(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】自立型密閉タンク壁
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20240227BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20240227BHJP
F17C 3/04 20060101ALI20240227BHJP
F17C 1/02 20060101ALI20240227BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20240227BHJP
B65D 90/02 20190101ALI20240227BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F17C13/00 302E
B63B25/16 Z
F17C3/04 A
F17C1/02
B65D88/12 B
B65D90/02 N
F16J12/00 E
(21)【出願番号】P 2021504220
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 FR2019051857
(87)【国際公開番号】W WO2020021212
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】サッシ モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ピエール
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-099708(JP,A)
【文献】特開2014-162430(JP,A)
【文献】特開2001-199499(JP,A)
【文献】米国特許第03799383(US,A)
【文献】実開昭54-081907(JP,U)
【文献】特表2014-521024(JP,A)
【文献】実開昭48-046208(JP,U)
【文献】特公昭48-023923(JP,B1)
【文献】米国特許第05033640(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0314908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
B63B 25/16
F17C 3/04
F17C 1/02
B65D 88/12
B65D 90/02
F16J 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯蔵するための密閉タンク(1)であって、
複数のタンク壁を備える外側構造(2)と、
前記外側構造(2)の内部空間に配置されて格子構造を形成する内部補強部材(11,12,13)と、を備え、
前記複数のタンク壁は、前記内部空間を定めるように角柱状構造を形成するよう組み立てられており、
前記タンク壁は、各々、
外周部(4)と、各々が前記外周部(4)の一つの側から前記外周部(4)の反対の側まで延在するように前記外周部(4)の内側において長手方向に沿って配置された長手方向補強部材(5)と、を含む平坦なフレーム(3)と、
前記平坦なフレーム(3)に固定された浅裂壁と、を備え、
前記外周部(4)及び前記長手方向補強部材(5)は、前記平坦なフレーム(3)内に開口部(6)を形成するように設計されており、
前記浅裂壁は、前記開口部(6)を閉じるよう前記開口部(6)の周囲に溶接されることで前記平坦なフレーム(3)に固定されており、これにより、前記浅裂壁が、前記密閉タンクの外側に向かって、前記平坦なフレーム(3)に直交する厚さ方向に突出するように構成され、
前記内部補強部材(11,12,13)は、
第1の方向に沿って配向された第1の補強部材(11)と、
前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って配向された第2の補強部材(12)と、
前記第1の方向とも前記第2の方向とも異なる第3の方向に沿って配向された第3の補強部材(13)と、を含み、
前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向によって、3次元直交座標系が形成され、
前記内部補強部材(11,12,13)は、各々、前記タンク壁のうちの1つのタンク壁の前記平坦なフレーム(3)に固定された第1の端部と、前記タンク壁のうちの前記1つのタンク壁と反対側のタンク壁の前記平坦なフレーム(3)に固定された第2の端部と、を有し、
前記内部補強部材(11,12,13)は、前記内部空間内の圧力によって生じる力を吸収するよう前記平坦なフレーム(3)に固定された、密閉タンク(1)。
【請求項2】
前記外周部(4)は、矩形形状であり、組み立てられた複数のバーを備える、請求項1に記載の密閉タンク(1)。
【請求項3】
前記平坦なフレーム(3)は補完的補強部材(14)を有し、
前記補完的補強部材(14)は、前記外周部(4)の一つの側に固定された第1の端部と、前記外周部(4)の反対の側に固定された第2の端部と、を有し、
前記補完的補強部材(14)は、前記長手方向補強部材(5)の長手方向に垂直な横断方向に延在する、請求項1又は2に記載の密閉タンク(1)。
【請求項4】
前記タンク壁は、前記密閉タンクの外側において前記平坦なフレーム(3)に固定された断熱バリア(21)を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項5】
前記断熱バリア(21)は、前記浅裂壁に一致する形状の内表面を有する、請求項4に記載の密閉タンク(1)。
【請求項6】
前記断熱バリア(21)は、可撓性の変形可能な断熱材からなる内側の層(23)と、剛性の断熱材からなる外側の層(24)と、を有する、請求項4又は5に記載の密閉タンク(1)。
【請求項7】
前記浅裂壁は、少なくとも2つの湾曲側部(8)を有する湾曲プレート(7)と、前記湾曲プレート(7)の前記湾曲側部(8)の上に配置された閉鎖プレート(10)と、を有し、
前記閉鎖プレート(10)によって、前記湾曲側部(8)が前記平坦なフレーム(3)に密閉接続されている、請求項1~6の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項8】
前記湾曲プレート(7)は、2つの湾曲側部(8)及び2つの直線側部(9)を有する矩形の湾曲プレート(7)であり、
前記直線側部(9)は、前記開口部(6)の両側において前記平坦なフレーム(3)に溶接されている、請求項7に記載の密閉タンク(1)。
【請求項9】
1つの内部補強部材(11,12,13)は、前記平坦なフレーム(3)の長手方向補強部材と同じ平面内に位置するとともに、前記タンク壁に対して垂直に延在する、請求項1~8の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項10】
前記内部補強部材(11,12,13)は、四角形の断面を有するバー(111,121,112,122)から作製されている、請求項1~9の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項11】
前記第1の補強部材(11)のうちの1つは、前記第3の補強部材(13)のうちの1つが前記第1の補強部材(11)を貫通できるように設計された少なくとも1つのオリフィス(19)を有する、1~9の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項12】
前記第2の補強部材(12)のうちの1つは、前記第3の補強部材(13)のうちの1つが前記第2の補強部材(12)を貫通できるように設計された少なくとも1つのオリフィス(19)を有する、請求項1~9、11の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項13】
前記内部補強部材(11,12,13)は、各々、少なくとも1つの細長シート(15
)と、少なくとも1つのプロファイル部(16)と、を有し、
前記少なくとも1つのプロファイル部(16)は、前記細長シート(15)に固定されたベース(17)と、前記ベース(17)の両側に配置された2つのフランジ(18)と、を含み、
前記フランジ(18)は前記細長シート(15)から突出している、請求項1~9の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項14】
前記第1の補強部材(11)のうちの1つ及び/又は前記第2の補強部材(12)のうちの1つは、2つの細長シート(15)と、前記2つの細長シート(15)の間に位置する複数のプロファイル部(16)と、を有し、
前記プロファイル部(16)は、前記細長シート(15)のうちの1つに固定されたベース(17)と、前記ベース(17)の両側に配置された2つのフランジ(18)と、を含み、
前記フランジ(18)は各前記細長シート(15)から突出しており、
前記プロファイル部(16)は、前記細長シート(15)上に一定の間隔を空けて配されている、請求項1~9の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項15】
前記第1の補強部材(11)のうちの1つ及び/又は前記第2の補強部材(12)のうちの1つは、2つの細長シート(15)と、前記2つの細長シート(15)の間に位置する複数のプロファイル部(16)と、を有し、
前記プロファイル部(16)は、前記細長シート(15)のうちの1つに固定されたベース(17)と、前記ベース(17)の両側に配置された2つのフランジ(18)と、を含み、
前記フランジ(18)は各前記細長シート(15)から突出しており、
前記プロファイル部(16)は、前記細長シート(15)上に一定の間隔を空けて配されており、
前記第3の補強部材(13)のうちの1つが前記第1の補強部材(11)のうちの1つ又は前記第2の補強部材(12)のうちの1つを貫通できるように設計された前記オリフィス(19)は、前記プロファイル部(16)の間に形成された空間である、請求項11又は12に記載の密閉タンク(1)。
【請求項16】
前記第3の補強部材(13)は、各々、一方側の前記タンク壁から反対側の前記タンク壁に延在する1つの細長い補強部材を備える、請求項1~15の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項17】
前記第3の補強部材(13)は、各々、複数の第3のバー(131,132)を有し、
前記第3のバー(131,132)は、前記第3の方向に沿って互いに整列しているとともに、互いに離隔している、請求項1~15の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項18】
前記第1の補強部材(11)の各々、及び/又は前記第2の補強部材(12)の各々は、複数の第1のバー(111,112)、及び/又は複数の第2のバー(121,122)をそれぞれ有し、
前記第1のバー(111,112)又は前記第2のバー(121,122)は、前記第1の方向又は前記第2の方向に沿ってそれぞれ互いに整列しており、
前記第1のバー(111,112)又は前記第2のバー(121,122)は、互いに離隔している、請求項16又は17に記載の密閉タンク(1)。
【請求項19】
前記第1のバーは、前記第1の補強部材(11)の端部に位置する2つの第1の端部バー(111)と、前記第1の端部バー(111)間に位置する少なくとも1つの第1の中間バー(112)と、を含み、
2つの隣接する前記第1のバー(111,112)は、前記第3の補強部材(13)のうちの1つによって互いに固定されている、請求項18に記載の密閉タンク(1)。
【請求項20】
前記第2のバーは、前記第2の補強部材(12)の端部に位置する2つの第2の端部バー(121)と、前記第2の端部バー(121)間に位置する少なくとも1つの第2の中間バー(122)と、を含み、
2つの隣接する前記第2のバー(121,122)は、前記第3の補強部材(13)のうちの1つによって互いに固定されている、請求
項19に記載の密閉タンク(1)。
【請求項21】
前記第3の補強部材(13)は、各々、複数の第3のバー(131,132)を有し、
前記第3のバー(131,132)は、前記第3の方向に沿って互いに整列しているとともに、互いに離隔しており、
前記密閉タンクは、少なくとも1つの接続プレート(35,36)によって形成されたコネクタ(33,34)を有し、
2つの隣接する前記第1のバー(111,112)、2つの隣接する前記第2のバー(121,122)又は2つの隣接する前記第3のバー(131,132)は、前記コネクタ(33,34)のうちの1つによって互いに固定されている、請求項18に記載の密閉タンク(1)。
【請求項22】
前記内部補強部材(11,12,13)及び前記コネクタ(33,34)は、少なくとも2つの自由度を有して組み立てられるように設計されている、請求項21に記載の密閉タンク(1)。
【請求項23】
前記第1のバー(111,112)、前記第2のバー(121,122)及び前記第3のバー(131,132)は、各端部に一対の平行な固定スロット(38)を有し、
前記第1のバー(111,112)、前記第2のバー(121,122)及び前記第3のバー(131,132)は、前記接続プレート(35,36)のうちの1つに、当該接続プレート(35,36)を前記一対の固定スロット(38)内に挿入することで溶接されるよう設計されている、請求項21又は22に記載の密閉タンク(1)。
【請求項24】
前記第1の端部バー(111)又は前記第2の端部バー(121)は、前記外側構造(2)に固定される第1の端部と、前記第3の補強部材(13)のうちの1つに固定される第2の端部と、を有する、請求項2
0に記載の密閉タンク(1)。
【請求項25】
前記格子構造は補強部材ノード(28)を有し、
前記補強部材ノード(28)は、各々、前記格子構造内において、少なくとも2つの内部補強部材が交差する位置で、交差ゾーンを形成するよう設計されている、請求項1~24の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項26】
前記密閉タンクは、前記第1の方向、前記第2の方向又は前記第3の方向に対して約45°の角度で傾斜した強化補強部材(29)を有し、
前記強化補強部材(29)は、一方の端部において前記補強部材ノード(28)のうちの1つに固定されており、他方の端部において前記補強部材ノード(28)のうちの別の1つ又は前記タンク壁のうちの1つに固定されている、請求項25に記載の密閉タンク(1)。
【請求項27】
前記タンク壁のうちの第1のタンク壁は前記タンク壁のうちの第2のタンク壁に固定されており、当該固定は、前記第1のタンク壁の前記平坦なフレームを前記第2のタンク壁の前記平坦なフレームに溶接することで行われている、請求項1~26の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項28】
前記タンク壁のうちの第1のタンク壁は前記タンク壁のうちの第2のタンク壁に、浅裂コーナー壁(30)によって固定されており、
前記浅裂コーナー壁(30)は、前記第1のタンク壁の前記外周部(4)に固定された第1の直線縁と、前記第2のタンク壁の前記外周部(4)に固定された第2の直線縁と、を有する、請求項1~26の何れか一項に記載の密閉タンク(1)。
【請求項29】
低温液体製品を輸送するための船(70)であって、二重船体(72)と、前記二重船
体(72)内に配置された請求項1~28の何れか一項に記載の密閉タンク(1)と、を備える、船(70)。
【請求項30】
前記密閉タンク(1)はケーブル(25)を用いて前記二重船体(72)に固定されている、請求項29に記載の船(70)。
【請求項31】
前記密閉タンク(1)は、中心部と、前記平坦なフレーム(3)間の接合部に位置する縁と、を有し、
前記ケーブル(25)は、前記密閉タンクの前記縁に固定されているとともに前記二重船体(72)に固定されており、これにより、前記ケーブル(25)が前記密閉タンクの前記中心部と前記縁における前記ケーブル(25)が固定されている位置とを結ぶ方向と直交するよう配向されている、請求項30に記載の船(70)。
【請求項32】
低温液体製品のための移送システムであって、
請求項29~31の何れか一項に記載の船(70)と、
前記船の前記
二重船体
(72)内に設置された前記密閉タンクを陸上又は浮体貯蔵設備(77)に接続するよう配された断熱パイプ(73,79,76,81)と、
前記断熱パイプを介して前記陸上若しくは浮体貯蔵設備から前記船の前記密閉タンクに、又は前記船の前記密閉タンクから前記陸上若しくは浮体貯蔵設備に、低温液体製品を送るためのポンプと、を備える、移送システム。
【請求項33】
角柱形の密閉タンク(1)を製造する方法であって、
タンク壁を複数準備する工程と、
開口した角柱状の外側構造(2)を形成するよう前記タンク壁を複数密閉させて組み立てる工程と、
複数の内部補強部材(11,12,13)を準備する工程と、
前記内部補強部材(11,12,13)を、格子構造を形成するように前記外側構造(2)の内部に固定する工程と、
前記角柱状の外側構造(2)を密閉して閉じるよう、前記開口した外側構造(2)に1つ又は複数の前記タンク壁を取り付ける工程と、を有し、
前記タンク壁を複数準備する工程において、
前記タンク壁は、各々、
外周部(4)と、各々が前記外周部(4)の一つの側から前記外周部(4)の反対の側まで延在するように前記外周部(4)の内側において長手方向に沿って配置された長手方向補強部材(5)と、を含む平坦なフレーム(3)と、
前記平坦なフレーム(3)に固定された浅裂壁と、を備え、
前記外周部(4)及び前記長手方向補強部材(5)は、前記平坦なフレーム(3)内に開口部(6)を形成するように設計されており、
前記浅裂壁は、前記開口部(6)を閉じるよう前記開口部(6)の周囲に溶接されることで前記平坦なフレーム(3)に固定されており、これにより、前記浅裂壁が、形成される前記角柱形の密閉タンクの外側に向かって、前記平坦なフレーム(3)に直交する厚さ方向に突出するように構成され、
前記内部補強部材(11,12,13)を、格子構造を形成するように前記外側構造(2)の内部に固定する工程において、
前記格子構造は、第1の方向に沿って配向された第1の補強部材(11)と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って配向された第2の補強部材(12)と、前記第1の方向とも前記第2の方向とも異なる第3の方向に沿って配向された第3の補強部材(13)と、を含み、前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向によって、3次元直交座標系が形成され、
前記内部補強部材(11,12,13)は、各々、平坦なフレーム(3)に固定された
第1の端部と、反対側の平坦なフレーム(3)に固定された第2の端部と、を有し、
前記内部補強部材(11,12,13)は、前記平坦なフレーム(3)の前記長手方向補強部材(5)又は前記外周部(4)に固定されている、方法。
【請求項34】
角柱形の密閉タンク(1)を製造する方法であって、
タンク壁を複数準備する工程と、
前記角柱形の密閉タンク(1)の底壁を形成するように、前記タンク壁のうちの1つを配置する工程と、
複数の内部補強部材(11,12,13)を準備する工程と、
前記内部補強部材(11,12,13)を、格子構造を形成するように互いに及び前記角柱形の密閉タンク(1)の前記底壁に固定する工程と、
閉じた角柱状の外側構造(2)を形成するように、他の前記タンク壁を、互いに及び前記角柱形の密閉タンク(1)の前記底壁に、密閉して取り付ける工程と、を有し、
前記タンク壁を複数準備する工程において、
前記タンク壁は、各々、
外周部(4)と、各々が前記外周部(4)の一つの側から前記外周部(4)の反対の側まで延在するように前記外周部(4)の内側において長手方向に沿って配置された長手方向補強部材(5)と、を含む平坦なフレーム(3)と、
前記平坦なフレーム(3)に固定された浅裂壁と、を備え、
前記外周部(4)及び前記長手方向補強部材(5)は、前記平坦なフレーム(3)内に開口部(6)を形成するように設計されており、
前記浅裂壁は、前記開口部(6)を閉じるよう前記開口部(6)の周囲に溶接されることで前記平坦なフレーム(3)に固定されており、これにより、前記浅裂壁が、形成される前記角柱形の密閉タンクの外側に向かって、前記平坦なフレーム(3)に直交する厚さ方向に突出するように構成され、
前記内部補強部材(11,12,13)を、格子構造を形成するように互いに及び前記角柱形の密閉タンク(1)の前記底壁に固定する工程において、
前記格子構造は、第1の方向に沿って配向された第1の補強部材(11)と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って配向された第2の補強部材(12)と、前記第1の方向とも前記第2の方向とも異なる第3の方向に沿って配向された第3の補強部材(13)と、を含み、前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向によって、3次元直交座標系が形成され、
前記閉じた角柱状の外側構造(2)を形成するように、他の前記タンク壁を、互いに及び前記角柱形の密閉タンク(1)の前記底壁に、密閉して取り付ける工程において、
前記内部補強部材(11,12,13)は、各々、平坦なフレーム(3)に固定された第1の端部と、反対側の平坦なフレーム(3)に固定された第2の端部と、を有し、
前記内部補強部材(11,12,13)は、前記平坦なフレーム(3)の前記長手方向補強部材(5)又は前記外周部(4)に固定されている、方法。
【請求項35】
請求項29~31の何れか一項に記載の船(70)に対し積み降ろしを行う方法であって、
陸上若しくは浮体貯蔵設備(77)から前記船の前記密閉タンクに、又は前記船の前記密閉タンクから陸上若しくは浮体貯蔵設備(77)に、断熱パイプ(73,79,76,81)を介して低温液体製品を送ることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を貯蔵又は輸送するための密閉タンク壁の分野、並びに液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)及び液体水素などの低温液化ガス用の密閉断熱タンクの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
角柱状の密閉タンクは、例えば欧州特許第0166492号明細書により公知となっている。そのようなタンクは、角柱状構造を形成するように組み立てられた複数の平坦な壁を含む外側構造、特に矩形平行六面体構造を含む。
【0003】
そのために、複数の平坦な壁が足場を用いて組み立てられて、角柱状構造を形成する。
【0004】
上記のタンクを自立型とするため、即ち外部の支援なしにタンクに含まれる流体の圧力に耐えることができるようにするために、タンクは、外側構造の壁を補強するように設計された内部補強部材のシステムを含む。この場合、内部補強部材は、タンクの内側から外側に加えられる流体の圧力によって生じるタンクの壁の変形を防ぐよう一方の壁を他方の壁に接続するバーである。
【0005】
内部補強部材は、格子構造を形成するようにタンク内に配置されている。そのようなタンクは、複数の方向に生じる流体の圧力による力を吸収するように異なる方向に配置された複数のバーを含む。
【0006】
しかしながら、平坦な壁に固定された上記の内部補強部材のシステムを備えたタンクは、液化天然ガスなどの極低温流体の輸送には適していない。実際には、極低温コンテナにおいては、特に温度が非常に低いことからタンクの壁に大きな圧力が加わり、これによりタンクの構成部品の熱収縮が生じ、また時間経過とともにその気相が増大することからタンクの壁に対しかなりの応力が生じる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の核心にある1つのアイデアは、流体の圧力に対するタンク壁の強度を増大させつつ、タンク壁の組み立てを容易にすることである。
【0008】
本発明の核心にある別のアイデアは、例えばタンクに含まれる流体の圧力及び発生する熱収縮によって生じる高い応力に対する自立型タンクの強度を向上させることである。
【0009】
本発明の核心にある別のアイデアは、自立型タンクのコンパクトさを最適化すること、即ち、タンクのコンテナの使用可能容積とタンクが占める総体積の比率を最適化することである。
【0010】
本発明は、一実施形態によれば、流体を貯蔵するための密閉タンクを形成するために用いられる密閉タンク壁を提供し、この壁は、外周部と、各々が外周部の一つの側から外周部の反対の側まで延在するように外周部の内側において長手方向に沿って配置された長手方向補強部材と、を含む平坦なフレームと、フレームに固定された浅裂壁と、を備え、外周部及び長手方向補強部材は、フレーム内に開口部を形成するように設計されており、浅裂壁は、開口部を閉じるよう開口部の周囲に溶接されることでフレームに固定されており、これにより、浅裂壁が、形成しようとしている密閉タンクの外側に向かって、フレームに直交する厚さ方向に突出するように構成されている。
【0011】
平坦なフレームとは、厚さ方向に湾曲していないフレームを意味する。
【0012】
上記の特徴により、タンク壁をシンプルな要素で作製することが可能となる。実際、フレームは、浅裂壁を固定するため及び長手方向補強部材を用いてタンク壁を支持するための安価な構造を形成する。そしてその平坦な形状により、タンク壁を平坦に組み立てることが可能となる。これにより、壁を組み立てるために足場を用いる必要がなくなる。さらに、フレームが平坦な形状を有することから、浅裂壁をフレームに固定するために特に溶接ロボットを使用することができ、これにより組み立てが簡単化及び高速化される。
【0013】
したがって、タンクの浅裂壁は、外側構造の機械的強度を向上させるのに役立つ。実際、浅裂壁は、タンクに圧力が加えられる際に生じている力をフレームの長手方向補強部材と外周部に向けることができ、フレームが過度の力にさらされることを防ぐ。このことは、同等の平坦な壁よりも弱い力にさらされる浅裂壁について、その厚さを抑えるのに役立つ。
【0014】
最後に、タンクの外向きに湾曲した浅裂壁は、平坦な壁を有するタンクと比較して使用可能な容積を大幅に増やすことでタンクの容積を最適化するのに役立つ。
【0015】
実施形態によれば、上記のタンク壁は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有してもよい。
【0016】
一実施形態では、外周部は、矩形形状であり、組み立てられた複数のバーを備える。
【0017】
一実施形態では、フレームは補完的補強部材を有し、補完的補強部材は、外周部の一つの側に固定された第1の端部と、外周部の反対の側に固定された第2の端部と、を有し、補完的補強部材は、長手方向補強部材の長手方向に垂直な横断方向に延在する。
【0018】
一実施形態では、上記の壁は、形成しようとしているタンクの外側でフレームに固定された断熱バリアを有する。
【0019】
一実施形態では、断熱バリアは、浅裂壁に一致する形状の内表面を有する。
【0020】
一実施形態では、断熱バリアは、可撓性を有しかつ変形可能な断熱材からなる内側の層と、剛性の断熱材からなる外側の層と、を有する。
【0021】
一実施形態では、浅裂壁は、少なくとも2つの湾曲側部を有する湾曲プレートと、湾曲プレートの湾曲側部の上に配置された閉鎖プレートと、を有し、閉鎖プレートによって、湾曲側部がフレームに密閉接続されている。
【0022】
一実施形態では、湾曲プレートは、2つの湾曲側部及び2つの直線側部を有する矩形の湾曲プレートであり、直線側部は、開口部の両側においてフレームに溶接されている。
【0023】
一実施形態では、フレームは、厚さ方向において、外側エンベロープ(好ましくは平坦なもの)と、内側エンベロープ(好ましくは平坦なもの)と、の間に形成される。
【0024】
一実施形態では、浅裂壁は、当該壁が取り付けられたフレームの外側エンベロープから突出する。
【0025】
一実施形態では、浅裂壁は、当該壁が取り付けられたフレームの外側エンベロープと内側エンベロープとの間に配置されている。
【0026】
一実施形態では、2つの湾曲側部が開口部の両側においてフレームに密閉溶接されている。
【0027】
また、本発明は、一実施形態において、流体を貯蔵するための密閉タンクを提供し、このタンクは、内部空間を定める角柱状構造を形成するように組み立てられた複数のタンク壁を備える外側構造と、外側構造の内部空間に配置されて格子構造を形成する内部補強部材と、を備え、タンク壁のうちの少なくとも2つのタンク壁は、上記の密閉タンク壁であり、内部補強部材は、各々、少なくとも2つのタンク壁のうちの第1のタンク壁の前記フレームに固定された第1の端部と、少なくとも2つのタンク壁のうちの第1のタンク壁の反対側にある第2のタンク壁のフレームに固定された第2の端部と、を有し、内部補強部材は、内部空間内の圧力によって生じる力を吸収するようフレームに固定されている。
【0028】
一実施形態では、内部補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全ては、上記フレームの長手方向補強部材と同じ平面内に位置する。一実施形態では、内部補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全ては、上記タンク壁のうちの1つに対して垂直に延在する。一実施形態では、内部補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全ては、上記フレームの長手方向補強部材と同じ平面内に位置するとともに、上記タンク壁の一部、複数又は全てに対して垂直に延在する。
【0029】
一実施形態では、2つの対向する壁は平行であり、上記内部補強部材のうちの1つ又は複数は実質的に直線状に延在しかつ2つのタンク壁に対して垂直に延在する。
【0030】
一実施形態では、各タンク壁は、上記した通りのものである。
【0031】
一実施形態では、上記のタンクは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有してもよい。
【0032】
一実施形態では、フレームは互いに固定された角管から例えば溶接により作製される。
【0033】
これにより、フレームは組み立てが容易な要素のみから作製されることから、フレームの製造がシンプルかつ安価となる。
【0034】
一実施形態では、タンクは浅裂壁を有し、浅裂壁は、各開口部の周囲に当該開口部を密閉するよう溶接されることでフレームに固定されている。
【0035】
一実施形態では、内部補強部材は長手方向補強部材に固定されている。
【0036】
一実施形態では、内部補強部材は各長手方向補強部材にわたって一定の間隔を空けて配されている。
【0037】
一実施形態では、フレーム、浅裂壁及び/又は内部補強部材は、ステンレス鋼、アルミニウム、インバー(登録商標)、即ち鉄とニッケルの合金で、膨張係数が通常1.2×10-6K-1~2×10-6K-1である合金又は鉄に高マンガン含有量を加えた膨張係数が7×10-6K-1程度の合金といった金属から作製される。
【0038】
一実施形態では、浅裂壁は、少なくとも2つの湾曲側部を有する湾曲プレートと、湾曲プレートの湾曲側部の上に配置された閉鎖プレートと、を有し、閉鎖プレートによって、湾曲側部がフレームに密閉接続されている。
【0039】
一実施形態では、湾曲プレートは、2つの湾曲側部及び2つの直線側部を有する矩形の湾曲プレートであり、直線側部は、開口部の両側において外側構造のフレームの1つに溶接されている。
【0040】
一実施形態では、閉鎖プレートのうちの1つ、一部、複数又は全てが、細長の平坦なプレートである。
【0041】
一実施形態では、閉鎖プレートのうちの1つ、一部、複数又は全てが、少なくとも1つの表面及び少なくとも1つの縁を有し、前記表面は少なくとも1つの湾曲プレートの湾曲側部に固定されており、前記縁はフレームに固定されている。
【0042】
一実施形態では、閉鎖プレートのうちの1つ、一部、複数又は全てが、回転楕円体の一部を形成するプレートである。
【0043】
一実施形態では、閉鎖プレートのうちの1つ、一部、複数又は全てが2つの縁を有し、そのうちの1つが湾曲プレートに固定されており、もう1つがフレームに固定されている。
【0044】
一実施形態では、内部補強部材は、第1の方向に沿って配向された第1の補強部材と、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配向された第2の補強部材と、第1の方向とも第2の方向とも異なる第3の方向に沿って配向された第3の補強部材と、を含む。
【0045】
一実施形態では、第1の方向、第2の方向及び第3の方向によって、3次元直交フレームが形成される。
【0046】
上記の特徴により、内部補強部材は3次元の格子を形成することが可能となり、これにより外側構造は全方向においてタンクに加わる応力に耐えることが可能となる。
【0047】
(請求項14)一実施形態では、内部補強部材は、四角形の断面を有するバーから作製されている。
【0048】
一実施形態では、第1の補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、第3の補強部材のうちの1つが第1の補強部材を貫通できるように設計された少なくとも1つのオリフィスを有する。
【0049】
上記の特徴により、オリフィスによって第1の方向の第1の補強部材を第3の方向の第3の補強部材と交差させることができ、これにより、例えば補強部材の座屈を防止することで、この交差部において補強部材を強化するのを助けることができる。
【0050】
一実施形態では、第2の補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、第3の補強部材のうちの1つが第2の補強部材を貫通できるように設計された少なくとも1つのオリフィスを有する。
【0051】
上記の特徴により、オリフィスによって、第2の方向に沿った第2の補強部材が、第3の方向に沿った第3の補強部材と交差することが可能となり、これにより、例えば補強部材の座屈を防止することで、この交差部において補強部材を強化するのを助けることができる。
【0052】
一実施形態では、内部補強部材は、各々、少なくとも1つの細長シートと、少なくとも1つのプロファイル部と、を有し、少なくとも1つのプロファイル部は、細長シートに固定されたベースと、ベースの両側に配置された2つのフランジと、を含み、フランジは細長シートから突出している。
【0053】
したがって、プロファイル部によって、特に撓みに関して内部補強部材の剛性を増大させることができる。
【0054】
一実施形態では、フレームのうちの1つ、一部、複数又は全てが、補完的補強部材を有し、補完的補強部材は、外周部の一つの側に固定された第1の端部と、外周部の反対の側に固定された第2の端部と、を有し、補完的補強部材は、長手方向補強部材の長手方向に垂直な方向に延在している。
【0055】
上記の特徴により、長手方向補強部材の方向に垂直な方向においてフレームを強化することができる。
【0056】
一実施形態では、第1の補強部材のうちの1つ、一部、複数若しくは全て、又は/及び第2の補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、2つの細長シートと、2つの細長シートの間に位置する複数のプロファイル部と、を有し、プロファイル部は、細長シートのうちの1つに固定されたベースと、ベースの両側に配置された2つのフランジと、を含み、フランジは各細長シートから突出しており、プロファイル部は、細長シート上に一定の間隔を空けて配されている。
【0057】
一実施形態では、第3の補強部材のうちの1つが第1の補強部材のうちの1つ又は第2の補強部材のうちの1つを貫通できるように設計されたオリフィスは、プロファイル部の間に形成された空間である。
【0058】
したがって、第1の補強部材及び第2の補強部材は、剛性を高めるよう及び外側構造の補強の役割を増大させるように設計されている。さらに、プロファイル部は補強部材の格子が交差できるように離隔している。
【0059】
一実施形態では、補完的補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、2つの細長シートと、2つの細長シートの間に位置する複数のプロファイル部と、を有し、プロファイル部は、細長シートのうちの1つに固定されたベースと、ベースの両側に配置された2つのフランジと、を含み、フランジは、各細長シートから突出しており、プロファイル部は、上記シート上に一定の間隔を空けて配されており、これにより、フレームの長手方向補強部材との交差を可能とするよう設計された空間が形成されている。
【0060】
一実施形態では、内部補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全て、及び/又は長手方向補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全て、及び/又は補完的補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、その端部にフィッシュプレートを有する。
【0061】
したがって、フィッシュプレートはフレームの長手方向補強部材又は外周部との接合部において補強部材に加えられる応力を軽減することができる。
【0062】
一実施形態では、フィッシュプレートは三角形のフィッシュプレート又は円弧状のフィッシュプレートである。
【0063】
一実施形態では、第3の補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、2つの細長シートと、2つの細長シートの間に位置する1つ又は複数のプロファイル部と、を有し、プロファイル部又は複数のプロファイル部は、細長シートのうちの1つに固定されたベースと、ベースの両側に配置された2つのフランジと、を含み、フランジは各上記シートから突出している。
【0064】
一実施形態では、第3の補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、第3の補強部材の長さの一部又は全体にわたって延在する単一のプロファイル部を有する。
【0065】
一実施形態では、第3の補強部材のうちの1つ、一部、複数又は全てが、第3の補強部材の長さにわたって連続的に又は離隔して設けられた複数のプロファイル部を有する。
【0066】
一実施形態では、第3の補強部材の断面はオリフィスの断面よりも小さい。
【0067】
一実施形態では、第3の補強部材の2つの細長シートの間の距離は、第1の補強部材及び/又は第2の補強部材の2つの細長シートの間の距離よりも短い。
【0068】
一実施形態では、第3の補強部材の上記シートの幅は、第1の補強部材又は第2の補強部材との交差部において、第1の補強部材又は第2の補強部材の2つのプロファイル部の間の距離よりも小さい。
【0069】
したがって、第3の補強部材の寸法により、当該補強部材を第1の補強部材と第2の補強部材の一方の中に挿入して補強部材同士の交差部を形成することが可能となる。
【0070】
一実施形態では、密閉タンクは、各フレーム上において外側構造の外側に固定された断熱バリアを有する。
【0071】
一実施形態では、断熱バリアは浅裂壁に一致する形状の内表面を有する。
【0072】
一実施形態では、内表面は浅裂壁の湾曲形状に合わせるために予め切り取られる。
【0073】
一実施形態では、断熱バリアは、例えばグラスウールやミネラルウールなどの繊維材料、又はポリマーフォーム、特にポリウレタンフォーム、発泡スチロール若しくはポリエチレンフォームを含む1つ又は複数の材料の1つ又は複数の層を有する。
【0074】
一実施形態では、断熱バリアは、グラスウールなどの可撓性の変形可能な断熱材からなる内側の層を有する。
【0075】
したがって、断熱バリアの第1の層を、浅裂壁に対して押し付けて圧縮させて形状を合わせることができる。
【0076】
一実施形態では、断熱バリアは、ポリウレタンフォーム又は発泡スチロールなどの剛性の断熱材からなる外側の層を有する。
【0077】
一実施形態では、断熱バリアは互いのそばに配置された複数の断熱パネルから作製されている。
【0078】
一実施形態では、タンクの角柱状構造の縁から離れて配置された断熱パネルは、矩形平行六面体パネルである。
【0079】
一実施形態では、タンクの角柱状構造の縁の上に配置された断熱パネルは、三角形の底面を有する円柱状のパネルである。
【0080】
一実施形態では、第3の補強部材の各々は、一方のタンク壁から反対側のタンク壁に延在する1つの細長い補強部材を備える。
【0081】
一実施形態では、第1の補強部材の各々、及び/又は第2の補強部材の各々は、複数の第1のバー及び/又は複数の第2のバーをそれぞれ有し、第1のバー又は第2のバーは、第1の方向又は第2の方向に沿ってそれぞれ互いに整列しており、第1のバー又は第2のバーは、互いに離隔している。
【0082】
一実施形態では、第3の補強部材の一部又は各々は、複数の第3のバーを有し、第3のバーは、第3の方向に沿って互いに整列しているとともに、互いに離隔している。
【0083】
一実施形態では、補完的補強部材の一部又は各々は、複数の補完的バーを有し、補完的バーは、互いに整列しているとともに、互いに離隔している。
【0084】
一実施形態では、補完的補強部材の一部又は各々は、複数の補完的バーを有し、補完的バーは、互いに整列しているとともに、互いに離隔している。
【0085】
一実施形態では、第1のバーは、第1の補強部材の端部に位置する2つの第1の端部バーと、第1の端部バーの間に位置する少なくとも1つの第1の中間バーと、を含み、2つの隣接する第1のバーは、第3の補強部材のうちの1つによって互いに固定されている。
【0086】
一実施形態では、第2のバーは、第2の補強部材の端部に位置する2つの第2の端部バーと、第2の端部バーの間に位置する少なくとも1つの第2の中間バーと、を含み、2つの隣接する第2のバーは、第3の補強部材のうちの1つによって互いに固定されている。
【0087】
一実施形態では、第3のバーは、第3の補強部材の端部に位置する2つの第3の端部バーと、第3の端部バーの間に位置する少なくとも1つの第3の中間バーと、を含む。
【0088】
一実施形態では、第1の端部バー又第2の端部バーは、外側構造に固定された第1の端部と、第3の補強部材のうちの1つに固定された第2の端部と、を有する。
【0089】
一実施形態では、第1の中間バー又第2の中間バーは、第3の補強部材の1つに固定された第1の端部と、第3の補強部材の他の1つに固定された第2の端部と、を有する。
【0090】
一実施形態では、格子構造は補強部材ノードを有し、各補強部材ノードは、格子構造内において、少なくとも2つの内部補強部材が交差する位置で、交差ゾーンを形成するよう設計されている。
【0091】
内部補強部材とは、第1の補強部材のうちの1つ、第2の補強部材のうちの1つ、第3の補強部材のうちの1つ、強化補強部材のうちの1つ、又は適切な場合には補完的補強部材のうちの1つによって形成されている。
【0092】
一実施形態では、各補強部材ノードは格子構造内の交差ゾーンを形成するように設計され、交差ゾーンでは2つの第1のバー及び2つの第2のバーが所定の第3の補強部材に固定されている。
【0093】
一実施形態では、タンクは、少なくとも1つの接続プレートによって形成されたコネクタを有し、2つの隣接する第1のバー又は2つの隣接する第2のバー又は2つの隣接する第3のバーは、コネクタのうちの1つを用いて互いに固定されている。
【0094】
一実施形態では、コネクタは、第1の接続プレートと、第1の接続プレートに直交する第2の接続プレートと、によって形成されたデュアルコネクタであり、第1の接続プレートは取付オリフィスを有し、第2の接続プレートは、取付オリフィスを介して第1の接続プレートを貫通している。
【0095】
一実施形態では、2つの隣接する第1のバー及び2つの隣接する第2のバーが、デュアルコネクタのうちの1つの第1の接続プレートに溶接されており、2つの隣接する第3のバーが、当該デュアルコネクタの第2の接続プレートに溶接されている。
【0096】
一実施形態では、タンクは、単一の接続プレートによって形成されたシングルコネクタを有し、接続プレートは、タンクのフレームのうちの1つに固定されている、例えばフレームの長手方向補強部材のうちの1つ又は外周部に固定されている。
【0097】
一実施形態では、補完的バーは各端部がシングルコネクタのうちの1つの接続プレートに溶接されている。
【0098】
一実施形態では、第1の端部バー、第2の端部バー及び第3の端部バーは、一方の端部がシングルコネクタのうちの1つに溶接されており、他方の端部がデュアルコネクタのうちの1つに溶接されている。
【0099】
一実施形態では、第1の中間バー、第2の中間バー及び第3の中間バーは、各端部がデュアルコネクタのうちの1つに溶接されている。
【0100】
一実施形態では、内部補強部材は例えば溶接によって別の内部補強部材に固定されている。
【0101】
一実施形態では、内部補強部材は溶接によってコネクタのうちの1つに固定されている。
【0102】
一実施形態では、内部補強部材及びコネクタは、少なくとも2つの自由度、好ましくは平行移動に関する2つの自由度、より好ましくは平行移動に関して2つだけの自由度、を有して組み立てられるように設計されている。
【0103】
一実施形態では、少なくとも1つの接続プレートは平坦である。
【0104】
一実施形態では、平行移動に関する2つの自由度は、接続プレートの面内にある。
【0105】
一実施形態では、内部補強部材及びコネクタは、内部補強部材がコネクタに溶接される前に組み立てられるように設計されている。
【0106】
一実施形態では、少なくとも1つの接続プレートは平坦な周縁を有し、内部補強部材は接続プレートの平坦な周縁上でコネクタに溶接されている。
【0107】
一実施形態では、内部補強部材のバー及び/又は補完的補強部材のバー及び/又は強化補強部材のバーは、各端部において一対の平行な固定スロットを有し、内部補強部材のバー及び/又は補完的補強部材のバー及び/又は強化補強部材のバーは、接続プレートのうちの1つに、当該接続プレートを一対の固定スロットに挿入することで、溶接されるよう設計されている。
【0108】
一実施形態では、内部補強部材及び/又は補完的補強部材及び/又は強化補強部材は、円形の断面を有するバーによって形成されている。
【0109】
一実施形態では、所定の一対の固定スロットの固定スロットは正反対の位置にある。
【0110】
一実施形態では、所定の一対の固定スロットの固定スロットは、バーの端部の2つの対向する縁の上に位置する。
【0111】
一実施形態では、内部補強部材のバー及び/又は補完的補強部材のバー及び/又は強化補強部材のバーは、接続プレートのうちの1つに、当該接続プレートを一対の固定スロットに挿入することで溶接されるよう設計されている。
【0112】
これにより、バーのコネクタへの固定を容易にするための平坦な溶接支持部として接続プレートを用いることが可能となる。さらに、プレートにではなくバーにスロットを形成することで、装置をより適合性を有するものとし、組み立て及び製造の公差がなくなる。
【0113】
一実施形態では、タンクは、第1の方向、第2の方向又は第3の方向に対して約45°の角度で傾斜した強化補強部材を有し、強化補強部材は、一方の端部において第1の補強部材ノードに固定され、他方の端部において第2の補強部材ノード又はタンク壁のうちの1つに固定されている。
【0114】
一実施形態では、タンクは、タンクの縁において格子構造に固定された強化補強部材を有し、各強化補強部材は第1の方向、第2の方向又は第3の方向に対して約45°の角度で傾斜している。
【0115】
一実施形態では、第1の補強部材、第2の補強部材、第3の補強部材及び強化補強部材、並びに適切な場合には補完的補強部材は、格子構造を形成するように互いに固定されている。
【0116】
一実施形態では、タンク壁のうち、第1のタンク壁は第2のタンク壁に、第1のタンク壁のフレームを第2のタンク壁のフレームに溶接することで固定されている。
【0117】
一実施形態では、タンク壁のうち、第1のタンク壁は第2のタンク壁に浅裂コーナー壁によって固定されており、浅裂コーナー壁は、第1のタンク壁の外周部に固定された第1の直線縁と、第2のタンク壁の外周部に固定された第2の直線縁と、を有する。
【0118】
一実施形態では、浅裂コーナー壁は、格子構造からタンクの外側に向かって突出している。
【0119】
一実施形態では、各浅裂コーナー壁は、2つの直線縁と、少なくとも2つの湾曲縁、好ましくは4つの湾曲縁と、を含む湾曲プレートを有する。
【0120】
一実施形態では、浅裂コーナー壁の直線縁は、外側構造の2つの隣接するフレームの外周部に溶接されている。
【0121】
一実施形態では、浅裂コーナー壁のうちの1つは、湾曲縁を介して、少なくとも1つの他の隣接する浅裂コーナー壁、好ましくは2つの他の隣接する浅裂コーナー壁に溶接されている。
【0122】
一実施形態では、第1の方向、第2の方向又は第3の方向のうちの1つに延在する浅裂コーナー壁の湾曲縁の1つは、第1の方向、第2の方向又は第3の方向のうちの他の1つに延在する浅裂コーナー壁の湾曲縁の1つに溶接されている。
【0123】
一実施形態では、浅裂コーナー壁は、外側構造のフレームと組み立てられて、閉じた密閉表面を形成するよう構成されている。
【0124】
本発明は、一実施形態において、流体を貯蔵するための密閉タンクを提供し、このタンクは、内部空間を定める角柱状構造を形成するよう組み立てられた複数のタンク壁を備える外側構造と、外側構造の内部空間に配置されて格子構造を形成する内部補強部材と、少なくとも1つの接続プレートを含むコネクタと、を備え、各内部補強部材は、互いに整列しかつ互いに離隔している複数のバーを有し、少なくとも2つの隣接するバーが接続プレートに溶接されており、コネクタは、内部補強部材が互いに異なる方向に交差する箇所である補強部材ノードを形成している。
【0125】
上記のタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部であってもよく、あるいは、とりわけ液化天然ガス運搬船といった沿岸又は深海の構造物、浮体式貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)、浮体式生産、貯蔵及び荷降ろし(FPSO)設備に設置することができる。このようなタンクはあらゆる種類の船の燃料タンクとして使用することもできる。
【0126】
また、本発明は、一実施形態において、低温液体製品の輸送に用いられる船を提供し、当該船は、二重船体と、二重船体内に配置された上記のタンクと、を備える。
【0127】
一実施形態では、密閉タンクはケーブルを用いて二重船体に固定されている。
【0128】
一実施形態では、密閉タンクは、中心部と、フレーム間の接合部に位置する縁と、を有し、ケーブルは、タンクの縁に固定されているとともに、二重船体に固定されており、これにより、ケーブルがタンクの中心部と縁におけるケーブルが固定されている位置とを結ぶ方向と直交するよう配向されている。
【0129】
したがって、ケーブルは、タンクが熱収縮する際に、二重船体上のケーブルの固定点を中心に回転するように配向され、これにより、ケーブルの破損の原因となり得るケーブルへのいかなる圧縮/引張応力も抑えられる。
【0130】
また、本発明は、一実施形態において、角柱形の密閉タンクを製造する方法を提供し、この方法は、上記のタンク壁を複数準備する工程と、開口した角柱状の外側構造を形成するようタンク壁を密閉させて組み立てる工程と、複数の内部補強部材を準備する工程と、内部補強部材を、格子構造を形成するように外側構造の内部に固定する工程と、角柱状の外側構造を密閉して閉じるように開口した外側構造に1つ又は複数のタンク壁を取り付ける工程と、を有し、内部補強部材は、各々、フレームに固定された第1の端部と、反対側のフレームに固定された第2の端部と、を有し、内部補強部材は、フレームの長手方向補強部材又は外周部に固定されている。
【0131】
したがって、補強部材によって形成された格子構造は、タンクの強化と、外側構造を閉じるために用いられる最後の壁を組み立てるための足場としての使用との両方のために、用いることができる。
【0132】
また、本発明は、一実施形態において、角柱形の密閉タンクを製造する方法を提供し、この方法は、上記のタンク壁を複数準備する工程と、タンクの底壁を形成するように、タンク壁のうちの1つを配置する工程と、複数の内部補強部材を準備する工程と、内部補強部材を、格子構造を形成するように互いに及びタンクの底壁に固定する工程と、閉じた角柱状の外側構造を形成するように、他のタンク壁を、互いに及びタンクの底壁に、密閉して取り付ける工程と、を有し、内部補強部材は、各々、フレームに固定された第1の端部と、反対側のフレームに固定された第2の端部と、を有し、内部補強部材は、フレームの長手方向補強部材又は外周部に固定されている。
【0133】
したがって、補強部材によって形成された格子構造は、タンクの強化と、壁を組み立てて底壁に取り付けるための足場としての使用との両方のために、用いることができる。
【0134】
また、本発明は、一実施形態において、上記の船に対し積み降ろしを行う方法を提供し、この方法は、陸上若しくは浮体貯蔵設備から船のタンクに、又は船のタンクから陸上若しくは浮体貯蔵設備に、断熱パイプを介して低温液体製品を送ることを含む。
【0135】
また、本発明は、一実施形態において、低温液体製品のための移送システムを提供し、この移送システムは、上記の船と、船の船体内に設置されたタンクを陸上又は浮体貯蔵設備に接続するよう配された断熱パイプと、断熱パイプを介して陸上若しくは浮体貯蔵設備から船のタンクに、又は船のタンクから陸上若しくは浮体貯蔵設備に、低温液体製品を送るためのポンプと、を備える。
【0136】
あくまで非限定的な例示である本発明の複数の具体的な実施形態の以下の詳細な説明を、添付図面を参照して読めば、本発明をより理解することができ、また、以下の詳細な説明には本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより分かりやすく記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【
図1】自立型密閉タンクのための補完的補強部材が設けられたフレームの斜視図である。
【
図2】第1の変形例による自立型密閉タンクのための内部補強部材又は補完的補強部材の斜視図である。
【
図3】自立型密閉タンクのための内部補強部材を有する外側構造の斜視図である。
【
図4】
図3の細部を示す図であって、2つの内部補強部材が交差している交差部を1つのみ示している。
【
図5】第1の実施形態による湾曲プレート及び閉鎖プレートを用いて形成された浅裂壁が設けられたフレームの斜視図である。
【
図6】第2の実施形態による浅裂壁を含む自立型密閉タンクの斜視図であえる。
【
図7】外側構造、補強部材及び断熱バリアを含む自立型密閉タンクの斜視図である。
【
図8】
図7の部分断面図であり、浅裂壁及び断熱バリアが設けられたフレームの1つを示す。
【
図9】船の二重船体に固定されたタンクの斜視図である。
【
図10】密閉断熱流体貯蔵タンクを含む船及びこのタンクのための積み降ろしターミナルを示す切り取り略図である。
【
図11】第2の変形例による内部補強部材によって形成された格子の斜視図である。
【
図12】
図11中のXIIの部分を詳細に示す図であり、組み立てられた複数の内部補強部材を示す。
【
図13】第3の実施形態による浅裂壁を含む自立型密閉タンクの斜視図である。
【
図14】
図13のXIV-XIV線に沿ったタンク壁の1つの断面図である。
【
図15】第3の実施形態による自立型密閉タンクの第2の変形例による内部補強部材により形成された格子の一部の斜視図である。
【
図16】別の実施形態による自立型密閉タンクの外側構造の斜視図である。
【
図17】第3の変形例による内部補強部材を備える格子を含む自立型密閉タンクの断面図である。
【
図18】第3の変形例による内部補強部材の斜視図である。
【
図19】
図17のXIX-XIX線に沿った断面図であり、内部補強部材とデュアルコネクタの接続部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0138】
以下において、本発明を理解するために用いることができる一実施形態による自立型密閉タンク1について、
図1~
図9及び
図11~
図19を参照して記載する。
【0139】
自立型密閉タンク1は、例えば
図3及び
図9に平行六面体の形態で示すような角柱状構造を形成するように組み立てられた複数のフレーム3を備える外側構造2を含む。
【0140】
図1は特に、外側構造2のフレーム3を示す。フレーム3は、例えば矩形の外周部4を含む。外周部4は、矩形を形成するように端部で互いに溶接された角管を用いて作製されている。さらに、外周部4の角部には、外周部4の機械的強度を高めるためにフィッシュプレート20が取り付けられている。長手方向補強部材5が、フレーム3に開口部6を形成するように外周部4の内側に配置されている。各長手方向補強部材5は角管を備え、角管の端部にフィッシュプレート20が取り付けられている。長手方向補強部材5は、外周部4に溶接され、外周部4の一方側にわたって一定間隔で配されている。長手方向補強部材5の一方の端部は外周部4の一つの側に溶接され、長手方向補強部材5の他方の端部は外周部4の反対の側に溶接されている。
【0141】
フレーム3を補強するために、補完的補強部材14が、長手方向補強部材5の長手方向に垂直な方向においてフレーム3の外周部4に溶接されている。各補完的補強部材14は、外周部4の一方側に溶接された第1の端部と、外周部4の反対側に溶接された第2の端部と、を有する。
【0142】
自立型密閉タンク1はまた、
図3に示すように、格子構造を形成するように外側構造2の内側に固定された内部補強部材11,12,13を含む。
【0143】
図2は、内部補強部材11,12,13又は補完的補強部材14を示す。補強部材11,12,13,14は、少なくとも1つの細長シート15と、細長シート15の長さにわたって一定間隔で配された複数のプロファイル部16と、を備える。プロファイル部16は、細長シート15の表面に固定されたベース17と、ベース17の両側にある2つのフランジ18と、を有する。フランジ18は、ベース17から同じ方向に突出して、U字形状の断面を有するプロファイル部16を形成するように設計されている。
【0144】
プロファイル部16は、細長シート15上で離隔して設けられている。プロファイル部16間の空間はオリフィス19を形成し、オリフィス19は特に、補強部材11,12,13,14がタンク1の別の要素と交差することを可能にする。
【0145】
補完的補強部材14の場合、
図1に示すように、オリフィス19は、長手方向補強部材5が各補完的補強部材14と交差して補強部材5,14を相互に補強するメッシュを形成するように設計されている。
【0146】
図3及び
図4に示す実施形態では、内部補強部材11,12,13は二重にされ、即ち各々にプロファイル部16が取り付けられた2つの細長シート15が存在する。第1のシート15のプロファイル部16のフランジ18は第2のシート15に向かって突出するように配向され、第2のシート15のプロファイル部16のフランジ18についてはその逆である。内部補強部材11,12,13はまた、外側構造2への固定のためにその端部にフィッシュプレート20が取り付けられている。
【0147】
図3に示すように、内部補強部材11,12,13は、その端部でフレーム3の長手方向補強部材5に溶接されている。実際には、各内部補強部材11,12,13は、一方の端部が第1のフレーム3の長手方向補強部材5に溶接され、他方の端部が第1のフレーム3の反対側の第2のフレーム3の長手方向補強部材5に溶接されている。内部補強部材11,12,13は、第1の方向に沿って配向された第1の補強部材11と、第1の方向に直交する第2の方向に沿って配向された第2の補強部材12と、第1の方向に直交するとともに第2の方向に直交する第3の方向に沿って配向された第3の補強部材13と、を含む。したがって、第1の方向、第2の方向及び第3の方向によって、3次元直交フレームが形成される。
【0148】
図3及び
図4に示すように、各第1の補強部材11及び各第2の補強部材12は、複数の第3の補強部材13と交差するように外側構造2に固定される。実際には、第1の補強部材11及び第2の補強部材12のプロファイル部16間に形成されたオリフィス19によって、第3の補強部材13が複数の第1の補強部材11及び第2の補強部材12に挿入される。そうするために、第3の補強部材13は、第1の補強部材11及び第2の補強部材12よりも小さい断面を有するように設計される。換言すれば、各第3の補強部材13の2つの細長シート15の間の距離は、各第1の補強部材11及び各第2の補強部材12の2つの細長シートの間の距離よりも短い。さらに、
図4に示すように、第1の補強部材11及び第2の補強部材12の2つのプロファイル部16の間の空間は、補強部材の交差部における第1の補強部材11の細長シート15の幅よりも大きい。
【0149】
図5は、第1の実施形態による浅裂壁7,10を備える外側構造2のフレーム3を示す。この実施形態では、浅裂壁7,10は、湾曲プレート7及び閉鎖プレート10から構成される。湾曲プレート7は、矩形であり、2つの湾曲側部8及び2つの直線側部9を有する。各直線側部8は、フレーム3上における湾曲プレート7の位置に応じて長手方向補強部材5又は外周部4に、側部の全長に沿って、密閉溶接される、即ち連続的な溶接シームによって溶接される。湾曲側部8は閉鎖プレート10に密閉溶接され、閉鎖プレート10は外周部4に密閉溶接される。これにより浅裂壁7,10を備えるフレーム3は密閉表面を形成する。この実施形態の閉鎖プレート10は、第1の平坦面、第2の平坦面及び複数の縁を含む平坦な細長プレートである。各閉鎖プレート10は、その平坦な表面の1つを介して、1つ又は複数の湾曲プレートの湾曲側部8に固定されている。各閉鎖プレート10は、その縁の1つによってフレーム3に固定されている。これにより、湾曲プレート7、閉鎖プレート10及びフレーム3を備えるアセンブリは密閉閉鎖表面を形成する。
【0150】
図5に示す実施形態では、閉鎖プレート10は複数の湾曲プレート7に溶接されるものである。実際に、図示の例では、閉鎖プレート10は複数の湾曲プレート7の湾曲側部8をフレーム3に固定することを可能にし、これにより固定を必要とする部品の数を制限することができる。非図示の変形例では、異なる閉鎖プレート10を湾曲プレート7の各々に用いることができる。
【0151】
図6は、自立型密閉タンクに取り付けられた浅裂壁7,10の第2の実施形態を示す。この実施形態では、図示するように、閉鎖プレート10は回転楕円体の一部、例えば4分の1楕円体である。したがって閉鎖プレート10は、湾曲プレート7の湾曲側部8をフレーム3に向けるなどするように船体の形で湾曲プレート7から延在する。実際には、閉鎖プレート10によって形成される縁の1つは湾曲プレート7の湾曲側部に溶接され、一方で、閉鎖プレート10によって形成される他の縁がフレーム3に溶接されている。これにより、湾曲プレート7、閉鎖プレート10及びフレーム3を備えるアセンブリは、密閉閉鎖表面を形成する。この図に示す実施形態では、外周部4上に形成されたフレーム3のフィッシュプレート20及び長手方向補強部材は、密閉表面を閉じるのを助ける。実際には、フレーム3に溶接された閉鎖プレート10の縁は、長手方向補強部材及び/又は外周部4の両方に溶接されているが、これに隣接するフィッシュプレート20にも溶接されている。
【0152】
図示しない別の実施形態では、浅裂壁7,10は、例えば、浅裂壁が、この浅裂壁が配置される開口部6を画定する長手方向補強部材5及び外周部4の両方に溶接された細長いドームとなるように、スタンピングすることで作製される。したがってこの実施形態では、浅裂壁は、単一片で構成されており、細長いドームがその全周にわたってフレーム3に固定されていることから湾曲プレート7及び閉鎖プレート10を備える必要がない。
【0153】
図7は、組み立て中の自立型密閉タンク1を示し、タンクに第2の補強部材12及び外側構造2を形成するフレーム3の1つが取り付けられる前の状態を示す。
図7及び
図8において見られるように、密閉タンク1は断熱バリア21からも構成されている。断熱バリア21は外側構造2全体にわたって配された複数の断熱パネル22を含み、これによりタンク全体にわたって連続的な断熱バリア21を形成して、例えば極低温流体に使用するための密閉断熱タンク1を得るように構成されている。
【0154】
断熱パネル22は、2つの層23,24を備え、内側の層23は本例ではグラスウールから作製されており、外側の層24は本例では低密度ポリウレタンフォームから作製されている。内側の層23は、湾曲プレート7の湾曲した形状に合うように予め切り取られる。内側の層23を作製するために使用される材料は容易に圧縮可能であるため、切り取りは湾曲状に行う必要はなく、2つの傾斜面に沿って行うことができる。実際には、断熱パネル22を外側構造2に固定する際には、
図8に示すように、内側の層23は湾曲プレート7上で圧縮されて湾曲プレート7の形状に適合される。
【0155】
したがって、各タンク壁は、外周部4及び長手方向補強部材5を備えるフレーム3と、フレーム3に固定された補完的補強部材14と、フレーム3に固定された浅裂壁7,10と、断熱バリア21を形成する断熱パネル22と、を備える。
【0156】
上記の自立型密閉断熱タンク1を組み立てるために、最初に別々のタンク壁が組み立てられる。実際、タンク壁のデザインにより、足場を必要とせずに平坦な状態で作業することが可能となる。したがってフレーム3は、外周部4及び長手方向補強部材5を形成するために、最初に角管を使用して組み立てられる。その後、補完的補強部材14が、長手方向補強部材5と重なるように外周部4に溶接される。
【0157】
次に、湾曲プレート7が、フレーム3に形成された開口部6に配置され、その直線側部を介してフレーム3に溶接される。これにより、溶接ロボットを使用して湾曲プレート7を固定することが可能になり、組み立て時間が短縮される。次に、閉鎖プレート10が、湾曲プレートの湾曲側部及び外周部4の両方に溶接され、密閉タンク壁を得るために湾曲側部と外周部4との間で空いたままとなっている空間が閉鎖される。最後に、断熱パネル22が浅裂壁7,10上に配置され、フレーム3に固定されて、各タンク壁の断熱バリア21が形成される。したがって、各タンク壁は別々にそして簡単に組み立てられる。さらに、フレームの平坦性により、壁を組み立てる前に各壁を平らに組み立てることができるため、足場が不要となる。
【0158】
全てのタンク壁が組み立てられると、タンク壁は、各フレーム3の隣接する縁を互いに溶接することにより組み立てられる。
図7に示すように、1つのタンク壁のみが組み立てられておらず、これにより第1の補強部材11と第3の補強部材13を、異なる長手方向補強部材5上でタンクの内側に固定することができる。タンクの上壁にはリキッドドーム26が取り付けられ、これにより特にタンク1を満たす及び空にするために使用される異なる機材へのアクセスが可能となるだけでなく、最後のタンク壁を他の壁に組み付けたことをもってタンク1の組み立てが完了するようにすることができる。その後、最後のタンク壁が他のタンク壁に組み付けられ、第2の補強部材12がこの壁及び反対側の壁に溶接される。
【0159】
図9は、船舶70の二重船体72に固定された自立型密閉断熱タンク1を示す。この図に示すように、タンク1は、その縁に縁断熱パネル27が取り付けられており、これにより第1の壁の断熱パネル22と第1の壁に直交する第2の壁の断熱パネル23との間に接合部を設けることができる。したがって、図示の実施形態では、縁断熱パネル27は三角形の底面を備えた角柱形である。
【0160】
タンク1を二重船体72に固定するために、ケーブル25を使用してタンク上壁の縁を二重船体72に接続するとともにタンク底壁の縁を二重船体72に接続する。したがって、ケーブルは一方の端部が二重船体72に固定され、他方の端部が下側フレームと上側フレームの外周部4に固定される。
【0161】
ケーブル25は、ケーブル25が固定された位置でタンク1の縁とタンク1の反対側の縁とを結ぶ方向に直交するように固定される。したがって、ケーブル25は、タンク1が熱収縮する際に、二重船体72上のケーブルの固定点を中心に回転するように配向され、これにより、ケーブルの破損の原因となり得るケーブルへのいかなる圧縮/引張応力も抑えられる。これにより、タンク1は、例えば極低温流体の積荷によって引き起こされる熱収縮の可能性を考慮してしっかりと二重船体72に固定される。
【0162】
図11及び
図12は、第2の変形例による内部補強部材によって形成された自立型密閉タンクの格子構造を示し、視認性を改善するために外側構造2は示していない。この変形例は、特に
図3に示す第1の変形例と、内部補強部材の形状及び内部補強部材の相互の配置が異なっている。
【0163】
図11及び
図12の格子構造は、前述のように、第1の方向に延在する第1の補強部材11と、第2の方向に延在する第2の補強部材12と、第3の方向に延在する第3の補強部材13と、を含む。しかしながらこの変形例では、補強部材11,12,13は四角形の断面を有するバーから作製されている。
【0164】
さらに、第3の補強部材13は、1つのタンク壁から反対側のタンク壁まで延在する単一の細長いバーから作製されている。各第1の補強部材11は、第1の補強部材11の端部に配置された2つの第1の端部バー111と、第1の端部バー111の間に配置された複数の第1の中間バー112と、によって形成される。所定の第1の補強部材11の第1のバーは、第1の方向に沿って互いに整列され、離隔している。
【0165】
同様に、各第2の補強部材12は、第2の補強部材12の端部に配置された2つの第2の端部バー121と、第2の端部バー121の間に配置された複数の第2の中間バー122と、によって形成される。所定の第2の補強部材12の第2のバーは、第2の方向にそって互いに整列され、離隔している。
【0166】
格子構造を形成するとともに全ての内部補強部材を相互に固定するために、第1の補強部材11及び第2の補強部材12は、補強部材ノード28において第3の補強部材13に固定され、これにより第1の補強部材11、第2の補強部材12及び第3の補強部材13の間の交差部を形成する。したがって、
図12により詳細に示す補強部材ノード28において、2つの第1のバー111,112及び2つの第2のバー121,122が、第3の補強部材13の各側部に固定される。これにより、2つの隣接する第1のバー111,112の間、又は2つの隣接する第2のバー121,122の間の空間が、第3の補強部材13で満たされる。
【0167】
第1の端部バー111及び第2の端部バー121は、外側構造2に固定された第1の端部と、第3の補強部材13の1つに固定された第2の端部と、を有する。第1の端部バー111の第1の端部及び第2の端部バー121の第1の端部にはフィッシュプレート20が取り付けられており、フィッシュプレート20は、端部バー111,121の両側に固定された2つの三角形のフランジによって形成されている。
【0168】
また、
図11及び
図12の格子構造は、外側構造2の縁に配置された強化補強部材29を含む。実際には、強化補強部材29は、一方側が外側構造2の縁に固定され、他方側がこの外側構造2の縁に隣接する補強部材ノードの1つに固定され、これにより強化補強部材が、縁の向きに応じて第1の方向、第2の方向又は第3の方向に対して45°の角度で傾斜するよう構成されている。
【0169】
図13は、第3の実施形態による浅裂壁を含む自立型密閉タンクを示す。前述の実施形態では、浅裂壁の湾曲プレート7は、湾曲プレート7が固定されるフレーム3の外側にも厚さ方向に突出するように、タンクから外向きに突出している。第3の実施形態は、これらの実施形態とは異なり、浅裂壁が固定されているフレーム3の厚さ内に含まれる浅裂壁を示し、これにより、浅裂壁があるにもかかわらずタンク壁を平坦にすることができる。したがって、
図14の断面図に示すように、浅裂壁の湾曲プレート7は依然としてタンクから外向きに突出しているが、本例の場合、湾曲プレートの4つの縁はフレーム3に溶接されている。フレーム3は厚さ方向において平坦な外側エンベロープ31と平坦な内側エンベロープ32との間に形成されていることから、浅裂壁は、平坦な外側エンベロープ31と平坦な内側エンベロープ32との間に位置する。
【0170】
図13に示す実施形態では、異なるタンク壁のフレーム3は互いに直接固定されていない。実際には、フレーム3は、本例の場合、その外周部を介して互いに固定される代わりに、格子構造によって互いに固定される。第1の方向に対応する法線面に配置されたフレーム3は、その外周部4とその長手方向補強部材5とにおいて第1の端部バー111に溶接される。第2の方向に対応する法線面に配置されたフレーム3は、その外周部4とその長手方向補強部材5とにおいて第2の端部バー121に溶接される。第3の方向に対応する法線平面に配置されたフレーム3は、その外周部4とその長手方向補強部材5とにおいて第3の補強部材13の端部に溶接される。
【0171】
したがって、隣接するフレーム3の外周部4は、例えば第1の端部バー111の第1の端部と第2の端部バー121の第1の端部とから最小距離だけ離れている。タンク全体の周囲において閉じた密閉表面を形成するために、浅裂コーナー壁30が隣接するフレーム3の外周部4に溶接され、これによりこれらのフレーム3間の空間が満たされている。各浅裂コーナー壁30は、2つの直線縁と4つの湾曲縁を有する湾曲プレートを備える。浅裂コーナー壁30の直線縁は、外側構造2の2つの隣接するフレーム3の外周部4に溶接されている。湾曲縁は、隣接する浅裂コーナー壁30の湾曲縁に溶接されている。
【0172】
図15は、
図13に示す第3の実施形態の自立型密閉タンクの格子構造の一部を示す。この格子構造は、
図11に示す構造と幾分類似して形成されているが、浅裂コーナー壁30と2つの隣接するフレーム3の間のギャップとが存在する結果として、
図11に示す構造と異なっている。このため、格子構造の1つの角部のみを
図15に示す。実際には、外側構造2に変更を加えた結果、
図11に示す変形例との関連でいうと強化補強部材29の配置のみが変更されている。
図15に示す変形例では、強化補強部材29は、浅裂コーナー壁30の下方に延在するとともに、一方側において、フレーム3の外周部4に溶接された内部補強部材の1つの一方の端部に固定され、他方側において、隣接するフレーム3の外周部4に溶接された内部補強部材の1つの一方の端部に固定されている。
【0173】
図17~
図19は、第3の変形例による内部補強部材によって形成される自立型密閉タンクの格子構造を示す。この変形例は特に、内部補強部材の互いに対する組み立てについて前述の変形例とは異なっている。
【0174】
図17は、格子構造を含むタンクの一部を示す。前述のように、この構造は、第1の補強部材11と、第2の補強部材12と、第3の補強部材13と、補完的補強部材14と、強化補強部材29と、を有する。
【0175】
第1の補強部材11及び第2の補強部材12は、第2の変形例と同様に、第1の端部バー111、第1の中間バー112、第2の端部バー121及び第2の中間バー122によって形成される。第2の変形例とは異なり、各第3の補強部材13は複数の第3のバー131,132を有し、第3のバー131,132は、第3の方向に沿って互いに整列しているとともに、互いに離れて配置されている。第3のバーは、第3の補強部材13の端部に配置された2つの第3の端部バー131と、第3の端部バー131の間に配置された複数の第3の中間バー132と、を含む。補完的補強部材14もまた、複数の補完的バー141から形成される。
【0176】
また、格子構造は、デュアルコネクタ33及びシングルコネクタ34を含む。デュアルコネクタ33は、第1の接続プレート35と、第1の接続プレート35に直交する第2の接続プレート36と、によって形成される。第1の接続プレート35は取付オリフィス37を有し、取付オリフィス37は、
図17と
図19を合わせて示すように、第2の接続プレートが第1の接続プレートを通過できるようにして、これらのプレートを互いに固定してデュアルコネクタ33を形成するように構成されている。シングルコネクタ34は、1つの接続プレート35によって形成される。シングルコネクタ34の接続プレート35は、タンクのフレームの1つに固定され、即ちフレームの長手方向補強部材の1つ又は外周部に固定されている。
【0177】
第1の端部バー111、第2の端部バー121及び第3の端部バー131は、一方の端部がシングルコネクタ34の1つに溶接されており、他方の端部がデュアルコネクタ33の1つに溶接されている。第1の中間バー112、第2の中間バー122及び第3の中間バー132は、その各端部で、デュアルコネクタ33の1つに溶接されている。
【0178】
2つの隣接する第1のバー111,112及び2つの隣接する第2のバー121,122は、デュアルコネクタ33の1つの第1の接続プレート35に溶接されており、2つの隣接する第3のバー131は、このデュアルコネクタ33の第2の接続プレート36に溶接されている。したがってデュアルコネクタ33は補強部材ノード28と称される内部補強部材11,12,13の交差ゾーンを形成する。
【0179】
格子構造はまた、強化バー291によって形成された強化補強部材29を含む。強化バー291は、第1の方向、第2の方向又は第3の方向に対して約45°の角度で傾斜している。
図17及び
図19に示すように、強化バー291は、一方の端部でデュアルコネクタ33に固定され、他方の端部で別のデュアルコネクタ33又はシングルコネクタ34に固定されている。したがって、一部のデュアルコネクタ33は、8つの強化バー291と、2つの第1のバー111,112と、2つの第2のバー121,122と、2つの第3のバー131,132とに溶接され、他のデュアルコネクタは、2つの第1のバー111,112と、2つの第2のバー121,122と、2つの第3のバー131,132とにのみ溶接されている。
【0180】
図18に示すように、内部補強部材11,12,13、強化補強部材29及び補完的補強部材14は全て、円形の断面を有するバー111,112,121,122,131,132,141,291によって形成されている。円形の断面を有するバー111,112,121,122,131,132,141,291の各端部は、一対の正反対の位置にある固定スロット38を有する。したがってこれらのバー111,112,121,122,131,132,141,291は、接続プレート35,36の1つを一対の固定スロット38に挿入されてコネクタ33,34に溶接される。
【0181】
図16は、別の実施形態によるフレーム3のみを示す外側構造2の斜視図である。この実施形態では、外側構造2は、タンク1の2つの対向する壁を2つのフレーム3のみで形成することで、形成されている。本例ではフレーム3は、それぞれの外周部4において長手方向補強部材5によって互いに固定されている。さらに、長手方向補強部材5はまた、フレーム3の開口部6と同一の開口部6を外側構造2の他の壁に形成するように、互いに固定されている。
【0182】
この他の実施形態では、密閉タンクの製造方法は前述の実施形態とはわずかに異なる。実際、外側構造2は2つのフレーム3のみを備えているので、一方のフレーム3が最初に組み立てられ、これにタンクの底壁を形成するように浅裂壁が取り付けられる。内部補強部材は、格子構造を形成するように互いに組み立てられる。最後に、もう一方のフレーム3が、タンクの底壁を形成するために長手方向補強部材を用いてフレーム3に取り付けられる。
【0183】
図10を参照すると、液化天然ガス運搬船70の断面図において、船の二重船体72に取り付けられた略角柱状の密閉断熱タンク71が示されている。タンク71の壁は、タンク内に含まれるLNGと接触するよう構成された一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船の二重船体72との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアの間、及び二次密閉バリアと二重船体72の間にそれぞれ配置される2つの断熱バリアと、を備える。
【0184】
貨物であるLNGをタンク71に又はタンク71から移送するために、船のアッパーデッキに配置された積み降ろし用ライン73が、適切なコネクタを使用して知られている方法で、海上又は港のターミナルに接続されてもよい。
【0185】
図10は、積み降ろしポイント75、水中ライン76及び陸上設備77を備える海上ターミナルの例を示す。積み降ろしポイント75は、可動アーム74と可動アーム74を保持するカラム78とを備える固定沖合設備である。可動アーム74は、積み降ろし用ライン73に接続可能な断熱ホース79の束を保持する。方向付け可能な可動アーム74はあらゆるサイズの液化天然ガス運搬船に適合する。カラム78の内部には接続ライン(非図示)が延在する。積み降ろしポイント75によって液体天然ガス運搬船70の陸上設備77との間での積み降ろしが可能となる。この陸上設備は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中ライン76を介して積み降ろしポイント75に接続される接続ライン81と、を備える。水中ライン76によって、積み降ろしポイント75と陸上設備77との間で例えば5km等の長距離にわたって液化ガスを移送することができ、これにより、積み降ろし作業中に液体天然ガス運搬船70を海岸から遠く離れた場所に位置させておくことができる。
【0186】
液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために、船70に搭載されたポンプ、及び/又は陸上設備77に設置されたポンプ、及び/又は積み降ろしポイント75に設置されたポンプが使用される。
【0187】
本発明について数々の特定の実施形態に関連して記載したものの、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内であれば上記の手段の技術的に等価なもの及びその組み合わせの全てを含む。
【0188】
「備える」又は「含む」との動詞の使用及びその活用形は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の構成要素又は工程の存在を除外するものではない。
【0189】
特許請求の範囲において、括弧内に記載された参照符号は何れも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。