印刷ファイルとしてHDD204に保存する。最後に、ジョブ仕上げ開始コマンド709からジョブ終了コマンド712までを第3印刷ファイルとしてHDD204に保存する。
【0121】
S1052にて、プリントアプリケーション324は、送信要求パラメーターの印刷ジョブ送信先IPアドレスを取得する。送信要求パラメーターの印刷ジョブ送信先IPアドレスは、S927にて設定される。
【0122】
S1053にて、プリントアプリケーション324は、取得した出力機である複合機105の印刷ジョブ送信先IPアドレスの印刷用ネットワークポートに接続する。
【0123】
S1054にて、プリントアプリケーション324は、印刷ポートに接続できたか否かを判定する。接続失敗した場合は、S1056に進み、失敗した応答結果を要求元の複合機105のプリントアプリケーション324へ送信する。接続成功した場合は、S1055に進む。
【0124】
S1055にて、プリントアプリケーション324は、接続成功した印刷ジョブの送信要求元の印刷ポートに印刷ジョブを送信する。ここで、S1051にて印刷データを分割した場合は、次のように印刷ジョブを送信する。まず、プリントアプリケーション324は、第1印刷ファイルを送信し、次にS1050で記憶した設定部数の数だけ第2印刷ファイルを送信し(設定部数が3の場合、3つの第2印刷ファイルを送信する)、最後に第3印刷ファイルを送信する。このように、描画データに関するコマンドを、出力したい部数分送信することで、出力機である複合機105にレンダリング画像保存のための記憶領域がないような場合でもユーザーが指定した部数分の出力を行うことができる。
【0125】
TCP/IPプロトコルをサポートするネットワーク101においては、ポートとポートとの間でのデータ伝送が行われる。印刷ポートとは、印刷を目的としたデータ伝送に使われるポートであり、RAWポート(ポート番号9100)やLPRポート(ポート番号515)がよく使用される。出力機である複合機105のネットワーク通信313は、印刷ポートから印刷ジョブの受信を受けると、コントローラプラットフォーム302を介して、ジョブ・デバイス制御304へ受信した印刷ジョブの印刷実行を行う。
【0126】
S1056にて、プリントアプリケーション324は、印刷ジョブの送信要求に対する応答結果を、複合機105で動作するプリントアプリケーション324へ送信する。こうして、一連の印刷ジョブに対する要求応答の処理が終了する。
【0127】
実施例1によれば、出力機である複合機105に画像展開用の記憶領域がないような場合でも、ユーザーが設定した部数分の印刷物を得ることができる。
【0128】
(実施例2)
実施例1では、出力機である複合機105にレンダリング画像保存の記憶領域があるか否かを入稿機である複合機103から出力機105への通信を用いて取得している。しかし、出力機105から入稿機103に印刷ジョブ送信要求を送信するタイミングで、出力機105にレンダリング画像保存の記憶領域があるか否かの情報を他の要求パラメーターのように設定しておいてもよい。
【0129】
図8BのS940にて、出力機105のプリントアプリケーション324は、出力機である自機にレンダリング画像保存のための記憶領域があるか否かを印刷ジョブの印刷要求パラメーターのひとつとして設定する。
【0130】
また、
図10BのS1057にて、入稿機103のプリントアプリケーション324は、出力機105から送信されてきた要求パラメーターからレンダリング画像保存の記憶領域情報を取得する。送信要求におけるレンダリング画像保存の記憶領域情報の要求パラメーターは、S940にて設定される。
【0131】
S1058にて、入稿機103のプリントアプリケーション324は、取得したレンダリング画像の記憶領域情報を参照し、出力機105にレンダリング画像保存の記憶領域があるか否かを判断する。記憶領域がないと判断した場合は、S1059に進み、あると判断した場合にはS1060に進む。
【0132】
S1059とS1060はそれぞれS1050とS1052と同等であるため記載は省略する。
【0133】
実施例2によれば、出力機である複合機105にレンダリング画像保存の記憶領域がないような場合でも、ユーザーが設定した部数分の印刷物を得ることができる。
【0134】
(他の実施例)
本発明は、上述した実施形態を適宜組み合わせることにより構成された装置あるいはシステムやその方法も含まれるものとする。
【0135】
ここで、本発明は、上述した実施形態の機能を実現する1つ以上のソフトウェア(プログラム)を実行する主体となる装置あるいはシステムである。また、その装置あるいはシステムで実行される上述した実施形態を実現するための方法も本発明の1つである。また、そのプログラムは、ネットワークまたは各種記憶媒体を介してシステムあるいは装置に供給され、そのシステムあるいは装置の1つ以上のコンピューター(CPUやMPU等)によりそのプログラムが読み出され、実行される。つまり、本発明の1つとして、さらにそのプログラム自体、あるいは当該プログラムを格納したコンピューターにより読み取り可能な各種記憶媒体も含むものとする。また、上述した実施形態の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても、本発明は実現可能である。
【符号の説明】
【0136】
103 画像形成装置(入稿機)
105 画像形成装置(出力機)
201、250 CPU
204 HDD
210、259 ネットワークI/F