(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】充填包装装置の充填シュート
(51)【国際特許分類】
B65B 1/16 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
B65B1/16
(21)【出願番号】P 2020066344
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】596092595
【氏名又は名称】三光機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】府野 智弘
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-002619(JP,A)
【文献】特開平11-079101(JP,A)
【文献】特開平06-247402(JP,A)
【文献】中国実用新案第202686781(CN,U)
【文献】特開2020-045126(JP,A)
【文献】特開平11-111601(JP,A)
【文献】特開2001-120981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反状の包装フィルムを誘導して包装袋にフォーミングして前記包装袋の内側に粉末を充填する充填包装装置の充填シュートであって、
落下供給された前記粉末を受け取る漏斗状の投入部と、
前記投入部に接続して前記粉末を前記包装袋の内側に誘導する筒状のパイプ部と、
前記パイプ部の所定の位置において斜上方に分岐する分岐排気部と
、
前記分岐排気部に接続して前記パイプ部の内側を吸引する吸引部と、
前記パイプ部の下端を開閉する開閉部と
を具備
し、
前記吸引部は、前記粉末が前記投入部に落下してくるタイミングで吸引を開始して、前記粉末が前記分岐排気部に至る直前のタイミングで吸引を停止し、
前記開閉部は、前記粉末が前記投入部に落下してくるタイミングで閉動作を行い、前記粉末が前記分岐排気部に至る直前のタイミングで開動作を行う
充填包装装置の充填シュート。
【請求項2】
反状の包装フィルムを誘導して包装袋にフォーミングして前記包装袋の内側に粉末を充填する充填包装装置の充填シュートであって、
落下供給された前記粉末を受け取る漏斗状の投入部と、
前記投入部に接続して前記粉末を前記包装袋の内側に誘導する筒状のパイプ部と、
前記パイプ部の所定の位置において斜上方に分岐する分岐排気部と
、
前記分岐排気部に接続して前記パイプ部の内側を吸引する吸引部と、
前記パイプ部の下端を開閉する開閉部と、
前記パイプ部の内部において前記粉末を検知して前記粉末が分岐排気部に至る直前のタイミングを検出する粉末検知センサと
を具備する充填包装装置の充填シュート。
【請求項3】
前記開閉部は、
前記パイプ部の下端に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、
前記蓋部材を開閉させるワイヤ部材とを備える
請求項
1または2に記載の充填包装装置の充填シュート。
【請求項4】
前記開閉部は、
前記パイプ部の下端に接続された弾性のあるチューブ部材と、
前記包装フィルムとともに前記チューブ部材を側方から挟み込む一対の挟込部材とを備える
請求項
1または2に記載の充填包装装置の充填シュート。
【請求項5】
前記吸引部は、
前記分岐排気部に接続された吸引装置と、
排気された空気に含まれた前記粉末を分離する分離装置とを備える
請求項
1から4のいずれかに記載の充填包装装置の充填シュート。
【請求項6】
前記吸引部の吸引のタイミングの時間調整の設定入力を受け付ける吸引タイミング設定受付部をさらに具備し、
前記吸引部は、前記吸引タイミング設定受付部によって受け付けられた前記設定
入力に従って吸引の開始または停止の時間を調整する
請求項
1から5のいずれかに記載の充填包装装置の充填シュート。
【請求項7】
前記開閉部の開閉動作のタイミングの時間調整の設定入力を受け付ける開閉タイミング設定受付部をさらに具備し、
前記開閉部は、前記開閉タイミング設定受付部によって受け付けられた前記設定
入力に従って前記パイプ部の下端の開閉の時間を調整する
請求項
1から6のいずれかに記載の充填包装装置の充填シュート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填包装装置に関し、特に、包装袋内に粉末を充填する充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填包装装置によって包装袋内に粉末を充填する方法として、袋状に形成された包装フィルム内に対して、挿入された充填シュートと呼ばれるパイプ状の部材を通して、計量された粉末を落下供給する技術が知られている。この技術において、粉末が包装袋の底に落下して、粉末の舞い上がりが落ち着くまでの時間と、包装フィルムを製袋する時間を合わせた時間が1袋当たりのタクトタイムである。製袋は粉末を落下供給している間に平行して行われ、粉末が落下する時間の半分程度で実行可能であるため、1袋当たりのタクトタイムは実質として粉末の落下時間と粉末の舞い上がりが落ち着くまでの時間となる。
【0003】
充填シュートを用いて粉末を落下供給する場合、粉末の落下経路と充填シュート内の空気の排気経路が同一であるため、上方へ排気される空気と衝突することで粉末の自由落下の速度が減衰する。また、空気との衝突で充填シュート内の粉末が拡散して舞い上がってしまう。そのため、例えば液体や固体を充填する場合と比べて2倍以上のタクトタイムとなっていた。これは粒当たりの自重が軽い粉末の場合には特に顕著である。そこで、例えば、充填シュート内の空気を排気するための排気孔を設けて、内部の空気を排気する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、排気孔を設けて充填シュート内の空気を排気していた。しかしながら、この従来技術では、排気経路分だけ落下経路の面積が少なくなるため、粉末の落下速度が十分ではないという問題があった。また、例えばスティックシュガー等のように、包装袋が細く充填シュートの管径を太くできない場合には、上述の従来技術を適用することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みて案出されたものであり、充填シュートを用いて粉末を落下供給する場合に、粉末の落下時間の短縮により1袋当たりのタクトタイムの短縮を図り、生産効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、反状の包装フィルムを誘導して包装袋にフォーミングして上記包装袋の内側に粉末を充填する充填包装装置の充填シュートであって、落下供給された上記粉末を受け取る漏斗状の投入部と、上記投入部に接続して上記粉末を上記包装袋の内側に誘導する筒状のパイプ部と、上記パイプ部の所定の位置において斜上方に分岐する分岐排気部とを具備する充填包装装置の充填シュートである。これにより、粉末をパイプ部から包装袋に誘導する際の排気を促進するという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記分岐排気部に接続して上記パイプ部の内側を吸引する吸引部と、上記パイプ部の下端を開閉する開閉部とをさらに具備してもよい。これにより、粉末をパイプ部から包装袋に誘導する際の速度を向上させるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記吸引部は、上記粉末が上記投入部に落下してくるタイミングで吸引を開始して、上記粉末が上記分岐排気部に至る直前のタイミングで吸引を停止し、上記開閉部は、上記粉末が上記投入部に落下してくるタイミングで閉動作を行い、上記粉末が上記分岐排気部に至る直前のタイミングで開動作を行うようにしてもよい。
【0010】
また、この第1の側面において、上記開閉部は、上記パイプ部の下端に開閉可能に取り付けられた蓋部材と、上記蓋部材を開閉させるワイヤ部材とを備えるようにしてもよい。
【0011】
また、この第1の側面において、上記開閉部は、上記パイプ部の下端に接続された弾性のあるチューブ部材と、上記包装フィルムとともに上記チューブ部材を側方から挟み込む一対の挟込部材とを備えるようにしてもよい。
【0012】
また、この第1の側面において、上記吸引部は、上記分岐排気部に接続された吸引装置と、排気された空気に含まれた上記粉末を分離する分離装置とを備えるようにしてもよい。これにより、排気された空気に含まれた粉末を分離するという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記パイプ部の内部において上記粉末を検知して上記粉末が分岐排気部に至る直前のタイミングを検出する粉末検知センサをさらに具備してもよい。これにより、吸引部および開閉部における動作タイミングを生成するという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記吸引部の吸引のタイミングの時間調整の設定入力を受け付ける吸引タイミング設定受付部をさらに具備し、上記吸引部は、上記吸引タイミング設定受付部によって受け付けられた上記設定に従って吸引の開始または停止の時間を調整するようにしてもよい。これにより、吸引部による吸引タイミングを調整するという作用をもたらす。
【0015】
また、この第1の側面において、上記開閉部の開閉動作のタイミングの時間調整の設定入力を受け付ける開閉タイミング設定受付部をさらに具備し、上記開閉部は、上記開閉タイミング設定受付部によって受け付けられた上記設定に従って上記パイプ部の下端の開閉の時間を調整するようにしてもよい。これにより、開閉部による開閉タイミングを調整するという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本技術の実施の形態における充填包装装置1の外観例を示す図である。
【
図2】本技術の実施の形態における充填シュート4の第1の構成例を示す図である。
【
図3】本技術の実施の形態における充填シュート4の第1の構成例による動作例を示す第1の図である。
【
図4】本技術の実施の形態における充填シュート4の第1の構成例による動作例を示す第2の図である。
【
図5】本技術の実施の形態における充填シュート4の第1の構成例による動作例を示す第3の図である。
【
図6】本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例を示す図である。
【
図7】本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例による動作例を示す第1の図である。
【
図8】本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例による動作例を示す第2の図である。
【
図9】本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例による動作例を示す第3の図である。
【
図10】本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例による動作例を示す第4の図である。
【
図11】本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例による動作例を示す第5の図である。
【
図12】本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例を示す図である。
【
図13】本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例による動作例を示す第1の図である。
【
図14】本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例による動作例を示す第2の図である。
【
図15】本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例による動作例を示す第3の図である。
【
図16】本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例による動作例を示す第4の図である。
【
図17】本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例による動作例を示す第5の図である。
【
図18】本技術の実施の形態における充填シュート4のタイミング制御例を示す図である。
【
図19】本技術の実施の形態における充填シュート4の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本技術の実施の形態における充填包装装置1の外観例を示す図である。
【0018】
この充填包装装置1は、充填物を包装してその充填物を内包する包装袋を形成する装置である。この充填包装装置1は、貯留ホッパー2、計量装置3、充填シュート4、フォーマー5、縦シール装置6、横シール装置7、カッター装置8、製品搬出スベリ台9、および、制御装置10を備える。
【0019】
貯留ホッパー2は、包装対象となる材料(充填物)を収容し、貯留しておくためのホッパーである。この実施の形態では、充填物として、粉末を想定する。例えば、砂糖、青汁、ビタミン剤、スープなどの粉末状の食材が挙げられる。
【0020】
計量装置3は、貯留ホッパー2に貯留される材料を所定量ずつ計量して充填シュート4に投入する装置である。
【0021】
充填シュート4は、計量装置3から投入された材料を包装袋内に充填する機構である。この充填シュート4の詳細については図面を参照して後述する。
【0022】
フォーマー5は、包装袋の原材料となる包装フィルムを巻装するものである。縦シール装置6は、包装フィルムの重なった両端縁を縦シールするものである。この縦シール装置6は、送られて来る包装フィルムを略筒状にシール成形する。
【0023】
横シール装置7は、縦シール装置6の下方に設けられ、縦シール装置6によって略筒状に縦シールされた包装フィルムに横シールを行うものである。これによって、包装フィルム全体が上面開口型の包装袋にシール成形される。
【0024】
カッター装置8は、縦シール装置6の下方に設けられ、横シールの中央線部分を上下に両断するものである。製品搬出スベリ台9は、充填物が充填された包装袋を製品として搬出するためのものである。
【0025】
制御装置10は、操作入力を受け付けて充填包装装置1の全体動作を制御するコントローラである。
【0026】
なお、ここでは、いわゆる縦型自動充填包装機の例を示しているが、本発明は他の型の包装機にも広く適用可能である。
【0027】
図2は、本技術の実施の形態における充填シュート4の第1の構成例を示す図である。
【0028】
この充填シュート4の第1の構成例は、投入部411と、パイプ部412と、分岐排気部413と、ダストセパレータ414とを備える。
【0029】
計量装置3において計量された粉末充填物P1は、中間シュート31を介して充填シュート4の投入部411に投入される。投入部411は、落下供給された粉末充填物P1を受け取る漏斗状の部材である。
【0030】
投入部411に投入された粉末充填物P1は、パイプ部412に供給される。パイプ部412は、投入部411に接続して、粉末充填物P1を包装袋の内側に誘導する筒状の部材である。
【0031】
充填シュート4は、反状の包装フィルムF1を誘導して包装袋にフォーミングする。そして、縦シール装置6は、送られて来る包装フィルムF1を略筒状にシール成形する。パイプ部412に供給された粉末充填物P1は、包装袋の内側に充填される。
【0032】
分岐排気部413は、パイプ部412の上部から下部の中間位置において、斜上方に分岐する排気機構である。粉末充填物P1が充填シュート4に落下投入されたときに、粉末充填物P1が分岐排気部413に至るまでは、空気が分岐排気部413から排気される。そのため、粉末充填物P1と排出空気の衝突による粉末落下速度の減衰を抑制することができる。また、これにより、粉末の拡散を抑えることも可能となる。
【0033】
したがって、粉末充填物P1の落下時間と粉末充填物P1の舞い上がりが落ち着くまでの時間が減少するため、1袋当たりのタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0034】
粉末充填物P1の落下速度が低下するのは、粉末充填物P1が集中し、かつ、落下方向が変化する充填シュート4の漏斗状の窄まり部分である。したがって、この位置よりも下部に分岐排気部413が設けられていると、より効果的である。
【0035】
分岐排気部413の端部には、ダストセパレータ414が設けられる。ダストセパレータ414は、分岐排気部413により排気された空気に粉末充填物P1が含まれていた場合に、その粉末充填物P1を分離するフィルタである。分岐排気部413は、斜上方に分岐しているため、粉末充填物P1はダストセパレータ414側に侵入し難い構造になっているが、粉末の性質上、少量は空気中に含まれるおそれがある。そのため、このダストセパレータ414を設けることにより、粉末充填物P1が外気に排出されることを防ぐことができる。
【0036】
なお、ダストセパレータ414は、
図1における手前側に設置される。左右方向には他の充填シュート4の列が設けられ、奥側には反状の包装フィルムF1のための領域が必要だからである。
【0037】
図3乃至5は、本技術の実施の形態における充填シュート4の第1の構成例による動作例を示す図である。
【0038】
図3は、計量装置3において計量された粉末充填物P1が、中間シュート31を介して充填シュート4の投入部411に投入された際の状態を示している。粉末充填物P1の投入後、
図4に示すように、ダストセパレータ414が動作して、パイプ部412内の空気が排出される。その後、粉末充填物P1が包装袋に充填されると、
図5に示すように、ダストセパレータ414の動作が停止する。
【0039】
図6は、本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例を示す図である。
【0040】
この充填シュート4の第2の構成例は、上述の第1の構成例に加えて、バキューム装置420と、開閉蓋431とを備える。バキューム装置420は、分岐排気部413に接続して、パイプ部412の内側を吸引する装置である。このバキューム装置420としては、例えば、真空発生器を用いた気体吸引装置を利用することができる。開閉蓋431は、パイプ部412の下端に開閉可能に取り付けられた蓋である。なお、この開閉蓋431を開閉させるために、ワイヤ部材を備えてもよい。
【0041】
これにより、粉末充填物P1が充填シュート4に落下投入したときに、分岐排気部413から吸引を行い、充填シュート4の上端の投入部411から分岐排気部413にかけて粉末充填物P1の落下方向へ向かう気流を生じるため、この区間において粉末充填物P1の落下速度をさらに速めることが可能となる。
【0042】
吸引が行われている時に包装袋内が負圧となって萎まないようにするため、充填シュート4の下端の吐出口は開閉蓋431により閉じられる。粉末充填物P1が分岐排気部413に至る前に吸引を止めて開閉蓋431を開くことにより、粉末充填物P1は包装袋内に落下供給される。
【0043】
すなわち、バキューム装置420は、粉末充填物P1が投入部411に落下してくるタイミングで吸引を開始して、粉末充填物P1が分岐排気部413に至る直前のタイミングで吸引を停止する。また、開閉蓋431は、粉末充填物P1が投入部411に落下してくるタイミングで閉動作を行い、粉末充填物P1が分岐排気部413に至る直前のタイミングで開動作を行う。
【0044】
図7乃至11は、本技術の実施の形態における充填シュート4の第2の構成例による動作例を示す図である。
【0045】
充填シュート4に粉末充填物P1が投入される前は、
図7に示すように、バキューム装置420が吸引を行うとともに開閉蓋431は閉じられ、パイプ部412内の空気が排出される。この状態で、
図8に示すように、計量装置3において計量された粉末充填物P1が、中間シュート31を介して充填シュート4の投入部411に投入される。
【0046】
粉末充填物P1の投入が完了すると、
図9に示すように、バキューム装置420が吸引を行い、パイプ部412内の空気が排出される。そして、粉末充填物P1が分岐排気部413を通過する直前で、
図10に示すように、バキューム装置420は吸引を停止するとともに開閉蓋431は開かれる。粉末充填物P1は、そのまま慣性で高速に落下し、
図11に示すように、包装袋に充填される。
【0047】
図12は、本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例を示す図である。
【0048】
この充填シュート4の第3の構成例は、上述の第2の構成例の開閉蓋431に代えて、開閉チューブ432および開閉ローラー433を備える。開閉チューブ432は、パイプ部412の下端に接続された弾性のあるチューブ部材である。この開閉チューブ432としては、例えば、ゴムチューブやシリコンチューブなどが想定される。開閉ローラー433は、包装フィルムF1とともに開閉チューブ432を側方から挟み込む一対の挟込部材である。
【0049】
これにより、開閉蓋431と同様に、吸引が行われている時に包装袋内が負圧となって萎まないようにするため、充填シュート4の下端の吐出口が開閉ローラー433により閉じられる。粉末充填物P1が分岐排気部413に至る前に吸引を止めて開閉ローラー433を開くことにより、粉末充填物P1は包装袋内に落下供給される。
【0050】
図13乃至17は、本技術の実施の形態における充填シュート4の第3の構成例による動作例を示す図である。
【0051】
充填シュート4に粉末充填物P1が投入される前は、
図13に示すように、バキューム装置420が吸引を行うとともに開閉ローラー433は閉じられ、パイプ部412内の空気が排出される。この状態で、
図14に示すように、計量装置3において計量された粉末充填物P1が、中間シュート31を介して充填シュート4の投入部411に投入される。
【0052】
粉末充填物P1の投入が完了すると、
図15に示すように、バキューム装置420が吸引を行い、パイプ部412内の空気が排出される。そして、粉末充填物P1が分岐排気部413を通過する直前で、
図16に示すように、バキューム装置420は吸引を停止するとともに開閉ローラー433は開かれる。粉末充填物P1は、そのまま慣性で高速に落下し、
図17に示すように、包装袋に充填される。
【0053】
図18は、本技術の実施の形態における充填シュート4のタイミング制御例を示す図である。この例では、開閉蓋431または開閉チューブ432および開閉ローラー433を開閉部430として示している。
【0054】
上述の制御装置10は、吸引タイミング設定受付部12および開閉タイミング設定受付部13を備える。吸引タイミング設定受付部12は、バキューム装置420の吸引タイミングの設定を、パネル入力等を介して受け付けるものである。開閉タイミング設定受付部13は、開閉部430の開閉タイミングの設定を、パネル入力等を介して受け付けるものである。
【0055】
上述のように、バキューム装置420は、粉末充填物P1が投入部411に落下してくるタイミングで吸引を開始して、粉末充填物P1が分岐排気部413に至る直前のタイミングで吸引を停止する。また、開閉部430は、粉末充填物P1が投入部411に落下してくるタイミングで閉動作を行い、粉末充填物P1が分岐排気部413に至る直前のタイミングで開動作を行う。これを実現するために、事前にタイミング設計が行われる。
【0056】
ただし、実際には粉末充填物P1の性質など微妙なタイミングのズレが生じ得る。例えば、グラニュー糖は粒が大きく成型されていて舞い上がりが少ないため、挙動が比較的予測し易いが、きな粉や片栗粉は舞い上がりが生じやすいため、挙動が予測し難い。したがって、そのタイミングを充填包装装置1の設置後に調整できることが望ましい。
【0057】
そのため、吸引タイミング設定受付部12によって受け付けられた設定により、バキューム装置420の吸引タイミングの調整を行う。また、開閉タイミング設定受付部13によって受け付けられた設定により、開閉部430の開閉タイミングの調整を行う。これにより、充填包装装置1を設置した後から、吸引タイミングおよび開閉タイミングを調整することができる。
【0058】
また、粉末充填物P1の通過を検知する粉末検知センサを設けてもよい。すなわち、粉末検知センサによって、パイプ部の内部において粉末充填物P1を検知して、粉末充填物P1が分岐排気部413に至る直前のタイミングを検出する。これにより、粉末充填物P1が分岐排気部413に至る直前のタイミングでバキューム装置420の吸引を停止するとともに、開閉部430の開動作を行うことができる。
【0059】
図19は、本技術の実施の形態における充填シュート4の効果を示す図である。
【0060】
ここでは、充填シュート4による効果を検証するための実験結果の一例を示している。充填物としては5グラムのグラニュー糖を用いた。最上段の条件は、分岐排気部413およびバキューム装置420の何れも設けない場合であり、これを以下の比較基準としている。なお、この実験結果は何れも、開閉部430を設けない場合を想定している。この場合、充填物が投入されてから包装袋に落下するまで1090ミリ秒要している。これを、想定する包装袋の生産速度として表すと、分速55袋に相当する。
【0061】
第2段目の条件は、分岐排気部413を設ける一方で、バキューム装置420による吸引を行わない場合である。この場合、充填物の落下まで896.2ミリ秒要し、これは分速67袋に相当する。すなわち、分岐排気部413を設けない場合に比べて22%効率が向上している。
【0062】
第3段目の条件は、分岐排気部413を設けるとともに、バキューム装置420により0.1MPaの吸引を行う場合である。この場合、充填物の落下まで687.9ミリ秒要し、これは分速87袋に相当する。すなわち、分岐排気部413を設けず吸引も行わない場合に比べて58%効率が向上している。
【0063】
第4段目の条件は、分岐排気部413を設けるとともに、バキューム装置420により0.2MPaの吸引を行う場合である。この場合、充填物の落下まで521.3ミリ秒要し、これは分速115袋に相当する。すなわち、分岐排気部413を設けず吸引も行わない場合に比べて109%効率が向上している。
【0064】
第5段目の条件は、分岐排気部413を設けるとともに、バキューム装置420により0.3MPaの吸引を行う場合である。この場合、充填物の落下まで546.2ミリ秒要し、これは分速110袋に相当する。すなわち、分岐排気部413を設けず吸引も行わない場合に比べて100%効率が向上している。
【0065】
このように、本発明の実施の形態によれば、パイプ部412に分岐排気部413を設けることにより、充填物の落下時間を短縮することができる。また、さらにバキューム装置420および開閉部430を設けることにより、充填物の落下時間をさらに短縮することができる。
【0066】
なお、上述の実施の形態では、ダストセパレータ414を用いた例について説明したが、このダストセパレータ414を用いない構成を採用してもよい。例えば、ダストセパレータ414を用いることにより生じ得る僅かな排気抵抗をも許容できない場合や、排気抵抗の減少を重視する場合には、ダストセパレータ414を設けることなく実施してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 充填包装装置
2 貯留ホッパー
3 計量装置
4 充填シュート
5 フォーマー
6 縦シール装置
7 横シール装置
8 カッター装置
9 製品搬出スベリ台
10 制御装置
12 吸引タイミング設定受付部
13 開閉タイミング設定受付部
31 中間シュート
411 投入部
412 パイプ部
413 分岐排気部
414 ダストセパレータ
420 バキューム装置
430 開閉部
431 開閉蓋
432 開閉チューブ
433 開閉ローラー
F1 包装フィルム
P1 粉末充填物