(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20240227BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240227BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20240227BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20240227BHJP
B60K 5/00 20060101ALI20240227BHJP
B60K 5/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
E02F9/16 C
E02F9/16 D
E02F9/00 M
F01P11/10 K
B60H1/32 613F
B60K5/00 C
B60K5/04 C
(21)【出願番号】P 2021109152
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 良平
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-243720(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211245(JP,U)
【文献】特開平07-207702(JP,A)
【文献】特開2015-042885(JP,A)
【文献】特開2020-007723(JP,A)
【文献】国際公開第2005/056320(WO,A1)
【文献】実開平06-049552(JP,U)
【文献】実開平05-054015(JP,U)
【文献】特開2013-244910(JP,A)
【文献】特開2020-122291(JP,A)
【文献】特開2000-087392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/16
B60K 1/00-6/12
B60H 1/00-3/06
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体と、を備え、
前記上部旋回体は、
機体と、
前記機体上に搭載され且つ、運転者が着座する運転席が室内に設けられたキャビンと、
前記機体上における前記キャビンの下方且つ後方に配置されたエンジンルームと、
前記エンジンルームの上部及び前部を形成し、前記キャビンの内部と前記エンジンルームとを区画するボンネットセンタと、
前記キャビン内の温度を調整する空調装置用のコンデンサと、を有し、
前記コンデンサは、前記ボンネットセンタの上方、且つ前記キャビンのリアパネルの背面側下部に対向する位置に配置され、
前記リアパネルに透過性を有する材質からなるリアウィンドウが設けられており、
前記コンデンサの上端部は、前記リアウィンドウの上端と下端との間の中点よりも低く、且つ前記運転席の背もたれ部の上端部よりも低い位置に配置され、
前記コンデンサの上面は、後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置され、
前記コンデンサの下端は、平面視で前記機体の後方側及び側方側の外縁部よりも前記機体内方側に配置されていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記エンジンルームの後部を形成する後部ボンネットと、
前記後部ボンネットの下方に配置された設けられたウェイトとを備え、
前記コンデンサの下端は、平面視で前記ウェイトの後端部よりも前記機体内方側に配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記機体の後方側の外縁部は、機体外方側に凸の円弧状に形成されており、
前記コンデンサは、前記機体の旋回半径内に配置されている請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記コンデンサを有する空調装置を備え、
前記空調装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサと、圧縮された前記冷媒を冷却する前記コンデンサと、前記コンデンサに空気を送風するコンデンサファンと、冷却された前記冷
媒を貯留するレシーバと、前記キャビン内に空気を送風する送風ファンと、前記送風ファンから送風された空気と前記冷媒とを熱交換させるエバポレータと、を有し、
前記エバポレータ及び前記送風ファンは前記キャビン内の下部に配置され、前記コンプレッサは前記エンジンルーム内に配置され、前記コンデンサ、前記コンデンサファン、及び前記レシーバは前記ボンネットセンタ上に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記エンジンルーム内で前記ボンネットセンタを支持する支持フレームと、
前記コンデンサを支持するブラケットと、
前記支持フレームに固定されており、前記ボンネットセンタを貫通して前記ブラケットを前記ボンネットセンタの上方で支持するブラケット支持部材とを備えている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項6】
前記ボンネットセンタには、前記空調装置用の冷媒が流通するエアコンホースが配策される孔部が設けられている請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記ボンネットセンタ上、且つ前記コンデンサに対向する位置に、前記コンデンサを冷却するコンデンサファンを備えている請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記ボンネットセンタ上、且つ前記コンデンサに対向する位置に、前記コンデンサを冷却するコンデンサファンを備え、
前記ブラケットは、前記コンデンサと前記コンデンサファンとを支持している請求項5に記載の作業機。
【請求項9】
前記コンデンサファンは電動ファンであり、
前記ボンネット
センタには、前記空調装置用の冷媒が流通するエアコンホースと前記電動ファンに接続されるハーネスとが配策される孔部が設けられている請求項7または8に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の油圧ショベル(バックホー)等の作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビン内を冷却する空調装置(エアコンディショナ)を搭載した作業機がある。
例えば、特許文献1には、エンジンルーム内に冷却風を取り入れるファンの上流側にラジエータ及びオイルクーラを配置し、さらにその上流側に空調装置用のコンデンサを配置した構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、キャビンの後壁の下部に後壁からキャビン側に凹状のエアコン用コンデンサ等収容部を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-019572号公報
【文献】特開2013-244910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、コンデンサがエンジンルームにおける冷却風の流れ方向の最上流側に配置されているため、コンデンサによる冷却風の温度上昇により、オイルクーラ及びラジエータの冷却性能の低下やエンジンルーム内の温度上昇などの本機(作業機)側への熱影響を招いてしまうという問題がある。
また、特許文献2の技術では、エアコン用コンデンサ等収容部がキャビンの後壁部よりもキャビン側に凹状となるように形成されているので、キャビン内の空間が狭くなって居住性が低下してしまう。また、コンデンサ等の熱がエアコン用コンデンサ等収容部の壁部を介してキャビン内に伝搬しやすいという問題もある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、キャビンの居住性を低下させることなく空調装置のコンデンサによる作業機への熱影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
作業機は、下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体と、を備え、前記上部旋回体は、機体と、前記機体上に搭載され且つ、運転者が着座する運転席が室内に設けられたキャビンと、前記機体上における前記キャビンの下方且つ後方に配置されたエンジンルームと、前記エンジンルームの上部及び前部を形成し、前記キャビンの内部と前記エンジンルームとを区画するボンネットセンタと、前記キャビン内の温度を調整する空調装置用のコンデンサと、を有し、前記コンデンサは、前記ボンネットセンタの上方、且つ前記キャビンのリアパネルの背面側下部に対向する位置に配置され、前記リアパネルに透過性を有する材質からなるリアウィンドウが設けられており、前記コンデンサの上端部は、前記リアウィンドウの上端と下端との間の中点よりも低く、且つ前記運転席の背もたれ部の上端部よりも低い位置に配置され、前記コンデンサの上面は、後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置され、前記コンデンサの下端は、平面視で前記機体の後方側及び側方側の外縁部よりも前記機体内方側に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の作業機によれば、空調装置のコンデンサを、エンジンルーム及びキャビンの外部に設置することで、キャビンの居住性を低下させることなく空調装置のコンデンサによる本機側への熱影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の作業機の一例であるバックホーの全体の概要を模式的に示した後方斜視図である。
【
図2】本発明が適用されるバックホーの概要を模式的に示した左側面図である。
【
図3】本発明が適用されるバックホーの概要を模式的に示した右側面図である。
【
図4】本発明が適用されるバックホーの概要を模式的に示した平面図である。
【
図5】本発明が適用されるバックホーの概要を模式的に示した背面図である。
【
図6】機体、支持フレーム、コンデンサなどの概要を模式的に示した前方斜視図である。
【
図7】ボンネットセンタ、外装カバーなどの概要を模式的に示した前方斜視図である。
【
図8】機体、支持フレーム、コンデンサなどの概要を模式的に示した側面図である。
【
図9】機体、支持フレーム、コンデンサなどの概要を模式的に示した背面図である。
【
図10A】コンデンサを覆う収納部材の概要を模式的に示した側面図である。
【
図10B】コンデンサ、レシーバ、電動ファンなどの概要を模式的に示した側面図である。
【
図11A】コンデンサ、電動ファンの概要を模式的に示した斜視図である。
【
図11B】コンデンサ、電動ファンの概要を模式的に示した斜視図である。
【
図12】キャビン後方のボンネット上に傾斜して搭載されるコンデンサの概要を模式的に示した後方斜視図である。
【
図13】ACホースや制御配線の取り回し状態を模式的に示した後方斜視図である。
【
図14】コンデンサのブラケットをボンネット上に取り付けた状態を模式的に示した後方斜視図である。
【
図15】コンデンサをブラケットに取り付けた状態を模式的に示した後方斜視図である。
【
図16】ボス部材が設けられた支持フレーム及び、その支持フレームを覆うボンネットを模式的に示した後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の作業機1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。ただし、本実施形態においては、バックホー1を例に挙げて説明を行う。
図1~
図16などに、作業機1の一例としてのバックホー1を示す。
【0011】
本実施形態を説明するにあたって、キャビン5内の運転席27に着座した運転者Oから見た前方向をバックホー1の前方向とし、運転者Oの後方向をバックホー1の後方向とする。また、運転者Oの右方向をバックホー1の右方向とし、運転者Oの左方向をバックホー1の左方向とする。また、バックホー1の前後方向に直交する水平方向を機体幅方向とする。
【0012】
また、作業機1の平面視で、X1を作業機1の旋回軸心とする。旋回軸心X1は、旋回ベアリング7の中心を通る上下方向に延伸する軸心である。また、作業機1の平面視で、Y1を作業機1の中央線とする。中央線Y1は、旋回軸心X1を通り且つ前後方向に延伸する線とする。
図1~
図4などに示すように、バックホー1は、上部旋回体2と、下部走行体3とを有する。上部旋回体2は、機体4と、キャビン5と、作業装置6とを有する。上部旋回体2(機体4)は、下部走行体3に対して、旋回ベアリング7の縦軸回りに旋回可能に搭載されている。また、機体4の後部には、ウエイト8が設けられている。下部走行体3は、走行フレーム9と、クローラ式の走行装置10と、ドーザ装置11とを有する。なお、走行装置10は、タイヤ型であってもよい。
【0013】
キャビン5の前方には、作業装置6が配置されている。作業装置6は、機体4に取り付けられている。この作業装置6は、ブームシリンダ17によって駆動されるブーム12と、アームシリンダ18によって駆動されるアーム13と、バケットシリンダ19によって駆動されるバケット(作業具)14と、を有する。
機体4におけるキャビン5の後ろ下方に設けられたエンジンルーム21には、原動機20が搭載されている。原動機20は、エンジンルーム21内に横置きで搭載されている。なお、横置きとは、原動機20のクランク軸の軸心が機体幅方向に延伸する状態に配置されることである。なお、原動機20の搭載位置は、一例である。
【0014】
本実施形態では、原動機20は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機20は、ガソリンエンジン、LPGエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
図4に示すように、エンジンルーム21内には、バックホー1の中央部から機体幅方向外側に向かって、原動機20、ラジエータG1、及びオイルクーラO1がこの順で配置されている。ラジエータG1は、原動機20の冷却水を冷却する冷却機器である。ラジエータG1には、当該ラジエータG1の内部を通過する冷却水を冷却する冷却ファンが設けられている。オイルクーラO1は、作動油を冷却する冷却機器である。
【0015】
図1、
図2、
図3、及び
図5に示すように、機体4には、運転者(オペレータ)Oが搭乗可能なキャビン5が設けられている。キャビン5には、前面にフロントパネル22が設けられ、後面にリアパネル23が設けられ、上面にルーフパネル24が設けられ、右側面にサイドパネル25が設けられ、左側面にドアパネル26が設けられている。
フロントパネル22には、フロントウィンドウ22aが設けられている。リアパネル23には、透過性を有する材質からなるリアウィンドウ23aが設けられている。サイドパネル25には、右サイドウィンドウ25aが設けられている。ドアパネル26には、左サイドウィンドウ26aが設けられている。このため、キャビン5内の運転者Oは、フロントウィンドウ22a、リアウィンドウ23a、右サイドウィンドウ25a、及び左サイドウィンドウ26aを通して、室内空間から外部を視認することができる。
【0016】
図4に示すように、キャビン5の室内には、運転者(オペレータ)Oが着座する運転席(座席)27と、操作装置28とが設けられている。キャビン5は、旋回軸心X1を通り且つ前後方向に延伸する中央線Y1より機体4の機体幅方向の左側方寄りに配置されている。キャビン5の後部には、後方へ張り出したボンネット29が設けられている。
図6~
図16などに示すように、ボンネット29は、エンジンルーム21内に設けられた支持フレーム30によって支持されており、支持フレーム30を覆う形状に形成されている。支持フレーム30は、旋回基板4aにおける仕切り板4eよりも後方の位置に立設された複数の脚部材(第1脚31a、第2脚31b及び第3脚31c)と、これら複数の脚部材31a~31cの上部に固定された梁部材32と、を有する。
【0017】
図7に示すように、ボンネット29は、ボンネットセンタ29aと、後部ボンネット29bと、左側部ボンネット29cと、右側部ボンネット29dと、を含んでいる。ボンネットセンタ29aは、エンジンルーム21の上方及び前方を形成するカバー部材であり、キャビン5の内部(室内)側とエンジンルーム21側とを遮断している。後部ボンネット29bは、エンジンルームの後方を形成するカバー部材であり、支持フレーム30に取り付けられている。左側部ボンネット29cは、エンジンルーム21の左方を形成するカバー部材である。右側部ボンネット29dは、エンジンルーム21の右方を形成するカバー部材である。ボンネット29の各部については、例えば樹脂などで一体成型させたものであってもよく、板金であってもよく、樹脂と板金との組み合わせであってもよい。
【0018】
図6などに示すように、機体4は、旋回基板(基板)4aと、複数の縦リブ(第1縦リブ4b及び第2縦リブ4c)と、支持ブラケット4dと、仕切り板4eと、支持フレーム30と、を有する。旋回基板4aは、厚板鋼板等から形成され、板面が上下方向を向くように配置されている。旋回基板4aは、旋回ベアリング7を介して下部走行体3上に旋回軸心X1廻りに回転可能に支持される。
【0019】
図2、
図3などに示すように、支持ブラケット4dには、スイングブラケット4fが、縦軸(上下の方向に延伸する軸心)廻りに揺動可能に取り付けられている。スイングブラケット4fには、作業装置6(ブーム12)の基端側が横軸回りに回動可能に取り付けられている。
図6などに示すように、仕切り板4eは、エンジンルーム21の前面下部を仕切る部材である。仕切り板4eは、板面が前後方向に向いており、旋回基板4aの後部において機体幅方向の一方側(左側)から他方側(右側)に亘って配置されている。
【0020】
図6などに示すように、支持フレーム30の第1脚31aは、第1支柱部31a1と、第1延出部31a2と、第1水平部31a3と、第1垂直部31a4と、を有する。第1支柱部31a1は、エンジンルーム21の前部左側に立設されており、上方向に延びている。具体的には、第1支柱部31a1の下端は、仕切り板4eの後面左側に取り付けられている。第1延出部31a2は、第1支柱部31a1の上端から後上方に屈曲し延出され
ている。第1水平部31a3は、第1延出部31a2の上端から後方へ屈曲し、水平に延びている。第1垂直部31a4は、第1水平部31a3の先端から下方へ屈曲し、垂直に延びている。
【0021】
図6などに示すように、第2脚31bは、第2支柱部31b1と、第2延出部31b2と、第2水平部31b3と、を有する。第2支柱部31b1は、エンジンルーム21の前部右側に立設されており、上方向に延びている。具体的には、第2支柱部31b1の下端は、仕切り板4eの右側に取り付けられている。つまり、第2支柱部31b1の下端は、第1支柱部31a1よりも前方に位置している。第2延出部31b2は、第2支柱部31b1の上端から後上方に屈曲し延出されている。第2水平部31b3は、第2延出部31b2の上端から後方へ屈曲し、水平に延びている。また、第2水平部31b3は、梁部材32を突切るように水平に延びている。この第2水平部31b3には、ボス部材33が設けられている。
【0022】
図6などに示すように、第3脚31cは、第3支柱部31c1と、第3水平部31c2と、を有する。第3支柱部31c1は、エンジンルーム21の後部中央に立設されており、上方向に延びている。第3水平部31c2は、第3支柱部31c1の上端から前方に屈曲し、水平に延びている。この第3水平部31c2には、ボス部材33が設けられている。
【0023】
図6などに示すように、梁部材32は、板面が上下方向を向き、且つ長手方向が機体幅方向に向くように配置されている。梁部材32は、第1梁部材32aと、第2梁部材32bと、を有する。第1梁部材32aは、第1水平部31a3の上端、第2水平部31b3上端、及び第3水平部31c2の上端に亘って載置され、且つこれら各水平部31a3、31b3、31c2に固定されている。具体的には、
図6などに示すように、第1梁部材32aは、第1水平部31a3の上端から右方に延び、第3水平部31c2を経て、第2水平部31b3の上端に達している。また、
図16などに示すように、第2梁部材32bは、第1延出部31a2の先端(後端)から右方に延び、第1垂直部31a4に達している。
【0024】
本実施形態のバックホー1は、キャビン5室内の温度を調整することができる空調装置(エアコンディショナ)を備えている。
空調装置は、エバポレータ、送風ファン、コンプレッサ、コンデンサD1、電動ファン(コンデンサファン)F1、レシーバR1などを有する。これらの各機器は、配管により接続され、冷媒が流通する。
【0025】
エバポレータは、冷媒と送風ファンからキャビン内に送風された空気とを熱交換させることにより、キャビン内に送風される空気を冷却する。
コンプレッサは、気化した冷媒を圧縮する機器である。また、コンデンサD1は、圧縮された冷媒を冷却する冷却機器(凝縮器)である。レシーバR1は、凝縮された冷媒を一時貯留する。
【0026】
エバポレータ及び送風ファンは、キャビン5内の下側に設けられている。
本実施形態では、空調装置(ACシステム)の電動ファンF1、コンデンサD1、及びレシーバR1をキャビン5の後方で且つ、ボンネットセンタ29aの上方に配置している。また、
図2、
図3などに示すように、コンデンサD1の上端部は、リアウィンドウ23aの上端と下端との間の中点よりも低く、且つ運転席27の背もたれ部の上端部よりも低い位置に配置されている。また、
図4などに示すように、コンデンサD1は、平面視で機体4の外縁部よりも機体内方側に配置されている。
【0027】
図13~
図16などに示すように、支持フレーム30の上部には、ブラケット34の被取付部となるボス部材(ブラケット支持部材)33が設けられている。ボス部材33は、支持フレーム30に固定されており、ボンネット29を貫通してブラケット34をボンネット29の上方で支持する。ボス部材33は、円筒形状の部材であって、支持フレーム30の上部に溶接にて固定されている。ボス部材33の筒内には、雌ネジが形成されている。ボス部材33は、ボルトB1が螺合され、後述するブラケット34が締結される。
【0028】
本実施形態では、第2脚31bの第2水平部31b3に、ボス部材33が設けられてい
る。ボス部材33は、前後方向に一直線上になるように、2つ並んで設けられている。また、第3脚31cの第3水平部31c2に、ボス部材33が設けられている。ボス部材33は、前後方向に一直線上になるように、2つ並んで設けられている。
図13に示すように、ボンネットセンタ29aの後部には、円形状の孔部38が4つ設けられている。具体的には、この孔部38は、ボス部材33が貫通するものであり、ボス部材33と対応する位置にボス部材33の外径よりもわずかに大きい径で形成されている。
【0029】
次に、ブラケット34について説明する。
図14などに示すように、ブラケット34は、ボンネットセンタ29a上に配置された支持部材35と、コンデンサD1が取り付けられる基台36と、を有している。
支持部材35は、一対のシールクッション35aと、支持板35bと、支柱35cと、第1横部35dと、第2横部35eと、第1保持部35fと、第2保持部35gと、第1縦部35hと、第2縦部35iと、を有している。
【0030】
図11B、
図14などに示すように、一対のシールクッション35aは、ボス部材33の上部に配置される部分であり、機体幅方向に離間して配置されている。一対のシールクッション35aは、前後方向に延びる平面視で長方形状の板部材である。シールクッション35aは、エンジンルーム21内の空気が孔部38を介して外部に排出されることを抑制するためのシール部材である。一対のシールクッション35aには、ボス部材33と対応する位置に孔部35a1が形成されている。
【0031】
図11A、
図11B、
図14などに示すように、支持板35bは、ボンネットセンタ29aの上に配置された長尺の板部材である。支持板35bは、機体幅方向に延びる平面視で長方形状の板部材である。支持板35bは、一対のシールクッション35aのうち、機体幅方向の他方側(右端側)のシールクッション35aの上面から左方に延設され、機体幅方向の一方側(左端側)のシールクッション35aを超えて延びている。
【0032】
支持板35bには、ボス部材33と対応する位置(一対のシールクッション35aの孔部と対応する位置)に、ボルトB1が貫通する孔部が形成されている。すなわち、支持板35bを支持フレーム30に設けられたボス部材33にボルトB1を用いて締結することで、支持部材35は支持フレーム30に取り付けられている。つまり、ボス部材33は、梁部材32の上部からボンネットセンタ29aの孔部38を介して、支持部材35の支持板35bを支持している。
【0033】
また、
図11A、
図11B、
図14などに示すように、支持板35bには、孔部35b1が形成されている。孔部35b1は、平面視で円形状の孔であり、ボス部材33と対応する位置(一対のシールクッション35aの孔部35a1と対応する位置)に設けられている。
また、支持板35bのうち、一対のシールクッション35aに挟まれた領域(第1領域)には、上下方向に貫通された孔部35b2が形成されている。また、機体幅方向の一方端側(左端側)よりも一方(左方)の領域(第2領域)には、切り欠き部35b3が形成されている。孔部35b2は、平面視で長方形状の孔であり、長手方向が機体幅方向を向いて形成されている。切り欠き部35b3は、支持板35bの前端から後方に向かって切りかかれて形成されている。
【0034】
支柱35cは、支持板35bから立設されており、上方向に延びている。本実施形態において、支柱35cは、機体幅方向に離間して一対立設されている。左側の支柱35c1と、右側の支柱35c2は、支持板35bの孔部35b1と対応する位置、即ちボス部材33と対応する位置に設けられている。より詳しくは、左側の支柱35c1、及び右側の支柱35c2は支持板35bに溶接されており、ボルトB1によって支持板35bと共締めによりボス部材33に取り付けられる。左側の支柱35c1は、支持板35bの機体幅方向の一方端(左端)の前側の孔部35b1に取り付けられ、右側の支柱35c2は、支持板35bの機体幅方向の他方端(右端)の前側の孔部35b1に取り付けられている。
【0035】
また、
図11A、
図11B、
図14などに示すように、支柱35cは、それぞれ支持板35bの上面に沿って前方に延びてから、前上方に向かって屈曲し、上端において後方に
屈曲している。
図11A、
図11B、
図14などに示すように、第1横部35dは、板面が上下方向を向き、機体幅方向に延びて配置されている。第1横部35dは、左側の支柱35c1の上端から右側の支柱35c2の上端に亘って載置され、且つこれら各支柱35c1、35c2に固定されている。
【0036】
第2横部35eは、板面が上下方向を向き、機体幅方向に延びて配置されている。第2横部35eは、支持板35bの上面の後端に設けられている。第2横部35eの機体幅方向の一方側(左側)と他方側(右側)には、それぞれ第1保持部35f及び第2保持部35gが設けられている。
第1保持部35fは、第2横部35eの左側から上方に延設され、中途部で後上方に向かって湾曲している。
【0037】
第2保持部35gは、第2横部35eの右側から上方に延設され、中途部で後上方に向かって湾曲している。
第1縦部35hは、後方に向かうほど下方に移行するように傾斜し且つ基台36の機体幅方向の一端部(左端部)が取り付けられる部材である。第1縦部35hは、第1横部35dの機体幅方向の一端部(左端部)から後方に延設され、下方に屈曲し、中途部で屈曲して後下方に延出されて、第1保持部35fの上端を超えて後方に延びている。第1保持部35fの上端と第1縦部35hの下部は、溶接などの接合手段によって接合されている。つまり、第1縦部35hの上端部は、第1横部35dの左端部と連結され、第1縦部35hの下部は、第1保持部35fの上端と連結され、第1縦部35hは、第1横部35d及び第1保持部35fによって保持されている。また、第1縦部35hの中途部は、側方視において、前上方から後下方に向かって傾斜している。
【0038】
第2縦部35iは、後方に向かうほど下方に移行するように傾斜し且つ基台36の機体幅方向の他端部(右端部)が取り付けられる部材である。第2縦部35iは、第1横部35dの機体幅方向の他端部(右端部)近傍から後方に延設され、下方に屈曲し、中途部で屈曲して後下方に延出されて、第2保持部35gの上端を超えて後方に延びている。第2保持部35gの上端と第2縦部35iの下部は、溶接などの接合手段によって接合されている。つまり、第2縦部35iの上端部は、第1横部35dの右端部近傍と連結され、第2縦部35iの下部は、第2保持部35gの上端と連結され、第2縦部35iは、第1横部35d及び第2保持部35gによって保持されている。また、第2縦部35iの中途部は、側方視において、前上方から後下方に向かって傾斜している。
【0039】
基台36は、コンデンサD1と電動ファンF1が取り付けられる平板状の部材である。基台36は、第1縦部35h及び第2縦部35iの傾斜部に、板面が後方に向かうほど下方に移行するように傾斜するように取り付けられている。
具体的には、基台36の左縁部には、この基台36を第1縦部35hに取り付ける左取付部36a1が設けられている。左取付部36a1は上下に2つ配備されている。左取付部36a1には、ボルトB1が貫通する貫通孔が設けられている。左取付部36a1がボルトB1を介して第1縦部35hに取り付けられることで、基台36が第1縦部35hに固定される。
【0040】
また、左取付部36a1には、コンデンサD1左縁の左取付部D1a1を取り付けする孔36a3が2つ形成されている。本実施形態においては、コンデンサD1の左取付部D1a1に形成した孔36a3を用いて左取付部D1a1に板金部材(図示せず)をボルト締結し、この板金部材にゴム等の弾性部材を取り付け、この板金部材と左取付部36a1とを間に前記弾性部材を挟んだ状態でボルトで締結することでコンデンサD1の左取付部D1a1が基台36の左取付部36a1に固定される。
【0041】
基台36の右縁部には、この基台36を第2縦部35iに取り付ける右取付部36a2が設けられている。右取付部36a2は上下に2つ配備されている。右取付部36a2には、ボルトB1が貫通する貫通孔が設けられている。右取付部36c2がボルトB1を介して第2縦部35iに取り付けられることで、基台36が第2縦部35iに固定される。
また、右取付部36c2には、コンデンサD1右縁の右取付部D1a2を取り付けする
孔36c4が2つ形成されている。本実施形態においては、コンデンサD1の右取付部D1a2に形成した孔36a4を用いて左取付部D1a1に板金部材(図示せず)をボルト締結し、この板金部材にゴム等の弾性部材を取り付け、この板金部材と右取付部36a2とを間に前記弾性部材を挟んだ状態でボルトで締結することでコンデンサD1の右取付部D1a2が基台36の右取付部36a2に固定される。
【0042】
また、
図11Bに示すように、基台36の裏側(前下側)には、電動ファンF1が取り付けられる。電動ファンF1は、基台36の中央に形成された貫通孔36a5に合わせられるように取り付けられる。すなわち、ボンネット29上、且つコンデンサD1に対向する位置に、コンデンサD1を冷却する電動ファンF1を備え、ブラケット34は、コンデンサD1と電動ファンF1とを支持している。
【0043】
このように、コンデンサD1は基台36の表側(後上側)に取り付けられ、電動ファンF1は基台36の裏側(前下側)に取り付けられることにより、コンデンサD1及び電動ファンF1は後方に向かうほど下方に移行するように傾斜した状態で搭載されている。すなわち、コンデンサD1は、ボンネット29の上方、且つキャビン5のリアパネル23の背面側下部に対向する位置に配置されている。また、コンデンサD1は、上面が後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置されている。なお、本実施形態では、基台36の表側(後上側)にコンデンサD1を取り付け、基台36の裏側(前下側)に電動ファンF1を取り付けているが、これに限らず、例えば、基台36の表側(後上側)に電動ファンF1を取り付け、基台36の裏側(前下側)にコンデンサD1を取り付けてもよい。また、電動ファンF1に代えて、エンジンの駆動力により駆動されるファン、或いは油圧で駆動されるファンなどを備えてもよい。
【0044】
図10A~
図11Bなどに示すように、収納部材内44におけるコンデンサD1の機体幅方向の他方側(右方側)には、当該コンデンサD1を通過した冷媒を貯留するレシーバR1が配置されている。レシーバR1は、円筒形状であり、本実施形態においては、レシーバR1は、コンデンサD1の右方に配置され、上下方向に延伸するように配置されている。レシーバR1は、第2縦部35iの中途部にステー50を介して、縦にして取り付けられている。コンデンサD1とレシーバR1は、ACホース40により接続されている。レシーバR1は、ACホース40を湾曲させて配策する空間を設けるためにキャビン5から後方に離間した位置に配置されている。
【0045】
図13に示すように、ボンネット29には、空調装置用の冷媒が流通するエアコンホース40と電動ファンF1に接続されるハーネス41とが配策される孔部39が設けられている。具体的には、ボンネットセンタ29aには、エンジンルーム21の内部と外部とを連通する四角形状の孔部39が設けられている。本実施形態において、孔部39は、ボンネットセンタ29aのうち、ボンネットセンタ29aの上方に配置された支持板35bの切り欠き部35b3に対応する位置に配置されている。つまり、この孔部39は、ボンネットセンタ29aの中央に形成された孔部38より左寄りに設けられている。また、孔部39は、ボンネットセンタ29aの後端よりもキャビン5(リアパネル23)寄りに設けられている。
【0046】
また、孔部39は、ボンネット29内のコンプレッサに接続され、冷媒が流通するACホース40及び、空調装置(エアコン)制御用の配線(ハーネス)41を通すためのものである。
図13などに示すように、ACホース40及び配線41は、孔部39から上方向に延びるように配策されている。また、ACホース40及び配線41は、第1横部35dに沿うように、右方向に延びるように配策されている。ACホース40は、コンデンサD1、レシーバR1、サイトグラスR2に接続される。
図15に示すように、ACホース40は、ガイド部材43によりブラケット34の第1横部35dに沿って配策される。ガイド部材43は、断面J字形状のフック状の部材であり、コンデンサD1の上部に取り付けられる。
【0047】
図13~
図15などに示すように、ACホース40aは、孔部39から上方向に出てから右方向に曲がり、コンデンサD1の右上縁に到達すると、コンデンサD1に接続される
。コンデンサD1の右下縁にはACホース40bが接続されていて、そのACホース40bは上方向に湾曲して配策され、レシーバR1の上端に接続される。レシーバR1からもう一つのACホース40cが接続されていて、そのACホース40cは前方に直線状に配置されている。また、ACホース40cにはサイトグラスR2が設けられており、サイトグラスR2を経たACホース40cは、左方向に曲がり、第1横部35dに沿って配策され、下方に曲げられて孔部39に装入される。なお、サイトグラスR2は、レシーバR1の上端と略同じ高さに配置されており、右側の第2開口部45b(第2吸気口46b)から見えるように配置される。すなわち、収納部材44の外部から吸気口46を介して視認可能な位置に、エアコンガスの状態を把握するためのサイトグラスR2を備えている。
【0048】
なお、四角形状の孔部39には、ゴム等の弾性部材からなるシール部材42が差し込まれている。シール部材42は板状部材を支持部材35に取り付けることにより上から押さえつけられた状態で装着されており、孔部39から雨水やほこり等がエンジンルーム21内に侵入することを抑制する。
以下、説明の都合上、
図15に示すように、組み立てられたコンデンサD1の構成(コンデンサD1、ブラケット34、レシーバR1など)を、コンデンサD1アッセンブリとして説明する。
図15に示すように、バックホー1は、コンデンサD1アッセンブリを背負うような外観となる。
【0049】
図1~
図16などに示すように、コンデンサD1アッセンブリは、収納部材44によって覆われており、ボンネット29の上に取り付けられている。
本実施形態では、収納部材44は、側面視で、後方に傾斜した三角形状に形成された部材である。収納部材44の傾斜した後面(斜辺の面)は、コンデンサD1上面(後方を向く面側(表面側))に対応するものとなっている。収納部材44は、樹脂などで成型されたものであってもよく、板金製であってもよい。
【0050】
図12などに示すように、収納部材44は、天壁44a、左側壁44b、右側壁44c、傾斜壁44d、を有している。天壁44aは、収納部材44の上部を構成する。左側壁44bは、収納部材44の左側部を構成する。右側壁44cは、収納部材44の右側部を構成する。傾斜壁44dは、収納部材44の後方の傾斜部を構成する。天壁44a、左側壁44b、右側壁44c、及び傾斜壁44dは、コンデンサD1、レシーバR1等を収納する空間を形成する。
【0051】
傾斜壁44dは、コンデンサD1の上面に対応する傾斜部位となっている。また、傾斜壁44dには、コンデンサD1の上面に対応する第3開口部47が設けられている。
また、
図12などに示すように、収納部材44は、レシーバ収納部44eを有している。レシーバ収納部44eは、レシーバR1より大きい円筒形状の空間であり、本実施形態においては、傾斜壁44d(第3開口部47)の右側に配置されている。
【0052】
図10Bに示すように、収納部材44は、ブラケット34に取り付けられる。天壁44aには、第3取付部44a1が設けられている。第3取付部44a1は、収納部材44を第1横部35dに取り付ける部位(孔)である。具体的には、収納部材44は、第1横部35dに形成された第2取付部35d1、第3取付部44a1、及びボルトB1を介して、第1横部35dに取り付けられる。第2取付部35d1は、第1横部35dにおいて機体幅方向に離反し、且つ上下方向に貫通して形成された孔であり、天壁44aは、ボルトB1を第3取付部44a1及び第2取付部35d1に挿通することで、第1横部35dに取り付けられる。
【0053】
左側壁44bには、第4取付部44b1が設けられている。右側壁44cには、第5取付部44c1が設けられている。第4取付部44b1及び第5取付部44c1は、収納部材44を支持板35bに取り付ける部位(孔)である。具体的には、収納部材44は、支持板35bに形成された第1取付部35b4、第4取付部44b1及び第5取付部44c1、及びボルトB1を介して、支持板35bに取り付けられる。第1取付部35b4は、支持板35bの前部に形成されている。具体的には、第1取付部35b4は、支持板35bの機体幅方向の端部(左端部及び右端部)の前側に形成されている。第1取付部35b4は、支持板35bの機体幅方向の端部を上方に折り曲げることで形成されている。左側
壁44b及び右側壁44cは、ボルトB1を第1取付部35b4及び第4取付部44b1、並びに第1取付部35b4及び第5取付部44c1に挿通することで、支持板35bに取り付けられる。
【0054】
図10A~
図12などに示すように、収納部材44は、収納部材44の内部と外部とを連通する開口部45a(第1吸気口46a)、開口部45b(第2吸気口46b)、及び開口部47(排気口48)を有している。具体的には、収納部材44は、左右側面に設けられ且つコンデンサD1を冷却する空気を電動ファンF1によって吸入する吸気口46と、後方に向かうほど下方に移行する傾斜状に形成された後面に設けられ且つ電動ファンF1から吹き出されコンデンサD1を冷却した後の空気を後斜め上方に排出する排気口48と、を備えている。また、収納部材44における排気口48が形成された面は後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置されており、コンデンサD1は、後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置されて前記排気口48に対向しており、電動ファンF1は、コンデンサD1の前面側に配置されてコンデンサD1に向けて後斜め上方に風を吹き出す構成となっている。
【0055】
吸気口46a,46bは、機体幅方向(機体幅方向)から電動ファンF1が冷却空気を吸い込むための開口部であり、収納部材44の側部に形成されている。
具体的には、収納部材44の左側壁44bには、左外方向に開口された第1開口部45aが設けられている。第1開口部45aが第1吸気口46aとされている。第1吸気口46aは、略三角形状に形成され、斜辺が傾斜壁44dと沿うように配置されている。収納部材44の右側壁44cには、右外方向に開口された第2開口部45bが設けられている。第2開口部45bが第2吸気口46bとされている。第2吸気口46bは、略三角形状に形成され、斜辺が傾斜壁44dと沿うように配置されている。
【0056】
また、第2吸気口46bは、上部が突出状に形成されている。また、第2吸気口46bは、レシーバ収納部44eに亘って形成されている。つまり、コンデンサD1の左右側方には、外部から冷却空気CAを取り入れる吸気口46a,46bが設けられている。これら吸気口46a,46bには、防塵用のメッシュ部材49が張り付けられている。
詳しくは、
図10Bに示すように、吸気口46a,46bは、ブラケット34の外形と略一致するように形成されている。具体的には、左右の吸気口46a,46bの斜辺が第1縦部35hと第2縦部35iの傾斜と一致する。略三角形状の吸気口46a,46bは、コンデンサD1の裏側空間と連通するようになっている。即ち、吸気口46の斜辺は、コンデンサD1よりも前下方に位置している。左右の吸気口46a,46bは、コンデンサD1の裏側空間に外部から冷却空気CAを取り入れるものとなっている。電動ファンF1によって左右の吸気口46a,46bから収納部材44内に冷却空気CAが取り入れられ、コンデンサD1に冷却空気CAとして送り込まれる。
【0057】
ここで、レシーバR1と右側の第2吸気口46bとの位置関係について説明すると、レシーバR1は、コンデンサD1の右隣りに配置されているが、キャビン5より間隔をあけて後方に配置されている。そのため、レシーバR1は、第2吸気口46bのうち後端側に配置されている。言い換えると、レシーバR1は、第2吸気口46bのうち、上下方向の長さが短い部分に配置されているため、当該第2吸気口46bの開口を塞がないように配置されている。なお、左右の吸気口46a,46bの形状及び面積等については、例示したものに限定されない。例えば、左右の吸気口46a,46bは、四角形状でもよい。また、コンデンサD1の冷却能力を考慮して、左右の吸気口46a,46bの面積を設定してもよい。
【0058】
また、傾斜壁44dには、開口が後上方を向く後第3開口部47が形成されている。後第3開口部47は、排気口48とされている。排気口48は、コンデンサD1の冷却後の空気HAを排出するための開口部である。排気口48は、傾斜壁44dの上端から下端に亘って形成されている。この排気口48は、コンデンサD1の上面に対応するように配置されている。
【0059】
具体的には、収納部材44の傾斜した後面には、後外方向に開口された後第3開口部47が設けられている。この後第3開口部47は、コンデンサD1での熱交換後の空気HAを排出する排気口48となっている。つまり、コンデンサD1での熱交換後の空気HAを排出する排気口48が、コンデンサD1の後方且つ斜め上方を向いて設けられている。排気口48は、コンデンサD1の上面側に設けられている。この排気口48には、防塵用のメッシュ部材49が張り付けられている。
【0060】
電動ファンF1によってコンデンサD1に送り込まれてコンデンサD1を通過した熱交換後の空気HAは、排気口48から後方且つ斜め上方に排出される。
図10A、
図10Bなどに示すように、ACホース40には、エアコンガス状態を把握するためのサイトグラスR2が設けられている。
図10A、
図10Bなどに示すように、側方視において、サイトグラスR2は、右側の第2吸気口46bの突出部46b1から確認できるように配置されている。
【0061】
なお、本実施形態においては、サイトグラスR2は、右側の第2開口部45b(第2吸気口46B)から見えるように配置されるが、外部からサイトグラスR2を確認できればよく、サイトグラスR2の位置は例示した位置に限定されない。例えば、レシーバR1をコンデンサD1の左隣に配置し、サイトグラスR2が左側の第1吸気口46aから確認できるように配置されていてもよい。
【0062】
以上のように、本実施形態にかかる作業機1は、機体4と、機体4上に搭載され且つ、運転者Oが着座する運転席27が室内に設けられたキャビン5と、キャビン5の後方に配置されたボンネット29と、キャビン5内の温度を調整する空調装置用のコンデンサD1と、を有し、コンデンサD1は、ボンネット29の上方、且つキャビン5のリアパネル23の背面側下部に対向する位置に配置されている。
【0063】
上記構成によれば、空調装置のコンデンサD1を、エンジンルーム21及びキャビン5の外部に設置することで、キャビン5の居住性を低下させることなく空調装置のコンデンサD1による本機側への熱影響を抑制することができる。また、コンデンサD1をエンジンルーム21内に配置する場合に比べて、コンデンサ21及びエンジンルーム21内に配置される各部材のメンテナンス性を向上させることができる。
【0064】
また、コンデンサD1(或いはコンデンサD1を収容した収納部材44)は、上面(後面)が後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置されている。
これにより、コンデンサD1を垂直に搭載する場合に比べてコンデンサD1の上下方向の搭載スペースを小さくすることができる。例えば、リアパネル23のリアウィンドウ23aを透過性を有する材質からなるものとし、コンデンサD1の上端部をリアウィンドウ23aの上端と下端との間の中点よりも低く、且つ運転席27の背もたれ部の上端部よりも低い位置に配置することができる。これにより、コンデンサD1を垂直に搭載する場合に比べて、運転席27に着座した運転者Oからのリアウィンドウ23aを介した後方視界性の低下を抑制することができる。また、キャビン5のリアウィンドウ23aが脱出口37となっている場合、コンデンサD1を搭載したままの状態でも運転者Oが脱出口37から脱出するための面積を確保することができる。また、コンデンサD1からの排熱を後方且つ斜め上方に排気することができるので、バックホー1の近傍で作業している作業者や歩行者などにコンデンサD1からの排気が直接当たることを防止することができる。また、作業機1の後方への電動ファンF1などの騒音の伝搬を抑制することができる。
【0065】
また、コンデンサD1を水平に搭載する場合に比べてコンデンサD1の前後方向の搭載スペースを小さくすることができる。これにより、コンデンサD1を平面視で機体4の外縁部(例えばウェイト8の外縁部)よりも機体内方側に配置し、作業機1の旋回半径内に収めることができる。
また、本実施形態では、機体4(ウェイト8)の後縁部が旋回軸心X1を中心とする円弧状になっており、コンデンサD1は、平面視で作業機1の旋回軸心X1を通り且つ前後方向に延伸する中央線Y1を中心に機体幅方向において左右均等に設置されている。これにより、コンデンサD1を平面視で機体4の外縁部(例えばウェイト8の外縁部)よりも機体内方側に配置し、作業機1の旋回半径内に適切に収めることができる。
【0066】
収納部材44(コンデンサD1)の右側壁44cは、キャビン5の右側壁(サイドパネル25)機体幅方向の位置が略同一になっている。このため、キャビン5に設けられた右
サイドミラー5aを利用した運転者Oの後方視界性を確保することができる。
また、作業機1は、ボンネット29内で該ボンネット29を支持する支持フレーム30と、コンデンサD1を支持するブラケット34と、支持フレーム30に固定されており、ボンネット29を貫通してブラケット34をボンネット29の上方で支持するブラケット支持部材(ボス部材33)とを備えている。
【0067】
上記構成によれば、ボンネット29の上方でコンデンサD1を適切に支持することができる。
また、ボンネット29には、空調装置用の冷媒が流通するACホース40が配策される孔部39が設けられている。これにより、エンジンルーム21の内部と外部との間でACホース40を適切に配策することができる。
【0068】
また、ボンネット29上、且つコンデンサD1に対向する位置に、コンデンサD1を冷却する電動ファンF1を備えている。これにより、コンデンサD1の冷却を効率的に行うことができる。
また、ボンネット29上、且つコンデンサD1に対向する位置に、コンデンサD1を冷却する電動ファンF1を備え、ブラケット34は、コンデンサD1と電動ファンF1とを支持している。これにより、コンデンサD1及び電動ファンF1をボンネット29の上方で適切に支持することができる。
【0069】
また、ボンネット29には、空調装置用の冷媒が流通するACホース40と電動ファンF1に接続されるハーネス41とが配策される孔部39が設けられている。これにより、エンジンルーム21の内部と外部との間でACホース40及びハーネス41を適切に配策することができる。
作業機1は、機体4と、機体4上に搭載され且つ、運転者Oが着座する運転席27が室内に設けられたキャビン5と、キャビン5の後部側に配置されたボンネット29と、キャビン5内の温度を調整する空調装置用のコンデンサD1と、コンデンサD1を冷却するための空気流を生成するファン(電動ファンF1)と、コンデンサD1及びファン(電動ファンF1)を収容する収納部材44、とを備え、収納部材44は、左右側面に設けられ且つコンデンサD1を冷却する空気を収納部材44の外部から取り入れる吸気口46と、後方に向かうほど下方に移行する傾斜状に形成された後面に設けられ且つコンデンサD1を冷却した後の空気を後斜め上方に排出する排気口48と、を備えている。これにより、コンデンサD1からの排熱を後方且つ斜め上方に排気することができる。
【0070】
また、収納部材44における排気口48が形成された面は後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置されており、コンデンサD1は、後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置されて前記排気口48に対向しており、ファン(電動ファンF1)は、コンデンサD1の前面側に配置されてコンデンサD1に向けて後斜め上方に風を吹き出す構成となっている。これにより、バックホー1の近傍で作業している作業者や歩行者などにコンデンサD1からの排気が直接当たることを防止することができる。
【0071】
また、収納部材44の外部から吸気口46を介して視認可能な位置に、エアコンガスの状態を把握するためのサイトグラスR2を備えている。
上記構成によれば、作業機1は、サイトグラスR2の状況を容易に確認することができる。
また、作業機1は、ボンネット29内でボンネット29を支持する支持フレーム30と、ボンネット29の上方でコンデンサD1及びファン(電動ファンF1)を支持するブラケット34とを備え、支持フレーム30は、当該支持フレーム30の上部に設けられ且つボンネット34を貫通してブラケット34をボンネット29の上方で支持するブラケット支持部材33を備えている。これにより、ボンネット29の上方でコンデンサD1を適切に支持することができる。
【0072】
また、収納部材内44におけるコンデンサD1の側方に空調装置用の冷媒を貯留するレシーバR1が配置されている。これにより、コンパクトに配置することができる。
また、作業機1は、機体4と、機体4上に搭載され且つ、運転者Oが着座する運転席27が室内に設けられたキャビン5と、キャビン5内の温度を調整する空調装置用のコンデンサD1と、キャビン5の後部側に配置されたボンネット29内に配置されていて該ボンネット29を支持する支持フレーム30と、ボンネット29の上方でコンデンサD1を支持するブラケット34と、支持フレーム30に固定されており、ボンネット29を貫通してブラケット34をボンネット29の上方で支持するブラケット支持部材(ボス部材33)と、を備えている。これにより、コンデンサD1を、エンジンルーム21及びキャビン5の外部に設置することで、キャビン5の居住性を低下させることなく空調装置のコンデンサD1による本機側への熱影響を抑制することができる。また、コンデンサD1をエンジンルーム21内に配置する場合に比べて、コンデンサ21及びエンジンルーム21内に配置される各部材のメンテナンス性を向上させることができる。
【0073】
また、ボンネット29には、ブラケット支持部材(ボス部材33)を貫通させるための孔部38が設けられている。これにより、ボンネット29の上面とブラケット支持部材(ボス部材33)の上面を略面一に合わせることができる。
また、コンデンサD1を冷却するファン(電動ファンF1)を備え、ブラケット34は、電動ファンF1を支持する。これにより、ボンネット29の上方でコンデンサD1と電動ファンF1を適切に支持することができる。
【0074】
また、空調装置用の冷媒を貯留するレシーバR1を備え、ブラケット34は、レシーバR1を支持する。これにより、ボンネット29の上方でレシーバR1を適切に支持することができる。
また、ブラケット支持部材は、支持フレーム30の上面に固定されたボス部材33である。これにより、ブラケット34をボンネット29の上方で適切に支持することができる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。ところで、本発明について、バックホー1を例に挙げて説明を行ったが、バックホー1に限定されず、他の建設機械や農業機械等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 バックホー(作業機)
2 上部旋回体
3 下部走行体
4 機体
5 キャビン
8 ウエイト
20 原動機
21 エンジンルーム
27 運転席(座席)
29 ボンネット
30 支持フレーム
33 ボス部材
34 ブラケット
36 基台
D1 コンデンサ
F1 電動ファン
R1 レシーバ
R2 サイトグラス