(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】連結機構を備えた搬送装置
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20240227BHJP
B61G 1/28 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B61B13/00 A
B61G1/28
(21)【出願番号】P 2021004117
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 剛
(72)【発明者】
【氏名】左右田 裕大
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-024415(JP,A)
【文献】特開2004-262288(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109421452(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0276998(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B61G 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車と荷台とを連結する連結機構を備えた搬送装置であって、
前記連結機構は、
前記荷台に配置され、上下方向に延びる第1の軸線を中心に回転する第1ローラと、
前記第1ローラから水平方向に間隔を存して前記荷台に配置され、上下方向に延びる第2の軸線を中心に回転する第2ローラと、
前記荷台に配置され、前記第1の軸線と同じ方向に延びる軸線を中心に前記第1ローラとは独立して回転する第3ローラと、
前記荷台に配置され、前記第2の軸線と同じ方向に延びる軸線を中心に前記第2ローラとは独立して回転する第4ローラと、
前記無人搬送車に配置され、水平方向に延びる一対のレール部材を含み、前記一対のレール部材の間に前記第1ローラと前記第2ローラが入る隙間を有したガイドレール部と、
前記無人搬送車に設けられ、第1の位置と第2の位置との間を移動し、前記第1の位置から前記第2の位置に移動した状態において、前記第3ローラと前記第4ローラとの間に挟まれるロック部材と、
前記ロック部材を前記第1の位置と前記第2の位置とに移動させるアクチュエータと、
を具備したことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記第1ローラと前記第3ローラとをそれぞれ回転自在に支持する第1の共通軸を有し、かつ、前記第1ローラの径が前記第3ローラの径よりも大きく、
前記第2ローラと前記第4ローラとをそれぞれ回転自在に支持する第2の共通軸を有し、かつ、前記第2ローラの径が前記第4ローラの径よりも大きい搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置において、
前記第1ローラと、前記第2ローラと、前記第3ローラと、前記第4ローラとが、それぞれ、ゴム弾性を有する材料からなるローラ本体を有した搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記ガイドレール部が、
前記一対のレール部材のそれぞれの長さ方向の一部をなしかつ互いに平行なストレート部と、
前記ストレート部の一端からの距離が大きくなるにつれて前記隙間が広がる第1の広がり部と、
前記ストレート部の他端からの距離が大きくなるにつれて前記隙間が広がる第2の広がり部とを具備した搬送装置。
【請求項5】
請求項2に記載の搬送装置において、
前記ロック部材が、
前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する際に前側となる端面と、
前記移動の際に後側となる一方の側面および他方の側面と、
前記一方の側面および他方の側面から前記端面に向かって互いの距離が小さくなる一対のテーパ面とを有し、
前記ロック部材が前記第2の位置に移動した状態において、前記一対のテーパ面のうちの一方に前記第3ローラが接するとともに、他方のテーパ面に前記第4ローラが接する搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキャスタ付き荷台を無人搬送車に連結するための連結機構を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の生産現場において、ワーク等の被搬送物を移動させるために、台車やワゴンといったキャスタ付きの荷台が使用されている。前記荷台を所望の位置に移動させるために、無人搬送車(Automatic controlled vehicle)が使用されることがある。前記荷台は、連結機構を介して無人搬送車に連結される。前記連結機構は、必要に応じて前記荷台と無人搬送車とを互いに連結したり、前記荷台を前記無人搬送車から切り離したりすることができる。
【0003】
特許文献1に、連結ピンを用いた連結機構を有する無人搬送車が記載されている。前記無人搬送車は前記荷台の下側に入り込むことができるように構成されている。その連結機構は、無人搬送車の上面に設けられた連結ピンと、前記連結ピンを上下方向に移動させるための駆動機構と、荷台の下面に設けられたピン受け部とを有している。前記連結ピンを前記駆動機構により上昇させ、前記連結ピンを前記ピン受け部に挿入することにより、前記荷台が前記無人搬送車に連結される。
【0004】
特許文献2にも連結部を有する無人搬送車が記載されている。その連結部は、荷台の下面に設けられた連結棒と、無人搬送車の上面に設けられたクランプ機構とを有している。前記無人搬送車を前記荷台の下に入り込ませた状態において、前記クランプ機構によって前記連結棒をつかむことにより、前記荷台が前記無人搬送車に連結される。
【0005】
特許文献3にガイド部と連結機構とを備えた無人搬送車が記載されている。特許文献3に記載された連結機構の第1の例は、無人搬送車の上面に設けられた一対のガイド部と、荷台の下面に設けられた被連結部材と、水平方向に移動可能な連結ピンとを有している。前記被連結部材に、上記連結ピンを挿入するン受け孔が形成されている。前記被連結部材が前記ガイド部間に挿入された状態において、前記連結ピンを前記ピン受け孔に挿入することにより、前記荷台が前記無人搬送車に連結される。
特許文献3の連結機構の第2の例は、無人搬送車の上面に設けられた一対のガイド部と、荷台の下面に設けられた一対の連結軸と、水平方向に移動可能な連結部材とを有している。前記ガイド部間に前記連結軸が挿入された状態において、前記連結部材を前記連結軸に押し付けることにより、前記荷台が前記無人搬送車に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-232078号公報
【文献】特開2019-162953号公報
【文献】特開2018-24415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された連結機構のように、連結ピンをピン受け部に挿入する構造では、連結の際に無人搬送車と荷台との相対位置が少しでもずれると、連結ピンをピン受け部に挿入することができない。
特許文献2に記載されたクランプ機構は、荷台に対する無人搬送車の位置決め精度は緩くてもよい。しかし無人搬送車と荷台とが垂直軸回りに旋回する際に、クランプ機構に過剰な負荷がかかる。このためクランプ機構が破損しやすいという問題がある。
【0008】
特許文献3の第1の例のように、水平方向に移動する金属製の連結ピンを金属製の被連結部材のピン受け孔に挿入する構造では、連結ピンとピン受け孔との接触音や振動が問題となる。特に清浄な環境が要求されるクリーンルームでは、金属同士の摩擦による微粒子(パーティクル)の発生が大きな問題となる。特許文献3の第2の例のように、連結部材を連結軸に押し付ける構造の場合、連結部材を大きな力で押し付け続ける必要がある。このため消費エネルギーが大きく、バッテリーの負担が大きい。しかも連結部材や連結軸の剛性をかなり大きくする必要がある。
【0009】
本発明の目的は、無人搬送車と荷台との連結強度が大きく、しかも発塵を抑制できる連結機構を備えた搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施形態は、無人搬送車と荷台とを連結する連結機構を備えた搬送装置である。前記連結機構は、前記荷台に配置された第1ローラと、第2ローラと、第3ローラと、第4ローラとを含んでいる。前記第1ローラは、上下方向に延びる第1の軸線を中心に回転する。前記第2ローラは、前記第1ローラから水平方向に間隔を存して前記荷台に配置され、上下方向に延びる第2の軸線を中心に回転する。前記第3ローラは、前記第1の軸線と同じ方向に延びる軸線を中心に前記第1ローラとは独立して回転する。前記第4ローラは、前記第2の軸線と同じ方向に延びる軸線を中心に前記第2ローラとは独立して回転する。
【0011】
また前記連結機構は、前記無人搬送車に配置されたガイドレール部と、ロック部材と、アクチュエータとを含んでいる。前記ガイドレール部は、水平方向に延びる一対のレール部材を含み、前記一対のレール部材の間に前記第1ローラと前記第2ローラが入る隙間を有している。前記ロック部材は、第1の位置と第2の位置との間を移動し、前記第1の位置から前記第2の位置に移動した状態において、前記第3ローラと前記第4ローラとの間に挟まれる。前記アクチュエータは、前記ロック部材を前記第1の位置と前記第2の位置とに移動させる。
【0012】
前記第1ローラと前記第3ローラとをそれぞれ回転自在に支持する第1の共通軸を有し、かつ、前記第1ローラの径が前記第3ローラの径よりも大きくてもよい。また前記第2ローラと前記第4ローラとをそれぞれ回転自在に支持する第2の共通軸を有し、かつ、前記第2ローラの径が前記第4ローラの径よりも大きくてもよい。さらに前記第1ローラと、前記第2ローラと、前記第3ローラと、前記第4ローラとが、それぞれ、ゴム弾性を有する材料からなるローラ本体を有してもよい。
【0013】
前記ガイドレール部の一例は、前記一対のレール部材のそれぞれの長さ方向の一部をなしかつ互いに平行なストレート部と、前記ストレート部の一端からの距離が大きくなるにつれて前記隙間が広がる第1の広がり部と、前記ストレート部の他端からの距離が大きくなるにつれて前記隙間が広がる第2の広がり部とを有している。
前記ロック部材が、前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する際に前側となる端面と、前記移動の際に後側となる一方の側面および他方の側面と、前記一方の側面および他方の側面から前記端面に向かって互いの距離が小さくなる一対のテーパ面とを有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る連結機構を備えた搬送装置によれば、無人搬送車と荷台との連結強度が大きく、しかも発塵を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に示された搬送装置の無人搬送車と荷台とが互いに離れた状態の斜視図。
【
図4】同搬送装置の第1のローラアセンブリの軸線に沿う断面図。
【
図7】同搬送装置の無人搬送車と前記荷台の一部を示す平面図。
【
図8】同搬送装置のロック部材によって前記荷台が連結された状態の平面図。
【
図9】第2の実施形態に係る搬送装置の一部を模式的に示した平面図。
【
図10】
図9に示された搬送装置の一部を模式的に示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に第1の実施形態に係る搬送装置について、
図1から
図8を参照して説明する。
図1は搬送装置10の斜視図である。搬送装置10は、無人搬送車11と、荷台12と、連結機構13とを含んでいる。連結機構13は、無人搬送車11と荷台12とを連結する機能を有している。
図2は、無人搬送車11が荷台12から離れた状態を示している。
図3は搬送装置10の一部を示す正面図である。
【0017】
無人搬送車11については後に詳しく説明し、まず荷台12について説明する。
荷台12は、フレーム構体20と、キャスタ(casters)21,22,23,24と、フレーム構体20に設けられた第1のローラアセンブリ31と、第2のローラアセンブリ32とを有している。これらローラアセンブリ31,32は、連結機構13の一部をなしている。フレーム構体20の上部に、被搬送物を乗せるための載置部35(
図1と
図2に示す)が形成されている。
【0018】
フレーム構体20は、一対の下部フレーム36,37と、上下方向に延びる縦フレーム38と、上部フレーム40,41,42と、補強部材43などを含んでいる。上部フレーム40,41,42の下側に、無人搬送車11が水平方向から進入することが可能な空間部45が形成されている。
【0019】
一方の下部フレーム36の両端にキャスタ21,22が設けられている。他方の下部フレーム37の両端にもキャスタ23,24が設けられている。これらキャスタ21,22,23,24は、それぞれ垂直軸まわりに旋回可能であり、荷台12の移動方向に応じて向きを変えることができる。
【0020】
第1のローラアセンブリ31と第2のローラアセンブリ32とは、互いに共通の構造である。第1のローラアセンブリ31は、上部フレーム41の長さ方向の一端41a寄りの位置に設けられている。第2のローラアセンブリ32は、上部フレーム41の長さ方向の他端41b寄りの位置に設けられている。
図4に第1のローラアセンブリ31の断面が示されている。
【0021】
図4に示されたように第1のローラアセンブリ31は、上下方向に延びる第1の共通軸50と、第1の共通軸50に設けられた第1ローラ51および第3ローラ53を有している。第1の共通軸50は上部フレーム41の下面側にねじ部50aによって固定され、上部フレーム41の下方に延びている。
【0022】
第1ローラ51は、軸受部材51aを介して第1の共通軸50に取付けられている。第1ローラ51は、上下方向に延びる第1の軸線X1(
図4と
図5に示す)を中心に回転することができる。第3ローラ53は、軸受部材53aを介して第1の共通軸50に取付けられている。第3ローラ53は、第1の軸線X1と同じ方向に延びる軸線X3(
図5に示す)を中心に回転することができる。
【0023】
第1ローラ51は、例えばウレタンエラストマ等のゴム弾性を有する材料からなるローラ本体51b(
図4に示す)を有している。第3ローラ53も、例えばウレタンエラストマ等のゴム弾性を有する材料からなるローラ本体53bを有している。第1ローラ51の径D1は第3ローラ53の径D2よりも大きい。第1ローラ51と第3ローラ53とは、互いに独立して第1の共通軸50を中心に回転する。
【0024】
図5と
図7と
図8に示されたように、第2のローラアセンブリ32は、上下方向に延びる第2の共通軸55と、第2の共通軸55に設けられた第2ローラ56および第4ローラ57を有している。第2の共通軸55は、第1の共通軸50と同様に上部フレーム41の下面側にねじ部によって固定され、上部フレーム41の下方に延びている。
【0025】
第2ローラ56は、軸受部材を介して第2の共通軸55に取付けられている。第2ローラ56は、上下方向に延びる第2の軸線X2(
図5に示す)を中心に回転することができる。第4ローラ57は、軸受部材を介して第2の共通軸55に取付けられている。第4ローラ57は、第2の軸線X2と同じ方向に延びる軸線X4(
図5に示す)を中心に回転することができる。
【0026】
第2ローラ56と第4ローラ57とは、それぞれ、例えばウレタンエラストマ等のゴム弾性を有する材料からなるローラ本体を有している。第2ローラ56の径は第4ローラ57の径よりも大きい。第2ローラ56と第4ローラ57とは、互いに独立して第2の共通軸55を中心に回転する。
【0027】
図8に示すように、第1のローラアセンブリ31と第2のローラアセンブリ32とは、上方から見て、水平方向に延びる仮想の直線M1に沿って配置されている。
図5に示されたように、第1の共通軸50と第2の共通軸55とは、互いに水平方向に所定の間隔S1を存して上部フレーム41に配置されている。
【0028】
次に無人搬送車11について説明する。
図6は、無人搬送車11の平面図である。無人搬送車11は、走行機構60(
図2に示す)を有する搬送車本体61と、搬送車本体61の上部に配置された連結ユニット62とを含んでいる。走行機構60はカバー部材63によって覆われている。搬送車本体61は、予め設定された走行路に沿って走行するように、自動運転を制御するためのソフトウェアおよび電気的構成を含んでいる。
【0029】
走行機構60は、搬送車本体61を第1の方向(矢印F1で示す)と第2の方向(矢印F2で示す)に移動させるための車輪を備えている。またこの走行機構60は、搬送車本体61を垂直軸Z1まわりに旋回させるための操向機構を備えている。搬送車本体61は、第1の回転方向(矢印R1で示す)と、第2の回転方向(矢印R2で示す)とに旋回することができる。
【0030】
連結ユニット62は搬送車本体61の上部に設けられ、連結機構13の一部をなしている。連結ユニット62は、ほぼ水平な方向に延びる基板70と、基板70上に配置された一対のレール部材71,72を含むガイドレール部73と、水平方向に移動するロック部材74と、ロック部材74を移動させるためのアクチュエータ75(
図3と
図5に示す)と、荷台12を検出する複数のセンサ76を有した検出部77などを有している。基板70はボルト等の複数の固定部材79によって、搬送車本体61の上面に固定されている。
【0031】
一対のレール部材71,72は、それぞれ、例えば金属の板からなり、固定部材80(
図6~
図8に示す)によって基板70に固定されている。レール部材71,72は、互いに平行に水平方向に延びるストレート部71a,72aを有している。ストレート部71a,72aは、それぞれ、レール部材71,72の長さ方向の一部をなしている。
【0032】
ストレート部71a,72aの間に、隙間G1(
図7に示す)が形成されている。隙間G1は、第1ローラ51の径および第2ローラ56の径よりも、僅かに(例えば1mmから数mm程度)大きい。このため第1ローラ51と第2ローラ56とは、それぞれ隙間G1に入ることができる。
【0033】
ガイドレール部73の一端側に第1の広がり部73aが形成されている。ガイドレール部73の他端側に第2の広がり部73bが形成されている。ガイドレール部73を上方から見て、第1の広がり部73aは、ストレート部71a,72aの一端からの距離が大きくなるにつれて、レール部材71,72間の距離(G1)から入口幅W1へと、隙間が広がっている。入口幅W1は、第1ローラ51および第2ローラ56が進入しやすいように、第1ローラ51および第2ローラ56のそれぞれの径の2倍以上としている。
【0034】
第2の広がり部73bは、ストレート部71a,72aの他端からの距離が大きくなるにつれて、レール部材71,72間の距離(G1)から入口幅W2へと、隙間が広がっている。入口幅W2は、第1ローラ51および第2ローラ56が進入しやすいように、第1ローラ51および第2ローラ56のそれぞれの径の2倍以上としている。
【0035】
複数のセンサ76を含む検出部77は、無人搬送車11が荷台12の空間部45に入り込んだときに、第1のローラアセンブリ31および第2のローラアセンブリ32の少なくとも一方を検出する機能を有している。
【0036】
図6~
図8に示されたように、基板70に溝部85が形成されている。溝部85はレール部材71,72のストレート部71a,72aに対して直角な方向に延びている。ロック部材74は、溝部85に沿って、
図6と
図7に示された第1の位置(待機位置)と、
図8に示された第2の位置(ロック位置)とにわたり、水平方向に移動することができる。基板70には、ロック部材74を第1の位置と第2の位置とに移動させるためのアクチュエータ75(
図3と
図5に示す)が設けられている。アクチュエータ75の一例は、サーボモータを駆動源とするボールねじ機構である。
【0037】
ロック部材74は、無人搬送車11を上方から見て、端面90を含む端部91と、一方の側面92および他方の側面93と、一対のテーパ面94,95とを有している。端面90は、ロック部材74が第1の位置から第2の位置に向かって移動する際に前側となる。端面90は、レール部材71,72のストレート部71a,72aと同じ方向に延びている。ロック部材74の一方の側面92と他方の側面93は、それぞれロック部材74が第1の位置から第2の位置に向かって移動する際に後側となる。一方の側面92と他方の側面93は、溝部85と平行な方向に延びている。
【0038】
一方の側面92と他方の側面93との間の距離L1(
図8に示す)は、第3ローラ53と第4ローラ57との間の距離L2よりも十分大きい。端面90の幅L3は、第3ローラ53と第4ローラ57との間の距離L2よりも十分小さい。すなわちL1>L2>L3という関係である。一方のテーパ面94は、端面90と一方の側面92との間に形成されている。他方のテーパ面95は、端面90と他方の側面93との間に形成されている。
【0039】
テーパ面94,95間の距離L4(
図7に示す)は、一方の側面92および他方の側面93から端面90に近付くにつれて小さくなっている。ロック部材74が第2の位置に移動した状態において、一対のテーパ面94,95のうちの一方のテーパ面が第3ローラ53に接し、他方のテーパ面が第4ローラ57に接する。このようなテーパ面94,95がロック部材74に形成されているため、無人搬送車11と荷台12との相対位置が多少ずれていても、ロック部材74が第3ローラ53と第4ローラ57との間に入り込むことができる。
【0040】
以下に、本実施形態の搬送装置10の動作について説明する。
停止している荷台12に対し、無人搬送車11が荷台12に近付く方向に移動することにより、荷台12の内側の空間部45に無人搬送車11が進入する。無人搬送車11が荷台12の内側に進入する際、無人搬送車11は、ガイドレール部73の隙間G1に向かって前進する。無人搬送車11の移動方向に応じて、第1ローラ51または第2ローラ56が、ガイドレール部73の第1の広がり部73aまたは第2の広がり部73bによって案内されつつ、ガイドレール部73の隙間G1に第1ローラ51と第2ローラ56が入る。
【0041】
ガイドレール部73の隙間G1は、第1ローラ51の径D1(
図4に示す)および第2ローラ56の径よりも大きい。このため第1ローラ51と第2ローラ56が隙間G1に入る際に、第1ローラ51と第2ローラ56とは、それぞれレール部材71,72のいずれか一方に接しながら回転する。このため第1ローラ51と第2ローラ56とがガイドレール部73と擦れることによる発塵を回避することができる。
【0042】
図7は、無人搬送車11が荷台12に対して所定の連結位置に移動した状態を示している。このときロック部材74は第1の位置(待機位置)にある。荷台12に対して無人搬送車11が所定の位置に移動すると、ローラアセンブリ31,32がセンサ76によって検出され、無人搬送車11が停止する。このとき第1ローラ51と第2ローラ56とはガイドレール部73の隙間G1に位置している。
【0043】
図8は、ロック部材74が第2の位置(ロック位置)に移動した状態を示している。ロック部材74はアクチュエータ75(
図3と
図5に示す)によって第1の位置から第2の位置へと移動する。ロック部材74が第2の位置へ移動する際に、無人搬送車11と荷台12との相対位置がガイドレール部73の長さ方向にずれていると、第3ローラ53または第4ローラ57が、一方のテーパ面94または他方のテーパ面95に接する。
【0044】
ロック部材74が第2の位置に向かって移動し、第3ローラ53と第4ローラ57がテーパ面94,95に接すると、第3ローラ53と第4ローラ57が回転する。このため、ロック部材74が第2の位置へ移動する際にパーティクルが生じること(発塵)を回避することができる。
【0045】
第1の共通軸50に設けられた第1ローラ51と第3ローラ53とは、互いに独立してそれぞれ回転することができる。このため第1ローラ51がガイドレール部73に進入する際に第1ローラ51が回転する方向と、ロック部材74が第2の位置に向かって移動する際に第3ローラ53が回転する方向とが互いに異なっても、第1ローラ51の回転と第3ローラ53の回転とが干渉し合うことがない。よって、第1ローラ51と第3ローラ53が問題なく回転することができる。
【0046】
また第2の共通軸55に設けられた第2ローラ56と第4ローラ57とは、互いに独立してそれぞれ回転することができる。このため第2ローラ56がガイドレール部73に進入する際に第2ローラ56が回転する方向と、ロック部材74が第2の位置に向かって移動する際に第4ローラ57が回転する方向とが互いに異なっても、第2ローラ56の回転と第4ローラ57の回転とが干渉し合うことがない。よって、第2ローラ56と第4ローラ57が問題なく回転することができる。
【0047】
図8に示されるようにロック部材74が第2の位置に達すると、第3ローラ53と第4ローラ57との間にロック部材74が挟まれた状態となる。このように第3ローラ53と第4ローラ57との間にロック部材74が挟まれ、かつ、第1ローラ51と第2ローラ56とがガイドレール部73の隙間G1に位置した状態で、無人搬送車11が走行する。
【0048】
たとえば無人搬送車11が第1の方向F1あるいは第2の方向F2(
図1に示す)に移動する。走行の際に連結機構13に加わる荷重に対し、第3ローラ53と第4ローラ57との間にロック部材74が挟まれていることにより、無人搬送車11と荷台12とを確実に連結することができる。
【0049】
ガイドレール部73の隙間G1に第1ローラ51と第2ローラ56が挿入されている。このため、無人搬送車11と荷台12とが相対的に幅方向に動くことがガイドレール部73によって抑制される。しかも無人搬送車11と荷台12とが垂直軸Z1まわりに回転する際に連結機構13に加わる荷重に対し、大きな強度を発揮することができる。
【0050】
無人搬送車11と荷台12とが互いに連結された状態において、無人搬送車11が所定の走行路に沿って自動走行することにより、荷台12上の被搬送物が所定位置に搬送される。無人搬送車11と荷台12とは、向きを変えるために垂直軸Z1まわりに回転することもある。無人搬送車11が垂直軸Z1まわりに回転する際に、キャスタ21,22,23,24が旋回する。ことため連結機構13に大きな力が加わる。
【0051】
こうした垂直軸Z1まわりの回転に対して、第1ローラ51と第2ローラ56とがガイドレール部73によって拘束され、かつ、第3ローラ53と第4ローラ57とがロック部材74によって固定される。このため、無人搬送車11と荷台12とが前後方向に移動したり、垂直軸Z1まわりに旋回したりする際の荷重に対して、連結機構13が大きな強度を発揮することができる。
【0052】
本実施形態の連結機構13は、第1ローラ51と第3ローラ53とが第1の共通軸50に取付けられている。また第2ローラ56と第4ローラ57とが第2の共通軸55に取付けられている。すなわち4つのローラ51,53,56,57を有していながらも、2つの共通軸50,55のみ使用すればよい。このため部品数が少なく、共通軸50,55を取付けるスペースを確保しやすいという利点もある。
【0053】
図9は第2の実施形態に係る搬送装置10Aの連結機構13Aの一部を模式的に示した平面図である。
図10は連結機構13Aの一部を模式的に示した側面図である。第2の実施形態の搬送装置10Aについて、第1の実施形態の搬送装置10(
図1~
図8)と共通の部分には、第1の実施形態の搬送装置10と共通の符号を付して説明を省略する。
【0054】
連結機構13Aは、第1のローラアセンブリ31をなす第1ローラ51および第3ローラ53と、第2のローラアセンブリ32をなす第2ローラ56と第4ローラ57とを有している。
第1ローラ51と第3ローラ53とは、互いに独立した軸部材100,100に取付けられている。第1ローラ51は、上下方向に延びる第1の軸線X1を中心に回転する。第3ローラ53は、第1の軸線X1と平行かつ同一方向に延びる第3の軸線X3を中心に、第1ローラ51とは独立して回転する。第1ローラ51の径は、第3ローラ53の径よりも大きい。
【0055】
第2ローラ56と第4ローラ57も、互いに独立した軸部材110,111に取付けられている。第2ローラ56は、上下方向に延びる第2の軸線X2を中心に回転する。第4ローラ57は、第2の軸線X2と平行かつ同一方向に延びる第4の軸線X4を中心に、第2ローラ56とは独立して回転する。第2ローラ56の径は第4ローラ57の径よりも大きい。
【0056】
第1ローラ51と第2ローラ56とがガイドレール部73の隙間G1に入る。ロック部材74が第1の位置から第2の位置に移動することにより、第3ローラ53と第4ローラ57との間にロック部材74が挟まれる。こうして無人搬送車と荷台とを確実に連結することができる。
【0057】
なお本発明を実施するに当たって、無人搬送車や荷台の具体的な構造をはじめとして、連結機構を構成する第1のローラアセンブリおよび第2のローラアセンブリやガイドレール部、ロック部材、アクチュエータ等の具体的な態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
10,10A…搬送装置、11…無人搬送車、12…荷台、13…連結機構、20…フレーム構体、31…第1のローラアセンブリ、32…第2のローラアセンブリ、50…第1の共通軸、51…第1ローラ、53…第3ローラ、55…第2の共通軸、56…第2ローラ、57…第4ローラ、60…走行機構、61…搬送車本体、62…連結ユニット、70…基板、71,72…レール部材、71a,72a…ストレート部、73…ガイドレール部、73a…第1の広がり部、73b…第2の広がり部、74…ロック部材、75…アクチュエータ、90…端面、91…端部、92,93…側面、94,95…テーパ面、100,101,110,111…軸部材、G1…隙間、X1…第1の軸線、X2…第2の軸線、X3…第3の軸線、X4…第4の軸線、Z1…垂直軸。