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特許7443327ノズルシステム、粉体吹き付け装置、及び、ノズルシステムを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ノズルシステム、粉体吹き付け装置、及び、ノズルシステムを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/02 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61C17/02 G
A61C17/02 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021503797
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019071217
(87)【国際公開番号】W WO2020030691
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】18188331.5
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500000485
【氏名又は名称】フェルトン ホールディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ferton Holding SA
【住所又は居所原語表記】rue Saint Maurice 34 CH-2800 Delemont,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】フローラン ベアニ
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ドネ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム フルニエ
(72)【発明者】
【氏名】カリーヌ ソバージョ=マキシ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ピシャ
(72)【発明者】
【氏名】ティアゴ ベルトローテ
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-093080(JP,A)
【文献】特表2005-511127(JP,A)
【文献】特開2013-146850(JP,A)
【文献】特開昭58-38545(JP,A)
【文献】米国特許第3982605(US,A)
【文献】米国特許第4449332(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/02
B05B 7/14
B24C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体吹き付け装置のノズルシステム(1)であって、
粉体-ガス混合物流(21)を搬送方向(T)に沿って搬送する第1のノズル要素(10)、及び、
第2のノズル要素(20)であって、前記第1のノズル要素(10)と前記第2のノズル要素(20)との間に少なくとも1つのチャネル(25)が形成されるように、前記第1のノズル要素(10)を囲み、前記チャネル(25)は、液体流(22)を搬送するために設けられ、前記第1のノズル要素(10)及び前記第2のノズル要素(20)は、動作時に、前記第1のノズル要素(10)によって噴射される前記粉体-ガス混合物流(21)が、前記ノズルシステム(1)の出力流(2)を形成するように、前記チャネル(25)によって噴射される前記液体流(22)により包み込まれるよう配置される、第2のノズル要素(20)、を備え、
前記第1のノズル要素(10)は、第1の断面を有する加速部分(11)、及び、第2の断面を有する拡散部分(12)を有し、
前記拡散部分(12)は前記加速部分(11)の下流に配置され、
前記第1の断面は前記搬送方向(T)に沿って延在する方向に一定であり、及び/又は、前記第2の断面は前記搬送方向(T)に沿って延在する方向に少なくとも部分的に一定であり、
前記第2の断面は前記第1の断面よりも大きく、
前記液体流(22)は、前記チャネル(25)から出力面(23)を介して噴射され、前記チャネル(25)は、前記粉体-ガス混合物流(21)を包み込む前記液体流(22)が液滴によって形成されるように構成され、
前記出力面(23)は第4の断面を有し、前記第4の断面は、0.1mm~0.9mm又は0.3mm~0.6mmは0.3mm~0.4mmのサイズを有することを特徴とする、
粉体吹き付け装置のノズルシステム。
【請求項2】
ノズルシステム(1)であって、前記第1の断面は、前記搬送方向(T)に対して垂直に測定される第1の幅(W1)を有し、第2の断面は、前記搬送方向(T)に対して垂直に測定される第2の幅(W2)を有し、前記第2の幅(W2)は、前記第1の幅(W1)よりも最大で3倍、は最大で2.5倍、は最大で2倍、又は1.5倍大きく、及び/又は、前記第1の幅(W1)は、0.1mm~2.5mm、は0.25mm~1.5mm、は0.6mmの幅を有することを特徴とする、請求項に記載のノズルシステム。
【請求項3】
ノズルシステム(1)であって、前記第1のノズル要素(10)は収集部分(13)を備え、前記収集部分(13)は、前記加速部分(11)の上流に配置され、前記収集部分(13)は、前記搬送方向(T)に沿って少なくとも部分的に一定である第3の断面を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズルシステム。
【請求項4】
ノズルシステム(1)であって、前記第1の断面は、前記搬送方向(T)に対して垂直に測定される第1の幅(W1)を有し、前記第3の断面は前記第1の断面よりも大きく、
前記第3の断面の第3の幅(W3)は、前記第1の幅(W1)よりも最大で3倍、は最大で2倍、は最大で1.6倍、1.2倍大きく、前記第1の幅(W1)は、0.1mm~2.5mm、は0.25mm~1.5mm、は0.6mmの幅を有することを特徴とする、請求項に記載のノズルシステム。
【請求項5】
ノズルシステム(1)であって、遷移領域又は前記拡散部分(11)における前記第1のノズル要素(10)の内側の湾曲(14)は、段状及び/又は円錐状の形状を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項6】
ノズルシステム(1)であって、前記加速部分(11)は、前記搬送方向(T)に沿って測定される第1の長さ(L1)を有し、前記拡散部分(12)は、前記搬送方向(T)に沿って測定される第2の長さ(L2)を有し、前記第2の長さ(L2)は、前記第1の長さ(L1)よりも0.5倍~3.5倍、は1.1倍~2倍、は1.3倍~1.8倍長いことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項7】
粉体吹き付け装置のノズルシステム(1)であって、
粉体-ガス混合物流(21)を搬送方向(T)に沿って搬送する第1のノズル要素(10)、及び、
第2のノズル要素(20)であって、前記第1のノズル要素(10)と前記第2のノズル要素(20)との間に少なくとも1つのチャネル(25)が形成されるように、前記第1のノズル要素(10)を囲み、前記チャネル(25)は、液体流(22)を搬送するために設けられ、前記第1のノズル要素(10)及び前記第2のノズル要素(20)は、動作時に、前記第1のノズル要素(10)によって噴射される前記粉体-ガス混合物流(21)が、前記ノズルシステム(1)の出力流(2)を形成するように、出力面(23)を介して前記チャネル(25)によって噴射される前記液体流(22)により包み込まれるよう配置され、前記出力面(23)は第4の断面を有し、前記第4の断面は、0.3mm~0.4mmのサイズを有する、第2のノズル要素(20)、を備え
前記第1のノズル要素(10)は加速部分(11)及び拡散部分(12)を有し、
前記拡散部分(12)は前記加速部分(11)の下流に配置され、
前記加速部分(11)は前記搬送方向(T)に沿って延在する方向に一定である第1の断面を有し、及び/又は、前記拡散部分(12)は前記搬送方向(T)に沿って延在する方向に少なくとも部分的に一定である第2の断面を有し、
前記第2の断面は前記第1の断面よりも大きいことを特徴とする、
粉体吹き付け装置のノズルシステム。
【請求項8】
ノズルシステム(1)であって、前記第4の断面は、スリット(36)、穴のアセンブリ及び/又は溝(35)のアセンブリとして形成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項9】
ノズルシステム(1)であって、前記第1のノズル要素(10)の外側の湾曲(15)は前記第4の断面の形状を画成し、前記第1のノズル要素(10)の前記外側の湾曲は、内方に湾曲する少なくとも1つの凹部を備えることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項10】
ノズルシステム(1)であって、前記第1のノズル要素(10)は、前記搬送方向(T)に対して平行な方向に、前記第2のノズル要素(20)よりも遠くに延在し、又は、前記第1のノズル要素(10)及び/若しくは前記第2のノズル要素(20)は、前記搬送方向(T)に対して垂直な共通の平面において終わることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のノズルシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の前記ノズルシステム(1)を備える、
粉体吹き付け装置。
【請求項12】
特に粉体吹き付け装置において請求項1~1のいずれか一項に記載のノズルシステム(1)を使用する、
方法。
【請求項13】
前記ノズルシステム(1)は、円形に形成された断面とは異なる第5の断面形状となる前記出力流(5)を実現することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルシステム、粉体吹き付け装置、及び、ノズルシステムを使用する方法に言及するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体吹き付け装置におけるノズルシステムは、現行の技術水準、例えば、特許文献1又は特許文献2から既知である。そのようなノズルシステムは通常、歯の洗浄、特に、歯からステイン、歯石及び着色を除去するため、並びに、歯のバイオフィルムを除去するために使用される。特に、粉体吹き付け装置を使用する目的は、歯の表面を洗浄するとともに、エナメル質又は象牙質である歯の表面下を傷つけることなく、歯の表面からステイン、歯石、バイオフィルム及び着色を取り除くことである。現行の技術水準によると、粉体は、出力流の機能を操作又は調整するように適合される。
【0003】
好ましくは、ノズルシステムは、液体流によって包み込まれる粉体-ガス混合物流を提供する。液体流によって包み込まれる粉体-ガス混合物によって形成される出口流は、歯の表面に方向付けられ、ステイン、歯石着色及び/又は歯のバイオフィルムを除去する。粉体-ガス混合物流を包み込む液体流は、発生した塵を捉え、粉体吹き付け装置の動作中の霧を回避するために提供される。
【0004】
特に、例えば象牙質を摩耗させる傾向にある余剰な材料が存在し、これは、出口流がこの材料によって形成される本体に方向付けられるときである。そのような場合、不都合にも、「柔らかい」粉体であっても強すぎる摩耗を引き起こす可能性がある。しかし、粉体をさらに「柔らかく」することは、粉体吹き付け装置の主な機能、すなわち、ステイン及び様々な歯の堆積物を除去することを弱めることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第3882638号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0294548号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこから、本発明の目的を、ステイン、歯石、歯の堆積物及び/又は歯のバイオフィルムを除去する効率を低下させることなく、噴射される出力流の研磨性を低下させるノズルシステムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1及び10に記載のノズルシステム、並びに、請求項13に記載の粉体吹き付け装置、並びに、請求項14に記載のノズルシステムを使用する方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属項、説明及び図面に組み込まれる。
【0008】
本発明によると、粉体吹き付け装置のノズルシステムであって、粉体-ガス混合物流を搬送方向に沿って搬送する第1のノズル要素、及び、第2のノズル要素であって、第1のノズル要素と第2のノズル要素との間に少なくとも1つのチャネルが形成されるように、第1のノズル要素を囲み、チャネルは、液体流を搬送するために設けられ、第1のノズル要素及び第2のノズル要素は、動作時に、第1のノズル要素によって噴射される粉体-ガス混合物流が、ノズルシステムの出力流を形成するように、チャネルによって噴射される液体流により包み込まれるよう配置され、第1のノズル要素は、第1の断面を有する加速部分、及び、第2の断面を有する拡散部分を有する、第2のノズル要素、を備える、粉体吹き付け装置のノズルシステムが提供される。拡散部分が加速部分の下流に配置され、出力流の研磨性を低下させるために、第2の断面が第1の断面よりも大きいことが提供される。
【0009】
現行の技術水準とは対照的に、本発明によると、第1のノズル要素の内側断面を変更し、すなわち、搬送方向に沿って第1のノズル要素の内側の幾何学的形状を変更することが提供される。したがって、除去されることになる歯の被覆物に対するその効率に影響を与えることなく、出力流の研磨性を低下させることが有利には可能である。それによって、粉体-空気混合物の粒子が、速度を得るために加速部分内で加速される。それに続く拡散部分においては、粉体-ガス混合物の効果的な流れ断面が、拡散部分の拡張された第2の断面によって増大される。換言すると、粉体-ガス混合物流の断面は、第1のノズル要素内で流れ方向に増大し、特に、第1のノズル要素の拡散部分内で増大する。その結果、粉体-ガス混合物のエンベロープが、ノズルシステムから噴射されるときに拡張された断面を有し、したがって、出力流によってより大きい表面を処理できる。結果として、洗浄面が拡張され、粉体の研磨性が同時に低下する。加えて、ノズルシステムの外側、好ましくはその前端においてそうでなければ発生する音の衝撃が、ノズルシステム内で発生する。したがって、動作時にノズルシステムによって引き起こされる騒音が、有利には、操作者及び/又は患者により快適な印象/感覚を与えるように低減される。
【0010】
別のプラスの効果は、空気の流量を増大させることなく、噴射される出力流の断面を拡張するという可能性である。したがって、処置中にあまりに多くの空気が使用されることを回避でき、これは、そうでなければ、肺気腫のリスクを増大させ、すなわち、空気を組織内に押し込む。出口流の断面、特に、粉体-ガス混合物の断面を増大させる別のプラスの効果は、ノズルシステムに空気及び/又は粉体を供給することを担うベースユニットを変更することなく、様々なノズル特性を作り出すか又は操作する可能性であり、この理由は、空気の流量及び粉体の流量が一定のままであるためである。例えば、噴射される出力流の空気速度及びその圧力を適合させることが有利には可能である。本発明のノズルシステムの別のプラスの効果は、必要な液体(例えば水)がより少なく、したがって、本発明のノズルシステムを備える粉体吹き付け装置を使用するときに使用される液体が少ないことである。これは、液体流がより良好に拡散し、したがって、粉体及び/又は粉体-ガス混合物流を取り込むことがより効率的であることに起因し得る。
【0011】
好ましくは、研磨性は、処置中に粒子を物質面から除去する効率を画成する。例えば、研磨性は、粉体の量に対するクレータ深さ発生レートの比によって指定される。値が大きいほど、研磨性が高くなり、すなわち、処理される物質のより多くの粒子が表面から除去される。研磨性の低下は、好ましくは、一定の断面、特に加速部分の一定の第1の断面を有する第1のノズル要素に言及するものである。
【0012】
好ましくは、第1のノズル要素及び/又は第2のノズル要素は、スリーブ状の本体を有し、第1のノズル要素は、第2のノズル要素内に、特に同心円状に配置される。特に、第1のノズル要素及び第2のノズル要素は、ノズルシステムの前端において終わるか又は終端する。さらに、第1のノズル要素及び第2のノズル要素が搬送方向に沿って同時に、すなわち、搬送方向に対して垂直な平面において終わることが考えられる。代替的には、第1のノズル要素は、ノズルシステムの前端において突出する。特に、ノズルシステムは、粉体吹き付け装置の手持ち装置に組み込まれ、それによって、操作者は、出力流を処置される物体上に容易に方向付けできる。さらに、拡散部分が搬送方向において第1のノズル要素の端を形成することが提供される。さらに、拡散部分は加速部分の下流に続き、好ましくは直後に続く。
【0013】
好ましい実施形態では、加速部分が、搬送方向に沿って延在する方向に一定である第1の断面を有し、及び/又は、拡散部分が、搬送方向に沿って延在する方向に少なくとも部分的に一定である第2の断面を有することが提供される。好ましくは、第2の断面は、搬送方向に沿ってその延在部全体にわたって一定である。代替的には、加速部分及び/又は拡散部分は、異なる断面を有するサブセクションを有する。特に、これらのサブセクションの断面は、搬送方向に増大し、それによって、加速部分及び/又は拡散部分の終わりにおけるサブセクションは、サブセクションに割り当てられる全ての断面の最大の断面を有する。特に、加速部分は、0.5mmよりも長く、好ましくは0.75mmよりも長く、より好ましくは1mmよりも長い第1の長さを有する。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態では、第1の断面が、搬送方向に対して垂直に測定される第1の幅を有し、第2の断面が、搬送方向に対して垂直に測定される第2の幅を有することが提供され、第2の幅は、第1の幅よりも最大で3倍、好ましくは最大で2.5倍、最も好ましくは最大で2倍、特に主に1.5倍大きく、及び/又は、第1の幅は、0.1mm~2.5mm、好ましくは0.25mm~1.5mm、最も好ましくは0.6mmの幅を有する。加速部分及び拡散部分のこれらの寸法によって、研磨性の著しい低下を実現できる。拡散部分内の幾つかのサブセクション又は変化する第2の断面の場合、第2の断面、及び/又は、第2の断面の第2の幅は好ましくは、搬送方向に沿う全ての第2の断面又は全てのサブセクションの第2の幅の平均値である。
【0015】
好ましくは、第1のノズル要素が収集部分を備えることが提供され、収集部分は加速部分の上流に配置され、収集部分は、好ましくは搬送方向に沿って少なくとも部分的に一定である第3の断面を有する。特に、加速部分が収集部分の下流に直接的に続くことが提供される。収集部分は、好ましくは加速部分の粉体-ガス混合物を方向付ける。例えば、特に収集部分と加速部分との間の遷移領域における収集部分の漏斗形状のサブセクションが、加速部分内で粉体-ガス混合物を方向付ける。特に、加速部分、収集部分及び/又は拡散部分は、互いに隣接して及び/又は同心円状に配置される。
【0016】
別の好ましい実施形態では、第3の断面が第1の断面よりも大きいことが提供され、第3の断面の第3の幅は、第1の幅よりも最大で3倍、好ましくは最大で2倍、最も好ましくは最大で1.6倍、特に主に1.2倍大きく、第1の幅は、0.1mm~2.5mm、好ましくは0.25mm~1.5mm、最も好ましくは0.6mmの幅を有する。
【0017】
特に、遷移領域又は拡散部分における第1のノズル要素の内側の湾曲は、段状及び/又は円錐状の形状を有する。拡散部分における内側の湾曲を段状及び/又は円錐状に形成することは、前端において噴射される粉体-ガス混合物流の断面の形状を操作するという別の有利な可能性を呈する。特に、遷移領域は、収集部分と加速部分との間の遷移部、及び/又は、加速部分と拡散部分との間の遷移部を形成する。
【0018】
さらに、加速部分が搬送方向に沿って測定される第1の長さを有し、拡散部分が搬送方向に沿って測定される第2の長さを有することが好ましくは提供され、第2の長さは、第1の長さよりも0.5倍~3.5倍、好ましくは1.1倍~2倍、最も好ましくは1.3倍~1.8倍長い。特に、加速部分は、0.5mmよりも長く、好ましくは0.75mmよりも長く、より好ましくは1mmよりも長い第1の長さを有する。比較的大きい拡散部分を選択することによって、前端において搬送方向に対して垂直である平面にわたって一様な粉体密度を確立することが有利には可能である。代替的には、第2の長さが第1の長さよりも短いことも考えられる。
【0019】
別の好ましい実施形態では、液体流がチャネルから出力面を介して噴射されることが提供され、チャネルは好ましくは、粉体-ガス混合物流を包み込む液体流が液滴によって形成されるように構成される。粉体-ガス混合物を、閉じた液体流の代わりに液滴によって包み込むことによって、液体により塵粉末を捉える能力を高めることが有利には可能である。その結果として、より少ない液体、例えば水が、ノズルシステムの動作において必要となり、これは、患者の快適さにとって有益である。別の結果は、発生する塵がより少なく、したがって、繰り返し使用した後にノズルシステムのチャネルの詰まりが生じにくいことである。好ましくは、出力面、特に、出力面に割り当てられる第4の断面が、液滴形成を支持する構造又はプロファイルを有する。
【0020】
特に、出力面が第4の断面を有することが提供され、第4の断面は好ましくは、0.1mm~0.9mm、好ましくは0.3mm~0.6mm、最も好ましくは0.3mm~0.4mmのサイズを有する。したがって、第4の断面は、従来技術から通常既知である第4の断面よりも小さいことが実現される。第4の断面の縮小は、ノズルシステムの前端における液滴の形成を有利に支持する。
【0021】
本発明の別の態様によると、粉体吹き付け装置のノズルシステムであって、粉体-ガス混合物流を搬送方向に沿って搬送する第1のノズル要素、及び、第2のノズル要素であって、第1のノズル要素と第2のノズル要素との間に少なくとも1つのチャネルが形成されるように、第1のノズル要素を囲み、チャネルは、液体流を搬送するために設けられ、第1のノズル要素及び第2のノズル要素は、動作時に、第1のノズル要素によって噴射される粉体-ガス混合物流が、ノズルシステムの出力流を形成するように、出力面を介してチャネルによって噴射される液体流により包み込まれるよう配置され、出力面は第4の断面を有し、第4の断面は、0.3mm~0.4mmのサイズを有する、第2のノズル要素、を備える、粉体吹き付け装置のノズルシステムが提供される。
【0022】
好ましくは、第4の断面が、波状に、又は、スリット、穴のアセンブリ及び/若しくは溝のアセンブリとして形成されることが提供される。したがって、液体がノズルシステムから、特にチャネルから噴射される方法を決定する第4の断面のプロファイルを適合することが有利には可能である。それによって、出力面の第4の断面が、液体流を噴射する6個以上の開口を含むことが有利には提供される。第4の断面が6個よりも少ない開口を含むことも考えられる。好ましくは、穴及び/又は溝は、周方向に沿って一様に又は統計的に分散される。穴は、円形、矩形、楕円形、及び/又は、任意の他の形状若しくはその組み合わせを有し得る。
【0023】
特に、第1のノズル要素の外側の湾曲が第4の断面の形状を画成することが提供され、第1のノズル要素の外側の湾曲は、内方に湾曲する少なくとも1つの凹部を含む。好ましくは、凹部は、放物線状にアーチ状及び/又は周方向に円形に形成される。換言すると、第1のノズル要素の外側の湾曲は、チャネルの一体的な部分であり、特に、前端における第4の断面の構造/プロファイルを画成する。例えば、第1のノズル要素の外側の湾曲/面は、好ましくは円形である第2のノズル要素の内面に関して構成され、それによって、搬送方向に対して平行に延在するサブチャネルのセットが実現される。特に、サブチャネルの各端は、第4の断面の一部である開口を形成する。好ましくは、サブチャネルの延在部は、少なくとも加速部分の第2の長さほどである。
【0024】
代替的には、第2のノズル要素の内側の湾曲が第4の断面の形状を画成することが提供され、第2のノズル要素の内側の湾曲は、外方に湾曲する少なくとも1つの凹部を含む。好ましくは、凹部は、放物線状にアーチ状及び/又は周方向に円形に形成される。換言すると、第2のノズル要素の内側の湾曲は、チャネルの一体的な部分であり、特に、前端における第4の断面の構造/プロファイルを画成する。例えば、第2のノズル要素の内側の湾曲/面は、好ましくは円形である第1のノズル要素の外面に関して構成され、それによって、搬送方向に対して平行に延在するサブチャネルのセットが実現される。特に、サブチャネルの各端は、第4の断面の一部である開口を形成する。好ましくは、サブチャネルの延在部は、少なくとも加速部分の第2の長さほどである。代替的には、第4の断面の形状は、第1のノズル要素と第2のノズル要素との間への要素の挿入によって画成できる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、搬送方向に対して平行な方向に、第1のノズル要素が第2のノズル要素よりも遠くに延在するか、又は、第1のノズル要素及び/若しくは第2のノズル要素が、搬送方向に対して垂直な共通の平面において終わることが提供される。換言すると、第1のノズル要素は、搬送方向に沿って第2のノズル要素に対して前端において突出するか、又は、前端において突出しない。したがって、出力流の形成をさらに操作できる。特に、第1のノズル要素は、1mmよりも遠く、好ましくは0.8mmよりも遠く、最も好ましくは0.5mmよりも遠く突出しない。
【0026】
本発明の別の態様は、本発明によるノズルシステムを備える粉体吹き付け装置である。ノズルシステムの文脈において述べられる全ての特徴及び利点は、粉体吹き付け装置に言い換えでき、その逆もまた同様である。
【0027】
本発明の別の態様は、特に粉体吹き付け装置において本発明によるノズルシステムを使用する方法である。ノズルシステムの文脈において述べられる全ての特徴及び利点は、方法に言い換えでき、その逆もまた同様である。
【0028】
好ましい実施形態では、出力流が、円形に形成された断面とは異なる第5の断面を有することが提供される。
【0029】
既に明確に記載されているかいないかに関わらず、個々の実施形態又はそれらの個々の態様及び特徴を、記載される発明の範囲を制限するか又は広げることなく互いに組み合わせるか又は入れ換えでき、これは、そのような組み合わせ又は入れ換えが有意義であり、本発明の主旨内にあるときにはいつでも行われる。本発明の1つの実施形態に関して記載される利点は、可能な限り、本発明の他の実施形態の利点でもある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の好ましい実施形態によるノズルシステムを概略的に示す図である。
図2】現行の技術水準による第1のノズル要素を概略的に示す図である。
図2A】本発明によるノズルシステムの第1のノズル要素の異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図2B】本発明によるノズルシステムの第1のノズル要素の異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図2C】本発明によるノズルシステムの第1のノズル要素の異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図2D】本発明によるノズルシステムの第1のノズル要素の異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3】現行の技術水準によるノズルシステムの前端における斜視図を概略的に示す図である。
図3A】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3B】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3C】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3D】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3E】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3F】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3G】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3H】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図3I】ノズルシステムの前端に向けられた斜視図における本発明によるノズルシステムの異なる好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図4】出力流に割り当てられた第5の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1において、本発明の好ましい実施形態によるノズルシステム1が、搬送方向Tに沿う側断面図において提示されている。そのようなノズルシステム1は好ましくは、粉体吹き付け装置の必須の部分である。それらの粉体吹き付け装置は好ましくは、歯からステイン、歯石若しくは着色を除去するために、及び/又は、歯のバイオフィルムを除去するために使用される。
ノズルシステム1は、ステイン及び着色を除去可能であるか、並びに/又は、歯のバイオフィルムを除去可能である出力流2を提供する。動作時に、出力流2は、ノズルシステム1によってその前端FEにおいて噴射される。
【0032】
出力流2は、粉体-ガス混合物流21に加えて、粉体-ガス混合物流21を案内し、発生した塵を捉えるとともに動作中の霧を回避するための液体流22を含む。特に、粉体-ガス混合物流21は、出力流2の搬送方向Tに対して垂直に広がる平面において、液体流22によって少なくとも部分的に、好ましくは完全に包み込まれるか又は包囲される。そのような出力流2を実現するために、ノズルシステム1は、粉体-ガス混合物流21を搬送方向Tに沿って搬送する第1のノズル要素10、及び、第2のノズル要素20を備え、第2のノズル要素20は、第1のノズル要素10と第2のノズル要素20との間に少なくとも1つのチャネル25が形成されるように、第1のノズル要素10を囲む。好ましくは、第1のノズル要素10及び/又は第2のノズル要素20はスリーブ状の本体を有し、第1のノズル要素10は、第2のノズル要素20内に、特に互いに対して同心円状に配置される。好ましくは、出力流2は、ノズルシステム1から、ノズルシステム2の前端FE又は前側において噴射される。好ましくは、第1のノズル要素10は、搬送方向Tに対して平行に延在する方向において第2のノズル要素20よりも遠くに延在する。代替的には、第1のノズル要素10及び第2のノズル要素20は、搬送方向Tに対して垂直に延在する共通の平面において終わる。
【0033】
出力流2の質、特に動作時の低下した研磨性に関して改善するために、第1のノズル要素10の幾何学的形状を適合することが提供される。特に、第1のノズル要素10は、第1の断面を有する加速部分11及び第2の断面を有する拡散部分12を有し、拡散部分12は加速部分11の下流に配置される。それによって、粉体-ガス混合物流21の粒子は、加速部分11内で加速され、したがって、加速部分11内でのそれらの搬送中に速度を得る。
拡散部分12は、粉体-ガス混合物流21の粒子が拡散されるように構成される。拡散部分21内の拡散を実現するために、第2の断面が第1の断面よりも大きいことが好ましくは提供される。特に、加速部分11は、搬送方向Tに対して平行に延在する方向において拡散部分12の直接的に隣に配置される。
【0034】
特に、第1の断面が搬送方向Tに対して垂直に測定される第1の幅W1を有し、第2の断面が搬送方向Tに対して垂直に測定される第2の幅W2を有することが提供され、第2の幅W2は、第1の幅W1よりも最大で3倍、好ましくは最大で2.5倍、最も好ましくは最大で2倍、特に主に1.5倍大きく、及び/又は、第1の幅W1は、0.2mm~1.5mm、好ましくは0.4mm~0.9mm、最も好ましくは0.6mmの幅を有する。
特に第1の幅W1及び第2の幅W2の言及した寸法を使用することにより断面を拡張することによって、出力流2の研磨性を低下させることが有利には可能である。さらに、音の衝撃が、ノズルシステム1の前端においてではなくノズルシステム1内で発生する。その結果として、動作中にノズルシステム1によって発生する騒音を低減でき、操作者及び/又は患者により快適な印象を与える。さらに、空気流量を増大させることなく、第1のノズル要素10によって噴射される粉体-ガス混合物流12の絶対的な出力断面を拡張可能である。粉体-ガス混合物流21の拡張された出力断面の結果として、肺気腫のリスクが低下し、出力流2に関するより広範な特性、例えば、搬送方向Tに対して垂直な方向に測定されるより薄いか又はより大きい出力流を確立できる。
【0035】
さらに、搬送方向Tに対して平行に延在する方向において、第1のノズル要素10の湾曲/内面14が、加速部分11と拡散部分12との間に遷移部を形成する段状の形状を有することが提供される。さらに、加速部分12が拡散部分12に対して同心円状に配置されることが提供される。したがって、一様な拡散を保証できる。
【0036】
さらに、第1のノズル要素10は収集部分13を備え、収集部分13は加速部分11の上流に配置され、収集部分は、搬送方向Tに沿って好ましくは一定である第3の断面を有する。収集部分13を使用することによって、加速部分11に入る粒子を適切に準備することが有利には可能である。
第3の断面は、拡散部分12の第2の断面に対応し得るか、又は、例えばサイズ及び段部、すなわち第1のノズル要素10の内面14の形状に関して、第2の断面とは異なり得る。特に、第1のノズル要素10の内側の湾曲/面14は、収集部分13から加速部分11への遷移部を形成する別の段状の形状を有する。収集部分13と加速部分11との間の遷移部が漏斗形状であることも考えられる。特に、第3の断面は第1の断面よりも大きく、第3の断面の第3の幅W3は、第1の幅よりも最大で3倍、好ましくは最大で2倍、最も好ましくは最大で1.6倍、特に主に1.2倍大きく、第1の幅は、0.2mm~1.5mm、好ましくは0.4mm~0.9mm、最も好ましくは主に0.6mmの幅を有する。
【0037】
その上、加速部分11は、搬送方向Tに沿って測定される第1の長さL1を有し、拡散部分12は、搬送方向Tに沿って測定される第2の長さL2を有し、第2の長さL2は、第1の長さL1よりも0.5倍~3.5倍、好ましくは1.1倍~2倍、最も好ましくは1.3倍~1.8倍長い。特に、第1の長さL1は0.5mmよりも長い必要がある。
【0038】
さらに、小さい/薄い液体ジェットが出力流2のために発生するように、チャネル25が構成されることが提供される。特に、液体ジェットが噴射される出力面23は好ましくは、比較的小さい第4の断面を有する。好ましくは、第4の断面は、前端FEにおいて搬送方向Tに対して垂直に延在する平面において測定される。これによって、液体流を噴射するために使用される及び/又は利用可能な全ての開口が好ましくは、第4の断面を形成し、すなわち、第4の断面は、液体流22を噴射する前端における幾つかの別個の又は個々の開口に割り当てられるサブ断面によって形成され得る。特に、第4の断面は、例えばチャネル25の前端FEにおいて周方向に、好ましくは円に沿って均一に配置される複数の開口によって形成される構造又はプロファイルを有する。
特に、第4の断面は好ましくは、0.1mm~0.8mm、好ましくは0.6mm~0.3mm、最も好ましくは0.3mm~0.4mmのサイズを有する。それとは対照的に、現行の技術水準による第4の断面は、0.8mmよりも大きい。
【0039】
特に、第4の断面は好ましくは、粉体-ガス混合物流12を包み込む液体流22が液滴によって形成されるように構成される。液滴の使用に起因して、液体が塵の粉末を捉える可能性を高めることが有利には可能である。さらに、制御された液体流22が、粉体-ガス混合物流21の方向付け又は案内を支持する。
【0040】
チャネル25のそのような幾何学的形状は、それ自身によって、出力流の研磨性を低下させることを可能にする。したがって、粉体吹き付け装置のノズルシステム(1)であって、粉体-ガス混合物流(21)を搬送方向(T)に沿って搬送する第1のノズル要素(10)、及び、第2のノズル要素(20)であって、第1のノズル要素(10)と第2のノズル要素(20)との間に少なくとも1つのチャネル(25)が形成されるように、第1のノズル要素(10)を囲み、チャネル(25)は、液体流(22)を搬送するために設けられ、第1のノズル要素(10)及び第2のノズル要素(20)は、動作時に、第1のノズル要素(10)によって噴射される粉体-ガス混合物流(21)が、ノズルシステム(1)の出力流(2)を形成するように、出力面(23)を介してチャネル(25)によって噴射される液体流(22)により包み込まれるよう配置され、出力面(23)は第4の断面を有し、第4の断面は、出力流の研磨性を低下させるように0.3mm~0.4mmのサイズを有する、第2のノズル要素(20)、を備える、粉体吹き付け装置のノズルシステム(1)が提供される。
【0041】
図2において、先行技術による第1のノズル要素10が、本発明によるノズルシステム1の第1のノズル要素10の異なる例示的な実施形態を提示する図2A図2Dの第1のノズル要素10の幾何学的形状に対して比較されるように提示されている。特に、図2Aは、収集部分を有しない、以下においてEA-5698と称されるノズルシステム1に割り当てられる第1のノズル要素10を示している。さらに、第1のノズル要素10は、拡散部分12と比較して比較的長い加速部分11を有する。第1のノズル要素10の外面15において延在する、支柱又はリップ等の要素17が、液体流22を噴射するチャネル25のサブチャネル及び構造化された出力面23を実現することが意図される。好ましくは、支柱及び/又はリップは、第2の長さL2よりも長い長さを有する。その上、第2の幅W2は約0.8mmであり、一方で、先行技術による第1のノズル要素10の内径は、約0.65mmである。
図2Bにおける第1のノズル要素1は、収集エリア13を有し、以下においてEA5682と称されるノズルシステム1に言及する。その第2の幅W2は約0.7mmである。第1の長さL1は、約3mm~5mmであり、第2の長さL2は約2mm~3mmである。収集部分13に割り当てられる第3の長さL3は約0.3mm~0.7mmであり、第3の幅は約1mmである。さらに、収集部分13と加速部分11との間の遷移部が漏斗形状であることが提供される。その上、例えば約1mmである第3の幅W3は、例えば約0.7mmである第2の幅よりも大きい。第1の幅は約0.61mmである。
【0042】
図2Cの第1のノズル要素10は例えば、名称EA-5701が割り当てられるノズルシステム1の一部である。図2Cの第1のノズル要素10は、拡散部分12の内側の湾曲/面14の設計によって、図2Bの第1のノズル要素10とは異なり、搬送方向Tに沿う内側の湾曲/面は、段状の形状を有する。
図示の実施形態では、幾つかのサブセクション、特に3つのサブセクション25が設けられており、サブセクション25は、搬送方向Tに沿って測定される同じ長さを有する。例えば、各サブセクションの長さは約1.5mmであり、結果として、約4.5mmの第2の長さL2を形成する。さらに、サブセクションの各々に割り当てられるそれぞれの第2の幅W2が、搬送方向Tに沿って増大することが好ましくは提供される。例えば、第2の幅W2は、搬送方向Tに1つのサブセクション26から次のサブセクション26への各遷移部によって0.2mmだけ増大する。代替的には、隣接するサブセクション26間の第2の幅W2の拡張及び/又は各サブセクション26の長さは、搬送方向Tに沿って異なることも考えられる。
【0043】
図2Dにおいて、さらなる第1のノズル要素10が提示されており、この第1のノズル要素は、以下においてEA-5697と呼ばれるノズルシステムの一部である。図2Bの実施形態と比較して、より長い収集部分13が設けられている。さらに、例えば約0.8mmである第3の幅W3が、例えば約1mmである第2の幅W2よりも小さいことが提供される。
【0044】
図3において、先行技術によるノズルシステム1の前端FEが、本発明によるノズルシステム1の異なる例示的な実施形態を提示する図3A図3Iのノズルシステム1の前端FEに対して比較されるように、斜視図で提示されている。特に、前端FEにおける図は、液体流22を噴射するチャネル25の端において形成される第4の断面を示している。先行技術を提示するノズルシステム1は、以下ではEMSと呼ばれる。このノズルシステム1は、リング形状であり、プロファイル付きの第4の断面を形成するチャネル25に含まれる構造を有しない。
それとは対照的に、図3A図3Hによって示されているノズルシステム2のチャネル25は、第1のノズル要素10と第2のノズル要素20との間の幾つかのサブチャネル、特に溝状のサブチャネルによって形成される。サブチャネルは、好ましくは搬送方向Tに対して平行に延在し、ノズルシステム1の前端におけるそれらの端は、第4の断面を形成する。特に、サブチャネルは、搬送方向Tに対して平行に延在する方向に測定される第4の長さL4を有する。好ましくは、第4の長さL4は、第1のノズル要素10から半径方向に突出するリップ要素及び/又は支柱要素17の長さによって決まる。例えば、第4の長さL4は第2の長さL2よりも長い。特に、第4の長さL4に対する第2の長さL2の比は1よりも大きく、好ましくは2よりも大きく、最も好ましくは3よりも大きい。
【0045】
特に、支柱要素17は第1のノズル要素10の一部である。その上、第1のノズル要素10の外面/側15が、2つの隣接する支柱要素17間にアーチ状の形状を有することが提供される。特に、第1のノズル要素10は、サブチャネルを形成する溝35を含む。それによって、第1のノズル要素10の外面/側15は内方に成形される/湾曲する。
図3A図3Dのノズルシステムにおいては、アーチ状の形状は主に放物線状であり、6つの異なるサブチャネルが6つの半径方向に延在する支柱要素17によって形成される。図3A図3Dのノズルシステムは主に、第1のノズル要素10に割り当てられる壁の厚さによって互いから異なる。
【0046】
図3E及び図3Fにおいては、6つよりも多くのサブチャネルが実現されている。図3F及び図3Gにおいては、6つよりも少ないサブチャネルが形成されており、アーチ状の形状は主に円弧のようである。図3Iにおいて、第4の断面はスリット36によって形成されている。
【0047】
さらに、図3AのノズルシステムはEA5682に言及するものであり、図3BのノズルシステムはEA5701に言及するものであり、図3CのノズルシステムはEA5698に言及するものであり、図3DのノズルシステムはEA5697に言及するものである。それらのノズルシステムについて、出力流1の研磨性を測定し、EMSと称されるノズルシステムの研磨性と比較した。
研磨性試験は、ノズルが45°で配置され、投射距離が2mmである試験台を使用することによって行うものとした。ノズルの前方のシャッタを使用して、暴露時間を決定する。研磨性を求めるために、試験材料をPMMA板とする。同じ適用時間を使用する各試験につき16個の研磨地点を作製する。実験バイアスを回避するために、暴露時間は、20ミクロン~200ミクロンの研磨穴を得るように調整される。暴露時間は、たいていは1秒~5秒である。この暴露時間は、使用される粉末の量に従って結果が正規化されるため、重要なパラメータではない。したがって、研磨性は、粉末の量に対するクレータ深さ発生レートとして画成される。研磨性=クレータ深さ[μm]/使用される粉末の量[g]である。
【0048】
EMSの研磨性は、1700μm/g~2333μm/gの値を有し、EA-5682は1300μm/gm~1600μm/gmの値を有し、EA-5701は900μm/g~1100μm/gの値を有し、EA-5698は700μm/g~1100μm/gの値を有し、ES 5697は400μm/g~600μm/gの値を有していた。
【0049】
図4において、EA-5701によって実現される出力流に割り当てられる第5の断面Q5が示されている。出力流の第5の断面は、ノズルシステム1の前端FEから2.2mmの距離に位置付けられている塗装された鋼面に出力流2を方向付けることによって可視化されている。第5の断面は、円形に形成された断面とは異なることが分かる。
【符号の説明】
【0050】
1 ノズルシステム
2 出力流
10 第1のノズル要素
11 加速部分
12 拡散部分
13 収集部分
14 内面
15 外面
17 支柱要素
20 第2のノズル要素
21 粉体-ガス混合物流
22 液体流
23 出力面
25 チャネル
26 サブセクション
35 溝
36 スリット
T 搬送方向
FE 前端
L1 第1の長さ
L2 第2の長さ
L3 第3の長さ
W1 第1の幅
W2 第2の幅
W3 第3の幅
Q5 第5の断面
図1
図2
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4