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特許7443154光学式レインセンサの発光デバイスのドライバ電流の実時間微調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】光学式レインセンサの発光デバイスのドライバ電流の実時間微調整
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
G01N21/17 E
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020084843
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2020190555
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】19305642.1
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517220508
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ センサーズ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ミラソー,ダヴィッド
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-500345(JP,A)
【文献】特表平08-512131(JP,A)
【文献】米国特許第06373215(US,B1)
【文献】米国特許第05726547(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0030529(US,A1)
【文献】特表2003-525425(JP,A)
【文献】米国特許第06634225(US,B1)
【文献】特表2010-502952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 ー G01N 21/61
G01W 1/00 ー G01W 1/18
B60S 1/00 ー B60S 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光パルスを透明基体(230)の内側面に向けて放出するように適合された第1の発光素子(225)と
第2の光パルスを前記透明基体(230)の前記内側面に向けて放出するように適合された第2の発光素子(220)と、
前記透明基体(230)の前記内側面によって反射された前記第1の光パルスおよび前記第2の光パルスからの光を検出するように適合された光検出器(240)と、
第1のチャネルに第1のドライバ電流パルスを出力し、前記第1の発光素子(225)を駆動して前記第1の光パルスを放出させるように適合された第1のドライバ(252)、および
第2のチャネルに第2のドライバ電流パルスを出力し、前記第2の発光素子(220)を駆動して前記第2の光パルスを放出させるように適合された第2のドライバ(254)
を備えるレインセンサコントローラ(250)と、
前記レインセンサコントローラ(250)の前記第2のチャネルと前記第2の発光素子の端子との間に接続可能な調節式電流源(270)とを備え、
前記調節式電流源(270)は、前記第2の発光素子(220)における全電流を増大または減少させて、前記第1の光パルスおよび前記第2の光パルス間の不均衡を低減させるために、調節信号に基づいて前記第2の発光素子(220)の前記端子に補償電流信号を印加するように適合されており
前記調節式電流源(270)は、
前記調節信号に基づいて調整可能な一定の強度を有する出力電流(I out )を供給するように適合された可変電流源(280)と、
前記第2の発光素子の前記端子と前記可変電流源(280)の出力端子との間に接続されるように適合された制御式スイッチ(290)とを含み、
前記制御式スイッチ(290)は、前記第2のドライバ電流パルスと同期してオン状態とオフ状態とを切り換えて、前記可変電流源(280)を接続および切断し、それによって前記一定の電流(I out )に基づいて前記補償電流信号(I )を生成するように適合されている、
光学式レインセンサデバイス。
【請求項2】
前記調節信号を出力し、前記調節式電流源(270)を制御して所与の振幅を有する前記補償電流信号を出力させるように適合されたマイクロコントローラ(260)をさらに備え
記補償電流信号は、前記調節信号に基づいて設定された振幅を有する方形電流パルスであり、前記調節信号は、前記マイクロコントローラ(260)のデジタルアナログ変換器出力によって提供されるアナログ調節電圧である、
請求項1に記載の光学式レインセンサデバイス。
【請求項3】
前記制御式スイッチ(290)は、前記第2のドライバ電流パルスが所定の電流閾値条件を上回ったとき、前記オン状態に切り換わるように適合されている、
請求項1または2に記載の光学式レインセンサデバイス。
【請求項4】
前記制御式スイッチ(290)は、スイッチトランジスタ(292)と、前記スイッチトランジスタ(292)のベース端子とエミッタ端子との間に接続された第1の抵抗素子(R1)とを備え、
前記スイッチトランジスタ(292)の前記エミッタ端子は、前記第2の発光素子(220)の前記端子に前記補償電流信号を印加し、
前記第1の抵抗素子(R1)は、前記第2のチャネルと前記第2の発光素子(220)の前記端子との間に接続され、前記第2のドライバ電流パルスを感知し、前記第2のドライバ電流パルスが所定の電流閾値より大きいとき、前記第1の抵抗素子(R1)における電圧差を生じさせ、前記スイッチトランジスタ(292)を開く、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学式レインセンサデバイス。
【請求項5】
前記可変電流源(280)は、前記調節信号に基づいて前記出力電流(Iout)を供給するように適合された駆動トランジスタ(294)を備え、前記調節信号は、前記駆動トランジスタ(294)のベース端子に印加される、
請求項からのいずれか一項に記載の光学式レインセンサデバイス。
【請求項6】
前記可変電流源(280)は、前記駆動トランジスタ(294)のエミッタ端子と基準電位との間に接続された第2の抵抗素子(R2)を備え、前記第2の抵抗素子(R2)は、前記調節信号(VReg)に基づいて前記補償電流信号(I)の振幅の所望の微調整を提供するように選択される、
請求項5に記載の光学式レインセンサデバイス。
【請求項7】
光学式レインセンサ(210)の発光デバイス(220)へ供給されるドライバ電流パルスの微調整のための調節式電流源(270)であって、
外部調節信号に基づいて調整可能な一定の強度を有する出力電流(Iout)を供給するように適合された可変電流源(280)と、
前記発光デバイス(220)の端子と前記可変電流源(280)の出力端子との間に接続されるように適合された制御式スイッチ(290)とを備え、
前記制御式スイッチ(290)は、前記発光デバイス(220)へ供給される前記ドライバ電流パルスと同期してオン状態とオフ状態とを切り換えて、前記可変電流源(280)を接続および切断し、それによって、前記調節信号に基づいており、かつ、前記発光デバイス(220)における前記ドライバ電流パルスに重畳された補償電流信号(I)を生成し、第の光パルスおよび第2の光パルス間の不均衡を低減させるように適合されている、調節式電流源(270)。
【請求項8】
前記制御式スイッチ(290)は、前記ドライバ電流パルスが所定の電流閾値条件を上回ったとき、前記オン状態に切り換わるように適合されている、
請求項に記載の調節式電流源(270)。
【請求項9】
前記制御式スイッチ(290)は、スイッチトランジスタ(292)と、前記スイッチトランジスタ(292)のベース端子とエミッタ端子との間に接続された第1の抵抗素子(R1)とを備え、
前記スイッチトランジスタ(292)の前記エミッタ端子は、前記発光デバイス(220)の前記端子に前記補償電流信号(I)を印加し、
前記第1の抵抗素子(R1)は、前記ドライバ電流パルスを供給するドライバチャネルと前記発光デバイスの前記端子との間に接続され、前記ドライバ電流パルスを感知し、前記ドライバ電流パルスが所定の電流閾値より大きいとき、電圧差を生じさせ、前記スイッチトランジスタ(292)を開くように適合されている、
請求項またはに記載の調節式電流源(270)。
【請求項10】
前記可変電流源(280)は、前記調節信号に基づいて前記出力電流(Iout)を供給するように適合された駆動トランジスタ(294)を備え、前記調節信号は、前記駆動トランジスタ(294)のベース端子に印加される調節電圧(Vreg)である、
請求項からのいずれか一項に記載の調節式電流源(270)。
【請求項11】
前記可変電流源(280)は、前記駆動トランジスタ(294)のエミッタ端子と基準
電位との間に接続された第2の抵抗素子(R2)を備え、前記第2の抵抗素子(R2)は、前記調節信号に基づいて補償電流信号の振幅の所望の微調整を提供するように選択される、
請求項10に記載の調節式電流源(270)。
【請求項12】
光学式レインセンサの発光素子の駆動電流を微調整する方法であって、前記光学式レインセンサは、第1光パルスを透明基体(230)の内側面に向けてへ放出するように適合された第1の発光素子(225)と第2の光パルスを前記透明基体(230)の前記内側面に向けて放出するように適合された第2の発光素子(220)と、前記透明基体(230)の前記内側面から反射された前記第1の光パルスおよび第2の光パルスを検出するように適合された光検出器(240)と、第1のチャネルに第1のドライバ電流パルスを出力し、前記第1の発光素子(225)を駆動して前記第1の光パルスを放出させるように適合された第1のドライバ(252)、および第2のチャネルに第2のドライバ電流パルスを出力し、前記第2の発光素子(220)を駆動して前記第2の光パルスを放出させるように適合された第2のドライバ(254)を備えるレインセンサコントローラ(250)とを備え、前記方法は、
前記光検出器(240)によって検出された、反射された前記第1の光パルス(236)および反射された前記第2の光パルス(238)それぞれに対応する第1および第2の光検出信号(245)の振幅(IPD_LED_A_ON、IPD_LED_B_ON)を受け取ることと、
受け取った前記第1および第2の光検出信号の前記振幅(IPD_LED_A_ON、IPD_LED_B_ON)の差が、前記第1の光パルス(236)と前記第2の光パルス(238)との間の不均衡に関連する所与の補償条件を満たすかどうかを決定することと、
前記補償条件が満たされているとき、外部調節式電流源(270)によって、前記第2のチャネル(B)に補償電流信号を印加することとを含み、
前記補償電流信号は、前記第1の光検出信号(236)および前記第2の光検出信号(238)の前記振幅(IPD_LED_A_ON、IPD_LED_B_ON)間の関係に基づいて、前記第2の発光素子(220)における全電流を増大または減少させて、前記第1および第2の光検出信号間の不均衡を低減させるように適合され、
前記第2の光検出信号の前記振幅(I PD_LED_B_ON )が前記第1の光検出信号の前記振幅(I PD_LED_A_ON )より小さいとき、前記方法は、
受け取った前記第1および第2の光検出信号の前記振幅(I PD_LED_A_ON 、I PD_LED_B_ON )を監視することと、
受け取った前記第1および第2の光検出信号の監視された前記振幅(I PD_LED_A_ON 、I PD_LED_B_ON )が前記補償条件を満たし、前記補償電流信号の前記振幅が電流範囲の最大値(I C,MAX )を下回ったとき、前記補償電流信号の前記振幅を所与の電流範囲内で漸進的に増大させることと、
前記補償電流信号の前記振幅が前記電流範囲の前記最大値(I C,MAX )に到達したとき、前記補償条件が満たされている場合、第2のドライバ電流(I )を1補償段階だけ増大させ、前記補償電流信号の前記振幅を前記電流範囲の最小値(I C,MIN )に設定することとをさらに含む、方法。
【請求項13】
前記第2の光検出信号の前記振幅(IPD_LED_B_ON)が前記第1の光検出信号の前記振幅(IPD_LED_A_ON)より大きいとき、前記方法は、
前記第2のドライバ電流(I)を1補償段階だけ減少させ、前記所与の電流範囲の最大値(IC,MAX)に等しい振幅を有する前記補償電流信号を前記第2のチャネル(B)に印加することと、
受け取った前記第1および第2の光検出信号の前記振幅(IPD_LED_A_ON、IPD_LED_B_ON)を監視することと、
受け取った前記第1および第2の光検出信号の監視された前記振幅(IPD_LED_A_ON、IPD_LED_B_ON)が前記補償条件を満たし、前記補償電流信号の前記振幅が前記電流範囲の最小値(IC,MIN)を上回ったとき、前記補償電流信号の前記振幅を前記所与の電流範囲内で漸進的に減少させることと、
前記補償電流信号の前記振幅が前記電流範囲の前記最小値(IC,MIN)に到達したとき、前記補償条件がまだ満たされている場合、前記第2のドライバ電流(I)を1補償段階だけ減少させ、前記補償電流信号の前記振幅を前記電流範囲の前記最大値(IC,MAX)に設定することとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レインセンサに関し、より詳細には、発光デバイスを使用して雨滴および/または水滴を検出する光学式レインセンサ、ならびに発光デバイスの駆動電流に対する電流微調整に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式レインセンサは一般に、自動車両および灌漑システムなどの広範囲の適用分野で電気デバイスを制御するために雨感知スイッチとして用いられる。光学式レインセンサの検出原理は、1つまたは複数の発光源によって放出される赤外光のうち、フロントガラスなどの透明基体の内面から反射された部分を検出することに基づいている。フロントガラスから反射された光は、光検出器によって検出され、検出された信号を分析して、反射光の強度の変動を判定する。フロントガラスの外面が雨滴または水滴で覆われた場合、入射する赤外光の内部全反射が低減され、したがって光検出器によって検出される反射光が少なくなる。検出された反射光の強度の低下の検出は、フロントガラスの外面に雨滴または水滴が存在することを示し、これを使用して、自動車のワイパのモータなどの電気デバイスの動作を引き起こすことができる。
【0003】
図1は、一般的なタイプの光学式レインセンサデバイス100を示す。このセンサ設計は、透明基体130(たとえば、フロントガラス)の片側に堆積した雨滴および/または水滴を検出する2つの発光素子(LED120およびLED125)を有する光学式センサ110を含む。2つのLED素子120、125は、フロントガラス130の反対側に配置され、それぞれの光ビームをフロントガラス130の異なる区域にそれぞれの入射角θおよびθ(基体130に対する垂線に基づく)で入射させるように向けられる。入射角θおよびθは、図1に例示するように、ほぼ対称(たとえば、それぞれ-45°および+45°)とすることができる。放出された光ビームは、フロントガラスから光検出器140へ反射され、光検出器140は検出信号145を出力し、検出信号145は集積回路(IC)150によって、液滴の存在を検出するために処理される。
水滴および/または雨滴135は通常、濡れた表面に不均一に分散するため、LED120およびLED125から反射される光の強度は、それぞれの光ビームが液滴によって覆われた領域に入射しているか否かに応じて異なる。外面に液滴が存在すると、透明基体130および液滴を通る光の屈折によって、内部全反射は低減され、したがってLED120からの信号がLED125の信号より弱くなる。検出されるLED信号の強度の差の突然の変動は、基体130に雨滴または水滴が存在することを示す。
【0004】
したがって、LED信号が完全に均衡化されていない限り、日光への露出によるレインセンサ光検出器の感度変化が誤検出をもたらす可能性がある。その結果、日光への露出による光検出器の感度変動により、そのような不均衡が増幅し、したがって本当の水滴の検出と混同されうる検出信号署名が生成される可能性がある。
【0005】
通常、各LEDからの光の放出は、専用のレインセンサ集積回路(IC)150によって強度および周波数が制御され、レインセンサIC150は、それぞれのLEDチャネル(たとえば、AおよびB)において、これらのチャネルに接続されたLEDで光パルスを生成するのに好適な駆動電流を出力する。レインセンサIC150によって出力される駆動電流の振幅および周波数は、デジタルアナログ変換器(DAC)マイクロコントローラ160によって制御することができる。レインセンサLEDは、典型的に、振幅20mAおよび周波数100kHzの駆動電流によって制御されるが、既存の集積回路では、そのような駆動電流は約±2.5mA刻みで粗く調整される可能性がある。しかし、この電流分解能は、LEDチャネル(AまたはB)の駆動電流間のより小さい差を補償するには不十分であり、その結果、レインセンサIC150のLEDチャネルの電流を調整して誤検出を低減させることによって、LED信号間の不均衡を補正することはできない。
【0006】
したがって、LEDチャネル内の不均衡による雨滴および/または水滴の誤検出を低減させ、したがって日光の入射から独立した検出応答をレインセンサの検出器に提供することが可能なレインセンサの解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の短所および欠点を考慮してなされており、その目的は、光学式レインセンサの電流微調整を提供することが可能なレインセンサデバイスおよび調節式電流源、ならびにレインセンサ光検出器の感度の変化によるフロントガラスなどの透明基体上の水滴および/または雨滴の誤検出を低減または軽減することが可能な光学式レインセンサを使用したレインセンサデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
本発明によれば、光学式レインセンサデバイスが提供され、光学式レインセンサデバイスは、第1および第2の光パルスを透明基体の内面の方へ放出するように適合された第1および第2の発光素子と、透明基体の内面によって反射された第1および第2の光パルスからの光を検出するように適合された光検出器と、第1のチャネルに第1のドライバ電流パルスを出力し、第1の発光素子を駆動して第1の光パルスを放出させるように適合された第1のドライバ、および第2のチャネルに第2のドライバ電流パルスを出力し、第2の発光素子を駆動して第2の光パルスを放出させるように適合された第2のドライバを備えるレインセンサコントローラと、レインセンサコントローラの第2のチャネルと第2の発光素子の端子との間に接続可能な調節式電流源とを備え、調節式電流源は、第2の発光素子における全電流を増大または減少させて、第1および第2の光パルス間の不均衡を低減させるために、調節信号に基づいて第2の発光素子の前記端子に補償電流信号を印加するように適合されている。
【0010】
さらなる発展形態によれば、光学式レインセンサデバイスは、前記調節信号を出力し、調節式電流源を制御して所与の振幅を有する補償電流信号を出力させるように適合されたマイクロコントローラをさらに備え、調節式電流源は、前記補償電流信号を第2のドライバ電流パルスと同期して印加するように適合され、かつ/または補償電流信号は、調節信号に基づいて設定された振幅を有する方形電流パルスであり、調節信号は、マイクロコントローラのデジタルアナログ変換器出力によって提供されるアナログ調節電圧である。
【0011】
さらなる発展形態によれば、調節式電流源は、前記調節信号に基づいて調整可能な一定の強度を有する出力電流(Iout)を供給するように適合された可変電流源と、第2の発光デバイスの前記端子と可変電流源の前記出力端子との間に接続されるように適合された制御式スイッチとを含み、制御式スイッチは、第2のドライバ電流パルスと同期してオン状態とオフ状態とを切り換えて、前記可変電流源を接続および切断し、それによって前記一定の電流(Iout)に基づいて前記補償電流パルス(I)を生成するように適合されている。
【0012】
さらなる発展形態では、制御式スイッチは、第2のドライバ電流パルスが所定の電流閾値条件を上回ったとき、オン状態に切り換わるように適合されている。
【0013】
さらなる発展形態では、制御式スイッチは、スイッチトランジスタと、スイッチトランジスタのベース端子とエミッタ端子との間に接続された第1の抵抗素子とを備え、スイッチトランジスタのエミッタ端子は、第2の発光デバイスの前記端子に補償電流パルス(I)を印加し、第1の抵抗素子は、第2のドライバチャネルと第2の発光素子の前記端子との間に接続され、第2のドライバパルスを感知し、第2のドライバ電流パルスが所定の電流閾値より大きいとき、第1の抵抗素子における電圧差を生じさせ、スイッチトランジスタを開く。
【0014】
さらなる発展形態では、可変電流源は、前記調節信号(VReg)に基づいて前記出力電流(Iout)を供給するように適合された駆動トランジスタを備え、調節信号(VReg)は、駆動トランジスタのベース端子に印加される。
【0015】
さらなる発展形態では、可変電流源は、駆動トランジスタのエミッタ端子と基準電位との間に接続された第2の抵抗素子を備え、第2の抵抗素子は、前記調節信号(VReg)に基づいて補償電流パルス(I)の振幅の所望の微調整を提供するように選択される。
【0016】
本発明はまた、光学式レインセンサの発光素子へ供給されるドライバ電流パルスの微調整のための調節式電流源を提供し、調節式電流源は、外部調節信号に基づいて調整可能な一定の強度を有する出力電流(Iout)を供給するように適合された可変電流源と、発光デバイスの端子と可変電流源の前記出力端子との間に接続されるように適合された制御式スイッチとを備え、制御式スイッチは、発光デバイスへ供給されるドライバ電流パルスと同期してオン状態とオフ状態とを切り換えて、前記可変電流源を接続および切断し、それによって、調節信号に基づいており、かつ、発光デバイスにおけるドライバ電流パルスに重畳された補償電流信号(I)を生成し、第1および第2の光パルス間の不均衡を低減させるように適合されている。
【0017】
さらなる発展形態では、制御式スイッチは、ドライバ電流パルスが所定の電流閾値条件を上回ったとき、オン状態に切り換わるように適合されている。
【0018】
さらなる発展形態では、制御式スイッチは、スイッチトランジスタと、スイッチトランジスタのベース端子とエミッタ端子との間に接続された第1の抵抗素子とを備え、スイッチトランジスタのエミッタ端子は、発光デバイスの前記端子に補償電流パルス(I)を印加し、第1の抵抗素子は、ドライバ電流パルスを供給するドライバチャネルと発光素子の前記端子との間に接続され、ドライバ電流パルスを感知し、ドライバ電流パルスが所定の電流閾値より大きいとき、電圧差を生じさせ、スイッチトランジスタを開くように適合されている。
【0019】
さらなる発展形態では、可変電流源は、調節信号(VReg)に基づいて前記出力電流(Iout)を供給するように適合された駆動トランジスタを備え、調節信号(VReg)は、駆動トランジスタのベース端子に印加される調節電圧である。
【0020】
さらなる発展形態では、可変電流源は、駆動トランジスタのエミッタ端子と基準電位との間に接続された第2の抵抗素子を備え、第2の抵抗素子は、前記調節信号(VReg)に基づいて補償電流信号(I)の振幅の所望の微調整を提供するように選択される。
【0021】
本発明はまた、光学式レインセンサの発光素子の駆動電流を微調整する方法を提供し、光学式センサは、第1および第2の光パルスを透明基体の内面の方へ放出するように適合された第1および第2の発光素子と、透明基体の内面から反射された第1および第2の光パルスを検出するように適合された光検出器と、第1のチャネルに第1のドライバ電流パルスを出力し、第1の発光素子を駆動して第1の光パルスを放出させるように適合された第1のドライバ、および第2のチャネルに第2のドライバ電流パルスを出力し、第2の発光素子を駆動して第2の光パルスを放出させるように適合された第2のドライバを備えるレインセンサコントローラとを備え、この方法は、光検出器によって検出された、反射された第1および第2の光パルスそれぞれに対応する第1および第2の光検出信号の振幅を受け取ることと、第1および第2の光検出信号の受け取った振幅の差が、第1および第2の光パルス間の不均衡に関連する所与の補償条件を満たすかどうかを決定することと、前記補償条件が満たされているとき、外部調節式電流源によって第2のチャネルに補償電流信号を印加することとを含み、補償電流信号は、第1および第2の光検出信号の振幅間の関係に基づいて、第2の発光素子における全電流を増大または減少させて、第1および第2の光検出信号間の不均衡を低減させるように適合される。
【0022】
さらなる発展形態では、第2の光検出信号の振幅が第1の光検出信号の振幅より小さいとき、この方法は、受け取った第1および第2の光検出信号の振幅を監視することと、受け取った第1および第2の光検出信号の監視した振幅が補償条件を満たし、補償電流信号の振幅が電流範囲の最大値を下回ったとき、補償電流信号の振幅を所与の電流範囲内で漸進的に増大させることと、補償電流信号の振幅が電流範囲の最大値に到達したとき、補償条件が依然として満たされている場合、第2のドライバ電流を1補償段階だけ増大させ、補償電流信号の振幅を電流範囲の最小値に設定することとをさらに含む。
【0023】
さらなる発展形態では、第2の光検出信号の振幅が第1の光検出信号の振幅より大きいとき、この方法は、第2のドライバ電流を1補償段階だけ減少させ、所与の電流範囲の最大値に等しい振幅を有する補償電流信号を第2のチャネル(B)に印加することと、受け取った第1および第2の光検出信号の振幅を監視することと、受け取った第1および第2の光検出信号の監視した振幅が補償条件を満たし、補償電流信号の振幅が電流範囲の最小値を上回ったとき、補償電流信号の振幅を所与の電流範囲内で漸進的に減少させることと、補償電流信号の振幅が電流範囲の最小値に到達したとき、補償条件がまだ満たされている場合、第2のドライバ電流を1補償段階だけ減少させ、補償電流信号の振幅を電流範囲の最大値に設定することとをさらに含む。
【0024】
添付の図面は、本発明の原理を説明する目的で、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を形成する。図面は、本発明をどのように形成および使用することができるかに関する図示および記載されている例のみに本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0025】
さらなる機構および利点は、添付の図面に示す本発明の以下のより詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の光学式レインセンサデバイスを図示する図である。
図2】レインセンサ集積回路によってそれぞれのチャネル(チャネルAおよびB)に出力されるドライバ電流パルスによって交互の光パルスを放出するように駆動される少なくとも2つの発光素子を有する一実施形態による光学式レインセンサデバイスを概略的に示し、ドライバチャネルの一方(チャネルB)が、放出された交互光パルス間の不均衡を補償するように調節式電流源に結合されている図である。
図3図2に示す光学式レインセンサデバイスのチャネルBにおける発光素子への調節式電流源の接続をより詳細に図示する図である。
図4A図2に示すチャネルAおよびBに接続された発光素子における駆動電流ILED_AおよびILED_Bの振幅値、ならびにドライバチャネルAおよびBへ出力されるドライバ電流パルスIおよびIが同じ振幅および周波数を有し、各チャネル上の発光素子が不均衡であるときに光学式レインセンサデバイスの光検出器によって測定される光検出信号IPDの振幅値を例示する図である。
図4B】駆動電流ILED_AおよびILED_Bの振幅値、ならびにドライバ電流パルスIがより高い状態(すなわち、図4Bの20mA)であり、図4Aに示す不均衡を補償するために、補償電流パルスIがドライバ電流パルスIと同期して調節式電流源によってチャネルBに印加されるときに測定される光検出信号IPDのそれぞれの振幅を例示する図である。
図5】一実施形態による制御式スイッチを有する調節式電流源および可変電流源の実装を図示する図である。
図6図5に示す制御式スイッチおよび可変電流源の構成の回路図である。
図7図5の光学式レインセンサデバイスの発光素子によって放出される光パルス間の不均衡を補償する補償動作の流れ図である。
図8】それぞれドライバ電流IおよびIの振幅が同じである場合に、チャネルA(LED A)上の発光素子によって放出される光パルスが、チャネルB(LED B)上の発光素子によって放出される光パルスより高強度であるときに実施される補償動作中の図5に示す光学式レインセンサデバイスおよび調節式電流源の様々な信号の振幅の変動を示し、(a)補償動作中にそれぞれLED BがオンでありかつLED Aがオンであるときに測定される光検出器信号の振幅IPD_LED_B_ONおよびIPD_LED_A_ONの変動を示し、(b)補償動作中にチャネルAへ出力されるドライバパルスIの振幅を示し、(c)補償動作中に粗調整を適用することによるドライバパルスIの振幅の増大を示し、(d)電流微調整中に調節式電流源によって出力される補償電流信号Iの振幅の変動を示し、(e)振幅IPD_LED_AおよびIPD_LED_Bが均衡化される時間tcompに到達するまでの補償動作中のLED Bにおける全電流ILED_Bの振幅の増大を示す図である。
図9】それぞれドライバパルスIおよびIの振幅が同じである場合に、LED Aによって放出される光信号が、LED Bによって放出される光信号より低強度であるときに実施される補償動作中の図5に示す光学式レインセンサデバイスおよび調節式電流源の信号の振幅の時間の変動を示し、(a)補償動作中にそれぞれLED BがオンでありかつLED Aがオンであるときに測定される光検出器信号の振幅IPD_LED_B_ONおよびIPD_LED_A_ONの変動を示し、(b)チャネルA上のドライバパルスIの振幅を示し、(c)補償動作中に粗調整を適用することによるドライバパルスIの振幅の減少を示し、(d)調節式電流源によって出力される補償電流信号Iの振幅の変動を示し、(e)振幅IPD_LED_AおよびIPD_LED_Bが均衡化される時間tcompに到達するまでの補償動作中のLED Bにおける全電流ILED_Bの振幅の減少を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明について、以下、本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、次により詳細に説明する。しかし本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。全体にわたって、同様の符号は同様の要素を指す。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態による光学式レインセンサデバイス200を図示する。レインセンサデバイス200は、図1を参照して上述した光学式センサ110に類似の光学式センサ210と、2つの赤外線LEDなどの少なくとも2つの発光素子220、225とを含み、発光素子220、225は、透明基体230の同じ側に配置され、それぞれの放出された光ビームを基体230の内面の異なる場所に入射させるように向けられている。図1を参照して説明したように、LED220、225に対するそれぞれの入射角θおよびθは、対称とすることができる。しかし、入射角θおよびθは、特有のセンサ構成に応じて互いに異なってもよく、図2に示す値とは異なる値(0°以外)を有することもできる。
LED素子220、225間の中間領域に、各発光素子220、225の反射された光パルス236、238を検出し、反射された光パルス236、238の検出された強度を示す光検出信号245を出力するための光検出器240が設けられる。光学式センサ210は、専用のレインセンサ集積回路250によって制御される。レインセンサIC250は、それぞれLED素子225、220を駆動する駆動電流をそれぞれのチャネルAおよびBで出力する2つの埋込み式のスルーレート制御LEDドライバ252、254を含む。第1のドライバ252は、第1のチャネル(チャネルA)で第1のドライバ電流パルス(I)を出力し、発光素子225を駆動して所与の強度および周波数を有する光パルスを放出させ、第2のドライバ254は、第2のチャネル(チャネルB)で第2のドライバ電流パルス(I)を出力し、発光素子220を駆動して、それぞれの強度および周波数を有する第2の光信号を放出させる。
レインセンサIC250はまた、光検出器240によって出力される検出信号245を受け取って処理し、フロントガラス230上の雨滴および水滴235の存在を検出する高感度レシーバ256を含む。IC250はまた、周囲光測定値の入力などのための追加の入力チャネル、および通信のためのインターフェース(図示せず)を含むことができる。
【0029】
上述したように、レインセンサIC250は、それぞれ所望の振幅および周波数の駆動電流パルスIおよびIをそれぞれのLEDドライバチャネルAおよびBで供給することによって、各LED素子220、225によって放出された光を別個に制御することができる。駆動電流パルスIおよびIの振幅、周波数、および位相は、レインセンサが意図される適用分野および/または周囲光条件に基づいて最初に選択することができ、次いでマイクロコントローラ260からの制御信号に応答して動的に調整することができる。典型的に、従来のレインセンサの発光素子は、振幅20mAおよび周波数100kHzの電流パルスによって駆動される。しかし、典型的に約2.50mAであるレインセンサICの最小電流分解能より小さい量によるチャネルAおよびBにおけるLEDドライバ電流の調整を実現することはできない。
LED駆動電流の微調整を提供するために、本発明は、図2に示すように、レインセンサIC250のLEDチャネルの一方(たとえば、図2のチャネルB)に接続して、それぞれのLEDチャネルに接続されたレインセンサLED素子220に補償電流Iを印加することができる外部調節式電流源270を提供する。
【0030】
図3は、LEDチャネルの一方(チャネルB)に対する外部調節式電流源270の接続およびそれぞれの発光素子220における駆動電流ILED_Bの補償をより詳細に図示する。図3に示すように、調節式電流源270は、発光素子220の1つの端子(図示の例ではカソード)とレインセンサIC250のそれぞれのLEDチャネルの出力との間の電流路に、補償電流Iを印加する。この補償電流Iは、レインセンサIC250自体のLEDドライバ254によって発光素子220へ供給される駆動電流Iに重畳され、したがって発光素子220は、全電流ILED_B=I+Iによって駆動され、レインセンサIC250の他方のLEDチャネルに接続された発光素子225は、それぞれのLEDドライバ252によって提供される電流パルスIに対応する駆動電流ILED_Aによって駆動される。
調節式電流源270は、後述するように、マイクロコントローラ260のDACアナログ出力から出力されるアナログ電圧VDACなどの調節信号VRegによって、測定された光検出信号IPD間の不均衡に基づいて調整可能な振幅を有する補償電流Iを出力するように制御することができる。したがって、好適なソフトウェアによって、マイクロコントローラDAC260を介して電流微調整を容易に実現することができる。たとえば、この目的で、通常は3μAの電流調整分解能を提供する標準的な10ビットDACを使用することができる。これにより、後述するように、0~3mAの精密な値を有する補償電流Iを、調節式電流源270に接続されたLEDチャネルに重畳することが可能になる。この電流調節は、従来のレインセンサICのLEDドライバによって提供される約2.50mAの典型的な最小分解能を下回る段階ずつ電流微調整を実現するのに十分である。
【0031】
図3は、レインセンサIC250の各LEDチャネルAおよびBに単一の発光素子220または225を示すが、光学式センサ210は、たとえばより大きい雨検出区域を対象に含めるために、同じLEDチャネルに直列接続された1つまたは複数のLEDを含むこともできることに留意されたい。さらに、光学式センサデバイス200は、3つ以上のLEDチャネルを含むことができ、複数のチャネルドライバを有するレインセンサICによって制御することができる。光検出器240はまた、図3に表すフォトダイオードに限定されるものではなく、同じ目的を果たす他の好適な光検出手段を代わりに使用することもできる。
【0032】
発光素子220、225からのLED信号236、238(すなわち、LED AおよびBによって放出されて透明基体230によって反射される光パルス)が十分に均衡化されている場合、光検出器240は、基体230に雨がなければドライバパルスIおよびIのハイ状態中に類似の光強度を検出し、ほぼ同じ振幅を有する検出信号245を出力する。光検出信号245は、レインセンサIC250によって受け取られて処理される。マイクロコントローラ260は、光検出信号245の測定された振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONを分析し、差IPD_LED_A_ON-IPD_LED_B_ONの突然の変動は、マイクロコントローラ260によって、雨滴の検出に対応すると解釈される。しかし、日光に露出されると光検出器の感度が変化するため、発光素子220、225に供給されるドライバ電流パルスIおよびIは、周囲光を背景としてそれぞれの光パルスが分解されるのに十分な振幅を有していなければならない。
20mAの典型的なドライバ電流において、異なるLEDは、それぞれのドライバ電流が同じ振幅を有する場合でも、それぞれの特性光と駆動電流との差のために、わずかに異なる強度を有する光パルスを放出することがある。これにより、マイクロコントローラ260は、光検出器240によって測定されるLED信号間の変動を、雨滴の検出に関連すると誤って識別する可能性がある。
【0033】
図4Aは、透明基体230に水滴が堆積していないが、チャネルAおよびB上のLEDが同じ振幅および周波数の電流パルスIおよびIで駆動されているにもかかわらず、LED AおよびBによって放出される光パルス間の不均衡(すなわち、LED信号236、238間の不均衡)により、LED Bがオンの状態で光検出器240によって測定される光検出信号IPDの振幅IPD_LED_B_ONが、LED Aがオンであるときに測定される振幅IPD_LED_A_ONより小さい例示的な状況を示す。
【0034】
それぞれチャネルAおよびB上のLEDドライバ252、254によって供給されるドライバ信号IおよびIは、好ましくは振幅20mAおよび周波数100kHzを有する方形波パルスである。しかし、ドライバ信号IおよびIは、特有の適用分野および動作条件に応じて、示されているもの以外の振幅、周波数、および/または波形を有することもできる。パルス信号IおよびIは位相がずれており、したがってチャネルAおよびBに接続されたLEDは、交互の半周期で光を放出する。したがって、発光素子220が同じドライバ電流20mAでより低い光強度を放出するため、光検出器240は、発光素子225からの反射LED信号236を検出したときは、振幅1.1μAの光検出信号IPDを出力し、発光素子220からの反射LED信号238を検出したときは、より低い振幅1.0μAを有する光検出信号IPDを出力する。
【0035】
図4Bは、検出されたLED信号236、238間の不均衡を調整するために、外部調節式電流源270によって出力される補償電流信号Iが、チャネルの一方(たとえば、チャネルB)でドライバ電流パルスに重畳される状況を示す。好ましくは、補償電流信号Iは、同じ周波数を有する電流パルスであり、本実施形態では、補償すべきチャネル、すなわちチャネルB上のドライバ電流パルスと同期される。図4Bに示す状況で、光検出器240は、発光素子225が20mAで駆動されると、振幅1.1μAの検出信号IPDを出力し、発光素子220からの反射LED信号238を検出すると、類似の強度(1.1μA)の検出信号IPDを出力する。ここで発光素子220は、20mAのドライバ電流Iと、外部調節式電流源270によって印加された2mAの補償電流との加算に起因する全電流22mAによって駆動される。
【0036】
補償すべきチャネル上のドライバ電流パルスIに対する補償電流信号Iの同期は、レインセンサIC自体の基準クロックを使用して実現することができる。しかし、光学式レインセンサを制御するために一般に使用されるすべてのレインセンサICが、内部基準クロックへの外部アクセスを提供するとは限らない。
【0037】
図5を参照して説明するように、外部調節式電流源270は、補償電流信号Iをドライバ電流信号に同期させることができ、ドライバ電流信号は、このドライバ電流信号自体を使用することによって補償すべきチャネルに印加される。
【0038】
図5は、ドライバ電流信号Iを使用して補償すべきチャネル(チャネルB)上のレインセンサIC250のドライバ電流信号Iに同期された補償電流信号Iを提供する調節式電流源270を図示する。発光素子225、220はそれぞれ、それぞれの供給電圧VLED_A、VLED_Bと、レインセンサIC250のドライバチャネルA、Bの出力との間に接続される。調節式電流源270は、ドライバ電流Iがハイ状態にあるとき、発光素子220における全電流ILED_Bを増大(または減少)させ、したがって発光素子220、225によって放出される光パルス間の不均衡を低減させるために、発光デバイス220をチャネルBのドライバ254に接続する経路に補償電流パルスIを印加する。
調節式電流源270は、DACマイクロコントローラ260のアナログ出力(VDAC)によって提供されるアナログ電圧信号などの入力調整信(VReg)に基づいて変動させることができる強度を有するDC電流IOUTを提供する可変電流源280を含む。たとえば、VDACが2Vである場合、振幅2mAを有するIOUTを実現することができる。
【0039】
振幅IOUTを有し、補償すべきLEDチャネル(チャネルB)に印加されたドライバ電流Iと同期された方形パルス信号Iは、可変電流源280の出力と補償すべき発光デバイス220の端子との間に制御式スイッチ290を接続することによって実現される。制御式スイッチ290は、可変電流源280に直列接続され、チャネルB上のドライバ電流パルスIのハイおよびロー状態の切換えと同期してオンおよびオフ状態を切り換えるように動作可能である。より具体的には、制御式スイッチ290は、ドライバ電流信号Iが所与の条件を満たすかどうかに基づいて、たとえば電流信号Iが所与の電流閾値を上回ったときに開閉するように動作可能とすることができる。
振幅約20mAを有するドライバ電流が使用される典型的な適用分野では、ドライバ電流パルスIがロー状態からハイ状態に切り換わり、したがって制御式スイッチ290を閉じて、可変電流源280によって供給される電流IOUTを発光デバイス220のカソード端子へ出力したことを検出するには、1mAの電流閾値が好適である。チャネルB上のドライバ電流信号Iが所定の電流閾値を下回るとき、制御式スイッチ290は、オフ状態に自動的に切り換わり、可変電流源280をチャネルBから切断する。したがって、電流IOUTは、制御式スイッチ290が閉じているときに調節式電流源270によって出力され、このときチャネルB上の発光素子220へ印加される全電流ILED_Bは、チャネルB上のドライバ254によって供給されるドライバ電流信号Iと、可変電流源280によって供給される補償電流I=IOUTとの和に対応する。
【0040】
閾値電流制御式スイッチ290の例示的な実装が、図6に示されている。簡単にするために、チャネルAおよびBに電流パルスIおよびIを印加するレインセンサLEDドライバ252、254は、理想上の電流源として表されている。制御式スイッチ290は、p-n-pバイポーラトランジスタ292などのスイッチトランジスタQ1を含む。p-n-pバイポーラトランジスタQ1は、そのベースおよびエミッタ端子における電圧差が、トランジスタQ1の特性パラメータである閾値電圧Vbe,Q1以上であるとき、オンに切り換えられる。スイッチトランジスタQ1をドライバ電流パルスIと同期して自動的に開閉するための電流閾値条件は、トランジスタQ1のエミッタ端子とベース端子との間に接続され、発光素子220のカソードとLEDドライバ254の出力との間に挿入された抵抗R1によって実施することができる。したがって、p-n-pトランジスタQ1は、抵抗R1における電流IR1が以下の条件を満たすとき、オンに切り換えられる。
【0041】
【数1】
【0042】
スイッチトランジスタQ1のベース端子における電流が非常に小さいため、電流IR1は、LEDチャネルB上のドライバ電流Iにほぼ等しくなる。LED素子220を駆動するために意図されるドライバ電流IおよびスイッチトランジスタQ1の特性閾値電圧Vbe,Q1の範囲に応じて抵抗R1の値を選択することによって、制御式スイッチ290を開閉するための所望の電流閾値条件を容易に実施することができる。たとえば、トランジスタQ1および抵抗R1=330Ωに対して閾値電圧Vbe,Q1=0.6Vである場合、抵抗R1における電流IR1が1.8mAより大きくなると、スイッチトランジスタQ1は自動的にオンに切り換わる。
【0043】
可変電流源280の実装について、図6を参照して次に説明する。図6に示すように、可変電流源280は、電圧制御式電流源であり、バイポーラn-p-nトランジスタ294などのトランジスタQ2と、Q2のエミッタ端子と接地などの基準電位との間に接続された抵抗R2とを含む。トランジスタQ2のベース電流Iがそのコレクタ電流Iと比較すると概して非常に小さいことを考慮すると、エミッタ電流IおよびコレクタIは、ほぼ同じ値を有する。エミッタ電流Iは、抵抗R2における電流に対応し、以下のように、トランジスタQ2のベースに印加される電圧VReg(たとえば、上述した電圧VDAC)、およびトランジスタQ2の特性閾値電圧Vbe,Q2に依存する。
【0044】
【数2】
【0045】
次いで補償電流パルスIの範囲は、抵抗R2および閾値電圧Vbe,Q2に対して好適な値を選択することによって設定することができる。たとえば、マイクロコントローラ260から出力される調節電圧信号VRegが0.6~3.3Vの範囲内で変動することに基づいて、抵抗R2=900Ω、約0.6VのVbe,Q2を有するn-p-nバイポーラトランジスタQ2を使用することで、Q2のコレクタ電流Ic,Q2を0~3mAで容易に変動させることができる。コレクタ電流Ic,Q2は、制御式スイッチ290のスイッチトランジスタQ1のコレクタに印加され、したがって電圧制御式電流源280によって出力される電流IOUTにほぼ対応する。したがって、マイクロコントローラ260の電圧信号VDACを調整することによって、補償パルスIの振幅を容易に制御することができる。さらに、上述したチャネルB上のドライバ電流パルスに対する制御式スイッチ290の同期により、2つのLED信号間の不均衡の実時間調整を実現することが可能になる。
【0046】
LED固有の特性の差および/または日光への露出によって引き起こされる不均衡を補正するために必要な補償の量は、レインセンサIC250によって受け取った光検出器信号245に基づいて判定することができる。マイクロコントローラ260へ出力される光検出器電流IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONは、ドライバチャネルの一方(たとえば、チャネルB)に補償動作を適用するべきかどうかを判定するために使用することができる。レインセンサIC250によって出力される光検出器電流IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONに基づいてマイクロコントローラ260によって実行される例示的な補償動作について、図7図9を参照して次に説明する。
【0047】
図7は、マイクロコントローラ260によって実行される補償動作の流れ図を示す。光検出信号245の測定値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONを受け取ったとき、マイクロコントローラ260は、振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONと、ドライバチャネルの一方(たとえば、チャネルB)に電流補償を適用するために満たすべき所定の補償条件との関係に基づいて、LED AおよびB間の不均衡を補正するための補償動作が必要かどうかを決定する。たとえば、所定の補償条件は、振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONの差が所与の量より大きいことを含むことができる。
【0048】
補償条件が満たされている場合、マイクロコントローラ260は、測定値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONの関係に応じて、すなわちLED Aがオンである(かつLED Bがオフである)ときに測定される光検出電流が、LED Bがオンである(かつLED Aがオフである)ときに測定される光検出電流より強いか、それとも弱いかに基づいて、適用すべき補償のタイプを決定する。補償が必要とされた場合、マイクロコントローラ260は、後述するように、補償動作を実行して、LED Bにおける全電流を増大(または減少)させる。次いでマイクロコントローラ260は、引き続き値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONを連続して(または所定の時間間隔で)受け取って監視し、受け取った値を比較して、さらなる補償が依然として必要とされているかどうかを実時間で決定することができる。
【0049】
LED Aがオンであるときに光検出器信号245の振幅がより強い場合(IPD_LED_A_ON>IPD_LED_B_ON)に、LED Bにおける全電流ILED_Bを増大させるための補償動作について、図8を参照して次に説明する。
【0050】
図8は、チャネルAおよびB上の両方のLEDが同じ振幅(たとえば、20mA)のドライバ電流パルスIおよびIによって最初に駆動されたが、発光素子220によってチャネルB(LED B)に放出される光信号が、発光素子225によってチャネルA(LED A)に放出される光信号より低強度である状況で、マイクロコントローラ260によって実施された補償動作の結果を示す。この不均衡のため、光検出器240は、LED Bがオンであるときにより少ない反射光を検出し、したがって図8(a)に示すように、光検出器信号IPDの振幅IPD_LED_B_ONは最初、LED Aがオンである(かつLED Bがオフである)ときに測定される振幅IPD_LED_A_ONより小さい。
【0051】
この状況で、振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONの差が所定の補償条件を満たす場合、マイクロコントローラ260は、補償が必要とされると判定し、調節信号VRegを出力し、調節式電流源270を制御して補償電流Iを出力させる。平滑な補償を実現するために、調節電圧VRegをたとえば0から最大値VReg,MAXまでの所与の範囲内で漸進的に増大させることができ、それにより調節式電流源270は、補償電流パルスIの振幅を0から最大値IC,MAXまで漸進的に増大させることによって、電流微調整を実行することができる。図6の例で、電流微調整中に実現することができる最大電流IC,MAXは、最大調節電圧VReg,MAXの因数である(IC,MAX=VReg,MAX/R2)。補償電流Iが増大する速度は、好ましくは、本当の水滴によって引き起こされる光検出器信号245の突然の変動が補償電流I自体の漸進的な変動によって取り消されることを回避するために、VRegの変動速度を制限することによって、固定の速度、たとえば0.1mA/秒以下に制限される。
水滴による光検出器信号245の突然の変動は、マイクロコントローラ260内の光検出器信号245をデジタル高域フィルタによってフィルタリングすることによって、他のタイプの変動とは区別することができる。
【0052】
調節信号VRegの制御下における電流微調整中、マイクロコントローラ260は、光検出器信号245の測定値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONを連続して監視および比較することができ、差(IPD_LED_A_ON-IPD_LED_B_ON)が引き続き補償条件を満たしているとき、または最大補償電流IC,MAX(すなわち、最大調節電圧VReg,MAX)に到達するまで、調節電圧VRegを漸進的に増大させることによって、補償電流Iの振幅の漸進的な増大を維持することができる。測定値IPD_LED_B_ONおよびIPD_LED_A_ONが最大補償電流IC,MAXで均衡化されていない場合、すなわち差(IPD_LED_A_ON-IPD_LED_B_ON)が依然として補償条件を満たしている場合、マイクロコントローラ260は、ドライバ254によってチャネルBに出力されるドライバ電流を所定の値の補償段階だけ増大させるようにレインセンサIC250に指示することによって、ドライバ電流Iの粗調整を適用することを決定することができる。
たとえば、補償段階は、平滑な遷移を確実にするために、レインセンサIC250によって提供される最小電流分解能として、かつ/または最大補償電流IC,MAX自体(図8の例では2.5mA)に対応するように選択することができる。次いで調節電圧VReg、したがって補償電流Iは、ゼロにリセットされる。一方、光検出器信号245は引き続き監視され、測定値IPD_LED_A_ON、IPD_LED_B_ONは、さらなる電流微調整が必要とされるかどうかを判断するために、マイクロコントローラ260によって比較される。補償条件が依然として満たされている場合、マイクロコントローラ260は、測定値IPD_LED_B_ON、IPD_LED_A_ONが補償条件を満たさなくなる補償電流Iに対する振幅に到達するまで、または最大補償電流IC,MAXに到達するまで、調節電圧VRegを0から漸進的に増大させることによって、さらなる電流微調整を実行することができる。
光検出器電流値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ON間の最初の不整合に応じて、いくつかの電流微調整シーケンスを適用し、それに続いて、LED信号236、238間の所望の均衡に到達し、補償条件が測定光検出器電流IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONによって満たされなくなる段階に到達するまで、粗調整を行うことが必要になる可能性がある。図8に示す場合、2つの電流微調整シーケンスを行い、それに続いて粗調整が適用された後、測定値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONの差が無視できるほどになり、補償条件が満たされなくなる段階(図8のt=tcomp)に到達する。この段階後、LED AおよびLED Bからの光パルスは補償済みと見なされ、マイクロコントローラ260は、図8(c)および図8(d)にt>tcompで示すように、時間tcompで到達したドライバ電流パルスIおよび補償パルスIの振幅を維持するように、レインセンサIC250および調節式電流源270の制御を実行する。
【0053】
図9は、LED Bによって放出された光信号がLED Aによって放出される光信号より高強度である(IPD_LED_A_ON<IPD_LED_B_ON)のに対して、両方のLEDが同じ値、たとえば20mAの電流IおよびIによって駆動されているときに、マイクロコントローラ260によって実施される補償動作を示す。この場合、光検出器240は、LED Bがオンである(かつLED Aがオフである)ときにより多くの反射光を検出し、したがって光検出器信号245の測定値IPD_LED_B_ONは、LED Aがオンである(かつLED Bがオフである)ときに測定される値IPD_LED_A_ONより大きくなる。差|IPD_LED_A_ON-IPD_LED_B_ON|が補償条件を満たす場合、マイクロコントローラ260は、LED Bにおける全電流を減少させるための補償動作を適用する。
マイクロコントローラ260がLED AおよびB間の不均衡を補正するためにLED Bにおける全電流を減少させるべきであると判定したとき、マイクロコントローラ260は、対応する調節電圧VRegを漸進的に減少させることによって、チャネルBへ現在出力されている可能性のある補償電流Iの振幅を減少させるように、調節式電流源270を制御する。調整可能な調節電圧VRegの制御下におけるこの電流微調整中、マイクロコントローラ260は、光検出器信号245の振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONを監視および比較することができ、差|IPD_LED_A_ON-IPD_LED_B_ON|が補償条件を満たす限り、または調節式電流源270によって出力することができる最小補償電流IC,MIN(たとえば、IC,MIN=0)が達成されるまで、引き続き補償電流Iの振幅を漸進的に減少させる。
最小補償電流IC,MINに到達したとき、測定値IPD_LED_B_ONおよびIPD_LED_A_ONが依然として均衡化されていない場合、すなわち差|IPD_LED_A_ON-IPD_LED_B_ON|が補償を適用するための条件を依然として満たしている場合、マイクロコントローラ260は、ドライバ254によってチャネルBに出力されるドライバ電流Iを所定の補償段階に対応する量だけ減少させるようにレインセンサIC250に指示することによって、ドライバ電流Iの粗調整を適用することを決定することができる。この補償段階は、図8を参照して説明した粗調整に使用される補償段階と同じ大きさとすることができる。チャネルB上のLEDにおける全電流の補償が平滑に進行することを確実にするために、ドライバ電流Iをこの補償段階だけ減分させた後、マイクロコントローラ260は、補償段階によって実現されるドライバ電流Iの減分に同等の値IC,MAXを有する補償電流IをチャネルBに印加するように調節式電流源270を制御するのに十分な振幅VReg,MAXの調節電圧VRegを同時に出力することができる。
マイクロコントローラ260が測定値IPD_LED_B_ONおよびIPD_LED_A_ON間の不均衡を最初に検出したときに、補償電流Iがすでに最小値IC,MINになっていた場合、マイクロコントローラ260は、図9(c)および図9(d)に示すように、ドライバ電流Iを減分し、補償電流を最大値IC,MAXに設定することによって、粗調整を直接適用することができる。次いでマイクロコントローラ260は、調節式電流源270によって出力される補償電流Iの振幅をIC,MAXから平滑に低減させるように、調節電圧VRegを最大振幅VReg,MAXから漸進的に減少させながら、光検出器信号245の振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONを(連続してまたは所定の時間間隔で)比較することによって、電流微調整を適用する。補償電流Iの振幅の漸進的な減少は、IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONの差が補償条件を満たさなくなるまで、または補償電流Iがゼロに到達するまで進行する。
【0054】
が最小値IC,MIN(たとえば、ゼロ)に到達したときに、測定値IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONが均衡化されていない場合、マイクロコントローラ260はこの場合も、ドライバ254によってチャネルBに出力されるドライバ電流をさらなる補償段階だけ減分するようにレインセンサIC250に指示し、調節電圧VRegを再び最大値VReg,MAXに設定する。さらなる電流微調整シーケンスに続いて、光検出器振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ON間の所望の均衡に到達し、補償条件が満たされなくなるまで、粗電流調整を適用することができる。
次の電流微調整シーケンス中に振幅IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ONが均衡化され、補償条件を満たさなくなった場合(図9(e)に示すように、時間tcomp)、マイクロコントローラ260は、図9(c)および図9(d)にt>tcompで示すように、電流微調整動作を中断し、補償電流I(すなわち、調節電圧VReg)およびドライバ電流Iの振幅を、均衡に到達した値で維持する。図8を参照して説明した増分による補償動作と同様に、補償電流Iの減少速度は、好ましくは、たとえば0.1mA/秒未満に制限される。
【0055】
調節式電流源270を介した電流微調整と、レインセンサIC250自体によって提供される粗電流調整との組合せにより、光検出器信号IPD_LED_A_ONおよびIPD_LED_B_ON間の均衡に平滑に到達しながら、本当の水滴によって引き起こされる光検出器信号の突然の変動が補償動作によって隠されたり検出されなくなったりしないことを確実にすることが可能になる。
【0056】
結論として、本発明は、LED信号間の不均衡微調整を実時間で実現することを可能にする外部調節式電流源を提供することによって、既存の光学式レインセンサの主な制限を解決する。さらに、上述した技法は、レインセンサICのLEDドライバの駆動信号に同期することが可能であり、それにより外部電流源の同期を保証するために利用可能な信号がない既存のレインセンサICの欠点を解決する。さらに、本発明の解決策は、少数の構成要素を使用し、低コストであり、頑健である。また本発明の解決策では、PCB上の占有面積がわずかであり、光学式レインセンサデバイスに対するPCB面積は限られているため、これは追加の利点である。
【0057】
最後に、本発明についてフロントガラスで使用される光学式レインセンサを参照して上述したが、本発明の原理はまた、産業用カメラおよび窓システム、ヘッドライト/ライトの制御で使用される周囲光測定のためのセンサ、ヘッドアップディスプレイ、ならびに空調を含む他の適用分野にも有利に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 光学式センサデバイス
110 光学式センサ
120、125 発光素子
130 透明基体
135 雨滴
140 光検出器
145 検出信号
150 レインセンサIC
160 DACマイクロコントローラ
A、B LEDチャネル
200 光学式センサデバイス
210 光学式センサ
220、225 発光素子
230 透明基体
235 雨滴
236、238 反射された光パルス
240 光検出器
245 検出信号
250 レインセンサIC
252、254 レインセンサICのLEDドライバ
256 レインセンサICのコントローラ
260 DACマイクロコントローラ
270 外部調節式電流源
280 可変電流源
290 制御式スイッチ
292 スイッチトランジスタ
294 駆動トランジスタ
A、B LEDチャネル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9