(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】消火剤容器収納用の筐体装置
(51)【国際特許分類】
A62C 35/02 20060101AFI20240227BHJP
A62C 35/11 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A62C35/02 A
A62C35/11
(21)【出願番号】P 2020061803
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 直子
(72)【発明者】
【氏名】内田 憲孝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 徹
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038527(JP,A)
【文献】特開2001-009053(JP,A)
【文献】特開2018-089283(JP,A)
【文献】特開2018-082762(JP,A)
【文献】実開昭59-096048(JP,U)
【文献】実開昭59-190258(JP,U)
【文献】特開2016-182230(JP,A)
【文献】実開平06-056409(JP,U)
【文献】特開平11-244407(JP,A)
【文献】特開平04-216195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00 - 99/00
A62B 35/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口された筐体本体と、当該筐体本体の前面開口を開閉可能に閉鎖するための前面扉と、を備え、上部に消火剤を送出する外部配管との連結部を有する消火剤容器を内部に収納可能
であり、外部より前記外部配管が前記筐体本体内に引き込まれ当該筐体本体内で前記連結部を介して前記消火剤容器に連結されるように構成された消火剤容器収納用の筐体装置であって、
前記筐体本体の上部には、
当該筐体本体の上面の後側の一部を閉塞するとともに配管が挿通される開口を有する固定パネルと、当該固定パネルの前側に配置され筐体の前側を開放または閉塞可能な開閉パネルが設けられていることを特徴とする消火剤容器収納用の筐体装置。
【請求項2】
前記開閉パネルは、
前記固定パネルの前側に蝶番によって上下方向に回動可能に取り付けられ
、筐体上部の前面側を開放可能であることを特徴とする請求項1に記載の消火剤容器収納用の筐体装置。
【請求項3】
前記開閉パネルは、前方向への移動によって筐体の上部前側を開放し、後方向への移動によって筐体の上部前側を閉塞するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の消火剤容器収納用の筐体装置。
【請求項4】
前記開閉パネルは、前記筐体本体の上部の所定位置に設置
され筐体の前側を閉塞した状態で、固定手段により固定
可能に構成されていることを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の消火剤容器収納用の筐体装置。
【請求項5】
前記開閉パネルの前端には、前端縁を折り返すように折曲してなる折曲部または角柱からなる骨格体が形成されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の消火剤容器収納用の筐体装置。
【請求項6】
前記筐体本体の側板の前端には、前端縁を折り返すように折曲してなる折曲部または角柱からなる骨格体が形成され、
前記開閉パネルが閉塞された状態において、前記開閉パネルの前端の前記骨格体は前記側板の前端の前記骨格体と係止されることを特徴とする請求項
5に記載の消火剤容器収納用の筐体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火剤容器収納用の筐体装置に関し、特に窒素や二酸化炭素のような消火用のガスを貯蔵する消火剤容器(ボンベ)を内部に収納可能な箱型の筐体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消火用のガスを利用した消火設備として、箱型の筐体内に消火用ガスを貯蔵する消火剤容器(ボンベ)を収納したものが提供されている。かかる消火設備に関する発明として、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
特許文献1に記載されている消火設備は、メンテナンスをし易くしかつ省スペース化を図るために、側面に開口部を備えた筐体本体部と、筐体本体部内に設けられた消火剤貯蔵容器と、回動することで筐体本体部の開口部を開閉する筐体扉と、消火剤貯蔵容器の消火剤の吐出口を開状態にする容器弁と、容器弁を駆動するための電力を供給する電源装置と、電源装置へ電力を供給する蓄電池とを有し、筐体本体部の開口部が筐体扉で閉じられたときに筐体本体部と筐体扉との内部に電源装置と蓄電池とが位置するように構成されているとともに、電源装置、蓄電池の少なくともいずれかが筐体扉に設けられているようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている消火設備のように、筐体内部に消火剤容器(ボンベ)を収納した構成を採用した場合、筐体外部に設けられている消火剤送出用の配管と消火剤容器(ボンベ)とを接続する必要があるため、一般に、配管の端部を消火剤容器(ボンベ)を収納する筐体の上壁に設けた開口に挿通させ、筐体内で配管の端部と容器の口金とを連結金具で接続する作業が行われる。
【0006】
ここで、連結金具は、
図6に示すように、消火剤容器(ボンベ)20の口金21に結合され他端の外周に雄ネジが形成された逆L字型の短いパイプ22と、結合される側のパイプ(配管を含む)12の端部に抜け落ちないように遊嵌されたナット23などから構成されており、上記の逆L字型の短いパイプ22の端面に、結合される側のパイプ12の端面を対向させてから、工具を用いてナット23を回転させて逆L字型の短いパイプ22の端部外周に形成されている雄ネジに螺合させることで連結が行われる。この際、ガス漏れを防ぐために大きな力でナット23を回転させて締め付ける必要があるため、工具として大型のトルクレンチが使用されることが多い。
【0007】
大型のトルクレンチとしては、一例ではあるが50cm程度かそれより長いものを用いる。このような大型のトルクレンチを使用すると、消火設備のようなガス配管の連結部の締め付け作業が効率よくかつ確実に行うことができる。また、大型のトルクレンチを使った逆L字型の短いパイプ22端部へのナット23の締め付け作業は、筐体前面扉の開放した状態で行われるため、筐体前面側で大型のトルクレンチでの作業に影響を与えないようナット23の向きが設定される。ここで、作業に影響を与えないとは、大型のトルクレンチの可動領域が筐体の左右の側面板に干渉しないことを指し、ナット23の連結方向としては前面扉に平行が理想だが、大型のトルクレンチでの作業に影響を与えない範囲内で前記平行に対して角度がついていても良い。
【0008】
しかしながら、省スペース化のため消火剤容器収納用の筐体の内部空間はかなり狭いとともに、連結金具は筐体の上面パネル16の近傍に配設されているので、筐体上部の作業空間が狭く、連結金具が略水平に配設されている場合には、大型のトルクレンチでナット23を回転させる作業を実施する際に、大型のトルクレンチを縦方向へ操作する必要がある。そのため、大型のトルクレンチの長いハンドル部分が筐体の上面パネル16と干渉してしまい、大型のトルクレンチの可動域が制限されることで作業性が非常に悪いという課題がある。
【0009】
また、消火剤容器収納用の筐体には、電源や故障などの状態およびガス放出時のカウントダウンを表示する表示器、該表示器および内部の消火剤容器(ボンベ)に設けられている弁の開放制御などを担う制御盤、操作部など種々の支援機能が設けられており、新機能を追加したい場合に筐体の内部空間が狭くなる傾向がある。一方、近年、設置スペースとの兼ね合いから消火剤容器を収納する筐体の小型化に対する要求が高いため、その要求に応じて筐体を小型化すると、連結金具に対する作業性が一層低下してしまうという課題がある。
【0010】
本発明は上記のような背景の下になされたもので、その目的とするところは、配管の端部と消火剤容器の口金とを接続するための連結金具のナットを、大型の工具を用いて回転させる作業を実施する際の作業性を向上させることができる消火剤容器収納用の筐体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本出願に係る発明は、
前面が開口された筐体本体と、当該筐体本体の前面開口を開閉可能に閉鎖するための前面扉と、を備え、上部に消火剤を送出する外部配管との連結部を有する消火剤容器を内部に収納可能であり、外部より前記外部配管が前記筐体本体内に引き込まれ当該筐体本体内で前記連結部を介して前記消火剤容器に連結されるように構成された消火剤容器収納用の筐体装置において、
前記筐体本体の上部には、当該筐体本体の上面の後側の一部を閉塞するとともに配管が挿通される開口を有する固定パネルと、当該固定パネルの前側に配置され筐体の前側を開放または閉塞可能な開閉パネルが設けられているように構成したものである。
【0012】
上記のような構成によれば、配管の端部と消火剤容器の口金とを連結金具により接続する作業を開始する前に、筐体上部の前扉側の開閉パネルを開くことで工具が干渉するおそれのある筐体の上方空間を開放することができ、それによって、もともと収納された消火剤容器(ボンベ)の上部と筐体の上面パネルとの間隔が狭い場合はもちろんのこと、省スペース化のため筐体を小型化した場合にも、連結金具のナットを、工具(大型のトルクレンチ)を用いて容易に回転させる作業を行うことができ、作業性を大幅に向上させることができる。
また、工具を縦方向へ回す作業の際に特に支障となる上面パネルの手前側の一部のみ解放させ作業性を向上させることができるとともに、開閉パネルの大きさを小さくすることができるため、上面パネル全体を開閉可能に構成する場合に比べて筐体の強度を保持しつつ配管の端部と消火剤容器の口金とを連結金具により接続する作業をし易くすることができる。
【0013】
ここで、望ましくは、前記開閉パネルは、前記固定パネルの前側に蝶番によって上下方向に回動可能に取り付けられ、筐体上部の前面側を開放可能であるように構成する。
かかる構成によれば、連絡作業開始の前に開閉パネルを、蝶番を中心にして上下方向に回動させることで、簡単に筐体の上部の前面側空間を開放することができる。また、筐体の上部の前面側空間を開放した際に開閉パネルを外して、作業の邪魔にならない場所へ移動する手間を省くことができる。
【0014】
また、望ましくは、前記開閉パネルは、前方向への移動によって筐体の上部前側を開放し、後方向への移動によって筐体の上部前側を閉塞するように構成する。
【0015】
さらに、望ましくは、前記開閉パネルは、前記筐体本体の上部の所定位置に設置され筐体の前側を閉塞した状態で、固定手段により固定可能に構成する。
かかる構成によれば、作業終了後に固定手段(ネジ)で開閉パネルを固定することで、関係者以外の者が簡単に開閉パネルを開けることができないようにすることができる。
【0016】
また、望ましくは、前記開閉パネルの前端には、前端縁を折り返すように折曲してなる折曲部または角柱からなる骨格体が形成されているように構成する。
かかる構成によれば、開閉パネルの強度を高めることができ、作業中に筐体に大きな力が加わったり、工具が当たるなどして開閉パネルが変形したりするのを防止することができる。
【0017】
さらに、望ましくは、前記筐体本体の側板の前端には、前端縁を折り返すように折曲してなる折曲部または角柱からなる骨格体が形成され、
前記開閉パネルが閉塞された状態において、前記開閉パネルの前端の前記骨格体は前記側板の前端の前記骨格体と接合されているように構成する。
かかる構成によれば、筐体の強度を高めることができ、地震の際の揺れ等によって筐体が変形するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の消火剤容器収納用の筐体装置によれば、省スペース化のため筐体を小型化した場合にも、配管の端部と消火剤容器の口金とを接続するための連結金具のナットを、工具を用いて回転させる作業を実施する際の作業性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る消火剤容器収納用の筐体装置の一実施形態を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【
図2】
図1の実施形態の筐体装置の上面パネル(天板)を解放可能にする構造の第1の実施例を示すもので、(A)は上面パネルを閉じた状態を示す斜視図、(B)は上面パネルを開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の実施形態の筐体装置の上面パネル(天板)を解放可能にする構造の第2の実施例を示すもので、(A)は上面パネルを閉じた状態を示す斜視図、(B)は上面パネルを開いた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図2の実施例の筐体装置の変形例を示す斜視図である。
【
図5】(A)~(C)は
図4の変形例の筐体装置の各部の構造を示す断面図および斜視図である。
【
図6】筐体装置内に収納された消火剤容器の口金と配管とを連結金具で結合した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(A)は本発明に係る消火剤容器収納用の筐体装置(以下、単に筐体装置と称する)の正面図、
図1(B)は側面図である。
図1(B)の側面図において、破線20で示されているのが、筐体内部に収納された消火剤容器(ボンベ)である。また、点線Cで囲まれている部分が消火剤容器(ボンベ)と消火剤を送出する配管との連結部である。
【0021】
本実施例の筐体装置10は、
図1(A)に示すように、縦長な箱状をなし、正面に開閉可能な前面扉11が設けられており、筐体の上面パネルに、内部の消火剤容器(ボンベ)20と接続された配管12が貫通されている。前面扉11は、特に限定されるものでないが、右側部に設けられている蝶番によって筐体本体に対して左右方向に開閉可能に構成され、左側の上下方向ほぼ中央に位置するように、指先を差し込む凹部を有する取っ手13が設けられている。
【0022】
また、前面扉11には、操作に基づいて音を発する音響部14と、電源の投入や故障などの状態およびガス放出時のカウントダウン数字を表示する7セグメント型表示器を備え、消火剤容器(ボンベ)に設けられている電磁弁の開放制御などを担う制御盤と該制御盤に対して指令を与える操作盤とが一体に構成された操作部兼制御盤15が設けられている。
本実施例の筐体装置10は、筐体の上面パネルを解放可能に構成し、上面パネルを解放した状態にすることで、筐体内部の消火剤容器(ボンベ)20と配管12とを接続する連結金具に設けられているナットを、工具(トルクレンチ等)で回転させる際に工具が上面パネル16と干渉するのを回避して、連結作業を容易に実施できるようにするものである。
【0023】
図2には、筐体の上面パネル(天板)16を解放可能にするための第1の実施例の詳細が示されている。
本実施例においては、
図2(A)に示すように、筐体の上面パネル16が前側開閉パネル16Aと後側固定パネル16Bとに分割され、後側固定パネル16Bは筐体本体10Aの上端に溶接または折り曲げ加工で一体にされている一方、前側開閉パネル16Aは蝶番17A,17Bによって後側固定パネル16Bの前縁を軸に上下方向回動可能に装着されている。これにより、
図2(B)に示すように、前側開閉パネル16Aは前側を上方へ回動させることで、筐体本体10Aの上面の一部を解放することができる。
【0024】
なお、
図2に示す実施例では、前側開閉パネル16Aと後側固定パネル16Bの前後の幅の比は約2:1に設定されているが、幅の比は2:1に限定されるわけではない。例えば、筐体の内部に収納される消火剤容器(ボンベ)20や連結金具の位置に応じて、工具(トルクレンチ)を使った作業をする際に、工具の作業空間(可動域)に干渉しない程度の幅を前側開閉パネル16Aの幅として設定すればよい。
また、前側開閉パネル16Aの前側の両縁部には、例えば2個のネジ挿通穴が形成されており、2本のネジによって筐体本体10Aの上端に固定可能に構成されているとともに、前側開閉パネル16Aの前縁部には、パネル縁部を下方へ折り曲げた垂下片16dが形成されている。
【0025】
さらに、前側開閉パネル16Aを水平な姿勢にして筐体本体10Aの上端に接合させる際に、筐体本体10Aの側面パネル(側板)10a,10bの前端を折り返すように曲げて形成した骨格体10kまたは10m(
図5(B),(C)参照)の上端部と干渉しないようにするため、前側開閉パネル16Aの前縁部の垂下片16dの両端には、切欠き16eが設けられている。筐体の前面扉11は、操作部兼制御盤15が設けられていることもあって比較的重量が重いため、扉を開けた際に扉のヒンジを介して側板に荷重が作用して変形しようとするが、前側開閉パネル16Aの上記切欠き16eを側面パネル(側板)10a,10bの前端の骨格体に係合させることで、荷重を支えて筐体の変形を防止することができる。
【0026】
また、上記上面パネル16の後側固定パネル16Bには、配管12を挿通するための円形の開口16cが形成されている。
図2に示す実施例では、円形の開口16cが後側固定パネル16Bの左右方向中央に形成されているが、円形の開口16cの形成位置は任意である。また、図示しないが、後側固定パネル16Bには、前記電磁弁や操作部兼制御盤15に対して給電するための配線(ケーブル)を挿通するための開口(穴)が別途形成されていても良い。円形の開口16c等に対する配管12や配線の挿通は、消火剤容器(ボンベ)を筐体内に設置する前に実施される。なお、円形の開口16cは円に限定されるものではなく、少なくとも配管12が挿通できる大きさの開口であれば、開口形状については任意の形状でもよい。
【0027】
従来の消火剤容器収納用の筐体装置においては、筐体の上面パネル(天板)が解放可能にして作業領域を大きくするという考えは全くなく、低コスト化および強度確保の観点から折り曲げ加工と溶接で上面パネルは筐体本体と一体に形成されていた。これに対し、上記実施例の筐体装置10は、上述したように、上面パネル(天板)の前側パネル(16A)を解放可能に構成されているため、このパネルを解放することで筐体の上部の作業領域を拡張することができ、それによって連結金具のナットを大型の工具(トルクレンチ)で回転させる際の作業性を大幅に向上させることができるようになるという利点がある。
また、上面パネルを解放可能に構成することで、作業空間を確保し易くなるので、筐体全体を小型化することが可能になるという利点もある。
【0028】
なお、前側開閉パネル16Aの前縁部の垂下片16dの代わりに、前側開閉パネル16Aの前縁部を内側に折り返すように曲げて角柱状に形成することで剛性を高めた骨格体を設けるようにしても良い。
また、垂下片16dにスリットを形成するとともに、前面扉11の上部内面の対応する部位に上記スリットに挿入可能な係止片を設けて、前面扉11を閉じると係止片がスリットに進入して前側開閉パネル16Aを上方へ回動させることができないように構成してもよい。このような構成は、例えば前面扉11にシリンダ錠を設けてキーを保有する管理者以外の者が前面扉11を開けることができないようにした筐体装置に適用すると効果的である。また、前面扉11にシリンダ錠を設けることで、消火剤容器を収納した筐体装置を、消防関係者以外の者も立ち入ることができるエリアに設置した場合に、いたずらを防止することができるという利点がある。
【0029】
図3には、筐体の上面パネル(天板)16を解放可能にするための第2の実施例の詳細が示されている。
本実施例においても、
図2の第1の実施例と同様に、筐体の上面パネル16が前側開閉パネル16Aと後側固定パネル16Bとに分割され、後側固定パネル16Bは筐体本体10Aの上端に固着されているが、蝶番がなく、前側開閉パネル16Aを前後方向へスライドさせることで、筐体の上部を開放したり閉塞したりするように構成されている。そして、前側開閉パネル16Aは閉塞した後に例えば4本のネジ18によって筐体本体10Aの上部に固定される。他の構成は、第1の実施例と同じで良い。
【0030】
本実施例の筐体装置10においても、上面パネル(天板)16の前側開閉パネル16Aが前後方向スライド可能に構成されているため、ネジ18を外してから前側開閉パネル16Aを前方へ移動させて上面パネル16の一部を解放することで筐体の上部の作業領域を拡張することができ、それによって連結金具のナットを大型の工具(トルクレンチ)で回転させる際の作業性を大幅に向上させることができる。
【0031】
図4には、前記第1実施例の筐体装置の変形例が示されている。
本変形例は、
図2の第1の実施例における筐体の前側開閉パネル16Aの垂下片16dをさらに下方へ延長するとともに、垂下片16dに切欠きを設けずに、垂下片16dの両側縁部を筐体の側板10aの前端面に接合させるように構成したものである。なお、本変形例においても、前側開閉パネル16Aは、閉塞した後にネジによって筐体本体10Aの上部に固定される。
【0032】
また、本変形例においては、
図5(A)に示すように、筐体の側板10aの前端上部の角部にスリット10gが形成されるとともに、前側開閉パネル16Aの対応する部位すなわち水平部と垂下片16dとの境である折曲箇所の両端部に、上記スリット10gに進入可能な係止片16hが形成されている。これにより、前側開閉パネル16Aを閉塞すると係止片16hがスリット10gに進入することによって、筐体の側板10aが横からの荷重を受けた際に、前側開閉パネル16Aの持つ剛性で側板10aが内側へ撓むのを防止できるように構成されている。
【0033】
さらに、
図4におけるB-B線に沿った断面を示す
図5(B)に示されているように、前側開閉パネル16Aの側縁部と側板10aの上端縁部には、内側に折り返すように折曲されることで剛性を高めた骨格体16j,10kが形成されている。骨格体16jと10kの形状は、図面と逆であっても良いし、両方とも同じ形状(骨格体16jのような角柱または骨格体10kのような折返し構造の折曲部)であってもよい。
また、
図4におけるC-C線に沿った断面を示す
図5(C)に示されているように、側板10aの前端縁部と前面扉11の両側縁部には、内側に折曲されることで剛性を高めた骨格体10m,11aが形成されている。
【0034】
本変形例の筐体装置10においても、上面パネル(天板)の前側開閉パネル16Aが蝶番17A,17Bによって上下方向回動可能に構成されているため、前側開閉パネル16Aを上方へ回動させて上面パネルの一部を解放することで筐体の上部の作業領域を拡張することができ、それによって連結金具のナットを大型の工具(トルクレンチ)で回転させる際の作業性を大幅に向上させることができる。
【0035】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、上面パネル(天板)の一部を解放可能に構成したものを説明したが、連結金具が縦の姿勢で設けられていてナットを回転させる際に、大型の工具(トルクレンチ)を横方向に操作する必要がある筐体装置等においては、筐体の側板10aまたは10bの一部(上部)を解放可能に構成しても良い。前側開閉パネル16Aは、後端側に設けた蝶番17A,17Bにより回動可能にする代わりに、左右いずれかの側に設けた蝶番により回動可能に構成しても良い。
【0036】
また、前記実施形態では、配管12や配線を挿通する開口を天板となる上面パネルを構成する固定パネル部に設けているが、これらの開口(穴)は、筐体本体10Aの側面パネル(側板)10a,10bまたは後壁(背面パネル)に形成されていても良い。
さらに、前側開閉パネル16Aを上方へ回動させて上面パネル(天板)の一部を解放させて作業を行う際に前側開閉パネル16Aが閉じないようにするストッパを設けるようにしても良い。また、前側開閉パネル16Aを固定するネジ18としてローレットネジ(手回しネジ)を使用して固定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0037】
10 消火剤容器収納用の筐体装置
10a,10b 筐体の側板
11 前面扉
12 配管
14 音響部
15 表示部を含む操作部兼制御盤
16 上面パネル
16A 前側開閉パネル
16B 後側固定パネル
17A,17B 蝶番
18 ネジ
20 消火剤容器(ボンベ)