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特許7443246外傷後の骨治癒または再生を加速するための外部電子パッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】外傷後の骨治癒または再生を加速するための外部電子パッチ
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/04 20060101AFI20240227BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61N2/04
A61B5/145
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020560643
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 IL2019050074
(87)【国際公開番号】W WO2019142196
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】62/618,685
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521486918
【氏名又は名称】パルサー・メドテック・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Pulsar Medtech Ltd.
【住所又は居所原語表記】B.S.R. Tower No. 3, 15th Floor, Suite 62, 9 Mesada Street, 5120109 Bnei-Brak, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブソン・エラド
(72)【発明者】
【氏名】バラク、シュロモ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第01059965(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0094521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0032852(US,A1)
【文献】特表平11-511661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/04
A61B 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット部位に隣接する外部身体表面に概して適合するのに十分にフレキシブルな、前記ターゲット部位における組織治癒を刺激するための電子パッチであって、
a)5mm厚未満の1つのバッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、
b)直列でコイルに直接接続されたキャパシタと、
c)記コイル中に電流のパルスを発生するために、直列で前記キャパシタとコイルにわたって電圧を印加し、直列で前記キャパシタと前記コイルの両端間の電圧を繰り返し変化させる、前記1つまたは複数のバッテリーによって電力供給されるパルス生成回路と、前記電流が、パルス中に組織治癒を刺激するための電磁場を前記ターゲット部位において発生し、電磁場エネルギーの大部分が、パルスの開始時に前記キャパシタから来て、前記パルスの終了時に前記キャパシタに戻る、
を備える電子パッチ。
【請求項2】
前記パッチが、前記パッチに柔軟性を与える柔軟な生体適合性材料の基材を備える、請求項1に記載の電子パッチ。
【請求項3】
前記パルスの持続期間は、各パルスの間にわずかな電磁場エネルギーが散逸され、1次近似で、前記コイルおよびキャパシタの(LC)-1/2共振周波数の波周期の半分に実質的に等しい、請求項1または2に記載の電子パッチ。
【請求項4】
前記電磁場エネルギーの90%超が、前記パルスの開始時に前記キャパシタから来て、前記パルスの終了時に前記キャパシタに戻る、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項5】
20日間動かされる場合、バッテリー電流の2000mA・h未満を消費する電流パルスを発生するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項6】
パルス生成器は、前記コイルが前記ターゲット部位において前記電磁場をその間に発生する1つまたは複数のさらなるパルスを発生するように構成され、前記パルスのうちの少なくともいくつかが、前記ターゲット部位において電磁場が実質的に発生されない非パルス周期と交番する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項7】
前記ターゲット部位における磁場が、0.05mTから5mTの間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項8】
1つのパルスの持続期間の間に直列で前記キャパシタとコイルにわたって電圧を印加することと、次のパルスの持続期間の間に直列で前記キャパシタとコイルにわたって異なる電圧を印加することとを交互に行うことによって、前記パルス生成回路は、前記電圧を繰り返し変化させ、反対方向の電流で、実質的に同じ持続期間の連続するパルスを発生する、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子パッチ。
【請求項9】
10日間毎日2回の30分間浸水に対して耐水性である、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項10】
a)前記電子パッチを通して患者によってはめられたギプスの圧力を測定するように構成された圧力センサー、または前記電子パッチに隣接する前記患者の皮膚中の血液酸素のレベルを測定するように構成された血液酸素センサー、または両方と、
b)前記センサー測定値または測定値の結果を通信するように構成された通信リンクとをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項11】
身体部分中のターゲット部位において前記電磁場の指定のレベルを発生するために、前記電子パッチは、第1の部分と第2の部分とを備え、一方の側に前記第1の部分を、前記身体部分の異なる側に前記第2の部分を配置するように構成され、前記第1の部分は前記コイルを備え、前記第2の部分は、電流のパルスがそれを通して流れるとき、前記ターゲット部位における前記電磁場に寄与するようにも構成された第2のコイルを備え、前記電子パッチは、
a)前記パルス生成回路が前記第1の部分のコイルにおいて電流のパルスを生成するとき、前記第2のコイルにおいて誘起されるemf電圧を測定し、
b)前記ターゲット部位において前記電磁場の指定のレベルを発生するために、前記第1の部分のコイルの電流の必要とされるレベルを推定するためにまたは前記第1の部分のコイルのおよび前記第2のコイルの電流の必要とされるレベルを推定するために、前記測定されたemfを使用し、
c)前記ターゲット部位において前記電磁場の指定のレベルを発生する、前記第1の部分のコイルの電流の前記必要とされるレベルをそのコイルに通過させる、または前記第1の部分のコイルおよび前記第2のコイルの電流の前記必要とされるレベルをそれぞれ前記第1の部分のコイルに、および第2のコイルに通過させる
ように構成されたコントローラも備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項12】
前記パッチの第1の部分が、一方の側上に、前記コイルを備え、前記パッチの第2の部分が、別の側上に、別のコイルを備え、前記別のコイルは、電流がそれの中を流れるとき、骨部位における前記電磁場にも寄与し、パルス生成器が、パルスの開始時に同じおよび/または異なるキャパシタから両方のコイルの前記電磁場エネルギーの大部分を転移し、前記パルスの終了時に前記1つまたは複数のキャパシタに両方のコイルの前記電磁場エネルギーの大部分を戻すように構成された、身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするようにサイズ決定された、前記身体部分上で使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項13】
前記バッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、直列で前記コイルと直接接続されたキャパシタと、前記パルス生成回路とを有する第1の部分と、第2のバッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、直列で第2のコイルと直接接続された第2のキャパシタと、前記第2のバッテリーまたは複数のバッテリーによって電力供給される第2のパルス生成回路とを有する第2の部分とを備え、これは、前記第2のコイル中に電流のパルスを発生するために、直列で前記第2のキャパシタと前記第2のコイルにわたって電圧を印加し、直列で前記第2のキャパシタと前記第2のコイルの両端間の前記電圧を繰り返し変化させ、前記電流は、前記パルス中に組織治癒を刺激するために前記ターゲット部位における電磁場にも寄与し、前記第2のコイルの前記電磁場エネルギーの大部分が、パルスの開始時に前記第2のキャパシタから来て、前記パルスの終了時に前記第2のキャパシタに戻る、請求項1から12のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項14】
身体部分中のターゲット部位において電磁場の指定のレベルを発生するために、前記電子パッチは、第1の部分と第2の部分とを備え、一方の側に前記第1の部分を、前記身体部分の異なる側に前記第2の部分を配置するように構成され、前記第1の部分は前記コイルを備え、前記第2の部分は、電流のパルスがそれを通して流れるとき、前記ターゲット部位において前記電磁場に寄与するようにも構成された第2のコイルを備え、前記電子パッチは、
a)前記パルス生成回路が前記第1の部分のコイルにおいて電流のパルスを生成するとき、前記第2のコイルにおいて誘起されるemf電圧を測定し、
b)組織治癒の過程中の1つ以上の異なる時間において(a)を繰り返し、
c)前記電流パルスによって前記第2のコイルにおいて誘起された前記emf電圧が、円筒形身体部分の医学的に有意な膨張または縮小を示す速度において経時的に増加また減少した場合、医療職員に通知すること
を行うように構成されたコントローラも備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項15】
前記パッチのいずれの剛性構成要素も、前記パッチがフレキシブルである方向において25mm幅以下であり、前記パッチがフレキシブルである方向において配置された、前記パッチのいずれの2つの剛性構成要素も少なくとも1.5mmだけ分離された、請求項1から14のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項16】
前記バッテリーまたは複数のバッテリー、前記キャパシタ、前記コイル、および前記パルス生成回路を含む、10mm厚未満である、請求項1から15のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項17】
パルス生成器は、総時間に対するパルス時間の比として定義されるデューティサイクルが1%未満になるような間隔においてパルスを発生するように構成された、請求項1から16のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項18】
前記非パルス周期が、0.02秒から0.5秒の間である、請求項6に記載の電子パッチ。
【請求項19】
パルスの前記開始時から前記終了時までの時間が、定常状態動作において、5マイクロ秒から100マイクロ秒の間である、請求項1から18のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項20】
前記コイル中のピーク電流が、25mAから3Aの間である、請求項1から19のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項21】
前記コイルは、全方向において直径が少なくとも20mmである前記中心に開領域を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項22】
前記パッチは、50~100mmの直径;または腕の上で使用するための12~20cm×8~12cm;または脚の上で使用するための32~50cm×12~25cm;または骨盤上で使用するための32~50cm×12~20cm;または胸骨上で使用するための8~12cmの直径;肋骨上で使用するための4~6cm×8~12cm;頭蓋骨上で使用するための6~10cmの直径;脊椎上で使用するための4~6cm×6~10cmである、請求項1から21のいずれか一項に記載の電子パッチ。
【請求項23】
身体部分の外表面の形状に適合し、前記電子パッチがギプスで覆われている、請求項1に記載の電子パッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Yakobsonらの名義における2018年1月18日に出願された「EXTERNAL ELECTRONIC PATCH FOR ACCELERATING BONE HEALING OR REGENERATION AFTER TRAUMA」と題する米国仮特許出願第62/618,685号の米国特許法第119条(e)項の下の利益を主張する。
【0002】
本発明は、それのいくつかの実施形態では、拡張された組織治癒のためのデバイスの分野に関する。より詳細には、本発明は、骨治癒および再生を促進するために、負傷した肢に外部的に適用される電子パッチに関する。
【背景技術】
【0003】
骨折は、非常に一般的なタイプの身体外傷である。米国では、約560万件の骨折が毎年発生する。英国では、全年齢層の骨折発生率は毎年3.6%である。その上、33%を超える人々が彼らの人生の中で骨折を経験することが示唆されている。骨折は、保存的に治療されるかまたは外科的に治療され得る。外科的治療は、内部的に置かれる釘、または外部フレームに合体されるピン(外部固定)など、折れた骨を固定する様々な方法を備える。非外科的または保存的治療は、通常、様々なタイプのギプス包帯を伴う。顕著な割合の骨折は、ギプス固定化を用いて保存的に治療される。
【0004】
一方、これらの骨折の5%~10%は、遷延治癒または癒合不全を示す。遷延癒合または変形癒合/癒合不全は、さらなる介入をしばしば必要とし、疼痛および機能的制約など、重篤な合併症を引き起こすことがある。骨治癒を促進するために、侵襲的で高額な再手術が通常必要である。身体障害の実質的なリスクと社会経済的コストとを低減するために、骨折治癒を加速するための方法の開発がますます重要になっている。いくつかの場合には、外科的介入も必要とされる。生体適合性で耐久性のあるインプラントで破断した骨を内部的に固定するための外科的手技は、折れた骨の癒合不全および変形癒合の発生率を一方で低減しながら、広範に受け入れられている。しかしながら、そのようなインプラントを用いて内部的に固定された骨は、インプラントの存在により筋肉および神経の損傷を受けやすく、長引いた回復時間を有する。
【0005】
Tepperらの米国特許第6,261,221号は、PEMF(パルス電磁場)刺激信号を生成するために単一コイルPEMFトランスデューサを使用するPEMF療法システムについて説明している。コイルは、電流がその中を二方向に流れるような、「二相性」動作を有する。駆動回路は、トランスデューサコイルからフライバックエネルギーを復元し、電圧をエネルギー復元キャパシタンス回路にダンプする。トランスデューサは、それにより、電磁場を提供するために電源投入および電源切断される。単一コイルトランスデューサは、フレキシブルな基材上に作製されてよく、配線は、プリント回路技法を用いて形成され得る。同じ概念は、直列接続されたコイルに適用され得る。
【0006】
2018年1月18日に公開された、Moshe Neumann、Roni Daffan、およびJoseph Shechterの、米国特許出願公開第2018/0015295号明細書、「Bone Enhancement Device and Method」は、電磁整形外科療法のために構成されたエネルギー節約回路について説明しており、この回路は、
整形外科療法電磁場を発生するように配置されたコイルと、
コイルと直列のキャパシタと、
キャパシタと直列の1つまたは複数のスイッチと、
非パルス位相中にキャパシタを第1の電圧値に維持するようにスイッチを制御することと、ここにおいて、電磁場が発生されない、
キャパシタを第2の電圧値まで充電するようにスイッチを制御することと、第2の電圧値が第1の電圧値に等しく、第2の電圧値が第1の電圧値と反対の電荷を有する、
第2の電圧値から第1の電圧値に戻ってキャパシタをさらに充電するようにスイッチを制御することと、このさらなる充電が、パルス位相の時間期間にわたって行われ、ここにおいて、キャパシタを充電することと、さらに充電することとが、電磁場を発生するために電流をコイルに通過させることを備え、電流が、第1の電圧の約2倍のコイルの両端間の電圧降下に関係する、
を行うためのコントローラと
を備える。
【0007】
Pillaらの米国特許出願公開第2006/212077号は、図2において、「コネクタ202を介した電気コイルなどの生成デバイス203を対象とする…小型制御回路201によって構成された波形。生成デバイス203は、組織などターゲット経路構造に治療を提供するために使用されることが可能なパルス磁場を送出する」と説明している。
【0008】
Talishらの米国特許第4,574,809号「Portable Non-Invasive Electromagnetic Therapy Equipment」は、「完成されたギプスの外部曝露のためにならびに独立型軽量再充電可能ポータブル信号生成器ユニットへの着脱可能な取付けおよび電気的接続のために設計された、単一コネクタフィッティングを含むギプス埋め込み可能なコイル構造。信号生成器ユニットは、療法治療の期間のみの間、ギプスに取り付けられ、それは、療法治療の期間の合間においてあまりポータブルでない充電ユニットに着脱可能に取り付けられる」と説明している。
【0009】
Griffithの米国特許第4,998,532号は、「患者によって容易に着用され、携行される、組織および骨治癒の電子的療法刺激のためのポータブル非侵襲的装置」について説明している。彼は、「奥深い骨折を治療するためにはコイルタイプのトランスデューサが最も好ましい」と述べ、「ヘルムホルツペアコイル、単純なコイル、骨折またはソレノイドに対して斜めの単純なコイル」を使用して必要とされる電力を比較している。
【0010】
以下の文書は、骨折を治療するためのPEMFの有効性の管理下試験について説明している:Hong-fei Shiら、「Early application of pulsed electromagnetic field in the treatment of postoperative delayed union of long-bone fractures: a prospective randomized controlled study」、BMC Musculoskeletal Disorders 2013、14:35、Milica Lazovicら、「Pulsed Electromagnetic Field During Cast Immobilization in Postmenopausal Women with Colles’ Fracture」、Srp Arh Celok Lek. 2012 Sep-Oct:140(9-10):619-624、およびAggelos Assiotisら、「Pulsed electromagnetic fields for the treatment of tibial delayed unions and nonunions. A prospective clinical study and review of the literature」、Journal of Orthopaedic Surgery and Research 2012、7:24。
【0011】
以下の文書は、骨折のPEMF治療に関する文献のレビューを提供している:Jeremy J. Cookら、「Healing in the New Millenium: Bone Stimulators」、Clin Podiatr Med Surg 32(2015)45-59、B. Chalidisら、「Stimulation of Bone Formation and Fracture Healing with Pulsed Electromagnetic Fields: Biologic Responses and Clinical Implications」、International Journal of Immunopathology and Pharmacology 24、no. 1(S2)、17-20(2011)、およびCarlo Galliら、「The Use of Pulsed Electromagnetic Fields to Promote Bone Responses to Biomaterials In Vitro and In Vivo」、International Journal of Biomaterials 2018、Article ID 8935750、15ページ。
【0012】
追加の背景技術は、Kronbergの米国特許第5,413,596号、Nachumの米国特許第6,792,313号、Cohenの米国特許第7,043,308号、Sun Zechuanの中国公開特許出願第CN203898943号(英文抄録)、Ku Jeong Hunらの韓国公開特許出願第KR2016/0131716号(英文抄録)を含む。
【発明の概要】
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、組織治癒を促進するためにパルス電磁場を発生する電子パッチであって、オプションで、パッチが薄くてフレキシブルになることを可能にする、より小さくてより薄いバッテリーが使用されることを潜在的に可能にする、1つのパルスから次にパルスに場エネルギーをリサイクルする共振エネルギー節約回路を使用する、電子パッチに関係する。
【0014】
したがって、本発明の例示的な一実施形態によれば、ターゲット部位に隣接する身体表面に概して適合するのに十分にフレキシブルな、ターゲット部位における組織治癒を刺激するための電子パッチであって、
a)5mm厚未満の1つのバッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、
b)コイルと直列のキャパシタと、
c)コイル中に電流のパルスを発生するために、キャパシタとコイルの両端間の電圧を繰り返し変化させる、1つまたは複数のバッテリーによって電力供給されるパルス生成回路と、電流が、パルス周期中に組織治癒を刺激するための電磁場をターゲット部位において発生し、電磁場エネルギーの大部分が、パルス周期の開始時にキャパシタから来て、パルス周期の終了時にキャパシタに戻る、
を備える電子パッチが提供される。
【0015】
オプションで、パルス生成器は、コイルがターゲット部位において電磁場をその間に発生する1つまたは複数のさらなるパルス周期を発生するように構成され、パルス周期のうちの少なくともいくつかは、ターゲット部位において電磁場が実質的に発生されない非パルス周期と交番する。
【0016】
オプションで、非パルス周期の間のコイル中の電流は、10μA以下である。
【0017】
オプションで、パルス生成器は、総時間に対するパルス周期の比として定義されるデューティサイクルが10%未満になるような間隔においてパルスを発生するように構成される。
【0018】
オプションで、デューティサイクルは1%未満である。
【0019】
オプションで、非パルス周期は、0.02から0.5秒の間である。
【0020】
オプションで、電磁場エネルギーの90%超は、パルス周期の開始時にキャパシタから来て、パルス周期の終了時にキャパシタに戻る。
【0021】
オプションで、パッチのいずれの剛性構成要素も、パッチがフレキシブルである方向において25mm幅以下であり、パッチがフレキシブルである方向において配置された、パッチのいずれの2つの剛性構成要素も少なくとも1.5mmだけ分離される。
【0022】
オプションで、パッチは、フレキシブルな電子的構成要素を備える。
【0023】
オプションで、1つのバッテリーは、または集合的に複数のバッテリーは、2000mA・h未満の容量を有する。
【0024】
オプションで、1つのバッテリーは、または集合的に複数のバッテリーは、250mA・h未満の容量を有する。
【0025】
オプションで、パッチは、10mm厚未満である。
【0026】
オプションで、パルス周期は、定常状態動作において、5マイクロ秒から50マイクロ秒の間である。
【0027】
オプションで、コイル中のピーク電流は、25mAから3Aの間である。
【0028】
代替的に、コイル中のピーク電流は、0.1mAから25mAの間である。
【0029】
オプションで、ターゲット部位における磁場は、0.05mTから0.5mTの間である。
【0030】
オプションで、パッチは、パッチに柔軟性を与える、生体適合性シリコーンの基材を備える。
【0031】
オプションで、バッテリーまたはバッテリーの配列の両端間の総電圧は、1.5ボルトから6ボルトの間である。
【0032】
オプションで、電子パッチは、一方向または二方向ワイヤレス通信リンクを備える。
【0033】
オプションで、電子パッチは、事前設定された時間において、自動的に1つまたは複数のバッテリーを切断することによってパッチを非アクティブ化し、1つまたは複数のバッテリーを再接続することによってパッチを再アクティブ化するタイマーを備える。
【0034】
オプションで、電子パッチは、24時間連続浸水に対して耐水性である。
【0035】
オプションで、電子パッチは、100回の30分間浸水に対して、または両方に対して耐水性である。
【0036】
オプションで、パッチが平坦であるとき、コイルは、楕円またはレースコース形に成形される。
【0037】
オプションで、パッチは、胸骨上で使用するためであり、コイルは、8cmから12cmの間である大径および小径と、10mm未満の厚さとを有する。
【0038】
代替的に、パッチは、頭蓋骨上で使用するためであり、コイルは、6cmから10cmの間である大径および小径と、10mm未満の厚さとを有する。
【0039】
代替的に、パッチは、肋骨上で使用するためであり、コイルは、8cmから12cmの間の大径と、4cmから6cmの間の小径と、10mm未満の厚さとを有する。
【0040】
代替的に、パッチは、脊椎上で使用するためであり、コイルは、6cmから10cmの間の大径と、4cmから6cmの間の小径と、10mm未満の厚さとを有する。
【0041】
本発明の例示的な一実施形態によれば、身体部分における破断した骨部位を治療する方法であって、
a)電子パッチを身体部分の外表面に適用することと、
b)電子パッチをカバーするギプス中に身体部分をセットすることと、
c)電子パッチがギプスによってカバーされている間、複数のパルス周期中に、破断した骨部位において、骨形成を刺激するのに好適な電磁場を発生するためにコントローラを使用することと、電磁場エネルギーの大部分が、各パルス周期の開始時にキャパシタから来て、各パルス周期の終了時にキャパシタに戻る、
を備える方法がさらに提供される。
【0042】
オプションで、電子パッチは、ギプスの外側への通信リンクをもつ圧力センサーを備え、本方法は、骨部位の治療中の様々な時間において身体部分に対するギプスの圧力を測定することと、通信リンクを介して、測定された圧力を通信することとをも備える。
【0043】
オプションで、圧力測定が、身体部分の膨張の増加を示す圧力上昇を示す場合か、または圧力測定が、ギプスがあまりに緩いことを示す圧力降下を示す場合、本方法は、その情報を医療職員に通信することを備える。
【0044】
オプションで、電子パッチは、ギプスの外側への通信リンクをもつ血中酸素センサーを備え、本方法は、骨部位の治療中の様々な時間において身体部分の皮膚における血中酸素濃度を測定することと、通信リンクを介して、測定された血中酸素濃度を通信することとをも備える。
【0045】
オプションで、血中酸素濃度が、ギプスがあまりにきついことを示す経時的な低下を示す場合、本方法は、その情報を医療職員に通信することを備える。
【0046】
オプションで、パッチは、円筒形身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするようにサイズ決定された、円筒形身体部分上で使用するためであり、パッチの第1の部分は、一方の側上に、コイルを備え、パッチの第2の部分は、別の側上に、別のコイルを備え、別のコイルは、電流がそれの中を流れるとき、骨部位における電磁場にも寄与し、パルス生成器は、パルス周期の開始時に同じおよび/または異なるキャパシタから両方のコイルの電磁場エネルギーの大部分を転移し、パルス周期の終了時に前記1つまたは複数のキャパシタに両方のコイルの電磁場エネルギーの大部分を戻すように構成される。
【0047】
オプションで、パッチは、手の上で使用するためであり、コイルは、3cmから8cmの間である大径および小径と、5mm未満の厚さとを有する。
【0048】
オプションで、パッチは、脚の上で使用するためであり、コイルは、32cmから50cmの間の大径と、16cmから25cmの間の小径と、5mm未満の厚さとを有する。
【0049】
オプションで、パッチは、骨盤上で使用するためであり、コイルは、32cmから50cmの間の大径と、12cmから20cmの間の小径と、5mm未満の厚さとを有する。
【0050】
本発明の例示的な一実施形態によれば、円筒形身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするように好適にサイズ決定された、身体部分内のターゲット部位における組織治癒を刺激するための電子パッチであって、パッチの第1の部分が、身体部分の一方の側上にあり、パッチの第2の部分が、身体部分の別の側上にあり、パッチは、
a)1つのバッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、
b)パッチの第1の部分に位置する第1のコイル、およびパッチの第2の部分における第2のコイルと、
c)第1の動作モードにおいて、組織治癒を刺激するための電磁場をターゲット部位において発生する電流を第1のコイルに通過させ、電流が第1のコイルを通過することによって第2のコイルにおいて誘起されるemf電圧を測定するように構成された、1つまたは複数のバッテリーによって電力供給される、コントローラと
を備える、電子パッチがさらに提供される。
【0051】
オプションで、パッチは、身体部分の周りにラッピングされたとき、身体部分に概して適合するのに十分にフレキシブルである。
【0052】
オプションで、パッチは、コントローラが、電流を両方のコイルに通過させるように構成され、2つのコイルが、組織治癒を刺激するための電磁場をターゲット部位において発生する、第2の動作モードを有する。
【0053】
本発明の例示的な一実施形態によれば、円筒形身体部分中のターゲット部位における電磁場の強度を指定の値に調整する方法であって、
a)電子パッチを身体部分の周りに少なくとも部分的にラッピングすることと、
b)第1のコイル中の知られている電流によって第2のコイルにおいて誘起されるemf電圧を測定する、第1の動作モードにおいて電子パッチを動作させることと、
c)ターゲット部位において電磁場の指定のレベルを発生するために、第1のコイルの電流の必要とされるレベルを推定するためにまたは第1および第2のコイルの電流の必要とされるレベルを推定するために、測定されたemfを使用することと、
d)ターゲット部位において電磁場の指定のレベルを発生する、第1のコイルの電流の必要とされるレベルを第1のコイルに通過させることまたは第1および第2のコイルの電流の必要とされるレベルを第1および第2のコイルに通過させることと
を備える方法がさらに提供される。
【0054】
本発明の例示的な一実施形態によれば、組織治癒を刺激するための電磁場を用いた治療の過程中に円筒形身体部分中のターゲット部位を監視する方法であって、本方法は、
a)電子パッチを身体部分の周りに少なくとも部分的にラッピングすることと、2つのコイルが、身体部分の異なる側上にある、
b)ターゲット部位を治療するために、電流を第1のコイルにまたは第1および第2のコイルに通過させることと、
c)治療の過程中の様々な時間の各々において第1のコイル中の知られている電流によって誘起される第2のコイル中のemf電圧を測定する、時間における第1の動作モードにおいて電子パッチを動作させることと、
d)第1のコイル中の所与の電流に対する第2のコイル中の誘起されたemf電圧が、身体部分の膨張の医学的に有意な増加を示す速度および程度において経時的に減少している場合、膨張の増加を医療職員に通知することと
を備える、方法がさらに提供される。
【0055】
本発明の例示的な一実施形態によれば、組織治癒を刺激するための電磁場を用いた治療の過程中に円筒形身体部分中のターゲット部位を監視する方法であって、本方法は、
a)電子パッチを身体部分の周りに少なくとも部分的にラッピングすることと、2つのコイルが、異なる側上にある、
b)電子パッチ上にギプスをセットすることと、
c)ターゲット部位を治療するために、電流を第1のコイルにまたは第1および第2のコイルに通過させることと、
d)治療の過程中の様々な時間の各々において第1のコイル中の知られている電流によって誘起される第2のコイル中のemf電圧を測定する、時間における第1の動作モードにおいて電子パッチを動作させることと、
e)第1のコイル中の所与の電流によって第2のコイルにおいて誘起されるemf電圧が、身体部分の膨張の医学的に有意な増加を示す速度および程度において減少した場合、またはギプスがあまりに緩くなっていることを示す速度および程度において増加した場合、医療職員に通知することと
を備える、方法がさらに提供される。
【0056】
本発明の例示的な一実施形態によれば、
a)第1のコイルと第2のコイルが互いに指定の相対的位置および配向にあるようにパッチを配置することと、
b)指定の電流を第1のコイルに通過させることと、
c)第1のコイル中の電流によって第2のコイルにおいて誘起されるemfを測定することと
を備える、電子パッチを較正する方法がさらに提供される。
【0057】
本発明の例示的な一実施形態によれば、身体部分における破断した骨部位を治療する方法であって、
a)フレキシブルな基材中に電子回路パッケージと、バッテリーと、コイルとを備える電子パッチを身体部分の外表面に適用することと、
b)電子パッチ全体をカバーするギプス中に身体部分をセットすることと、
c)電子パッチがギプスによってカバーされている間、破断した骨部位において、骨形成を刺激するのに好適な電磁場を発生するためにパッチを使用することと
を備える方法がさらに提供される。
【0058】
本発明の例示的な一実施形態によれば、身体部分の表面に概して適合しながら身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするのに十分にフレキシブルで、好適なサイズの電子パッチであって、組織治癒を促進するために、身体部分内のターゲット部位においてパルス電磁場を発生する、パッチが身体部分の周りにラッピングされたときに身体部分の異なる側上に位置する2つのフレキシブルなコイルを備える、電子パッチがさらに提供される。
【0059】
本発明の例示的な一実施形態によれば、直径が少なくとも20mmの中心ホールをそれぞれもつ、水平方向に配置された2つのコイルを備える、水平軸と垂直軸とをもつ平坦でフレキシブルな電子パッチであって、パッチは、円筒形身体部分の円筒軸の周りを水平方向に少なくとも部分的にラッピングするように、およびコイルが円筒形身体部分内のターゲット部位における組織を治癒するためのパルス電磁場を生成するように構成され、パッチは、医療用X線に対して実質的に不透過性である1つまたは複数の電子的要素をも備え、電子的要素がすべて、ホールの中心から少なくとも10mmだけ垂直方向に変位された位置においてパッチ上に取り付けられた、電子パッチがさらに提供される。
【0060】
定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および/または科学的用語は、本発明が関係する技術における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明されるものと同様のまたは等価な方法および材料が、本発明の実施形態の実践または試験において使用されることが可能であるが、例示的な方法および/または材料について以下で説明される。競合がある場合、定義を含めて、本特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、および例は、例示的なものにすぎず、必ずしも限定的に意図されているとは限らない。
【0061】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実装形態は、選択されたタスクを手動で、自動で、またはそれらの組合せで実施または完了することを伴うことができる。その上、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の器具および機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、オペレーティングシステムを使用するソフトウェアによってまたはファームウェアによってあるいはそれらの組合せによって実装され得る。
【0062】
たとえば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実施するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティングシステムを使用するコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な一実施形態では、本明細書で説明される方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなど、データプロセッサによって実施される。オプションで、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、ならびに/あるいは命令および/またはデータを記憶するための不揮発性記憶装置、たとえば、磁気ハードディスクおよび/またはリムーバブル媒体を含む。オプションで、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ、および/またはキーボードもしくはマウスなどのユーザ入力デバイスもオプションで提供される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態について、単に例として、添付の図面を参照しながら本明細書において説明される。次に特に図面を詳細に参照すると、図示された詳細は、例としてであり、本発明の実施形態の例示的な議論のためであることが強調される。この点について、図面とともに行われる説明は、本発明の実施形態がどのように実践され得るかを当業者に明らかにする。
【0064】
図面では以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明の例示的な一実施形態による、単一コイルをもつ電子パッチの概略上面図。
図2図1に示されている電子パッチの概略側面図。
図3】コイルによって生成される電磁場の磁場線を示している、破断した骨部位に隣接する患者の表面上に置かれた、図1に示されている電子パッチの概略側面図。
図4A】本発明の例示的な一実施形態による、患者の上に置かれる前の平坦な非ラッピング構成における、2つのコイルをもつ電子パッチの概略上面図。
図4B】本発明の例示的な一実施形態による、平坦な非ラッピング構成における、2つのコイルをもつ電子パッチのための別の設計の概略上面図。
図4C】本発明の例示的な一実施形態による、バッテリーおよび電子回路パッケージが異なる位置に置かれた、図4Bの設計に対するいくつかの変形態の概略上面図。
図5】コイルによって生成される電磁場の磁場線を示している、骨部位が破断した患者の肢の周りにラッピングされた、図4A図4B、または図4Cに示されている電子パッチの概略側面図。
図6】本発明の例示的な一実施形態による、図1図4A図4B、または図4Cの電子パッチのための使用されることが可能な共振エネルギー節約回路の動作原理を示す概略回路図。
図7図6のエネルギー節約共振回路の動作を示すフローチャート。
図8】数パルスの間の、図6の共振エネルギー節約回路の動作中の、時間の関数としての、コイルを通る電流と、キャパシタの両端間の電圧との概略プロット。
図9】本発明の例示的な一実施形態による、一方のコイル中の電流を使用することによってコイル間の距離の変化を検出して他方のコイルにおいてemf電圧を誘起することができる、肢などの円筒形身体部分の周りにラッピングされた2コイル電子パッチの概略側面図。
図10】本発明の例示的な一実施形態による、ターゲット部位における電磁場の強度を指定の値に調整するために図9の電子パッチがどのように使用されることが可能であるかを示すフローチャート。
図11】本発明の例示的な一実施形態による、ワイヤレス通信リンクと、様々なセンサーと、電子パッチをアクティブ化および非アクティブ化するためのデバイスとを示している、ギプスの下の、骨部位が破断した身体部分上に置かれた、図1または図4A図4Cのパッチと同様の、電子パッチの概略側面図。
図12】組織の治療のために、図1および図4A図4Cに示されているものなど、電子パッチの使用中に起こるイベントのフローチャート。
図13】本発明の例示的な一実施形態による、パルス電磁場を生成するために図1図4A図4B、または図4Cの電子パッチによって使用され得るエネルギー節約共振回路の回路図。
図14】本発明の例示的な一実施形態による、電子パッチが、通信を受信するための無線受信器としてそれのコイルをどのように使用することができるかを示すブロック図。
図15】本発明の例示的な一実施形態による、電子パッチが、通信を受信するための無線受信器としてそれのコイルをどのように使用することができるかを示すブロック図。
図16】本発明の例示的な一実施形態による、電子パッチによってパルス電磁場の生成を駆動するために使用される矩形波信号のプロット、ならびにパルス場を生成する電流のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、組織治癒を促進するためにパルス電磁場を発生する電子パッチであって、オプションで、パッチが薄くてフレキシブルになることを可能にする、より小さくてより薄いバッテリーが使用されることを潜在的に可能にする、1つのパルスから次にパルスに場エネルギーをリサイクルする共振エネルギー節約回路を使用する、電子パッチに関係する。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、身体内のパッチに隣接するターゲット部位においてパルス磁場を繰り返し発生する1つまたは2つのコイル、あるいは3つ以上のコイルが、たとえば肢の異なる側上に置かれた、身体の外側上に置かれた電子パッチに関係する。パルス磁場は、組織の治癒を改善すると考えられる、ターゲット部位において変化する電場を誘起する。共振回路は、各パルスの電磁場エネルギーを、ほとんど損失なしに蓄積され次のパルスにおいて再び電磁場エネルギーに変換されることが可能なキャパシタの静電エネルギーに、極めて効率的に転移する。たとえば、各パルスにおいて、場エネルギーの50%超、または90%超、95%超、または99%超、または99.9%超がリサイクルされる。オプションで、場エネルギーは、非常に効率的に変換され、蓄積されるので、支配的なエネルギー損失は、コイルからのオーム損である。
【0068】
共振回路はまた、パルス間にコイル中に電流がないかまたは極めて低い電流があり、したがってオーム損が可能な限りほとんど低くなるような仕方で動作する。たとえば、パルス間の電流は30nA~3μAの範囲内にあるが、パルス中のピーク電流は0.1mA~25mA、または25mA~3Aの範囲内にある。パルス間の低い電流は、各パルスが、コイルとキャパシタとのLC共振周波数において波サイクルの約1/2、または1波サイクルの間のみ持続するので、生じることがある。
【0069】
本発明の例示的な一実施形態では、パルスの開始時に、コイル中の電流は0であり、キャパシタは、それがパルス間に維持する動作電圧まで充電される。直列のキャパシタとコイルの両端間の電圧は、突然反転される。電流は、コイル中に蓄えられ始め、キャパシタは、放電し、反対の極性で充電し始める。パルスは、キャパシタが反対の極性でそれの動作値まで充電され、コイル電流が0に戻ったときに終了する。コイル電流は、再び電圧を反転させることによって別のパルスが開始されるまで、まったくまたはほとんどエネルギー損失なしに、0にまたはそれの極めて近くにとどまる。
【0070】
オプションで、パルスの卓越周波数である共振周波数が、たとえば10kHzから100kHzの間であり、あまりに高くなく、コイルが、100mm幅よりもはるかに大きくなく、10または100kHzにおける波長と比較すれば極めて小さいので、放射損失は潜在的に無視できる。オプションで、パルスは、パルス間の時間と比較すれば極めて短く、たとえばデューティサイクル、総時間に対するパルス時間の比は、10%未満、または1%未満、または0.2%未満であり得る。たとえば、毎秒2個と100個の間のパルスがあり得る。加えて、デバイスは、毎日数時間だけ、たとえば1日に2時間と10時間との間、動作し得る。
【0071】
エネルギーの極めて効率的な使用により、たとえば3~20週間であり得る治療の全過程にわたってパッチに電力供給するために、比較的低いエネルギー蓄積容量のバッテリーを使用することが可能になる。オプションで、この時間中にバッテリーを再充電する必要はなく、再充電可能でないバッテリーがオプションで使用される。バッテリーを再充電する必要がないことは、患者がその目的のために予約を取る必要がなく、患者と医療職員との時間を節約するという潜在的利点を有する。さらに、再充電可能でないバッテリーは、再充電可能なバッテリーよりも安価であり、同じ容量ではより小型になり得る。
【0072】
バッテリーは、1.5ボルトから20ボルトの間の、または1.5ボルトから6ボルトの間の電圧、たとえば1.55ボルト、2ボルト、3ボルト、3.6ボルト、または5ボルトにおいて、2000ミリアンペア時未満の、または30ミリアンペア時から2000ミリアンペア時の間の、または250ミリアンペア時未満の電荷を蓄積し得る。エネルギー蓄積要件が低い場合、比較的低い電圧バッテリーが使用され得る。オプションで、バッテリーは、5mm厚未満、または3mm厚未満、2mm厚未満であってよく、コイル内にフィットする。そのような薄いバッテリーでは、パッチ自体が極めて薄くなる、たとえば2mm厚から10mm厚の間、オプションで5mm厚未満、または3mm厚未満、または2.5mm厚未満になることが可能である。
【0073】
オプションで、パッチは、シリコーン、またはポリイミド、または液晶ポリマーなどのフレキシブルな材料から作られ、破断した骨の部位に隣接する患者の身体の表面に適合するのに十分にフレキシブルであり、十分に伸張可能である。たとえば、パッチの曲率半径は、それが身体の表面に適合しているとき、2cm、または3cm、または5cm、または10cm、または20cmであり、円筒形曲率、または球体の表面のような正曲率、またはサドル形のような負曲率を有する。バッテリーが剛性であり、電子回路が剛性ボード中に備えられる場合でも、バッテリーの小さいサイズにより、バッテリーと電子回路との間に十分な空間を提供することが可能になり、ここでパッチが曲がることができるので、パッチは、依然として比較的フレキシブルであることが可能である。オプションで、電子回路は、同じくフレキシブルである、プリントされた電子的構成要素を備える。オプションで、フレキシブルなバッテリーが使用される。
【0074】
パッチの柔軟性により、パッチは、もしあれば、ギプスの下で、患者の皮膚と直接接触することが可能になることがあり、それにより、骨折または他の治療される組織において所与の振幅の場を発生するために必要とされる電流およびオーム損がさらに低減されることが可能になり得る。さらに、単一の薄いパッチ中にすべての構成要素を有することにより、治療が患者にとってより心地良くなることがあり、かさばり極めて注目を引く構成要素を使用し、それらの少なくとも一部がギプスの外側にある従来技術とは対照的に、患者は、特にそれがギプスの下にあるとき、パッチに気づくかまたはそれについて考えることすら不要である。オプションで、パッチは、ギプスの下にあり、ギプスの圧力を測定するためのセンサーを有する。たとえば、圧力を測定するために圧力センサーが使用され得るか、または患者の皮膚に対して直接置かれたパッチ中の血中酸素センサーが、圧力があまりに高くて血液循環に干渉しているかどうかを示し得る。オプションで、通信リンク、たとえばワイヤレスリンクは、ギプスの下での、これらのセンサーからのデータを、医療職員に提供し得る。代替的に、低い血中酸素濃度が、警告灯を点灯することによって医療職員に通信される。
【0075】
骨折を治癒することはパッチの重要な適用例であるが、それは、筋肉、腱、軟骨、および皮膚(はんこん組織)を含む、他の種類の組織を治癒するためにも潜在的に有用であり、それは、治癒の品質、ならびにそれの速度を改善し得る。たとえば、それは、治癒された腱の弾性を改善し得る。
【0076】
本発明の例示的な実施形態の一態様は、円筒形身体部分、たとえば腕、脚、手足、首、骨盤または胸郭の周りに少なくとも部分的にラッピングされた、2つのコイルをもつ電子パッチであって、2つのコイルが、オプションでギプスの下の、身体部分の異なる側上にある、電子パッチに関係する。コイルは、オプションで2つのモードにおいて動作する。一方のモードでは、電流が両方のコイルを通過し、一緒にそれらは、身体部分内の骨折部位または軟組織ターゲット部位において電磁場を発生する。オプションで時々のみ動作する、他方のモードでは、電流は、コイルの一方のみの中を流れる。そのコイルによって発生させられた磁束パルスは、第2のコイルをリンクし、ファラデーの法則に従って、第2のコイルによって検出されたそのコイルにおいてemf(起電力)電圧を誘起する。第1のコイル中の所与の電流に対する、第2のコイルにおける測定電圧は、2つのコイルの相互インダクタンスに関する情報を提供し、この情報は、今度は、それら間の距離に関する情報、または少なくともそれら間の距離の変化に関する情報を提供する。
【0077】
本発明のいくつかの実施態様では、emf電圧に関する情報は、円筒形身体部分の幅がどのくらいであるかと、ターゲット部位がコイルからどのくらい離れているかとが事前に正確に知られていない場合でも、コイル中の電流を調整することによって骨折部位において指定の振幅の電磁場を発生するために使用される。第2のコイルにおける誘起電圧が測定されると、電子パッチは、電流が両方のコイル中を流れるモードで動作することに戻ることができ、両方のコイル中のこの電流は、コイルからの距離が推定され得るターゲット部位において、電磁場の指定のレベル、emf電圧を発生するように計算されたレベルに設定される。本発明のいくつかの実施態様では、電磁場を発生するために、第2のコイルは、第1のコイルによって誘起されるemf電圧を測定するためにのみ使用され、第1のコイルのみが、それの中に電流を常に有する。
【0078】
オプションで、第2のコイル上の誘起emf電圧は経時的に繰り返し測定され、治療が進行する。コイルがさらに離れている場合、これは、ギプスの下で視認できないことがある、身体部分の増加した膨張を示すことがあり、骨が適切に治癒していないことと、何らかの医学的介入が必要であることとを示すことがある。コイルが互いにより近づいている場合、これは、腕が予想よりも急速に収縮しており、ギプスが緩く、もはや身体部分を効果的に固定化していないことを示すことがある。この場合、ギプスを取り外し、それを交換することが必要であり得る。腕が予想よりも速く収縮している場合、それは、何らかの医学的対応を必要とし得る、予想よりも大きい筋肉の消耗を示すこともある。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、身体部分の表面に概して適合しながら身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするのに十分にフレキシブルで、好適なサイズの電子パッチであって、組織治癒を促進するために、身体部分内のターゲット部位においてパルス電磁場を発生する、パッチが身体部分の周りにラッピングされたときに身体部分の異なる側上に位置する2つのフレキシブルなコイルを備える、電子パッチに関係する。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、全方向において直径が少なくとも20mmの、中心に開領域をもつ少なくとも1つのコイルがその上に取り付けられた基材と、コイルが、組織治癒を促進するために、身体内のターゲット部位においてパルス電磁場を発生する、医療用X線に対して実質的に不透過性である1つまたは複数の電子的要素と、ここにおいて、不透過性電子的要素が、開領域の中心から離れて取り付けられる、を備える、電子パッチに関係する。
【0081】
本発明の少なくとも1つの実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されならびに/または図面および/もしくは例に示される構成要素および/または方法の構築および配置の詳細へのそれの適用において必ずしも限定されるとは限らないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、あるいは様々な仕方で実践されるかまたは行われることが可能である。
【0082】
フレキシブルな電子パッチ
次に図面を参照すると、図1は、本発明の例示的な一実施形態による、電磁場を用いて身体組織を治療するための電子パッチ10の上面図を概略的に示す。パッチの構成要素は、オプションで、たとえばモールド中で形成された、シリコーンなどのフレキシブルな生体適合性材料から作られた基材3中に埋め込まれる。構成要素は、パッチ10の場合は円形であり、直径80mmであるパッチの外側の周りを進む、コイル5を含む。たとえば身体の異なる部分上で使用されるように設計された、本発明の他の実施形態では、パッチおよびコイルは、異なるサイズまたは形状であってよい。
【0083】
電子回路パッケージ7と、バッテリー9とは、オプションでコイル内に位置する。バッテリーは、電子回路パッケージを通して、コイルに電力を供給し、電子回路パッケージは、大部分のバッテリーがオーム損を埋め合わせるためにのみエネルギーを供給する必要があり得るように、各パルスにおいて場エネルギーの大部分をリサイクルするエネルギー節約回路を含む、コイルを通過する電流のパルスを制御する回路を含む。バッテリーと、電子回路パッケージとは、コイル内に位置する必要はないが、この配置は、コイルのサイズが、電磁場に曝露されている身体組織の領域および深度に基づいてよく、はるかにより小さい半径を有するコイルの巻きが、それほど深くまたはそれほど広く延長しない電磁場を概して発生するので、パッチがよりコンパクトになることを可能にする潜在的利点を有する。
【0084】
オプションで、バッテリーが骨折部位または他のターゲット部位のX線ビューをさえぎるのを回避するために、バッテリーは、それが十分に小さい場合、コイルの中心の側に対して離れて位置するか、あるいはバッテリーはまったくコイル内にない。
【0085】
図1に、および他の図面に示されているコイルは、概略的に描かれており、数個の同心円が複数の巻きを表していることを理解されたい。また、異なる巻きの間の接続、および異なるコイル間の接続またはコイルと他の構成要素との間の接続が必ずしも示されているとは限らない。
【0086】
図2は、パッチ10の側断面図を概略的に示す。パッチは、たとえば、6mm厚であり、この厚さは、バッテリーがどのくらい薄いかに大きく依存する。パッチ10中のバッテリーは、約3.5mm厚である。パッチが電磁場を作り出すためにエネルギーをより効率的に使用するほど、バッテリーが必要とする蓄積容量はより少なくなり、バッテリーはより薄くなることができ、パッチは潜在的により薄くよりフレキシブルになることができる。たとえば、パッチは、オプションで、わずか5mm厚、または4mm、または3mm、または2.5mm、または2mm、またはそれ未満であり、バッテリーは、オプションで、3mm厚未満または2.5mm厚未満または2mm厚未満である。オプションで、バッテリーは、電磁場によって治療の過程中に再充電されず、オプションで、バッテリーは再充電可能でさえなく、この場合、バッテリーは、治療の期間全体にわたってパッチに電力供給するのに十分な蓄積容量を必要とする。たとえば、バッテリーは、1.5ボルトから20ボルトの間の電圧とともに、30mA・hから2000mA・hの間の蓄積容量を有する。
【0087】
バッテリーが剛性である場合、特に患者の身体の表面に適合するためにパッチが曲がる必要があり得る方向において、バッテリーがあまりに広くない、たとえば25mmよりも広くない場合、それが潜在的に有利である。また、電子回路パッケージが剛性である場合、それがあまりに広くない、たとえば25mmよりも広くない場合、およびパッチが曲がる必要がある方向に沿ってバッテリーと電子回路パッケージとが配置された場合、それらの間に少なくとも1.5mmがある場合、それが潜在的に有利である。これにより、パッチが、電磁場に曝露されている身体組織に隣接する患者の身体の表面に、少なくとも概して適合するのに十分にフレキシブルになることが保証され、ならびにパッチが患者にとって着用するのが快適であることが保証されるのを助けることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施態様では、電子回路パッケージは剛性でないが、たとえば、液晶ポリマー(LCP)フィルム上に積層される薄ダイ熱圧着によってたとえば製造された、フレキシブルなプリントされた電子回路部分を備える。本発明のいくつかの実施態様では、バッテリーはフレキシブルであってよく、たとえばフレキシブルなポリマーバッテリーが使用され得る。しかしながら、ポリマーバッテリーは、再充電されずに治療の過程全体にわたって持続するのに十分な蓄積容量を有しなくてよく、ポリマーバッテリーは再充電可能でなくてよい。概して、アルカリ、銀、リチウム、オキシ水酸化ニッケル、および空気亜鉛バッテリーを含む、十分に小さくて薄く、十分に高い蓄積容量を有するどんなタイプのバッテリーでも使用され得る。
【0089】
www.en.m.wikipedia.org/wiki/List_of_battery_sizes>において入手可能な、mmの寸法とmA・hの容量とを用いてバッテリータイプをリストしている表がある。有望なバッテリーは、比較的低い高さ、たとえば3mm未満の高さ、または3mmよりもはるかに大きくない高さと、比較的高い容量、たとえば100mA・h超の容量、またはそれよりもあまりにはるかに小さくない容量とをもつものである。たとえば、CR2032は3.2mm高であり、225mA・hの容量を有し、CR2016は1.6mm高であり、90mA・hの容量を有し、CR2025は2.5mm厚であり、160mA・hの容量を有し、CR2320は2.0mm厚であり、110mA・hの容量を有し、CR2325は2.5mm厚であり、165mA・hの容量を有し、CR2330は3.0mm厚であり、265mA・hの容量を有する。
【0090】
スイス、イティンゲンのRenata SAは、好適であり得る、CP042350と呼ばれるフレキシブルなLi/MnO2バッテリーを販売している。それは、わずか0.42mm厚であるが、50mm×23mmの面積と、わずか28mA・hの蓄積容量とを有する。それらのいくつかは、十分な蓄積容量を有し得るが、あまりに大きい面積を占有することがある。および、それらが積層された場合、それらは十分にフレキシブルとは限らないことがある。
【0091】
本発明のいくつかの実施態様では、2つ以上のバッテリーが使用され得る。本明細書でバッテリーが言及されるときはいつでも、2つ以上のバッテリーが使用され得ることを理解されたい。複数のバッテリーは、電圧を増加させるために直列に接続され、および/または電流を増加させるために並列に接続されてよい。いずれの場合も、複数のバッテリーを使用することにより、総バッテリー蓄積容量を増加させることができる。複数のバッテリーを使用することの潜在的利点は、患者の身体表面に適合するために、フレキシブルな基材中で個々のバッテリーがやや離れて離間されることが可能なので、大きい剛性体積を有することなしにバッテリー蓄積容量が増加され得ることである。
【0092】
オプションで、電子パッチは耐水性である。たとえば、それは、損傷されることなしに24時間の浸水に耐えるか、または、患者が長さ50日間の治療中に1日2回シャワーを浴びることを可能にし得る、各30分間の100回の浸水に耐えることができる。オプションで、パッチは、完全に防水性であり、損傷されることなしに10日間、20日間、40日間、50日間、または120日間の浸水に耐えることができる。
【0093】
図3は、骨の骨折14に隣接する、患者の身体の表面上に置かれた電子パッチ10を概略的に示す。コイル5中の電流は、骨折14に達する、患者の身体に及ぶ電磁場17を発生する。骨折14の最も遠い部分は、コイル5の半径よりも小さい、パッチ10の約30mm下にあり、電磁場は、患者の表面におけるそれの値と比較して大きい減衰なしに、そのような遠くに達する。図3に、および他の図面に示されている磁場線は、場の形状を大雑把に表して、概略的に描かれており、それらは、正確な磁場計算に基づかないことを理解されたい。
【0094】
本明細書に示されているコイル5中のピーク電流と、他のパッチ中のピーク電流とは、オプションで、0.1mAから0.5mAの間、または0.5mAから2mAの間、または2mAから5mAの間、または5mAから25mAの間、または25mAから100mAの間、または100mAから500mAの間、または500mAから1Aの間、または1Aから3Aの間、または0.1mA未満または3A超である。ターゲット部位において発生させられるピーク磁場は、オプションで、2マイクロテスラから5マイクロテスラの間、または5マイクロテスラから10マイクロテスラの間、または10マイクロテスラから20マイクロテスラの間、または20マイクロテスラから50マイクロテスラの間、または50マイクロテスラから100マイクロテスラの間、または2マイクロテスラ未満または100マイクロテスラ超である。
【0095】
図4Aは、2つの円形コイル402および404がそれぞれシリコーン中に埋め込まれ、シリコーン406のフレキシブルなストリップがそれらを接続する、電子パッチ400を概略的に示す。パッチ400は、円筒形身体部分、たとえば腕、手、脚、足、骨盤、胸郭または首の周りを少なくとも部分的にラッピングするように設計され、コイル402は、身体部分の一方の側上にあり、コイル404は、身体部分の別の側上にあり、オプションでコイル402に対向する、オプションでコイル402から反対の側上にある。それらがこの位置にあるとき、2つのコイルは、ほぼ同じ方向に配向された、コイル間の、円筒形身体部分内の磁場を発生し、ヘルムホルツコイルによって発生させられる磁場と同様に、合算される。図5は、身体部分内に磁場502を発生する、円筒形身体部分500の両側上に置かれたコイル402および404を示す。
【0096】
身体部分の異なる側上に2つのコイルを有して、身体部分内のターゲット部位において電磁場を発生することは、電磁場がより均一になり、同じ電磁場を発生するためにより少ない電流が必要とされ、したがって、必要とされるより低い電力、という潜在的利点を有する。たとえば、ターゲット部位が破断した骨部位であり、骨折が骨幅にわたって延長している場合、骨の一方の側上のコイルは、骨のその側上に電磁場をより効率的に発生することができ、骨の他の側上のコイルは、骨のその側上に電磁場をより効率的に発生することができる。したがって、電磁場は、潜在的には、どちらの側上にそれが位置していてもただ1つのコイルによってそれらが発生され得るよりも、効率的に発生させられる。
【0097】
オプションで、コイル402とコイル404は、パッチ400が折り重ねられ、2つのコイルが互いに対向するとき、所与の方向にコイルの一方を通って進む電流が、同じ方向に他方のコイルを通って進む電流を常に生じるように、たとえば直列にまたは並列に、互いに接続される。代替的に、コイル402と404は、各コイル中の電流を独立して制御するコントローラをもつ単一の電子回路パッケージを用いるか、あるいはコイルごとに別個の電子回路パッケージを用い、オプションでコイルごとに別個のバッテリーを用いて、互いに無関係に動作する。しかし、図4Aは、両方のコイルが、同じ電子回路パッケージ406によって制御され、同じバッテリー408によって電力供給される場合を示している。2つのコイル中の電流が独立して制御される場合でも、それらの2つのコイルが互いに対向しているとき、それらは、通常、電流がコイルの周りを同じ方向に進んで動作する。
【0098】
図5のパッチ400のそれと同様の構成をもつ、図9において以下に示されている本発明の一実施形態では、1つの動作モードでは、第1のコイルのみが、それ中を流れる電流を有し、第2のコイルは、第1のコイルによって誘起されるemfを測定するために使用される。2つのコイル中の電流を別々に制御することの潜在的利点は、図9に示されているモードでパッチを動かすことが可能であることである。
【0099】
本発明のいくつかの実施態様では、2つのコイルは、互いに対向するのではなく、異なる配向に配向され得る。いくつかの実施形態では、様々な仕方で配向され得る、3つ以上のコイルがある。図5に示されている構成の潜在的利点は、コイルにおける所与のオーム損では、身体内の磁場が、コイルの他の配置の場合よりも大きくなり得るように、両方のコイルによって寄与される磁場が身体内で合算されることである。
【0100】
コイルと、バッテリーと、電子回路パッケージとを示す、パッチ400の側断面図411が、図4Aの下部に示されている。
【0101】
2コイル電子パッチ412のための代替的設計が図4Bに示されている。パッチは、遠位橈骨の骨折を治療するために、手首の周りで使用するために設計され、患者の手首414の周りに部分的にラッピングされて示されている。パッチは、手首の周りに完全にラッピングされ互いに接合されてはおらず、それにより、それが膨張した場合に手首が延長するための空間が与えられ、加えて、それは、伸張可能な材料から作られ、140mmの長さから250mmに延長することができる。パッチの上面図416は、フレキシブルな弾性基材422中に埋め込まれた、円形コイル418と円形コイル420とを示している。CR2016バッテリー424と、コントローラを含む電子パッケージ426とは、2つのコイル間に位置するが、図面において見られるようにコイルの中心から垂直方向に変位された、パッチのエッジのより近くに位置する。バッテリーと電子回路パッケージとをコイルの外側に置くことは、患者が電子回路パッチを着用している間に骨折を検査するためにX線画像が撮られた場合、それらがX線画像中で骨折のビューをさえぎらないという潜在的利点を有する。コイルのホールを通して、すなわち、前後方向に骨折部位を見てX線画像が撮られた場合、画像は、バッテリーまたは電子回路パッケージがホールの中心にない限り、それらによってさえぎられない。加えて、バッテリーと電子回路パッケージとがホールの中心から垂直方向に変位された場合、ちょうどコイル間にある、骨折部位のビューは、身体部分の円筒軸に直角な方向に対向するが、コイルの平面に平行な横方向からX線画像が撮られた場合、やはりさえぎられない。「垂直」と「水平」とは、ここでは、ラッピングされないパッチの平面中の方向を指し、水平方向は、2つのコイルを分離する方向、およびパッチが身体部分の周りをそれに沿ってラッピングする方向であることを理解されたい。それらは、空間におけるパッチと身体部分との配向とはまったく関係ない。
【0102】
本発明のいくつかの実施態様では、コイルは、医療撮像のための注目する波長において、X線に対して比較的低い不透過性を有し、および/またはそれらは、基材が有するのと同様のX線に対する不透過性を有し、したがって、コイルは、手首のX線画像とあまり干渉しない。
【0103】
2つの側面図428および430は、パッチの小さい厚さ、わずか2.5mmを示している。
【0104】
図4Cは、図4Bに示されている電子パッチ412を、2つの代替的設計と比較する。上面図432は、図4Bに示されているのと同じ電子パッチを示し、上面図434および436は、バッテリー424と電子回路パッケージ426との配置が異なる、2つの他の設計を示す。すべての3つの設計において、45mmの外径と30mmの内径とをもつ、同じコイル418および420が使用される。図432では、バッテリーおよび電子回路パッケージは、2つのコイルの間にあるが、パッチのエッジのより近くに、垂直方向に変位される。バッテリーおよび電子回路パッケージをパッチのエッジのより近くに、すなわち垂直方向に変位されて置くことにより、それらが、何らかの角度、横方向または前後方向から撮られるX線において骨の骨折の視認性に干渉しないように保たれ得る。この設計では、パッチは80mm幅(図4Cの垂直方向)である。図434では、バッテリーおよび電子回路パッケージはそれぞれ、骨折のX線画像に干渉しないように十分に離れた、コイルの一方と、パッチのエッジとの間にある。この設計では、パッチは、図432におけるよりも少し広く、90mmである。図436では、バッテリーおよび電子回路パッケージはそれぞれ、それらが近くにあるコイルと重なる。このパッチは、他の設計よりも狭く、わずか70mmであるが、図432および434に示されているパッチの2.5mmとは対照的に、重なりに適応するためにより厚く、3.5mmである。
【0105】
例示的なエネルギー節約共振回路
図1および図2の電子パッチ10中の電子回路パッケージ7と、図4Aの電子パッチ400中の同様の電子回路パッケージ406と、図4Bおよび図4Cの電子回路パッケージ426とは、オプションで共振エネルギー節約回路を含む。エネルギー節約回路は、コイルと直列のキャパシタと、コイル中に電流のパルスを発生するために、キャパシタとコイルの両端間の電圧を繰り返し変化させるパルス生成回路とを含む。パルス生成回路は、いくつかの時間において電圧の変化を起こすようにプログラムされたコントローラ、たとえばデジタルコントローラを備え得るか、または電圧の変化は、いくつかの非線形要素をもつアナログ回路によって周期的に生成されてよい。初期に、または少なくともパルス生成回路がいくつかのパルスについて動作し、定常状態に達した後に、キャパシタは、パルスが開始される前に、ある電圧まで充電される。パルスが開始されたとき、キャパシタの電気エネルギーは、コイルの磁場エネルギーへと放電され、次いで、キャパシタに戻ってリサイクルされ、ここで、それは、次のパルスが開始されるまで残る。理想的には、キャパシタのエネルギーのほとんどすべては、コイルの電磁場を発生するために利用可能であり、コイルの電磁場エネルギーのほとんどすべては、パルスの終了時にキャパシタに戻ってリサイクルされ、エネルギーの散逸はごくわずかである。コイルにおいてオーム損があるが、コイルの抵抗Rが(L/C)1/2よりもはるかに小さく、ここで、Lがコイルのインダクタンスであり、Cがキャパシタのキャパシタンスである場合、これらは、コイルとキャパシタとの間のエネルギー循環と比較すると相対的に小さくなる。たとえば、Rは、(L/C)1/2よりも少なくとも10分の1倍、または少なくとも100分の1倍、または少なくとも1000分の1倍小さい。直径100mmのコイルでは3GHzである、コイル直径によって除算された光速と比較して、共振周波数(LC)-1/2が小さい場合、コイルからの放射損失は無視できるが、この共振周波数は、一般的には10kHzから100kHzの間である。患者の身体を含めて、電磁場が接触することになる何らかの導体において電磁場によって誘起される渦電流からの若干のエネルギー損失があることもある。どんなエネルギー損失も、バッテリーによって供給される必要がある。
【0106】
共振エネルギー節約回路の一例は、2018年1月18日に公開された、Moshe Neumann、Roni Daffan、およびJoseph Shechterの米国特許出願公開第2018/0015295号明細書、「Bone Enhancement Device and Method」において説明されており、ここでは図6図7図8図13および図16において説明される。この共振エネルギー節約回路がどのように実装され得るかと、特にパルス生成回路がどのように実装され得るかについてのさらなる詳細は、その公開において見つけられよう。
【0107】
図6は、インダクタンスLをもつコイル1402と、キャパシタンスCをもつキャパシタ1404と、0電圧端子1406と、図6に示されていないパルス生成回路によって制御される電圧をもつ端子1408とを含む、そのような共振エネルギー節約回路の一部分600の回路図を概略的に示す。電圧1408への変化は、たとえばバッテリー電圧に等しい、正の動作電圧を有する端子1410と、たとえば大きさがバッテリー電圧に等しい、負の動作電圧を有する端子1412とによって概略的に示される。初期に、少なくとも、いくつかのパルスが開始され、回路が定常状態に達すると、端子1408は、図7のフローチャート700のボックス702に示されているように、端子1410の正の動作電圧に設定され、キャパシタ1404は、動作電圧に等しい正の電圧を有し、コイル1402の両端間に0電圧があり、このコイル中に電流は流れない。パルスを開始するために、端子1408は、フローチャート700のボックス704において、端子1412の負の動作電圧に設定される。最初は、キャパシタ1404は、それが以前に有していたのと同じ正の動作電圧で充電されたままであり、コイル1402は、正の動作電圧と負の動作電圧の大きさが等しい場合、それの両端間に、動作電圧のほぼ2倍に等しい電圧を今度は有する。電流は、フローチャート700のボックス706において、コイルの逆emfがそれの両端間の電圧をほぼ相殺するので、最初は緩やかに、コイル中を流れ始める。軸802上に示されている、時間の関数としてのコイル中の電流800と、時間の関数としてのキャパシタの両端間の電圧804とを概略的に示す図8では、パルスは、時間806において開始される。コイル中の電流が蓄えられ始めると、キャパシタは放電し始める。時間808において、フローチャート700のボックス708に述べられているように、キャパシタは完全に放電しており、それのエネルギーのほとんどすべては、コイルの電磁場エネルギーになっており、コイルは最大電流に達する。電流は、同じ方向に進んで、フローチャート700のボックス710に述べられているように、反対の極性でキャパシタを充電し始める。時間810において、フローチャート700のボックス712に述べられているように、キャパシタは、動作電圧まで、しかし時間806においてそれがそうであったものとは反対の極性で充電されており、コイルの両端間の電流および電圧は0に落ちている。時間806から時間810までの間隔は、オーム損および任意の他の散逸の影響を無視すると、一次近似では共振周波数(LC)-1/2において波周期の1/2である。再び散逸を無視すると、時間806と時間810との間の時間の関数としての電流は、共振周波数において、ほぼ正弦関数である。時間806と時間810との間の時間の関数としてのキャパシタの両端間の電圧も、ほぼ正弦関数であるが、時間の関数としての電流とは位相が90度ずれている。
【0108】
時間810において、端子1408が端子1412の負の動作電圧にとどまっている場合、または、図6の「状態3」によって示されている、端子1408が浮遊している場合、フローチャート700のボックス714に述べられているように、それ以上の電流はコイル1402中を流れず、キャパシタ1404は、負の動作電圧において完全に充電されたままになる。パルス間のこの状態は、図8の時間812において行われるフローチャート700のボックス716に示されている、端子1408が端子1410の正の電圧を有することにスイッチバックされるまで持続する。フローチャート700のボックス718に述べられているように、キャパシタは再び放電し始め、電流がコイル中に再び蓄えられるが、今度は、電流は、それが時間806と時間810との間にそうであったものとは反対方向になる。時間812の後の電流は、フローチャート700のボックス720および722に述べられているように、キャパシタが放電し、コイルの電磁場を蓄え、次いで、それの元の正極性で再び充電され、コイルから場エネルギーを復元するにつれて、符号は反対であるが、それが時間806と時間810との間に有していたのと同じ振幅を時間の関数として有する。時間814において、フローチャート700のボックス724に述べられているように、時間812の後の共振周波数の波周期の半分において、キャパシタは、それの元の正極性で、動作電圧に再び充電され、コイル電流および電圧は再び0になる。回路は、今度は、時間806の前のそれの状態に戻っており、端子1408の電圧を変化させることによって新しい電流パルスが開始されるまで、このパルス間状態にとどまることができる。オプションで、端子1408は、次のパルスが開始されるまで浮遊している。
【0109】
上記で説明されたパルス時間に関係する共振周波数(LC)-1/2は、オプションで10kHzから100kHzの間である。代替的に、それは、1kHzから5kHzの間、または5kHzから10kHzの間、または100kHzから200kHzの間、または200kHzから500kHzの間、または500kHzから1MHzの間、または1MHz超である。
【0110】
図13は、図6の回路の原理がどのように実装され得るか示す、エネルギー節約回路の例示的な回路図である。正の動作電圧と負の動作電圧との間の直列のキャパシタとコイルの両端間の電圧のスイッチングは、FETに適切な電圧を印加することによって開閉される、それらのFETに基づくスイッチによって達成される。マイクロプロセッサは、FETの状態を制御する信号、正または負の矩形波パルスを生成する。それらの信号は、同じく時間の関数としてコイル中の電流を示す、図16に示されている。図16では、正電流をもつパルスの直後に、負電流をもつパルスが常に続き、したがって、キャパシタは、パルス間の間隔中に、同じ符号の動作電圧、たとえば正の動作電圧を常に有する。これらのバックツーバックパルスは一緒に、LC共振周波数の全サイクルにわたって持続する。
位置センサーとしての第2のコイルの使用
図9は、2つのコイルをもち、それらのコイルの一方が、他方のコイルによってそれの中で誘起されるemfを測定することによってセンサーとして使用されることが可能である、電子パッチ900を概略的に示す。コイル902は、骨908を含んでいる円筒形身体部分906の上部にあり、コイル904は、それの下部にある。コントローラ910は、骨908における骨折部位912を治療するための電磁場を作り出す、コイル902を通る電流パルスを生成する。
【0111】
コントローラ910は、オプションで、図1の電子回路パッケージ7、または図4Aの電子回路パッケージ410と同様の、パッチ900に組み込まれた電子回路パッケージの一部であり、コントローラ910とパッチ900とは、オプションで、図1のバッテリー9、または図4Aのバッテリー408と同様の、バッテリーによって電力供給される。代替的に、コントローラ910、ならびに/またはそれおよび/もしくはパッチ900に電力供給する電源は、まったくパッチ900の一部でないが、パッチ900の外部のより大きいユニットであり得る。
【0112】
コイル902によって生成された、磁束線914のいくつかは、コイル904をも通過する。図示の時間において、少なくとも、コイル904は、それを通過するどんな電流も有せず、骨折部位においてそれ自体の電磁場を生成しない。しかし、コイル904を通って進む、変化する磁束によって生成されるemf電圧を測定することによって、コントローラ910は、パッチ900によって生成される電磁場を較正および調整するために有用であることが可能な情報を取得することができる。
【0113】
図10は、パッチ900が動作する例示的な様式を示すフローチャート1000を示す。1002において、パッチが較正される。これは、コイル904がコイル902に対して知られている位置および配向にあり、知られているパルス形状および幅をもつ、知られている電流が、コイル902を通過されたとき、コイル904におけるemfを測定することによって行われる。たとえば、コイル902および904は、知られている距離だけ分離された、位置合わせされたそれらの軸を用いて保持される。たとえば、この知られている距離は、標準サイズの円筒形身体部分、オプションで、手首における前腕など、パッチがそれを治療するように設計された特定の身体部分のために、コイルが分離され得る標準距離である。オプションで、コイル902を通過される電流は、身体部分における標準ターゲットロケーションにおいて、そのパルス形状および幅をもつ指定の電磁場強度、たとえば療法のためにうまく作用すると考えられる電磁場強度を発生するために必要とされる電流である。パッチ900が較正されると、コイル902に対する所与のロケーションにおいて指定の電磁場強度を発生するために、そのパルス形状および幅では、コイル902にどんな電流が通過されるべきかを計算することが可能である。1004において、パッチ900が、身体部分906など、円筒形身体部分の周りに置かれる。1006において、知られているパルス形状の知られている電流、オプションで、パッチ900を較正するのに使用されたのと同じ電流およびパルス形状が、コイル902を通過され、1008において、コイル902中の電流によって誘起された、コイル904におけるemfが測定される。測定されたemfを、較正中に見つけられた測定されたemfと比較することによって、1010において、コイル902中のその電流によってターゲットロケーションにおいてどんな電磁場強度が発生させられ得るかを推定することと、ターゲットロケーションにおいて指定の療法電磁場強度を発生するためにコイル902中の電流がどのように変化されるべきかを推定することとが可能である。1012において、コイル902中の電流がその推定値に変化され、電流のその調整された値を使用して療法が実施される。
【0114】
オプションで、パッチ900は、コイル904が、コイル902によって生成された電磁場に加算されるそれ自体の療法電磁場を、身体部分906中のターゲットロケーションにおいて生成する動作モードをも有する。この場合、コイル904も、治療が実施されるときにそれを通って進む電流を有し、コイル904を通って進むこの電流は、ターゲットロケーションにおいて指定の電磁場強度を取得するために、コイル902を通過されるべき電流を計算する際に考慮に入れられる。オプションで、ターゲットロケーションにおいて指定の療法電磁場強度を発生するように、コイル904を通って進む電流を調整するために、コイル904における測定されたemfも使用される。
【0115】
パッチ900が、身体部分中のターゲットロケーションにおいて電磁場を生成するためにコイル902とコイル904が両方とも使用される動作モードを有するとき、それは、オプションで、治療が続いている間、大部分の時間この動作モードにとどまる。しかし、時々、または一定の間隔で、パッチ900は、少なくとも短い時間の間、コイル902によって誘起されるemfを測定するためにコイル904が使用される動作モードに入ってよい。これは、たとえばコントローラ910との通信リンクを使用して、たとえば、医療職員がコイル904におけるemfの示度を要求した場合に行われ得る。代替または追加として、コントローラ910は、一定の間隔で、たとえば1時間に1回、または1日に1回、短い時間の間、たとえば1秒間、コイル904においてemfが測定されるモードにパッチ900をスイッチングするようにプログラムされ得る。オプションで、ターゲットロケーションにおける電磁場強度を指定の値に保つために、閉フィードバックループにおいて、コイル904におけるemfの規則的な測定が使用される。
【0116】
オプションで、コイル904における測定されたemfは、パッチ900が身体部分906の周りに置かれたとき、コイル902とコイル904との間の距離を計算するために使用され、その距離は、コイル902および904からターゲットロケーションまでの距離を推定するために、ならびに次いで、たとえば磁気シミュレーションソフトウェアを使用して、ターゲットロケーションにおいて指定の電磁場強度を発生するためにコイル902および904においてどのくらいの電流が必要とされるかを推定するために使用される。代替的に、コイル902からコイル904までの距離と、ターゲットロケーションまでの距離とは、決して明示的に計算されないが、パッチ900が身体部分906の周りに置かれたときのコイル904の測定されたemfは、パッチ900が較正されたときのemfの測定された値と比較され、たとえば、emf値の比および/または差が見つけられ、その比および/または差は、ターゲットロケーションにおいて指定の電磁場強度を取得するためにコイル902および904中で使用されるべき電流を計算するために直接使用される。
【0117】
コイル904の測定されたemf、および/またはそれから計算されることが可能なコイル902とコイル904との間の距離は、身体部分906の状態に関する情報を取得するために、他の仕方で使用されてもよい。たとえば、コイル902によって誘起される、コイル904のemfは、身体部分906の治療の過程中に定期的に測定される。コイル902中の同じ電流について、コイル904における測定されたemfが経時的に減少しているので、距離が経時的に増加しているように見える場合、それは、身体部分906が膨張をこうむっていることを示すことがある。オプションで、コイル904のemfの測定値は、コントローラ910中の通信チャネル、たとえばワイヤレス通信チャネルを使用して、医療職員に通信される。emf測定値から推論される膨張の程度および速度に基づいて、医療職員は、膨張を低減するために、何らかの医学的介入が適切であると決定してよい。代替的に、医療職員は、emf測定値に基づいて、膨張が、その種類の骨折では予想される程度であり、介入が不要であると決定してよい。
【0118】
コイル902とコイル904との間の距離が、コイル902中の所与の電流に対してコイル904において誘起されたemfの増加から、経時的に減少していると推論された場合、それは、おそらくは骨折が治癒するにつれて膨張が低減することにより、または筋肉の消耗により、身体部分906が収縮していることを示すことがある。身体部分906の収縮の原因が何であれ、それは、ギプスがあまりに緩くなっており、骨折が治癒している間にもはや骨908を所定の位置に保持することができないことを示すことがある。その場合、ギプスを取り外し、それを交換することが医学的に勧められることがある。一方、身体部分906が収縮しているが、予想よりも緩やかに収縮している場合、それは、骨908が適切に治癒することに失敗していることを示すことがある。
【0119】
ギプスの下でのパッチの例示的な使用
図11は、電子パッチ1102によって生成される電磁場によって治療されている骨折部位1106がそれの内にある、身体部分1104と接触している、電子パッチ1102をカバーするギプス1100を概略的に示す。電子パッチ1102は、コイル1108と、バッテリー1110と、電子回路パッケージ1112とを含む。オプションで、たとえば図4Aまたは図4Bに示されているパッチについて説明されたように、第2のコイルがある。オプションで、電子パッチ1102は、ギプスの下で、身体部分の皮膚からデータを直接取得することができるセンサーを含む。たとえば、センサー1114は圧力センサーであり、センサー1116は血中酸素センサーである。センサーは、オプションで、電子回路パッケージ1112の一部であるか、または少なくとも電力およびデータ処理のために電子回路パッケージに接続される。オプションで、センサーのうちの1つまたは複数は、ギプスがあまりにきついことを示す可能性がある低い血中酸素濃度など、いくつかの条件下で、ギプスの外側に位置する警告灯1118を点灯させる。圧力センサーと血中酸素センサーの両方は、たとえば身体部分1104の膨張により、ギプスの下の圧力が上昇しているかどうかを検出するために使用されるか、または、初めにギプスがあまりにきつく置かれ、それにより、血液循環が干渉されて、ギプスの下で皮膚において血中酸素濃度の低下が引き起こされている可能性があるので、圧力があまりに高いかどうかを検出するために使用されることが可能である。圧力センサーはまた、身体部分の膨張が減少しているかまたは筋肉量が失われていることを意味することがある、ギプスの下の圧力降下がいつ起こっているかを検出することができる。圧力があまりに多く減少した場合、ギプスは、破断した骨を所定の位置に効果的に保持するのにはあまりに緩いことがあり、ギプスを取り外し、それをより良くフィットするギプスと交換することが医学的に勧められることがある。
【0120】
オプションで、図9および図10において上記で説明されたように、第2のコイルにおいて誘起されるemfに関するデータを含む、センサーデータ、およびパッチ1102によって生成された他のデータを医療職員に送信するために、通信リンク1120、オプションでワイヤレス通信リンクが使用される。通信リンク1120は、オプションで、たとえばパッチ1102から医療職員にデータを通信する、一方向である。代替的に、通信リンク1120は二方向であり、パッチ1102がギプス1100の下にあり、容易にアクセス可能でないとき、それの動作を制御するために医療職員によって使用される。たとえば、医療職員は、あるデータを取得することをパッチ1102に要求するために、またはパッチ1102をオンもしくはオフにするために、またはパルス繰返し数もしくは場振幅など、それの動作パラメータを変更するために、通信リンク1120を使用し得る。代替的に、通信リンクは一方向であるが、外部からパッチ1102を制御するためにのみ使用され、それからデータを取得するためには使用されない。
【0121】
オプションで、パッチ1102はオン/オフスイッチ1122を有する。オプションで、スイッチ1122は、ギプス1100によってパッチ1102がカバーされる前にのみ使用され、パッチ1102がカバーされるとアクセスされることが不可能である。代替的に、スイッチ1122は、ギプス1100によってパッチ1102がカバーされるときに使用されることが可能である。スイッチ1122のための可能な設計は以下を含む。
【0122】
1.たとえばライトスティックのような、破壊されたとき、パッチをオンにするカプセル。
【0123】
2.電磁誘起を使用してリモートでパッチをオンにする外部アクティベータ。
【0124】
3.プルワイヤ。
【0125】
4.磁石によってオンおよびオフにされる磁気スイッチ。
オプションで、これらの方法のいずれか、または任意の他の方法によって動作するスイッチは、パッチが適切に動作しているかどうかを見るための試験を開始するために使用されることも可能であり、電力レベルなどの設定を変更するために使用されることが可能である。
【0126】
オプションで、バッテリーが再充電可能である場合、それは、コイル1108がギプスの下方にある場合でも、電力をコイル1108に誘起的に転移するための外部コイルを使用することによって、コイル1108、または図11に示されていない別のコイルを使用して再充電されることが可能である。
【0127】
図14および図15は、パッチが非アクティブ化されたとき、それをアクティブ化するための外部コマンドをコイルが受信することを可能にする回路のブロック図を示す。図14において、「場伝送コイル」と標示されたコイルは、パッチをアクティブ化するための信号を外部アクティベータから受信する、無線受信器コイルとして機能する。コイルは、信号を入力RFコマンド検出器に受け渡し、入力RFコマンド検出器は、信号を解釈し、パルスを生成するエネルギー節約回路をアクティブ化すべきことをマスターオン/オフ制御に告げる。図14にはまた、タイマー中に設定されたオンおよびオフ時間に従って、高速スイッチを使用して、エネルギー節約回路とバッテリーとを接続または切断する「スイッチ制御タイマーオン/オフタイミング」モジュールが示されている。図15は、発明者によって設計されたシステム中で図14のブロック図がどのように実装されるかについてのさらなる詳細を提供する。図15のRxバッファモジュールは、図14の入力RFコマンド検出器と同様に、外部アクティベータによって送信され、場伝送コイルによって受信されたRF信号を解釈し、マイクロコントローラにオン/オフコマンドを送る。オン/オフコマンドを受信するためにバッテリーに常に接続されているマイクロコントローラは、電流のパルスを生成する、図6に概略的に示され、図13により詳細に示されている回路、Txドライバから、バッテリーを接続または切断する。Txドライバは、図6に示されているように、直列に共振キャパシタと場伝送コイルとに接続されて示されている。オプションで、RF信号が、電流パルスよりもはるかに高い周波数にあり、適切なフィルタによって電流パルスから分離されることが可能であるので、場伝送コイルは、コイルが電流パルスを生成しているときでも、アクティベータからコマンドを受信することが依然として可能である。
【0128】
図12は、本明細書で説明されるものなどの電子パッチが、パルス電磁場を使用して、破断した骨部位などのターゲット部位において組織治癒を促進するために使用される時間中に起こるイベントのフローチャート1200を示す。フローチャート1200は、ギプスの下に位置する電子パッチに主に関係するが、その場合に限定されない。
【0129】
1202において、パッチがオンにされる。1204において、ターゲット部位に隣接する身体部分上にパッチが置かれる。1206において、オプションでパッチを含む身体部分が、オプションでギプスでカバーされる。1208において、治療の過程中に、パッチが周期的にオフおよびオンにされる。たとえば、パッチは、オプションで、毎日限られた数時間の間だけオンにされる。パッチをオフおよびオンにすることは、オプションで、何らかの種類のタイマー、おそらくは、図14に示されている「スイッチ制御タイマー」モジュールなど、電子回路パッケージ中のタイマー機能を用いて自動的に行われる。代替的に、それは、たとえば、パッチをカバーしているギプスがある場合、ギプスの外側でアクセス可能なスイッチを使用して、手動で行われる。たとえば、パッチが「スリープ中」であるとき、無線信号を送ることによってそれをオンにするためにオプションで外部アクティベータが使用され、この無線信号は、コイルによって受信され、図14に示されている入力RFコマンドデコーダモジュールによって解釈され、マスターオン/オフ制御モジュールに送られる。もちろん、スイッチ制御タイマーモジュールと、マスターオン/オフ制御モジュールと、RFコマンドデコーダモジュールとは、パッチが非アクティブ化されているときでも、これらのモジュールが、パッチをオンにするために、説明されたように動作することができるように、オプションですべて電源投入され、バッテリーに接続される。
【0130】
1210において、組織治癒を監視するために、オプションで身体部分の医療用画像、たとえばX線画像が作られる。1212において、ギプスの下のセンサーを使用して、または第1のコイルによって誘起されるemf電圧を測定するために第2のコイルを使用して、オプションで身体部分の圧力および/または膨張が監視される。1214において、圧力および/または膨張があまりに高いかまたはあまりに低いことが発見された場合、何らかの種類の介入がオプションで行われる。1216において、治療の終了時に、たとえば組織が治癒したとき、ギプスとパッチとが取り外される。
様々な骨のためのパラメータ
表1は、いくつかの異なるタイプの骨のために有用であると発明者が考える例示的なコイルパラメータを示す。
【0131】
【表1】
【0132】
異なる電力設定は、オプションで、コイルから骨におけるターゲット部位までの距離と、したがって、ターゲット部位において指定の強度の電磁場を発生するために必要とされる電力とに影響を及ぼす可能性がある、異なる個人の身体中の皮下脂肪の異なる量を有する彼らのために使用される。たとえば、やせた男性と、過体重の男性と、やせた女性と、過体重の女性とについて異なる電力設定があり得る。目的は、ターゲット部位において50μTから500μTの間の磁場、たとえば200μTを発生することであり得る。
【0133】
本明細書で使用される「約」という用語は、±10%を意味する。
【0134】
「を備える」、「を備えている」、「を含む」、「を含んでいる」、「を有する」という用語およびそれらの同根語は、「を含むが限定はされない」を意味する。
【0135】
「からなる」という用語は、「を含み、それに限定される」を意味する。
【0136】
「から本質的になる」という用語は、組成、方法または構造は、追加の成分、ステップおよび/または部分が、請求される組成、方法または構造の基本的で新規の特徴を実質的に変更しない場合のみ、それらの追加の成分、ステップおよび/または部分を含み得ることを意味する。
【0137】
本明細書で使用される「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈が明らかに別様に規定していない限り、複数の参照を含む。たとえば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、それの混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
【0138】
本出願全体にわたって、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示されることがある。範囲形式での記述は、便宜および簡潔のためにすぎず、本発明の範囲に対する融通の利かない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、特に開示されたすべての可能な部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。たとえば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの特に開示された部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、たとえば、1、2、3、4、5、および6を有すると考えられるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。
【0139】
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、それは、示された範囲内のどんな引用される数字(分数または整数)をも含むように意図されている。第1の指示数と第2の指示数「の間にわたっている/わたる」、および第1の指示数「から」第2の指示数「にわたっている/わたる」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1および第2の指示数と、それらの間のすべての分数および整数とを含むように意図されている。
【0140】
本明細書で使用される「方法」という用語は、限定はされないが、化学、薬理学、生物学、生化学および医療技術の実務者に知られているか、あるいは彼らによって既知の様式、手段、技法および手順から容易に開発される、様式、手段、技法および手順を含む、所与のタスクを達成するための様式、手段、技法および手順を指す。
【0141】
本明細書で使用される「治療する」という用語は、状態の進行を抑止すること、実質的に抑制すること、遅らせることまたは反転させること、状態の臨床的または審美的症状を実質的に改善すること、あるいは状態の臨床的または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0142】
明快のために、別々の実施形態の文脈において説明された、本発明のいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを諒解されたい。逆に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈において説明された、本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の好適な部分組合せで、または本発明の任意の他の説明される実施形態において好適なように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈において説明された、いくつかの特徴は、実施形態がそれらの要素なしには動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的特徴と見なされるべきではない。
【0143】
上記で叙述され、以下の特許請求の範囲セクションにおいて請求される、本発明の様々な実施形態および態様は、以下の例において見込まれる裏付けを見出す。
【実施例
【0144】
次に、上記の説明と併せて、非限定的な様式で本発明のいくつかの実施形態を示す、以下の例への参照が行われる。
【0145】
従来技術の手段に対して著しく低減された回復時間で骨固定または癒着を促進するための手段を提供することが、本発明の目的である。
【0146】
本発明は、それの実施形態のうちのいくつかでは、破断した骨部位において骨形成を刺激するための電子パッチを提供し、前記電子パッチは、(1つまたは複数の)連続コイルと、電源と、前記コイルから、破断した骨部位に伝搬する、生成される電磁場の性質を制御するために、前記コイルの導体に接続され、前記電源によって電力供給される、エネルギー節約回路とも呼ばれる電力節約回路をもつコントローラとを備え、ここにおいて、前記コイルと、前記電源と、前記コントローラは、前記破断した骨部位に関連する負傷した肢に外部的に適用されるフレキシブルな基材と一体化される。
【0147】
一態様では、コイルは対称的構成であり、コイルは、それの対応する部分から伝搬する電磁場が、破断した骨部位において一方が他方と重ね合わされたようになり、そこにおいて骨形成の刺激を増加させるように構成される。
【0148】
一態様では、コントローラはパルス電流変調器を備える。電流変調器によって生成される各パルスは、破断した骨部位に関連する骨領域によって所定の期間中に吸収される電磁場に関連するエネルギーの総蓄積量が、所定の量よりも大きくなることを保証するのに十分な持続時間である。
【0149】
一態様では、所望のデューティサイクルに従って連続的進行様式でパルス波形を変調するようにタイマーが適応される。ここでの「デューティサイクル」は、それがパルス波形内のパルス時間の部分を指す上記の説明の一部においてそれが有するものとは、異なる意味を有し得ることを理解されたい。ここでは、それは、パルス波形が発生させられている時間の部分を指し得る。
【0150】
一態様では、タイマーは、振り子のような効果を使用してバッテリー電力消費量を節約するために、所定の変調持続時間の間、パルス波形および伝搬方向を変調するように適応される。
【0151】
一態様では、生成される電磁場は、骨折のポイントにおいて、0.1~0.5mT、0.5~0.8mT、0.8~2mT、2~5mT、または0.2~5mTにわたる束密度を有する。
【0152】
一態様では、パルス電流の周波数は、1~1000Hz、1~100kHz、または1Hz~100kHzおよび100KHz~40MHzにわたる。
【0153】
一態様では、パルス電流は、10nA~50μA、15~100μA、0.1~2mA、20~3000mA、または1μA~2000μAにわたる平均振幅を有する。
【0154】
一態様では、制御モジュールは、前記維持と前記充電との間の比が約1:600~約1:5000にわたる回路から構成され得る。
【0155】
一態様では、パルス電流は、5~30マイクロ秒、30~50マイクロ秒、50~200マイクロ秒、または5~200マイクロ秒にわたるパルス持続期間を有する。
【0156】
一態様では、パルス電流は、1.3ミリ秒~67ミリ秒にわたるパルス持続期間を有する。
【0157】
一態様では、タイマーは、矩形波形と、三角波形と、鋸波形状の波形と、正弦波形とからなるグループから選択されたパルス波形を変調するように適応される。
【0158】
一態様では、コイルは、1~10にわたる巻数を有する。
【0159】
一態様では、コイルは、1~1000にわたる巻数を有する。
【0160】
一態様では、コイルは、300~1000にわたる巻数を有する。
【0161】
一態様では、コイルは、15~300にわたる巻数を有する。
【0162】
一態様では、電源は、予期される治癒期間全体中に電流変調器に電力供給するのに十分な容量を有するバッテリーである。
【0163】
一態様では、電源は、圧電気を生成するための圧電デバイスと、キャパシタと、ダイナモと、電気運動アクチュエータとからなるグループから選択される。
【0164】
電子パッチは、1回使用のために適応された、使い捨てであるか、または再利用されてよく、ギプスの下方または上方に適用され得る。
【0165】
電子パッチは、円形構成、矩形構成を有してよく、隣接する巻きの各ペア間の半径方向の間隔は異なってよい。
【0166】
電子パッチは、生成される電磁場の性質を制御するためのコントローラを備え得る。コントローラは、
電流変調器、
電力節約回路、
タイマー、
マイクロスイッチ、
発振器、
ワイヤレストランシーバ、
インバータ
のうちの1つまたは複数を備え得る。
【0167】
電子パッチは、LCPフィルムに積層される薄ダイ熱圧着によって製造された電子的構成要素を含み得る。
【0168】
プリント電子回路技法は、あるレベルの柔軟性を与えるために適切な間隔をそれらの間にもつ剛性PCBとバッテリーとを含み得る。
【0169】
電子パッチは、矩形波形、三角波形、鋸波形、および正弦波形である電流パルスを生成するように適応された発振器を含み得る。
【0170】
エネルギーを節約するために本質的である所望のデューティサイクルを達成するために、バッテリーから発振器への電源を周期的に非アクティブ化することによって波形を変調するためにタイマーが使用され得る。
【0171】
電子パッチは、磁場線の方向を周期的に変化させるために、およびそれによって骨形成の速度をさらに改善するために発振器と電気通信しているインバータをさらに備え得る。
【0172】
コントローラは、電子パッチが保管されているとき、電子的構成要素がそれにより非アクティブ化されるスリープモードにおいて動作するように適応され得る。
【0173】
一態様では、パラメータの以下の組合せが使用される。
【0174】
a)2~10mmのパッチ厚さ、
b)50~100mmのパッチ直径、
c)300~800mA・h、または90~2000mA・h、または30~2000mA・hのバッテリー容量、
d)3~10V、または3~20Vの公称バッテリー電圧、
e)2Aの最大バッテリー電流、
f)1.5A、または3Aの最大パルス電流、
g)50~500kHzまたは10~100kHzの電磁場周波数、
h)2~50パルス毎秒、
i)1:750~1:5000のデューティサイクル、
j)生体適合性シリコーンから作られたフレキシブルな基材、
k)ワイヤレスアクティブ化、
l)場強度:0.1~0.5mT
m)コイル電流:50mA~2Aまたは6A(p-p)
n)パルス持続期間:10μs~100μs
o)パルス形状:正弦波
本発明の一態様は、それの実施形態のうちのいくつかでは、負傷した肢、特に破断した骨に関連する肢に外部的に適用される電子パッチである。いくつかの状況では、破断した骨の回復を監視する医師は、ギプスの下方または上方に電子パッチを適用することを決定し得る。電子パッチは、骨形成または骨発達を効果的に刺激する電磁場を生成するために常に動作可能な電流変調器を備える。パッチは電子的構成要素を備えるが、それは、負傷した肢の外周の周りに適用されるのに十分にフレキシブルである。電子パッチは、1回使用のために適応された、使い捨てであり得るか、または代替的に再利用され得る。
【0175】
図1のパッチ10は、生成される電磁場を破断した骨部位上に集中させるために、1つまたは複数の多巻きコイルであり得る、連続コイル5を備える。コイル5は、図1では、隣接する巻きの各ペア間の半径方向の間隔が均一である円形構成として示されているが、それは、方形など、任意の他の対称的構成、または任意の非対称的構成であってもよく、隣接する巻きの各ペア間の半径方向の間隔は異なってよい。パッチ10が、平坦な表面の上に配置されたとき、コイル5のすべての巻きは同一平面上にあり、各巻きは隣接する巻きと同心である。
【0176】
バッテリー9によって電力供給されるコントローラ、電子回路パッケージ7の一部は、コイルから、破断した骨部位に伝搬する生成された電磁場の性質を制御するために、コイル5の導体に接続される。コントローラは、電磁場を生成するために必要とされる電流を調節するために電流変調器と電力節約回路とを備えるが、限定はされないが、タイマーと、マイクロスイッチと、発振器と、ワイヤレストランシーバと、インバータとから選択された他の電子的構成要素を備えてもよい。
【0177】
コイル5に対して半径方向内向きに配置されるように示されているただ2つの図示された構成要素は、電子回路パッケージ7およびバッテリー9であるが、コイル5に対して半径方向内向きに配置されることによってパッチ10のコンパクトさをそれが保持する限り、どんな他の電子的構成要素も電子回路パッケージ7の外部に配置され得ることが諒解されよう。
【0178】
上記で説明されたように、パッチ10は、負傷した肢の外周の周りへのそれの適用を容易にするのに十分な柔軟性を付与され得る。必要とされる程度の柔軟性を達成するために、電子的構成要素は、低コストプリント電子回路技法によって製造され、モノリシックパッチを製作するために1つまたは複数のフレキシブルな基材3内に埋め込まれるか、またはさもなければそれと一体化されてよい。各フレキシブルな基材3は、シリコーン基材、ポリイミド基材、液晶ポリマー(LCP)基材、多層フィルム積層基材、ホイル基材、またはそれらの組合せであり得る。フレキシブルな電子的構成要素は、フィルムがダイを完全にカプセル化するように、LCPフィルムに積層される薄ダイ熱圧着によって作製され得る。
【0179】
代替的に、プリント電子回路技法は、ある程度のレベルの柔軟性を与えるために適切な間隔をそれらの間にもつ剛性PCBとバッテリーとを含み得る。
【0180】
フレキシブルな基材3の底面11は、皮膚表面への接着のための接着性要素、またはあごひげもしくは他の毛でおおわれた皮膚表面との係合のためのクリップなど、適用手段とともに提供され得る。
【0181】
バッテリー消費量を最小限に抑えるために、発振器は、所望の磁束を誘起するために、所望の周波数および振幅によってコイルを励起するための複数の電流パルス、たとえば方形パルスを生成するように適応される。もちろん、コイルを励起するために、三角波形、鋸波形、正弦波形など、他の波形も使用されてよい。タイマーは、エネルギーを節約するために潜在的に有用である所望のデューティサイクルを達成するために、バッテリーから発振器への電源を周期的に非アクティブ化することによって波形を変調する。磁場線の方向を周期的に変化させるために、およびそれによって骨形成の速度をさらに改善するために、発振器と電気通信しているインバータが採用されてよい。
【0182】
また、コントローラは、電子パッチが保管されているとき、電子的構成要素がそれにより非アクティブ化されるスリープモードにおいて動作し得る。コントローラは、負傷した肢への電子パッチの外部適用時にフレキシブルな基材を通してマイクロスイッチによって感知された所定の圧力に応答してアクティブ化状態になる。代替的に、コントローラは、トランシーバに送信されたワイヤレスコマンド、プルトリガ、磁気トリガによって、または外部電気誘起を適用することによってアクティブ化状態になり得る。
【0183】
バッテリー消費量を最小限に抑えるための追加の手段として、タイマーと連携したコントローラは、コントローラのアクティブ化に続いて、所定の間隔の後に、たとえば1週間後に励起電流の振幅を低減するように動作可能であり得る。この間隔中に、生成された電磁場は、励起電流の振幅が低減された後でも骨形成が継続するような有意な程度まで、破断した骨部位において骨形成を刺激した。
【0184】
バッテリーに加えて、電子的構成要素は、圧電気を生成するための圧電デバイス、患者の自宅にある無線周波数デバイスによって充電され、したがって外来診療を必要としないであろうキャパシタ、ダイナモ、および電気運動アクチュエータ、たとえばコイルに沿って変位可能である磁気要素を採用する電気運動アクチュエータを含む、当業者によく知られている任意の他の電源によって電力供給されてよい。
【0185】
図3は、生成された電磁場を破断した骨部位14上に集中させるコイルの能力を示している、電子パッチ10が外部的に適用された負傷した肢15の概略断面図である。電流変調器の動作中に、電流は、それぞれ、正反対のコイル部分5Aおよび5Bと、電磁場17Aおよび17Bとを通って流れ、コイル部分の対応する導体に対して直角に伝搬する。磁束の大きさは、皮膚表面19において最も大きく、導体からの距離に応じて低減される。破断した骨部位14のロケーションと一致する皮膚表面19の下方の所定の深度、たとえば30mmにおいて、電磁場17Aおよび17Bは、一方が他方と重ね合わされたようになる。磁束の大きさが、破断した骨部位14において低減されたようになっても、それは、正反対のコイル部分から伝搬する電磁場に関して加法的である。同様に、他の対応するコイル部分から伝搬する他の電磁場は、破断した骨部位14において一方が他方と重ね合わされたようになる。したがって、破断した骨部位14は、骨形成の刺激を加速する磁束の驚くほど高い大きさを有する電磁場によって作用されるようになる。
【0186】
本発明について、それの特定の実施形態に関して説明されたが、多くの代替形態、変更形態および変形形態が当業者に明らかになることが明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に入るすべてのそのような代替形態、変更形態および変形形態を包含することが意図される。
【0187】
本明細書において述べられたすべての公開、特許および特許出願は、各個々の公開、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが詳細におよび個々に示されているかのごとくと同じ程度に、参照によってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。加えて、本出願におけるいかなる参考文献の引用または識別も、そのような参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される範囲内で、それらは必ずしも限定的として解釈されるべきではない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ターゲット部位に隣接する身体表面に概して適合するのに十分にフレキシブルな、前記ターゲット部位における組織治癒を刺激するための電子パッチであって、
a)5mm厚未満の1つのバッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、
b)コイルと直列のキャパシタと、
c)前記コイル中に電流のパルスを発生するために、前記キャパシタと前記コイルの両端間の電圧を繰り返し変化させる、前記1つまたは複数のバッテリーによって電力供給されるパルス生成回路と、前記電流が、パルス周期中に組織治癒を刺激するための電磁場を前記ターゲット部位において発生し、電磁場エネルギーの大部分が、前記パルス周期の開始時に前記キャパシタから来て、前記パルス周期の終了時に前記キャパシタに戻る、
を備える電子パッチ。
[2] パルス生成器は、前記コイルが前記ターゲット部位において前記電磁場をその間に発生する1つまたは複数のさらなるパルス周期を発生するように構成され、前記パルス周期のうちの少なくともいくつかが、前記ターゲット部位において電磁場が実質的に発生されない非パルス周期と交番する、[1]に記載の電子パッチ。
[3] 前記非パルス周期の間の前記コイル中の前記電流が、10μA以下である、[2]に記載の電子パッチ。
[4] 前記パルス生成器は、総時間に対する前記パルス周期の比として定義されるデューティサイクルが10%未満になるような間隔においてパルスを発生するように構成された、[2]に記載の電子パッチ。
[5] 前記デューティサイクルが1%未満である、[4]に記載の電子パッチ。
[6] 前記非パルス周期が、0.02秒から0.5秒の間である、[2]に記載の電子パッチ。
[7] 前記電磁場エネルギーの90%超が、前記パルス周期の開始時に前記キャパシタから来て、前記パルス周期の終了時に前記キャパシタに戻る、[1]に記載の電子パッチ。
[8] 前記パッチのいずれの剛性構成要素も、前記パッチがフレキシブルである方向において25mm幅以下であり、前記パッチがフレキシブルである方向において配置された、前記パッチのいずれの2つの剛性構成要素も少なくとも1.5mmだけ分離された、[1]に記載の電子パッチ。
[9] 前記パッチが、フレキシブルな電子的構成要素を備える、[1]に記載の電子パッチ。
[10] 前記1つのバッテリーが、または集合的に前記複数のバッテリーが、2000mA・h未満の容量を有する、[1]に記載の電子パッチ。
[11] 前記1つのバッテリーが、または集合的に前記複数のバッテリーが、250mA・h未満の容量を有する、[10]に記載の電子パッチ。
[12] 10mm厚未満である、[1]に記載の電子パッチ。
[13] 前記パルス周期が、定常状態動作において、5マイクロ秒から50マイクロ秒の間である、[1]に記載の電子パッチ。
[14] 前記コイル中のピーク電流が、25mAから3Aの間である、[1]に記載の電子パッチ。
[15] 前記コイル中のピーク電流が、0.1mAから25mAの間である、[1]に記載の電子パッチ。
[16] 前記ターゲット部位における磁場が、0.05mTから0.5mTの間である、[1]に記載の電子パッチ。
[17] 前記パッチが、前記パッチに柔軟性を与える生体適合性シリコーンの基材を備える、[1]に記載の電子パッチ。
[18] 前記バッテリーまたはバッテリーの前記配列の両端間の総電圧が、1.5ボルトから6ボルトの間である、[1]に記載の電子パッチ。
[19] 一方向または二方向ワイヤレス通信リンクを備える、[1]に記載の電子パッチ。
[20] 事前設定された時間において自動的に前記1つまたは複数のバッテリーを切断することによって前記パッチを非アクティブ化し、前記1つまたは複数のバッテリーを再接続することによって前記パッチを再アクティブ化するタイマーを備える、[1]に記載の電子パッチ。
[21] 24時間連続浸水に対して耐水性である、[1]に記載の電子パッチ。
[22] 100回の30分間浸水に対して、または両方に対して耐水性である、[1]に記載の電子パッチ。
[23] 前記パッチが平坦であるとき、前記コイルが、楕円またはレースコース形に成形された、[1]に記載の電子パッチ。
[24] 前記コイルが、8cmから12cmの間である大径および小径と、10mm未満の厚さとを有する、胸骨上で使用するための、[1]に記載の電子パッチ。
[25] 前記コイルが、6cmから10cmの間である大径および小径と、10mm未満の厚さとを有する、頭蓋骨上で使用するための、[1]に記載の電子パッチ。
[26] 前記コイルが、8cmから12cmの間の大径と、4cmから6cmの間の小径と、10mm未満の厚さとを有する、肋骨上で使用するための、[1]に記載の電子パッチ。
[27] 前記コイルが、6cmから10cmの間の大径と、4cmから6cmの間の小径と、10mm未満の厚さとを有する、脊椎上で使用するための、[1]に記載の電子パッチ。
[28] 身体部分における破断した骨部位を治療する方法であって、
a)[1]に記載の電子パッチを前記身体部分の外表面に適用することと、
b)前記電子パッチをカバーするギプス中に前記身体部分をセットすることと、
c)前記電子パッチが前記ギプスによってカバーされている間、複数のパルス周期中に、前記破断した骨部位において、骨形成を刺激するのに好適な電磁場を発生するためにコントローラを使用することと、前記電磁場エネルギーの大部分が、各パルス周期の開始時に前記キャパシタから来て、各パルス周期の終了時に前記キャパシタに戻る、
を備える方法。
[29] 前記電子パッチが、前記ギプスの外側への通信リンクをもつ圧力センサーを備え、前記方法が、前記骨部位の前記治療中の様々な時間において前記身体部分に対する前記ギプスの圧力を測定することと、前記通信リンクを介して、前記測定された圧力を通信することとをも備える、[28]に記載の方法。
[30] 圧力測定が、前記身体部分の膨張の増加を示す圧力上昇を示す場合か、または圧力測定が、前記ギプスがあまりに緩いことを示す圧力降下を示す場合、その情報を医療職員に通信する、[29]に記載の方法。
[31] 前記電子パッチが、前記ギプスの前記外側への通信リンクをもつ血中酸素センサーを備え、前記方法が、前記骨部位の前記治療中の様々な時間において前記身体部分の皮膚における血中酸素濃度を測定することと、前記通信リンクを介して、前記測定された血中酸素濃度を通信することとをも備える、[29]に記載の方法。
[32] 前記血中酸素濃度が、前記ギプスがあまりにきついことを示す経時的な低下を示す場合、その情報を医療職員に通信する、[31]に記載の方法。
[33] 前記パッチの第1の部分が、一方の側上に、前記コイルを備え、前記パッチの第2の部分が、別の側上に、別のコイルを備え、前記別のコイルは、電流がそれの中を流れるとき、骨部位における前記電磁場にも寄与し、パルス生成器が、前記パルス周期の開始時に同じおよび/または異なるキャパシタから両方のコイルの前記電磁場エネルギーの大部分を転移し、前記パルス周期の終了時に前記1つまたは複数のキャパシタに両方のコイルの前記電磁場エネルギーの大部分を戻すように構成された、円筒形身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするようにサイズ決定された、前記円筒形身体部分上で使用するための、[1]に記載の電子パッチ。
[34] 前記コイルが、3cmから8cmの間である大径および小径と、5mm未満の厚さとを有する、手の上で使用するための、[33]に記載の電子パッチ。
[35] 前記コイルが、32cmから50cmの間の大径と、16cmから25cmの間の小径と、5mm未満の厚さとを有する、脚の上で使用するための、[33]に記載の電子パッチ。
[36] 前記コイルが、32cmから50cmの間の大径と、12cmから20cmの間の小径と、5mm未満の厚さとを有する、骨盤上で使用するための、[33]に記載の電子パッチ。
[37] 円筒形身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするように好適にサイズ決定された、前記身体部分内のターゲット部位における組織治癒を刺激するための電子パッチであって、前記パッチの第1の部分が、前記身体部分の一方の側上にあり、前記パッチの第2の部分が、前記身体部分の別の側上にあり、前記パッチは、
a)1つのバッテリーまたは複数のバッテリーの配列と、
b)前記パッチの前記第1の部分に位置する第1のコイル、および前記パッチの前記第2の部分における第2のコイルと、
c)第1の動作モードにおいて、組織治癒を刺激するための電磁場を前記ターゲット部位において発生する電流を前記第1のコイルに通過させ、前記電流が前記第1のコイルを通過することによって前記第2のコイルにおいて誘起されるemf電圧を測定するように構成された、前記1つまたは複数のバッテリーによって電力供給されるコントローラとを備える、電子パッチ。
[38] 前記身体部分の周りにラッピングされたとき、前記身体部分に概して適合するのに十分にフレキシブルな、[37]に記載の電子パッチ。
[39] 前記コントローラが、電流を両方のコイルに通過させるように構成され、前記2つのコイルが、組織治癒を刺激するための電磁場を前記ターゲット部位において発生する、第2の動作モードをもつ、[37]に記載の電子パッチ。
[40] 円筒形身体部分中のターゲット部位における電磁場の強度を指定の値に調整する方法であって、
a)[37]に記載の電子パッチを前記身体部分の周りに少なくとも部分的にラッピングすることと、
b)前記第1のコイル中の知られている電流によって前記第2のコイルにおいて誘起される前記emf電圧を測定する、前記第1の動作モードにおいて前記電子パッチを動作させることと、
c)前記ターゲット部位において電磁場の前記指定のレベルを発生するために、前記第1のコイルの電流の必要とされるレベルを推定するためにまたは前記第1および第2のコイルの電流の必要とされるレベルを推定するために、前記測定されたemfを使用することと、
d)前記ターゲット部位において電磁場の前記指定のレベルを発生する、前記第1のコイルの電流の前記必要とされるレベルを前記第1のコイルに通過させることまたは前記第1および第2のコイルの電流の前記必要とされるレベルを前記第1および第2のコイルに通過させることと
を備える方法。
[41] 組織治癒を刺激するための電磁場を用いた治療の過程中に円筒形身体部分中のターゲット部位を監視する方法であって、前記方法は、
a)[37]に記載の電子パッチを前記身体部分の周りに少なくとも部分的にラッピングすることと、前記2つのコイルが、前記身体部分の異なる側上にある、
b)前記ターゲット部位を治療するために、電流を前記第1のコイルにまたは前記第1および第2のコイルに通過させることと、
c)治療の前記過程中の様々な時間の各々において前記第1のコイル中の知られている電流によって誘起される前記第2のコイル中の前記emf電圧を測定する、前記時間における前記第1の動作モードにおいて前記電子パッチを動作させることと、
d)前記第1のコイル中の所与の電流に対する前記第2のコイル中の前記誘起されたemf電圧が、前記身体部分の膨張の医学的に有意な増加を示す速度および程度において経時的に減少している場合、膨張の前記増加を医療職員に通知することと
を備える、方法。
[42] 組織治癒を刺激するための電磁場を用いた治療の過程中に円筒形身体部分中のターゲット部位を監視する方法であって、前記方法は、
a)[37]に記載の電子パッチを前記身体部分の周りに少なくとも部分的にラッピングすることと、前記2つのコイルが、異なる側上にある、
b)前記電子パッチ上にギプスをセットすることと、
c)前記ターゲット部位を治療するために、電流を前記第1のコイルにまたは前記第1および第2のコイルに通過させることと、
d)治療の前記過程中の様々な時間の各々において前記第1のコイル中の知られている電流によって誘起される前記第2のコイル中の前記emf電圧を測定する、前記時間における前記第1の動作モードにおいて前記電子パッチを動作させることと、
e)前記第1のコイル中の所与の電流によって前記第2のコイルにおいて誘起される前記emf電圧が、前記身体部分の膨張の医学的に有意な増加を示す速度および程度において減少した場合、または前記ギプスがあまりに緩くなっていることを示す速度および程度において増加した場合、医療職員に通知することと
を備える、方法。
[43] a)前記第1のコイルと前記第2のコイルが互いに指定の相対的位置および配向にあるように前記パッチを配置することと、
b)指定の電流を前記第1のコイルに通過させることと、
c)前記第1のコイル中の前記電流によって前記第2のコイルにおいて誘起される前記emf電圧を測定することと
を備える、[37]に記載の電子パッチを較正する方法。
[44] 身体部分における破断した骨部位を治療する方法であって、
a)フレキシブルな基材中に電子回路パッケージと、バッテリーと、コイルとを備える電子パッチを前記身体部分の外表面に適用することと、
b)前記電子パッチ全体をカバーするギプス中に前記身体部分をセットすることと、 c)前記電子パッチが前記ギプスによってカバーされている間、前記破断した骨部位において、骨形成を刺激するのに好適な電磁場を発生するために前記パッチを使用することと
を備える方法。
[45] 身体部分の表面に概して適合しながら前記身体部分の周りを少なくとも部分的にラッピングするのに十分にフレキシブルで、好適なサイズの電子パッチであって、組織治癒を促進するために前記身体部分内のターゲット部位においてパルス電磁場を発生する、前記パッチが前記身体部分の周りにラッピングされたときに前記身体部分の異なる側上に位置する2つのフレキシブルなコイルを備える、電子パッチ。
[46] 直径が少なくとも20mmの中心ホールをそれぞれもつ、水平方向に配置された2つのコイルを備える、水平軸と垂直軸とをもつ平坦でフレキシブルな電子パッチであって、前記パッチは、円筒形身体部分の円筒軸の周りを水平方向に少なくとも部分的にラッピングするように、および前記コイルが前記円筒形身体部分内のターゲット部位における組織を治癒するためのパルス電磁場を生成するように構成され、前記パッチは、医療用X線に対して実質的に不透過性である1つまたは複数の電子的要素をも備え、前記電子的要素がすべて、前記ホールの中心から少なくとも10mmだけ垂直方向に変位された位置において前記パッチ上に取り付けられた、電子パッチ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
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