(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】多層フィルムおよびそれを含む包装
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240227BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240227BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/00 H
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2019547696
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018023081
(87)【国際公開番号】W WO2018175287
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、マーティン
【審査官】中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501238(JP,A)
【文献】特開2008-133350(JP,A)
【文献】特開2006-077970(JP,A)
【文献】特表2002-530224(JP,A)
【文献】特開2009-018861(JP,A)
【文献】実開平07-009766(JP,U)
【文献】特開2001-322683(JP,A)
【文献】国際公開第2017/000339(WO,A1)
【文献】特表2011-501775(JP,A)
【文献】特開平09-234815(JP,A)
【文献】特開平08-267677(JP,A)
【文献】特開2003-128088(JP,A)
【文献】特開2001-071429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0239796(US,A1)
【文献】社団法人高分子学会編集, 高分子辞典, 第3版, 朝倉書店発行, 2005年6月30日, p.592-593
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
A層およびB層を含み、
前記A層は、上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつ前記A層の重 量に基づいて、少なくとも70重量パーセントのLDPEを含み、
前記B層は、上部表面および下部表面を有し、ホモポリマーポリプロピレン
またはランダムコポリマーポリプロピレ
ンからなり(ただし、これらのポリプロピレンは発泡ポリプロピレンではない)、
前記B層の前記上部表面が、前記A層の下部表面と接着接触しており、
前記フィルムは、前記A層と前記B層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成されており、
前記シーラント層は、前記A層からなる単層である、
前記多層フィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記A層が、直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含む、請求項1または2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
上部表面および下部表面を有するC層をさらに含み、前記C層の前記上部表面が、前記B層の下部表面に接着接触している、請求項1~3のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記C層はLLDPEを含む、請求項4に記載の多層フィルム。
【請求項6】
酸素バリア層をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の多層フィルムを含む、包装。
【請求項8】
基材に積層された請求項1~6のいずれかに記載の多層フィルムを含む、多層構造であって、前記基材が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム、またはポリエチレンフィルムを含む、前記多層構造。
【請求項9】
請求項8に記載の多層構造を含む、包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層フィルム、およびこのようなフィルムを含む包装に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシール可能かつ開封が容易なフィルムは、例えば、食品を含む容器を一時的に閉鎖するために大規模に用いられる。例えば、剥離可能なフィルムは、トレイなどの剛性容器に封止され得る。使用中、消費者は、剥離可能なフィルムを引き剥がす。
【0003】
ヒートシール可能なフィルムは、熱を加える際に封止されることができなければならない。典型的な封止プロセスの間、フィルムの基布またはウェブ層は、封止顎部などの加熱された表面と直接接触する。これにより、熱は、フィルムの基布層を通して伝達されて、内側シーラント層を融解および融着して、シールを形成する。
【0004】
シールを引き離すことに必要とされる力は、「シール強度」または「ヒートシール強度」と呼ばれ、これは、ASTM F2029-00(B)に従って測定することができる。所望のシール強度は、特定のエンドユーザ用途に従って変動する。シリアルライナー、スナック食品包装、クラッカーチューブ、およびケーキミックスライナーなどの柔軟性包装用途の場合、所望のシール強度は、一般に約2~10N/15mmの範囲である。例えば、開封が容易なシリアルボックスライナーの場合、約3~6N/15mmの範囲のシール強度が一般的に指定されているが、具体的な目標は、個々の製造業者の要求に従って変わる。柔軟性包装用途に加えて、シール可能かつ剥離可能なフィルムはまた、便利な品目(例えば、プリンなどのスナック食品)のための蓋および医療器具などの剛性包装用途において使用され得る。典型的な剛性包装はまた、約3~6N/15mmのシール強度を有する。
【0005】
封止される多層フィルムまたは構造は通常、加熱されたときにフィルムまたは構造を(同じフィルムまたは異なるフィルムの)別のフィルム表面、剛性包装、または別の表面に封止するシーラント層を含む。包装を開封することができるいくつかの剥離システムが存在する。
【0006】
接着剤剥離システムでは、シーラント層を有する多層フィルムまたは構造を基材に封止する(例えば、別の多層フィルムまたは構造、剛性包装など)。基材がシーラント層を含まない場合、シーラント層は、基材から分離する(例えば、シーラント層を有する多層フィルムまたは構造は、基材からきれいに除去される)。基材がシーラント層も含む場合、シーラント層の間に明確な分離が存在する。
【0007】
凝集剥離システムでは、シールは、シーラント層内で凝集的に開封する。そのようなシステムでは、破損がシーラント層内で起こるので、残留シーラント層が基板上に見えることがある。
【0008】
破裂剥離または層間剥離システムでは、シールは、しっかりしたままであるが、シーラント層は、基材から接着的に層間剥離する。
【0009】
そのようなシステムについての追加情報は、食品技術包装工業会(2011年6月)によって発行されたTechnical Bulletin No.106/2011「Guideline for the design of「easy opening」peelable packaging systems」に見出すことができ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
破裂剥離開口機構は、用途によっては特に望ましい場合がある。
【0011】
包装に組み込まれたときに一貫したより容易に調整可能な開封力を提供する多層フィルムおよび/または構造への新しいアプローチが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、包装に組み込まれたときに一貫した調整可能な開封力を提供することができる多層フィルムを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、包装に組み込まれると、多層フィルム内の層間剥離(すなわち破裂剥離)によって開封される場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、多層フィルムは、シーラント層と隣接層との間の層間剥離のために開封する剥離可能なシールを提供する。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、「開封が容易な」シールを提供することができる(例えば、フィルムは、ASTM F2029-00(B)に従って測定した場合、100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を有することができる)。
【0013】
一態様では、本発明は、上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含むA層と、上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、B層と、を含む、多層フィルムであって、B層の上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成される、多層フィルムを提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示された多層フィルムのいずれかを含むパウチなどの包装に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示される多層フィルムのいずれかおよびトレイを含む包装であって、A層の上部表面が、トレイの少なくとも一部に封止される、包装に関する。
【0016】
別の態様では、本発明は、基材に積層された本明細書に開示された多層フィルムのいずれかを含む多層構造に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示された多層構造のいずれかを含む包装に関する。
【0018】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示された多層構造のうちのいずれかおよびトレイを含む包装であって、A層の上部表面が、トレイの少なくとも一部に封止される、包装に関する。
【0019】
これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による多層フィルムおよび比較フィルムの様々な温度でのヒートシール強度を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
別段言及されるか、文脈から黙示的であるか、または当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての温度は℃であり、全ての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0023】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)ホモポリマーという用語、および本明細書以下に定義されるインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。ポリマーは、単一ポリマー、ポリマーブレンド、またはポリマー混合物であり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)コポリマー、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」という用語は、重合形態で(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレンを含み、かつ任意で1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0026】
「ポリプロピレン」は、プロピレンモノマーから誘導された50重量%よりも大きい単位を有するポリマーを意味する。「ポリプロピレン」という用語は、アイソタクチックポリプロピレンなどのプロピレンのホモポリマー、プロピレンが少なくとも50モルパーセントを構成するプロピレンと1つ以上のC
2
、
4-8
α-オレフィンとのランダムコポリマー、およびポリプロピレンのインパクトコポリマーを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマー、およびα-オレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、2種類のみのモノマーとして、重合形態で(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマー、およびα-オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0029】
「接着接触」という用語および同様の用語は、一方の層の1つの表面と別の層の1つの表面とが接触してお互いに結合していることを意味する。
【0030】
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求されるすべての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別のものであるかにかかわらず、いかなる追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の引用範囲から、いかなる他の構成要素、ステップ、または手順も除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0031】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、50重量%を超えるエチレンモノマーから誘導された単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、非常に低い密度のポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、当該技術分野において一般に既知であるが、以下の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの差異を理解する上で役立つ可能性がある。
【0032】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」または「高分岐ポリエチレン」とも称され、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を超える圧力のオートクレーブ内もしくは管状反応器内で、ポリマーが部分的もしくは完全にホモ重合または共重合することを意味するように定義される(例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS4,599,392を参照されたい)。LDPE樹脂は典型的には、0.916~0.935g/cm
3
の範囲内の密度を有する。
【0033】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系ならびにシングルサイト触媒(ビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)および拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されない)を使用して作製される樹脂の両方を含み、直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの均質分岐直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されるものなどの不均一分岐エチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,342もしくはUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPEは、当該技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作製することができる。
【0034】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm
3
の密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は典型的には、クロム触媒もしくはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、または、これに制限されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むシングルサイト触媒を使用して作製され、典型的には、2.5を超える分子量分布(「MWD」)を有する。
【0035】
「HDPE」という用語は一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または、これに制限されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm
3
を超える密度を有するポリエチレンを指す。
【0036】
「ULDPE」という用語は一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または、これに制限されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むシングルサイト触媒を用いて調製される、0.880~0.912g/cm
3
の密度を有するポリエチレンを指す。
【0037】
一態様では、本発明は、上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、A層と、上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、B層と、を含む、多層フィルムであって、B層の上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成される、多層フィルムを提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す。
【0039】
いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも50重量パーセントの低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。A層は、いくつかの実施形態では、A層の重量に基づいて少なくとも70重量パーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて最大100重量パーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、B層は、B層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも95重量パーセント含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、1つ以上の追加の層を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、バリア層をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、上部表面および下部表面を有するC層をさらに含み、C層の上部表面は、B層の下部表面に接着接触している。いくつかのそのような実施形態では、C層は、ポリオレフィンを含む。
【0042】
本発明の多層フィルムは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態は、食品包装などの包装に関する。いくつかの実施形態では、本発明の包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルムを含む。いくつかの実施形態では、包装は、パウチである。いくつかの実施形態では、本発明の包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルムおよびトレイを含み、A層の上部表面は、トレイの少なくとも一部に封止される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、多層構造に関する。いくつかの実施形態では、多層構造は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルム含む。そのような実施形態では、基材は、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム、またはポリエチレンフィルムを含む。そのような多層構造は、食品包装などの包装を形成するために使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層構造を含む。いくつかの実施形態では、本発明の包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層構造およびトレイを含み、A層の上部表面は、トレイの少なくとも一部に封止される。
【0045】
本発明の多層構造体は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0046】
本明細書に記載されるように、本発明の包装は、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0047】
シーラント層(A層)
本発明の多層フィルムは、シーラント層である第1の層(A層)を含む。本明細書に記載の通り、シーラント層は、いくつかの実施形態では、A層の重量に基づいて少なくとも30重量パーセント~最大100重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む。特定の理論に縛られることを望まないが、多量の長鎖分岐を有するポリエチレン(例えば、LDPE)を有意な量で有するA層と、少なくとも70重量パーセントのポリプロピレンを有するB層(下記でさらに考察される)との組み合わせが、A層とB層との間の層間剥離破損のために望ましい剥離強度を提供する層間の不適合性を提供すると考えられる。
【0048】
A層は、有意な量の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも30重量パーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも50重量パーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも70重量パーセントのLDPEを含む。A層は、A層の重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも95重量パーセントのLDPEを含む。A層は、いくつかの実施形態では、A層の重量に基づいて最大100重量パーセントのLDPEを含む。異なるLDPE樹脂のブレンドもA層に含まれ得ることを理解すべきであり、LDPEへの全ての言及は、一般に1つ以上のLDPE樹脂を指すと理解すべきである。
【0049】
いくつかの実施形態では、LDPEは、0.916~0.935g/cm
3
の密度を有する。0.916~0.935g/cm
3
の全ての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ開示され、例えば、LDPEの密度は、0.918~0.930g/cm
3
、または代替的に0.920~0.932g/cm
3
、または代替的に0.920~0.930g/cm
3
であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、LDPEは、20g/10分以下のメルトインデックス(I
2
)を有する。20g/10分までのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、LDPEは、0.1、0.2、0.25、0.5、0.75、1、2、4、5、10、または15g/10分の下限から1、2、4、5、10、または15g/10分の上限のメルトインデックスを有することができる。LDPEは、いくつかの実施形態では、最大10g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する。LDPEは、いくつかの実施形態では、最大5g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する。いくつかの実施形態では、LDPEは、3g/10分未満のメルトインデックス(I
2
)を有する。いくつかの実施形態では、LDPEは、0.1~2.5g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する。
【0051】
本発明の実施形態で使用することができる市販のLDPEの例としては、DOW(商標)LDPE303E、DOW(商標)LDPE352E、およびDOW(商標)LDPE310E、ならびにThe Dow Chemical Companyから市販されている他の低密度ポリエチレン、ならびに業界におけるその他から市販されている他の低密度ポリエチレンが挙げられる。
【0052】
上記のように、いくつかの実施形態では、A層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をさらに含むことができる。特定の理論に束縛されることを望まないが、A層にいくらかの量のLLDPEを組み込むことは、2つの層間の剥離強度を増加させることができるB層との適合性および接着を改善するのに役立つと考えられる。したがって、A層に含まれるべきLLDPEの量は、例えば、所望の剥離強度に応じて変わり得る。
【0053】
LLDPEがA層に含まれるいくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて最大70重量パーセントのLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて最大50重量パーセントのLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて最大30重量パーセントのLLDPEを含む。A層は、A層の重量に基づいて最大10重量パーセントのLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて最大5重量パーセントのLLDPEを含む。異なるLLDPE樹脂のブレンドもA層に含まれ得ることを理解すべきであり、LLDPEへの全ての言及は、一般に1つ以上のLLDPE樹脂を指すと理解すべきである。
【0054】
A層において使用され得るLLDPEは、いくつかの実施形態では、0.955g/cm
3
以下の密度を有する。0.955g/cm
3
以下の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、LLDPEの密度は、0.955、0.950、0.945、0.940、0.935、0.930、0.925、0.920、または0.915g/cm
3
の上限までであり得る。本発明のいくつかの態様では、LLDPEは、0.870g/cm
3
以上の密度を有する。0.870~0.955cm
3
の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0055】
いくつかの実施形態では、LLDPEは、20g/10分以下のメルトインデックス(I
2
)を有する。20g/10分までのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、LLDPEは、0.1、0.2、0.25、0.5、0.75、1、2、4、5、10、または15g/10分の下限から1、2、4、5、10、または15g/10分の上限のメルトインデックスを有することができる。LLDPEは、いくつかの実施形態では、最大10g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する。LLDPEは、いくつかの実施形態では、最大5g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する。いくつかの実施形態では、LLDPEは、3g/10分未満のメルトインデックス(I
2
)を有する。いくつかの実施形態では、LLDPEは、0.1~2.5g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有する。
【0056】
本発明の実施形態で使用することができる市販のLLDPEの例としては、DOWLEX(商標)4056.01G、DOWLEX(商標)2045.01G、およびDOWLEX(商標)NG5056G、ならびにThe Dow Chemical Companyから市販されている他の直鎖状低密度ポリエチレン、ならびに業界におけるその他から市販されている他の直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。
【0057】
LLDPEではなく、A層は、LDPEに加えて、強化ポリエチレンおよびポリオレフィンプラストマーを含む、LLDPEと類似またはより低い密度および類似のメルトインデックスを有する他のポリエチレン樹脂を含むことができる。LLDPEの代わりにいくつかの実施形態で使用することができる市販の強化ポリエチレンの1つの非限定的な例は、Dow Chemical Companyから市販されているELITE(商標)5400G(0.916g/cm
3
の密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I
2
))である。LLDPEの代わりにいくつかの実施形態で使用することができる市販のポリオレフィンプラストマーの1つの非限定的な例は、Dow Chemical Companyから市販されているAFFINITY(商標)PL1881G(0.904g/cm
3
の密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I
2
))である。
【0058】
いくつかの実施形態では、少量(例えば、A層の重量に基づいて5重量パーセント未満)の他のポリエチレンもA層に含まれ得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、シーラント層(A層)は、多層フィルムを封止する前に、当業者に既知の技法を使用してコロナ処理され得る。
【0060】
B層
本発明の多層フィルムは、上部表面および下部表面を有する第2の層(B層)を含み、B層の上部表面は、シーラント層(A層)の下部表面に接着接触している。B層は、B層の重量に基づいて少なくとも70重量パーセントおよび最大100重量パーセントのポリプロピレン(例えば、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせ)を含む。上記のように、特定の理論に縛られることを望まないが、B層中のポリプロピレンと、多量の長鎖分岐を有するポリエチレン(例えば、LDPE)を有意な量で有するA層との組み合わせが、A層とB層との間の層間剥離破損のために望ましい剥離強度を提供する層間の不適合性を提供すると考えられる。
【0061】
ポリプロピレンは、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマー、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0062】
様々な実施形態では、種々のホモポリマーポリプロピレンをB層に使用することができる。典型的には、好適なホモポリマーポリプロピレンは、0.5~10g/10分のメルトフローレートを有する。本発明の実施形態において使用することができる市販のホモポリマーポリプロピレンの例としては、INSPIRE147およびDH357.01、ならびにBraskem Europe GmbHから市販されている(または以前に入手可能なINSPIRE147の場合)他のホモポリマーポリプロピレンが挙げられる。
【0063】
様々な実施形態では、種々のランダムコポリマーポリプロピレンをB層に使用することができる。ランダムコポリマーポリプロピレンでは、エチレンは、典型的に含まれる他のモノマーである。典型的には、好適なランダムコポリマーポリプロピレンは、0.5~10g/10分のメルトフローレートを有する。本発明の実施形態で使用することができる市販のランダムコポリマーポリプロピレンの例としては、INSPIRE361およびDR152.00、ならびにBraskem Europe GmbHから市販されている他のランダムコポリマーポリプロピレンが挙げられる。
【0064】
様々な実施形態では、ポリプロピレンの種々のインパクトコポリマーをB層に使用することができる。ポリプロピレンのインパクトコポリマーは、典型的にはエチレン/プロピレンコポリマー、ホモポリプロピレン内に分散されたエチレン-ブテンゴム相、またはエチレン-ブテンゴム相分散ランダムコポリマーマトリックスのいずれかである。典型的には、好適なインパクトコポリマーポリプロピレンは、0.5~10g/10分のメルトフローレートを有する。本発明の実施形態で使用することができる市販のポリプロピレンのインパクトコポリマーの例としては、INSPIRE137、INSPIRE114、およびINSPIRE153、ならびにBraskem Europe GmbHから市販されている他のポリプロピレンのインパクトコポリマーが挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、B層は、B層の重量に基づいて少なくとも70重量パーセントのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、B層は、B層の重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリプロピレンを含む。B層は、B層の重量に基づいて少なくとも95重量パーセントのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、B層は、いくつかの実施形態ではB層の重量に基づいて最大100重量パーセントのポリプロピレンを含む。異なるポリプロピレン樹脂(ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマー、および/またはポリプロピレンのインパクトコポリマー)のブレンドもB層に含めることができ、ポリプロピレンに関する全ての言及は、一般に1つ以上のポリプロピレン樹脂を指すと理解すべきである。
【0066】
いくつかの実施形態では、最大30重量パーセントの他のポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびそのコポリマーもB層に含まれ得る。
【0067】
他の層
本発明の多層フィルムのいくつかの実施形態は、上記の層を越える層を含むことができる。3つ以上の層を含むこのような実施形態では、A層の上部表面は、依然としてフィルムの上部表面であるだろう。言い換えると、いずれの追加の層も、B層の下部表面、または別の中間層に接着接触しているであろう。
【0068】
例えば、多層フィルムは、例えば、酸素バリア層、タイ層、ポリエチレン層、他のポリプロピレン層などを含む用途に応じて、典型的には多層フィルムに含まれる他の層をさらに含み得る。
【0069】
一例として、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、上部表面および下部表面を有する別の層(C層)を含むことができ、C層の上部表面は、B層の下部表面に接着接触している。
【0070】
いくつかのそのような実施形態では、C層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらのブレンドなどの1つ以上のポリオレフィンを含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、C層は、ポリエチレンを含む。そのような実施形態では、C層は、本明細書における教示に基づいて多層フィルムの層として使用するのに好適である当業者に既知の任意のポリエチレンを含むことができる。C層において使用することができるポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、高溶融強度高密度ポリエチレン(HMS-HDPE)、超高密度ポリエチレン(UHDPE)、強化ポリエチレンなどが挙げられる。しかしながら、C層がLDPEを含む限りにおいて、A層とC層との間ではなくB層とC層との間で層間剥離が起こる可能性を最小限に抑えるために、LDPEの総量は、C層の総重量に基づいて30重量パーセント以下のC層を含むべきである。
【0072】
いくつかの実施形態では、C層は、ポリプロピレンを含む。ポリプロピレンは、プロピレン/α-オレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、またはそれらのブレンドを含むことができる。様々な実施形態では、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーポリプロピレン(rcPP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(hPP+少なくとも1つのエラストマー耐衝撃性改質剤)(ICPP)、ハイインパクトポリプロピレン(HIPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS-PP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、エチレンとのプロピレン系コポリマー、およびこれらの組み合わせであり得る。
【0073】
しかしながら、上記のように、C層は、任意の数の他のポリマーまたはポリマーブレンドを含み得る。例えば、多層フィルムがバリア層を含む場合、C層は、B層とバリア層との間の接着接触におけるタイ層であり得る。
【0074】
追加の層および多層フィルムの組成物に応じて、いくつかの実施形態では、追加の層は、フィルム内の他の層と共押出することができる。
【0075】
添加剤
前述の層のいずれも、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、顔料または着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、および発泡剤などの当業者に既知である1つ以上の添加剤をさらに含み得ることを理解されたい。
【0076】
本明細書に開示される層の組み合わせを含む多層フィルムは、例えば、層の数、フィルムの意図される用途、および他の要因に応じて、様々な厚さを有することができる。本発明の多層フィルムは、いくつかの実施形態では、25~200ミクロン(典型的には、35~150ミクロン)の厚さを有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、望ましいシール特性を有利に提供することができる。例えば、多層フィルムは、A層(シーラント層)とB層(シーラント層に隣接する層)との間の層間剥離による「破裂剥離」によって開封する「開封が容易な」包装を提供するためのシール強度を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す。
【0078】
多層フィルムの調製方法
多層フィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成することができる。例えば、共押出され得る層の場合、このような層は、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技法を使用して、吹込フィルムまたはキャストフィルムとして共押出され得る。特に、本明細書に開示される異なるフィルム層の組成物に基づいて、インフレーションフィルム製造ラインおよびキャストフィルム製造ラインは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を使用して、単一の押出しステップで本発明の多層フィルムを同時押出しするように構成され得る。
【0079】
上に示されるように、いくつかの実施形態では、シーラント層(A層)は、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の技法を使用してコロナ処理され得る。
【0080】
多層構造体
本発明のいくつかの実施形態はまた、多層構造に関する。いくつかのそのような実施形態では、多層構造は、基材に積層された本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルムを含む。基材は、例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム箔、ポリエチレンフィルム、または紙、ならびにポリマー化フィルムの金属化および被覆バージョン(例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、またはアクリルで被覆)であり得る。
【0081】
基材は、いくつかの実施形態では、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、多層構造は、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含み、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上部表面は、多層フィルムの下部表面に積層されている。そのような実施形態では、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の任意のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1のフィルムは、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレンを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、多層構造は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを含み、ポリプロピレンフィルムの上部表面は、多層フィルムの下部表面に積層されている。そのような実施形態では、本明細書における教示に基づいて、当業者に既知の任意の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用することができる。
【0083】
そのような多層構造は、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の技術を使用して、本発明の多層フィルムの表面を基材の表面に積層することによって形成することができる。例えば、基材がポリエチレンテレフタレートフィルムを含むいくつかの実施形態では、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、積層多層フィルムの上部表面として残るシーラント層(A層)の上部表面をB層の下部表面に積層することができる(または多層フィルムの最外層は、外側層ではないB層である)。
【0084】
包装
本発明の多層フィルムおよび多層構造は、包装を形成するために使用することができる。そのような包装は、本明細書に記載の多層フィルムおよび多層構造のいずれかから形成することができる。
【0085】
そのような包装の例は、可撓性包装、パウチ、起立パウチ、および既成包装またはパウチを含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明の多層フィルムは、食品包装に使用することができる。そのような包装内に含めることができる食品の例は、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソースなどを含む。このような包装は、本明細書の教示に基づいて、包装の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技術を使用して形成することができる。
【0086】
本発明の多層フィルムを利用する包装は、いくつかの実施形態において、連続的に加熱された封止バーを利用する加熱封止包装装置を伴い、有利に形成することができる。多層フィルムの外部層の耐熱特性は、連続的に加熱された封止バーを有する包装の形成中のフィルム構造を保護するのに役立つ。連続的に加熱された封止バーを利用するこのような包装装置の例は、水平型充填封止機および垂直型充填封止機を含む。このような装置から形成することができる包装の例は、起立パウチ、四隅包装(ピローパウチ)、フィン封止包装などを含む。
【0087】
他の実施形態では、本発明の多層フィルムまたは多層構造は、食品包装などの包装を形成するためにシートまたはトレイに封止することができる。このような包装に含まれ得る食品の例としては、肉、チーズ、および他の食品が挙げられる。
【0088】
トレイは、ポリエステル(非晶質ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートなど)、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリスチレンに基づくシートから形成することができる。そのようなシートは、ポリエチレンをベースとしない場合、典型的には、共押出、積層、または被覆によって提供することができるポリエチレンをベースとするヒートシール層(およびおそらく他の層)を含む。本発明の多層フィルムまたは多層構造は、ポリエチレンテレフタレートまたは非晶質ポリエチレンテレフタレートから形成されたトレイまたはシートと共に使用するのに特によく適し得る。このようなトレイまたはシートは、本明細書の教示に基づいて、かつ包装の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成され得る。
【0089】
本発明の多層フィルムまたは多層構造は、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の技術を使用して、フィルムのシーラント層(A層)を介してシートまたはトレイに封止することができる。
【0090】
試験方法
本明細書に他に指示がない限り、以下の分析方法は、本発明の態様を記載する際に使用される。
密度
密度測定のための試料は、ASTM D1928に従って調製される。ポリマー試料を、190℃および30,000psi(207MPa)で3分間、次いで21℃および207MPaで1分間圧縮する。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、1時間以内の試料加圧で行われる。
【0091】
メルトインデックス
メルトインデックスI
2
(またはI2)およびI
10
(またはI10)は、ASTM D-1238に従い、190℃、2.16kgおよび10kg荷重で、それぞれ測定される。それらの値は、g/10分で報告される。「メルトフローレート」は、ポリプロピレン系の樹脂に関して使用され、ASTM D1238(230℃、2.16kg)に従って判定される。
【0092】
メルトフローレート
ASTM D-1238またはISO1133(230℃、2.16kg)に従って、メルトフローレートを測定する。
【0093】
ヒートシール強度
加熱封止強度、または封止強度は、以下のようにASTM F2029-00を使用して測定される。いずれの厚さとなり得るフィルム試料は、5バールの圧力および0.5秒の滞留時間(100ミクロンを超える厚さのフィルムは1秒の滞留時間で封止する)で、異なる温度でそれ自体に封止される。試料は、40時間調整され、次いで15mm片に切断され、次いでInstron引張試験装置で、100mm/分の速度で引っ張られる。5つ複製試験料を測定し、平均を記録する。
【0094】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例に詳細に説明する。なお、本発明のフィルム6は参考例である。
【実施例】
【0095】
表1に記載するように多数の多層フィルムを調製する。フィルムは、以下の構造を有する5層、50ミクロンのフィルムである:A層(7.5ミクロン)/B層(10ミクロン)/C層(15ミクロン)/B層(10ミクロン)/D層(7.5ミクロン)。本発明のいくつかの実施形態による多層フィルムは、本発明のフィルムとして識別され、他の多層フィルムは比較フィルムである。
【表1】
【0096】
表1のパーセントは、それぞれの層の総重量に基づく重量パーセントである。LLDPE1は、The Dow Chemical Companyから市販されている、0.930g/cm
3
の密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するDOWLEX(商標)2042EC直鎖状低密度ポリエチレンである。LLDPE2は、The Dow Chemical Companyから市販されている、0.917g/cm
3
の密度および1.3g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するDOWLEX(商標)4056G直鎖状低密度ポリエチレンである。LLDPE3は、The Dow Chemical Companyから市販されている、0.919g/cm
3
の密度および1.3g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するDOWLEX(商標)4056.01G直鎖状低密度ポリエチレンである。LDPE1は、The Dow Chemical Companyから市販されている、0.925g/cm
3
の密度および2.0g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するDOW(商標)LDPE352E低密度ポリエチレンである。LDPE2は、The Dow Chemical Companyから市販されている、0.922g/cm
3
の密度および0.3g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するDOW(商標)LDPE303E低密度ポリエチレンである。rPPは、Braskem Europe GmbHから市販されている0.900g/cm
3
の密度および1.75のメルトフローレートを有するINSPIRE361ランダムコポリマーポリプロピレンである。iPPは、Braskem Europe GmbHから市販されている0.900g/cm
3
の密度および0.8のメルトフローレートを有するポリプロピレンのINSPIRE137インパクトコポリマーである。hPPは、Braskem Europe GmbHから市販されている0.900g/cm
3
の密度および3.2のメルトフローレートを有するINSPIRE147ホモポリマーポリプロピレンである。EPEは、0.962g/cm
3
の密度および0.85g/10分のメルトインデックス(I
2
)を有するThe Dow Chemical Companyから市販されているELITE(商標)5960G強化ポリエチレンである。
【0097】
フィルムは、15%A層/20%B層/30%C層/20%B層/15%D層の重量分布を有する多層フィルムを提供するために従来のポリエチレンインフレートフィルムラインを通じて製作される。A層、B層、C層、およびD層についての樹脂押出の融解温度は、それぞれ約235~240℃、225~230℃、230~235℃、および190~200℃である。インフレートフィルムラインのダイ直径は、60mmであり、ブローアップ比は、2.5であり、ダイギャップは、1.8mmである。出力速度は、10kg/時である。
【0098】
フィルムのヒートシール強度は、95、100、105、110、115、120、130、140、および150℃の温度で上記の技術を使用して測定される。結果を
図1に示す。
【0099】
比較フィルムA(
図1において「比較例1」として示される)および比較フィルムB(
図1において「比較例2」として示される)は、開封できないロックアップシールを示し、シール強度は、シール領域の近くで破損が起こったときのフィルム自体のおおよその引張強度を表す。比較フィルムC(
図1において「比較例3」として示される)は、シール試験中に部分的な剥離挙動を示すが、必要とされる開封力は、依然として所望よりも高い。本発明のフィルム1~6(
図1において「発明例1」~「発明例6」として示される)は全て、シーラント層と隣接層との間の一貫した剥離および開封が容易な包装に適切な力を示す。本発明のフィルム5および6(
図1の「発明例5」および「発明例6」)は、シーラント層へのLLDPEの組み込みが隣接層との適合性の増大により剥離力をどのように増大させるかを示す。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
〔態様1〕
多層フィルムであって、
上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、A層と、
上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、B層と、を含み、B層の前記上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、
前記フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成される、多層フィルム。
〔態様2〕
前記フィルムが、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す、態様1に記載の多層フィルム。
〔態様3〕
A層が、A層の重量に基づいて、少なくとも50重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、態様1または態様2に記載の多層フィルム。
〔態様4〕
A層が、直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含む、態様1~3のいずれかに記載の多層フィルム。
〔態様5〕
B層が、B層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも95重量パーセント含む、態様1~4のいずれかに記載の多層フィルム。
〔態様6〕
上部表面および下部表面を有するC層をさらに含み、C層の前記上部表面が、B層の下部表面に接着接触している、態様1~5のいずれかに記載の多層フィルム。
〔態様7〕
C層が、ポリオレフィンを含む、態様6に記載の多層フィルム。
〔態様8〕
バリア層をさらに含む、態様1~7のいずれかに記載の多層フィルム。
〔態様9〕
態様1~8のいずれかに記載の多層フィルムを含む、包装。
〔態様10〕
包装がパウチである、態様9に記載の包装。
〔態様11〕
態様1~8のいずれかに記載の多層フィルムおよびトレイを含み、A層の前記上部表面が、前記トレイの少なくとも一部に封止されている、包装。
〔態様12〕
基材に積層された態様1~8のいずれかに記載の多層フィルムを含む、多層構造。
〔態様13〕
前記基材が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム、またはポリエチレンフィルムを含む、態様12に記載の多層構造。
〔態様14〕
態様12または態様13に記載の多層構造を含む、包装。
〔態様15〕
態様12または態様13に記載の多層構造およびトレイを含み、A層の前記上部表
面が、前記トレイの少なくとも一部に封止されている、包装。