(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】空気圧駆動一体型ピストン及び遮断バルブを有するインクリザーバ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240227BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/17
B41J2/175 121
B41J2/175 171
(21)【出願番号】P 2020192000
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-11-20
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エー.・ラッゲート
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジー.・シェルハート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ.・シヴェーン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー.・フィカッラ
(72)【発明者】
【氏名】デール・ティー.・プラテッタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリア・エル.・ワーマー
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-96020(JP,A)
【文献】特開平8-219014(JP,A)
【文献】特開平9-131889(JP,A)
【文献】米国特許第4520369(US,A)
【文献】特開平4-144848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧式一体型マルチバルブ構造であって、
内部インクリザーバと、
前記内部インクリザーバと、
加圧空気が前記内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられたリザーバ空気入口と、
前記内部インクリザーバの近傍のシリンダと、
前記シリンダの内部のシャフトと、
前記シャフトに接続された入口シールと、
前記シャフトに接続された出口シールと、
前記シャフトに接続されたピストンと、を備え、
前記ピストンが、
前記シリンダ内にあり、
前記入口シール、前記出口シール、及び前記ピストンが、前記シャフトに接続されており、前記シャフトと共に移動し、
付勢部材が、前記ピストンに接触し、前記ピストンを第1の方向に付勢し、前記シリンダ内の
前記加圧空気が、前記ピストンを前記第1の方向とは反対の第2の方向に付勢し、
前記シャフトが、前記第1の方向に付勢されたときに第1の位置に、及び前記第2の方向に付勢されたときに第2の位置に、移動するように適合されており、
前記第1の位置に前記シャフトを位置付けることが、
前記内部インクリザーバと流体連通しているインク入口を封止しないように前記入口シールを位置させ、同時に、インク出口を封止するように前記出口シールを位置付け、
前記第2の位置に前記シャフトを位置付けることが、前記インク入口を封止するように前記入口シールを位置させ、同時に、前記インク出口を封止しないように前記出口シールを位置付け、
前記インク入口及び前記インク出口が、前記
内部インクリザーバと流体連通している、空気圧式一体
型構造。
【請求項2】
前記
内部インクリザーバ及び前記シリンダが、同じ空気圧源に接続されており、前記加圧空気を同時に受容し、前記加圧空気が前記
内部インクリザーバ内のインクを加圧する、請求項1に記載の空気圧式一体
型構造。
【請求項3】
前記入口シール、前記出口シール、及び前記ピストンが、前記シャフトの中心線に対して位置合わせされている、請求項1に記載の空気圧式一体
型構造。
【請求項4】
前記シャフトが、本体内にあり、
前記
内部インクリザーバ及び前記シリンダが、前記本体内に別個のキャビティを含み、
前記本体が、前記シャフトが位置するリニアシャフトキャビティを含み、
前記リニアシャフトキャビティの第1の端部が、前記インク入口及び前記
内部インクリザーバと流体連通しており、
前記リニアシャフトキャビティの第2の端部が、前記インク出口及び
内部インクリザーバと流体連通しており、
前記空気圧式一体
型構造が、前記リニアシャフトキャビティの前記第1の端部と前記リニアシャフトキャビティの前記第2の端部との間にシャフトキャビティシールを更に備え、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記リニアシャフトキャビティを流体が通過することを防止する、請求項1に記載の空気圧式一体
型構造。
【請求項5】
前記入口シールによる前記インク入口の閉鎖が、前記
内部インクリザーバ内の加圧インクが前記インク入口から流出することを防止する、請求項1に記載の空気圧式一体
型構造。
【請求項6】
前記ピストンと前記シリンダとの間にピストンシールを更に備える、請求項1に記載の空気圧式一体
型構造。
【請求項7】
前記
内部インクリザーバを加熱するように位置付けられたヒータを更に備える、請求項1に記載の空気圧式一体
型構造。
【請求項8】
加圧インク送出装置であって、
内部インクリザーバと、
インクがインク貯蔵容器から前記内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられたインク入口と、
インクが前記内部インクリザーバからインクジェット印刷ヘッドに流出することを可能にするように位置付けられたインク出口と、
加圧空気が前記内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられたリザーバ空気入口と、
前記インク入口及び前記インク出口内に位置付けられた空気圧式一体型マルチバルブ構造と、
内部に前記空気圧式一体型マルチバルブ構造が位置付けられたシリンダと、
加圧空気が前記シリンダの第1の部分に流入することを可能にするように位置付けられたシリンダ空気入口と、
前記シリンダの第2の部分内の付勢部材と、を備え、
前記空気圧式一体型マルチバルブ構造が、シャフトと、前記シャフトに接続された入口シールと、前記シャフトに接続された出口シールと、前記シャフトに接続されたピストンと、を備え、
前記入口シール、前記出口シール、及び前記ピストンが、前記シャフトに接続されており、前記シャフトと共に移動し、
前記付勢部材が、前記ピストンに接触し、前記ピストンを第1の方向に付勢し、前記シリンダの前記第1の部分内の加圧空気が前記ピストンを前記第1の方向とは反対の第2の方向に付勢し、
前記シャフトが、前記第1の方向に付勢されたときに第1の位置に、及び前記第2の方向に付勢されたときに第2の位置に、移動するように適合されており、
前記第1の位置に前記シャフトを位置付けることが、前記インク入口を封止しないように前記入口シールを位置させ、同時に、前記インク出口を封止するように前記出口シールを位置付け、
前記第2の位置に前記シャフトを位置付けることが、前記インク入口を封止するように前記入口シールを位置させ、同時に、前記インク出口を封止しないように前記出口シールを位置付ける、加圧インク送出装置。
【請求項9】
前記リザーバ空気入口及び前記シリンダ空気入口が、同じ空気圧源に接続されており、前記加圧空気を同時に受容し、前記加圧空気が、前記内部インクリザーバ内のインクを加圧する、請求項8に記載の加圧インク送出装置。
【請求項10】
前記入口シール、前記出口シール、及び前記ピストンが、前記シャフトの中心線に対して位置合わせされている、請求項8に記載の加圧インク送出装置。
【請求項11】
本体を更に備え、
前記内部インクリザーバ及び前記シリンダが、前記本体内に別個のキャビティを含み、
前記本体が、前記シャフトが位置するリニアシャフトキャビティを含み、
前記リニアシャフトキャビティの第1の端部が、前記インク入口及び前記内部インクリザーバと流体連通しており、
前記リニアシャフトキャビティの第2の端部が、前記インク出口及び内部インクリザーバと流体連通しており、
前記空気圧式一体型マルチバルブ構造が、前記リニアシャフトキャビティの前記第1の端部と前記リニアシャフトキャビティの前記第2の端部との間にシャフトキャビティシールを更に備え、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記リニアシャフトキャビティを流体が通過することを防止する、請求項8に記載の加圧インク送出装置。
【請求項12】
前記入口シールによる前記インク入口の閉鎖が、内部インクリザーバ内の加圧インクが前記インク入口から流出することを防止する、請求項8に記載の加圧インク送出装置。
【請求項13】
前記ピストンと前記シリンダとの間にピストンシールを更に備える、請求項8に記載の加圧インク送出装置。
【請求項14】
前記内部インクリザーバを加熱するように位置付けられたヒータを更に備える、請求項8に記載の加圧インク送出装置。
【請求項15】
加圧インク送出装置であって、
内部インクリザーバと、
インクがインク貯蔵容器から前記内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられたインク入口と、
インクが前記内部インクリザーバから流出することを可能にするように位置付けられたインク出口と、
加圧空気が前記内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられたリザーバ空気入口と、
前記インク入口及び前記インク出口内に位置付けられた空気圧式一体型マルチバルブ構造と、
内部に前記空気圧式一体型マルチバルブ構造が位置付けられたシリンダと、
前記シリンダの内側の少なくとも1つの付勢部材と、を備え、
前記空気圧式一体型マルチバルブ構造が、シャフトと、前記シャフトに接続された入口シールと、前記シャフトに接続された出口シールと、を備え、
前記入口シール及び前記出口シールが、前記シャフトに接続されており、前記シャフトと共に移動し、
前記少なくとも1つの付勢部材が、前記シャフトを第1の方向と、前記第1の方向とは反対の第2の方向の間で付勢し、
前記シャフトが、前記第1の方向に付勢されたときに第1の位置に、及び前記第2の方向に付勢されたときに第2の位置に、移動するように適合されており、
前記第1の位置に前記シャフトを位置付けることが、前記インク入口を封止しないように前記入口シールを位置させ、同時に、前記インク出口を封止するように前記出口シールを位置付け、
前記第2の位置に前記シャフトを位置付けることが、前記インク入口を封止するように前記入口シールを位置させ、同時に、前記インク出口を封止しないように前記出口シールを位置付ける、加圧インク送出装置。
【請求項16】
前記リザーバ空気入口が、空気圧源に接続されており、前記加圧空気が、前記内部インクリザーバ内のインクを加圧する、請求項15に記載の加圧インク送出装置。
【請求項17】
前記入口シール及び前記出口シールが、前記シャフトの中心線に対して位置合わせされている、請求項15に記載の加圧インク送出装置。
【請求項18】
本体を更に備え、
前記内部インクリザーバ及び前記シリンダが、前記本体内に別個のキャビティを含み、
前記本体が、前記シャフトが位置するリニアシャフトキャビティを含み、
前記リニアシャフトキャビティの第1の端部が、前記インク入口及び前記内部インクリザーバと流体連通しており、
前記リニアシャフトキャビティの第2の端部が、前記インク出口及び内部インクリザーバと流体連通しており、
前記空気圧式一体型マルチバルブ構造が、前記リニアシャフトキャビティの前記第1の端部と前記リニアシャフトキャビティの前記第2の端部との間にシャフトキャビティシールを更に備え、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記リニアシャフトキャビティを流体が通過することを防止する、請求項15に記載の加圧インク送出装置。
【請求項19】
前記入口シールによる前記インク入口の閉鎖が、内部インクリザーバ内の加圧インクが前記インク入口から流出することを防止する、請求項15に記載の加圧インク送出装置。
【請求項20】
前記内部インクリザーバを加熱するように位置付けられたヒータを更に備える、請求項15に記載の加圧インク送出装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書のシステム及び方法は、概して、加圧インクリザーバを利用する液体インク印刷デバイスに関する。
【0002】
液体インクを利用するプリンタ(例えば、インクジェットプリンタなど)は、インクを液体形態で印刷ヘッドに供給する。一実施例では、インクジェットプリンタは印刷ヘッドを使用して、印刷媒体基材上にインクを噴射する。印刷ヘッド内のインクレベルセンサは、インクレベルが低いときを識別する。低インクの状況が印刷ヘッド内で生じると、リザーバタンクからのインクは、圧力下で印刷ヘッドに流入され得る。液体インクをリザーバから印刷ヘッドに供給する多くの方法が存在する(例えば、液体ポンプ、空気圧ポンプ、重力送りなど)。また、これらのデバイスは、印刷ヘッド及び/又はリザーバが補充されると液体インクの流れを止めて、(オーバーフロー、異なるインク色の混合などを引き起こす可能性がある)過剰充填を防止し、かつ、古いインクのパージのために印刷ヘッドが加圧されたときの背圧を防止する構造(例えば、バルブ)を使用する。
【0003】
インクが液体形態では保管されないで、代わりに固体(溶融可能)形態で保管されることがある。他の状況では、比較的冷たい液体インクの温度を上げて、印刷のための有効なインクの流れを促進すること、迅速な乾燥を促進することなどが有利な場合がある。したがって、いくつかのプリンタは、加熱され、潜在的に加圧されるタンクを含む「メルタ」デバイスと一般的に称されるものを利用する。例えば、固体又は半固体インクはメルタに供給され得、メルタは、いくぶん固体形態のインクを適切な温度の液体に加熱し得、液体インクは、加圧インクとして印刷ヘッドに送出されるように(潜在的に圧力下で)貯蔵され得る。
【0004】
印刷ヘッド及び/又はリザーバが補充されると、液体インクの流れを止めるために、メルタデバイスは様々な遮断バルブを含む。例えば、メルタは、内部タンクが加圧されて、インクが印刷ヘッド(印刷ヘッド)へ流れることが可能になるように、メルタタンク入口を閉鎖するための遮断バルブを含むことができる。メルタタンクはまた、印刷ヘッドがパージのために加圧されたときに逆流を防止するように、メルタタンク出口を閉鎖するように独立に制御される別個の遮断バルブを含むことができる。
【0005】
メルタデバイスと共に使用されるバルブは、低コストを有し、非常に小さな設置面積を有し、汚染物質の導入を制限し、インクと実質的に適合性があり、高温加圧環境で機能し得る品目であることが好ましい。いくつかの種類のバルブが容易に利用可能であるが、なかには、バルブを開放又は閉鎖するために直接的な人間の相互作用を必要とするような制限を有するものもあれば、大きい設置面積を有するものもあり、高温環境で動作することができないものもあり、高価であり得るものもあり、インクに汚染物質を導入する可能性があるものもある。したがって、メルタデバイスと共に利用されるバルブの改善が有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の加圧インク送出装置のいくつかの実施例は、内部インクリザーバと、インクがインク貯蔵容器から内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられたインク入口と、インクが内部インクリザーバからインクジェット印刷ヘッドへ流出することを可能にするように位置付けらインク出口と、を含む。リザーバ空気入口は、加圧空気が内部インクリザーバに流入することを可能にするように位置付けられ、加圧空気がインクリザーバ内のインクを加圧する。
【0007】
また、空気圧式一体型マルチバルブ構造は、インク入口及びインク出口内に位置付けられる。空気圧式一体型マルチバルブ構造はまた、シリンダ内に位置付けられる。シリンダ空気入口は、加圧空気がシリンダの第1の部分に流入することを可能にするように位置付けられ、付勢部材はシリンダの第2の部分内にある。
【0008】
より詳細には、空気圧式一体型マルチバルブ構造は、シャフトと、シャフトに接続された入口シールと、シャフトに接続された出口シールと、シャフトに接続されたピストンと、を有する。入口シール、出口シール、及びピストンは、シャフトに接続され、全てがシャフトと共に移動する。入口シール、出口シール、及びピストンは、シャフトの中心線に対して位置合わせされる。ピストンシールは、ピストンとシリンダとの間の空間を封止する。また、ヒータが、内部インクリザーバを加熱するように位置付けられている。
【0009】
より具体的には、内部インクリザーバ及びシリンダは、固体で連続した本体内の別個のキャビティである。本体はまた、内部にシャフトが位置するリニアシャフトキャビティを有する。リニアシャフトキャビティの第1の端部は、インク入口及び内部インクリザーバと流体連通している。リニアシャフトキャビティの第2の端部は、インク出口及び内部インクリザーバと流体連通している。空気圧式一体型マルチバルブ構造は、リニアシャフトキャビティの第1の端部とリニアシャフトキャビティの第2の端部との間にシャフトキャビティシールを有し、第1の端部と第2の端部との間のリニアシャフトキャビティを流体が通過することを防止する。
【0010】
付勢部材が、ピストンに接触してピストンを第1の方向に付勢し、シリンダの第1の部分内の加圧空気が、ピストンを第1の方向とは反対の第2の方向に付勢する。リザーバ空気入口及びシリンダ空気入口は、同じ空気圧源に接続され、加圧空気を同時に受容する。
【0011】
シャフトは、付勢部材によって第1の方向に付勢されたときに第1の位置に、及び加圧空気によって第2の方向に付勢されたときに第2の位置に、移動するように適合されている。第1の位置にシャフトを位置付けると、インク入口を封止しないように入口シールを位置させ、同時に、インク出口を封止するように出口シールを位置付ける。対照的に、第2の位置にシャフトを位置付けると、インク入口を封止するように入口シールを位置させ、同時に、インク出口を封止しないように出口シールを位置付ける。入口シールによるインク入口の閉鎖は、内部インクリザーバ内の加圧インクがインク入口から流出することを防止する。
【0012】
このような構造は、加圧加熱インクを送出する方法を含む様々な方法を可能にする。例えば、このような方法は、シャフトと、シャフトに接続された入口シールと、シャフトに接続された出口シールと、シャフトに接続されたピストンと、を提供することができる。入口シール、出口シール、及びピストンは、シャフトの中心線に対して位置合わせされるように位置付けられる。
【0013】
入口シールは、インクリザーバと流体連通しているインク入口を封止する。出口シールは、インクリザーバと流体連通しているインク出口を封止する。このような方法は、ピストンをシリンダ内に位置させる。本明細書の方法は、(シャフトに接続された)入口シール、出口シール、及びピストンをシャフトと共に移動させる。これらの方法はまた、ピストンシールを使用して、ピストンとシリンダとの間の空間を封止する。また、これらの方法は、ヒータを使用して、内部インクリザーバを加熱する。
【0014】
シャフトは本体内にある。インクリザーバ及びシリンダは、本体内の別個のキャビティである。本体は、内部にシャフトが位置するリニアシャフトキャビティを有する。リニアシャフトキャビティの第1の端部は、インク入口及びインクリザーバと流体連通している。リニアシャフトキャビティの第2の端部は、インク出口及びインクリザーバと流体連通している。本明細書の方法は、リニアシャフトキャビティの第1の端部とリニアシャフトキャビティの第2の端部との間のシャフトキャビティシールを使用して、第1の端部と第2の端部との間のリニアシャフトキャビティを流体が通過することを防止する。
【0015】
これらの方法はまた、付勢部材をピストンに接触させて、ピストンを第1の方向に付勢する。更に、このような方法は、シリンダ及びインクリザーバに加圧空気を同時に提供して、ピストンを第1の方向とは反対の第2の方向に付勢し、インクリザーバ内のインクを加圧する。これらの方法は、入口シールによるインク入口の閉鎖を通じて、インクリザーバ内の加圧インクがインク入口から流出することを防止する。
【0016】
シャフトは、第1の方向に付勢されたときに第1の位置に、及び第2の方向に付勢されたときに第2の位置に、移動するように適合されている。第1の位置にシャフトを位置付けると、インク入口を封止しないように入口シールを位置させ、同時に、インク出口を封止するように出口シールを位置付ける。しかしながら、第2の位置にシャフトを位置付けると、インク入口を封止するように入口シールを位置させ、同時にインク出口を封止しないように出口シールを位置付けて、加圧インクがインクリザーバから流出することを可能にする。
【0017】
これらの特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明に記載されるか、又はそれから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付の図面を参照して、様々な例示的なシステム及び方法を以下で詳細に説明する。
【0019】
【
図1】本明細書の印刷デバイスの態様を示す概略図である。
【0020】
【
図2A】本明細書の例示的なメルタデバイスを示す概略図である。
【
図2B】本明細書の例示的なメルタデバイスを示す概略図である。
【0021】
【
図3】本明細書のデバイスによって使用される複合一体型マルチバルブ構造のシャフト及びシールの概略図である。
【0022】
【
図4】
図2A、
図2Bに示されるメルタデバイスを使用する印刷デバイスの概略図である。
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述したように、メルタデバイスと共に利用されるバルブの改善が有利であろう。このことを考慮して、本明細書の装置及び方法は、メルタと共に利用される複数のバルブを単一のバルブ構造に組み合わせて、空気圧で駆動される一体型のピストン及び複数遮断バルブの構造を形成する。このような一体型マルチバルブ構造は、移動部品が少なくて済み、コストを削減し、制御/ソフトウェアの実装などを単純化する。
【0025】
より具体的には、本明細書の装置及び方法は、メルタタンクの入口及び出口の両方を同時に制御するために使用することができる二重目的の空気圧式マルチバルブ構造を提供する。このカスタマイズされたバルブ構造はまた、大きな表面積を有するフィルタをインク経路内で、2つの遮断点と直列に使用することを可能にする。大きなフィルタ表面積は、より長いフィルタ寿命のために望ましく、汚染物質が印刷ヘッド内に入らず、ジェットを詰まらせないことを確実にする。
【0026】
この設計では、モノリシックシャフトは、ピストン及びバルブステムを作り出すように機械加工される。ピストンは「閉鎖」位置にバネ仕掛けされ、インクは、メルタタンクに流入することが可能であるが、メルタタンクから印刷ヘッドへ流出することは防止される。ピストンの反対側に供給される空気圧は、バネの付勢力に打ち勝ってシャフトを「開放」位置へ移動させ、それにより、インクが印刷ヘッドに流入することは可能であるが、メルタタンクに流入することは防止される。
【0027】
バルブステムは、シールを提供するためにいくつかのOリングを有する。例えば、ステムの頂部から始めると、入口シールがメルタリザーバ入口を閉鎖し、リザーバが加圧されて、インクを印刷ヘッドに送り込むことが可能になる。バルブステムを下方に降りていくと、シリンダシールが、インクがバルブシリンダの下方に漏出してフィルタを迂回することを防止する。次に、出口シールは、インクが印刷ヘッドに流入することを防止し(印刷ヘッドが満杯の場合)、また、印刷ヘッドがパージされるときに、印刷ヘッドから背圧が戻ることも防止する。チャンバシールは、インクがピストンチャンバ内に漏下するのを防止するために使用される。最後に、ピストンシールは、ピストンの周りに空気漏れが発生することを防止する。いくつかのシールが以下の実施例に示されているが、特定の実施のために必要に応じて他のシール及びチャンバが含まれ得る。
【0028】
したがって、本明細書の装置及び方法は、大きな直列フィルタの使用を可能にする、2つの遮断点を同時に制御する単一の空気圧式構造を有する加圧及び加熱されるインクリザーバタンクを提供する。このような装置及び方法は、印刷ヘッドへのインクの流入を確実に遮断し、印刷ヘッドからの背圧がインクリザーバに到達するのを確実に防止し、メルタデバイスからインクリザーバへのインクの流入を確実に遮断し、メルタリザーバが加圧されて加圧インクが印刷ヘッドに供給され得るように、メルタリザーバを確実に封止する。
【0029】
本明細書の加圧/加熱インク送出装置のいくつかの具体例(一般的に「インクメルタ」デバイス108と称される)が
図1~
図3に示されている。具体的には、
図1に示すように、インクメルタデバイス108は、加圧空気ライン112を介して加圧空気源102に接続される。当業者には理解されるように、加圧空気源102は、大気圧よりも大きい圧力であり、大気圧よりも何倍も大きい圧力(例えば、20~1000psi以上)の空気を出力するために使用される様々なエアフィルタ、エアポンプ、ファンなどを含むことができる。なお、加圧空気源102は、加圧空気の加圧空気ライン112への放出を制御することができる空気バルブ104に接続され得るか、又はそれを含み得ることに留意されたい。
【0030】
加えて、インクメルタデバイス108は、(重力供給、圧力供給、オーガ供給などであり得る)インク送出ライン114を介して、インク貯蔵容器106から液体、固体、又は半固体インクを受容する。インクメルタ108は、加圧液体インク送出ライン116を介して、インクジェット印刷ヘッド110に加圧された(及び潜在的に加熱された)液体インクを供給する。
【0031】
図2Aに示すように、インクメルタ108は、(加熱及び加圧され得る気密タンクである)内部インクリザーバ124と、インクがインク貯蔵容器106から内部インクリザーバ124へ流入することを可能にするように位置付けられたインク入口122と、インクが内部インクリザーバ124からインクジェット印刷ヘッド110へ流出することを可能にするように位置付けられたインク出口128と、デバイスを流体連通にする様々なラベルのない内部通路(例えば、内部通路は、インクメルタデバイス108内で、様々な入口、出口、及びチャンバ間を流体/空気が内部的に流れることを可能にする)と、を含む。リザーバ空気入口120は、加圧空気が内部インクリザーバ124に流入することを可能にするように位置付けられ、加圧空気は、インクリザーバ124内のインクを加圧する。
【0032】
また、空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154は、インク入口122及びインク出口128内に位置付けられ、インク入口122及びインク出口128の両方を開放/閉鎖(封止/解封)する。マルチバルブ構造140~154はまた、シリンダ136、138内に位置付けられる。シリンダ空気入口130は、加圧空気がシリンダの第1の部分136に流入することを可能にするように位置付けられ、付勢部材154は、シリンダの第2の部分138内にある。
【0033】
より詳細には、空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154は、シャフト140と、シャフト140に接続された入口シール142と、シャフト140に接続された出口シール146と、シャフト140に接続されたピストン150と、を有する。入口シール142、出口シール146、及びピストン150はシャフト140に接続されており(シャフト140に接続された個々の構成要素として、又は全てが、固体、単一材料、一体型のモノリシック構造の一部として)、したがって、そのような構成要素は全て、シャフト140と共に同時に移動する。換言すれば、構成要素142、144、146、150などはシャフト140に堅固に固定され(又はその一部であり)、そのような構成要素はシャフト140に沿って移動しない。入口シール142、出口シール146、及びピストン150は、シャフト140の中心線に対して(沿って、一致してなど)位置合わせされる。ピストンシール152は、ピストン150とシリンダ136、138との間の空間を封止する。
【0034】
より具体的には、内部インクリザーバ124及びシリンダ136、138は、固体の連続した本体168内の別個のキャビティである。例えば、本体168は、金属構造、プラスチック構造、セラミック構造、ガラス構造などを含むことができる。加えて、本体168は、成形プロセス、モノリシック構造体のミリング、異なる構成要素の組み立てなどによって形成することができる。
【0035】
本体168はまた、内部にシャフト140が位置するリニア(円筒形)シャフトキャビティ166を有する。リニアシャフトキャビティ166の第1の端部は、インク入口122及び内部インクリザーバ124と内部流体/空気連通している。リニアシャフトキャビティ166の第2の端部は、インク出口128及び内部インクリザーバ124と内部流体/空気連通している。一体型マルチバルブ構造140~154は、リニアシャフトキャビティ166の第1の端部とリニアシャフトキャビティ166の第2の端部との間にシャフトキャビティシール144を有し、第1の端部と第2の端部との間のリニアシャフトキャビティ166を流体が通過することを防止する。
【0036】
図2Aの他の要素には、ヒータ162、及び手動充填/液抜き(cleanout)用アクセス場所/キャップ164が含まれる。
図2Aは更に、本体168が、インク入口122及びインク出口128を封止するために、入口シール142及び出口シール146がそれぞれ接触/押圧されるテーパ状、湾曲状、円筒状、円錐状などの表面132、134を含むことを示している。二次シャフトシール148は、シャフトキャビティ166の下側部分内に、シャフト140のための追加の封止を提供する。
【0037】
図2Aは、本明細書において恣意的に称される上方又は頂部位置(本明細書では一般的に「第1の」位置と称される)にある空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154を示す。一体型マルチバルブ構造140~154は、空気バルブ104が閉鎖されて、加圧空気がリザーバ空気入口120にもシリンダ空気入口130にも供給されないとき、第1の位置に位置付けられ、これにより、付勢部材154によって供給される力がピストン150の動作/位置を支配すること、及びその結果一体型マルチバルブ構造140~154全体の位置を決定することを可能にする。
【0038】
上方、下方、頂部、底部などの用語は、図面に示される配向を参照するために使用されるが、当業者は、示された構造を任意の方向に配向することができ、そのような用語は単に、添付の図面に示される図の任意の配向をより容易に参照するための略語として使用されることを理解するであろう。
【0039】
この第1の(頂部)位置にあるとき、付勢部材154はピストン150に接触してピストン150を押し、それによってピストン150を上方、すなわち第1の方向に付勢する。この第1の位置にあるとき、入口シール142は本体168の円錐面132から引き離され、入口シール142と円錐状表面132との間に間隙を提供し、それによって入口シール142を「開放」する。同時に、第1の位置にあるとき、出口シール146は、本体168の湾曲した/円錐状の表面134にしっかり寄りかかり、それによって、内部インクリザーバ124とインク出口128との間の通路を遮断又は閉鎖する(それによって、出口シール146を「閉鎖する」)封止を生じさせる。
【0040】
したがって、第1の位置では、空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154は、開放の入口シール142を通過して内部インクリザーバ124の上側部分に入り、フィルタ126を通過して、フィルタ126の反対側の内部インクリザーバ124の底部に入るインク流路160(
図2Aでは破線を使用して示されている)を提供する。しかしながら、出口シール146が、本体134の対応する湾曲した/円錐状の部分と接触しているため、出口シール146は閉鎖されており、これにより、流体インクがインク出口128へ通過することが防止される。
【0041】
図2Bは、下方又は底部の位置(本明細書では「第2の」位置と恣意的に総称され、ここでもやはり、全ての位置は単に、図面に示される任意の配向を省略形で参照するものである)にある空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154を示す。一体型マルチバルブ構造140~154は、空気バルブ104が開放しており、かつ加圧空気がリザーバ空気入口120及びシリンダ空気入口130に同時に供給されるとき、第2の位置に位置付けられる。シリンダの第1の部分136内のこの加圧空気は、付勢部材154によって印加される付勢力に打ち勝つことによって、ピストン150を(第1の方向とは反対の)第2の方向に付勢する。リザーバ空気入口120及びシリンダ空気入口130は、同じ空気圧源102に接続され、加圧空気を同時に受容する。
【0042】
第2の位置では、空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154は、現在加圧されている内部インクリザーバ124から開放の出口シール128を通過して液体インクライン116に入り、最終的にインクジェット印刷ヘッド110までのインク流路160(
図2Bでは破線を用いて示されている)を提供する。しかしながら、入口シール142が、本体の対応する湾曲部分132と接触しているため、入口シール142は閉鎖され、これにより、流体インクが内部インクリザーバ124からインク入口122を通って逆流することが防止される。
【0043】
したがって、図示のように、マルチバルブ構造140~154は、付勢部材154によってのみ付勢されたときに、キャビティ166内で第1の方向に第1の位置まで移動し(
図2A)、加圧空気によって付勢されたときに、第2の方向に第2の位置まで移動する(
図2B)ように適合されている。マルチバルブ構造140~154を第1の位置に位置付けると、インク入口122を封止しないように入口シール142を位置させ、インク出口128を封止するように出口シール146を位置付ける。これにより、印刷ヘッド110へのインクの流入が遮断され、印刷ヘッド110からの背圧がインクリザーバ124に到達することが確実に防止される。
【0044】
対照的に、第2の位置にマルチバルブ構造140~154を位置付けると、インク入口122を封止(「閉鎖」)するように入口シール142を位置させ、インク出口128を封止しない(「開放する」)ように出口シール146を位置付ける。入口シール142によるインク入口122の閉鎖は、内部インクリザーバ124内の加圧インクがインク入口122から流出するのを防止する。これにより、メルタデバイス108からインク貯蔵容器106へのインクの流入が確実に遮断され、加圧インクを印刷ヘッド110に供給するために内部インクリザーバ124が加圧され得るように、内部インクリザーバ124が確実に封止される。
【0045】
図3は、空気圧式一体型マルチバルブ構造140~154のみの概略図である。上述したように、
図3は、シャフト140、シャフト140に接続された(又はその一部である)入口シール142、シャフト140に接続された(又はその一部である)シャフトキャビティシール144、シャフト140に接続された(又はその一部である)ドーム状表面156上の出口シール146及び二次シャフトシール148、シャフト140に接続された(又はその一部である)ピストン150、及びピストン150上のピストンシール152を示す。
【0046】
図2A~
図3に示される実施例では、入口シール142は、剛性の円錐面と、円錐面内の溝内に維持された可撓性Oリングとを含む。本明細書に記載の全てのOリングは、ゴム、ポリウレタン、プラスチック、軟質金属などの可撓性の耐久性材料を含む。本体168内のキャビティ132は、入口シール142の円錐面に一致対応する形状を有し、これにより、入口シール142の外側円錐表面がキャビティ132の内側円錐表面に緊密に嵌合し、Oリングを圧縮して液密及び気密のシールを形成することが可能になることに留意されたい。
【0047】
図2A~
図3は、シャフトキャビティシール144が剛性の円板状表面と、円板状表面内の溝内に維持された可撓性Oリングとを含むことを示す。本体168内のキャビティ166は、シャフトキャビティシール144の円板状(例えば、円筒状)のものに一致対応する形状を有し、これにより、シャフトキャビティシール144の外側の丸い表面がキャビティ166の内側の丸い表面に緊密に嵌合し、Oリングを圧縮して液密及び気密のシールを形成することが可能になることに留意されたい。しかしながら、Oリングによって形成されるシールの気密度(構成要素のサイズによって制御される)は、シャフトキャビティシール144がキャビティ166内で自由に移動することが可能となるように限定されることに留意されたい。
【0048】
加えて、
図2A~
図3は、出口シール146及び二次シャフトシール148が、(部分的にドーム状及び部分的に円筒状である)ドーム状表面156内の溝内に維持された可撓性Oリングであることを示す。本体168のキャビティ166のある領域は、ドーム状表面156の部分的にドーム状及び部分的に円筒状の形状に一致対応する形状を有し、これにより、出口シール146及び二次シャフトシール148の外側の丸い表面が、キャビティ166の内側の部分的にドーム状及び部分的に円筒状の丸い形状に緊密に嵌合し、Oリングを圧縮して液密及び気密のシールを形成することが可能になることに留意されたい。
【0049】
図2A~
図3は、ドーム状表面156が円板状のフランジ158を含み得ることを示していることに留意されたい。フランジ158は、シリンダ136の上側部分内に嵌合する大きさであるが、キャビティ166の円筒形状内に嵌合するには大きすぎ(
図2A、
図2Bを参照)、これにより、一体型マルチバルブ構造140~154の第1の方向の移動が制限される。したがって、フランジ158が付勢部材154によってシリンダ136の上側部分の端部(頂部)に押し付けられたとき、一体型マルチバルブ構造140~154は第1の位置にある。対照的に、(シリンダ136の上側部分内の加圧空気の結果として)ピストン150の表面が付勢部材154を完全に圧縮するとき、一体型マルチバルブ構造140~154は第2の位置にある。
【0050】
更に、
図2A~
図3は、ピストン150が、剛性の円板状表面と、円板状表面内の溝内に維持された可撓性Oリング152とを含むことを示す。シリンダ136、138は、ピストン150の円板状(例えば、円筒状)のものに一致対応する形状を有し、それにより、ピストンの外側の丸い表面がシリンダ136、138の内側の丸い表面に緊密に嵌合し、Oリング152を圧縮して液密及び気密のシールを形成することが可能になることに留意されたい。しかしながら、Oリング152によって形成されるシールの気密度は、ピストン150がシリンダ136、138内で自由に移動することが可能となるように限定されることに留意されたい。
【0051】
いくつかの特定の例示的な形状及びデバイスが図面及び図面の説明に示されているが、本明細書に記載される様々なシール及びバルブは、現在既知であるか又は将来開発されている任意のシール/バルブの形態を取ることができる。したがって、これらの実施形態は、図示及び説明された特定のシール/バルブに限定されるものではなく、その全ての等価物を含むことが意図される。
【0052】
図4は、例えば、プリンタ、コピー機、多機能機械、多機能デバイス(multi-function device、MFD)などを含み得る、本明細書のプリンタ構造204の多くの構成要素を示す。印刷デバイス204は、制御部/有形プロセッサ224と、有形プロセッサ224に動作可能に接続された通信ポート(入力/出力)214と、印刷デバイス204の外部のコンピュータ化されたネットワークとを含む。また、印刷デバイス204は、ユーザインターフェース(user interface、UI)アセンブリ212などの少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素を含み得る。ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース又は制御パネル212からメッセージ、命令、及びメニューオプションを受信し、グラフィカルユーザインターフェース又は制御パネル212を介して命令を入力し得る。
【0053】
入力/出力デバイス214は、印刷デバイス204への通信及び印刷デバイス204からの通信に使用され、有線デバイス又は無線デバイス(現在知られているか又は将来開発されているかにかかわらず、任意の形態)を備える。有形プロセッサ224は、印刷デバイス204の様々な動作を制御する。非一時的な有形のコンピュータ記憶媒体デバイス210(光学、磁気、コンデンサベースなどであり得、一時的な信号とは異なる)は、有形プロセッサ224によって読み取り可能であり、有形プロセッサ224が実行して、コンピュータ化されたデバイスが、本明細書に記載される機能など、その様々な機能を実行することを可能にする命令を記憶する。したがって、
図4に示すように、本体ハウジングは、交流電流(alternating current、AC)源220から電力供給部218によって供給された電力で動作する1つ以上の機能構成要素を有する。電力供給部218は、共通電力変換ユニット、電力貯蔵素子(例えば、電池など)などを含むことができる。
【0054】
印刷デバイス204は、上述のメルタデバイス108を含み、マーキング材料を使用し、かつ特殊画像プロセッサ224(画像データの処理に特化しているため汎用コンピュータとは異なる)に動作可能に接続されている少なくとも1つのマーキングデバイス(印刷エンジン)240と、連続した媒体又は媒体のシートをシート供給部230からマーキングデバイス240などに供給するように位置付けられた媒体経路236とを含む。印刷エンジン240から様々なマーキングを受信した後、媒体のシートは、任意選択で、様々な印刷されたシートの折り畳み、ステープル、ソートなどを行うことができるフィニッシャ234にわたる。また、印刷デバイス204は、やはり外部電力源220から(電力供給部218を介して)供給された電力で動作する、少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素(例えば、スキャナ/文書ハンドラ232(自動文書送り込み装置(automatic document feeder、ADF))など)を含むことができる。
【0055】
1つ以上の印刷エンジン240は、マーキング材料(トナー、インク、プラスチック、有機材料など)を連続メディア、メディアのシート、固定プラットフォームなどに、現在知られているか又は将来開発されているかにかかわらず、二次元又は三次元印刷プロセスにおいて適用する任意のマーキングデバイスを示すことを意図している。印刷エンジン240は、例えば、静電トナープリンタ、インクジェット印刷ヘッド、接触印刷ヘッド、3次元プリンタなどを使用するデバイスを含み得る。1つ以上の印刷エンジン240は、例えば、感光体ベルト又は中間転写ベルト使用するデバイス、若しくは印刷メディア(例えば、インクジェットプリンタ、リボンベースの接触プリンタなど)に直接印刷するデバイスを含み得る。
【0056】
一実施例では、印刷ヘッド110内のインクレベルセンサが、インクが印刷ヘッド110によって必要とされていないことを示すとき、又はインクパージ動作が印刷ヘッド110によって実行されているときに、プロセッサ224は、閉鎖するように空気バルブ104を制御する。このように空気バルブ104を閉鎖すると同時に、内部インクリザーバ124が加圧されなくなり(加圧空気が空気入口120に供給されないため)、また付勢部材154が一体型マルチバルブ構造140~154を第1の位置へ移動させ、同時にインク入口バルブ142を開放し、インク出口バルブ146を閉鎖する。上述したように、第1の位置にあるとき、一体型マルチバルブ構造140~154は、インクがインク貯蔵容器106から内部インクリザーバ124に流入することを可能にするが、インクが内部インクリザーバ124からインクジェット印刷ヘッド110へ流入することを防止する。
【0057】
別の実施例では、印刷ヘッド110内のインクレベルセンサが、インクが印刷ヘッド110によって必要とされていることを示すとき、プロセッサ224は、開放するように空気バルブ104を制御する。このように空気バルブ104を開放すると同時に、内部インクリザーバ124が加圧され(加圧空気が空気入口120に供給されるため)、また加圧空気がシリンダ136の頂部に供給されて、一体型マルチバルブ構造140~154を第2の位置へ移動させ、同時にインク入口バルブ142を閉鎖し、インク出口バルブ146を開放する。上述のように、第2の位置にあるとき、一体型マルチバルブ構造140~154は、インクが内部インクリザーバ124からインク貯蔵容器106へ逆流することを防止するが、加圧インクが内部インクリザーバ124からインクジェット印刷ヘッド110に流入することを可能にする。
【0058】
図5は、前述の構造によって許容される、加圧インクを送出する例示的な方法を示すフロー図である。
図5に示されるフロー図では、工程は順次行われる必要はなく、任意の順序で起こり得る。
【0059】
具体的には、項目300に示されるように、このような方法は、記載される空気圧式一体型マルチバルブ構造を提供する(例えば、シャフト、シャフトに接続された入口シール、シャフトに接続された出口シール、シャフトに接続されたピストンなどを提供する)ことができる。項目300では、入口シール、出口シール、ピストンなどが、シャフトの中心線に対して位置合わせされるように位置付けられる。上述のように、入口シールは、インクリザーバと流体連通しているインク入口を封止する。出口シールは、インクリザーバと流体連通しているインク出口を封止する。
【0060】
項目302では、このような方法は、ピストンをシリンダ内に位置させる。これらの方法はまた、項目304で、ピストンシールを使用してピストンとシリンダとの間の空間を封止する。項目306では、これらの方法はまた、付勢部材(例えば、バネ、弾性バンド、磁石など)をピストンに接触させて、ピストンを第1の方向に付勢する。項目308では、本明細書の方法は、(シャフトに接続された)入口シール、出口シール、及びピストンをシャフトと共に同時に移動させる。また、これらの方法は、項目310で、ヒータを使用して内部インクリザーバを加熱する。
【0061】
上述のように、シャフトは本体内にある。インクリザーバ及びシリンダは、本体内の別個のキャビティである。本体は、内部にシャフトが位置するリニアシャフトキャビティを有する。リニアシャフトキャビティの第1の端部は、インク入口及びインクリザーバと流体/空気連通(例えば、内部通路を介して)している。リニアシャフトキャビティの第2の端部は、インク出口及びインクリザーバと流体連通している。項目312に示すように、本明細書の方法は、インクの流れを制御し、リニアシャフトキャビティの第1の端部とリニアシャフトキャビティの第2の端部との間のシャフトキャビティシールを使用して、第1の端部と第2の端部との間のリニアシャフトキャビティを流体が通過することを防止する。
【0062】
更に、項目314では、このような方法は、加圧空気をシリンダ及びインクリザーバに同時に提供して、ピストンを第1の方向とは反対の第2の方向に付勢し、インクリザーバ内のインクを加圧する。項目314では、これらの方法は、入口シールによるインク入口の閉鎖を通じて、インクリザーバ内の加圧インクがインク入口から流出することを防止する。
【0063】
項目316に示すように、これらの方法は、シャフトを、第1の方向に付勢されたときに第1の位置に、及び第2の方向に付勢されたときに第2の位置に、移動する。第1の位置にシャフトを位置付けると、インク入口を封止しないように入口シールを位置させ、同時に、インク出口を封止するように出口シールを位置付ける。しかしながら、第2の位置にシャフトを位置付けると、インク入口を封止するように入口シールを位置させ、同時に、インク出口を封止しないように出口シールを位置付けて、加圧インクがインクリザーバから流出することを可能にする。
【0064】
いくつかの例示的な構造が添付の図面に示されているが、当業者であれば、図面は簡略化された概略図であり、以下に提示される特許請求の範囲は、図示されていないが、そのようなデバイス及びシステムと共に一般的に利用される、より多くの(潜在的には、さほど多くない)特徴を包含することを理解するであろう。したがって、出願人は、以下に提示される特許請求の範囲が添付の図面によって限定されることを意図するものではなく、その代わりに添付の図面は、単に、特許請求される特徴を実装することができるいくつかの方法を例示するために提供されるに過ぎない。
【0065】
多くのコンピュータ化されたデバイスが、上で考察されている。チップベースの中央処理装置(chip-based central processing unit、CPU)、入力/出力デバイス(グラフィックユーザインターフェース(graphic user interface、GUI)、メモリ、コンパレータ、有形プロセッサなどを含む)を含むコンピュータ化されたデバイスは、デルコンピュータ(Dell Computers)、ラウンドロックテキサス、米国(Round Rock TX, USA)、及びアップルコンピュータ(株)(Apple Computer Co.)、クパチーノカリフォルニア、米国(Cupertino CA, USA)などの製造業者によって製造された周知かつ容易に入手可能なデバイスである。そのようなコンピュータ化されたデバイスは、一般に、入力/出力デバイス、電力供給部、有形プロセッサ、電子記憶メモリ、配線などを含んでおり、これらの詳細は、読者が本明細書に記載されるシステム及び方法の顕著な態様に集中することを可能にするために、本明細書では省略されている。同様に、プリンタ、複写機、スキャナ、及び他の同様の周辺機器は、ゼロックス株式会社(Xerox Corporation)、ノーウォーク、コネチカット、米国(Norwalk, CT, USA)から入手可能であり、そのようなデバイスの詳細は、簡潔さ及び読者の焦点のために本明細書では考察されていない。
【0066】
本明細書で使用するとき、「プリンタ」又は「印刷デバイス」という用語は、任意の目的のために印刷出力機能を実行する、デジタル複写機、製本機、ファクシミリマシン、多機能マシンなどの任意の装置を包含する。プリンタ、印刷エンジンなどの詳細は、周知であり、かつ提示される顕著な特徴に焦点を置いた本開示を維持するために、本明細書に詳細には記載されていない。本明細書のシステム及び方法は、カラー、モノクロで印刷する、又はカラー若しくはモノクロの画像データを扱う、システム及び方法を包含することができる。前述のシステム及び方法は全て、静電複写法及び/又は乾式複写法のマシン及び/又はプロセスに特に適用可能である。
【0067】
加えて、本明細書で使用される「右」、「左」、「縦の」、「水平の」、「頂部」、「底部」、「上側の」、「下側の」、「~の下に」、「~より下に」、「下にある」、「~の上方に」、「上にある」、「平行の」、「垂直の」などの用語は、(特に記載のない限り)それらが図面内で配向され、示されているときの相対的な場所であると理解される。「触れている」、「~上に」、「直接接触して」、「当接している」、「直接隣接した」などの用語は、少なくとも1つの要素が別の要素に物理的に接触することを意味する(他の要素が記載の要素を分離させていない)。更に、「自動化された」又は「自動的に」という用語は、プロセスが(マシン又はユーザによって)開始されると、1つ以上のマシンが、任意のユーザからの更なる入力なしにプロセスを実行することを意味する。加えて、「~するように適合された」などの用語は、デバイスが、本明細書に記載される処理において特定の点で特定の動作又は機能を自動的に実行する特殊な内部又は外部構成要素を有するように特に設計されていることを意味し、このような特殊な構成要素は、本明細書に示される処理点で指定された動作/機能を(場合によっては、操作者のいかなる入力もアクションもなしで)実行するように物理的に成形され、位置付けられている。本明細書の図面中、同じ識別番号は、同じ又は類似の項目を識別する。
【0068】
上記で開示された特徴及び機能及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。特定の請求項自体に具体的に定義されない限り、本明細書におけるシステム及び方法のステップ又は構成要素は、任意の特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、又は材料に限定されるように、上記の実施例のいずれかからも暗示され又は持ち込まれることができない。