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  • 特許-光端末装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】光端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/61 20110101AFI20240227BHJP
   H05K 5/04 20060101ALI20240227BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240227BHJP
   H04B 10/69 20130101ALI20240227BHJP
【FI】
H04N21/61
H05K5/04
H05K9/00 C
H05K9/00 R
H04B10/69
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020021533
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021129165
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000114226
【氏名又は名称】ミハル通信株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】田附 敦宜
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正美
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-358242(JP,A)
【文献】特開2007-109901(JP,A)
【文献】特開2010-050995(JP,A)
【文献】特開2010-153415(JP,A)
【文献】特開2012-256654(JP,A)
【文献】特開2013-205646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
H05K 5/00 - 5/06
H05K 9/00
H04B 10/00 -10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体内に高周波ユニットを備え、前記高周波ユニットが光電変換部を備えた光端末装置において、
前記高周波ユニットはユニットシャーシ内に、少なくとも、電子部品が実装された回路基板と光電変換素子を備えた光電変換部を備え、
前記ユニットシャーシ内の前記回路基板の上の一又は二以上の箇所にシールドケースが配置され、前記シールドケースのうちの少なくとも一つのシールドケースは前記光電変換部の外周又は前記光電変換部及びその周辺の外周を囲うように配置されており、
前記少なくとも一つのシールドケースは前記光電変換素子を配置可能な開口部が設けられた金属製の周壁の上面が金属製の蓋で閉塞されたものである、
ことを特徴とする光端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の光端末装置において、
前記少なくとも一つのシールドケースの前記周壁の前記開口部が、前記ユニットシャーシの表示器用孔と対向しない箇所に配置された、
ことを特徴とする光端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の光端末装置において、
前記少なくとも一つのシールドケースが、前記ユニットシャーシに接触して前記回路基板上に配置された、
ことを特徴とする光端末装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光端末装置において、
前記少なくとも一つのシールドケースが、前記回路基板のアース回路に接続されている、
ことを特徴とする光端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCATVの光伝送システムで使用される光端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CATVの光伝送システムには、CATV事業者のケーブルテレビ局から、光伝送システムの光ノードまで光ファイバで光信号を伝送し、光ノードから加入者宅まで同軸ケーブルで電気信号を伝送するHFC(Hybrid Fiber-Coaxial)方式と、ケーブルテレビ局から加入者宅の光端末装置(V-ONU)まで光ファイバで光信号を伝送するFTTH(Fiber To The Home)方式等がある。
【0003】
近年の情報通信では光伝送が多く利用されている。この光信号自体は外部からのノイズの影響を受け難く、また、電気信号に比較して伝送する距離に対して信号の減衰が小さく、長距離伝送において中継器などの設置が少なくて済む等の利点がある。
【0004】
CATVシステムの光伝送システムで、CATV事業者側から加入者側に伝送される光信号は、HFC方式、FTTH方式のいずれであっても、加入者側において光信号が電気信号に変換されてテレビ受像機、その他の受信機器に接続される。この光電変換は光端末装置で行われる。
【0005】
光端末装置としては、例えば、CATV光伝送システム(有線ネットワーク)の伝送路の途中に設置される光ノード、加入者側に設置されるV-ONU(Video-Optical Network Unit)、D-ONU(Data-Optical Network Unit)、V/D-ONU(Video/Data-Optical Network Unit)等がある。
【0006】
CATV事業者側から伝送される光信号には、共同受信信号と告知放送信号が混合されている場合がある。共同受信信号は、少なくとも、CATV帯域(70MHz~770MHz)のテレビジョン放送信号と、BS/CS-IF帯域(1032MHz~3224MHz:4K・8K放送開始前の2018年11月までは1032MHz~2610MHz)のテレビジョン放送信号とを含む。一方、告知放送信号は、例えば、地震、風水害等の災害発生報知や予告時等に使用されるものであってFM帯域(70MHz~90MHz)が使われることが一般的である。
【0007】
汎用の電子レンジやIHクッキングヒーター、コードレス固定電話、ワイヤレスヘッドホン、Bluetooth(登録商標)といった電子機器では、前記1032MHz~3224MHz(BS/CS-IF帯域)の電波が使用されているため、これら汎用機器の使用時に当該機器から漏洩する電磁波が外部ノイズとなって、前記光端末装置で光電変換されたRF信号に悪影響が出ることがある。
【0008】
光端末装置として図4(a)~(e)のようなものがある。この光端末装置はケース本体Aにケース本体蓋Bが開閉可能に取り付けられ、そのケース本体A内に電源ユニットCや高周波ユニットDが脱着可能に装備され、高周波ユニットDの上からケース本体A内にファイバートレーEが配置されている。
【0009】
高周波ユニットDのユニットシャーシF(図4(d)、(e))内には回路基板が配置されている。回路基板には電子部品が実装・配線されて光端末装置として必要な回路が構成されており、光電変換素子が取り付けられている。ファイバートレーEはその外部から引き込まれた光ファイバを引き回して収容可能なものである。ユニットシャーシF(図4(d)、(e))の上蓋Gの上には光コネクタHが配置されている。
【0010】
ユニットシャーシFには同軸ケーブル接続用の接栓(F型コネクタ)や電源プラグを接続するための電源端子(図示せず)等が装備され、高周波ユニットDの動作状況を表示する表示器(通常LED)を装備するための表示器用孔が開口されている。ユニットシャーシFは金属製であるため折り曲げ加工上、若干隙間もある。前記汎用機器から漏洩する外部ノイズは表示器用孔や隙間等からユニットシャーシF内に侵入し易く、ユニットシャーシF内で光電変換されたRF信号に悪影響し易いという問題があった。特に、RF信号の周波数帯が高くなるにつれて外部ノイズの悪影響が出易い傾向にあった。
【0011】
前記ユニットシャーシFと同様のケースとして特許文献1のような電子機器ケースもある。この電子機器ケースは外部ノイズを出して混信、妨害等の悪影響を与えないようにするため、ケースの内部空間を仕切り板で仕切って内部ケースを作り、内部ケースの上面を上外蓋で、下面を下外蓋で閉じて内部ケース内に配置される回路基板をシールドする構成としているが、このシールド構造では前記外部ノイズの悪影響を低減あるいは妨害を受けづらくすることは必ずしも十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2018-107163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の解決課題は、外部ノイズの悪影響を低減できる高周波ユニットを備えた光端末装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は光電変換部が内蔵された高周波ユニットを備えた光端末装置において、当該高周波ユニットは電子部品が実装・配線された回路基板がユニットシャーシ内に配置され、そのユニットシャーシ内であって回路基板の上の一又は二以上の箇所にシールドケースが配置されている。少なくとも一つのシールドケースは光電変換部の外周又は光電変換部及びその周辺の外周に配置されている。シールドケースは少なくとも前記回路基板の上に配置された光電変換素子及びそれに関連する光電変換回路(以下「光電変換部」という。)を囲う金属製の周壁と、その周壁の上を被覆する金属製の上蓋を備えており、当該シールドケースは回路基板のアースに接続されており、前記ユニットシャーシと少なくとも一箇所以上接触するようにユニットシャーシ内に配置さている。周壁は光電変換素子等を配置可能な開口部を備えている。当該開口部はユニットシャーシの表示器用孔やその他高周波ユニットに外周に空いている孔と対向しない箇所に開口されたものが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光端末装置は次の効果がある。
(1)ユニットシャーシ内にシールドケースがあるため、外部ノイズを遮断でき、外部ノイズの悪影響による信号の品質劣化を低減あるいは防止できる。
(2)シールドケースが回路基板の上の一又は二以上の箇所にシールドケースが配置され、少なくとも一つのシールドケースは光電変換部の外周又は光電変換部及びその周辺の外周に配置されているので、外部ノイズの遮断防止効果が向上する。
(3)シールドケースがユニットシャーシに接触しているので、シールドケースのアースを取り易くなる。
(4)シールドケースが回路基板のアース回路に接続されているので、シールドケースのアースが確実になり、外部ノイズの遮断防止効果が向上する。
(5)シールドケースの周壁の開口部が、ユニットシャーシの表示器用孔などと対向しない箇所に開口された場合は、シールド効果がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の光端末装置の高周波ユニットの外観図、(b)は高周波ユニットの内部図。
図2】(a)は本発明の光端末装置の高周波ユニットの内部説明図、(b)は高周波ユニットの蓋を外した状態の分解説明図。
図3】(a)(b)はシールドケースの異なる例の説明図。
図4】(a)は光端末装置の外観全体、(b)は(a)の蓋を上に開いた状態の正面図、(c)は(b)の斜視図、(d)は蓋を上に開いてファイバートレーを外した状態の正面図、(e)は(d)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態)
本発明の光端末装置を図1図3に基づいて説明する。各図の実施形態は本発明の一実施例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
本発明の光端末装置は、図4(a)~(e)の光端末装置と同様に、ケース本体A内に高周波ユニットDが脱着可能に装備され、高周波ユニットDの上からケース本体A内にファイバートレーEが配置され、ファイバートレーEの上にケース本体蓋Bを被せることができる。ケース本体A、ケース本体蓋B及びファイバートレーEは樹脂製、高周波ユニットDのユニットシャーシFは金属製である。
【0019】
高周波ユニットDは図1(a)のような外観であり、ユニットシャーシFの上蓋Gの上に光コネクタHが配置されており、上蓋Gを取り外すと図1(b)のような内部構造となっている。高周波ユニットDのユニットシャーシFは、図2(b)のように、長方形の枠外周Kの開口底面に底蓋Lを取り付け、枠外周Kの開口上面に上蓋G(図1(a))を取り付けることができる。枠外周Kには接栓Iが取り付けられており、表示器(例えば、LED)を取り付ける表示器用孔Jが開口されている。表示器用孔Jに取り付けられる表示器は高周波ユニットDの動作状況を表示するものである。枠外周Kは金属製であり、折り曲げ部などに若干隙間がある。
【0020】
ユニットシャーシFの内部には回路基板1があり、回路基板1には電子部品が搭載され、必要な配線がされて電源回路、増幅回路、光電変換回路等が形成されている。回路基板1の上には数枚の仕切り板2があり、それら仕切り板2により電源部、光電変換部、増幅部といったように仕切られている。仕切り板2も金属製である。図2(b)のように、回路基板1の光電変換部には光電変換素子(例えば、フォトダイオード)3が取り付けられており、その光電変換素子3が回路基板1の光電変換回路と電気的に接続されて、光電変換素子3に伝送されてくる光信号が電気信号に変換されるようにしてある。回路基板1の構成や電子部品の実装等は汎用のそれらと同様である。
【0021】
本発明では、回路基板1の上に金属製のシールドケース4(図1(b))を配置して、光電変換部の周囲を囲ってある。シールドケース4は金属製であり、周壁5(図2(a)、(b))と、それに開閉可能な蓋6(図2(b))を備えている。周壁5の底面の数箇所には差し込み突起7が突設されており、その差し込み突起7が回路基板1の差し込み穴に差し込まれて、周壁5の底面が回路基板1に密接し、回路基板1のアース回路に半田付けなどで固定されている。なお、ユニットシャーシFの枠外周Kは汎用の高周波ユニットDと同様に、回路基板1の上に配置され、回路基板1のアース回路に接続される。また、回路基板1に配置されたシールドケース4は、回路基板1の裏側にあってもよい。
【0022】
シールドケース4は高周波ユニットDのユニットシャーシFに接触してユニットシャーシF内に配置されている。この場合、シールドケース4はユニットシャーシFに半田付け、その他の手段で接続するなどして、ユニットシャーシFを介して確実に接地されるようにすることができる。
【0023】
図3(a)のシールドケース4の周壁5は帯状の板材を折り曲げて矩形の枠形状に形成してあり、その周面の一箇所に開口部8がある。開口部8はユニットシャーシF(図1(a)、(b))の枠外周Kの表示器用孔Jと対向しない箇所(表示器用孔Jと直行する面)に開口されている。シールドケース4の蓋6は断面下向きコ字形状で例えばバネ性を有しており、周壁5の上に被せて、周壁5に嵌めこむことで止めるようにしてある。
【0024】
図3(b)のシールドケース4の周壁5は、その上面に上縁5aがあり、その上に平板状の蓋6を載せてネジ止めできるようにしてある。周壁5への蓋6の固定はネジ止め、接着剤で固定、その他の手段による固定であってもよい。
【0025】
シールドケース4の周壁5、蓋6の形状や構造は図示した以外であってもよく、形状は方形ではなく円形、楕円形、菱形といった任意の等の形状であってもよい。また、周壁5と蓋6が一体となって底面だけが開口する底面開口の箱型の立体形状であってもよく、それを光電変換部に被せて回路基板に固定することもできる。要は、外部ノイズのシールド性を高めることが可能であれば、他の形状、構造であってもよい。
【0026】
シールドケース4の材料はシールド性を高めるため、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス等の導電性金属が適する。シールドケース4は金属板を折り曲げて形成したり、数枚の金属板を組み合わせて形成したりした場合は、シ-ルド性を高めるために、折り曲げ箇所や組み合わせ箇所を溶接して隙間を閉塞するのが望ましい。
【0027】
本発明におけるシールドケース4は回路基板1の上の二以上の箇所に配置することもできる。この場合は、少なくとも一つのシールドケース4で光電変換部の周囲だけでなく、光電変換部の周囲とその周辺をも囲い、他のシールドケース4でそれら以外の箇所を囲うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の光端末装置は外部ノイズの影響を遮断、排除する必要のある他の電子機器等にも利用できるので、CATV用に限らず、他の光伝送分野の光電変換部にも使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 回路基板
2 仕切り板
3 光電変換素子(フォトダイオード)
4 シールドケース
5 周壁
5a (周壁の)上縁
6 蓋
7 差し込み突起
8 開口部
A ケース本体
B ケース本体蓋
C 電源ユニット
D 高周波ユニット
E ファイバートレー
F ユニットシャーシ
G 上蓋
H 光コネクタ
I 接栓
J 表示器用孔
K 枠外周(F:ユニットシャーシの外周側面)
L 底蓋
図1
図2
図3
図4