(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】セラミックと金属を接合するためのろう付けプロセス、およびそれを使用した半導体処理と産業機器
(51)【国際特許分類】
C04B 37/00 20060101AFI20240227BHJP
B23K 35/30 20060101ALI20240227BHJP
C22C 19/03 20060101ALI20240227BHJP
C22C 19/05 20060101ALI20240227BHJP
C22C 19/07 20060101ALI20240227BHJP
B23K 1/19 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C04B37/00 B
B23K35/30 310D
B23K35/30 310Z
C22C19/03 G
C22C19/05 B
C22C19/07 G
B23K1/19 B
B23K1/19 E
(21)【出願番号】P 2020568750
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019034230
(87)【国際公開番号】W WO2019240941
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリオット、アルフレッド・グラント
(72)【発明者】
【氏名】エリオット、ブレント・ディー・エー
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-026880(JP,A)
【文献】国際公開第2014/008537(WO,A1)
【文献】特開昭61-193771(JP,A)
【文献】特開2003-105466(JP,A)
【文献】特開2005-248321(JP,A)
【文献】特開平08-085803(JP,A)
【文献】特開昭56-004396(JP,A)
【文献】特開昭61-291939(JP,A)
【文献】特表2003-527480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0184912(US,A1)
【文献】米国特許第04900638(US,A)
【文献】国際公開第2008/004552(WO,A1)
【文献】Groschner Mら,the melting behavior of Ni-Mo-Cand Co-No-C alloys,revue de metallurgie/cahiers d' informations technique,1994年,vol.91 no.12 ,p.1767-1775,doi:10.1051/metal/199491121767
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00-37/04
B23K 1/19,35/30
C22C 19/00-19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセラミックピースを第2のセラミックピースに接合する方法であって、前記第1のセラミックピースの第1の界面領域と前記第2のセラミックピースの第2の界面領域との間に
非鉄のろう付け要素を配置して、接合プレアセンブリを作成すること、前記ろう付け要素は、3.5から25原子パーセントの炭素
と、コバルト、ニッケル、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される63.5から87.5原子パーセントの要素と、ならびにチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、クロム、モリブデン、タングステン、シリコン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される
0より大きく33原子パーセント以下の要素と、からなること、前記接合プレアセンブリをプロセスチャンバに配置すること、前記プロセスチャンバから酸素を除去すること、ならびに前記第1のセラミックピースを前記第2のセラミックピースに接合するように前記接合プレアセンブリの少なくとも前記ろう付け要素を加熱すること、を含む方法。
【請求項2】
前記第1のセラミックピースおよび前記第2のセラミックピースのセラミックが、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、およびジルコニアからなる群から選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスチャンバから酸素を除去する
ことは、1×10
E
-4
トール未満の圧力を前記プロセスチャンバに加えることを含む、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも前記ろう付け要素を加熱する
ことは、少なくとも前記ろう付け要素を前記ろう付け要素の共晶温度より低い第1の温度に加熱し、その後、少なくとも前記ろう付け要素を前記ろう付け要素の前記共晶温度より高い第2の温度に加熱することを含む、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ろう付け要素が、8から13原子パーセントの範囲の炭素、70から85原子パーセントの範囲のニッケル、および7から20原子パーセントの範囲のモリブデンからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ろう付け要素が、5.7から17.3原子パーセントの範囲の炭素、63から
90.3原子パーセントの範囲のニッケル、および4から23原子パーセントの範囲のモリブデンからなる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックと金属のろう付け、より具体的には、金属炭素合金を使用するろう付けに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料の接合には、非常に高い温度と非常に高い接触圧力を必要とするプロセスが含まれる場合がある。例えば、液相焼結を使用して、セラミック材料を一緒に接合することができる。このタイプの製造では、少なくとも2つの欠点が見られる。第1に、大きくて複雑なセラミックピースのホットプレス/焼結には、非常に特殊なプロセスオーブン内に大きな物理的スペースが必要である。第2に、完成ピースの一部が損傷したり、または摩耗により故障した場合、大きなピースを分解するために使用可能な修理方法はない。特殊な固定具、高温、およびこれらのアセンブリを分解できないことは、非常に高い製造コストにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
他のプロセスは強度に合わせて調整される場合があり、構造的には十分であるが、ピースを気密シールしないピース間に強い結合が生じる場合がある。いくつかのプロセスでは、拡散接合が使用され、これにはかなりの時間がかかる場合があり、個々のピースも変更され、接合部の近くに新しい化合物が形成される場合もある。これにより、特定の用途に適さなくなり、再加工または修復して再接合できなくなる可能性がある。求められているのは、セラミックピースを低温で接合し、気密シールを施し、修理が可能な接合方法である。
【0004】
電気フィードスルーは一般的に、真空チャンバ内のデバイスと真空チャンバの外側に配置された機器との間で電力と信号を転送するために使用される。例えば、熱蒸発源や基板ヒーターなどの真空チャンバのいくつかのデバイスは、真空チャンバの外部からの電力を必要とする。加えて、温度センサーまたは測定デバイスなどの真空チャンバのいくつかのデバイスは、分析のために真空チャンバ外の機器に信号を送信する必要がある。
【0005】
これらの環境の電気フィードスルーは、通常、真空チャンバの壁に取り付けられた気密通路である。電気フィードスルーには、1つまたは複数の導体を設けることができる。各導体は、チャンバの壁から絶縁された状態を保つために絶縁体で囲まれている。絶縁体は、ガラスまたはセラミック材料であり得る。
いくつかの電気フィードスルーは、標準コネクタで使用されるピン接点を備えたガラスと金属のシールを有している。他のいくつかのアプローチでは、金属フランジに取り付けられたセラミック金属ろう付けピンが使用される。多くの電気フィードスルーは、セラミック絶縁体の金属の熱膨張係数を一致させるためにコバールを使用している。コバールには、高価な電子ビーム溶接を使用しなければならない可能性など、溶接に関して明確な欠点がある。必要なのは、セラミック絶縁体と熱膨張がよく一致する材料を使用し、安価に製造できる電気フィードスルーである。
【0006】
半導体製造では、集積回路の製造に必要な処理を行うために、腐食性と高温の両方の、高エネルギーガスプラズマが使用される。多くの用途では、プラズマを封じ込めて方向付けるために、コンポーネントが処理環境で使用される。通常、これらのコンポーネントは、一般にエッジリング、フォーカスリング、ガスリング、ガスプレート、ブロッカープレートなどと呼ばれ、石英、シリコン、アルミナ、または窒化アルミニウムでできている。プラズマによる部品の侵食はプロセスのドリフトと汚染を引き起こし、短いサービス時間の後にコンポーネントを交換する必要があるため、これらのコンポーネントの寿命が時間単位で測定されることは珍しくない。いくつかの用途では、プラズマは、セラミックノズルのアレイを使用して処理環境に注入される。これらのノズルはモノリシック部品であり、複雑な形状を持ち、プラズマの流量とパターンを制御するための直径0.010インチ程度の小さなオリフィスがある。これらのノズルの代表的な材料は、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムである。これらの高度なセラミックを使用しても、高エネルギープラズマによるオリフィスの侵食により、ノズルの寿命は3か月である。これには、通常20を超える個別のノズルで構成されるノズルアレイを交換するために、マシンを3か月ごとに完全にシャットダウンする必要がある。ノズルが侵食されている間、ノズルは汚染物質をプラズマに放出し、処理の歩留まりを低下させる。また、ノズルの寿命が近づくと、オリフィスの侵食によりプラズマの流れが増加し始め、プロセスのパフォーマンスが変化し、歩留まりがさらに低下する。サファイアや酸化イットリウムなど、他の高度なセラミック材料は、そのプラズマ環境での侵食速度が大幅に低くなっている。エッジリングやインジェクタノズルなどのコンポーネントをこれらの材料で作成できれば、寿命とパフォーマンスが大幅に向上する結果となる。ただし、上記の製造およびコストの制限により、この用途でのこのような材料の使用は制限される。必要なのは、現在の材料に近いコストで最高の材料の特性を活用する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、サファイア(単結晶酸化アルミニウム)、酸化イットリウム、および部分的に安定化された酸化ジルコニウム(PSZ)などの侵食および腐食に最良の材料の特性を、酸化アルミニウムなどのより低コストの高度なセラミック材料と組み合わせる方法を提供する。高度なセラミック材料をそれ自体および他の材料に接合するためのろう付け材料として異なる合金を使用する、本発明の実施形態による方法を活用すると、最高性能の高度なセラミック材料の特性を、アルミナなどのセラミックのより低コストと簡単な製造性のコストおよび製造性で接合することが可能になっている。このようなプロセスは、高レベルの耐腐食性および耐侵食性を備えた接合部を生成し、これは、上昇した温度で動作でき、接合された材料間の熱膨張の大幅な変動に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明による接合されたセラミックアセンブリの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明による異なる雰囲気を橋渡しする接合部の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明による半導体処理に使用されるプレートおよびシャフトデバイスの図である。
【
図4】
図4は、本発明によるプレートとシャフトとの間の接合部の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明による半導体製造で使用されているプレートおよびシャフトデバイスの部分断面図である。
【
図6】
図6は、本発明によるシャフトとプレートとの間の接合部の拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明による多層プレートを備えたヒーターの部分断面図である。
【
図8】
図8は、本発明による多層プレートの部分断面図である。
【
図9】
図9は、本発明による多層プレートの部分断面図である。
【
図10】
図10は、ウェーハの周りのガス分配リングの図である。
【
図12】
図12は、本発明によるガス噴射ノズルの前部の図である。
【
図13】
図13は、本発明によるガス噴射ノズルの前部の図である。
【
図19】
図19は、本発明によるロータの基礎となる構造である。
【
図25】
図25は、本発明によるフィードスルーを示している。
【
図26】
図26は、本発明によるフィードスルーを示している。
【
図27】
図27は、本発明によるフィードスルーを示している。
【
図28】
図28は、本発明によるフィードスルーを示している。
【
図30】
図30は、Ni-CおよびNi-NiNi
2C状態図である。
【
図31】
図31は、Ni-Cg共晶合金の液滴のフォトマクログラフである。
【
図34】
図34は、AlN上のC-Ni-Mo共晶合金液滴である。
【
図37】
図37は、Ni-Mo-Cg/AlNろう付けされた接合部の超音波グラムである。
【
図44A】
図44Aは、本発明による関連する三元共晶組成および共晶温度を示す表である。
【
図44B】
図44Bは、本発明による関連する三元共晶組成および共晶温度を示す表である。
【
図45】
図45は、本発明によるC-Me1-Me2三元合金の状態図である。
【
図46】
図46は、本発明による接合の準備ができている2つのピースの断面図である。
【
図47】
図47は、一緒にプレスされ、本発明による接合の準備ができている2つのピースの断面図である。
【
図48】
図48は、本発明による接合プロセスの初期段階の断面図である。
【
図49】
図49は、本発明による接合プロセスの中間段階の断面図である。
【
図50】
図50は、本発明による接合プロセスの後の中間段階の断面図である。
【
図52】
図52は、本発明によるAlNセラミックプレート間のろう付け接合部の光学顕微鏡写真である。
【
図53】
図53は、本発明によるC-Ni-Moろう付けされたAlNセラミックの低倍率SEM顕微鏡写真である。
【
図54】
図54は、本発明によるAlNセラミックプレート間のろう付け接合部の高倍率SEM顕微鏡写真である。
【
図55】
図55は、本発明によるC-Ni-Moろう付けに存在する相の組成を示すSEM EDXデータである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
任意の適切なタイプの第1のピースを任意の適切なタイプの第2のピースに接合するための方法が提供され、第1のピースの第1の界面領域と第2のピースの第2の界面領域との間に任意の適切なタイプのろう付け要素を配置することを含み、接合プレアセンブリを作成することができる。接合プレアセンブリはプロセスチャンバに配置され、酸素は任意選択でプロセスチャンバから除去される。接合プレアセンブリの少なくともろう付け要素は、第1のピースを第2のピースに接合するように、プロセスチャンバで加熱される。
第1のピースは、任意の適切なセラミック、任意の適切な金属、または前述の任意の組み合わせを含む、任意の適切な材料から作ることができ、第2のピースは、任意の適切なセラミック、任意の適切な金属、または前述の任意の組み合わせを含む、任意の適切な材料から作ることができる。例えば、第1のピースと第2のピースの両方は、任意の適切なセラミックから作ることができ、第1のピースと第2のピースの両方は、任意の適切な金属から作ることができ、または第1のピースは、任意の適切なセラミックから作ることができ、第2のピースは、任意の適切な金属から作ることができる。セラミックは、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、またはジルコニアを含む、任意の適切なタイプのものであり得る。
【0010】
ろう付け要素は、任意の適切なタイプのものであり得る。例えば、ろう付け要素は、炭素および他の任意の適切な材料を含むことができる。
例えば、ろう付け要素は、任意選択で、3.5から25原子パーセントの炭素(C)、63.5から87.5原子パーセントの鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)または前述の任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の元素、および0から35原子パーセントのチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、シリコン(Si)または前述の任意の組み合わせから選択される1つまたは複数の元素を含むことができる。例えば、ろう付け要素は、任意選択で、8から13原子パーセントの範囲の炭素、70から85原子パーセントの範囲のニッケル、および7から20原子パーセントの範囲のモリブデンから構成することができる。ろう付け要素は、任意選択で、5.7から17.3原子パーセントの範囲の炭素、63から94原子パーセントの範囲のニッケル、および4から23原子パーセントの範囲のモリブデンから構成することができる。
【0011】
例えば、ろう付け要素は、ニッケルおよび炭素を含めることを任意選択で含むことができる。例えば、ろう付け要素は、任意選択で、8から10原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含むことができ、ろう付け要素の残りはニッケルである。例えば、ろう付け要素は、任意選択で、1から80原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含むことができ、ろう付け要素の残りはニッケルである。
例えば、ろう付け要素は、任意選択でコバルトおよび炭素を含むことができる。例えば、ろう付け要素は、任意選択で、8から10原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含むことができ、ろう付け要素の残りはニッケルである。例えば、ろう付け要素は、任意選択で、1から80原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含むことができ、ろう付け要素の残りはニッケルである。
【0012】
例えば、ろう付け要素は、任意選択で、セラミック、セラミックと金属、および金属と金属を一緒にろう付けするためのニッケル-炭素(例えば、グラファイトとして)合金、ニッケル-炭素(例えば、グラファイトとして)-モリブデン合金、ならびにニッケル-コバルト-炭素(例えば、グラファイトとして)-モリブデン合金であり得る。
プロセスチャンバから酸素を除去するステップは、任意選択で、1×10E-4トール未満の圧力をプロセスチャンバに加えることを含むことができる。
【0013】
少なくともろう付け要素を加熱するステップは、任意選択で、少なくともろう付け要素をろう付け要素の共晶温度より低い第1の温度に加熱し、その後、少なくともろう付け要素をろう付け要素の共晶温度より高い第2の温度に加熱することを含むことができる。例えば、本発明の接合プロセスは、任意選択で、第1の加熱ステップが共晶温度未満である2ステップの加熱プロセスを使用することができる。第1の加熱ステップは、任意選択で共晶温度より低くすることができるが、共晶温度の100℃以内であることができる。第1の加熱ステップは、任意選択で共晶温度より低くすることができるが、共晶温度の80℃以内であることができる。第1の加熱ステップは、任意選択で共晶温度より低くすることができるが、共晶温度の60℃以内であることができる。第1の加熱ステップは、任意選択で共晶温度より低くすることができるが、共晶温度の40℃以内であることができる。次に、第2の加熱ステップは共晶温度以上である。
【0014】
本明細書のプロセスによって作成された接合部は、任意選択で気密にすることができる。
本発明の接合プロセスは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)および炭素(C)を任意選択で、典型的にはグラファイト(Cg)として、しかしさらにダイヤモンド(CD)および炭素ブラック(CB)としても利用でき、セラミックとセラミック(例えば、AlN、Al2O3、ZrO2、グラファイト、SiC、Si3N4など)、セラミックと金属(例えば、Ni、Mo、Co、ニオブ、鉄、およびそれらの合金、例えば、鋼および超合金)および金属と金属(超合金と超合金、Moと超合金、Niと超合金など)のろう付けを使用するためにさまざまな比率で合金化される。ろう付け材料は、任意選択で、65~80%のニッケル、20~35%のMo、および0.1~4%のCgを含むことができる。接合材料は、任意選択で、3.5から25原子%の炭素、63.5から87.5原子%の鉄、コバルト、およびニッケルからなる群からの元素または元素の組み合わせ、ならびに0から35原子%のTi、Zr、Hf、Nb、Ta、CR、Mo、W、およびSiからなる群からの元素または元素の組み合わせを含むことができる。
【0015】
M.SingletonおよびP.Nash、「The C-Ni(Carbon-Nickel)System」、Bulletin of Alloy Phase Diagrams、Vol.10、No.2、1989は、Ni-C(グラファイト)合金システムの平衡状態図について説明している。NiおよびC(グラファイト=Cgとして)は、
図29に示すように、約1325℃の平衡溶融温度で、組成Ni-2Wt.%Cgで二元共晶を形成する。準安定Ni
3C化合物の形成の影響を含むが、同様の図を
図30に示す。
【0016】
NiおよびCの混合粉末を使用してさまざまな実験が行われ、Niは3~4ミクロンのサイズの市販の粉末またはナノ粉末の形であり、炭素粉末はナノ粒子、ダイヤモンドまたは炭素ブラックの形であった。高濃度のダイヤモンド(56Wt%)を有するNi-ダイヤモンド混合粉末をペレットにプレスし、1330℃で、2時間高真空で熱処理すると、液相が滲出する焼結体が得られ、これは濡れてグラファイトに強く結合し、AlNなどのセラミックに貼り付いた。次に、
図29に示すように、平衡Ni-C共晶組成(Ni-2W%Cg)の混合粉末をプレスしてペレットにし、高真空下の1320℃で2時間加熱した。これにより、約1/32インチの厚さに加締められ、AlNプレートの間に配置された高密度のコンパクトが得られた。追加のプレートを上に置いて重量を増やし、アセンブリを高真空で1325℃に加熱した。このサンプルとともに、同じ組成のプレスされたペレットがセラミック、例えば、AlN、プレート、またはピースの上に置かれた。高真空熱処理により、両方のペレットが完全に溶融する結果になった。セラミック(AlN)パックまたはピースはしっかりと接着され、自立型ペレットは、セラミック(AlN)ピースにしっかりと付着した液滴に引き上げられた。別の実験では、Ni-C共晶組成のペレットを、ホットプレスされた窒化ホウ素(HPBN)のプレートの上に置き、1325℃の高真空で熱処理した。ペレットは完全に溶融し、HPBN上にボールを形成したが、それに貼り付いたり、反応したりしなかった。
【0017】
Ni-2Wt%Cgホイル、またはろう付け要素は、高純度のNiとCgの粉末を一緒にアーク溶解し、さまざまな厚さに熱間圧延することによって作成された。ろう付け要素のピースを、プレートまたはセラミックピース、例えば、AlN、の間、およびブロックまたはセラミックピース、例えば、Al
2O
3、の間に置き、1330℃に5分間加熱した。溶融は観察されなかったが、1340℃に10分間加熱すると、ろう付け要素が完全に溶融し、セラミックピースが互いに接合した。この実験は、新しく配合されたホイルまたはろう付けサンプルで繰り返された。高真空下で毎分30℃の速度で1325℃に加熱し、3分間保持してもろう付け要素は溶融しなかったが、室温に冷却した後、2回目に1330℃に加熱すると、ろう付け要素が完全に溶融し、セラミック(AlN)サンプルまたはピースが互いに接合した。Ni-2Wt%Cg組成物のろう付け要素のピースを、ブロックまたはセラミックピース(Al
2O
3)の間、ブロックまたはセラミックピース(Al
2O
3)の上、およびブロックまたはセラミックピース(AlN)の上に配置した。これらを高真空下で5分間1330℃に熱処理した。ホイルまたはろう付け要素が完全に溶解して、セラミックブロックまたはピースの上に液滴を形成し、Al
2O
3ブロックまたはピースを一緒にしっかりと接合した。これらの液滴の写真を
図31に示す。液滴はNi-Cg共晶(厚さ0.040インチのホイルまたはろう付け要素)で、Al2O3(白)およびAlN(灰色)上の液滴は、1330℃で5分間の高真空熱処理(HVHT)されたものである。
【0018】
本発明の接合材料またはろう付け要素は、任意選択で、9原子%の炭素を有するNi-Cおよび1325℃の共晶温度を有する共晶組成物である、残りのニッケルであり得る。炭素原子%は、任意選択で8~10%の範囲にすることができる。炭素原子%は、任意選択で8~12原子%の範囲にすることができる。炭素原子%は、任意選択で最大80原子%の範囲にすることができる。炭素原子%は、任意選択で1~80原子%の範囲にすることができる。
【0019】
本発明の接合材料またはろう付け要素は、任意選択で、11.6原子%の炭素を有するCo-Cおよび1324℃の共晶温度を有する共晶組成物である、残りのコバルトであり得る。炭素原子%は、任意選択で10~13%の範囲にすることができる。炭素原子%は、任意選択で10~16原子%の範囲にすることができる。炭素原子%は、任意選択で最大80原子%の範囲にする。炭素原子%は、任意選択で1~80原子%の範囲にすることができる。
【0020】
本発明の接合材料またはろう付け要素は、任意選択で、17.1原子%の炭素を有するFe-Cおよび1130℃の共晶温度を有する共晶組成物である、残りのFeであり得る。炭素原子%は、任意選択で13~25%の範囲にすることができる。炭素原子%は、任意選択で5~80重量%の範囲にすることができる。
【0021】
M.Groschnerら、「Ni-Mo-CおよびCo-Mo-C合金の溶融挙動」、La Revue de Metallurgie-CIT/Science et Genie des Materiaux、Vol.91、No.12、p1767~p1776(1994)は、NiまたはCoの混合金属粉末をMoおよびCgと溶融することに関する実験について説明しており、それぞれの三元合金状態図の確立につながっている。これらの図は、
図32(Ni-Mo-C)および
図33(Co-Mo-C)に示されている。これらの特定の図のほか、以下で説明する他の図も「液体投影」と呼ばれる。これらの投影は、垂直軸(紙面に垂直な第4の軸)が温度で、一種の地形図として表示され、これは液体のみでカバーされたさまざまな組成と温度の表面を表示している。温度等温線が一般的に示され、交線は「峡谷」と見なされる場合がある。
【0022】
これらの三元系のNiリッチ合金は、セラミック、例えばAlNおよびAl
2O
3に接合し、セラミックをセラミック、例えば、AlNをAlNおよびAl
2O
3をAl
2O
3にろう付けするほか、AlNなどのセラミックをMoにろう付けし、Ni-2Wt%Cg共晶よりも低い温度で、NiをNi、およびNiをNiの高温合金(「超合金」として知られる)にろう付けすることもわかっている。これらの組成物はまた、他のセラミック材料に接合してろう付けするほか、それらを金属にろう付けすることもできる。共晶を生成する比率のニッケル、モリブデン、および炭素の混合物は、
図32のGroschnerらによって示されるように、約1250C+/-10Cの平衡融点を有する。これらの著者らによると、共晶点の組成は、Ni-68.25重量%、Mo-29.50重量%、C-2.25重量%である。共晶点は、液相線(合金が完全に液体になる最低温度)と固相線(合金が完全に固体になる最高温度)が同じになる最低温度を定義する。その点から離れた組成物では、固相線は同じままであるが、液相線の温度が上昇する。この共晶温度よりも低い温度では、平衡条件下で、3つの固相のうちの少なくとも2つ、ニッケル-モリブデン-炭素固溶体の1つ、モリブデンの炭化物(Mo
2C)の1つ、および炭素の1つ(おそらくグラファイトの形で)が見つかる。
【0023】
共晶組成物の近傍にあるこれらのさまざまなNi-Mo-C合金組成物は、高真空雰囲気で共晶溶融温度(固相線面)を超えて約1280℃に加熱されると、部分的に溶融し、ある程度湿り、AlNなどのセラミックにしっかりと接合する。これは、本発明者らが、Ni、Mo、およびC(グラファイト)の個々の粉末を上記に近い比率で混合し、ペレットをプレスし、ペレットをセラミックピース(AlN)上に置き、これらのアセンブリをMoシート缶内に置き、これを高真空高温炉内に置き、高真空下で加熱することによって決定した。950℃から1350℃の範囲の温度が調査された。組成に応じて、さまざまな温度で、ペレットはさまざまな程度に溶け、セラミックにしっかりと接合した。Ni-76.3Wt%、Mo-21.1Wt%、およびグラファイト-2.6Wt%の粉末混合物をペレットにプレスし、セラミックシート上に配置し、1275℃に高真空熱処理した。冷却すると、反応と溶融が観察されたが、不完全であった。再び1280℃に加熱すると、完全に溶融し、セラミックシート上に液滴が形成された。これを
図34に示す。
【0024】
実験は、このろう付け合金を利用して、セラミックプレート、例えばAlNプレート内でNi合金/ダイヤモンドベースのMMCのペレットをろう付けするように設計された。それは、Ni-76.3Wt%、Mo-21.1Wt%、およびグラファイト-2.6Wt%の混合物、例えば粉末混合物でコーティングされたMMCをセラミックプレートまたはピースに開けられた穴に入れることから構成された。第1のピースは、第2のピース、例えば、AlNの薄いシート、に配置された。次に、これを上記のように加熱した。再度、合金組成物は溶融し、セラミックにしっかりと接合した。
【0025】
Ni-2Wt%CgとNi-Mo-Cg合金はどちらも、高濃度のNiを使用するため、Niが主成分であるNiとニッケルベースの金属合金の接合に適している可能性がある。これを調べるために、2つの厚さ0.050インチのNi 200シートの間に、比較的純粋なグレードの市販ニッケル、MoをスパッタしたNi-2Wt%Cgホイルを配置した。このサンドイッチアセンブリは、高真空環境で約400psiの圧力下で1280℃に加熱された。ニッケルピースは強く相互に接合していた。別の実験では、Ni-Mo-C合金ホイルまたはろう付けを使用して、Ni 200シートをHastalloy X(市販の超合金)プレートにろう付けすることに成功した。
【0026】
ろう付け要素、例えばホイルを2つのピース、例えばAlNパックなどのセラミックピースの間に配置する接合実験をさらにもう一度繰り返したが、材料は多少異なっていた。この実験では、Ni-2Wt%Cgホイルまたはろう付けを、両面に15μのMoでスパッタコーティングし、サンプルを1350℃に20分間加熱した(サンプル番号180312-B2)。再度、合金組成物は溶融し、セラミックにしっかりと接合した。ろう付け接合部の超音波評価であるSonoscanを
図37に示す。
【0027】
図30に示す準安定性の特徴を示した、NiとMoおよびCgとの混合物、例えば混合粉末のサンプルの、AlNなどのセラミックへの溶融および接合を調査する実験が行われた。これらのサンプルは、1025℃という非常に低い温度で溶融し、いくつかのサンプルは975℃で液相が存在する兆候を示している。
本発明のNi-Mo-C合金またはろう付け要素の形成は、さまざまに異なるプロセスを使用して行うことができる。それらは、アーク溶融され、続いてホイルに圧延されて、上記のようにろう付けフィラー材料のシートを提供するか、またはそれらは、上記で使用されるように混合粉末からなり得るが、ろう付け充填材の薄いシートにも広がり得る。代替として、さまざまな元素を蒸発させ、スパッタし、CVDプロセスまたは他の技術を介して薄膜に同時にまたは層ごとに形成して、所望のろう付けの厚さおよび組成を達成することができる。一例として、AlNまたは他のセラミック基板またはピース上に、CVDを使用して1.2ミクロンの厚さのアモルファス炭素(ダイヤモンドライク炭素)層を形成し、続いて9.1ミクロンの厚さのNi層をスパッタし、続いて4.7ミクロンの厚さのMo層をスパッタした。このようなコーティングされた2つのピース、例えばAlN基板を、コーティングを対面させて高真空炉に配置し、1200℃で2時間熱処理して合金化した後、1275℃で20分間加熱して、共晶液相を形成し、ピースを一緒にろう付けする。本発明のろう付け要素を作成する前述の方法は、本明細書に開示されるすべてのろう付け要素に適用可能である。
【0028】
本明細書に記載のプロセスは、任意選択でろう付けプロセスと呼ぶことができる。本明細書に記載のプロセスは、任意選択で、一時的な液相接合プロセスと見なすことができる。例えば、別個のスパッタ層では、それらは、任意選択で、一時的な液相接合プロセスと見なすことができる。共晶組成は、成分の原子パーセントを使用して説明されているが、個々の成分は、任意選択で別々の層に堆積することができる。個別の層の厚さは、全体のパーセントとしての各成分の原子パーセントが維持されるように、任意選択で選択することができる。
【0029】
本発明に従って第2のピース601に接合されている第1のピース600が
図46に示されている。第1のピースは、任意選択でセラミック、例えば窒化アルミニウムまたはアルミナにすることができる。第2のピースは、任意選択でセラミック、例えば窒化アルミニウムまたはアルミナにすることができる。アモルファス炭素層602は、第1のピース600の接合面上に、例えば、スパッタされて配置されている。別のアモルファス炭素層603は、第2のピース601の接合面上に、例えば、スパッタされて配置されている。ニッケル層604は、例えば、スパッタされて、炭素層602上に配置されている。別のニッケル層605は、例えばスパッタされて、炭素層603上に配置されている。Mo606の層は、例えば、スパッタされて、ニッケル層604上に配置されている。Mo607の別の層が、例えば、スパッタされて、ニッケル層605上に配置されている。
【0030】
図47は、加熱ステップの前にそれらのMo層が接触して配置されたときの第1のピース600および第2のピース601を示している。接合プレアセンブリは、プロセスチャンバに配置され、高真空にされてもよい。圧力は、任意選択で1×10E-4Torrより低くすることができる。圧力は、任意選択で1×10E-5Torrより低くすることができる。Ni-Mo-Cの共晶温度は約1250℃である。任意選択で第1の加熱ステップが使用され、プレアセンブリは1200℃になる。第1の加熱ステップは2時間の持続時間を有し得る。
図48に示すように、炭素層はニッケル層に拡散し得、その結果、第1のピース600上にNi-C層608、第2のピース601上に別のNi-C層609が生じる。次に、共晶温度以上での第2の加熱ステップを任意選択で受けることができる。Ni-Mo-C接合材料のこの例では、第2の加熱ステップは1275℃であり得る。
【0031】
図49に示すように、温度が共晶温度以上に上昇すると、溶融は、Ni-C層609とMo層607との界面で始まる。Ni-C層609とMo層607との接合部での溶融610は、共晶組成物またはその近くの組成物から生じ、溶融し、この溶融物は接合部から移動し続ける。同様に、溶融611は、Ni-C層608とMo層606との界面で始まる。
図50は、上部溶融612および下部溶融613が拡大したときのプロセスをさらに時間とともに示している。第2の加熱ステップは、20分の持続時間を有し得る。単一の加熱ステップは、任意選択で、共晶温度以上で使用することができる。
加熱ステップの完了時に、接合アセンブリを冷却することができる。ここで、第1のピース600は、
図51に示されるように、接合部614で第2のピース601に接合される。接合部は均一にすることができる。MoとCで飽和している可能性があるが、ニッケルがいくらか残っている可能性がある。
【0032】
上記でNi-Mo-C共晶で説明したが、同様に他の成分を使用することもできる。
図44Aは、追加の合金成分を使用するニッケル-炭素、コバルト-炭素、および鉄-炭素系の表を示している。各系では、炭素が組成物に使用されており、表に示されている共晶組成物には共晶温度がある。
図44Bは、見られるように、成分の原子パーセントのより狭い範囲およびより広い範囲を含む、本発明の実施形態によるろう付け材料の範囲を含む。
図45は、Carbon-me1-Me2系の一般化された三元状態図のMe1リッチ部分、ならびに
図44Aに示される共晶組成物の共晶点を示す三元共晶表を示す。
図45の点A-B-C-D-E-Fを結ぶ線によって囲まれた多角形は、任意選択で使用され得る組成物の範囲を示している。線ABとDEはそれぞれ炭素の一定の組成を表し、線CDとAFはそれぞれMe2の一定の組成を表す。Me1(Ni、Co、Fe、またはそれらの混合物)の組成の範囲は、約63原子%から約98原子%の範囲であり、一方、Me2の組成の範囲は、0原子%から約25原子%の範囲であり、炭素(C)の組成は、約0.5原子%から25原子%まで広がる。
【0033】
コバルトは、化学的にニッケルに非常に類似した元素である。Ni-コバルトの二元平衡状態図を
図35に示す。Ni-コバルト系は、連続した一連の固溶体を形成し、つまり、Coは、結晶格子構造のNiを直接置換し、個別の別個の化合物を形成しない。したがって、任意の化学相互作用においてニッケルをCoで部分的または完全に置換すると同様の結果が得られると予測されるが、結果は多少異なる組成と特性、つまり異なる溶融温度、異なる電気的挙動などを示す。石田と西沢が説明したC-Co状態図、J.Phase Equilibria、12(4)1991を
図36に示す。Ni-C状態図との類似性に注意していただきたい。実際、Co-Mo-C状態図は、上記の論文でM.Groschnerらが示したように、Ni-Mo-C系と同様の挙動を示す。
【0034】
上記と同様の(Ni、Co)-Mo-Cgの混合粉末による実験で、Niの代わりにCoを50重量%で置換することにより、これをある程度調査した。別の例示的な実施形態では、42.3原子%のNi、42.3原子パーセントのCo、7.9原子パーセントのMo、および7.5原子パーセントのCの粉末組成物の薄いプレスペレットと、84.6原子パーセントのNi、7.9原子パーセントのMo、および7.5原子パーセントのCの薄いプレスペレットを使用して、2つのセラミック、例えば、AlNなどのピースを接合した。第1のAlNピースは4重量%のY2O3を有しており、第2のAlNピースは99.7%純粋なAlNであった。アセンブリは、第1の加熱ステップでは1000℃で2時間、次に第2の加熱ステップでは1075℃で20分間高真空熱処理された。
図52は、ろう付け接合部の光学顕微鏡写真であり、ろう付け合金に存在する粒状構造およびいくつかの相を示している。
図53は、接合部の均一性を例示すろう付け接合部の低倍率SEM画像を示し、一方、
図54は、EDXを使用して化学的に検査された領域を含むろう付け接合部の高倍率を示している。
図55は、ろう付け合金のEDX分析の結果を示す。3つの異なる相がある、すなわち、1)固溶体に少量のMoとCを伴う主にNiとCoを含むマトリックス相、2)主にMoからなる明るい相、3)主にCからなる暗い相である。3つのすべての相は溶解したAlの証拠を示し、セラミックAlNとのわずかな反応を示している。
【0035】
Ni-2Wt%CgとNi-Mo-Cg合金はどちらも、高濃度のNiを使用するため、Niが主成分であるNiとニッケルベースの金属合金、またはピースの接合に適しているはずである。これを調べるために、2つの厚
さ0.050インチのNi 200シートの間に、比較的純粋なグレードの市販ニッケル、MoをスパッタしたNi-2Wt%Cgホイルを配置した。このサンドイッチアセンブリは、高真空環境で約400psiの圧力下で1280℃に加熱された。ニッケルピースは強く相互に接合していた。別の実験では、Ni-Mo-C合金ホイルを使用して、Ni 200シートをHastalloy X(市販の超合金)プレートにろう付けすることに成功した。
【0036】
より広いカテゴリーの合金系は、同様の溶融特性を有し得、上記のように使用され得る。IVB、VB、VIB族の遷移金属元素はすべて炭化物を形成し、Fe、Ni、Co、Cと組み合わせて、ろう付け充填金属合金として使用できる低融点共晶を形成し得る。元素の周期表におけるこのグループ化を
図38に示す。Ni-Cr-C、Ni-Ti-C、Fe-Cr-CおよびFe-Mo-C系の三元状態図をそれぞれ
図39A、
図40A、
図41Aおよび
図42Aに示す。また、Ni-Si-C系があり、その状態図が
図43Aに示されている。
図39B~
図43Bの各表において、
図39A~
図43Aのそれぞれの状態図の位相交点が数値でリスト表示され、数値的にリスト表示された各相点の位置が、
図39A~
図43Aのそれぞれの状態図にその位相点の番号で示されている。三元状態図は、温度を示す等温線を有し、通常、位相交点に向かって下降する。
【0037】
上記のように、グラファイト(Cg)合金としてのニッケル(Ni)-炭素、Ni-Cg-モリブデン(Mo)合金、およびNi-コバルト(Co)-Cg-Mo合金は、セラミック、セラミックと金属、および金属と金属を一緒にろう付けするのに適していることがわかっている。
第1のピース、第2のピース、および接合された第1および第2のピースは、例えば腐食性または侵食性の環境において、任意の適切な用途またはプロセスで使用することができる。そのような腐食性または侵食性の環境は、任意選択で、半導体処理環境を含むことができる。例えば、第1のピース、第2のピース、または第1および第2のピースの組み合わせは、任意の適切な半導体ウェーハ製造装置ピースであり得、これは、例えば、半導体処理の間のシリコンウェーハを支持するためのヒーター、チャック、プレートまたはプレートアセンブリ、あるいはプレートとシャフトデバイスを含み得る。第1のピース、第2のピース、または第1および第2のピースの組み合わせは、任意選択で、セラミックなどの任意の適切な材料の基板に接合された、任意の適切な材料、例えばサファイアの耐摩耗性の高い表面層を有する産業機器コンポーネントであり得て、本明細書で開示されたろう付けのいずれかなどの任意の適切なタイプの金属炭素合金ろう付けを伴う。
【0038】
セラミックの接合のための半導体処理装置の製造における本発明のろう付け要素の使用は、半導体処理化学物質への耐性がありながら、高温での処理のサポートを可能にする。これらの半導体処理化学物質には、ハロゲン、臭素、塩素、フッ素、およびそれらの化合物が含まれ得る。加えて、以下で説明するように、産業用処理装置の製造におけるそのような合金の使用は、高温での動作をサポートし得る装置の製造を可能にする。
【0039】
半導体製造では、集積回路の製造に必要な処理を行うために、腐食性と高温の両方の、高エネルギーガスプラズマが使用される。多くの用途では、プラズマを封じ込めて方向付けるために、コンポーネントが処理環境で使用される。通常、これらのコンポーネントは、一般にエッジリング、フォーカスリング、ガスリング、ガスプレート、ブロッカープレートなどと呼ばれ、石英、シリコン、アルミナ、または窒化アルミニウムでできている。プラズマによる部品の侵食はプロセスのドリフトと汚染を引き起こし、短いサービス時間の後にコンポーネントを交換する必要があるため、これらのコンポーネントの寿命が時間単位で測定されることは珍しくない。プラズマは任意選択で、セラミックノズルのアレイを使用して処理環境に注入される。これらのノズルはモノリシック部品であり、複雑な形状を持ち、プラズマの流量とパターンを制御するための直径0.010インチ程度の小さなオリフィスがある。これらのノズルの代表的な材料は、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムである。これらの高度なセラミックを使用しても、高エネルギープラズマによるオリフィスの侵食により、ノズルの寿命は3か月である。これには、通常20を超える個別のノズルで構成されるノズルアレイを交換するために、マシンを3か月ごとに完全にシャットダウンする必要がある。ノズルが侵食されている間、ノズルは汚染物質をプラズマに放出し、処理の歩留まりを低下させる。また、ノズルの寿命が近づくと、オリフィスの侵食によりプラズマの流れが増加し始め、プロセスのパフォーマンスが変化し、歩留まりがさらに低下する。サファイアや酸化イットリウムなど、他の高度なセラミック材料は、そのプラズマ環境での侵食速度が大幅に低くなっている。エッジリングやインジェクタノズルなどのコンポーネントをこれらの材料で作成できれば、寿命とパフォーマンスが大幅に向上する結果となる。ただし、上記の製造およびコストの制限により、この用途でのこのような材料の使用は制限される。必要なのは、現在の材料に近いコストで最高の材料の特性を活用する方法である。
【0040】
本発明の方法は、サファイア(単結晶酸化アルミニウム)、酸化イットリウム、および部分的に安定化された酸化ジルコニウム(PSZ)などの侵食および腐食に最良の材料の特性を、酸化アルミニウムなどのより低コストの高度なセラミック材料と組み合わせることができる。高度なセラミック材料をそれ自体および他の材料に接合するためのろう付け材料としてアルミニウムを使用する、本発明の実施形態による方法を活用すると、最高性能の高度なセラミック材料の特性を、アルミナなどのセラミックのより低コストと簡単な製造性のコストおよび製造性で接合することが可能である。このようなプロセスは、高レベルの耐腐食性および耐侵食性を備えた接合部を生成し、これは、上昇した温度で動作でき、接合された材料間の熱膨張の大幅な変動に耐えることができる。
【0041】
図1は、第1のピース、例えばセラミックピース72が、例えば、本発明による同じまたは異なる材料で作製され得る第2のピース、例えば第2のセラミックピース71に接合される接合部の実施形態の断面を示す。接合充填材74などの接合材料を含めることができ、これは、本明細書に記載の材料またはバインダーの組み合わせから選択することができ、本明細書に記載の方法のいずれかに従って接合部に送達することができる。
図1に示される接合部に関して、第1のピース72は、第1のピース72の接合部界面表面73Aが、その接合部界面表面73Bに沿って第2のピース71に隣接し、表面の間に接合充填材のみが挿入されて接合される。説明をわかりやすくするために、接合部の厚さは誇張されている。任意選択として、嵌合ピースの1つ、この例では第1のピース72に窪みを含めることができ、これにより、他の嵌合ピースを窪み内に配置することができる。
【0042】
図2に示すように、接合材料は、2つの別個の雰囲気の間を橋渡しする可能性があり、その両方が、ろう付け材料を含む以前の接合材料に重大な問題を提示する可能性がある。接合部の第1の表面では、接合材料は、接合されたセラミックアセンブリが使用される半導体処理チャンバで発生するプロセス、および存在する環境77と適合する必要があり得る。接合部の第2の表面では、接合材料は、酸素化された雰囲気であり得る、異なる雰囲気76と適合する必要があり得る。例えば、銅、銀、または金を含むろう付け要素は、接合されたセラミックを備えたチャンバで処理されるシリコンウェーハの格子構造に干渉する可能性があり、したがって適切ではない。ただし、場合によっては、接合部の表面が高温になり、酸素化された雰囲気になることがある。この雰囲気にさらされる接合部の一部は酸化し、接合部の内側に酸化して、その結果、接合部の庇護性を損なう可能性がある。構造的取り付けに加えて、半導体製造で使用される接合されたセラミックピース間の接合部は、ほとんどまたはすべてではないにしても、多くの用途で気密でなければならない。
【0043】
図3は、本発明に従って形成することができる半導体処理で使用される、ヒーターなどの例示的なプレートおよびシャフトデバイス100を示す。プレートおよびシャフトデバイス100は、任意選択で、窒化アルミニウムなどのセラミックから構成することができる。ヒーターは、同様にプレート102を支持するシャフト101を有する。プレート102は上面103を有する。シャフト101は、中空シリンダーであり得る。プレート102は、フラットディスクであり得る。他のサブコンポーネントが存在する場合がある。プレート102は、任意選択で、セラミックプレートが形成されるプロセスオーブンを含む初期プロセスで個別に製造することができる。
【0044】
図4は、接合部の第2の実施形態の断面を示しており、任意選択で、例えばシャフト191などの任意の適切なタイプのセラミックピースであり得る、第1の物体またはピースが、第2の物体またはピースに接合され得、これは、同じまたは異なる材料でできていてもよく、例えば、プレート192などの任意の適切なタイプのセラミックピースであってもよい。ろう付け層190などの接合材料を含めることができ、これは、本明細書に記載のろう付け層材料の組み合わせから選択することができ、本明細書に記載の方法のいずれかに従って接合部に送達することができる。セラミックプレートまたはピース192は、接合界面表面194を有し、セラミックシャフトまたはピース191は、接合界面層193を有する。プレートは任意選択で窒化アルミニウムであり得、シャフトはジルコニア、アルミナ、または他のセラミックであり得る。任意選択で、より低い伝導熱伝達係数を有するシャフト材料を使用することが望ましい場合がある。
【0045】
図5に示すように、接合材料は、2つの別個の雰囲気の間を橋渡しする可能性があり、その両方が、以前の接合材料に重大な問題を提示する可能性がある。ヒーター205などの半導体処理装置の外面207上で、接合材料は、ヒーター205が使用される半導体処理チャンバ200で、発生するプロセスおよびそこに存在する環境201と適合しなければならない。ヒーター205は、シャフト204によって支持されている、プレート203の上面に取り付けられた基板206を有し得る。ヒーター205の内面208上で、接合層材料は、酸素化雰囲気であり得る、異なる雰囲気202と適合しなければならない。例えば、銅、銀、または金を含む接合部は、処理中のシリコンウェーハの格子構造に干渉する可能性があり、したがって適切ではない。ただし、ヒータープレートをヒーターシャフトに接合する接合部の場合、シャフトの内部は通常高温になり、中空シャフトの中心内に酸素化された雰囲気を有する。この雰囲気にさらされる接合部の一部は酸化し、接合部に酸化して、その結果、接合部の機密性を損なう可能性がある。構造的取り付けに加えて、半導体製造で使用されるこれらのデバイスのシャフトとプレートの間の接合部は、ほとんどまたはすべてではないにしても、多くの用途で気密でなければならない。
【0046】
図6は、本発明に従ってプレート215をシャフト214に接合するために使用される接合部220を示している。接合部220は、シャフト214へのプレート215の取り付けを構造的に支持する構造的および気密接合部を作成している。接合部220は、シャフト214の内面218によって見られるシャフト雰囲気212を、シャフト214の外面217に沿ってプロセスチャンバ内に見られるチャンバ雰囲気211から隔離する気密シールを作成している。接合部220は、シャフト雰囲気とチャンバ雰囲気の両方にさらされ得るため、気密シールの喪失をもたらす可能性がある劣化なしに、そのような曝露に耐えることができなければならない。この実施形態では、プレートおよびシャフトは、窒化アルミニウムなどのセラミックであり得る。
【0047】
図7の拡大図に示すように、プレートおよびシャフトデバイス200は、任意選択で、プレートアセンブリ201およびシャフト202とともに見ることができる。プレートアセンブリ201は、任意選択で、層203、204、205などの複数の層を有することができ、これらは任意選択で、プレートアセンブリ201に組み立てる前に、完全に焼成されたセラミック層であり得る。上部プレート層203は、上部プレート層203と中間層204との間に存在する電極層206で中間層204をオーバーレイする。中間層204は、中間層204と下部層205との間に存在するヒーター層207で下部層205をオーバーレイする。
【0048】
プレートアセンブリ201の層203、204、205は、ヒーターの場合は窒化アルミニウムなどのセラミック、または静電チャックの場合はアルミナ、ドープされたアルミナ、AlN、ドープされたAlN、ベリリア、ドープされたベリリアなどを含む他の材料のものであり得る。基板支持体を構成するプレートアセンブリの層203、204、205は、プレートアセンブリ201に導入される前に完全に焼成されたセラミックであり得る。例えば、層203、204、205は、高温高接触圧特殊オーブン、テープ鋳造、またはスパークプラズマ焼結、または他の方法でプレートとして完全に焼成され、その後、それらの用途とプレートアセンブリのスタックでの位置によって必要に応じて最終寸法に機械加工され得る。次に、プレート層203、204、205は、接合層208、例えば、本明細書に開示されるろう付け層のいずれかとの接合プロセスを使用して一緒に接合することができ、これにより、プレートアセンブリ201の最終アセンブリを、高い接触応力用のプレスを備えた特殊高温オーブンを必要とすることなく、行うことが可能である。
【0049】
図8は、本発明に従って形成し得るプレートアセンブリ240の部分断面を示している。プレートアセンブリ240は、プレートおよびシャフトアセンブリを完成させるためにシャフトに接合されるように適合され得る。上部プレート層241は、半導体処理ステップ中に基板を支持するように適合された円形ディスクであり得る。ヒーター244は、上部プレート層241の下に位置するように適合されている。ヒーターは、プレート層の一方または両方に取り付けまたは接着することができる。上部プレート層241は、下部プレート層242をオーバーレイする。接合層243は、例えば、本発明に従って、上部プレート層241を下部プレート242に接合する。接合層は環状ディスクであり得る。上部プレート層および下部プレート層は、任意選択でセラミックであり得る。上部プレート層および下部プレート層は、任意選択で窒化アルミニウムであり得る。接合プロセスおよび材料の例については本明細書で説明する。
図9は、本発明の基板支持アセンブリ246において、本発明の接合層249によって一緒に接合された、プレート層248の間のヒーター要素247を示している。基板支持アセンブリ246の一部のみが
図9に示されている。
【0050】
図10は、本発明による複数のCVDインジェクタノズル110に結合されたガス分配リング101を示している。このプロセスは、半導体ウェーハであり得る、基板103に向けられている。インジェクタノズル110からの流出102は、基板103の処理に寄与する。
図11は、CVDインジェクタノズル110を示している。ノズル110は、内部通路111を通過するガスまたは他の材料がノズル110を出る通路出口112で終わる内部通路111を有する。ガスまたは他の材料は、通路入口114でノズルに入る。インジェクタノズル110は、インジェクタノズル110をガス分配リング101に結合するように適合された機械的界面113を有し得る。
【0051】
図12~
図13は、本発明に従って一緒に接合することができる第1および第2のピースを有するCVDインジェクタノズルを示す。
図12に示すように、ノズル本体120の前端は、内部通路121で見られる。ノズル本体120は、任意選択でアルミナのものであり得る。ノズル本体120は、任意選択で窒化アルミニウムであり得る。内部通路121の先端には、ノズル本体120の前部のざぐり穴に存在するディスク123が存在する。ディスク123は、サファイアなどの耐摩耗性材料である。ディスク123は、内部通路121の内径よりも小さい内径を有し得る。ディスク123は、接合層122でノズル本体120に接合され得る。接合層122は、本明細書に記載のろう付け合金のものであり得る。ディスク123は、本明細書に記載のろう付け方法を使用して、ノズル本体120に接合し得る。ディスク123は、接合層122のノズル本体120またはディスク123への拡散がないろう付け層122によりノズル本体120に接合することができる。ノズルの侵食が主にノズルの先端で発生する用途では、サファイアなどの耐摩耗性材料を含むディスク123の使用により、主に、アルミナなどの低コストの材料から製造されたノズルの使用が可能になり、同時に、識別された高摩耗領域での耐摩耗性の高い材料の高い耐摩耗性と耐侵食性の利点を享受する。
【0052】
図13に示すように、ノズル本体130の前端は、内部通路131で見られる。ノズル本体130は、任意選択でアルミナであり得る。ノズル本体130は、任意選択で窒化アルミニウムであり得る。内部通路131の先端には、ノズル本体130の前部の内部通路の拡大部分内に存在する内部スリーブ133がある。内部スリーブ133は、サファイアなどの耐摩耗性材料である。内部スリーブ133は、内部通路131の内径よりも小さい内径を有し得る。内部スリーブ133は、接合層132でノズル本体130に接合され得る。接合層132は、本明細書に記載されるようなろう付け要素のものであり得る。内部スリーブ133は、本明細書に記載のろう付け方法を使用して、ノズル本体130に接合し得る。内部スリーブ133は、接合層132のノズル本体130または内部スリーブ133への拡散がないろう付け層132でノズル本体130に接合することができる。ノズルの侵食が主にノズルの先端で発生する用途では、サファイアなどの耐摩耗性材料を含む内部スリーブ133の使用により、主に、アルミナなどの低コストの材料から製造されたノズルの使用が可能になり、同時に、識別された高摩耗領域での耐摩耗性の高い材料の高い耐摩耗性と耐侵食性の利点を享受する。
【0053】
図14の断面図に示すように、本発明に従って、カラー151を備えたフォーカスリング150を、接合層153を備えたフォーカスチューブ152の上面に接合することができる。カラー151は、任意選択でアルミナであり得る。カラー151は、任意選択で窒化アルミニウムであり得る。フォーカスチューブ152は、任意選択でサファイアであり得る。
【0054】
図15に示すように、フォーカスリング160は、本発明に従って、その内径に沿って接合層162を備えるフォーカスチューブスリーブ161に接合することができるフォーカスリング構造163を有する。フォーカスチューブスリーブ161は、円筒形スリーブであり得る。フォーカスリング構造163は、任意選択でアルミナであり得る。フォーカスリング構造163は、任意選択で窒化アルミニウムであり得る。フォーカスチューブスリーブ161は、任意選択でサファイアであり得る。フォーカスリング構造163は、任意選択で単体のピースであり得る。フォーカスリング構造163は、任意選択で、複数のピースから構成することができる。
【0055】
油圧破砕システムは、高圧で研磨性の低い流体から低圧で研磨性の高い流体に圧力を伝達する回転コンポーネントを含み得る油圧交換システムを含み得る。研磨性の高い流体には、砂、固体粒子、破片などがあり得る。このようなデバイスのロータとエンドカバーは、特に摩耗しやすい。油圧交換器は、摩耗要求を満たすために炭化タングステンでできている場合があるが、この材料は非常に高価で、製造も困難である。この耐摩耗性材料を使用しても、コンポーネントは侵食を受けやすく、修理が必要になる場合がある。米国特許第2016/0039054号明細書に見られる炭化タングステンシステムのそのような修理の一例。その開示における修理は、大きなコンポーネントの断面全体を切断し、それらを交換することを含む。
【0056】
油圧交換器の改良されたシステムは、サファイアなどの非常に耐摩耗性のある材料の摩耗面層、またはスキンでコンポーネントの高摩耗領域をカバーすることである。このアプローチは、以前は全体的、または実質的に、限られた領域でのみ必要となり得る高摩耗材料で作られたコンポーネントで使用できる。全体的、または実質的に高摩耗材料で作られたコンポーネントは、本明細書に記載のアプローチで低下され得る高コストをもたらす場合がある。摩耗の多い表面層を使用する場合には、コンポーネントの大部分を、アルミナなどのより安価で製造がより容易な材料で作ることができる。本明細書に記載の合金などの耐食性接合層を使用することができる。表面層は、耐食性の気密接合が作成されるように、基礎となる構造にろう付けすることができる。このシステムは、摩耗領域が識別されている他の産業用コンポーネントにも使用できる。
【0057】
図16は、回転式等圧圧力交換器(IPX)の実施形態の分解図である。示している実施形態では、回転式IPX30は、ハウジング44およびロータ45を含むほぼ円筒形の本体部分42を含み得る。回転式IPX30はまた、それぞれ、マニホールド54および52を含み得る2つの端部構造46および50を含み得る。マニホールド52は、入口および出口ポート58および56を含み、マニホールド54は、入口および出口ポート60および62を含む。例えば、入口ポート58は、高圧の第1の流体を受け取ることができ、出口ポート56は、低圧の第1の流体をIPX30から離れるように送るために使用することができる。同様に、入口ポート60は、低圧の第2の流体を受け取ることができ、出口ポート62は、高圧の第2の流体をIPX30から離れるように送るために使用することができる。端部構造46および50は、マニホールド50および46内に配置され、ロータ45との流体シール接触に適合された、それぞれ、ほぼフラットなエンドプレート(例えば、エンドカバー)66および64を含む。上記のように、ロータ45、エンドプレート66、および/またはエンドプレート64などのIPX30の1つまたは複数のコンポーネントは、耐摩耗性材料(例えば、カーバイド、超硬合金、シリコンカーバイド、タングステンカーバイドなど)から構築され得、所定の閾値を超える硬度(例えば、少なくとも1000、1250、1500、1750、2000、2250、またはそれ以上のビッカース硬度数)を有する。例えば、炭化タングステンは、アルミナセラミックなどの他の材料と比較して、より耐久性があり、研磨液に対する耐摩耗性が向上している可能性がある。
【0058】
ロータ45は円筒形であり、ハウジング44に配置され得、ロータ45の長手方向軸68を中心に回転するように配置されている。ロータ45は、各端部の開口部74および72が長手方向軸66に関して対称に配置された、ロータ45を通って実質的に長手方向に延びる複数のチャネル70を有し得る。ロータ45の開口部74および72は、回転中に、高圧の流体および低圧の流体をそれぞれのマニホールド54および52に交互に油圧でさらすように、エンドプレート66および64との油圧連絡のために配置される。マニホールド50および52の入口および出口ポート54、56、58、および60は、1つの端部要素46または48の高圧流体用の少なくとも1対のポート、および反対側の端部要素、48または46の低圧流体用の少なくとも1対のポートを形成する。エンドプレート62および64、ならびに入口および出口開口74および76、ならびに78および80は、円弧または円のセグメントの形の垂直な流れ断面で設計されている。侵食性のフラッキング流体と接触しているこのシステムの端部のコンポーネントは、特に摩耗しやすい。そのような摩耗の一例が
図17に見られ、ロータ45の端部に沿って摩耗領域100がある。
保護表面層は、本発明に従って、侵食性要素への高い曝露の領域において、基礎となる構造に任意選択で接合することができる。炭化タングステンから作られた前述の例とは対照的に、第1のピースと呼ぶことができる代替ロータは、基礎となる構造に第1のセラミックを利用し、表面摩耗保護層に第2のセラミックを利用して作ることができ、これは第2のピースと呼ぶことができる。表面層は、任意選択でサファイアであり得る。基礎となる構造は、任意選択でアルミナであり得る。これにより、アルミナなど、製造がはるかに容易な基礎となる構造にセラミックを使用できる。
【0059】
サファイア表面層は、任意の適切な方法で基礎となる構造に貼り付けることができる。表面層は、任意選択で、腐食処理の化学的性質に耐えることができる、本発明による、接合層によって、基礎となるセラミック構造に取り付けることができる。腐食処理の化学的性質は、フラッキング化学物質に関連している可能性がある。接合層は、任意選択でろう付け層によって形成され得る。ろう付け層は、本明細書に記載のろう付け要素のいずれかであり得る。表面層、またはスキンは、任意選択で、互いをオーバーレイするか、ラビリンス界面を有するか、または互いに隣接し得る複数のピースから構成することができる。
【0060】
図18~
図20は、基礎となる構造87およびエンドキャップ130を有するロータ86を示している。基礎となる構造87はアルミナのものであり得、エンドキャップ130はサファイアのものであり得る。エンドキャップ130は、本明細書に記載の方法に従って、アルミニウム接合層により基礎となる構造87に接合することができる。基礎となる構造87は、直径が小さく、端部がエンドキャップ130と整合する円筒形である。エンドキャップ130は、円形のエンドプレートを備えたシリンダーである。基礎となる構造87上でエンドキャップ130を使用することにより、ロータ86は、他のアプローチで以前に見られたよりもさらに高い耐摩耗性を備えた、アルミナなどのより実用的な材料を使用して製造することができる。
【0061】
任意選択で、ロータの上にエンドスリーブを使用することができる。任意選択で、円形エンドキャップをロータとともに使用することができる。任意選択で、エンドスリーブと円形エンドキャップをロータとともに使用することができる。
長手方向チャネル70は、任意選択で、サファイアなどの耐摩耗性の高い材料の円筒形のライニングで裏打ちすることができる。サファイア円筒形ライニングは、本明細書に記載の接合方法に従って、ロータの基礎となる構造にろう付けすることができる。
アルミナなどのより実用的なセラミックの基礎となる構造の上に、サファイアなどの耐摩耗性の高い表面層を使用すると、耐摩耗性の高い侵食環境にさらされるコンポーネントへの現在のアプローチよりも大幅に改善される。サファイアとアルミナの良好な熱膨張の一致により、材料の良好な組み合わせが得られる。
【0062】
図21は、従来技術の電気フィードスルー100の一例示的な例である。容器壁を通過するフィードスルーを介した電気信号の通過は、一般的な要件である。このようなフィードスルーは、基本的な要件として、必要な電気信号を容器壁から電気的に絶縁しながら、必要な動作圧力、環境、および温度に耐える能力を有している。真空システムで利用されるフィードスルーは、通常、1ATMの圧力差で動作し、リークレートがHeの1x10-9sccm未満、温度が摂氏数百度であると同時に、電力、無線周波数、計装などを含み得る信号を通過させる必要がある。化学処理、石油およびガスの用途などの他のタイプの用途では、より高い圧力、温度、化学適合性など、異なる動作仕様が必要になる場合がある。
【0063】
電気フィードスルー100は、ケーブルコネクタ106を備えた電気ケーブルに結合するように適合された第1の端部101を有し得る。コネクタピン103は、第1の端部101内に存在し得る。第2の端部102は、絶縁体105によって分離され得る導電体104を含み得る。
【0064】
図22および
図23は、コバールハウジングを含む従来技術の電気フィードスルーの比喩的な断面図である。セラミック部品203、例えば酸化アルミニウムは、セラミックにろう付けされた複数の導電体202による電気絶縁のために使用される。導体202は、例えばニッケルまたは銅の導体ピンであり得る。セラミック絶縁体203の外縁は、コバール管状またはハウジング204にろう付けされ、コバールは、セラミックの熱膨張に一致するように使用され、次に、コバールは、容器への接続として使用されるステンレス鋼ケーブルハウジング201などの別の金属201、および電気信号を搬送するケーブルへのステンレス鋼真空容器コネクタ205などの金属205に溶接される。金属201および205のそれぞれは、303、304、または316などのステンレス鋼合金であり得る。
【0065】
図22および
図23に示される電気フィードスルーの設計および製造には、いくつかの欠点がある。これらの欠点は、アルミナセラミック絶縁体のハウジングとしてのコバールの使用に関連している。コバールは、セラミックのCTEを一致させるために使用される。製造中、アルミナ絶縁体はコバールにろう付けされる。ろう付けは、通常、アルミナ上のモリブデンマンガン層206を銅銀ろう付け合金とともに使用して行われ、これは、800℃を超える温度で行われる。コバール以外のハウジングを使用する場合、低CTEアルミナと高CTE金属の不一致により生じる応力により、セラミックに亀裂が生じる。コバールにはいくつかの望ましくない特性もある。それは、それをケーブルまたは容器のいずれかのための良いコネクタにするための機械的特性を欠いていることである。簡単に溶接することはできず、良好なコネクタに必要な特性を備えた、ステンレス鋼に溶接するには、高価で時間がかかる、いくつかの場所207で電子ビーム溶接を使用する必要がある。そして、コバール自体は高価で、供給が限られている。
【0066】
上記の設計とは対照的に、電気コネクタ、例えば本発明による電気フィードスルーは、コバールを使用せず、かつモリブデンマンガンなど、湿潤剤として他の材料を使用せずに、セラミックへの金属のろう付けまたは他の直接接合を可能にする。セラミック絶縁体は、任意選択で、中空部分または中心への材料の挿入を可能にする中空中心部分で作ることができる。材料は、任意選択で、粉末、ホイル、または他の形態として挿入することができる。次に、材料は、任意の適切な方法で、例えば、本発明のろう付け要素のいずれかによって、気密接合部を備えたセラミック絶縁体の中空中心の内面に接合することができる。
ろう付け層の濡れと流れは、さまざまな要因に敏感である可能性がある。懸念される要因には、ろう付け材料の組成、セラミックの組成、セラミックの拡散に対する感受性、プロセスチャンバの雰囲気の化学的構成、特に接合プロセス中のチャンバの酸素レベル、温度、温度での時間、ろう付け材料の厚さ、接合される材料の表面特性、接合されるピースの形状、接合プロセス中に接合部に加えられる物理的圧力、および/または接合プロセス中に維持される接合ギャップが含まれる。
【0067】
次に、プレアセンブリは、温度の上昇、および接合温度での保持にさらされる可能性がある。ろう付け温度に達したら、その温度をしばらく保持してろう付け反応を起こすことができる。十分なろう付け滞留時間が達成されると、炉は毎分20℃の速度で、または固有の炉の冷却速度がより低い場合は、より低い速度で室温まで冷却され得る。炉を大気圧に上げて開き、ろう付けされたアセンブリを取り外して、検査、特性評価、および/または評価を行うことができる。
【0068】
上記のように接合されたアセンブリは、アルミニウムの中心とセラミックチューブの内面との間に気密シールを備えたピースになる。次に、そのようなアセンブリは、大気の分離がアセンブリの使用において重要な側面である場合に使用することができる。さらに、例えば、接合されたアセンブリが後で半導体処理に使用されるときに、さまざまな雰囲気にさらされる可能性がある接合部の部分は、そのような雰囲気で劣化せず、後の半導体処理を汚染することもない。
【0069】
例示的な実施形態では、
図24および
図25に示すように、完成した電気フィードスルーの製造における中間ステップを表すろう付けアセンブリ300が示されている。この例示的な実施形態は、1つの電気接点を通して給電するが、他の実施形態では、より多くの電気接点を通して給電することができる。
セラミックチューブ302は、任意選択で、アルミニウムで満たされる中空中心301を第2の中空部分305から分離する遮断部分307を有し得る。より狭い外面304もまた、ろう付けアセンブリ300のこの端部に見られ得る。
任意選択のキャップ306は、ろう付けアセンブリのより狭い外面304の周りに見られる。キャップ306は、任意選択でニッケルキャップであり得る。ニッケルキャップは、本発明に従って、ろう付けアセンブリのアルミナセラミックのより狭い外面に任意選択でろう付けすることができる。ニッケルキャップは、ろう付け材料がセラミックピースの主中空の内面に接合されるのと同じプロセスステップの間に、任意選択でアルミナ上にろう付けされてもよい。
【0070】
ろう付けプロセスの後、ろう付けアセンブリ300は、任意選択で、それに沿って移動して、ろう付け後アセンブリ400になり得る。
図26に破線で示される、セラミックチューブの部分404は、本発明に従って、
図26に示すように、セラミックチューブにろう付けされた金属の外面401を露出させるために除去され得る。金属301は、任意選択で除去されて、アルミニウム管403を形成し得る。遮断部分307は、任意選択で除去され得、金属管403内からニッケルキャップ306への連続的な通路402を可能にする。
【0071】
図27は、ニッケルキャップ306に溶接502されてもよい導体501の挿入後の一例示的な単一の導体フィードスルー500を示す。
上記の説明から明らかなように、本明細書に記載の説明から多種多様な実施形態を構成することができ、当業者にとって追加の利点および変更は容易に思い付くであろう。したがって、そのより広い態様における本発明は、示され説明されている特定の詳細および例示的な例に限定されない。したがって、そのような詳細からの逸脱は、出願人の発明の概要の趣旨または範囲から逸脱することなく行われ得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(8) 第1のピースを第2のピースに接合する方法であって、前記第1のピースの第1の界面領域と第2のピースの第2の界面領域との間にろう付け要素を配置して、接合プレアセンブリを作成すること、前記ろう付け要素がニッケルおよび炭素を含むこと、前記接合プレアセンブリをプロセスチャンバに配置すること、前記プロセスチャンバから酸素を除去すること、および前記第1のピースを前記第2のピースに接合するように少なくとも前記接合プレアセンブリの前記ろう付け要素を加熱することを含む方法。
(9) 前記第1のピースが、セラミックおよび金属からなる群から選択される材料から作製され、前記第2のピースが、セラミックおよび金属からなる群から選択される材料から作製されている、(8)に記載の方法。
(10) 前記セラミックが、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、およびジルコニアからなる群から選択される、(9)に記載の方法。
(11) 前記プロセスチャンバから酸素を除去する前記ステップは、1×10E-4トール未満の圧力を前記プロセスチャンバに加えることを含む、(8)から(10)のいずれか1つに記載の方法。
(12) 少なくとも前記ろう付け要素を加熱する前記ステップは、少なくとも前記ろう付け要素を前記ろう付け要素の共晶温度より低い第1の温度に加熱し、その後、少なくとも前記ろう付け要素を前記ろう付け要素の前記共晶温度より高い第2の温度に加熱することを含む、(8)から(10)のいずれか1つに記載の方法。
(13) 前記ろう付け要素が、8から10原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含み、残りの前記ろう付け要素がニッケルである、(8)に記載の方法。
(14) 前記ろう付け要素が、1から80原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含み、残りの前記ろう付け要素がニッケルである、(8)に記載の方法。
(15) 第1のピースを第2のピースに接合する方法であって、前記第1のピースの第1の界面領域と前記第2のピースの第2の界面領域との間にろう付け要素を配置して、接合プレアセンブリを作成すること、前記ろう付け要素がコバルトおよび炭素を含むこと、前記接合プレアセンブリをプロセスチャンバに配置すること、前記プロセスチャンバから酸素を除去すること、および前記第1のピースを前記第2のピースに接合するように少なくとも前記接合プレアセンブリの前記ろう付け要素を加熱することを含む方法。
(16) 前記第1のピースが、セラミックおよび金属からなる群から選択される材料から作製され、前記第2のピースが、セラミックおよび金属からなる群から選択される材料から作製されている、(15)に記載の方法。
(17) 前記セラミックが、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、およびジルコニアからなる群から選択される、(16)に記載の方法。
(18) 前記プロセスチャンバから酸素を除去する前記ステップは、1×10E-4トール未満の圧力を前記プロセスチャンバに加えることを含む、(15)から(17)のいずれか1つに記載の方法。
(19) 少なくとも前記ろう付け要素を加熱する前記ステップは、少なくとも前記ろう付け要素を前記ろう付け要素の共晶温度より低い第1の温度に加熱し、その後、少なくとも前記ろう付け要素を前記ろう付け要素の前記共晶温度より高い第2の温度に加熱することを含む、(15)から(17)のいずれか1つに記載の方法。
(20) 前記ろう付け要素が、8から10原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含み、残りの前記ろう付け要素がニッケルである、(15)に記載の方法。
(21) 前記ろう付け要素が、1から80原子パーセントの炭素の範囲の炭素を含み、残りの前記ろう付け要素がニッケルである、(15)に記載の方法。