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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】シュリンク包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20240227BHJP
   B65D 71/08 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B65D77/20 S
B65D71/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020144397
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2021160831
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2020059801
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】荒内 隆志
(72)【発明者】
【氏名】足立 隼人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 美香
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05326577(US,A)
【文献】特公昭59-012535(JP,B2)
【文献】特開2015-009876(JP,A)
【文献】特開平05-319452(JP,A)
【文献】特開2002-205712(JP,A)
【文献】実公昭50-029007(JP,Y1)
【文献】特開平06-247426(JP,A)
【文献】特開平03-187821(JP,A)
【文献】米国特許第05741535(US,A)
【文献】米国特許第05002783(US,A)
【文献】米国特許第04755403(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 71/00-71/08
B65B 53/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および底部から立ち上がる側部を有して上方に開口する収納容器と、
前記収納容器を包み込む第1のシュリンクフィルムと、
前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器の開口を覆う開口被覆部に積層されるシート部材と、を備え、
前記収納容器は、その側部が底部から広がって立ち上がっており、
前記シート部材は、前記収納容器の底部と略同一形状であり、
前記収納容器の開口縁と前記シート部材の外縁の間には、幅が略一定の隙間が形成されている、シュリンク包装体。
【請求項2】
底部および底部から立ち上がる側部を有して上方に開口する収納容器を上下に複数重ね合わせてなる収納容器群と、
前記収納容器群を包み込む第1のシュリンクフィルムと、
前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器群のうち最上位に位置する収納容器の開口を覆う開口被覆部に積層されるシート部材と、を備え、
前記収納容器は、その側部が底部から広がって立ち上がっており、
前記シート部材は、前記収納容器の底部と略同一形状であり、
前記収納容器の開口縁と前記シート部材の外縁の間には、幅が略一定の隙間が形成されている、シュリンク包装体。
【請求項3】
底部および底部から立ち上がる側部を有して上方に開口する収納容器と、
前記収納容器を包み込む第1のシュリンクフィルムと、
前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器の開口を覆う開口被覆部に積層されるシート部材と、を備え、
前記第1のシュリンクフィルムは微細孔を有し、
前記第1のシュリンクフィルムに部分的に被せられる、微細孔を有しない第2のシュリンクフィルムをさらに備え、
前記第2のシュリンクフィルムは、前記第1のシュリンクフィルムの微細孔を塞いでおり、
前記第2のシュリンクフィルムは筒状の形状をしており、
前記第1のシュリンクフィルムの上から、前記収納容器または収納容器群の側部の全周にわたって被せられている、シュリンク包装体。
【請求項4】
底部および底部から立ち上がる側部を有して上方に開口する収納容器を上下に複数重ね合わせてなる収納容器群と、
前記収納容器群を包み込む第1のシュリンクフィルムと、
前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器群のうち最上位に位置する収納容器の開口を覆う開口被覆部に積層されるシート部材と、を備え、
前記第1のシュリンクフィルムは微細孔を有し、
前記第1のシュリンクフィルムに部分的に被せられる、微細孔を有しない第2のシュリンクフィルムをさらに備え、
前記第2のシュリンクフィルムは、前記第1のシュリンクフィルムの微細孔を塞いでおり、
前記第2のシュリンクフィルムは筒状の形状をしており、
前記第1のシュリンクフィルムの上から、前記収納容器または収納容器群の側部の全周にわたって被せられている、シュリンク包装体。
【請求項5】
前記シート部材の面積は、前記収納容器の開口の最大開口面積に対して70%~90%である、請求項1から請求項4のいずれかに記載のシュリンク包装体。
【請求項6】
前記シート部材の厚みが、25μm~110μmであり、
前記第1のシュリンクフィルムの厚みに対する前記シート部材の厚みの比が3~14である、請求項1から請求項5のいずれかに記載のシュリンク包装体。
【請求項7】
前記第1のシュリンクフィルムは、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂の少なくとも一種から構成され、
前記シート部材は、紙、生分解性樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂の少なくとも一種から構成される、請求項1から請求項6のいずれかに記載のシュリンク包装体。
【請求項8】
前記シート部材は、前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器の側部を覆う側被覆部または底部を覆う底被覆部にも積層されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載のシュリンク包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器を第1のシュリンクフィルムで包装してなるシュリンク包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の収納容器として、おかずケースと一般に称されるものが知られている。このようなおかずケースとしては、食品メーカー向けの業務用としてだけではなく、家庭用としても広く用いられている。
【0003】
おかずケースは、紙や樹脂フィルムやアルミニウム箔などのシート体をプレス成形することで形成されており、底壁と底壁から広がって立ち上がる周壁を有して上方に開口し、周壁には製法に由来する多数の襞が形成されている。
このような家庭用のおかずケースは、トラック輸送などを含めた流通時や小売店における販売時に、おかずケースに塵や雑菌などが付着するのを防ぐために、複数個を重ね合わせたうえで包装した状態で市場に供される。
たとえば特許文献1には、重ね合わせたおかずケースを蓋付きのプラスチック製包装カップで包装することが開示されている。
【0004】
ところで近年、環境への負荷を考慮して、プラスチック材料を極力減らす試みがなされており、その一環として、特許文献2のように、重ね合わせたおかずケースをシュリンク包装技術により第1のシュリンクフィルムで包み込むことも提案されている。
このように、包装材をプラスチック製のカップから第1のシュリンクフィルムに変えることで、プラスチック材料の使用量を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-136282号公報
【文献】特開2005-335764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1のシュリンクフィルムは厚みが小さいため、それ自体の強度は高くない。
加えて、おかずケースのように上方に開口する収納容器については、シュリンク包装した際に、フィルムは、底壁から周壁にかけての外面にはほぼ密着するものの、開口を覆うフィルムと収納容器の底壁内面との間に広い空間が生じてしまう。このように、第1のシュリンクフィルムの収納容器の開口を覆う箇所が浮き上がった状態となると、収納容器の外面に密着した箇所などと比較しても、特に破れが生じやすいといえる。
具体的には、運搬の際に、シュリンク包装体同士を上下にスタッキングしたり、店頭での陳列の際に、いたずらで開口を覆うフィルムを指で押されたりしただけで、包装が破けてしまうことが懸念される。
【0007】
また、シュリンク包装の工程を実施する際には、内部の空気を逃がして第1のシュリンクフィルムを収納容器の外面に密着させるために、フィルムのほぼ全面に空気抜き用の微細孔を設けることが不可欠となる。
しかし、このように微細孔が形成されていると、運搬中や陳列中に、フィルムの開口を覆う箇所の当該微細孔を通じて容器の内部へと埃や雑菌が侵入する恐れがあり、衛生的ではない。
【0008】
そこで本発明の解決すべき課題は、おかずケースのような収納容器をシュリンク包装してなるシュリンク包装体について、容器の開口を覆う箇所の第1のシュリンクフィルムが破れるのを防止するとともに、第1のシュリンクフィルムの微細孔を通じて収納容器の内部にほこりや雑菌が侵入するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するため、発明にかかるシュリンク包装体を、底部および底部から立ち上がる側部を有して上方に開口するおかずケースなどの収納容器と、前記収納容器を包み込む第1のシュリンクフィルムと、前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器の開口を覆う開口被覆部に積層されるシート部材と、を備える構成としたのである。
また、発明にかかるシュリンク包装体を、底部および底部から立ち上がる側部を有して上方に開口する収納容器を上下に複数重ね合わせてなる収納容器群と、前記収納容器群を包み込む第1のシュリンクフィルムと、前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器群のうち最上位に位置する収納容器の開口を覆う開口被覆部に積層されるシート部材と、を備える構成としたのである。
【0010】
発明にかかるシュリンク包装体を以上のように構成すると、第1のシュリンクフィルムは開口被覆部においてシート部材が積層されている分だけ包装材の厚みが増しているため、強度が向上しており、開口被覆部におけるフィルムの破れが抑制されている。
また、開口被覆部において、第1のシュリンクフィルムに形成されている排気用の微細孔がシート部材の積層により塞がれるため、開口部から収納容器の内部へと微細孔を通じて塵埃や雑菌などが侵入することが防がれており、衛生面でも改善されている。
【0011】
発明にかかるシュリンク包装体において、前記シート部材は、前記収納容器の開口の最大開口面積に対して70%~90%の範囲である構成を採用するのが好ましい。
また、前記収納容器は、その側部が底部から広がって立ち上がっている場合、前記シート部材は、前記収納容器の底部と略同一形状であり、前記収納容器の開口縁と前記シート部材の外縁の間には、幅が略一定の隙間が形成されている構成を採用するのが好ましい。
【0012】
発明にかかるシュリンク包装体において、前記シート部材の厚みが、25μm~110μmであり、前記第1のシュリンクフィルムの厚みに対する前記シート部材の厚みの比が3~14である構成を採用するのが好ましい。
また、前記第1のシュリンクフィルムは、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂の少なくとも一種から構成され、前記シート部材は、紙、生分解性樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂の少なくとも一種から構成されるのが好ましい。
発明にかかるシュリンク包装体において、前記シート部材は、前記第1のシュリンクフィルムの前記収納容器の側部を覆う側被覆部または底部を覆う底被覆部にも積層されている構成を採用することができる。
【0013】
発明にかかるシュリンク包装体において、前記第1のシュリンクフィルムは微細孔を有し、前記第1のシュリンクフィルムに部分的に被せられる、微細孔を有しない第2のシュリンクフィルムをさらに備え、前記第2のシュリンクフィルムは、前記第1のシュリンクフィルムの微細孔を塞いでいる構成を採用することができる。
この場合に、前記第2のシュリンクフィルムは筒状の形状をしており、前記第1のシュリンクフィルムの上から、前記収納容器または収納容器群の側部の全周にわたって被せられている構成を採用することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
シュリンク包装体を以上のように構成したので、容器の開口を覆う箇所の第1のシュリンクフィルムが破れるのを防止するとともに、第1のシュリンクフィルムの微細孔を通じて収納容器の内部にほこりや雑菌が侵入するのを防止することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図2】収納容器群の斜視図
図3】シート部材を積層する前のシュリンク包装体の側面図
図4】シート部材を積層する前のシュリンク包装体の斜視図
図5】第2実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図6】第3実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図7】第4実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図8】第5実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図9】第6実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図10】第7実施形態のシュリンク包装体の斜視図
図11】第8実施形態のシュリンク包装体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1から4に示す第1実施形態のシュリンク包装体1は、包装対象としての収納容器群10と、シュリンク包装により収納容器群10を包み込んでなる第1のシュリンクフィルム20と、第1のシュリンクフィルムの外面の特定位置に積層されたシート部材30とからなる。
シュリンク包装体1は、この状態で市場に流通し、購入先において第1のシュリンクフィルム20が破られ、収納容器群10から重なり合う収納容器11が個別に取り出され、収納の用に供される。
【0017】
図2に示すように、収納容器群10は、複数の収納容器11を上下に重ね合わせてなる。各収納容器11は、底壁11aと底壁11aから立ち上がる側壁11bとからなり、上方に開口11cを有している。重なり合う収納容器11同士は、底壁11aと底壁11a、側壁11bと側壁11bが接触している。
収納容器11の種類は特に限定されないが、紙等のシート体からなり、お弁当のおかず等の食品の収納用として広く使用されているおかずケースが例示できる。
【0018】
図2に示される収納容器11は、このようなおかずケースであり、平面状のシート体(ブランク)をプレス成形装置を用いて所望の形状にプレス成形することにより製造されるものである。
収納容器11としてのおかずケースは、平面視円形の底壁11aと底壁11aから広がって立ち上がる側壁11bとを有し、側壁11bのほぼ全域にはプレス成形法に由来する縦縞状の襞11dが形成されている。
ここで、収納容器11としてのおかずケースを製造するためのシート体としては、特に限定されないが、紙、樹脂フィルム、アルミニウム箔、またはこれらを貼り合わせた複合基材が例示できる。
なお、収納容器11としてのおかずケースをプレス成形により製造するにあたっては、複数枚のブランクを積層した状態でプレス成形装置へと供給し、プレスすることで重なり合った状態で同時に複数を製造することができ、これをそのまま収納容器群10として利用することも可能である。
【0019】
収納容器11は、図2では底壁11aが平面視で円形であるものを示しているが、形状はこれに限定されず、底壁11aが平面視で楕円形であったり、あるいは、三角形や四角形などの多角形としてもよい。
収納容器群10における収納容器11の数や、各収納容器11の寸法も特に限定されない。
【0020】
図1図3および図4に示すように、収納容器群10を包み込む第1のシュリンクフィルム20は、収納容器群10のうち最下段をなす収納容器11の底壁11aの外面に密着する底被覆部21と、上下に並列する収納容器11の側壁11bの外縁に密着する側被覆部22と、最上段の収納容器11の開口11cを覆う開口被覆部23からなる。
第1のシュリンクフィルム20は一般的なシュリンク包装技術を用いることで、収納容器群10を包み込んでおり、その収縮時に包装体内の空気を外部に逃がすための図示しない微細孔がほぼ全面に施されている。なお、微細孔の形成範囲および形成位置はこれに限定されず、空気を外部にスムーズに逃がすことができる限りにおいて、局部的に形成することもできる。また、微細孔の数も問わない。
図3および図4のように、第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23および側被覆部22には、製法に由来するフィルム溶着ライン24が形成されている。フィルム溶着ライン24は、開口被覆部23を横断しその両端部は側被覆部22の上下方向の中途において終端している。
【0021】
第1のシュリンクフィルムの種類は特に限定されないが、一般的なシュリンク包装に用いられるものとして、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のフィルムを例示できる。2軸延伸のシュリンクフィルムが使用される。
第1のシュリンクフィルムの厚みとしては、7.5μm~30μmが好ましく、15μm~20μmがより好ましい。第1のシュリンクフィルムの厚みが7.5μmを下回ると、強度が不足しシュリンク包装体1の運搬中などにフィルムが破れやすくなり、厚みが30μmを上回ると、プラスチック材料の使用量が過剰となって環境への負荷が大きくなるとともに、フィルムの剛性が増して収納容器11への密着の妨げとなる。
【0022】
図1および図4に示すように、シート部材30は、第1のシュリンクフィルム20全体のうち、開口被覆部23から側被覆部22にかけての外面に積層されている。
シート部材30は、開口被覆部23に積層される円形の開口積層部31と、側被覆部22に積層される一対の方形の側積層部32と、開口積層部31と各側積層部32を繋ぐ帯状の連結部33とからなり、このシート部材30により、第1のシュリンクフィルムのフィルム溶着ライン24は隠蔽されている。
シート部材30の積層により、第1のシュリンクフィルム20の破れやすい開口被覆部23を補強することができるので、当該箇所の破れを防ぐことができるとともに、当該箇所における微細孔を閉塞することができるので、収納容器11の内部への塵埃等の侵入を防ぐことができる。
また、シート部材30の積層により第1のシュリンクフィルム20のフィルム溶着ライン24を隠蔽できるため、シュリンク包装体1の外面にフィルム溶着ライン24が現れずに見た目がよいうえに、フィルム溶着ライン24に直接手指が触れないため触り心地も改善されている。
【0023】
シート部材30の第1のシュリンクフィルム20への積層の態様は特に限定されず、貼り合わせや溶着が例示できる。シート部材30を第1のシュリンクフィルムに貼り合わせる場合の接着剤や粘着剤の種類も特に限定されないが、水溶性よりも粘着性の高いものとして溶剤系のアクリル系接着剤が例示できる。
また、図1ではシート部材30は、開口被覆部23から側被覆部22にかけての外面に積層されているが、これらの内面に積層してもよい。内面に積層した場合、シュリンク包装体1の外面に、第1のシュリンクフィルム20とシート部材30の段差が現れないため、手触りがよい。
シート部材30の積層工程は、第1のシュリンクフィルム20による収納容器群10のシュリンク包装工程の前後のいずれにおこなってもよいが、シュリンク包装工程の後に積層するほうが、フィルムに設けられた微細孔の空気抜き効果を十分に発揮することができる。シート部材30を開口被覆部23から側被覆部22にかけての内面に積層する場合、シュリンク包装工程の前に積層することになる。
【0024】
このようなシート部材30は、その材質は限定されないが、紙、樹脂フィルム、金属箔などが例示できる。
シート部材30としての樹脂フィルムの例としては、生分解性樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルムまたはポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂を主原料とした合成紙(ユポ(登録商標))が挙げられる。
また、シート部材30としての金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔が挙げられる。さらに、シート部材30として、これらの材質を複数積層するなどして組み合わせたものを用いてもよい。
【0025】
シート部材30は透明でも不透明でもよく、透明の場合、シュリンク包装体1の購入時などに収納容器11の内部を視認することが容易となり、不透明の場合、パッケージ表示やバーコードなどが印刷されたラベルとしても兼用することが容易となる。
図1では、シート部材30をラベルとしても兼用しており、パッケージ表示35が印刷されている。
シート部材30は、その一部を透明とし、その余を不透明としてもよく、透明の箇所から収納容器11の内部を視認し、不透明の箇所にパッケージ表示等を印刷することも可能である。
【0026】
シート部材30の厚みは、材質によって異なるが、第1のシュリンクフィルム20の破れを防ぐことができる程度の強度を発揮する厚みであればよく、25μm~110μmの範囲内であればよく、より好ましくは40μm~100μmの範囲内であればよい。
シート部材30の厚みが25μmを下回ると、第1のシュリンクフィルム20を補強する効果が不十分となって開口被覆部23に破れを生じたり、そのフィルム溶着ライン24を隠蔽する効果が不十分となってシート部材30の上にフィルム溶着ライン24の形状が浮きあがり見た目が悪くなったり手触りが悪くなったりするおそれがある。また、シート部材30の厚みが110μmを上回ると、材料が過剰となってコスト高となる。
シート部材30の材料としては、特にCPP、合成紙、C-PETなどは伸びにくくフィルムが破れにくい特徴があるため好ましい。
また、第1のシュリンクフィルム20の厚みd(μm)に対するシート部材30の厚みD(μm)の比D/dが3~14を満足するとき、第1のシュリンクフィルム20の破れを効果的に防ぐことができる。比D/dが3未満の場合、シート部材30が第1のシュリンクフィルム20の破れを防ぐのに十分な厚みとならないことがある。比D/dが14超の場合、第1のシュリンクフィルム20に対してシート部材30の厚みが厚くなりすぎて柔軟性が低下することになり第1のシュリンクフィルムへの積層時の追従性が低下して、適切に積層できないことがある。
【0027】
シート部材30の形状は、図1および図4では円形の開口積層部31、方形の側積層部32および帯状の連結部33の複合形状としているが、特に限定されず、少なくとも第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23の外面に積層可能であり、かつ当該箇所のフィルム溶着ライン24を隠蔽可能な形状であれば特に限定されない。
シート部材30のその他の形状としては、円形、楕円形、三角形や四角形などの多角形が例示できる。
シート部材30の寸法は特に限定されないが、収納容器11の開口11cの最大開口面積に対して70%~90%の大きさであることが好ましい。
シート部材30の寸法が、収納容器11の開口11cの最大開口面積に対して70%の大きさを下回ると、フィルム溶着ライン24の隠蔽が不十分となったり、開口被覆部23の補強が不十分となるおそれがある。
また、シート部材30が不透明である場合に、その寸法が、収納容器11の開口11cの最大開口面積に対して90%の大きさを上回ると、開口11cの外縁とシート部材30の外縁との間にほとんど隙間がないため、シュリンク包装体1の包装状態において、収納容器11の内部を視認することが困難となる。
当該数値範囲が90%以下である場合、収納容器11の底部内面と側部内面にデザイン印刷が施されていたりすると、開口11cの外縁とシート部材30の外縁との隙間から、これを視認することで、包装状態のままでその意匠性を発揮することができる。収納容器内部に小分けした冷凍ないし冷蔵食品を収納した上でシュリンク包装されている場合には、前記隙間を通じて食品を判別することできる。
【0028】
本実施形態における、収納容器11の平面視円形の底壁11aと、シート部材30の開口積層部31のように、収納容器11の底壁11aとシート部材30の開口11cを被覆する箇所の形状とは、略同一形状であるのが好ましい。
このようにすると、収納容器11の開口11cの形状と、シート部材30の開口積層部31の形状とが略相似形となるため、開口11cの外縁と開口積層部31の外縁の間に形成される環状の隙間の幅が略一定となる。したがって、いたずらなどにより開口被覆部23が指で押された場合に、前記環状の隙間における第1のシュリンクフィルム20にかかる力が周方向のいずれの箇所においても略均等に分散される。このように、指の力が第1のシュリンクフィルム20の一部に集中することがなく、その破れが一層防止される。
また、収納容器11の開口11cの形状と、シート部材30の開口積層部31の形状とが略相似形であると、第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23上のフィルム溶着ライン24を隠蔽するのが容易となる。
【0029】
図5に第2実施形態のシュリンク包装体2を示す。
この実施形態では、シート部材30は、第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23に積層される円形の開口積層部31のみからなる。
この場合でも、第1のシュリンクフィルム20全体のうち、最も破れやすい開口被覆部23がシート部材30により補強されるため、その破れを抑制することができ、また、フィルム溶着ライン24のうち最も目立ちかつ手指が触れやすい開口被覆部23上にある個所が隠蔽されるため、美感や手触りの改善効果が相応に発揮される。
シート部材30が開口積層部31のみからなるため、第1のシュリンクフィルム20への積層作業が容易であり、作業負担や材料にかかわるコストも抑えることができる。
【0030】
図6に第3実施形態のシュリンク包装体3を示す。
この実施形態では、シート部材30は、第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23に積層される円形の開口積層部31と、これとは別体に側被覆部22に積層される方形の側積層部32とからなり、連結部33を有していない。
シート部材30の開口積層部31と側積層部32とが分離しているため、個別に第1のシュリンクフィルムに積層することができ、積層作業が容易である。
側被覆部22上のフィルム溶着ライン24のうち、最も尖りの大きな終端部が側積層部32により隠蔽されるため、美感や手触りの改善効果が良好に発揮される。
【0031】
図7に第4実施形態のシュリンク包装体4を示す。
この実施形態では、シート部材30の円形の底積層部34が、第1のシュリンクフィルム20の底被覆部21に積層されている。なお、図示しないが、第2実施形態と同様に、シート部材30は、第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23にも積層されている。
これにより、運搬時などに摩耗しやすい底被覆部21を補強して、第1のシュリンクフィルム20の底からの破れを防止できる。
また、この実施形態では、フィルム溶着ライン24が、第1のシュリンクフィルム20の底被覆部21を横断し側被覆部の中途で両端が終端しているが、その一部である底被覆部21のフィルム溶着ライン24が底積層部34により隠蔽されているため、美観や手触りの改善効果が相応に発揮される。
【0032】
図8に第5実施形態のシュリンク包装体5を示す。
この実施形態では、収納容器11は、その底壁11aが角隅が丸まった長方形をしており、ここから広がって立ち上がる側壁11bには、その底壁11aの角隅に対応する箇所のみに襞11dが形成されている。
また、シート部材30は、第1のシュリンクフィルム20の開口被覆部23にのみ積層されているが、その形状は、収納容器11の底壁11aとほぼ同一形状の角丸長方形となっている。
【0033】
図9に第6実施形態のシュリンク包装体6を示す。
この例では、円形の開口積層部31のみからなるシート部材30を第1のシュリンクフィルム20から剥がすことで、第1のシュリンクフィルム20に窓25が自動的に形成されるようになっている。
このため、窓25に手指を入れてフィルムを引き裂くことで、収納容器11を使用する際に、容易に包装を解くことが可能となっている。
窓25の形成態様は特に限定されないが、第1のシュリンクフィルム20のシート部材積層箇所にスリットをあらかじめ入れておいたり、シート部材積層箇所の微細孔がミシン目状に配置されるように調整し、シート部材30を剥がす際に破断するようにしたりすることが例示できる。
【0034】
図10に第7実施形態のシュリンク包装体7を示し、図11に第8実施形態のシュリンク包装体8を示す。
シュリンク包装体7においては、収納容器11は、その底壁11aが平面視円形をしており、ここから広がって立ち上がる側壁11bのほぼ全域には、襞11dが形成されている。また、シュリンク包装体8においては、収納容器11は、その底壁11aが平面視において角隅が丸まった長方形をしており、ここから広がって立ち上がる側壁11bには、その底壁11aの角隅に対応する箇所のみに襞11dが形成されている。
これらの例では、筒状の形状の第2のシュリンクフィルム40が、第1のシュリンクフィルム20の側被覆部22の全周に被せられている。
第2のシュリンクフィルム40は、一般的なシュリンク包装技術を用いることで、第1のシュリンクフィルム20の外面に密着するように収縮されている。
第2のシュリンクフィルム40は、上下に開口しているため、空気を外部に逃がすための微細孔を設ける必要がない。このため、第2のシュリンクフィルム40は、第1のシュリンクフィルム20とは異なり、微細孔が設けられていない。
【0035】
第2のシュリンクフィルム40により、第1のシュリンクフィルム20の側被覆部22が覆われ、保護されるため、第1のシュリンクフィルム20の破れが抑制される。
第2のシュリンクフィルム40により、第1のシュリンクフィルム20の側被覆部22上に形成された微細孔が閉塞されている。これにより、収納容器11の内部への塵埃等の侵入を防ぐことができる。第1のシュリンクフィルム20の微細孔を、側被覆部22のみに局部的に設けるようにしておけば、微細孔のほぼすべてを第2のシュリンクフィルム40で閉塞することができるため、塵埃等の侵入防止に万全を期すことができる。
また、第2のシュリンクフィルム40により、第1のシュリンクフィルム20の側被覆部22上に現れたフィルム溶着ライン24が隠蔽されている。このため、フィルム溶着ライン24が直接手指に触れず触り心地も改善されている。
【0036】
第2のシュリンクフィルム40は、透明でも不透明でもよく、透明の場合、シュリンク包装体7、8の購入時などに収納容器11の内部を視認することが容易となり、不透明の場合、パッケージ表示やバーコードなどが印刷されたラベルとしての機能を持たせることが可能となる。
図10図11では、第2のシュリンクフィルム40にラベルとしての機能を持たせており、パッケージ表示41が印刷されている。この場合、パッケージ表示41によりフィルム溶着ライン24が視認しがたくなるため、見た目もよい。
【0037】
第2のシュリンクフィルムの種類は特に限定されないが、一般的なシュリンク包装に用いられるものとして、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂のフィルムを例示できる。一軸延伸シュリンクフィルムが使用され、二軸方向にも若干量収縮するいわゆる一軸半延伸のシュリンクフィルムも使用可能である。第1のシュリンクフィルムの材質を第2のシュリンクフィルムの材質より強度の大きなものとすることで、シュリンク包装体7、8の破損、フィルム破れ等を抑制することができる。このような例として、第1のシュリンクフィルムがポリエチレン系樹脂である場合に、第2のシュリンクフィルムとしてポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることが挙げられる。
【0038】
第2のシュリンクフィルムの厚みとしては、7.5μm~60μmが好ましく、15μm~40μmがより好ましい。第2のシュリンクフィルムの厚みを、第1のシュリンクフィルムの厚みよりも大きくすることで、シュリンク包装体7、8の破損、フィルム破れ等を抑制することができる。なお、厚みが大きくなるとフィルムの剛性が増して密着性が低下するが、シュリンク包装体7、8においては、すでに第1のシュリンクフィルムにより全体が放送されている以上、第2のシュリンクフィルムには密着性はそれほど要求されない。
【0039】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲内およびこれと均等の意味でのすべての修正と変形を含む。
【0040】
たとえば実施形態では、シュリンク包装体1における包装対象物を複数の収納容器11を上下に重ね合わせてなる収納容器群10としたが、単数の収納容器11としてもよい。
収納容器11の形状も、底部と側部を有し、上方に開口する限りにおいて実施形態に限定されない。たとえば、実施形態のように、底壁11aと側壁11bとが明確に区画されない、椀状の形状でもよい。
実施形態では、シュリンク包装体1は、収納容器群10、第1のシュリンクフィルム20およびシート部材30のみを構成要素とするが、これに加えて、たとえば収納容器11に小分け収納された食品などの収納物も構成要素としてもよい。
また実施形態では、第1のシュリンクフィルム20のフィルム溶着ライン24を隠すように、シート部材30が積層されているが、シート部材30の積層位置はフィルム溶着ライン24と一致していなくてもよい。
【0041】
実施形態では、第2のシュリンクフィルム40の形状を筒状としたが、これに限定されず、少なくとも第1のシュリンクフィルム20の一部に被さり、密着していればよい。
また、実施形態では、筒状の第2のシュリンクフィルム40は、第1のシュリンクフィルム20の側被覆部22のみに被せられているが、筒の軸長を長くすることで、収縮時に底被覆部21や開口被覆部23の外縁にも被さるようにしてもよい。
第2のシュリンクフィルム40とシート部材30とはその一部または全部が重なり合っていてもよい。
重なり合っている場合に、シート部材30を内側とし、第2のシュリンクフィルム40を外側とすると、第2のシュリンクフィルム40により、シート部材30が破損等しないよう保護することができる。この場合、第2のシュリンクフィルム40のシュリンク工程をおこなう前に、第1のシュリンクフィルム20が熱を持ち柔らかい状態でシート部材30の貼付作業をおこなうことになるため、フィルム溶着ライン24の尖りが減じられ手触りが改善されるよう、シート部材30の上から押えて変形させることが可能であり、その意味でも好ましい。
実施形態では、第2のシュリンクフィルム40にパッケージ表示41を設けていたが、これに替えて、第1のシュリンクフィルム20と第2のシュリンクフィルム40の間に、別体のラベル等を挟み込んで固定することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1~8 各実施形態のシュリンク包装体
10 収納容器群
11 収納容器
11a 底壁
11b 側壁
11c 開口
11d 襞
20 第1のシュリンクフィルム
21 底被覆部
22 側被覆部
23 開口被覆部
24 フィルム溶着ライン
25 窓
30 シート部材
31 開口積層部
32 側積層部
33 連結部
34 底積層部
35 パッケージ表示
40 第2のシュリンクフィルム
41 パッケージ表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11