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  • 特許-撮像装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20240227BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240227BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240227BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240227BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240227BHJP
【FI】
G03B17/02
H04N23/50
H04N23/60 300
H04N23/68
G03B5/00 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020078038
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173879
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】溝口 整
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195557(JP,A)
【文献】特開2018-185496(JP,A)
【文献】特開2019-191374(JP,A)
【文献】特開2018-060160(JP,A)
【文献】特開2013-160898(JP,A)
【文献】特開平09-189932(JP,A)
【文献】特開2016-092641(JP,A)
【文献】特開2017-111218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
H04N 23/50
H04N 23/60
H04N 23/68
G03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う通信ユニットと、撮像装置の振れを検出する振れ検出ユニットと、を備え、
前記通信ユニット及び前記振れ検出ユニットは撮像光軸から離れた空間に配置され、
前記振れ検出ユニットは導電性部材を含み、
前記通信ユニットが前記振れ検出ユニットに対して傾くように配置されるとともに、前記振れ検出ユニットよりも前記撮像光軸から遠い位置、且つ前記振れ検出ユニットの上方に配置され、
前記通信ユニットと前記振れ検出ユニットがともにファインダの表示部よりも被写体側に配置されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記通信ユニットはアンテナが表面に形成された基板を有し、
前記導電性部材は平板状に成型され、
前記基板が前記導電性部材に対して傾くように配置されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記アンテナが前記通信ユニットによって用いられる電波の波長の整数倍又は整数分の一の距離近傍に位置しないように、前記基板が前記導電性部材に対して傾くことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記通信ユニットは、トップカバーユニットの開口部に収容され、さらに、非導電性材料からなるアンテナカバーで覆われることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記アンテナカバーの傾斜に沿うように前記通信ユニットが傾けられることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ユニットを搭載する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置であるカメラとして、ジャイロセンサ等によって構成される振れ検出ユニットを備え、該振れ検出ユニットによって検出されたカメラの振れに応じた像振れ補正(防振)動作を行うものが知られている。このようなカメラでは、シャッタ動作によって発生した振動(以下、「シャッタ振動」という。)が振れ検出ユニットによって検出されることがあり、この場合、不必要な防振動作が行われるおそれがある。
【0003】
これに対して、シャッタ振動を検出しないように、緩衝材によって振れ検出ユニットを挟み込んで保持するカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。但し、この場合、振れ検出ユニットとシャッタの間の距離が短いと、シャッタから伝播されるシャッタ振動が緩衝材によって十分減衰されず、振れ検出ユニットによって検出されるおそれがある。そこで、振れ検出ユニットとシャッタを十分に離すために、振れ検出ユニットを、カメラにおいて、ファインダよりも被写体側に配置することが好ましい。
【0004】
ところで、カメラとして、撮像画像を無線通信によって外部に伝送するための無線通信ユニットを搭載するものも知られている。無線通信ユニットはユーザの手で覆われると通信性能が低下するため、カメラにおいて、ユーザの手で覆われにくい、ファインダよりも被写体側の内部空間に配置されることが好ましい。
【0005】
すなわち、振れ検出ユニットと無線通信ユニットは、カメラにおいて、ファインダよりも被写体側に配置されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-60160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、振れ検出ユニットと無線通信ユニットを配置した結果、振れ検出ユニットの導電性材料からなる構成部品が無線通信ユニットの通信を妨害することがある。
【0008】
本発明の目的は、正確な振れの検出と円滑な通信を行うことができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、無線通信を行う通信ユニットと、撮像装置の振れを検出する振れ検出ユニットと、を備え、前記通信ユニット及び前記振れ検出ユニットは撮像光軸から離れた空間に配置され、前記振れ検出ユニットは導電性部材を含み、前記通信ユニットが前記振れ検出ユニットに対して傾くように配置されるとともに、前記振れ検出ユニットよりも前記撮像光軸から遠い位置、且つ前記振れ検出ユニットの上方に配置され、前記通信ユニットと前記振れ検出ユニットがともにファインダの表示部よりも被写体側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像装置において、正確な振れの検出と円滑な通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラの構成を示すブロック図である。
図2図1のカメラの外観を示す斜視図である。
図3図1のカメラの部分的な分解斜視図である。
図4】通信ユニット及び振れ検出ユニットの配置関係を詳細に説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラ(以下、単に「カメラ」という。)100の構成を示すブロック図である。図2は、図1のカメラ100の外観を示す斜視図である。
【0013】
カメラ100は、交換レンズユニット200の着脱が可能なレンズ交換式カメラである。交換レンズユニット200に設けられたレンズマウント201がカメラ100に設けられたカメラマウント101とバヨネット結合することにより、交換レンズユニット200がカメラ100に装着される。
【0014】
カメラ100において、撮像素子302はCCDセンサやCMOSセンサ等で構成され、交換レンズユニット200の撮像光学系によって形成される光学像(被写体像)を撮像して電気信号であるアナログ撮像信号に変換する。また、シャッタ301は撮像素子302よりも前側(被写体側)に配置され、非撮像時には撮像素子302への光の入射を遮断し、撮像時には開閉動作して撮像素子302の露光量を制御する。
【0015】
A/D変換器304は、撮像素子302から出力されるアナログ撮像信号をデジタル撮像信号に変換して画像処理部305及びメモリ制御部306に出力する。画像処理部305は、A/D変換器304又はメモリ制御部306から入力されたデジタル撮像信号に対して画素補間処理、リサイズ処理、色変換処理及びAWB(オートホワイトバランス)処理等を施し、記録用又は表示用の画像データを生成する。また、画像処理部305は、生成した画像データを用いて各種演算処理を行う。システム制御部307は、画像処理部305で得られた演算結果を用いて、AF(オートフォーカス)処理やAE(自動露出)処理を行う。
【0016】
メモリ制御部306は、画像データをメモリ308に書き込む。メモリ308は画像データ記録用メモリと画像表示用メモリ(ビデオメモリ)を兼ねる。D/A変換器309は、メモリ308に書き込まれた表示用の画像データをアナログ画像信号に変換してLCD等の表示デバイスによって構成されるファインダ表示部106や背面表示部105に供給する。これにより、メモリ308に書き込まれた表示用の画像データに対応する画像がライブビュー画像としてファインダ表示部106や背面表示部105に表示される。また、記録用の画像データに対応する確認用画像がファインダ表示部106や背面表示部105に表示される。
【0017】
不揮発性メモリ310は、EEPROM等によって構成され、システム制御部307が使用する動作用の定数やプログラム等を格納する。システム制御部307は、少なくとも1つのプロセッサを有し、カメラ100と交換レンズユニット200を制御する。システムメモリ311は、RAMによって構成され、システム制御部307の動作用の定数や変数を格納し、又は不揮発性メモリ310から読み出されたプログラムを展開する。さらに、システム制御部307は、メモリ308、D/A変換器309、ファインダ表示部106及び背面表示部105を制御して画像表示制御も行う。
【0018】
システムタイマ312は、現在の時刻や各種制御に用いる時間を計測する。第1シャッタスイッチ104aは、カメラ100に設けられたシャッタボタン104の半押し操作(撮像準備指示)でONとなり、第1シャッタスイッチ信号SW1を発生する。システム制御部307は、第1シャッタスイッチ信号SW1に応じて、AF処理、AE処理及びAWB処理等の撮像準備処理を開始する。第2シャッタスイッチ104bは、シャッタボタン104の全押し操作(撮像指示)でONとなり、第2シャッタスイッチ信号SW2を発生する。システム制御部307は、第2シャッタスイッチ信号SW2に応じて、シャッタ301に設けられたシャッタ羽根301aの開閉制御、撮像素子302からの信号読み出し及び記録媒体330への記録用画像データの書き込み等の撮像処理を開始する。
【0019】
操作部108には、ユーザによって操作されるボタン、ダイヤルや背面表示部105に設けられたタッチパネル等が含まれる。電源スイッチ103はユーザの操作に応じて、電源部314からカメラ各部への電力供給の開始及び終了を切り替える。電源制御部313は、電池検出回路、DC-DCコンバータ及び通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等によって構成され、電池の装着の有無、装着された電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部313は、その検出結果とシステム制御部307からの指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間に亘って記録媒体330を含むカメラ各部に供給する。
【0020】
電源部314は一次電池、二次電池及びACアダプター等によって構成される。記録媒体I/F315は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体330とのインターフェースである。記録媒体330は、生成された画像データを記録する半導体メモリ、光ディスク及び磁気ディスク等である。通信ユニット316は、外部機器との無線通信を行って表示用及び記録用の画像データや音声データ、さらにその他の各種情報を外部機器との間で送受信する。また、通信ユニット316は、無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続が可能である。
【0021】
カメラ100のシステム制御部307と交換レンズユニット200のレンズ制御部203は、カメラ100に設けられたカメラコネクタ102と交換レンズユニット200に設けられたレンズコネクタ202を介して通信を行う。システム制御部307は、レンズ制御部203にフォーカス指令信号や絞り指令信号を送信し、これらの信号を受信したレンズ制御部203はレンズ駆動部204を介して撮像光学系に含まれるフォーカスレンズ群210や絞り211を駆動する。
【0022】
振れ検出ユニット320は、ジャイロセンサ等の角加速度を検出可能な素子を用いて構成される。振れ検出ユニット320は、図2に示すカメラ100のピッチ(Pitch)軸回りのピッチ方向、ヨー(Yaw)軸回りのピッチ方向及びロール(Roll)軸回りのロール方向の3軸方向に関するカメラ100の振動(以下、「カメラ振れ」という。)を検出する。振れ検出ユニット320からはカメラ振れの角速度を示す信号が出力され、システム制御部307はその角速度信号からカメラ振れの大きさ(以下、「カメラ振れ量」という。)を算出する。
【0023】
撮像素子駆動部303は、算出されたカメラ振れ量に応じて撮像素子302を撮像光軸600に直交する面内で移動させて光学的な像振れ補正(光学防振)を行う。また、画像処理部305は、カメラ振れ量に応じて画像データからの切り出し位置を移動させることで電子的な像振れ補正(電子防振)を行う。
【0024】
図3は、カメラ100の部分的な分解斜視図である。図3では、撮像光軸600に平行な方向をZ方向とし、カメラ100の上下方向をY方向とし、カメラ100の左右方向をX方向とする。
【0025】
カメラ100の本体120は、カメラ100の強度を担う構造体(シャーシ)である。本体120の上部にはトップカバーユニット110がビス等の締結手段によって接続される。このトップカバーユニット110に振れ検出ユニット320と通信ユニット316が取り付けられる。
【0026】
振れ検出ユニット320は、ジャイロセンサ及びそれらの駆動に関連する電気部品で構成されたセンサ部320aと、センサ部320aを保持する保持部材320b(導電性部材)とで構成されている。保持部材320bは、振れ検出ユニット320をトップカバーユニット110に取り付けるためのブラケットとしても機能することから、小型化と剛性の確保を両立させるため、例えば、折り曲げ加工された板金によって構成される。
【0027】
振れ検出ユニット320は、その上側がトップカバーユニット110に接続される。一方、通信ユニット316は、その下側がトップカバーユニット110に接続される。すなわち、振れ検出ユニット320と通信ユニット316はY方向に関して対峙する。
【0028】
ところで、トップカバーユニット110のベースとなるトップカバー111は、カメラ100の電磁ノイズ対策のために導電性の高いカーボンを含有する樹脂やマグネシウム合金等で製作される。一方、通信ユニット316は、外部との無線通信を行うために導電性の高い材質からなるトップカバー111で覆うことは避けるのが好ましい。
【0029】
そこで、トップカバー111には、通信ユニット316を収容可能な開口部111aが設けられ、非導電性材料からなるアンテナカバー112が開口部111aに収容された通信ユニット316を覆う。アンテナカバー112はトップカバーユニット110にビス止めされる。
【0030】
本実施の形態に係るカメラ100では、振れ検出ユニット320と通信ユニット316が、シャッタ301や撮像素子302よりも上方であって、ファインダ表示部106よりも被写体側に配置される。すなわち、通信ユニット316と振れ検出ユニット320は、カメラ100の内部において撮像光軸600から離れた空間において、互いに近接して配置される。なお、通信ユニット316は振れ検出ユニット320よりも撮像光軸600から遠い位置に配置される。また、保持部材320bは一部が折り曲げられるが、全体としてほぼ平板状に成型され、XZ平面とほぼ平行に配置される。
【0031】
図4は、通信ユニット316及び振れ検出ユニット320の配置関係を詳細に説明するための断面図であり、図4(A)は、カメラ100を撮像光軸600に沿うYZ平面で切断した断面図を示し、図4(B)は図4(A)における領域Bの拡大断面図を示す。
【0032】
ところで、上述したように保持部材320bが板金によって構成され、導電性を有するため、通信ユニット316との距離が近いと通信ユニット316の無線通信を妨げる可能性がある。
【0033】
これに対応して、本実施の形態では、通信ユニット316を振れ検出ユニット320に対して傾けるように配置する。具体的には、アンテナ316aが表面にプリントされた通信ユニット316の基板316bをXZ平面と平行に配置せず、保持部材320bに対して傾くように配置する。これにより、カメラ100の内部において通信ユニット316を振れ検出ユニット320の保持部材320bから極力離して配置することができ、もって、保持部材320bが通信ユニット316の無線通信を妨げる可能性を低減することができる。
【0034】
また、アンテナ316aが、通信ユニット316によって用いられる無線通信電波(以下、「使用電波」という。)の波長の整数倍又は整数分の一だけ保持部材320bから離れて位置すると、保持部材320bによる使用電波の輻射の影響を受けて感度が悪くなる。したがって、本実施の形態では、アンテナ316a(の中心)が使用電波の波長の整数倍又は整数分の一の距離近傍に位置しないように、保持部材320bに対する通信ユニット316の基板316bの傾斜角θを設定する。これにより、通信ユニット316のアンテナ316aが保持部材320bからの使用電波の輻射の影響を受けにくくなり、もって、通信ユニット316は円滑な通信を行うことができる。
【0035】
さらに、通信ユニット316(基板316b)の傾斜方向は、通信ユニット316が被写体側へ向けて下がる方向であり、アンテナカバー112の傾斜に沿う方向である。これにより、通信ユニット316を収容するためにアンテナカバー112の変更することなく、通信ユニット316と振れ検出ユニット320の間の間隔を広げることができ、カメラ100の見栄えと通信性能を両立することができる。
【0036】
また、上述したように、振れ検出ユニット320は、カメラ100において、シャッタ301よりも上方であって、ファインダ表示部106よりも被写体側に配置される。これにより、振れ検出ユニット320をシャッタ301から十分に離して配置することができ、もって、シャッタ301の振動がカメラ100の振れとして誤検知されるのを抑制することができる。すなわち、本実施の形態では、正確な振れの検出と円滑な通信を行うことができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100 デジタルカメラ
106 ファインダ表示部
110 トップカバーユニット
111 トップカバー
111a 開口部
112 アンテナカバー
316 通信ユニット
316a アンテナ
316b 基板
320 振れ検出ユニット
320b 保持部材
600 撮像光軸
図1
図2
図3
図4