(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】スクリュースピンドルポンプによって流体を搬送する方法及びスクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 14/00 20060101AFI20240227BHJP
F04C 14/08 20060101ALI20240227BHJP
F04C 2/16 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F04C14/00 E
F04C14/08
F04C2/16 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021189796
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】10 2020 133 760.4
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515051102
【氏名又は名称】ライストリッツ プムペン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローランド・モーリシャフト
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03621967(DE,A1)
【文献】米国特許第06457950(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0230997(US,A1)
【文献】特開平08-100773(JP,A)
【文献】特表2018-501424(JP,A)
【文献】特開平10-281844(JP,A)
【文献】特開2017-025741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/08- 2/28
F04C 14/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュースピンドルポンプ(1)によって流体を搬送する方法であって、前記スクリュースピンドルポンプ(1)の少なくとも1つの駆動スピンドル(5)が非同期モータ(10)によって駆動され、
-前記非同期モータ(10)を第1の目標周波数(37)で動作させ、流体(45)として気液混合物が搬送され、前記第1の目標周波数(37)は、所定の最大動作電圧で弱界磁領域(40)が始まる前記非同期モータ(10)のコーナ周波数(41)よりも少なくとも10%、若しくは少なくとも20%大きく、
-前記流体(45)の液体割合に依存した測定量(46)が検出され、
-前記測定量(46)に依存した周波数変更条件(47)が満たされた後に、前記非同期モータ(10)を前記第1の目標周波数(37)に比べて低減された第2の目標周波数(38)で動作させ、前記第1の目標周波数(37)での前記非同期モータ(10)の動作にとって、前記流体(45)の液体割合が高すぎる場合に、前記周波数変更条件(47)が満たされる方法。
【請求項2】
前記測定量(46)は、前記非同期モータ(10)によって加えられるトルク、又は前記非同期モータ(10)に供給される交流電流(42)の電流強度、又は前記非同期モータ(10)の回転数に該当することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の目標周波数(37)から前記第2の目標周波数(38)への切替えが、前記周波数変更条件(50)が満たされた後に、時間インターバルにわたって連続的に、若しくは複数の段階で行われること、並びに/又は前記第1の目標周波数(37)から前記第2の目標周波数(38)への前記切替えが、前記測定量(46)を予め定められた値になるよう制御する制御回路(51)によって行われること、を特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の目標周波数(37)は、前記コーナ周波数(41)よりも最大30%、若しくは最大40%大きいこと、並びに/又は前記第2の目標周波数(38)は、前記コーナ周波数(41)以上であること、を特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
スクリュースピンドルポンプ(1)が使用され、前記スクリュースピンドルポンプは、少なくとも1つの流体入口(3)と流体出口(4)を形成する、かつ前記スクリュースピンドルポンプ(1)の前記少なくとも1つの駆動スピンドル(5)と、前記駆動スピンドル(5)と回転結合された少なくとも1つの従動スピンドル(6)とが収容されたハウジング(2)を有し、前記駆動スピンドル及び前記従動スピンドルが、前記駆動スピンドル(5)の各回転位置において前記ハウジング(2)と共同で複数のポンプチャンバ(7、8、9)を画定し、前記非同期モータによって前記駆動スピンドル(5)が駆動方向(11)に回転させられ、それによって、前記ポンプチャンバ(7、8、9)のうちの、最初に前記それぞれの流体入口(4)に向けて開いていたそれぞれのポンプチャンバが閉鎖され、その結果閉鎖されたポンプチャンバ(7、8、9)が前記流体出口(4)に向かって軸方向に移動され、そこで開放回転角度に達した場合に前記流体出口(4)に向けて開かれ、前記駆動スピンドル(5)は、少なくとも前記周波数変更条件が満たされる前に、所定のポンプジオメトリの前記スクリュースピンドルポンプ(1)において液体割合が限界値を下回る場合、前記それぞれのポンプチャンバ(7、8、9)内の圧力が、前記開放回転角度に達する前及び/又は達した場合に、前記それぞれの流体入口(3)の領域に存在する前記スクリュースピンドルポンプ(1)の吸込圧力に比べて、前記吸込圧力と前記流体出口(4)の領域の圧力との間の差圧の最大20%又は最大10%高くなるように駆動されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれの駆動スピンドル(5)及び従動スピンドル(6)のスクリュープロファイルは、駆動スピンドル(5)及び従動スピンドル(6)ごとの、前記流体入口(3)に対しても前記流体出口(4)に対しても閉鎖されている前記ポンプチャンバ(7、8、9)の数の平均値が前記駆動スピンドル(5)の360°の回転角度にわたって最大1.5となるように選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
一方で、前記使用されるスクリュースピンドルポンプ(1)のポンプジオメトリと前記第1の目標周波数(37)での目標回転数は、前記駆動スピンドル(5)若しくは前記駆動スピンドル(5)の少なくとも1つ、及び/又は前記従動スピンドル(6)若しくは前記従動スピンドル(6)の少なくとも1つのプロファイル外径(18)における周速度が少なくとも15m/sとなるように選択される、並びに/あるいは他方で、前記ポンプジオメトリと前記第1目標周波数での前記目標回転数は、前記それぞれのポンプチャンバ(7、8、9)の前記流体出口(4)に向かって軸方向に移動するときの軸方向速度が少なくとも4m/sとなるように選択されることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
流体を搬送するためのスクリュースピンドルポンプであって、前記スクリュースピンドルポンプは、前記スクリュースピンドルポンプ(1)の少なくとも1つの駆動スピンドル(5)と前記駆動スピンドルと回転結合された少なくとも1つの従動スピンドル(6)とが収容されたハウジング(2)と、前記駆動スピンドル(5)を駆動するための非同期モータ(10)と、前記非同期モータ(10)に給電するための制御装置(19)と、を有し、前記制御装置(19)が、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法を実行するように設定されている、スクリュースピンドルポンプ。
【請求項9】
前記ハウジング(2)が少なくとも1つの流体入口(3)と流体出口(4)を形成し、前記駆動スピンドル(5)及び前記従動スピンドル(6)が、前記駆動スピンドル(5)の各回転位置において前記ハウジング(2)と共同で複数のポンプチャンバ(7、8、9)を画定し、前記非同期モータ(10)は、前記駆動スピンドル(5)を駆動方向(11)に回転させるように設定され、それによって、前記ポンプチャンバ(7、8、9)のうちの、最初に前記それぞれの流体入口(3)に向けて開いていたそれぞれのポンプチャンバが閉鎖され、その結果閉鎖されたポンプチャンバ(7、8、9)が前記流体出口(4)に向かって軸方向に移動され、そこで開放回転角度に達した場合に前記流体出口(4)に向けて開かれ、前記それぞれの駆動スピンドル(5)及び従動スピンドル(6)
のスクリュープロファイルは、駆動スピンドル(5)及び従動スピンドル(6)ごとの、前記流体入口(3)に対しても前記流体出口(4)に対しても閉鎖されている前記ポンプチャンバ(7、8、9)の数の平均値が前記駆動スピンドル(5)の360°の回転角度にわたって最大1.5となるように選択されることを特徴とする、請求項8に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項10】
一方で前記駆動スピンドル(5)若しくは前記駆動スピンドル(5)の少なくとも1つ、及び/又は前記従動スピンドル(6)若しくは前記従動スピンドル(6)の少なくとも1つの前記スクリュープロファイルの内径(16)が、前記それぞれのスクリュープロファイル
の外径(18)の0.7倍未満である、並びに/あるいは他方で、前記駆動スピンドル(5)若しくは前記駆動スピンドル(5)の少なくとも1つ、及び/又は前記従動スピンドル(6)若しくは前記従動スピンドル(6)の少なくとも1つの前記スクリュープロファイルの外縁と、前記ハウジング(2)との間の平均周方向隙間(17)が前記それぞれのスクリュープロファイルの前記外径(18)の0.002倍未満であることを特徴とする、請求項9に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュースピンドルポンプによって流体を搬送する方法であって、スクリュースピンドルポンプの少なくとも1つの駆動スピンドルが非同期モータによって駆動される、方法に関する。それと並んで、本発明はスクリュースピンドルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュースピンドルポンプは、多くの分野で流体を搬送するために使用される。この場合、原油や石油などの純粋な液体媒体を搬送することができる。しかし搬送されるべきものが石油と天然ガスなどの気体と液体の混合物であることが多い。
【0003】
気体割合が比較的高い気液混合物を従来のスクリュースピンドルポンプで搬送する場合、気体圧縮は主に、すでに比較的高圧になっているポンプチャンバからの液体が前のポンプチャンバに逆流し、そこで気体を圧縮することで起こる。この場合、流体がまず比較的急峻な圧力勾配に向かって送られ、続いてより低い圧力の領域に少なくとも部分的に逆流することが不利である。これにより、典型的には、気体割合とはほとんど無関係の出力がポンプに要求される。したがって、気体割合が高い場合でも、純粋な液体を搬送する場合に行われるのと全く同じポンプの設計及び制御が行われる。
【0004】
対応するポンプの社内発展形態の範囲内で、ポンプジオメトリ及び回転数を適切に選択することによって、例えば90%以上の高い気体含有率の多相での動作においてスクリュースピンドルポンプが必要とする駆動出力を、純粋な液体輸送の場合よりも例えば25%低減することを達成できることがわかった。
【0005】
しかし多相混合物が搬送される多くの用途、例えば石油と天然ガスを一緒に搬送する分野では、プラグフローが生じる可能性があるため、一時的にほぼ100%の液体割合で流体を搬送する必要がある。しかし前述の発展形態は気体含有率が高い場合にのみ必要な駆動出力を低下させるので、結果としてこの種の用途においてエネルギーコストが顕著に削減される。しかし、スクリュースピンドルポンプが純粋な液体輸送のために十分な出力を提供するように非同期モータを設計する必要がある。したがって、多くの用途において、スクリュースピンドルポンプの駆動装置をより小さく寸法設定できるようにするため、及びそれによりスクリュースピンドルポンプの調達コストを下げるために、気体含有率の高い流体を輸送する場合にのみ必要な駆動出力を減らすというだけでは不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、スクリュースピンドルポンプを提供するためのコスト又は技術的複雑性を低減するという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、スクリュースピンドルポンプによって流体を搬送する方法であって、スクリュースピンドルポンプの少なくとも1つの駆動スピンドルが非同期モータによって駆動され、
-非同期モータを第1の目標周波数で動作させ、流体として気液混合物が搬送され、
-流体の液体割合に依存した測定量が検出され、
-測定量に依存した周波数変更条件(Frequenzanderungsbedingung)が満たされた後に、非同期モータを第1の目標周波数に比べて低減された第2の目標周波数で動作させる、方法によって解決される。
【0008】
後からさらに詳しく説明するように、特にスクリュースピンドルポンプの回転数が比較的高い場合に、気体含有率が高い流体を搬送するために必要な駆動出力を、純粋な液体を搬送するために必要な駆動出力に比べて低減することを達成することができる。比較的小型のポンプで十分に高い回転数を達成するために、いわゆる弱界磁領域(Feldschwachbereich)で非同期モータを動作させることが有利であり、この弱界磁領域では、非同期モータの巻線に通電するために使用される最大電圧が、コイルのインダクタンス及び使用される周波数にもとづいて、非同期モータの最大電流、したがって最大磁界強度を達成するのに十分でない。このことは、周波数変更条件が満たされた場合に目標周波数が低下し、その結果、磁界弱化が生じないか、少なくとも少なくなり、したがって同じ出力でより高いトルクを提供できることで、本発明による方法で利用される。したがって、非同期モータは、第1の目標周波数で、例えば少なくとも90%の高い気体割合、又はそれに対応して最大10%の液体割合の流体を搬送するのに十分に高いトルクを提供するように寸法設定され得る。測定量をもとにして、流体の液体割合が高すぎることが確認された場合、周波数変更条件を満たすことから、目標周波数を下げることができ、それによって液体割合がより高い流体、例えば純粋な液体を搬送するのに十分に高いトルクを提供することができる。したがって、非同期モータ及び/又はその電力供給部を、実質的に同じ吐出量(Forderleistung)で、本発明による周波数の低下なしに可能であるよりも小さく寸法設定することができる。
【0009】
それぞれの目標周波数は、非同期モータに給電するモータ制御部又は周波数変換器に提供され得る。目標周波数は、非同期モータの極対数に応じて、非同期モータの目標回転数を指定できる。非同期モータにスリップがあるにもかかわらず実際に目標回転数を達成するために、非同期モータに供給される交流電流の周波数を、例えば回転数フィードバック又は予め定められたオフセットにもとづき目標周波数よりも高くすることができる。あるいは、目標周波数を非同期モータに供給される交流電流の周波数として直接使用することもでき、それにより非同期モータの実際に達成される回転数が、スリップにもとづいて目標回転数よりもいくらか小さくなる。
【0010】
より低い第2の目標周波数での動作が基本的に測定量又は液体割合とは無関係に行われるという流体を搬送する代替的方法に比べて、本発明による方法によっていくつもの利点が達成される。一方で、周波数変更条件が満たされない間は第1の目標周波数を使用する結果として、非同期モータ、したがって駆動スピンドルの回転数が、第2の目標周波数での動作に比べて高くなり、したがって、スクリュースピンドルポンプの吐出量も高くなるが、その他は同じ設計である。このことは周波数変更条件が動作時間の一部の間だけ満たされる場合に特に有利であるが、それはこの場合、第1の目標周波数を一貫して使用し、それに対応して非同期モータの設計を適合させた場合とほぼ同じ搬送量が本発明による方法によって達成されるからである。例えば、液体プラグがごくまれに、又は短期間だけ搬送され、それ以外では気体割合が高い用途において、本発明による方法は、常に第1の目標周波数で動作する相応に大きく設計された非同期モータによって達成されるのとほとんど同じ吐出量を達成する。
【0011】
すでに説明したように、比較的高い回転数の使用は、純粋な液体を搬送する場合に比べて、気体割合が高い流体を搬送する場合に必要な駆動出力を特に格段に低減することを可能にする。したがって、使用される目標周波数、したがって回転数を持続的に低減することは、液体割合が非常に低い流体が動作時間の大部分にわたって搬送される場合、必要な出力に関して不利であろう。
【0012】
本発明による方法では、スクリュースピンドルポンプの動作中に、始動段階及び停止段階を別として、特に周波数変更条件が満たされた場合、又は満たされた後にのみ、目標周波数を第1の目標周波数に比べて低減することができる。測定量の検出及び周波数変更条件の検査は、殊に繰り返され、特に定期的に実行される。特に、第2の目標周波数への切替え後、又は周波数変更条件が満たされた後にも、測定量を引き続き監視することができ、さらなる周波数変更条件を評価することができ、周波数変更条件が満たされた場合、又は満たされた後に第1の目標周波数への再切替えが行われる。
【0013】
言い換えれば、制御装置は、非同期モータを第1の動作モードでは第1の目標周波数で、第2の動作モードでは第2の目標周波数で動作させ、測定量に依存して、すなわち特にその周波数変更条件又はさらなる周波数変更条件が満たされた場合に動作モードが切替えられる。
【0014】
非同期モータの動作のために使用される交流電流は、特に、三相電流又は相間で特に120°位相シフトする三相交流電流であり得る。この場合、非同期モータのさまざまな極が多相交流電流の異なった位相で通電される。
【0015】
測定量は、非同期機によって加えられるトルク、又は非同期機に供給される交流電流の電流強度、又は非同期機の回転数に該当し得る。搬送される流体中の液体割合が比較的高い場合、駆動スピンドルの回転、したがって非同期モータの回転が、比較的大きいブレーキトルクを打ち消す。このことは、まず駆動スピンドル、したがって非同期モータの制動をもたらし、これを回転数の監視によって認識することができる。
【0016】
同時に、この回転数の低下は、非同期機のスリップを大きくする。非同期機は、典型的には、転換点(Kipppunkt)よりも高い領域で動作するため、このようなスリップの増加は非同期機のトルクの増加につながり、したがって、より高い交流電流の電流強度、特により高い有効電流にもつながる。加えられたトルクは、例えばトルクセンサにより検出することができる。電流強度又は有効電流の強度は、電流センサによって検出できる。この場合、特に、周波数変換器、すなわち例えば電圧又は電流変換器が、多くの場合、すでに、例えば有効電流に比例する電圧などの電流強度に該当する情報を別個の出力に提供するということを利用でき、それによって、例えばそのような出力で取り出すことによって測定量を検出することができる。
【0017】
液体割合に依存する非同期機のパラメータに該当する測定量による液体割合の上記の間接的な検出に加えて、又はこれに代えて、例えば搬送される流体の電気伝導率、熱伝導率、温度伝導率、又は密度などの少なくとも1つの流体パラメータを測定量として直接検出及び評価することもできる。
【0018】
対応する流体量を検出するための手順は基本的に従来技術で知られており、本発明の方法において、液体割合を検知するため、又は周波数変更条件の範囲内で測定量として評価するために使用することができる。
【0019】
第1の目標周波数から第2の目標周波数への切替えは、周波数変更条件が満たされた後に、時間インターバルにわたって連続的に又は複数の段階で行うことができる。これに加えて、又はこれに代えて、第1の目標周波数から第2の目標周波数への切替えを、測定量を予め定められた値になるよう制御する制御回路によって行うことができる。目標周波数を連続的又は少なくとも複数段階で変化させることによって、スクリュースピンドルポンプのコンポーネントに強度の機械的負荷をもたらす可能性のあるトルクの突然の変化が回避される。例えば、目標周波数を、例えばマイクロコントローラによるデジタル信号処理によって指定することができ、マイクロコントローラは、周波数変更条件が満たされた場合に目標周波数を疑似的に連続してランプ状に変化させる。
【0020】
目標周波数を制御量として制御する制御回路として、一般的な制御器、例えば積分制御器又は比例積分制御器を使用することができる。対応する制御回路が第1の目標周波数を超えることができないように形成された場合、すなわち制御が第1の目標周波数で飽和する場合、周波数変更条件が満たされることは、第1の目標周波数を下回る、したがって制御挙動が飽和されていない制御器状態に相当する。制御回路の使用は、特に、実際の液体割合又はその評価に依存して、必要な加えられるトルクに関して、回転数を維持するのに適した目標周波数に制御することを可能にする。
【0021】
第1の目標周波数を、所定の最大動作電圧で弱界磁領域が始まる非同期機のコーナ周波数よりも少なくとも10%、又は少なくとも20%大きくすることができる。これに加えて、又はこれに代えて、第1の目標周波数は、コーナ周波数よりも最大30%、又は最大40%大きくすることができる。第1の目標周波数は、特にスクリュースピンドルポンプの制御動作で使用される。冒頭で説明したように、特に液体割合が低く、したがって気体割合が高い流体を搬送するために、比較的大きい回転数を使用すること、したがって非同期機を弱界磁領域で、すなわちタイプ点(Typ-Punkt)とも呼ばれるコーナ周波数よりも高い領域で動作させることが有利である。ただし、達成されるトルクは、コーナ周波数と目標周波数の商の2乗にほぼ比例し、それにより第1の目標周波数がコーナ周波数を超えすぎると、結果としてトルクが非常に小さくなるだろう。したがって、第1の目標周波数については上記の範囲が有利であることがわかった。
【0022】
これに加えて、又はこれに代えて、第2の目標周波数は、コーナ周波数以上であり得る。この第2の目標周波数の選択は、目標周波数をコーナ周波数よりも低くした場合、非同期モータに供給される電圧が低減されることになり、過剰な電流と、したがって非同期モータの起こり得る損傷とが回避されるため有利である。ただし、その結果、コーナ周波数よりも低い領域で、典型的にはトルクが一定になり、それによって目標周波数をコーナ周波数よりも下に低下させても、それ以上の利点が得られず、同時にスクリュースピンドルポンプの吐出量が減少するだろう。
【0023】
コーナ周波数又はタイプ点は、50Hz又は60Hzの電源の周波数に相当し得るので、結果として、例えば極対(Poolpaare)が2つの場合に電源動作時に同期回転数が1500rpm又は1800rpmになるだろう。次に、動作点又は第1の目標周波数を、例えば70Hzとして選択することができ、その結果、通常動作時、すなわち液体割合が高すぎない場合に同期回転数が2100rpmとなる。
【0024】
本発明による方法では、スクリュースピンドルポンプを使用することができ、スクリュースピンドルポンプは、少なくとも1つの流体入口と流体出口を形成する、かつスクリュースピンドルポンプの少なくとも1つの駆動スピンドルと、駆動スピンドルと回転結合された少なくとも1つの従動スピンドルとが収容されたハウジングを有し、駆動スピンドル及び従動スピンドルが、駆動スピンドルの各回転位置においてハウジングと共同で複数のポンプチャンバを画定し、非同期機によって駆動スピンドルが駆動方向に回転させられ、それによって、ポンプチャンバのうちの、最初にそれぞれの流体入口に向けて開いていたそれぞれのポンプチャンバが閉鎖され、その結果閉鎖されたポンプチャンバが流体出口に向かって軸方向に移動され、そこで開放回転角度に達した場合に流体出口に向けて開かれ、駆動スピンドルは、少なくとも周波数切替条件(Frequenzwechselbedingung)が満たされる前に、所定のポンプジオメトリのスクリュースピンドルポンプにおいて液体割合が限界値を下回る場合、それぞれのポンプチャンバ内の圧力が、開放回転角度に達する前及び/又は達した場合に、それぞれの流体入口の領域に存在するスクリュースピンドルポンプの吸込圧力に比べて、吸込圧力と流体出口の領域の圧力との間の差圧の最大20%又は最大10%高くなるように駆動される。このことは、例えば1%又は3%又は5%又は10%又は15%の液体割合の限界値まで、又はこれらの値間の限界値まで当てはまり得る。
【0025】
ポンプジオメトリ及び/又はポンプの回転数を適切に適合させることにより、ポンプチャンバ間に残った隙間を通る流体の逆流を、スクリュースピンドルポンプによって生成される圧力上昇の大部分が、それぞれのポンプチャンバが流体出口に向けて開いた後に初めて生じるようにまでに低減できることが認識された。この場合、回転数が十分であるか、又はポンプジオメトリが適切な場合、少なくともおおよそ、流体出口の領域にすでにある液体は、その慣性にもとづいて、開きつつあるポンプチャンバに実質的に流入するのではなく、その代わりに、この液体をほぼ剛性壁とみなすことができ、この壁に向かって気液混合物が圧縮されると考えることができる。したがって、開きつつあるチャンバ内の流体が高い気体割合を有する限り、ハウジングの剛性壁に向かって気体を搬送する気体圧縮機を用いたときと同様に良好な効率が達成される。しかし、この気体圧縮機とは対照的に、液体割合が非常に高い流体、又は純粋な液体を搬送することもできる。
【0026】
開放回転角度に達する前には、それぞれのポンプチャンバは、公差にもとづく偏差を別として、流体入口に対して、又は流体入口の方向で隣接するポンプチャンバに対して、及び流体出口に対して等しく密封されている。したがって、両方向の流体交換は、実質的にポンプの径方向及び軸方向の隙間を介してのみ可能である。開放回転角度に達した場合のポンプチャンバの流体出口に向く開放は、ポンプチャンバを形成するそれぞれのスピンドルのねじ山、又は流体出口に向かうそれぞれのねじ山を画定する壁が、スピンドルの回転角度に依存した特定の角度位置で終わることによるものである。このことは、特定の限界角度から、この壁と、ポンプチャンバを画定するもう1つのスピンドルとの間に周方向の隙間が生じることをもたらす。ポンプチャンバは、周方向のこの隙間によって流体出口に向けて開かれる。したがって、開放回転角度は、軸方向隙間又は径方向隙間に加えて、周方向の隙間が生じ始める角度として定義することができる。あるいは、開放回転角度を、ポンプチャンバと流体出口との間の流体交換を可能にする流れ断面により定義することができる。この流れ断面が、閉鎖されたポンプチャンバに比べて50%又は100%又は200%拡大される場合、この限界値への到達を開放回転角度への到達と定義することができる。
【0027】
使用されるスクリュースピンドルポンプは、単流型又は複流型であり得、すなわち1つの流体入口、又は軸方向に向かい合う2つの流体入口を有することができる。スクリュースピンドルポンプは2つ、3つ、又はそれ以上のスピンドルを有することができる。個々のスピンドルは、例えば2条であり得る。ただし、個々の、又はすべてのスピンドルは、単条又は3条でもあり得、あるいはそれ以上の条数を有することができる。
【0028】
それぞれの駆動スピンドル及び従動スピンドルのスクリュープロファイルは、駆動スピンドル及び従動スピンドルごとの、流体入口に対しても流体出口に対しても閉鎖されているポンプチャンバの数の平均値が駆動スピンドルの360°の回転角度にわたって最大1.5となるように選択され得る。例えば、正確に1つの駆動スピンドルと正確に1つの従動スピンドルが使用される場合、平均して最大3つのポンプチャンバを完全に閉じることができる。平均値は、例えば360°の角度にわたる駆動スピンドルのそれぞれの回転角度で閉じられるチャンバの数を積分し、続いてその結果を360°で割ることによって求めることができる。回転数が一定の場合、これは駆動スピンドルの回転周期で同時に閉じられたポンプチャンバの数の積分、及び回転周期による除算に相当する。
【0029】
液体を搬送するためのスクリュースピンドルポンプでは、典型的には、軸方向に連続する比較的多数のポンプチャンバを使用することが望ましいが、本発明の範囲内で、スクリュープロファイルの長さを短くして、最大限同時に閉じられる比較的少数のチャンバを使用することによって、個々のポンプチャンバの容積がより大きくなることが認識された。したがって、ポンプ隙間を通って逆流する液体が同量であることにより、気体割合のために残っている容積の相対的変化が小さくなり、それによって気体圧縮が少なくなり、それに伴いポンプチャンバが流体出口に向けて開放する前の圧力上昇が少なくなる。
【0030】
使用されるスクリュースピンドルポンプのポンプジオメトリと第1の目標周波数での目標回転数は、駆動スピンドル若しくは駆動スピンドルの少なくとも1つ、及び/又は従動スピンドル若しくは従動スピンドルの少なくとも1つのプロファイル外径における周速度が少なくとも15m/sとなるように選択される。これは、特にすべての駆動スピンドル及び従動スピンドルに当てはまり得る。周速度は、プロファイル外径、目標回転数、円周率の積として計算することができる。目標回転数は目標周波数に比例することができ、比例定数は非同期機の極対数によって指定される。したがって、特に高回転数又は大きいプロファイル外径を使用した場合に上記の条件を達成することができる。それによって、隙間を通って逆流する液体の気体圧縮への寄与を低減することができ、それによって高い気体割合でより高い効率を達成することができる。
【0031】
これに加えて、又はこれに代えて、ポンプジオメトリと第1目標周波数での目標回転数は、それぞれのポンプチャンバの流体出口に向かって軸方向に移動するときの軸方向速度が少なくとも4m/sとなるように選択され得る。軸方向速度は、それぞれのスピンドルの1つのねじ山又は複数のねじ山のピッチと回転数とに依存する。言い換えれば、高い軸方向速度は、高回転数及び/又は高ピッチ若しくは比較的長いポンプチャンバによって達成することができる。これらのすべてのファクタは、ポンプチャンバ内の圧力に対する逆流する液体の影響の低減、したがって上記の効率の向上につながる。
【0032】
本発明による方法と並んで、本発明は、流体を搬送するためのスクリュースピンドルポンプであって、スクリュースピンドルポンプは、スクリュースピンドルポンプの少なくとも1つの駆動スピンドルと駆動スピンドルと回転結合された少なくとも1つの従動スピンドルとが収容されたハウジングと、駆動スピンドルを駆動するための非同期モータと、非同期モータに給電するための制御装置と、を有し、制御装置が、本発明による方法を実行するように設定されている、スクリュースピンドルポンプに関する。特に、制御装置は、非同期モータを第1の動作状態では第1の目標周波数で、第2の動作状態では第2の目標周波数で動作させる。制御装置は、上述した内部又は外部センサにより測定量を検出することができ、測定量に応じて第1動作モード又は第2動作モードで(非同期モータを)動作させることができる。特に、測定量に依存する周波数変更条件が満たされた場合、又は満たされた後に第2の動作モードへの切替えを行うことができる。
【0033】
本発明によるスクリュースピンドルポンプを、本発明による方法について説明された特徴と、そこに挙げられた利点とを備えて発展させることができ、その逆もまた同様である。
【0034】
特に、ハウジングは、少なくとも1つの流体入口と流体出口を形成することができ、駆動スピンドル及び従動スピンドルが、駆動スピンドルの各回転位置においてハウジングと共同で複数のポンプチャンバを画定し、非同期機は、駆動スピンドルを駆動方向に回転させるように設定され、それによって、ポンプチャンバのうちの、最初にそれぞれの流体入口に向けて開いていたそれぞれのポンプチャンバが閉鎖され、その結果閉鎖されたポンプチャンバが流体出口に向かって軸方向に移動され、そこで開放回転角度に達した場合に流体出口に向けて開かれ、それぞれの駆動スピンドル及び従動スピンドルのスクリュープロファイルは、駆動スピンドル及び従動スピンドルごとの、流体入口に対しても流体出口に対しても閉鎖されているポンプチャンバの数の平均値が駆動スピンドルの360°の回転角度にわたって最大1.5となるように選択される。
【0035】
本発明によるスクリュースピンドルポンプでは、一方で駆動スピンドル若しくは駆動スピンドルの少なくとも1つ、及び/又は従動スピンドル若しくは従動スピンドルの少なくとも1つのスクリュープロファイルの内径が、それぞれのスクリュープロファイルの外径の0.7倍未満であり得、並びに/あるいは他方で、駆動スピンドル若しくは駆動スピンドルの少なくとも1つ、及び/又は従動スピンドル若しくは従動スピンドルの少なくとも1つのスクリュープロファイルの外縁と、ハウジングとの間の平均周方向隙間がそれぞれのスクリュープロファイルの外径の0.002倍未満であり得る。内径と外径の差が比較的大きいため、ポンプチャンバの容積を大きくすることができ、それによって逆流する液体が同じ量になり、それによりポンプチャンバ内の圧力上昇が少なくなり、それに伴い流体の気体割合が高い場合に必要な出力が低くなる。これに加えて、又はこれに代えて、比較的狭い隙間は逆流する流体の量を制限することができ、したがって、高い気体割合で流体を輸送する場合の高効率にも寄与することができる。特に、周方向隙間の長さに沿う周方向隙間の幅の平均値を平均周方向隙間と見なすことができる。これに加えて、スピンドルの回転に伴う周方向隙間の変動を考慮に入れるために、360°の駆動スピンドルの回転にわたって平均化を行うことができる。
【0036】
本発明のさらなる利点及び詳細は、以下に説明する実施例から、及び付属の図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明によるスクリュースピンドルポンプの一実施例の図である。
【
図2】
図2は、2つの非同期モータの目標周波数依存出力及びトルクの図である。
【
図3】
図3は、本発明による方法の一実施例のフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1に示されたスクリュースピンドルポンプの詳細図である。
【
図5】
図5は、
図1に示されたスクリュースピンドルポンプの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、流体45を流体入口3から流体出口4に搬送するためのスクリュースピンドルポンプ1を模式的に示す。流体45を搬送するために、非同期モータ10によって駆動される駆動スピンドル5と、伝動装置26を介して駆動スピンドルと結合された従動スピンドル6とが、スクリュースピンドルポンプ1のハウジング2内に配置されている。明確にするために、単流型の、すなわち1つの流体入口3のみを有していて従動スピンドル6が1つだけ使用される比較的簡単な形式のスクリュースピンドルポンプ1が示される。ただし、以下の説明は、多流型スクリュースピンドルポンプ、又は2つよりも多いスピンドルを備えた、例えば複数の従動スピンドル若しくはそれどころか複数の駆動スピンドルを備えたスクリュースピンドルポンプにも適用され得る。
【0039】
一般的なスクリュースピンドルポンプでは、上記の概要の部分ですでに説明したように、液体及び気体を輸送するために、非同期モータ10の少なくともほぼ等しいトルク、したがって等しい出力が必要とされる。そのような一般的な設計のスクリュースピンドルポンプのトルク31又は出力32と回転数との関係が
図2に示されている。そこでは、X軸は1分あたりの回転(rpm)の単位で回転数を示し、左側のY軸28は、ニュートンメートル(Nm)の単位でトルクを示し、右側のY軸29は、キロワット(kW)の単位で出力を示す。
【0040】
後から
図4及び
図5を参照してさらに説明されるように、対応するポンプの改良の範囲内で、スクリュースピンドルポンプ1のポンプジオメトリ及び回転数を適切に選択することによって、流体45を搬送する場合に、高い気体割合、したがって低い気体割合で、必要なトルクが格段に低くなることを達成できることが確認された。したがって、高い気体割合の流体45を搬送するために、比較的小さなサイズの非同期モータ10を使用することができる。
図2において、この比較的小さなサイズの非同期モータ10についても、X軸27にプロットされた回転数と、達成されるトルク34又は必要な出力35との関係がプロットされている。
図2にプロットされた回転数は、それぞれの目標回転数である。さらに、
図2において、それぞれの目標周波数37、38で達成された目標回転数が示されている。例えば、2つの極対を有する非同期機10が使用される場合、70Hzの第1の目標周波数37は、2100rpmの目標回転数に相当する。
【0041】
次いで、スクリュースピンドルポンプ1は、例えば2100rpmの目標回転数、したがって対応する搬送量用に設計され、その際、高い気体割合の流体が輸送されると仮定した場合、その結果として、液体輸送のために必要となるであろう必要トルク30の代わりに必要トルク33が生じる。それに対応して、非同期機10の必要とされる出力も少なくなり、ジオメトリ、回転数、及び液体割合に応じて、純粋な液体輸送の場合の出力32の最大25%の出力差36を達成することが可能である。
【0042】
多相混合物を輸送する場合、典型的には、均一な混合物を想定することはできないため、スクリュースピンドルポンプ1は、最大100%の液体割合の流体45を少なくとも一時的に輸送できるように設計されていなければならない。最も単純なケースでは、第1の目標周波数37が使用される場合に、純粋な液体も搬送できるようにするのに十分に高いトルク30を提供できるように非同期機10を設計することが可能である。この場合、比較的低い出力で高い気体割合の流体45を搬送する可能性は、エネルギー必要量、したがってスクリュースピンドルポンプ1の運転コストを低減するかもしれないが、非同期モータ10を、これまでと同様に、純粋な液体輸送のために用いられるスクリュースピンドルポンプ用のものと同じ寸法にしなければならないため、技術的複雑さと調達コストは変わらないままであろう。
【0043】
より小さいサイズの非同期モータ10も使用できるようにするために、スクリュースピンドルポンプ1において、
図3を参照して以下に説明する制御方法を実装する非同期機10に交流電流42を提供する制御装置19を代わりに使用する。
【0044】
この場合、工程S1において、非同期モータ10はまず第1の目標周波数37で動作される。この場合、この方法の説明の範囲内で、まず、比較的高い気体割合の気液混合物が送られ、それにより達成されるトルク33は、所望の回転数を維持するのに十分であると想定される。
【0045】
交流電圧42を提供するために、例えば、提供された交流電流43、特に三相電流は、直流電流44を提供するために、まず整流器20によって整流され得、続いてこの直流電流はインバータ21によって交流電流42に、特に同様に三相電流に変換される。インバータ21は、例えば、パルス幅変調を用いて、目標周波数のより広い周波数範囲にわたって交流電圧42を提供することができ、かつ電圧振幅を変化させることもできる。したがって、工程S1の手順は、電源電圧とは異なる目標周波数が所望されると直ちに、非同期モータに交流電流を提供するための一般的な手順に相当する。
【0046】
工程S2において、測定及び制御要素22によって、流体の液体割合に依存する測定量46が検出される。流体45の液体割合が増加すると、このことが駆動スピンドル及び従動スピンドル5、6、したがって非同期機10に対してより大きいブレーキトルクをもたらし、それによって非同期機10の回転数が低下する。このことはまた、より大きなスリップをもたらし、したがって、少なくとも非同期機の転換点にまだ達していない限りで、非同期機10によって提供されるより高いトルク及び非同期機10に供給される交流電流のより高い電流強度をもたらす。
【0047】
したがって、適切な測定量を検出する簡単な可能性は、交流電流42の電流強度を測定する電流センサ23である。
図1において、この電流センサは、わかりやすく示すために別のコンポーネントとして示されている。しかし、多くの場合、インバータ21又は一般に交流電流42を提供する周波数変換器は、出力信号、特に電流強度に比例する電圧をすでに提供することができるので、測定量を、例えば、この電圧のアナログ-デジタル変換によって検出することができる。
【0048】
これに代えて、測定量として、例えば、駆動軸の領域に配置されたセンサ24により回転数若しくはトルク、又は例えば流体45の電気伝導率又は温度伝導率を測定する流体センサ25の測定値を検出することもできるかもしれない。
【0049】
工程S3において、測定量46に依存する周波数変更条件47が評価される。例えば、測定量が予め定められた限界値を上回るか、又は下回る場合に周波数変更条件が満たされ得る。例えば、非同期機によって加えられるトルク、若しくは非同期機に供給される交流電流の電流強度が限界値を超える場合、又は非同期機の実際回転数が限界値を下回る場合、周波数変更条件47が満たされ得る。周波数変更条件47が満たされない場合、方法を工程S1から繰り返すことができ、特に、測定量の検出及び周波数変更条件の検査を定期的に繰り返すことができる。
【0050】
これに対して、周波数変更条件47が満たされた後、工程S4において、非同期モータ10は、第1の目標周波数37に比べて低減された第2の目標周波数38で動作される。トルクが突然変化することを回避するために、目標値周波数の変更を時間インターバル50で行うことができる。
図2に示されるように、より低い第2の目標周波数38を使用することによって、示される例では、純粋な流体輸送の場合に最初に2100rpmの回転数を使用したときに必要となるであろうトルク30に相当するトルク39を達成することができる。この場合、簡単にするために、回転数を維持するために必要なトルクが回転数に依存しないと仮定される。スクリュースピンドルポンプでは、低すぎない回転数で比較的低い回転数を維持するために、典型的には比較的低いトルクも必要であり、それにより第2の目標周波数38は、
図2に示されるよりもわずかに高くなるようにも選択することができるかもしれない。
【0051】
第1及び第2の目標周波数37、38は、非同期機10の弱界磁領域40、すなわち制御装置19によって提供され得る、又は非同期機10に供給されることが許される最大動作電圧が制限されることにより、非同期機10のコイルにおいて最大電流、したがって最大磁界強度に到達しなくなる領域にあるために、上記の必要に応じたトルク増加が可能である。高い気体割合の流体を輸送するための高効率を達成するために、駆動スピンドル及び従動スピンドル、したがって非同期機10の比較的高い回転数を利用することが有利である。同時に小型のポンプを実現するために、典型的には、いずれにしても、スクリュースピンドルポンプの通常の動作中に、弱界磁領域40の、すなわち非同期機10のコーナ周波数41よりも高い目標周波数を利用することが有利である。示されている例では、上記の効果を格段に際立たせるために、コーナ周波数41よりも約40%高い第1の目標周波数37が使用される。上記の手順を実際に実現する場合、具体的な用途に応じて、典型的には、コーナ周波数41よりも20~30%高い第1の目標周波数37が目的に合っている。
【0052】
第2の目標周波数38で、したがってより低い回転数で交流電流42を用いた非同期機10の動作は、典型的には、例えば液体プラグが送られる間などに一時的にのみ行われるべきである。したがって、工程S5において、流体の液体割合に依存した測定量48が新たに検出される。この場合、測定量46について説明されたのと同じ量が検出され得る。
【0053】
工程S6において、さらなる周波数変更条件49が評価され、この周波数変更条件が満たされた場合に、第1の目標周波数37に戻す切替えが行われ、したがって、工程S1の方法が続行される。これに対して、さらなる周波数変更条件が満たされない場合、方法は工程S4から繰り返される。
【0054】
例えば周波数変更条件の範囲内で言及された限界値比較の代わりに、制御回路51が、測定量46を予め定められた値になるよう制御しようとする測定及び制御要素22の部分として使用されることで上記の方法を改変することもでき、目標周波数37、38は制御値として用いられる。この場合、例えば飽和要素が提供されることにより、第1の目標周波数を超えることができないように制御量を制限することができる。この場合、周波数変更条件が満たされないことは、制御回路51の飽和に相当する。したがって、制御の飽和領域を離れない限り、第1の目標周波数が制御量として出力される。
【0055】
図4及び
図5は、液体割合が低い気液混合物である流体を搬送する場合、液体を輸送する場合よりも格段に少ない出力、例えば25%少ない出力を必要とするスクリュースピンドルポンプの異なった詳細図を示す。この場合、
図4は、スクリュースピンドルポンプ1の駆動スピンドル5及び従動スピンドル6の斜視図を模式的に示し、明確にするためにハウジングは示されていない。
図4は、特に、駆動スピンドル5及び従動スピンドル6のスクリュープロファイルの形状、ならびにスクリュープロファイルの噛み合いを示している。
図5は、
図2に示される断面を越えて延在することから、
図4にも示されている複数の別々のポンプチャンバ7、8、9を形成するための、特に、駆動スピンドル5及び従動スピンドル6とハウジング2との協働が見て取れる端面を示す。
【0056】
図1を参照して既に説明したように、従動スピンドル6は、結合装置26によって駆動スピンドル5と回転結合され、この例では、1:1の伝達比が想定されている。したがって、駆動軸5が非同期モータ10によって駆動方向11に駆動されると、従動スピンドル6は反対の回転方向12で同じ回転数で回転する。回転数は、制御装置19によって上述した目標周波数37、38を選択することにより予め定められる。
【0057】
駆動スピンドル5と従動スピンドル6のスクリュープロファイルの噛み合いによって、ハウジング2内の流体が複数の別々のポンプチャンバ7、8、9に収容される。ポンプチャンバ7、8、9の分離又は閉鎖は、ハウジング2と駆動スピンドル5又は従動スピンドル6との間の径方向隙間17にもとづいて、及び残った軸方向隙間にもとづいて、ハウジングと駆動スピンドル又は従動スピンドルとの間で噛み合うスクリュープロファイルが完全に密にはならず、ポンプチャンバ7、8、9間での漏れとみなすこともできるある程度の流体交換を可能にする。
【0058】
図4に示す駆動スピンドル5及び従動スピンドル6の回転位置では、
図1の駆動スピンドル5のねじ山の壁15の自由端13が上方に向けられ、それによりこの自由端13と従動スピンドル6との間に周方向の隙間が残るので、ポンプチャンバ7が流体入口3に向けて開いていて、隙間を通って流体がポンプチャンバ7と流体入口3との間を流れることができる。それに対応して、
図4において外面に点が付されることにより示されたポンプチャンバ8が流体出口4に向けて開いている。なぜなら、このポンプチャンバを区切る壁15の自由端14が、回転位置にもとづいてこの場合も従動スピンドル6から離間し、したがって、流体が流れることができる径方向隙間を形成するからである。ポンプチャンバ9は、流体入口3に関しても流体出口4に対しても閉鎖されている。
【0059】
駆動スピンドル5が駆動方向11に駆動されると、壁15の自由端13がまず従動コイル6に向かって移動し、したがって、最初に開いたポンプチャンバ7が閉じられる。次に、さらに回転させると、閉鎖されたポンプチャンバが流体出口4に向かって変位する。次いで、特定の開放回転角度に達した場合、ポンプチャンバは流体出口4に向けて開かれ、90°回転して開放回転角度に達した後に、結果としてポンプチャンバ8のための
図1において示される配置となり、この配置では、すでに、自由端14と従動スピンドル6との間に特定の幅を有する周方向の隙間が生じる。
【0060】
高い気体割合の気液混合物を搬送する場合、移送時の気体圧縮が主に流体が流体出口又は下流のポンプチャンバから閉鎖されたポンプチャンバへ逆流し、そこで気体を圧縮することによってではなく、気体の圧縮、したがってポンプチャンバ7、8、9内の圧力上昇が実質的にそれぞれのポンプチャンバが流体出口4に向けて開放して初めて行われることによって行われることが達成される場合に電力消費量を著しく低減できることが分かった。示されている例では、このことは一方で適切なポンプジオメトリを選択することによって、他方で十分に高い回転数を使用することによって達成される。これにより、開放回転角度に達する前、又は達した場合、それぞれのポンプチャンバ7、8、9内の圧力が、流体入口3の領域に存在するスクリュースピンドルポンプ1の吸引圧力に比べて、吸引圧力と流体出口4の領域の圧力との差圧の数パーセントしか増加しないことを達成することができる。例えば、開いた場合、ポンプチャンバ内の圧力は、吸引圧力を上回る差圧の最大10%又は最大20%であり得る。
【0061】
上記の挙動は、基本的に、一般的なポンプジオメトリでも十分に高い回転数を選択することだけで達成することができ、必要な高い回転数は、場合によってはポンプの高負荷又は高摩耗につながる可能性がある。したがって、スクリュースピンドルポンプ1は、比較的低い回転数、例えば1000rpm又は1800rpmでも上記の挙動を達成することができる特殊なポンプジオメトリを使用する。特に、スクリュースピンドルポンプで一般的な軸方向に連続する複数のポンプチャンバの使用の代わりに、比較的少数のポンプチャンバ又は駆動スピンドル5及び従動スピンドル6のねじ山の回転が使用される。
図4に示される回転位置では、正確に1つのポンプチャンバ9のみが流体入口3に対しても流体出口4に対しても閉鎖されている。この場合、壁15の自由端13、14の具体的な幾何学的形態に応じて、駆動スピンドル5及び従動スピンドル6の回転状態とは無関係に、示された例では、最大1つ又は最大2つのポンプチャンバが同時に閉鎖されることになる。
【0062】
軸方向に連続する比較的少数のポンプチャンバを使用することによりすでに、個々のポンプチャンバの比較的大きい容積が達成され、それによって隙間を通ってそれぞれのポンプチャンバに逆流する同じ量の液体がポンプチャンバ内の圧力に及ぼす影響が比較的少なくなる。これに加えて、ポンプチャンバ7~9の大きい容積を達成するために、特に
図5にはっきりと見て取れるように、駆動スピンドル及び従動スピンドル5、6のスクリュープロファイルの内径16が、それぞれのスピンドルの外径18よりも格段に小さく、例えば約ファクタ2だけ小さいことが有利である。
【0063】
ハウジング2と駆動スピンドル5又は従動スピンドル6のそれぞれの外径18との間の十分に狭い径方向隙間17を使用することにより、それぞれのポンプチャンバ7、8、9に逆流する液体の量もさらに減らすことができる。例えば、径方向隙間25は、外径18の千分の2よりも狭くすることができる。
【0064】
上述のように、スクリュースピンドルポンプ1のポンプジオメトリと十分に高い回転数とが協働して上記の効果が達成される。この場合、回転数は、所定のポンプジオメトリで、流体出口4へのそれぞれのポンプチャンバ7、8、9の移動の軸方向速度が少なくとも4m/sであるように、及び/又は駆動スピンドル5若しくは従動スピンドル6の外側プロファイル18における周速度が少なくとも15m/sになるように選択されるべきである。