(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】乗車料金決済装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240227BHJP
G06Q 30/04 20120101ALI20240227BHJP
G07B 13/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q30/04
G07B13/00 H
(21)【出願番号】P 2020030270
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木幡 政洋
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062524(JP,A)
【文献】特開2009-301244(JP,A)
【文献】特開2008-033645(JP,A)
【文献】特開2016-115030(JP,A)
【文献】特開2016-091212(JP,A)
【文献】特開2015-159976(JP,A)
【文献】特開2014-174919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G07B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
営業の用に供する車両において用いられる乗車料金決済装置であって、
複数の乗客が前記車両に乗車した状態で、最終目的地に到着する前に降車する一部の乗客によって、複数の金種の中のいずれかの金種で決済された預かり金を管理する預かり金管理部と、
前記最終目的地に到着した際に前記預かり金管理部が管理していた預かり金を用いて、乗車地から前記最終目的地までの乗車料金を精算する乗車料金精算部と、
前記預かり金管理部が管理していた預かり金の合計額が前記乗車料金より多い場合に、預かり金を返金する返金手段を当該預かり金の金種に応じて提示する返金手段提示部と、
を備える、乗車料金決済装置。
【請求項2】
前記返金手段提示部は、前記預かり金管理部が管理していた預かり金の金種と同一の金種で返金ができない場合に預かり金の金種と異なる金種による返金
手段を提示する、請求項1に記載の乗車料金決済装置。
【請求項3】
前記返金手段提示部は、前記預かり金管理部が管理していた預かり金の一部を返金する返金手段を提示する、請求項1または2に記載の乗車料金決済装置。
【請求項4】
前記返金手段提示部は、前記一部の乗客によって預かり金が決済される際、返金が発生した場合に使用する金種を事前に選択するための提示を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の乗車料金決済装置。
【請求項5】
前記乗車地から前記最終目的地までの距離に基づいた予想乗車料金を提示する予想乗車料金提示部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の乗車料金決済装置。
【請求項6】
前記複数の金種による決済は、現金決済、クレジットカード決済、デビットカード決済、バーコード決済、及び電子マネー決済のいずれかを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の乗車料金決済装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車料金決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行距離又は走行時間に基づいて料金が決まる、タクシー等の旅客輸送サービスにおいて、目的地が異なる複数の乗客が相乗りして、各乗客の目的地を経由しつつ、最終目的地まで当該サービスを利用する場合がある。特許文献1には、先に降車する利用者の支払金額を、後で降車する利用者の降車地にかかわらず、後で降車する利用者の不利益を補償した金額を加味して料金を計算する相乗り料金計算装置の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行距離又は走行時間に基づいて料金が決まる旅客輸送サービスの料金の支払いにおいて、目的地が異なる複数の乗客が相乗りする場合、途中下車等により料金を支払うケースが考えられる。このケースでは、従来は個人間で途中までの料金を預け、最後に降車する乗客がまとめて料金を支払うため、各乗客が降車する際に、個別に料金を支払う事が出来なかった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、複数人で乗車し、途中下車する乗客がいる場合でも、乗客の意思で金額を決めて支払いができるとともに、支払いの際の金種に応じた返金が可能な乗車料金決済装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、営業の用に供する車両において用いられる乗車料金決済装置であって、最終目的地に到着する前に降車する一部の乗客によって、複数の金種の中のいずれかの金種で決済された預かり金を管理する預かり金管理部と、前記最終目的地に到着した際に前記預かり金管理部が管理していた預かり金を用いて、乗車地から前記最終目的地までの乗車料金を精算する乗車料金精算部と、前記預かり金管理部が管理していた預かり金の合計額が前記乗車料金より多い場合に、預かり金を返金する返金手段を当該預かり金の金種に応じて提示する返金手段提示部と、を備える。
【0007】
第1態様によれば、複数人で乗車し、途中下車する乗客がいる場合でも、乗客の意思で金額を決めて支払いができるともに、支払いの際の金種に応じた返金を可能とする。
【0008】
本発明の第2態様の乗車料金決済装置は、第1態様の乗車料金決済装置であって、前記返金手段提示部は、前記預かり金管理部が管理していた預かり金の金種と同一の金種で返金ができない場合に預かり金の金種と異なる金種による返金を提示する。
【0009】
第2態様によれば、預かり金の金種と同一の金種で返金ができない場合であっても、返金可能な金種による返金を可能とする。
【0010】
本発明の第3態様の乗車料金決済装置は、第1態様又は第2態様の乗車料金決済装置であって、前記返金手段提示部は、前記預かり金管理部が管理していた預かり金の一部を返金する返金手段を提示する。
【0011】
第3態様によれば、乗車地から最終目的地までの乗車料金より預かり金の合計が多く、かつ預かり金のそれぞれについて全額を返金すると乗車料金の方が多くなる場合に、預かり金の一部を返金することで乗車料金の精算が可能となる。
【0012】
本発明の第4態様の乗車料金決済装置は、第1態様~第3態様のいずれかの乗車料金決済装置であって、返金手段提示部は、前記一部の乗客によって預かり金が決済される際、返金が発生した場合に使用する金種を事前に選択するための提示を行う。
【0013】
第4態様によれば、最終目的地より前に乗客が降車する際に、余った預かり金の返金時に使用する金種を乗客に予め指定させることができる。
【0014】
本発明の第5態様の乗車料金決済装置は、第1態様~第4態様のいずれかの乗車料金決済装置であって、前記乗車地から前記最終目的地までの距離に基づいた予想乗車料金を提示する予想乗車料金提示部をさらに備える。
【0015】
第5態様によれば、予め予想乗車料金に基づいて各乗客が預かり金を支払うことができ、最後の乗客が乗車料金を精算する際の料金の過不足を抑制することができる。
【0016】
本発明の第6態様の乗車料金決済装置は、第1態様~第5態様のいずれかの乗車料金決済装置であって、前記複数の金種による決済は、現金決済、クレジットカード決済、デビットカード決済、バーコード決済、及び電子マネー決済のいずれかを含む。
【0017】
第6態様によれば、乗客の意思で金種を決めた支払いを可能とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数人で乗車し、途中下車する乗客がいる場合でも、乗客の意思で金額を決めて支払いができるともに、支払いの際の金種に応じた返金が可能な乗車料金決済装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る移動通信システムの概略構成を示す図である。
【
図2】決済端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】決済端末の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4A】決済端末による乗車料金決済処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図6】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図7】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図8】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図9】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図10】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図11】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【
図12】決済端末が提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0021】
図1は、本実施形態に係る移動通信システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の移動通信システム1は、移動体であるタクシーTの車内にインターネットINに接続可能な環境を提供する。タクシーTは、営業の用に供する車両の例である。
図1に示されるように、移動通信システム1は、外部通信網2と接続可能な通信装置である車載用通信装置10と、車載用通信装置10に接続される複数の営業端末と、を含んで構成されている。外部通信網2は通信キャリアが提供する公衆回線網である。車載用通信装置10及び複数の営業端末はタクシーTの車内に設置されている。
【0022】
本実施形態の営業端末は、決済端末20と、タクシーメータ40と、車載プリンタ42と、配車システム46と、を含んでいる。車載用通信装置10と各営業端末とは、有線LAN、無線LAN、USB(Universal Serial Bus)、RS-232C、Bluetooth(登録商標)等の通信インタフェースにより接続されている。
【0023】
タクシーメータ40は、タクシーTを利用する乗客に対して請求する運賃を算出する料金メータである。このタクシーメータ40は、乗車時間及び走行距離に応じて運賃を算出する。
【0024】
また、本実施形態のタクシーメータ40は、車載用通信装置10に対して「空車」、「実車」及び「支払」の営業状況に係る情報を出力する機能を有している。ここで、「空車」とはタクシーTに乗客が乗車していない営業状況であり、「実車」とは乗客を運送中の営業状況であり、「支払」とはタクシーTに乗客が乗車しているものの運賃精算中の営業状況である。
【0025】
決済端末20は、乗車料金決済装置の一例であり、タクシーメータ40と連動する端末である。決済端末20は、クレジットカード決済、デビットカード決済、電子マネー決済、二次元コード決済等、現金決済以外の決済を行うものである。決済端末20は、磁気式のカードの読み取りが可能な磁気カードリーダ、接触型のICカードの読み取りが可能なICカードリーダ、バーコード又は二次元コードの読み取りが可能なカメラ、並びに非接触型のICカードの読み取り及び書き込みが可能な非接触リーダ・ライタを備える。
【0026】
車載プリンタ42は、運賃を領収した際にレシートを発行するためのサーマルプリンタである。なお、
図1では、タクシーメータ40、決済端末20、車載プリンタ42のそれぞれが、車載用通信装置10に接続されているが、係る例に限定されるものではない。例えば、決済端末20に対してタクシーメータ40と車載プリンタ42が接続され、決済端末20が車載用通信装置10に対して接続されていてもよい。
【0027】
配車システム46は、利用者の手配に基づいてタクシーTを配車するためのシステムであって、カーナビゲーションシステムを含んで構成されている。
【0028】
なお、タクシーTの社内に搭載される営業端末は、タクシーメータ40、決済端末20、車載プリンタ42及び配車システム46に限らない。例えば、営業端末は、ETC(Electronic Toll Collection)車載器、ドライブレコーダ、タブレット型の広告モニタ等を含めてもよい。
【0029】
図2は、決済端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、決済端末20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、入力部25、表示部26及び通信インタフェース(I/F)27を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0031】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22またはストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22またはストレージ24には、タクシーTの乗車料金の決済を行う乗車料金決済プログラムが格納されている。
【0032】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0033】
入力部25は、キーボード又は数字を入力させるためのテンキーを含み、各種の入力を行うために使用される。また入力部25として、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサ等の撮像素子を備えた撮像装置が備えられていてもよい。
【0034】
表示部26は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能しても良い。
【0035】
通信インタフェース27は、車載用通信装置10等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0036】
上記の乗車料金決済プログラムを実行する際に、決済端末20は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。決済端末20が実現する機能構成について説明する。
【0037】
図3は、決済端末20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、決済端末20は、機能構成として、預かり金管理部31、乗車料金精算部32、返金手段提示部33および予想乗車料金提示部34を有する。各機能構成は、CPU21がROM22またはストレージ24に記憶された乗車料金決済プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0039】
預かり金管理部31は、複数の乗客を乗せたタクシーTが、最終目的地に到着する前にタクシーTを降車する一部の乗客によって、複数の金種の中のいずれかの金種で決済された預かり金を管理する。複数の金種による決済は、現金決済、クレジットカード決済、デビットカード決済、バーコード決済、及び電子マネー決済のいずれかを含んでいてもよい。なお、バーコード決済は、二次元コードを用いた決済も含む。
【0040】
乗車料金精算部32は、タクシーTが上記最終目的地に到着した際に、預かり金管理部31が管理していた預かり金を用いて、乗車地から上記最終目的地までの乗車料金を精算する。
【0041】
返金手段提示部33は、預かり金管理部31が管理していた預かり金の合計額が乗車料金より多い場合に、預かり金を返金する返金手段を、当該預かり金の金種に応じて提示する。返金手段提示部33は、預かり金管理部31が管理していた預かり金の金種と同一の金種で返金ができない場合に、預かり金の金種と異なる金種による返金を提示してもよい。例えば、電子マネーで預かり金が支払われたが、その預かり金を電子マネーでは返金できない場合が考えられる。その場合、返金手段提示部33は、電子マネーで支払われた預かり金を他の金種、例えば現金で返金するよう提示してもよい。また返金手段提示部33は、電子マネーで支払われた預かり金を返金する代わりに、タクシー会社独自のポイントを付与してもよい。返金手段提示部33は、預かり金を返金する際に、預かり金管理部31が管理していた預かり金の一部を返金する返金手段を提示してもよい。乗車地から最終目的地までの乗車料金より預かり金の合計が多く、かつ預かり金のそれぞれについて全額を返金すると乗車料金の方が多くなる場合に、預かり金の一部を返金することで、乗車料金の精算が可能となる。
【0042】
預かり金の返金が生じる場合を想定し、返金手段提示部33は、預かり金の処理の中で、返金する場合の金種や個人情報を登録させるようにしてもよい。返金手段提示部33は、返金する場合の金種や個人情報を登録させることで、最終目的地より前に乗客が降車する際に、余った預かり金の返金時に使用する金種を乗客に予め指定させることができる。
【0043】
予想乗車料金提示部34は、乗車地から上記最終目的地までの距離に基づいた予想乗車料金を提示する。乗車地から上記最終目的地までの距離は、走行経路における距離である。予想乗車料金提示部34は、例えば、タクシーTの運転手により入力された乗車地と上記最終目的地との間の距離に基づいて予想乗車料金を提示してもよい。予想乗車料金は、決済端末20の画面に表示されてもよく、タクシーTの中のタクシーメータ40又は配車システム46の画面に提示されてもよい。決済端末20は、予想乗車料金提示部34が予想乗車料金を提示することで、予想乗車料金に基づいて預かり金を途中で降車する乗客に支払わせることができるとともに、最後の乗客が精算する際の料金の過不足を抑制することができる。
【0044】
次に、決済端末20の作用について説明する。
【0045】
図4Aは、決済端末20による乗車料金決済処理の流れを示すフローチャートである。CPU21がROM22又はストレージ24から乗車料金決済プログラムを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、乗車料金決済処理が行なわれる。
【0046】
CPU21がタクシーTの乗車料金を決済する際には、まず預かり金の処理を実行するか、又は乗車料金の会計処理を実行するかを判定する(ステップS101)。預かり金の処理を実行するのは、降車する乗客が最後の乗客ではない場合であり、会計処理を実行するのは、降車する乗客が最後の乗客である場合である。
【0047】
ステップS101の判定の結果、預かり金の処理を実行する場合は、CPU21は、表示部26に金額入力画面を提示する(ステップS102)。CPU21は、金額入力画面として、まず降車する乗客が支払いに利用する金種を選択する画面を提示し、金種が選択されると、続いて預かり金の額を入力させる画面を提示する。
【0048】
預かり金の金種及び金額が入力されると、ステップS102に続いて、CPU21は、入力された金種及び金額での決済処理を実行する(ステップS103)。決済処理を実行すると、続いてCPU21は、決済端末20で管理される売上データを更新する(ステップS104)。
図4Bは、決済端末20が管理する売上データの例を示す図である。売上データには、一連の支払いを識別する番号(「No」)、支払いの日付及び時刻、預かり金の金種及び金額、乗車料金、預かり金と乗車料金との差額、返金の金種及び金額、預かり金額と返金額との差額である支払額の情報が格納される。CPU21は、
図4Bに示す売上データに、支払いの日付及び時刻、並びに預かり金の金種及び金額を登録する。
【0049】
売上データを更新すると、続いてCPU21は、乗車料金が確定済みかどうか、すなわち、最終目的地に到着したかどうかを判定する(ステップS105)。乗車料金が確定済みであれば(ステップS105;Yes)、CPU21は一連の処理を終了する。預かり金の処理を実行する場合は、乗車料金が確定済みでないので(ステップS105;No)、CPU21はステップS101の判定処理の前に戻る。
【0050】
一方、ステップS101の判定の結果、会計処理を実行する場合は、CPU21は、売上データを読み出す(ステップS106)。売上データを読み出すと、続いてCPU21は、支払われた預かり金の合計と最終的な乗車料金とを比較する(ステップS107)。
【0051】
ステップS104の判定の結果、支払われた預かり金の合計が最終的な乗車料金より少ない場合は、CPU21は、不足している乗車料金を乗客に支払わせるため、表示部26に金額入力画面を提示する(ステップS102)。不足している乗車料金の金種及び金額が入力されると、ステップS102に続いて、CPU21は、入力された金種及び金額での決済処理を実行する(ステップS103)。決済処理を実行すると、続いてCPU21は、決済端末20で管理される売上データを更新する(ステップS104)。売上データを更新すると、続いてCPU21は、乗車料金が確定済みかどうか、すなわち、最終目的地に到着したかどうかを判定する(ステップS105)。会計処理を実行するということは、最終目的地に到着したということであるので、乗車料金が確定済みであるため(ステップS105;Yes)、CPU21は一連の処理を終了する。
【0052】
ステップS107の判定の結果、支払われた預かり金の合計が最終的な乗車料金より多い場合は、CPU21は、預かり金を返金するための返金画面を提示する(ステップS110)。CPU21は、返金画面として、途中で下車した乗客が支払った預かり金の履歴の画面を提示する。
【0053】
ステップS110で提示した返金画面において返金する預かり金が選択されると、続いてCPU21は、選択された預かり金の返金処理を実行する画面を提示する(ステップS111)。預かり金の返金処理を実行すると、続いてCPU21は、決済端末20で管理される売上データを更新する(ステップS112)。
【0054】
なお、ステップS104の判定の結果、支払われた預かり金の合計が最終的な乗車料金と一致していた場合は、CPU21は、支払われた預かり金によって乗車料金を決済する。乗車料金を決済すると、CPU21は、決済完了画面を提示する(ステップS108)。決済完了画面を提示すると、続いてCPU21は、決済端末20で管理される売上データを更新する(ステップS109)。
【0055】
図4Cは、決済端末20が管理する売上データの例を示す図である。
図4Cに示したのは、最終目的地に到着し、会計処理が実行された後の売上データの例である。
図4Cの例は、預かり金の合計が1万円であり、乗車料金が、立替金を含めて6千円であった場合である。預かり金の合計の方が4千円多いので、CPU21は、同一の番号の売上データに対して返金処理を実行する。返金処理の結果、現金での支払いに対して現金で千円、クレジット決済での支払いに対してポイントで2千円、バーコード決済での支払いに対して当該バーコード決済で千円、それぞれ返金したとする。その場合の売上データは
図4Cに示した通りとなる。この例では、最後に降車した乗客は、最初に降車した乗客に対する現金を持って帰ることになる。最後に降車した乗客は、返金処理で受け取った現金を、最初に降車した乗客に後日払えばよい。
【0056】
CPU21は、
図4に示す一連の処理を実行することで、複数人で乗車し、途中下車する乗客がいる場合でも、乗客の意思で金額を決定した支払いを可能にするとともに、支払いの際の金種に応じた返金を可能とする。
【0057】
次に、決済端末20が提示するユーザインタフェースの例を示す。
【0058】
図5~
図12は、決済端末20が表示部26に提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
【0059】
図5は、タクシーTを降車する乗客に運賃の支払いを行わせるために決済端末20が表示部26に提示するユーザインタフェースの例を示す図である。
図5に示すユーザインタフェースは、運賃表示部51、預かり金入力ボタン52、預かり金明細表示ボタン53、及び会計ボタン54を含む。運賃表示部51は、乗車地から現在位置までの運賃を表示する領域である。運賃表示部51が表示する運賃は、運転手が入力してもよいし、タクシーメータ40と連動してもよい。預かり金入力ボタン52は、料金入力画面に遷移するためのボタンである。預かり金明細表示ボタン53は、これまでに支払われた預かり金の明細画面に遷移するためのボタンである。会計ボタン54は、最終目的地に到着した際に乗客に会計を行わせるための会計画面に遷移するためのボタンである。
【0060】
図6は、タクシーTを降車する乗客に預かり金、又は預かり金では不足している際の残額の支払いを行わせるために決済端末20が表示部26に提示する、料金入力画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図6に示す料金入力画面は、現金決済を行わせるための現金ボタン61、クレジット決済を行わせるためのクレジットボタン62、電子マネー決済を行わせるための電子マネーボタン63、及びバーコード決済(二次元コードを用いた決済も含む)を行わせるためのバーコードボタン64を含む。タクシーTの運転手は、タクシーTを降車する乗客にいずれかのボタンを選択させることで、預かり金又は残額の金種を指定させることができる。
【0061】
図7は、タクシーTを降車する乗客に預かり金又は残額の支払いを行わせるために決済端末20が表示部26に提示する、料金入力画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図7に示す料金入力画面には、
図6に示したいずれかのボタンを選択することで遷移する。
図7に示す料金入力画面は、金額表示部71、及び金額を入力させるテンキー72を含む。運転手又は降車する乗客は、テンキー72を操作して金額を入力することで、乗客が支払う預かり金又は残額を決済端末20に入力できる。
【0062】
図8は、タクシーTを途中で降車する乗客に預かり金の支払いを行わせるために決済端末20が表示部26に提示する、預かり金の確認画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図8に示す預かり金の確認画面には、
図7に示した預かり金入力画面において金額を確定するキーが選択されることで遷移する。
図8に示す預かり金の確認画面は、料金表示部81を含む。料金表示部81には、決済を行った金種及び金額が表示される。
図8に示す例では、現金で1万円が支払われたことを決済端末20が提示している。
【0063】
図9は、決済端末20が表示部26に提示する、預かり金の明細画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図9に示す預かり金の明細画面は、明細表示部91を含む。
図9に示す例では、明細表示部91に現金決済、電子マネー決済、クレジット決済、及びバーコード決済によって預かり金が支払われたことを決済端末20が提示している。
【0064】
図10は、決済端末20が表示部26に提示する会計画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図10に示す会計画面は、運賃を表示する運賃表示部101、高速道路の通行料金等の運転手が立て替えた料金を表示する立替金表示部102、運賃と立替金との合計を表示する合計表示部103、これまでに支払われた預かり金の合計を預かり金表示部104、運賃と立替金との合計と、預かり金の合計との差額を表示する差額表示部105、預かり金では足りない場合に会計を行う残額会計ボタン106、及び預かり金が多い場合に預かり金の返金を行う残額返金ボタン107を含む。なお、残額会計ボタン106及び残額返金ボタン107は、預かり金の過不足に応じて有効化又は無効化させるようにしてもよい。また、残額会計ボタン106及び残額返金ボタン107のうち、運転手が無効にしたいボタンは表示されないようにしてもよい。運賃表示部101が表示する運賃は、運転手が入力してもよいし、タクシーメータ40と連動してもよい。残額会計ボタン106が選択されると、決済端末20は、
図6に示した料金入力画面に遷移する。残額返金ボタン107が選択されると、決済端末20は、預かり金の返金を行うための残額返金画面に遷移する。
【0065】
図11は、決済端末20が表示部26に提示する残額返金画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図11に示す残額返金画面は、明細表示部111及び返金ボタン112を含む。
図11に示す例では、明細表示部111に現金決済、電子マネー決済、クレジット決済、及びバーコード決済によって預かり金が支払われたことを決済端末20が提示している。乗客が、返金を受けたい明細を明細表示部111の中から選択し、返金ボタン112を選択することで、決済端末20は、預かり金の返金を行うことができる。
【0066】
図12は、預かり金の返金を行うために決済端末20が表示部26に提示する、預かり金の返金の確認画面のユーザインタフェースの例を示す図である。
図12に示す預かり金の返金の確認画面には、
図11に示した預かり金入力画面において返金ボタン112が選択されることで遷移する。
図12に示す預かり金の確認画面は、料金表示部121を含む。料金表示部121には、決済を行った金種及び金額が表示される。
図12に示す例では、バーコード決済により支払われた1000円の預かり金が返金されたことを決済端末20が提示している。
【0067】
ここで、預かり金と同一の金種で返金ができない場合も考えられる。例えば、電子マネーで預かり金が支払われたが、その預かり金を電子マネーでは返金できない場合が考えられる。その場合、決済端末20は、電子マネーで支払われた預かり金を他の金種、例えば現金で返金するよう表示部26に提示してもよい。
【0068】
決済端末20は、
図5~
図12に示したようなユーザインタフェースを提供することで、タクシーTに乗車し、それぞれの目的地で降車する乗客の各々に対して、預かり金の支払い、残額の会計、及び預かり金の返金を行うことができる。
【0069】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した乗車料金決済処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、乗車料金決済処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0070】
また、上記各実施形態では、乗車料金決済処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
T タクシー
1 移動通信システム
10 車載用通信装置
20 決済端末
40 タクシーメータ
44 車載プリンタ
46 配車システム