(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】(S)-N-(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミドの調製
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/519 20060101ALN20240227BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
C07D487/04 142
A61P43/00 111
A61K31/519
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019512951
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(86)【国際出願番号】 US2017033257
(87)【国際公開番号】W WO2017201241
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516115430
【氏名又は名称】ロクソ オンコロジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Loxo Oncology, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】504344509
【氏名又は名称】アレイ バイオファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ マーク
(72)【発明者】
【氏名】アーリー チャールズ トッド
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー ステイシー
(72)【発明者】
【氏名】ジュエングスト デリク
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】チアン ユートン
(72)【発明者】
【氏名】ハース ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース スティーヴン ダブリュ.
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】野田 定文
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506446(JP,A)
【文献】特表2004-520324(JP,A)
【文献】特表2017-535550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスであって、
(a)式13の化合物
またはその塩を、式14の化合物
またはその塩で処理して、式Iの化合物を形成する工程であって、ここで前記式13の化合物またはその塩は、前記式14の化合物またはその塩での処理の前に、単離された形態で存在する、工程と、
(b)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、フェノキシである、
プロセス。
【請求項2】
式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスであって、
(a)式13の化合物
を単離する工程と、
(b)任意で式13の塩を形成する工程と、
(c)式13の化合物またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して、式Iの化合物を形成する工程と、
(d)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、フェノキシである、
プロセス。
【請求項3】
(a)式11の化合物
またはその塩をニトロ還元系で処理して、第1の混合物を形成することと、
(b)前記第1の混合物をXC(O)Zで処理して、
第2の混合物中で式13の化合物またはその塩を形成することと
を含むプロセスによって、式13の化合物
またはその塩を調製する工程
をさらに含み、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシおよびC
6~C
10アリールオキシから選択される脱離基である、
請求項1~2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
第2の混合物中で式13の化合物を形成する工程と、
前記第2の混合物から式13の化合物を単離する工程と
を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1の混合物は式12の化合物
またはその塩を含み、前記プロセスは、XC(O)Zでの処理の前に前記第1の混合物から式12の化合物またはその塩を単離する工程を含む、請求項3または4に記載のプロセス。
【請求項6】
式12の化合物の塩がフマル酸塩である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
Zが塩素または臭素である、請求項3~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ニトロ還元系が金属または金属の化合物を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ニトロ還元系が金属、金属の塩または金属の酸化物を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ニトロ還元系が、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、銅、鉄、スズ、または亜鉛を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ニトロ還元系が酸を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ニトロ還元系が金属水素化物または混合金属水素化物を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ニトロ還元系が、LiAlH
4、NaBH
4、または水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ニトロ還元系がH
2を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ニトロ還元系が、水素を提供することができる有機化合物を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ニトロ還元系がシクロヘキセンを含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ニトロ還元系が、Pd、Pd/C、ラネーニッケル、PtO
2、Fe/酸、またはZn/酸を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ニトロ還元系がPdまたはPd/Cを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
式10の化合物
またはその塩を式5の化合物
またはその塩で処理して式11の化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって、式11の化合物またはその塩を調製する工程
をさらに含む、請求項
3~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
式10の化合物の塩がリンゴ酸塩である、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
式Iの化合物またはその塩と薬学的に許容される担体とを混合して医薬組成物を形成する工程をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
式Iの化合物の塩が硫酸水素塩である、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
(a)式12の化合物
を単離する工程と、
(b)式12の化合物をXC(O)Zで処理して、式13の化合物
またはその塩を形成する工程と、
(c)任意で式13の化合物を単離する工程と
を含む、式13の化合物またはその塩を調製するためのプロセスであって、
式中、Xは、フェノキシであり、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシおよびC
6~C
10アリールオキシから選択される脱離基である、
プロセス。
【請求項24】
式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスであって、
(a)単離された式13の化合物
またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して、式Iの化合物を形成する工程と、
(b)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程とを含み、
式中、Xは、フェノキシである、
プロセス。
【請求項25】
前記式13の化合物またはその塩が、前記式14の化合物またはその塩の処理の前に単離された状態で存在する、請求項
24に記載のプロセス。
【請求項26】
式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスであって、
(a)式13の化合物
を単離する工程と、
(b)任意で式13の塩を形成する工程と、
(c)式13の化合物またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して、式Iの化合物を形成する工程と、
(d)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、フェノキシである、
プロセス。
【請求項27】
(a)式12の化合物
を単離する工程と、
(b)式12の化合物をXC(O)Zで処理して、式13の化合物
またはその塩を形成する工程と、
(c)任意で式13の化合物を単離する工程と
を含む、式13の化合物またはその塩を調製するためのプロセスであって、
式中、Xは、フェノキシであり、ZはClである、
プロセス。
【請求項28】
さらに、(a)式11の化合物
またはその塩をニトロ還元系で処理して第1の混合物を形成する工程と、
(b)前記第1の混合物をXC(O)Zで処理して、式13の化合物またはその塩を形成する工程と
を含むプロセスによって、式13の化合物またはその塩を調製するためのプロセスをさらに含む、請求項
24~27のいずれか一項に記載のプロセスであって、
式中、Xは、フェノキシであり、ZはClである、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月18日に出願された米国仮出願第62/338,359号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本明細書において、式Iの化合物
またはその塩の調製に有用なプロセスおよび中間体が提供される。
【背景技術】
【0003】
式Iの化合物
(S)-N-(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミドは、TRKキナーゼ阻害剤である。式Iの化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/048314号(特許文献1)に開示されているように調製されてもよい。国際公開第2010/048314号(特許文献1)は、例14Aにおいて、式Iの化合物の硫酸水素塩を開示する。化合物はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年11月16日に出願された米国出願番号第14/943,014号(特許文献2)に開示されているように調製されてもよい。
【0004】
式Iの化合物の調製のための代替の合成手順に対するニーズが存在する。そのような代替の合成手順が本明細書に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2010/048314号
【文献】米国出願番号第14/943,014号
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供され、本プロセスは、
(a)式13の化合物
またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して式Iの化合物を形成する工程と、
(b)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供され、本プロセスは、
(a)式13の化合物
を単離する工程と、
(b)任意で式13の塩を形成する工程と、
(c)式13の化合物またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して式Iの化合物を形成する工程と、
(d)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式13の化合物
またはその塩を、
(a)式11の化合物
またはその塩をニトロ還元系で処理して第1の混合物を形成することと、
(b)第1の混合物をXC(O)Zで処理して式13の化合物またはその塩を形成することと
を含むプロセスによって、調製する工程をさらに含み、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、および、XC(O)ZのC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールから選択される脱離基であり、
それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
5R
6(ここでR
5およびR
6は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
ただし、Zが置換されていてもよいC
1~C
6アルコキシ、置換されていてもよいC
6~C
10アリールオキシ、または置換されていてもよい5員環ヘテロアリールである場合、ZおよびXは同一である。
【0009】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式10の化合物
またはその塩を、式5の化合物
またはその塩で処理して式11の化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって、式11の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式19の化合物
またはその塩を第1の還元剤の存在下で酸で処理して式10の化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって、式10の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含み、
式中、R
3およびR
4のそれぞれは独立してC
1~C
4アルキルであるか、または
R
3およびR
4はそれらを連結する原子でつながれて5~7員環を形成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式17の化合物
を基
を含む試薬系で処理して式19の化合物を形成することを含むプロセスによって、式19の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含み、
式中、R
3およびR
4のそれぞれは独立してC
1~C
4アルキルであるか、または
R
3およびR
4はそれらを連結する原子でつながれて5~7員環を形成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系は金属または金属の化合物を含む。いくつかの実施形態では、金属または金属の化合物は電子移動剤として作用することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式16の化合物
を(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理して式17の化合物を形成することを含むプロセスによって、式17の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、(i)本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って調製された式Iの化合物またはその塩と(ii)薬学的に許容される担体とを混合して組成物を形成する工程を含む、医薬組成物を調製するためのプロセスが本明細書において提供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、式13の化合物
またはその塩を、
(a)式11の化合物
またはその塩をニトロ還元系で処理して第1の混合物を形成する工程と、
(b)第1の混合物をXC(O)Zで処理して式13の化合物またはその塩を形成する工程と
を含むプロセスによって調製するためのプロセスが、本明細書において提供され、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、および、XC(O)ZのC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールから選択される脱離基であり、
それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
5R
6(ここでR
5およびR
6は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
ただし、Zが置換されていてもよいC
1~C
6アルコキシ、置換されていてもよいC
6~C
10アリールオキシ、または置換されていてもよい5員環ヘテロアリールである場合、ZおよびXは同一である。
【0016】
いくつかの実施形態では、
(a)式12の化合物
またはその塩を単離する工程と、
(b)式12の化合物をXC(O)Zで処理して式13の化合物またはその塩を形成する工程と、
(c)任意で式13の化合物を単離する工程と
を含む、式13の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、
(a)式11の化合物
をニトロ還元系で処理して式12の化合物またはその塩を形成する工程と、
(b)式12の化合物またはその塩を単離する工程と
を含む、式12の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、式19の化合物
またはその塩を第1の還元剤の存在下で酸で処理して、式10の化合物またはその塩を形成する工程を含む、式10の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、式17の化合物
を、基
を含む試薬系で処理して式19の化合物を形成する工程を含む、式19の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが本明細書において提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、式16の化合物
を(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理して式17の化合物を形成する工程を含む、式17の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが本明細書において提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、式19の化合物:
またはその塩が本明細書において提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、式17の化合物:
またはその塩が本明細書において提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
定義
「ニトロ還元系」は、NO2基をNH2基に変換することができる任意の物質または複数の物質である。ニトロ還元系は、例えば、不均一系、均一系、触媒系、および非触媒系を含んでもよい。ニトロ還元系の例は、金属または金属の塩もしくは金属の酸化物のような金属の化合物を含む系を含む。そのような金属の例は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、銅、鉄、スズおよび亜鉛を含む。ニトロ還元系の例は酸を含む系を含む。そのような酸を含む系はまた、本明細書に開示されるような金属または金属の化合物を含み得る。ニトロ還元系の例はH2を含む系を含む。ニトロ還元系の例は金属水素化物を含み、これは、例えば、混合金属水素化物であり得る。そのような金属水素化物の例は、LiAlH4、NaBH4、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)などを含む。ニトロ還元系の例は、水素を提供することができる有機化合物を含む系を含む。水素を提供することができるそのような有機化合物の例は、シクロヘキセンである。
【0024】
ニトロ還元系のより具体的な例は、Pd、Pd/C、ラネーニッケル、PtO2、Fe/酸、Zn/酸を含む系である。
【0025】
用語「水素」および「H」は、本明細書では同じ意味で使用される。
【0026】
用語「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)を指す。
【0027】
用語「アルキル」は、示された数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖であってよい炭化水素鎖を指す。例えば、C1~6は、その基がその中に1~6個(1と6を含む)の炭素原子を有してよいことを示す。例は、メチル、エチル、イソ-プロピル、tert-ブチル、n-ヘキシルを含む。
【0028】
用語「ハロアルキル」は、独立して選択されたハロで1つまたは複数の水素原子が置換されているアルキルを指す。
【0029】
用語「アルコキシ」用語は、-O-アルキルラジカル(例えば、-OCH3)を指す。
【0030】
本明細書で使用される用語「アリール」は、6~10個の炭素を有する芳香族単環式または二環式炭化水素ラジカルを含む。アリールの例は、フェニルおよびナフチルを含む。
【0031】
用語「ヘテロアリール」は、1~4個のヘテロ原子を有する芳香族ラジカルを指す。ヘテロ原子の例は、N、O、およびSである。ヘテロアリールの例は、ピリジル、ピリミジニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリルなどを含む。
【0032】
塩は、当業者によく知られた任意の方法で化合物から形成され得る。従って、「化合物またはその塩を形成する」という記述は、化合物が形成され、その後当業者によく知られた方法で化合物から塩が形成される実施形態を含む。
【0033】
本明細書に開示される化合物は、例として、以下の化合物17:
の構造中に示されるような、スルホキシド基を有する化合物を含む。
【0034】
硫黄-酸素結合は、イオン形態であるように絵で描写されてもよい。
従って、例えば、化合物17は、以下に示す構造:
のように描写されてもよい。
【0035】
この開示を通じて、スルホキシド基を有する化合物について与えられた構造の記述は、硫黄-酸素結合がイオン結合、共有結合、配位結合であるように描写されるか、または当業者によって想定され得る任意の形態であるかに関わらず、化合物の全ての表現を包含することが意図される。
【0036】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴は、別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0037】
本明細書に記載される態様に関する実施形態のすべての組み合わせは、可能な態様をそのような組み合わせが包含する範囲まで、各組み合わせが個別に明示的に列挙されたかのように、本発明によって具体的に包含される。加えて、本明細書に記載される態様内に含有される実施形態のすべてのサブコンビネーション、ならびに本明細書に記載される他のすべての態様内に含有される実施形態のすべてのサブコンビネーションもまた、すべての実施形態の各サブコンビネーションが本明細書に明示的に列挙されたかのように、本発明によって具体的に包含される。
【0038】
実施形態の例
いくつかの実施形態では、式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供され、本プロセスは、
(a)式13の化合物
またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して式Iの化合物を形成する工程と、
(b)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、XはClである。いくつかの実施形態では、XはBrである。いくつかの実施形態では、XはIである。いくつかの実施形態では、XはC1~C6アルコキシである。いくつかの実施形態では、XはC6~C10アリールオキシである。いくつかの実施形態では、Xはフェノキシである。いくつかの実施形態では、Xは式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Xはイミダゾリルである。
【0040】
いくつかの実施形態では、式13の化合物またはその塩は、式14の化合物またはその塩での処理の前に単離された形態で存在する。
【0041】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物
またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供され、本プロセスは、
(a)式13の化合物
を単離する工程と、
(b)任意で式13の塩を形成する工程と、
(c)式13の化合物またはその塩を式14の化合物
またはその塩で処理して式Iの化合物を形成する工程と、
(d)任意で式Iの化合物の塩を形成する工程と
を含み、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、XはClである。いくつかの実施形態では、XはBrである。いくつかの実施形態では、XはIである。いくつかの実施形態では、XはC1~C6アルコキシである。いくつかの実施形態では、XはC6~C10アリールオキシである。いくつかの実施形態では、Xはフェノキシである。いくつかの実施形態では、Xは式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Xはイミダゾリルである。
【0043】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の塩は硫酸水素塩である。
【0044】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の塩を形成することは、式Iの化合物を酸で処理して塩を形成することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の塩を形成することは、式Iの化合物の塩を酸で処理して、アニオン交換を介して異なる塩を形成することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式13の化合物
またはその塩を、
(a)式11の化合物
またはその塩をニトロ還元系で処理して第1の混合物を形成することと、
(b)第1の混合物をXC(O)Zで処理して式13の化合物またはその塩を形成することと
を含むプロセスによって調製する工程をさらに含み、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、および、XC(O)ZのC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールから選択される脱離基であり、
それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
5R
6(ここでR
5およびR
6は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
ただし、Zが置換されていてもよいC
1~C
6アルコキシ、置換されていてもよいC
6~C
10アリールオキシ、または置換されていてもよい5員環ヘテロアリールである場合、ZおよびXは同一である。
【0047】
いくつかの実施形態では、式13の化合物を調製する工程は、
第2の混合物中で式13の化合物を形成することと、
第2の混合物から式13の化合物を単離することと
を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の混合物は式12の化合物
またはその塩を含み、プロセスはXC(O)Zでの処理の前に第1の混合物から式12の化合物またはその塩を単離することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、式12の化合物の塩はフマル酸塩である。
【0050】
いくつかの実施形態では、Zはハロゲンである。
【0051】
いくつかの実施形態では、Zは塩素である。
【0052】
いくつかの実施形態では、Zは臭素である。
【0053】
いくつかの実施形態では、Zはイミダゾリルである。
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物11を処理するニトロ還元系は、不均一系である。
【0055】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、均一系である。
【0056】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、触媒系である。
【0057】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、非触媒系である。
【0058】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、金属または金属の塩もしくは金属の酸化物のような金属の化合物を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、銅、鉄、スズまたは亜鉛を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は酸を含む。いくつかの実施形態では、酸を含むニトロ還元系は、金属または金属の化合物を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系はH2を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は金属水素化物を含む。いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は混合金属水素化物を含む。いくつかの実施形態では、混合金属水素化物は、LiAlH4、NaBH4、または水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、水素を提供することができる有機化合物を含む。いくつかの実施形態では、水素を提供することができる有機化合物は、シクロヘキセンである。
【0064】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系は、Pd、Pd/C、ラネーニッケル、PtO2、Fe/酸、またはZn/酸を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系はPdを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、ニトロ還元系はPd/Cを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式10の化合物
またはその塩を式5の化合物
またはその塩で処理して式11の化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって、式11の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、式10の化合物の塩はリンゴ酸塩である。いくつかの実施形態では、式10の化合物の塩はD-リンゴ酸塩である。
【0069】
式5の化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年11月16日に出願された米国出願番号第14/943,014号に開示されている。式5の化合物は以下のように調製され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式19の化合物
またはその塩を第1の還元剤の存在下で酸で処理して式10の化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって、式10の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1の還元剤はシランである。いくつかの実施形態では、第1の還元剤はトリエチルシランである。
【0072】
いくつかの実施形態では、基
を含む試薬系中のR
3およびR
4のそれぞれは同一である。いくつかの実施形態では、19中のR
3およびR
4のそれぞれは同一である。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4のそれぞれはメチルである。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4のそれぞれはエチルである。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4のそれぞれはn-プロピルである。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4のそれぞれはi-プロピルである。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4はそれらを連結する原子でつながれて5員環を形成する。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4はそれらを連結する原子でつながれて6員環を形成する。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4はそれらを連結する原子でつながれて7員環を形成する。いくつかの実施形態では、R
3およびR
4はそれらを連結する原子でつながれて環
を形成する。
【0073】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系は、(i)
(式中、Yはハロゲンである)、および(ii)第2の還元剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の還元剤はヨウ化サマリウムである。いくつかの実施形態では、YはClである。いくつかの実施形態では、YはBrである。いくつかの実施形態では、YはIである。
【0074】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系は金属または金属の化合物を含む。いくつかの実施形態では、金属または金属の化合物は電子移動剤として作用することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はZnを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はSnを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はFeを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はGeを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はCuを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はZnの塩を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はSnの塩を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はFeの塩を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はGeの塩を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系はCuの塩を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、
を含む試薬系は
を含み、式中、Mは(i)M
1(ここで、M
1は一価の金属である)、または(ii)M
2Y(ここで、Yはハロゲンであり、M
2は二価の金属である)のいずれかである。いくつかの実施形態では、M
1はリチウムである。いくつかの実施形態では、M
2はマグネシウムである。いくつかの実施形態では、M
2はZnである。いくつかの実施形態では、M
2はFeである。いくつかの実施形態では、M
2はCuである。いくつかの実施形態では、M
2はSnである。いくつかの実施形態では、M
2はSmである。いくつかの実施形態では、M
2はGeである。いくつかの実施形態では、Yはハロゲンである。いくつかの実施形態では、YはClである。いくつかの実施形態では、YはBrである。いくつかの実施形態では、YはIである。
【0086】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式17の化合物
を基
を含む試薬系で処理して式19の化合物を形成することを含むプロセスによって、式19の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、式16の化合物
を(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理して式17の化合物を形成することを含むプロセスによって、式17の化合物またはその塩を調製する工程をさらに含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、式16の化合物の(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドでの処理は、塩基の存在下で行われる。
【0089】
いくつかの実施形態では、式13の化合物
またはその塩を、
(a)式11の化合物
またはその塩をニトロ還元系で処理して第1の混合物を形成する工程と、
(b)第1の混合物をXC(O)Zで処理して式13の化合物またはその塩を形成する工程と
を含むプロセスによって調製するためのプロセスが本明細書において提供され、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、および、XC(O)ZのC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールから選択される脱離基であり、
それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
5R
6(ここでR
5およびR
6は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
ただし、Zが置換されていてもよいC
1~C
6アルコキシ、置換されていてもよいC
6~C
10アリールオキシ、または置換されていてもよい5員環ヘテロアリールである場合、ZおよびXは同一である。
【0090】
いくつかの実施形態では、
(a)式12の化合物
を単離する工程と、
(b)式12の化合物をXC(O)Zで処理して式13の化合物またはその塩を形成する工程と、
(c)任意で式13の化合物を単離する工程と
を含む、式13の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが本明細書において提供され、
式中、Xは、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、または、式13の化合物のC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールであり、それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
1R
2(ここでR
1およびR
2は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
式中、Zはハロゲン、C
1~C
6アルコキシ、C
6~C
10アリールオキシ、および、XC(O)ZのC=Oに直接結合した少なくとも1つの窒素を含有する5員環ヘテロアリールから選択される脱離基であり、
それぞれは、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ハロゲン、CN、OH、C
1~C
6アルコキシ、およびNR
5R
6(ここでR
5およびR
6は水素およびC
1~C
6アルキルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
ただし、Zが置換されていてもよいC
1~C
6アルコキシ、置換されていてもよいC
6~C
10アリールオキシ、または置換されていてもよい5員環ヘテロアリールである場合、ZおよびXは同一である。
【0091】
いくつかの実施形態では、
(a)式11の化合物
をニトロ還元系で処理して式12の化合物またはその塩を形成する工程と、
(b)式12の化合物またはその塩を単離する工程と
を含む、式12の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが本明細書において提供される。
【0092】
いくつかの実施形態では、式19の化合物
またはその塩を第1の還元剤の存在下で酸で処理して、式10の化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって、式10の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供される。
【0093】
いくつかの実施形態では、式17の化合物
を、基
を含む試薬系で処理して式19の化合物を形成することを含むプロセスによって、式19の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供される。
【0094】
いくつかの実施形態では、式16の化合物
を(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドで処理して式17の化合物を形成することを含むプロセスによって、式17の化合物またはその塩を調製するためのプロセスが、本明細書において提供される。
【0095】
いくつかの実施形態では、式19の化合物:
またはその塩が本明細書において提供される。
【0096】
いくつかの実施形態では、式17の化合物:
またはその塩が本明細書において提供される。
【0097】
いくつかの実施形態では、(i)本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って調製された式Iの化合物またはその塩と、(ii)薬学的に許容される担体とを混合することを含む、医薬組成物を調製するためのプロセスが本明細書において提供される。式Iの化合物またはその塩を活性成分として含有する医薬組成物は、式Iの化合物またはその塩を、従来の医薬配合技術に従って医薬担体と緊密に混合することによって調製され得る。担体は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて多種多様な形態を取ってよい。従って、懸濁液、エリキシル剤および溶液のような液体経口製剤の場合、好適な担体および添加剤は、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、安定剤、着色剤などを含み、散剤、カプセルおよび錠剤のような固体経口製剤の場合、好適な担体および添加剤は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。固体経口製剤はまた、主要な吸収部位を調節するために、糖のような物質でコーティングされてもよく、または腸溶コーティングされてもよい。非経口投与の場合、担体は通常は滅菌水からなり、溶解性または保存性を高めるために他の成分が加えられてよい。注射用懸濁液または溶液もまた、適切な添加剤と共に水性担体を利用して調製されてもよい。
【0098】
式Iの化合物またはその塩は、任意の簡便な経路で、例えば、消化管(例えば、直腸にもしくは経口で)、鼻、肺、筋肉または脈管構造中に、または経皮的に(transdermally)または経皮的に(dermally)投与されてよい。式Iの化合物またはその塩は、例えば、錠剤、散剤、カプセル、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐剤、ゲル、エマルジョン、パッチなどの、任意の簡便な投与形態で投与されてよい。そのような組成物は、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味料、増量剤、およびさらなる活性剤のような、医薬品で慣用の成分を含有してよい。非経口投与が望ましい場合、組成物は滅菌され、注射または注入に適した溶液または懸濁液形態である。そのような組成物は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0099】
また、式Iの化合物またはその塩を含む医薬組成物が本明細書において提供される。本明細書で提供される医薬組成物を調製するために、活性成分としての式Iの化合物またはその塩は、従来の医薬配合技術に従って医薬担体と緊密に混合され、担体は、例えば、経口または筋肉内のような非経口などの、投与に望ましい製剤の形態に応じて多種多様な形態を取ってよい。経口剤形の組成物の調製では、任意の通常の医薬媒体が採用されてよい。従って、例えば懸濁液、エリキシル剤および溶液のような液体経口製剤の場合、好適な担体および添加剤は、水、グリコール、グリセロール、油、シクロデキストリン、例えばエタノールのようなアルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などを含み、例えば、散剤、カプセル、カプレット、ジェルキャップおよび錠剤のような固体経口製剤の場合、好適な担体および添加剤は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはベータ-ラクトースのような天然糖、コーンシロップ、アラビアゴム、トラガントのような天然および合成ゴム、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。崩壊薬は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されない。
【0100】
それらの投与の容易さにより、錠剤およびカプセルが最も有利な経口単位剤形となり、その場合、固体医薬担体が明らかに採用される。所望により、錠剤は、標準的な技術によって糖衣または腸溶コーティングされてよい。非経口用の場合、担体は通常は滅菌水を含み、他の成分を介して、例えば、溶解性を助ける、または保存のためなどの目的のために、含まれてよい。注射用懸濁液もまた調製されてもよく、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などが採用されてよい。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル、散剤、注射、小さじ1杯などの投与単位あたり、上記のような有効量を送達するために必要な活性成分の量を含有する。
【0101】
本明細書の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液、溶液、再構成のためのサシェ剤、散剤、注射、I.V.、坐剤、舌下/頬側フィルム、小さじなどの単位投与単位あたり、約0.1~1000mgまたはその中の任意の範囲を含有し、約0.01~300mg/kg/日またはその中の任意の範囲で、好ましくは、約0.5~50mg/kg/日またはその中の任意の範囲の用量で与えられてよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、単位投与単位あたり、本明細書で提供される化合物を約25mg~約500mg含有する(例えば、約25mg~約400mg、約25mg~約300mg、約25mg~約250mg、約25mg~約200mg、約25mg~約150mg、約25mg~約100mg、約25mg~約75mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約150mg~約500mg、約200mg~約500mg、約250mg~約500mg、約300mg~約500mg、約400mg~約500mg、約50~約200mg、約100~約250mg、約50~約150mg)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、単位投与単位あたり、本明細書で提供される化合物を約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、または約500mg含有する。しかしながら、用量は、患者の要求、治療されている状態の重症度および採用されている化合物に応じて変更されてよい。いくつかの実施形態では、用量は1日1回(QD)または1日2回(BID)投与される。
【0102】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸投与のための、または吸入もしくは吹送による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒、滅菌非経口溶液もしくは懸濁液、計量されたエアロゾルもしくは液体スプレー、点滴、アンプル、自動注入装置または坐剤のような単位剤形である。あるいは、組成物は、週1回または月1回の投与に適した形態で提示されてよく、例えば、デカン酸塩のような活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポ製剤を提供するように適合されてよい。錠剤のような固体組成物を調製するために、式Iの化合物またはその塩を、医薬担体、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴムなどの従来の錠剤化成分、および他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、式Iの化合物またはその塩を含有する固体組成物を形成する。これらの予備製剤組成物を均一と呼ぶとき、それは活性成分が組成物全体に均等に分散され、組成物が錠剤、丸剤およびカプセルのような等しく有効な剤形に容易に細分され得ることを意味する。その後、この固体予備製剤組成物は、本明細書で提供される活性成分を0.1~約1000mg、またはその任意の量もしくは範囲で含有する上記のタイプの単位剤形に細分される。新規組成物の錠剤または丸剤は、持続性作用の利点を与える剤形を提供するために、コーティングされるか、または別の方法で配合され得る。例えば、錠剤または丸剤は内部投与成分および外部投与成分を含み得、後者は前者の外被の形態である。2つの成分は、胃内での崩壊に抵抗する働きをし、内部成分が十二指腸へ無傷で通過するか、または放出を遅らせることを可能にする腸溶層によって隔てられ得る。様々な材料がそのような腸溶層またはコーティングに使用され得、そのような材料はシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料を有する多数のポリマー酸を含む。
【0103】
本明細書で提供される新規組成物が経口または注射による投与のために組み込まれてよい液体形態は、水性溶液、シクロデキストリン、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、および綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油のような食用油で風味付けされたエマルジョン、ならびにエリキシル剤および類似の医薬ビヒクルを含む。水性懸濁液に適した分散剤または懸濁化剤は、トラガント、アラビアゴムのような合成および天然ゴム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンを含む。非経口投与の場合、滅菌懸濁液および溶液が望ましい。静脈内投与が望ましい場合、一般に好適な防腐剤を含有する等張性製剤が採用される。
【0104】
式Iの化合物またはその塩は、好適な鼻腔内ビヒクルの局所使用を介して、または当業者に周知の経皮皮膚パッチを介して、鼻腔内形態で投与され得る。経皮送達システムの形態で投与されるために、用量投与は、もちろん、投与レジメンを通して断続的ではなく連続的であろう。
【0105】
本明細書で提供される医薬組成物を調製するために、活性成分としての式Iの化合物またはその塩は、従来の医薬配合技術に従って医薬担体と緊密に混合され、担体は、投与(例えば、経口または非経口)に望ましい製剤の形態に応じて多種多様な形態を取ってよい。好適な薬学的に許容される担体は、当該技術分野で周知である。これらの薬学的に許容される担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会(the American Pharmaceutical Association)および英国薬剤師会(the Pharmaceutical Society of Great Britain)によって出版されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipients中に見られ得る。
【0106】
医薬組成物を製剤化する方法は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Second Edition, Revised and Expanded,1~3巻,Liebermanら編集;Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications,1~2巻,Avisら編集;およびPharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems,1~2巻,Liebermanら編集;Marcel Dekker, Inc.出版、などの多くの出版物に記載されている。
【0107】
本明細書で提供される化合物は、癌、疼痛、炎症、神経変性疾患またはクルーズ・トリパノソーマ感染の治療が必要とされるときはいつでも、前述の組成物のいずれかで、および当該技術分野で確立された投与レジメンに従って投与されてよい。
【0108】
式Iの化合物またはその塩の1日投与量は、成人1日当たり1.0~10,000mgの広い範囲、またはそれ以上、またはその中の任意の範囲で変更され得る。経口投与の場合、組成物は、好ましくは、治療される患者への用量の対症的調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。有効量の薬物は、通常、1日あたり約0.1mg/kg~約1000mg/kg体重、またはその中の任意の範囲の用量レベルで供給される。好ましくは、範囲は、1日あたり約0.5~約500mg/kg体重、またはその中の任意の範囲である。より好ましくは、1日あたり約1.0~約250mg/kg体重、またはその中の任意の範囲。より好ましくは、1日あたり約0.1~約100mg/kg体重、またはその中の任意の範囲。一例では、範囲は、1日あたり約0.1~約50.0mg/kg体重、またはその中の任意の量もしくは範囲であってよい。別の例では、範囲は、1日あたり約0.1~約15.0mg/kg体重、またはその中の任意の範囲であってよい。さらに別の例では、範囲は、1日あたり約0.5~約7.5mg/kg体重、またはその中の任意の量もしくは範囲であってよい。式Iの化合物またはその塩は、1日当たり1~4回または1日1回のレジメンで投与されてよい。
【0109】
投与されるべき最適用量は、当業者によって容易に決定されてよく、投与の様式、製剤の強さ、投与の様式、および病状の進行によって変化するであろう。加えて、患者の年齢、体重、食事および投与時間を含む、治療されている特定の患者に関連する因子により、用量を調整する必要が生じるであろう。
【実施例】
【0110】
10の調製:
1)
(R、E)-N-(2,5-ジフルオロベンジリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(17):
化合物16および(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.05当量)を、メカニカルスターラー、還流冷却器、J-Kem温度プローブを取り付けた反応器にN
2下で入れた。DCM(14の1グラムあたり3mL)を加え(22℃から約5℃へ吸熱)、続いて炭酸セシウム(0.70当量)を加えた(約50℃へ発熱)。加え終わったら、反応混合物を室温で3時間撹拌した(約40℃からゆっくりと冷却する)。反応が完了したと見なされたら(HPLC)、セライトを通して濾過した。セライトパッド(0.3重量当量)をDCM(16の1グラムあたり1mL)で平衡化し、反応混合物をパッドを通して注いだ。セライトケーキをDCM(2×1mL/g)で洗浄し、濾液を部分的に濃縮して約0.5~1mL/gのDCMを残した。橙色溶液を室温で保管し(一般に一晩)、次の反応に直接使用した(収率100%と仮定した)。
【0111】
2)
(R)-N-((R)-1-(2,5-ジフルオロフェニル)-3-(1,3-ジオキサン-2-イル)プロピル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(19):
オーバーヘッドスターラー、還流冷却器を備えた反応器に窒素下で、削り状マグネシウム(2.0当量)およびTHF(17の1グラムあたり8mL)を加えた。混合物を40℃に加熱した。Dibal-H(トルエン中25重量%、0.004当量)を溶液に加え、懸濁液を40℃で25分間加熱した。THF中の2-(2-ブロモエチル)-1,3-ジオキサン(18)(2当量)の溶液(17の1グラムあたり4.6mL)をMg溶液に滴下漏斗を介して滴下して加えた。溶液温度を55℃以下に維持した。反応の進行をGCで監視した。グリニャール形成が完了したと判断されたら、溶液を-30℃に冷却し、17(1.0当量、DCM中)を滴下漏斗を介して滴下して加えた。温度を-30℃~-20℃の間に保ち、反応の完了を監視した(HPLC)。反応が完了したと見なされたら、懸濁液(IT=-27.7℃)を、調製および冷却した(10℃)10%クエン酸水溶液(17の1グラムあたり11mL)に吸引して移した。移動中、混合物温度は20℃に上昇した。乳白色溶液を周囲温度で一晩撹拌させた。MTBE(5.8mL/g)を混合物に加え、分液漏斗に移した。層を分離させ、下の水層を除去した。有機層を、飽和NaHCO3(11mL/g)、その後飽和NaCl(5.4mL/g)で洗浄した。減圧蒸留により有機層を除去し、最小体積に濃縮した。MTBE(2mL/g)を加え、混合物を最小体積に再濃縮した。最後に、2mL/gの合計MTBE(MTBE:THFのGC比は約9:1であった)となるようにMTBEを加え、完全に溶解するまでMTBE混合物を50℃に加熱した。MTBE溶液を約35℃に冷却させ、ヘプタンを少しずつ加えた。第1の部分(2mL/g)を加え、混合物を1~2時間撹拌させて固体を形成させ、その後、残りのヘプタンを加える(8mL/g)。懸濁液を1時間超撹拌させた。固体をポリプロピレンフィルタークロス(PPFC)を通した濾過により回収し、ヘプタン中の10% MTBE(4mL/g)で洗浄した。湿った固体をトレイに置き、真空オーブン内で55℃で恒量まで乾燥した(3101g、80.5%、濃白色固体、100a%および100重量%)。
【0112】
3)
(R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン(R)-2-ヒドロキシコハク酸塩(10):
4:1のTFA:水(2.5mL/g、19を加える前に予備混合され、35℃未満に冷却された)を含有するフラスコに、(R)-N-((R)-1-(2,5-ジフルオロフェニル)-3-(1,3-ジオキサン-2-イル)プロピル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(19)(1当量)を加えた。混合物温度は34℃から48℃に上昇し、周囲温度で1時間撹拌された。追加のTFA(7.5mL/g)を加え、続いてトリエチルシラン(3当量)を5分かけて加えた。二相混合物を、窒素下で21時間、完了したと判断されるまで(GCで、5%未満のイミン)、激しく撹拌した。その後、混合物を減圧下で約10kgの標的質量まで濃縮した(濃縮後、10.8kgと観測された)。得られた濃縮物を分液漏斗に移し、MTBE(7.5mL/g)、続いて水(7.5mL/g)で希釈した。層を分離した。MTBE層を1M HCl(3mL/g)で逆抽出した。層を分離し、水層を丸底フラスコ中でDCM(8mL/g)と組み合わせた。混合物を氷浴で冷却し、40%NaOHを入れてpHを12以上に調製し(約0.5mL/g;温度は24℃~27℃に達した、実測pHは13であった)、分液漏斗で層を分離した。水層を2回DCM(2×4mL/g)で逆抽出した。有機層を減圧下(ロータリーエバポレーター)で油状(0.5mL/g未満)に濃縮し、EtOH(生成物に基づいて1mL/g)を加えた。黄色溶液を油状に再濃縮した(補正収率81%、3%EtOH、0.2%イミンを含み、キラルHPLCは99.7%eeを示した)。
【0113】
塩の形成:
EtOH中の(R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン10(1当量)の溶液(15mL/g)にD-(+)-リンゴ酸(1当量)を加えた。懸濁液を70℃に30分間加熱し(70℃に達する前に完全な溶解が起こった)、その後室温までゆっくりと冷却させた(温度が40℃未満のとき混合物をシーディングした)。スラリーを室温で一晩撹拌し、その後翌朝、5℃未満に冷却した。懸濁液を5℃未満で2時間撹拌し、濾過し(PPFC)、冷EtOH(2×2mL/g)で洗浄し、真空下で乾燥して(50~55℃)、生成物を白色固体として得た(91%効力に基づいて96%、生成物はEtOH溶媒和物またはヘミ溶媒和物である)。
【0114】
式Iの化合物の調製:
1)
(R)-5-(2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)-3-ニトロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(11):
化合物5および10(1.05当量)をメカニカルスターラー、J-Kem温度プローブを取り付けた反応器にN
2下で入れた。EtOHおよびTHF(4:1、5の1グラムあたり10mL)を加え、混合物を15~25℃に冷却した。トリエチルアミン(3.5当量)を加え、内部温度は概して17.3から37.8℃に上昇した。反応を50~60℃に加熱し、その温度で7時間保持した。反応が完了したと判断されると(HPLC)、温度を50~60℃に維持しながら水(5の1グラムあたり12mL)を加える。熱を除去し、懸濁液を2時間かけて21℃までゆっくりと冷却した。約21℃で2時間撹拌した後、懸濁液を遠心分離し、ケーキを水(5の1グラムあたり3×3mL)で洗浄した。固体を乾燥トレイに移し、50~55℃の真空オーブンに入れて11を得た。
【0115】
2)
(R)-5-(2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-アミンフマル酸塩Pt/C水素化(フマル酸塩12):
Parr反応器に、11(1.0当量)、5%Pt/C約50重量%水(2mol%Pt/Johnson Matthey B103018-5またはSigma Aldrich 33015-9)、およびMeOH(8mL/g)を入れた。懸濁液を水素下、25~30psiで撹拌し、温度を65℃未満に約8時間維持した。反応が完了したと見なされたら(HPLC)、反応を15~25℃に冷却し、水素雰囲気を窒素雰囲気で置換した。反応混合物を、2ミクロンバッグフィルターおよび0.2ミクロンラインフィルターを通して連続的に濾過した。Pt/C水素化物からの濾液を窒素下で機械的に撹拌しながら反応器に移し、その後MTBE(8mL/g)およびフマル酸(1.01当量)を入れた。混合物を窒素下で1時間撹拌し、約15分後に固体を形成した。混合物を-10~-20℃に冷却し、3時間撹拌した。懸濁液を濾過し(PPFC)、MTBE(約2.5mL/g)で洗浄し、固体を窒素を抜きながら20~25℃で真空下で乾燥して、オフホワイトの固体を得た(収率83%)。
【0116】
3)
フェニル(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)-3,3a-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)カルバメート(13):
5~15℃の2-MeTHF中の12-フマル酸塩(1.0当量)の溶液(15mL/g)に、水中の炭酸カリウム(2.0当量)の溶液(5mL/g)、続いてクロロギ酸フェニル(1.22当量)を加えた(22分かけて、7℃から11℃への発熱が起こった)。混合物を2時間撹拌し、その後反応が完了したと見なした(HPLC)。撹拌を止め、水層を除去した。有機層をブライン(5mL/g)で洗浄し、減圧下、40℃に加熱しながら約5mL/gの2-MeTHFに濃縮した。2-MeTHF溶液にヘプタン(2.5mL/g)、続いてシード(20mg、0.1重量%)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌させ(固体が形成されるまで)、その後残りのヘプタン(12.5mL/g)を加えた。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、その後固体を濾過(PPFC)により回収し、4:1 ヘプタン:MeTHF(2×2mL/g)で洗浄し、乾燥して13を得た(96%)。
【0117】
4)
(S)-N-(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミド硫酸水素塩:
13(1.0当量)を含有するフラスコに、EtOH中の(S)-ピロリジン-3-オール(1.1当量)の溶液(10mL/g)を加えた。混合物を50~60℃で5時間加熱し、完了したと見なし(HPLC)、その後20~35℃に冷却した。35℃未満になったら、反応を清浄な反応容器に研磨濾過し(0.2ミクロン)、混合物を-5~5℃に冷却した。硫酸(1.0当量)を40分かけて加え、温度は2℃に上昇し、混合物をシーディングした。固体が形成され、混合物を-5~5℃で6.5時間撹拌させた。ヘプタン(10mL/g)を加え、混合物を6.5時間撹拌した。懸濁液を濾過し(PPFC)、1:1 EtOH:ヘプタン(2×2mL/g)で洗浄し、乾燥し(真空下、周囲温度で)、式Iを得た(92.3%)。
【0118】
式Iの化合物の硫酸水素塩の調製:
18322mLのEtOH中の3031gの(S)-N-(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミドの溶液に濃硫酸(392mL)を加え、硫酸水素塩を形成した。溶液を2gの(S)-N-(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミド硫酸水素塩でシーディングし、溶液を室温で少なくとも2時間撹拌して、硫酸水素塩のスラリーを形成した。ヘプタン(20888g)を加え、スラリーを室温で少なくとも60分間撹拌した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを1:1 ヘプタン/EtOHで洗浄した。その後、固体を周囲温度(オーブン温度を15℃に設定)で真空下で乾燥した。
【0119】
乾燥した硫酸水素塩(4つの組み合わせたロットから6389g)を水/2-ブタノンの5:95w/w溶液に加えた(合計重量41652g)。エタノールの重量パーセントが約0.5%になるまで混合物を約68℃で撹拌しながら加熱し、その間にスラリーが形成された。スラリーを濾過し、濾過ケーキを水/2-ブタノンの5:95w/w溶液で洗浄した。その後、固体を周囲温度(オーブン温度を15℃に設定)で真空下で乾燥し、結晶形態の(S)-N-(5-((R)-2-(2,5-ジフルオロフェニル)-ピロリジン-1-イル)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミド硫酸水素塩を得た。