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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】問合せ対応支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240227BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240227BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020103738
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021196942
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和馬
(72)【発明者】
【氏名】有川 賢
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-005705(JP,A)
【文献】特開2000-215121(JP,A)
【文献】特開2019-204157(JP,A)
【文献】特開2004-192521(JP,A)
【文献】特許第6190984(JP,B1)
【文献】特開2017-204130(JP,A)
【文献】特開2002-149999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0168074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
問合せ元が発電設備に関して送信した問合せデータを回答する回答部門に振り分ける問合せ対応支援システムであって、
前記問合せデータを受信する通信部と、
前記発電設備に関する蓄積データを蓄積するデータベースと、
前記データベースに蓄積された蓄積データを用いて、前記通信部が受信した前記問合せデータに対応する前記発電設備の問合せ箇所を特定できるか否か判断する判断部と、
前記判断部において前記問合せ箇所を特定できると判断した場合には、前記データベースに蓄積された蓄積データを用いて前記問合せ箇所を特定し、特定した前記問合せ箇所を前記問合せデータに紐付けた問合せ箇所特定データを出力する問合せ箇所特定部と、
前記問合せ箇所特定部において特定された前記問合せ箇所に応じて、複数の部門から前記回答部門を選択し、前記回答部門に前記問合せ箇所特定データを振り分ける振分け部と
を備える、
問合せ対応支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、問合せ対応支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電設備のメーカが発電設備に関して問合せを受けることがある。たとえば、発電設備を構成する各種の機器において異常が生じた場合や、発電設備を構成する各種の機器の作業手順などの問合せが、発電設備の運営者からメーカへ行われる場合がある。
【0003】
図3は、関連技術において、発電設備のメーカが問合わせを受けたときの対応の一例について示すフロー図である。
【0004】
メーカが問合わせを受けた際には、図3に示すように、メーカは、発電設備の現場へメーカ技術者を派遣する(ST11)。つぎに、メーカ技術者は、発電設備で勤務する現場技術者から問合せ内容を受領する(ST12)。つぎに、メーカ技術者は、問合せ箇所(異常箇所など)を目視で確認する(ST13)。つぎに、メーカ技術者は、問合せ内容を、直接、回答可能か判断する(ST14)。
【0005】
メーカ技術者が可能であると判断した場合(Yesの場合)には、問合せ内容を現場技術者へ回答する(ST15a)。これに対して、メーカ技術者が可能でないと判断した場合(Noの場合)には、メーカ技術者の派遣元であるメーカへ問合せ内容を連絡する(ST15b)。
【0006】
そして、メーカが問合せ内容を検討する(ST16)。その後、メーカが検討結果をメーカ技術者に連絡し(ST17)、その検討結果をメーカ技術者が現場技術者へ回答する(ST18)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3736331号公報
【文献】特開平11-110034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、発電設備に関する問合せに対して、メーカは、発電設備の現場へメーカ技術者を派遣することで対応している。このため、多くの問合せを受けた場合には、メーカ技術者を現場へ派遣することが困難な場合がある。また、問合せに対する回答は、派遣したメーカ技術者の技能に依存する。このため、問合せに対して迅速かつ的確に回答することが困難な場合がある。
【0009】
発電設備を構成する機器等の異常について問合せを受けた場合には、その異常が解消するまで発電設備を停止しなければならない場合が多い。このため、発電設備の異常等に関する問合せについて、迅速かつ的確に回答することが求められている。その他、機器の操作手順などの問合せについても同様に、発電設備の運用に影響するため、迅速かつ的確に回答することが、特に、求められている。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、発電設備に関する問合せについて迅速かつ的確に回答することを支援可能な問合せ対応支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の問合せ対応支援システムは、通信部とデータベースと判断部と問合せ箇所特定部と振分け部とを備え、問合せ元が発電設備に関して送信した問合せデータを回答する回答部門に振り分ける。通信部は、問合せデータを受信する。データベースは、発電設備に関する蓄積データを蓄積する。判断部は、データベースに蓄積された蓄積データを用いて、通信部が受信した問合せデータに対応する発電設備の問合せ箇所を特定できるか否か判断する。問合せ箇所特定部は、判断部において問合せ箇所を特定できると判断した場合には、データベースに蓄積された蓄積データを用いて問合せ箇所を特定し、特定した問合せ箇所を問合せデータに紐付けた問合せ箇所特定データを出力する。振分け部は、問合せ箇所特定部において特定された問合せ箇所に応じて、複数の部門から回答部門を選択し、回答部門に問合せ箇所特定データを振り分ける。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る問合せ対応支援システム1の要部を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、実施形態において、発電設備のメーカが問合わせを受けたときの対応の一例について示すフロー図である。
図3図3は、関連技術において、発電設備のメーカが問合わせを受けたときの対応の一例について示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[A]構成
図1は、実施形態に係る問合せ対応支援システム1の要部を模式的に示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の問合せ対応支援システム1は、通信部11とデータベース12と判断部13と問合せ箇所特定部14と振分け部15と有し、発電設備に関して問合せ元5が送信した問合せデータを回答する回答部門を複数の部門21~23から選択し、その問合せデータを回答部門へ振り分けるように各部が構成されている。問合せ対応支援システム1を構成する各部について順次説明する。
【0015】
[A-1]通信部11
問合せ対応支援システム1において、通信部11は、通信インターフェイスを含み、問合せ元5との間において通信可能に構成されている。ここでは、通信部11は、たとえば、問合せ元5の通信端末から送信した問合せデータを受信するように構成されている。
【0016】
問合せデータは、たとえば、発電設備の異常、発電設備を構成する機器の作業手順、発電設備を構成する部品の納期、作業工程に関する助言などに関して問合せるためのデータである。問合せデータは、文字データ、画像データ、および、音声データなどである。
【0017】
[A-2]データベース12
データベース12は、電子データを記憶する記憶媒体を含み、発電設備に関する蓄積データを蓄積するように構成されている。データベース12は、たとえば、インターネットなどの通信ネットワークを介して、問合せ対応支援システム1の各部と通信可能なクラウドサーバーであってもよい。
【0018】
ここでは、蓄積データは、発電設備を構成する各機器の構造に関するデータや、過去に受信した問合せデータである。蓄積データは、問合せ元5から問合せを受けた発電設備以外の種類の発電設備に関する各種データも含む。蓄積データは、問合せデータと同様に、文字データ、画像データ、および、音声データなどである。
【0019】
[A-3]判断部13
判断部13は、演算器によって構成されており、演算器がプログラムを用いて、問合せ箇所を特定できるか否かの判断を実行する。判断部13は、データベース12に蓄積された蓄積データを用いて、通信部11が受信した問合せデータに対応する発電設備の問合せ箇所を特定できるか否か判断する。
【0020】
ここでは、判断部13は、蓄積データにおいて問合せデータと類似するデータがある場合には、問合せ箇所を特定できると判断する。
【0021】
たとえば、蓄積データとして蓄積された文字データと、問合せデータとして受信した文字データとの間において一致または類似するキーワードがある場合には、判断部13は、問合せ箇所を特定できると判断する。
【0022】
蓄積データとして蓄積された画像データと、問合せデータとして受信した画像データとの間において一致する特徴点がある場合には、判断部13は、問合せ箇所を特定できると判断する。
【0023】
また、問合せデータとして受信した音声データを受信したときには、たとえば、その音声データを文字データに変換する。その後、蓄積データとして蓄積された文字データと、その音声データから変換した受信した文字データとの間において一致または類似するキーワードがある場合に、判断部13は、問合せ箇所を特定できると判断する。
【0024】
[A-4]問合せ箇所特定部14
問合せ箇所特定部14は、判断部13と同様に、演算器によって構成されており、演算器がプログラムを用いて問合せ箇所を特定する処理を実行する。問合せ箇所特定部14は、判断部13において問合せ箇所を特定できると判断した場合には、データベース12に蓄積された蓄積データを用いて問合せ箇所を特定し、その特定した問合せ箇所を問合せデータに紐付けた問合せ箇所特定データを出力する。
【0025】
ここでは、問合せ箇所特定部14は、蓄積データにおいて問合せデータと類似するデータに関連付けられた発電設備の機器などの部分を問合せ箇所と特定する。
【0026】
たとえば、蓄積データとして蓄積された文字データと、問合せデータとして受信した文字データとの間において一致または類似するキーワードがある場合には、問合せ箇所特定部14は、そのキーワードに関連付けられた発電設備の機器を問合せ箇所として特定する。
【0027】
蓄積データとして蓄積された画像データと、問合せデータとして受信した画像データとの間において一致する特徴点がある場合には、問合せ箇所特定部14は、その特徴点に関連付けられた発電設備の機器を問合せ箇所として特定する。
【0028】
また、問合せデータとして受信した音声データを受信したときには、問合せ箇所特定部14は、たとえば、蓄積データとして蓄積された文字データと、その音声データから変換した受信した文字データとの間において一致または類似するキーワードに関連付けられた発電設備の機器を問合せ箇所として特定する。
【0029】
[A-5]振分け部15
振分け部15は、判断部13および問合せ箇所特定部14と同様に、演算器によって構成されており、演算器がプログラムを用いて、回答部門に問合せ箇所特定データを振り分ける処理を実行する。
【0030】
ここでは、振分け部15は、問合せ箇所特定部14において特定された問合せ箇所に応じて、複数の部門21~23から回答部門を選択する。具体的には、振分け部15は、たとえば、問合せ箇所と回答部門とを関連付けたルックアップテーブルを有しており、そのルックアップテーブルを用いて、問合せ箇所特定データにおいて問合せデータに紐付けられた問合せ箇所に対応する回答部門を複数の部門21~23から選択する。そして、振分け部15は、その選択した回答部門の通信端末に問合せ箇所特定データを振り分ける。
【0031】
[B]動作
図2は、実施形態において、発電設備のメーカが問合わせを受けたときの対応の一例について示すフロー図である。本実施形態では、上記の問合せ対応支援システム1を用いて、問合わせの対応を行う。
【0032】
[B-1]ST21
図2に示すように、通信部11が問合せ元5から問合せデータを受信する(ST21)。
【0033】
たとえば、異常事象の名称、異常が発生した発電設備の機器または部品の名称、その機器または部品の寸法、その機器または部品の過去の検査記録を記した文書等の文字データを、通信部11が問合せデータとして受信する。その他、異常箇所を撮影した静止画像や動画像等の画像データを通信部11が問合せデータとして受信する。
【0034】
[B-2]ST22
つぎに、通信部11が判断部13へ問合せデータを送信する(ST22)。
【0035】
[B-3]ST23
つぎに、判断部13が問合せ箇所を特定可能か否かについて判断する(ST23)。
【0036】
ここでは、データベース12に蓄積された蓄積データを利用して、問合せデータに対応する問合せ箇所を特定できるか否かの判断を判断部13が実行する。
【0037】
たとえば、異常が発生した発電設備の機器の名称が問合せデータに含まれる場合、その機器の名称が蓄積データとしてデータベース12に蓄積されているときには、判断部13は、問合せデータに対応する問合せ箇所を特定できると判断する。また、異常箇所の画像データが問合せデータに含まれる場合、その異常箇所の画像データと、蓄積データとして蓄積された画像データとの間において一致する特徴点があるときに、判断部13は、問合せ箇所を特定できると判断する。
【0038】
その他、機器の製造番号が問合せデータに含まれる場合において、その機器の製造番号が蓄積データとしてデータベース12に蓄積されているときには、判断部13は、問合せデータに対応する問合せ箇所を特定できると判断してもよい。
【0039】
[B-4]ST24b
判断部13が問合せ箇所を特定可能でない判断した場合(No)には、問合せデータの内容の再検討を通信部11から問合せ元5へ依頼する(ST24b)。そして、再度、問合せデータを受信した場合(ST21)には、上記した各ステップを順次実行する。
【0040】
[B-5]ST24a
これに対して、判断部13が問合せ箇所を特定可能である判断した場合(Yes)には、問合せ箇所特定部14が問合せ箇所を特定する(ST24a)。
【0041】
ここでは、データベース12に蓄積された蓄積データを用いて問合せ箇所特定部14が問合せ箇所を特定する。
【0042】
たとえば、異常が発生した発電設備の機器の名称が問合せデータに含まれる場合であって、その機器に関するデータを蓄積データが含む場合には、その機器を問合せ箇所として問合せ箇所特定部14が特定する。
【0043】
機器の製造番号と共に、その機器の現在の画像が問合せデータに含まれる場合であって、機器の製造番号に基づいて、その機器の過去の画像を蓄積データから抽出可能である場合には、現在の画像と過去の画像とを比較し、大きく変化している損傷箇所を、問合せ箇所特定部14が問合せ箇所として特定してもよい。
【0044】
各機器について現在実測された実測値が問合せデータに含まれる場合であって、各機器について過去に実測された実測値が蓄積データで蓄積されている場合において、現在の実測値と過去の実測値との差分値が許容範囲から外れているときには、その許容範囲から外れた部分を、問合せ箇所特定部14が問合せ箇所として特定してもよい。
【0045】
また、各機器の状態を示す現在の表示画面が問合せデータに含まれる場合であって、正常時の表示画面が蓄積データで記録されている場合において、現在の表示画面と正常時の表示画面とを比較して異なっている部分から、問合せ箇所特定部14が問合せ箇所として特定してもよい。
【0046】
[B-6]ST25
そして、問合せ箇所を問合せデータに紐付けた問合せ箇所特定データを問合せ箇所特定部14が振分け部15へ送信する(ST25)。
【0047】
たとえば、異常が発生した発電設備の機器が問合せ箇所であると特定した場合には、その発電設備の機器の名称を問合せ箇所として問合せデータに紐付けた問合せ箇所特定データを、問合せ箇所特定部14が振分け部15へ送信する。
【0048】
[B-7]ST26
つぎに、振分け部15が複数の部門21~23から回答部門を選択する(ST26)。
【0049】
ここでは、問合せ箇所特定データにおいて問合せデータに紐付けた問合せ箇所に基づいて、問合せデータに含まれる問合せについて回答する回答部門を、振分け部15が複数の部門21~23から選択する。
【0050】
たとえば、問合せデータが、タービン動翼やノズル等の機器について摩耗や損傷が生じたことを示す内容である場合には、第1部門21を回答部門として選択する。機器同士の間隙等が異常値であることを示す問合せデータである場合には、第2部門22を回答部門として選択する。問合せデータが制御系統の異常を示す内容である場合には、第3部門23を回答部門として選択する。
【0051】
[B-8]ST27
つぎに、振分け部15が問合せ箇所特定データを回答部門へ送信する(ST27)。
【0052】
複数の部門21~23のうち振分け部15から問合せ箇所特定データが送信された回答部門は、問合せ箇所特定データに基づいて検討した後に、問合せ元5へ回答を送信する。
【0053】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の問合せ対応支援システム1は、問合せ元5が発電設備に関して送信した問合せデータから発電設備の問合せ箇所を特定し、その特定された問合せ箇所に応じて、複数の部門から回答部門を選択し、問合せ箇所を問合せデータに紐付けた問合せ箇所特定データを、その選択した回答部門へ振り分けるように構成されている。
【0054】
このように、本実施形態では、発電設備の現場へメーカ技術者を派遣せずに、問合せ元5から送信された問合せ内容を適切な回答部門に迅速に振分けることができる。したがって、本実施形態においては、メーカ技術者が介在しないので、発電設備に関する問合せについて、迅速かつ的確に回答することを支援可能である。
【0055】
なお、本実施形態では、メーカの工場において構築される問合せ対応支援システム1の一例を示しており、メーカの工場内における複数の部門21~23の通信端末を含む場合について説明した。しかし、これに限らない。振分け部15は、メーカの工場の外部にある部門を回答部門として選択し、問合せ箇所特定データを振分けてもよい。
【0056】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1:問合せ対応支援システム、5:問合せ元、11:通信部、12:データベース、13:判断部、14:問合せ箇所特定部、15:振分け部、21~23:部門
図1
図2
図3