(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】燃焼プロセスおよびそれを実施するためのバーナー
(51)【国際特許分類】
F23N 5/08 20060101AFI20240227BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20240227BHJP
F23D 14/22 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F23N5/08 G
F23C99/00 330
F23D14/22 Z
F23C99/00 323
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020053851
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-01-27
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジュマ
(72)【発明者】
【氏名】クロエ・コーモン-プリム
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ・パウベル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-バティスト・セネシャル
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-500962(JP,A)
【文献】米国特許第06702571(US,B2)
【文献】特開平03-110320(JP,A)
【文献】国際公開第2005/045379(WO,A1)
【文献】米国特許第05554022(US,A)
【文献】米国特許第06299433(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/08
F23C 99/00
F23D 14/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーにより、前記バーナーの下流の燃焼ゾーン(1)において、酸化剤と共に燃料を燃焼させるためのプロセスであって、該バーナーは、
- 前記燃焼ゾーン(1)の反対側の入口面(42)、および前記燃焼ゾーン(1)の側にあり、前記入口面(42)の反対側の出口面(41)を備えるブロック(40)と、前記ブロックは、前記入口面(42)から前記出口面(41)へと延び、また前記ブロック(40)の前記出口面(41)において第1のレベルで終了する少なくとも1つの第1の穿孔(44)、および前記入口面(42)から前記出口面(41)へと延び、また前記第1のレベルから離間された、前記第1レベルの下または上に位置する第2のレベルで、前記出口面(41)において終了する少なくとも1つの第2の穿孔(43)を備える、
- 前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)内に配置される少なくとも1つの燃料インジェクタ(21)と、
- 前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内に配置される少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ(50)と
を備え、
プロセスにおいては、
- 前記燃料の少なくとも1つのストリームが、前記少なくとも1つの燃料インジェクタ(21)および前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)を介して、前記燃焼ゾーンの中に射出され、
- 主酸化剤の流れが、前記燃料の前記少なくとも1つのストリームの下または上で、前記主酸化剤の前記少なくとも1つのインジェクタ(50)および前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)を介して、前記燃焼ゾーンの中に射出される前記酸化剤の少なくとも1つの主ストリームにおいて、前記燃焼ゾーンの中に導入され、
- 前記酸化剤の補助流(51)が、前記燃焼ゾーンにおける前記酸化剤の前記補助流と共に前記燃料の初期の部分的な燃焼により初期炎(60)を生成するように、前記燃焼ゾーンに導入されて前記少なくとも1つの燃料ストリームと接触し、
- 前記酸化剤の前記少なくとも1つの主ストリームの前記酸化剤が、前記初期炎(60)の下流の前記少なくとも1つの主ストリームの前記酸化剤と共に前記燃料の燃焼を完了させるために、前記初期炎(60)における前記部分的な燃焼により消費されなかった燃料と、前記初期炎(60)の下流で混合され、
前記プロセスは、
- 前記初期炎の発光強度、および任意選択で振動数が測定され、
- 前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量との間の比が、前記測定された発光強度、および任意選択で前記測定された振動数に応じて調整される
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記ブロックは、複数の第1の穿孔(44)および/または複数の第2の穿孔(43)を、また好ましくは、複数の第1の穿孔(44)および複数の第2の穿孔(43)を備える、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
少なくとも1つの、好ましくは各第1の穿孔(44)は、単一の燃料インジェクタを収容し、および/または少なくとも1つの、好ましくは各第2の穿孔(43)は、単一の主酸化剤インジェクタ(50)を収容する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記バーナーは、前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)内に配置される少なくとも2つの燃料インジェクタ(21)、および/または前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内に配置される少なくとも2つの主酸化剤インジェクタ(50)を備え、また好ましくは、前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)内に配置される少なくとも2つの燃料インジェクタ(21)、および前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内に配置される少なくとも2つの主酸化剤インジェクタ(50)を備える、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記酸化剤の前記補助流は、前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)を通して、前記燃焼ゾーンの中に導入される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記初期炎(60)の前記発光強度、および任意選択で前記振動数は、前記初期炎(60)の方向に向けられたセンサ(30)により測定され、前記センサ(30)は、好ましくは、190から520nmの間隔で、より好ましくは、280から410nmの間隔で、さらにより好ましくは、300から315nmの間隔で、前記初期炎(60)の前記発光強度を測定する、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の補助流の流量との間の比は、
a.前記初期炎の前記発光強度、および任意選択で前記振動数が、事前設定の範囲に位置する、または
b.前記初期炎の前記発光強度と振動数の積が、事前設定の範囲に位置する
ように調整される、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記バーナーは、
- 前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内に配置された少なくとも2つの主酸化剤インジェクタ(50)
を備え、プロセスにおいて、
- 前記主酸化剤の流れが、前記燃料の前記ストリームの下または上で、前記主酸化剤の前記少なくとも2つインジェクタ(50)および前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)を介して、前記燃焼ゾーンの中に射出される前記酸化剤の少なくとも2つの主ストリームにおいて、前記燃焼ゾーンの中に導入され、
および/またはここにおいて、前記バーナーは、
- 前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)内に配置された少なくとも2つの燃料インジェクタ(21)を備え、プロセスにおいて、
- 前記燃料の少なくとも2つのストリームが、前記少なくとも2つの燃料インジェクタ(21)および前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)を介して前記燃焼ゾーンの中に射出され、
- 前記酸化剤の前記補助流(51)が、前記燃焼ゾーンにおいて、前記酸化剤の前記補助流と共に前記燃料の初期の部分的な燃焼により前記初期炎(60)を生成するために、前記燃焼ゾーンに導入されて、前記少なくとも2つの燃料ストリームと接触する、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記燃料の前記少なくとも1つのインジェクタは、前記燃料の1次インジェクタと、前記燃料の2次インジェクタとの対であり、その対において、前記1次インジェクタおよび2次インジェクタの一方は、前記1次インジェクタおよび2次インジェクタの他方を囲み、前記バーナーは、前記燃料を射出するための組立体を有し、前記組立体は、
- 前記燃料が通過して前記組立体の中に導入される入口を有するチャンバと、
- 前記チャンバに流体接続される前記燃料の前記インジェクタを形成する前記少なくとも2つの対と、
- 前記チャンバにおけるガス圧を検出するための圧力センサと、
- 各燃料インジェクタの前記1次インジェクタと2次インジェクタの間の前記燃料の配分を調整するための調整システムとを備え、制御システムが、前記圧力センサ、および前記調整システムに接続され、また各対の前記1次インジェクタと2次インジェクタの間の前記燃料の配分が、前記圧力センサにより検出された前記ガス圧に応じて調整されるように前記調整システムを制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記測定された発光強度、および任意選択で前記測定された振動数は、制御システム(31)に送信され、前記制御システムは、前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量との比を調整する調整システム(32)に接続され、前記制御システムは、前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量との間の比が、前記測定された発光強度、および任意選択で前記測定された振動数に応じて調整されるように、前記調整システムを制御する、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ブロック(40)の前記出口面(41)で終了する前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)が属する前記第2のレベルは、前記第1のベルの上に位置しており、前記ブロック(40)は、前記第1のレベルの下に位置する第3のレベルで、前記出口面(41)において終了する少なくとも1つの第3の穿孔をさらに備え、少なくとも1つのさらなる主酸化剤インジェクタが、前記少なくとも1つの第3の穿孔内に配置され、プロセスは、前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量との間の比、および前記少なくとも1つの第2の穿孔内の前記主酸化剤の前記少なくとも1つのインジェクタと、前記少なくとも1つの第3の穿孔内の前記さらなる主酸化剤の前記少なくとも1つのインジェクタとの間の前記主酸化剤の配分が、前記検出された発光強度と、任意選択で前記検出された振動数とに応じて調整される、請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセスを実施するために適したバーナーであって、前記バーナーは、ブロック(40)および流体を供給するためのデバイスを備え、
- 前記ブロック(40)は、入口面(42)、および前記入口面(42)とは反対側の出口面(41)を有し、また前記入口面(42)から前記出口面(41)へと延び、前記ブロック(40)の前記出口面(41)において、第1のレベルで終了する少なくとも1つの第1の穿孔(44)と、前記入口面(42)から前記出口面(41)へと延び、また前記第1のレベルから離間された、前記第1のレベルの下または上に位置する第2のレベルで、前記出口面(41)において終了する少なくとも1つの第2の穿孔(43)とを備え、
- 前記供給するデバイスは、
- 前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)内に配置された少なくとも1つの燃料インジェクタ(21)と、
- 前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内に配置された少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ(50)と、
- 前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)に流体接続される少なくとも1つの補助的な酸化剤供給装置とを備え、
前記少なくとも1つの燃料インジェクタ(21)、および前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)は、前記少なくとも1つの燃料インジェクタ(21)、および前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)により、前記ブロック(40)の前記出口面(41)を通して射出される燃料が、第1の平面に存在する前記燃料の少なくとも1つのストリームを形成するように構成され、
前記少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ(50)、および前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)は、前記少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ(50)、および前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)により、前記ブロック(40)の前記出口面(41)を通して射出される主酸化剤が、第2の平面に存在する前記酸化剤の少なくとも1つのストリームを形成するように構成され、
前記第2の平面および前記第1の平面は、平行である、または前記出口面(41)の下流の一定の距離に位置する交差線で交差し、
前記バーナーは、
- 発光強度、および任意選択で振動数のセンサ(30)と、ここで前記センサは、前記第1の平面の方向に見通し線(33)に沿って向けられ、この見通し線(33)は、前記少なくとも1つの第1の穿孔(44)の正面において、また比d/h=1~10、ただし、hは、前記第1のレベルと前記第2のレベルの間の垂直距離であるように、前記出口面(41)からの距離dで前記第1の平面と交差するものであり、
- 少なくとも1つの燃料インジェクタ(21)に送達される燃料の流れの流量、前記少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ(50)に送達される酸化剤の流れの流量、および前記補助的な酸化剤供給装置に送達される酸化剤の流れの流量を調整できる調整システム(31)と、
- 制御システム(32)とをさらに備え、前記制御システム(32)は、前記センサ(30)および前記調整システム(31)に接続され、前記制御システム(32)は、前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量と間の比が、前記センサ(30)により検出される前記発光強度、および任意選択で、前記振動数に応じて調整されるように前記調整システム(31)を制御する、バーナー。
【請求項13】
前記制御システム(31)は、前記調整システム(32)が、前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量との間の比を、
a.検出される前記発光強度、および任意選択で前記振動数が、事前設定された発光強度、および任意選択で振動数のゾーンもしくは範囲内に位置するか、または
b.前記初期炎の前記発光強度と振動数の積が、事前設定の範囲内に位置する
ように調整すべく前記調整システム(32)を制御する、請求項12に記載のバーナー。
【請求項14】
前記燃料の前記少なくとも1つのインジェクタは、前記燃料の1次インジェクタ(21’)と、前記燃料の2次インジェクタ(22’)との対であり、その対において、前記1次インジェクタ(21’)および2次インジェクタ(22’)の一方は、前記1次インジェクタ(21’)および2次インジェクタ(22’)の他方を囲み、前記バーナーは、前記燃料を射出するための組立体を有し、前記組立体は、
- 前記燃料が、前記組立体の中にそれを通して導入される入口を有するチャンバと、
- 前記燃料の前記少なくとも1つのインジェクタを形成し、前記チャンバに流体接続される前記1つまたは複数の対と、
- 前記チャンバ内のガス圧を検出するための圧力センサと、
- 各燃料インジェクタの前記1次インジェクタ(21’)と2次インジェクタ(22’)の間の前記燃料の配分を調整するための調整システム(32)とを備え、前記制御システム(31)は、前記圧力センサ、および前記調整システム(32)に接続され、また各対の前記1次インジェクタ(21’)と2次インジェクタ(22’)の間の前記燃料の配分が、前記組立体の前記圧力センサにより検出された前記ガス圧に応じて調整されるように前記調整システム(32)を制御する、請求項12または13に記載のバーナー。
【請求項15】
前記ブロック(40)は、前記第1のレベルの上に位置する第2のレベルで、前記出口面(41)において終了する少なくとも1つの第2の穿孔(43)と、前記第1のレベルの下に位置する第3のレベルで、前記出口面(41)において終了する少なくとも1つの第3の穿孔とを備え、少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ(50)、および好ましくは少なくとも2つの主酸化剤インジェクタが、前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内に配置され、少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ、および好ましくは少なくとも2つの主酸化剤インジェクタが、前記ブロック(40)の前記少なくとも1つの第3の穿孔内に配置され、前記調整システム(32)が、前記制御システム(31)の制御下で、そして検出される前記発光強度、および任意選択で前記振動数に応じて、前記酸化剤の前記主流の流量、または前記酸化剤の前記主流の流量と前記酸化剤の前記補助流の流量との間の比を調整し、および前記少なくとも1つの第2の穿孔(43)内の前記主酸化剤の前記少なくとも1つのインジェクタと、前記少なくとも1つの第3の穿孔内の前記主酸化剤の前記少なくとも1つのインジェクタとの間の前記主酸化剤の配分を調整する、請求項12から14のいずれか一項に記載のバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナーにより燃焼させるためのプロセス、このようなプロセスにおいて燃焼を実施するのに適したバーナー、およびこのようなバーナーを備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、供給原料を変換するための産業用燃焼プロセスにおいては、炎および燃焼生成物から供給原料への熱伝達の有効性は、本質的に重要なものである。対流による熱伝達と放射による熱伝達とは、特にその間で区別される。
【0003】
一般的に、炎の発光強度は、放射によって伝達された燃焼により生成されたエネルギーの一部を示している。発光のスペクトル間隔、およびこの間隔における発光強度は、燃焼生成物およびヒドロキシルラジカルなどの励起されたラジカル(中間体種)の存在に関係しており、特定の波長範囲で、または特定の波長で発光することにより緩和する。前記励起されるラジカルの性質および量は、次いで、燃料および酸化剤の性質などのパラメータに依存し、それらの流量およびそれらの流量の比に依存し、またこの炎の酸化または還元状態に依存する。
【0004】
これらの関係は、特許出願EP-A-0763692からすでに知られており、そこでは、酸素に富んだ酸化剤(少なくとも80%O2)を供給するための内側の第1の通路と、酸化剤を供給するための第1の通路を外から囲む燃料を供給するための中間通路と、燃料を供給するための通路を外から囲む酸化剤を供給するための外側の第2の通路とを備えるバーナーが述べられている。EP-A-0763692によれば、バーナーは、内側の第1の通路を通って射出される酸化剤の流量を変化させるための手段を備え、これは、光度および炎の長さなどの炎の特性を制御できるようにし、特に、OHラジカル(OH*とも示される)の放出を制御できるようにする。前述の知られたバーナーは、実質的に、円形の横断面の炎を、したがって、実質的に軸対称の熱伝達を生成する燃料および酸化剤の同心および隣接する射出を用いるバーナーである。
【0005】
いくつかの用途に対しては、このような軸対称の伝達が望ましいが、他の用途に対しては、非軸対称の熱伝達が好ましい。
【0006】
例えば、供給原料の上の垂直壁に取り付けられたバーナーを備えるいわゆる「タンク」ガラス溶融炉において、バーナーのレベルの下に位置する供給原料への熱伝達を最大化し、また炉の壁および天井への熱伝達を最小化することが求められている。これは、特に、垂直壁に、また加熱される供給原料の近傍に配置されるバーナーにより達成され、またそれは、供給原料の自由表面に対して実質的に平行ないわゆる「平面炎」を生成する。
【0007】
熱伝達を最適化するのに加えて、炎が供給原料と直接相互作用する(炎と供給原料の間に物理的な障壁のない)プロセスにおいては特に、燃焼により生成された損傷および/または損失を可能な限り避けるために、いくつかの炎特性が求められている。これらの求められる炎特性は、一定の炎形状および/または長さ、ならびに炎の酸化還元特性を含む。
【0008】
特に、酸化炎は、供給原料と相互作用し、それを酸化する傾向にあるが、例えば、非鉄金属を溶融する状況において回避されるべきである。ガラスを溶融する状況では、炎の酸化/還元作用は、ガラスの酸化還元状態に、または気泡の形成に影響する可能性があり、生成物損失に、またガラスの色などの最終生成物の特性に影響を与え、あるいは実際、炉の電力消費に影響を与える。還元炎は、ススおよび他の未燃焼材料を生成しがちであり、熱伝達に対して、また燃焼によって生成された燃焼ガスにおける汚染物質の放出に対して影響を有することにも留意されたい。
【0009】
バーナーの全体的な酸化剤/燃料の比は、一般に、射出される燃料の完全燃焼を確実に行うのに必要な酸化剤の量(あるいは、燃料の部分的な燃焼が求められる場合、求められる程度の燃焼を達成するのに必要な酸化剤の量)により決定される。
【0010】
そうではあるが、炎が、供給原料に対する酸化/還元作用を有するために、燃料の射出から一定の距離で酸化剤の少なくともいくらかを射出することにより、またはさらに酸化剤の射出から一定の距離で燃料の少なくともいくらかを射出することにより、「千鳥状の(staggered)」炎と呼ばれるものを生成することが知られており、したがって、前記炎は、供給原料の側に酸化ゾーンを、また他方の側に還元ゾーンを有し、その反対も同様である。
【0011】
したがって、EP-A-0844433は、バーナーにより燃焼室において酸化剤と共に燃料を燃焼させるためのプロセスを述べており、プロセスは、
・燃料は、少なくとも2つの隣接するストリームの形態で燃焼室の中に射出される、
・酸化剤の大部分は、バーナーの少なくとも1つの細長い開口部を通る前記少なくとも2つの燃料ストリームの上で、燃焼室の中に射出され、したがって、酸化剤の前記大部分は、バーナーの下流において燃焼室内の燃料ストリームに遭遇する、
・酸化剤の残りは、バーナーの近傍で、酸化剤の大部分が燃料ストリームと遭遇する前に、燃料に富んだ燃焼(初期炎)を生成するために、最も少ない2つの燃料ストリーム付近で、燃焼室の中に射出される。
【0012】
この方法では、初期炎の下に位置する供給原料の近傍に還元性の初期炎を生成するが、なお、燃料の完全な燃焼を達成することが可能である。
【発明の概要】
【0013】
[本発明の目的]
本発明の1つの目的は、特に酸化剤の千鳥状の射出を用いた平面炎の場合、供給原料に対する初期炎の酸化または還元作用を調整できるようにすることである。本発明の別の目的は、このような調整を実時間で行えるようにすることである。本発明の別の目的は、炎の酸化または還元作用のこのような調整を、調整ループを用いて高い信頼性で実施できるようにすることである。
[本発明によるプロセス]
このために、本発明は、バーナーにより、酸化剤と共に燃料を燃焼するためのプロセスを提供し、前記燃焼は、溶融炉、例えば、特にガラス溶融炉、再熱炉、再循環炉などである炉の内側でバーナーの下流に位置する燃焼ゾーンにおいて行われる。
【0014】
本発明によれば、バーナーは、入口面と、入口面の反対側に位置する出口面とを有するブロックを備える。入口面は、燃焼ゾーンの反対側に位置し、出口面は、燃焼ゾーンと同じ側に位置する。
【0015】
バーナーのブロックは、通常、耐火性材料から作られ、バーナーが炉の壁に取り付けられるようにする。
【0016】
バーナーのブロックは、入口面から出口面へと延びる少なくとも1つの第1の穿孔を備える。前記少なくとも1つの第1の穿孔は、ブロックの出口面において第1のレベルで終了する。
【0017】
バーナーのブロックは、これも入口面から出口面へと延びる少なくとも1つの第2の穿孔を備える。この少なくとも1つの第2の穿孔は、ブロックの出口面において、第1のレベルとは離間された第2のレベルで終了し、第2のレベルは、第1のレベルの下または上に位置する。
【0018】
少なくとも1つの燃料インジェクタは、少なくとも1つの第1の穿孔内に配置される。「主酸化剤インジェクタ」と呼ばれる少なくとも1つの酸化剤インジェクタは、少なくとも1つの第2の穿孔内に配置される。
【0019】
本発明によるプロセスでは、燃料の少なくとも1つのストリームが、少なくとも1つの燃料インジェクタ、および少なくとも1つの対応する第1の穿孔を介して燃焼ゾーンの中に射出される。
【0020】
「主酸化剤の流れ」と呼ばれる第1の酸化剤の流れは、酸化剤の少なくとも1つの主ストリームにおいて燃焼ゾーンの中に導入される。この酸化剤の少なくとも1つの主ストリームは、少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ、および少なくとも1つの対応する第2の穿孔を介して燃焼ゾーンの中に射出され、この酸化剤の少なくとも1つの主ストリームは、したがって、少なくとも1つの第1の穿孔に対する第2の穿孔の位置に応じて、燃料の少なくとも1つのストリームの下または上で燃焼ゾーンの中に射出される。
【0021】
「酸化剤の補助流」と呼ばれる第2の酸化剤の流れは、少なくとも1つの燃料ストリームと接触するように燃焼ゾーンの中に導入される。酸化剤の補助流は、少なくとも1つの第1の穿孔を通して、特に、ブロックの1つまたは複数の第1の穿孔内に位置する1つまたは複数の燃料インジェクタの周囲で、燃焼ゾーンの中に導入されることが好ましい。
【0022】
初期炎は、酸化剤のこの補助流と共に燃料の初期の部分的な燃焼により、燃焼ゾーンにおいて生成される。初期炎における燃料の燃焼は、部分的な燃焼であるので、初期炎においては、いくらかの燃料が消費される(燃える)だけである。
【0023】
初期炎の下流において、酸化剤の少なくとも1つの主ストリームの酸化剤が、初期炎における部分的な燃焼により消費されなかった燃料と混合される。このように、射出された燃料の燃焼は、少なくとも1つの主ストリームの酸化剤を用いて、初期炎の下流で完了される。
【0024】
したがって、前記燃料の千鳥状の燃焼が得られる。
【0025】
本発明によれば、初期炎の発光強度と呼ばれる、発光された強度が測定され、燃料の主流の流量、または燃料の主流の流量と燃料の補助流の流量との間の比が、測定された発光強度に応じて調整される。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態によれば、初期炎の発光された強度、およびさらに振動数が測定され、燃料の主流の流量、または燃料の主流の流量と燃料の補助流の流量との間の比が、測定された発光強度および測定された振動数に応じて調整される。
【0027】
本発明によるプロセスで使用される燃料は、天然ガス、生物ガス、プロパン、ブタン、製鋼もしくはメタン改質プロセスの残留ガス、水素、またはこれらのガス状燃料の少なくとも2つの任意の混合物から選択された燃料など、概して、ガス状の燃料である。
【0028】
酸化剤は、概して、21から100の容積%、好ましくは、少なくとも80容積%、またはさらに好ましくは、少なくとも90容積%の酸素含有率を有する。
【0029】
炎の発光された強度は、炎のいくつかの重要な特性を反映する。発光された強度は、特に、炎の酸化還元状態に、また炎の中に存在する励起されたラジカルの性質および濃度に関係することができるが、それらは、炎の特徴的な発光スペクトルの発光源である。
【0030】
したがって、求められている初期炎の発光強度、および適切な場合はさらに、振動数(またはさらにこれらの2つのパラメータに依存する値)が知られている場合、初期炎の発光される強度、および任意選択でさらに振動数を検出することは、それが、一定の特性を有する求められる炎に対するものであろうと、時間経過と共に変化する特性を有する求められる炎に対するものであろうと、得られた初期炎が、求められる初期炎の特性を有するかどうかを検証することを可能にする(以下を参照のこと)。
【0031】
上記で述べたものなどの千鳥状の燃焼の場合、初期炎の発光強度、および適切な場合はさらに振動数を測定することにより、本発明は、この初期炎を特徴付けることができ、またそれが求められる炎に対応するかどうかを検証され得るようにする。これが該当しない場合、本発明は、酸化剤の射出を規制することにより、炎が修正され得るようにする。
【0032】
したがって、本発明によれば、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比が、測定された発光強度、および任意選択でさらに測定された振動数に応じて調整される。
【0033】
上記で示したように、バーナーにより射出された燃料流量と、全体の酸化剤流量(主酸化剤の流量および補助的な酸化剤の流量)との間の比は、燃料の燃焼の必要な程度、すなわち、完全燃焼または部分燃焼によって決まる。
【0034】
本発明に従って、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整/規制することにより、初期炎のいくつかの特性、特に初期炎の酸化/還元状態が、酸化剤の補助流の流量を規制することにより調整される。
【0035】
初期炎の酸化/還元作用は、初期炎における補助的な酸化剤/燃料の比に依存し、また所与の補助的な酸化剤/燃料の比に対して、燃料の性質(ガス状/液体/固体燃料、組成、熱量値、水分の存在など)に依存する。
【0036】
本発明に従って、初期炎の発光強度、および適切な場合さらに振動数を測定することにより、例えば、バーナーへの燃料の流量を調整するために使用される1つまたは複数の弁が、概して、初期炎に送達される酸化剤の流量に対する正確な値を保証できない場合、初期炎の酸化/還元作用を実時間で調整することを可能にする。本発明はまた、変化する組成の燃料の場合であっても、燃料の性質から独立して、実時間で、初期炎の酸化/還元作用を調整され得るようにする。
【0037】
加熱すべき供給原料が、初期炎の一方の側に(通常、初期炎の下に)位置し、主酸化剤が、供給原料に対して初期炎の反対側で射出されるとき、本発明は、供給原料に対する初期炎の還元作用が調整され得るようにする。
【0038】
さらに、主酸化剤が、初期炎と加熱すべき供給原料との間に射出されるとき、本発明は、酸化剤の主流の流量を調整することにより、酸化剤の主流の、したがって、供給原料に対する炎の酸化作用が調整され得るようにする。
【0039】
したがって、本発明は、ガラスなど、このような酸化/還元作用を特に受けやすい供給原料に対する解決策を提供するものであり、求められる酸化/還元作用と観察される酸化/還元作用との間の差は、このような供給原料を用いて得られる製品の品質に実質的な影響を与える可能性がある。
【0040】
炉が、複数のバーナーを備えるとき、例えば、溶融/清澄炉において、溶融ゾーンにおけるバーナーに対して、また清澄ゾーンにおけるバーナーに対してなど、様々なバーナーに対して、異なる調整が使用され得ることにも留意されたい。
[ブロック、穿孔、およびインジェクタ]
バーナーのブロックは、求められる炉と、求められる炎と、求められる作用とに応じて、大きく変わり得る。
【0041】
バーナーのブロックは、したがって、燃料が、それを通して射出される単一の第1の穿孔、および/または主酸化剤がそれを通して射出される単一の第2の穿孔を備えることができる。前記少なくとも1つの第1の穿孔は、ブロックの出口面において第1のレベルで終了する。
【0042】
ブロックはまた、複数の第1の穿孔、および/または複数の第2の穿孔を備えることができる。
【0043】
ブロックはしたがって、
・単一の第1の穿孔および単一の第2の穿孔、
・単一の第1の穿孔および複数の第2の穿孔、
・複数の第1の穿孔および単一の第2の穿孔、またはさらに
・複数の第1の穿孔および複数の第2の穿孔
を備えることができる。
【0044】
ブロックが、主酸化剤がそれを通して射出される複数の第2の穿孔を備えるとき、以下のものの間を区別することが推奨される、すなわち、
・その第2の穿孔がすべて、少なくとも1つの第1の穿孔が出口面で終わる第1のレベルの上に位置するレベルで、出口面において終了するブロックと、
・その第2の穿孔がすべて、第1のレベルの下に位置するレベルで、出口面において終了するブロックと、
・その少なくとも1つの第2の穿孔が、第1のレベルの下に位置するレベルで、出口面において終了し、またその少なくとも1つの第2の穿孔が、第1のレベルの上に位置するレベルで、出口面において終了するブロック(この後者の実施形態によるブロックはまた、第1のレベルの上に位置するレベルで、出口面において終了する少なくとも1つの第2の穿孔を有し、また第1のレベルの下に位置するレベルで、出口面において終了する少なくとも1つの第3の穿孔を有するものとしても述べることができる、以下を参照のこと)。
【0045】
各実施形態は、特にバーナーの製造者に関して、得られた炎の形状を含むその柔軟性および特性に関するそれ自体の利点を有し、また使用される実施形態は、本発明によるプロセスを目標とした用途に応じて選択される。
【0046】
特に前述のように、主酸化剤のすべてが、1つまたは複数の第1の穿孔の第1のレベルの上のレベルで、出口面において終了する1つまたは複数の第2の穿孔を通して、燃焼ゾーンの中に射出されるとき、炎の下の供給原料は、初期炎によって還元され得る。
【0047】
主酸化剤のすべてが、1つまたは複数の第1の穿孔の第1のレベルの下のレベルで、出口面において終了する1つまたは複数の第2の穿孔を通して、燃焼ゾーンの中に射出されるとき、炎の下の供給原料は、このように射出された主酸化剤によって酸化され得る。
【0048】
そのブロックが、第1のレベルの下に位置するレベルで出口面において終了する少なくとも1つの穿孔と、第1のレベルの上に位置するレベルで、出口面において終了する少なくとも1つの第2の穿孔とを有するバーナーは、例えば、供給原料の性質に応じて、またはさらに炉内で行われるプロセス(例えば、溶融プロセスなど)の進行段階に応じて、第1のレベルの上の少なくとも1つの第2の穿孔と、第1のレベルの下の少なくとも1つの第2の穿孔との間で、両方の形態の動作を可能にし、また主酸化剤の可変の配分を可能にする。
【0049】
第1の穿孔は、単一の燃料インジェクタを、または複数の燃料インジェクタを収容することができる。同様に、第2の穿孔は、単一の主酸化剤インジェクタ、または複数の主酸化剤インジェクタを収容することができる。
【0050】
したがって、バーナーにおいて、
・少なくとも1つの、またはさらに各第1の穿孔は、単一の燃料インジェクタを収容することができる、および/または
・少なくとも1つの、またはさらに各第2の穿孔は、単一の主酸化剤インジェクタを収容することができる。
【0051】
バーナーにおいて、
・少なくとも1つの、またはさらに各第1の穿孔は、複数の燃料インジェクタを収容することができる、および/または
・少なくとも1つの、またはさらに各第2の穿孔は、複数の主酸化剤インジェクタを収容することができる、
または実際に、
・少なくとも1つの第1の穿孔は、単一の燃料インジェクタを収容できるが、少なくとも1つの他の第1の穿孔は、複数の燃料インジェクタを収容する、および/または
・少なくとも1つの第2の穿孔は、単一の主酸化剤インジェクタを収容するが、少なくとも1つの他の第2の穿孔は、複数の主酸化剤インジェクタを収容する。
【0052】
したがって、特定の一実施形態によれば、バーナーは、ブロックの少なくとも1つの第2の穿孔内に配置された少なくとも2つの主酸化剤インジェクタを備え、酸化剤の主流は、燃焼ゾーンにおいて酸化剤の少なくとも2つの主ストリームの中へと導入され、それは、燃料の1つまたは複数のストリームの下または上から燃焼ゾーンの中へと射出され、酸化剤の前記少なくとも2つの主ストリームは、主酸化剤の前記少なくとも2つのインジェクタおよび前記少なくとも1つの第2の穿孔を介して射出される。
【0053】
バーナーは、したがって、ブロックの少なくとも1つの第1の穿孔内に配置された少なくとも2つの燃料インジェクタを備えることができ、燃料の少なくとも2つのストリームは、前記少なくとも2つの燃料インジェクタおよび少なくとも1つの第1の穿孔を介して、燃焼ゾーンの中に射出される。
【0054】
一実施形態によれば、ブロックの少なくとも1つの第1の穿孔は、円形の横断面を有し、および/またはブロックの少なくとも1つの第2の穿孔は、円形の横断面を有する。実質的に円形の横断面のこのような(第1または第2の)穿孔は、特に、単一の(それぞれ、燃料または主酸化剤)インジェクタを、また特にそれ自体が(実質的に)円形の横断面を有する単一のインジェクタを収容するために有用である。
【0055】
別の実施形態によれば、ブロックの少なくとも1つの第1の穿孔は、水平に細長い横断面を有し、および/またはブロックの少なくとも1つの第2の穿孔は、水平に細長い横断面を有する。水平に細長い横断面のこのような(第1または第2の)穿孔は、複数のインジェクタを収容するために、特に互いに並んで(例えば、平行に、またはファン状に)配置される少なくとも2つのインジェクタを収容するために、特に有用である。水平に細長い横断面のこのような(第1または第2の)穿孔はまた、これも水平に細長い横断面のものであるインジェクタを収容するのに有用である。両方の場合、水平に細長い横断面のこのような穿孔は、対応する流体の平面的なおよび/またはファン形状の流れを燃焼ゾーンの中に射出させることができる。
【0056】
上記ですでに示されているように、ブロックの第1の穿孔の少なくとも1つ、すなわち、1つまたは複数の、またはさらにそれぞれの第1の穿孔は、単一の燃料インジェクタを収容することができる。同様に、ブロックの第2の穿孔の少なくとも1つ、すなわち、1つまたは複数の、またはさらにそれぞれの第2の穿孔は、単一の主酸化剤インジェクタを収容することができる。
【0057】
有利な一実施形態によれば、バーナーは、したがって、ブロックの少なくとも1つの第1の穿孔内に配置される少なくとも2つの燃料インジェクタ、および/またはブロックの少なくとも1つの第2の穿孔内に配置される少なくとも2つの主酸化剤インジェクタを備える。好ましくは、バーナーは、少なくとも1つの第1の穿孔内に配置される少なくとも2つの燃料インジェクタと、少なくとも1つの第2の穿孔内に配置される少なくとも2つの主酸化剤インジェクタとを備える。燃料インジェクタの数は、酸化剤インジェクタの数と等しくする、または異なることができる。
【0058】
すでに上記で示したように、ブロックの少なくとも1つの、すなわち、1つまたは複数の、またはさらにそれぞれの第1の穿孔は、複数の(≧2)燃料インジェクタを収容することができる。同様に、ブロックの1つまたは複数の、またはさらにそれぞれの第2の穿孔は、複数の主酸化剤インジェクタを収容することができる。
【0059】
バーナーが、複数の(≧2)主酸化剤インジェクタを備えるとき、バーナーのブロックは、複数の(≧2)第2の穿孔を有することができ、それぞれが、単一の主酸化剤インジェクタを収容する。同様に、バーナーが、複数の(≧2)燃料インジェクタを備えるとき、バーナーのブロックは、複数の(≧2)第1の穿孔を有することができ、それぞれが、単一の燃料インジェクタを収容する。特定の一実施形態によれば、ブロックの各第1および第2の穿孔は、単一のインジェクタを収容する。
【0060】
本発明によるプロセスの特に適用可能な一実施形態によれば、第2のレベル、すなわち、少なくとも1つの第2の穿孔がブロックの出口面において終了するレベルである第2のレベルは、第1のレベルの上、すなわち、少なくとも1つの第1の穿孔がブロックの出口面において終了するレベルの上に位置しており、ブロックはまた、第1のレベルの下に位置する第3のレベルで、ブロックの出口面において終了する少なくとも1つの(すなわち、1つまたは複数の)第3の穿孔を備える。少なくとも1つのさらなる主酸化剤インジェクタは、少なくとも1つの第3の穿孔に配置される。
【0061】
バーナーのブロックはまた、例えば、センサ(例えば、発光強度のセンサ、および/または振動数のセンサ、炎の存在のセンサ、温度センサなど)に対する通路として働く、第1および第2の穿孔以外の1つまたは複数の穿孔を備えることができることに留意されたい。
[炎の発光強度/振動数の測定]
本発明によるプロセスでは、初期炎の発光強度、および任意選択でさらに振動数が、事前設定されたスペクトル間隔で測定され、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比が、測定された発光強度、および任意選択で、測定された振動数に応じて調整される。
【0062】
初期炎の発光強度、および任意選択で振動数は、通常、初期炎に向けられたセンサにより、またはさらに複数のこのようなセンサにより測定される。
【0063】
ブロックの穿孔を通して初期炎に向けられたこのセンサは、バーナーそれ自体に取り付けられ得るが、または炉内の別の適切な場所に、例えば、バーナーが取り付けられる炉の壁、もしくは別の壁、もしくは炉の天井において、バーナーの近傍に取り付けられ得る。
【0064】
初期炎の発光強度は、190から520nmの範囲に、好ましくは280から410nmの範囲に位置する間隔で有効に測定される。適切なセンサがこの目的で使用されることになる。したがって、300nmと315nmの間の間隔において、その最大感度の少なくとも30%の感度を有する発光強度のセンサが有利に使用される。目的は、307nm+/-5nmに中心のあるOH*ラジカルの発光波長における発光強度を測定することである。
【0065】
初期炎の振動数は、発光強度も測定するセンサにより、または別のセンサにより測定され得る。
[調整]
酸化剤の主流の流量の調整、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比の様々な形の調整が可能である。
【0066】
酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比は、初期炎の発光強度が、発光強度の事前設定ゾーンまたは範囲内に位置するように有利に調整される。初期炎の発光強度および振動数が測定されるとき、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比は、初期炎の発光強度が、発光強度の事前設定ゾーンもしくは範囲内に位置するように、また任意選択で、初期炎の振動数および/または発光強度が、事前設定の周波数範囲内に位置するように、またはさらに、初期炎の発光強度と振動数の積が事前設定の範囲内に位置するように有利に調整される。
【0067】
前述の事前設定の範囲は、一定にすることができるが、あるいは例えば、炉内で処理される供給原料の性質に応じて、または炉内で行われるプロセス(例えば、溶融プロセス)の進行段階に応じてなど、時間経過と共に変化できることに留意されたい。
【0068】
特定の一実施形態によれば、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比は、1次炎の発光強度が、発光強度の事前設定値に対応するように調整される。初期炎の発光強度および振動数が測定されたとき、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比は、1次炎の発光強度が、発光強度の事前設定値に対応するように、任意選択で、初期炎の振動数が、振動数の事前設定値に対応するように、またはさらに、初期炎の発光強度と発光の振動数の積が事前設定の値に対応するように有利に調整される。
【0069】
パラメータのいずれの検出も誤りの許容範囲を受けることを考慮すると、本文脈において、この第1の値が、事前設定値に関する誤りの許容範囲内に位置するとき、所与の値は、事前設定値に対応すると見なされることになる。
【0070】
発光強度および振動数の一方に対する基準として事前設定の範囲を使用すること、ならびに発光強度および振動数の他方に対する基準として事前設定値を使用することも可能である。
【0071】
通常、求められる特性を有する初期炎に対応する、または供給原料に対する炎の求められる(酸化/還元)作用に対応するこれらの事前設定の範囲または値は、特に供給原料に対する作用に関して、炉内のこのような千鳥状の燃焼を用いた以前の実験に基づき、テストにより、またはさらに、使用される燃料および酸化剤に対するすでに知られた相関関係に基づき、あらかじめ設定され得る。
【0072】
事前設定の範囲に関して上記ですでに示されたように、前述の事前設定値は、一定であり得るが、あるいは、例えば、炉内で処理される供給原料に性質に応じて、または炉内で行われるプロセスの進行段階に応じて、時間経過と共に変化することができる。
【0073】
酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整するために、測定された発光強度、適切な場合はさらに測定された振動数は、制御システムに送信される。制御システムは、アナログまたはデジタル制御システムとすることができ、デジタル制御システムであることが好ましい。制御システムは、例えば、1つまたは複数の調整弁により酸化剤の主流の流量を調整する、またはさらに、酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整する調整システムに接続される。制御システムは、調整システムが、測定された発光強度に応じて、また適切な場合さらに、測定された振動数に応じて、酸化剤の主流の流量、またはさらに、酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整するように、調整システムを制御する。特定の一実施形態によれば、制御システムは、調整システムが、測定された発光強度と測定された振動数の積に応じて、酸化剤の主流の流量、またはさらに酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整するように、調整システムを制御する。
【0074】
制御システムへの測定されたデータの送信、制御システムと調整システムの間の通信、および調整システムと、バーナーを介する流体の流れを変えることのできる機器との間の通信は、例えば、アナログ的に、またはデジタル的に、任意の知られた手段によって達成され得る。一般的に、ワイヤレス通信が好ましい。
【0075】
少なくとも1つの第2の穿孔が、第1のレベル(少なくとも1つの第1の穿孔が出口面で終了するレベル)の上に位置する第2のレベルで、ブロックの出口面において終了し、またブロックがさらに、少なくとも1つのさらなる主酸化剤インジェクタが中に配置され、第1のレベルの下に位置する第3のレベルで出口面において終了する少なくとも1つの第3の穿孔を備える実施形態の場合、測定された発光強度に応じて、またはさらに、測定された発光強度と測定された振動数に応じて、
・酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比
だけではなく、
・主酸化剤の配分、すなわち、
○少なくとも1つの第2の穿孔内の少なくとも1つの主酸化剤インジェクタと、
○少なくとも1つの第3の穿孔内の少なくとも1つのさらなる主酸化剤インジェクタとの間の主酸化剤の配分
を有利に調整する。すでに上記で示されたように、この調整は、特に、測定された発光強度と測定された振動数の積に応じて実施され得る。
【0076】
この実施形態は、初期炎の下に位置する供給原料の場合、
・供給原料を、少なくとも1つの第2の穿孔を通して初期炎の上で主酸化剤のすべてを射出することにより還元させる、
・供給原料を、少なくとも1つの第3の穿孔を通して初期炎と供給原料の間に主酸化剤のすべてを射出することにより酸化させる、また
・供給原料に対する酸化/還元作用を、少なくとも1つの第2の穿孔を介する初期炎の上の射出と、少なくとも1つの第3の穿孔を介する初期炎の下の射出との間の主酸化剤の射出の配分を調整することにより、緩和させる、または調整させる
ことができる。
[変形形態]
本発明によるプロセスには多くの変形形態が存在する。
【0077】
本発明による方法の特に有利な一変形形態によれば、燃料の少なくとも1つのインジェクタは、(a)燃料の1次インジェクタと(b)燃料の2次インジェクタの対の形態で存在する。この対において、1次インジェクタと2次インジェクタの一方は、1次インジェクタと2次インジェクタの他方を囲む。
【0078】
本実施形態によれば、一方で、対のうちの1次インジェクタに送達される燃料の流れの流量が調整され、また他方で、対のうちの2次インジェクタに送達される燃料の流れの流量が調整される。
【0079】
このような一実施形態では、バーナーは、以下のものを備える燃料を射出するための組立体を備えることが好ましい、すなわち、
・燃料が組立体の中にそれを通して導入される入口を有するチャンバと、1つまたは複数の対が、燃料の少なくとも1つのインジェクタを形成し、チャンバに流体接続される、
・チャンバ内のガス圧を検出するための圧力センサと、
・各燃料インジェクタ/対の1次インジェクタと2次インジェクタとの間の燃料の配分を調整するための調整システムとを備える、制御システムが、圧力センサおよび調整システムに接続され、前記制御システムは、各燃料インジェクタ/対の1次インジェクタと2次インジェクタの間の燃料の配分が、圧力センサにより検出されたガス圧に応じて調整されるように調整システムを制御する。
【0080】
燃料を射出するためのこのような組立体を備えるバーナーに関するさらなる情報、その動作、およびその利点は、2018年12月21に出願された共存するヨーロッパ特許出願第18306820.4号で見出され得る。
[本発明によるバーナー]
本発明はまた、本発明による方法の実施形態のいずれか1つを実施するのに適したバーナーに関する。
【0081】
このようなバーナーは、流体を供給するためのブロックとデバイスとを備える。
【0082】
ブロックは、入口面と、入口面とは反対の出口面とを有する。ブロックはまた、
・入口面から出口面へと延び、またブロックの出口面において第1のレベルにおいて終了する少なくとも1つの第1の穿孔(1つまたは複数の第1の穿孔)と、
・入口面から出口面へと延び、また出口面において第2のレベルで終了する少なくとも1つの第2の穿孔(1つまたは複数の第2の穿孔)と
を有し、この第2のレベルは、第1のレベルから離間され、また第1のレベルの下または上に位置する。
【0083】
本発明によるバーナーを供給するためのデバイスは、
・ブロックの少なくとも1つの第1の穿孔内に位置する少なくとも1つの燃料インジェクタと、
・ブロックの少なくとも1つの第2の穿孔内に位置する少なくとも1つの主酸化剤インジェクタと
を備える。
【0084】
供給するデバイスはまた、少なくとも1つの第1の穿孔に流体接続された少なくとも1つの補助的な酸化剤供給装置(入力)を備える。この流体接続は、入口面に取り付けられ、少なくとも部分的にブロックの中に挿入される、バーナーの金属部分の中へと一体化された機械的な配送システムにより達成され得る。
【0085】
少なくとも1つの燃料インジェクタ、および少なくとも1の第1の穿孔は、少なくとも1つの燃料インジェクタ、および少なくとも1つの第1の穿孔により、ブロックの出口面を通して射出される燃料が、第1の平面内にある燃料の少なくとも1つのストリームを形成するように構成される。
【0086】
同様に、少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ、および少なくとも1の第2の穿孔は、少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ、および少なくとも1つの第2の穿孔により、ブロックの出口面を通して射出される主酸化剤が、第2の平面内にある酸化剤の少なくとも1つのストリームを形成するように構成される。
【0087】
一実施形態によれば、第1および第2の平面は、出口面の下流の一定の距離に位置する交差線Lで交差する。バーナーが本発明によるプロセスで使用されるとき、主酸化剤は、したがって、前記燃料の最終的な燃焼を生成するために、この距離Lの付近において初期炎で消費されなかった燃料の一部と接触することになる。
【0088】
別の実施形態によれば、第1および第2の平面は平行である。この場合、主酸化剤はまた、燃焼ゾーンにおける各ストリームの成長(それらは広がる傾向がある)のため、バーナーの下流の比較的大きな距離において、初期炎で消費されなかった燃料の一部と接触することになる。
【0089】
本発明によるバーナーはまた、発光強度のセンサ、および任意選択でさらに振動数のセンサを備え、発光強度のセンサおよび振動数のセンサは、1つの同じセンサに一体化される可能性が高い。
【0090】
このようなセンサは市販されているが、その例は炎制御装置であり、それはまた、Durag(例えば、参考DLX-101/DLX-100またはDLX-201/DLX-200)、もしくはHoneywell(例えば、参考U2-1010S-PF)、もしくはHamamatsu(例えば、UV C9536/H9958センサ)などの供給者により、「UV/IRセル」もしくは「炎検出器」として販売されていることが多い、あるいはUVもしくはIR分光計(例えば、OceanopticsのFLAME-SもしくはFLAME-Tシリーズ、またはSTS-UV-L25-400-SMA、または他の供給者からの同等のもの)または(ICCD、CCD、RGB)カメラ(例えば、Princeton Instrumentsにより供給されるカメラ:PImax4ICCD)であり、これらのデバイスのすべては、光学フィルタ(例えば、XHQA310またはXHQA300、Asahi filters)に結合され得る。
【0091】
発光強度のセンサは、見通し線に沿った第1の平面の方向に向けられる。この見通し線は、ブロックの少なくとも1つの第1の穿孔の正面で、ブロックの出口面から距離dにおいて、第1の平面と交差し、比d/h=1~10であり、hは、第1のレベルと第2のレベルの間の垂直距離であるようにする。
【0092】
同様に、振動数のセンサが存在するとき、振動数のセンサは、見通し線に沿って第1の平面の方向に向けられており、前記センサのこの見通し線は、少なくとも1つの第1の穿孔の正面で、比d/h=1~10であるように、出口面から距離dにおいて、第1の平面と交差する。
【0093】
発光強度、および適切な場合、振動数のより信頼性のある測定を保証するために、バーナーは、少なくとも2つの対応するセンサで装備され得る。
【0094】
本発明によるバーナーは、
・少なくとも1つの燃料インジェクタに送達される燃料の流れの流量と、
・少なくとも1つの主酸化剤インジェクタに送達される「酸化剤の主流」と呼ばれる、酸化剤の流れの流量と、
・補助的な酸化剤供給装置に送達される「酸化剤の補助流」と呼ばれる、酸化剤の流れの流量と
を調整できる調整システムを備える。
【0095】
本発明によるバーナーはまた、発光強度のセンサに(および適切な場合はさらに、振動数のセンサに)、また調整システムに接続される制御システムを備える。
【0096】
制御システムは、バーナーが、本発明によるプロセスで使用されるとき、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比が、発光強度のセンサにより測定される発光強度に応じて、また適切な場合はさらに、振動数のセンサにより測定される振動数に応じて調整されるように、バーナーの調整システムを制御することができ、特にそのようにプログラムされる。
【0097】
本発明によるバーナーの様々な任意選択の特徴および実施形態が、本発明による方法の様々な実施形態の記述の文脈において上記で述べられている。
【0098】
したがって、本発明によるバーナーの制御システムは、発光強度のセンサにより測定される発光強度が、発光強度の事前設定ゾーンもしくは範囲に位置するように、また任意選択で、振動数のセンサにより測定される振動数が、振動数の事前設定ゾーンもしくは範囲に位置するように、調整システムが、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整/規制すべく、調整システムを制御することができ、特にそのようにプログラムされ得る。
【0099】
他の実施形態によれば、バーナーの制御システムは、
・測定される発光強度と測定される振動数の積が、事前設定の範囲に位置する、
・測定される発光強度が、発光強度の事前設定値に対応し、また任意選択でさらに、測定される振動数が、振動数の事前設定値に対応する、
・測定される発光強度および測定される振動数の積が、事前設定の値に対応する
ように、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整する。
【0100】
本発明によるバーナーの特定の一実施形態によれば、燃料の少なくとも1つのインジェクタは、燃料の1次インジェクタと、燃料の2次インジェクタとの対であり、その対において、1次インジェクタおよび2次インジェクタの一方は、1次インジェクタおよび2次インジェクタの他方を囲む。
【0101】
このようなバーナーは、有利には、燃料が、それを通して組立体の中に導入される入口を有するチャンバを備える、燃料を射出するための組立体を有し、少なくとも1つの対が、このチャンバに流体接続される燃料の少なくとも1つのインジェクタを形成する。
【0102】
このバーナーはまた、チャンバ内のガス圧を検出するための圧力センサを有利に備える。
【0103】
各対の1次インジェクタと2次インジェクタの間の燃料の配分を調整するための調整システムをさらに備える。制御システムが、圧力センサと規制システムに接続される。制御システムは、バーナーが本発明によるプロセスで使用されるとき、調整システムが、組立体の圧力センサによって検出されたガス圧に応じて、各対の1次インジェクタと2次インジェクタとの間の燃料の配分を調整するように、調整システムを制御することができ、特にそのようにプログラムされ得る。
【0104】
このような制御システムは、1つまたは複数の1次インジェクタと1つまたは複数の2次インジェクタとの間でその配分を行う前に、チャンバにおけるガス状燃料の圧力の測定に基づいて、各対の1次インジェクタと2次インジェクタの間の燃料の配分を調整するために、調整ループへと統合され得る。
【0105】
すでに上記で示したように、このようなバーナーは、詳細には、2018年12月21に出願された共存するヨーロッパ特許出願第18306820.4号で述べられている。
【0106】
特定の一実施形態によれば、ブロックは、
・第1のレベルの上に位置する第2のレベルで出口面において終了する少なくとも1つの第2の穿孔と、
・第1のレベルの下に位置する第3のレベルで出口面において終了する少なくとも1つの第3の穿孔と
を有する。
【0107】
少なくとも1つの酸化剤インジェクタ、および好ましくは、少なくとも2つのこのような酸化剤インジェクタは、ブロックの少なくとも1つの第2の穿孔内に配置され、また少なくとも1つの酸化剤インジェクタ、および好ましくは、少なくとも2つのこのようなインジェクタが、ブロックの少なくとも1つの第3の穿孔内に配置される。
【0108】
この場合、調整システムは、
・酸化剤の主流の流量を調整する、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流の流量との間の比を調整すること、および
・少なくとも1つの第2の穿孔内の燃料の少なくとも1つのインジェクタと、少なくとも1つの第3の穿孔内の燃料の少なくとも1つのインジェクタとの間における酸化剤の配分を調整すること
ができ、特にそのようにプログラムされ得るが、制御システムの制御下で、また発光強度のセンサにより測定された発光強度に応じて、また任意選択でさらに、振動数センサにより測定された振動数に応じてそのようにすることができる。
【0109】
本発明によるプロセスにおいてバーナーを実施するために、(i)少なくとも1つの燃料インジェクタは、燃料のソースに流体接続される、(ii)少なくとも1つの主酸化剤インジェクタ、少なくとも1つの第1の穿孔、および補助的な酸化剤の少なくとも1つの供給装置が、酸化剤ソースに流体接続される。
【0110】
このソースの燃料は、天然ガス、生物ガス、プロパン、ブタン、製鋼もしくはメタン改質プロセスの残留ガス、水素、またはこれらのガス状燃料の少なくとも2つの混合物の任意のソースから有利に選択される。酸化剤ソースは、好ましくは、21から100容積%、好ましくは、少なくとも80容積%、またはさらに好ましくは、少なくとも90容積%の酸素含有率を有する酸化剤のソースである。
【0111】
本発明はまた、本発明による複数のバーナーを備える装置に関する。
【0112】
装置の前記バーナーのうちの少なくとも2つ、またはさらにバーナーのすべては、共通に、上記で述べたものなどの制御システムを有利に有する。この場合、共通の制御システムは、前記少なくとも2つのバーナーのそれぞれの調整システムを制御する。
【0113】
本発明はまた、炉の燃焼ゾーンの内側で酸化剤と共に燃料を燃焼させるための、本発明による少なくとも1つの、また好ましくは複数のバーナーを備えた炉に関し、またはさらに、炉の燃焼ゾーンの内側で酸化剤と共に燃料を燃焼するための、本発明による装置を備えた炉に関し、本発明は、ガラスもしくはエナメルを溶融するための、またはアルミニウム、鉄、鋼、銅、および亜鉛の中の少なくとも1つの金属を溶融するための炉、再熱炉、乾燥炉、および改質炉の中から選択された炉に対して特に有利である。この炉内に、本発明による1つまたは複数のバーナーが存在することにより、バーナーによって送達される所与のパワーに対して、炎が、特に炎の下に位置する供給原料に対して、比較的酸化性の作用を、または比較的還元性の作用を生成することを可能にする。
【0114】
加えて、炉が、本発明による複数のバーナーを備えるとき、これは、各バーナーの炎が、例えば、炉内におけるバーナーの位置に応じて、比較的酸化性の作用を、または比較的還元性の作用を独立して生成できるようにする。
【0115】
本発明はしたがって、例えば、清澄化されたガラスを生成するための溶融/清澄炉において、例えば、気泡の形成を制限するために、上流の溶融ゾーンにおける供給原料に対する炎の酸化作用が調整され得るように、また下流の清澄ゾーンにおける供給原料に対する炎の還元作用がまた調整され得るようにする。
【0116】
同様に、いくつかの成分の酸化還元状態によりガラスの色が影響を受けるガラスを生成するための溶融、または溶融/清澄炉において、本発明は、求められる色のガラスを得るために、溶融されたガラスにおけるこれらの成分の酸化還元状態が調整され得るようにする。
【0117】
本発明およびその利点は、
図1から
図4に対して参照が行われる以下の例を考慮すると、よく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1】本発明によるバーナーの第1の実施形態の横断面の概略図である。
【
図2】本発明によるバーナーの第2の実施形態の横断面の概略図である。
【
図3】本発明によるバーナーの第3の実施形態の斜視概略図である。
【
図4】310nmに感度のピークを有するセンサを用いて測定されたこの初期炎の豊富度(richness)の関数として初期炎の発光強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1で示された実施形態では、バーナーは、セメントで固めることにより、電気融合プロセスにより、または加圧プロセスにより得られた耐火性材料から作られたブロック40を備える。このブロックの耐火性材料は、概して、ブロックが組み込まれるプロセスに適したものに応じて、また特にプロセス中に遭遇する温度および腐食性種に応じて、包括的に、アルミナおよび/またはシリカおよび/またはジルコニアおよび/またはマグネシアから構成される。
【0120】
ブロック40は、燃焼ゾーン1の反対側の入口面42と、燃焼ゾーン1の側で、入口面42の反対側の出口面41とを備える。
【0121】
少なくとも1つの第1の穿孔44は、入口面42から出口面41へと延びる。前記少なくとも1つの第1の穿孔44は、ブロック40の出口面41において第1のレベルI-Iで終了する。
【0122】
少なくとも1つの第2の穿孔43は、入口面42から出口面41へと延びる。この少なくとも1つの第2の穿孔43は、第1のレベルI-Iから離間され、後者から距離hで第1のレベルI-Iの上に位置する第2のレベルII-IIにおいて、出口面41で終了する。
【0123】
少なくとも1つの燃料インジェクタ21は、ブロック40の少なくとも1つの第1の穿孔44内に配置される。
【0124】
少なくとも1つの酸化剤インジェクタ50は、ブロック40の少なくとも1つの第2の穿孔43内に配置される。
【0125】
燃料は、少なくとも1つの燃料インジェクタ21を介して、1つまたは複数のストリームで燃焼ゾーン1の中に射出される。
【0126】
主酸化剤の流れは、燃料の1つまたは複数のストリームの上で、少なくとも1つのインジェクタ50を介して、酸化剤の少なくとも1つの主ストリームで燃焼ゾーン1の中に導入される。
【0127】
酸化剤の補助流は、少なくとも1つの燃料インジェクタ21の周りで、少なくとも1つの第1の穿孔44を通して射出される。したがって、酸化剤の補助流は、燃焼ゾーン1に射出されて燃料と接触し、酸化剤の補助流と共に燃料の初期の部分的燃焼を行うことにより、燃焼ゾーン1に初期炎60を生成する。
【0128】
初期炎60の下流で、この燃料の燃焼を完了するために、酸化剤の少なくとも1つの主ストリームの酸化剤が、初期炎における部分的な燃焼により消費されなかった燃料と混合される。この文脈において、「初期炎の部分的な燃焼により消費されなかった燃料」という表現は、初期炎において酸化されなかった燃料と、初期炎で生成された部分的な燃焼生成物の両方を意味するものと理解される。
【0129】
発光強度のセンサ30は、その見通し線33が初期炎60の方向に向けられるように配置される。前記センサ30は、初期炎60の発光強度が測定され得るようにする。
【0130】
示された実施形態では、センサ30は、第1のレベルI-Iの下で、軸がセンサ30の見通し線33に対応するさらなる穿孔45の入口で、バーナーの入口面42に固定される。見通し線33は、d/hが1と10の間からなるように、出口面41から距離dで、レベルI-I(すなわち、燃料の1つまたは複数のストリームの平面、またはさらに第1の穿孔の1つの/燃料インジェクタの1つの軸)と交差する。
【0131】
センサのタイプに応じて、センサ30はまた、このようなさらなる穿孔の内側に少なくとも部分的に取り付けられ得る。
【0132】
他の実施形態によれば、センサ30は、その位置およびその見通し線が、センサ30がバーナーにより生成された初期炎60の発光強度を測定できるようなものである場合、バーナーから分離され得る。
【0133】
初期炎を目標とする発光強度のセンサ30は、有利にはUVセンサである。
【0134】
上記で示されるように、センサ30は、190から520nmの間隔で、好ましくは、280から410nmの間隔で、またはさらにより好ましくは300と315nmの間の間隔で初期炎の発光強度を有利に測定する。目的は、307nm+/-5nmに中心のあるOH*ラジカルの発光波長における発光強度を測定することである。
【0135】
センサ30は、測定された炎強度に対応する信号を生成し、この信号は、制御システム31に送信される。
【0136】
制御システム31は、1つまたは複数のインジェクタ50により、燃焼ゾーン1の中へと射出される酸化剤の主流の流量と、1つまたは複数の燃料インジェクタ21の周囲で1つまたは複数の第1の穿孔44を介して燃焼ゾーンの中に射出される酸化剤の補助流51の流量とを調整する調整システム32に接続される。調整システム32による流量の調整は、特に、調整システム32がその開放状態を調整する1つまたは複数の弁(図示せず)により達成され得る。酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流51の流量の両方を調整することにより、調整システム32はまた、酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流51の流量との間の比を調整することに気付かれよう。
【0137】
制御システム31は、初期炎60の測定された発光強度に、また任意選択で、測定された振動数に応じて、調整システム32が、酸化剤の主流の流量、または酸化剤の主流の流量と酸化剤の補助流51の流量との間の比を調整するように、調整システム32を制御する。
【0138】
具体的には、例えば、OH*ラジカルの存在に関する発光強度が高くなればなるほど、初期炎60をより多く酸化する。したがって、センサ30により測定されたこの発光強度が、供給原料に対して還元し過ぎる、または十分に酸化しない初期炎60を示す場合、制御システム31は、調整システム32に信号を出して、酸化剤の高い流量を少なくとも1つの第1の穿孔44に送るようにさせ、したがって、酸化剤の主流の流量と、酸化剤の補助流51の流量との間の比を減少させて、初期炎を、還元を少なくする、または酸化を多くするようにする。それとは反対に、センサ30により測定された発光強度が、供給原料に対して十分に還元しない、または酸化し過ぎる初期炎60を示す場合、制御システム31は、調整システム32に信号を出して、少なくとも1つの第1の穿孔44に、酸化剤の全体の流れのより少ない部分を送るようにさせ、したがって、酸化剤の主流の流量と、酸化剤の補助流51の流量との間の比を増加させて、初期炎60の還元を多くする、または酸化を少なくするようにする。
【0139】
本発明は、したがって、初期炎60の酸化/還元作用が、バーナーにより生成されるパワーにかかわらず、実時間で調整され得るようにする。
【0140】
一実施形態によれば(図示せず)第2のレベルII-IIは、第1のレベルI-Iの下に位置する。
【0141】
この場合、本発明は、バーナーにより生成されるパワーにかかわらず、特に初期炎の下に位置する供給原料に対する主酸化剤の1つまたは複数のストリームの酸化作用を、また主酸化剤の1つまたは複数のストリームの酸化作用を実時間で調整され得るようにする。
【0142】
発光強度のセンサ30は、初期炎の振動数を測定するセンサと組み合わされることが好ましい。具体的には、初期炎の発光強度および振動数信号は、上記で述べられたものなど、酸化剤の千鳥状の測定とバーナーの調整とをより信頼性のあるものにするために、組み合わされ得ることが観察される。
【0143】
図2で示される実施形態は、1つまたは複数の燃料インジェクタ21が、2つのインジェクタの対で、具体的には、燃料の1次インジェクタ21’と、燃料の2次インジェクタ22’の対で構成される点で、
図1に示された実施形態とは異なる。示された実施形態では、1次インジェクタ21’および2次インジェクタ22’は同心であり、1次インジェクタ21’は、2次インジェクタ22’により囲まれている。
【0144】
この実施形態によれば、燃焼ゾーン1の中に射出される燃料の流れは、完全に、燃料インジェクタの1つまたは複数の対の1次インジェクタ21’を介して、完全に、燃料インジェクタの1つまたは複数の対の2次インジェクタ22’を介して、またはさらに燃料インジェクタの1つまたは複数の対の1次インジェクタ21’と2次インジェクタ22’の間で配分されるように射出され得る。
【0145】
この実施形態では、対により射出される燃料の流れのうちの少なくとも1%、好ましくは5%が、1次インジェクタ21’を囲む2次インジェクタ22’を介して射出されることを保証するのでさらに有利である。
【0146】
前述の共存するヨーロッパ特許出願第18306820.4号でより詳細に述べられるように、燃料がガス状の燃料であるとき、このような実施形態によるバーナーは、以下の特徴を有する燃料を射出するための組立体(図示せず)を有利に備え、すなわち、
- 燃料の全体の流れが通って組立体に導入される入口を有するチャンバと、
- 燃料入口を介してチャンバの中に導入された燃料を受け入れることができるように、チャンバに流体接続される燃料のインジェクタを形成する1つまたは複数の対と、
- 燃料入口と、インジェクタの1つまたは複数の対との間に位置する、チャンバ内のガス圧を検出するための圧力センサと
である。
【0147】
バーナーはまた、各燃料インジェクタの1次インジェクタ21’と2次インジェクタ22’の間の燃料の配分を調整するための調整システムを備える。制御システム31が、次いで、燃料の配分を調整できるようにするために、圧力センサと調整システムに有利に接続される。制御システム31はまた、各対の1次インジェクタ21’と2次インジェクタ22’の間の燃料の配分が、組立体の圧力センサによって検出されたガス圧に応じて調整されるように、後者の調整システムを制御する。有利には、制御システム31は、その場合、チャンバ内のガス圧が、事前設定の圧力ゾーン/範囲内に位置するように、またはさらにこのガス圧が、事前設定値に対応するように、調整システム32を制御できる、またはプログラムされる。
【0148】
特に実際的な一実施形態によれば、調整システム32は、少なくとも1つの2次インジェクタ22’を上流のチャンバに接続する少なくとも1つの2次通路の横断流量面積を調整することにより、各対の1次インジェクタ21’と2次インジェクタ22’の間の燃料の配分を調整する。
【0149】
本発明と完全に互換性のあるこのような実施形態は、特に、バーナーにより生成される炎の長さが調整され得るようにする。
【0150】
図3で示されるように、バーナーのブロック40は、入口面42と出口面41の間で延びる複数の第1の穿孔44と、複数の第2の穿孔43とを備えることができる。
【0151】
示された実施形態では、バーナーは、3つの第1の穿孔44と、2つの第2の穿孔43とを備える。第2の穿孔43は、第1の穿孔44が出口面41において終了する第1のレベルI-Iの上に位置する第2のレベルII-IIで、この出口面41において終了する。
【0152】
この幾何形状は、平面炎が生成され得るようにする。
【0153】
示された実施形態によれば、UV/可視センサ30の見通し線33は、さらなる穿孔45を通過し、第1のレベルI-Iと第2のレベルII-IIの間でブロック40の出口面41から出る(
図1および
図2の場合のように、第2のレベルII-IIとは反対の第1のレベルI-Iの側ではなく)。
【0154】
図3は、燃料インジェクタ21が、1次燃料インジェクタ21’および2次燃料インジェクタ22’から形成された対である実施形態を示しているが、このような構成(特に様々な穿孔43および44の数と位置、ならびに見通し線33の位置と方向に関して)はまた、燃料インジェクタ21(それぞれ)が、燃料の射出の単一の通路を画定する本発明の実施形態に対して使用可能である。
【0155】
図4で示されるように、初期炎の発光強度信号の平均(数秒間の平均)は、初期炎が燃料に富んでいるときの低いUV信号平均と比較して、初期炎が燃料不足のとき高くなることが観察されている。したがって高いUV強度は、燃料インジェクタが主酸化剤射出の下に配置された構成において、燃料が乏しく短い初期炎の特徴であり、したがって、供給原料の上で比較的酸化性の雰囲気の特徴である。したがって比較的低いUV強度は、燃料射出が主酸化剤射出の下に配置された使用される構成において、燃料に富んでおり、長い初期炎の特徴であり、したがって、供給原料の上の比較的還元性の雰囲気の特徴である。炎の強度信号の組合せと、炎の振動数信号の組合せとを区別することも可能であり、またはさらに良好であることにも留意されたい。
【0156】
センサの測定は、したがって、酸化剤の補助射出と主射出の間の酸化剤の配分を調整するために使用され得る。弁は、酸化剤の補助射出と主射出の間の流体の配分が制御され得るようにし、この弁の位置は、センサにより送達される情報に応じて制御される。これらの調整は自動的に行うことができ、またガラスまたは金属の生産など、様々な燃焼プロセスで有利に行われ得る。
[実施例]
ガラスの色および清澄品質は、還元作用物質(炭素、酸化鉄、硫化物)もしくは酸化作用物質(亜硫酸塩、硝酸塩、アンチモン酸塩など)、もしくは清澄作用物質の量、炉のガス状の雰囲気における水の濃度、処理層の温度など、さらに特に、バーナーの炎の中で生成され、ガラスの表面と接触する酸化性のガス種(O2)もしくは還元性のガス種(CO)の量など、多数の要因により制御される。しかし、これらの要因と、ガラスの酸化還元状態および色との間の関係の非直線性および複雑さは、したがって、それらの定量的理解を制限する。ガラス処理槽の上(すなわち、炎の下)のガス状の雰囲気の酸化還元状態を可能にする燃焼技術の実施は、したがって、ガラスの色および品質の制御における柔軟性を可能にする。
【0157】
上記で述べられた本発明の一実施形態はしたがって、初期炎の周囲の、特にガラス処理槽の上のCOおよびO2の濃度を制御するために、主射出と補助射出の間で、酸化剤を千鳥状にすることを制御するために有利に使用され得る。第2の穿孔の下の第1の穿孔の場合、燃焼を千鳥状にすればするほど(低流量の補助的な酸化剤)、ガラス処理槽の上のガス状の雰囲気をさらに還元させることになり、これは、通常、清澄ゾーンにおいて望ましいものである。反対に、燃焼を千鳥状にしなければしないほど(低流量の主酸化剤)、ガラス処理槽の上のガス状の雰囲気をより酸化させことになり、これは、通常、ローディングゾーンで望ましいものである。
【0158】
局所的な豊富さにより、炎の千鳥状を定量化できる発光強度のセンサの統合は、したがって、初期炎の周りの、特にガラス処理槽の上のガス状雰囲気の酸化還元状態を、バーナーの全体の酸化剤流量を修正する必要なく、定量的に制御することを可能にする。
【0159】
この調整はまた、非鉄金属の溶融または再循環に対する炉において有利に適用され得るが、その場合、前記金属の酸化と金属収率の損失とを阻止するために、溶融金属の上の還元性のガス状雰囲気を維持することが基本である。しかし、サイクルの持続期間全体を通して、この還元性のガス状雰囲気を維持することは、このような燃焼が、効率的に劣ること、また放出および煙の循環路に影響を与える(フィルタを詰まらせる、沈着物など)ことになる未燃焼材料を生成しがちであるため、望ましくない。したがって、バーナーは、ローディング段階、および溶融が開始した段階中に比較的酸化性の動作モードで動作し、また同質化および清澄段階中に比較的還元性の動作モードで動作することが必要になる。
【0160】
この調整は、亜酸化窒素(NOx)の放出を制限するのに有用であることを示すことができる。特に還元雰囲気(COの存在)が、NOxを還元できるようにし、したがって、煙突に送られるその量を制限できるようにすることが当業者に知られている。