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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法および二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/567 20210101AFI20240227BHJP
【FI】
H01M50/567
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021156664
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047639
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】今堀 利生
(72)【発明者】
【氏名】室屋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】梅村 幸司
(72)【発明者】
【氏名】米田 幸志郎
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010743(JP,A)
【文献】特開2013-246966(JP,A)
【文献】特開2009-259524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が開口したケース本体と、前記ケース本体の開口に設けられる封口板とを備えた二次電池の前記封口板に形成された取付孔に、オーバル形状かつ筒状の軸部を有する端子を、前記軸部が前記封口板から突出するように挿入する第1準備工程と、
前記取付孔の周囲における前記封口板の前記軸部が突出している側の面に、導電部材を配置する第2準備工程と、
オーバル形状の先端部と、前記先端部よりも径が大きい真円形状の基端部とを有する、かしめ工具を用いて、前記先端部を前記端子の前記軸部に挿入し、前記基端部で前記軸部のうち前記封口板から突出した部分の内径を押し広げる第1かしめ工程と、
前記第1かしめ工程で前記軸部の押し広げられた部分を、平らにプレスする第2かしめ工程と、
を包含する、二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記基端部は、前記先端部に向かうにしたがって径が小さくなる縮径部分を有し、
前記第1かしめ工程では、前記基端部の前記縮径部分で、前記軸部のうち前記封口板から突出した部分の内径を押し広げる、請求項1に記載された二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記第2かしめ工程で平らにプレスされた前記軸部の押し広げられた部分の、オーバル形状の長径方向の周縁部に、段差を形成するようにプレスする第3かしめ工程を包含する、請求項1または2に記載された二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の製造方法および二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電極外部端子と、封口板と、封口板に重ねられる集電板とを備えた密閉型電池が開示されている。電極外部端子は、鍔部と、鍔部から一方向に突出した柱状挿入部とを有している。柱状挿入部の横断面の形状は、中空なトラック形状である。封口板および集電板には、それぞれ柱状挿入部が挿入される貫通孔が形成されている。ここでは、封口板の貫通孔と集電板の貫通孔とが重なるように、封口板と集電板とを重ね、これら貫通孔に筒状挿入部を挿入する。そして、柱状挿入部の先端部分をかしめることで、電極外部端子を封口板に固定することができる。
【0003】
例えば特許文献2には、外部端子と、蓋と、蓋に重ねられる集電板とを備えた角形二次電池が開示されている。外部端子は、矩形形状の端子頭部と、端子頭部に設けられた楕円形状の軸部とを有している。蓋には、外部端子の軸部が挿入される貫通孔が形成されている。集電板には、軸部が挿入される開口孔が形成されている。ここでは、貫通孔と開口孔とが重なるように、蓋と集電板とを重ねる。そして、外部端子の軸部を貫通孔および開口孔に挿入する。その後、軸部の先端部分をかしめることで、外部端子を蓋に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-270167号公報
【文献】特許第6577998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された電極外部端子では、トラック形状の柱状挿入部をかしめている。特許文献2に開示された外部端子では、楕円形状の軸部をかしめている。このように、トラック形状や楕円形状の部材をかしめると、かしめた部分の厚みが一定ではなく、ばらつきが生じることがあった。その結果、かしめ強度を確保することができないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで提案される二次電池の製造方法は、第1準備工程と、第2準備工程と、第1かしめ工程と、第2かしめ工程とを包含する。第1準備工程では、一部が開口したケース本体と、ケース本体の開口に設けられる封口板とを備えた二次電池の封口板に形成された取付孔に、オーバル形状かつ筒状の軸部を有する端子を、軸部が封口板から突出するように挿入する。第2準備工程では、取付孔の周囲における封口板の軸部が突出している側の面に、導電部材を配置する。第1かしめ工程では、オーバル形状の先端部と、先端部よりも径が大きい真円形状の基端部とを有する、かしめ工具を用いて、先端部を端子の軸部に挿入し、基端部で軸部のうち封口板から突出した部分の内径を押し広げる。第2かしめ工程では、第1かしめ工程で軸部の押し広げられた部分を、平らにプレスする。
【0007】
ここで提案される二次電池の製造方法によれば、かしめ工具におけるオーバル形状の先端部で、オーバル形状の軸部の内周面を均一に当て付けることができる。そして、かしめ工具における真円形状の基端部が軸部に当て付けられることで、オーバル形状の長径方向に沿った軸部の部分から外方に広げられるため、軸部のかしめた部分の厚みのばらつきを抑えることができる。よって、端子のかしめ強度を確保することができる。
【0008】
ここで提案される二次電池の製造方法によれば、基端部は、先端部に向かうにしたがって径が小さくなる縮径部分を有してもよい。第1かしめ工程では、基端部の縮径部分で、軸部のうち封口板から突出した部分の内径を押し広げてもよい。
【0009】
ここで提案される二次電池の製造方法は、第2かしめ工程で平らにプレスされた軸部の押し広げられた部分の、オーバル形状の長径方向の周縁部に、段差を形成するようにプレスする第3かしめ工程を包含してもよい。
【0010】
ここで提案される二次電池は、一部が開口したケース本体と、ケース本体の開口に設けられる封口板と、封口板に取り付けられる端子と、端子に接続される導電部材と、を備えている。端子は、導電部材に対してかしめられたオーバル形状のかしめ部を有している。かしめ部は、オーバル形状の長径方向に沿った長径部と、オーバル形状の短径方向に沿った短径部と、を有している。長径部における短径方向の長さは、短径部における長径方向の長さよりも長い。
【0011】
ここで提案される二次電池では、短径部の厚みに対する長径部の厚みの割合が、0.9~1.1であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る二次電池を模式的に示した斜視図である。
図2図1のII-II断面における二次電池の断面図であり、模式的に示した図である。
図3】封口板の取付孔を模式的に示した平面図である。
図4】端子のかしめ部を模式的に示した図である。
図5図4のV-V断面における端子の断面図であり、模式的に示した図である。
図6図4のVI-VI断面における端子の断面図であり、模式的に示した図である。
図7】端子をかしめて、封口板に固定する方法を示したフローチャートである。
図8A】かしめる前の端子を模式的に示した断面図である。
図8B】第1かしめ工程を行っているときの端子の状態を模式的に示した断面図である。
図8C】第2かしめ工程を行っているときの端子の状態を模式的に示した断面図である。
図8D】第3かしめ工程を行っているときの端子の状態を模式的に示した断面図である。
図9】第1かしめ工具を模式的に示した図であり。先端部側から見た図である。
図10】かしめ部の短径部の厚みに対する長径部の厚みの割合の結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ここで開示される二次電池の一実施形態について図面を用いて説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施されることができる。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。
【0014】
本明細書において、「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池および二次電池を含む概念である。「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などのいわゆる蓄電池を包含する。以下、二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池を例示して、ここで開示される二次電池について詳細に説明する。ただし、ここで開示される二次電池は、ここで説明される実施形態に係るリチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る二次電池10の斜視図である。図2は、図1のII-II断面における二次電池10の断面図である。図1および図2に示すように、二次電池10は、電極体20と、ケース本体30と、封口板40と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、電極体20は、二次電池10の発電要素である。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、シート状のセパレータ23とを備えている。セパレータ23は、正極シート21と負極シート22との間に配置されている。電極体20では、正極シート21と負極シート22とセパレータ23とが積層されている。本実施形態に係る電極体20は、予め定められた形状に形成された正極シート21と負極シート22とがセパレータ23を介在させて重ねられた積層型構造である。
【0017】
正極シート21は、例えば矩形状の正極集電箔と、正極集電箔の両面に形成された正極活物質層と、正極活物質層から突出した正極集電タブ21aとを有している。正極集電箔は、例えばアルミニウム箔である。正極活物質層には、正極活物質が含まれている。正極活物質は、例えばリチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。ただし、正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。正極集電タブ21aは、正極集電箔の一部であり、正極活物質層から突出している。ここでは、正極集電タブ21aは、正極活物質層から上方に突出している。正極集電タブ21aには、正極活物質層が形成されていない。
【0018】
負極シート22は、例えば矩形状の負極集電箔と、負極集電箔の両面に形成された負極活物質層と、負極活物質層から突出した負極集電タブ22aとを有している。負極集電箔は、例えば銅箔である。負極活物質層には、負極活物質が含まれている。負極活物質は、例えばリチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。ただし、負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。負極集電タブ22aは、負極集電箔の一部であり、負極活物質層から突出している。ここでは、負極集電タブ22aは、負極活物質層から上方に突出している。負極集電タブ22aには、負極活物質層が形成されていない。
【0019】
セパレータ23は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミドなどの樹脂から成る多孔質シート(例えばフィルム、不織布など)によって形成されている。
【0020】
本実施形態では、電極体20は、複数の正極集電タブ21aが重ねられ、かつ、複数の負極集電タブ22aが重ねられた状態で、セパレータ23を介在させて、正極シート21と負極シート22とが積層されることで作製される。
【0021】
図2に示すように、ケース本体30は、内部に空間を有し、一部が開口したケースである。ここでは、ケース本体30には、電極体20が収容されており、電極体20を収容するための開口31が形成されている。図1に示すように、ケース本体30は、角形形状であるが、ケース本体30の形状は特に限定されない。ケース本体30は、例えばアルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金で形成されているが、ケース本体30を形成する材料も特に限定されない。
【0022】
本実施形態では、ケース本体30には、電極体20と共に、電解液が収容されていてもよい。電解液としては、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0023】
封口板40は、ケース本体30の開口31に設けられた板状のものである。封口板40は、所定の方向に長い矩形状(ここでは長方形状)である。ここでは、封口板40が開口31に取り付けられた状態で、封口板40の周縁部が、ケース本体30の開口31の縁に接合される。当該接合は、例えば隙間がない連続した溶接によって実現されるとよく、例えばレーザ溶接によって実現され得る。封口板40は、例えばアルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金で形成されているが、封口板40を形成する材料も特に限定されない。
【0024】
本実施形態では、図1に示すように、封口板40には、注入孔41とガス排出弁43とが設けられている。注入孔41は、ケース本体30に封口板40を取り付けた後に、電解液をケース本体30内に注入するための孔である。図2に示すように、この注入孔41には、栓42が嵌合可能である。栓42が注入孔41に嵌合することで、注入孔41は閉鎖される。ガス排出弁43は、二次電池10の内圧が所定値以上になったときに破断して、ケース本体30内のガスを、ケース本体30の外部に排出するように構成された薄肉部である。
【0025】
本実施形態に係る二次電池10は、端子50と、導電部材55と、接続部材70と、を備えている。端子50は、封口板40に取り付けられている。ここでは、端子50は、電極体20の正極シート21に接続される正極端子50aと、電極体20の負極シート22に接続される負極端子50bとを有している。ここでは、正極端子50aと負極端子50bとは、同じ形状および構成を有している。以下、正極端子50aと負極端子50bとに共通する説明では、端子50という文言を使用する。
【0026】
図3は、封口板40の取付孔45を模式的に示した平面図である。図3では、横断面で切断した端子50が取付孔45に挿入されている状態が示されている。本明細書において、横断面とは、水平方向で切断した断面のことをいう。本実施形態では、図3に示すように、封口板40には、取付孔45が形成されている。取付孔45は、オーバル形状である。ここで、オーバルは、幾何学で卵形、長円形、楕円形や楕円形状に似た曲線のことを指す。オーバル形状には、楕円形状、トラック形状、長円形状、卵形状などが含まれる。本実施形態では、オーバル形状の長径方向D11は、封口板40の長手方向と同じである。オーバル形状の短径方向D12は、封口板40の短手方向と同じである。
【0027】
本実施形態では、図2に示すように、端子50は、取付孔45に挿入された状態で封口板40に取り付けられる。ここでは、図3に示すように、取付孔45の縁と、端子50との間には、外部絶縁部材60が介在している。
【0028】
図4は、端子50のかしめ部53を模式的に示した図である。図5は、図4のV-V断面における端子50の断面図である。図6は、図4のVI-VI断面における端子50の断面図である。図5および図6では、図2の上下を反転させている。本実施形態では、図5に示すように、端子50は、頭部51と、筒部52と、かしめ部53とを有している。頭部51は、封口板40の外側(ここではケース本体30と反対側)に配置される部位である。頭部51は、取付孔45よりも大きな略平板状の部位であり、封口板40の外側の面に沿って配置されている。
【0029】
筒部52は、外部絶縁部材60を介して取付孔45に挿入される部位である。筒部52は、頭部51の中央部から下方に突出している。筒部52は、例えば上下に延びた筒状の部位である。かしめ部53は、端子50のうち導電部材55に対してかしめられる部位である。言い換えると、かしめ部53は、封口板40に対してかしめられる部位ともいえる。かしめ部53は、筒部52の下端に設けられており、筒部52の外方に突出している。本実施形態では、筒部52、および、かしめ部53は、それぞれ取付孔45に対応した形状であり、図3および図4に示すように、ここではオーバル形状である。言い換えると、筒部52、および、かしめ部53の横断面の形状は、オーバル形状である。ここでは、筒部52の内周面および外周面の形状がオーバル形状である。
【0030】
図5および図6に示すように、外部絶縁部材60は、封口板40の取付孔45の内周面から封口板40の外側(言い換えると、端子50の頭部51側)の面に亘って取り付けられるものである。本実施形態では、外部絶縁部材60は、ベース部61と、絶縁筒部62と、側壁63とを有している。ベース部61は、取付孔45の周囲の封口板40の外側の面の部分に装着される板状のものである。ベース部61には、端子50の頭部51が配置される。絶縁筒部62は、ベース部61の底面から突出した筒状の部位である。絶縁筒部62は、取付孔45に挿入される部位である。絶縁筒部62には、端子50の筒部52が挿入される。側壁63は、ベース部61の周縁から立ち上がっている。端子50の頭部51は、外部絶縁部材60の側壁63によって囲まれている。
【0031】
外部絶縁部材60は、封口板40と端子50との間に配置され、これらの絶縁を確保している。また、外部絶縁部材60は、封口板40の取付孔45の気密性を確保している。かかる観点で、外部絶縁部材60は、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、外部絶縁部材60には、PFAが用いられている。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(Tetrafluoroethylene-Perfluoroalkylvinylether Copolymer)である。ただし、外部絶縁部材60に用いられる材料は、PFAに限定されない。
【0032】
図2に示すように、導電部材55は、端子50に接続されている。ここでは、正極端子50aに接続された導電部材55のことを、正極導電部材55aともいう。負極端子50bに接続された導電部材55のことを、負極導電部材55bともいう。導電部材55は、ケース本体30の内部に配置されている。導電部材55は、封口板40の内側の面に沿って配置されており、取付孔45の周囲に設けられている。導電部材55は、板状の部材である。図5に示すように、導電部材55は、貫通孔56と、溝57とを有している。貫通孔56は、導電部材55を貫通している。貫通孔56には、端子50の筒部52が挿入される。貫通孔56は、筒部52の形状に対応しており、ここではオーバル形状である。溝57は、貫通孔56の周囲の導電部材55の部分に形成されている。溝57は、導電部材55の底面から上方に凹んだ溝である。溝57には、端子50のかしめ部53が配置されている。
【0033】
図2に示すように、接続部材70は、導電部材55に接続されている。接続部材70は、ケース本体30の内部に配置されており、封口板40の内側の面に沿って配置されている。ここでは、正極導電部材55aに接続された接続部材70のことを、正極接続部材70aともいう。負極導電部材55bに接続された接続部材70のことを、負極接続部材70bともいう。正極接続部材70aは、正極端子50aと正極シート21とを繋ぐものであり、正極導電部材55aと正極集電タブ21aに接続されている。負極接続部材70bは、負極端子50bと負極シート22とを繋ぐものであり、負極導電部材55bと負極集電タブ22aに接続されている。
【0034】
本実施形態では、接続部材70は、第1プレート部71と、第2プレート部72と、段差部73とを有している。第1プレート部71は、導電部材55の表面に沿って配置される部位であり、導電部材55に接続されている。第1プレート部71は、平板状の部位である。第2プレート部72は、封口板40の内側の面に沿って配置される部位である。第2プレート部72は、平板状の部位である。正極接続部材70aの第2プレート部72は、正極集電タブ21aに接合されている。負極接続部材70bの第2プレート部72は、負極集電タブ22aに接合されている。段差部73は、第1プレート部71の一の端部から第2プレート部72の一の端部に向かって立ち上がり、第1プレート部71と第2プレート部72とを連結する部位である。本実施形態では、段差部73は、導電部材55の端に沿って配置されている。
【0035】
本実施形態では、導電部材55と封口板40との間、および、接続部材70と封口板40との間には、内部絶縁部材80が設けられている。導電部材55および接続部材70は、内部絶縁部材80を介して封口板40に取り付けられている。
【0036】
内部絶縁部材80は、平坦部81と、孔82と、側壁83とを備えている。平坦部81は、封口板40の内側の面に沿って配置される部位である。平坦部81は、平板状の部位である。孔82は、封口板40の取付孔45に対応して設けられた孔であり、端子50の筒部52が挿入される。本実施形態では、孔82は、平坦部81に形成され、平坦部81を貫通している。孔82は、筒部52に対応した形状であり、ここではオーバル形状である。側壁83は、平坦部81の周縁部から下方に延びている。導電部材55と接続部材70は、側壁83に囲まれている。
【0037】
内部絶縁部材80は、ケース本体30の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。本実施形態では、内部絶縁部材80には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、内部絶縁部材80に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0038】
以上、本実施形態に係る二次電池10について説明した。次に、二次電池10の製造方法について説明する。ここでは、端子50をかしめて、封口板40に固定する方法について、図7のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、図7に示すように、二次電池10の製造方法は、第1準備工程S11と、第2準備工程S12と、第1かしめ工程S13と、第2かしめ工程S14と、第3かしめ工程S15とを包含する。
【0039】
図8Aは、かしめる前の端子50を示す断面図である。図8B図8C図8Dは、それぞれ第1かしめ工程S13、第2かしめ工程S14、第3かしめ工程S15を行っているときの端子50の状態を示す断面図である。なお、図8B図8Dにおいて、封口板40、外部絶縁部材60および内部絶縁部材80の図示は省略されている。本実施形態では、図8Aに示すように、端子50は、軸部54を有している。軸部54は、頭部51(図5参照)に設けられた部位である。
【0040】
軸部54は、端子50をかしめた後に、図8Cに示すように、筒部52とかしめ部53とになり得る部位である。ここでは、軸部54をかしめることで、端子50を封口板40に固定することができる。軸部54のうち、かしめた部分がかしめ部53となり、かしめていない部分が筒部52となる。本実施形態では、軸部54は、筒状のものである。軸部54は、オーバル形状であり、詳しくは軸部54の横断面の形状がオーバル形状である。軸部54の内周面および外周面の形状がオーバル形状である。
【0041】
本実施形態では、図7の第1準備工程S11では、図8Aに示すように、封口板40に形成された取付孔45に、軸部54を有する端子50を、軸部54が封口板40から突出するように挿入する。本実施形態では、まず封口板40の取付孔45に、外部絶縁部材60を挿入する。ここでは、図5に示すように、外部絶縁部材60のベース部61が、封口板40の外側の面に装着されるように、外部絶縁部材60の絶縁筒部62を取付孔45に挿入する。その後、図8Aに示すように、取付孔45に挿入された絶縁筒部62に、端子50の軸部54を挿入する。このとき、図5に示すように、端子50の頭部51は、外部絶縁部材60のベース部61上に配置され、軸部54(図8A参照)の一部(ここでは先端部)が封口板40の内側、すなわちケース本体30側に突出する状態になる。
【0042】
次に、図7の第2準備工程S12では、図8Aに示すように、導電部材55を配置する。ここでは、導電部材55は、取付孔45の周囲における封口板40の軸部54が突出している側の面、すなわち封口板40の内側の面に配置される。本実施形態では、まず内部絶縁部材80を配置する。ここでは、内部絶縁部材80には、孔82が形成されている。この孔82が封口板40の取付孔45と重なるように、内部絶縁部材80を封口板40の内側の面に配置する。その後、内部絶縁部材80を介して封口板40の内側の面に、導電部材55を配置する。ここでは、導電部材55に形成された貫通孔56が、封口板40の取付孔45,および、内部絶縁部材80の孔82と重なるように、導電部材55を配置する。このとき、導電部材55は、内部絶縁部材80の平坦部81に配置される。
【0043】
なお、本実施形態では、第1準備工程S11の後に、第2準備工程S12が行われているが、第1準備工程S11の前に、第2準備工程S12が行われてもよい。
【0044】
このように、図7に示すように、第1準備工程S11および第2準備工程S12が行われた後、第1かしめ工程S13~第3かしめ工程S15が順に行われる。ここでは、まず図7の第1かしめ工程S13が行われる。第1かしめ工程S13では、図8Bに示すように、端子50の軸部54の内径を広げることが行われる。第1かしめ工程S13では、第1かしめ工具100を使用する。
【0045】
図9は、第1かしめ工具100を示す図であり、先端部101側から見た図である。図8Bおよび図9に示すように、第1かしめ工具100は、先端部101と、基端部102とを有している。図8Bに示すように、先端部101は、端子50の筒状の軸部54に挿入される部位である。先端部101は、軸部54の内周面に対応した形状を有しており、図9に示すように、ここではオーバル形状である。先端部101の横断面の形状がオーバル形状である。
【0046】
図8Bに示すように、基端部102は、先端部101に接続されている。言い換えると、先端部101は、基端部102から突出している。図9に示すように、基端部102は、先端部101よりも径が大きい真円形状である。基端部102の横断面の形状が真円形状である。ここで、「先端部101よりも径が大きい」とは、オーバル形状の先端部101の長径よりも大きいことを意味する。本実施形態では、図8Bに示すように、基端部102は、縮径部分103を有している。縮径部分103は、先端部101に向かうにしたがって、径が小さくなっている部位である。縮径部分103の外周面は、先端部101に向かうほど基端部102の中心軸に向かって傾斜した傾斜面である。ここでは、縮径部分103は、先端部101と連続している。
【0047】
本実施形態では、真円には、厳密に真円の場合と、直径の大きさに僅かながらの誤差が生じている場合とが含まれる。例えば厳密に真円か否かは、基端部102の真円度を測定することで分かる。真円度を測定する場合には、例えば基端部102を径方向に4等分または8等分する。そして、等分した境界点の対向する2点間の距離を、例えばマイクロメーターを使用して複数測定する。複数の当該2点間の距離のうちの最大値と最小値との差を2で割った数値が真円度になる。本実施形態では、真円には、真円度が0~1mm、好ましくは0~0.1mm、特に好ましくは0~0.01mmの場合が含まれるものとする。
【0048】
図7の第1かしめ工程S13では、図8Bに示すように、第1かしめ工具100を用いて、先端部101を端子50の軸部54に挿入し、基端部102で軸部54のうち、封口板40から突出した部分の内径を押し広げる。ここでは、基端部102の縮径部分103で、軸部54のうち、封口板40から突出した部分の内径を押し広げる。ここでは、第1かしめ工具100の先端部101がオーバル形状であるため、先端部101がオーバル形状の軸部54に挿入されたとき、軸部54の内周面は、均一に広げられる。その後、真円形状の基端部102の縮径部分103によって、軸部54の内周面のうち、オーバル形状の長径方向D11(図3参照)に沿った軸部54の部分から、短径方向D12(図3参照)の外方に押し広げられる。本実施形態では、縮径部分103の外周面は、傾斜面になっており、軸部54は、縮径部分103の外周面に沿って内径が押し広げられる。
【0049】
次に、図7の第2かしめ工程S14では、図8Cに示すように、図7の第1かしめ工程S13で軸部54の押し広げられた部分を平らにプレスする。第2かしめ工程S14では、第1かしめ工具100とは異なる第2かしめ工具110が用いられる。第2かしめ工具110は、平面111を有する。平面111は、平らな面であり、端子50のかしめ部53よりも大きい形状、例えば封口板40に形成された取付孔45(図8A参照)よりも一回り大きい形状を有している。平面111は、円形状であってもよいし、矩形状であってもよい。
【0050】
第2かしめ工程S14では、第2かしめ工具110を用いて、軸部54の押し広げられた部分を平面111で押し当てる。その後、第2かしめ工具110を軸部54側に向かって押し込み、軸部54の押し広げられた部分を平面111でプレスする。なお、第2かしめ工程S14でプレスする回数は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。第2かしめ工具110によるプレスによって、軸部54の押し広げられた部分は、平らな面を有することになる。この押し広げられた部分が、端子50のかしめ部53となる。かしめ部53は、オーバル形状である。
【0051】
次に、図7の第3かしめ工程S15では、図8Dに示すように、図7の第2かしめ工程S14で平らにプレスされた軸部54の押し広げられた部分(以下、かしめ部53という。)に、段差53dを形成するようにプレスする。段差53dは、図4に示すように、かしめ部53におけるオーバル形状の長径方向D11の両側の周縁部に形成される。本実施形態に係る第3かしめ工程S15では、図8Dに示すように、第3かしめ工具120が用いられる。第3かしめ工具120は、基端部121と、基端部121から下方に突出した第1プレス部122および第2プレス部123とを有している。第1プレス部122および第2プレス部123は、かしめ部53の長径方向D11の両側の周縁部に対応するように対向して配置されている。図示は省略するが、第1プレス部122および第2プレス部123のそれぞれの底面は、U字状である。ここでは、U字状の凹んだ部分が向き合うように、第1プレス部122および第2プレス部123が配置されている。
【0052】
第3かしめ工程S15では、第3かしめ工具120を用いて、第1プレス部122および第2プレス部123で、かしめ部53の長径方向D11の両側の周縁部をプレスする。第1プレス部122および第2プレス部123でプレスされた、かしめ部53の長径方向D11の周縁部には、封口板40(図8A参照)側に凹んだ段差53dが形成される。この段差53dは、第1プレス部122および第2プレス部123のそれぞれの底面と同じ形状になり、図4に示すように、ここではU字状になる。なお、第3かしめ工程S15でプレスする回数は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
【0053】
以上のように、第1かしめ工程S13~第3かしめ工程S15を経て、かしめられた端子50において、図4に示すように、端子50は、導電部材55に対してかしめられたオーバル形状のかしめ部53を有している。かしめ部53は、オーバル形状の長径方向D11に沿った長径部53aと、オーバル形状の短径方向D12に沿った短径部53bとを有している。本実施形態では、長径部53aは、2つ存在する。2つの長径部53aは、かしめ部53の短径方向D12の両側の周縁部を構成している。短径部53bも2つ存在する。2つの短径部53bは、かしめ部53の長径方向D11の両側の周縁部のうち、段差53dを除いた周縁部を構成している。
【0054】
本実施形態では、長径部53aにおける短径方向D12の長さL1は、短径部53bにおける長径方向D11の長さL2よりも長い。ここで、長径部53aの長さL1とは、長径部53aの短径方向D12の最大の長さのことをいう。また、短径部53bの長さL2とは、短径部53bの長径方向D11の最大の長さのことをいう。
【0055】
本実施形態では、短径部53bの厚みT12(図5参照)に対する長径部53aの厚みT11(図6参照)の割合は、0.9~1.1、好ましくは0.95~1.05である。ここで、長径部53aの厚みT11とは、2つの長径部53aの平均厚みのことをいう。短径部53bの厚みT12とは、2つの短径部53bの平均厚みのことをいう。本実施形態では、長径部53aの厚みT11に対する短径部53bの厚みT12の割合も、0.9~1.1、好ましくは0.95~1.05である。なお、短径部53bの厚みT12に対する長径部53aの厚みT11の割合が0.9~1.1の範囲内であれば、長径部53aの厚みT11は、短径部53bの厚みT12と同じであってもよいし、短径部53bの厚みT12よりも薄くてもよいし、厚くてもよい。
【0056】
なお、本実施形態では、図7の第1かしめ工程S13~第3かしめ工程S15が行われた後、第3かしめ工程S15において段差53dが付けられた、かしめ部53の部分と、導電部材55とを溶接する。ここで、第1かしめ工程S13~第3かしめ工程S15において、端子50をかしめるときに、油を使用していた場合には、かしめ部53と導電部材55との溶接の前に、エアーブロー機などで油を除去するとよい。
【0057】
以上、本実施形態では、図7に示すように、二次電池10の製造方法は、第1準備工程S11と、第2準備工程S12と、第1かしめ工程S13と、第2かしめ工程S14とを包含する。第1準備工程S11では、図8Aに示すように、二次電池10の封口板40に形成された取付孔45に、オーバル形状かつ筒状の軸部54を有する端子50を、軸部54が封口板40から突出するように挿入する。第2準備工程S12では、取付孔45の周囲における封口板40の軸部54が突出している側の面に、導電部材55を配置する。第1かしめ工程S13では、図8Bに示すように、図9に示すようなオーバル形状の先端部101と、先端部101よりも径が大きい真円形状の基端部102とを有する、第1かしめ工具100を用いて、先端部101を端子50の軸部54に挿入し、基端部102で軸部54のうち封口板40から突出した部分の内径を押し広げる。第2かしめ工程S14では、図8Cに示すように、第1かしめ工程S13で軸部54の押し広げられた部分を、平らにプレスする。
【0058】
このことによって、図8Bに示すように、第1かしめ工具100におけるオーバル形状の先端部101で、オーバル形状の軸部54の内周面を均一に当て付けることができる。そして、第1かしめ工具100における真円形状の基端部102が軸部54に当て付けられることで、オーバル形状の長径方向D11に沿った軸部54の部分から外方に広げられるため、軸部54のかしめた部分の厚みのばらつきを抑えることができる。よって、端子50のかしめ強度を確保することができる。
【0059】
本実施形態では、図4に示すように、端子50は、導電部材55に対して、かしめられたオーバル形状のかしめ部53を有している。かしめ部53は、オーバル形状の長径方向D11に沿った長径部53aと、オーバル形状の短径方向D12に沿った短径部53bとを有している。長径部53aにおける短径方向D12の長さL1は、短径部53bにおける長径方向D11の長さL2よりも長い。ここでは、図7の第1かしめ工程S13において、図8Bに示すように、第1かしめ工具100の真円形状の基端部102によって、端子50のオーバル形状の軸部54が押し広げられる。このとき、最初に長径部53aになり得る部分が外方に広げられ、その後、短径部53bになり得る部分が外方に広げられる。その結果、長径部53aの長さL1が、短径部53bの長さL2よりも長くなる。よって、真円形状の基端部102で、オーバル形状の軸部54を押し広げることで、長径部53aの長さL1を、短径部53bの長さL2よりも長くすることができる。
【0060】
本実施形態では、短径部53bの厚みT12(図5参照)に対する長径部53aの厚みT11(図6参照)の割合が、0.9~1.1である。このことによって、かしめ部53の厚みのばらつきを抑えることができるため、かしめ強度を確保することができる。
【0061】
ところで、本願出願人は、以下の例1と例2の二次電池10の製造方法で、端子50の軸部54をかしめて、短径部53bの厚みT12に対する長径部53aの厚みT11の割合(T11/T12)を算出した試験を行った。
【0062】
<例1>
図8Bおよび図9に示すような第1かしめ工具100、すなわち先端部101がオーバル形状の第1かしめ工具100を用いて、端子50をかしめた。
【0063】
<例2>
第1かしめ工具100の先端部101の形状が真円形状である第1かしめ工具を用いて、端子50をかしめた。
【0064】
なお、例1および例2の両方において、第1準備工程S11、第2準備工程S12、第2かしめ工程S14および第3かしめ工程S15の手順は同じである。ここでは、例1による製造方法を10個の端子50に対して行い、計10回行った。そして、複数の端子50のそれぞれに対して、短径部53bの厚みT12に対する長径部53aの厚みT11の割合を算出した。同様に、例2による製造方法を10個の端子50に対して行い、計10回行った。そして、複数の端子50にそれぞれに対して、短径部53bの厚みT12に対する長径部53aの厚みT11の割合を算出した。その結果を、図10に示す。
【0065】
図10に示すように、例1のように、オーバル形状の先端部101を備えた第1かしめ工具100を使用して、端子50をかしめた場合、割合(T11/T12)は、0.9~1.1であった。例1における割合(T11/T12)の平均は、0.964であった。一方、例2のように、真円形状の先端部を備えた第1かしめ工具を使用して、端子50をかしめた場合、割合(T11/T12)は0.8~0.9であった。例2における割合(T11/T12)の平均は、0.864であった。これらのことから、オーバル形状の先端部101を備えた第1かしめ工具100を用いることで、割合(T11/T12)の値を1.0に近づけることができ、端子50のかしめ部53の厚みのばらつきを抑えることができることが分かる。
【0066】
本実施形態では、図8Bに示すように、第1かしめ工具100の基端部102は、先端部101に向かうにしたがって径が小さくなる縮径部分103を有している。図7の第1かしめ工程S13では、基端部102の縮径部分103で、軸部54のうち封口板40から突出した部分の内径を押し広げる。このことによって、封口板40から突出した軸部54の部分は、縮径部分103の径の大きさに応じて、徐々に内径が押し広げられることになる。よって、封口板40から突出した軸部54の部分を押し広げ易い。
【0067】
本実施形態では、二次電池10の製造方法は、図8Dに示すように、図7の第2かしめ工程S14で平らにプレスされた軸部54の押し広げられた部分の、オーバル形状の長径方向D11の周縁部に、段差53dを形成するようにプレスする第3かしめ工程S15(図7参照)を包含する。このことによって、段差53dが付けられた部分は、押圧された状態になるため、軸部54の段差53dが付けられた部分と導電部材55との間に隙間が形成され難くすることができる。よって、段差53dが付けられた部分で、導電部材55と溶接することで、適切に溶接を行うことができる。
【0068】
本実施形態では、電極体20は、正極シート21と負極シート22とセパレータ23とを積層した積層型の電極体であった。しかしながら、電極体20は、正極シート21と負極シート22とセパレータ23とを重ね合わせた状態で捲回させた捲回型の電極体であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 二次電池
30 ケース本体
40 封口板
45 取付孔
50 端子
53 かしめ部
53a 長径部
53b 短径部
54 軸部
55 導電部材
100 第1かしめ工具(かしめ工具)
101 先端部
102 基端部
103 縮径部分
S11 第1準備工程
S12 第2準備工程
S13 第1かしめ工程
S14 第2かしめ工程
S15 第3かしめ工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10