(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】金属切削において溝を機械加工する方法
(51)【国際特許分類】
B23B 1/00 20060101AFI20240227BHJP
B23B 5/14 20060101ALI20240227BHJP
B23B 27/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B23B1/00 Z
B23B5/14
B23B27/04
(21)【出願番号】P 2019542160
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2017070860
(87)【国際公開番号】W WO2018082821
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-01
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルンドストレーム, スタッファン
(72)【発明者】
【氏名】アンデルステット, ユーハン
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】田々井 正吾
【審判官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-012003(JP,U)
【文献】特開2002-018605(JP,A)
【文献】特開平02-284806(JP,A)
【文献】米国特許第4213356(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00
B23B 5/00 - 5/48
B23B 27/00 - 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースに所定の溝幅の溝を切削する方法であって、
周面(31)を有する金属ワークピース(18)を提供するステップと、
一定の又は実質的に一定のブレード幅(13)を有するブレード部(2)と、主切れ刃(11)によって画定される最大インサート幅(14)を有するインサート(3)とを備える溝削りツール(1)を提供するステップと、
前記ブレード幅(13)より大きい前記インサート幅(14)を選択するステップと、
コンピュータ数値制御旋盤の機械インターフェース(19)に前記溝削りツール(1)を接続させるステップと、
前記ワークピース(18)をその回転軸(A)の周りで回転方向(24)に回転させるステップと、
前記溝幅が前記インサート幅(14)と等しくなるように又は実質的に等しくなるように、また、接線切削力(37)が前記機械インターフェース(19)の方へ、又は実質的に前記機械インターフェース(19)の方へ向けられるように、前記ツール(1)を送り方向(15)に前記ワークピース(18)の前記回転軸(A)の方へ移動させることによって、前記ワークピース(18)に溝(33)を切削するステップと
を含み、
前記ブレード部(2)が第2の方向よりも前記接線切削力(37)に平行な第1の方向に細長くなるように、前記溝削りツール(1)を配置する更なるステップを含み、前記第2の方向は、前記接線切削力(37)に対して直角をなし、前記回転軸(A)に対して直角をなしている、方法。
【請求項2】
前記主切れ刃(11)が前記回転軸(A)と交差するように又は実質的に交差するように前記ツール(1)を移動させる更なるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記主切れ刃(11)が直線経路に沿って前記回転軸(A)の方へ移動するように前記ツール(1)を移動させる更なるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溝(33)の第1及び第2の側面(34、35)が形成されるように、また前記溝(33)の前記第1及び第2の側面(34、35)が前記回転軸(A)に対して直角をなすように、また前記第1及び第2の側面(34、35)の間の距離が前記インサート幅(14)と等しくなるように、前記溝(33)を切削する更なるステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
上面(26)及び対向する底面(27)と、前面(28)及び対向する後面(29)と、第1の側面(39)及び対向する第2の側面(40)とを含む前記インサート(3)を選択する更なるステップと、
前記前面(28)が前記送り方向(15)に向くように、また前記底面(27)が前記機械インターフェース(19)の方に向くように、前記インサート(3)を位置づけする更なるステップと、
前記主切れ刃(11)が前記前面(28)と前記上面(26)との間の交点に沿って形成されるように、前記インサート(3)を配置する更なるステップと、
前記前面(28)と前記後面(29)との間の距離が前記ワークピース(18)の前記周面(31)から前記回転軸(A)までの距離よりも小さくなるように、前記インサート(3)を選択する更なるステップと
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インサート(3)が前記溝(33)内部に完全に入るように、前記溝削りツール(1)を移動させる更なるステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレード部(2)の第2の中央平面(42)が前記回転軸(A)のより近くに移動するように、前記溝削りツール(1)を移動させる更なるステップを含み、前記ブレード部(2)の前記第2の中央平面(42)は、対向する第3及び第4の面(8、9)の間で等距離にある又は実質的に等距離にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記主切れ刃(11)が前記回転軸(A)に平行になるように又は実質的に平行になるように、前記溝削りツール(1)を配置する更なるステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブレード部(2)が、
対向する第1及び第2の面(4、5)であって、前記ブレード幅(13)が前記第1及び第2の面(4、5)との間の最短距離として定義される、対向する第1及び第2の面(4、5)と、
対向する第3及び第4の面(8、9)と、
第5の面(6)及び対向するブレード部端部(7)であって、前記ブレード幅(13)が前記第5の面(6)から前記ブレード部端部(7)まで一定である又は実質的に一定である、第5の面(6)及び対向するブレード部端部(7)と、
前記第3の面(8)と前記第5の面(6)とを分離させるインサート座(10)と
を含む、前記溝削りツール(1)を選択する更なるステップと、
前記インサート(3)がスクイ面(12)と主逃げ面(25)とを含む、前記溝削りツール(1)を選択する更なるステップと、
前記主逃げ面(25)と前記第3の面(8)とが同じ方向(15)に向くように、前記インサート(3)を前記インサート座(10)に位置づけする更なるステップと、
前記第5の面(6)から前記対向するブレード部端部(7)までの最短距離(16)が、前記第3の面(8)から前記第4の面(9)までの最短距離(17)より大きくなるように、前記ブレード部(2)を配置する更なるステップと
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機械インターフェース(19)に接続させるのに好適な連結部(32)を含む前記溝削りツール(1)を選択する更なるステップと、
前記連結部(32)を、
前記コンピュータ数値制御旋盤の機械インターフェース(19)に接続させる更なるステップと
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ツールブロック(30)を備える前記溝削りツール(1)を選択する更なるステップと、
前記機械インターフェース(19)に接続させるのに好適な連結部(32)を前記ツールブロック(30)が含むように前記ツールブロック(30)を配置する更なるステップと、
前記連結部(32)と前記ブレード部(2)との間の距離を連続範囲にわたって選択することができるように前記溝削りツール(1)を配置する更なるステップと
を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ブレード部(2)が対向し且つ平行な第3及び第4の面(8、9)を含む前記溝削りツール(1)を選択する更なるステップを含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の方法において使用される、インサート(3)。
【請求項14】
コンピュータ数値制御旋盤によって実行されると、前記コンピュータ数値制御旋盤に請求項1から
12のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を有する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項
14に記載のコンピュータプログラムが記憶されている、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削ツールの技術分野に属する。より具体的には、本発明は、ワークピースに所定の溝幅の溝を切削する方法の分野に属し、上記機械加工は、コンピュータ又はコンピュータ化された数値制御機械、すなわちCNC機械を使用して行われうる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ワークピースに所定の溝幅の溝を切削する方法を参照する。より具体的には、本発明は、交換可能な切削インサート、より具体的には分断、切取り又は溝削りインサートを備える切削ツールを使用した施削方法に関する。
【0003】
金属切削切断、切取り、又は深い溝削りは、難しい工程として長く知られてきた。1つの問題としてチップのつまりが知られている。他の1つの問題は振動であり、振動はとりわけ、ツール破壊の危険性、及び不十分な表面仕上げの原因である。上記工程及び切削ツールは例えば、US5135336に記載されている(
図4)。したがって、切断又は深い溝削り工程における振動を低減させることが長年必要とされてきた。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、深い溝削り又は切断における振動の危険性を低減するために、改善された方法の必要性があることを発見した。本発明者らは、最新式の方法については、切削中の切削ツールの偏向が原因で振動が起こりうることを発見した。
【0005】
本発明の目的は、振動を低減させる、ワークピースに所定の溝幅の溝を切削する方法を提供することである。
【0006】
この目的は、周面を有する金属ワークピースを提供するステップと、一定の又は実質的に一定のブレード幅を有するブレード部と、主切れ刃によって画定される最大インサート幅とを有するインサートを備える溝削りツールを提供するステップと、ブレード幅より大きいインサート幅を選択するステップと、機械ツールの機械インターフェースに溝削りツールを接続させるステップと、ワークピースをその回転軸の周りで回転方向に回転させるステップと、溝幅がインサート幅と等しくなるように又は実質的に等しくなるように、また、接線切削力が機械インターフェースの方へ、又は実質的に機械インターフェースの方へ向けられるように、ツールを送り方向にワークピースの回転軸の方へ移動させることによって、ワークピースに溝を切削するステップとを含む方法で達成される。
【0007】
上記方法により、深い溝削り又は切断の最中の振動の危険性が低減しうる。別の効果は、送り速度の増加、より小さいインサート幅の選択、面仕上げの向上、及び挿入摩耗の削減の可能性でありうる。上記方法により、特に溝削りツールのオーバーハング又は最大溝深さが大きいときの切断中のインサートの偏向が低減しうる。比較実験又は計算により、偏向が6分の1に減った例が示されている。上記方法は、好ましくはマルチタスク機又はミルターン(mill turn)機等の、y軸機能を有する機械ツール又はコンピュータ(又はコンピュータ化された)数値制御(CNC)機械で使用される。
【0008】
ワークピースに所定の溝幅の溝を切削する方法は、施削方法、すなわち、ワークピースが回転軸の周囲で回転し、厳密に1つのインサートにより材料が切削される方法である。形成された溝は、回転軸に対して直角をなしている。あるいは、切断工程において、ワークピースが2つに分割されるまで溝が形成される。
【0009】
鋼鉄からできたワークピース等の、周面又は外面を有する金属ワークピースが提供される。金属ワークピースは、回転軸と一致する中心軸に対して円筒形であってよい、又は対称的であってよい。周面は、好ましくは一定の又は実質的に一定の直径で形成されている。
【0010】
回転軸は、好ましくは水平であってよい。あるいは、例えば機械のタイプによって、回転軸は垂直であってもよい。あるいは、好ましくはないが、回転軸は他のいずれかの角度を有する場合がある。
【0011】
好ましくは1.0~20.0mmの範囲内、また更に好ましくは1.5~12.0mmの範囲内の一定の又は実質的に一定のブレード幅を有するブレード部と、主切れ刃によって画定される最大インサート幅を有するインサートとを備える溝削りツール、又は溝削りあるいは切断に好適なツールが提供される。
【0012】
ブレード部は、単一本体、実体又は装置であってよい。あるいは、ブレード部は、単一本体、実体又は装置の部品又は一部であってよい。
【0013】
インサートは好ましくは、超硬合金、サーメット又はセラミック、又はこのような材料の組み合わせ等、ブレード部よりも耐摩耗性の高い材料からできている。ブレード部は、好ましくは鋼鉄からできている。
【0014】
主切れ刃により、インサート幅が画定される。溝削りにおいて、溝幅はインサート幅、すなわち主切れ刃の幅に等しい。主切れ刃はインサートの最も幅が広い部分である、つまり、主切れ刃の対向する終点を接続している直線は、全ての平行線と等しい長さである、又は好ましくはそれよりも長いものであり、全ての平行線はその終点でインサートと交差している。
【0015】
インサート幅はブレード幅よりも大きい。インサート幅は、好ましくはブレード幅よりも1~25%広く、また更に好ましくは5~15%広い。インサート幅とブレード幅は平行線に沿って測定される。
【0016】
溝削りツールは、好ましくはインサート全体が溝内部に入ることができるように溝削り工程が実施されうるように、配置される。
【0017】
溝削りツールは、好ましくは連結部を用いることによって、機械ツールの機械インターフェースに直接又は間接的に接続される又はクランプ留めされられる。連結部は、回転施盤等の施削及び溝削りに使用することができる機械ツール、マルチタスク機械、施削機械、又は摺動ヘッド機械に接続させるのに好適である。機械ツールは、好ましくはCNC機械、すなわちコンピュータまたはコンピュータ化された数値制御機械である。連結部は、機械スピンドル又はツールリボルバータレット又は刃物台の形態であってよい機械インターフェースに接続させるのに好適である。連結部は、四角形又は三角形の断面を有していてよい。連結部は、好ましくはISO規格26623-1等による円錐形又は実質的に円錐形であってよい。
【0018】
ワークピースは、好ましくは機械ツールの部品であるモータによって、その回転軸の周りで回転方向に回転する又は駆動される。ワークピース内の溝は、切削によって形成される。ツールは、径方向の送りを通して送り方向に、ワークピースの回転軸の方へ移動する。ワークピースに対するツールの移動は、好ましくは線形又は直線である。径方向の送りは、好ましくは0.05~0.50mm/回転の範囲内である。径方向の送りは、切削中は一定であってよい。あるいは、径方向の送りは変化してよく、好ましくは切断端部において減速される。送り方向は、回転軸に対して直角をなしている。
【0019】
溝幅は、インサート幅と等しい又は実質的に等しい、すなわちインサート幅によって決定される。主切れ刃は、好ましくは回転軸に平行である。主切れ刃は、好ましくは回転軸に平行である。あるいは、主切れ刃は、回転軸に対して20度未満の角度、また更に好ましくは10度未満の角度を形成している。主切れ刃は、直線又は線形であってよい。あるいは、主切れ刃は、前面に中央くぼみ部を含みうる。
【0020】
接線切削力、又は主切削力は、機械インターフェースの方へ又は実質的に機械インターフェースの方へ向けられる。径方向切削力又は送り力は、送り方向とは反対の方向又は実質的に反対の方向へ向けられる。径方向切削力又は送り力は、接線又は主切削力に対して直角に又は実質的に直角に向けられる。
【0021】
ツールは、主切れ刃が回転軸と交差する又は実質的に交差するように移動させることができる。あるいは、ツールは、主切れ刃の前に径方向送り停止部が回転軸に到達しているように移動させることができる。
【0022】
一実施形態によれば、係る方法は、主切れ刃が回転軸と交差する又は実質的に交差するように、ツールを移動させる更なるステップを含む。
【0023】
上記方法によって、ワークピースが棒状である場合又はワークピースが送り方向と交差する中央孔を含まない形状である場合に、分断又は切断工程を実施することができる。
【0024】
主切れ刃は、主切れ刃が回転軸と交差する又は実質的に交差するように、すなわち回転軸から2.0mm以内又はより好ましくは2.0mm以内にあるように移動する。
【0025】
一実施形態によれば、係る方法は、主切れ刃が直線経路に沿って回転軸の方へ移動するようにツールを移動させる更なるステップを含む。
【0026】
上記方法により、本方法のプログラミングを短時間で行うことができる。
【0027】
一実施形態によれば、係る方法は、溝の第1及び第2の側面が形成されるように、また溝の第1及び第2の側面が回転軸に対して直角をなすように、また第1及び第2の側面の間の距離がインサート幅と等しくなるように、溝を切削する更なるステップを含む。
【0028】
本方法によって形成された溝はしたがって、溝の第1及び第2の側面又は壁面が形成されたものとなる。溝の第1及び第2の側面は、回転軸に対して直角をなす平行平面に位置しているあるいは延びている。第1及び第2の側面の間の最短距離は、インサート幅と等しい。溝は、溝の第1及び第2の側面と底面とによって限定される。溝の底面により、溝の第1及び第2の側面が接続される。溝は、溝の底部の反対の方向に開いている。機械加工又は切削中に、分断又は切断工程が実施されたとしても、溝は形成される。
【0029】
一実施形態によれば、係る方法は、上面及び対向する底面と、前面及び対向する後面と、第1の側面及び対向する第2の側面とを含むインサートを選択する更なるステップと、前面が送り方向に向くように、また底面が機械インターフェースに向くように、インサートを位置づけする更なるステップと、主切れ刃が、前面と上面との間の交点に沿って形成されるように、インサートを配置する更なるステップと、前面と後面との間の距離がワークピースの周面から回転軸までの距離よりも小さくなるように、インサートを選択する更なるステップとを含む。
【0030】
インサートはしたがって上面を含み、上面は、スクイ面及び好ましくはチップ破砕又はチップ制御手段と、対向する底面とを含む。上面は、機械インターフェースから離れる方に向いている。底面は、機械インターフェースの方に向いている。更にインサートは、送り方向及び溝の底面に向いている前面と、対向する後面とを含む。主切れ刃は、インサートの上面と前面との間の交点又は境界に形成されている。インサートは更に、第1の側面と、対向する第2の側面とを含む。インサートの第1の側面は、溝の第1の側面に向いている。第2の側面は、溝の第2の側面に向いている。
【0031】
一実施形態によれば、係る方法は、インサートが溝内部に完全に入るように、溝削りツールを移動させる更なるステップを含む。
【0032】
上記方法により、深い溝削りが実施されうる。
【0033】
一実施形態によれば、係る方法は、ブレード部の第2の中央平面が回転軸のより近くに移動するように、溝削りツールを移動させる更なるステップを含み、ブレード部の第2の中央平面は、対向する第3及び第4の面の間で等距離に又は実質的に等距離にある。
【0034】
一実施形態によれば、係る方法は、主切れ刃が回転軸に平行又は実質的に平行になるように、溝削りツールを配置する更なるステップを含む。
【0035】
主切れ刃が回転軸に平行なところから+/-15度以内である場合、主切れ刃は回転軸に実質的に平行である。
【0036】
一実施形態によれば、係る方法は、ブレード部が第2の方向よりも接線切削力に平行な第1の方向に細長くなるように、溝削りツールを配置する更なるステップを含み、第2の方向は、接線切削力に対して直角をなし、回転軸に対して直角をなしている。
【0037】
上記方法により、ブレード部に重量が加わることなく振動が削減されうる。
【0038】
一実施形態によれば、係る方法は、ブレード部が、
対向する第1及び第2の面であって、ブレード幅が第1及び第2の面との間の最短距離として定義される、対向する第1及び第2の面と、
対向する第3及び第4の面と、
第5の面及び対向するブレード部端部であって、ブレード幅が第5の面からブレード部端部まで一定又は実質的に一定である、第5の面及び対向するブレード部端部と、
第3の面と第5の面とを分離させるインサート座と
を含む、溝削りツールを選択する更なるステップと、
インサートがスクイ面と主逃げ面とを含む、溝削りツールを選択することと、
主逃げ面と第3の面とが同じ方向に向くように、インサートをインサート座に位置づけする更なるステップと、
第5の面から対向するブレード部端部までの最短距離が第3の面から第4の面までの最短距離より大きくなるように、ブレード部を配置する更なるステップとを含む。
【0039】
一実施形態によれば、本方法は、機械インターフェースに接続させるのに好適な連結部を備える溝削りツールを選択する更なるステップと、連結部を機械ツールの機械インターフェースに接続させる更なるステップとを含む。
【0040】
一実施形態によれば、本方法は、機械インターフェースに接続させるのに好適な連結部を備える溝削りツールを選択する更なるステップと、連結部をコンピュータ数値制御施盤の機械インターフェースに接続させる更なるステップとを含む。
【0041】
コンピュータ化された数値制御施盤としても知られるコンピュータ数値制御施盤、又はCNC施盤は、施削に使用されうる機械ツールであり、溝削りツール等の施削ツールの移動は、コンピュータプログラムによって制御される。
【0042】
一実施形態によれば、本方法は、ツールブロックを備える溝削りツールを選択する更なるステップと、機械インターフェースに接続させるのに好適な連結部をツールブロックが含むようにツールブロックを配置する更なるステップと、連結部とブレード部との間の距離を連続範囲にわたって選択することができるように溝削りツールを配置する更なるステップとを含む。
【0043】
上記方法により、ブレードのオーバーハングをある距離の範囲にわたって選択することが可能であり、これは、例えば異なる直径を有するワークピースが切削される場合に好都合である。上記の場合、ブレードのオーバーハングは、各ワークピースに対して必要なだけ小さくなるように選択することができる。
【0044】
オーバーハングは、主切れ刃と、ツールブロックの最も近い干渉部との間の距離として定義される。つまり、オーバーハングは、最大溝深さを画定するということである。
【0045】
連結部とブレード部との間の距離は、連続範囲にわたって選択することができ、これは、好ましくはブレード部がクランプ留めされていない状態でツールブロック内を直線的に摺動可能となるようにすることによって実現される。ツールブロックは、好ましくはブレード部がツールブロックに二者択一的にクランプ留めされ、またクランプ解除されることを可能にするクランプ手段を含む。ツールブロック内のブレード部の直線的に摺動可能な方向は、好ましくは機械インターフェースの方である。
【0046】
一実施形態によれば、本方法は、ブレード部が対向し且つ平行な第3及び第4の面を含む溝削りツールを選択する更なるステップを含む。
【0047】
ブレード部の第3及び第4の面を平行に配置することによって、ブレード部が改善された方法でツールブロック内を摺動可能となりうる。
【0048】
好ましくは第3及び第4の面は、クランプ面である。つまり、好ましくは第3及び第4の面は、ツールブロックのクランプ手段と接触する。
【0049】
本発明の一態様は、本方法において使用されるインサートに関するものである。
【0050】
本発明の一態様によれば、コンピュータプログラムは、コンピュータ数値制御施盤によって実行されると、コンピュータ数値制御施盤に本方法を実施させる命令を有する。
【0051】
本発明の一態様によれば、コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラムが記憶されている。
【0052】
本発明の一態様によれば、データストリームは、コンピュータプログラムを表示したものである。
【0053】
ここで、本発明の異なる実施形態の記載によって、また添付の図面を参照することによって、本発明を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】ブレード部とインサートとを含む、最新式の溝削りツールの斜視図である。
【
図4】
図1の溝削りツールを使用した、最新式の機械加工方法の側面図である。
【
図5】ブレードを備える第1のタイプの溝削りツールを使用した、第1の実施形態に係る機械加工方法の側面図である。
【
図9】第1のタイプに係るブレード部を使用した機械加工方法の上面図である。
【
図10】第2のタイプに係る溝削りツールの側面図である。
【
図13】第3のタイプに係る溝削りツールの側面図である。
【
図16】第4のタイプに係る、溝削りツール部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
【0056】
最新式の溝削りツール1、最新式のブレード部2、ブレード部2のインサート座10に装着された最新式のインサート3を示す
図1~4を参照する。溝削り又は分断又は切取り工程等の切削工程中は、溝削りツール1は機械インターフェース19に接続され、送り方向15に金属ワークピース18の回転軸Aの方へ移動する。ワークピース18は、その回転軸Aの周囲で回転方向24に回転する。インサート3の主切れ刃11により、ワークピース18の周面31に溝が切削される。接線切削力(図示せず)は、
図4において下向きに向けられている。
【0057】
ここで、第1のタイプに係るブレード部2と、一実施形態に係る方法とを示す
図5~9を参照する。溝削りツール1は、一定の又は実質的に一定のブレード幅13を有するブレード部2と、主切れ刃11によって画定される最大インサート幅14を有するインサート3とを備える。インサート幅14は、ブレード幅13よりも大きい。溝削りツール1は、ツールブロック30を備える。溝削りツール1は、機械ツール(図示せず)の機械インターフェース19に接続される。より正確には、ツールブロック30は、機械インターフェース19に接続された連結部32を含む。
【0058】
ブレード部2は、対向する第1及び第2の面4、5を含む。ブレード幅13は、第1及び第2の面4、5の間の最短距離として定義される。ブレード部2は、対向する第3及び第4の面8、9を含む。ブレード部は、第5の面6及び対向するブレード部端部7を含む。ブレード幅13は、第5の面6からブレード部端部7まで一定又は実質的に一定である。第5の面6から対向するブレード部端部7までの最短距離16は、第3の面8から第4の面9までの最短距離17よりも大きい。ブレード部端部7は、ブレード部端面7である。ブレード部2は、対向する第1及び第2の面4、5、対向する第3及び第4の面8、9、並びに対向する第5の面及びブレード部端面6、7によって限定される単一本体である。第5の面6から対向するブレード部端部7までの距離16は、第3の面8から第4の面9までの距離17よりも3~8倍大きい。第3の面8から第4の面9までの距離17は、ブレード幅13よりも5~20倍大きい。対向する第1及び第2の面4、5は、平行又は実質的に平行である。インサート座10は、ブレード部2固有の弾性を利用してインサート3がインサート座10にクランプ留めされるように、配置される。
【0059】
対向する第3及び第4の面8、9は、
図6に示すように側面図において、平行又は実質的に平行である。例えば
図8に示すように、第3の面8は第6の面20と第7の面21とを含み、第4の面9は第8の面22と第9の面23とを含む。第6の面20と第7の面21は断面において、対向する第1及び第2の面4、5の間で等距離に位置する第1の中央平面41の方へ収束する。第8の面22と第9の面23は断面において、第1の中央平面41の方へ収束する。第3及び第4の面8、9の間の距離は、第1の中央平面41で最大である。
【0060】
インサート座10により、第3の面8と第5の面6とが分離される。ブレード部2の第2の中央平面42は、対向する第3及び第4の面8、9の間で等距離又は実質的に等距離にある。
【0061】
インサート3は、主切れ刃11と、関連するスクイ面12と、関連する主逃げ面25とを含む。主切れ刃11により、インサート幅14が画定される。インサート幅14は、ブレード幅13よりも大きい。インサート3は、上面26及び対向する底面27、前面28及び対向する後面29、第1の側面39及び対向する第2の側面40を含む。上面26は、スクイ面を含む。前面28は、主逃げ面25を含む。
【0062】
インサート3は、インサート座10に取り外し可能にクランプ留めされる、着座させられる又は装着される。インサート3がインサート座10に装着されると、主逃げ面25と第3の面8とは同じ方向15、すなわち送り方向15に向く。インサート3の主逃げ面25とブレード部の第3の面8とは、同じ方向15又は実質的に同じ方向15に向いている。インサート3がインサート座10に装着されると、底面27の一部と後面29の一部がインサート座10に接触する。第2の中央平面42に平行な平面は、インサート3の上面及び底面26、27と交差する。インサート3がインサート座10に装着されると、主切れ刃11は、第1の中央平面41に対して対称的に、対向する第1及び第2の面4、5の間で等距離又は実質的に等距離に配置され、第5の面6は、連結部32に対して反対の方向に向く。
【0063】
ブレード部2の第3の面8の一部と第4の面9の一部は、ツールブロック30と接触している。ブレード部2は、連結部32とブレード部2との間の距離を連続範囲にわたって選択することができるように、ツールブロック30にクランプ留め可能である。
【0064】
図5及び9に示すように、周面31を有する金属ワークピース18は、その回転軸Aの周りを回転方向24に回転する。
【0065】
ツール1を送り方向15にワークピース18の回転軸Aの方へ移動させることによって、ワークピース18に、インサート幅14と等しい所定の溝幅又は主切れ刃11の幅を有する溝33が切削される。溝幅は、インサート幅14と等しい又は実質的に等しい。接線切削力37は、機械インターフェース19の方へ又は実質的に機械インターフェース19の方へ向けられる。径方向切削力38は、送り方向15とは反対の方向へ向けられる。
【0066】
例えば固形の棒状ワークピース18の切断又は切削において、溝削りツール1の送りは、主切れ刃11が回転軸Aと交差する又は実質的に交差するように続けられる。
図9は、実際の切断前の状況、主切れ刃11がまだ回転軸Aと交差しておらず、溝33の底面36が溝33の第1及び第2の側面34、35と接続している状況を示しうる。溝33の第1及び第2の側面34、35は、回転軸Aに対して直角をなしている。第1及び第2の側面34、35の間の距離は、インサート幅14に等しい。切削中、主切れ刃11は、直線経路に沿って回転軸Aの方へ移動する。
図9では、インサート3は完全に溝33内部に入っている。切削中、ブレード部2の第2の中央平面42は、回転軸Aのより近くに移動する。
【0067】
切削中、ブレード部2は、接線切削力37に対して直角をなし且つ回転軸Aに対して直角をなす第2の方向よりも、接線切削力37に平行な第1の方向に細長くなっている。
【0068】
ここで、第2のタイプに係る溝削りツール1を示す
図10~12を参照する。ブレード部2は、溝削りツール1の部品である。つまり、ブレード部2は、溝削りツール1の後部に永久接続され、後部は連結部32を含み、連結部32は円錐形であり、機械インターフェース19に接続可能である。ブレード部の後端部7はしたがって、後端面の形態ではなく、ブレード幅13を有するブレード部2と、ブレード幅より大きい幅を有する後部とを分離する境界の形態である。ブレード部2はしたがって、第1のタイプのようにツールブロック内で移動可能ではない。したがって、第2のタイプによれば、最大溝幅が固定される。第5の面6から対向するブレード部端部7までの距離16は、第3の面8から第4の面9までの距離17よりも約10~50%大きい。他のすべての実体のある態様において、ブレード部2は、第1のタイプに係るブレード部と同様の又は同一のものである。インサート3は、上述したインサート3と同一のものである。溝削りツール2を、上述した方法において使用することができる。
【0069】
ここで、第3のタイプに係る溝削りツール1を示す
図13~15を参照する。第3のタイプに係る溝削りツール1は、連結部がシャンクタイプであることのみ又はスクエアシャンクタイプであることのみが、第2のタイプに係る溝削りツール1と異なっている。つまり、連結部32は、断面が四角形又は三角形の形であるということである。連結部32はまた、連結部32が接続される機械インターフェース19の形状によって他の形状も有しうる。
【0070】
ここで、第4のタイプに係る溝削りツール部分を示す
図13~15を参照する。溝削りツール部分は、タイプ2及び3に記載のブレード部2を備える。溝削りツール部分は、機械インターフェース19に接続可能な第2の又は後部の又は中間の溝削りツール部分(図示せず)に接続可能である。
【0071】
記載したように、本方法を実施するために、異なるタイプの溝削りツールを使用することが可能である。当業者は、本方法を実施するために使用可能な、ブレード部を備える他の溝削りツールを見つけることもできる。
【0072】
機械ツール(図示せず)は、好ましくはコンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体あるいはデータストリーム内の命令によって、記載の溝削り又は切削工程を実施するように命令されうる、CNC機械である。
【0073】
本願において、「含む(including)」等の語の使用には制限がなく、「備える、含む(comprising)」等の語と同じ意味を有するものとし、他の構造体、材料又は作動の存在を排除するものではない。同様に、「可能、できる(can)」又は「であってよい、場合もある(may)」等の語の使用には制限がなく、その構造体、材料、又は作動が必要でないことを表すものであるが、上記語を使用しないからといって、その構造体、材料又は作動が必須であることを表しているわけではない。その構造体、材料、又は作動が現時点で必須と考えられる範囲内では、それらはそのように識別される。「上方(upper)」、「下方(lower)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「前方(forward)」及び「後方(rear)」等の語は、現行の図面に示され、当業者によって認知される特徴を指すものである。