(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61H7/00 322Z
(21)【出願番号】P 2020140669
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-071095(JP,A)
【文献】特開2014-104080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0015553(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111107821(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108542760(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向から見て長手方向を有し、被施療者の下肢部の外側部を施療する左右一対の外側施療部と、
前記被施療者の足部を支持する足支持部と、
前記足支持部の後端部から上方に延びる立設部と、
前記立設部の上端部に前記外側施療部の前記長手方向の一方端部を回転可能に接続する接続部と、を備え、
前記外側施療部は、前記長手方向が前記被施療者の大腿部に沿って延びる第1周方向位置と、前記長手方向が前記被施療者の下腿部に沿って延びる第2周方向位置とのうちの一方から他方に回転可能であ
り、
前記外側施療部が前記第1周方向位置及び前記第2周方向位置のうちの一方から他方に回転する際、前記外側施療部の長手方向は、前記外側施療部及び前記接続部間の接続部分を通り且つ左右方向と平行な軸を中心とする周方向において前方を経由して、180度を越えて回転する、マッサージ機。
【請求項2】
左右方向から見て長手方向を有し、被施療者の下肢部の外側部を施療する左右一対の外側施療部と、
前記被施療者の足部を支持する足支持部と、
前記足支持部の後端部から上方に延びる立設部と、
前記立設部の上端部に前記外側施療部の前記長手方向の一方端部を回転可能に接続する接続部と、を備え、
前記外側施療部は、前記長手方向が前記被施療者の大腿部に沿って延びる第1周方向位置と、前記長手方向が前記被施療者の下腿部に沿って延びる第2周方向位置とのうちの一方から他方に回転可能であり、
前記足支持部は、第1固定部を有し、
前記第1固定部は、前記外側施療部が前記第2周方向位置にある時、該外側施療部の前記長手方向における他方端部と着脱可能に連結される
、マッサージ機。
【請求項3】
前記立設部は、第2固定部を有し、
前記第2固定部は、前記外側施療部が前記第2周方向位置にある時、該外側施療部の前記長手方向における一方端部と着脱可能に連結される、請求項
2記載のマッサージ機。
【請求項4】
左右方向から見て長手方向を有し、被施療者の下肢部の外側部を施療する左右一対の外側施療部と、
前記被施療者の足部を支持する足支持部と、
前記足支持部の後端部から上方に延びる立設部と、
前記立設部の上端部に前記外側施療部の前記長手方向の一方端部を回転可能に接続する接続部と、を備え、
前記外側施療部は、前記長手方向が前記被施療者の大腿部に沿って延びる第1周方向位置と、前記長手方向が前記被施療者の下腿部に沿って延びる第2周方向位置とのうちの一方から他方に回転可能であり、
前記外側施療部同士を着脱可能に連結する連結部をさらに備え、
前記連結部は、前記外側施療部が前記第1周方向位置にある時、左右一対の前記外側施療部の上端部同士を連結する
、マッサージ機。
【請求項5】
前記被施療者の脹脛を施療する脹脛施療部をさらに備え、
前記脹脛施療部は、前記立設部に設けられる、請求項1
~請求項4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記接続部の一方端部は、前記立設部の上端部と回転可能に接続され、
前記接続部の他方端部は、前記外側施療部の前記長手方向の一方端部と回転可能に接続される、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記足支持部は、前記被施療者の足裏が接する足裏接触部をさらに有し、
前記足裏接触部は、手動又は自動で前後方向に移動可能である、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の下腿部及び足部を収容する凹部の内壁面に施療子が設けられた脚用マッサージ機が知られている。この脚用マッサージ機では、被施療者の膝下の部分を施療できる。また、特許文献1は、膝下の部分(脹脛、踵、足の甲など)を施療する膝下マッサージ機構と、膝上の部分を施療する膝上マッサージ機構と、有する下肢用マッサージ機を開示する。膝上マッサージ機構は、被施療者の大腿部に巻き付けられることで、該大腿部を押圧により施療する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなマッサージ機は、被施療者の特定の部位を施療する専用の施療部を複数備えている。そのため、被施療者の下肢部を広範囲に施療するためには、各々の施療部位に近い位置に専用の施療部を配置する必要がある。たとえば、脹脛用の施療部は脹脛の近くに配置され、大腿部用の施療部は脹脛から離れた大腿部の近くに配置される。そのため、マッサージ機が大型化し、複雑な構成になってしまっていた。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、コンパクトな構成で被施療者の下肢部を広範囲に施療できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ機は、左右方向から見て長手方向を有し、被施療者の下肢部の外側部を施療する左右一対の外側施療部と、前記被施療者の足部を支持する足支持部と、前記足支持部の後端部から上方に延びる立設部と、前記立設部の上端部に前記外側施療部の前記長手方向の一方端部を回転可能に接続する接続部と、を備え、前記外側施療部は、前記長手方向が前記被施療者の大腿部に沿って延びる第1周方向位置と、前記長手方向が前記被施療者の下腿部に沿って延びる第2周方向位置とのうちの一方から他方に回転可能である構成(第1の構成)とされる。
【0007】
上記第1の構成のマッサージ機は、前記被施療者の脹脛を施療する脹脛施療部をさらに備え、前記脹脛施療部は、前記立設部に設けられる構成(第2の構成)であってもよい。
【0008】
上記第1又は第2の構成のマッサージ機は、前記外側施療部が前記第1周方向位置及び前記第2周方向位置のうちの一方から他方に回転する際、前記外側施療部の長手方向は、前記外側施療部及び前記接続部間の接続部分を通り且つ左右方向と平行な軸を中心とする周方向において前方を経由して、180度を越えて回転する構成(第3の構成)であってもよい。
【0009】
上記第1~第3のいずれかの構成のマッサージ機は、前記接続部の一方端部は、前記立設部の上端部と回転可能に接続され、前記接続部の他方端部は、前記外側施療部の前記長手方向の一方端部と回転可能に接続される構成(第4の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1~第4のいずれかの構成のマッサージ機は、前記足支持部は、第1固定部を有し、前記第1固定部は、前記外側施療部が前記第2周方向位置にある時、該外側施療部の前記長手方向における他方端部と着脱可能に連結される構成(第5の構成)であってもよい。
【0011】
上記第5の構成のマッサージ機は、前記立設部は、第2固定部を有し、前記第2固定部は、前記外側施療部が前記第2周方向位置にある時、該外側施療部の前記長手方向における一方端部と着脱可能に連結される構成(第6の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第6のいずれかの構成のマッサージ機は、前記外側施療部同士を着脱可能に連結する連結部をさらに備え、前記連結部は、前記外側施療部が前記第1周方向位置にある時、左右一対の前記外側施療部の上端部同士を連結する構成(第7の構成)であってもよい。
【0013】
上記第1~第7のいずれかの構成のマッサージ機は、前記足支持部は、前記被施療者の足裏が接する足裏接触部をさらに有し、前記足裏接触部は、手動又は自動で前後方向に移動可能である構成(第8の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、コンパクトな構成で被施療者の下肢部を広範囲に施療できるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】大腿部を施療可能にした状態のフットレストマッサージ機の構成例を示す斜視図
【
図1B】下腿部を施療可能にした状態のフットレストマッサージ機の構成例を示す斜視図
【
図2A】被施療者の大腿部を施療しているフットレストマッサージ機の斜視図
【
図2B】被施療者の大腿部を施療しているフットレストマッサージ機の側面図
【
図3A】被施療者の下腿部を施療しているフットレストマッサージ機の斜視図
【
図3B】被施療者の下腿部を施療しているフットレストマッサージ機の側面図
【
図8】大腿部を施療可能にした状態のフットレストマッサージ機の他の構成例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1A及び
図1Bは、フットレストマッサージ機100の構成例を示す。
図1Aは、大腿部を施療可能にした状態のフットレストマッサージ機100の斜視図である。
図1Bは、下腿部を施療可能にした状態のフットレストマッサージ機100の斜視図である。
図2A~
図3Bはそれぞれ、被施療者Uに使用されているフットレストマッサージ機100を示す。
図2A及び
図2Bはそれぞれ、被施療者Uの大腿部を施療しているフットレストマッサージ機100の斜視図及び側面図である。
図3A及び
図3Bはそれぞれ、被施療者Uの下腿部を施療しているフットレストマッサージ機100の斜視図及び側面図である。なお、図を見易くするため、
図2B及び
図3Bでは、後述する外側施療部1、足支持部2、及び接続部4を透明で表示している。
【0018】
フットレストマッサージ機100は、被施療者Uが椅子(図示省略)などに着座した状態で使用され、被施療者Uの下肢部を施療する。なお、以下では、フットレストマッサージ機100を「マッサージ機100」と呼ぶ。
【0019】
なお、以下の説明において、マッサージ機100を使用する被施療者Uから見て前側(正面側)を「前方」といい、マッサージ機100を使用する被施療者Uから見て後側(背面側)を「後方」という。前方及び後方のうちの一方から他方に向かう方向を「前後方向」という。
【0020】
また、マッサージ機100を使用する被施療者Uから見て上側(頭側)を「上方」といい、マッサージ機100を使用する被施療者Uから見て下側(脚側)を「下方」という。上方及び下方のうちの一方から他方に向かう方向を「上下方向」という。
【0021】
また、マッサージ機100を使用する被施療者Uから見て左側を「左方」といい、マッサージ機100を使用する被施療者Uから見て右側を「右方」という。左方及び右方のうちの一方から他方に向かう方向を「左右方向」という。
【0022】
また、被施療者Uの「下肢部」は、股関節と足の爪先との間の部分である。下肢部のうち、「大腿部」は股関節と膝との間の部分であり、「下腿部」は膝と踝との間の部分である。「脹脛」は下腿部の後側である。「足部」は、踝よりも下側であって、踝と脚部の爪先との間の部分である。
【0023】
<1.マッサージ機>
マッサージ機100は、被施療者Uの下肢部を施療する。マッサージ機100は、外側施療部1と、足支持部2と、立設部3と、接続部4と、を備える。外側施療部1は、左右一対であり、被施療者Uの下肢部の外側部を施療する。本実施形態では、外側施療部1は、被施療者Uの大腿部及び下腿部のうちのどちらかの外側部を施療可能である。足支持部2は、被施療者Uの足部を支持する。また、足支持部2は、マッサージ機100が設置される床面上に配置され、マッサージ機100の他の部分を支持する。立設部3は、足支持部2の後端部から上方に延びる。接続部4は、立設部3の上端部に外側施療部1の長手方向Lの一方端部を回転可能に接続する。
【0024】
好ましくは、マッサージ機100は、被施療者Uの脹脛を施療する脹脛施療部5をさらに備える。脹脛施療部5は後に説明する。
【0025】
また、本実施形態のマッサージ機100は、脚用のマッサージ器であり、単体で使用可能である。但し、マッサージ機100の用途は、この例示に限定されない。たとえば、マッサージ機100は、被施療者Uの臀部及び大腿部を支持する座部と、背中及び腰部を支持する背もたれ部とを備える椅子型マッサージ機のオットマンとして使用されてもよい。
【0026】
次に、
図1A~
図3Bを参照して、マッサージ機100の各々の構成要素を説明する。
【0027】
<1-1.外側施療部>
外側施療部1は、上下方向及び前後方向に広がる板状である。外側施療部1は、左右方向から見て長手方向Lを有する。左右方向から見た外側施療部1の平面形状は、本実施形態では長方形状である。但し、該平面形状は、長手方向Lを有する形状であれば良く、たとえば楕円形状であってもよい。
【0028】
外側施療部1は、立設部3の上端部を中心とする周方向に回転可能であり、さらに、外側施療部1の長手方向Lにおける一方端部を中心とする周方向に回転可能である。たとえば、外側施療部1は、長手方向Lが被施療者Uの大腿部に沿って延びる第1周方向位置(たとえば
図1A及び
図2A~
図2B参照)と、長手方向Lが被施療者Uの下腿部に沿って延びる第2周方向位置(たとえば
図1B及び
図3A~
図3B参照)とのうちの一方から他方に回転可能である。第1周方向位置は、大腿部を施療する際の外側施療部1の位置である。第2周方向位置は、下腿部を施療する際の外側施療部1の位置である。
【0029】
こうすれば、マッサージ機100は、適宜、外側施療部1を回転移動させることにより、大腿部及び下腿部のうちのどちらか一方を選択的に施療できる。従って、大腿部及び下腿部の両方に施療部が設けられる構成と比べて、マッサージ機100を簡易な構成にして小型化できる。つまり、コンパクトな構成で被施療者Uの下肢部を広範囲に施療できるマッサージ機100を提供することができる。
【0030】
外側施療部1が第1周方向位置及び第2周方向位置のうちの一方から他方に回転する際、外側施療部1の長手方向Lは、外側施療部1及び接続部4間の接続部分を通り且つ左右方向と平行な軸(たとえば後述する第2回転軸Ax2)を中心とする周方向において、前方を経由して、180度を越えて回転する。本実施形態では、長手方向Lは、270°程度回転する。外側施療部1の回転が前方を経由することにより、被施療者Uが座る椅子などにあたることなく、外側施療部1を移動させることができる。さらに、外側施療部1の長手方向Lの前方を経由する回転角度が180度を越えることにより、膝を曲げて座る被施療者Uの大腿部又は下腿部に沿う周方向位置に外側施療部1を確実に移動させることができる。
【0031】
各々の外側施療部1の内部又は被施療者U側を向く面上には、エアバッグ(図示省略)が配置される。エアバッグは、膨縮によって被施療者Uの下肢部の外側部を施療する施療子である。なお、外側施療部1の施療子は、本実施形態の例示に限定されず、エアバッグ以外であってもよい。たとえば、該施療子は、下肢部の外側部を押圧しつつ該下肢部に沿って上下移動するローラー型であってもよいし、揉み玉であってもよいし、下肢部に振動を伝えるバイブレーション型であってもよい。また、各々の外側施療部1には、被施療者Uの下肢部を温める温熱ヒーターがさらに設けられてもよい。
【0032】
<1-2.足支持部>
足支持部2は、台部21と、左右一対の側壁部22と、隆起部23と、を有する。台部21は、前後方向及び左右方向に広がる板状であり、マッサージ機100が設置される床面上に載置される。側壁部22は、台部21の左右方向両端部から上方に延び、前後方向に広がる。隆起部23は、台部21の上面の左右方向中央部から上方に突出し、前後方向に延びる。マッサージ機100を使用する被施療者Uの足部は、台部21、側壁部22、及び隆起部23で囲まれた凹部24にそれぞれ収容される。被施療者Uの足裏は、凹部24の底面に接する。
【0033】
好ましくは、凹部24の底面及び側面のうちの少なくともいずれかには、エアバッグ(図示省略)が配置される。たとえば、凹部24の底面にエアバッグを配置することで、膨縮により被施療者Uの足裏を施療できる。また、側壁部22及び隆起部23のうちの少なくともどちらかの足部側の側面(つまり凹部24の側面)にエアバッグを配置することで、膨縮により被施療者Uの足部を左右方向両側から挟んで施療できる。なお、本実施形態の例示に限定されず、エアバッグ以外の施療子が、凹部24に設けられてもよい。たとえば、該施療子は、足部を押圧しつつ移動するローラー型であってもよいし、揉み玉であってもよいし、足部に振動を伝えるバイブレーション型であってもよい。また、凹部24の底面及び側面のうちの少なくともいずれかには、被施療者Uの足部を温める温熱ヒーターがさらに設けられてもよい。
【0034】
次に、足支持部2は、第1固定部25を有する。第1固定部25は、
図1B及び
図3A~
図3Bに示すように外側施療部1が第2周方向位置にある時、該外側施療部1の長手方向Lにおける他方端部と着脱可能に連結される。第1固定部25は、たとえば、各々の側壁部22の上端部に配置される。第1固定部25は、第2周方向位置にある外側施療部1の長手方向Lにおける他方端部を足支持部2に固定できる。なお、上述のごとく、第2周方向位置にある外側施療部1の長手方向Lにおける一方端部は、接続部4を介して立設部3に接続されている。そのため、たとえば下腿部の外側部を施療することによって外側施療部1に左右方向外側を向く力が作用しても、外側施療部1が左右方向外側に動くことを防止できる。従って、外側施療部1は、施療強度を低下させることなく、下腿部の外側部を十分に施療できる。
【0035】
また、好ましくは、足支持部2において被施療者Uの足裏が接する面は前後方向に移動可能である。
図4は、足支持部2の他の構成例を示す側面図である。
図4において、足支持部2は、被施療者Uの足裏が接する足裏接触部26をさらに有する。足裏を施療する施療子、温熱ヒーターなどは、足裏接触部26に設けることができる。足裏接触部26は、たとえば、凹部24の底面上に配置される。足裏接触部26は、手動又は自動で前後方向に移動可能である。たとえば、足裏接触部26は、凹部24の底面に沿って、前後方向にスライド可能であってもよい。或いは、足裏接触部26は、立設部3の下端部に接続されていてもよい。この際、左右方向と平行な軸を中心とする周方向において、足裏接触部26は、後述する回動可能な立設部3(
図4の点線の矢印参照)とともに、回動可能であってもよい。若しくは、足裏接触部26は、立設部3とは独立して、回動可能であってもよい。これらのような回動によっても、足裏接触部26は、前後方向に移動できる。足裏接触部26を移動可能にすることで、被施療者Uは、足部が固定されることなく、より楽な姿勢で快適な施療を受けることができる。
【0036】
<1-3.立設部>
立設部3は、壁部31と、凸部32と、を有する。壁部31は、上下方向及び左右方向に広がる板状である。凸部32は、壁部31の前面の左右方向中央部から前方に突出し、上下方向に延びる。被施療者Uがマッサージ機100を使用する際、凸部32は、左右一対の下腿部の間に配置される。従って、外側施療部1は、下腿部の外側部を施療する際、凸部32との間に該下腿部を挟むことができる。従って、施療時に下腿部が内側に移動することを凸部32で防止できるので、外側施療部1は下腿部を十分に施療できる。
【0037】
好ましくは、立設部3は、第2固定部33を有する。
図5は、立設部3の第1変形例を示す側面図である。第2固定部33は、立設部3の上端部において、壁部31の左右方向両端部に配置される。また、
図5では、第2固定部33は、壁部31の左右方向両端部において、該壁部31の前部に配置される。第2固定部33は、外側施療部1が第2周方向位置にある時、該外側施療部1の長手方向Lにおける一方端部と着脱可能に連結される。なお、上述のごとく、第2周方向位置にある外側施療部1の長手方向Lにおける他方端部は、第1固定部25により足支持部2に接続されている。
図5ではさらに、第2周方向位置にある外側施療部1の長手方向Lにおける一方端部が、第2固定部33により立設部3に接続される。こうすれば、外側施療部1の長手方向Lにおける両端部がそれぞれ足支持部2及び立設部3に接続されることにより、第2周方向位置にある外側施療部1をより確実に固定できる。
【0038】
また好ましくは、立設部3は、第3固定部34をさらに有する。
図6は、立設部3の第2変形例を示す側面図である。第3固定部34は、立設部3の上端部において、壁部31の左右方向両端部に配置される。第3固定部34は、外側施療部1が第1周方向位置にある時、
図6に示すように外側施療部1と着脱可能に連結される。つまり、第3固定部34は、第1周方向位置にある外側施療部1を立設部3に固定できる。そのため、たとえば大腿部の外側部を施療することによって外側施療部1に左右方向外側を向く力が作用しても、外側施療部1が左右方向外側に動くことを防止できる。従って、外側施療部1は、施療強度を低下させることなく、大腿部の外側部を十分に施療できる。
【0039】
立設部3には、脹脛施療部5が設けられる。本実施形態では、脹脛施療部5は、左右一対であり、凸部32よりも左右方向の外側にそれぞれ配置される。脹脛施療部5は、たとえば
図2Bなどに示すように壁部31の前端部に内蔵されていてもよいし、壁部31の前面に配置されてもよい。脹脛施療部5を立設部3に設けることにより、脹脛の施療と、外側施療部1の施療とを同時に実施できる。たとえば、外側施療部1が第1周方向位置にある場合、大腿部の外側部と脹脛とを同時に施療できる。また、外側施療部1が第2周方向位置にある場合、脹脛の外側部と後部とを同時に施療できる。脹脛施療部5の施療を外側施療部1の施療と組み合わせることにより、被施療者Uは、異なる感覚の快適な施療を受けることができる。
【0040】
脹脛施療部5は、本実施形態では膨縮により被施療者Uの脹脛を施療するエアバッグである。但し、本実施形態の例示に限定されず、脹脛施療部5は、エアバッグ以外の施療子であってもよい。たとえば、該施療子は、脹脛を押圧しつつ移動するローラー型であってもよいし、揉み玉であってもよいし、脹脛に振動を伝えるバイブレーション型であってもよい。
【0041】
また、立設部3には、被施療者Uの脹脛を温める温熱ヒーターがさらに設けられてもよい。
【0042】
また、
図7は、立設部3の第3変形例を示す側面図である。
図7に示すように、好ましくは、立設部3の上端部は、手動又は自動で前後方向に移動可能である。壁部31の下端部は、足支持部2の後端部と回転可能に接続されてもよい。たとえば、壁部31は、左右方向と平行な軸を中心とする周方向に回動可能であってもよい。該軸は、たとえば、足支持部2の後端部と壁部31との接続部分を通ってもよいし、壁部31の上下方向中央部を通ってもよい。但し、左右方向から見た該軸の位置は、これらに限定されない。被施療者Uは、たとえば、下腿部の上端部で壁部31の上端部を後方に押すことで、立設部3の上端部を後方に移動させ、つまり、立設部3を上方に向かうにつれて後方に傾かせることができる。また、被施療者Uは、壁部31の上端部の押圧を緩めたり解除したりすることで、立設部3の上端部を前方に移動させ、つまり、左右方向から見た立設部3の傾きをより小さくして鉛直となるように戻すことができる。立設部3を上述のように傾かせることにより、マッサージ機100を使用する被施療者Uは、下肢部をより快適な姿勢にして、下肢部の施療を受けることができる。また、立設部3の傾きを足裏接触部26の前後移動と連動させることにより、下肢部の下端部が固定されないようにして、被施療者Uにたとえば浮遊感を感じさせることができる。従って、被施療者Uは、くつろいで施療を受けることができる。
【0043】
<1-4.接続部>
接続部4は、左右一対のアーム部材であり、本実施形態では棒状である。立設部3の左右方向両端部において、各々の接続部4の一方端部は、立設部3の上端部と回転可能に接続される。つまり、接続部4は、第1回転軸Ax1を中心に回転可能である。第1回転軸Ax1は、左右方向と平行であり、接続部4の一方端部と立設部3の上端部との接続部分を通る。第1回転軸Ax1を中心とする周方向において、前方を経由する外側施療部1の回転角度は、たとえば本実施形態では30°程度回転する。但し、該回転角度は、この例示に限定されない。
【0044】
また、各々の接続部4の他方端部は、外側施療部1の長手方向Lの一方端部と回転可能に接続される。つまり、外側施療部1は、接続部4に対して第2回転軸Ax2を中心に回転可能である。第2回転軸Ax2は、左右方向と平行であり、接続部4の他方端部と外側施療部1の長手方向Lの一方端部との接続部分を通る。第2回転軸Ax2を中心とする周方向において、外側施療部1は、前方を経由して、180度を越えて回転する。たとえば外側施療部1は、270°まで回転可能であり、本実施形態では240°程度回転する。
【0045】
こうすれば、外側施療部1は、接続部4と2つの関節部分を有して、立設部3の上端部を中心に回転できる。従って、外側施療部1の長手方向Lの一方端部が直接に立設部3に接続される場合と比べて、外側施療部1を大きく回転できるとともに、回転後の外側施療部1をより適切な姿勢にすることができる。たとえば、第1回転軸Ax1を中心とする回転によって外側施療部1を被施療者Uの大腿部及び下腿部のうちの一方の施療部側に移動させ、第2回転軸Ax2を中心とする回転によって外側施療部1をその長手方向Lが上記一方の施療部に沿って延びる姿勢にすることができる。
【0046】
接続部4の一方端部と立設部3の上端部との接続部分には、第1固定機構41が設けられる。接続部4の他方端部と外側施療部1の長手方向Lの一方端部との接続部分には、第2固定機構42が設けられる。つまり、マッサージ機100は、第1固定機構41と、第2固定機構42と、をさらに備える。第1固定機構41及び第2固定機構42は、各々の接続部分を一時的に固定する。たとえば、第1固定機構41は、立設部3の上端部に対して接続部4を一時的に固定して回転不能にする。第2固定機構42は、外側施療部1の長手方向Lの一方端部に対して接続部4を一時的に固定して回転不能にする。こうすれば、第1固定機構41及び第2固定機構42によって、第1周方向位置及び第2周方向位置における外側施療部1の位置及び姿勢を維持できる。なお、第1固定機構41及び第2固定機構42による固定は、手動又は自動で解除可能である。
【0047】
<1-5.連結部>
このほか、マッサージ機100は、左右一対の外側施療部1同士を着脱可能に連結する連結部6をさらに備えてもよい。
図8は、大腿部を施療可能にした状態のマッサージ機100の他の構成例を示す斜視図である。
【0048】
図8に示すように、連結部6は、外側施療部1が第1周方向位置にある時、左右一対の外側施療部1の上端部同士を連結する。連結部6は、屈曲性を有するベルトであってもよいし、金具であってもよい。こうすれば、たとえば大腿部の外側部を施療することによって外側施療部1に左右方向外側を向く力が作用しても、外側施療部1が左右方向外側に動くことを防止できる。従って、外側施療部1は、施療強度を低下させることなく、大腿部の外側部を十分に施療できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0050】
100・・・(フットレスト)マッサージ機、1・・・外側施療部、2・・・足支持部、21・・・台部、22・・・側壁部、23・・・隆起部、24・・・凹部、25・・・第1固定部、26・・・足裏接触部、3・・・立設部、31・・・壁部、32・・・凸部、33・・・第2固定部、34・・・第3固定部、4・・・接続部、41・・・第1固定機構、42・・・第2固定機構、5・・・脹脛施療部、6・・・連結部、U・・・被施療者、L・・・長手方向