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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/419 20060101AFI20240227BHJP
   G11C 7/10 20060101ALI20240227BHJP
   G11C 7/22 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G11C11/419 130
G11C7/10 415
G11C7/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020194038
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022082885
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 陽平
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-192013(JP,A)
【文献】特開2000-132974(JP,A)
【文献】特開平11-250666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/419
G11C 7/10
G11C 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイから読み出したデータの値を判定し、判定結果をリードデータとして出力するセンスアンプと、
前記センスアンプから出力される前記リードデータを保持する第1出力保持回路と、
前記第1出力保持回路の出力端と接続され、前記第1出力保持回路から出力される前記リードデータを入力する第2出力保持回路と、
前記第2出力保持回路を前記第1出力保持回路より遅れてアクティブにする遅延信号を出力する遅延回路と、
を備えたメイン回路と、
前記メイン回路との間で信号の入出力を行う周辺回路と、
を備え、
前記遅延回路は、前記遅延信号の配線に負荷容量を与える素子を含み、
前記メモリセルアレイ、前記センスアンプ、および前記第1出力保持回路には、第1電圧の電源電圧が供給され、
前記遅延回路、前記第2出力保持回路、および前記周辺回路には、第2電圧の電源電圧が供給される、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1電圧と前記第2電圧は、同電圧である、
半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1電圧は、前記第2電圧より高電圧である、
半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記メイン回路は、前記センスアンプをアクティブにする第1信号と、前記遅延回路に前記遅延信号を出力させる第2信号とを出力するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記第1信号および前記第2信号を同時に出力する、
半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記メモリセルはSRAMである、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、SRAM(Static Random Access Memory)を具体例として、動作モード信号の非活性時にもMOSトランジスタのBTI(Bias Temperature Instability)劣化を回復させる半導体装置が開示されている。SRAMでは、メモリセルアレイから読み出したデータは、入出力ブロックのセンスアンプに出力され、センスアンプにおいてデータの値が判定される。センスアンプは、判定した値に対応する電圧を出力することで、読み出したデータが出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-169846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SRAMでは、メモリセルアレイを含むメイン回路(例えばSRAMハードマクロ)と周辺回路とで互いに異なる電源が用いられる。一般的に、SRAMハードマクロには、周辺回路より高電圧の電源電圧が供給される。これにより、プロセッサの電圧やクロック周波数等を適切に制御し、消費電力を削減することができる。
【0005】
しかしながら、SRAMハードマクロの電源電圧(VDDC)が周辺回路の電源電圧(VDDP)より高い場合(VDDP<VDDP)、SRAMハードマクロのアクセスタイムが周辺回路よりも速すぎる。このため、SRAMハードマクロには、タイミング調整を行うホールドバッファが組み込まれる。
【0006】
一方、高速動作させたい場合には、SRAMハードマクロの電源電圧(VDDC)と周辺回路の電源電圧(VDDP)とが同電圧に設定される(VDDC=VDDP)。この場合、ホールドバッファにより動作速度が制限されてしまうので、ホールドバッファがない場合と比較して動作速度が劣化する。
【0007】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、メモリセルアレイを含むメイン回路の電源電圧のレベルと周辺回路の電源電圧のレベルとの関係に応じて動作速度を調整することが可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。代表的な半導体装置は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、メモリセルアレイから読み出したデータの値を判定し、判定結果をリードデータとして出力するセンスアンプと、センスアンプから出力されるリードデータを保持する第1出力保持回路と、第1出力保持回路の出力端と接続され、第1出力保持回路から出力されるリードデータを入力する第2出力保持回路と、第2出力保持回路を第1出力保持回路より遅れてアクティブにする遅延信号を出力する遅延回路と、を備えたメイン回路と、メイン回路との間で信号の入出力を行う周辺回路と、を備えている。遅延回路は、遅延信号の配線に負荷容量を与える素子を含んでいる。メモリセルアレイ、センスアンプ、および第1出力保持回路には、第1電圧の電源電圧が供給される。遅延回路、第2出力保持回路、および周辺回路には、第2電圧の電源電圧が供給される。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、メモリセルアレイを含むメイン回路の電源電圧のレベルと周辺回路の電源電圧のレベルとの関係に応じて動作速度を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概要を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るSRAMハードマクロの構成の一例を示す回路ブロック図である。
図3】レベルシフタ回路の一例を示す回路図である。
図4】レベルシフタ-クロック生成回路の一例を示す回路図である。
図5】レベルシフタ付きラッチ回路の一例を示す回路図である。
図6】スキャンセレクタ-レベルシフタ付きラッチ回路の一例を示す回路図である。
図7】本発明の実施の形態による効果を説明するタイミングチャート図である。
図8】本発明の実施の形態による効果を説明するタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するためのすべての図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概要を示すブロック図である。半導体装置1は、SRAMハードマクロ(メイン回路)1A、周辺回路1Bを備えている。SRAMハードマクロ1Aは、メモリセルアレイやリード動作およびライト動作等に関わる回路を含んでいる。これらの回路の一部は、例えばスタンダードセルで構成されたものでもよい。SRAMハードマクロ1Aには、一部を除き、高電圧(第1電圧)の電源電圧(VDDC)が供給される。
【0013】
周辺回路1Bは、SRAMハードマクロ1Aとの間で信号の入出力等を行う回路である。周辺回路1Bは、SRAMハードマクロ1A以外の回路であり、例えば、SRAMハードマクロ1Aへ供給するクロックを生成するクロック生成回路やフリップフロップ回路等を含む。周辺回路1Bには、SRAMハードマクロ1Aよりも低い低電圧(第2電圧)の電源電圧(VDDP)が供給される。このように、半導体装置1は、高電圧の電源電圧(VDDC)を供給する電源、および低電圧の電源電圧(VDDP)を供給する電源と接続される。
【0014】
なお、以下では、便宜上、主に電源電圧(VDDC)の第1電圧が電源電圧(VDDP)の第2電圧より大きいとして説明を行うが、高速動作させる場合等、第1電圧および第2電圧が同電圧に設定される場合もある。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態1に係るSRAMハードマクロの構成の一例を示す回路ブロック図である。SRAMハードマクロ1Aは、図2に示すように、メモリセルアレイ10、メインデコーダ11、カラムマルチプレクサ12、センスアンプ13、第1出力保持回路14、ライトドライバ21、第1コントローラ51、第2コントローラ52、アドレスデコーダ53、遅延回路61等を備えている。
【0016】
これらの要素のうち、遅延回路61および第2出力保持回路62は、低電圧の電源電圧(VDDP)で動作する。また、これら以外の、メモリセルアレイ10、メインデコーダ11、カラムマルチプレクサ12、センスアンプ13、第1出力保持回路14、第2出力保持回路62、ライトドライバ21、第1コントローラ51、第2コントローラ52、アドレスデコーダ53は、高電圧の電源電圧(VDDC)で動作する。なお、図面では、低電圧の電源電圧(VDDP)を「◆」、高電圧の電源電圧(VDDC)を「●」と表記することがある。
【0017】
周辺回路1BからSRAMハードマクロ1Aへ供給される信号は、図1に示すように、例えば、レベルシフタ回路(LS)、レベルシフタ-クロック生成回路(LS_CLKGEN)、レベルシフタ付きラッチ回路(LSLTC)、スキャンセレクタ-レベルシフタ付きラッチ回路(Scan Sel LSLTC)による電圧レベルシフトを受ける。
【0018】
メモリセルアレイ10は、一例としては複数のSRAMがアレイ状に配置されたものであるが、メモリセルは、DRAM等その他のメモリでもよい。
【0019】
第1コントローラ51は、例えば、SRAMハードマクロ1Aにおけるリード動作やライト動作等の各動作やそれ以外の動作に関わる制御を統括して行う機能ブロックである。
【0020】
第2コントローラ52は、第1コントローラ51からの指示に基づき、例えばリード動作やライト動作に関わる各機能ブロックを制御する機能ブロックである。第2コントローラ52は、アドレスデコーダ53と接続され、リード動作またはライト動作の開始をアドレスデコーダ53へ指示する。アドレスデコーダ53は、周辺回路から入力されるアドレス信号Aをデコードして、アドレス信号Aに対応するワード信号およびアドレス信号Aに対応するビット信号を生成する。そして、アドレスデコーダ53は、ワード信号をメインデコーダ11へ出力し、ビット信号をカラムマルチプレクサ12へ出力する。
【0021】
メインデコーダ11は、アドレスデコーダ53から供給されるワード信号に対応するワード線WLを選択し、カラムマルチプレクサ12は、アドレスデコーダ53から供給されるビット信号に対応するビット線BLを選択する。これにより、リードまたはライトを行うメモリセルが選択される。
【0022】
また、第2コントローラ52は、ライトドライバ21と接続されている。第2コントローラ52は、ライト動作時、第2コントローラ52は、ライトドライバ21へ信号WTEを出力し、ライトドライバ21から書き込みデータDをカラムマルチプレクサ12へ供給させる。書き込みデータは、アドレス信号Aで指定されたメモリセルに書き込まれる。
【0023】
また、第2コントローラ52は、センスアンプ13と接続されている。第2コントローラ52は、リード動作時、所定のタイミングで信号(第1信号)SAEをセンスアンプ13へ出力し、センスアンプ13をアクティブにする。これにより、アドレス信号Aで指定されたメモリセルのデータが読み出され、センスアンプ13へ供給される。センスアンプ13は、メモリセルから読み出されたデータの値を判定し、判定結果の値をリードデータとして出力する。
【0024】
センスアンプ13がアクティブの期間は、第1出力保持回路14もアクティブとなり、センスアンプ13から出力されるリードデータが第1出力保持回路14で保持される。
【0025】
また、第2コントローラ52は、遅延回路61と接続され、リード動作時、所定のタイミングで信号(第2信号)SAENを遅延回路61へ出力する。これにより、第2コントローラ52は、遅延回路61から第2出力保持回路62へ信号(遅延信号)SAEDLYを出力させる。信号SAEおよび信号SAEDLYが出力されるタイミングは、同時でもよいし、信号SAEより遅れて信号SAEDLYが出力されてもよい。
【0026】
信号SAEDLYが供給されると、第2出力保持回路62はアクティブになり、第1出力保持回路14で保持されているリードデータが第2出力保持回路62へ供給され保持される。そして、第2出力保持回路62からリードデータが出力される。
【0027】
信号SAEDLYが第2出力保持回路62へ供給されるタイミングは、信号SAEが第1出力保持回路14へ供給されるタイミングより後である。すなわち、信号SAEDLYは、第1出力保持回路14より遅らせて第2出力保持回路62をアクティブにする信号である。
【0028】
なお、第1コントローラ51および第2コントローラ52は、図2のように別体で構成されてもよいし、同一のブロックとして構成されてもよい。
【0029】
<<遅延回路、第2出力保持回路>>
遅延回路61は、信号SAEDLYに遅延を与える回路であり、信号SAEDLYの配線に負荷容量を与える多数の素子を含む。信号SAEDLYの配線は、距離が長く、遅延回路61内の多数の素子と接続されている。このため、信号SAEDLYの配線の負荷容量は大きい。したがって、低電圧時には、信号SAEDLYの遅延は、負荷容量の影響により大きくなる。よって、遅延回路61は、少ない論理段数で信号SAEDLYの遅延を大きくすることが可能である。
【0030】
一方、高電圧時には、低電圧時より負荷容量の影響が小さくなる。また、遅延回路61内の論理段数が少ない。このため、高電圧時における信号SAEDLYの遅延は、低電圧時より小さくなり、信号SAEとほぼ同等になる。
【0031】
よって、第2出力保持回路62は、低電圧時には、第1出力保持回路14より遅れてアクティブになるが、高電圧時には、第1出力保持回路14とほぼ同じタイミングでアクティブになる。すなわち、第2出力保持回路62は、高電圧時には、第1出力保持回路14とほぼ同等の速さで動作することとなる。
【0032】
なお、ここで言う低電圧および高電圧とは、遅延回路61、第2出力保持回路62に供給される低電圧側の電源電圧のレベルである。
【0033】
他方、従来のように、スタンダードセルで遅延回路61と同等の遅延を得ようとする場合、配線の負荷容量を大きくすることができないため、多数の論理段数が必要となる。そうすると、論理段数の影響を受け、高電圧時においても、遅延を小さくすることができない。
【0034】
第2出力保持回路62は、SRAMハードマクロ1Aのアクセスタイムと、周辺回路1Bのアクセスタイムとのタイミングとのタイムラグを調整する回路である。第2出力保持回路62の入力端は、第1出力保持回路14の出力端と接続されている。第2出力保持回路62には、低電圧の電源電圧(VDDP)が供給される。第2出力保持回路62は、遅延回路61から出力される信号SAEDLYが供給されるとアクティブになり、第1出力保持回路14から出力されるリードデータを保持し出力する。
【0035】
第2出力保持回路62がない従来の構成では、リードデータの出力タイミングを周辺回路1Bに合わせるため、ワード線WLのアクティブ期間を長くする必要があった。一方、本実施の形態では、第1出力保持回路14より遅れて第2出力保持回路62をアクティブにすることで、リードデータを第2出力保持回路62で保持させておくことができるため、ワード線WLのアクティブ期間を従来より短くすることが可能となる。これにより、リード動作時における消費電力を低減させることが可能となる。
【0036】
<<レベルシフタ回路(LS)>>
図3は、レベルシフタ回路の一例を示す回路図である。なお、図2には複数のレベルシフタ回路(LS)が示されている。ここでは、これらのレベルシフタ回路(LS)に共通の符号100を付与して、レベルシフタ回路100の構成を説明する。
【0037】
図3に示すように、レベルシフタ回路100は、インバータ101、102a、102b、PMOS103a、103bを備えている。インバータ101は、低電圧の電源電圧(VDDP)で動作する回路である。一方、インバータ102a、102b、PMOS103a、103bは、高電圧の電源電圧(VDDC)で動作する回路である。インバータ101は、入力データを反転し、入力データの波形を整える回路である。
【0038】
インバータ102a、102bは、論理閾値が低く設定されている。これにより、インバータ102a、102bが、低電圧の電源電圧(VDDP)のハイレベルを認識できるようになっている。インバータ102a、102bでは、NMOSのソース-ドレイン電流が、PMOSのソース-ドレイン電流より大きい。
【0039】
PMOS103a、103bは、対応するインバータ102a、102bのPMOSと直列に接続されている。PMOS103a、103bは、インバータ102a、102bが低電圧の電源電圧(VDDP)のハイレベルをローレベルと誤認識した場合に高電圧の電源電圧(VDDC)が供給されるのを防いでいる。
【0040】
インバータ102aの入力端は、インバータ101の入力端と接続され、レベルシフタ回路100への入力データが直接入力される。インバータ102aの出力端は、PMOS103bの入力端と接続されている。インバータ102bの入力端は、インバータ101の出力端と接続されている。インバータ102bの出力端は、PMOS103aの入力端と接続されている。また、インバータ102bの出力端がレベルシフタ回路100の出力端である。
【0041】
<<レベルシフタ-クロック生成回路(LS_CLKGEN)>>
図4は、レベルシフタ-クロック生成回路の一例を示す回路図である。レベルシフタ-クロック生成回路200は、入力データのレベルシフトを行いつつ、SRAMハードマクロ1A内で使用するクロックを生成する回路である。
【0042】
図4(a)には、レベルシフタ-クロック生成回路200の回路図が示され、図4(b)には、後述する回路203の詳細が示されている。
【0043】
図4(a)に示すように、レベルシフタ-クロック生成回路200は、インバータ201、回路202~204を備えている。インバータ201は、低電圧の電源電圧(VDDP)で動作する回路である。一方、回路202~204は、高電圧の電源電圧(VDDC)で動作する回路である。インバータ101は、入力データを反転し、入力データの波形を整える回路である。回路202は、信号CKNに遅延を付与した信号CKDを生成する回路である。
【0044】
回路203において、図4(b)に示すインバータ203a、203bは、論理閾値が低く設定されている。これにより、インバータ203a、203bが、低電圧の電源電圧(VDDP)のハイレベルを認識できるようになっている。インバータ203a、203bでは、NMOSのソース-ドレイン電流が、PMOSのソース-ドレイン電流より大きい。
【0045】
PMOS203c、203dは、対応するインバータ203a、203bのPMOSと直列に接続されている。PMOS203c、203dは、インバータ203a、203bが低電圧の電源電圧(VDDP)のハイレベルをローレベルと誤認識した場合に高電圧の電源電圧(VDDC)が供給されるのを防いでいる。
【0046】
レベルシフタ-クロック生成回路200の出力であるクロックCK1は、SRAMハードマクロ1Aの内部クロックであるため、レベルシフタ-クロック生成回路200の入力であるクロックCLKよりパルス幅が短い場合がある。この場合、クロックCK1がローレベルに下がった後、クロックCLKがハイレベルに上がると、インバータ203bのリーク電流が増大する。PMOS203eは、この場合のリーク電流の発生を防止するために設けられている。
【0047】
<<レベルシフタ付きラッチ回路(LSLTC)>>
図5は、レベルシフタ付きラッチ回路の一例を示す回路図である。なお、図2には複数のレベルシフタ付きラッチ回路(LSLTC)が示されている。ここでは、これらのレベルシフタ付きラッチ回路(LSLTC)に共通の符号300を付与して、レベルシフタ付きラッチ回路300の構成を説明する。
【0048】
図5に示すように、レベルシフタ付きラッチ回路300は、回路301a、301b、インバータ302a、302b、PMOS303、NMOS304、ラッチ制御回路305、PMOS306、インバータ307、PMOS308、ラッチ回路309、NMOS310を備えている。回路301a、301bは、データ閉じ込め用のスイッチ回路である。
【0049】
インバータ302aは入力用インバータであり、インバータ302bは入力用インバータである。インバータ302a、302bは、論理閾値が低く設定されている。これにより、インバータ302a、302bが、低電圧の電源電圧(VDDP)のハイレベルを認識できるようになっている。インバータ302a、302bでは、NMOSのソース-ドレイン電流が、PMOSのソース-ドレイン電流より大きい。
【0050】
PMOS303は、例えば「0」データをフィードバックするために設けられた回路である。NMOS304は、例えば「1」データをフィードバックするために設けられた回路である。
【0051】
ラッチ制御回路305は、レベルシフタ付きラッチ回路300を動作させるラッチ制御信号を生成する回路である。PMOS306、NMOS310は、フィードバック用のスイッチ回路である。インバータ307は、入力データ反転用の回路である。ラッチ回路309は、ラッチ中のデータを確定させる回路である。
【0052】
PMOS308は、インバータ302aが低電圧の電源電圧(VDDP)のハイレベルをローレベルと誤認識した場合に、インバータ302bに高電圧の電源電圧(VDDC)が供給されるのを防いでいる。
【0053】
<<スキャンセレクタ-レベルシフタ付きラッチ回路(ScanSel LSLTC)>>
図6は、スキャンセレクタ-レベルシフタ付きラッチ回路の一例を示す回路図である。
【0054】
図6に示すように、スキャンセレクタ-レベルシフタ付きラッチ回路400は、図5のレベルシフタ付きラッチ回路300に、回路401a、401b、402~405が追加された構成となっている。回路401a、401b、402は、スキャンセレクタ回路を構成する。回路401a、401bの出力がレベルシフタ付きラッチ回路300に入力される。
【0055】
回路403は、低電圧の電源電圧(VDDP)を降圧させた電源電圧(LCVCCP)を生成する回路(例えばPMOS)である。回路403で生成された電源電圧(LCVCCP)は、回路401、インバータ307に供給される。
【0056】
回路404は、電源電圧(VSS)を昇圧させた電源電圧(LCVSS)を生成する回路(例えばNMOS)である。回路404で生成された電源電圧(LCVSS)は、回路401a、402、インバータ302a、302b、NMOS304に供給される。
【0057】
回路404は、電源電圧(VSS)を昇圧させた電源電圧(LCVSSP)を生成する回路(例えばNMOS)である。回路404で生成された電源電圧(LCVSSP)は、回路401b、307に供給される。
【0058】
スキャンセレクタ-レベルシフタ付きラッチ回路400において、回路402~405、ラッチ制御回路305は、通常より閾値が低いLVT(Low Threshold Voltage)素子で構成されている。また、これら以外の各回路は、LVT素子よりさらに閾値が低いSLVT(Low Threshold Voltage)素子で構成されている。
【0059】
<本実施の形態による主な効果>
図7は、本発明の実施の形態による効果を説明するタイミングチャート図である。図7は、電源電圧(VDDC)が、電源電圧(VDDP)より高く(VDDC>VDDP)なっている場合の動作を示している。すなわち、図7の例では、リードデータを出力するタイミングを、動作(アクセスタイム)が遅い周辺回路1Bに合わせて調整する必要がある。
【0060】
図7には、本実施の形態の構成における動作が、従来の構成における動作と技術と比較して示されている。図7(a)は、遅延回路および第2出力保持回路62がない従来の構成における動作を示している。図7(b)は、従来の構成において、遅延回路および第2出力保持回路62を設けずに信号SAEを遅延させた場合の動作を示している。図7(c)は、本実施の形態の構成における動作を示している。
【0061】
図7(b)に示すように、信号SAEを遅延させた場合、センスアンプがアクティブになり、出力保持回路にリードデータが保持されるまで、ワード線WLの選択信号をアサートしておく必要がある。
【0062】
したがって、クロックCLKおよび出力されるリードデータQは、電源電圧(VDDP)に依存させることができるが、ワード線WLのアサート期間TWLが長くなるため、消費電力が大きくなる。
【0063】
一方、図7(c)に示すように、本実施の形態の構成では、信号SAEDLYによって遅れてアクティブになった第2出力保持回路62が、周辺回路1Bの動作に合わせて、第1出力保持回路14が保持しているリードデータを受け取り出力することができる。
【0064】
このため、本実施の形態では、クロックCLKおよび出力されるリードデータQは、電源電圧(VDDP)に依存させることができつつ、さらに、ワード線WLのアサート期間TWLを従来より大幅に短縮することが可能となる。
【0065】
図8は、本発明の実施の形態による効果を説明するタイミングチャート図である。図8は、電源電圧(VDDC)が、電源電圧(VDDP)と同電圧(VDDC=VDDP)となっており、高速で動作を行う場合を示している。すなわち、図8の例では、リードデータを出力するタイミングを、動作(アクセスタイム)が遅い周辺回路1Bに合わせて調整する必要がない。
【0066】
図8には、本実施の形態の構成における動作が、従来の構成における動作と技術と比較して示されている。図8(a)は、遅延回路および第2出力保持回路62がない従来の構成における動作を示している。従来の構成おける高速動作では、信号SAEによりセンスアンプがアクティブになると、ほぼ同時にリードデータQが出力される。
【0067】
一方、図8(b)に示すように、本実施の形態の構成では、信号SAEDLYによって第2出力保持回路62が遅れてアクティブになり、リードデータQが出力されている。ただし、第2出力保持回路62がアクティブになるタイミングは、第1出力保持回路14からわずかに遅れている(TDLY)。この遅延の主な要因は、遅延回路61内の論理段数であり、負荷容量による影響は、論理段数よりも小さい。この程度の遅延であれば、高速動作に十分対応することが可能である。
【0068】
このように、本実施の形態によれば、SRAMハードマクロ1Aの電源電圧のレベルと周辺回路の電源電圧のレベルとの関係に応じて動作速度を調整することが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、第2コントローラ52は、信号SAEおよび信号SAENを同時に出力する。これによれば、信号SAEを出力するタイミングと、信号SAENを出力するタイミングとを調整する必要がないため、第2コントローラ52の負荷を軽減させることが可能となる。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1…半導体装置、1A…SRAMハードマクロ、1B…周辺回路、13…センスアンプ、14…第1出力保持回路、61…遅延回路、62…第2出力保持回路
図1
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図7
図8