(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 9/02 20060101AFI20240227BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240227BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240227BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240227BHJP
【FI】
F21S9/02 140
F21S2/00 431
F21Y115:10
F21Y113:13
(21)【出願番号】P 2020063783
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】川越 真
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 麻由
(72)【発明者】
【氏名】加古 一行
(72)【発明者】
【氏名】新谷 祐介
(72)【発明者】
【氏名】今西 美音子
(72)【発明者】
【氏名】長岡 勉
(72)【発明者】
【氏名】井手 康弘
(72)【発明者】
【氏名】万本 敦
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 3/00
F21S 9/02
F21S 2/00
F21Y 115/10
F21Y 113/13
G09F 9/00
G09F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示をする第1表示部と、
前記第1表示部の投影面上に配置され、前記第1表示部とは異なる表示の表示パターンを有する第2表示部と、を有する表示装置において、
前記第2表示部が表示をしない場合
、前記第2表示部の表示パターンがある領域
の輝度とない領
域の輝度
との差
分は、前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度に対して40%以下
の割合の範囲内であ
り、
前記第1表示部の輝度をL1、前記第2表示部の表示パターンの輝度をL2、前記第2表示部の表示パターンの透過率をK、前記第1表示部の投影面上に前記第2表示部がない領域の輝度をR1、前記第1表示部の投影面上に前記第2表示部がある領域の輝度をR2とすると、
R1=L1
R2=K・L1+L2
L2>(1-K)L1
の関係を有する
ことを特徴とする表示装置
。
【請求項2】
表示をする第1表示部と、
前記第1表示部の投影面上に配置され、前記第1表示部とは異なる表示の表示パターンを有する第2表示部と、を有する表示装置において、
前記第2表示部が表示をしない場合、前記第2表示部の表示パターンがある領域の輝度とない領域の輝度との差分は、前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度に対して40%以下の割合の範囲内であり、
前記第1表示部の投影面上に前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度をR1、前記第1表示部の投影面上に前記第2表示部の表示パターンがある領域の輝度をR2とし、
前記第2表示部が表示をする際に前記第1表示部の輝度を下げた場合に、前記第1表示部の投影面上に前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度をR1’、前記第1表示部の投影面上に前記第2表示部の表示パターンがある領域の輝度をR2’とすると、
R2’/R1’-R2/R1≧0
の関係を有する
ことを特徴とす
る表示装置。
【請求項3】
表示をする第1表示部と、
前記第1表示部の投影面上に配置され、前記第1表示部とは異なる表示の表示パターンを有する第2表示部と、を有する表示装置において、
前記第2表示部が表示をしない場合、前記第2表示部の表示パターンがある領域の輝度とない領域の輝度との差分は、前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度に対して40%以下の割合の範囲内であり、
前記第1表示部は少なくとも2色から構成され、前記第2表示部の表示パターンは前記第1表示部とは異なる色で構成されており、
前記第2表示部が表示をした場合、前記第2表示部の表示パターンがある領域での前記第1表示部による2色の色差は、前記第2表示部の表示パターンがない領域での前記第1表示部による2色の色差よりも小さい
ことを特徴とす
る表示装置。
【請求項4】
表示をする第1表示部と、
前記第1表示部の投影面上に配置され、前記第1表示部とは異なる表示の表示パターンを有する第2表示部と、を有する表示装置において、
前記第2表示部が表示をしない場合、前記第2表示部の表示パターンがある領域の輝度とない領域の輝度との差分は、前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度に対して40%以下の割合の範囲内であり、
前記第2表示部の表示パターンが表示をする光色はJIL5502:2008に記載のある赤色であり、前記第2表示部が表示をした場合の前記第2表示部の表示パターンの前面側の光色は、前記第1表示部の表示内容によらず、JIL5502:2008に記載のある赤色の範囲内に収まる
ことを特徴とす
る表示装置。
【請求項5】
表示をする第1表示部と、
前記第1表示部の投影面上に配置され、前記第1表示部とは異なる表示の表示パターンを有する第2表示部と、を有する表示装置において、
前記第2表示部が表示をしない場合、前記第2表示部の表示パターンがある領域の輝度とない領域の輝度との差分は、前記第2表示部の表示パターンがない領域の輝度に対して40%以下の割合の範囲内であり、
前記第2表示部で表示する光色はJIS Z 8110:1995に記載のあるいずれかの色であり、前記第2表示部が表示をした場合の前記第2表示部の表示パターンの前面側の光色は、前記第1表示部の表示内容によらず、前記第2表示部の表示パターンと同色の色味範囲内に収まる
ことを特徴とす
る表示装置。
【請求項6】
前記第2表示部が表示をする色は、赤、黄赤、赤紫またはピンクのいずれかである
ことを特徴とする請求項
5記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2表示部は、前記第1表示部に対して前方に離隔して配置される
ことを特徴とする請求項1ないし
6いずれか一記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、異なる表示をする表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば誘導灯等の表示装置では、常時表示をする第1表示部の背面側に、異なる表示をする第2表示部を配置し、第2表示部の表示が第1表示部を透過して表示するように構成されたものがある。
【0003】
このような表示装置では、第1表示部と第2表示部を重ねて表示をする場合、第1表示部または第2表示部の視認性がよくないことがあり、視認性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、視認性を向上できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の表示装置は、表示をする第1表示部と、第1表示部の投影面上に配置され、第1表示部とは異なる表示の表示パターンを有する第2表示部とを備える。第2表示部が表示をしない場合、第2表示部の表示パターンがある領域の輝度とない領域の輝度との差分は、第2表示部の表示パターンがない領域の輝度に対して40%以下の割合の範囲内である。第1表示部の輝度をL1、第2表示部の表示パターンの輝度をL2、第2表示部の表示パターンの透過率をK、第1表示部の投影面上に第2表示部がない領域の輝度をR1、第1表示部の投影面上に第2表示部がある領域の輝度をR2とすると、
R1=L1
R2=K・L1+L2
L2>(1-K)L1
の関係を有する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の表示装置によれば、視認性が向上することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態を示す表示装置の第2表示部が表示をしない場合の正面図である。
【
図2】同上表示装置の第2表示部が表示をした場合の正面図である。
【
図5】同上表示装置を用いた表示システムの説明図である。
【
図6】同上表示装置の第1表示部および第2表示部の色の関係を説明する色度図である。
【
図7】JIL5502:2008に記載の色度図である。
【
図8】JIS Z 8110:1995に記載の色度図である。
【
図9】第2の実施形態を示す斜視図であり、(a)は通常時、(b)は進入禁止の表示時である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、
図1ないし
図8を参照して説明する。
【0010】
図1ないし
図4に表示装置10を示す。表示装置10は、避難経路を誘導する誘導灯である。
【0011】
表示装置10は、本体11、この本体11に設けられた第1表示ユニット12および第2表示ユニット13等を備えている。
【0012】
本体11は、非常口等の避難経路に対応して天井面や壁面に設置される。本体11の前面側を表示面側とし、この本体11の表示面側は第1表示ユニット12が配置されるように開口されている。
【0013】
本体11内には、バッテリ20および電源ユニット21が収容されている。バッテリ20は、充放電可能な二次電池が用いられている。電源ユニット21は、商用交流電源等の外部電源からの電力を所定の電力に変換する電力変換部、バッテリ20を充放電する充放電部、上位機と相互に通信する通信部、および表示装置10を制御する制御部等を備えている。そして、電源ユニット21は、商用交流電源等の外部電源からの電力が入力する通常時に、その電力を所定の点灯用電力に変換して第1表示ユニット12に供給するとともに上位機からの制御に応じて第2表示ユニット13に供給し、かつ、バッテリ20を充電する。また、電源ユニット21は、外部電源の停電時に、バッテリ20からの電力を所定の点灯用電力に変換して第1表示ユニット12に供給するとともに上位機からの制御に応じて第2表示ユニット13に供給する。
【0014】
また、第1表示ユニット12は、本体11の表示面側に配置されている。第1表示ユニット12は、第1光源部31、本体11の表示面側に配置される第1導光板32、およびこの第1導光板32の前面側に配置され第1表示パターン34が設けられた第1表示部30としての第1表示板33を有している。
【0015】
第1導光板32は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する合成樹脂により四角形板状に形成されている。第1導光板32は、第1光源部31に対向する上部側の端面に光が入射する入射面を有し、前面側の一主面に入射面から入射した光が出射する出射面を有する。なお、第1導光板32には、出射面に対向する反対側の面に、入射面から入射した光が出射面から出射するように配光手段を設けてもよい。配光手段としては、光透過制御材(白色顔料)の入ったインクが規則的に印刷されたドット印刷、出射面に対向する面に複数の凹凸を設けるプリズムカット形状またはドット加工、出射面に対向する面を研磨して微細な凹凸を設ける粗面加工等が含まれる。
【0016】
第1表示部30としての第1表示板33は、光透過性を有する合成樹脂により四角形のシート状に形成されている。第1表示板33には、誘導を示す絵柄、文字、矢印等のピクトグラムを含む第1表示パターン34が形成された領域と、第1表示パターン34が形成されていない他の領域とで構成されている。なお、
図1ないし
図3には、説明を簡単にするために第1表示パターン34を簡略化して四角形状で示すが、実際には誘導灯として誘導を示す絵柄等が表示される。第1表示パターン34は、緑色のインクにより、例えばシルクスクリーン印刷やインクジェット印刷等の印刷により形成されている。また、第1表示板33の第1表示パターン34以外の領域は、白色のインクにより、例えばシルクスクリーン印刷やインクジェット印刷等の印刷により形成されている。そして、第1導光板32から第1表示板33に光が出射され、第1表示パターン34は緑色に表示され、第1表示パターン34がない領域は白色で表示される。したがって、第1表示部30は、第1表示パターン34がある緑の領域と、第1表示パターン34がない白の領域の2色の領域を有している。なお、第1表示板33は第1導光板32と一体に形成されていてもよく、第1導光板32の前面側に第1表示パターン34を形成してもよい。
【0017】
第1光源部31は、基板35、およびこの基板35に実装されたLED素子等の発光素子36を有する発光モジュールにより構成されており、例えば白色光を放射する。発光素子36は、第1導光板32の入射面に対向され、光を入射面から第1導光板32内に放射する。そして、第1光源部31は外部電源またはバッテリ20の電力により常時点灯され、第1表示部30を常時表示させる。
【0018】
また、第2表示ユニット13は、本体11の表示面側に配置されており、本体11に配置されている第1表示ユニット12のさらに前面側に配置されている。第2表示ユニット13は、第2表示部40、赤色光を放射する第2光源部41、これら第2表示部40および第2光源部41を備えて本体11に取り付けられる取付枠42を備えている。
【0019】
第2表示部40は、本体11に配置されている第1表示部30の前面側に対向して配置される。すなわち、第2表示部40は、第1表示部30の投影面上に配置され、第1表示部30から出射される光が通過するように構成される。また、第2表示部40は、第1表示部30に対して前方に離隔して配置されている。
【0020】
第2表示部40は、第1表示部30の前面側に配置される第2導光板43により形成されている。第2導光板43は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の無色透明で光透過性を有する合成樹脂により四角形板状に形成されている。第2導光板43は、第2光源部41に対向する上部側の端面に光が入射する入射面を有し、入射面に入射した光は下部側の端面に向かって導光する。
【0021】
第2導光板43の背面側には、進入禁止を示す絵柄、文字等のピクトグラムを含む表示パターンとしての第2表示パターン44が形成されている。第2表示パターン44は、例えば、白色のシルクスクリーン印刷やインクジェット印刷等の印刷や凹凸加工等により×パターン形状に形成されている。そして、第2導光板43内を導光した光が第2表示パターン44で乱反射し、第2表示部40の前面側に出射する。これによって、第2光源部41から照射された赤色光は、第2表示パターン44が形成された領域の前方に向かって放射され、第2表示部40は、赤色光で第2表示パターン44の形状で表示する。このため、第2表示部40による表示は、第1表示部30とは色および形状が異なる。第2表示部40の第2表示パターン44が設けられた領域は所定の透過率を有しており、第2表示パターン44がない領域は第2表示パターン44が設けられた領域よりも高い透過率となっている。このため、第1表示部30の前面側から放射された光は第2表示パターン44が設けられた領域では所定の透過率で減衰し、その他の領域では第2導光板43が無色透明の場合にはほぼそのまま透過する。
【0022】
第2光源部41は、基板45、およびこの基板45に実装されたLED素子等の発光素子46を有する発光モジュールにより構成され、赤色光を放射する。発光素子46は、第2導光板43の入射面に対向され、光を入射面から第2導光板43に入射する。
【0023】
取付枠42は、前後に開口する枠状に形成され、開口内に第2表示部40を形成した第2導光板43を保持し、上部側に第2光源部41を保持している。取付枠42は、本体11の前面側から取り付けられ、ねじ等で一体的に固定されている。
【0024】
なお、表示装置10は、前面側の片面のみを表示面側とする片面表示タイプであるが、前面側と反対側の両面を表示面側とする両面表示タイプであってもよい。
【0025】
次に、
図5に表示装置10を用いた表示システム50を示す。
【0026】
表示システム50は、建物51において火災発生時等の避難誘導に用いられる。建物51は、複数階建てで、複数の異なる位置に階段52,53が設置されている。2階以上のフロアには、各階段52,53に対応して避難経路を表示する表示装置10がそれぞれ設置されている。また、各階のフロアに複数の火災感知器54が設置されている(なお、火災感知器54は1階のみ図示する)。
【0027】
表示装置10および火災感知器54は、中継器55を介して上位機である自動火災報知機56に対して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
そして、表示装置10は、
図1に示すように、第1表示部30が常時表示をし、避難経路を表示する。第2表示部40は、自動火災報知機56から進入禁止信号(避難誘導停止信号)が入力していない場合には、表示をしない。
【0029】
また、例えば、1つの階段52の出口付近の火災感知器54で火災を感知し、その火災感知器54からの感知情報を自動火災報知機56が取得すると、自動火災報知機56から階段52に対応して上層階に設置されている表示装置10に対して進入禁止信号を送信する。
【0030】
表示装置10は、自動火災報知機56から進入禁止信号を受信すると、
図2に示すように、第2表示部40を表示し、つまり進入禁止を表示する。これにより、避難者は、表示装置10の第2表示部40の表示を確認し、階段52ではなく他の階段53に向かって避難することが可能となる。
【0031】
そして、
図1および
図2に示すように、表示装置10の前面側である表示面側には、第1表示部30の投影面上に第2表示部40が配置され、さらに第2表示部40が表示をしない場合と表示をする場合とが生じる。
【0032】
表示装置10の表示面側には、第1表示部30の第1表示パターン34がない白色の投影面上に第2表示パターン44がない領域A1、第1表示部30の第1表示パターン34がない白色の投影面上に第2表示パターン44がある領域A2、第1表示部30の第1表示パターン34がある緑色の投影面上に第2表示パターン44がない領域A3、第1表示部30の第1表示パターン34がある緑色の投影面上に第2表示パターン44がある領域A4の4つの領域が形成される。
【0033】
このように第1表示部30と第2表示パターン44とが重なる領域A2,A4が生じるため、第1表示部30と第2表示パターン44の関係は、
図1のように第2表示部40が表示をしない場合、第1表示部30の視認性が確保されるように設定することが好ましく、また、
図2のように第2表示部40が表示をする場合、第2表示パターン44の視認性が高くなるように設定することが好ましい。
【0034】
図1のように第2表示部40が表示をしない場合、第1表示部30の視認性を確保するためには、第2表示パターン44がある領域とない領域との輝度差が40%以下になるように設定する。すなわち、領域A2と領域A1との輝度差、領域A4と領域A3との輝度差がそれぞれ40%以下になるように設定する。
【0035】
この場合、第2表示部40の光の透過率が60%以上になるように設定すればよい。より具体的には、第2表示パターン44は第2導光板43に例えばシルクスクリーン印刷により形成されているが、この印刷層の光の透過率が60%以上になるように設定すればよい。
【0036】
第2表示パターン44がある領域とない領域との輝度差が40%よりも大きいと、つまり第2表示部40の光の透過率が60%よりも小さいと、第2表示部40が表示をしない場合でも、第1表示部30上に第2表示パターン44が影となって表れ、第1表示部30の視認性が低下することがある。
【0037】
このように、第2表示パターン44がある領域とない領域との輝度差が40%以下に設定されることにより、
図1のように第2表示部40が表示をしない場合、第2表示パターン44により第1表示部30の視認性を阻害するのを低減し、第1表示部30の視認性を向上させることができる。
【0038】
また、
図2のように第2表示部40が表示をする場合、表示している第1表示部30に対して第2表示パターン44の視認性が高くなるように、第2表示パターン44の輝度が設定される。
【0039】
第1表示部30の輝度をL1、第2表示パターン44の輝度をL2、第2表示パターン44の透過率をK、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がない領域(A1またはA3)の輝度をR1、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がある領域(A2またはA4)の輝度をR2とすると、次の関係を有する。
【0040】
R1=L1
R2=K・L1+L2
L2>(1-K)L1
【0041】
この場合、第2光源部41により第2表示パターン44の輝度L2を設定すればよい。
【0042】
このように、第1表示部30が表示し、第2表示部40も表示をする場合、R1<R2の関係にあって、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がない領域(A1またはA3)の輝度R1よりも、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がある領域(A2またはA4)の輝度R2が高く、第2表示パターン44の視認性を向上させることができる。
【0043】
仮に、第1表示部30が表示し、第2表示部40も表示をする場合、R1>R2の関係にあって、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がない領域(A1またはA3)の輝度R1よりも、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がある領域(A2またはA4)の輝度R2が低いと、第1表示部30の方が目立ちやすく、第2表示部40の視認性が低下しやすい。
【0044】
なお、第1表示部30が表示し、第2表示部40が表示をしない場合は、R1>R2の関係となる。
【0045】
また、第2表示部40が表示をする場合、第1表示部30の輝度を下げるように制御してもよい。
【0046】
第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げない場合に、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がない領域(A1またはA3)の輝度をR1、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がある領域(A2またはA4)の輝度をR2とし、一方、第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げた場合に、第1表示部30の投影面上に第2表示パターン44がない領域(A1またはA3)の輝度をR1’、前記第1表示部の投影面上に前記第2表示パターン44がある領域(A2またはA4)の輝度をR2’とすると、次の関係を有する。
【0047】
R2’/R1’-R2/R1≧0
【0048】
輝度比R2/R1、およびR2’/R1’は大きい方が、第2表示部40が表示をした場合に視認性が向上する。
【0049】
第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げた場合の輝度比(R2’/R1’)は、第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げない場合の輝度比(R2/R1)と少なくとも同じか大きいことにより、第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げた場合、第2表示パターン44の視認性をより向上させることができる。
【0050】
なお、第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げた場合には、第1表示部30の輝度が0で、第1表示部30が表示をしない場合も含まれる。この場合、上記関係は、R2’/R1’-R2/R1 >>0となる。
【0051】
R1=L1、R2=K・L1+L2であるため、L1’=0の場合は、
R1’=L1’=0、
R2’=K・L1’+L2=L2、
R2’/R1’=L2/0
と非常に大きくなり、第2表示パターン44の視認性が高まる。
【0052】
また、第1表示部30は2色から構成され、第2表示パターン44は第1表示部30とは異なる色で構成されている場合、第2表示部40が表示をした場合に、2色の第1表示部30による影響を小さくして、第2表示パターン44の視認性が高くなるように設定すればよい。
【0053】
この場合、第2表示部40が表示をした場合、第2表示パターン44の表示がある領域(A2,A4)での2色の第1表示部30による色差(領域A2の色と領域A4との色の色差)は、第2表示パターン44の表示がない領域(A1,A3)での2色の第1表示部30による色差(領域A1の色と領域A3との色の色差)よりも小さい関係に設定する。
【0054】
これは、第2表示部40が表示をした場合、第2表示部40の色の設定により、2色の第1表示部30とも第2表示パターン44の色に近付けることにより実現可能となる。
【0055】
図6に色度図を示す。第1表示部30は、緑Gと白Wの2色で、色差Δ1を有する。第2表示パターン44は赤Rの色である。第2表示部40が表示をした場合、領域A4はG+Rの色となり、領域A2はW+Rの色となり、色差はΔ2となる。したがって、第2表示部40が表示をした場合、第2表示部40の表示がある領域(A2,A4)での2色の第1表示部30による色差(領域A2の色と領域A4との色の色差)は、第2表示部40の表示がない領域(A1,A3)での2色の第1表示部30による色差(領域A1の色と領域A3との色の色差)よりも小さくなる。なお、
図6のBは黒体放射軌跡である。
【0056】
このような関係に設定することにより、第2表示部40が表示をした場合でも、2色の第1表示部30の表示による影響を小さくし、第2表示部40の視認性を向上させることができる。
【0057】
また、第2表示部40が表示をする色は、
図7の色度図に示すようにJIL5502:2008に記載の赤色の範囲内にある。そして、第2表示部40が表示をした場合の第2表示パターン44の前面側に出射される光色は、第1表示部30の表示内容によらず、JIL5502:2008に記載のある赤色の範囲内に収まる関係となる。
【0058】
このように、第2表示部40が表示をする色がJIL5502:2008に記載の赤色の範囲内にあると、第2表示部40が表示をした場合に、緑色の第1表示部30に第2表示パターン44の表示がある領域A4でも色が赤色の範囲内に収まり、第2表示パターン44の視認性を向上させることができる。
【0059】
また、第2表示パターン44で表示する色は、
図8の色度図に示すようにJIS Z 8110:1995に記載のあるいずれかの色であり、第2表示部40が表示をした場合の第2表示パターン44の前面側に出射される光色は、第1表示部30の表示内容によらず、第2表示部40と同色の色味範囲内に収まる関係にある。
【0060】
この場合、第2表示パターン44が表示をする色は、赤、黄赤、赤紫またはピンクのいずれかであることが好ましい。さらに、第2表示部40が表示をする色は、赤と白との間の範囲にあることが好ましく、その間の範囲内では、赤、ピンク、うすいピンク、黄赤または赤紫の順に好ましい色となる。これらの色であれば、第2表示部40が表示をした場合、第1表示部30の表示内容によらず、第2表示パターン44の表示がある領域(A2,A4)から前面側に出射される光色を第2表示部40と同色の色味範囲内に収めることが可能となる。
【0061】
これにより、第1表示部30の光色と第2表示パターン44の光色との混色光が、第2表示パターン44の光の色味とは異なる光色となるのを防止し、第2表示パターン44と同色の色味範囲内に収まるようにする。
【0062】
このような関係にあることにより、第2表示部40が表示をした場合でも、第1表示部30の表示による影響を小さくし、第2表示部40の視認性を向上させることができる。
【0063】
また、第2表示部40は、第1表示部30に対して前方に離隔して配置されているため、発光素子36からの第2表示部40への光入射と、発光素子46からの第1表示部30への光入射とのそれぞれを抑制することが可能となる。さらに、第2表示部40の厚さを維持したまま、第2表示パターン44を第1表示パターン34よりもさらに前方で表示することが可能となるため、第2表示パターン44を表示するときにより強調した表示を行うことが可能となる。
【0064】
次に、
図9に第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と共通する点は説明を略する。
【0065】
本体11の表示面側に対して第2表示ユニット13が上下に回動可能に設けられ、例えばモータやソレノイド等の電気的駆動手段を用いて第2表示ユニット13を回動させるよう構成されている。
【0066】
そして、通常時には、第2表示ユニット13を上方に回動させた位置で保持し、第1表示部30を露出させ、第2表示部40が視認されないようにする。図示例では、第1表示部30の表示面に設けられた誘導を表す絵柄のピクトグラムが露出して視認される。
【0067】
表示装置10に自動火災報知機56から進入禁止信号が入力した際に、電気的駆動手段にて第2表示ユニット13を下方に回動させ、第1表示部30の投影面上に第2表示部40を配置し、第2表示部30の表示面に表示された「×」印により進入禁止を表示する。
【0068】
次に、
図10に第3の実施形態を示す。なお、第1の実施形態、第2の実施形態と共通する点は説明を略する。
【0069】
本体11が天井板60の下面側に設置され、第2表示ユニット13が本体11の表示面側に対して天井板60に設けられた挿通孔61を通じて上下動可能に設けられ、例えばモータ等の電気的駆動部により移動するように構成されている。
【0070】
そして、通常時には、第2表示ユニット13を上方の天井板60上に移動させた位置で保持し、第1表示部30を露出させ、第2表示部40が視認されないようにする。
【0071】
表示装置10に自動火災報知機56から進入禁止信号が入力した際に、電気的駆動手段にて第2表示ユニット13を下方に移動させ、第1表示部30の投影面上に第2表示部40を配置し、進入禁止を表示する。
【0072】
なお、第2表示部40が表示をする際に第1表示部30の輝度を下げることを記載したが、火災等の所定の状態が建物51で発生した場合、第2表示部40が表示をしない表示装置にあっては火災等の所定の状態が建物51で発生する前と比較して第1表示部30の輝度を上げるようにしてもよい。この際、自動火災報知機56は火災感知器54の検出結果に基づいて火災を検知した場合、火災の発生場所に基づいて、第2表示部40で表示を行わせる表示装置10への進入禁止信号を送信することに加え、第2表示部40で表示を行わせない表示装置10へ第1表示部30の輝度を上げるように制御する進入許可信号の送信を行う。
【0073】
また、自動火災報知機56は火災感知器54での火災発生場所の特定に加えて、火災時に操作されることにより火災の発生を自動火災報知機56に送信する発信機等の適宜の機器により火災発生場所の特定を行い、当該火災発生場所に応じて表示装置10に信号を送信するようにしてもよい。
【0074】
このような構成とすることで、安全な避難経路か否かを避難者に対してより強調して表示することが可能となる。
【0075】
なお、表示装置は、誘導灯に限らず、例えばゲート等での人や車両の進入可、進入禁止を表示する表示装置等にも適用できる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
10 表示装置
30 第1表示部
40 第2表示部
44 表示パターンとしての第2表示パターン
A1~A4 領域