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  • 特許-バスバと電線との接続構造 図1
  • 特許-バスバと電線との接続構造 図2
  • 特許-バスバと電線との接続構造 図3
  • 特許-バスバと電線との接続構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】バスバと電線との接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
H01R4/58 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021104698
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003556
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 康弘
(72)【発明者】
【氏名】水野 英樹
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-505822(JP,A)
【文献】特開平08-227738(JP,A)
【文献】特開2016-058137(JP,A)
【文献】特開2017-162708(JP,A)
【文献】特開2017-195109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58- 4/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバと電線の導体芯線とが電気的に接続された、バスバと電線との接続構造であって、
前記バスバには、バスバ本体よりも薄い電線接合部が端部に形成され、
絶縁被覆から露出した前記導体芯線は、前記電線接合部に前記バスバ本体の板厚に収まるように接合され
前記バスバ本体と前記電線接合部との境界にある掘り下げ端面と、前記導体芯線の先端部とが接合され
前記電線接合部における前記導体芯線の接合箇所の両側のそれぞれに、前記電線接合部から立設されたガイド部が形成されていることを特徴とするバスバと電線との接続構造。
【請求項2】
前記ガイド部の厚さは、前記導体芯線の線厚よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項記載のバスバと電線との接続構造。
【請求項3】
前記電線接合部の板厚は、前記導体芯線の線厚と前記絶縁被覆の層厚とを加算しても、前記バスバ本体の板厚よりも薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のバスバと電線との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバと電線とを接続したバスバと電線との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバ10と電線2とを電気的に接続するための接続構造として、図4に示すように、バスバ10と電線2の導体芯線21とを重ねて超音波接合やレーザー接合等の接合法によって接続した接続構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、図4において、(a)は側面図であり、(b)は(a)に示すZ-Z断面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-227738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、バスバ10と電線2の導体芯線21とを重ねて接合しているため、図4に示すように、電線2の接続箇所がバスバ10の板厚T10に収まらず、体格が大型化してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、バスバと電線の接続箇所を薄くして体格の小型化を実現できるバスバと電線との接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバスバと電線との接続構造は、バスバと電線の導体芯線とが電気的に接続された、バスバと電線との接続構造であって、前記バスバには、バスバ本体よりも薄い電線接合部が端部に形成され、絶縁被覆から露出した前記導体芯線は、前記電線接合部に前記バスバ本体の板厚に収まるように接合され前記バスバ本体と前記電線接合部との境界にある掘り下げ端面と、前記導体芯線の先端部とが接合され、前記電線接合部における前記導体芯線の接合箇所の両側のそれぞれに、前記電線接合部から立設されたガイド部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上のように構成されているので、電線接合部と導体芯線の接続箇所の厚さがバスバ本体の板厚に収まるため、バスバと電線の接続箇所を薄くして体格の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るバスバと電線との接続構造の実施の形態を示す図である。
図2図1に示す電線接合部の変形例を示す図である。
図3図1に示すバスバと電線との接続構造の変形例を示す図である。
図4】従来のバスバと電線との接続構造の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
本実施の形態のバスバと電線との接続構造は、図1を参照すると、バスバ1と、電線2とを備え、バスバ1と電線2の導体芯線21とが電気的に接続されている。なお、図1において、(a)は側面図であり、(b)は(a)に示すA-A断面図であり、(c)は(a)に示すB-B断面図である。
【0011】
バスバ1は、全体がアルミ材、銅材等の導電性金属によって形成された板状の部材である。バスバ1は、バスバ本体11と、バスバ本体11の端部に形成された電線接合部12とを備えている。電線接合部12は、電線2を接続する一方面側から切削によって掘り下げられた領域である。電線接合部12の板厚T12は、バスバ本体11の板厚T11よりも薄く形成されている。なお、電線接合部12は、切削以外の他の方法(例えば、プレス)によって形成しても良い。
【0012】
電線2は、線幅よりも線厚が短い平型ケーブルである。絶縁被覆22から露出した導体芯線21は、超音波接合やレーザー接合によってバスバ1の電線接合部12に、バスバ本体11の板厚T11に収まるように接合されている。これにより、電線2が接合されたバスバ1の小型化を実現できる。なお、導体芯線21と電線接合部12との接合方法には、特に制限はないが、接合部の厚さが導体芯線21の線厚T21以上にならない超音波接合やレーザー接合が望ましい。
【0013】
電線接合部12の板厚T12は、導体芯線21の線厚T21と絶縁被覆22の層厚T22とを加算しても、バスバ本体11の板厚T11よりも薄くなるように構成されている。これにより、電線2もバスバ本体11の板厚T11に収まるため、体格のさらなる小型化を実現できる。
【0014】
図2に示す変形例では、電線接合部12における導体芯線21の接合箇所の両側のそれぞれに、電線接合部12から立設された厚さT13のガイド部13が形成され、電線接合部12が樋状に構成されている。なお、図2において、(a)は側面図であり、(b)は(a)に示すC-C断面図である。一対のガイド部13によって案内されるため、導体芯線21を接合箇所へり位置決めを容易に行うことができる。
【0015】
超音波接合では、ホーンとアンビルとを用いて電線2とバスバ1とを圧接することで、両者を接合する。この際、電線2の導体芯線21は、一対のガイド部13によって動きが規制されるため、正確な位置に接合することができる。
【0016】
また、ガイド部13の厚さT13は、導体芯線21の線厚T21よりも薄く形成されている。従って、超音波接合に際し、ガイド部13がホーンに接触することがないため、ホーンの位置合わせを簡単に行うことができる。なお、ホーンの導体芯線21との接触面を一対のガイド部13の間に収まる大きさにした場合には、ガイド部13の厚さT13に制限がなくなるが、ホーンの位置合わせが難しくなる。
【0017】
図3に示す変形例では、バスバ本体11と電線接合部12との境界にある掘り下げ端面14と導体芯線21の先端部との間に流し込まれた半田3によって、掘り下げ端面14と、導体芯線21とが電気的に接合されている。なお、図3において、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。これにより、バスバ本体11と導体芯線21との電気的な接続面積を大きくすることができ、導電効率が向上する。なお、掘り下げ端面14と導体芯線21との接合は、レーザーによる溶融整合であっても良い。
【0018】
以上説明したように、本実施の形態は、バスバ1と電線2の導体芯線21とが電気的に接続された、バスバ1と電線2との接続構造であって、バスバ1には、バスバ本体11よりも薄い電線接合部12が端部に形成され、絶縁被覆22から露出した導体芯線21は、電線接合部12にバスバ本体11の板厚T11に収まるように接合されている。
この構成により、電線接合部12と導体芯線21の接続箇所の厚さがバスバ本体11の板厚T11に収まるため、バスバ1と電線2の接続箇所を薄くして体格の小型化を実現できる。
【0019】
さらに、本実施の形態において、電線接合部12の板厚T12は、導体芯線21の線厚T21と絶縁被覆22の層厚T22とを加算しても、バスバ本体11の板厚T11よりも薄くなるように形成されている。
この構成により、電線接合部12に導体芯線21が接合された電線2がバスバ本体11の板厚T11に収まるため、体格のさらなる小型化を実現できる。
【0020】
さらに、本実施の形態において、電線接合部12における導体芯線21の接合箇所の両側のそれぞれに、電線接合部12から立設されたガイド部13が形成されている。
この構成により、一対のガイド部13によって案内されるため、導体芯線21を接合箇所へり位置決めを容易に行うことができる。また、超音波接合時に、一対のガイド部13によって動きが規制されるため、正確な位置に接合することができる。
【0021】
さらに、本実施の形態において、ガイド部13の厚さT13は、導体芯線21の線厚T21よりも薄く形成されている。
この構成により、超音波接合に際し、ガイド部13がホーンに接触することがないため、ホーンの位置合わせを簡単に行うことができる。
【0022】
さらに、本実施の形態において、バスバ本体11と電線接合部12との境界にある掘り下げ端面14と、導体芯線21の先端部とが接合されている。
この構成により、バスバ本体11と導体芯線21との電気的な接続面積を大きくすることができ、導電効率が向上する。
【0023】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0024】
1、10 バスバ
2 電線
3 半田
11 バスバ本体
12 電線接合部
13 ガイド部
14 堀り下げ端面
21 導体芯線
22 絶縁被覆
図1
図2
図3
図4