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特許7443331X線イメージング及び造影剤のための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】X線イメージング及び造影剤のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20240227BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20240227BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20240227BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N23/046
A61B6/40 500C
A61B6/12
A61B6/00 570
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021505294
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019044226
(87)【国際公開番号】W WO2020028422
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】62/712,058
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/713,554
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,433
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/745,369
(32)【優先日】2018-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/755,425
(32)【優先日】2018-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/803,613
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/853,050
(32)【優先日】2019-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520274736
【氏名又は名称】センスラボ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】XENSELAB, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, イン
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0022264(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0195792(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0067061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-G01N 23/2276
A61B 6/00-A61B 6/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線測定システムであって、
イメージング対象に向けた1つ以上のX線ビームを放出するように構成されたX線源と、
前記イメージング対象の下流の2次元(2D)X線検出器とを含み、前記システムの制御器は、関心領域に対するX線放出位置の複数の相対位置を有することによって、前記対象における前記関心領域の3次元(3D)イメージを得るように構成され、関心領域を移動すること、及び/又はX線放出位置を移動させる若しくは操舵すること、又はx-y-z軸における位置を含む3D空間の少なくとも2つの軸において複数のX線源を有すること、及び2DX線測定値を得ることによって、達成され、さらに
測定からの散乱線を低減する又は取り除くためのソフトウェアを含む記憶媒体用非一時的なコンピューターを含み、
隣接するX線放出位置同士の間の距離は、第3の軸に必要とされる解像度の寸法、及び/又は、2つの位置のぞれぞれが各セットが関心領域における異なる投影パスを照射するX線ビームのセットを生成するために必要とされる最小距離であり、
前記距離は、寸法が少なくとも0から1画素ピッチの間であるか、又はサイズが1画素ピッチ未満と同じくらい小さくできる、システム。
【請求項2】
前記記憶媒体用非一時的なコンピューターは、少なくとも1つの第1測定の共配置を実行するためのソフトウェアを含み、
前記検出器は、前記対象の診断、検査、治療と外科のガイダンス、生体組織検査、手術前計画、トラッキング、及び/又はモニタリング、及びセキュリティーの用途のため、第1測定及び/若しくは第2測定、又はライブ測定を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記X線源は、制御可能なエネルギーレベルを有するX線ビームを放出するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記X線測定システムは、スペクトル物質分解方法を適用して、少なくとも1つの構成要素の3Dイメージを生成する、及び/又は他の構成要素又は前記関心領域の残りの部分に対する構成要素の相対密度を3Dにおいて生成するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
特定のビームが前記X線検出器の所定の位置に達することを選択的に可能にするように構成されたビームセレクター又はビーム吸収プレートを含む、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
プロセッサーは、前記X線測定値における時間領域、及び/又は空間領域、及び/又は周波数領域の散乱線を低減又は取り除くように、及び/又は高解像度一次X線イメージを生成するために内挿を実行するソフトウェアを使用するように構成される、請求項1~5に記載のシステム。
【請求項7】
第2の2DのX線検出器を含む、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記システムのプロセッサーは、X線検出器から前記イメージング対象の全視野X線信号と、X線顕微鏡、X線分光法、又はX線吸収測定組立体から前記イメージング対象内の関心領域のより高い空間又はスペクトル解像度の信号とを受信及び処理するように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
検出器又は検出器組立体は、フラットパネル検出器と、前記フラットパネル検出器の後ろのより小さい2D検出器又は1D若しくはポイント検出器とを含む、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記3Dイメージを構築するために取る放出位置の総数又は2Dイメージの数は、関心領域の前記第3の軸の深さ、又は関心領域の部分の厚さ、及び/又は前記第3の軸若しくは次元における前記解像度と定量的に関連する、請求項1~のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
x次元及びy次元において移動する又は操舵するとき、最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.1度未満、又は0.1度、又は0.1~1度とする、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
2Dイメージを撮った後、m×n×p変数を伴うm×n×p方程式、方程式系を解くことができ、X線源の各位置は、サイズm×nのイメージを生成することができ、P層が存在することができ、線型方程式系は、反復法及び行列法のいずれかで解くことができる、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
プロセッサーは、組合せデータ及び線型方程式の解に基づいて3次元イメージを導き出すため、従来のコンピューター断層撮影イメージングアルゴリズムを使用することができる、請求項1~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
物質分解方法は、関心領域における各構成要素の密度、厚み、組成、X線測定可能な特性を測定するために使用することができる、請求項1~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記X線測定システムは、異なる材料のX線測定特性のデータベースに少なくとも部分的に基づいて物質分解分析を出力するように構成されており、各材料は既知の密度及び/又は厚さを有する物質を含み、関数スペクトルX線イメージング方法、並びに、スペクトルCT、及び2重若しくは多重、若しくはスペクトルX線イメージングに使用される他の方法及びアルゴリズム、又は物質分解のために使用される先行技術のもの、に基づく、請求項1~14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記関心領域内の各構成要素が、密度、造影標識、空間構造及び形状、相対的空間位置、組成、又は移動特徴、フロー特性、フロー方向、流体力学、存在、可視性、又は移動の速度若しくは移動の頻度、又は構成要素内のそうした物理的性質のいずれか、又は第1X線イメージによって分析することができる任意の識別可能な物理的性質、又はシミュレートされる特性、又は既知の特性、又はこれらの特性の任意の組合せ、によって識別され得、
前記造影標識は、従来のCT若しくはX線造影剤、又は内在性の元素、又はカルシウム、亜鉛、空気、アルゴン、窒素、二酸化炭素、二酸化窒素、メタン、ヘリウム、酸素、ガドリニウム、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、クロム、金、銀、ツレニウム、及びバリウムからなる群から選択される、ナトリウム、カリウム、リン、硫黄、塩素、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、セレン、ヨウ素、クロムからなる群から選択されるもの、Au-(金)、Pt-(白金)、Ta-(タンタル)、Yb-(イッテルビウム)、及びBi-(ビスマス)由来の、ナノ粒子、グラフェンナノ粒子若しくはグラフェン放射標識複合物、ナノチューブ複合物、ヨウ素若しくはバリウム、ガドリニウム、ハイドロゲル又は陰性造影剤、マイクロ気泡(バブル)、ナノ気泡から選択される、請求項1~15に記載のシステム。
【請求項17】
X線システム及び/又は表示用の記憶媒体用非一時的なコンピューターのそれぞれは、ユーザーに必要な用途のために表示する機能を含む、観察又は表示ソフトウェアを含む、請求項1~16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
物質分解方法は、構成要素又は物質を分離するように構成され、他の構成要素若しくは関心領域のものに対して少なくとも1つの構成要素のための3Dイメージングを可能にする、及び/又は、バックグラウンド若しくは外部空間マーカー若しくはセンサーのものと比較して空間及び時間における少なくとも1つの構成要素のための6D若しくは7Dイメージを導き出す、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[任意の先願の言及による援用]
本願は、2018年8月2日出願の米国仮特許出願第62/713,554号、2019年2月11日出願の米国仮特許出願第62/803,613号、2019年5月26日出願の米国仮特許出願第62,853,050号、2018年7月30日出願の米国仮特許出願第62/712,058号、2018年10月14日出願の米国仮特許出願第62/745,369号、2018年9月11日出願の米国仮特許出願第62/729,433号、及び2018年11月3日出願の米国仮特許出願第62/755,425号の優先権を主張し、そのそれぞれの開示全体が言及によって本明細書に援用され、本明細書の一部となる。
【0002】
本願とともに提出した出願データシートにて外国優先権又は国内優先権の主張が特定される任意及びすべての出願は、37CFR1.57に該当し、言及によって本明細書に援用される。
【0003】
本願は、2019年1月20日出願の国際出願第PCT/US19/14391号、2019年3月18日出願の国際出願第PCT/US2019/022820号、並びに米国特許第5,648,997号、米国特許第5,771,269号、米国特許第6052433号、米国特許第6134297号、及び米国特許第6173034号に関し、そのそれぞれの開示全体が言及によって本明細書に援用され、本明細書の一部となる。
【0004】
[技術分野]
本開示は、一般にデジタルX線イメージングに関する。
【背景技術】
【0005】
[関連技術の説明]
X線(光子)のビームがイメージングする対象を透過する際、ビームの光子は、(1)直線(1次ビームと呼ばれる)で対象を透過し、イメージング検出器によって収集して、これがX線2次元(2D)イメージの暗部を生成する、(2)対象に吸収されて、イメージの明部を生成する(例えば、骨は白く現れるが、空気を充満させた肺は黒く現れる)、又は(3)対象内に散乱するが、なお対象から出てイメージング検出器によって収集することができる。検出器によって定量的に収集した散乱信号を、対象内に存在する種々の密度のものと相関させることは困難であり、散乱線の測定値は、散乱信号を生成する対象の体内物の精密な3D空間位置に容易に相関させられず、1次X線測定によって形成されるイメージが明瞭性でなくなることがある。散乱放射線量が増えると、イメージが明瞭でなくなり、イメージコントラストが低下することがある。
【0006】
散乱線対1次ビーム比(SPR)は、イメージング装置における同じ点に達する1次ビームのエネルギーで除算した散乱放射線のエネルギーである。ヒトの身体のイメージングに2次元検出器を使用する大部分のイメージングシステムにおいて、SPRは50%~100%ほどの高さになることがある。無作為に散乱したX線は、イメージコントラストを下げる傾向があり、ぼやけを生成して、信号対ノイズ比を低下させる。
【0007】
診断、検査、イメージガイダンス、及びトラッキング、セキュリティーの用途のため、定量的イメージングデータが必要とされることがある。回転コンピューター断層撮影(CT)は、定量的イメージングデータを提供可能であるが、時間を費やすことがあり、一般的に携帯型ではなく、高い放射線量を必要とし、及び/又は、約10-1~10-3モルと、一般的にモル感度が低い。非回転CT及び2Dイメージングはより安価で、より高速である、及び/又は回転CTと比較して低い放射線量を必要とするが、典型的には定量的ではない。
【0008】
臨床におけるX線イメージングにおいて、疲労骨折、肺塞栓症、及び他の疾患を含むがこれらに限定されない病気を診断するため、骨又は組織の対象領域における骨折のイメージとデンシトメーターとの相関が、デンシトメーター及びX線イメージングシステムにおいて個別に行われる。
【0009】
3次元(3D)X線顕微鏡イメージは、対象又はソース及び検出器が軸に対して回転する、従来の回転CTにおいて使用される方法を用いて生成される。複数のイメージが、対象のイメージを再構成するように180°で対象全体を撮るため必要とされる。結果として、プロセスは時間を費やすものとなる。しかしながら、1桁のナノメーター(nm)分解能、又は対物レンズの進歩によってさらにより高い分解能に達し得るX線顕微鏡は、1mm範囲などのスモールフォームファクターで対象に行われることがある。
【0010】
一般的に、スキャン性能や動作性能を追加することなく、光子計数検出器、エネルギー感応検出器、シリコンドリフト検出器、分光器、及び/又は、スペクトル吸収測定システムのみが、小さい寸法の対象を測定することができる。
【0011】
3DCTスキャナーの高放射線レベルにより、特に診断及び治療プロセスにおけるそうしたイメージング方法の回数は限られる。
【0012】
臨床におけるX線イメージングは、患者がギプス包帯サポートを着用する必要がある骨折に関する症例に関与する。現行のX線イメージング技術は、ギプス包帯のイメージの重なりのため、ヒトの身体及び内蔵の明瞭な2次元投影X線イメージを得る能力がない。ギプス包帯又はファイバーグラスの化学組成が骨材のものに近いこと、並びに、ギプスの厚み及び不規則な構造のため、実質的に、ギプス内部の傷害のある骨又は組織の状態について、イメージ情報を得ることができない。そして、ギプスは、回復をモニタリングするために各X線イメージを撮る前に取り除く必要があり、患者の処置及び/又は術後治療がよりタイミングよく個別化又は実施できない。
【0013】
個々の細胞又は小粒子、分子、及び生体は、臨床及び/又は科学的目的で、診断、スクリーニング、治療的モニタリング時に、インビボ又はエクスビボにおいて、可視化、定量化、及び/又はトラッキングする必要があり得る。しかしながら、X線イメージングなどの現行のイメージングモダリティーでは、必要とされる感度を得ることができていない。
【0014】
産業上及びセキュリティー上のX線イメージングにおいて、危険な、爆発性の、及びセキュリティー上の脅威(例えば、空港において)を分析する必要があり、イメージングされる対象における素材や部品を特徴づけて識別する必要があり得る。これらの作業は、本発明の進歩により行うことができる。
【発明の概要】
【0015】
X線イメージング装置及び方法により、多様な方法でX線イメージングを向上させることができる。
【0016】
一部の態様において、X線測定システムは、イメージング対象に向けた1つ以上のX線ビームを放出するように構成されたX線源と、イメージング対象の下流の2次元(2D)X線検出器とを含むことができ、システムの制御器は、x-y-z軸における位置を含む3D空間の少なくとも2つの軸において、X線放出位置又はX線源を移動させる又は操舵することと、2DのX線測定値を得ることとによって、対象の多次元及び/又は3次元(3D)イメージを得るように構成することができる。
【0017】
一部の態様において、検出器は、対象の診断、検査、トラッキング、及び/又はモニタリングのため、第1測定値、及び/又は、ライブ若しくは第2測定値を得るように構成することができる。X線源は、制御可能なエネルギーを有するX線ビームを放出するように構成することができる。X線源は、単一コーンビーム又は複数の細ビームを放出するように構成することができる。システムは、特定のビームがX線検出器の所定の位置に達することを選択的に可能にするように構成されたビームセレクター又はビーム吸収プレートを含むことができる。プロセッサーは、X線測定値から散乱線を取り除くように構成することができる。システムは、第2の2DのX線検出器を含むことができる。2DのX線検出器は、システムにおける唯一のX線検出器とすることができる。隣接するX線放出位置同士の間の距離は、第3の軸に必要とされる解像度の寸法、及び/又は、2つの位置がX線ビームのセットを生成して、各セットが対象領域における異なるボクセルパスを照射するように必要とされる最小距離とすることができる。隣接するX線放出位置同士の間の距離は、1画素ピッチ、画素ピッチの整数倍、又は1画素ピッチ未満とすることができる。3Dイメージを構築するために取る放出位置の総数又は2Dイメージの総数は、第3の軸の解像度で除算した第3の軸の深さとすることができる。x次元及びy次元において移動するとき、最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.1度未満、又は0.1度、又は0.1~1度とすることができる。x軸、y軸、及びz軸において移動するとき、軸のそれぞれに沿って最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.0008度未満、又は0.0008度、又は0.0008~0.5度、又は0.5~1度とすることができる。
【0018】
一部の態様において、X線照射する対象を、2次元X線検出器を使用してリアルタイムでモニタリングする方法は、第1時点における対象の複数の第1X線測定値を得ること、第1時点より後の第2時点における対象の複数の第2X線測定値を得ることであって、対象又はその部分は第1時点と第2時点との間で移動しているか、又は移動していないこと、複数の第2X線測定値を複数の第1X線測定値とマッチングすること、並びに、第1時点と第2時点との間の対象における少なくとも1つのターゲット、構成要素、及び/又は対象領域の6D位置を出力することを含むことができる。
【0019】
一部の態様において、方法は、X線源を使用してX線を放出することであって、X線は単一パルスで放出され、各パルスは異なるエネルギー又は波長であること、をさらに含むことができる。方法は、X線源を使用してX線を放出することであって、X線は、異なるエネルギーレベル又は波長の1つ又は複数のパルスで放出されること、をさらに含むことができる。第1測定値及び/又は第2測定値は、ポイント、1D及び/若しくは2DのX線測定値、並びに/又は、3D及び/若しくは4Dイメージングを含むことができる。第2X線測定値はライブ測定値を含むことができる。方法は、ターゲット、対象領域、対象、及び対象領域における他の構成要素に対する構成要素の6D相対位置を測定することをさらに含むことができる。第1測定値及び/又は第2測定値は、定量的イメージを含むことができる。1D及び/又は2Dにおける第1測定値及び/又は第2測定値から、散乱線を取り除くことができる。第1測定値及び/又は第2測定値を得るために放出されるX線は、コリメーターを通過するように構成することができる。コリメーターは、第1測定値及び/又は第2測定値を得るために使用されるX線検出器において異なる透過領域を生成するため、移動可能又は回転可能とすることができる。方法は、第1測定値及び/又は第2測定値を得るため複数のX線細ビームを放出することをさらに含むことができる。方法は、動的移動時に1回を超えて第1測定値及び/又は第2測定値をサンプリングすることを含むことができる。方法は、同じ頻度又は異なる頻度で第1測定値及び第2測定値をサンプリングすることを含むことができる。第1測定値は、シミュレート若しくは合成データ及び/又は所定のデータをさらに含むことができる。マッチングは、構成要素の空間構造、寸法、フォームファクター、解剖学的マーカー、フロー特性、構成要素同士の間の相対距離、及び/若しくは相対空間位置、3Dボリューム、6D方向、組成、並びに/又は密度に基づくマッチングを含むことができる。対象は、患者の身体における手術用具、カテーテル、生体組織検査先端部、ロボットプローブ、及び/又はインプラントを含むことができる。方法は、ロボット手術用具の構成要素又はガイダンスプローブ又は基準マーカーのトラッキングを含むロボット支援手術において適用することができる。方法は、他のイメージングモダリティーからさらなるイメージングデータを得ることさらに含むことができる。他のイメージングモダリティーは、様々なフレームレートの検出器、様々なスペクトル分解能、若しくは様々な数のエネルギー感応検出器セル、単一検出器アレイ、若しくは直線状検出器アレイ、若しくは複数の検出チャネルの検出器、スペクトル測定法、吸収測定法、X線顕微鏡法、干渉法、分光法、及び/又は非X線に基づくイメージングモダリティーを含むことができる。他のイメージングモダリティーは、X線測定と同期して、又はX線測定と異なる時間枠で、共配置又は測定するように構成することができる。方法は、任意の特定の構成要素の測定可能な特性及び/又は相対空間位置及び/又は可視性に基づいて識別可能な構成要素イメージに基づいて第1X線測定値及び第2X線測定値とさらなるイメージングデータとの共配置を行うことをさらに含むことができる。対象又はその部分は、多次元において第1時点と第2時点との間で移動することができる。多次元は、最大6自由度及び/又は時間基準を含むことができる。方法は、X線源、X線検出器、及び/又はビームセレクターの間の相対距離及び位置をキャリブレーションすることをさらに含むことができる。方法は、第1測定値を種々のエネルギーレベルでサンプリングすること、並びに対象領域の特定の物体、物質、及び構成要素、及びターゲットのエネルギー分解イメージ、並びに特定のエネルギーレベルにおける構成要素、ターゲット、及び対象領域の選択されるポイントデータ領域、2D、3D、4D、5D、6D、及び7D表示を抽出することをさらに含むことができる。
【0020】
一部の態様において、2つ以上の物質を含む対象のイメージを生成するように構成されたX線イメージングシステムは、複数のエネルギーレベルを有して対象に向けた1つ以上のX線ビームを放出するように構成されたX線源と、スペクトル感応検出器を含む、イメージング対象の下流のX線検出器又は検出器組立体と、フィルターと、予め選択されるビームの通過を選択的に可能にする又は阻害するように構成されたコリメーターとを含むことができ、システムのプロセッサーは、X線検出器又は検出器組立体において受信する1次元及び/又は2次元データに基づいて対象における対象領域を3次元イメージングするように構成することができる。
【0021】
一部の態様において、フィルターは符号化開口を含むことができる。符号化開口は、Kエッジ符号化開口を含むことができる。符号化開口は、対象と検出器若しくは検出器組立体との間、又はX線源と対象との間に位置することができる。コリメーターはフィルターとX線源との間に位置することができる。検出器又は検出器組立体は、フラットパネル検出器及びスペクトル測定検出器又は種々のフレームレートの検出器又はフラットパネル検出器の後ろの検出組立体を含むことができる。検出器又は検出器組立体は、フラットパネル検出器とフラットパネル検出器の後ろのより小さい2D検出器又は1D若しくはポイント検出器とを含むことができる。フィルターは、システムによるエネルギー及び/又はスペクトル感応測定の速度を向上させることができる。
【0022】
一部の態様において、散乱線除去を向上させた、及び/又は放射線レベルを低下させたX線イメージングシステムは、イメージング対象に向けた1つ以上のX線ビームを放出するように構成されたX線源と、イメージング対象の下流の第1の2次元X線検出器と、スペクトル測定、X線顕微鏡、吸収測定組立体、又は高速フレームレート検出器とを含むことができ、システムのプロセッサーは、X線検出器からイメージング対象の全視野X線信号と、顕微鏡、分光、吸収測定組立体からイメージング対象内の対象領域のより高い空間又はスペクトル分解能の信号を受信及び処理するように構成することができる。
【0023】
一部の態様において、X線源は、制御可能なエネルギーを有するX線ビームを放出するように構成することができる。X線源は、各イメージング操作において制御可能なエネルギーを有する少なくとも2つの連続するX線パルスを放出し、2つの連続するX線は高エネルギーパルスの後、低エネルギーパルスが続き、又は、エネルギーピークを有しない、若しくは1つ以上のエネルギーピークを有する広帯域X線スペクトルを放出するように構成することができる。X線源は単色とすることができる。X線源は、単一コーンビーム又はファンビーム又は多重ビームを放出するように構成することができる。X線源は、多重ビームの放出位置を制御するためビーム操舵デバイスを含むことができる。多重ビームの移動は、X線検出器の画素ピッチの整数倍又は分数を含むことができる。X線源は、X線ビームを、様々なエネルギー又は波長の多重X線ビームに分割及び回折させる回折素子を含むことができる。顕微鏡又は吸収測定又はスペクトルX線測定又は高速イメージング組立体は、スペクトル感応検出器、又はシリコンシフト検出器、又は光子計数検出器、又はフォトダイオード、又は光倍増管、及び高速フレームレート2D検出器を含むことができる。システムは、特定のビームがX線検出器の所定の位置に達することを選択的に可能にするように構成されたビームセレクターを含むことができる。ビームセレクターは2Dアレイを含むことができる。ビームセレクターの孔は、X線検出器の画素ピッチの整数倍で隔てることができる。X線検出器は、1次イメージのみを受信するように構成された領域と、散乱線イメージのみを受信するように構成された領域とを含むことができ、プロセッサーはX線検出器において受信した信号に基づいて散乱線を除去するように構成される。プロセッサーは、多重エネルギーシステムにおいて各エネルギーレベルで散乱線を取り除くように構成することができる。
【0024】
一部の態様において、散乱線除去を向上させた、及び/又は放射線レベルを低下させたX線イメージングシステムは、所定の距離だけ互いから離間した複数のX線ビームを放出するように構成されるとともに、イメージング対象を通過する特定のX線ビームが1次ビーム及び散乱線ビームを含むことができるX線源と、イメージング対象の下流の2次元X線検出器と、1次ビームが検出器の所定の位置に達することを選択的に可能にして、検出器の他の特定の位置に1次ビームが存在しないように構成されたビームセレクターとを含むことができ、システムのプロセッサーは、検出器の他の特定の位置における信号からの高解像度散乱線信号を内挿することで高解像度1次信号を得るように構成することができる。
【0025】
一部の態様において、距離は検出器における1画素を含むことができる。ビームセレクターは、検出器の所定の位置及び他の特定の位置がチェッカーボードパターンを形成するように構成することができる。ビームセレクターは複数のビーム吸収粒子を含むことができる。X線源は、単一、2重、又はスペクトルのエネルギーX線ビームを放出するように構成することができる。検出器はスペクトル感応検出器を含むことができる。プロセッサーは、多重エネルギーシステムにおいて各エネルギーレベルで散乱線を取り除くように構成することができる。プロセッサーは、2つ以上の物質を有するイメージング対象の物質分解分析を出力するように構成することができる。物質分解分析は、様々な物質のX線測定特性のデータベースに少なくとも部分的に基づくことができる。
【0026】
一部の態様において、散乱線除去を向上させた、及び/又は放射線レベルを低下させたX線イメージングシステムは、1つ以上のX線ビームを放出するように構成されるとともに、イメージング対象を通過する該1つ以上のX線ビームが1次ビーム及び散乱線ビームを含むことができるX線源と、イメージング対象の下流の前方2次元X線検出器と、特定のビームが検出器の所定の位置に達することを選択的に可能にするように構成されたビームセレクターと、後方2次元X線検出器と、を含むことができ、ビームセレクターは前方検出器と後方検出器との間に位置し、システムのプロセッサーは、後方検出器が受信したX線信号に少なくとも部分的に基づいて高解像度散乱線信号を決定し、高解像度散乱線信号を前方検出器において受信した高解像度信号から減算することで高解像度1次信号を出力するように構成することができる。
【0027】
一部の態様において、X線源は、単一、2重、又はスペクトルのエネルギーX線ビームを放出するように構成することができる。ビームセレクターは複数の積層プレートを含むことができる。複数の積層プレートの孔は照射パスを形成するようにアライメントすることができる。孔のサイズは、前方検出器により近接するプレートから後方検出器により近接するプレートに向かって次第に大きくすることができる。ビームセレクターは、1つ以上の次元及び/又は焦点において、移動することができる。検出器はスペクトル感応検出器を含むことができる。プロセッサーは、多重エネルギーシステムにおいて各エネルギーレベルで散乱線を取り除くように構成することができる。プロセッサーは、2つ以上の物質を有するイメージング対象の物質分解分析を出力するように構成することができる。物質分解分析は、様々な物質のX線測定特性のデータベースに少なくとも部分的に基づくことができる。
【0028】
一部の態様において、2つ以上の物質を含む対象のイメージを生成するように構成されたX線イメージングシステムは、複数のエネルギーレベルを有して対象に向けた1つ以上のX線ビームを放出するように構成されたX線源と、イメージング対象の下流のX線検出器又は検出器組立体であって、スペクトル感応検出器又はスペクトル非感応検出器又はシリコンシフト検出器又はエネルギー分散光学素子を含むスペクトル感応検出組立体又は空間感応検出器を含む検出器と、予め選択されるビームの通過を選択的に可能にする又は阻害するように構成されたビームセレクターとを含むことができ、システムのプロセッサーは、イメージング対象における異なる2つ以上の物質についての物質分解情報を出力するように構成することができる。
【0029】
一部の態様において、物質分解情報は、様々な物質のX線測定特性のデータベースに少なくとも部分的に基づいて得ることができる。対象の異なる2つ以上の物質と同じ若しくは類似の物質又は対象の実際の物質は、データベースを構築するためキャリブレーションに使用することができる、又は定量的数値関係は、未知の物質とその既知の同等の物質との間で、測定されたデータ同士の間において導くことができる。X線測定特性は、物質又は造影剤の特定の原子z番号、密度、フロー動態、流体工学、フロー方向、移動特徴、空間特徴、寸法、形状、体積、化学物質、エネルギー、又は機械的誘導変化、及び/又は状態変容を含むことができる。X線源は、所定の距離だけ互いから離間した複数のX線細ビームを放出するように構成することができる。距離は、検出器の画素ピッチの少なくとも整数倍とすることができる。
【0030】
一部の態様において、エピトープを含むイメージングターゲットを標識するように構成された造影剤複合体は、エピトープに結合するように構成されたドメインを含むとともに、第1造影剤とコンジュゲートした第1分子を含むことができ、ドメインとエピトープとの結合は、第1分子を第1分子の第1構造から第1分子の第2構造に変化させることができ、第1分子の第2構造は第2エピトープを含み、第2エピトープは、第2造影剤とコンジュゲートした第2分子の第2ドメインを結合するように構成することができる。
【0031】
一部の態様において、第1分子は、抗体又はナノボディ又は低分子又はペプチド又はタンパク質とすることができる。第1造影剤は、有機、イオン、非イオン、非金属、内因性、内在性、又は金属由来の造影剤から選択することができる。造影剤は、カルシウム、亜鉛、空気、アルゴン、窒素、二酸化炭素、二酸化窒素、メタン、ヘリウム、酸素、ガドリニウム、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、クロム、金、銀、ツレニウム(thulenium)、及びバリウムよりなる群から選択することができる。内在性由来の造影剤は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン(phosphorous)、硫黄、塩素、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、セレン、ヨウ素、及びクロムから選択することができる。第1分子は抗原特異的分子標識をさらに含むことができる。第1造影剤はリポソーム由来分子とすることができる。第1造影剤はヨウ素由来化合物とすることができる。金属由来の造影剤は、バリウム、タンタル、タングステン、金、銀、ビスマス、ガドリニウム、又はイッテルビウム由来の造影剤から選択することができる。造影剤複合体は、内部で会合するとき300nm未満又はそれより大きい有効粒子径を有することができる。第1造影剤の有効量は、10-12モル~10-3モルとすることができる。第2造影剤は、有機、イオン、非イオン、非金属、内因性、内在性、又は金属由来の造影剤から選択することができる。造影剤は、カルシウム、亜鉛、空気、アルゴン、窒素、二酸化炭素、二酸化窒素、メタン、ヘリウム、酸素、ガドリニウム、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、クロム、及びバリウムよりなる群から選択することができる。内在性由来の造影剤は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン(phosphorous)、硫黄、塩素、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、セレン、ヨウ素、及びクロムから選択することができる。第1造影剤は陰性造影剤とすることができる。第2造影剤は陰性造影剤とすることができる。陰性造影剤は、イメージング対象において自然に発生させることができる。陰性造影剤は、カルシウムイオン又はカルシウムイオン複合体を含むことができる。第2ドメインを第2エピトープに結合させることは、第2分子を第2分子の第1構造から第2分子の第2構造に変化させることができ、第2分子の第2構造は、第3分子と結合するように構成された第3エピトープを含む。複合体は自己組織化することができる。第1分子及び第2分子は反復単位とすることができる。自己組織化された複合体は、ケージ構造、ケージ構造によって封入された1つ以上の造影剤、又は1つ以上のマイクロ気泡によって封入された、若しくは1つ以上のマイクロ気泡に結合した造影剤を含むことができる。複合体は、1つ以上の造影剤がメッシュに組み合わせられるようにメッシュを含むことができる。第1分子は、1つを超える造影剤を結合するように構成された1つを超えるドメインを含むことができる。第1造影剤及び第2造影剤は同じとすることができる。第1造影剤及び第2造影剤は、様々なイメージングモダリティーに適するように異なることができる。ドメインと第1エピトープとの結合は、イメージングに必要とされる時間に基づいて解離するように構成することができる。ドメインと第1エピトープとの結合の解離は、複合体を崩壊させることができる。造影剤複合体は、細胞内又は細胞外環境において形成することができる。
【0032】
上述に開示するシステム及び/又は方法は、上述の造影剤複合体の任意の特徴を有する造影剤複合体を含むことができる。
【0033】
一部の態様において、X線イメージングを使用して複数の造影剤複合体で標識されるターゲット内の細胞又は酵素事象をモニタリングする方法は、X線源とX線検出器との間に配置されるターゲットを透過する、X線源からのX線ビーム又は複数のX線細ビームを放出することと、X線検出器においてX線信号を受信することであって、ターゲットからの信号の部分は複数の造影剤複合体によってバックグラウンド信号に対して増幅され、各造影剤複合体は1つを超える造影剤分子を含むことと、受信したX線信号に少なくとも部分的に基づいて細胞又は酵素事象を検出すること、を含むことができる。
【0034】
一部の態様において、造影剤複合体は、モニタリングされる細胞又は酵素事象に干渉することなくターゲットのマーカー分子を標識することができる。造影剤複合体は、ミセル、ナノミセル、ポリマーミセル、ナノ懸濁剤、ナノカプセル、又はナノ乳剤から選択される形態とすることができる。方法は、第1時点において第1造影剤、及び第2時点において第2造影剤を投与することをさらに含むことができる。方法は、第1時点における第1造影剤の進行、及び第2時点における第2造影剤の進行を検出することをさらに含むことができる。方法は、複数の造影剤複合体を対象に投与することをさらに含むことができる。造影剤複合体は、経口で又は静脈内に投与することができる。造影剤複合体は、薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。造影剤複合体は、安定剤をさらに含むことができる。1つを超える造影剤分子は、ターゲットが位置する生体において自然に発生させることができる。1つを超える造影剤分子は、カルシウムイオン又はカルシウムイオン複合体を含むことができる。造影剤複合体は、有機、イオン、非イオン、非金属、内因性、内在性、又は金属由来の造影剤から選択することができる。造影剤複合体は、カルシウム、亜鉛、空気、アルゴン、窒素、二酸化炭素、二酸化窒素、メタン、ヘリウム、酸素、ガドリニウム、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、クロム、及びバリウムよりなる群から選択することができる。内在性由来の造影剤は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン(phosphorous)、硫黄、塩素、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、セレン、ヨウ素、及びクロムから選択することができる。造影剤複合体はリポソーム由来分子とすることができる。造影剤複合体はヨウ素由来化合物とすることができる。金属由来の造影剤は、バリウム、タンタル、タングステン、金、ビスマス、ガドリニウム、又はイッテルビウム由来の造影剤から選択することができる。造影剤複合体は、300nm未満の有効粒子径を有することができる。第1造影剤の有効量は、10-9モル~10-3モルとすることができる。第1造影剤は陰性造影剤とすることができる。造影剤複合体は、エピトープに結合するように構成されたドメインを含むとともに、第1造影剤分子とコンジュゲートした第1分子を含むことができ、ドメインとエピトープとの結合は、第1分子を第1分子の第1構造から第1分子の第2構造に変化させることができ、第1分子の第2構造は第2エピトープを含み、第2エピトープは、第2造影剤分子とコンジュゲートした第2分子の第2ドメインを結合するように構成することができる。造影剤複合体は自己組織化することができる。ドメインと第1エピトープとの結合は、イメージングに必要とされる時間に基づいて解離するように構成することができる。ドメインと第1エピトープとの結合の解離は、造影剤複合体を崩壊させることができる。造影剤複合体は、細胞内又は細胞外環境において形成することができる。X線源は、単一、2重、又はスペクトルのソースを含むことができる。X線イメージングは、全視野X線、X線顕微鏡、吸収測定、X線スペクトル測定、及び/又は、全視野X線イメージングシステムのものと比較して、感度、フレームレート、空間分解能若しくはスペクトル分解能の少なくとも1つにおける違いを有する検出器の測定を含むことができる。
【0035】
上述の方法のX線測定システム及び/又は上述のシステムは、X線源若しくはX線放出位置は対象領域の多次元若しくは3D若しくは4Dイメージを構築するため3軸3次元空間における少なくとも2軸において移動すること、隣接するX線放出位置同士の間の距離は、第3の軸に必要とされる解像度の寸法とする、及び/若しくは、2つの位置が対象領域における様々な組合せ若しくは様々な数のボクセルに関与する照射パスのセットを生成するように必要とされる最小距離とすること、隣接するX線放出位置同士の間の距離は、1画素ピッチ、画素ピッチの整数倍、若しくは1画素ピッチ未満とすること、3Dイメージを構築するために取る放出位置の総数若しくは2Dイメージの総数は、第3の軸の解像度で除算した第3の軸の深さとすること、xy平面においてX線放出位置若しくはX線源を移動させるとき、最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.1度未満、若しくは0.1度、若しくは0.1~1度とすること、x軸、y軸、及び/若しくはz軸においてX線放出位置若しくはX線源を移動させるとき、軸のそれぞれに沿って最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.0008度未満、若しくは0.0008度、若しくは0.0008~0.5度、若しくは0.5~1度とすること、X線放出位置若しくはX線源は移動しないこと、及び複数のX線放出位置若しくは複数のX線源を使用すること、X線放出位置若しくはX線源の2つ以上のセットは、対応する検出器の反対側で互いから離れるように空間位置に配置され、各セットは、セットの残りのものとは異なる1つ以上のエネルギーレベルのX線を生成するX線源を含むこと、並びに/又は、物質分解方法は、構成要素又は物質を分離するように構成され、他の構成要素若しくは対象領域のものに対して3Dイメージングを可能にする、及び/若しくは、バックグラウンド若しくは外部空間マーカー若しくはセンサーのものと比較して空間及び時間における6D若しくは7Dイメージを導き出すこと、の1つ以上を含むことができる。
【0036】
種々の実施形態は、例示を目的とする添付の図面において記載し、実施形態の範囲を限定するものとして一切解釈されるべきでない。さらに、開示する様々な実施形態の種々の特徴は、本開示の一部である、さらなる実施形態を構成するように組み合わせることができる。対応する数字は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A図1Aは、本開示の例のX線イメージング装置を模式的に示す。
図1B図1Bは、2つのフラットパネル検出器を有する例の2DのX線イメージング装置を模式的に示す。
図2図2は、複数のプレートを含む1次X線の選択的透過のためのコリメーターを有する例のX線装置を模式的に示す。
図3図3は、2イメージステッププロセスにおいて複数のX線細ビームを使用することによって散乱線が除去される例の2DのX線イメージング装置を模式的に示す。
図4図4は、図3に示すX線源に基づく例のイメージング方法のフロー図を示す。
図5図5は、本明細書に記載するような2層検出器システムを使用して多重エネルギーシステムにおける散乱線を除去するための例の方法のフロー図を示す。
図6図6は、ビーム吸収粒子を含む、散乱線を除去するための例のビームブロッカーの平面図を模式的に示す。
図7図7は、散乱を除去するための例のビームブロッカーの側面図を模式的に示す。
図8図8は、1つ又は複数のX線イメージング設備から種々の時間で導き出した同じ対象のためのデータを含む例のデータベースを模式的に示す。
図9図9は、多次元及び3Dイメージング取得のためのイメージング取得時の新たに導入された未知の領域を示す。
図10図10は、X線源と対象との間における画素化Kエッジ符号化開口の使用を示す。
図11図11は、定量的測定を提供するように構成された例の2DのX線イメージング装置を模式的に示す。
図12A図12Aは、選択対象領域におけるX線スペクトル測定及びスペクトル吸収測定並びに全視野X線イメージングのハイブリッドシステムの概略図を示す。
図12B図12Bは、X線顕微鏡及び全視野X線測定のハイブリッドシステムの概略図を示す。
図12C図12Cは、X線顕微鏡及び全視野X線測定のハイブリッドシステムの概略図を示す。
図13A図13Aは、3D顕微鏡イメージングの例のフロー図を示す。
図13B図13Bは、X線顕微鏡、吸収測定、及び/又はスペクトル測定と組み合わせた2D全視野X線イメージングの例のフロー図を示す。
図13C図13Cは、2D及び3DのX線顕微鏡、スペクトル測定、並びに/又は吸収測定と組み合わせた3D全視野X線イメージングの例のフロー図を示す。
図14図14は、多重マイクロビームを使用する散乱線除去を示す。
図15A図15Aは、磁気プレートを使用する例のX線ビーム偏向を示す。
図15B図15Bは、コリメーターの構成例を示す。
図15C図15Cは、コリメーターと2DX線検出器の組立体例を示す。
図15D図15Dは、コリメーターとしての総内反射管の例によるX線ビーム投影を示す。
図15E-15F】図15E及び15Fは、図15Eのような超小型電子デバイス、すなわちチューナブルMEMのX線光学系、X線鏡、又は格子、又は超音波システムなどの図15Fのような音響変調器などの変調制御システムによるX線ビームの回折又は操舵の例を示す。そうした装置及び関連する方法は、多次元イメージングにおいて、又はインターフェログラム生成において、又は散乱線及び1次X線の分離、又は構造的照射ビーム測定において、X線放出位置を生成することに使用することができる。
図15G図15Gは、2Dの1次及び散乱線イメージ分離における方法及び装置の概要を示す。
図15H図15Hは、2D機能イメージングの概要である。
図16図16は、対象の対象領域とともにイメージングした、最小侵襲外科手術においてカテーテルガイドワイヤ及びインプラントを含む、処置装置と併せて使用されるX線装置の例を模式的に示す。
図17図17は、トラッキング及びモニタリングのためのX線細ビーム装置の例を模式的に示す。
図18図18は、X線装置における501、502、503などの図17のコリメーター24の様々な態様の平面図を模式的に示し、そうしたコリメーターはX線源12と対象2との間に配置される。
図19図19は、X線透過領域を有する回転ディスクにおける図17のコリメーター24の態様を模式的に示す。
図20図20は、透過領域200が2D平面においてパターンを形成する図17の装置における例のコリメーター24を模式的に示す。
図21図21は、透過及び不透過領域の例のパターン及び形状を有する図17の装置のためのコリメーター24の他の例を模式的に示す。
図22図22は、透過及び不透過領域の例のパターン及び形状を有する図17の装置のためのコリメーター24の他の例を模式的に示す。
図23図23は、透過領域200が不透過領域201と組み合わさった、図17に示すX線装置におけるコリメーター24の例を模式的に示す。
図24図24は、任意の特定の領域において組織に対する放射線量を少なくするためのX線源及びX線ビーム操舵ハードウェアを組み合わせる例を模式的に示す。
図25図25は、定量的X線イメージと非X線イメージングモダリティーとの所定位置の共配置の例のフロー図を示す。
図26図26は、対象領域における複数の構成要素及びターゲットにおける種々の構成の例を示す。
図27A-27C】図27A~27Cは、対象領域における複数の構成要素及びターゲットにおける種々の構成の例を示す。
図28-1】図28は、対象領域における構成要素及びターゲットのデータ点、1D、2Dイメージの第1測定値、及び対象領域における構成要素及びターゲットにおける同じものの単一エネルギーライブ測定値とのマッチングに基づいて対象領域における対象の構成要素及びターゲットを位置決め及びトラッキングをするための例のフロー図を示す。
図28-2】図28は、対象領域における構成要素及びターゲットのデータ点、1D、2Dイメージの第1測定値、及び対象領域における構成要素及びターゲットにおける同じものの単一エネルギーライブ測定値とのマッチングに基づいて対象領域における対象の構成要素及びターゲットを位置決め及びトラッキングをするための例のフロー図を示す。
図29A図29Aは、その新生状態における例の多次NanoXgenを示す。
図29B図29Bは、ターゲットの1次、2次、及び3次結合を形成する図29Aの多次NanoXgenを示す。
図30図30は、対象の信号の増幅のためのカスケード反応を誘導する例のプロセスを示す。
図31図31は、ターゲットにおけるCa++密度を増大するための、種々の形状における例の自己組織化3D封入構造又はケージを示す。
図32A-32B】図32A図32Bは、Ca2+ミセル状構造を示す。
図33図33は、X線源放出位置が、3D空間における少なくとも2つの軸における位置と組み合せて移動することができ、表されるX線放出位置の移動はx、y、z軸に沿って直線的であり、対象領域の外部の領域におけるすべての新たな未知のものの導入を少なくする又は極力少なくし、完全な3Dイメージを再構築するために必要とされるイメージの数を少なくする、又は極力少なくする、例の3Dイメージング方法を示す。
図34図34は、X線源12の下流及びイメージングする対象2の上流に配置されるX線ビーム吸収体プレートPを示す。
図35A-35B】図35A及び図35Bは、種々のX線エネルギーの様々なX線源によって照射されるX線対象における対象領域又は構成要素の例を示し、X線対象における対象領域又は構成要素は、それぞれ異なるエネルギーのX線を放出可能な少なくとも2つのX線源によって同時又は異なる時間で照射することができる。対象領域から出るX線信号は、1つ以上の検出器に投影することができる。
図36A-36B】図36A及び図36Bは、それぞれX線対象の上流及び下流に配置される図7のようなビーム吸収プレートを示す。そうした構成は、高速低分解能1次X線測定値及びイメージングを生成するため使用することができ、単一エネルギー及びスペクトル測定及びイメージングと組み合わせたとき、リアルタイムデンシトメーター又はトラッキングシステムにおいて使用することができる。そうしたプレートは、散乱線除去1次X線測定及びイメージングデバイスとして使用するとき、断層撮影測定において、xy平面においてわずかに移動する、又は静的であることができる。1次X線の遮断による欠落データは、断層撮影用途において関連させるには十分に小さいものとなり得る。高空間分解能完全3Dイメージングを必要とする場合、いずれのX線源も、欠落するデータをその後の測定値によって取得することができるように、その原位置から十分に離れて、対象又はプレート24に対して移動することができる。任意で、プレートは、欠落データをその後の測定で取得することができるように、3D空間において移動することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示の態様は、図面及び種々の実施形態に関して提供される。しかしながら、当業者は、本明細書に開示する装置及び方法の他の実施形態及び態様が、一部の他の実施形態と同じく詳細に記載されていなくても、なお本開示の範囲内に該当するということを理解する。記載される種々の実施形態の態様は、この説明の後の特許請求の範囲によって規定される本明細書における本開示の範囲を限定するものではない。
【0039】
概要
本明細書に開示する装置、及び方法、及び材料は、特に、x線照射される対象における種々の構成要素が、散乱ノイズにより従来の2DのX線撮影のX線測定を使用して容易に区別されない、及び/又は従来のCTスキャナーが、高放射線のため慣例的に使用されない、及び/又はCTスキャナーが、リアルタイムでなく、あまりに時間を費やすものである、及び/又は実行不可能な一部の場合において、構成要素のX線測定に使用することができる。
【0040】
図1Aに示すように、例の2DのX線イメージング装置10は、X線源12、ビームセレクター又はコリメーター又はビームブロッカー24、及びX線検出器又は検出器組立体14を含むことができる。検出器又は検出器組立体14は、単一のフラットパネル検出器、又は前方2次元X線検出器22及び後方2次元X線検出器26の組立体を含むことができる(図1B参照)。X線放射線及び/又はX線源、及び/又はX線源の相対位置は、空間において1~6次元で移動させるように構成することができる。あるいは、X線源は、2つ以上のX線放出位置を有することができる、又は2D若しくは2D空間に配置された複数のX線源が存在するとすることができる。
【0041】
対象2はX線源12と検出器14との間に配置される。X線源12は対象2に向かってX線ビーム30を放出することができる。X線ビーム30は、場合によっては単一エネルギーピーク、2重エネルギーピーク、又は多重エネルギーピークを有する、広帯域スペクトルのものである。対象2又は対象2における対象領域4は、様々なX線測定特性を有するターゲット内の、図1Aに示すような2つを超える物質又は2つを超える構成要素を含むことができる。また、X線ビーム30は単色とすることができる。各ビームはパルス状とすることができる。X線ビーム30は、対象2との相互作用によって変わらない進行方向を有する1次X線ビーム32と、対象2との相互作用によって変わる進行方向を有する散乱X線ビーム34とを含む。検出器14は、1次及び散乱X線ビーム32、34を共に受信することができる。
【0042】
ビームセレクター24(コリメーターとも呼ばれる)は、検出器14と対象2との間、又は検出器14と吸収測定組立体11、若しくはスペクトル測定組立体15、高速検出器若しくは検出器14とは異なる検出器及び該当する組立体、及び/若しくは顕微鏡組立体15との間、又は前方検出器と後方検出器との間に配置することができる。ビームセレクター24は、X線源12と対象2との間に配置することができる。ビームセレクター24は、1次ビーム32の部分の通過を可能にし、X線ビーム30の残りの部分を妨害又は遮断することができる。あるいは、ビームセレクター24(図7に示すようなビームセレクター105と類似する)は、第2検出器(吸収測定検出器、スペクトル感応検出器、顕微鏡検出器、又は後方検出器であってもよい)の所定の位置においてのみ、散乱ビーム34を通過させて、1次X線ビーム32をそれらの位置に対して遮断することができ、そして、1次ビーム32及び散乱ビーム34を第2検出器の残りの位置において通過させることができる。スペクトル測定、X線顕微鏡、及び他のタイプの検出器のX線関連測定は、全視野X線イメージングを撮った後、選択領域において行うことができる。ユーザー又はデジタルプログラムは、1つ以上の条件により領域を選択する。一般的に、そうした選択領域は、全視野よりはるかに小さく、μm、又はmmの寸法になり得る。選択したモダリティーを使用して、選択領域において、高空間分解能及び高スペクトル分解能が得られる。そうしたイメージングシステムは、リアルタイムで選択領域を測定するため、所定位置に及び所定位置から移動することができる。モダリティーは、X線全視野検出器の下流又は上流に配置可能である。装置は、X線源及びフラットパネル検出器ペアに対して角度をなして配置可能な、それ自体のソース及び検出器組立体を有することができるが、なお選択領域にアクセス可能である。非X線系モダリティーは、X線測定及びイメージングと同期して、又は異なる時間枠で、共配置又は測定することができる。
【0043】
X線検出器は、対象2による減衰後のX線放射線を検出し、検出X線を表示するように構成される。また、装置10は、検出X線の信号を受信して、検出X線放射線をイメージに解像するように構成されたプロセッサー13を含むことができる。
【0044】
ビームセレクター24は、例えば、第2検出器が受ける信号に基づいた高解像度散乱信号を得て、第1検出器における高解像度イメージから高解像度散乱信号を除去して高解像度1次信号を得ることを可能とすることにより、以下により詳細に記載されるように対象2の高解像度1次信号を受けるように散乱線を取り除くために使用することができる、第2検出器における構造的照射を可能にする。
【0045】
ビームセレクター24は、対象2の対象領域4において第2検出器の構造的照射を可能とする。構造的照射技術を使用して対象全体より小さい領域に集中させることで、対象における全放射線暴露量を少なくすることができる。本明細書に開示するX線装置から得たイメージは、装置の持ち運び性及び/若しくは利用可能性を改善、並びに/又は時間、放射線レベル、毒性、及び/若しくは費用を低減しながら、物質分解、及び/又は外科機器のトラッキングなどのさらなる情報を含むように、空間的、スペクトル的、及び/又は時間的に、分解能及び/又は感度を改善することができる。
【0046】
また、向上させたX線装置は、静止位置及び動的移動位置における対象領域の内部ターゲット又は構成要素の特定及びトラッキングを行うことを可能とする。時間及び空間における、対象における対象領域及び/又はその構成要素は、4Dイメージを形成する。対象領域における構成要素又はターゲットの空間分解能は、6自由度、すなわち、x、y、z軸、ピッチ、ヨー、及びロールにおける移動を有することができる。トラッキングは、対象におけるターゲット、構成要素、対象領域についての第1セットの測定値と、対象におけるターゲット、構成要素、対象領域についてのライブ測定値のセットを得ること、及び第1セットの測定値とライブ測定値又は第2測定値とをマッチングすることで行うことができる。
【0047】
本開示は、互いに重なり合うことのある少なくとも2つの異なる物質を有する対象の個々の構成要素のイメージング及び測定のため、2D検出器とともに低毒性若しくは無毒性の造影剤を使用して、2重及び/若しくは多重エネルギーの、顕微鏡的若しくは分光学的X線測定、並びに/又は、Kエッジ若しくはAスペースX線イメージングを行うことにおける、静的及び/又はリアルタイムのX線イメージングの例の材料、装置、及び/又は方法を提供する。
【0048】
本開示は、向上させたX線イメージングシステム及び方法とともに使用される造影剤を含むことができる。本明細書に開示する分子造影剤は、2Dフラットパネル検出器とスペクトル物質分解改良型2D及び3Dイメージングシステム及び方法との組合せを併せることができる。本明細書に開示する、対象領域における小領域へのスペクトル吸収測定、及びX線顕微鏡、並びに光子計数検出器又はPMTを追加したものなどの改良型X線イメージングシステムは、造影剤がCT又は2DのX線像で観察されるように、要求される造影剤濃度を下げて、毒性を下げることができる。任意で、内因性元素、特にCa2+、及び身体における他の自然に多量の元素は、広い範囲の濃度で毒性ではなく、使用可能である。任意で、内因性元素は、2DのX線像及び本明細書に開示する他の任意のイメージングシステムによるものなどのイメージングにおける造影剤濃度の増加に適する構造に自己結合することができる。
【0049】
2DのX線イメージング装置は、6自由度の及び/又は時間的な、対象における種々の構成要素の3Dイメージング及び/又はトラッキングを生成するように構成することができる。6Dイメージングは、ポイント測定、1D測定、2D測定、3D測定、及び/又は4D測定(動的移動、並びに/又は流れの方向及び/若しくは速度などの時間に基づく特徴づけを含む)を使用して生成することができる。イメージングは、X線スペクトル測定、X線顕微鏡法、分光法、並びに/又はスペクトル吸収測定、種々のフレーム速度及び/若しくはスペクトル分解能及び/若しくは空間分解能の検出器を使用して、全視野及び集中選択対象領域の両方であるとすることができる。イメージングは、単一、2重、並びに/又は他の多重エネルギーシステムで、及び/若しくは、それらに例えばフィルターの使用によるKエッジ測定を含んで、行うことができる。
【0050】
本明細書に開示の材料、装置、及び/又は方法の利点は、以下の1つ以上を含むことができる。1)大きいサンプルにおける小さい構成要素のトラッキングなどを含む、ナノメートル範囲などへの、分解能の向上。2)10-15秒、若しくはテラヘルツ、若しくはヨタヘルツ(1x1024Hz)範囲ほども速くなり得る、又は単一のフォトダイオード、若しくは光子計数検出器、若しくはPMT許容などの最高速度検出器ほども速くなり得る、検出器速度及び/又はトラッキング速度の向上。3)対象の物質及び/又は構成要素の特徴づけに使用するなどの、エネルギースペクトル測定におけるスペクトル分解能の向上。4)従来の2DのX線測定と比較してはるかに大きく感応し、PET及びMRI、又は、光音響イメージング、光学イメージング、及び超音波のものに近い又は同等であるなどの、空間分解能、スペクトル分解能、及び/又は時間分解能における向上による感度の向上。トラッキング速度の増加により、単一又は少数のフォトダイオードは、1ヨタヘルツほども速い検出器速度で小さい対象領域をトラッキング又は測定するために十分であるとすることができる。分子、原子、電子、及び/又は細胞における、物理的現象、例えば、原子物理、若しくは量子力学現象、及び/又は超高速レーザー誘導の変化は、X線測定に基づいて測定又は特徴づけることができる。(5)分子メカニズム(複合体及び構造の形成など)による信号の増幅向上。(6)信号、特に、カルシウム、亜鉛、及びマグネシウムなどの内因性物質のものの有無の優れた検出。(7)エネルギー、化学反応、電気、電磁気、及び音響方法による、物質若しくは構成要素の状態の活性化及び/若しくは不活性化、又は構成要素の変容の検出の向上。例えば、RF焼灼術時、心臓組織が壊死となり、組織の分子及び細胞構造を、生きた組織から死細胞及び死組織に変容する。この変容時の分子複合体及び細胞構造の蓄積又は崩壊を測定することができる。他の例として、対象領域の超音波妨害などのさらなるエネルギーにより、対象における対象領域又は構成要素の区別及びモニタリング又はトラッキングの向上をもたらし得る様々なX線測定を行うことができる。(8)対象の対象領域又は構成要素に対するマーカーを標的とする造影剤としてのカルシウム、亜鉛、及びマグネシウムなどの内因性分子で、種々の分子リガンド、タンパク質、低分子、オリゴ、有機及び/又は無機分子であり得る、マーカーを標識することによる毒性の低減及び/又は排除。(9)ギプス包帯内の骨組織のイメージングの向上。分子標識の代わりに、ヨウ素のギプスセメント若しくは混合物との混合、又は外科的、生体組織検査、及び/若しくは処置の装置、及び/若しくはガイダンスツールの造影剤若しくはX線測定感応材との混合など、造影剤を対象の物質又は対象の構成要素と混合して、そうした構成要素を定量化又は分離することができる。
【0051】
本明細書に開示する方法及び/又は装置は、低毒性又は無毒性の造影剤、2つ以上の物質を含む対象における多重エネルギーシステムの散乱線除去の任意の組合せを個別に及び/又は共に実施することによって、全視野X線をスペクトル測定、X線顕微鏡法、スペクトル吸収測定、及び/又は分光器と組み合わせて、外科ガイダンスのために種々の次元におけるX線測定を使用して、モジュール式に実施することができる。例えば、本明細書に開示する低毒性又は無毒性の造影剤は、従来の2DのX線又は他の従来のイメージングモダリティーにおいて適用することができる。本開示において、分光法はX線スペクトル測定を指し、顕微鏡法はX線顕微鏡法を指し、吸収測定法X線吸収測定を指す。
【0052】
本明細書に開示するX線装置は、バッテリー作動X線源と組み合わせたハンドヘルド又は持ち運びタイプなどの、携帯型フォーマットにすることができる。X線源は、例えば、パルス毎に100ジュール~1,000ジュールの蓄積電気エネルギーに対応するX線出力、及び0.1ms~10msの典型的なパルス持続時間を有する単発X線パルスを提供する小型パルスX線源を含むことができる。また、飛行時間型X線源も、ps範囲のパルス持続時間で、使用することができる。また、冷陰極フィールドエミッターに基づくX線源も使用することができる。そうしたX線源は、軽量、小型であり、極めて低い電力供給を必要とするものとすることができる。装置は、人体イメージング、生体組織の他のタイプのイメージング、及び/又は産業用途(半導体、建設、又は環境用途など)に適するものとすることができる。携帯型タイプは、バッテリー作動する折りたたみシステムを含むことができる。折りたたみシステムは、現場検査、診断、イメージガイダンス、及び/又は物質の特徴づけに使用することができる。
【0053】
多重エネルギー散乱低減例
臨床におけるX線イメージングは、有害な散乱効果を軽減するためにブッキーグリッドを使用することができる。しかしながら、ブッキーグリッドは非効率で精巧でない装置であり得、患者のX線暴露を2~4倍増加しながら、散乱線をその総強度のよくて30%又は20%に低減するものである。また、他の種々の方法も、空間周波数変調器又は飛行時間型ソースを使用することによってなどで、散乱放射線を低減するため開発されている。しかしながら、各方法は重大な難点がある。例えば、ビームハードニング技術は、2D検出器において測定エラー又は超高速測定の必要性をもたらし、これは大部分の臨床用途において実際的でない。
【0054】
また、ビームセレクターも、該ビームセレクターを2重検出器構成の間に挟んで、単一エネルギー、2重エネルギー、及び/又は多重エネルギーの方法に使用することができる。前方検出器は、散乱及び1次イメージを共に測定し、後方検出器は、X線吸収プレート(すなわち、ビームセレクター)に包埋された1次X線透過用に設計された選択的透過チャネルにより、1次X線のみを測定する。散乱線は、高精度でX線イメージから実質的に除去することができる。そうしたビームセレクター及び2重検出器構成は、米国特許第5,648,997号明細書、米国特許第5,771,269号明細書、米国特許第6052433号明細書、米国特許第6134297号明細書、及び米国特許第6173034号明細書、並びに国際特許出願第PCT/US2019/022820号に記載されている。
【0055】
本開示は、製造性の向上、コストの低下、及び/又は、例えば、1次及び散乱X線の分離をより緻密化することによることを含む、散乱線除去の精度の保持においてなど、ビームセレクター及び2重検出器構成よりも改善されている。本明細書に開示する例の2DのX線イメージング装置は、一般的にX線投影ビームパスに沿って重なり合う、イメージを識別する、又は対象における対象領域における種々の構成要素の1つ以上のX線測定から情報及び構造化した結果を導き出す。装置は、インビボ及びエクスビボイメージングにおける解剖学的マーカー及び/若しくは時間的指標による種々の組織若しくは組織領域の識別及び特徴づけを向上させる、並びに/又は、2つ以上の物質を含む対象における測定、イメージ品質、識別、及び物質組成の分析を向上させることができる。装置で得られる2DのX線イメージは、散乱干渉を実質的に又はほぼ又は完全に除去することができる。
【0056】
また、本明細書に開示する2DのX線イメージング装置は、2DのX線撮影よりはるかに高価で、及び/又は時間を費やす、コンピューター断層撮影(CT)スキャナー、磁気共鳴画像法(MRI)、ポジティブ放射断層撮影(PET)、及び単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)、並びに他の既存の定量的断層撮影及びイメージング方法において以前は行われていた可視化、及び/又は定量的データ分析を可能にすることができる。本明細書に開示する2DのX線イメージング装置において行われる可視化及び/又は定量的データ分析は、人工知能、深層機械学習、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、及び/又は深層ニューラルネットワークを使用して診断及び識別及び特徴づけのために開発されたアルゴリズムを走らせることで行うことができる。
【0057】
本開示は、散乱X線を低減及び/又は除去するように構成された2DのX線イメージング装置及び方法の例を提供する。
【0058】
本明細書に開示する2DのX線イメージング装置及び方法は、単一エネルギー、2重エネルギー、又は多重エネルギーとすることができる。例の2DのX線イメージング装置は、多重エネルギー散乱線除去を可能にすることができる。本明細書に開示する装置のX線源は、単一エネルギースペクトル、2つの異なるエネルギースペクトル、及び/又は多重エネルギースペクトルのX線を放出することができる。散乱線は、単一エネルギー方法、2重エネルギー方法、及び/又は各エネルギーレベルにおける多重エネルギーシステムのための拡張多重エネルギー方法(用途に、物質分解のための多重エネルギーX線イメージング及び分析の使用を必要とする場合、スペクトルイメージングとしても既知である)を使用して、それぞれ除去することができる。
【0059】
図1Aの特徴のいずれかを組み込む図1Bにおける装置10において、対象2はX線源12と前方検出器22との間に配置される。X線源12は対象2に向かってX線ビーム30を放出することができる。X線ビーム40は、単一エネルギースペクトル、2重エネルギースペクトル、又は多重エネルギースペクトルのものとすることができる。X線ビーム30は、対象2との相互作用によって変わらない進行方向を有する1次X線ビーム32と、対象2との相互作用によって変わる進行方向を有する散乱X線ビーム34とを含む。前方検出器22は、1次及び散乱X線ビーム32、34を共に受信することができる。ビームセレクター24は、1次ビーム32の部分の通過を可能にして、後方検出器26に到達させ、X線ビーム30の部分が後方検出器26に到達することを防ぐ又は阻止することができる。後方検出器26は、通過した1次X線ビーム32のみを実質的に受信することができる。あるいは、ビームセレクター24(図7に示すようなビームセレクター105と類似する)は、散乱ビーム34を後方検出器24の所定の位置においてのみ通過させ、1次X線ビーム32をそれらの位置に対して遮断することができ、そして、1次ビーム32及び散乱ビーム34の両方を後方検出器24の残りの位置において通過させることができる。後方検出器26は、単一2D検出器の代わりに、多重検出器又はダイオード組立体を含むことができる。
【0060】
さらに、図2は、以下に記載のものを除いて図1A図1Bの装置の特徴のいずれかを組み込む装置20を示す。ビームセレクター24の透過チャネルをX線源のX線放出位置にアライメントして、1次X線32を後方検出器26における選択領域52に到達させるため、ビームセレクター24は、1次X線32が選択照射パスを通過できるように透過領域又は孔が並ぶ、複数のX線吸収プレートp1、p2、p3、p4を含むことができる。各プレートは所定の厚みを有することができる。後方検出器26に到達する散乱X線量を低減するため、スペーサーをプレート同士の間に配置することができる。スペーサーは、例えば、2つ以上のスペーサーを含む機械的スペーサーとすることができる。あるいは、前方検出器22及びビームセレクター24は、1つ以上の第1対象に取り付けることができ、後方検出器26は、1つ以上の第2対象に取り付けることができ、第1対象及び第2対象がそれらの間に既定の距離を有する。プレートのX線吸収領域の総厚みは、それぞれのプレートが、例えば、製造性に必要なアスペクト比を最適化するようにプレートの製造性に対して十分に薄いものでありながら、X線ビームを完全に吸収するように設計することができる。また、複数のプレートを有することは、後方検出器26により近接するプレートにおけるX線透過用の各孔が、後方検出器26から離れたプレートにおける対応する孔よりわずかに大きくなるように、各プレートにおけるX線透過用の孔を設計することができる。
【0061】
本開示における定量的イメージング及び3Dイメージング方法は、一般的に最少の散乱干渉を要する又は散乱干渉がない。対象を通過する1次X線及び散乱X線の測定に関与する散乱線除去方法は、一般に、空間及びスペクトルドメインにおける広視野高分解能測定において最も正確かつ実際的である。一般的に、散乱干渉が1次X線の1%未満であるとき、イメージング方法は定量的であると考えられる、つまり、原子z、密度、組成、及び他の特性などの測定可能な特性を正確に測定することができる。以下は、対象特有である散乱線除去方法の例である。
【0062】
キャリブレーションを伴う散乱線除去
本開示及び上述のPCTにおける定量的イメージング及び3Dイメージング方法は、一般的に最少の散乱干渉を要する又は散乱干渉がない。
【0063】
前方高解像度1次X線イメージは、一部の態様において以下のプロセスを使用して測定することができる。コンピューター又はプロセッサーは、まず、通過したX線ビーム32のイメージから後方検出器において後方低解像度1次X線イメージを測定し、測定した後方低解像度1次X線イメージから前方低解像度1次X線イメージを計算することができる。また、コンピューター又はプロセッサーは、計算した前方低解像度1次X線イメージから前方低解像度散乱X線イメージを計算することができる。そして、コンピューター又はプロセッサーは、計算した前方低解像度散乱X線イメージの内挿から前方高解像度散乱X線イメージを計算し、このようにして前方高解像度散乱X線イメージを前方合成イメージから減算して前方高解像度1次X線イメージを導き出すことができる。一般的に、「分解能」という用語は、イメージ空間分解能及び/又は単一画素の信号振幅分解能を表すために使用することができる。本開示において、「分解能」は、「スペクトル分解能」又は「時間分解能」の場合を除いて、イメージ空間分解能のみを指す。
【0064】
散乱線除去プロセスの例は、本明細書に開示される。例えば、一例において、プロセスは、(a)X線源12からのX線ビーム30で対象2を照射すること、(b)前方検出器22の位置58を通過してビームセレクター24の透過チャネル56を通って後方検出器26の領域52に到達する1次X線ビーム32に基づいて、低解像度1次XイメージDrPl、(i’,j’)を生成すること、(c)選択した投影ラインに沿って前方検出器22の対応する領域58における低解像度1次イメージDfPl(i,j)を計算すること、(d)前方検出器から高解像度イメージDfhを測定すること、(e)Dfhから前方検出器における低解像度合成イメージDfl、(i,j)を生成すること、(f)Dfl(i,j)から前方検出器における低解像度1次イメージDfPl(i,j)を減算して、低解像度散乱成分DfSl(i,j)を決定すること、(g)高空間周波数成分を除去することで低解像度散乱成分DfSlを平滑化すること、(h)前方検出器において平滑化した低解像度散乱成分DfSlを内挿することによって前方検出器高解像度散乱線イメージDfShを計算すること、及び(i)前方検出器高解像度合成イメージDfhから前方検出器の高解像度散乱線イメージDfShを減算して、前方検出器高解像度1次X線イメージDfPhを得ることのステップを含むことができる。上述のビームセレクター24による様々なタイプの遮断間の違いは、後方検出器における低解像度1次イメージDrPlがどのように生成されるかということである。
【0065】
上述の散乱線除去のプロセスは、キャリブレーションビームを使用するキャリブレーションステップを含むことができる。キャリブレーションビームは、投影した細ビームのパスに沿って前方検出器の1次X線測定と後方検出器の1次X線測定との数値的関係を確立することで、投影した細ビームのパスにおける検出器の前方低解像度1次X線イメージを導き出すために使用することができる。前方低解像度散乱X線イメージは、前方低解像度1次X線及び前方低解像度散乱線イメージを含む、投影したキャリブレーション細ビームのパスに沿う検出器における測定した前方イメージから抽出することができる。前方高解像度散乱X線イメージは、前方低解像度散乱線イメージから内挿し、前方高解像度1次X線イメージを生じるように1次及び散乱X線を共に含む実際のX線イメージから減算することができる。
【0066】
ビームセレクターは調節可能とすることができる。ビームセレクターは、1又は多次元及び/又は焦点において、ずれて移動することができる。調節は、手動及び/又は自動で(例えば、アクチュエーター又は電子制御などによって)行うことができる。調節性により、X線源又はX線放出位置の適応性を可能とすることができる。適応性は、検出器に対するX線源の位置決めのキャリブレーションにおいて有用とすることができる。キャリブレーションは、X線源及び/又は検出器が測定時に移動するとき、X線源及び検出器の相対位置のより速い調節を可能とすることができる。調節は、対象が移動するとき後方検出器の選択位置における1次X線の測定を確実にするため使用することができる。
【0067】
キャリブレーションステップに関与する方法は、2つ以上のイメージを使用する構造化照射散乱線除去方法を含むことができる。本明細書に開示する2DのX線イメージング装置は、2重検出器構成ではなく単一検出器(図3参照)を含むことができる。本明細書に開示する装置のX線源は、隣接する細ビーム同士の間に距離を有する複数の細ビームを放出することができる。距離は、検出器において収集するときに少なくとも1画素などとすることができる。そうした収集した測定値は、1次信号及び散乱信号を含むことができる。1次信号領域が小さい、例えば、1つ又は少数の画素であるとき、これらの領域における散乱X線はすぐ隣接する領域、例えば、散乱のみの信号を有する周囲領域における1つ以上の画素から内挿することができる。
【0068】
図4は、各エネルギーレベルにおける散乱線除去にX線細ビームを使用する構造的照射を使用する例の方法を示す。図4に示すように、ブロック(a)において、X線源は、図3に示すもののようなビームセレクター24を有する構造的照射装置で対象2における対象領域4を照射することができる。X線は、Hのエネルギーレベルを有することができる。ブロック(b)において、装置は検出器からイメージDh(x,y)を取得することができる。Dhl(x(i),y(j))は、投影パスのラインに沿う1次X線からのイメージファイルとすることができる。ブロック(c)において、X線源は、エネルギーHのX線細ビームで対象を照射することができ、隣接するビーム同士の間に間隔を有する。ブロック(d)において、装置は検出器からイメージDlc(x(i),y(j))を取得することができる。ブロック(a)~(b)及びブロック(c)~(d)のシーケンスを切り替えることができる。ブロック(e)において、装置は、式Dsl(x(i),y(j))=Dhl(x(i),y(j))-Dlc(x(i),y(j))を使用してイメージDsl(x(i),y(j))を得ることができる。装置は、低解像度イメージDsl(x(i),y(j))を検出器の残りの部分に内挿して、イメージDsh(x,y)を導き出した後、式Dhp(x,y)=Dh(x,y)-Dsh(x,y)を用いてブロック(f)において高解像度1次イメージDhp(x,y)を得ることができる。
【0069】
構造的ビームは、図3に示すように間隔を有する低放射線量細ビーム32を含むことができる。ビーム32は、キャリブレーションビームとして使用して、ビームセレクター24を介した検出器14の選択領域(i,j)における1次ビーム信号を得ることができる。領域は、1又は複数の画素を有する。いくつかのレベルの散乱X線34が、やはり検出器14の選択領域に到達し得る。散乱X線34は、他のキャリブレーションビームから散乱したビームである。そうした場合、図4に示す散乱線除去プロセスのステップ1において式(1)~(3)で以下に示すように、(i,j)の散乱信号は、選択領域(i,j)にすぐに隣接する画素の散乱信号を内挿することによって導き出すことができる。
【0070】
キャリブレーションビーム32同士の間の間隔が増加する場合、キャリブレーションビームからの1次ビームと同じ位置において検出器14に到達する散乱量は減少する。一部の例において、キャリブレーションビームが検出器14において低解像度1次X線信号及び低解像度散乱信号を導き出すために必要とされる密度に達するときキャリブレーションビーム同士の間に十分な間隔が存在することを確実にするため、大きく離間したキャリブレーションビームを様々な位置で共に放出することができる。1次X線イメージがX線細ビームによって形成される検出器領域における散乱量を低減するため、細ビームもまた2又は複数回放出することができる。各回において、細ビームの位置は互いに離すことができる。組み合わせたキャリブレーションビームイメージは、最終高解像度1次X線イメージを得るために抽出可能な散乱X線イメージを計算するために必要とされる1次X線イメージの密度に達することができる。数学的方法は、1次信号が(i´、j´)における測定した信号である図4の式(4)において以下に記載される。
【0071】
図4の方法における計算はいくつかのステップを含むことができる。ステップ1において、X線キャリブレーション細ビームの数は、照射パスにおける実際のX線散乱測定値を全イメージに内挿可能とするX線細ビームの最小限必要数によって決定することができる。ゆえに、決定した数のビームは、抽出した高解像度1次イメージp(i、j)を生じさせることができる。ビームの数は、照射パスにおいて検出器に達する散乱X線を低減するように選択することができる。細ビームの数は、1次X線のものと比較して1%未満ほども小さい散乱X線が照射パスにおいて検出器に達することができるように選択することができる。或いは、又はさらに、構造化照射散乱線除去方法を使用することなく得られたもののような高解像度1次X線イメージを得るために必要な散乱X線及び内挿を計算するために必要とされる密度に達するように、より大きく離間したビームセットを様々な時間で放出することができる。また、散乱線除去プロセスは、本明細書に開示する散乱線除去方法を使用して各エネルギーレベルでなすことができる。
【0072】
照射パスにおける1次X線信号は、検出器における対象領域を照射するX線ビームの直接的な測定値から同じ領域における散乱X線をマイナスすることによって抽出することができる。照射パスにおける散乱X線は、照射パスにおける画素を包囲する各方向における1つ又はいくつかの隣接領域であり得る、隣接する画素におけるX線信号を内挿することで導き出すことができる。計算を以下の式(1)~(3)にまとめる。
Dsl(x(i),y(j))=interpolate(Dsl(x(i+1),y(j)),Dsl(x(i+1),y(j+1)),Dsl(x(i-1),y(j-1)),Dsl(x(i),y(j+1),Dsl(x(i-1),y(j),Dsl(x(i),y(j-1))) (1)
Dlc(x(i),y(j))=Dhl(x(i),y(j))+Dsl(x(i),y(j)) (2)
Dhl(x(i),y(j))=Dlc(x(i),y(j))-Dsl(x(i),y(j)) (3)
【0073】
一部の場合、隣接する画素からの散乱信号の内挿を省略することができ、例えば、X線細ビームの直径が、マイクロビーム又はナノビームのようなμm又はnm範囲で、及び場合によってミリービームで、小さい場合に、X線細ビームからの測定した信号を、最小限の散乱干渉を有する又は散乱干渉を有しない1次X線信号とすることができ、以下の式(4)をもたらす。
Dhl(x(i),y(j))=Dlc(x(i),y(j)) (4)
【0074】
ステップ2において、X線コーンビームが対象領域を照射することができ、式(5)~(7)を適用することができる。
Dsl(x(i),y(j))=Dh(x(i),y(i))-Dhl(x(i),y(j)) (5)
Dsh(x,y)=interpolation of Dsl(x(i),y(j)) (6)
Dhp(x,y)=Dh(x,y)-Dsh(x,y) (7)
ここで、Dsl(x(i),y(j))は、検出器のx-y2D平面上の選択領域(i,j)での細ビーム照射パスにおける検出器の散乱信号である:Dsl(x(i+1),y(j)),Dsl(x(i+1),y(j+1)),Dsl(x(i-1),y(j-1)),Dsl(x(i),y(j+1),Dsl(x(i-1),y(j),Dsl(x(i),y(j-1)))は、(i,j)にすぐに隣接する領域のいくつかにおける画素の例を表す。
【0075】
Dlc(x(i),y(j))は、検出器における選択領域(i,j)でのX線細ビームの照射パスに沿う測定したX線信号である。Dhl(x(i),y(j))は、検出器における選択領域(i,j)でのX線細ビームの照射パスに沿うX線細ビームの1次X線信号である。
【0076】
Dsl(x(i),y(j))は、ステップ2の検出器におけるX線ファンビーム照射による選択領域(i,j)における散乱X線である。
【0077】
Dsh(x,y)は、ステップ2の検出器におけるX線ファンビーム照射から測定したX線信号の散乱X線成分である。
【0078】
Dh((x,y))は、ステップ2の検出器における対象のX線ファンビーム照射からの測定したX線信号である。
【0079】
Dhp(x,y)は、ステップ2の検出器における対象のX線ファンビーム照射からの1次X線信号である。
【0080】
多重X線細ビーム又は構造化照射パターンの生成は、100%透過から小さいパーセンテージの透過までの範囲のX線透過を可能とする領域、及びX線を完全に遮断又は吸収する領域を有するコリメーター24又はビームセレクターを使用することで得ることができる。ビームセレクター24は、X線源の下流だが対象2の上流に配置することができる。一部の場合において、ビームセレクター24の、図2のような複数のプレートタイプp1~p4を使用することができる。一例において、そうした構成は、X線源が多重エネルギー又は広範なスペクトル放出を可能とするとき、低放射線レベルにおける対象領域における構成要素又はターゲットのスペクトル測定及び/又はデンシトメトリーを可能にする。Kエッジフィルター又はKエッジ符号化開口などのエネルギーフィルターは、コリメーター24の透過領域の下流に配置することができる。
【0081】
低散乱及び高空間分解能イメージングにおいて、ビームセレクター24は、機械的に駆動される動力器によって、又はエネルギー変調方法によって、又は電気的に移動することができる。
【0082】
疎な分布パターンを有するX線細ビームは、ターゲットの選択領域のみにX線ビームを生成するため、カソードからの電子ビームのためのアノードにおけるパターン化ターゲットによって生成することができる。パターン化ターゲットは、X線源の電子ターゲット領域の内外に回転又は移動して、従来のターゲットを使用するX線ファンビーム又はX線構造化照射又はパターン化照射又は空間的分布X線細ビームを生成することができる。
【0083】
任意で、X線源のアノードターゲットは、生成されるX線コーンビームが、1次X線を放出しない選択領域を有するように変調することができる。変調したX線源の使用により、疎に分布したパスを照射する分布X線ビームで対象を通過する照射X線をもたらすことができる。例えば、X線測定は、フラットパネル検出器によって収集するとき、1次X線信号を回避する複数の領域を有することができる。各領域は、1つ以上の画素を有する。
【0084】
任意で、レーザー又はLEDソースなどの光源が電子ビームを生成するソースである場合、微小電気機械(MEM)装置などのビーム操舵装置、又は光学吸収体若しくは変調器のいずれかは、所定の領域において光学信号を遮断又は変調することで、電子ビームが達しないアノードターゲットの所定の領域が存在する構造化プロファイルを有する電子ビームを生成するために使用することができる。ビーム操舵装置又は光学吸収体若しくは変調器は、既定の位置に配置することができるか、又は移動可能である。生成したX線ビームは、ビームが検出器に達するとき1次X線がない領域が存在するように、設定パスで対象を通過することができる。
【0085】
本開示に記載される構造的ビーム方法は、ビームセレクターが適用できずに、積層検出器が、1つのX線パルスを使用する物質分解のための2重エネルギーイメージング、又は1次X線のX線イメージが顕微鏡ハードウェア構成及び分析によるさらなるプロセッシングのために下流で使用されるX線顕微鏡法などの散乱線除去と異なる機能に使用される、積層検出器方法に特に有用とすることができる。
【0086】
このキャリブレーションビーム方法の一利点は、この方法が、必要とされる上述の事前の物質キャリブレーション又はシミュレーションステップなしで任意の物質タイプに行われ得ることを含むことができることである。これは、2つ以上の重なり合う物質を含む大部分の物質タイプ又は厚み又は組成の定量的分析に有用である。他の利点は、この方法が散乱線及び1次イメージの分離に必要とされる検出器若しくは検出器平面の数及び/又は検出器平面のサイズを削減することでコストを低くするということである。
【0087】
また、図3におけるコリメーター24又はビームセレクター24は、X線源と対象との間に配置することができる。同様に、図2における積層プレートp1~p4の構成は、X線源と対象との間又は対象と検出器との間に配置することができる。
【0088】
任意で、分解能の要件が1次X線測定において低いとき、コリメーター24及び積層プレートP1~P2は、単一のステップにおける散乱線除去1次X線イメージングに使用することができる。一例において、波長又はエネルギーフィルターを、コリメーターの下流且つ対象の上流で、又はコリメーターとX線源との間において使用して、スペクトル測定及び低分解能デンシトメーターを得ることができる。
【0089】
多重エネルギー散乱線除去
本明細書に開示する相関性は、各X線エネルギーレベルでなすことができる。定量的イメージング及び3D断層撮影及び用途の要件におけるより的確な散乱線除去のため、そうしたキャリブレーションビーム方法を、上述のものの類似の数学的プロセスを使用する2重又は3重又はそれ以上のエネルギーのX線散乱線除去プロセッシングに使用するように拡張することができる。多重エネルギーの散乱線除去方法は、それぞれ例えば様々な原子z番号、様々な複合物質、様々な時間的及び/又は空間的マーカーなどの異なるX線測定特性を有し得る3つの異なる構成要素又は物質を対象が含むとき2重エネルギーX線システムに使用することができる。4つ以上のエネルギーレベルの測定が行われる場合、4つのエネルギーレベルのそれぞれにおける類似又は実際の物質及び対象のキャリブレーションを使用することができ、一部の場合において、それぞれが様々な原子z番号などの様々なX線測定特性を有し、それらの複合物質が2つ以上の成分を含む、少なくとも4つの異なる成分でキャリブレーションすることができる。
【0090】
多重X線細ビーム照射を使用する場合、各エネルギーレベルにおける散乱線イメージの除去は、X線イメージを撮る各エネルギーレベルに対して図5に示す例の方法を行うことによってなすことができる。ブロック502において、多重エネルギーX線源は、各エネルギーレベルで2つ以上の構成要素を含む対象を照射することができる。ブロック504において、装置は、各エネルギーレベルでの後方検出器における低解像度1次X線イメージの測定値DrEnPl(x(i’),y(j’))(nは整数)を受け取ることができる。ブロック506において、装置は、対象における各構成要素の密度t1、t2、…tnを導き出すことができる。ブロック508において、装置は、導き出した各構成要素の密度を使用して前方検出器における低解像度1次X線信号DrEnPl(x(i),y(j))を計算することができる。ブロック510において、装置は、低解像度1次X線信号を低解像度前方検出器測定値から減算することで前方検出器における低解像度散乱X線信号DrEnSl(x(i),y(j))を導き出すことができる。ブロック512において、装置は、低解像度散乱X線信号DrEnSl(x(i),y(j))を内挿して、前方検出器における高解像度散乱X線信号DrEnSH(x(i),y(j))を導き出すことができる。ブロック514において、装置は、前方検出器における高解像度散乱X線信号DrEnSH(x(i),y(j))を前方検出器における測定した高解像度イメージDfEnHから減算することで前方検出器における高解像度1次X線信号DrEnPH(x(i),y(j))を導き出すことができる。
【0091】
後方検出器イメージファイルを使用する代わりに、キャリブレーションした関係のスケーリング又は導出が必要なくなって前方検出器における計算したイメージを後方検出器における測定したイメージデータに相関させるように、イメージファイルを単一の検出器に包含させることができる。散乱線を除去し、高解像度イメージを導き出すため、単一のイメージのみを撮る場合、ビーム粒子吸収体を利用することができる。散乱線除去方法は、各エネルギーレベルにおいて高解像度1次X線を得るように各エネルギーレベルにおいて行われる。
【0092】
上述のように、散乱X線データは、1次X線信号を有する領域のために内挿によって導き出され、測定データから減算することができる。また、抽出した1次X線データは、例えば以下の式(8)及び(9)を使用して、構成要素又は対象領域又はサンプルの2D及び/又は多次元イメージ構築並びに定量的分析に使用することができる。
Dsh(x,y)=interpolation of Dsl(x(i),y(j)) (8)
Dhp(x,y)=Dh(x,y)-Dsh(x,y) (9)
ここで、Dsl(x(i),y(j))は、X線照射パスに沿う1次X線がビーム吸収体又はビーム吸収体粒子(図6に示されるものなど)によって遮断されることにより散乱X線信号のみが存在する、選択検出器領域(i,j)である。Dsh(x,y)は、検出器における測定したX線の高解像度散乱X線成分である。Dhp(x,y)は、検出器における測定したX線の高解像度1次X線成分である。Dh(x,y)は、1次及び散乱X線信号の両方を含み得る検出器における測定したX線信号である。
【0093】
領域(i,j)において信号を生じさせる照射パスにおけるX線1次ビームが存在しないことから、検出される1次X線信号が存在しない領域(i,j)では、Dhp(x,y)の領域(i,j)における1次X線信号を以下の式(10)によって導き出すことができる。
Dpl(x(i),y(j))=interpolation of (i,j)にすぐに隣接する領域のDpl (10)
【0094】
この方法は、大部分の用途において十分なものとすることができる。本明細書に開示するもののようなトラッキング又は外科ガイダンス用途において、ビーム吸収体が移動し得る、又はX線放出位置が調整され得る場合に、2つ以上のイメージを撮るとき、ビーム吸収体が異なる照射パスを遮断するとともに、イメージングギャップがイメージごとに変化するそれぞれの回が、シーケンスにおける1つ以上の様々な測定値から領域(i,j)の測定値を抽出することによってイメージギャップを遡及的に充填するように十分な情報を提供することができる。
【0095】
あるいは、又はさらに、超高解像度イメージが必要とされる状況、及び/又は対象領域のすべての領域を照射していることを確認する必要があり、ゆえに検出器における対象の欠落データがないか、若しくははるかに少ない状況では、最後のイメージからの領域(i、j)が1次X線を受信することができるように、1次X線を遮断するビーム吸収体を移動させて、同じ照射パスに沿って同じ対象を撮るために、2つ以上のイメージが必要とされ得る。あるいは、領域(i,j)におけるそうしたイメージは、ビーム吸収体がその原位置から離れるように調整される該領域(i,j)のみを照射する構造化ビームから導き出すことができる。
【0096】
複数の構成要素を有する対象を測定するために複数のビーム吸収プレートを有する2重エネルギーシステム、又は3重以上のエネルギーシステムにおいて、前方検出器における低解像度1次及び散乱線イメージDfE1Pl、DfE2Pl、DfE3Pl、...、DfEnPlは式(11)~(18)によって計算することができる。
(a)領域の密度t1、t2、t3、..、tnに対して低解像度1次X線イメージングセットを解くことであって、
DrE1l(i,j)=∫[Φ0 E1(E)×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2(E)×t2(i,j)+μ3(E)×t3(i,j)+…+μn(E)×tn(i,j))]×Sr(E)dE (11)、
DrE2l(i,j)=∫[Φ0 E2(E)×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2(E)×t2(i,j)+μ3(E)×t3(i,j)+…+μn(E)×tn(i,j))]×Sr(E)dE;15 (12)、
DrE3l(i,j)=∫[Φ0 E3(E)×exp(-(μA(E)×t1(i,j)+μB(E)×t2(i,j)+μC(E)×t3(i,j)+…+μn(E)×tn(i,j))]×Sr(E)dE (13)、
及び、DrEnl(i,j)=∫[Φ0 En(E)×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2(E)×t2(i,j)+μC(E)×t3(i,j)+…+μn(E)×tn(i,j))]×Sr(E)dE (14)、
(b)イメージセットのためt1、t2、t3、..、tnの解を式(15)~(19)に挿入することであって、
DfE1Pl(x(i),y(j))=∫[Φ0 E1(E)×Sf(E)]×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2(E)×t2(i,j)+μ3(E)×t3(i,j)+…+μn(E)×tn(i,j))dE (15)、
DfE2Pl(x(i),y(j))=∫[Φ0 E2(E)×Sf(E)]×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2(E)×t2(i,j)+μ3(E)×t3(i,j)+…+μn(E)×tn(i,j))dE (16)、
DfE3Pl(x(i),y(j))=∫[Φ0 E3(E)×Sf(E)]×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2 15(E)×t2(i,j)+μ3(E)×t3(i,j))+…+μn(E)×tn(i,j)))dE (17)、
DfEnPl(x(i),y(j))=∫[Φ0 En(E)×Sf(E)]×exp(-(μ1(E)×t1(i,j)+μ2(E)×t2(i,j)+μ3(E)×t3(i,j))+…+μn(E)×tn(i,j)))dE (18)、
ここで、(x(i),y(j))は、後方検出器セルとも交差する投影ラインが交差する前方検出器セルの座標(i,j)であり、Φ0 E1(E)は、エネルギーE1のX線のエネルギースペクトルであり、Φ0 E2(E)は、エネルギーE2のX線のエネルギースペクトルであり、μ1(E)は、面密度t1を有する物質の質量吸収係数であり、μ2(E)は、面密度t2を有する物質の質量吸収係数であり、Sf(E)は、前方検出器のスペクトル感度であり、Φ0 E3(E)は、エネルギーE3のX線のエネルギースペクトルであり、μ3(E)は、面密度t3を有する物質の質量吸収係数であり、Φ0 En(E)は、エネルギーEnのX線のエネルギースペクトルであり、μn(E)は、面密度tnを有する物質の質量吸収係数である。
【0097】
一態様において、3つ以上の異なる構成要素を有する対象における、各エネルギーレベルでの前方検出器における1次X線信号を導き出すことができる。対象の4つ以上の構成要素の密度を、4つ以上のエネルギーレベルでの後方検出器における1次X線測定によって導き出すとき、多重エネルギー測定から各構成要素の密度の解を挿入することで、前方検出器の領域と後方検出器の領域とのキャリブレーションされた又は既知の対応関係に基づいて、各エネルギーレベルでの前方1次X線低解像度信号の導出をもたらすことができる。次に、前方検出器における低解像度散乱線イメージは、導出した前方検出器の低解像度1次X線イメージを、測定した前方検出器の高解像度合成イメージから減算することによって導き出すことができる。計算は、式(19)~(24)で行うことができ、
DfE1Sl(x(i),y(j))=DfE1l(x(i),y(j)-DfE1Pl(x(i),y(j)) (19)、
DfE1SH((x,y))=Interpolation(DfE1Sl(x(i),y(j))) (20)、
DfE1PH((x,y))=DfE1H((x,y))-DfE1SH((x,y)) (21)、
DfEnSl(x(i),y(j))=DfEnl(x(i),y(j)-DfEnPl(x(i),y(j)) (22)、
DfEnSH((x,y))=Interpolation(DfEnSl(x(i),y(j))) (23)、
DfEnPH((x,y))=DfEnH((x,y))-DfEnSH((x,y))10 (24)、
ここで、DfE1Sl(x(i),y(j))は、エネルギーレベルE1で撮った、領域(i,j)での前方検出器における低解像度散乱線イメージであり、DfEnl(x(i),y(j))は、領域(i,j)で前方検出器によって測定した低解像度イメージであり、DfEnSl(x(i),y(j))は、領域(i,j)における低解像度1次イメージを前方検出器における合成イメージDfEnlから減算して導き出される、エネルギーレベルEnで、領域(i,j)での、前方検出器における低解像度散乱線イメージである。
【0098】
また、低解像度散乱線イメージは、さらに、高解像度散乱線イメージに内挿され、これが測定した高解像度イメージから減算されて各エネルギーレベルにおける高解像度1次イメージをもたらす。
【0099】
したがって、単一エネルギー方法、すなわち、各エネルギー測定に対する上述したような単一エネルギーシステムにおける散乱線除去を用いることが、選択された各エネルギーレベルにおいて散乱線を除去するために使用することができる。
【0100】
本明細書に開示するすべての散乱線除去方法において、内挿した又は測定された散乱線イメージを、視覚的な分析のために提供することができる。
【0101】
本明細書の開示に基づく、種々のエネルギーにおける散乱線除去の他の態様が可能である。
【0102】
前方検出器と後方検出器が同じ又は極めて類似する場合には、単純なスケーラー係数を測定データの相関に使用することができる。前方検出器における1次X線信号は、単純なスケーラー係数を使用して後方検出器のものと相関させることができる。一態様におけるそうした関係は、関連データ及び/又は測定値に基づいてシミュレートすることができる。
【0103】
好ましくは、前方検出器は、対象から出るX線の一部が前方検出器によって測定され、また一部が、その詳細を以下に開示する高速検出器、動的検出器、又は高分解能スペクトル若しくは多重エネルギー検出器などのハードウェアで、散乱線除去並びに/又は他の検出及び測定方法のための後方検出器及びビームセレクター組立体などのさらなる分析のため通過することができるように、設計されている。ゆえに、前方検出器は透過性又は部分的に透過性とすることができる。好ましくは、ビームハードニングは存在しない、又は最小限のビームハードニングが存在し、任意のX線変調特性が存在しない、又は最小限の任意のX線変調特性が存在する。好ましくは、検出器の電子素子は、検出器の下流ではなく側部に配置することができる。任意で、検出器は、X線に対して、又は一部の場合に可視光に対して完全に透明とすることができる。X線における前方検出器の影響は、対象及び検出器の下流での測定値分析のためキャリブレーションされ除去することができる。
【0104】
生きている対象又は生体組織のX線イメージングにおいて(インビボ及び/又はエクスビボ)、手術用具、インプラント、造影標識若しくは造影剤を含むがこれらに限定されない異物性対象、及び/又は血管などのイメージングされる対象の第3の構成要素など、骨及び軟部組織に加えて組織又は物質が存在し得る。産業上のX線イメージングにおいては、混合物又は複数構成要素の対象における種々の構成要素を特徴づける必要があるということがある。特有のX線測定特性を有する様々な物質及び複合物質又は領域のデータベースをキャリブレーション又は確立するため、種々の物質を使用することができる。データベースにおける物質タイプは、骨及び軟部組織以上のものを含むことができる。
【0105】
種々の空間的複雑性及び/又は組成的複雑性のある物質を、データベースのキャリブレーション又は確立のために使用することができる(これは、以下でより詳細に記載される)。例えば、対象内の対象領域における構成要素のものと類似する物質を、キャリブレーションステップのX線測定に使用して、前方検出器における1次X線信号及びその後方検出器における対応する信号を物質タイプに関して相関させることができる。一実施例において、例えばイメージング対象において予期されるものと類似する、X線エネルギースペクトルを異なるように乱し得る種々の空間的複雑性及び寸法及び組成的複雑性のあるマイクロ構造を、検出器で受信する各エネルギーレベルイメージにおいてキャリブレーションステップに導入する。例えば、胸部のイメージングにおいて、骨、心臓組織、血管内組織及び血液、並びに、カテーテル及び手術用具などの他の構成要素と類似するマイクロ構造をキャリブレーションに使用することができる。
【0106】
キャリブレーションの目的で、装置は、ビームセレクターと前方検出器、ビームセレクターと後方検出器、及び/又は前方検出器と後方検出器との間の相対位置及び/又はアライメントを調整又は保持することができる。調整は、1つ以上の側部フレームなどの機械的構造によってなすことができる。例えば、装置は、すべての構成要素を取り付け、スペーサーとして機能する複数のねじを含むことができ、接着剤などの化学物質も使用可能である。磁気スペーサーも使用することができる。
【0107】
装置は、入力としての検出器及びビームセレクターの幾何学配置の設計により、例えば、機械的に及び/又はソフトウェアを使用して、同じ1次X線投影パスに対応する前方検出器及び後方検出器における画素の位置を測定することができる。イメージングプロセスの前に、該当する画素の位置を機械的設計の一部として選択し、ソフトウェアに記憶させる及び登録することができる。
【0108】
また、ソフトウェアは、検出器及び/又はビームセレクターの位置の基準及び設計パラメーターとして機能できるターゲットなどの構成要素、又は対象の一部のイメージング信号に基づいて、関連する画素位置を任意でアルゴリズムで測定することができる。
【0109】
ソフトウェアは、対象に対する、検出器、又は検出器やビームセレクターのマーカーに対する、X線源位置の空間位置の測定を可能し、各ハードウェア、対象、対象の基準マーカー、及び/又は対象内の該当する構成要素の幾何学配置及び空間位置をキャリブレーションすることができる。
【0110】
データベースは、少数の様々なオプションに基づいて導き出した1次X線信号の関係アルゴリズムを含む関係データを含むことができる。シミュレートした物質X線信号、又は、検出器若しくは同タイプの検出器による物質若しくは類似の物質の以前の測定、若しくは所定の物質の任意の既知の確立したX線測定特性に基づく合成したX線信号を、相関に使用することができる。前方検出器及び後方検出器の測定値を相関させることは、シミュレートデータを使用してなすことができる。
【0111】
また、関係は、前方検出器及び対応する後方検出器における1つ以上のエネルギーでの様々なタイプ、物理的組成、及び/又は寸法の物質の以前の測定データから導き出すことができる。また、関係は、特定の前方検出器及び後方検出器の特性、及びそうした特性に基づいて予測した信号レベルから導き出すことができる。例えば、前方検出器及び後方検出器が同じである場合、所定の物質に対して直線関係が存在するとすることができる。一部の例において、そうした関係アルゴリズムは、本明細書に記載される両方の因子に基づいて相関させる。また、アルゴリズムは、同じタイプの又は類似の検出器による記録的に蓄積した1つ以上のエネルギーレベルでの種々の物質タイプ及び厚みの検出器測定値を含むライブラリーからの、各個々の因子及び組み合わせた因子に基づいて相関することができる。
【0112】
本明細書に開示するX線装置は、コンピューターに記憶させたキャリブレーションしたデータベースが様々な検出器のイメージング特性を相関させることができるアルゴリズムソフトウェア操作を含むことができる。前方検出器における1つ以上の画素からの信号は、投影X線ビームパスに沿って所定の物質又は対象に対して、後方検出器における対応する領域に相関させることができる。物質及びエネルギーレベルは、前方検出器における領域及び後方検出器における投影パスに沿う対応する領域からの1次X線信号をキャリブレーションするために使用することができる。キャリブレーションデータベースの確立は、必要とされる用途に応じて任意とすることができる。イメージング又は測定される対象の物質が既知であり定義されているとき、X線測定特性を予測することができる。
【0113】
複雑性、組成、及び厚みに関する構造の簡易タイプ及び/又は物質同等物を、実際の物質と同様にキャリブレーションに使用することができる。キャリブレーション物質選択における複雑性は、例えば、複数又は混合の有機及び/若しくは無機分子であり得る物質の組成、空間的組成、密度、並びに/又は物質が粉末形態であるかどうか、物質の原子番号、単一物質若しくは複合物質であるかどうか、物質の厚みなどの数多くの要因に起因し得る。一部の物質は空間的に重なり合い得る。例えば、軟部組織及び除脂肪組織のマトリックスにおいて微小石灰化が存在し得る。心臓弁又はステントなどのインプラントは、血球及び血漿を含む血液、血管、骨、筋肉、及び血管外のイメージングパスにおいてその他の軟部組織と混ざり得る。マイクロチップ層は、2つ以上の異なる金属、ポリマーのもの、又は混合物若しくは複合物であり得る。また、対象は、航空機又は自動車に使用される機械部品などの金属又はポリマーの構成要素を含み得る。
【0114】
データベースは、単一エネルギーX線、特に、エネルギースペクトルにおいて1つの単一エネルギーピークを有するとして特徴づけられるそうしたX線スペクトルにおける、物質及び物質同等物の測定した特性に対して確立することができる。好ましくは、参照データベースを組み合わせた単一エネルギーX線を使用する物質分解が、構成要素の密度を測定し、X線の照射パスにおける構成要素を識別するため利用することができる。
【0115】
2重エネルギー及び2重や単一エネルギーから多重エネルギーへの拡張におけるキャリブレーションに2次近似を含めることができる。記載しているように、既知の物質、例えば3つの既知の物質(例えば、u、v、w)の測定値を、p、q、及びoなどの既知の物質のそれぞれと類似する実際の物質の測定値と関連させることができる。実際の物質は直接測定することが困難であるので、u、v、wの未知だが検出の測定値をp、q、及びoのものと相関させることができる。ゆえに、多重エネルギー、この場合は3重エネルギーでの対応するu、v、wの測定から、密度と他のX線感応性又は測定可能なパラメーターにおいて、p、q、及びoのそれぞれに対して数学的関係を導き出すことができる。この方法は、3つを超えるエネルギーに拡張することができる。
【0116】
また、本明細書に開示するX線装置は、対象でないX線ビームを後方検出器に到達させないようにするため、ビームセレクターと後方検出器との間の空間においてビームセレクターの側部によって画定される外周部に1つ以上のビームストッパーを含むことができる。
【0117】
各物質若しくは複合物質若しくは構成要素の厚みを測定するために、及び/又はキャリブレーション若しくは参照データベースにデータを提供するために、前方検出器における1次ビーム信号と後方検出器における対応する1次ビーム信号とを良好に相関させるため、前方検出器及び後方検出器のX線測定を、対象領域において種々の原子z数及び/又は物質組成及び/又は造影標識を有する選択したキャリブレーション物質と同じ又は類似し得る種々の厚みの物質で行うことができる。例の産業用途において、あるタイプの粉末化学物質が複数の構成要素の対象において識別又は検出されるとき、種々の量、及び/又は種々の厚みの粉末化学物質の測定が、前方検出器及び後方検出器を相関させるために使用することができる。
【0118】
対象領域の厚み又は対象領域における種々の構成要素の厚みが既知である場合、例えば、3次元(3D)の定量的測定が特定の対象に対して既に得られており、このとき、既知の各ボクセルが対象若しくは対象領域において解決している、又は、該当する構成要素の厚みを決定するため、以前の測定が既に行われている、又は、対象若しくは構成要素の厚みが提供されている場合(例えば、規定の材料タイプ及び寸法を有する手術用具のものなど)、キャリブレーションステップは、参照データベース又はライブラリーに、記載されるような既存のデータを含めることにより、簡略化されてもよい。
【0119】
2重検出器組立体散乱線除去システムに加えて、図6は、1つの検出器のみを使用して各構成要素の密度を測定することができる散乱線除去及び/又はデンシトメーターの例を示しており、これはビーム吸収体プレート105を含むことができる。複数のビーム吸収体粒子100を、プレート105上に空間的に分布させることができる。粒子100の密度は調整可能である。各粒子は、少なくとも2つの状態位置「オン及びオフ」、又は「1次X線に対して不透過又は透過」を有することができる。粒子100が位置するプレート105は、1次X線の透過を調整するために1つ以上のアクチュエーターによって傾斜させることができる。また、プレート105は、検出器と平行の平面において1つ以上のアクチュエーターによって2D空間において移動させることができる。複数のそうしたプレートを1つのビームセレクターとして使用することができる。
【0120】
図7に示すものなど、複数のX線ビームを生成する場合、種々のX線吸収特性を有する又はX線に対して完全に透明である図6のプレート105、例えばポリマープレートは、ビーム吸収粒子を所定位置に保持するように使用することができる。プレート105は、対象2とX線源10との間に配置することができる、又は対象2と前方検出器22との間に配置してもよい。
【0121】
所定のパターンに分布させた、種々の密度のビーム吸収粒子を含む2つ以上のプレートを、図7の装置に使用することができる。動力器又は1つ以上の軸ポジショナーなどによってx、y、及びz方向においてそうしたプレートを移動させることで、プレートのX線吸収特性を1つ以上の移動で0%~100%まで調整することができる。ビーム吸収粒子100の密度は、対象領域の放射線暴露及びイメージの解像度に影響し得る。より高い粒子100の密度により、対象領域の放射線暴露を少なくすることができる。より低い粒子の密度により、放射線暴露が多くなり得るが、より高い分解能の測定が可能である。十分に高い分解能と共に、より低い位置の放射線暴露で、バランスを取ることができる。
【0122】
粒子100のサイズは、検出器14に平行なx及びy平面において約0.1μmから最大約10mmとすることができる。検出器14に平行なx及びyの2D平面におけるビーム吸収粒子100の位置は、1次X線ビームが遮断される位置を調整するように移動して、ゆえに以前に遮断されていた対象領域を通る照射パスを可能にし、そうでなければ存在し得る対象領域の孔又は測定欠落を排除することができる。
【0123】
本明細書に記載される散乱線除去プロセスは、定量的2D及び3Dイメージの構築と対象の測定とにおいて、時間と放射線暴露とを削減することができる。高解像度1次X線測定データを導き出すため、1回ほども少ないイメージ測定をサンプルに行うことができる。X線放射線は、それぞれ異なる時間の複数の測定で対象における対象領域の特定の位置に対して削減することができる。例えば、サンプルの測定を、同じ構成要素の異なる位置に、例えばそのすぐに隣接して照射するX線ビームを使用して繰り返すことができる。サンプルが受ける総放射線レベルは同じであり得るが、対象領域におけるサンプルの任意の特定の領域は、総放射線の一部のみを受ける。必要とされる又は所望される解像度に応じて、1次X線信号で照射する領域のサイズを調整してもよく、一部の場合には、サンプルにおける直接的なX線放射線をサンプルの任意の特定の位置に対して低減することができるように最小化することができる。また、X線放射線暴露は、1つの測定において対象領域に対して低減することができる。例えば、X線ビームは、X線細ビームにおいて、選択した対象領域のみを照射するように調整することができる。あるいは、又はさらに、対象領域におけるX線照射領域の分布を、所望される分解能の測定を行うように調整することができる。あるいは、又はさらに、X線ビームを、冷陰極X線源のように電子ビーム生成のため選択領域に対して磁気又は作動などの操舵機構によって操舵することができる。これは、例えば、X線源12と対象16若しくは対象16と検出器14との間に配置された、図6及び図7のようなビーム吸収粒子プレート105、若しくは図3のような透過孔を有するコリメーター、若しくは図1Bのようなビームセレクター24によって、又は、図26のような空間的に疎に分布するパスで対象領域を照射するX線ビームを生成することができるアノードの選択領域を伴うX線源によってなすことができる。2D又は多次元イメージ及び3Dイメージは、本開示に記載するような方法に基づいて構築することができる。サンプルにおける様々な対象領域は、様々な分解能を必要とすることがあり、1次X線照射パスがどれほどまばらであるかは、様々な領域で、又は一部の場合には、対象領域における種々の組成、複合物質、不均質な物質、均質な物質、2つ以上の物質の界面領域、又は原子z番号の様々な構成要素で、変化し得る。
【0124】
また、例えば図6に記載されるようなビーム吸収プレートを有する装置は、用途の要求に応じて、調整可能な分解能及び/又は高速チューナブル分解能測定値を測定するために使用することができる。例えば、ビーム吸収粒子は、より低い解像度イメージの測定を行うために、高密度で分布させることができる。ビーム吸収粒子は、より高い解像度イメージを得るため、より疎に分布させることができる。ビーム吸収プレートを有する装置は、ベリリウムなどの物質を含み得る、ビーム吸収領域又はビーム透明領域を含むことができる。1つ又は複数のプレートは、X線、特にスペクトルX線の完全な減衰を可能にするように、互いに積み重ねることができる。プレートは、用途の要求に応じて、調整可能な分解能及び/又は高速チューナブル分解能測定値を測定するために使用することができる。例えば、ビーム吸収粒子は、より低い解像度イメージの測定を行うために、高密度で分布させることができる。
【0125】
好ましい一態様において、図6に記載するような構成において、ビーム吸収粒子の密度は、2重エネルギーデンシトメーターなどのデンシトメーターのものと同等の分解能を有するとともに、直線状検出器スキャン型2重エネルギーシステムに基づいてデンシトメーターのものと類似する又はデンシトメーターのもの未満の放射線レベルを有するように、調整することができる。この場合、ビーム吸収粒子は円筒状ロッドを含むことができ、ロッドの各長手方向軸は1次X線照射方向に沿うものである。
【0126】
従来のスキャン型リニア検出器に基づく2重エネルギーデンシトメーターは、時間を費やし、例えば500μm分解能という低分解能であり、及びフラットパネル検出器による2Dイメージの1/10の放射線である。図6の構成を用いて、ビーム吸収粒子が、例えば検出器と平行なxy次元において50~500μmで設定され、厚みが発生器からのX線を完全に減衰させるのに十分に厚い場合、プレートはX線源と対象との間に配置することができる。そうした粒子が、放射線を低減するために十分に高く、X線測定において500μm解像度を得るために十分である密度で設計される場合、リアルタイムの低放射線デンシトメーターを得ることができる。さらに、2重又は多重エネルギー測定を高速化するため、エネルギーフィルターをX線透過領域に使用することができる。骨密度並びに/又は他の組織タイプ及び成分タイプの密度を測定することができる。
【0127】
あるいは、図3図2、及び図1Bのようなコリメーター又はビームセレクタープレートは、X線源と対象との間に配置することができる。さらに、ビームセレクタープレートの孔を通って透過する1次X線は、エネルギーフィルター、例えばkエッジコードフィルターによってフィルタリングすることができる。
【0128】
孔を有するビーム吸収粒子プレート若しくはコリメーター、又はビームセレクターは、構成要素をこれらのハードウェア素子のそれぞれによって得らえる分解能で特徴づけることができる場合、それぞれ構成要素のトラッキング及びモニタリングに使用することができる。
【0129】
高分解能イメージングの目的で、高分解能1次X線イメージングに必要とされる散乱線除去を行うため、ビーム吸収粒子を最小限の密度とすることができる。それ以外に、1次X線イメージング測定の領域を調整することができる。1つの特定のイメージ測定において十分な情報を有するイメージを得るために、1次X線領域において画素をいくつ選択するかで、サンプルが受ける放射線量及びイメージの解像度を定めることができる。2つ若しくは3つ以上の隣接する画素ごと、又はクラスター化した画素領域のうちの1つの画素における1次X線信号は、1次X線を遮断するように、ビーム吸収粒子のより高密度の、又はより多数の、又はより大きい不透過領域を使用して受信することができる。得られた測定値は、1次X線が到達しない同じクラスター領域における隣接する画素に内挿することができる。複数のそうしたクラスター化した画素領域を含む完全なイメージは、低解像度、及び比較的高解像度の1次X線イメージを生じさせる一方、例えば検出器の分解能によって限定されるような、ハードウェアによって得られる最高解像度の1次X線イメージは必要とされないことがある。例えば骨、除脂肪組織などの組織、又は造影剤標識組織など、種々の構成要素の物質分解イメージング及びデンシトメーターの両方が、単一の、2重又は多重エネルギー方法を使用して共になすことができる。ビームセレクター又はコリメーター又はビーム吸収粒子プレートは、特に高分解能イメージングが望まれる場合、好ましくは対象と検出器との間に配置することができる。
【0130】
あるいは、対象領域に含まれるターゲット又は構成要素の小領域のイメージのみが特定の用途に必要とされる測定における対象領域の放射線を制限するため、領域のより大きいセグメントをビーム吸収粒子によって遮断することができる。そうした構成は、ビーム吸収粒子が球状である、及び/又は球体の直径によりX線の完全な減衰を確実にする、3Dイメージング又は断層撮影用途に使用することができる。X線放出位置/X線源が移動するとき、球体は任意の方向又は角度から入射するX線を減衰させる。
【0131】
コリメーターの従来の使用において、ファンビームX線の出力を、放出の領域又は角度を制限するコリメーターによって調整することができる。この場合、ビーム吸収粒子は同じ結果を得るように使用することができる。任意で、コリメーター及び/又はビーム吸収粒子の両方は、対象領域において望まれるX線放出を得るために採用することができる。
【0132】
本明細書に開示するイメージング方法は、構成要素を位置特定し分析するため、例えば病気の組織領域を位置特定するため、使用することができる。ゆえに、低放射線レベルの低解像度イメージは、まず、ターゲット構成要素が存在することが既知である対象領域の位置特定をするため、及び/又はターゲット構成要素を検出するため、より高密度のビーム吸収粒子を使用することによって得ることができる。また、構成要素の高解像度イメージは、さらに分析の目的で構成要素の詳細なデータを導き出すため、サンプルに対する放射線を構成要素の位置のみに制限しながら測定することができる。
【0133】
本明細書に開示するイメージング方法は、対象領域において構成要素をトラッキングするため、例えば造影標識した構成要素の存在をスキャンするため、使用することができる。対象領域の高分解能測定は、特に構成要素が小さい、及び/又は低濃度であるとき、構成要素を検出及び位置特定するために得ることができる。構成要素は、対象領域における構成要素を位置特定、トラッキング、分析、及び/又はモニタリングするため、該構成要素の外部の1つ又は複数の場所又は領域において低分解能で測定しながら、該構成要素の選択領域において高分解能及び/又は低分解能で測定することによってトラッキングすることができる。
【0134】
散乱線除去のさらなる例を、図14に関して以下にさらに記載する。
【0135】
付属ハードウェア
本明細書に開示するX線システムは対象のホルダーを含むことができ、これはテーブル、又はマイクロ流体チップホルダー上のマイクロ流体チップ、又はサンプルホルダーである。マイクロ流体チップ及び/又はそのホルダーはX線に対して透明とすることができる。
【0136】
一部の場合において、Cアーム組立体などの検出器ホルダーを、円弧状のCアームで接続されたX線源を一端部に、検出器を対象の反対側にして、含むことができる。検出器は、任意で、ホルダーに配置され、支持され、もしあれば対象、及びもしあればX線源のポジショナー又はホルダーに対してホルダーから独立して移動することができる。
【0137】
測定及びイメージデータベース
本明細書に開示する装置は、本明細書に開示する装置によって生成された及び/又は本明細書に開示するイメージング方法を使用して生成されたイメージを記憶する、図8に示すような記憶部及び/又はデータベースを含むことができる。各イメージ、又はイメージを及び/若しくはデータを含むデータセットは、時間t=t0、t1、t2の時間ラベルと関連させることができ、時間の単位は秒、又は分、又は時間、月若しくは年、又は秒より下から年までの任意の範囲とすることができる。そうした時間ラベルは、イメージ又はデータを取得した時間と関連することができる。各イメージ又はデータセットは、同じ設備で取得してもよく、又は取得されなくともよい。時間依存性データベースは、図8の位置1又は位置2又は位置3などの、1つ以上の位置又は設備又は様々なイメージング部位からの対象のイメージを記憶することができ、これらは、同一の識別子又は関連する識別子で対象者に関連する又は対象者のものであるX線イメージ以外の非構造化データ及び構造化データと関連付けることができる。そうしたデータは、時間t=t0、t1、t2...の時間表示でラベリングすることができる。そうしたデータベースは、データ及び/若しくはイメージから抽出された、並びに/又は特定の時間に関連した情報に関する非構造化及び構造化データを含むことができる。そうしたシステムは、経時で対象の同じ対象領域のイメージのトラッキング及びモニタリングを可能にする。
【0138】
本明細書に開示する装置は、時間依存性散乱線除去X線イメージ、及び例えば物質分解後のそれらの後処理イメージを生成することができる。そうしたイメージは、時間指定子、一般にイメージを撮った時間でラベリングすることができる。空間的及び/又は時間的に対象を撮ったそうしたイメージ及び関連イメージセットは、各イメージ又はイメージセットの特定の時間、及び対象に関連する識別子と関連させるため、タイムスタンプ及び/又は固有の識別子でラベリングすることができる。1つ以上の情報を、時間依存性データを含むそうしたデータベースから抽出することができる。
【0139】
上述のラベル及びデータベースシステムは、カスタムDICOM(医用デジタルイメージング及び通信(Digital Imaging and Communications in Medicine)を含むがこれに限定されないDICOMラベルの任意の特徴を組み込むことができる。一部の態様において、特定の時間及び固有の識別子を有するそうしたラベルは、第2のID、例えば、比較的永続的である、対象(すなわち、ヒト患者)の社会保障番号、又は対象によって選択された識別子とともに作成することができる。そうした識別子は、暗号化生成のため無作為の番号に組み込むことができる。識別子は、対象に関連する1つの情報、又は対象に関連する2つ以上の情報の1つのセットとすることができる。識別子は、第1の識別子若しくは第1の識別子のセットが公開されないように、又は対象のイメージ若しくはイメージセットにアクセスするとき非表示とすることができるように、対象についての第2の情報若しくは第2のキー、又は対象に割り当てた若しくは対象によって選択された2つ以上の情報若しくは番号のセットとすることができる。第2のキー又は第2の識別子は、個人情報にアクセスする必要なくイメージの取得及び/又は特定対象のイメージの連続を関連付けることを可能にする第2の識別子を使用するというさらなるセキュリティー対策を含むことができる。第2の識別子は、物理的キー又は携帯電話などの装置などのアクセス番号又は方法とすることができる。
【0140】
データベースは、対象者の個人情報を含まなくともよいが、米国では社会保障番号であり得る対象の固有の識別子などの、対象に割り当てられた、又は対象によって選択された、又は対象に関連したキーを含むことができる。対象及び/又は指定したエンティティーは、確認する又はさらにアクセスの許可を検証するアクセスをすることができる。アクセスセキュリティーを高めるため、第2の識別子の様々な組合せをともに使用することができる。データベースは、対象に関連する一部の又は完全な個人情報を含むことができる。個人情報又は部分的な個人情報が存在しない場合、暗号化又はアクセス又はトラッキング方法が、経時で対象に関連するイメージデータ及び他のデータの連続性を確保するように使用することができる。2次的キーと組み合わせた無作為の番号、遠隔及び/若しくは現場での、第2のアクセス装置、並びに/又は同じ装置の第2のアクセス要素などの、方法の1つ以上を使用することができる。2次的キーは、社会保障番号など、長期的及び変更されないという特性のものとすることができる。第2のアクセス装置は物理的キーとすることができる、又は無線若しくは有線装置を現場で使用することができる。あるいは、又はさらに、データベースにインターネット又はイントラネット通信が存在する場合、装置は遠隔で使用することができる。
【0141】
ゆえに、データベースシステムは、対象に対して経時で連続的及び/又は断続的にイメージデータを関連付けること、取得すること、及び/又は記憶させることを可能にすることができる。例えば、患者の疾患又は健康状態を診断、処置、及び/又は治療後にモニタリングするため、そうしたシステムは患者のイメージを経時でアクセス及び評価することを可能にする。
【0142】
本明細書に開示する装置は、同じX線ビーム投影パスにおける前方検出器及び後方検出器のイメージング信号を相関させること、単一エネルギーでの散乱線除去イメージプロセッシング、及び/又は2つ以上のエネルギーレベルでの散乱線除去のための、ソフトウェア及び/又はアルゴリズムの1つ以上を含むことができる。
【0143】
後付けキット
既存のX線イメージングシステムを変更する、及び/又は本明細書に開示するシステムを拡張するため、後付けキットを使用することができる。キットは、以下のものなどの任意の1つ以上のハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0144】
・様々なベンダーのX線源、検出器、又はコリメーター及びビームセレクターのための動作制御器におけるハードウェアの制御を統合するソフトウェア。
【0145】
・既存のハードウェアセット及び既存のソフトウェアセットの統合に使用される方法のための作業指示書。又は、提供される後付け部に与えられる1つ以上のハードウェア又はソフトウェア製品に加えて、1つ以上のハードウェア又はソフトウェア品を含む既存の方法を使用するための作業指示書。
【0146】
・イメージプロセッシングのための上述のようなソフトウェア。
【0147】
・既存のX線撮影システムにX線源及び検出器を後付けするための、図6及び図7に記載するような少なくとも1つのハードウェアビーム吸収体粒子プレート。
【0148】
・X線源及び検出器を有する既存のX線像システムに後付けするための、図1~3に記載するようなビーム吸収コリメーター若しくは検出器及びビーム吸収コリメーター、又は図6における105などのビーム吸収粒子プレート。また、そうした後付けシステムは、散乱線除去のため測定データをイメージプロセッシングするためのソフトウェアを含むことができる。ハードウェアを統合することは、X線源及び検出器又は検出器組立体などの後付けキットにて提供されるハードウェアを、位置合わせのためのCアーム又は放射線学検査一式など既存のハードウェアに統合するために含むことができる。
【0149】
・本明細書に記載されるハードウェア及びソフトウェアは、以下のモダリティー及び方法のうちの1つ以上における測定に使用される、又は適応させることができる。Kエッジイメージング並びに2重及び多重エネルギー(あるいはスペクトルイメージングと呼ばれる)、フロー動態、流体関連、フロー方向、動的移動、時間マーカーの特徴、解剖学的マーカー、ゴーストイメージング、干渉法、位相コントラスト、暗視野、X線回折、X線蛍光法との統合、多光子X線、X線散乱、X線分光法、並びに/又はすべてのX線検出可能な造影剤及びエネルギー装置により誘導された測定及び定量化。
【0150】
・例えば、検出器、ビーム粒子吸収体、ビームセレクター、コリメーター、イメージングプロセッシングのためのソフトウェアなど、本明細書に記載するようなシステムに使用されるハードウェア及びソフトウェア製品並びに方法の少なくとも1つ。
【0151】
・密度情報及び厚み、又は物質分解、及び測定された他の定量可能なパラメーターを表示する、任意のインビボ、又はインビトロ、又はエクスビボイメージング表示で、整形外科、乳房、肺イメージングのためなどユーザーに必要な用途のために表示する機能を含む、観察又は表示ソフトウェア。ビューアは、X線イメージング、又は、MRI、PET、SPECT若しくは光学的測定などの他のイメージングモダリティー、及び/若しくは他のエネルギー若しくは電気若しくは化学に基づく測定と組み合せたX線イメージングに基づく、構成要素のトラッキング、対象の識別、又は対象領域における構成要素の動的特徴、対象領域における流体動態及びフロー方向情報を含み得る、時間的情報を記録及び/又は表示することができる。
【0152】
・密度測定及び定量的分析情報を表示可能なユーザーのためのデータ分析ソフトウェア。
【0153】
・定量点、2D小領域、1D、3D~6D多次元イメージング分析、単一エネルギー、2重エネルギー、及び多重エネルギー物質分解分析、Kエッジ測定分析、位相コントラストイメージング分析、コヒーレント及びインコヒーレント及び部分的コヒーレント若しくはインコヒーレントX線イメージング、並びに/又は構成要素若しくは対象の原子番号、特徴の決定、対象若しくは対象領域の構成要素の識別を含むその他の定量的な分析タスクに使用されるデータ出力、深層機械学習に使用されるデータ出力、多次元断層撮影に必要とされるデータ出力、他のイメージングモダリティー及び分析方法の測定データを含む、インターネット及びイントラネットを介した、及び同じコンピューターにおける他のソースからの他の構造化及び非構造化データタイプとの統合に必要とされるデータ出力のためのソフトウェア。また、統合は、1つ以上の構成要素及び/又は対象並びに類似のタイプの構成要素及び対象に対して1つ以上のデータマトリックスに基づいて非構造化データ及び/又は構造化データから導き出した、シミュレート及び測定された特性、情報を含むことができる。
【0154】
・定量分析及び関連する表示のため、同じ構成要素、若しくは同じ対象、若しくは同じ対象領域、若しくは同じタイプのサンプルの、他の構造化及び/若しくは非構造化ドキュメント、又はそうしたドキュメントから導き出した情報との統合のためのソフトウェア。
【0155】
・装置間の測定値及び定量化データ及び分析結果に基づいて、並びに同じサンプルの分析及び測定データ、トラッキング、所定の周波数及び他の時間関連パラメーターにおける抽出測定値(振動心電図(seismocardiographic(SCG))信号特性)、ECGゲート式心臓動作に基づく測定値などのゲート式動作モニタリング、及び/又は1つ以上のサンプルからの情報導出(診断及び挙動の特徴づけ)のためインターネット経由で、イメージ、非構造化及び/又は構造化ドキュメントを転送。例えば、1つ以上の情報を導き出すため、又は対象を遠隔で可視化してモニタリングするため、種々のモダリティーの測定値を有する同じ患者、及び/又は種々の患者からのデータを分析することができる。
【0156】
・単一エネルギー、2重エネルギー、スペクトルCT、PET、SPET、MRI、及び/又は磁性粒子に基づくイメージング、並びに光音響及び光学イメージング及び分光法を含むCTのために開発されたアルゴリズムを使用するなどのX線イメージングによって識別可能な造影剤、領域の定量化及び可視化に使用するための化学反応。
【0157】
・対象領域におけるエネルギー、又は化学的に温度変調した構成要素の定量化、同定、識別、及び特徴づけを含むタスクを行うための、アルゴリズム、ハードウェア、及び化学反応。化学修飾は、ph、又は分解して、特定の造影剤コンジュゲートリガンドに結合可能な高親和性エピトープを有する特定のタンパク質分子を形成する酵素の触媒機能、若しくはプロテアーゼなどの酵素機能を指すことができる。タスクは、時間依存性及び/又は反復性とすることができ、CTに、並びに、時間及び放射線レベルの検討において各モダリティーの制限を克服できるのであれば、場合によって、CT、SPET、PET、MRI、光学及び音響方法に適用可能なものを含む。例えば、内因性分子若しくはイオン由来の造影剤のトラッキング、又は、光計数検出器、PMT及びフォトダイオード、及びX線若しくはX線シンチレーション可視光に感応性の1D若しくは2D検出器などの使用される検出器の設計若しくは速度によって可能な限り、超高速X線又は超高速レーザーが可能とするもの、例えば、ピコ秒若しくはフェムト秒での測定までの小さい時間差における、1つ以上の構成要素の動的フロー及び移動、及び分子相互作用の動態のトラッキング。定量化及び分析は、深層機械学習人工知能、特にCT、又はPET、又はMRI、又は光学的方法に適用可能なものを使用することを含むことができる。
【0158】
・X線顕微鏡法の現行の方法を、X線を可視光に変換するためシンチレータースクリーンを追加することによってなどでナノメーター範囲まで、超高分解能での定量的測定のための可視光光学系に適応させる。また、X線顕微鏡法において既知の従来のX線光学系及び可視光光学系は、サンプル測定の性能及び分解能をさらに高めるため、任意で追加することができる。
【0159】
・測定したデータを記憶、使用、転送するためのサイバーセキュリティー特性を有するソフトウェア。
【0160】
・携帯型ハードウェアアセンブリは、携帯型X線源、シールド、持ち運ぶためのケース及び付属品、又は移動させるためのハードウェア、又は格納するためのケースを含む。
【0161】
・1つ以上のエネルギーレベルのX線源。
【0162】
・シンクロトロン、シンクロトロン型、又は直線状加速器型のX線源。
【0163】
・1つ以上のエネルギーレベルの冷陰極X線源。
【0164】
・例えば、図15Aに示すような磁気プレート又はソレノイドコイルに基づく偏向装置などの磁気機構を使用して、内蔵の電子ビーム偏向器を有することができる冷陰極、ナノチューブ又はナノワイヤに基づくタイプを含むX線源。こうした磁気機構は、ナノチューブに基づくX線源の操舵に限定されるものではなく、X線放射線を生成する種々のタイプのX線源、又はナノチューブの種々の領域が電子ビームを生成するため又は様々な空間位置でX線ビームを生成するように電子ビームを操舵するために活性化又は不活性化されるナノチューブ源における、すべての電子ビーム操舵に有用とすることができる。例えば、そうしたタイプのナノチューブ源放出位置は、電子ビームの生成のためフィールドエミッター領域又は各フィールドエミッターの領域を非活性化又は活性化することによって、操舵又は移動させることができる。X線放出位置、又は画素化X線源などの複数のX線放出位置を有するX線源の移動は、本開示に記載する多次元X線イメージング及び3Dイメージングに使用することができる。
【0165】
・その一部が内蔵型光ビーム位置操舵機構、例えば、光ビーム操舵又は光電子増倍管位置移動機構を有する、PMTに基づくカソード、冷陰極のタイプを含む光に基づくX線源。
【0166】
・内蔵型電子ビーム位置操舵機構、例えば、光ビーム操舵又は光電子増倍管位置移動機構を有する、冷陰極、カーボンナノチューブを有するタイプを含む飛行時間型X線源。
【0167】
・各個々の位置のためターゲットへの放射線を低減した、各回で異なる放射線パスの、直鎖加速X線源。
【0168】
・冷陰極を有するタイプを含む液体金属アノードX線源。
【0169】
・測定データからの散乱X線の内挿。
【0170】
・X線細ビーム照射方法のための散乱X線の内挿。
【0171】
・直線、立方体、余弦、及び/又は径方向グリッドを含む測定データからの散乱X線の内挿。
【0172】
・nmより小さい又はnm又はμm又はmm又はcm範囲における種々の寸法のX線細ビームの種々の空間密度分配を有する、構造化照射。
【0173】
・各回に行われる測定における各ビームサイズが、異なって空間的に分布する1つ以上のビームにおいて変化し得る、構造化照明。
【0174】
・本明細書に開示する構造化照射方法に使用されるハードウェア製品。
【0175】
・構造化照射方法における1次X線の演繹、種々の内挿方法のためのソフトウェア、アルゴリズム。
【0176】
・互いに離間して分布させた、図6に示すような複数のビーム吸収体粒子であって、各吸収体は、種々の形状及び容積であってもよく、又は互いに類似していてもよく、そして特定の領域でX線を通過させるため、1つ以上の孔、若しくは種々の厚み、若しくは吸収特性を有していてもよい、1つ以上の装置を含み、X線源と対象との間、又は検出器と対象との間に配置することができる、分布させた透過孔を有する1つのビーム吸収体コリメーター、又はそうしたビーム吸収体コリメーター若しくは図6のようなビーム吸収粒子プレート105の積層体を使用することを含む、1つの検出器を用いて単回のショットで散乱線除去イメージ及び/又は物質分解を得るハードウェア及び方法。そうしたビーム吸収体は、所定の方向に向けたときX線を完全に遮断し、他の方向に向けたとき(例えば、角度をなして移動させたとき)透過を可能にし、透過のレベルは0~100%まで変化する。空間の少なくとも1つの軸におけるそうした装置の位置は、複数の照射又はイメージングを行うとき1次X線が遮断される位置が異なるように、移動させることができる。
【0177】
・互いに離間して分布させた、図6に示すような複数のビーム吸収体粒子であって、各吸収体は、種々の形状及び容積であってもよく、又は互いに類似していてもよく、そして特定の領域でX線を通過させるため、1つ以上の孔、若しくは種々の厚み、若しくは吸収特性を有していてもよい、1つ以上の装置を含み、X線源と対象との間、又は検出器と対象との間に配置することができる、分布させた透過孔を有する1つのビーム吸収体コリメーター、又はそうしたビーム吸収体コリメーター若しくは図6のようなビーム吸収粒子プレート105の積層体を使用することを含む、1つの検出器を用いて2つのイメージにおいて散乱線除去イメージ及び/又は物質分解を得るハードウェア及び方法。そうしたビーム吸収体は、所定の方向に向けたときX線を完全に遮断し、他の方向に向けたとき(例えば、角度をなして移動させたとき)透過を可能にし、透過のレベルは0~100%まで変化する。空間の少なくとも1つの軸におけるそうした装置の位置は、複数の照射又はイメージングを行うとき1次X線が遮断される位置が異なるように、移動させることができる。ハードウェアのそれぞれは、第1のイメージから高解像度散乱信号を導き出すために使用することができ、第2の高解像度イメージは、高解像度散乱線イメージを第1のイメージから減算した後、高解像度1次イメージを生成するために撮ることができる。
【0178】
・マイクロ粒子間の相対位置が固定できるとき、粒子装置全体を移動させるため、移動又は回転は機械又はエネルギーに基づいたものとすることができる。
【0179】
・各ユニットのマイクロ粒子の相対位置は、例えばMEM型装置における、アクチュエーターなどの機械的方法によって、又は超音波若しくはレーザー若しくは電圧若しくは磁力などの電気的方法などのエネルギーに基づくものによって、少なくとも1次元において移動させることができる。
【0180】
・ビーム吸収粒子同士の間の媒体は、液体、又は空気、又は例えば板など構造化したポリマー、ベリリウムなどの半透明材料とすることができる。
【0181】
・各液晶セルが、位置に関して調整することができるX線吸収体を有する、液晶装置。
【0182】
・X線が透過できる又はX線に対して不透過であるように調整することができる、結晶のユニット。
【0183】
・各粒子は、散乱X線信号又は光又は電気信号を全体的に構成する少なくとも1画素又は複数の画素を散乱X線信号から得ることができるように、X線ビームを遮断する、又は1次X線が検出器に到達しないようにすることができる。そうした画素は、nm範囲又は0.01nm~10mm範囲ほども小さいサイズを有することができる。X線信号はシンチレーションされ、イメージングのため可視光に変換することができる。
【0184】
・第2のイメージを所定位置のビーム吸収粒子なしで撮る場合、散乱線測定、内挿イメージ、及び1次イメージは、高解像度散乱イメージ、ゆえに、同じサンプルの高解像度1次イメージの導出に使用することができる。言い換えると、そうしたビームセレクターは所定位置から完全に移動する。
【0185】
・同じイメージを同じ領域のサンプルから撮る必要がある用途において、ビーム吸収粒子は、異なる位置にわずかにずらすことができ、第1のイメージにおける遮断された1次イメージは、サンプルにおける同じ対象領域から撮った、1つ以上のイメージの抽出データから導き出すことができる。
【0186】
2DのX線イメージングシステム又はその部品(ハードウェア及び/若しくはソフトウェア)又はそれを使用する方法、又は上述の後付けキットは、使用に応じた方法を用いて提供することができる。例えば、使用は、1人の患者、若しくは1つの対象の1つのイメージ若しくは複数のイメージ、若しくは測定したX線イメージから導出した1つ以上のイメージの出力を得ること、又はイメージ分析結果からの1つ以上の情報を抽出すること、又は1つ以上の診断若しくは治療処置のためのデータを提供することの、1つ以上として定義することができる。
【0187】
あるいは、料金を、同等のシステムの小売価格のごく一部として計算することができる。2DのX線イメージングシステム又はその部品(ハードウェア及び/若しくはソフトウェア)又はそれを使用する方法、又は上述の後付けキットは、無料で提供することができる。
【0188】
2DのX線撮影をX線顕微鏡並びに/又はスペクトルX線測定並びに/又はスペクトルX線吸収測定、並びに/又は時間依存性及び/若しくは高空間分解能及び/若しくは高スペクトル分解能検出器と組み合わせた、つまりハイブリッド定量X線システムの例。
本開示において、散乱線除去方法は、3Dイメージ及び/又は定量的分析を行うため、顕微鏡及び/又は吸収測定をX線撮影技術と組み合わせることにおいて支援をすることができる。
【0189】
従来より、3DのX線顕微鏡を使用して対象の3Dイメージを再構築するように180°で対象全体を撮るため、複数のイメージが典型的に必要とされる。回転させる必要があり、高分解能及び定量的測定を行うため必要とされるハードウェアにより、3DのCT及び3D顕微鏡装置は時間を費やすだけでなくかさ高くなる。3D顕微鏡システムは、一般的に携帯に適さず、特に病院、研究所、外科センター、又は移動型診断及び外科施設の外部に適さない。対象は、回転CTに基づくシステムでは比較的高い放射線量を受けることがある。
【0190】
多重ビーム2Dイメージングはイメージング視野、及びより大きい領域を網羅する速度を拡張することができるが、対象を中心とする回転動作又は対象の回転が、X線顕微鏡における3Dイメージングを得るため、なお必要とされている。逆ジオメトリ(inverse geometry)CT断層撮影に基づく技術は、対象を通過する前に孔を通って放出されるスキャン型X線源と組み合わせた、これらの孔を有する2次元(2D)コリメーターの使用を必要とする。第3軸における得られた3Dイメージは、十分に高い解像度を有さないことがあり、正確な位置情報を含む定量的情報、及び3DのCTスキャナーで一般的に得らえる定量的情報を提供できない。
【0191】
複数のX線ビームの信号が個々に測定及び記録される場合に対象をプローブするとき、対ノイズ比(SNR)を向上させることができる。また、複数の平行なX線ビームに曝露されている間に、対象の位置を体系的に(例えば、x座標及びy座標において)スキャンすると、X線ビームが対象と相互作用する様々な座標における特性の体系的「マップ」が、同じ領域をスキャンするため単一のX線プローブを使用するときよりもはるかに高速に作成されることができる。対象に対するX線放出位置の相対位置を6次元で移動させること、及び/又は、様々なプロトコルに従って対象をスキャンすることによる、より速い断層撮影及びスペクトル測定分析が、コーンビーム形状で放射した1次X線ビームを使用して得られるが、1次X線ビームの各ビームはその隣接する1次ビームからの空間的ギャップを有し得る。ギャップは、検出器にて検知するとき1画素又はそれ以上とすることができる。あるいは、対象を照射するため、平行化X線ビームを生成することができる。
【0192】
しかしながら、前述の多重ビームシステムにおいて、いくつかの制限が存在する。X線が対象及び検出器に到達する前に、既存のビームマスクをX線源からのビームパスに配置する必要がある。回転又は3軸の方法がなお3Dイメージングに使用されるとき、この多重ビーム方法を利用する使用法及びサンプル範囲は3Dイメージングにおいて制限される。この多重ビーム方法を機能させるため、必要とされるX線顕微鏡サンプル寸法を満たすように、対象は薄いものとする必要がある。さらに、そうした多重ビーム方法は、さらに詳細な高分解能顕微鏡イメージングのため対象領域を位置特定するX線顕微鏡検出器の上流の2D検出器に基づく全視野X線イメージングと組み合わせない。
【0193】
任意で、光子計数検出器及びPMTなど、全視野X線検出器よりも高速なフレームレート及び高い分解能を有する検出器を、全視野X線検出器の下流に配置することができ、X線顕微鏡に使用するX線光学系を使用せずに、選択した対象領域をイメージングするために使用することができる。
【0194】
また、X線スペクトル吸収測定又はX線スペクトル測定を、選択対象領域における2D及び3Dの両イメージング並びに高スペクトル分解能のためX線撮影装置と組み合わせることができる。一般に、X線吸収測定は、2重エネルギーシステムを使用する骨のデンシトメトリーに限定される。従来より、X線吸収測定は、軟部組織のものと異なる骨組織によるX線の吸収に基づいて骨密度を定量化するため、脊椎にわたってスキャンするように直線状スキャナーで行われる。そうしたシステムは限定的な用途を有し、時間を費やすとともに、得られる解像度において制限される。対象における様々な構成要素の分析のため2重エネルギー吸収測定を使用するインビボの研究は、特有なハードウェアの複雑性、必要とされる時間、限定的な解像度のため、未だ広く採用されていない。
【0195】
さらに、従来のX線撮影は、各用途の要件が異なるので、X線源における制限により、X線顕微鏡又は吸収測定と即座に組み合わせられないこともある。また、散乱の干渉は、全視野X線イメージングにおける定量的分析のための定量可能な1次X線イメージの形成に影響し得る。さらに、X線全視野イメージング、及びX線顕微鏡システムの両方における多次元測定の回転要件は、大きな寸法の定量的測定、及びX線顕微鏡で得られる高分解能測定を達成するために両方を組み合わせることの現実性を限られたものにする。例えば、インビボの測定において、全視野X線が共配置及びサンプル分析のためのより大きい寸法の定量的測定及びイメージングを網羅しながら、X線顕微鏡又は高分解能スペクトル測定又は高分解能フォトダイオード、ポイント、1D、及び小2Dアレイ検出器は、単一の細胞又は分子、希少細胞又は細胞の小クラスター、及び分子関連イベント及び形態及び存在を明らかにすることができる。
【0196】
本明細書に開示する物質分解及びイメージング方法を使用して、さらに詳細なスペクトル測定、吸収測定、並びに/又は顕微鏡イメージング及び分析、並びに/又はより高速なフレームレートのイメージングのため、X線撮影を、図1Aにおける対象の対象領域4sのように選択することができる。本開示は、選択した対象領域4sを調べるため1つ以上のX線ビームを有するX線イメージング、測定、及び定量的分析システムを提供する。システムの機能性は、選択した対象領域4sの、2D2重、若しくはスペクトルイメージング、3D全視野X線イメージング、3D全視野及び/若しくは単一、2重エネルギー、若しくは多重エネルギーイメージング、非回転2D及び3DのX線顕微鏡、並びに/又はポイント、1D、2D、若しくは3Dスペクトル吸収測定、若しくはスペクトル測定を含むことができ、例えば、2D又は多次元又は3D次元の全視野イメージング及び/又はスペクトルイメージングの結果としての1つ以上の条件に基づいて、4sを、ユーザーが選択又はプロセッサーのデジタルプログラム13が選択する。システムは、任意で、または2DのX線顕微鏡又は3DのX線顕微鏡又はスペクトル吸収測定又はスペクトルX線測定のいずれかを備えた1つの検出器及び/又は複数のX線ビーム構成を使用して、対象領域4の全視野又は選択した対象領域4sにおける散乱線除去を行うことができる。あるいは、散乱線除去は、顕微鏡及び3D顕微鏡組立体においてその間にビームセレクターコリメーターを備える2重検出器を使用することができる。システムは、選択した対象領域4s、ターゲット、及び構成要素のポイント、1D~3D、及び4D次元における、高スペクトル分解能スペクトル測定、及び/又はX線顕微鏡による詳細な高空間分解能測定若しくはイメージング、及び/又は高空間分解能検出器、及び/又は高速スペクトル測定、及び多次元及び3D測定及びイメージング、を組み合わせた全視野イメージングのハイブリッドシステムと考えることができる。
【0197】
散乱線除去は、本明細書に開示のハイブリッドシステムにおいて本開示に記載されるような前述のハードウェア及び方法によってなすことができる。
【0198】
対象領域4は、1つ以上の構成要素を有することができる。各構成要素は、種々の組成、若しくは複合物質、若しくは不均質な物質、若しくは均質な物質、及び/又は2つ以上の物質の界面領域、又は種々の原子z番号、若しくはX線測定可能な特性の物質のものとすることができる。
【0199】
本開示に開示する物質分解方法は、対象領域における各構成要素の密度、厚み、組成、X線測定可能な特性を測定するために使用することができる。あるいは、基底関数スペクトルX線イメージング方法、並びに、スペクトルCT、及び2重若しくは多重、若しくはスペクトルX線イメージングに使用される他の方法及びアルゴリズム、又は先行技術のものも使用することができる。
【0200】
ハイブリッドシステムにおけるハードウェアの配置
ハードウェアは、所定位置にて静的であり、すべてのX線測定モジュールが、対象領域を位置特定して1つ以上のソースから構成要素を調べる能力をなお保持しながら、対象にアクセスできるように、角度をなして配置される。ハイブリッドシステムにおける選択した対象領域の測定のための1つ以上の検出器又は関連するハードウェアは、対象と反対側の、全視野フラットパネル検出器から下流に配置することができる。
【0201】
全視野検出器は対象に最も近接して配置することができる。また、ハイブリッドシステムのための他のハードウェア及び他の検出モジュールは、対象の反対側において同じX線源又は異なるX線源を使用して全視野イメージングのためのフラットパネル検出器に対して角度をなして配置することができる。
【0202】
あるいは、フラットパネル検出器は、他の検出モジュールから最も遠くすることができる。
【0203】
スペクトル吸収測定は、フラットパネルX線検出器から下流に、又はフラットパネルX線検出器及びその関連ハードウェアと対象との間の上流に配置することができる。あるいは、フラットパネル検出器を除いて、すべてのハードウェアは、X線源と対象との間、若しくは対象とフラットパネル検出器との間の位置に、及びその位置から移動させる、又はフラットパネルを異なる位置又はフラットパネル検出器の下流にずらした後フラットパネル検出器の位置に移動させることができる。
【0204】
単一又はスペクトルX線顕微鏡に必要とされるハードウェアは、集光器を含むことができる。同じ又はさらなるX線源ビーム開口を使用する場合、これらはX線源と対象との間に配置することができる。対象、並びに光子計数器及びシリコンシフト検出器及びエネルギー感応検出器を含む検出器又は検出器モジュールは、図36A~Bに示すようにフラットパネル検出器の上流又は下流のいずれかに配置することができる。一部の場合において、ハイブリッドシステムは、対象を中間にして、互いから斜めとすることができる。
【0205】
図12B及び12Cに示すように、2D又は3Dの全視野X線イメージングは、対象から離れて、全視野X線イメージング検出器14の下流に、又は対象と全視野X線イメージング検出器14との間に配置することができる、より高速なフレームレート及び/又はより高いスペクトル分解能及び/又はより多くのエネルギー感応検出器又は検出器セル320と組み合わせることができる。例えば、全視野X線イメージング検出器14より小さい高速フレームレート2D検出器、又はポイント検出器、又は1D直線状アレイは、選択した領域又は選択した構成要素又は選択したターゲットをさらに定量的に分析するように、より高い空間分解能、及び/又はより高いスペクトル分解能、及び/又はより高いフレームレートでさらなる情報を取得するために使用することができる。
【0206】
そうしたハイブリッドシステム検出器3は、対象領域における選択した領域4sを通って投影されたX線を測定するように、動的にそれ自体を空間的に位置決めするため、機械的に6D空間において移動することができる、又は好ましくは、例えば、動力器によって検出器14と平行なx及びy平面において移動することができる。
【0207】
同様に、スペクトル測定若しくはスペクトル吸収測定の検出モジュールに関するハードウェア、又はX顕微鏡における対物レンズ及び検出器は、対象及びX線源と反対側の全視野検出器から下流、又は対象と全視野X線検出器との間のいずれかに配置することができ、X線顕微鏡システムの集光器及びビーム開口、又は照射モジュールは、対象とX線源との間に配置することができる。
【0208】
または、例えば11、15のそうしたハードウェアは、全視野X線検出器14が動力器によってX線ビームの見通し線から外れるように移動するとき、全視野X線検出器の位置に動力器によって移動させることができる。任意で、選択した対象領域4sの詳細な分析のための、ハイブリッドイメージングハードウェアのサブモジュール、例えば、11又は15は、例えば、ソース12からのX線ビームが、当初のパスと異なる角度から、又は異なるX線源を使用して4sを照射するようにX線光学系又は関連組立体によって操舵される場合、同じソース12で、全視野検出器14から角度をなして配置することができる。
【0209】
多重エネルギーX線源配置
本開示のX線システムは、例えば、対象2に対して検出器14の反対側の様々な空間位置から同じ対象領域R1を照射するため、1つを超えるX線源を有することができる。例えば、図35Aに示すように、検出器の領域は、X線源のそれぞれに対応して読み取ることができる。各ソースは、他のソースとは異なる1つ以上のX線エネルギー又は波長を生成することができる。各X線源によって生成された測定値に基づいて2D及び3Dイメージの両方を生成することができる。これは、多重エネルギー用途において測定の速度を高めることができる。
【0210】
さらに、2つ以上の検出器24が対応するX線源からの対象領域R1におけるX線出力を収集するように、さらなる検出器を図35Bに示すように使用することができる。
【0211】
X線源
任意の適切なX線管が、フラットパネルX線検出器、2D検出器、1D検出器、並びにフォトダイオード及び光子計数器、又はX線顕微鏡、又はX線スペクトル測定及びスペクトル吸収測定を使用してX線全視野イメージングに使用することができる。多色特性のX線管を使用することができる。X線吸収測定を多色ソースで行うとき、対象領域におけるハイブリッドシステムでの詳細な分析のための選択した領域を、1つの条件若しくは一式の条件に基づいて全視野X線イメージングの結果から又はユーザー若しくはコンピューターの入力から決定する。SNRは、種々の波長において全視野X線イメージと比較することができる。多色X線源は、X線モノクロメーター、又はX線波長若しくはエネルギーフィルター、又はポリグラファイトから作製される鏡などのX線光学系を使用してなどで、単色ソースに変換することができる。マイクロソース、シンクロトロンソース、若しくはシンクロトロン型若しくは直線状加速器に基づくもの、又は類似のタイプのソース、又はレーザーコンプトン散乱ソースを使用することができる。鏡、例えば熱分解グラファイト鏡と共に使用するX線管は、望まれるエネルギーのためのブラッグ角を画定してファンビーム源として機能する出射スリットを含むことができる。また、ナノチューブ又はナノワイヤに基づくX線源も使用することができる。
【0212】
X線マイクロソースのアレイを生成するソースは、本明細書に開示するような構造化照射のために、対象に投影することができる。当初のX線ビームを空間的に分割可能な結晶又はMEM装置、屈折格子、又はX線光学系は、空間的に分離して、疎に分布させた複数の細ビームを生成することができる。あるいは、選択領域において選択的にX線ビームを透過させる孔を有する回転ディスクを、マイクロビーム発生器として機能させることができる。対象領域全体における対象の最終イメージは、細ビームがスティッチングを可能にするように空間的に配置される場合、細ビームによって生成されたイメージからモザイクのように共にスティッチングすることができる。
【0213】
本明細書に開示するX線システムは、空間分解X線透過分析を行うことができる。入射X線ビームを対象に向けるとき、X線は投影パスに沿って透過することができる。入射X線ビームは、コーンビーム又はファンビーム又はポイントビームとすることができ、X線細ビームのアレイを含むことができる。透過X線は、空間分解X線検出器で測定することができる。
【0214】
また、本明細書に開示するX線システムは、位相コントラスト分析を行うことができる。入射X線ビームを2つに分割して、対象に向けるとき、X線は投影パスに沿って透過し、下流で合わさって検出器において干渉パターンを形成することができる。
【0215】
本明細書に開示するX線システムは、位相コントラスト情報又は空間分解X線回折分析を行うようにハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。入射X線ビームは、回折X線を生成するように対象に向けることができる。入射X線ビームは細ビームとすることができ、X線細ビームのアレイを含むことができる。回折X線及び/又はインターフェログラムは、空間分解X線検出器で測定することができる。
【0216】
本明細書に開示するX線システムは、空間分解X線蛍光分析を行うことができる。X線励起ビームは、蛍光X線を生成するように対象に向けることができ、X線励起ビームはX線マイクロビームの平面アレイを含む。個々のX線マイクロビームは、それぞれ2桁の低ミクロンより小さい直径を有することができる。蛍光X線は、X線イメージング光学システム並びにエネルギー分解及び空間分解X線検出器を含むX線イメージングシステムでイメージングすることができる。X線イメージング光学システムは、その対象平面がX線イメージング光学システムの被写界深度内でマイクロビームの平面アレイの平面と同一平面上であるように配置されたX線励起ビームによって対象が照射されるときに生成される蛍光X線を収集することができる。エネルギー分散、空間分解X線検出器は、X線光学イメージングシステムのイメージ平面に配置することができる。
【0217】
開示のシステムにおけるX線源は、対象を照射するために使用され得る「タルボ干渉パターン」と呼ばれる空間において自己複製ビームのセットを生成する「ビームスプリット」格子を照射することができる。1つ以上のビームのそれぞれは、例えば、対象の表面においておよそ2桁の低ミクロン以下の直径を有する、高解像度を有することができる。対象のイメージを生成する、1つ以上の投影細ビームは、1次元及び/又は2次元において高解像度を有することができる。
【0218】
X線光学組立体は、X線源側及び/又はX線顕微鏡検出器側において利用することができる。X線全視野イメージング検出器を顕微鏡方法と共に使用するとき、X線光学系は、好ましくはX線顕微鏡検出器側において適用することができる。
【0219】
光学組立体は、反射面の少なくとも一部が放物面状又は楕円体状である1つ以上の光学系を含むことができる。光学系は、任意で、その反射面において放物面状であり、楕円体プロファイルが続くとすることができる。X線光学組立体は、コリメートレンズ又は光学系、及び集束レンズ又は光学系を含む2つの放物面を含むことができる。
【0220】
光学組立体は、軸方向に対象の光学系の中心を通って透過するX線を除去する1つ以上の中心ビームストッパーを含むことができる。光学組立体は、当該技術分野で、例えば共焦点光学系を使用する調査システムで既知の任意の適切なX線光学素子を含むことができる。光学系は、光学系の側部を通って透過する(1次透過X線顕微鏡構成のためなどの)1次X線又は蛍光、回折、及び/若しくは干渉計構成において光学系の側部を通って透過するが反射されないX線のもの以外、ビームパスX線からX線を除去する開口素子を含むことができる。X線光学組立体は1つ以上のゾーンプレートを含むことができる。
【0221】
X線光学系は、複数のX線入力ビーム視野を許容するためより大きい入力視野角を許容するように、単一ビームタイプと比較してより大きい視野を有することができる。
【0222】
スペクトル測定若しくは吸収測定及び/又は顕微鏡構成の例
図12A~12Cは、全視野X線イメージング検出器とスペクトル吸収測定11(図12A)又は顕微鏡17(図12B~12C)との例の組合せを示す。図12A~12CにおけるX線システムの全視野X線イメージングの態様は、図1A及び1BにおけるX線装置10の任意の特徴を有することができる。図13A~13Cは、ハイブリッド構成に基づく測定及び分析方法のいくつかの例を示す。
【0223】
X線吸収測定又はX線スペクトル測定は、1つ以上の構成要素を含む対象を摂動させて、X線吸収又は減衰又は透過特徴及び密度特徴に基づいて物質及び構成要素を分析及び識別するため、2重多重エネルギー若しくは波長、又は広帯域X線を使用する。この技術は、種々のX線エネルギーの摂動、又はより具体的には、例えば、エネルギー分散格子及び空間感応検出器若しくはシリコンドリフト検出器を組み合わせたエネルギー感応検出器、光子計数検出器、PMT、若しくはx線光学系組立体を使用して、対象による1次X線の吸収を測定する。この技術は、物質の3D定量分析、並びに、対象又は対象における他の物質及び構成要素に対する、3D及び6D空間並び時間におけるそうした物質の位置特定及び位置決めを提供するため、本明細書に記載する3Dイメージングと組み合わせることができる。骨のためのイメージングエネルギー、及び軟部組織のためのイメージングエネルギー、及び一部のKエッジエネルギーレベルなど、多数のスペクトルが典型的に選択される、2DスペクトルX線イメージング又は3DスペクトルX線イメージング又はスペクトルX線断層撮影のように、より大きなイメージング領域ではなく、スペクトル吸収測定では、対象を照射するため、複数の様々な離散エネルギーレベルを連続的に適用する、又は広帯域X線スペクトルを使用することができる。光子計数器又は格子検出器又は1D若しくは2D検出器を、エネルギー分散格子と組み合わせることができる。複数チャネルの吸収測定又はスキャン型X線吸収測定は、より大きい視野を得るとともに、より高い感度を保持するため使用することができる。得られるスペクトル分解能は、0.01nmほども高くすることができる。
【0224】
複数チャネルの吸収測定又はスキャン型スペクトルX線測定又はスキャン型X線吸収測定は、より大きい視野を得るとともに、高い感度を保持するため使用することができる。
【0225】
X線ビームサイズ、ゆえに吸収測定の放射線レベル及び対象領域における該技術の感度を制限するため、種々の装置及び方法を使用することができる。使用するため選択した検出器がはるかに高い感度を有するとき、対象領域の3D特徴は、より容易に明らかにされて検出することができる。3Dイメージングは、対象領域の吸収測定データに対する3D相関に使用することができる。例えば、ビームサイズ調節素子は、固定若しくは調節可能な開口、又は1つ以上のX線吸収材料に基づくビームセレクターとすることができる。X線源においてX線ビームを生成するように使用される電子ビームのための選択したターゲット領域の調節可能な位置又は特性は、小さいビームサイズのX線を生成するために使用することができる。一部の場合において、放出X線源の下流の、MEM装置又は変調結晶などのチューナブルX線変調器は、対象における選択した対象領域のみを照射するように視野を制限するために使用することができる。
【0226】
図12Aに示すように、システムは、X線源12、対象2、全視野X線検出器14、及び吸収測定組立体11を含むことができる。X線源12は、対象を透過する多色又は単色のX線を生成する任意のタイプのソースとすることができる。検出器14は、任意でエネルギー感応タイプのものとすることができる。全視野X線検出器14は、より大きい視野のイメージングを得るように、対象2とスペクトル吸収測定光学系との間に配置することができる。対象領域4は、スペクトル吸収測定分析のために選択することができる。また、検出器14は、スペクトル吸収測定時に移動又は除去することができる。全視野X線検出器が除去されない場合、吸収されないX線は全視野X線検出器を通過する。任意で、全視野X線検出器及びX線光学系は、イメージプロセッシング時のそうしたハードウェアに関する干渉信号の抽出を可能にするため測定前にキャリブレーションステップを行うことができるので、X線吸収測定時に、移動させてもよい又は移動させなくともよい。
【0227】
X線ビーム30は、対象領域4を通過し、任意で全視野X線検出器14を通過した後、結晶又は回折格子又はエネルギー分散格子などの素子を含み得る回折素子340に到達することができる。回折素子340は、X線ビームを、様々なエネルギー及び/又は波長の多重X線ビーム341に分割及び回折させることができる。特定のX線光学系330は、回折素子340によって分散したエネルギーとなるように、X線ビーム341を好ましい方向に操作、集束、又は操舵させるため、ビームパス、例えば、対象2と回折素子340との間に配置することができ、各エネルギーレベル又は波長は他とは異なる空間位置に達し、測定のため検出器345に向けられる。検出器345は空間感応検出器とすることができる。光学系330は、X線ファンビームをより小さいビームサイズにさらに減縮することができる望遠レンズとすることができる。あるいは、光学系30は、対象から出射された1次X線を収集して、出力X線寸法をより小さい領域に集中又は集束させ、これを下流のエネルギー分散格子及び検出器によってさらに処理することができる。有利には、可動部品は存在しないとすることができる。選択した領域をリアルタイムで測定することができる。
【0228】
開口などのビームストッパーは、種々のソースの干渉X線又は対象の測定に有用でないX線を遮断するために使用することができる。あるいは、格子素子340は、X線を、種々のエネルギーレベル又は離散波長のX線ビーム341に、色に関して透過及び分散させることができる。
【0229】
吸収測定組立体は、シリコンドリフト検出器、シリコンリチウム検出器などのスペクトル感応検出器345、若しくは回折結晶若しくは合成多層部などのX線波長分散素子と組み合わせて使用される任意のタイプのX線検出器若しくは検出器組立体、若しくはフォトダイオード、光子計数検出器などのX線感応測定素子の直線状アレイを含むか、又はX線信号を可視光子信号に変換するために上流にシンチレーターを有する任意のタイプのX線感応カメラ若しくはエネルギー計数検出器若しくは光増倍管を含むことができる。空間感応検出器345は、X線ビーム341を測定可能であり、検出器345の各画素位置又は各領域は特定のエネルギーレベル又は波長レベルで信号を収集する。このように、空間位置感応X線検出器345は、各離散エネルギーレベルのX線からの信号を測定するために使用することができる。開口は、対象空間領域をさらに緻密化するために使用することができる。
【0230】
あるいは、対象領域の下流の吸収測定組立体は、X線を空間感応検出器に色に関して分散させることができる、格子システムにX線を向ける球状鏡を含むことができる。
【0231】
任意で、1つ又は複数のチャネルを有するX線分光器モジュールは、種々の離散波長で高分解能X線測定を可能にするために利用することができる。
【0232】
好適には、スペクトル吸収測定モジュールは、入力から、直線状検出器又は2D検出器の列などの検出器へとX線を移すファイバーを使用するなどで、複数チャネルの測定を可能にすることができる。この構成は、対象における吸収測定のためのより大きい視野を可能にすることができる。
【0233】
例えばX線顕微鏡で使用されるものなど、X線光学系あり又はなしの相関吸収測定は、形状、厚み、及び/又は位置を含む物理的特徴を測定するためのX線顕微鏡及び/又は2D若しくは3D全視野X線イメージングにおける3D又は多次元測定によって、空間的、時間的、及びスペクトル的高分解能において分子レベルで化学組成を測定することができる。組成は、造影剤などの標識あり又はなしで、分子、細胞、及び/又は異物などの非常に小さい要素の位置特定及び特徴づけを可能にすることができる。
【0234】
図12B及び12Cに示すように、X線顕微鏡又はスペクトル吸収測定を組み合わせたX線顕微鏡は、例えば、詳細なイメージング及び分析のための2D、多次元、又は3D構成におけるスペクトル測定あり又はなしのX線全視野方法を使用するイメージング及び定量的分析からの結果に基づいて選択した対象領域にズームするために使用することができる。この場合、X線は好ましくは単色ソースであり、例えば、モノクロメーターが多色X線源を変調し、集光器がさらにX線ビームを焦点に集束させ、焦点の下流で、X線ファンビームは対象領域を照射し、拡大イメージが、場合によってはゾーンプレートである対物レンズの後部開口に入り、ビームを2D検出器に集束させる。さらに、3DのX線顕微鏡は、3Dイメージング方法において上述のように適用することができる。吸収測定は、全視野X線イメージングの直接的な下流ではなく、図12Aに記載される構成と類似するX線顕微鏡と組み合わせることができる。X線顕微鏡のためのX線源が多色である場合、特にX線光学系を例えばX線顕微鏡において使用するとき、吸収測定はX線顕微鏡検出器の下流とすることができる。
【0235】
図12Bに示すように、X線顕微鏡装置17は、高分解能顕微鏡に必要とされるX線光学系を含むことができる。図12Bにおいて、この装置は、対象を照射するため、X線源12、集光器などの集束光学系を含むことができるX線光学系302、及び開口304を含むことができる。光学系304は、結晶又はモノクロメーター又はMEM装置又はエネルギー選択X線フィルター又はトランスミッターとすることができる。装置は、対物レンズ及びリレーレンズを含むことができるX線光学系310を含むことができる。また、装置は2Dセンサー320を含むことができる。イメージ対象2は、X線光学系304とX線光学系310との間に配置することができる。
【0236】
図12Cにおいて、X線装置1200は、対象2とX線光学系310との間に配置する全視野X線検出器14を有することによって、2D又は3DX線顕微鏡を全視野X線イメージングと組み合わせることができる。図12Cにおいて、装置1200はビームセレクター又はコリメーター24を含む。ビームセレクター24は、放出位置16に対して固定して保つことができる。これは、ビームセレクター24が固定焦点を有することができるためである。また、ビームセレクター24が調節可能な焦点を有するので、ビームセレクター24は放出位置16に対して固定して保たれなくともよい。コリメーター24の例の構成を図15Bに示す。例のコリメーター24及びフラットパネルX線前方検出器22の組立体を図15Cに示す。
【0237】
あるいは、X線顕微鏡は、例えば図6に示すようなビーム吸収粒子プレート、又はX線透過のための所定のサイズの孔を埋め込んだコリメーター若しくはビームセレクター、若しくはそうしたビームセレクターの積層体を使用する散乱線除去装置で変えることができる。
【0238】
X線光学系302は、X線ビーム30を集束し、及び/又は、フィルタリング又は結晶及び/若しくは同様のものなどのモノクロメーターによって多色X線を単色細ビームに変換することができる。例えば、ソースが実際に単色のものである場合、変換機能を必要としないことがある。
【0239】
複数チャネルになされるX線吸収測定において、複数のファイバー又は総内反射に基づくX線光学系が、対象領域から到達するX線を検出器に向けることができる。直線状検出器が吸収測定検出器として機能する場合、複数の直線状検出器は、各直線状検出器が各チャネルに対応するように、複数チャネルシステムに使用することができる。
【0240】
任意で、X線吸収測定及び/又は顕微鏡は、複数の対象領域のために複数のチャネルに行うことができる。例えば、図12Cに示すようなX線顕微鏡装置は、2Dイメージを形成するとともにエネルギー感応性であり得るX線検出器を含むことができる。あるいは、上述のものと類似する吸収測定組立体は、X線顕微鏡に使用される検出器の下流とすることができる。X線顕微鏡と吸収測定との両方は、全視野X線イメージングと組み合わせることができる。X線源は多色とすることができる。装置は、X線顕微鏡のためのスペクトル感応検出器を含む、並びに/又は、空間感応検出器における信号を生成するため、任意とすることができるX線顕微鏡検出器を通過する及び/若しくは回折格子によって分散されるX線を分析することができる。
【0241】
MEMのチューナブルアレイを有する例の回折格子を図15Eに示す。図示するように、入射角は、MEM鏡の中心位置に当たる1次X線の角度に制限される。MEMによって回折させたX線は、MEM位置に対応する第2検出器において収集することができる。以下に記載されるように、格子はまた、X線の位相コントラスト及び吸収イメージングにおける干渉パターン生成に使用することができる。図15Fは、結晶回折のための入射角、又は結晶面回折のための臨界角を使用する例のビームセレクターを示す。静的2Dイメージングにおいて、入射角が所定角度外であるとき、結晶による高エネルギーX線の回折は存在しない。動的2Dイメージングにおいて、例えば結晶構造における弾性波変調を使用して、ビームセレクターアライメントための可動部品なしで、変調を行うことができる。X線は、結晶において音波と相互作用することができる。
【0242】
X線スペクトル測定、吸収測定、又は顕微鏡法のための入力X線ビームは、視野を拡大するように、並びに多次元及び3Dイメージの構築のため必要とされるイメージ又は測定値を取得するために、対象領域上をスキャンすることができる。X線ビームは、本明細書に開示するような3Dイメージングに使用するような磁気、電磁気、電気、及び機械的方法を含む様々な機構によって移動させることができる。スキャンしたX線スペクトル測定値、又は吸収測定又は透過顕微鏡入力は、総視野をさらに増大させて所定の対象領域のイメージング速度を高めるため多重ビーム方法と組み合わせることができる。
【0243】
多重ビーム構成
検出器のピッチを複数のX線源のピッチに一致させることができるので、各画素は、対象の単一のマイクロビームとの相互作用から生じるX線のみを検出するように配置され、隣接するマイクロビームに起因する画素間のクロストークを低減することができる。対象の特徴のデータ収集及び最終再構成は、各画素からの特定の信号がさらに逆畳み込みを必要とすることはないということを認識して進めることができる。マイクロビーム間や画素間にクロストークが存在する場合、さらなるイメージ分析は、適切なキャリブレーションでクロストークの一部を除去するために使用することができる。
【0244】
この一致は、例えば、単一のマイクロビーム、つまり、検出器における1つの画素に形成されるビームのイメージに対する1:1の一致を有する検出器ピッチによって、様々な方法でなすことができる。また、マイクロビームのピッチの整数分の1であるより小さな検出器ピッチ(例えば、2Dアレイにおいて、単一のマイクロビームに対応するX線を収集するために4個の画素が配置されていることを示し得る、ピッチの2×減縮、又は各マイクロビームに対応するX線を検出するために9個の画素が配置されていることを示し得る、ピッチの3×減縮)を使用することができる。検出されるX線がいくらかの空間的構造を有する場合、このことはいくらかの利点を与えることができる。
【0245】
同様に、検査下において対象から生じるX線が、拡大X線システムを生成するX線光学組立体を使用して検出器に投影される場合、より大きい検出器ピッチもまた使用することができる。このイメージングシステムは、本明細書に開示する任意のX線光学列とすることができる。光学系は、マイクロビームの直径と同等又はそれより大きい視野を有する色消しイメージング光学系として適用することができる。例えば、発散X線ビームを収集してビームを集束させるように内反射面でX線を反射させるため斜入射反射を利用する、軸方向に対称の集光光学系は、1:1イメージを生成するように設計することができる。また、光学系は拡大イメージを生成するために使用することができる。
【0246】
検出器は、シンチレータースクリーン及び可視光光学系を有するとともにX線イメージを形成するため使用される多くの空間分解検出器の任意の1つとすることができる。検出器は、直線状検出器、フラットパネル検出器、エネルギー分解アレイ検出器、光子計数検出器、PMT、フォトダイオード、シリコンドリフト検出器、2層及び多層検出器、ビームセレクターをその間に挟んだ2重検出器層、又は同様のものを含む、空間依存X線強度を電気信号に変換するアレイX線検出器とすることができる。
【0247】
X線顕微における単一ビーム及び/又は多重ビーム構成において、X線検出器の例は、X線に暴露すると可視波長の光子を放出する蛍光スクリーン又はシンチレーターを含む。蛍光スクリーン又はシンチレーターは、ヨウ化セシウム(CsI)、タリウムドープCsI、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG、又はガドリニウムスルホキシレート(GOS)の層を含むことができる。生成される光子は、任意で光子の強度パターンを拡張及び拡大するリレー光学系組立体を追加して、可視強度を電気信号に変換するセンサーによって検出することができる。シンチレーター及び電気部品は、各検出器画素が単一マイクロビームに対応するX線のみを収集するように薄いものとすることができる。
【0248】
リレー光学系及び拡大イメージを使用するとき、検出はX線光学系の視野に限られ得る。より大きい領域をイメージングするため、複数のイメージを上述のようにモザイクのように組み合わせることができる。
【0249】
また、各画素内にさらなる構造を有する検出器は、例えば、蛍光信号又は散乱信号又は回折信号、又は当初の照射パスにおける1次X線を選択的に収集するため、利用することができる。
【0250】
X線スペクトル吸収測定のための検出器は、シリコンドリフト検出器、シリコンリチウム検出器などのスペクトル感応検出器、又は回折結晶若しくは合成多層部などのX線波長分散素子と組み合わせて使用される任意のタイプのX線検出器若しくは検出器組立体のものとすることができる。検出器システムは、感応X線検出器が各離散エネルギーレベルのX線からの信号を測定するために使用する位置の下流で、異なるエネルギー及び波長の複数のX線ビームにX線ビームを分割して回折する結晶などの回折素子を含むことができる。そうした場合、開口は、対象空間領域をさらに緻密化するために使用することができる。
【0251】
吸収測定又はX線顕微鏡又はその両方と組み合わせた全視野X線イメージングにおいて、X線2Dフラットパネル検出器は、透過のため、対象と、下流のX線光学系及びX線検出器との間に配置することができる。最終X線顕微鏡イメージは、対象とX線顕微鏡光学系との間の全視野検出器から生じるアーチファクトを除去するためイメージプロセッシングを利用して導き出すことができる。
【0252】
あるいは、全視野X線イメージング検出器のそうしたフラットパネルは、用途において必要とされるときX線顕微鏡のイメージング経路の内外に配置することができる。
【0253】
単一ビーム構成
透過全視野X線顕微鏡を単一ビームと共にすることができる。さらに、透過、蛍光、干渉計、及び回折X線顕微鏡を、単一ビームでのスペクトル吸収測定、スペクトル測定、又は分光法と組み合わせることができる。X線顕微鏡に使用されるのと同じタイプの検出器を使用することができる。透過全視野X線顕微鏡において、散乱線除去に使用される検出器組立体又は多重エネルギー2重又は多重検出器組立体も使用することができる。
【0254】
検出器は、シンチレータースクリーン及び可視光光学系を含む検出器システムなどの、X線イメージを形成するため使用される多くの直線状又は2D検出器の任意の1つとすることができる。一部の場合において、検出器は、直線状検出器、フラットパネル検出器、エネルギー分解アレイ検出器、光子計数検出器、2層及び多層検出器、及び/又は散乱線除去検出器組立体を含む、空間依存X線強度を電気信号に変換するアレイX線検出器とすることができる。
【0255】
図12Cに示すように、全視野X線検出器14は、検出器14のイメージが検出器320にて形成されるイメージから抽出可能なとき(同様に、検出器14のイメージが図12Aにおける検出器345にて形成されるイメージから抽出可能なとき)顕微鏡イメージングに干渉することなく対象2と光学系310との間に配置することができる。全視野X線イメージは、同じX線源又は従来のX線源でまず形成することができる。対象領域は、より高い分解能で対象領域イメージを解像するため吸収測定又は顕微鏡光学系及び吸収測定又は顕微鏡検出器によってイメージングするために選択することができる。
【0256】
X線源12は制御可能なエネルギーを有するX線を放出することができる。ソース12は、各イメージング操作において単一エネルギーのX線を放出することができる。ソース12は、各イメージング操作において制御可能なエネルギーを有する2つの連続するX線パルスを放出することができ、平均エネルギーレベルHでの高エネルギーパルスの後、平均エネルギーレベルLでの低エネルギーパルスが続く。各パルスは、制動放射線及び離散線放出から構成され得る単一の、再現可能なエネルギースペクトルを有することができる。また、ソース12は、各イメージング操作において種々のエネルギーレベルの3つ以上の連続するパルスを放出することができ、例えば、平均エネルギーレベルHでの高エネルギーパルスの後、平均エネルギーレベルMでの中エネルギーパルスが続き、平均エネルギーレベルLでの低エネルギーパルスが続く。各パルスは、単一の、実質的に変化しないエネルギースペクトルを有することができる。
【0257】
あるいは、X線源は、シンクロトロン又はレーザーコンプトン散乱ソースなどの単色特性、例えば単色ソースになるように光学系組立体304によって変調又はフィルタリングした、又は上述のような多色ソースのものとすることができる。
【0258】
図12B及び12C示すように、X線放出位置16は、X線ビームの波面が検出器組立体14に平行な平面202にあるように対象2に対して移動させることができる。機構部200は、角度をなして、直線的に、又はその両方の組合せのいずれかで放出位置16を移動させることができる。好ましくは、移動は、対象領域4における第3次元の未知の画素を完全に導き出すため、各移動における新たな未知の画素を導入することを極力少なくし、新たな未知の画素の総数を導入することを極力少なくしながら、対象2内の対象領域4における第3次元の未知の画素を解明するために行われる。また、対象2は、特に対象2がイメージングされるとき既に移動中にある産業用途などの用途において、放出位置16に対して物理的に移動させることができる。総イメージング時間及び放射線暴露を極力少なくするため、角度をなす又は直線のいずれかの各移動は、好ましくは画素ピッチの整数倍において、第3次元における未知の画素を解像ことができる。
【0259】
総イメージング時間及び放射線暴露を極力少なくするため、機構部200は、任意で放出位置16を迅速に(検出器組立体14のフレームレートで、又はそれよりも高速で)移動させることができる。機構部200は、画素ピッチ(隣接する検出器セル同士の間の距離)の整数倍の増分でこの動きを行うことができる。動きの方向において、1画素ピッチ、未知の特性の整数倍、又は最大値のみが、検出器における新たな各測定において対象領域のため移動の軸に導入されるように、この動きを設計することができる。
【0260】
この動きは、画素ピッチの分数の増分とすることができる。例えば、多次元イメージを再構築するため第3軸に沿って未知の画素を解像するため、動きは、新たな未知の画素を投影イメージに沿って導入することなく、しかしながら対象領域の選択イメージのため異なる投影パスでの検出器における新たな測定値とともに、検出器14における測定値をもたらすことができる。
【0261】
機構部200は、移動放出位置16、任意で移動検出器組立体14を提供することができる。例えば、2つ以上のX線源14を平面202における様々な位置に配置し、これらの位置から連続的にパルスを放出することができる。検出器組立体14は固定することができる。この機構部200において、ビームセレクター24は複数の固定の焦点又は調節可能な焦点のいずれかを有する。
【0262】
あるいは、単一X線源12は、平面202上の様々な位置からX線パルスを連続的に放出することができる。X線源12は、放出位置16を制御するため調整並びにスイッチオン及びスイッチオフすることができるミクロンスケールの金属X線エミッターを含むことができる。
【0263】
画素ピッチの整数倍離れた各孔を有するコリメーター(又はビームセレクター24)の2Dアレイは、様々な機構を使用してX線ビームをラスタースキャンさせることができる。2次元アクチュエーターは、X線源12及びX線検出器組立体14を物理的に移動させることができる。好ましくは、アクチュエーターは、検出器組立体14のフレームレートで又はそれよりも高速で、平面202において画素ピッチの低整数倍である各増分で、X線源12及びX線検出器組立体14を移動させることができる。この構成において、ビームセレクター24(コリメーター)は固定焦点を有することができる。2次元アクチュエーターは、X線源12のみを物理的に移動させることができる。好ましくは、アクチュエーターは、検出器組立体320のフレームレートで又はそれよりも高速で、平面202において画素ピッチの低整数倍である各増分で、X線源12を移動させることができる。この構成において、ビームセレクター24は、放出位置16にアライメントする。ビームセレクター24は調節可能な焦点を有することができる。2次元アクチュエーターは、放出位置16が円弧状に移動するようにX線源12のみを物理的に回転させることができる。好ましくは、アクチュエーターは、検出器組立体14のフレームレートで又はそれよりも高速で、1つの画素ピッチの平面の動きをシミュレートするように円弧に沿って角度をなす各増分で、X線源12を回転させることができる。この構成において、ビームセレクター24は、放出位置16にアライメントする必要がある。この構成におけるビームセレクター24はその焦点を調節する必要があり得る。一部の場合において、各X放出位置への移動は、各回で焦点の調節を伴わないことがある。任意で、X線放出位置へのすべての移動が焦点の調節を必要とするわけではない。
【0264】
例えば図2に示すようなP1~P4複数のプレートを使用する散乱線除去において、焦点のそうした調節及び空間移動が必要とされるわけではなく、さらに、そうした構成は、2つ以上のX線源がスペクトル測定及び/又はハイブリッドシステムに使用されるときに使用することができる。
【0265】
図1B若しくは図3若しくは図9のようなビームセレクター、コリメーター24、又は図6及び図7のようなビーム吸収粒子プレート105、又は図2のような複数プレート構成のコリメーター若しくはビームセレクターなどの一部材のハードウェアを使用する散乱線除去方法において、そうしたハードウェアは、イメージング方法の要件に応じて移動させる又は移動させないことができる。
【0266】
X線放出源又はX線源の移動
機械的動力器は、X線源又は例えば3DイメージングにおけるX線源の放出X線位置を移動させることができる。X線源は、画素化X線源又はフィールドエミッターに基づくソースなどにおいて、2つ以上のX線放出位置を有することができる。複数のX線源は、種々の空間位置に配置することができる。あるいは、フィールドエミッターに基づく冷陰極X線源は、種々のX線放出位置を空間的に生成するため複数のエミッター又は各エミッターの領域を活性化又は非活性化することができる。
【0267】
また、機構部200は、アノードの異なる位置に衝突するようにX線源12内で電子ビームを任意で偏向することによって、X線ビームを異なる放出位置16から放出させることができる。図15に示すように、X線管210の筐体に取り付けられたソレノイドコイル212(磁気プレート又は操舵プレートとも呼ばれる)によって、変化する磁界を生成することができる。磁界はX線ビーム211を偏向することができる。通電すると、コイル212は、X線管210において電子ビームに対して磁界及び関連ローレンツ力を生成して、X線を放出するアノードターゲット214における衝突箇所をずらす。図12B及び12Cにおける放出位置16は、アノードターゲット214におけるコーンビーム213の焦点の移動によって動かすことができる。結果として、放出位置16が1つの位置から他の位置へ移動可能であるということになる。コイル212の緻密な制御により、1次元又は2次元における画素ピッチほども小さい移動を行うことができる。
【0268】
任意で、電子ビームはまた、ビームが帯電金属プレート又は電気光学レンズを通過するとき偏向させることができる。偏向の方向は、プレートの帯電の極性及び量又は電気光学レンズの設計に対応する。
【0269】
任意で、発光ダイオード(LED)又はレーザーなどの光源を、倍増管によって増幅可能な電子ビームを生成するソースとして使用することができる。光学系若しくは鏡などの光偏向器、及び/又は音響/光学偏向器は、光を偏向するために使用することができる。超高速レーザーは、紫外線を放出する紫外線エミッターを生成するために使用することができる。光電陰極は、動作可能に紫外線LEDに連結され、電子を放出することができる。電子倍増部は、入射電子を倍増させるため光電陰極に動作可能に連結することができる。アノードは、電子倍増部に動作可能に連結して、X線を生成するように構成することができる。紫外線エミッターは、電子ビームの出力を制御するため様々な角度で操舵することができ、これがアノードから放出されるX線ビームの方向又は位置を制御することができる。
【0270】
任意で、強力なフェムト秒のレーザーパルスでナノワイヤなどの金属素子のアレイを照射することで、高輝度ピコ秒X線パルスを生成することができる。放出位置16は、金属素子におけるレーザービームの衝突位置を変えるように光学操舵装置を使用することによって移動させることができる。
【0271】
超音波は、空間及び時間においてX線ビームを変調することができる。例えば、X線ビームの空間・時間変調は、表面弾性波によって変調させたLiNbO/sub 3/結晶のYZカットにおける総外反射によってなすことができる。X線回折は、表面弾性波の振幅及び波長によって決定することができる。また、X線の放出位置16は、超音波又は表面弾性波による結晶からの変調した回折に起因して、移動させることができる。また、単一のビーム源によって放出されたX線ビームは、例えば図15Dに示すようなポリキャピラリー管の総内反射を使用して様々な放出位置16に移動させることができる。
【0272】
言い換えると、結晶、超音波などの音響などの光学、電気、磁気の、X線光学系、及び/又は他の操舵機構が、X線ビーム出力位置を迅速に(ピコ秒、ナノ秒で、又は10-15秒ほども速く、一部の場合において、超短X線パルスの持続時間と同じ又はそれに近く、あるいは本明細書に開示するようなもので)操舵するために使用することができる。
【0273】
散乱線除去
吸収測定、分光法、あるいは本明細書に開示するようなものなどの任意のさらなるモダリティーを伴う又は伴わないX線顕微鏡は、散乱X線を1次X線から分離することができる。ビームセレクターは、全視野X線イメージングにおいてX線源の下流及び対象の上流に、又はX線顕微鏡法において集光器とX線源との間に配置することができる。3Dイメージングに必要とされるイメージをさらに得るため、そうした配置が採り入れられるとき、以下に記載されるプロセスを適用することができる。
【0274】
ビームセレクターの第1位置は、図14に示すように1つの2Dイメージの一部を生成するのに使用することができ、これは以下により詳細に記載される。領域1のみが、対象領域の1次X線イメージをもたらす。ビームセレクターは、図14に示すように領域1イメージを生成するためチェッカーボード設計、あるいは他のものとすることができる。ビームセレクターがその第1位置に配置され、X線がX線放出位置の第1位置から放出されるとき、2Dイメージは検出器14において撮られるが、領域の半分のみが1次X線投影領域のものとなる。X線源12は、図14に示すように平面202において種々の位置をラスタースキャンすることができる。すべてのX線放出位置に到達し、イメージが平面202におけるX線放出位置のそれぞれにおいて検出器14又は検出器320によって記録された後、ビームセレクターが、第1スキャンからの検出器における領域1がビームセレクターの第2位置における検出器の領域1に隣接する領域となることができる平面202における第2位置に移動する。X線源又はX線の放出位置を変える他の素子は、第1位置からラスタースキャン動作を開始することができ、2Dイメージの第2部分を記録することができる。2Dイメージの第1及び第2部分は、同じX線放出位置だが異なるビームセレクター位置で撮ることができる。第1及び第2部分は、多次元イメージの再構築に使用される単一2Dイメージの一部を形成するように共にスティッチングすることができる。2Dイメージの第1及び第2部分のみが第1の2Dイメージを形成するために十分であることが好ましいが、一部の場合において、対象領域の3Dイメージを再構築するために必要とされる完全な2Dイメージを形成するため、X線源が平面202において第1位置から最終位置まで3回以上ラスタースキャンを行うことができる場合、第3部分及びそれ以上の部分が必要とされることがある。
【0275】
図14に示すように、変調器を移動させることによって検出器14に異なるパターンを生成することができる。検出器14において示すようなそうしたパターンを形成するため、X線源12は、対象領域4にそうした構造化照射を行うように変調することができる。これを行う多くの方法が存在する。
【0276】
X線源12は、図14に示すように、対象2の対象領域4における空間的に分離したビームパスを照射するため、例えば、検出器14において低散乱線干渉で1次X線イメージ領域1を形成するため、選択した放出位置の多重細ビームを放出することができる。X線源12における電子ビームターゲットは、ターゲットの特定の領域が時間において制御可能なようにX線ビームを生成するように、空間及び/又は時間においてチューナブルとすることができる。これらの領域は、X線ビームを選択的に生成する、又はX線が生成されないようにスイッチオフすることができる。
【0277】
ハイブリッドシステムの一例において、X線源12はまた、選択領域4sの完全な顕微鏡イメージのために、従来のX線コーンビームのように選択領域4を照射する十分なコーンビームを放出することもできる。既定の透過及び吸収領域を有するコリメーター(図12Cにおけるビームセレクター24、又は、透過を可能にするように特定の位置において活性化可能、及び時間遅延して非活性化可能な結晶などのチューナブルコリメーターなど)は、X線ビームを変調して多重ビームを生成することができる。MEM鏡は、指定領域においてX線ビームセットを生成するため、スイッチオン及びスイッチオフすることができる。X線ビームは、同じパスで進行する2つのパルスに分割することができ、第1パルスは1つのパターン変調器を経て、第2パルスは構造照射の第2パターンを生成するように第2照射変調器を通過するため遅延する。第1X線源は、対象のビームパスで進行するため鏡によってスイッチオンし、異なるパターン又は相補パターンを有する第2のX線源がスイッチオンされるときスイッチオフすることができる。そうしたスイッチは、両面鏡などのX線鏡とすることができる。
【0278】
図14に示すように、1次イメージ1を検出器14に形成することができる。1次イメージ1は、1画素又は複数の画素上にあるとすることができる。領域2は1次X線を有しない領域とすることができるが、散乱信号を含み得る。1次イメージ1における散乱信号は、検出器14におけるイメージ1又は領域1にすぐに隣接する画素2から内挿することができる。イメージ1又は領域1の形状は任意の形状のものとすることができる。散乱干渉が低いか、又は特定の対象及び/若しくは用途において除去する必要がない場合、このステップは任意とすることができる。
【0279】
X線は、検出器14において、図14に示す「チェッカーボード」パターン又は他のタイプのパターンを生成することができる。例の「チェッカーボード」パターンにおいて、コリメーター又は変調器全体が、検出器14に平行な平面において移動することができる。領域1及び2のサイズがそれぞれ検出器の画素ピッチの寸法である場合、移動は、検出器14の検出器画素サイズに応じて、1桁のマイクロ範囲、100μm範囲、又は1桁のmm範囲であり得る、およそ検出器の画素ピッチ範囲とすることができる。領域1及び2のサイズが1画素ピッチを超える場合、変調器の移動はより大きくなり得る。
【0280】
そうした移動は、第1イメージの領域1が第2イメージの領域1と厳密に完全に同じ位置に配置されないとともに、縁部において第1イメージの領域1と第2イメージの領域2との間に、ある程度の重なり合いが存在するように、設計することができる。重なり合いは、第1検出器イメージの領域1とコリメーターの移動後の検出器における第2イメージの領域1とから組み合わせたイメージのスティッチングにおける完全性、アライメント、及び/又は精度を向上させることができる。
【0281】
1次イメージ1における散乱信号の内挿は、以下に記載する。検出器14が、領域1に隣接する画素の領域2における信号S2を読み取った後、装置のプロセッサーは、領域2の散乱信号を領域1のものに内挿することができる。プロセッサーは、領域1における散乱信号S1(i,j)をS1から導き出すことができる。プロセッサーは、検出器14の領域1によって読み取った未処理LP1(i,j)信号から結果のS1(i,j)を減算することによって、領域1の1次X線信号のP1(i,j)を導き出すことができる。そして、プロセッサーは、対象点(i,j)における高解像度散乱線イメージHS1を、HS1(i,j)=H1(i,j)-P1(i,j)によって導き出すことができる。高解像度イメージH1(i,j)は、対象領域全体を照射するように生成され投影されたX線ファンビームから領域1における画素を読み取ることで導き出すことができる。P1(i,j)は、低解像度1次イメージの結果である。そして、プロセッサーは、HS1(i,j)を投影イメージの残りの部分に内挿して、高解像度散乱線イメージHSを導き出すことができる。高解像度1次X線イメージHPは、等式HP=H-HSによって導き出すことができる。HSは高解像度散乱線イメージであり、Hは、測定した1次及び散乱X線の高解像度イメージである。
【0282】
上述のように、X線細ビームが空間的に十分に離れて生成される場合、隣接するビームから極端に低い量の散乱信号が領域1に達する、又は散乱信号が領域1に達しない。当然ながら、P1=LP1ということが推測される。
【0283】
3重以上のエネルギーレベルなどの多重エネルギーは、散乱線を1次X線から分離するために使用することができる。スペクトルイメージングを使用するとき、この方法は、1次X線からの散乱線分離を向上させるために採り入れることができる。イメージングする対象に3つ以上の様々な物質がそれぞれ存在するとき、多重エネルギーX線1次及び散乱線分離方法は、3つ以上のエネルギーのX線源を使用する。本開示において開示する多重エネルギーX線データ分解方法は、任意の直線型近似又は2次近似に依拠することなくその原型における3重以上のエネルギーのX線イメージング基本方程式系を直接解くことができる。
【0284】
例えば、3重エネルギー方法は、(1)その原型における非線形3重エネルギーX線イメージング基本方程式系に従って、各検出器に対して明確な定量的方程式系DH=DH(b、s、f)、DL=DL(b、s、f)、及びDM=DM(b、s、f)を構築すること、を含むことができる。DHは高エネルギー1次X線信号を表し、DMは中エネルギー1次X線信号を表し、DLは低エネルギー1次X線信号を表す。b、s、及びfは、組織又は有機物質又はその両方の混合物とすることができる。fは、b及びsと異なる第3物質の密度を表す。その原型における多重エネルギーX線イメージング基本方程式系は、任意の線型近似も任意の級数展開プロセスも含まない。この方法は、(2)ステップ1の方程式系を数値的に逆にすることによって、3次元面方程式系b=b(DH、DM、DL)、及びs=s(DH、DM、DL)、及びf=f(DH、DM、DL)を再構築すること、並びに(3)ステップ2の数値方程式に利用可能なデータペア(DH、DM、DL)を挿入することによって、各別個の検出器セル位置においてb及びs及びfの所望の値を決定すること、又は各別個の検出器セル位置においてDH、DM、DL、若しくはそれらの1つのみの所望の値を決定すること、を含むことができる。また、利用可能なデータセット(b、s、f)は、ステップ1の数値方程式に拡張することができる。この方法は、(4)各ステップの正確性を保持することを含む。
【0285】
そうしたデータセットが常に利用可能ではないとき、対応してu、v、wなどの、未知の物質又は物体b、s、fのそれぞれに類似する既知の物質が、データベースを確立するために使用することができる。データベースは、2つを超える構成要素又は物体の物質分解に拡張することができる。定量的数値関係は、測定するデータによって、u、v、w及びb、s、fの間で確立することができる。
【0286】
あるいは、CT、MRI、光学測定、光音響、音響、及びPET、及び機械的方法などの他のモダリティーから導き出したデータ、並びに既存のデータに基づくシミュレート及び合成データが、データベースを生成するために使用することができる。
【0287】
すべてのモダリティーの測定からのデータに基づき人工知能方法及びアルゴリズムから導き出した情報、構造化データ、特徴、結果は、データベースの一部とすることができる。
【0288】
本明細書に記載する散乱線除去方法において、ビームセレクターは、2回又は数回のみの移動を必要とし、各回は、ピッチ画素の距離又は半ミリメートル若しくは1ミリメートルほども短いものなど、短い距離である。一方で、ビームセレクターが散乱線除去目的で2つの検出器の間に挟まれる場合、ビームセレクターは、はるかに複雑な動きで、例えば多次元で、各ビーム選択領域がX線放出軸に対して及び相対的に互いに対して調節されるように移動して、調節する必要がある。X線放出位置の移動は、この場合はるかに高速にすることができ、他の必要な動き及び/又は3Dイメージ記録によってなされるボトルネックを少なくすることができる。これは、より高速なイメージ取得により、対象の移動によって生成されるイメージ歪みを小さくすることができる。
【0289】
3Dイメージング
本明細書に記載する3DのX線イメージング方法は、2D領域のX線顕微鏡法、全視野X線イメージング、及びスペクトル測定に適用することができる。図9、13、及び33は、スタンドアローン及びハイブリッドシステムにおける3Dイメージング方法の例を示す。
【0290】
3D断層撮影において、X線測定値は、図9及び33に示すようなX線放出位置でとることができる。さらに、低解像度X線イメージは、高解像度イメージング、密度測定、及び/又はスペクトル測定のために対象領域を決定して選択するため、撮ることができる。例えば、イメージは、図34及び図10に示すようにX線源と対象との間に配置されたビーム吸収粒子プレート15を使用して撮ることができる。対象領域を選択した後、高解像度イメージは、図10のようにX線吸収領域のより小さい領域においてコリメーター17を使用して撮ることができる。
【0291】
X線ビームセレクター若しくはコリメーター、又はX線吸収要素を有するX線プレートは、高分解能断層撮影測定の場合においてなど、対象と検出器との間に配置することができる。各X線イメージは、ビーム吸収素子を含むプレートを伴って撮ることができる。
【0292】
遮断した投影パスにおける未知の画素は、異なる投影パスの測定において解像することができる。X線放出位置がずれるときに各X線イメージを撮るとき、ビーム吸収プレートはz方向又はx-y方向においてX線放出位置又はX線源に対してずれることができる、又は、遮断投影パスにおける未知のものに関与する測定値が次の測定セットにて測定されるとともに、その値が解像可能であるように、複数のX線イメージを撮る間、回転することができる。
【0293】
ビーム吸収粒子が、x-y次元において1つ又は2つ又は少数の画素ピッチのサイズを有するなど、x-y次元において小さいとき、未知の画素を隣接する領域から近似することができる。
【0294】
得られる解像度が最高であり(例えば、100×以上)、及び測定の速度が、ps範囲又はそれ以上など最高であるとき、スペクトル感度(12×以上)は、選択画素において可能な限り高いものであり、全体の感度は、解像度、速度、スペクトル感度の向上により、10以上増加することができる。多数、例えば約1000の測定値から1つ以上の測定値が紛失した場合でも、そうした未知の画素又はボクセルは、物質分解から内挿する、又は導き出すことができる。
【0295】
このプロセスは、スタンドアローンである、又は、回折、干渉法、蛍光法、及び/若しくは散乱、位相コントラスト、及び暗視野X線顕微鏡法などのモダリティーの少なくとも1つを組み合わせた透過モードを伴う、2Dの単一又は多重ビームX線顕微鏡に適用することができる。これらの適用において、多次元イメージ構築のため必要とされるイメージを取得するためにX線が放出される各隣接点同士の間の距離は、nm範囲ほども小さくすることができる。
【0296】
多数の2Dイメージをまず取得する。プロセッサーは、所望の3Dイメージの再構築に必要とされる2Dイメージの数を決定することができる。また、プロセッサーは、従来の3Dイメージングより少ないイメージ層を生成することが可能であるかどうかを決定することができる。2D検出器アレイがm×n検出器セルを有する場合、プロセッサーは、p<n及びp<mである任意の数pの2Dイメージを生成することができる。これは、それぞれm×n画素でP層の2Dイメージをもたらす。3Dイメージング方法は、m×n×p変数とm×n×p方程式を有する線型方程式系を解くことに関与する。方程式は、x軸上のm点、y軸上のn点、及びz軸上のpの、3次元を有する。この方法は、対象の対象領域における各ボクセルが立方体である、つまり、各ボクセルの側面が同じ長さ、Dx=Dy=Dz(又はXa=Xb=Xc、式中Xa及びXbはx-y平面の画素ピッチであり、Xcはサンプルの深さの解像度である)であるということを想定する。また、この方法は、Dzにおける側面がDx及びDyと同等ではない場合にも拡張することができる。2Dイメージからの3Dイメージングのさらなる詳細は図9及び10に関する。
【0297】
各イメージに対して、プロセス1310において、X線30を対象2に対して放出する位置16(図12B及び12C参照)は、検出器組立体14及び/又はセンサー320の平面に平行な平面202において移動する。X線源12は、本明細書に開示するようにそうした動きの機構部を含む。X線30を放出する位置は、本明細書の残りの部分において放出位置16として示される。点16を移動させた後、プロセス1312において、別の2Dイメージを撮って記録することができる。
【0298】
1次X線及び散乱線は、2Dイメージを使用する前に2Dイメージにおいて分離することができる。散乱線を除去することができる。また、散乱線イメージは、例えば、低原子z番号物質又は類似の原子z番号を有する物質を十分に可視化するために物質の識別及び同定及び検査をするため、別に使用することができる。様々な分離方法で、X線源及びX線検出器に関する様々な装置構成が使用される。プロセス1314において、上述の他のモダリティーを有する又は有しない3D単一又は多重ビームX線顕微鏡を得ることができる。
【0299】
低散乱特性を有する対象において、散乱線分離ステップは省略可能である。さらに、対象領域を照射するためX線細ビームを使用するとき、散乱線分離はまた省略可能である。
【0300】
プロセス1302、1304、1306、1308によって、画素ピッチ又は隣接する格子同士の間のさらに小さい距離を有する格子によって分離される種々の波長のX線における2Dインターフェログラムは、2Dイメージを提供するように検出器に形成され得る。プロセス1304において、X線源からのX線ファンビームを、2つの同一のビームに分割して、エネルギー分散格子によって多重波長のX線ビームに分散させることができ、そのそれぞれが2D平面において画素ピッチ又は画素ピッチの分数で離れている。対象2を通過するビームは、検出器320においてインターフェログラムを形成する。基準ビームは同じ距離を進行するが、対象2を通過しない。これは、結晶又は他のビーム結合機構によってなすことができる。
【0301】
プロセス1306において、様々な放出位置からの多重波長の対応するビームをとの基準ビームのインターフェログラムを、検出器320に形成することができる。各波長のイメージは1つの2Dイメージを形成可能である。プロセス1308において、各波長のイメージがまた、平面202における様々な放出位置からの入力ビームから形成されるX線イメージを表すとき、多次元X線イメージの構築は、ソース12からの単一X線放出でリアルタイムに様々な波長の2Dイメージを組み合わせることによってなすことができる。使用する波長が、例えば1~20nmバンド幅内又はさらにそれ未満など、互いに近接する場合、同じ物質における吸収レベルのばらつきを極力少なくすることができる。これは、吸収特徴が種々の波長のX線の間で各物質において類似するためである。ゆえに、様々な波長の各2Dイメージは、多次元イメージを構築するため、様々な位置に相関させて、第3軸における未知の画素を解像するために使用することができる。いずれの場合も、エネルギー又は波長におけるばらつきによる吸収レベルのばらつきは、投影ビームパスに沿う未知のユニット又は未知のボクセルの計算及び導出において考慮することができる。一実施形態において、1つの波長又はエネルギーレベルにおける物質又は複合物質の測定は、他のエネルギーレベルのものと相関させて、データベースを基準として確立することができる。
【0302】
3Dイメージングのために図12A~12CにおけるX線装置を使用する方法は、以下の一般的ステップを含むことができる。(1)キャリブレーション、(2)2Dイメージング、(3)イメージ散乱線除去、(4)2D機能イメージング、(5)多次元及び3Dイメージ測定、計算、合成、及び構築、(6)3D機能イメージング、並びに(7)1つ又は少数の画素の、実際の及び合成した3D、2D、多次元、1D、ポイント領域、及び/又は選択した領域若しくは構成要素若しくはターゲットのタイムスタンプした表示。ステップ1、2、3、5、及び7は、高分解能3Dイメージングに使用することができる。ステップ3及び6は任意のステップとすることができ、その使用は用途に応じたものである。さらなる詳細は、国際特許出願第PCT/US2019/022820号に記載されている。
【0303】
(1)キャリブレーション
対象の任意のイメージ取得を行う前に、各X線源位置に対してイメージを撮る。検出器セル(i,j)は種々のサブ画素を通過する信号を受信することができ、各サブ画素透過を計算することができる。例えば、各サブ画素は画素の半分とすることができる。各画素(細列)内で、X線減衰は均一であり、容積に比例するということが推定される。この幾何学的計算は事前に行うことができる。幾何学的計算からのデータを記憶させ、データを表すため一般式を導き出すことができる。
【0304】
3Dイメージを撮った後、m×n×p変数を伴うm×n×p方程式の方程式系を解くことができる。X線源の各位置は、サイズm×nのイメージを生成することができ、p層が存在するとすることができる。線型方程式系は、反復法及び行列法のいずれかで解くことができる。
【0305】
3つの状態を、キャリブレーションおいて考慮することができる。対象の対象領域が、X線イメージング領域内に十分に配置されるとき、3Dイメージの完全性は、線型方程式系を解くことで保証することができる。しかしながら、対象領域は1次元又は2次元においてイメージング領域を超えて延在するとき、さらなる計算を要求し得る。
【0306】
領域Aが対象領域であり、領域Bが領域Aに隣接すると推定すると、領域Bのデータは領域Aの投影データを取得するため上述のような第2及び第3の状態に必要とされ得る。領域Aが領域Bによって包囲されるとき、2ステップスキャンを行うことによって、領域Bの情報はより大きい領域にさらに拡張することなく正確に得ることができる。
【0307】
あるいは、第1ステップは、大部分の用途において、特に、対象領域の外側の新たに導入された未知のものが対象領域における未知のものの数と比較して十分に少ない場合、十分であるとすることができる。
【0308】
あるいは、対象領域の外側の領域における新たに導入される未知のものを解像するため、新たな未知の各ボクセル、又は未知のボクセルの各セットが導入されると、対象領域の多次元又は3Dイメージを完全に再構築するため解像する必要がある未知のものの投影パスの測定がなされる検出器の領域は、新たに導入された未知のボクセルに関与する投影パスも読み取る画素を含み得る。X線放出位置が移動するとき、さらなる未知のボクセルが導入され、当初のm×n領域の外側の検出器におけるさらなる画素を読み取る。検出器において読み取る画素の数を極力少なくするため、つまり、撮るイメージの数、及び放射線レベルを極力少なくするため、互いに隣接するX線放出位置は、総空間寸法全体又は最も離れた位置からの距離を極力少なくするように、最小の距離、又は最適化した空間位置を有することができる。
【0309】
2ステップ手法の例において、第1ステップでは、2方向の移動を使用することによって、検出器は、x方向及びy方向に沿うデータを取得することができる。データは、NXデータ点及びNYデータ点を含むことができる。Nは、x、y、又はz平面のいずれかにおける放出位置の数である。領域Aは、画素数NAX×NAYを有する。領域Bは、画素数NBX×NBYを有する。ゆえに、NX及びNYのための総投影は、(NAX+NBX)(NAY+NBY)であるとすることができる。N^2は、z軸における厚み又は未知の画素である。移動は、z方向に沿ってなされる場合、この移動は同様にNZデータ点に分割することができる。
【0310】
第2ステップにおいて、スキャンステップは、NZ投影が領域A及びBにすべて含まれるように、緻密化することができる。例えば、検出器の画素ピッチの整数倍ではなく、スキャンステップは、対象領域内で画素ピッチサイズの分数(画素ピッチサイズの1/10など)を含むことができる。各新たなスキャンで、未知の画素は導入されず、さらに既存の未知のものを解くことができる。第2ステップのイメージングにおいて照射される領域が対象領域の外側の領域における新たに導入される未知のものに関する照射パスの領域にのみに制限されるということが、一部の場合において、好ましい。コリメーターの寸法又は選択するリーフは、新たに導入される未知のボクセルに関与する領域を照射するビームのみが透過するように、X線コーンビームを選択的に限定するように使用することができる。そして、プロセッサーは方程式を解いて、正確な解を与える3Dイメージを再構築することができる。
【0311】
(2)2Dイメージング
多次元イメージは、X線源の少なくとも2つの異なる位置から撮られた2Dイメージから生成することができる。プロセッサーは、対象又は対象における対象領域の幾何学形状及び寸法を測定することができる。そうした情報が予め定められる又は設定される場合、このステップは省くことができる。X線源は、第1位置においてX線源からのX線で対象を照射し、検出器組立体においてイメージを読み取ることができる。プロセッサーは、検出器組立体のXY平面に平行なXY平面における第2位置にX線源を移動させることができる。第1位置から第2位置への移動は、上述のように画素ピッチの整数倍とすることができる。移動が、例えば1つの画素ピッチであるとき、対象の対象領域の投影イメージは、方向変更の軸に沿って検出器組立体における画素の1つのラインだけ対象領域のイメージの外縁部を延長することによって、以前の投影イメージとは異なる。言い換えると、2つのイメージの間でX線源位置を移動させることにより、所定寸法の対象領域に対して2つの異なる投影イメージを生成するが、同じ対象領域に対する検出器における投影イメージの位置は、ずれる方向において1つの画素セルだけ延長される。X線源は、第2位置においてX線源からのX線で対象を照射し、検出器組立体においてイメージを読み取ることができる。このプロセスは、z軸における所望の解像度の3Dイメージを生成するため必要とされる限り、多数の様々なX線源の位置において繰り返すことができる。
【0312】
(3)散乱線及び1次X線分離
このステップにおいて、散乱信号は上述で取得した2Dイメージのそれぞれにおいて1次X線イメージから分離することができる。上述のようなものなどの任意の適切な散乱線除去又は散乱線及び1次分離方法を使用することができる。
【0313】
対象における対象領域の幾何学形状又は寸法を測定することができる。一部の場合において、そうした情報は予め定められ、プロセッサーによって使用するため記憶させることができる。2次元平面X線源が存在するところに垂直な第3軸における厚みに基づいて、完全な3Dイメージを導き出すためX線放出位置が必要とする位置の数を、定めることができる。X線放出位置が2D平面として設計される場合、位置の数P=対象又は対象領域の厚み/対象又は対象領域の厚み又は深さに沿う画素ピッチ又は解像度=X線源位置の総数=nである。また、そうした情報を予め定めることができる。
【0314】
本明細書に開示するようなX線源又はX線放出位置は、2次元空間において少なくともP回移動し、各軸における少なくともn個の可能な位置又は少なくとも√n個の位置の、各直線軸における第1位置として表される。本明細書において言及される未知のユニット又は未知の画素は、典型的にm×nによって表される2Dスライス領域における未知の画素のセットを表すために使用される。未知の画素のセットがm×nより大きい2Dスライス領域を表す場合、未知のもの又は未知のセットの総数はなおnであり、これは、n位置又はnイメージのみが3Dイメージの構築を完成するために必要とされることを意味する。
【0315】
得られた2D画像データは、本明細書に開示するような線型方程式系m×n×pにおいて、対象又は対象領域のために第3軸における未知の画素を解いて決定するために組み合わせることができる。新たな未知のボクセルは、第1位置におけるX線放出位置から生成される。
【0316】
m×n×pの総領域で対象領域の外側の新たに導入される未知のユニット又はボクセルを解像するため、以下を任意の例とする。
【0317】
新たに導入される未知のものの数が、対象領域と比較して十分に少ない場合、2D次元におけるm×nのPイメージは、対象領域を表すために十分である。
【0318】
任意で、さらなるイメージは、例えば、第1位置の同じxy領域における、第2位置として言及される、第1位置と異なるxy平面におけるX線放出位置において撮られるが、放出位置は第1位置と異なる位置を中心とする。又は、第2位置同士の間の距離は、隣接する第1位置の深さ又は距離の解像度より小さくすることができる。第2位置の各移動ステップは、第1位置の移動のものより微細である。任意で、X線ビームは、新たに導入される未知のものの領域を照射するビームのみを透過させるように、操舵又はコリメートされる。限られた寸法の2D測定は、未知のものをさらに解像するために取得することができる。
【0319】
任意で、以前に記載するように、X線放出位置が第1位置の領域において移動すると、m×n画素である検出器における当初の2D領域の外縁部における2D検出器におけるさらなる画素が、対象領域の外側の未知の領域における測定値を含むように読み取られる。好ましくは、照射パスが、対象領域における、新たに導入される未知のものに関与するときのみ、そうした投影パス信号を測定する検出器の画素領域を読み取る。結果として、新たな未知のものが導入されるとき、さらに既知である画素を読み取る。なお、対象領域の3Dボリュームにおける未知のユニットに関与する線型方程式を解き終わるためPイメージを必要とするのみである。
【0320】
1次及び散乱線イメージの分離のさらなる詳細を、図15Gにまとめる。
【0321】
(4)2D機能イメージング
機能イメージングは、上述のステップにおいて得られた2Dイメージングへの改変として行うことができる。機能イメージングは、散乱及び1次X線分離あり又はなしで、単一エネルギー又は2重エネルギー又は多重エネルギーX線源で撮った位置又は2D可視化に加えて、情報を提供するものとして定義される。機能イメージング方法及びシステムの例を以下に記載する。各例は、他とは独立しており、用途に必要とされるときさらなる情報を提供するように組み合わせることができる。
【0322】
1つ以上の全視野X線イメージを撮ると、2D及び/若しくは3Dイメージ分析によって、その一部が散乱線除去を伴い、又はその一部が物質分解若しくはイメージにおけるさらなる他のタイプの定量的及び質的分析を伴い、その一部が組み合わせた散乱線除去及び物質分解定量的分析を伴う。例は、イメージングされる対象における構成要素の種々の絶対的物理的性質、移動、位置及び密度、及び相対的な質的及び定量的測定値の分析を含むことができ、所定の対象領域(図12A~12Cに示すような領域4など)はさらに詳細な研究のため識別することができる。
【0323】
さらなる研究には、物質分解及び様々な物質イメージング(上述のようなものなど)を含むことができる。分解は、様々な構成要素の元素z番号及び/又は特定のX線測定可能な特性に基づいて単一、2重又は多重エネルギーX線分解方法が対象における構成要素を定量的に分析して分離するために使用されるプロセスを含む。
【0324】
上述のように、X線源は、平均エネルギーレベルHでの高エネルギーパルスの後、平均エネルギーレベルLでの低エネルギーパルスが続く、各X線源位置から2つのX線源パルス、又は、平均エネルギーレベルHでの高エネルギーパルスの後、平均エネルギーレベルMでの中エネルギーパルスが続き、平均エネルギーレベルLでの低エネルギーパルスが続く、各X線源位置から3つのX線パルスを放出することができる。各構成において、各パルスは、単一の、実質的に変化しないエネルギースペクトルを有する。他の構成において、4つ以上のエネルギーパルスをX線源から放出することができる。
【0325】
様々なエネルギーレベル間を区別しないことがある上述のような2D検出器ではなく、検出器組立体は、エネルギー感応性、光子計数検出器及びPMT及びシリコンドリフト検出器、又は上流でシンチレーション層と組み合わせた可視検出器を含むことができる。これらの検出器は、種々の原子z番号及び/又はX線測定識別可能特性を有する様々な構成要素又は物質又は物体のためのデンシトメトリー及び定量的分析及びイメージの分離のため1次X線信号を収集するように、従来のX線源と共に、又はピコ秒X線源などの飛行時間型X線源と共に使用することができる。従来のX線源で、エネルギー感応性光子計数検出器は、対象における様々な物質又は構成要素の2重、3重、又は多重エネルギー及びスペクトルエネルギーのイメージング及び吸収測定を可能にしながら、1次X線及び散乱線分離を確実にするためビームセレクター組立体を加えた、前方検出器、後方検出器、又は2重検出器の両方を置き換えることができる。
【0326】
物質分解は、上述のもの以外の物質分解方法によってなすことができる。例えば、この方法には、少なくとも2つの基本関数の組合せが少なくとも1つの線型減衰係数の表現を表すために使用されるモデルに基づいて、イメージングデータが少なくとも1つの基準イメージ表現に分解される2重エネルギー方法を含むことができる。単一エネルギー、2重以上のエネルギー方法における任意の他の適切なCT又はX線に基づく物質分解方法を、本明細書に採り入れることができる。そうした方法は、例えば、X線ビームの直径がmm又はより小さい範囲で小さいとき、散乱線除去を必要としないことがある。
【0327】
1次X線及び散乱線が分離されるとき機能イメージングを向上することができる。1次X線定量的測定は、数学的分解の必要なく対象における物質及び構成要素の定量的分析及びデンシトメトリーに使用することができる。識別、測定、定量化、及び/又はイメージングする複数の物質が存在するとき、2重又は多重エネルギーX線システムを使用することができる。X線多重検出器組立体において使用されるビームセレクターの例は、図6に示す。ビームセレクターは、X線源と対象との間又は対象と検出器との間に配置することができる。
【0328】
さらに、好ましくはイメージングされる厳密に同じ物質及び物質の組成は、上述されるようにイメージングされる各物質のキャリブレーションをするため、所定の空間及び多重エネルギー依存測定でキャリブレーションするために使用することができる。例えば、バイオハザード又は爆発性の物質の特徴づけ及び検査において、以前に識別した物質又は化学物質を、粉末、液体、又は固体などの、対象に現れる形態においてキャリブレーションするため使用することができる。そうしたキャリブレーションは、荷物資材又は被服及び荷物において一般的な他の材料などの他の材料の存在下においてなすことができる。さらに、例えば、乳房イメージングにおいて、さらなる物質が存在する場合、2重エネルギーシステムはまた、微小石灰化、ステント、カテーテル、異物性対象、手術用具、又は対象における同定できない物質などの、さらなる物質を識別するために使用することができる。
【0329】
さらなる用途は、DRCとして記載されることがある、カテーテル、ステント、微小手術用具を特定するため、軟部組織、脂肪、及び除脂肪組織、及び血管及び神経(これらは他の軟部組織及び骨とさらに識別するため造影剤で標識することができる)からの骨の分離のため、胸部イメージングにおいて、2エネルーレベルより大きい3重エネルギー及びスペクトルエネルギーシステムを使用することを含むことができる。異物又は特有の構成要素は、キャリブレーション値又は既存のデータベース(上述のようなものなど)若しくはライブラリーのルックアップ又は記録的値に基づくシミュレート値(上述のようなものなど)に基づいて識別及び同定することができる。そうした構成要素はソフトウェアアルゴリズムを使用して残りの部分から分離することができる。DRCの分離は、2重エネルギー分解に基づく物質分解方法へのさらなるステップとして、微小石灰化の分離について本明細書に開示するようにさらなる2次近似を使用することができる。測定値が低い又は散乱線なしである、1つ又は少数の画素を含む領域として記載される、1D、2D、又はポイント領域の物質分解もまた含むことができる。
【0330】
複数の対象の空間的存在パターンは、異なるが一貫した空間パターンを有するものから分離することができる。例えば、カテーテルはより小さく、あまり連続的でなく、特定の位置においてのみ存在し、軟部組織及び骨よりまれである。例えば、整形外科の最小侵襲外科手術、腫瘍の生体組織検査の外科ガイダンスにおいて、3重エネルギー及びスペクトルX線撮影イメージングシステムは、骨、軟部組織、及び血管、及び神経を識別することができる。手術用具又はセンサーは、多重エネルギーイメージングを使用して大部分が有機物質からなるバックグラウンドイメージから識別又は分解することができる。分解は、重なり合う組織密度測定値及び組成と比較してその存在により変化し得る手術用具又はセンサーの形状、サイズ、非連続的空間的パターン、及び/又は密度の重なりを識別することによって行うことができる。バックグラウンドの組織と重なり合う一方、バックグラウンドと比較して手術用具又はセンサーの密度値が特定可能であるとき、複合バックグラウンド物質内での投影ラインに沿う手術用具の空間的寸法及び密度並びにその位置を導き出すことができる。
【0331】
放射線療法において、腫瘍領域は造影剤によって標識することができる、又は正常組織のものと異なるデンシトメトリー特性又は空間特性を有し得る。そうした領域は、放射線療法をガイドするため、サブミクロン範囲ほども良好な精度で識別することができる。また、放射線量は、対象領域を特定の組織又は希少な事象又は特徴の位置に限定することによって調節することができ、それによって、X線曝露領域を、腫瘍が存在する領域であり得る対象領域に限定し、構成要素、例えば、希少細胞、腫瘍、患部組織、物質、並びに位置特定及び可視化のためのバックグラウンドイメージの高解像度アルタイム3Dイメージを、選択した対象領域においてリアルタイムで取得し、及び/又は、より低い放射線レベルでより正確な外科ガイダンスを実証することができる。さらに、そうしたイメージング方法は、特にロボット工学に基づく外科的システムに組み込むとき有用な、正確且つ精度の良い外科的又は放射線療法手術前計画及び手術ガイダンスを可能にする。トラッキング及び造影剤のさらなる詳細を以下にさらに記載する。
【0332】
また、さらなる研究には散乱線除去を含む又は含まない干渉法を含むことができる。干渉計(任意の適切な既存の又は今後の干渉計であり得る)により、吸収、暗視野、及び/又は位相コントラストイメージの2Dイメージを得ることができる。そうしたイメージは3Dインターフェログラムを構築するため使用することができる。
【0333】
干渉計は、下流の特定の距離で干渉縞を導入する位相格子を介してX線を放出することによって動作する。対象がビームパスに配置されると、対象は吸収、屈折、及び/又は小角散乱によって、観察される干渉パターンを変調する。これらの信号を検出器によって読み取ると、対象の特性及びその構成要素をアルゴリズムによって決定することができる。
【0334】
一実施例において、タルボ・ロー干渉法は、より大きい視野を有するように使用することができる。タルボ・ロー干渉法において、ビームスプリッター格子(G1)は、X線源(S)と検出器(D)との間のビームパスに配置することができる。部分的なタルボ効果により、ビームスプリッター格子の周期構造を明らかにする強度分布(I)が、格子背後の所定距離において発生可能である。対象(O)が、ビームスプリッター格子の前に配置される場合、対象の吸収、散乱、及び屈折特徴に起因して強度分布は変化する。部分的タルボ効果は空間的にコヒーレントな放射線を必要とする。この要件を満たすため、十分に小さい焦点を有する微小集束X線管を使用することができる。あるいは、スリットマスク(G0)を従来のX線管の焦点の前に配置することができる。このマスクはX線ビームの所定の部分を収集して、それにより、空間的にコヒーレントなスリット源を生成する。これらのスリット源のそれぞれは、ビームスプリッター格子の自己イメージを生成することができる。
【0335】
ロー効果を利用することによって、これらの自己イメージを鮮鋭な強度分布へと重ねることができる。一般に、これらの干渉縞は、従来のX線検出器によって解像するには非常に小さい。この課題を解決するため、干渉縞と同じ周期を有する吸収分析器格子(G2)を、これらの縞の平面に配置することができる。この分析器格子は、その格子バーに垂直な平面において段階的に分析器格子をずらすことによって周期強度分布をサンプリングするために使用することができる。また、本明細書に記載されるイメージング方法に基づく、前述のインターフェログラム方法の変形、その派生形、位相コントラストイメージング、暗視野イメージングも本開示の一部である。
【0336】
コヒーレントなX線ビームを生成するため、干渉計は画素化X線源を使用することができる。また、干渉計は、MEMに基づく、結晶に基づくものである回折格子を有する、又は音響変調結晶格子を利用することができる。MEMのチューナブルアレイを有する適切な回折格子の例を図15Eに示す。
【0337】
2D機能イメージングのさらなる詳細を図15Hにまとめる。
【0338】
(5)3Dイメージ合成、構築、及び計算
プロセッサーは、上述の3D組合せデータ及び線型方程式の解に基づいて3次元イメージを導き出すため、従来のコンピューター断層撮影イメージングアルゴリズムを使用することができる。
【0339】
さらに、X線放出位置は6D空間に存在することができる。X線放出位置が、x、y、z直線軸で表す3D空間おいて移動する、又はX線源が対象に対して3D空間において複数の様々なX線放出位置を有するとき、図33に示すように、様々な照射パスのセットを各放出位置において生成することができる。12-1、12-2、12-3、12-4、及び12-5に示すような各X線照射位置において、対象領域16における様々な投影パスのセットIP12-5-1及びIP12-5-2を照射することができる。各照射パスは、解決される未知のボクセルからの種々のボクセルの様々な組合せ、又は様々な数のボクセルのいずれかの、少なくとも1つの列のボクセルに関与し得る。例えば、放出位置12-5において、ビームIP12-5-1は、ボクセル#X3Y4Z1、#X3Y4Z2、#X3Y4Z3、#X3Y4Z4の4ボクセルを照射し、IP12-5-1#X1Y4Z1、#X1Y4Z2、#X1Y4Z3、#X1Y4Z4の4ボクセルも照射する。放出位置が12-4に移動するとき、生成される照射パスは、x、y、及びz軸における座標数によって規定されるボリュームにおける新たなボクセルのセットに沿って投影することができる。例えば、X線放出位置について本明細書に記載されるような2D平面の例に加えて、放出位置の領域は3Dボリューム内にも存在することができる。例えば、撮るイメージの総数が1000である場合、対象領域の外側に導入される新たな未知のものの数を極力少なくするためのX線放出位置移動の最少総ボリュームは、10×10×10とすることができる。そうしたボリュームのユニットは第3軸に求められる解像度とすることができる。X線放出位置は、x、y、z軸において直線的に移動することができる。
【0340】
ここで各未知のものが、第3軸に求められる解像度の整数単位における距離によって分離される深さに沿う各層における未知のボクセルのセットを指すことができる。
【0341】
つまり、完全な3dイメージを構築するための完全な2dイメージのセットを導き出すため、及び/又は空間測定を追加することで対象領域における構成要素の3Dボリュームの6D空間位置を位置特定するため、以下のステップを含む。
イメージング対象の下流の2次元(2D)X線検出器であって、システムは、x-y-z軸における位置を含む3D空間の少なくとも2つの軸において、X線放出位置又はX線源を移動させる又は操舵することと、2DのX線測定値を得ることとによって、対象の多次元及び/又は3次元(3D)イメージを得るように構成される。
隣接するX線放出位置同士の間の距離は、第3の軸に必要とされる解像度の寸法、及び/又は、2つの位置がX線ビームのセットを生成して、各セットが対象領域における異なるボクセルパスを照射するために必要とされる最小距離とする。
隣接するX線放出位置同士の間の距離は、1画素ピッチ、画素ピッチの整数倍、又は1画素ピッチ未満とする。
3Dイメージを構築するために必要とされる放出位置の総数、又は撮られる2Dイメージの総数は、第3軸の解像度で除算した第3軸の深さとする。
x次元及びy次元において移動するとき、最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.1度未満、又は0.1度、又は0.1~1度とする。
3つすべての直線軸x、y、zにおいて移動するとき、軸のそれぞれに沿って最も遠く離れた放出位置の総移動角度は、0.0008度未満、又は0.0008度、又は0.0008~0.5度、又は0.5~1度とする。
各2D測定において、2重エネルギー及びスペクトルエネルギー測定は、エネルギー感応検出器、光子計数検出器、又はエネルギー分散格子及び空間感応検出器に関与するフォトダイオード若しくはスペクトル測定組立体で、広範なスペクトルのX線源を使用して得ることができる。物質分解は、対象イメージのバックグラウンド又は対象領域のバックグラウンドイメージ又は外部空間センサー若しくはマーカーから1つ以上の構成要素を分離する。
3Dボリュームが構成要素及び対象領域に対してx、y、及びz軸において解像されるとき、バックグラウンド対象領域に対する構成要素の相対的な6D又は時間依存性7D空間位置は、特定の時間枠において第1測定値から構築したイメージ及び第2又はライブ測定値のものを比較することによって導き出すことができる。
【0342】
(6)3D機能イメージング
3D機能イメージングステップは、上述の2D機能イメージング技術のいずれかを組み込むことができる。
【0343】
(7)3D、2D、1D、及びポイント領域における複数のスライス2Dイメージを含む3D、多次元イメージにおける選択領域の実際の及び合成したイメージ、並びに種々の高解像度及び低解像度のイメージバックグラウンドを有する又は有しない表示
プロセッサーは、種々の構成要素、対象領域、及び/若しくは対象の2D及び3Dイメージの両方のため、種々の解像度における多軸表現を提供する又は多次元表現を組み合わせた2Dイメージを有することができる。
【0344】
そうした3Dイメージング方法が、X線顕微鏡又はX線吸収測定と組み合わせたX線顕微鏡において実施されるとき、X線光学系は、視野を拡張するために変調する、並びに/又は種々の放出位置から出るX線によってその意図する機能及び効果に関して最適化することができる。変調及び/又は最適化は、ソースからの種々のX線放出位置において測定される各投影2Dイメージがイメージ品質、精度、感度、及び信号対ノイズ比に関して同等であることを確実にすることができる。
【0345】
本明細書に開示するX線装置は、2つ以上のエネルギーにおけるX線吸収測定、透過、回折、蛍光、及び/又は干渉法のX線顕微鏡を含むことができる。ゆえに、上述の技術に必要とされるX線光学系は、X線全視野イメージング検出器を存在させる又は視野から移動させるように、図12A~12Cに示されるような対象領域4の研究ための位置に移動することができる。X線光学系は、装置がX線全視野イメージングのビームパス、例えば全視野X線検出器の下流に存在しないように、X線全視野イメージング組立体と共に配置することができる。
【0346】
例えば、X線吸収測定の場合、X線光学系は、対象領域及び全視野X線イメージング検出器を通過する投影X線ビームを異なるエネルギー又は波長レベルに分散させ、種々のエネルギーレベル及び/又は様々な空間的に異なる位置において信号を測定するため、格子及び空間感応検出器及び他の関連光学系を含むことができる。
【0347】
X線光学系及び非回転方法を使用して対象のイメージを生成するための3次元(3D)顕微鏡を使用して、この方法は上述のような多くのステップを含むことができ、キャリブレーション、対象に対して少なくとも2つの異なるX線源位置から2Dイメージの取得、2Dイメージから3Dイメージを生成するためのプロセッシング、3Dイメージのプロセッシング、及び取得情報の出力などその一部は任意である。
【0348】
この方法は、例えばX線顕微鏡及び全視野X線イメージングのようなX線光学系に関与する迅速な高分解能3Dイメージングを提供することができる。各2DのX線顕微鏡イメージは、多重マイクロビームから形成されるもので組み合わせたイメージによって、又はいわゆる構造化ビームX線イメージングと呼ばれるものによって形成することができる。X線吸収測定及びX線分光法は、2D又は3DX線顕微鏡と組み合わせることができる。好ましくは、X線吸収測定又はスペクトルX線測定を使用する複数チャネルの測定は、視野を増大させ、X線源が多色であるとき多重ビームX線顕微鏡と組み合わせることができる。
【0349】
ポイント、1D、2D、若しくは3DのX線吸収測定、並びに/又は単一若しくは多重ビームのスペクトルX線測定及び2D若しくは3DX線顕微鏡法と組み合わせた2D又は3D全視野X線イメージングは、互いから空間的に分散させた多重X線ビームを使用する構造化X線顕微鏡イメージングに適用することができる。
【0350】
組み合わせた技術は、空間(2D、3D、又は他の多次元)及び時間において、一部の場合には互いに対して、又は一部の場合にはスタンドアローンでの、構成要素又は対象領域及び対象の形態の、移動、形態における物理的性質変化、寸法、構造、形状、厚み、及び特定の化学的特徴、及び密度、存在、相互作用、位置、フロー動態、フロー方向、動態、をトラッキングするために使用することができる。組み合わせた技術は、X線検出可能な動き、事象及び物理現象の観察及びモニタリング、ヒトによる手術、ロボット工学による手術、生体組織検査の外科ガイダンス、及び、一部の場合には遠隔医療のような遠隔のモニタリング若しくはガイダンス若しくは診断、又は製造組立ライン、検査ライン、及びセキュリティーの用途の遠隔モニタリングに使用することができる。各X線測定及びイメージはトラッキング及びモニタリングのためタイムスタンプすることができる。
【0351】
したがって、図13B及び13Cに示すように、X線吸収測定は、2D及び3D全視野イメージング、及び/又は2D及び3D顕微鏡法と組み合わせることができる。X線3D顕微鏡装置及び方法は、従来の3Dイメージングモダリティーより高速且つ放射線が低いものとすることができる。例えば、構造的照射構成で使用されるとき、散乱線除去方法は、これらの装置において行うことができ、特に対象における選択領域の3Dイメージをより高速に生成するために3Dイメージングにおいて使用される移動構成と組み合わせることができる。
【0352】
任意で、3Dイメージ取得及び生成はまた、スキャンビームデジタルX線SBDXに基づくことができる。イメージ品質を向上させたイメージを導き出すため、散乱線のない技術をこの方法に適用することができる。
【0353】
スキャンビームデジタルX線SBDXは、大領域透過スタイルタングステンターゲットに、電磁気スキャン電子ビーム入射を使用する。電子ビームは、例えば1/15秒毎又は異なる周期で、ソースの焦点位置の2Dアレイ上にラスタースキャンすることができる。多孔コリメーターは、2D検出器に集中する一連の重なり合う細いX線ビームを画定することができる。細ビーム投影の間の幾何学的関係は、SBDXコリメーターの既定の幾何学形状及び既定の検出器位置によって制限することができる。典型的なSBDXシステム幾何学配置は以下のとおりとすることができる。
ソース-検出器距離(SDD):約1500mm
ソース-軸距離(SAD):約450mm
焦点位置:約71×71mm
焦点ピッチ:約2.3×2.3mm
原検出器アレイ:約320×160mm
原検出器素子ピッチ:約0.33mm
検出器ビンモード:約2×2mm
【0354】
SBDXは、逆ジオメトリビームスキャンの使用により、特有のトモシンセシス特性を有する。従来の蛍光透視法に類似するライブ表示を、GPUに基づくリアルタイムイメージ再構築手段を使用して生成することができる。各表示2Dイメージフレームは、2段階再構築方法によって生成することができる。第1段階において、例えば5mm平面間隔で例えば32個の単一平面イメージの積層を生成するため、シフト・アンド・アッドデジタルトモシンセシスを行うことができる。トモシンセシスイメージの積層の画素中心は、積層における既定の画素位置(例えば、行100、列100)が検出器中心で生じる光線に対応するように、画定することができる。第2段階において、高鮮鋭性及びコントラストの局所領域を識別するため、勾配フィルター方法を単一平面イメージのそれぞれに適用することができる。最終の2D「合成」イメージは、各画素位置に対して、最高コントラスト及び鮮鋭性を有する単一平面イメージから画素値を選択することによって形成することができる。トモシンセシス画素中心の幾何学配置及び合成方法に起因して、最終合成イメージは、対象ボリュームにおいて焦点が合っている対象の逆「仮想」コーンビーム投影として観察することができる。仮想SBDX投影は検出器の中心で生じ、ソース平面に当たることができる。ソース平面における仮想検出器素子のピッチは、設定幾何学配置に基づいて例えば0.23mmとすることができる。
【0355】
Kエッジフィルターを使用する3Dイメージングの例
対象2における対象領域の質的な3DのX線イメージを測定することができるX線測定装置90を図9に示し、これは、図1Aの装置10の特徴のいずれかを組み込む。X線源、及び/又はX線放出位置、及び/又はX線放射線の相対空間位置は、対象に対して移動可能である。X線源、及び/又はX線放出位置、及び/又はX線放射線は、例えば、2つの連続する測定の間で、検出器の1画素ピッチ未満、若しくは1画素ピッチで、若しくは複数の画素ピッチなど、z軸に求められる解像度と同じ若しくは類似する寸法、及び/又は最も隣接するX線源同士の間の距離で移動するように構成することができる。対象に対するX線源、及び/又はX線放出位置は、直線状移動又は円弧状移動によって、(検出器に平行であり得る)2D平面における「第1位置」として規定される位置、又は6D空間における位置に移動することができる。
【0356】
X線測定装置90のプロセッサーは、線型方程式系を解くことで、検出されるX線放射線を3次元イメージに解像するように構成することができる。
【0357】
それぞれが、未知のボリュームを通る異なる照射パスのセットを生成し、1又は非常に少数の未知のものを導入する、それぞれ1画素又は1ボクセルの、又は深さに求められる解像度の単位での6自由度における移動は、それに基づき完全な3Dボリュームの未知のものが解決され得る多くの2D測定値をもたらすことができる。
【0358】
画素ピッチ寸法が1画素につきpp(um)である場合、X線源から検出器の距離はSID(um)であり、対象領域又は対象の構成要素又は対象の厚みがP(um)であり、進行する総ボリューム、進行する総領域、又は総進行がPPである。
【0359】
厚みに沿って3D次元において解像される画素又は最小単位の数NPは、NP=P/PPである。データ点又はX線放出位置の数DPは、DP=P/PPである。撮るイメージの数NIは、NI=P/PPである。
【0360】
2Dのみの領域の場合に、放出源が、最少数の未知のもの及び完全な3Dイメージを提供するように配置される最小化総角度(放出X線源位置の進行)は、TA=アークタンジェント(DP×3Dイメージングにおける最小解像ボリュームの単位/SIDの平方根)、又はTA=アークタンジェント(DP×PP/SIDの平方根)である。X線放出位置が3D空間にある場合の最少化総角度は、TA=アークタンジェント(DP×PP/SIDの立方根)である。
【0361】
対象に対するX線源及び/又はX線放出位置が「第1位置」として規定される位置に移動するとき、新たに導入される未知のものの数は、各移動の大きさ及び総移動領域又は総移動空間を小さくすることで減少させることができる。第1位置同士の間の移動又は第1位置の選択は、検出器においてなされる測定が第3軸における少なくとも1つ以上の未知のユニットを解像することができるようになすことができる。
【0362】
新たに導入される未知のものの測定は、新たに導入される領域におけるさらなるスキャンによって導き出すことができる。X線ビームは、新たに導入される領域のみを照射するコリメーターを使用して、選択的に生成する又は透過させることができる。新たなX線放出位置は、「第2位置」として規定することができる。第2位置は、同じ画素ピッチステップに存在することができるが、ステップの中心は、第1位置とは異なり得る、第1位置同士の間の距離以外の距離を移動することができる。
【0363】
また、新たに導入される未知のものの測定は、検出器において照射した新たに導入される領域の投影パスにおける検出器測定値を記録することによって導き出すことができる。例えば、X線放出位置がx-y平面において1画素ピッチ移動するたび、少なくとも1つのさらなる画素セル、又は1画素の画素幅を有する画素ラインが、対象領域の多次元イメージングに必要とされる情報を導き出すことにおいて考慮することができる。図9に示すように、対象領域又は対象2を通過するすべての投影パスからの信号を受信する検出器における当初のx-y領域は、画素セルのm×nマトリクスを含むことができる。新たに導入される領域、検出器における対象領域直下の検出器領域は、X線放出位置がここで対象領域の3Dイメージ構築のため原位置に対してその次の隣接位置に移動するとき、ここで、X線測定のために画素セルの(m+1)×nマトリクスを含むことができる。
【0364】
さらなる画素領域からのさらなる測定値を、新たに導入されるボクセルに関与するさらなる線型方程式を解くため使用することができる。検出器に対して垂直の軸に沿う未知のユニットの数は変わらないので、線型方程式の総数はここで(m+1)×n×Pとなり、Pはz軸の深さである。この計算は、X線源が、各P単位がXであるP位置移動し、簡略化するため、Xa又はXbは画素の解像度、又は検出器の画素ピッチである。Xcは、解像される必要があるサンプルの深さの解像度である。m又はmの単位測定の解像度はXaであり、一般に、nの単位測定のXbと同じである画素ピッチである。この場合、Xa=Xb=Xcである。そして、測定される検出器の総領域は、対象領域に対して(m+√P)x(n+√P)である。しかしながら、一度に1つのさらなる画素又は1つのさらなる画素ラインが一度に追加できることが好ましい。そうしたさらなる測定は、対象領域の未知のボクセルを解くために画素又はセルの最少数が使用できるように考慮することができる。(m+√P)x(n+√P)として計算される総領域のすべてが、線型方程式を解くために必要とされる測定に利用されるわけではない。
【0365】
XcがXaと同じではない場合が存在し、これは、P単位が、画素ピッチの解像度ではないということを意味する。XcがXaより大きく、X線放出位置が原位置からその最もすぐに隣接するX線放出位置に移動すると、Xc=2Xaの場合、m+2を読み取り、又は言い換えると、全部で(m+2)×n画素を読み取ることとなる。あるいは、導入される新たな未知のものが少数なので、測定されるX線イメージの総数は、新たに導入される未知のものに影響を受けないことがある。
【0366】
X線源が、円弧ライン又は直線ラインなどで、2D又は3D又は6D空間において対象に対して移動しているとき、そうした移動は、計算、キャリブレーション、及び/若しくは所定の測定値によって、又はモーター付き動力器などの機械的機構、電気若しくは磁気、若しくは電気光学機構、電磁気機構、若しくは鏡を含むがこれに限定されないX線光学系、ビームスプリッター、総内反射キャピラリー管、MEM、格子及び結晶、若しくはそれらの任意の組合せなどのさらなるハードウェアを使用することによって、検出器に平行であり得る、2D平面における移動と同等であるように解釈することができる。
【0367】
複数の対象領域が対象2において空間的に分布するとき、この領域は、同期するが様々なフレームレートで共に、又は同期しないで、スキャンすることができる。複数の領域は、同じ分解能又は異なる分解能で測定することができる。
【0368】
約100cmのソース-イメージ距離(SID)において、X線放出位置の最も離れた距離は、検出器に対して垂直の、Z方向に25cmの深さを有するサンプルで、初期のX線放出位置から7mmであり、最大0.4度のスキャン角度が100μmの解像度に達するため必要とされ得る。パラメーターの他の組合せを以下の表に示す。
【表1】
【0369】
完全な3Dイメージング、他の多次元イメージング、及び/又はトラッキング(又は外科ガイダンス)における、本明細書に記載する単一及び/若しくは2重若しくは多重エネルギー測定及び分析、又はスペクトルイメージングを使用する物質分解のため、以下のモダリティーを使用することができる。
・3D(本明細書に記載される、フラットパネル検出器を利用する任意の他の3D方法を使用するもの)、
・選択した対象領域の2Dイメージング、
・例えば、検出器における直線空間位置に沿って2つ以上の画素を使用する、1D測定、及び/又は
・例えば、検出器における1つ以上の画素を伴う1つ以上の空間分布領域群など、ポイント又は小領域測定。
【0370】
トラッキングにおいて、測定値の第1セット、又はデータ点、又は2Dイメージ、又は多次元イメージ、又は完全な3Dイメージをトラッキング前に取得することができる。あるいは、そうした第1データセットは、従来のCT、定量的断層撮影、本開示の3Dイメージング方法、又はMRI、SPECT、PETなどの他のモダリティー、光学イメージング若しくは測定、分光法、光音響イメージング、及び/又は、音響測定から導き出すことができる。測定値の1つ以上の第1セットは、6次元において対象領域における構成要素若しくは物体又はイメージングした対象自体をトラッキングするため、直接使用する、又はX線測定可能な特徴及び物体を表すデータ情報のセットにデータ分解し、当初のイメージ又は第1イメージ又は対象領域の第1イメージからの合成イメージと比較することができる。
【0371】
図10に示すように、符号化Kエッジ開口15は、散乱線可能が最小である又は存在しないとき、好ましくは2D又は空間分布1D又は空間分布ポイント測定を使用する感応及びトラッキング測定において、高速エネルギー及び/又はスペクトル感応測定に使用することができる。フィルターは、X線源12と対象2との間で開口15に配置する、又は対象2と検出器14との間に配置することができる。開口15は、2つ以上のX線透過領域を有する、X線コリメーター17と組み合わせることができる。コリメーター17は、X線源12とKエッジ符号化開口15との間に配置することができる。アクチュエーターでコリメーター17を移動させることによって、調節可能なX線放出位置を有するアノードを使用することによって、及び/又はフィールドエミッションナノチューブX線源又は液体金属ジェットソースのように、移動、若しくは回転、若しくはプログラム制御することによって、コリメーター17を移動することができる、又はコリメーター17における1つ以上の開口の位置を調節することができる。
【0372】
符号化開口15は、Kエッジ符号化開口とすることができる。KエッジはX線吸収エッジを指すとすることができる。入射するX線ビームが原子のK殻結合エネルギーよりエネルギーを有するとき、X線減衰係数が急激に増加し得る。画素化Kエッジ符号化開口構造15は、フィルタリング要素及び画素化符号化用を有する構造とすることができる。フィルタリング要素及び画素化符号化要素は、開口に組み込まれる少なくとも1つのKエッジフィルターを有する複数の開口を含む単一の構造によって行うことができる。あるいは、画素化Kエッジ符号化開口構造は、第1構造、例えば、X線ビームを画素化するためのパターン化構造、及び第2構造、例えば、第1構造から分離したX線ビームをフィルタリングするためのKエッジフィルター構造を含むことができる。1つ以上のKエッジフィルターを順に同じビームパスに配置することができる。
【0373】
X線ビームは、各画素において準単色ビーム又は単色ビームを含むことができる。ビームは、例えばエネルギー感応検出器、画素化エネルギー感応検出器、1つ以上のエネルギー感応画素セル若しくは光子計数セルを有する検出器、分光検出器、又は分光器であり得る、検出器によって収集することができる。
【0374】
Xa又はXcが、対象領域の3Dイメージングにおいて骨と軟部組織との両方を有するように十分に大きいとき、X線装置90は、例えば骨及び軟部組織の境界部において、対象の部分的ボリューム領域、又は2つの物質若しくは物体の境界領域をより良好にイメージングすることができる。スキャンの第1行程後、3Dイメージを構築することができる。機能イメージング及び物質分解により、各組織の厚みを2Dイメージから推定することができる。しかしながら、3D測定を得るとき、測定をさらに向上させることができる。結果がなお十分でない場合、結果をさらに向上させるため選択領域のより高い分解能の測定を行うことができる。この場合、m×n領域は、対象のものよりはるかに小さい対象領域に限定することができる。使用する検出器はより高い分解能を有することができる。同じ又ははるかに小さいフォームファクターの、及び/又はより小さい画素ピッチ若しくはより高い分解能を有する検出器は、フラットパネル検出器14を置き換える、又はフラットパネル検出器14の下流、若しくは検出器14の上流及び対象の下流に配置することができる。さらに、又はあるいは、分光器、若しくはエネルギー感応検出器、若しくはスペクトル測定組立体モジュール、及び/又ははるかに高速なフレームレートのX線検出器、若しくはフォトダイオード、フォトダイオードアレイ、光子計数検出器を、スペクトル測定及び高速イメージ取得のたて検出器の上流又は下流に配置することができる。
【0375】
対象領域のイメージを生じさせる測定は、エネルギー摂動、化学的摂動、機械的又は電磁気的又は電気的摂動、圧力/力摂動、超音波/音響摂動、磁気摂動、及び/又はゲート式測定の条件下で行うことができる。
【0376】
本明細書に開示するイメージング方法は、3Dイメージ、2Dイメージ、1Dイメージ、及び/又はポイント若しくは領域の測定を含むX線測定にタイムスタンプを追加することを含むことができる。時間情報は、コンピューターにおいて時間を読み取ることができるコンピュータープログラムから、又はサーバー装置から、又はNISTなどの機関によって提供される時間基準と同期する別の時間装置から、取得することができる。日付及び時間ラベル及び/又はDICOMラベルを、測定値自体に追加する、及び/又はデータベースに記憶させることができる。さらに、非医療用途では、識別番号、部品名、概要、及び/又は同様のものを含むDICOMラベルに類似するイメージラベルを使用することができる。そうした情報は、キー識別子及び検索可能なキーワード、又は1つ以上の識別子又は1つ以上のキーとともにデータベースに保管することができる。さらに、そうした日付、時間、及び/又は識別子ラベルは、ソフトウェアを使用してX線測定から導き出したイメージにスタンプすることができる。任意で、多次元の連続イメージは、様々な時間におけるスペクトル又は単一エネルギー測定の3D、2D、1D、及び/又はポイント測定から構築し、ビデオを再生しているように時間で表示することができる。
【0377】
そうしたイメージ、特に、DICOMイメージラベル又はDICOMのようなイメージラベルを有するものは、例えば遠隔で、ソフトウェアによって観察及び分析するため、画像保存通信(PAC)システムに送信することができる。3D、2D、1D、及び/又はポイント若しくは領域測定におけるそうしたイメージの観察は、インターネット、WiFi、Bluetooth、又はイントラネットなどの無線通信プロトコルでサーバーを介してリアルタイムとすることができる。さらに、1つ以上の検査の圧縮イメージ又はイメージセットを含むデータファイルは、2つのサブセットのデータファイルに整理することができ、1つは1つ以上の予め選択したイメージ又は測定値又は選択データ又は測定に関連するリポートを含む小さいファイルを含み、2番目は完全なデータセットを含む。観察するためデータファイルがネットワークを介して転送されるとき、第1サブセットはまず転送されて、観察するため、又は完全なデータセット転送の前にビューアによってプレビューをするために利用することができる一方、第2サブセット又は完全なデータセットの残りの部分は、次のステップとして転送することができる。そうしたプレビューデータは、完全なファイルと関連付けされた記憶ファイルとして観察するため利用することができる。
【0378】
RIS、EMS、PAC、ビューア、X線モダリティー取得及びビューアシステム
本開示のモダリティー取得及びビューアシステムは、本明細書に記載するハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。システムは、スタンドアローンとする、又はイントラネット若しくは特別な遠隔接続ネットワークを介してRISサーバーと接続することができる。モダリティー取得及びビューシステムは、遠隔ビューア又はPACシステムに接続することができる。PACシステムはEMSから患者情報を取得することができ、EMSはRISサーバーを更新することができ、モダリティービューア及び取得システムも同様である。
【0379】
定量的分析及び物質分解
現行のX線イメージングは、特定の構成要素又は組織の対象領域において2D投影X線イメージと共に、密度情報の測定を得る能力を有しない。したがって、複数のX線イメージを種々の時間で撮る必要がある。一部の用途において、CTスキャナー、MRI、骨スキャン、及び一般のX線イメージはすべて、正確かつ適時の診断を得るため撮る必要がある。
【0380】
1つの構成要素内の対象領域の、構成要素の残りの部分と比較した相対密度及びイメージ、及び/又は、第1の構成要素のものに隣接する若しくは関連する対象領域における異なる構成要素の相対密度及びイメージは、疾患診断、及び/又は物質組成の特徴づけ若しくは識別を示す情報を生成することができる。2DのX線装置を使用して時間においてそうした情報をモニタリングすることは、疾患の初期診断の効率を向上させることができる。本明細書に開示する定量的2DフラットパネルX線システムは、CTスキャナーを置き換えることができ、従来のCTスキャナーで診断可能なすべての疾患タイプに適用可能である。さらに、本明細書に開示する2DのX線装置は、リアルタイムで移動に基づく、及び/又は流体フローに基づく特徴づけを行うことができ、バイオ流体に基づく疾患診断及びモニタリング、並びに/又は他の処置関連作業を可能にする。
【0381】
また、本明細書に開示する2DのX線装置は、時間及び/又は空間において対象の個々の物質における組み合わせた定量的及びイメージ分析を行うことができる。装置は、2つ以上の物質を有する対象の単一の物質内で、イメージ、デンシトメトリー、及び/又は複合分析(人工知能ソフトウェアを使用するものなど)を相関させることができる。また、明細書に開示する2DのX線装置は、外科ガイダンスにおいて骨及び/若しくは他の軟部組織から分離して血管及び/若しくは神経組織を可視化する、並びに/又は、種々の造影剤若しくはX線識別可能特性の物質とコンジュゲートした抗体で標識した又は組織(患部組織又は腫瘍など)を分離する場合など、ある程度重なり合い得る、様々な原子z番号の、又はX線測定可能若しくは識別可能な特性を有し得る、3つ以上の素材を分離することができる。
【0382】
本明細書に開示する装置の例の用途としては、がん診断(浮遊がん細胞、幹細胞、希少細胞、及び異物性対象の位置特定)、循環器系疾患及び病態(冠動脈疾患(アテローム性動脈硬化症)、血管動脈瘤、及び血餅など)、脊椎病態、椎間板ヘルニア、てんかん、脳炎、脊柱管狭窄症(脊柱管の狭窄)を含む神経障害、卒中患者の血餅又は頭蓋内出血、腎臓及び膀胱結石、膿瘍、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎や副鼻腔炎など)、筋肉障害、並びに/又は頭部、骨格系、内臓の損傷を含むことができる。例えば、肺塞栓症又は肺の血餅では、診断のために種々の組織の詳細を観察するため、スパイラルCTが必要とされることがある。しかしながら、2Dフラットパネルを伴う本明細書に開示する方法を使用すると、診断に必要とされる詳細な定量的分析情報を得るために、はるかに低いレベルの放射線を必要とする。種々の疾患の診断のため装置によって提供される他のパラメーターは、例えば、血管部分の寸法、凝塊、不規則性、微小石灰化、特殊物質、又は嚢腫の存在、骨折(疲労骨折、骨折の近くでカルス形成が起こり、骨測定及びその周囲の組織の両方に影響を与えるとき、など)、シンスプリント(正常な骨密度と比較した損傷の領域における非典型的な密度のばらつきと、非患部の骨領域及び健康な組織におけるその均一性とを伴う)、疼痛管理における診断、処置、及び長期モニタリング、領域内の密度の増加、組織含量の喪失、組織片の追加、特定のマイクロ構造、特にCTスキャナー、骨スキャナー、MR、及び/又はデンシトメーターを必要とするような高分解能及び精度及び定量化測定が必要とされる場合に、密度測定及びイメージによる組成及び変化の導出を含むことができる。
【0383】
その結果は、特にCTスキャナー、骨スキャナー、MRI、及び/又はデンシトメーターを通常必要とする場合、最小侵襲外科手術、放射線療法、及び生体組織検査のためなどの外科ガイダンスに使用することができる。また、例の用途は、身体における他の器官、腎臓、手足、目(例えば、インプラント配置)の処置及び外科手術計画及びガイダンス、治療及び処置対応、及び/又は処置後モニタリングを含むことができる。
【0384】
CTスキャナーがあるいは必要とされる、輸送物検査、セキュリティーX線、及び自動X線検査においてなど、産業の場における物質の特徴づけ及び識別では、本明細書に開示する2Dフラットパネルに基づくシステムは、輸送物検査、セキュリティーX線、及び/又は自動X線検査などの産業用途において、対象に包埋される物質又は物体の存在、位置、特徴づけ、及び/又は識別の定量的分析のために十分であるとすることができる。その結果は、特に通常CTスキャナーを使用する必要があるであろう場合に、構成要素、物質、物体の識別及び特徴づけ、故障解析、並びに部品検査に使用することができる。
【0385】
定量的及び高解像度イメージはCTのものと同等とすることができる。任意で散乱線を除去して、2Dフラットパネルイメージによって明らかすることができる詳細及び定量的情報は、例えば、分離した組織イメージ、並びに寸法、密度、及び/又はイメージと相関する及び定量的測定値を含むことができる。
【0386】
対象内の個々の構成要素のイメージ及び定量的測定値は、寸法、組成、厚み、マイクロ構造、形状、形態、同じ構成要素の1つ以上の領域、相対位置、場所などのパラメーター、及び/又は他のパラメーターに基づいて分離、分析することができる。測定は、スタンドアローンとすることができる、並びに/又は、高分解能で、及びリアルタイムで、及び/又は時間区分で、2D及び/又は多次元空間において、対象の残りの部分、及びその相対位置、場所、及び/若しくは他の測定値と、若しくは、密度、及び相対移動、相対位置、寸法、組成、厚み、形状、形態、マイクロ構造、含量の追加若しくは喪失に関して、同じ構成要素の他の領域と比較することができる。
【0387】
図1の装置10の任意の特徴を組み込む図11に示すように、2DのX線装置1100は、X線源12と2DのX線検出器又は検出器組立体14とを含むことができる。
【0388】
対象2は、無機物質又は有機物質と無機物質との混合物とすることができる。対象2は、種々の原子z番号を伴う3つ以上の複合物を有する対象とすることができる。対象の例は、組織又は疑いのある患部組織に特異的な分子標識を含むヒトの身体の部分又は器官を含むことができる。また、対象は、産業的対象、又は検査及び特徴づけされる製品とすることができる。
【0389】
対象2は、X線源12とX線検出器又は検出器組立体14との間に位置することができる。X線源12は制御可能なエネルギーを有するX線を放出することができる。X線源12は、各イメージング操作において連続するパルスを放出することができる。X線源12又はソースモジュールは、より高速なパルスレートでビームを放出することによって、又は特定の設計のビーム、例えば、本明細書に開示する細ビーム若しくは他のものを放出することによって、散乱線の除去を支援することができる。
【0390】
パルスは、対象における分離した物質のより高いレベルの散乱線除去、及び/又はデンシトメトリー及びイメージを得るため、種々のエネルギーレベルとすることができる。平均エネルギーレベルHを有する高エネルギーパルスを放出し、平均エネルギーレベルMでの中エネルギーパルスが続き、平均エネルギーレベルLでの低エネルギーパルスが続くとすることができる。各パルスは、単一の、実質的に変化しないエネルギースペクトルを有することができる。X線検出器14は、コンピューターへの送信に適するデジタルデータのセットに2DのX線イメージ情報を変換する任意の2DデジタルX線検出器とすることができる。X線検出器14は、散乱線干渉を除去する性能を有する又は有しない、従来の検出器又はX線検出器組立体とすることができる。
【0391】
従来の2D(面積)X線検出器は、その出力信号に混ざった所定量の無作為散乱X線を受信することができる。任意で、散乱線除去は、ハードウェア、X線源、検出器、及び/又はアルゴリズム、又は本明細書に開示するものの任意の組合せを使用して行うことができる。また、装置は、散乱線干渉を除去するため、米国特許第5,648,997号明細書及び第5,771,269号明細書に記載される3層検出器構造を任意で使用することができる。X線検出器14が十分に少ない量の散乱線干渉を受ける場合、質的に適切だが、定量的に不正確なイメージング結果をやはり得ることとなり得る。どの程度散乱線干渉が許容されるかは、事例に依存し、事例に特有の分析によって決定することができる。
【0392】
装置1100は、対象2に対してX線源2を移動させるため、動力器を含むことができ、及び/又は対象2に対してX線源12及び検出器14を移動させるため、動力器を含むことができる。任意で、対象は、1つ以上の構成要素又は対象全体を移動させるため、生体又は動物又は内部ロボティクスを有する無生物の対象の場合など、自発的に移動し得る。
【0393】
装置1100を使用して生成するイメージは、PET若しくは光学イメージング、MRI、及び/又は超音波若しくは音響若しくは光音響イメージング方法によるなど、他のモダリティーを使用するイメージとともに共配置することができる。生成するイメージは、血行力学的特徴及び/又は循環血管疾患を検査するためトレーサーとして粒子、例えばマイクロ気泡を使用してフローを測定するためにX線粒子画像流速測定を含むことができる。2DのX線検出器を使用する場合、重なり合う組織及び散乱線が可視性及び定量化特性を低下させるとき、フロー分析は、深部組織液体フロー測定に使用することができる。
【0394】
装置は、z軸変位又は2Dフラットパネルに基づくイメージング方法の3D取得を必要とするため個別の視野角を有する2つの検出器パネルを利用する立体粒子画像流速測定法(PIV)に使用することができ、これは、多次元表現を得ることにおいてCTスキャナーより高速であり、3D空間においてフローの流速を得るために十分に高速とすることができる。PIVは、流速測定のため組織の分離及び時間における測定と組み合わせることができる。装置は、インターフェログラムに基づく方法を使用してホログラフィーに使用することができる。
【0395】
装置は、骨量密度イメージb(x、y)、軟部組織イメージs(x、y)、及び/又は第3物質量密度イメージp(x、y)、若しくは分子標識組織量密度イメージp(x、y)を含む3D組成イメージを生成するため、スペクトルデータ分解方法を適用することができる。また、この方法は、位置、密度、及び/又はイメージ(腫瘍サイズ又は患部組織サイズなどの形態及びイメージの寸法を含む)における、個々の構成要素の対象領域、及び対象の他の構成要素に対する構成要素の相対的な組成、密度、及び/又はイメージ情報を分析することを含むことができる。
【0396】
単一、2重、若しくは3重エネルギー又は多重エネルギーのX線源を含む装置は、異なる位置から及び/又は様々な時間で対象の1つ以上の2Dイメージを撮ることができる。2DのX線検出器は、X線源からX線を受けると、透過X線に含まれるイメージ情報を電気信号に変換して、コンピューター又は図1に示すプロセッサーなどのプロセッサーに送信することができる。
【0397】
X線イメージング装置は、産業用途において約15KeV~200KeV又は500KeVの範囲の平均エネルギーを有するエネルギースペクトルのX線を放出するように構成されたX線源を含むことができる。
【0398】
装置1100は、例えば、現場における使用に適する、及び持ち運びバッグに梱包可能であるような、低kwX線発生器又はナノチューブに基づく冷陰極X線源を使用して、携帯型とすることができる。そうした装置はバッテリー作動することができる。
【0399】
X線源の後の回折格子(図15E参照)又はビームスプリッターは、疾患の診断において血液及び他のバイオ流体の流速を測定するために散乱及び/又は1次X線のインターフェログラムを生成するため、装置1100に追加することができる。PIVは、流速測定のため組織の分離及び時間における測定と組み合わせることができる。
【0400】
外科ガイダンスの例
2Dフラットパネルに基づく従来の2Dイメージング方法は、質的性質のものであるが、散乱線のため十分に定量的性質のものではない。結果として、2Dイメージを3DのCTスキャナーからの3D定量的イメージにマッチングさせるため、空間的構造をフレーム構造として使用することができるが、このマッチングは正確でないことがある。確実なリアルタイムの位置決めを行うことはできない。立体X線イメージングは、少なくとも2つのX線源、及び2つのソースのそれぞれのための2つの独立した検出器でなすことができるが、そうした構成は、高放射線レベルをもたらし得、3DのCTスキャナーが定量的イメージを生成する一方、質的である2Dイメージの性質のため、マッチングにおいてやはり正確ではない。
【0401】
マッチングにおける不正確性のため、特に患者が動くとき、携帯型の3DのCTスキャナーは手術室で使用され得る、又は3DのCTスキャンは手術用具、インプラント、及び/又は他のもののトラッキングのため手術時に繰り返す必要がある。また、これは、はるかに高い放射線レベルをもたらす。同様の状況が、処置後モニタリング時に起こり得る。
【0402】
3DのCTスキャナーを繰り返し使用することは、放射線レベルによる安全の問題であるだけでなく、費用がかかり非効率である。さらに、CTスキャナーは、CTイメージング及び構築を完了するために必要とされる時間に起因して、流体特性又はフロー特徴をモニタリングするのに適しない。
【0403】
本明細書に開示する2DのX線装置は、診断、及び外科的処置を含む処置、処置後モニタリング、及びより具体的には、呼吸及び他の患者の動きにより処置時に移動したターゲット領域の位置の、若しくは対象のターゲット、例えば心臓弁などのインプラントのターゲット領域、脊椎の変形領域、インプラント、ステント、がん細胞、細胞マトリックス、分子及び細胞構造、組織、血管のフロー動態及び血管、高周波(RF)焼灼術、レーザー手術若しくは結石形成などの装置若しくはエネルギー処置及び治療ターゲット又は薬物治療ターゲットの位置及び動的な生理学的及び物理的特徴のトラッキング、又は生体組織検査ニードルの位置決め、又は光音響若しくは非線形顕微鏡、OCT、超音波若しくは内視鏡検査を含む光学生体組織検査、PET及びMRI、及び磁性粒子に基づくイメージング技術、分光法及び干渉計などの他の高分解能イメージング及び電磁気若しくは超音波、RF波に基づく技術でのイメージングガイダンス若しくは共配置、の正確性及び有効性及び安全性及び速度を向上させることができる。また、本明細書に開示するX線装置は、産業用途、例えばロボット及びドロイドのトラッキング並びに製造プロセス並びに工業プロセス及び/又はハードウェア分析、に使用することができる。
【0404】
インターフェログラムなどの定量的2DのX線イメージ及び定量的2D方法に基づく他のX線イメージング方法を使用するボリューム領域における1つ以上の構成要素のイメージング及び特性測定ための方法、並びに多重エネルギースペクトル吸収測定などの他の測定可能な特性、並びに/又は同様のものにより、イメージが、定量化可能なデータ、例えば密度、組成、フロー特性、及び流体動態、動的特性、存在、欠如、位相、及び/又はコヒーレンスを提供することを可能にする。イメージング及び/又は測定は長時間とすることができる。
【0405】
本明細書に開示する2DのX線装置は、以下のプロセスを使用してトラッキングするためリアルタイムで2D検出器を使用して3Dイメージを生成することができる。内部ターゲットを含む対象領域における1D、2Dイメージ又は多次元ボリュームイメージのデータ点を生成するため、複数の第1測定値を生成することができる。そうした複数の第1測定値は、それぞれが特定の持続時間若しくは同時である、1つ、2つ、若しくはそれ以上のエネルギーレベルを有する単一パルスによって、又は種々のエネルギーレベルの2重若しくはそれ以上のパルス若しくはチューナブル波長パルスによって生成される2重又は多重エネルギー測定のものとすることができる。第1測定値は、選択領域の1D、2Dイメージ、又は空間的に互いに対して分布させたX線細ビーム投影データ点の1つ又はセット、又は細ビーム投影データ領域のデータセット、又はインターフェログラムとすることができる。動的移動を位置決め、トラッキング、及び特徴づけるため、第1測定値は、例えば6自由度(6D)で空間において及び対応する時間区分において、対象領域の構成要素の移動をトラッキング及び特徴づけるように、動的移動周期又は動的移動の持続時間で1回以上サンプリングすることができる。
【0406】
そして、対象領域のライブ測定値はトラッキング時にサンプリングすることができる。ライブ測定値は、動的移動において第1測定値のものと同じ、又はより高速な又はより低い頻度のものとすることができる。各ライブ測定値は、1つ以上の1D若しくは2Dイメージ、X線細ビーム照射からもたらされる1つ以上のデータ点若しくはデータ領域、又は1D及びデータポイント及び選択データ領域における測定値のセットを含むことができる。
【0407】
第1及びライブ測定値は定量的イメージであり、対象領域の一部が低散乱線干渉又は最少の散乱線干渉を生成する、又は本明細書に開示する技術のいずれかを使用して任意で散乱線を除去して生成される。各ライブ測定値又は各ライブ測定値からの分解データは、第1測定値、様々なエネルギーレベルの抽出データポイント、又は選択データ領域、又は1D、2D、若しくは多次元若しくは3D若しくは4D若しくは6D若しくは7Dの選択した表示、又は静的な位置及び時間に対応する動的移動の位置からの複数の第1測定値によって再構成される多次元イメージボリュームデータから生成される対象領域における様々な物質及び構成要素のエネルギー分解データポイント、1D、2D若しくは多次元イメージ、3D若しくは4D若しくは6D若しくは7Dイメージのものを含む合成データセットの1つとマッチングさせることができる。マッチングは、空間構造、フロー特性、構成要素同士の間の相対距離、並びに相対空間位置、並びに/又は6D方向における方向、組成、並びに/又は密度、時間マーカー、並びにフロー及び流体の動態及び方向に基づくマッチングを含む。対象領域を通過する照射パスによる構成要素の1つ以上のデータ点、又はデータ領域の、又は1D線形イメージの1つ以上のスペクトル又は単一エネルギー測定値を使用してマッチングさせる場合、速度を有意に改善することができ、1つの特定の領域に対する放射線レベル又は総放射線レベルを、特にそうした測定値が各回で生成される異なる照射パスのものであるとき、著しく低下させることができる。
【0408】
装置は、内部ボリューム部又は空隙内に配置可能な小型X線源を含み、第1及びライブ測定値のすべて又は一部を生成することができる。また、後付けキットは、本明細書に開示するようなトラッキングを行うため、既存のX線撮影システムを変えるように使用することができる。装置及び方法は、先払い料金なしで適切な病院及びクリニック、外科センター、イメージングセンター、及び管理治療機関に提供することができる。利用者は、イメージを撮るたびに並びに/又はそうしたイメージを診断、前処置計画、処置、モニタリング、及び処置後評価に利用するときのみ請求される。
【0409】
本開示において、「ターゲット」(図16のターゲット110参照)は、処置(例えば、外科、又はロボット工学、放射線、エネルギー、及び薬剤)が対象とする領域、又は診断の場合、診断のもとにする領域である。「ターゲット」は、インプラント又は手術用具の領域とすることができる。「ターゲット」は、コンピューター又はユーザーによる対象領域の選択領域及びその周囲領域とすることができる。ターゲットは、投影イメージを生成するためX線ビームが照射され得る対象の構成要素を包囲する隣接する領域を含む領域を指す「対象領域」に包埋することができる。対象領域は、1つ以上のターゲット及びその隣接する領域を含むことができる。
【0410】
「構成要素」(図16の構成要素120を参照)は、所定の定量可能なパラメーターのセットによってX線イメージング及び/若しくは定量的測定によって識別することができる、並びに/又は、この定量可能なパラメーターのセットに基づいてターゲット内で異なる構成要素から識別することができる、ターゲット内の領域である。ターゲットは1つ以上の構成要素を含むことができる。
【0411】
本明細書に開示する「細ビーム」(図17の細ビーム400参照)は、画素の整数倍のものの視野を有するX線ビームである、又はそうした細ビームは、検出器の少なくとも1つの画素の活性領域において検出可能な信号を生成することができる。典型的に、細ビームは、隣接する細ビーム間における少なくとも1つの画素ピッチの間隔で選択することができる。X線細ビームを使用してボリューム領域における1つ以上の構成要素の特性をイメージング及び測定するとき、各回で、X線細ビームは構成要素の様々な部分を照射することができる。1つ以上の細ビームは、測定に基づいてシミュレートしたデータを合成するため及び6Dにおいて構成要素又は対象領域又はターゲットを位置決めするため基準点として機能するように基準点対象領域における複数の異なる構成要素を照射することができる。細ビームは、投影パスにおける対象領域を照射して検出器における信号を生成するX線ビームを指すものとすることができ、検出器に投影される信号の幅は、1mm~約10mmの直径寸法とすることができ、「ミニビーム」と呼ばれ、1μm~1mmの直径寸法とすることができ、「マイクロビーム」と呼ばれ、0.01nm~1μmの直径寸法とすることができ、「ナノビーム」と呼ぶことができる。典型的には、X線細ビームは、散乱線干渉なく、又は最少の散乱線干渉で、検出器においてX線測定値を生成する。好ましくは、細ビームの投影パスは、信号が検出器における活性領域の中央又は画素ピッチの中央を中心として画素領域の少なくとも1つの画素ピッチを満たすように、X線放出位置及び検出器に対するその空間位置及び次元においてキャリブレーションされる。2つ以上の画素に投影される場合、同様に、投影パスは、投影される細ビームが2つ以上の画素を完全に満たして隣接する画素にはみ出さないように、キャリブレーションされる。
【0412】
「第1測定値」は、対象領域をX線コーンビーム、ファンビーム、又は1つ以上のX線細ビームで照射することによって生成される、検出器におけるX線信号である。
【0413】
「第1イメージ」は、2DフラットパネルX線検出器を使用して測定値及びイメージから導き出される1D、2D、3D、又は4Dイメージ及びインターフェログラムであり、フラットパネル検出器でのX線全視野イメージングは、X線顕微鏡、スペクトル測定、スペクトル吸収測定、若しくはより高速なフレームポイント、線形、及び小型若しくは大型の2D検出器、並びに/又はエネルギー感応検出器、シリコンドリフト検出器、X線分光器、上流シンチレーターがX線を可視光に変換するとき可視カメラと組み合わせることができる。第1イメージは、CTスキャン、磁気共鳴画像法、及び超音波及びPET又は光学イメージング又は光学分光法又は音響光学(光音響)磁性粒子、他の物理的性質測定技術及びシミュレートデータを含む他のイメージングモダリティーの1つ以上から導き出す、又はそれらと同期して、若しくは同じ時間枠で測定することができる。
【0414】
「ライブ測定値」又は本開示において「第2測定値」として呼ばれることがある「ライブ測定値」は、診断、処置、モニタリング、又はトラッキングプロセス時に、対象領域をX線コーンビーム、ファンビーム、及び/又は1つ以上の選択スライスビーム、若しくは1つ以上のX線細ビームで照射することによって生成される、検出器におけるX線信号である。「ライブ測定値」は、時間依存的に、及びしばしばリアルタイムで、検出器における選択した投影X線データをサンプリングすることができる。構成要素、ターゲット、対象領域、及び対象のライブ測定値は、第1測定値及び/若しくは第1イメージ、又はデータ点、データ領域、1Dラインイメージ、2D及び多次元イメージ、第1測定値及び/若しくは第1イメージのデータセットから再構築した多次元イメージから3D及び4D若しくは6D若しくは7Dイメージの形態における合成表示をマッチングさせるために使用することができる。
【0415】
「定量的2Dイメージ」は、対象領域の測定値である2DのX線イメージであり、ここで、1)対象領域は低散乱線物質のものである、若しくは用途の要件は測定されるX線イメージが定量的分析に使用され得る任意の種類の検出器からのものであるようなものであり、2)散乱線及び1次X線の分離若しくは識別の方法及び装置を使用することができ、その一部は、散乱線が非常に小さいイメージを得るように本明細書に記載されている、3)例えば、超高速X線源、検出器のペアを使用するもの、若しくは調整した1次X線イメージング方法によるものなど、他の1次X線イメージング方法を使用する、並びに/又は4)使用するX線システムは、用途における定量化分析に十分であるシミュレートした散乱線データ若しくはアルゴリズム方法で散乱線除去をする。
【0416】
「1D測定」は、スライスするように対象領域を照射するために選択される1つのスライスのX線ビームによって検出器に投影されるラインイメージである。ラインイメージの最小幅は、少なくとも1つの画素で検出器において信号を生成するようになすことができる。ラインイメージの長さは、1画素を超えるとすることができる。典型的なラインイメージは、1つ以上の画素ピッチ幅、及び選択した1Dビームプロファイルで対象領域を照射するX線ビームの投影1D測定の長さを有することができる。1D測定は定量的測定であり、さらなる分析に利用可能な定量的データを向上させるため散乱線除去で処理することができる。また、1D測定は、スライスした投影パスのすべての画素の、又は検出器における1D投影スライスに沿って分布した2つ以上の画素の測定値を含むことができ、各画素はそのすぐに隣接する画素測定値から少なくとも1つの画素だけ分離することができる。
【0417】
「データ点」は、対象領域を照射するために1つのX線細ビームによって検出器に投影されるデータ点である。データ点は、検出器の少なくとも1つの画素から収集される信号を含むことができる。投影パス及び検出器における画素の空間位置、すなわち「データ点」は、所定の又は決定されたものであり得る投影ビームの信号を収集する。各ビームが検出器における画素の中心に投影される、又は画素群の中心に投影されるように、X線細ビームを選択することが好ましい。典型的に、データ点は最小の散乱線干渉を有することができる。
【0418】
「データ領域」は、対象領域を照射するために選択される1つのX線細ビームによって検出器における2つ以上の連結した画素に投影されるX線細ビームである。データ領域は、種々の形状及び寸法のものとすることができる。各ビームがデータ領域における画素群の中心に投影されるように、X線細ビームを選択することが好ましい。典型的に、データ領域は最小の散乱線干渉を有することができる。
【0419】
「4Dイメージ」は、同じ構成要素若しくはターゲット若しくは対象領域若しくは対象の他のイメージ若しくは測定値、又は外部基準若しくはセンサーに対する相対的又は絶対的時間基準を伴う、3D又は多次元イメージを指す。
【0420】
「6Dイメージ」は、そのx、y、zの3Dボリューム、並びにピッチ、ヨー、及びロールにおけるその空間方向を表す、構成要素又はターゲット又は対象領域又は対象の多次元イメージを指す。
【0421】
「7Dイメージ」は、特に、このイメージの前後の時間の測定値に対して、又は他の構成要素若しくは対象領域若しくはターゲット若しくは対象若しくは外部基準若しくはセンサーに対して、相対的又は絶対的時間基準を伴う、その6Dイメージを表す、構成要素又はターゲット又は対象領域又は対象の多次元イメージを指す。
【0422】
「合成した、又はシミュレートした」イメージ及び/又はデータは、以前の測定値又は既存のデータ又は所定の特性値からデータを導き出すことを指す。例えば、構成要素のX線データ点において、1つの領域の骨組織のセグメント1が同じ骨の異なる構成要素、セグメント2と類似するデンシトメトリー測定データを有し得るとき、セグメント1の寸法データはセグメント2の以前の測定値から導き出すことができる。セグメント1の厳密なX線測定値及び寸法並びにセグメント2に対する相対位置は、以前の測定値又は既存のデータベースから導き出すことができる。セグメント1及びセグメント2の骨組織の6D及び7Dの位置決め及びトラッキングは、合成データから抽出することができる。また、2つの構成要素は、異なる組織タイプ又は物質タイプのものであり得るが、相対位置は保持することができる。対象の1つの構成要素の1つの特性と第2の構成要素の特性との少なくとも1つの確定的な直線関係が存在する限り、第2の構成要素の細ビーム投影データ点の測定値は、対象の構成要素であるの第1の構成要素のシミュレートされる特性の導出、ゆえにトラッキング及び位置決めのための基準点として機能することができる。
【0423】
「スペクトル測定」は、対象領域にわたって2つ以上のエネルギーレベル又は2つ以上の波長でX線測定値を生成する方法に関する。生成されるX線信号は、一般的に、点の寸法、2Dデータ領域、又は1Dライン領域、又は2Dイメージ又は多次元イメージ及び3Dイメージにおける測定値である。そうした測定値をエネルギー分解するとき、様々な物質又は構成要素が定量的に分離される。典型的に、スペクトル測定は、低分解能イメージング設定における、又は高スペクトル分解能の、多数の波長若しくはエネルギーレベルの、及び/又は小領域若しくはポイント若しくは1Dライン領域における、測定を表す。スペクトル測定は、画素ピッチのみ、又は寸法が画素ピッチに近い投影パスにおいて行うことができる。
【0424】
「スペクトル吸収測定」は、対象領域にわたって2つ以上のエネルギーレベル又は2つ以上の波長でX線測定値を生成する方法に関する。生成されるX線信号は、一般的に、点の寸法、2D領域、又は1Dライン領域、又は2Dイメージ又は多次元イメージ及び3Dイメージにおける測定値である。そうした測定値をエネルギー分解するとき、様々な物質又は構成要素が定量的に分離される。スペクトル吸収測定は、低空間分解能の測定値を表すことがある。スペクトル吸収測定は、1D及び2Dフォーマットにおける低空間分解能及び高スペクトル分解能の測定値を表すことがある。典型的なスペクトル吸収測定分解能は、DXAなどのスキャン型線形吸収測定のものと類似し得る。
【0425】
「スペクトルイメージング」は、X線での1つを超えるエネルギー又は波長レベルで測定される、1D又は2D又は3D又はより高次元においてX線イメージを生成する方法を指す。典型的に、スペクトルイメージングは、空間的に比較的高い分解能、スペクトル測定より比較的低い分解能、「スペクトル測定」のものより比較的大きいイメージング領域をもたらす、イメージング方法を表す。任意で、スペクトルイメージング又はスペクトル吸収測定又はスペクトル測定の方法を使用する最も高い性能のシステムの空間及びスペクトル分解能は、類似する又は同じとすることができる。しかしながら、様々に実際的に考慮すると、各構成は本開示の典型的な場合に互いに異なり得る。
【0426】
「X線細ビーム」は、検出器における信号を生成する投影パスにおける対象領域を照射するX線ビームを指し、検出器に投影される信号の幅は、>mmの直径寸法とすることができ、「ミニビーム」と呼ばれ、1μm~1mmの直径寸法とすることができ、「マイクロビーム」と呼ばれ、0.01nm~1μmの直径寸法とすることができ、「細ビーム」と呼ぶことができる。典型的には、X線細ビームは、散乱線干渉なく、又は最少の散乱線干渉で、検出器においてX線測定値を生成する。好ましくは、細ビームの投影パスは、信号が検出器における活性領域の中央又は画素ピッチの中央を中心として画素領域の少なくとも1つの画素ピッチを満たすように、X線放出位置及び検出器に対するその空間位置及び次元においてキャリブレーションされる。2つ以上の画素に投影される場合、同様に、投影パスは、投影される細ビームが2つ以上の画素を完全に満たして隣接する画素にはみ出さないように、キャリブレーションされる。X線の細ビームは例えば、直径が0.01nm~10mmとすることができる。細ビームは、直径がmmの整数倍であるとき、ミニビームと呼ばれ、又は直径がμmであるとき、マイクロビーム、直径がnmであるとき、細ビームと呼ばれる。細ビームは、その隣接するビームから離れており、対象領域を照射して、検出器において個々の投影イメージ及び測定データ点を生成することができる。
【0427】
対象領域における「選択領域」は、ユーザー又はプロセッサーのデジタルプログラムが全視野X線イメージングの結果に基づいて、又は所定の、又は無作為に選択する対象領域より小さい領域を指す。選択領域は、X線源の下流でコリメーター又は選択される透過領域を有するように組み合わせた複数のコリメーターリーフを組み合わせることによって選択的に照射することができる。又は、選択領域は、X線を放出するために選択領域を有するアノードから生成されるX線のみによって照射される。又は、X線源又はX線放射線が対象に対してx、y、z軸のそれぞれの周りを回転する、対象に対して3D空間において移動する、及び/又はX線ビーム出力の領域を制限するコリメーターと組み合わせるとき、選択領域が照射される。選択領域は、各領域が構成要素及び/又はターゲット及び/又は対象領域の一部である、同じ領域又は異なる領域を照射することによって構成要素及び/又はターゲットをトラッキングするために使用することができる。
【0428】
本開示における「フラットパネル」検出器は、2次元軸の少なくとも1つにおける寸法が1cmより大きくなるような、2D検出器を指す。典型的に、そうした検出器は、少なくとも数cmのxy寸法である。
【0429】
本明細書に記載するような構成要素、ターゲット、及び対象領域のトラッキング及び静的位置測定は、第1測定及びライブ測定において移動可能なX線源又は複数のX線源を使用することができる。測定は、診断のため多次元イメージを再構築し、第1測定からの抽出データ点、データ領域、1D、2D及び3D及び4D及び6D及び7Dイメージを、多次元イメージから生成されるライブイメージにマッチングさせるために使用することができる。小型X線源を使用するとき、ソース及び検出器は、例えば、歯科又は腎臓又は腸、又は内臓、又は内腔測定において、第1測定及びライブ測定のためのソースとして使用するため、ターゲットに近接して、例えばヒトの体腔内に、配置することができる。
【0430】
本明細書に開示する装置は、対象における対象領域の他の部分に関連する空間データを報告することができる。例えば、脊椎手術時に、装置は、外科プローブ又はロボットツールから神経及び/又は血管への距離を報告することができる。そうしたデータは、整形外科又は脊椎手術において手術用具をガイドするため入力信号を提供する、並びに/又は操作装置及び/若しくは外科医に警告するため視覚的に及び/若しくは聴覚的に表示することができる。
【0431】
本明細書に開示する装置はより高速にマッチングすることができる。例えば、インプラント及び/又はツールは放射線透過性マーカー又は他のタイプのマーカーを有することができる。ゆえに、製造者は、X線イメージにおけるインプラントのサイズ及び設計の3D表現を提供することができる。任意で、インプラント及び/又はツールの材料及び設計に基づいて、3DのX線イメージをシミュレートすることができる。
【0432】
本明細書に開示する装置は、順に細ビームの相対照射位置を提供することができる。本明細書に開示する装置は、対象、ターゲット、対象領域及び構成要素のリアルタイムの多次元イメージを提供するため、1つ以上のX線源を利用する、又は1つ以上のX線放出位置を利用することができる。X線源又はX線放出位置は、それぞれ隣接するX線源又はX線放出位置から画素サイズの分数、1画素サイズ、又は画素サイズの整数倍とすることができる。あるいは、X線源の放出位置は、ターゲットに隣接する特定の組織領域では、放射線レベルが低下して、新たな未知の画素が導入されないように、ターゲットの別の隣接する領域を照射するが、なお対象領域内を照射するように設計することができる。第1測定から導き出されるデータセットは、迅速なルックアップ及びマッチングのために使用することができる。本明細書に開示する装置は、第1イメージでのX線細ビームからの測定データセットを向上させるとともに、予想可能であるように細ビームの位置をずらすことで放射線を低減するように、高速にすることができる。構成要素の様々な領域は、連続的に、及び互いから既知の空間相対距離で照射される。構成要素の3Dボリューム領域のためのX線測定データの記憶データプールに対するマッチングを、迅速に行うことができる。
【0433】
また、第1イメージセット又は再構築される多次元イメージ又は抽出される1D、2D及び3Dイメージのデータベースにおけるより高速なマッチング又はルックアップは、構成要素を照射するX線細ビーム又はX線ファンビームのおおよその位置及びパスを予測することで、関連領域の第1の測定データ、又は第1測定からの抽出データ、又は合成及びシミュレートされるデータ、又はAI方法から生成されるデータを含むデータベースにおけるルックアップの範囲を限定するため、幾何学形状、X線源からのX線ビームと検出器との相対空間位置関係をキャリブレーションすることによって得ることができる。
【0434】
また、より高速なマッチングは、各構成要素のサイズ、したがって可能な細ビームパスのデータベース、又は構成要素のポイント、データ領域、及び1D及び2DイメージのX線測定のデータベースを限定することで、なすことができる。
【0435】
各X線ビーム投影データ点又は画素領域が定量的データを保持するので、マッチングはまた、各ビームが照射する構成要素の物質タイプ又は組成を導き出すように投影データを分解することでなすことができる。例えば、特有の解剖学的部位、並びにその特有の位置及び/又は方向ための抽出イメージデータセットは、データベースルックアップを、少数のデータセットに限定することができる、又は、ライブイメージのイメージングための対象領域若しくはターゲット若しくは構成要素の全体的なボリュームを限定及び/若しくはさらに減少させて、ゆえに放射線量を低下させる可能性があるとすることができる。
【0436】
任意で、第1イメージから構築される3次元イメージからの抽出2Dイメージが、対象領域の同じ投影パスにおいて2Dイメージにおける対応する低エネルギーを有する単一エネルギー(例えば、高単一エネルギー)のみから構築することができるとき、各X線細ビームは、単一エネルギーのものとすることができる。結果として、1つの単一エネルギーライブX線イメージは、投影ビームパスに沿う種々の物質の位置、密度、及び他の定量的情報を導き出すために十分であるとすることができる。例えば、照射されるX線パスにおける構成要素又はターゲット及び対象領域の骨及び軟部組織の組成を抽出することができる。本明細書に開示する物質分解及び/又は識別の任意の方法を使用することができる。例えば、インプラント又は手術用具又は成分を造影剤で標識することができる。
【0437】
フィルターを使用するKエッジ測定、又はしばしばX線源と対象との間のKエッジ符号化開口を含むことができる。特に、ソースとしてX線細ビームを使用して、データ点、データ領域、1D及び小2D領域を測定するとき、散乱線干渉は小さい。Kエッジフィルターでの第1及びライブ測定を使用することができる。さらに、低散乱特性を有する対象領域において、Kエッジフィルターを使用することもできる。
【0438】
一部の例において、トラッキングは、診断及び検査時、処置前、処置時、及び/又は処置後において、実行することができる。処置前に、本明細書に開示する定量的2Dイメージからのもの、又はCTスキャンを含む他のモダリティーのデータであり得る、少なくとも2つの2Dイメージを測定することができる。各2Dイメージは、呼吸周期又は心拍動周期又は対象に存在する対象領域に関する他の動きなどの動的動きの周期又はプロセスにおける時点に対応することができる。一連の2Dイメージのそれぞれは、実際の2Dイメージ又は実際の2Dイメージ及びコンピューター抽出2Dイメージの組合せとすることができる。ライブイメージとのマッチングのため2Dイメージを抽出するため、少なくとも2つの定量的な2D第1イメージを撮る。そして、2D合成イメージは、実際の2Dイメージから抽出し、処理することができる。各2Dイメージは、ターゲットの位置及び/又は方向を示す。
【0439】
トラッキングを必要とする時間区分時に、1つのライブ定量的X線イメージ、又は多次元X線イメージ、又は1つ以上の投影細ビームデータ領域、又は2つ以上のライブ細ビーム投影データ点を、動的移動時に個別の時間間隔で測定することができる。多次元定量的X線イメージは、少なくとも1つの検出器、及び対象及び検出器に対する少なくとも2つの異なるX線放出位置によって生成することができる。ライブ定量的X線イメージ又は細ビーム投影データ点を、少なくとも1つの検出器及びX線源からの1つのX線放出位置によって生成することができる。2つ以上のX線源、及びX線投影イメージを収集する、対応する1つ以上の検出器は、多次元イメージ、又は種々のエネルギーレベルでのスペクトルイメージ、又はターゲット周囲領域における放射線量の低下をなすために使用することができる。構成要素は、X線測定において明らかに観察されないことがある。しかしながら、構成要素のトラッキング及び6D位置決めは、時間におけるライブ測定を、第1測定又は第1イメージ又は抽出データ点、第1測定の再構築多次元イメージからの1D、2D及び3D及び4Dイメージ、並びにデータ点、データ領域、1D、2D、及び多次元のイメージと比較することで決定することができる。
【0440】
また、構成要素、ターゲット、及び対象領域の最良にマッチングする投影イメージに関連する視野角に基づいて、ライブX線測定を行うときに対象が存在する厳密な角度又は移動を決定することができる。対象(患者の身体など)の移動/回転移動、並びに、呼吸、心臓に関する現在の生理学的状態、及び対象の移動に関与する他の関連生理学的状態の両方を、ライブX線測定値から推測することができる。処置又はトラッキング時のX線投影測定にのみ必要とされる、基準マーカーはこの処置のためにインプラントされる必要がない。
【0441】
第1及びライブX線イメージ及び測定は、ターゲット若しくは対象領域の物質分解及び任意で散乱線除去のために共に、それぞれが異なるエネルギーレベルでのX線ビームの2つのパルス、若しくは3つのパルス以上のパルス、又はチューナブルエネルギーパルス源、又は多重エネルギーレベルのパルスで行うことができる。
【0442】
あるいは、X線源が1つ又は2重又は3重以上のエネルギーレベルのパルスを生成するとき、X線測定は、1つ以上のパルス時に様々なエネルギーレベルにおいて行うことができる。エネルギーレベル同士の間の移行は、漸進的又は即時とすることができる。1つのパルスの波長及び/又はエネルギーレベルは、次のものとは変えることができる。例えば、2つのパルスのセットは、発生器によって生成される2つの異なるエネルギーレベルを有する第1パルスと、第1パルスの2つのエネルギーレベルとは異なり得る1つのエネルギーレベルを有する第2パルスとを有することができる。
【0443】
任意で、第1パルスのエネルギーレベルは低とすることができ、第2パルスのエネルギーレベルは中から高とすることができる。第3パルスのエネルギーレベルは高から中とすることができる。第4パルスのエネルギーレベルもまた低とすることができる。
【0444】
第1及びライブX線測定値を生成するためのパルスのエネルギーレベルは、ターゲット若しくは対象領域の物質分解及び/若しくは散乱線除去、並びに/又は非標識若しくは造影剤標識領域の組成の定量的分析に必要とされるものによって決めることができる。
【0445】
本明細書に開示する装置のハードウェアの空間位置は、ビームセレクターを組み合わせたデュアル検出器を使用するなどの本明細書に開示する方法を使用するなどの散乱線除去のキャリブレーションとすることができる。ライブX線イメージを撮る前に、3D空間におけるソースに対する、任意で検出器を伴うビームセレクターの相対位置を、散乱線除去プロセス及び取得データをより正確にすることを確実にするようにキャリブレーションすることができる。そうしたキャリブレーションは必要に応じてなすことができる。また、検出器及びX線源が所定位置に固定される場合、キャリブレーションは、各対象測定の前に行うことができる。キャリブレーションは手動である、光に基づく、モーター式である、及び/又は他の機械的若しくは視覚的方法に基づくことができる。一部の用途において、そうしたキャリブレーションは任意とすることができる。
【0446】
また、キャリブレーションは検出器読み取りの速度を向上させるために使用することができる。X線源及び検出器がキャリブレーションされる場合、X線サンプリングの各回において、検出器における選択される画素のみを、特定の照射位置に対応して読み取ることが必要となる。
【0447】
装置は、X線量を低減するため閉ループフィードバックシステムを含むことができる。対象領域におけるターゲットのための第1イメージ若しくは第イメージの第1セット、又は対象領域の第1イメージ、又は2重若しくは多重エネルギーレベルでの第1イメージに基づいて、対象領域におけるX線ビーム放射線出力レベルを調節し、5X線ビームを、可視化及び定量的分析の目的で取得データを含むことなくその後の第1測定及びライブ測定のために、入力X線量を極力少なくするように対象領域若しくはターゲットのみを照射するために空間的に調節される。10
【0448】
図16に示すように、例のコンピューター制御エネルギー処置装置100は、ガイドワイヤ及びカテーテル104を含むことができる。処置装置100は、イメージに基づく外科ガイダンスシステムを提供するため本明細書に開示するX線システムと組み合わせることができる。
【0449】
X線源12は、対象16における対象領域110に配置されるターゲット130に含まれる構成要素120を照射するX線ビーム30を生成する。投影X線30は検出器14においてイメージを形成する。プロセッサー(図1Aにおけるプロセッサーなどの)を含むことができるコンピューター装置102は、エネルギー処置を行うように、エネルギー処置装置100を制御する。カテーテル104は、ターゲット110内の構成要素120に到達するように、対象16をプローブすることができる。
【0450】
図16におけるX線源12はX線ファンビームを提供することができる。図17において、X線源12は多重細ビーム400を提供することができる。変調器(パターン化マスク、又はコリメーターとも呼ばれる)24は、検出器14において検出領域を形成することができるX線細ビーム400を選択的に透過させるために使用することができる。図18に示すように、これらの領域は、コリメーター501、502、及び503におけるそれぞれ401、402、及び403として示す位置とすることができる。
【0451】
任意で、スキャン型X線源は、それぞれ異なる時間において、401、402、及び403となどの2つ以上の領域で、ターゲット110を照射するようにコリメーター24上をスキャンすることができる。
【0452】
上述のように、多重X線細ビームは、ビーム吸収体又は図17若しくは図15Bにおけるコリメーター24などのビームセレクターマスクを組み合わせた単一X線源を使用して対象領域を照射するように選択することができる。ビームのそれぞれは、検出器における1つ以上の画素によって検出することができる。コリメーター24は、所定の領域がX線ビームを透過させ、他の領域がX線を完全に不透過とすることを可能にする。
【0453】
本明細書に開示する任意の例などの、コリメーターの種々の位置及びパターンは、特定の位置における組織への放射線量を極力少なくするため様々な時間で透過ビーム位置を選択するように使用することができる。例えば、放射線療法において、10秒毎に2Dイメージを撮って、ターゲットの位置を更新することは一般的である。各2Dイメージが1つのX線細ビーム(若しくは1DのX線スライス投影ライン、若しくは多重X線細ビームによる構造化照射)、及び/又は各回で、様々な透過位置(若しくは回転するなど移動する透過パターンを有する(図19参照)、若しくは3D空間において移動するマスク)を有する異なる構造若しくはマスクによって置き換え、次のX線測定、イメージングプロセスにおけるその後の測定と比較して、ターゲットの様々な領域及び周囲領域を照射するX線細ビームがもたらされる場合、総放射線量は、照射領域において低減される又は極力少なくすることができる。
【0454】
放射線療法において、放射線療法エネルギー発生器はX線源として使用することができる。
【0455】
図18に見受けられるように、様々なコリメーター501、502、503はそれぞれ、第1イメージ及びライブイメージのための測定データを生成するためターゲットの様々な領域を照射するようにX線を選択的に透過させるためX線源12の下流に配置することができる。また、各データセットは、様々な時間に測定される同じ構成要素のX線データセットを表すため使用することができる。コリメーターのそれぞれは、入力X線パスの内外に配置することができる。401のためのビームパスは、402のもの及び403のものとは異なるので、各ビームパスにおける組織領域は一度、又は総サンプリング回数と比較して限定回数、照射されるのみである。任意で、1つのビームパスのみが、システムの複雑性を少なくするため使用することができる。
【0456】
図19は、X線透過領域200を有する回転ディスクであるコリメーター202を示す。コリメーター200を回転させながらX線測定が様々な時間で行われるとき、透過領域は回転動作時に様々な位置となることができる。コリメーター202は、図17におけるコリメーター24を置き換えるように使用することができる。
【0457】
図20において、図17におけるコリメーター24を置き換えるために使用することができるコリメーター202は、2D平面において異なるパターンを形成する透過領域200を有することができる。コリメーター202は、ターゲットに対する放射線量を低減するように様々な照射パスにおいて構成要素又はターゲットに到達するため、検出器に平行な2D平面において動力器によって移動する、又はX線源と共に回転する、又は第3軸を移動することができる。
【0458】
図21は、透過領域200が、交互のX線吸収領域又はX線不透過領域201を伴うチェッカーボードパターンである、他の例のコリメーター202を示す。そうしたコリメーターは、透過及び不透過領域が次回と比較してX線測定値をサンプリングするたびに相補するように、各回において領域201又は200の画素ピッチで、x及び/又はy位置において移動することができる。
【0459】
図22は、透過領域200を有する他の例のコリメーター202を示す。そうしたコリメーターは、x及び/又はy方向において移動する、及び/又は検出器と平行な2D平面において回転することができる。
【0460】
図23は、透過領域200が不透過領域201と組み合わさった、他の例のコリメーター202を示す。
【0461】
上述のように、X線源からのX線ビームは、X線サンプリングの1つ又は複数フレームにおいて、プログラムしたパターンでスキャンすることができる。あるいは、X線源は、X線細ビームを生成する又はX線細ビームを選択的に生成するため、単に領域202全体、又は202の選択領域を照射する。
【0462】
コリメーター24、202の選択開口部は、対象領域を照射するため、3D空間においてX線ビームを選択的に透過することができる。あるいは、1つ以上のX線源は、X線ビームが種々の3D位置から対象領域に入射しているようにX線ビームを操舵して対象をスキャンするため、様々な位置において3D構造、又はビーム操舵装置に取り付けることができる。
【0463】
図23は、同じビーム404に対する照射領域における放射線レベルを低減するための、操舵組立体15によるX線源12の配置を示す。組立体15は、X線ビーム404-1、404-2、404-3を構成要素120に向かって、しかしながらそれぞれ3Dにおいて異なる角度から、操舵することができるX線光学系を含むことができる。例えば、ビーム404-1は第1時点で、ビーム404-2は第2時点で、ビーム404-3は第3時点で、構成要素120を照射することができる。組立体15は、対象領域における特定領域への総放射線量をライブ測定において低減する及び/又は極力少なくするように、必要とするとき構成要素120の種々の領域において連続する照射を可能にする。ビーム操舵組立体15は屈折装置とすることができ、X線源12からのビーム404は屈折するように操舵することができる。あるいは、ビーム404はそれぞれX線細ビームとすることができ、ビーム操舵組立体はビーム404を回折させるように操舵することができる。ビーム操舵組立体15は、ビームストップ又はチューナブルビームスプリッター20又はキャピラリーに基づく総内反射X線光学系などのX線ガイドを有する(図15Dも参照のこと)、MEM鏡、又は結晶、又は回折格子(図15Eも参照のこと)とすることができる。
【0464】
図26及び27A~27Cにおいて、それぞれのターゲット領域110-t1、110-t2、110-t3は、対象16の対象領域130に存在することができる。図26及び27A~27Cに示すように、2つ以上の構成要素120-c1、120-c2、及び120-c3もまた対象領域130に存在することができる。1D、2D、及び3Dにおける多次元イメージは、構成要素120-C1(例えばインプラントした心臓弁)、構成要素120-C2(例えば心臓組織)、及び構成要素120-C3(例えば胸部骨)の構成要素のイメージから抽出することができる。各構成要素120は、密度、造影標識、空間構造及び形状、相対空間位置、組成、又は移動特徴、フロー特性、フロー特徴、フロー方向、流体動態、存在、可視性、又は移動速度若しくは移動頻度、又は構成要素内のそうした物理的性質のいずれか、又は第1X線イメージによって分析することができる任意の識別可能な物理的性質、又はシミュレートされる特性、又は既知の特性、又はこれらの特性の任意の組合せによって識別することができる。
【0465】
物理的性質は、物質組成及びフロー特徴における変化をモニタリング及び測定するため、スペックル、周波数、位相コントラスト、一部の場合には、空間感応検出器、スペクトル吸収測定と組み合わせたエネルギー分散格子によって測定することができる、フロー特性を含むことができる。物理的性質は、インターフェログラムによって識別することができる特性および構造を含むことができる。
【0466】
シミュレートデータは、既存のデータ、例えば、骨密度などの組織の密度、又は、対象領域に含まれる既知の骨構造の種々のフラグメントの移動に基づいていてもよく、これは骨の予測可能な強度特性、したがって、呼吸、心臓のパンピング、又は一般的な動きなどの様々な条件の下での動的移動特徴の特性を生じさせることができ、これは、事前に測定した、又は以前に行われた測定から抽出した情報でソフトウェアによってシミュレートすることができる。シミュレートデータは、例えば、インプラントの材料タイプ及び設計に基づいて特定の組成及び動的移動特徴を有し得るインプラント又は手術用具のために導き出すことができる。X線イメージにおけるその効果は、同じタイプのインプラントの測定値からの既存のデータ又はインプラントの予測値のシミュレーションから生成した仮想イメージに基づいて、ライブイメージングの前に決定することができる。上述のように、放射線透過性マーカーは、対象領域に挿入する前に又は対象領域に挿入するときにインプラントを標識するために使用することができる。緊急の状況において、対象16の第1イメージ又は完全な第1イメージのセットが即座に利用可能ではない、又はイメージングされる対象が完全な第1イメージ構成を利用可能でない位置に存在するとき、そうしたデータは、動物からとったデータ、又は構成要素120、ターゲット110、又は対象16に類似する領域の測定データから得た統計に基づいて検証されたデータに基づいてシミュレートすることができる。
【0467】
以前より既知の特性は、構成要素120、ターゲット110、及び対象16を位置特定及びトラッキングするため、X線イメージング及び測定可能な特性、寸法、空間構造、形状、密度のそうしたデータ、並びに/又はX線データ及びイメージング分析に使用される他の関連データを含むことができる。以前より既知の特性は、分光法、MRI、超音波、光学イメージング及び分析を含むエネルギー又は電磁波、PET、磁性粒子に基づくイメージング、光音響、熱又は光学干渉法のいずれかを使用する別のイメージング/測定技術の測定からのデータとすることができる。以前より既知の特性は、コンピューター又はユーザー入力のパラメーター及び特性とすることができる。
【0468】
ロボット工学による外科手術において、構成要素、又はターゲット、又は対象領域の外側に一般的に仮想境界部を必要とする、あるいはインプラント又は手術用具のために仮想境界部を必要とする。そうした境界部は、インプラント又は手術用具と相互作用する構成要素、又はターゲット、又は対象領域の移動及び位置を限定するために存在する。上述の特性のすべては、構成要素、ターゲット、及び対象領域を識別し、コンピューターが手術用具又はインプラント装置の位置、相対距離、及び移動を制御するために仮想境界部を設定するため、使用することができる。
【0469】
幾何学形状の画定、したがって構成要素、又はターゲット、又は対象領域の境界部は、診断又は処置計画時に定めることができる。そうした情報は、第1測定から抽出し、診断プロセス、検査、及び検出プロセス時に分析することができる。コンピューター又はユーザーは、既存のデータ並びに/又は診断及び計画のために取得したイメージからの測定データに基づいてライブ測定のために対象領域としてそうした領域を選択することができる。例えば、その構造の複雑性及びその動的移動特徴に起因して、肺組織と比較して心臓組織において、より小さい構成要素、より小さいターゲットを画定することができる。結果として、既定の3Dボリュームにおけるより多くのターゲットが、正常な肺組織のものと比較して心臓組織において画定され得る。インプラントの手技又は組織若しくは疾患の処置において、選択した数の構成要素のみを測定することができ、一部は、同じ組織において他よりも、又は他の組織と比較して、より高い頻度とすることができる。
【0470】
対象16を含む生体のヒトに典型的な動的動きが存在する。動きは、例えば、心拍動、呼吸、及び血流など、典型的な規定の周期又は間隔を有する、又は設定パターンを有する、設定頻度のものとすることができる。動きは設定頻度なしとすることができるが、パターンあり又はなしで動作し得、一部は、食物消化時の胃の動作、又は活動若しくは感情的事象に起因するより速い心拍動などの正常な生理学的事象によって誘発されるとき設定頻度であるとすることができる。動きは、複数の器官又は同じ器官の部分が動的動きの状態にあるとき、関節においてなど、自発的動きを含むことができる。動きは、例えばヒトが鎮静作用下で又は睡眠時にその身体を動かす又はずらすなど、不随意の動きを含むことができる。
【0471】
イメージング時に、患者は、これらのタイプの動きのいずれかを経験し得る。対象領域130は病態に特有の動的動きの特徴を有し得、その構成要素120のそれぞれは特定の動的特徴を有し得、これは、X線ファンビーム又は選択される1つ以上のX線細ビームによって構成要素を照射すること、及び様々な時間間隔において測定データをサンプリングすることによって取得することができる。
【0472】
X線イメージングは、ハイブリッドイメージング構成においてX線データ測定分析と組み合わせることができる。図25は、ハイブリッドシステム測定、及び定量的X線イメージと非X線イメージングモダリティーとの所定位置の共配置、及び対象領域のトラッキングのための例のフロー図を示す。第1及びライブ測定の一部における測定X線データは、顕微鏡又はスペクトル吸収測定システムから導き出すことができる。
【0473】
例えば、nm範囲で細部を解像するはるかに高い分解能のイメージング、及び/又は高分解能スペクトル定量的分析を、対象領域の選択される視野においてなすことができる。
【0474】
X線源のさらなる詳細をここで記載する。光線源は、従来のX線管、又は複数の放出位置を有する、若しくは複数の放出位置からX線を放出することができる、若しくは電子ビームを偏向させるために磁気プレートを有するものなどのビーム出力を操舵することができる、若しくは従来のカソード、冷カソード、光に基づく、シンクロトロンのような、結晶に基づく、ナノチューブに基づくカソードなどのカソード、及び/若しくは任意の従来のアノード、液体アノードなどのアノード、若しくはナノワイヤを含む、電子ビームを生成するために種々のハードウェア方法を使用する、X線源のものとすることができる。また、X線源は、回折格子、又はコリメーター、又はビームスプリッター、又はチューナブル格子、又はビームセレクター、又はMEMを含むビーム操舵装置、又は結晶に基づく装置、又は総内反射に基づく装置又は導波管と連結することができる。エネルギー切り換え装置を有する任意のX線源を使用することができる。
【0475】
X線源は、対象内に配置する、空隙内、又はサイズが小型とすることができる。例えば、X線源は、カーボンチューブ又は結晶に基づくものとすることができ、第1イメージ及びライブイメージの一部又はすべてを生成することができる。そうしたX線源は、対象領域を照射するため対象16の空隙又は内部ボリュームに挿入することができる。例えば、心臓弁又はステントインプラントをターゲットの位置にガイドするとき、X線源は、検出器が対象の外部に配置されるということを除いて、内視鏡と類似するように、ガイドワイヤに接続される、及び/又はインプラント位置に対して既定の位置に配置することができる。X線源は、図16のように同じ検出器14、又は別の検出器と共に使用することができる。X線源は、X線を集束させて対象領域を通過させるため集光器レンズ及び開口を含むことができるX線光学系組立体と共に使用することができる。透過するX線は、検出器に収集されて出力することができる。単色ソースのX線は、シンクロトロン及び同様のソースでは任意のエネルギーレベル(0~70KeV以上など)とすることができる。従来のX線管から導き出される単色ソースは、フィルタリング及びアノードターゲットの仕様からもたらされる、任意のX線管エネルギーレベルとすることができる。X線源は超高速X線源とすることができる。
【0476】
あるいは、1つ又は複数のチャネルを有する導波管は、従来のソースから放出されるX線を、液体アノードを有するX線源に接続するために使用することができる。液体アノードのフロー速度及び空間パターンは、X線の生成及び生成されるX線の量を調整するように調節することができる。
【0477】
検出器は、2D若しくは直線状若しくはポイントのX線検出器、又はエネルギー感応検出器、又は分光器モジュール、若しくは、各チャネルがエネルギー分散格子、及び対象領域に含まれるターゲットにおいてX線ビームによって照射されるラインのエネルギー特徴を測定するため対象若しくは2D全視野検出器の下流に空間感応センサーアレイを有する、複数のチャネルの分光器モジュールとすることができる。
【0478】
後付けハードウェア組立体及びソフトウェアは、外科ガイダンスでは20KeV~1000KeVで、又は放射線療法ではMeV範囲でX線を生成するなど特定の用途に適するように既存のハードウェア及びソフトウェアを変更するため、本明細書に開示するX線トラッキング特性を組み込むことができる。後付けキットは、ハードウェア及びソフトウェアの両方を含むキャリブレーションキット、本明細書に開示するイメージング方法のためにキャリブレーションするためのソフトウェア、種々のエネルギーから切り替えるためにX線源及びX線源制御を変更するためのハードウェア及びソフトウェア、既存のX線源を新しいX線源に置き換えること及び/若しくはさらなるX線放出位置を生成することを含む本明細書に記載するような1つ以上の追加のX線源、後方フラットパネル検出器を置き換えるための本明細書における散乱線除去及び物質分解において記載するようなX線検出器組立体、イメージングプロセス及び/若しくは取得のためのソフトウェア、位置決めのためのハードウェア若しくはX線源若しくは本明細書に記載する方法に関与するX線システムの他の部品を移動させるための動力器、散乱線除去若しくは物質分解イメージングのためにX線源ビームからの出力を変調するための1つ以上のコリメーター、既存の二重若しくは多層検出器を変更するためのビームセレクター、既存の検出器が既に存在する場合デュアル検出器散乱線除去組立体をなすため検出器を加えたビームセレクター、ビームセレクター若しくはコリメーター及び検出器が既に存在する場合1つ以上の追加の検出器、ビーム操舵、若しくはX線ビームの視野及び他の出力特性を調節、若しくはX線細ビームを選択するためのMEM若しくは結晶などのチューナブルハードウェア、X線ビーム位置操舵装置若しくは電子ビーム操舵装置、スペクトル吸収測定又はX線顕微鏡に必要な任意の追加のハードウェア、X線若しくは非X線イメージングモダリティー及び技術、及び光学分光法などの分光法若しくは光分析システム、MRI、PET、光学機構、光音響、超音波、熱イメージング及び分析を含むために必要な任意の追加のハードウェア、の任意の1つ以上を含むことができる。
【0479】
トラッキング方法のさらなる詳細をここで記載する。図25に示すように、ハイブリッド測定、及び定量的X線イメージと非X線イメージングモダリティーとの共配置を、対象領域の位置決め及びトラッキングのために使用することができる。ステップ1において、既存の定量的2D及び多次元X線イメージング並びに物質分解イメージデータベースは、他のモダリティー、つまり、MRI、PET、光学イメージング及び/若しくは分析、分光法、光音響、超音波、並びに/又は磁性粒子に基づくイメージングモダリティー、からのイメージと組み合わせることができ、そのすべてを、対象領域の動的移動を特徴づけるために十分であり得る静的位置の第1測定値及び3D及び6Dトラッキングデータセットとして記憶させることができる。
【0480】
ステップ2において、X線による対象領域のライブ測定は、任意の他のイメージング方法と共に行うことができる。ステップ3において、色素、又はそれぞれ異なるモダリティーに対する第1、第2、第3以上の桁の色素、又は2つ以上のモダリティーに対する共通色素を共に配置することに基づいて、共配置を行うことができる。あるいは、及び/又はさらに、特定の構成要素の測定可能な特性、又は相対空間位置又は可視性に基づいて識別可能な構成要素のイメージに基づいて、共配置を行うことができる。あるいは、及び/又はさらに、構成要素又はターゲット又は対象領域における、各物質タイプ又は特定の空間構造又は物理的性質、又は動的移動特徴の測定値のマッチングのためのイメージに基づいて、共配置を行うことができる。あるいは、及び/又はさらに、イメージングモダリティーの共配置は、上述のものの任意の組合せに基づいて行うことができる。
【0481】
ステップ4において、X線装置のプロセッサーは、すべてのモダリティーのライブ測定値を第1測定データベースとマッチングし、構成要素、ターゲット、及び/又は対象領域の3D位置決め、4D及び6Dトラッキングをすることができる。
【0482】
図28は、散乱線除去を組み込んだ多次元動的移動の特徴づけ及びトラッキングの例のフロー図を示す。ステップ1において、プロセッサーは、単一、2重、又はスペクトルエネルギー第1測定でのデータセットを含む対象領域のための既存の3D完全イメージングデータを得ることができる。データは、2Dフラットパネルに基づく多次元イメージングデータベース、又はCTスキャナー又はMRI、又はPET、並びに/又は他の光に基づく定量的分析及びイメージングシステムから得ることができる。ライブ点、データ領域、1D、2D、3D、及び/又は4D測定値と、第1測定値又は合成データセットとのマッチングをここでより詳細に記載する。対象領域の2重及び多重エネルギー第1測定値は、動きの周期の同じ段階かつ種々の時間で取った同じエネルギーレベルの様々な第1測定値と組み合わせることができ、2Dイメージ又は1Dイメージ又はポイントデータセットは新たなデータセットを形成するように抽出することができる。
【0483】
ステップ2において、プロセッサーは、本明細書に開示するキャリブレーション方法を使用するなどで、X線源及び検出器相対距離及び位置、ビームセレクター位置をキャリブレーションすることができる(これはトラッキングプロセスにおいて必要に応じたものとすることができる)。X線細ビーム位置と、及びX線細ビーム位置に相関する検出器の画素領域の相関性を登録することができる。一部の場合において、ステップ2は必要としないことがある。
【0484】
ステップ3において、プロセッサーは、動的移動の特徴づけのための第1測定の開始時に静的な位置の対象領域、その構成要素、及びターゲットを位置特定するために、様々なX線源放出位置で対象領域の1つ以上の2Dイメージをサンプリングすることができる。
【0485】
ステップ4において、プロセッサーは、例えば、各回で、1つのエネルギーレベル、例えば高エネルギーレベルでX線細ビームによって投影される1つ以上のデータ領域又は対象領域の2Dイメージングを使用して、及び動的移動プロセスにおいて種々の時間で、異なるエネルギーレベル、例えば低エネルギーレベルで1つ以上の選択される細ビームを使用して、種々のエネルギーレベルにおける第1測定値をサンプリングすることができる。トラッキング及び位置決めのための時間依存性測定において、ソースが多重エネルギーX線ビームを共に放出する多重エネルギーソースのものである場合、第1測定値は、1つのエネルギーレベル又は複数のエネルギーレベルでサンプリングすることができる。そうした測定は、対象領域におけるX線照射の1つのパルスにおいて行うことができる。対象領域を照射するX線は、用途の要件に応じて、1つ又は2つの細ビーム、又は細ビームのセット、又は1DスライスX線ビーム、又は選択されるX線ファンビーム領域のものとすることができる。1つ以上のライブ測定値は、様々な時間でX線ビームをサンプリングすることによって取ることができる。各イメージは、第1測定値及び第1イメージから導き出したデータのセットから再構築される多次元イメージからの抽出又は合成2D又は3D又は4Dイメージに対して比較される。
【0486】
ステップ5において、プロセッサーは、対象領域の特定の物体、物質、及び構成要素のエネルギー分解イメージ、及びターゲット、並びに特定のエネルギーレベルにおける、構成要素、ターゲット、及び対象領域の選択されるデータ領域、1D~7D表示を抽出することができ、これは、動的移動プロセス時の構成要素、ターゲット、及び対象領域の動的移動を特徴づけるデータベースを完成させるため合成することができる。
【0487】
対象領域及び構成要素及びターゲットの複数のイメージを再構築することができ、対象領域、構成要素、及びターゲットのデータ点、1D、2D、3D、及び4Dイメージは第1測定値から抽出することができる。多次元イメージを、動的移動周期又は動的移動の関連時間枠時の様々な時間で取った第1測定値に対して再構築する場合、構成要素及びターゲットの6Dイメージは、時間が異なる第1測定から再構築される3Dイメージに基づいて抽出することができる。
【0488】
ステップ6において、プロセッサーは、処置又はトラッキングプロセスにおいて、構成要素、ターゲット、及び/又は対象領域のトラッキングに必要とされるライブ測定値を取ることができる。測定の各回において、プロセッサーは、1つのエネルギーレベル(高エネルギーレベルなど)でX線細ビームによって投影される1つ以上のデータ領域又は対象領域の2Dイメージングをサンプリングし、及び、任意で用途の要件に基づいて、別のエネルギーレベル(例えば低又は中エネルギーレベルなど)で1つ以上の選択される細ビーム投影データ点測定をすることができる。
【0489】
任意で、ステップ7において、各ライブ測定において、プロセッサーは、放射線量を少なくするためX線細ビームで構成要素及び対象領域の選択される様々な領域を照射することができる。また、プロセッサーは、任意で、X線細ビームによって照射される以降の領域を選択及び画定することができるので、そうした領域の位置のルックアップは、新たな測定データを配置するために必要とされるデータセットの数を限定するように、例えば照射領域が1つ前のもののすぐ隣であるとき、位置データベースで比較的に容易にすることができる。
【0490】
ステップ8において、各ライブ測定によって、プロセッサーは、ライブ測定値、又はライブ測定値に基づく抽出データ、又はライブ測定値及び抽出データからの合成データを、第1測定値からのものに対して、対応する時間間隔及び構成要素、ターゲット、及び対象領域の選択されるX線照射位置において、マッチングさせることができる。同じ対象領域の構成要素は、3次元空間に配置することができる。記憶させた3D~7Dイメージと第1測定値とのマッチングは、対象領域におけるX線照射の位置及び検出器における予想される投影イメージ位置に基づいてイメージングデータセットをルックアップ及び抽出することによって対象領域を配置するように行うことができる。例えば、構成要素の1つのみが対象領域において移動し、残りの部分は静止している場合、1つのパルスでの1つのエネルギーレベルにおける1つのイメージは、他の隣接する領域及び他の構成要素に対して同じイメージ及び物質分解データを提供することができる。測定における変化は、測定前のものと比較して、構成要素の移動及び位置を示すことができる。
【0491】
マッチングは、単一のエネルギーレベルでのライブ測定値と、照射した対象領域の第1測定値及び第1イメージから再構築されるイメージからの抽出又は合成データとの間で行うことができ、第1測定値は、単一、2重又は多重エネルギーレベルのものとすることができる。第1測定値全体は、本明細書に開示する多次元イメージング方法に基づくことができる。構成要素、例えば心臓弁インプラントは、特定の物体に対する2重又は多重エネルギー物質分解方法に基づいて識別することができる。
【0492】
対象領域の単一、2重及び多重エネルギー第1測定値は、動きの周期の同じ段階かつ種々の時間で取った同じエネルギーレベルの様々な第1測定値と組み合わせることができ、種々の次元のイメージ及び測定値は新たなデータセットを形成するように抽出することができる。
【0493】
物質組成は変化しないので、対象領域の同じ照射パスにおける移動する構成要素以外の領域のX線データは、測定値を取る特定のエネルギーレベルに対して生成することができる。移動する構成要素の厳密な測定を抽出することができる。
【0494】
移動する構成要素の抽出データは、上述の記憶データベースからの合成データとマッチングすることができ、移動する構成要素の1D、2D、3D、及び6Dイメージの位置及び移動方向を導き出すことができる。
【0495】
対象の構成要素が血管である場合、血流の移動により血管の種々のイメージが生成される一方、バックグラウンドにおける対象領域の残りの部分は比較的静的である。したがって、フロー特性をモニタリング及び特性づけるために血管を照射するため1つ又は少数の細ビームを使用することが適切であるとすることができる。一部の場合において、マイクロ気泡又はナノ気泡などの造影剤を使用することができる。一部の場合において、血管における動的血流をモニタリングするため、位相コントラストX線イメージング、インターフェログラムを使用することができる。多重エネルギーX線ビームのパルスを構成要素に照射するとき、スペクトル測定値は移動する構成要素における変化をさらに特徴づけるため取ることができる。
【0496】
ステップ9において、プロセッサーは、ライブ測定が7D空間における構成要素、ターゲット、及び対象領域のトラッキング及び位置決めをするように行われるたびに、構成要素又はターゲット又は対象領域における選択される領域の種々の次元を表すイメージ及びデータを抽出することができる。
【0497】
第1イメージの定量的データ分析のため対象領域を位置特定するとき、例えば腫瘍に加え、正常な組織に対して病変又は細胞マトリックス異常を有する周囲領域は、診断及び処置時に腫瘍領域をさらに識別するために特定することができる。コンピューター及び/又はユーザーは、心臓弁インプラントにおいて、心臓組織を、一部の領域は呼吸により動き、一部の領域は心臓弁パンピングにより動き、心臓のいくつかの領域は他の領域よりも動き得る、いくつかの領域にセグメント化することができる。すべての領域は、種々の時間でインプラント配置の手技をモニタリングするため種々の領域のX線イメージを撮ることができるように特徴づけることができる。
【0498】
動きの特徴によって、X線ビームの照射パターンを外科手術前に計画することができる。例えば、呼吸のみにより動く領域では、この領域を位置特定及び位置決めするため、例えば1つのビームほども少ない、極めて少数のX線細ビームで十分である。血液のポンプ及び/又は他の血液関連動態に対応して動く心臓組織の領域では、その動きの動態をモニタリングするため、より多くの数のX線細ビームを使用することができる。任意で、全領域を網羅する視野を有するX線ビームを、動きのトラッキングのためにこの領域を照射するように予め選択することができる。
【0499】
対象の他の領域(例えば、心臓イメージングにおける胸部骨)が異なる動態で動いても、そうした領域を、種々の識別した領域での心臓組織における対象領域の相対位置のための基準点として使用することができる。さらに、本明細書に開示する2重又は多重エネルギー物質分解によって、心臓弁が配置され得る領域が、組織のための造影標識Iなく観察することができる。マイクロ気泡又は造影剤が血管を標識するために使用される場合、心臓弁インプラントなどのインプラントのための心臓組織の領域の相対位置及び構造をより正確に特徴づけることができる。
【0500】
動的特徴づけにおいて、マッチングは、単一のエネルギーレベルでのライブ細ビーム測定値と、細ビーム照射した対象領域の第1測定値から再構築される2Dイメージからの抽出データのものとの間で行うことができ、第1測定値は、単一、2重又は多重エネルギーレベルのものとすることができる。第1測定値全体は、本明細書に開示する多次元イメージング方法に基づくことができる。構成要素、例えば心臓弁インプラントは、特定の物体に対する単一、2重又は多重エネルギー物質分解方法に基づいて識別することができる。
【0501】
対象領域の2重及び多重エネルギー第1測定値は、動きの周期の同じ段階かつ種々の時間で取った同じエネルギーレベルの様々な第1測定値と組み合わせることができ、種々の次元の測定値又はデータ表現は新たなデータセットを形成するように抽出することができる。
【0502】
物質組成は変化しないので、対象領域の同じ照射パスにおける移動する構成要素以外の領域のX線データは、測定値を取る特定のエネルギーレベルに対して生成することができる。移動する構成要素の厳密な測定を抽出することができる。
【0503】
移動する構成要素の抽出データは、上述の記憶データベースからの合成データとマッチングすることができ、移動する構成要素の1D、2D、3D、及び6Dイメージの位置及び移動方向を導き出すことができる。
【0504】
対象の構成要素が血管である場合、血液の移動により血管の種々のイメージが生成される一方、領域の残りの部分は静的である。したがって、フロー特性をモニタリング及び特性づけるために血管を照射するため1つ又は少数の細ビームを使用することが適切であるとすることができる。一部の場合において、血管における移動をモニタリングするため、インターフェログラムを使用することができる。多重エネルギーX線ビームのパルスを構成要素に照射するとき、スペクトル分光測定値は、移動する構成要素における変化をさらに特徴づけるため、エネルギー感応検出器又はエネルギー分散格子及び空間感応検出器で取ることができる。
【0505】
移動する構成要素、ターゲット、及び対象領域の複雑性が高まると、1つの構成要素を照射するために細ビームの数を増やすことができる、及び/又は、各細ビームの視野を拡張することができる、及び/又は、対象領域におけるスライス領域を照射する1DX線ビームを必要とし得る、及び/又は、対象領域のための1つの完全な2Dイメージ若しくはインターフェログラムを必要とし得る。例えば、軟部組織からなる構成要素などの、より弾性の強度特徴を有する構成要素では、構成要素における様々なセグメントに対して、より細いビームが必要とされ得る。心臓の動きのモニタリングの場合、心臓の特定のセグメントの動きを十分に表して検査するため、さらにより細いビームが必要とされ得る。
【0506】
動的移動の特徴づけのための第1測定は、動的移動のプロセス又は周期における様々な時間とすることができる。種々の生理学的な状態に起因して、いくつかのタイプの移動がトラッキングプロセス時に対象領域において関与する場合、統計的に有効ない時間間隔での測定が必要とされ得る。例えば、心臓の動きは毎秒発生する。心拍動周期において心臓組織の動きをモニタリングするため、毎秒1~30フレームにおけるサンプリングを必要とし得る。
【0507】
例えばポイントから7Dまで、種々の次元のイメージは、第1測定値のセット、及び第1測定値から導き出される合成データ、及び他のイメージング技術に基づくデータに基づいて抽出することができる。第1測定値及び抽出される関連イメージング表示データのすべては、構成要素又はターゲット又は対象領域の動的移動の特徴づけのためのデータベースをコンパイルするため、動的移動プロセス又は周期における様々な統計的に有意な時間区分において、組み合わせることができる。
【0508】
外科手技時及び/又は手技後評価のため、同じプロセスを使用することができる。外科手技時及び外科手技後のデータをマッチングすることができる。第1測定値からのボリュームイメージングデータが分解物質定量的分析から内部ターゲットを示すので、ライブ測定値又はライブ投影データ点若しくはデータ領域を、第1イメージのボリュームデータからの結果とマッチングすることで、構成要素、ターゲット、及び対象領域の3D及び6D位置をトラッキングすることができる。
【0509】
本明細書に開示するX線装置は、リアルタイムでターゲット領域の位置をトラッキングするため、1つ以上のセンサー(外部位置センサーなど)及び/又は1つ以上の基準ターゲットと併せて使用することができる。X線イメージにおけるセンサーからの信号若しくは基準ターゲットの位置、又は他の位置測定技術、光若しくはRF若しくは磁気若しくは超音波若しくは放射性測定値を、ターゲット領域の位置と相関させることができる。相関モデルは、同時に、X線を行って、センサーからの信号を読み取って及び/又は人工ターゲットを通過するX線測定値を読み取って、そして、ターゲット位置を示す、最良にマッチングする3Dイメージを特定するためにX線を使用することで、生成することができる。相関性が確立されると、ターゲット領域の位置はリアルタイムで連続的にトラッキングすることができる。
【0510】
造影剤の例
本開示は、X線イメージングの2D及び3Dイメージング、並びに例えば光学分光法及びイメージング、光音響、CT、PET、PET、MRI、磁性粒子に基づくイメージング及び超音波を伴う、ハイブリッドモダリティー又は共配置イメージングのための、造影剤及び使用の方法を含む。一部の場合において、モダリティーは、解剖学的又は時間マーカーによって本開示のシステムと共配置される。他の場合において、1つ以上の他のモダリティーのための造影剤を、本開示のX線システムにおける造影剤として使用することができる。一部の場合において、本開示のX線測定のための造影剤は、他のモダリティーに関与するイメージング、診断、モニタリング、及び処置、及び外科ガイダンス、薬剤送達、及び治療処置に使用される造影剤及び/又は他の関連リガンドと共有結合性、又は非共有結合性の結合をすることができる。
【0511】
一部の場合において、先行技術のX線イメージング及びCT及びX線測定、並びに/又は他のモダリティーに使用されている造影剤である本明細書に開示する造影剤は、本開示のX線測定及びイメージングシステム、すなわち、より具体的には、本明細書に開示するような2つ又はさらに複数の物質又は構成要素を有する対象における対象領域における選択される領域の単一、2重、又は多重エネルギーX線イメージングを含む、2Dフラットパネル検出器、及びハイブリッドシステムに基づく2以上の次元、3次元定量的デジタルX線イメージングに使用することができ、選択される領域の寸法は、nm、又はμm、又はmm、又はcm、又はそれ以上の範囲の直径とすることができる。選択される領域の寸法が小さいとき、X線測定のためのセンサーの空間分解能又はスペクトル分解能又はフレームレートは、特に選択される領域を選択するため全視野X線イメージを使用するハイブリッドシステムにおいて、著しく増加し得る。デジタルプログラマーは、全視野X線イメージのイメージング結果に基づいて1つ以上の条件に基づいて領域を選択することができる。または、ユーザーが領域を選択することができる。対象及び/又は対象の物質は、全視野X線検出器によって撮るとき、X線イメージにおいて目視で又は定量的に識別可能ではないことがある。しかしながら、全視野イメージは、どの領域をさらなる分析及びイメージングのために選択するかを決定するために、対象領域の十分な情報を取得することができる。2つ以上の組織の界面領域又は不均質な領域の場合には、スペクトル及び空間におけるより高い分解能及び/又は時間依存性の測定が、選択される領域における、はるかに小さい未知のユニットをさらに分解するために使用することができる。本明細書に開示する造影剤は、生体、動物、若しくはヒトの身体における複数の組織のそれぞれのイメージングと定量的分析、及び/又は、合成対象若しくは有機対象若しくはその両方の混合物において2つ以上の異なる物質若しくは構成要素を有する対象のイメージングとデンシトメトリーに使用することができる。
【0512】
軟部組織及び骨のヒトの身体構造が異なる物質、例えばギプス若しくはグラスファイバーキャスト材料、又は医療目的のインプラント若しくは手術用具と重なり合う場合において、造影剤は、可視化及び識別を可能にするように物質と混合する又は物質と化学的に結合させるため使用される。骨は、識別可能な原子z番号及び/又は密度の分子又は分子複合体又は分子誘導体で標識される、軟部組織及び/若しくは他の組織、腫瘍、細胞、並びに/又は無機若しくは有機物質から、又は異なる原子z番号及び/若しくは密度の対象若しくは構成要素から、X線イメージにおいて良好に分離することができる。様々な原子z番号、及び密度測定値に加えて、識別可能なX線特性は、物質のボリューム、時間及び空間における移動特徴、形状、パターン、空間位置、流体動態、そのエネルギー誘発状態、フロー方向、時間及び解剖学的マーカーに拡張することもできる。イメージ対象が、X線システムによって解像するには非常に小さい又は類似する、極めて小さいユニット寸法の1つ以上の構成要素を含むとき、本明細書に開示する造影剤を使用することで、これらの構成要素の検出を向上させることができる。
【0513】
本明細書に開示する造影剤は、有機、イオン性、非イオン性、非金属(したがって毒性が少ない)、又は金属、Ca2+若しくはCa2+結合ペプチド若しくはタンパク質などの対象に内因性及び/又は内在性、ガス性物質、気泡、若しくはカチオン高含有領域であるとすることができる。Ca2+(若しくはカリウム及び/又は同様のもの)などの対象における内因性の分子、又はそうした内因性の分子に基づく誘導体若しくはコンジュゲート複合体を使用する利点は、これらが所与の範囲内で比較的非毒性であることである。さらに、造影剤が分子標識を結合する前後に、対象のイメージの残りの部分から分離したカルシウム又はカルシウムコンジュゲートのイメージを撮ることができるので、2重エネルギーシステムは、撮るイメージにおいてどこにどれだけのカルシウムが存在するかを示すように、骨及び他のカルシウムに基づくイメージをイメージの残りの部分から分離するイメージを撮ることができる。この用途は、特に、希少細胞、分子事象、インプラント、患部組織細胞、異物性抗原などの対象領域において孤発例外観を有する構成要素の識別及び定量化に有用とすることができ、トラッキング並びに長期及び/又は習慣的モニタリングを、毒性の懸念なく行うことができる。
【0514】
例えば、以下は、ヒトの身体における内在性又は内因性の元素のリストである。
・多量元素-Na、Mg、K、Ca、P、S、Cl、
・必須微量元素-Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Se、I、Mo、Cr、
・ヒトにおける活性調節から示唆される機能だが特定の同定された生化学的機能なし-Li、V、Cr、B、F、Si、As。
【0515】
Na、Mg、K、Ca、P、S、Clは、自然に多量に存在するので好ましい。そうした元素を含む、比較的多い投与量の造影剤を投与することができ、特に低頻度のとき、これは比較的無害とすることができる。
【0516】
リガンドは、マーカーを有する腫瘍、又は識別可能な特徴を有する患部組織などのターゲットに結合し、そうした内因性の元素及びそれらの誘導体とコンジュゲートして、対象に投入することができる。他の例において、そうしたリガンドは、結合させずに投与することができるが、その組成物が活性ドメイン又はエピトープを元素又はそうした元素を含む分子の遊離イオンに結合させることができる。そうした分子は、内因性である、又は経口摂取、注射、若しくは吸入により対象に投与される前に合成することができる。そうした元素イオン又はそうした元素を含む分子及びそれらの誘導体のクラスター及び複合体構造は、ターゲット領域において形成することができる。そして、そうしたクラスター及び構造は、経時で、又はエピトープ若しくはドメイン若しくは分子集合体の識別可能な特性を認識するリガンドとコンジュゲートするプロテアーゼ若しくは酸化還元分子複合体など、酵素的などで化学的に、又は造影剤及びそのコンジュゲートを含むマイクロ気泡を分解するために超音波を使用するなどのエネルギー摂動によって、分解することができる。PH及び/又は温度は、X線測定のためのそうした分子複合体の会合、結合、及び分解における役割を担うことができる。例えば、腫瘍領域におけるPHは、相対的に正常な細胞マトリックス領域の7.0のPHと比較して、7.4で高い。温度プローブ誘導温度差、又は細菌感染症に対する免疫系の抗炎症反応は、温度誘発性酵素又は化学反応を誘導することができる。
【0517】
造影剤は、任意でヨウ素を含む又はヨウ素化合物とすることができる。ヨウ素を使用する造影剤は、典型的に、その比較的低毒性及びそのヨウ素原子の共有結合性結合に基づき水溶性有機化合物を含む。ヨウ素化合物は芳香族又は非芳香族とすることができる。ヨウ素化合物は、分子につき1つ、2つ、3つ以上のヨウ素原子を含むことができる。このように、ヨウ素原子に加えて、そうした造影剤は、炭素、水素を含むことができ、窒素、酸素、及び比較的低い元素z番号を有する他の原子を含むことができる。好ましい造影剤の種類は、ヨウ素芳香族化合物の種々のエステルを及びアミド含むことができる。ヨウ素を含む造影剤は、ジアトリゾアート、イオタラメート、メトリゾアート、イオジパミド、イオキサグレート、イオヘキソール、イオビトリドール、イオメプロール、イオジキサノール、イオパミドールを含むことができるが、これらに限定されない。例の非イオン性造影剤は、メトリザミド、イオグルナイド(ioglunide)、イオパミドール、イオプロミド、イオグラミド(iogulamide)、イオベルソール、及び非イオン性三ヨウ素化合物を含むが、これらに限定されない。ヨウ素を含む造影剤の濃度は、30mg/ml~100mg/mlとすることができる。
【0518】
また、本開示は難溶性造影剤とともに実施することができる。本開示は、ヨードメタンスルホンアミド、ヨウ素芳香族グルコアニリド(iodinated aromatic glucoanilide)、2-ketogulonamide、逆転アミド、ペプチド、カルバメート、エステル、グルコシド及びグルコース誘導体、ベンズアミド誘導体、イソフタルアミド、ビス化合物、並びに/又はビス-ポリヒドロキシル化アシルアミドの難溶性誘導体で実施することができる。さらに、本明細書に記載する分子の多数を単量体の形態で使用することができ、また二量体、三量体、又は多量体として調製することができる。
【0519】
造影剤は、任意で金属を含む造影剤とすることができる。金属由来の造影剤は、ランタニド、バリウム、タンタル、タングステン、金、ビスマス、ガドリニウム、及び/又はイッテルビウムを由来のものを含むことができる。ランタニドを含む造影剤の特定の例は、ガドベルセタミド、ガドペンテタートジメグルミン、ガドブトロール、ガドベナートジメグルミン、ガドテラートメグルミン(goadoterate meglumine)、及びガドキセタート二ナトリウムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0520】
造影剤は、任意で陰性造影剤とすることができる。陰性造影剤は、周囲の血液又は組織より密度の小さい造影剤である。陰性造影剤は、より高い輝度強度を示すことから、イメージにおいてより明るく観察される。空気、酸素、及び二酸化炭素が陰性造影剤の例である。
【0521】
本開示にしたがって、造影剤は対象に投与することができる。造影剤は、経口又は静脈内など、従来の方法の範囲のいずれか1つで投与することができる。造影剤は、その領域がX線照射される組織において所望のコントラストを生成するように投与される。
【0522】
一部の態様において、造影剤は様々な時点で投与することができる。造影剤組成物及び造影剤と対象の相互作用は、定量的分析及び可視化及び識別及び長期トラッキングを可能にするために使用することができる。長期トラッキングは、組織機能又はホスト生存の長期追跡を必要とし得る臨床試験のためなど、数か月から数年にわたる細胞のトラッキングを含むことができる。他の例において、造影剤は、造影剤の進行を追跡するため互いに近くで投与することができる。
【0523】
0.3μm~500μmの空間分解能を有し得る従来のCTと比較して、一部の場合において、本開示のX線システム、又は好ましくはハイブリッドシステムは、選択される領域においてより高い空間分解能及びスペクトル分解能を有する。顕微鏡機器では、回折限界空間分解能は、波長に、及び対物レンズ又は対象物照射源のいずれかで、どちらか小さい方の開口数に、比例する。顕微鏡の最高分解能は、特有の対物レンズを使用することによって0.1nm範囲と報告されている。一般的に、ゾーンプレートは対物レンズとして使用され、得られる最高分解能は100nm範囲である。
【0524】
例えば、X線顕微鏡の回折限界分解能は、0.01nmの範囲においてその最短の波長のものに比例することができる。現行のX線システムは、イメージングが0.1nmの範囲の分解能を有することを可能にすることができる。ハードウェア又はX線光学系が引き続き開発されるなら、対物レンズは、その可能な最高の分解能、その回折限界分解能でX線測定に対して開発され得る。これは、CTのものと比較して、本開示に開示するX線システムを使用すると、場合によっては分解能において10×~10×の向上をもたらす。本開示のX線システムのX線空間分解能は、選択される領域においてX線回折限界に達し得る。ゆえに、造影剤の例えばモル感度は比例して向上し、したがって3Dにおける分解能の増大は10~10、又はさらに大きくなる。対象における造影剤の濃度は、約10-3~10-12モルの範囲及びその間のあらゆるものになり得る。投与される造影剤の量は、例えば、0.1mg/ml~1000mg/mlとすることができる。好ましくは、投与される造影剤の量は、0.1mg/ml~100mg/mlである。好ましくは、投与される造影剤の量は、1mg/ml~1000mg/mlである。
【0525】
造影剤は、X線イメージング又は他のイメージングモダリティーを伴うX線ハイブリッドイメージングにおいてあるいは対象の残りの部分から識別可能ではないであろう物質を有する1つ以上の構成要素を可視化するため、対象特異的マーカーと混合又は分子結合することのいずれかで導入することができる。分子結合は、イメージング装置における分子標識及びイメージングのための誘導分子カスケード方法、並びに単一細胞検出までの感度に達する本明細書に開示する技術を含むことができる。
【0526】
造影剤による各構成要素の標識は、イメージングされる対象において第2又は第3物質を結合するために1つ以上の抗原特異的分子標識を使用してなすことができる。そうした分子標識は、原子z番号識別粒子、又は識別可能なイメージング特性若しくは分子、又はそのような粒子若しくは分子の修飾タイプを含むことができる。分子標識は、内因性である又は外部で合成することができる。
【0527】
抗原特異的分子標識は、ヒトの身体のものと異なる原子z番号を有する物質を含むことができる。抗原分子標識の例は、Au-(金)、Pt-(白金)、Ta-(タンタル)、Yb-(イッテルビウム)、及びBi-(ビスマス)を含むナノ粒子、グラフェンナノ粒子若しくはグラフェン放射標識複合物、ナノチューブ複合物、ヨウ素若しくはバリウム、ガドリニウムの低分子及び他の造影剤、又は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー由来分子など循環時間を長くして安定性を高めるために、例えば、スカベンジャー細胞によるNPの急速な取り込みを有効に防止するために、若しくはガム、アラビア(GA)マトリックス、若しくはデンドリマー、若しくは豊富な表面一級アミンを有する分岐ポリエチレンイミン(PEI)、オリゴアルギニンなどのオリゴアミノ酸、グルタチオン若しくはGSHなどの天然起源のペプチド、RES吸収及び細胞取り込み率を決定することができる血液における異なるナノ粒子若しくは低分子タンパク質コロナとコンジュゲートすることができる他の表面リガンド、で安定化させるために、修飾されるそうした分子、又は例えば、アルブミン被覆Auナノスター、を含むがことができるが、これらに限定されない。医薬送達に使用される任意の分子標識は、本開示における分子標識として使用することができる。本明細書に開示する造影剤は、イメージング信号強度又はレベルを向上させるために薬剤送達剤又は薬剤又は治療剤とコンジュゲートすることができる。
【0528】
造影剤又は造影剤複合体は、任意で種々のイメージングモダリティーのためにナノスフィア及び小胞において存在させることができる。種々の造影剤は、光音響イメージング又はPET又はMRI又は光学コヒーレンス断層撮影又は生物発光若しくは蛍光イメージング又は超音波イメージングなどの、2つ以上のイメージングモダリティーに対する感度及びイメージング方法の共配置を可能にするように互いに修飾及び結合することができる。各モダリティーのための造影剤又は造影剤複合体は、共配置を確実にするため化学的に結合することができる。
【0529】
造影剤は、ヒドロゲルの形態であってもよい。ヒドロゲルは、水、造影剤、及び組織に接触後架橋ヒドロゲルを形成する反応性親水ポリマーを有する。ヒドロゲルは組織を被覆し、コーティングを形成する。コーティングは遊離面を有することができる。ヒドロゲルに配される造影剤は、ヒドロゲルを投与するユーザーが、ヒドロゲルを観察し、その厚みを推測して、所定の厚みに達するまでヒドロゲルを投与することを可能にする。造影剤は、ヒドロゲル形態本明細書に記載するナノ粒子の懸濁剤とすることができる。ヒドロゲルは、マイクロスフィア、粒子、又はマイクロカプセルにカルシウムイオン又はカルシウムイオン誘導体又は他の内在性の元素を含むことができる。一部の例において、ヒドロゲル剤は滅菌されている。ヒドロゲルは、X線によって測定可能であり得る、マーカー、温度、pH、又は酵素反応、及び他の摂動に基づいて、拡張又は収縮、及びターゲット領域に移動することができる。
【0530】
さらに、ミセル又はナノミセル、ポリマーミセル、ナノ懸濁剤、ナノカプセル、ナノ乳剤、又は分子の石化タイプ、又は任意のそうしたものの組合せなどのさらなる修飾は、造影剤又は造影剤複合体を作製するために使用することができる。ナノ懸濁剤は、界面活性剤によって安定化した純粋な薬剤粒子のコロイド分散を含むことができる。そうしたものの例は、e6-エトキシ-6-オキソヘキシル-3,5-ジアセトアミド-2,4,6-トリヨードベンゾアート(e 6-ethyoxy-6-oxohexyl-3,5-diacetamido-2,4,6-triiodobenzoate)を含むことができる。ナノ乳剤は、不混和性の第2の液体内における1つの液体物質の安定したナノ構造である。例えば、ナノ乳剤は、油性コアを形成するため植物油及び他の油の混合物で作製し、リン脂質、コレステロール、及びPEG化脂質で安定化することができる。そうしたナノ乳剤の例は、リピオドールなどの脂溶性のヨウ素を含む化合物、又はポリヨウ素トリグリセリドを含むことができるが、これらに限定されない。ナノカプセルは、多くの場合、周囲の溶媒と不溶性/不混和性であることがあるペイロード物質を覆う架橋ポリマー膜を含む安定したナノ粒子である。ナノ粒子は、ナノ液滴によって油の周りにポリマーを架橋することで形成することができる。一部の例において、ミセル、ナノミセル、ナノ懸濁剤、又はナノ乳液のサイズは20~200nmとすることができる。
【0531】
あるいは、造影剤はリポソーム由来分子とすることができる。リポソームは、生体膜のものに類似する2重層膜構及び内部の水相を有する両親媒性のリン脂質小胞である。その両親媒性特性により、その水性の内部に封入された親水性の造影剤分子と、その膜に溶解した疎水性の分子の両方を輸送することを可能にする。例えば、ヨウ素又はCa2+をロードしたリポソームは、非毒性、容易な輸送性、対象の部位へのアクセス性を確保しながら、コントラスト信号及び密度を集積するために使用することができる。Ca2+若しくは他の造影剤をロードしたリポソーム、又は任意の他のタイプのケージ、2D、3D構造に基づく、又は単にクラスター若しくは凝集造影剤構造を、本開示の造影剤として使用することができる。リポソーム由来造影剤は、脂質にコントラストの原子を化学的にグラフトすることによって得ることができる。リポソーム由来造影剤のサイズは、PEGで修飾することができる。一部の例において、リポソームに基づく分子はヨウ素又はヨウ素を含む分子を含むことができる。一部の例において、リポソーム由来分子におけるヨウ素の濃度は、30mgI/ml~100mgI/mlとすることができる。
【0532】
造影剤は、ポリマーナノ粒子の形態であってもよい。ポリマーナノ粒子の例は、デンドリマー、ナノカプセル、ナノチューブ、又はポリマー被覆ナノ粒子を含む。具体的に、ナノスケールの金属有機構造体(NMOF)は、イメージング及び薬剤送達にも使用することができる、その大量のMOF類似体とナノ粒子製剤の両方の特徴を保持することができる。ナノ粒子は、ヨウ素化合物の結晶ナノ懸濁剤を含むことができる。一部の例において、第1造影剤又は造影剤複合体は、300nm未満の有効粒子径を有する。一部の例において、平均サイズがナノ粒子は30~50nmの範囲である。
【0533】
造影剤は、任意で薬学的に許容される担体又は安定剤を含むことができる。例えば、造影剤は、薬学的に許容される担体として機能する水性液剤に分散させることができる。他の適切な薬学的な担体は、アルコールなどの水性及び非水性溶媒と混合した液体担体、ゲル、ガス、並びに粉末を含む。安定剤は、表面安定剤及び粘度調製剤を含むことができる。薬学的に許容される担体は、生理食塩水、緩衝液、水、等張液、体液、又はそれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛から選択されるカチオンの添加をさらに含むことができ、約0.01M~約5Mの量とすることができる。
【0534】
ナノボディ及び/又は同様のものを、分子又は対象へのイメージング信号近接を向上させることができ得る。細胞トラッキングするに使用するイメージング技術は単一細胞感度を有する、及び/又は任意の解剖学的位置における厳密細胞数の定量化を可能にすることができる。例えば幹細胞の移動パターンは、局所注射後でも未知であり、身体にわたって散在する単一の幹細胞が特定の病状において有効な治療法となり得る明確な可能性があるため、インビボ又はエクスビボのイメージングにおける単一細胞感度は、幹細胞又は腫瘍細胞の特徴づけ及び識別において特に重要となり得る。
【0535】
局在化の正確性を必要とする用途では、ナノボディ又はペプチド又は低分子又は化学プローブ又はその誘導体などの分子標識が好ましいが、本明細書に開示する他のタイプの分子標識も使用することができる。
【0536】
最終的に得られる感度のレベルに関わらず、細胞分裂時の造影剤希釈の影響、非幹細胞に移送される一部の造影剤の傾向、及び/又は所定の技術的制限(以下に記載する)を考慮すると、細胞数の定量化は特に困難となり得る。
【0537】
医療イメージングにおいて、例えば、Ca2+若しくは他のアルカリ土類金属、又は、酵素関連活性によるカチオン高含有領域若しくはカチオンの凝集、心拍動、微小血管若しくは毛細血管における血流などの流体動態を含むがこれに限定されない移動の速度の変化、及び/若しくは酸素状態などの生理学的条件の状態などの、構成要素の事象若しくは状態の指標など、内因性又は内在性の分子を造影剤として含めることができる。
【0538】
上記の開示のように、対象は、X線源とX線検出器又は検出器組立体との間に位置することができる。一部の場合において、Kエッジ方法と組み合わせた2重又は多重エネルギーデータを使用して、2つ以上の物質組成15イメージを本明細書に開示するように得ることができる。例えば、インビボイメージング時に、骨密度イメージb、軟部組織イメージs、及びギプス包帯密度イメージp(又は分子標識した組織密度イメージp)を得ることができる。さらに、対象の構成要素は、ヨウ素分子及び/又は1つ以上の対象特異的マーカーとコンジュゲートしたナノ粒子1つ以上の造影剤及び標識によって標識することができる。
【0539】
本明細書に開示するX線装置の例のいずれも造影剤を伴う使用に適し、例えば、定量的測定を可能にする本明細書に記載するような散乱線除去2D及び3Dイメージングシステム並びにそれらのハイブリッドシステム、又はそうしたシステムは、光学イメージング、MRI、磁性粒子イメージング、及び光学分光法、又は任意の他の適切なモダリティーと組み合わせることができる。これらのイメージングモダリティーのいずれかと共に造影剤を使用することによって、多数の構成要素の対象において、物質は良好に可視化及び識別及び定量化することができる。本開示のX線システムにおける造影剤は、他のモダリティーのためのものと同じとすることができる。あるいは、X線システムにおける造影剤は、良好な可視化及び共局在のため他のモダリティーの造影剤とコンジュゲートすることができる。さらに、構成要素若しくは対象領域の解剖学的、時間的、若しくは空間的マーカー、又は参照マーカー、又は基準マーカーは共配置の基準として機能することができる。
【0540】
本開示は、分子(分子標識)が対象に結合して、造影剤を有し、2Dフラットパネル検出器を用いる定量的な2D及び3DイメージングのためのX線イメージング方法で検出される機能を有する、1つ以上の分子複合体を提供する。そうした分子又は分子複合体は「NanoXgen」と呼ばれ得る。選択的標識を可能にするため、X線イメージングのための1次造影剤は、特定の原子z番号又は識別可能であるX線測定可能な特性を有する分子が、「1次NanoXgen」を作製するため、対象と特異的に結合可能な1つ以上の分子(分子標識とも呼ばれる)とコンジュゲートされるときに作製することができ、これらの前述の分子標識は、抗体、ペプチド、ナノボディ、化学プローブ、低分子、オリゴヌクレオチド、及び/又はそれらの誘導体とすることができる。類似の特性の1つ以上の造影剤は、1次NanoXgenにおいてコンジュゲートすることができる。さらに、複数の造影剤を分子標識にコンジュゲートすることができる。そうしたコンジュゲートは、ターゲット部位及び/又はエクスビボで行うことができる。NanoXgenに基づく造影剤システムは、特に本開示の特にX線システムにおいて、対象の分子又はマーカーの正確な定量化、及び低濃度分子又は細胞又はターゲット部位を定量化可能又はしばしば可視化可能にすることができる。
【0541】
NanoXgenは、対象における他のターゲット部位と結合し、ゆえにX線イメージング方法によって検出可能になるように対象と関連する造影剤の密度を高めることによって、又は例えば連続的に、他のNanoXgenを連続的に結合することによって(2次及び/若しくは3次NanoXgenなど)、定量的イメージングを可能にすることができる。従来の固体金属材料などの造影剤を使用することで細胞又は細胞の集合体を観察可能にするため、細胞体積に関連する金属の体積は、典型的に、その密度の逆数と等しい又はそれより大きい必要がある。例えば、従来のCTスキャン時にバックグラウンド信号より大きい信号を生成するため、固体鉄では細胞体積の約1/8を利用することがある。
【0542】
しかしながら、本開示は、造影剤感度がMRIの10-6又はPETの10-12のものと同等であることを可能にするシステムを提供する。結果として、造影剤、例えば金属を含む造影剤の体積は、本明細書に記載する本開示におけるX線システムを使用するX線測定の感度において、細胞体積の1/8よりはるかに小さい、モル濃度において10×10-9少ないとすることができる。増幅定数要件は、用途に基づくものであり、X線システムの感度に達するためいくつのステップの分子増幅カスケードが必要か又はいくつの次数のNanoXgenが必要かを定めるため分析する必要がある。したがって、対象に特異的な1次造影剤の初期の結合からの信号レベルは、超分解能イメージングに記載する類似の機構の造影剤の活性化及び非活性化に関与するさらに高い高分解能イメージングのためなどの一部の用途のため結合部位で又は結合部位近傍で高速で増大させる必要があり得る。
【0543】
NanoXgenは少なくとも2つ又は3つの部分を含むことができる分子である。第1部分は、対象における1つ以上のエピトープに特異的に結合するドメインを含むことができる。エピトープに対するドメインの親和性は、特定の時間後にエピトープから解離できるように設計することができる。第2部分は、X線イメージング、及び/又はX線顕微鏡、及び/又はX線スペクトル測定若しくはX線スペクトル吸収測定によって検出可能な造影標識又は造影剤とすることができ、例えば金、銀、ヨウ素、カルシウム、カリウム、蛍光色素、又は超音波若しくはMRI若しくはPET若しくはCT若しくは光学イメージング若しくは光音響若しくは超音波モダリティーによって認識可能な造影剤を含むことができる。
【0544】
第3の任意の部分は、対象のターゲットに対するドメインの結合の際に作製される新たな又は第2エピトープとすることができる。この第2のエピトープは、他のNanoXgenに特異的に結合することができ、ドメインの結合により作製される、対象のターゲットによって部分的に、結合分子(すなわちNanoXgen)によって部分的に形成される、又は結合するときの分子の構造変化によって作製されることができる。
【0545】
イメージング信号レベルを増幅するため、対象における様々なエピトープを結合するため種々のドメインを有するNanoXgenのセット、及び/又は連続的に結合する多次のそうしたNanoXgenを使用することができる。それにより、イメージングレベルは、そうした対象の最小単位を識別し特徴づけるため、光学イメージング、光学分光法、光音響イメージング、超音波イメージング、CT、PET、磁性粒子又はMRIなどの本明細書に記載するX線イメージングを伴う1つ以上のインビボのイメージングモダリティーによって検出可能であるように十分に高いレベルに達することができる。
【0546】
対象又は対象領域は、抗体の1つの可変ドメイン又は任意の他の分子標識に結合することができる細胞又はウイルス又は分子とすることができる。対象は第1構成要素とすることができる。薬剤送達剤又は薬剤は第2構成要素とすることができる。1次NanoXgenは、第1構成要素のターゲットが1次NanoXgenの1つのドメインと結合するとき、第2構成要素のターゲットが1次NanoXgenにおける第1ドメインと異なる第2ドメインと結合するように、設計することができる。この連続的なカスケードのプロセスは、存在する少量の対象を検出するために多次のNanoXgenを使用することで1次NanoXgenの結合によって生成されるイメージ信号を増幅することができる、誘発性分子増幅システム(IMAS)を形成することができる。
【0547】
図29A及び29Bに示すように、1次NanoXgen1は、造影剤100と構成要素10(対象など)又は他の構成要素との構成要素複合体におけるエピトープ30Bに結合可能なドメイン30Aとを含むことができる。図29Bに示すように、結合は、結合した分子複合体の構造の変化などの分子事象を誘発する。1次NanoXgen1は、1つ以上のエピトープ31が2次のNanoXgen(2次NanoXgen)2のドメイン32を結合するために暴露されるように、新たな構造11を有する1次NanoXgenに変わる。
【0548】
2次NanoXgen2は、構成要素又はターゲット10への1次NanoXgen11の結合により作製された新たに暴露されるエピトープ31を結合するドメイン32を含む分子にコンジュゲートした造影剤100を含むことができる。2次NanoXgen2は、1次NanoXgen1のものと同じ又は類似する造影剤100を含むことができる。図29A及び29Bに示すように、ドメイン31とエピトープ32との間の結合はまた、2次NanoXgen2の新たな構造12への構造変化を引き起こすことができる。
【0549】
結合した2次NanoXgen12及び1次NanoXgen11における造影剤100がイメージングシステムの必要な感度にまだ達しない場合、3次NanoXgen3を使用することができる。3次NanoXgen3は、2次NanoXgen12による結合の結果として誘導される1つ以上の新たなエピトープ33に対する結合特異性を有することができる。このカスケードは、すべての結合したNanoXgenにおける造影剤の合計が本明細書に開示するX線システムなどのイメージングモダリティーによって検出するために必要とされる密度に達するまで継続されるように設計することができる。
【0550】
任意で、好ましいイメージングモダリティーによって総信号レベルが検出可能になるように、同じ又は類似の造影剤とコンジュゲートする多様なNanoXgenを結合するため、ターゲット構成要素における2つ又は複数のエピトープを使用することができる。
【0551】
任意で、結合分子とコンジュゲートした造影剤は、1つの造影剤が1つのモダリティーに対して、異なる造影剤が他のイメージングモダリティーに対して感応して、イメージングモダリティー信号の共配置をなすことができるように、設計することができる。例えば、光学分光法、CT、又はMRI、光音響イメージング、又は超音波若しくは光学イメージングなどの他のイメージングモダリティーのために設計した造影剤は、同じ誘発分子増幅カスケードにおいて造影剤として使用する又は造影剤とコンジュゲートすることができる。
【0552】
任意で、2次NanoXgenは、低親和性で1次NanoXgen及び対象の一方又は双方と結合することができる。しかしながら、1次NanoXgenが対象に結合するとき、2次NanoXgenはより高い親和性で両方のターゲットに結合することができる。
【0553】
また、カスケード反応を図30に示す。ステップ1において、1次NanoXgenのドメインは対象のエピトープに結合する。ステップ2において、結合が、1次NanoXgenの構造変化を引き起こし、1次NanoXgenの新たな3D構造をもたらす。ステップ3において、構造変化の後、1次NanoXgenは新たなエピトープを形成する。ステップ4において、新たなエピトープは2次NanoXgenに結合し、2次NanoXgenの構造変化を誘発する。ステップ5において、複合体は、ターゲット及び新たな構造を有する2次NanoXgenに結合する1次NanoXgenによって形成され、それにより1次及び2次NanoXgen並びにターゲットに関与する第3エピトープを作製することができる。そして、第3エピトープは3次NanoXgenを結合することができる。ステップ6において、3つのNanoXgenにおける造影剤100はすべて、対象又はターゲットを標識し、それにより1次NanoXgenが有するイメージングコントラストを約3倍増幅することができる。このカスケードステップは、イメージングコントラストが選択されるイメージングモダリティーに十分な強度に達するまでさらなるNanoXgenへと継続することができる。
【0554】
誘発分子増幅システムは、各1次NanoXgenが特有の構造を有する、又は対象の部位において特定の標識タイプを有する(X線感応性若しくは光学イメージング、PET若しくはMRI若しくは超音波を含む他のイメージングモダリティーによって検出可能)特有のカスケード分子増幅システムのセットのみを誘引する特有のペプチド若しくは1本鎖DNAなどのバーコード分子に付着するように、設計することができる。1次NanoXgenは、そのターゲットから解離するとき、すべてのNanoXgenがそれらの結合部位から解離することを誘発してもよく、また誘発しなくともよい。任意で、1次NanoXgenが長期間結合したままとすることができ、2次NanoXgenは第1測定を行った後に解離することができる。カスケード分子増幅システムは、定期的に、対象をモニタリングするために投与することができる。
【0555】
また、本明細書に開示するNanoXgenは、造影剤の送達をターゲットからnmの距離内にすることができ、したがって局在化の誤りを少なくすることができる。さらに、そうした増幅システムは、対象におけるエピトープの位置に対応して、細胞内環境又は細胞外環境で行うことができる。NanoXgenは、様々な小器官に対して細胞内で部位特異的標識を可能にすることができる。例えば、ナノボディは、以前は核小体には透過性ではなかった分子を送達したことが示されている。
【0556】
X線イメージング又は他のイメージングモダリティーによって検出可能である密度に達するように直接的に結合するため、対象が種々の造影剤に対して十分な数のエピトープを有する場合、そうした増幅システムは任意とすることができる。
【0557】
そうした増幅システムは、任意の重大な細胞事象を誘発してイメージング方法の観察特性を変えないが、イメージング信号レベルを増大させることのみを目的とするように設計される。1次NanoXgenが結合するターゲットのエピトープは、その1次NanoXgenの結合が細胞の生理学的状態、機能、移動性、及び/又は活性に影響を与え得るものを除外するように選択することができる。また、位置の選択及び細胞ペイロードは、細胞の生存性、機能、及び移動性を保持するように極力少なくすることができる。
【0558】
上述のように、対象の検出及び定量化に使用される造影剤は、既に内因性で又は内在性で存在する、すなわち生体内に自然に発生するものであり得る。例えば、細胞又は分子などの対象は、Ca2+を含む造影剤に結合可能な少なくとも1つのドメインを有するNanoXgenに結合することができる。Ca2+をコンジュゲートするそうした分子の凝集は、本明細書に開示するIMASを使用するX線イメージングによって検出可能であるように感度を向上させることができる。そうした造影剤複合体が対象から解離するとき、造影剤複合体は最終的には崩壊して、対象の部位から離れ、任意の毒性を引き起こさずに身体に放出することができる。
【0559】
Ca2+結合NanoXgenの分子組成は、例えば、カルモジュリンにおける、自然起源のCa2+結合タンパク質ドメインを含むことができる。カルシウムイオンは、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸残基のカルボキシル基を結合すること、リン酸化セリン、チロシン、若しくはスレオニン残基と相互作用すること、又はγ-カルボキシル化アミノ酸残基によってキレート化することでタンパク質によって複合体化することができる。ヒドロキシアパタイト(HA)など、ヒトの身体において自然に発生するCa2+又はその誘導体、炭酸カルシウム又は二リン酸カルシウム又はヒドロキシアパタイト(HA)は造影剤とすることができる。
【0560】
以下に記載するように、多次造影剤は、3つ以上の様々なNanoXgenのセットの反復単位を含むことができる。例えば、小ケージタンパク質は、Ca2+を閉じ込めてCa2+の密度を増大させるためにケージ構造を自己組織化するように使用することができる。また、造影剤は、スフィア(例えばバッキーボールに類似)などの自己組織化3D構造若しくはケージ、又は図31に示すそうした構造の変形に含むことができる。図31は、多次元において反復単位及びパターンを可能にするように1つ以上の分子間の結合及び解離を制御可能な、低分子、ペプチド、抗体、又はオリゴヌクレオチドフラグメント、又は低分子ケージタンパク質などの分子を含む、バックミンスター・フラーから着想を得たタイプのボール構造の例の構造を示す。炭素又はグラフェンに基づく、又は他の元素の構造も考慮することができる。そうした構造は、構造内でCa2+及びその誘導体分子の流入及び貯留を可能にすることができる。あるいは、そうした構造は、Ca2+と組み合わせたメッシュ内部を有することができる。ケージ又は3D構造の形成のための各基本単位は、一部が低分子、タンパク質、又はオリゴヌクレオチド、又は分子の組合せである、1つ以上のケージ形成分子の反復単位を含むことができる。構造を閉じる際、造影剤の密度が選択されるイメージングモダリティーによる可視化のために求められるレベルに達するまでCa2+流(又は任意の他の内因性の造影剤)の流入が存在し得る。
【0561】
あるいは、Ca2+は、2D又は3D自己組織化メッシュに組み合わせることができる。図32Aに示す一例は、図32Bに示すようなCa2+若しくはカルシウム含有ナノクラスター又はカゼインサブミセル42を伴う、カゼインミセル50に類似する構造である。そうした複合体は、ターゲット部位に隣接して、すなわち対象に近接して形成されるように設計することができる。
【0562】
カゼインミセル50を形成するように自己組織化プロセスを誘発するため、抗体、ナノボディ、又は低分子などの1次分子41がターゲット又はターゲットマーカーのエピトープに結合することができる。1次分子の構造は変化し、2次分子42に結合することができる。2次分子がミセル構造の一部となると、自己組織化プロセスが開始される。所定の時間後、そうした1次分子41は解離し、組織化複合体は分解されて、Ca2+及び他の分子を放出することができる。
【0563】
本明細書に開示する分子結合に基づく造影剤は、エピトープへの容易なアクセスと検出点とターゲット対象との共配置とに加え、急速なクリアランスと非毒性の利点を有する。
【0564】
造影剤活性部分がCa2+など内因性であるとき、骨や軟部組織を識別するため、2重エネルギー又はKエッジタイプのイメージングを使用することができる。測定を複合体形成時及びその後に行う場合、動的変動性、すなわちCa2+高含有点の可視性及び/又はその空間位置は、対象の構成要素の存在を示し、構成要素の定量的測定がより正確に得られる。
【0565】
さらに、対象のターゲットは、1次NanoXgenを結合する対象の細胞若しくは微生物若しくは分子に発現する遺伝子学的に操作されたマーカーによって、又は経時で1次NanoXgenを使用してバーコードを付けることによって、経時でトラッキング及び識別することができる。1次NanoXgenは、対象のターゲットに結合されたままとすることができる。あるいは、1次NanoXgenは、DNA配列又はペプチドなどのバーコードを対象のターゲットに導入することができ、これは、そうしたバーコードを結合部位に導くこと、及び、1次NanoXgenの内因性触媒機能を使用すること、又はそうしたバーコードを対象のターゲットに永続的に結合するために他の酵素タンパク質に結合することによってなされる。1次NanoXgen又はバーコードタグを付けたターゲットに特異的な下流のNanoXgenの結合及び解離は経時でのモニタリングを可能にするように慎重に設計することができる。
【0566】
また、本明細書に開示する造影剤は、対象が空気、ガス、例えば骨内ガス及び円板内ガス、肺内の空気ギャップ、又は関節炎におけるカチオン高含有領域の存在、又は、細胞内領域などの領域における分子凝集を含む酵素活性によって生成されるものなど、対象領域の残りの部分から識別可能な任意のX線検知可能領域を含むとき、適切とすることができる。モニタリングされ得る時間依存性又は誘発性の活性は、長期、一年、一日、若しくは数時間にわたって腫瘍増殖若しくは血管成長による細胞アポトーシスなどの内部事象を測定及びトラッキングするため、例えばビオチン-アクチンに基づく酵素生成複合体、又は分子事象又は化学相互作用を含む。また、本明細書に開示する造影剤は、インビボのリキッドバイオプシー、又は例えば腫瘍の存在若しくは細胞アポトーシスによって誘発される分子シグナル伝達経路をモニタリングすることに適切であるとすることができる。ターゲットは、対象領域において種々のX線信号を生成し得る造影剤に結合するペプチド若しくはナノボディ、又は酵素などの分子によって認識することができる。
【0567】
例えば、腎除神経術及び心臓焼灼術のためのRF焼灼術などのエネルギー治療方法の場合、細胞死関連事象が発生するなど、細胞が影響を受けると、様々な化学物質が放出される。これらの化学物質は、ターゲット特異的抗体、又はペプチド、又はナノボディでタグを付けた酵素の活性を誘発する。例えば、ターゲットは、心臓組織又は腎臓組織又は心臓組織若しくは腎臓の特定の領域とすることができる。酵素活性は、カチオン、又はカチオン若しくはX線で検出可能な他の分子特徴でタグをつけたビオチン及びアクチン凝集体の形成など、1つ以上のX線測定可能な事象を生成することができる。結果として、焼灼術の影響を定量化することができる。あるいは、切除した組織は、カチオン高含有領域を生成することができる、又は生組織より硬性であり得る。X線測定は、生組織と死組織との間の可動性及び動きの動態における違いを検出することができる。あるいは、X線測定を行いながら、超音波プローブは組織の対象領域を摂動することができる。生組織及び死組織は異なるように応答し、時間的に様々なX線測定値を生成する。
【0568】
2重、3重エネルギー、又は多重エネルギーのX線イメージングにおいて、現在の光電子増倍管(PMT)又は光子計数検出器又はフォトダイオードを使用して、分子組成の変化、アポトーシス誘発事象、細胞相互作用の動態、タンパク質とタンパク質との相互作用などの分子相互作用の動態など、分子、細胞、又は構造的な事象を含む任意の事象を、光学イメージング、分光法、超音波、MRI、PETを含む1つ以上の他のモダリティーとを組み合わせた、組み合わせない、MRI、又は光学イメージング、又は本開示のX線システムによって測定することができる。
【0569】
モニタリングされ得る種々のパラメーターは、酸素状態などの生理学的な状態、状態の変化、移動特徴、又は光学方法、分光法による以前の特定可能な事象を含み、インビボにおける状態の変化を誘発し得るインビボにおける分子相互作用、フロー動態、及びフロー速度は、本明細書に記載するような2D又は3DX線定量的方法によって測定することができる。
【0570】
造影剤の複合体又は凝集体の形成は、内部又は内在性の化学物質、電気、電磁気、電気化学、機械、音響の事象、磁気機構、又は任意のそれらの組合せによって誘発することができる。本開示は、化学物質、電気、電磁気、機械、電気化学、磁気、音響を介した、ターゲット若しくは対象領域との相互作用による外部の力、又は内部事象と組み合わせたそれらの外部の力に基づく事象の2つ以上の組合せ、によって誘発され得る、分子、原子、細胞及び構造、又は現象若しくは移動若しくは流体動態の測定を含む。
【0571】
本開示のX線システムによってモニタリングできる事象は、原子及び分子、若しくはナノ構造、マイクロ構造、細胞の動態を特徴づける高速事象、並びに1つ以上の事象の組合せ、フェムト秒若しくはピコ秒のレーザー誘発事象、2光子顕微鏡若しくは2光子X線誘発事象などの非直線事象、CARS、テラヘルツ分光法で測定されるような量子動力学事象、又は電磁力によって誘発される他の事象、又は表面プラズモン活性などの事象を含む。
【0572】
測定は、例えばナノメートル以下までの分解能の位置特定及び感度など、高い空間、スペクトル、及び時間分解能測定を含むことができる。様々な色の活性又は静的な蛍光色素をX線で測定可能な時間依存性の変化によって置き換える、インビトロで開発された超分解能方法に類似する技術を、インビボに適用することができる。このX線測定は、測定される活性又は領域の位置特定をターゲット領域のものに相関させることを含むことができる。インビトロイメージングにおいて超分解能イメージングに使用されるレーザーは、超高速レーザー又は超高速非直線事象又はX線生成非直線活性又は任意の前述の内部活性又は他の化学若しくは外部機械若しくは電力エネルギー誘発活性によって使用する又は置き換えることができる。
【0573】
1次NanoXgen、2次NanoXgen、及び/又は3次NanoXgenは、経口、注射、吸入で、あるいはそうした薬剤がターゲット部位に達することができる限り、投与することができる。内因性造影剤、造影剤は、自然に身体の一部である、又は生細胞若しくは生体であるが、一部の場合においてこの方法で投与することもできる。また、内部ソースからのCa2+などの内因性分子は、そうした粒子又は分子又は分子複合体が身体又はイメージングされる対象に入った後、NanoXgenの他の部分に結合することができる。本明細書に開示するような分子標識複合体の基本単位が経口、静脈内、注射、又は吸入で投与された後、標識複合体全体は、この機能を行うためターゲット部位で自己組織化することができる。
【0574】
本明細書に記載する造影剤を使用することは、X線測定においてより高い分解能を提供する。例えば、ピコ秒X線源は、特に、全視野X線イメージングの後に、選択した対象領域をイメージングして測定するため、又はユーザーが定義した領域を有する適切な対象のために、高速PMT、光子計数検出器、又はフォトダイオード、又は高速フレームレート検出器と組み合わせることができる。他の例において、ナノチューブに基づくX線源、2D検出器を含む従来のX線源を使用することは、イメージにつき最大マイクロ秒であり得る。時間における分解能は少なくとも1~1012倍増大させることができる。さらに、空間分解能もまた、例えば、PMT、光子計数検出器、又はフォトダイオードを使用するとき、X線光学系を使用せずに100nm~X線光学系あり又はなしで0.01nmまで、増大させることができる。
【0575】
1つ以上のパラメーターの分解能向上の文脈において、測定の感度はまた増大する可能性がある。例えば、時間測定において、X線感応特性の欠如又は存在を正確にモニタリングすることができる。例えば、種々のカルシウム高含有構成要素の厚み及び密度を測定するとき、種々の時間におけるカルシウム成分の増加及び減少を、従来のCTと比較してモニタリングすることができる。さらに、感度をさらに高めるため、複数のX線感応特性を共に、かつ同じ領域又は相対領域において測定することができる。例えば、対象領域における1つ以上の組織又は物体の密度測定、厚み測定を、現象について、例えば腫瘍が存在するかどうかについての情報を導き出す又は結論を導くために使用することができる。例えば、腫瘍マーカーに結合する造影剤に加えて、測定値、カチオンレベル及び/又は低pH誘発分子事象などの指標、又はカチオンドーブ造影剤がさらに感度を高めることができる。
【0576】
本開示は、モル感度を、MRI、PET、又は超音波のレベルに増大させる。造影剤、又は造影剤関連リガンド及びリンカーを含む造影剤複合体は、MRI、PET、超音波及び光学又は音響光学又は光音響システムなどのインビボ及びインビトロイメージング及び測定において元素又はマーカーをターゲットにする又は結合することができ、特に高X線吸収特性を有するものを、ここでX線測定に使用することができる。さらに、高放射線レベル及び時間要件及び低感度に起因して、内在性の元素及び分子又はそれらの誘導体由来の造影剤の使用はCTでは限定的である。しかしながら、本開示では、特に選択される対象領域のための、2D2重又は多重エネルギー及びスペクトルイメージングシステム、及び多次元イメージング、及び高スペクトル解像度測定、そして3Dイメージングシステム、カルシウムなどの内在性の高X線減衰元素、及びカルシウムを含む造影剤がここで有用である。
【0577】
本明細書に開示する分子造影剤は、2Dフラットパネル検出器と本明細書に開示するスペクトル物質分解改良型2D及び3Dイメージングシステム及び方法との組合せを併せることができる。本明細書に開示する、対象領域における小領域へのスペクトル吸収測定、及びX線顕微鏡、並びに光子計数検出器又はPMTを追加したものなどの改良型X線イメージングシステムは、造影剤がCT又は2DのX線像で観察されるように、要求される造影剤濃度を下げて、毒性を下げることができる(60%細胞含有量を重金属によって標識する必要性から)。
【0578】
本開示は、X線イメージングで測定及び定量化するために必要とされる重金属ナノ粒子の量を少なくするために、及び良好な可視化及び定量化のために構成要素を分離するため物質分解を使用する、方法及びシステムを提供する。
【0579】
例えば、内因性元素、特にCa2+、及び身体における他の自然に多量の元素は、毒性ではなく、以下のように使用可能である。1)既存の内在性の元素及び誘導体から自己組織化複合体を生成する。
2)身体に共に摂取又は注射されるこれらの元素を機能化する。本明細書に記載するシステムの感度がより高く、放射線レベルがより低いとき、前後のイメージ及び測定値をとることができる。所定位置におけるCa2+量のわずかな増加を正確に測定可能である。以前より、放射線レベルが高いので、これを行うためCTを使用することは適切ではなく、また従来のCTを使用する前後の写真は実際的ではない。
3)金、ビスマス、及び銅などの他のナノ粒子のために開発された既存のリガンドはCa2+ナノ粒子を機能化するために使用することができる。
4)カルシウムは、X線及び超音波の両方が標識に感応することができるように、グラフェン又はマイクロ気泡、ナノ気泡に配置することができる。
5)ターゲットにおいて高濃度の他の重金属ナノ粒子を必要とすることなく、X線がカルシウムの存在によりこれらの粒子を検出できるように、カルシウム様内在性成分は、既存のナノ粒子と共に複合体を形成可能である。
【0580】
さらに、内在性元素の大部分並びにその自然及び合成誘導体は、様々なフォーマットの造影剤として使用することができる。例えば、カルシウムでは、以下の例を含むことができる。
・二リン酸カルシウム形成複合体。リン酸カルシウムは有機ホスフェートアニオンと共にCa2を含有する物質及び鉱物のファミリーである。一部のリン酸カルシウムは酸化物及び水酸化物も含有する。
・炭酸カルシウム(任意)。
・ヒアルロナン及び炭酸カルシウム(CC)など腫瘍ターゲット機能を含むハイブリッド薬剤送達システム(DDS)。例えば、ヒアルロナンの腫瘍ターゲット機能と、CCの薬物ロード特性及びX線イメージコントラストとを利用することによって、良好に形成されたヒアルロナン-CCナノ粒子が、結腸直腸がんの化学療法において有益となり得る適切な薬物ロード含有量を有する、結腸直腸がんをターゲットとしたDDSとして機能することができる。
・カルシウムは、PH、温度、及び酵素活性の変化などモニタリングされる外部条件によって誘発される、拡張及び/又は収縮、したがって可変密度及び寸法などのX線測定可能な特性を有することが知られるヒドロゲルで使用することができる。
・マイクロスフィア又は粒子又はマイクロカプセルにおけるCa2+誘導体。
・自己組織化カルシウム複合体。
【0581】
ナノクラスター又はケージシステムの結合又は崩壊は、pH及び温度、コンタクト又は電磁エネルギーによって誘発することができる。カルシウムコンジュゲートタンパク質又はそれらの誘導体は、対象のターゲットの高親和性活性ドメインと凝集又は結合することができる。PH若しくは温度並びに分子環境及びマトリックスにおける適切な条件、又はカルシウムコンジュゲートタンパク質と相互作用するプロテアーゼの存在若しくは欠如は、崩壊、又は構造の変化、又はカルシウムカチオンの放出をもたらす。カルシウムカチオン又は結合カルシウム、及びターゲット部位におけるその時間的存在若しくは欠如の両方のX線測定は、壊死又はアポトーシスなどの特定の細胞状態又は活性又は事象と関連することができ、ゆえに本開示のX線測定によってそれに応じてモニタリングすることができる。カルシウム及びその誘導体分子又は分子複合体は、マイクロ気泡に組み込むことができる。マイクロ気泡は、酵素的な酸化還元活性又は超音波プローブによる超音波エネルギー途絶によって崩壊する、又は自然半減期を有することができる。
【0582】
任意で、競合性リガンドの存在下で、X線システム又はCTにおいて以前は行われなかった代謝活性をモニタリングするため、代謝物造影剤を本開示のX線システムにおいて使用することができる。代謝物造影剤の例は、キャビタンドに基づくナノスケールの配位ケージ、可逆的な四座キャビタンド、リガンド、及び適切な金属前駆物質である。
【0583】
あるいは、本明細書に開示する造影剤は、2D検出器、光子計数検出器、及びフォトダイオード、及び光電子増倍管と接続したナノチューブに基づくX線源、光に基づく超高速X線源を含む、従来のX線源と共に使用することができ、イメージ取得速度はマイクロ秒又はps又はfsとすることができる。したがって、選択される領域における時間分解能を少なくとも1~1012倍向上させることができる。空間分解能は、特に、PMT、光子計数検出器、又はフォトダイオード、及びnm以下のX線顕微鏡のために設計された対物レンズを使用するとき、例えば、以前の記載のようにX線光学系を使用せずに100nm、X線光学系ありでnm以下まで、増大する。
【0584】
本開示の3Dイメージング方法を使用して、3つすべての軸における空間分解能は、従来のX線CTと比較して少なくとも1~10倍向上させることができる。スペクトル分解能は増大し、スペクトルセンサーを使用することによる典型の1~12エネルギーレベルの代わりに、nm以下範囲の分解能を有する、エネルギー分散格子及び空間感応検出器と接続されることがある、光子計数検出器、PMT、シリコンドリフト検出器を使用して、0.01nmスペクトル分解能又はより高いものでの高分解能測定を測定することができる。感度をさらに高めるため、複数のX線感応特性を共に、かつ同じ領域又は隣接する領域において測定することができる。例えば、カルシウムなどのコントラストコンジュゲートタンパク質のエピトープ又はnpコンジュゲートタンパク質リガンド又はターゲット自体に結合する腫瘍受容体ターゲットにおける活性ドメインのタンパク質ペプチド結合動態など、例えば、ps、fs、又はms範囲において発生する分子複合体及び分子相互作用及び相互作用動態の高い空間及びスペクトル及び時間分解の測定が、ターゲット部位における経時のカルシウム濃度、又はカルシウム信号の急速な消失によってモニタリングすることができる。各NanoXgenは、二リン酸カルシウム又は炭酸カルシウム又はカルシウムca++遊離イオン又はカルシウムタンパク質複合体などのカルシウムを含む分子に対する、1つ又は複数の結合部位を有することができる。
【0585】
本明細書に開示する造影剤は、現象についての情報を導き出す又は結論を導くために使用することができ、例えば、腫瘍マーカーに結合する造影剤以外に、測定値、カチオンレベル及び/又は低pH誘発分子事象などの指標、又はカチオンドーブ造影剤がさらに感度を高めることができる。
【0586】
一般的に、MRIは10-3~10-5のモル感度を必要とする。核医学は10-12~10-10のモル感度を必要とする。マイクロ気泡の超音波検出は約10-12のモル感度を必要とする。従来のCTは約0.1又は0.01のモル感度を必要とする。本明細書に開示するシステムによって、モル感度を、一部の場合においてMRI、又はPET、又は超音波のレベルに増大させることができる。MRI、PET、超音波及び光学又は音響光学又は光音響システムなど、インビボ及びインビトロイメージング、測定及び試験のために開発された造影剤、並びに造影剤関連リガンド及びリンカー、並びにターゲット又はマーカー結合元素、特に高X線吸収特性を有するものが、X線測定に使用することができる。
【0587】
造影剤レベルは用途にしたがって調整することができる。様々な原子z、様々な原子z物質又はヨウ素などの放射標識によって互いに識別されない有機及び無機の対象では、2Dで可視化するために必要とされる密度を得るためにイメージングされる物質と混合することができる。これらの物質を可視化するために必要とされる放射標識の比率は、(1)骨のギプスを凝固させ、骨を治癒するために及び意図する他のギプスの機能のために、経時で必要とされる硬性及び安定性をなすことができること、(2)X線イメージングにおいて定量化及び可視化をすることができ、したがって骨又は軟部組織であるヒトの器官及び/又は組織イメージからギプスイメージの分離ができることを、必要とし得る。
【0588】
第2の目的を達成するため、イメージング及び定量化に必要とされる信号を検知するためX線検出器に対して混合物に必要とされる密度を評価するため、以下の式を使用することができる。物体のX線透明度は主に密度に対応する。理論による及び実験における研究は、X線ビームが媒体を横断するとき、媒体による光子の吸収及び偏向の両方に起因して、ビーム強度は小さくなることを示しており、X線減衰の程度は以下の式に従う。I=I-μxであって、式中、Iは透過ビーム強度、Iは入射ビーム強度、xは媒体の厚みである。質量減衰係数であるμは、μ=ρZ/AEで表され、式中、ρは密度、Zは原子番号、Aは原子質量、EはX線エネルギーである。ゆえに、X線減衰は、低エネルギーX線及び高原子番号の物質で高くなる。
【0589】
ゆえに、この式に基づいて、医療イメージングの骨のギプス材料、又は産業用途の電池材料若しくはマイクロチップ材料において、2つ以上の2Dイメージは、そうした材料の形成される2D層イメージ、又は3Dイメージ、定量的イメージングデータ及び識別材料定量的データ、及び密度測定、にさらに拡張することができる。
【0590】
骨セメント又はギプス材料又はバイオフィルムでは、セメント及びギプス材料を、ヨウ素又は他の原子zが異なる標識分子又はそれらの誘導体などの造影剤と混合することで、X線検出に必要とされる放射線密度を得ることできる。あるいは、無機化合物、すなわち、硫酸鉄、銀被覆マイクロ粒子、又は1-クロロナフタレン、ホルミウム、ハフニウム、又はさらにナノ粒子、他の造影剤をインビボイメージングに使用することができる。
【0591】
ギプス包帯を、X線又はハイブリッドイメージングモダリティーで識別可能な標識と混合する方法は、以下のステップを含む。1、造影剤をギプス包帯と均等に混合する。視覚的検査によって確実に均質な混合を行うため、造影剤は予め着色顔料とコンジュゲートすることができる。2、水を加える。ファイバーグラスキャストでは、第1ステップに、造影剤を樹脂と均等に混合することを含むことができる。確実に均質性を視覚的に検証するため、造影剤は顔料とコンジュゲート又は混合することができる。第2ステップにおいて、ファイバーグラスを硬化するため触媒を添加することができる。
【0592】
本開示のX線イメージングのための造影剤としてのマイクロ気泡
対象の血流への導入に適するトレーサーはマイクロ気泡を含むことができる。マイクロ気泡は、超音波イメージングシステム又はX線イメージング又は位相コントラストX線イメージングシステムを使用して登録されるイメージにおいて観察することができる。マイクロ気泡は、核医学イメージングシステムを使用して登録されるイメージにおいて観察可能な造影剤を含むことができる。マイクロ気泡は、超音波エネルギーのしきい値に対応する脆性の制御をすることができ、超音波エネルギーがしきい値を超過するマイクロ気泡に加えられると、マイクロ気泡の破裂が起こって、造影剤がマイクロ気泡から放出されるようにすることができる。ターゲットのマイクロ気泡は、バイオマーカーをターゲットにするリガンドを機能化することで形成することができる。超音波プローブによって生成される超音波エネルギーは、例えばそうしたマイクロ気泡を崩壊させることができる。又は、マイクロ気泡の健常性には自然半減期があるとすることができる。
【0593】
適切な酵素、pH、及び温度により、造影剤は、凝集及び増幅又は崩壊することができる。
【0594】
結晶ナノ材料などの不可視性に基づく造影剤は、定量化及び識別ツールとして使用することができる。
【0595】
例えばカルモジュリン、カルレチニン、S100Bタンパク質、若しくはカルシウムイオンに高親和性を有する他のイオン結合タンパク質のカルシウム結合ドメイン、又は他の元素亜鉛イオン、マグネシウムイオン、若しくは他のタイプの金属イオンの所定の密度を有する、機能化表面を有する、結晶ナノ材料は、バックグラウンドと比較してX線測定において観察することができる。溶液又は細胞マトリックスに、又は所定のターゲットがカルシウムイオン及びその誘導体に対してより高い親和性を有する領域に入ると、又は、結晶面に対してより高い親和性を有する領域の他のタイプの金属イオン若しくはマーカーが存在するとき、リガンドを環境に放出し、ターゲットに結合して、結晶ナノ材料を不可視にすることができる。
【0596】
用語
本開示は、所定の実施形態及び例の文脈で記載しているが、本開示が具体的に開示される実施形態を超えて他の代替的な実施形態及び/又は使用、並びにその明白な改変形及び同等物にまで拡張されることが、当業者には理解される。さらに、いくつかの本開示の実施形態の変形を示して詳細に記載しているが、本開示の範囲内である他の改変形は直ちに当業者に明らかになるものである。また、実施形態における具体的な特徴及び態様の種々の組合せ又は副組合せがなされ得、かつ本開示の範囲に該当するということが考慮される。例えば、一実施形態に関して上述される特徴は、本明細書に記載される別の実施形態と共に使用することができ、その組み合わせは依然として本開示の範囲に該当する。本開示の種々のモードの実施形態を形成するため、開示の実施形態の種々の特徴及び態様を互いに組み合わせる又は置き換えることができるということを理解する必要がある。このように、本明細書における本開示の範囲は上述の特定の実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。したがって、特に記載のない限り、又は明らかに不適切でない限り、本発明の各実施形態は、本明細書に記載される本質的な特徴に加えて、本明細書に開示する本発明の他の各実施形態から本明細書に記載されるような1つ以上の特徴を含むことができる。
【0597】
特定の態様、実施形態、又は実施例と併せて記載される特徴、材料、特性、又はグループは、これらと矛盾しない限り本明細書のこの項又は他の個所に記載される任意の他の態様、実施形態、又は実施例に適用可能であることが理解される。本明細書に開示される特徴のすべて(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)は、及び/又はそのように開示される任意の方法又は工程におけるステップのすべては、そうした特徴及び/又はステップの少なくとも一部が互いに排他的である組合せを除いて任意の組合せで組み合わせることができる。この保護は、任意の上述の実施形体における詳細に制限されるものではない。この保護は、本明細書に開示される特徴(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)の任意の新規のもの又は任意の新規の組合せに、あるいはそのように開示される任意の方法又は工程におけるステップの任意の新規のもの又は任意の新規の組合せに拡張される。
【0598】
さらに、別の実施形態の文脈でこの明細書に記載された所定の特徴も単一の実施形態において組合せで実施することができる。あるいは、単一の実施形態の文脈で記載された種々の特徴も別々に複数の実施形態で又は任意の適切な副組合せで実施することができる。さらに、特徴を所定の組合せで作用するとして上述し得るものの、記載の組合せにおける1つ以上の特徴を、一部の場合において、組合せから除いて、組合せを副組合せ又は副組合せの変形として記載することができる。
【0599】
操作について、特定の順序で図面に示される又は明細書に記載され得るが、そうした操作は、所望の結果を得るために、示される特定の順序又は連続の順序で行われる必要がない、又はすべての操作が行われる必要がない。示されていない又は記載されていない他の操作を例示の方法及び工程に組み込むことができる。例として、1つ以上のさらなる操作を、記載の操作のいずれかの前、それらの後、それらと同時に、又はそれらの間に行うことができる。さらに、他の実施形態において操作を再度編成又は順序付けすることができる。一部の実施形態において、示される及び/又は開示される工程において行う実際のステップが図面に示されるものと異なり得るということを当業者は理解するであろう。実施形態に対応して、上述のステップの所定のものは除かれ得、他のものが追加され得る。さらに、上述の特定の実施形態における特徴及び特性は、様々な方法で組み合わせられて、さらなる実施形態を形成し得、そのすべては本開示の範囲に該当するものである。また、上述の実施形態における種々のシステム構成要素を分離することを、すべての実施形態においてそうした分離を要求するとして理解すべきではなく、一般に、記載の構成要素及びシステムが単一の製品でともに統合できる、又は複数の製品にパッケージ化できるということが理解される必要がある。
【0600】
この開示の目的のため、所定の態様、利点、及び新規の特徴を本明細書に記載する。そうした利点のすべてが任意の特定の実施形態によって得られるわけではない。ゆえに、例えば、本開示が、必ずしも本明細書に教示される又は示唆され得るような他の利点を得ることなく本明細書に教示するような1つの利点又は複数の利点を得るという方法で実施する又は行うことができるということを、当業者は認識するであろう。
【0601】
とりわけ、「できる」、「できた」、「し得る」、「可能である」、「例えば」、等の本明細書に使用される条件的文言は、具体的に明示されない限り、又は使用される文脈内で理解されない限り、一般に、所定の実施形態が所定の特徴、要素、及び/又はステップを含む一方で、他の実施形態はこれらを含まないということを意味すると意図する。このように、そうした条件的文言は、特徴、要素、及び/若しくはステップが1つ以上の実施形態に何らかの形で要求されるか、又は1つ以上の実施形態が、他の情報提供若しくは指示の有無で、これらの特徴、要素、及び/若しくはステップを任意の特定の実施形態に含むか若しくは実施するかどうかを決定するロジックを必ず含む、ということの示唆を一般に意図しない。「包含する」、「含む」、「有する」等の用語は同義であり、包括的に、拡張的に使用され、さらなる要素、特徴、機能、動作などを排除しない。また、「又は」いう用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されており、例えば、要素のリストをつなげるために使用されるとき、「又は」という用語は、リストの要素の1つ、いくつか、又はすべてを意味する。
【0602】
具体的に記載されない限り、「少なくとも1つのX、Y、及びZ」という記載などの接続的文言は、アイテム、用語等がX、Y、又はZのいずれかであり得るということを意味するように一般に使用される文脈においてあるいは理解される。ゆえに、そうした接続的文言は、所定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZの存在を要求するということの示唆を一般に意図しない。
【0603】
本明細書に使用される「およそ」、「約」、「一般に」、及び「実質的に」という用語などの本明細書に使用される程度の文言は、なお所望の機能をなす又は所望の結果を得る、記載される値、量、又は特徴に近似する、値、量、又は特徴を表す。例として、「およそ」、「約」、「一般に」、及び「実質的に」という用語は、記載される量の10%未満内、5%未満内、1%未満内、0.1%未満内、及び0.01%未満内の量を指すことができる。他の例として、所定の実施形態において、「一般に平行である」及び「実質的に平行である」という用語は、15度、10度、5度、3度、1度、0.1度以下、又は他の数値だけ厳密な平行からずれる値、量、又は特徴を指す。
【0604】
本明細書に開示する任意の方法は記載される順に行う必要はない。本明細書に開示する方法は作業者が行う所定の操作を含むが、明示的又は示唆的に、それらの操作を任意で第三者が指示することも含むことができる。例えば、「対象を照射する」などの操作は、「対象を照射することを指示する」ことを含む。
【0605】
本明細書に記載する方法及び作業のすべては、コンピューターシステムによって行われ完全に自動化することができる。コンピューターシステムは、一部の場合において、記載する機能を行うためネットワークを介して通信及び相互操作する複数の特定のコンピューター又はコンピューティング装置(例えば、物理サーバー、ワークステーション、記憶アレイ、クラウドコンピューティングリソースなど)を含むことができる。そうした各コンピューティング装置は、典型的には、メモリ又は他の非一時的なコンピューター可読記憶媒体又は装置(例えば、ソリッドステート記憶装置、ディスクドライブなど)に記憶されるプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサー(又は複数のプロセッサー)を含む。本明細書に開示する種々の機能は、そうしたプログラム命令において実現することができる、及び/又はコンピューターシステムのアプリケーション特化回路(例えば、ASIC又はFPGA)において実施することができる。コンピューターシステムが複数のコンピューティング装置を含む場合、これらの装置は共配置することができるが、共配置しなくともよい。開示の方法及び作業の結果は、ソリッドステートメモリチップ及び/又は磁気ディスクなどの物理的記憶装置を別の状態に変換することで永続的に記憶することができる。一部の実施形態において、コンピューターシステムは、そのプロセッシングリソースが複数の事業者又は他のユーザーによって共有される特定のクラウドに基づくコンピューティングシステムとすることができる。
【0606】
本開示の範囲は、この項又はこの明細書の他の部分における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図せず、この項又はこの明細書の他の部分において提示される、又は今後提示される特許請求の範囲によって規定され得る。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲に使用される文言に基づいて広く理解される必要があり、その実施例が非排他的であると解釈される必要がある、本明細書に又は出願手続き時に記載の実施例に限定されない。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E-15F】
図15G
図15H
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A-27C】
図28-1】
図28-2】
図29A
図29B
図30
図31
図32A-32B】
図33
図34
図35A-35B】
図36A-36B】