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特許7443175動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置及び記憶媒体
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  • 特許-動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置及び記憶媒体 図1
  • 特許-動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置及び記憶媒体 図2
  • 特許-動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置及び記憶媒体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20240227BHJP
   G06F 11/22 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G06F11/30 162
G06F11/30 140L
G06F11/22 663
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020120138
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2021174498
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202010366713.5
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510283557
【氏名又は名称】富泰華工業(深▲セン▼)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】単 江鋒
(72)【発明者】
【氏名】余 雷同
(72)【発明者】
【氏名】鄒 存偉
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0094572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30
G06F 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に対してアイテムテストを行う時に、アイテムのデータ分布モデルを呼び出すステップと、
前記データ分布モデルに基づいて、前記アイテムに対応するテスト範囲を取得するステップと、
前記テスト範囲に基づいて前記測定対象をテストし、前記測定対象が最小消費電力値にある場合のテスト値を取得するステップと、
前記テスト値に基づいて、前記アイテムに対応するデータ分布モデルとテスト範囲とを更新するステップと、
を備えることを特徴とする動的インテリジェントテスト方法。
【請求項2】
前記アイテムは、電圧、電流、周波数、及び無線周波数を含むことを特徴とする請求項1に記載の動的インテリジェントテスト方法。
【請求項3】
プリセットテスト方法によって前記測定対象をテストし、前記プリセットテスト方法は、二分検索アルゴリズム、フィボナッチ検索アルゴリズム、ブロック検索アルゴリズム、ハッシュ検索アルゴリズム、及びバイナリツリー検索アルゴリズムの少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項1に記載の動的インテリジェントテスト方法。
【請求項4】
取得したテスト範囲が予め設定された範囲より小さいか否かを比較し、
取得したテスト範囲が前記予め設定された範囲より小さい場合は、取得したテスト範囲に基づいて前記測定対象をテストし、
また、取得したテスト範囲が前記予め設定された範囲より大きいかまたはそれに等しい場合は、前記予め設定された範囲に基づいて前記測定対象をテストすることを特徴とする請求項1に記載の動的インテリジェントテスト方法。
【請求項5】
前記データ分布モデルに基づいて、前記アイテムに対応するテスト範囲を取得するステップは、
前記データ分布モデルによって、前記アイテムに対応するデータ分布範囲を取得し、
前記データ分布範囲に基づいて、プリセット確率のデータが属するデータ区間を取得し、
前記データ区間を前記テスト範囲に設定することを含むことを特徴とする請求項4に記載の動的インテリジェントテスト方法。
【請求項6】
前記テスト範囲内のテスト区間におけるテストデータのテスト周波数がデフォルト周波数値より小さいか否かを判断し、
前記テスト区間内のテストデータのテスト周波数が前記デフォルト周波数値より小さい場合、テストを行わずに、前記テスト区間をスキップし、
また、前記テスト区間内のテストデータのテスト周波数が前記デフォルト周波数値より大きい又はそれに等しい場合、前記テスト区間内でテストを行うことを特徴とする請求項1に記載の動的インテリジェントテスト方法。
【請求項7】
測定対象に対してアイテムテストを行う時に、アイテムのデータ分布モデルを呼び出すための呼び出しモジュールと、
前記データ分布モデルに基づいて、前記アイテムに対応するテスト範囲を取得するための取得モジュールと、
前記テスト範囲に基づいて前記測定対象をテストし、前記測定対象が最小消費電力値にある場合のテスト値を取得するためのテストモジュールと、
前記テスト値に基づいて、前記アイテムに対応するデータ分布モデルとテスト範囲とを更新するための更新モジュールと、
を含むことを特徴とする動的インテリジェントテストシステム。
【請求項8】
前記テスト範囲内のテスト区間におけるテストデータのテスト周波数がデフォルト周波数値より小さいか否かを確認するための確認モジュールをさらに含み、
前記テスト区間におけるテストデータのテスト周波数が前記デフォルト周波数値より小さければ、テストを行わずに、前記テスト区間をスキップし、
前記テスト区間におけるテストデータのテスト周波数が前記デフォルト周波数値より大きいかまたはそれに等しければ、前記テスト区間内でテストを行うことを特徴とする請求項7に記載の動的インテリジェントテストシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記少なくとも1つの命令がプロセッサーにより実行される時に、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載する前記動的インテリジェントテスト方法を実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
メモリ及び少なくとも1つのプロセッサーを含むコンピュータ装置であって、
前記メモリには、複数のモジュールが記憶されており、前記複数のモジュールは、前記少なくとも1つのプロセッサーにより実行される時に、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載する前記動的インテリジェントテスト方法を実現することを特徴とするコンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト技術の分野に関し、特に動的インテリジェントテスト方法、コンピュータ装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
新製品の設計過程では、システムの電力消費を低減するために、測定対象(マザーボードなどのテストされるターゲット)のテストステーションで多くのアイテムをテストする。最小消費電力値を見つけるには、各アイテムは、測定対象が異なる周波数、異なる負荷の下での電圧電流で動作することを必要とする。また、この最小消費電力値をマシンレジスターに書き込む。オペレーティングシステムが異なる状態で動作する場合には、バッテリのエネルギーを最大限に節約するために、最小消費電力値を呼び出して、電流電圧の供給を設定することができる。しかし、この最小消費電力値を取得する時には、標準電圧電流値から手順に従って少しずつ降下して、測定対象が電圧不足またはエネルギー不十分に起因してプロンプトを出す時まで、しきい値(即ち、最小消費電力値)を見出すことができる。プロセス全体に長い時間がかかり、パフォーマンスの違いにより、テスト時間が延長される。これは、テスト能力に深刻な影響を与え、量産テストに要する機器と人件費を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の内容に鑑み、テスト効率を向上させることができる動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明に係る動的インテリジェントテスト方法は、測定対象に対してアイテムテストを行う場合、アイテムのデータ分布モデルを呼び出すステップと、前記データ分布モデルに基づいて、前記アイテムに対応するテスト範囲を取得するステップと、前記テスト範囲に基づいて前記測定対象をテストし、前記測定対象が最小消費電力値にある場合のテスト値を取得するステップと、前記テスト値に基づいて、前記アイテムに対応するデータ分布モデルとテスト範囲とを更新するステップと、を備える。
【0005】
また、本発明に係る動的インテリジェントテストシステムは、測定対象に対してアイテムテストを行う時に、アイテムのデータ分布モデルを呼び出すための呼び出しモジュールと、前記データ分布モデルに基づいて、前記アイテムに対応するテスト範囲を取得するための取得モジュールと、前記テスト範囲に基づいて前記測定対象をテストし、前記測定対象が最小消費電力値にある場合のテスト値を取得するためのテストモジュールと、前記テスト値に基づいて、前記アイテムに対応するデータ分布モデルとテスト範囲とを更新するための更新モジュールと、を含む。
【0006】
また、本発明に係るコンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも1つの命令が記憶されており、前記少なくとも1つの命令がプロセッサーにより実行される時に、前記動的インテリジェントテスト方法を実現する。
【0007】
また、本発明に係るコンピュータ装置は、メモリ及び少なくとも1つのプロセッサーを含み、前記メモリには、複数のモジュールが記憶されており、前記複数のモジュールは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される時に、前記動的インテリジェントテスト方法を実現する。
【発明の効果】
【0008】
従来技術に比べて、動的インテリジェントテスト方法、システム、コンピュータ装置、及び記憶媒体は、アイテムに対応するテスト範囲を更新し、テスト効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の好ましい実施形態に係るコンピュータ装置の構造を示すブロック図である。
図2】本発明の好ましい実施形態に係る動的インテリジェントテストシステムの機能モジュールを示す図である。
図3】本発明の好ましい実施形態に係る動的インテリジェントテスト方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の上記の目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下に添付図面及び具体的な実施形態を合わせて参照して、本発明を詳細に説明する。なお、本発明の実施形態及び実施形態の特徴は、競合しない場合には互いに組み合わせられ得る。
【0011】
以下の説明では、本発明を十分に理解するために多くの具体的な詳細が述べられており、記載された実施形態は、全ての実施形態ではなく、本発明の一部の実施形態にすぎない。本発明の実施例に基づいて、当業者は、創造的な労働がなされていない前提で取得される他の全ての実施形態も、本発明の保護の範囲に属すると理解する。
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明する目的だけであり、本発明を限定することを意味するものではない。
【0013】
図1は、本発明の好ましい実施形態により提供されるコンピュータ装置の構造を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態では、コンピュータ装置1は、互いに電気的に接続されたメモリ11と、少なくとも1つのプロセッサー12を含む。
【0015】
当業者は、図1に示すコンピュータ装置1の構成は、本発明の実施形態の限定を構成していないことを理解すべきである。コンピュータ装置1は、図1より多いもしくは少ない他のハードウェアもしくはソフトウェア、または異なる構成要素を含んでもよい。
【0016】
説明が必要なのは、コンピュータ装置1は単なる一例であり、他の既存のコンピュータ装置または今後出現する可能性のあるコンピュータ装置は、本発明に適用すれば、本発明の保護範囲内にも含まれるべきであり、且つ参照によってこれに含まれるべきであることである。
【0017】
幾つかの実施形態では、メモリ11は、コンピュータプログラムのプログラムコード及び各種のデータを記憶するために使用されてもよい。例えば、メモリ11は、コンピュータ装置1にインストールされた動的インテリジェントテストシステム10を記憶し、且つコンピュータ装置1の動作中に、プログラムまたはデータのアクセスを高速且つ自動的に完了するために使用されてもよい。メモリ11は、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(Programmable Read-Only Memory,PROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory,EPROM)、1回限りのプログラム可能な読取り専用メモリ(One-time Programmable Read-Only Memory,PROM,OTPROM)、電子的に消去可能な書き換え可能な読み取り専用メモリ(Electrically-Erasable Programmable Read-Only Memory,EEPROM)、読み取り専用ディスク(Compact Disc Read-Only Memory,CD-ROM)もしくは他の光ディスクメモリ、磁気ディスクメモリ、磁気テープメモリ、またはデータを搬送または記憶するために使用できる不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0018】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサー12は集積回路によって構成されてもよい。例えば、単一パッケージの集積回路から構成されてもよく、同じ機能または異なる機能の複数の集積回路が実装されることによって構成されてもよく、1つまたは複数の中央プロセッサー(Central Processing Unit,CPU)、マイクロプロセッサー、デジタル処理チップ、図形プロセッサー、及び各種制御チップの組み合わせなどを含む。少なくとも1つのプロセッサー12は、コンピュータ装置1の制御ユニット(Control Unit)であり、様々なインターフェースと回線でコンピュータ装置1全体の各部品を接続し、メモリ11内に記憶されているプログラム、モジュールまたは命令を実行し、且つメモリ11内に記憶されているデータを呼び出すことによって、コンピュータ装置1の各種機能及びデータの処理を実行する。例えば、動的インテリジェントテスト機能(詳細は、図3に対する説明を参照する)を実行する。
【0019】
本実施形態では、動的インテリジェントテストシステム10は、1つまたは複数のモジュールを含み、1つまたは複数のモジュールは、メモリ11に記憶され、且つ少なくとも1つまたは複数のプロセッサー(本実施形態においてはプロセッサー12)によって実行されて、動的インテリジェントテスト機能(詳細は、図3に対する説明を参照する)を実現する。
【0020】
本実施形態では、動的インテリジェントテストシステム10は、その実行された機能に応じて複数のモジュールに分割されてもよい。図2に示すように、複数のモジュールは、呼び出しモジュール101、取得モジュール102、テストモジュール103、更新モジュール104、及び確認モジュール105を含む。本発明でいうモジュールは、少なくとも1つのプロセッサー(例えば、プロセッサー12)によって実行され、固定機能を完了することができる一連のコンピュータで読み取り可能なコマンドセクションを指し、且つメモリ(例えば、コンピュータ装置1のメモリ11)に記憶される。本実施形態では、各モジュールの機能については、図3に関連して後述する。
【0021】
本実施形態では、ソフトウェア機能モジュールとして実現される統合されたユニットは、不揮発性の読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。上記のソフトウェア機能モジュールは、1つのまたは複数のコンピュータ可読命令を含み、コンピュータ装置1または少なくとも1つのプロセッサー12(prоcessоr)は、1つまたは複数のコンピュータ可読命令を実行することによって、本発明の様々な実施形態の方法(例えば、図3に示す動的インテリジェントテスト方法)を実行する。
【0022】
さらなる実施形態では、図2に示すように、少なくとも1つのプロセッサー12は、コンピュータ装置1にインストールされた様々なアプリケーション(例えば、動的インテリジェントテストシステム10)、プログラムコードなどを実行することができる。
【0023】
さらなる実施形態では、メモリ11には、コンピュータプログラムのプログラムコードが記憶されている。少なくとも1つのプロセッサー12は、メモリ11に記憶されたプログラムコードを呼び出して、関連する機能を実行することができる。例えば、図2における動的インテリジェントテストシステム10の各モジュールは、メモリ11に記憶されたプログラムコードであり、且つ少なくとも1つのプロセッサー12によって実行されて、各モジュールの機能を実現する。これにより、動的インテリジェントテスト機能の目的を達成する(詳細は、以下の図3についての説明を参照する)。
【0024】
本発明の一実施形態では、メモリ11は、1つまたは複数のコンピュータ可読命令を記憶する。動的インテリジェントテスト機能の目的を達成するために、1つまたは複数のコンピュータ可読命令は、少なくとも1つのプロセッサー12によって実行される。具体的には、少なくとも1つのプロセッサー12は、上記のコンピュータ可読命令の具体的な実施方法を以下の図3の説明を参照して詳細に説明する。
【0025】
図3は、本発明の好ましい実施形態によって提供される動的インテリジェントテスト方法のフローチャートである。
【0026】
本実施形態では、動的インテリジェントテスト方法は、コンピュータ装置1に適用でき、動的インテリジェントテストを必要とするコンピュータ装置1に対して、当該コンピュータ装置1において本発明の方法が提供する動的インテリジェントテストに用いられる機能を直接に統合できるか、またはソフトウェア開発キット(Software Development Kit,SDK)の形でコンピュータ装置1において実行される。
【0027】
図3に示すように、動的インテリジェントテスト方法は、具体的に以下のステップを含む。異なる需要に応じて、フローチャートにおけるステップの順序は変更され、又は幾つかのステップは省略されてもよい。
【0028】
ステップS1では、測定対象に対してアイテムテストを実施する場合に、呼び出しモジュール101は、当該アイテムのデータ分布モデルを呼び出す。
【0029】
一実施例では、測定対象はマザーボードであり、マザーボードに対して、(マザーボードの、異なる周波数での電圧最小消費電力値テストのような)あるアイテムテストを行う必要がある場合に、テストステーションのテストソフトウェアは、サーバーのツールパッケージ内の当該アイテムのデータ分布モデルを呼び出して、当該アイテムに対応するテスト範囲を取得する。説明が必要なのは、ツールパッケージには、異なるアイテムのデータ分布モデルが含まれていることである。
【0030】
一実施形態では、アイテムは、電圧、電流、周波数、及び無線周波数(Radiо Frequency,RF)を含むが、これらに限定されない。本実施形態では、データ分布モデルは、元のテストデータに基づいており、ビッグデータ分析を経て、本アイテムの全てのテスト値の分布を得、且つ本アイテムのテスト値に基づいて生成されるモデルである。元のテストデータは、測定対象が良品である場合のテストデータと、測定対象が不良品である場合のテストデータと、を含む。データベース内のテストデータに人工知能(AI)の畳み込み深さ学習モジュールを挿入することで、データ分布モデルを構築する。そして、各検証結果に従ってモデルの予測精度を再統計的に取得し、再統計されたモデルの予測精度がデフォルトのしきい値より小さいか否かを判断する。モデルの予測精度がデフォルトのしきい値より小さい場合に、データ分布モデルをサーバーにアップロードする。 各アイテムは、独自のデータ分布モデルを生成できることに注意されたい。各アイテムのデータ分布モデルをサーバーにアップロードする。
【0031】
ステップS2では、取得モジュール102は、データ分布モデルに基づいて、アイテムに対応するテスト範囲を取得する。
【0032】
一実施例では、アイテムに対応するテスト範囲は、データ分布モデルを呼び出すことによって、アイテムに対応するデータ分布範囲を得ることと、データ分布範囲に基づいてプリセット確率のデータが属するデータ区間と、データ区間をテスト範囲とすることと、を含む。例えば、マザーボードの電圧をテストする時に、テストステーションのテストソフトは、サーバー上のツールパッケージ内の当該アイテムのデータ分布モデルを呼び出し、データ分布モデルによってデータ解析を行い、電圧分布範囲を得て、電圧分布範囲によってプリセット確率のデータが属するデータ区間を得て、データ区間をテスト範囲に定義する。例えば、データ分布モデルによるデータ解析で得られた電圧分布範囲が1.0V~0.9Vであり、95%のテストデータが属するデータ区間が1.0V~0.95Vであると、テスト範囲は1.0V~0.95Vと定義される。特に注意すべきなところは、プリセット確率は、実際の状況に応じて自分で設定されてもよく、プリセット確率を調整することによって所望の合理的な範囲を得ることができることである。
【0033】
一実施形態では、テスト範囲の信頼区間またはプリセット確率を設定することもできる。
【0034】
ステップS3では、テストモジュール103は、取得したテスト範囲が予め設定された範囲より小さいか否かを比較する。取得したテスト範囲が予め設定された範囲より小さい場合は、ステップS4を実行し、取得したテスト範囲が予め設定された範囲より大きいかまたはそれに等しい場合は、ステップS5を実行する。
【0035】
本実施形態では、工場のテストステーションのテストソフトウェアは、サーバーにおけるデータ分布モデルを呼び出し、且つデータ分布モデルに基づいてテスト範囲を定義する。例えば、予め設定したテスト電圧の範囲が1.2V~0.8Vであり、データモデルで取得したテスト範囲が1.0V~0.9Vである場合には、テストソフトは取得したテスト範囲が1.0V~0.9V内である電圧のみをテストする。
【0036】
従来技術では、データ分布モデルが使用されていない場合には、テストデータは基本的に1.1V~0.85Vの間に分布する。測定対象に対して電圧テストを行う場合、予め設定した範囲は1.2V~0.8Vである。この時、データを解析し、且つデータ分布モデルによって取得された95%のテストデータの分布範囲が1.0V~0.9Vであると、テスト範囲を1.0V~0.9Vと定義し、動的モデルを使用していない場合よりテスト範囲が小さくなる。
【0037】
ステップS4では、テストモジュール103は、取得したテスト範囲に基づいてマザーボードをテストし、マザーボードが最小電力消費値にある時のテスト値を得る。
【0038】
一実施例では、取得されたテスト範囲に従って、プリセットテスト方法によって測定対象をテストする。このプリセットテスト方法は、二分検索アルゴリズム、フィボナッチ検索アルゴリズム、ブロック検索アルゴリズム、ハッシュ検索アルゴリズム、バイナリツリー検索アルゴリズムなどを含む。
【0039】
一実施例では、プリセットテスト方法により、測定対象が最小消費電力値を得るまで、測定対象に対してテストを行う。最小消費電力値は、測定対象が電圧不足またはエネルギー不足のために提示されたときに見出される臨界値である。
【0040】
例えば、テスト範囲に応じて、二分検索アルゴリズムを用いてテストを行う。例えば、取得した電圧のテスト範囲が1.0V~0.9Vの場合、テストする時に0.95Vから上に毎回0.05V(間隔は自分で設定する)を追加した後に、マザーボードをテストする。一方では、下へ0.05Vを減らすたびにマザーボードをテストする。もし、電圧値が1.0Vの時に測定対象に対するテストが正常的であるが、電圧値が0.9Vの時にマザーボードのテストが正常的ではなければ、臨界値が0.95V~0.90Vの間にあることを示す。このため、臨界値が測定されるまで、二分探索アルゴリズムを採用してテストを続ける。
【0041】
ステップS5では、テストモジュール103は、予め設定された範囲に基づいてテスト待ちアイテムをテストし、テスト待ちアイテムが最小消費電力値にある時のテスト値を得る。
【0042】
本実施形態では、予め設定された範囲に従って測定対象をテストする方法は、取得したテスト範囲に基づいて測定対象をテストする方法と一致しており、ここでは具体的な説明を省略する。
【0043】
ステップS6では、更新モジュール104は、テスト値に基づいて、アイテムに対応するデータ分布モデルとテスト範囲とを更新する。
【0044】
本実施形態では、測定対象をテストし、測定対象が最小消費電力値にある場合のテスト値をデータサービス層のテストデータの中に追加し、アイテムのデータ分布モデルを更新し、データ解析を改めて行って、データ分布範囲を取得し、且つデータ分布範囲とプリセット確率に基づいてテスト範囲を再定義する。
【0045】
テストデータが多くなるほど、そのテスト結果はテストの真実なしきい値に近づく。データの分布が集中すればするほど、プリセット確率のデータ分布の区間が小さくなり、テストする必要がある範囲も小さくなり、テスト速度が速くなる。実際のテスト値の増加によって、データ分布モデルもさらに動的に更新される。例えば、その後のテスト値は0.95V~0.9Vの間だけであり、データ分布モデルもアイテム電圧に対応するテスト範囲を0.95V~0.9Vに動的に更新する。
【0046】
ステップS7では、確認モジュール105は、全てのテストアイテムのテストが完了したか否かを確認する。全てのテストアイテムに対するテストを完了する場合、プロセスを終了する。一方では、まだテストされていないテストアイテムがある場合、プロセスはステップS1に戻る。
【0047】
本実施形態では、まだテストが完了していないアイテムがある場合、データ分布モデルを呼び出して、最新のテスト範囲を取得し、且つその最新のテスト範囲に基づいて、臨界値が見つかるまで、測定対象に対してテストを行う。テスト後、検証結果データを元のデータに追加し、データ分布モデルを更新する。良品の確率は不良品の確率より遥かに大きいので、テストデータが多くなるほど、テスト結果は真実値に近くなる。テストデータが無限に近い場合、テスト結果は真実値に近似し、テスト範囲は益々狭くなる。例えば、初期テストデータが100個であり、統計確率での95%のデータが1.0V~0.9Vの間に分布している。データが多くなると、真実値に近いデータは益々多くなる。例えば、1000個のテストデータがある場合には、テスト結果が0.96Vである周波数が一番大きいと仮定すれば、それが真実値に近いと説明することができる。これにより、1000個のテストデータにおいて、0.96Vに近いデータが益々多くなり、データが集中するようになる。よって、95%の範囲は、0.96Vに近い。例えば、0.98V~0.94Vの間のデータは、95%を占める。新しいテスト範囲と前のテスト範囲とを比較して、テスト範囲が小さくなると、データ分布モデルのテスト範囲を更新し、次のテストの時に新しいテスト範囲を呼び出す。次のテストでは、二分検索アルゴリズムを使い続けて、テストを行う。例えば、新しいテスト範囲は0.98V~0.94Vになる。二分探索アルゴリズムを用いて、0.96Vから上に行く度に0.02Vを追加してマザーボードをテストし、0.96Vから下に行く度に0.02Vを減らしてマザーボードをテストする。これにより、テストする必要がある範囲は益々小さくなり、テスト速度は益々速くなる。データが10000個がある場合、そのテスト範囲はより小さくなり、テスト速度はより速くなる。このように類推して、理想的なテスト範囲を得るまでテストを行う。
【0048】
一実施形態において、データ分布モデルは、1つのアイテムに対応する。例えば、マザーボードの電圧をテストする必要がある場合、第1のデータ分布モデルを呼び出して電圧に対応するテスト範囲を得ることができる。マザーボードの電流をテストする必要がある場合、第2のデータ分布モデルを呼び出して電流に対応するテスト範囲を得ることができる。別の実施形態では、データ分布モデルは、複数のアイテムに対応してもよい。例えば、マザーボードの電圧と電流とをテストする必要がある場合、データ分布モデルを呼び出して、電圧に対応するテスト範囲を得ることができるし、電流に対応するテスト範囲を得ることもできる。
【0049】
一実施形態では、複数のアイテムを含むデータ分布モデルを得るために、異なるアイテムに対応する複数のデータ分布モデルを重ね合せることができる。例えば、電圧に対応するテスト範囲は0.95V~0.9Vであり、電流に対応するテスト範囲は50mA~10mAであり、且つ周波数に対応するテスト範囲は1M~2Mである。テストデータの分布モデルをサーバーに同期のためにアップロードすると、工場のテストソフトはデータ分布モデルをステーションテストソフトに同期させる。また、異なるアイテムのデータ分布モデルが重ね合わせされた後、データ分布モデルが二次元から多次元に変更され、異なるテスト条件下でのマザーボードの最小消費電力値のデータ分布モデルが得られ、異なるテスト条件下でのマザーボードの最小消費電力値の測定範囲が得られる。最初に異なる周波数でのマザーボードの電圧最小消費電力値のテストデータ分布モデルであれば、当該モデルにテストのサイクル数を重ねて加えることができる。すると、このデータ分布モデルは、異なる周波数になり、異なるテストサイクル数でのマザーボードの電圧最小消費電力値のテストデータ分布モデルは、2次元から3次元に変化し、順次に類推して、他のテストアイテムを重ね合わせることによって、データ分布モデルの次元を増加することができる。
【0050】
一実施形態では、動的インテリジェントテスト方法は、テスト範囲内のテスト区間におけるテストデータを解析して、あるテスト区間内のテストデータのテスト周波数がデフォルト周波数値より小さいか否かを判断することをさらに含む。テスト区間内のテストデータのテスト周波数がデフォルト周波数値より小さい場合、このテスト区間のテストデータが少ない又はテストデータがなく、最小消費電力値がこのテスト区間内に不在であると判断し、直接にこのテスト区間をスキップし、最小消費電力値を得るまで、他のテスト区間のテストを続ける。さらにテスト効率を向上させるために、データ分析に合わせてテストを簡略化することができる。テスト区間内のテストデータのテスト周波数が上記デフォルト周波数値より大きい又はそれに等しい場合、テスト区間内でテストを行う必要がある。
【0051】
本発明によって提供される幾つかの実施形態では、公開された装置及び方法は、他の形式で実現され得ることが理解されるべきである。例えば、上述した装置の実施例はただ概略的なものであり、例えば、モジュールの区分は、ただ論理機能のために区分されたものであり、実際に実現する時に別の分割方法がある。
【0052】
分離要素として説明されたモジュールは、物理的に分離される又は物理的に分離されていない。モジュールとして表示されたコンポーネントは、物理的なユニットであってもよく、物理的なユニットでなくてもよい。即ち、同一の場所に配置されてもよく、または複数のネットワークユニットに分散されてもよい。本実施形態の目的は、実際の必要に応じて、その中の一部または全部のモジュールを選択して実施することができる。
【0053】
また、本発明の様々な実施例における各機能モジュールは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、各機能モジュールは、個別に物理的に存在してもよいし、2つ又は2つ以上の機能モジュールは、1つの処理ユニットに統合されてもよい。上述した統合された処理ユニットは、ハードウェアの形で実現されてもよく、ハードウェアプラスソフトウェアの形で実現されてもよい。
【0054】
当業者にとって、本発明は上記の例示的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明の精神または基本的特徴から逸脱することがない場合には、他の具体的な形で本発明を実施することができることは明らかである。従って、いずれの点から見ても、実施形態を例示的且つ非限定的なものと見なすべきであり、本発明の範囲は上記の説明に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるので、請求項の均等要件に該当する意味及び請求範囲内に含まれる全ての変更が本発明に含まれることが意図されている。特許請求の範囲の何れかの図面のリファレンス符号を、係る請求項を制限するものと見なすべきではない。また、「含む」という用語は、他のユニットや数を排除しないことを意味する。装置請求項に記載の複数のユニットまたは装置は、ソフトウェアまたはハードウェアによっても実現され得る。第1、第2などの言葉は、部品の名称を区別するためのものだけであり、特定の順序を表すものではない。
【0055】
最後に、上記の実施形態は、本発明の技術案を説明するためだけに使用されているが、本発明を制限するものではない。上記の好ましい実施形態を参照して本発明を詳細に説明したにもかかわらず、当業者は、本発明の技術案の精神的及び範囲から逸脱することなく修正または同等に代替することができることが理解すべきである。
【符号の説明】
【0056】
1 コンピュータ装置
10 動的インテリジェントテストシステム
11 メモリ
12 プロセッサー
101 呼び出しモジュール
102 取得モジュール
103 テストモジュール
104 更新モジュール
105 確認モジュール
図1
図2
図3