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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20240227BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240227BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20240227BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 641P
G09G3/20 670J
H10K59/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020148311
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042746
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】523290528
【氏名又は名称】JDI Design and Development 合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】岩内 栄二
(72)【発明者】
【氏名】澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】米田 和弘
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109939(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154712(WO,A1)
【文献】特開2014-013335(JP,A)
【文献】特開2011-065048(JP,A)
【文献】特開2011-082213(JP,A)
【文献】特開2012-128146(JP,A)
【文献】特開2011-203314(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0221166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
H10K 59/00-59/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ発光素子を有する複数の画素が、行列状に配置された表示画面を有する表示装置であって、
映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正する補正回路を備え、
前記補正回路は、
前記入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する輝度変換部と、
前記発光素子の劣化度合いを表す指標である効率残存率であって前記発光素子の発光効率の残存率を示す効率残存率を用いて、前記目標輝度値から、前記入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、前記出力階調値から、前記目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する補正演算部と、
前記補正後輝度値から算出される前記発光素子に対する電流ストレス量を、前記発光素子に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算し、換算した前記第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する電流ストレス演算部と、
環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算し、換算した前記第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する温度ストレス演算部と、
演算された前記累積第1ストレス量及び前記累積第2ストレス量を用いて、前記効率残存率を更新する効率残存率算出部と、を有し、
前記効率残存率は、前記発光素子の初期の発光輝度に対する、前記発光素子の劣化後の発光輝度の割合で表され、
前記効率残存率算出部は、
前記発光素子の輝度と前記発光素子に前記基準電流が流れる累積時間との関係を用いて、前記累積第1ストレス量として算出した前記累積時間から、電流ストレス起因の新たな第1効率残存率を算出し、
前記発光素子の輝度と前記基準温度下に曝される前記発光素子の累積時間との関係を用いて、前記累積第2ストレス量として算出した前記累積時間から、温度ストレス起因の新たな第2効率残存率を算出し、
前記第1効率残存率と、前記第2効率残存率とから前記効率残存率を算出することで、前記効率残存率を更新し、
前記補正後輝度値から算出される電流ストレス量は、前記発光素子を前記補正後輝度値で発光させたときに前記発光素子に流れる第1電流におけるストレス量であり、
前記第1電流におけるストレス量は、前記発光素子に前記第1電流が流れた時間であり、
前記基準電流におけるストレス量は、前記発光素子に前記基準電流が流れた時間であり、
前記電流ストレス演算部は、
前記発光素子に前記第1電流が流れた時間を、前記発光素子に前記基準電流が流れた時間に換算することにより、前記補正後輝度値から算出される電流ストレス量を、前記第1ストレス量に換算し、
前記環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量は、前記環境温度下に曝される前記発光素子のストレス量であり、
前記環境温度下に曝される前記発光素子のストレス量は、前記環境温度下に曝される前記発光素子の時間であり、
前記基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量は、前記基準温度下に曝される前記発光素子の時間であり、
前記温度ストレス演算部は、
前記環境温度下に曝される前記発光素子の時間を、前記基準温度下に曝される前記発光素子の時間に換算することにより、前記環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、前記第2ストレス量に換算する、
表示装置。
【請求項2】
前記画素の環境温度は、前記出力階調値が前記発光素子に印加される際の前記画素の温度である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
それぞれ発光素子を有する複数の画素が、行列状に配置された表示画面を有する表示装置の駆動方法であって、
映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正する補正ステップを含み、
前記補正ステップでは、
前記入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する輝度変換ステップと、
前記発光素子の劣化度合いを表す指標である効率残存率であって前記発光素子の発光効率の残存率を示す効率残存率を用いて、前記目標輝度値から、前記入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、前記出力階調値から、前記目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する補正演算ステップと、
前記補正後輝度値から算出される前記発光素子に対する電流ストレス量を、前記発光素子に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算し、換算した前記第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する電流ストレス演算ステップと、
環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算し、換算した前記第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する温度ストレス演算ステップと、
演算された前記累積第1ストレス量及び前記累積第2ストレス量を用いて、前記効率残存率を更新する効率残存率算出ステップとを含み、
前記効率残存率は、前記発光素子の初期の発光輝度に対する、前記発光素子の劣化後の発光輝度の割合で表され、
前記効率残存率算出ステップでは、
前記発光素子の輝度と前記発光素子に前記基準電流が流れる累積時間との関係を用いて、前記累積第1ストレス量として算出した前記累積時間から、電流ストレス起因の新たな第1効率残存率を算出し、
前記発光素子の輝度と前記基準温度下に曝される前記発光素子の累積時間との関係を用いて、前記累積第2ストレス量として算出した前記累積時間から、温度ストレス起因の新たな第2効率残存率を算出し、
前記第1効率残存率と、前記第2効率残存率とから前記効率残存率を算出することで、前記効率残存率を更新し、
前記補正後輝度値から算出される電流ストレス量は、前記発光素子を前記補正後輝度値で発光させたときに前記発光素子に流れる第1電流におけるストレス量であり、
前記第1電流におけるストレス量は、前記発光素子に前記第1電流が流れた時間であり、
前記基準電流におけるストレス量は、前記発光素子に前記基準電流が流れた時間であり、
前記電流ストレス演算ステップでは、
前記発光素子に前記第1電流が流れた時間を、前記発光素子に前記基準電流が流れた時間に換算することにより、前記補正後輝度値から算出される電流ストレス量を、前記第1ストレス量に換算し、
前記環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量は、前記環境温度下に曝される前記発光素子のストレス量であり、
前記環境温度下に曝される前記発光素子のストレス量は、前記環境温度下に曝される前記発光素子の時間であり、
前記基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量は、前記基準温度下に曝される前記発光素子の時間であり、
前記温度ストレス演算ステップでは、
前記環境温度下に曝される前記発光素子の時間を、前記基準温度下に曝される前記発光素子の時間に換算することにより、前記環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、前記第2ストレス量に換算する、
駆動方法。
【請求項4】
前記画素の環境温度は、前記出力階調値が前記発光素子に印加される際の前記画素の温度である、
請求項3に記載の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)素子などの自発光素子では、自発光素子を構成する発光層が発光量、発光時間及び温度に応じて劣化することが知られている。
【0003】
発光層の劣化による輝度の低下が生じた場合、例えば残像または色あせなどの焼き付きが発生したり、ディスプレイに表示される画像に色ずれが発生したり、ディスプレイの一部の輝度が低下したりして、ディスプレイに表示ムラが発生することがある。
【0004】
このような問題を解決するために、映像信号を補正することで、表示ムラを低減する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-109939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、車両に搭載される場合など比較的高温となる環境下でディスプレイを動作させる場合は考慮されていない。このため、高温環境下という環境温度によるストレス下でディスプレイを動作させる場合には、上記の従来技術によって映像信号を補正しても十分な補正精度が得られず、結果として補正誤差が生じてしまい、ディスプレイに表示ムラが発生するおそれが生じる。
【0007】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、環境温度によるストレスがかかる場合でも、表示ムラを低減することができる表示装置及び表示装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る表示装置は、それぞれ発光素子を有する複数の画素が、行列状に配置された表示画面を有する表示装置であって、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正する補正回路を備え、前記補正回路は、前記入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する輝度変換部と、前記発光素子の劣化度合いを表す指標である効率残存率であって前記発光素子の発光効率の残存率を示す効率残存率を用いて、前記目標輝度値から、前記入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、前記出力階調値から、前記目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する補正演算部と、前記補正後輝度値から算出される前記発光素子に対する電流ストレス量を、前記発光素子に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算し、換算した前記第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する電流ストレス演算部と、環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算し、換算した前記第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する温度ストレス演算部と、演算された前記累積第1ストレス量及び前記累積第2ストレス量を用いて、前記効率残存率を更新する効率残存率算出部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、環境温度によるストレスがかかる場合でも、表示ムラを低減することができる表示装置及び表示装置の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係る画素の構成を示す回路図である。
図3図3は、実施の形態に係る補正回路の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態に係る入力階調値を目標輝度値に変換する方法を説明するための図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係る目標輝度値から補正後階調値を算出する方法を説明するための図である。
図5B図5Bは、実施の形態に係る補正後階調値から補正後輝度値を算出する方法を説明するための図である。
図6図6は、電流ストレスの経過時間と発光素子の劣化度合いとの関係を示す図である。
図7A図7Aは、実施の形態に係る補正後輝度値で発光素子に発光させる場合に流れる第1電流値を算出する方法を説明するための図である。
図7B図7Bは、実施の形態に係る発光素子に第1電流を流したときの電流ストレス量を発光素子に基準電流を流したときの電流ストレス量に換算する方法を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態に係る発光素子にかかる環境温度下の温度ストレス量を、発光素子にかかる基準温度下の温度ストレス量に換算する方法を説明するための図である。
図9A図9Aは、実施の形態に係る発光素子に基準電流を累積時間流したときの輝度の劣化度合いから、電流ストレス起因の第1効率残存率を算出する方法を説明するための図である。
図9B図9Bは、実施の形態に係る発光素子に基準温度下の温度ストレスが累積時間かかったときの輝度の劣化度合いから、温度ストレス起因の第2効率残存率を算出する方法を説明するための図である。
図10図10は、実施の形態に係る表示装置の駆動方法の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、アレニウスプロットによる寿命特性の予測と発光素子の実際の特性とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
図11は、アレニウスプロットによる寿命特性の予測と発光素子の実際の特性とを示す図である。
【0012】
有機EL素子などの発光素子では、自発光素子を構成する発光層が温度に応じて劣化する。このような発光素子では、温度による寿命特性は、アレニウスプロットにより予測できることが一般的に知られている。しかし、温度による寿命特性は、50℃以上、より具体的には、70℃~100℃といった高温度領域では、アレニウスプロットによる予測に沿わず、アレニウスプロットにより予測できない。
【0013】
一方、近年、有機EL素子などの発光素子がカーナビのディスプレイなど車両に搭載されて用いられる場合がある。このような場合、発光素子は、高温度領域で動作することもある。
【0014】
しかしながら、上記の従来技術では、車両に搭載される場合など比較的高温となる環境下でディスプレイを構成する発光素子を動作させる場合は考慮されていない。このため、高温環境下という環境温度によるストレス下で発光素子を動作させる場合には、上記の従来技術によって映像信号を補正しても十分な補正精度が得られず、結果として補正誤差が生じてしまい、ディスプレイに表示ムラが発生するおそれが生じる。
【0015】
本開示の一態様に係る表示装置は、それぞれ発光素子を有する複数の画素が、行列状に配置された表示画面を有する表示装置であって、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正する補正回路を備え、前記補正回路は、前記入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する輝度変換部と、前記発光素子の劣化度合いを表す指標である効率残存率であって前記発光素子の発光効率の残存率を示す効率残存率を用いて、前記目標輝度値から、前記入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、前記出力階調値から、前記目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する補正演算部と、前記補正後輝度値から算出される前記発光素子に対する電流ストレス量を、前記発光素子に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算し、換算した前記第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する電流ストレス演算部と、環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算し、換算した前記第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する温度ストレス演算部と、演算された前記累積第1ストレス量及び前記累積第2ストレス量を用いて、前記効率残存率を更新する効率残存率算出部と、を有する。
【0016】
この構成によれば、環境温度によるストレスがかかる場合でも、表示ムラを低減することができる。
【0017】
より具体的には、環境温度によるストレスがかかる場合、電流によるストレス量と環境温度によるストレス量を独立に算出することにより、電流及び環境温度による累積ストレス量を精度よく演算できる。このため、環境温度によるストレスがかかる場合でも環境温度によるストレス量を考慮した効率残存率を精度よく算出して更新できる。そして、更新した効率残存率を用いることで、発光素子の劣化度合いを正確に予測できるので、発光素子の劣化度合いを考慮して補正した入力階調値すなわち出力階調値を精度よく算出することができる。これにより、各発光素子の劣化度合いによらず、各発光素子を一様な発光輝度に補正することができるので、表示ムラを低減することができる。
【0018】
また、前記効率残存率は、前記発光素子の初期の発光輝度に対する、前記発光素子の劣化後の発光輝度の割合で表され、前記効率残存率算出部は、前記発光素子の輝度と前記発光素子に前記基準電流が流れる累積時間との関係を用いて、前記累積第1ストレス量として算出した前記累積時間から、電流ストレス起因の新たな第1効率残存率を算出し、前記発光素子の輝度と前記基準温度下に曝される前記発光素子の累積時間との関係を用いて、前記累積第2ストレス量として算出した前記累積時間から、温度ストレス起因の新たな第2効率残存率を算出し、前記第1効率残存率と、前記第2効率残存率とから前記効率残存率を算出することで、前記効率残存率を更新してもよい。
【0019】
この構成によれば、電流ストレス起因の新たな第1効率残存率と温度ストレス起因の新たな第2効率残存率とを独立に演算することで、環境温度によるストレスがかかる場合でも、環境温度によるストレスを考慮した効率残存率を正確に算出できる。
【0020】
また、前記補正後輝度値から算出される電流ストレス量は、前記発光素子を前記補正後輝度値で発光させたときに前記発光素子に流れる第1電流におけるストレス量であり、前記第1電流におけるストレス量は、前記発光素子に前記第1電流が流れた時間であり、前記基準電流におけるストレス量は、前記発光素子に前記基準電流が流れた時間であり、前記電流ストレス演算部は、前記発光素子に前記第1電流が流れた時間を、前記発光素子に前記基準電流が流れた時間に換算することにより、前記補正後輝度値から算出される電流ストレス量を、前記第1ストレス量に換算してもよい。
【0021】
この構成によれば、電流ストレス量を、発光素子に基準電流が流れる時間で評価することで、電流によるストレス量を適切に算出することができ、電流による累積ストレス量を正確に演算できる。
【0022】
また、前記環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量は、前記環境温度下に曝される前記発光素子のストレス量であり、前記環境温度下に曝される前記発光素子のストレス量は、前記環境温度下に曝される前記発光素子の時間であり、前記基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量は、前記基準温度下に曝される前記発光素子の時間であり、前記温度ストレス演算部は、前記環境温度下に曝される前記発光素子の時間を、前記基準温度下に曝される前記発光素子の時間に換算することにより、前記環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、前記第2ストレス量に換算してもよい。
【0023】
この構成によれば、温度ストレス量を、環境温度に曝される発光素子の時間で評価することで、環境温度によるストレス量を適切に算出することができ、環境温度による累積ストレス量を正確に演算できる。
【0024】
また、前記画素の環境温度は、前記出力階調値が前記発光素子に印加される際の前記画素の温度であってもよい。
【0025】
また、本開示の一態様に係る表示装置の駆動方法は、それぞれ発光素子を有する複数の画素が、行列状に配置された表示画面を有する表示装置の駆動方法であって、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正する補正ステップを含み、前記補正ステップでは、前記入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する輝度変換ステップと、前記発光素子の劣化度合いを表す指標である効率残存率であって前記発光素子の発光効率の残存率を示す効率残存率を用いて、前記目標輝度値から、前記入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、前記出力階調値から、前記目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する補正演算ステップと、前記補正後輝度値から算出される前記発光素子に対する電流ストレス量を、前記発光素子に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算し、換算した前記第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する電流ストレス演算ステップと、環境温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある前記発光素子にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算し、換算した前記第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する温度ストレス演算ステップと、演算された前記累積第1ストレス量及び前記累積第2ストレス量を用いて、前記効率残存率を更新する効率残存率算出ステップとを含む。
【0026】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0027】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0028】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0029】
(実施の形態)
[表示装置の構成]
本開示に係る表示装置1は、それぞれ発光素子を有する複数の画素が、行列状に配置された表示画面を有する表示装置である。
【0030】
以下、本実施の形態に係る表示装置1の構成について説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る表示装置1の構成を示す概略図である。
【0032】
本実施の形態では、表示装置1は、図1に示すように、表示画面3と、ゲートドライバ回路4と、ソースドライバ回路5と、補正回路10とを備えている。
【0033】
<表示画面3>
表示画面3は、外部から表示装置1に入力された映像信号に基づいて映像を表示する。ここで、映像信号は、輝度信号、垂直同期信号及び水平同期信号を少なくとも含む。なお、本実施の形態では、輝度信号は、表示画面3を構成する各画素のサブピクセル毎の輝度を階調値で示している。以下、輝度信号により示される階調値を入力階調値と称する。
【0034】
また、本実施の形態では、表示画面3は、図1に示すように、行列状に配置された複数の画素2を有し、行状の走査線7と、列状のデータ線8とが配線されている。
【0035】
<画素2>
図2は、本実施の形態に係る画素2の構成を示す回路図である。
【0036】
複数の画素2のそれぞれは、走査線7及びデータ線8に電気的に接続されている。より具体的には、複数の画素2のそれぞれは、図1に示すように、走査線7とデータ線8とが交差する位置に配置される。また、複数の画素2は、例えばN行M列に配置される。N、Mは、正の整数であり、表示画面3のサイズ及び解像度により異なる。
【0037】
本実施の形態では、画素2には、図2に示すように、参照電源線Vrefと、ELアノード電源線Vtftと、ELカソード電源線Velと、初期化電源線Viniと、参照電圧制御線refと、初期化制御線iniと、イネーブル線enbとが配線されている。ここで、ELアノード電源線Vtftは、発光素子20に印加するアノード電圧を供給する。ELカソード電源線Velは、発光素子20に印加するカソード電圧を供給する。なお、ELカソード電源線Velは、接地されてもよい。初期化電源線Viniは、容量素子22を初期化するときの初期化電圧を供給する。
【0038】
また、本実施の形態では、画素2は、図2に示すように、発光素子20と、容量素子22と、駆動用トランジスタ24aと、スイッチ用トランジスタ24b~24eとを備える。
【0039】
発光素子20は、カソードがELカソード電源線Velに接続されており、アノードが駆動用トランジスタ24aのソースに接続されている。発光素子20は、駆動用トランジスタ24aから供給される、映像信号(輝度信号)の信号電圧に対応した電流が流れることにより、当該信号電圧に応じた輝度で発光する。本実施の形態では、映像信号の信号電圧に対応する電流は、補正回路10により補正された映像信号の信号電圧に対応する電流である。詳細は後述するが、補正回路10により補正された映像信号の信号電圧に対応する電流は、映像信号に含まれる輝度信号が示す輝度の階調値であって補正回路10により補正された階調値(出力階調値)に対応する電流である。
【0040】
発光素子20は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)などの有機EL素子である。なお、発光素子20は、有機EL素子に限らず、無機EL素子またはQLEDなどの自発光素子でもよいし、電流駆動で制御する素子であれば自発光素子でなくてもよい。
【0041】
駆動用トランジスタ24aは、ゲートが容量素子22の一方の電極等に接続され、ドレインがスイッチ用トランジスタ24eのソースに接続され、ソースが発光素子20のアノードに接続されている。図2では、さらにソースが容量素子22の他方の電極等に接続されている。駆動用トランジスタ24aは、ゲート-ソース間に印加された信号電圧を、当該信号電圧に対応した電流(ドレイン-ソース間の電流と称する。)に変換する。そして、駆動用トランジスタ24aは、オン状態となることで、ドレイン-ソース間の電流を発光素子20に印加(供給)して発光素子20を発光させる。駆動用トランジスタ24aは、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0042】
スイッチ用トランジスタ24eは、ゲートがイネーブル線enbに接続され、ドレインがELアノード電源線Vtftに接続され、ソースが駆動用トランジスタ24aのドレインに接続されている。スイッチ用トランジスタ24eは、イネーブル線enbから供給される消光信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。スイッチ用トランジスタ24eは、オン状態となることで駆動用トランジスタ24aをELアノード電源線Vtftに接続し、駆動用トランジスタ24aのドレイン-ソース間の電流を発光素子20に供給させる。スイッチ用トランジスタ24eは、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0043】
スイッチ用トランジスタ24bは、ゲートが走査線7に接続され、ドレインがデータ線8に接続され、ソースが容量素子22の一方の電極に接続されている。スイッチ用トランジスタ24bは、走査線7から供給される制御信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。スイッチ用トランジスタ24bは、オン状態となることで、データ線8から供給される映像信号の信号電圧を容量素子22の電極に印加し、当該信号電圧に応じた電荷を容量素子22に蓄積させる。スイッチ用トランジスタ24bは、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0044】
スイッチ用トランジスタ24dは、ゲートが参照電圧制御線refに接続され、ドレインが参照電源線Vrefに接続され、ソースが容量素子22の一方の電極等に接続されている。スイッチ用トランジスタ24dは、参照電圧制御線refから供給される制御信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。スイッチ用トランジスタ24dは、オン状態となることで、容量素子22の電極を参照電源線Vrefが供給する電圧に設定する。スイッチ用トランジスタ24dは、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0045】
スイッチ用トランジスタ24cは、ゲートが初期化制御線iniに接続され、ソース及びドレインの一方が駆動用トランジスタ24aのソースに接続され、ソース及びドレインの他方が初期化電源線Viniに接続されている。スイッチ用トランジスタ24cは、初期化制御線iniから供給される制御信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。スイッチ用トランジスタ24cは、駆動用トランジスタ24aがオン状態であり、スイッチ用トランジスタ24eがオフ状態にあってELアノード電源線Vtftとの接続が遮断されている中で、オン状態となることで、発光素子20のアノードを初期化電源線Viniが供給する初期化電圧(基準電圧)に設定する。スイッチ用トランジスタ24cは、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
【0046】
容量素子22は、一方の電極が、駆動用トランジスタ24aのゲート及びスイッチ用トランジスタ24bのソース及びスイッチ用トランジスタ24dのソースに接続され、他方の電極が駆動用トランジスタ24aのソースに接続されたコンデンサである。容量素子22は、データ線8から供給された信号電圧に対応した電荷を蓄積する。容量素子22は、例えば、スイッチ用トランジスタ24b及びスイッチ用トランジスタ24dがオフ状態となった後に、駆動用トランジスタ24aのゲート-ソース間の電圧を安定的に保持する。このように、容量素子22は、スイッチ用トランジスタ24b及びスイッチ用トランジスタ24dがオフ状態のときに、蓄積された電荷による信号電位に応じて、駆動用トランジスタ24aのゲート・ソース間に電圧を印加する。
【0047】
これら構成により、画素2は、発光素子20に電流を安定して流すことができる。
【0048】
なお、画素2の構成は、図2に示した構成に限らず、他の構成であってもよい。少なくとも画素2としての機能を果たすことができる最小の構成として、発光素子20と、容量素子22と、駆動用トランジスタ24aと、スイッチ用トランジスタ24bとを備えていればよい。
【0049】
走査線7は、複数の画素2の行ごとに配されている。走査線7の一端は、画素2に接続され、走査線7の他端は、ゲートドライバ回路4に接続されている。図2に示す例では、走査線7は、画素2に配置されたスイッチ用トランジスタ24bのゲートに接続されている。
【0050】
データ線8は、複数の画素2の列ごとに配されている。データ線8の一端は、画素2に接続され、データ線8の他端は、ソースドライバ回路5に接続されている。図2に示す例では、データ線8は、スイッチ用トランジスタ24bのドレインに接続されている。
【0051】
<ゲートドライバ回路4>
ゲートドライバ回路4には、走査線7が接続されており、走査線7に制御信号を出力することで、画素2が有する各トランジスタのオン及びオフを制御する。図2に示す例では、ゲートドライバ回路4は、走査線7を介して画素2に配置されたスイッチ用トランジスタ24bのゲートに、走査信号を供給する。
【0052】
<ソースドライバ回路5>
ソースドライバ回路5には、データ線8が接続されており、補正回路10により補正された映像信号を、データ線8に出力することで、当該映像信号を各画素2に供給する。ソースドライバ回路5は、データ線8を通して、画素2の各々に対して映像信号により示される輝度を表現した出力階調値を電流値または電圧値の形で書き込む。図2に示す例では、ソースドライバ回路5は、データ線8を介して、画素2に配置されたスイッチ用トランジスタ24bのドレインに入力された映像信号に対応した電圧を供給する。
【0053】
<補正回路10>
補正回路10は、外部より入力される映像信号を補正してソースドライバ回路5に出力する。より具体的には、補正回路10は、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正し、出力階調値を出力する。これにより、出力階調値が、映像信号に含まれる輝度信号により示される階調として、ソースドライバ回路5に出力される。
【0054】
換言すると、補正回路10は、発光素子20に狙った輝度すなわち目標輝度値で発光するように、映像信号に含まれる輝度信号により示される輝度の階調値(入力階調値)の補正を行うための回路である。なお、目標輝度値は、劣化していない初期の発光素子20において、入力階調値に対応する発光輝度値に該当する。このため、発光素子20が劣化した場合、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値に対応する電流値を供給して発光素子20を発光させても、目標輝度値を達成することができない。そこで、補正回路10は、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を、目標輝度値を達成できるように補正する。これにより、補正された入力階調値(出力階調値)に対応する電流を供給された発光素子20は、狙った輝度すなわち目標輝度値を達成することができる。
【0055】
以下、補正回路10の構成について説明する。
【0056】
[補正回路10の構成]
図3は、本実施の形態に係る補正回路10の構成の一例を示すブロック図である。
【0057】
補正回路10は、輝度変換部11と、輝度補正演算部12と、累積ストレス演算部13とを備える。補正回路10は、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。以下、各構成要素について説明する。
【0058】
<輝度変換部11>
輝度変換部11は、入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する。本実施の形態では、輝度変換部11は、表示装置1の外部より入力される映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する。
【0059】
これを図4を用いて説明する。
【0060】
図4は、本実施の形態に係る入力階調値を目標輝度値に変換する方法を説明するための図である。図4には、初期の発光素子20における階調値と、輝度値との関係を表す階調輝度特性が示されている。
【0061】
輝度変換部11は、図4の階調輝度特性に表される関係を用いて、表示装置1の外部より入力される映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を、対応する目標輝度値に変換することができる。
【0062】
<輝度補正演算部12>
輝度補正演算部12は、発光素子20の劣化度合いを表す指標である効率残存率であって発光素子20の発光効率の残存率を示す効率残存率を用いて、目標輝度値から、入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、算出した出力階調値から、目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する。ここで、効率残存率は、発光素子20の初期の発光輝度に対する、発光素子20の劣化後の発光輝度の割合で表される。
【0063】
本実施の形態では、輝度補正演算部12は、累積ストレス演算部13から得た、環境温度によるストレスを考慮した効率残存率を用いて、輝度変換部11より出力された目標輝度値から、出力階調値を算出する。ここで、出力階調値は、表示装置1の外部より入力される映像信号に含まれる輝度信号に示される入力階調値が補正された補正後階調値である。輝度補正演算部12は、算出した出力階調値を出力する。これにより、輝度補正演算部12は、算出した出力階調値を、映像信号に含まれる輝度信号により示される階調として、ソースドライバ回路5に出力することができる。
【0064】
また、輝度補正演算部12は、算出した出力階調値から、目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する。輝度補正演算部12は、算出した補正後輝度値を累積ストレス演算部13に出力する。
【0065】
以下、図5A及び図5Bを用いて出力階調値及び補正後輝度値の算出方法について説明する。
【0066】
図5Aは、本実施の形態に係る目標輝度値から補正後階調値を算出する方法を説明するための図である。図5Bは、本実施の形態に係る補正後階調値から補正後輝度値を算出する方法を説明するための図である。図5A及び図5Bには、発光素子20の初期と劣化後とにおける階調値と輝度値との関係を表す階調輝度特性が示されている。劣化後における階調輝度特性は、初期における階調輝度特性に、効率残存率η_xを乗じることで得ることができる。
【0067】
輝度補正演算部12は、図5Aの劣化後における階調輝度特性に表される関係を用いて、輝度変換部11より出力された目標輝度値に対応する階調値を、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を補正した補正後階調値として算出することができる。そして、輝度補正演算部12は、算出した補正後階調値を、出力階調値として出力する。これにより、表示装置1の外部より入力される映像信号に含まれる輝度信号に示される入力階調値が出力階調値に補正されて、ソースドライバ回路5に入力されることになる。
【0068】
また、輝度補正演算部12は、図5Bの初期における階調輝度特性に表される関係を用いて、算出した補正後階調値に対応する輝度値を、輝度変換部11より出力された目標輝度値を補正した補正後輝度値として算出することができる。そして、輝度補正演算部12は、算出した補正後輝度値を、累積ストレス演算部13に出力する。
【0069】
<累積ストレス演算部13>
本実施の形態では、電流による発光素子20の劣化と環境温度による発光素子20の劣化とは独立事象であるとして、個別に算出する。つまり、累積ストレス演算部13は、様々な電流による劣化を、電流による累積ストレス量として算出し、様々な環境温度による劣化を、環境温度による累積ストレス量として算出する。
【0070】
より具体的には、累積ストレス演算部13は、電流によるストレス量と環境温度によるストレス量を独立に算出することにより、電流及び環境温度による累積ストレス量を独立に演算する。そして、累積ストレス演算部13は、電流ストレス起因の第1効率残存率と温度ストレス起因の第2効率残存率とを独立に算出することで、環境温度によるストレスを考慮した効率残存率を算出する。これにより、累積ストレス演算部13は、環境温度によるストレスがかかる場合でも環境温度によるストレスを考慮した効率残存率を正確に算出できる。
【0071】
さらに、累積ストレス演算部13は、輝度補正演算部12が用いた効率残存率を、新たに算出した効率残存率に更新する。
【0072】
[累積ストレス演算部13の詳細構成]
次に、本実施の形態に係る累積ストレス演算部13の詳細構成について説明する。
【0073】
本実施の形態では、累積ストレス演算部13は、図3に示すように、電流ストレス演算部131と、温度ストレス演算部132と、効率残存率算出部133とを備える。以下、これらの要素について詳述する。
【0074】
<電流ストレス演算部131>
電流ストレス演算部131は、補正後輝度値から算出される発光素子20に対する電流ストレス量を、発光素子20に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算し、換算した第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する。
【0075】
ここで、補正後輝度値から算出される電流ストレス量は、発光素子20を補正後輝度値で発光させたときに発光素子20に流れる第1電流におけるストレス量であり、発光素子20に第1電流が流れた時間である。同様に、基準電流における電流ストレス量は、発光素子20に基準電流が流れた時間である。
【0076】
このため、より詳細には、電流ストレス演算部131は、発光素子20に第1電流が流れた時間を発光素子20に基準電流が流れた時間に換算することにより、補正後輝度値から算出されたストレス量を、第1ストレス量に換算することができる。そして、電流ストレス演算部131は、換算した第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する。
【0077】
このように、電流ストレス演算部131は、様々な電流による劣化を、電流による累積ストレス量として算出するために、様々な電流による発光素子20に対する電流ストレスを、基準電流による電流ストレスに変換して累積する。
【0078】
図6は、電流ストレスの経過時間と発光素子の劣化度合いとの関係を示す図である。
【0079】
有機EL素子などの発光素子(自発光素子)では、上述したように、発光素子を構成する発光層が発光量、発光時間及び温度に応じて劣化することが知られている。図6には、発光素子に印加される電流をストレス(電流ストレスと称する)として、発光素子に一定の電流を印加し続けた場合の経過時間における劣化度合いが示されている。電流ストレスAと電流ストレスBとは、発光素子に印加される電流の大きさが異なっており、電流ストレスA>電流ストレスBすなわち(電流ストレスAとして印加される電流)>(電流ストレスBとして印加される電流)である。
【0080】
図6に示されるように、発光素子に電流ストレスがかかると、時間の経過とともに、劣化が進行するのがわかる。また、発光素子に電流ストレスAがかかる場合の方が、発光素子に電流ストレスBがかかる場合よりも劣化が進行しているのがわかる。つまり、図6の点線囲いで示されるように、経過時間が同一であっても、電流ストレスにより劣化の度合いが異なり、より大きな電流ストレスの方が劣化が進行することがわかる。
【0081】
なお、発光素子20に供給される電流の大きさは、映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値によって異なるため(つまり一定でないため)、経過時間と発光素子20の劣化度合いとの関係を簡単に表すことは難しい。
【0082】
そこで、本実施の形態では、発光素子20に対する電流ストレス量による劣化の度合いを、発光素子20にある一定の電流(つまり基準電流)を供給したときの時間の累積時間(経過時間)による劣化の度合いで評価する。このように、発光素子20に対する電流ストレス量を、発光素子20に印加(供給)される様々な電流(第1電流)の時間で評価し、さらに、発光素子20に基準電流が流れる時間に換算することで、電流ストレス量を算出できる。そして、換算した時間を累積した累積時間を算出することで、発光素子20に累積した電流ストレス量を算出できる。
【0083】
図7Aは、本実施の形態に係る補正後輝度値で発光素子20に発光させる場合に流れる第1電流値を算出する方法を説明するための図である。図7Aには、初期の発光素子20において流れる電流値と輝度値との関係を表す曲線(初期特性)が示されている。
【0084】
電流ストレス演算部131は、図7Aの曲線を用いて、輝度補正演算部12より出力された補正後輝度値から、当該補正後輝度値で発光素子20に発光させる場合に流れる第1電流を算出する。
【0085】
図7Bは、本実施の形態に係る発光素子20に第1電流を流したときの電流ストレス量を、発光素子20に基準電流を流したときの電流ストレス量に換算する方法を説明するための図である。図7Bに示される曲線は、発光素子20に電流ストレスとして基準電流と第1電流とを流したときにおける、経過時間と発光素子20の輝度の劣化度合いとの関係を示している。なお、図7Bでは、電流ストレスが全くかかっていない初期の発光素子20の輝度の劣化度合いが1に正規化されている。また、図7Bに示される2つの曲線のそれぞれは、予め用意されている。
【0086】
電流ストレス演算部131は、第1電流が発光素子20に印加される場合の電流ストレス量と等価なストレス量となるように、第1電流が流れた時間を、発光素子20に基準電流が流れた時間に換算する。より詳細には、電流ストレス演算部131は、図7Bに示される曲線を用いて、第1電流が発光素子20に時間T1だけ印加されたときの輝度の劣化度合いと等価な輝度の劣化度合いとなるように、第1電流が流れた時間T1を、基準電流が流れた時間T2に換算する。つまり、図7Bに示されるように、発光素子20に第1電流を流した時間T1すなわち電流ストレスI1における時間T1は、発光素子20に基準電流を流した時間T2すなわち電流ストレスIrefにおける時間T2に換算できる。このようにして、電流ストレス演算部131は、補正後輝度値から算出される電流ストレス量を、第1ストレス量に換算できる。
【0087】
そして、電流ストレス演算部131は、第1ストレス量として取得した時間T2を、以前に取得して累積していた時間ΣT2にさらに加えることで、時間T2の累積時間ΣT2を第1累積ストレス量として演算する。
【0088】
<温度ストレス演算部132>
温度ストレス演算部132は、環境温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算し、換算した第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する。なお、環境温度は、例えば出力階調値が発光素子20に印加される際の画素の温度である。
【0089】
ここで、環境温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量は、環境温度下に曝される発光素子20のストレス量であり、環境温度下に曝される発光素子20の時間で評価できる。同様に、基準温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量は、基準温度下に曝される発光素子20の時間で評価できる。
【0090】
このため、より詳細には、温度ストレス演算部132は、環境温度下に曝される発光素子20の時間を、基準温度下に曝される発光素子20の時間に換算することにより、環境温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量を、第2ストレス量に換算することができる。そして、温度ストレス演算部132は、換算した第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する。
【0091】
このように、温度ストレス演算部132は、様々な環境温度による劣化を、環境温度による累積ストレス量として算出するために、様々な環境温度によってかかる発光素子20に対する温度ストレスを、基準温度による温度ストレスに変換して累積する。
【0092】
なお、上述したように、有機EL素子などの発光素子(自発光素子)では、光素子を構成する発光層は温度(環境温度)に応じて劣化する。そして、環境温度下にある発光素子にかかるストレス(以下、温度ストレスと称する)は、より高い環境温度の方が大きい。つまり、図6に示される電流ストレスと同様に、経過時間が同一であっても、温度ストレスの大きさにより劣化の度合が異なり、より大きな温度ストレスが発光素子にかかる方が劣化が進行する。
【0093】
そこで、本実施の形態では、環境温度下に曝される発光素子20に対する温度ストレス量による劣化の度合いを、基準温度下に曝される発光素子20の時間の累積時間(経過時間)による劣化の度合いで評価する。このように、環境温度下にある発光素子20にかかるストレス量を、環境温度下に曝される発光素子20の時間で評価し、さらに、基準温度下に曝される発光素子20の換算することで、温度ストレス量を算出できる。そして、換算した時間を累積した累積時間を算出することで、発光素子20に累積した温度ストレス量を算出する。
【0094】
図8は、本実施の形態に係る発光素子20にかかる環境温度下の温度ストレス量を、発光素子20にかかる基準温度下の温度ストレス量に換算する方法を説明するための図である。図8に示される曲線は、発光素子20にかかる温度ストレスとして、環境温度が第1温度であるとき(温度ストレス:K1)と、基準温度であるとき(温度ストレス:Kref)とにおける、経過時間と発光素子20の輝度の劣化度合いとの関係を示している。なお、図8では、温度ストレスが全くかかっていない初期の発光素子20の輝度の劣化度合いが1に正規化されている。また、図8に示される2つの曲線のそれぞれは、予め用意されている。
【0095】
温度ストレス演算部132は、環境温度である第1温度下で発光素子20にかかる温度ストレス量と等価なストレス量となるように、第1温度下に曝される発光素子20の時間を、基準温度下に曝される発光素子20の時間に換算する。より詳細には、温度ストレス演算部132は、図8に示される曲線を用いて、環境温度である第1温度下で発光素子20にかかる温度ストレス量として評価した発光素子20が第1温度下に曝された時間S1を、発光素子20が基準温度下に曝された時間S2に換算する。つまり、図8に示されるように、発光素子20が第1温度下に曝された時間S1すなわち温度ストレスK1における時間S1は、発光素子20が基準温度下に曝された時間S2すなわち温度ストレスKrefにおける時間S2に換算できる。このようにして、温度ストレス演算部132は、環境温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量を、第2ストレス量に換算できる。
【0096】
そして、温度ストレス演算部132は、第2ストレス量として取得した時間S2を、以前に取得して累積していた時間ΣS2にさらに加えることで、時間S2の累積時間ΣS2を第2累積ストレス量として演算する。
【0097】
<効率残存率算出部133>
効率残存率算出部133は、演算された累積第1ストレス量及び累積第2ストレス量を用いて、効率残存率を更新する。より具体的には、効率残存率算出部133は、発光素子20の輝度と発光素子20に基準電流が流れる累積時間との関係を用いて、累積第1ストレス量として算出した累積時間から、電流ストレス起因の新たな第1効率残存率を算出する。また、効率残存率算出部133は、発光素子20の輝度と基準温度下に曝される発光素子20の累積時間との関係を用いて、累積第2ストレス量として算出した累積時間から、温度ストレス起因の新たな第2効率残存率を算出する。そして、効率残存率算出部133は、算出した第1効率残存率及び第2効率残存率とから新たな効率残存率を算出することで、効率残存率を更新する。
【0098】
本実施の形態では、効率残存率算出部133は、図9Aに示される曲線を用いて、電流ストレス演算部131が演算した累積時間ΣT2から、電流ストレス起因の第1効率残存率η_Irefを算出する。
【0099】
図9Aは、本実施の形態に係る発光素子20に基準電流を累積時間流したときの輝度の劣化度合いから、電流ストレス起因の第1効率残存率η_Irefを算出する方法を説明するための図である。図9Aに示される曲線は、発光素子20に電流ストレスとして基準電流を流したときにおける、経過時間(累積時間)と発光素子20の輝度の劣化度合いとの関係を示している。
【0100】
図9Aに示される曲線では、累積時間ΣT2が0である場合の発光輝度は劣化していないため、初期の発光素子20の発光輝度に相当する。このため、累積時間ΣT2における発光素子20の発光輝度は、発光素子20の初期の発光輝度に対する、発光素子20の劣化後の発光輝度の割合で表すことができる。つまり、効率残存率算出部133は、図9Aに示される曲線を用いて、累積時間ΣT2から、第1効率残存率η_Irefを算出することができる。なお、図9Aでは、初期の発光素子20における劣化していない発光輝度は1に正規化されている。
【0101】
また、本実施の形態では、効率残存率算出部133は、図9Bに示される曲線を用いて、温度ストレス演算部132が演算した累積時間ΣS2から、温度ストレス起因の第2効率残存率η_Krefを算出する。
【0102】
図9Bは、本実施の形態に係る発光素子20に基準温度下の温度ストレスが累積時間かかったときの輝度の劣化度合いから、温度ストレス起因の第2効率残存率η_krefを算出する方法を説明するための図である。図9Bに示される曲線は、発光素子20に基準温度下の温度ストレスがかかったときにおける、経過時間(累積時間)と発光素子20の輝度の劣化度合いとの関係を示している。
【0103】
図9Bに示される曲線では、累積時間ΣS2が0である場合の発光輝度は劣化していないため、初期の発光素子20の発光輝度に相当する。このため、累積時間ΣS2における発光素子20の発光輝度は、発光素子20の初期の発光輝度に対する、発光素子20の劣化後の発光輝度の割合で表すことができる。つまり、効率残存率算出部133は、図9Bに示される曲線を用いて、累積時間ΣS2から、第2効率残存率η_Krefを算出することができる。なお、図9Bでも、初期の発光素子20における劣化していない発光輝度は1に正規化されている。
【0104】
さらに、本実施の形態では、効率残存率算出部133は、個別(独立)に算出した電流ストレス起因の第1効率残存率η_Irefと温度ストレス起因の第2効率残存率η_krefとを用いて、電流ストレスと温度ストレスとを考慮した効率残存率η_xを算出する。
【0105】
より具体的には、効率残存率算出部133は、下記の(式1)を用いて、個別(独立)に算出した第1効率残存率η_Irefと第2効率残存率η_krefとから、効率残存率η_xを算出する。そして、効率残存率算出部133は、1つ前の効率残存率η_xを、算出した効率残存率η_xに更新する。
【0106】
【数1】
【0107】
(式1)に示すように、電流ストレスと温度ストレスとを考慮した効率残存率η_xは、電流ストレス起因の第1効率残存率η_Irefに加えて、温度ストレス起因の第2効率残存率η_krefが加算された形で表すことができる。つまり、電流による発光素子20の劣化と環境温度による発光素子20の劣化とは独立事象であるが、発光素子20の劣化は、これらの事象を足しあわして表現できるとしている。そして、80℃~90℃といった高温度領域において、温度ストレス起因の第2効率残存率η_krefが効いてくることになる。つまり、アレニウスプロットによる予測が成立しない環境温度下でも精度よく効率残存率η_xを正確に算出できる。
【0108】
[表示装置1の駆動方法]
次に、以上のように構成された表示装置1の駆動方法について説明する。
【0109】
図10は、本実施の形態に係る表示装置1の駆動方法の一例を示すフローチャートである。図10には、表示装置1を構成する補正回路10の処理が表示装置1の駆動方法の一例として示されている。
【0110】
まず、補正回路10は、表示装置1の外部より入力される映像信号に含まれる輝度信号により示される入力階調値を、対応する目標輝度値に変換する(S10)。
【0111】
次に、補正回路10は、効率残存率を用いて、ステップS10で変換された目標輝度値から、入力階調値を補正した出力階調値を算出するとともに、出力階調値から、目標輝度値を補正した補正後輝度値を算出する(S11)。この効率残存率は、1つ前の処理などで累積ストレス演算部13により算出されたものである。
【0112】
次に、補正回路10は、ステップS11で算出された補正後輝度値から算出される電流ストレス量を、基準電流における電流ストレス量に換算し、換算した電流ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する(S12)。より具体的には、補正回路10は、ステップS11で算出された補正後輝度値から算出される発光素子20に対する電流ストレス量を、発光素子20に基準電流を流したときの電流ストレス量を示す第1ストレス量に換算する。そして、補正回路10は、換算した第1ストレス量を累積した累積第1ストレス量を演算する(S12)。
【0113】
次に、補正回路10は、環境温度から算出される温度ストレス量を、基準温度における温度ストレス量に換算し、換算した温度ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する(S13)。ここでステップS12とステップS13の順番を変更してもよい。より具体的には、補正回路10は、環境温度を取得し、取得した環境温度から算出される、環境温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量を、基準温度下にある発光素子20にかかる温度ストレス量を示す第2ストレス量に換算する。そして、補正回路10は、換算した第2ストレス量を累積した累積第2ストレス量を演算する。
【0114】
次に、補正回路10は、ステップS12及びステップS13で演算した累積第1ストレス量及び累積第2ストレス量から、電流ストレスと温度ストレスとを考慮した効率残存率を算出する(S14)。
【0115】
[効果等]
以上、本実施の形態に係る表示装置1によれば、環境温度によるストレスがかかる場合でも、表示ムラを低減することができる。
【0116】
より具体的には、上述したように電流による発光素子の劣化と環境温度による発光素子の劣化とは独立事象であるとして個別に算出する。そして、様々な電流による劣化を、電流による累積ストレス量として算出し、様々な環境温度による劣化を、環境温度による累積ストレス量として算出する。
【0117】
換言すると、本実施の形態に係る表示装置1は、電流によるストレス量と環境温度によるストレス量とを独立に算出することにより、電流及び環境温度による累積ストレス量を精度よく演算できる。このため、環境温度によるストレスがかかる場合でも環境温度によるストレス量を考慮した効率残存率を精度よく算出して、更新できる。そして、更新した効率残存率を用いることで、アレニウスプロットによる予測が成立しない環境温度下でも発光素子20の劣化度合いを精度よく予測して、発光素子20の劣化度合いを考慮して補正した入力階調値すなわち出力階調値を算出することができる。これにより、環境温度によるストレスがかかる場合であっても、各発光素子20の劣化度合いによらず、各発光素子20を一様な発光輝度に補正することができるので、表示ムラを低減することができる。
【0118】
また、本実施の形態に係る表示装置1によれば、電流ストレス起因の第1効率残存率と温度ストレス起因の第2効率残存率とを独立に演算することで、環境温度によるストレスを考慮した効率残存率を正確に算出して更新できる。
【0119】
ここで、本実施の形態に係る表示装置1は、電流による劣化挙動と、環境温度による劣化挙動とは独立事象であるとして、電流による累積ストレス量と、温度による累積ストレス量とを個別に演算する。
【0120】
すなわち、様々な電流による劣化を、基準電流によるストレス量に変換し累積する。より具体的には、本実施の形態に係る表示装置1は、電流ストレス量を、発光素子に基準電流が流れる時間で評価することで、電流によるストレス量を適切に算出し、電流による累積ストレス量を正確に演算する。
【0121】
また、様々な温度による劣化を、基準温度によるストレス量に変換し累積する。より具体的には、本実施の形態に係る表示装置1は、温度ストレス量を、環境温度に曝される発光素子の時間で評価することで、環境温度によるストレス量を適切に算出することができ、環境温度による累積ストレス量を正確に演算する。
【0122】
以上、実施の形態及び実施例に係る表示装置1について説明したが、表示装置1は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
【0123】
例えば、上述した補正回路10に、例えばゲイン演算部を設け、累積ストレス演算部で得られた効率残存率が小さい場合には、効率残存率をゲイン演算部で算出されたゲインにより増幅させてもよい。
【0124】
また、本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示は、表示装置及び表示装置の駆動方法に利用でき、特に、自発光素子を有し大画面及び高解像度が要望される薄型テレビ及びパーソナルコンピュータのディスプレイなどの技術分野における表示装置及び表示装置の駆動方法に利用できる。
【符号の説明】
【0126】
1 表示装置
2 画素
3 表示画面
4 ゲートドライバ回路
5 ソースドライバ回路
7 走査線
8 データ線
10 補正回路
11 輝度変換部
12 輝度補正演算部
13 累積ストレス演算部
20 発光素子
22 容量素子
24a 駆動用トランジスタ
24b、24c、24d、24e スイッチ用トランジスタ
131 電流ストレス演算部
132 温度ストレス演算部
133 効率残存率算出部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11