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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/08 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
C09B67/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021509112
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2020011594
(87)【国際公開番号】W WO2020196073
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2019063576
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020013508
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝幸
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159706(JP,A)
【文献】特開2014-84454(JP,A)
【文献】特開2017-14328(JP,A)
【文献】特開2000-263947(JP,A)
【文献】特開昭56-94361(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0165806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00-69/10
C09K 9/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、
(b)電子受容性化合物として下記一般式(1)で示されるヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物と、
(c)前記(a)成分及び(b)成分による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体として、鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類及びハロゲン化炭化水素類からなる群から選ばれる化合物と、
(d)軟化点が5℃以上、且つ、質量平均分子量が200~10万のスチレン系化合物と
を含んでなり、消色状態からの加熱により発色状態となり、発色状態からの降温により消色状態となる可逆熱変色性組成物を内包してなる、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
【化1】
(式中、
Rは、炭素数12~22の、直鎖又は分岐の、アルキル基を示し、
X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素または水酸基であり、それらのうち二つ又は三つが水酸基であり、残りは水素である)
【請求項2】
X、Y、及びZのうち二つが水酸基であり、一つが水素である、請求項1に記載のマイクロカプセル顔料。
【請求項3】
X及びYが水酸基であり、Zが水素である、請求項1に記載のマイクロカプセル顔料。
【請求項4】
Rが、炭素数12~22の直鎖のアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロカプセル顔料。
【請求項5】
Rが、炭素数16~20の直鎖のアルキル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロカプセル顔料。
【請求項6】
(e)融点が50℃以上の、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる化合物を更に含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロカプセル顔料。
【請求項7】
(e)成分が、エステル類、エーテル類、及び芳香族炭化水素類からなる群から選択される化合物である、請求項6に記載のマイクロカプセル顔料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる、可逆熱変色性液状組成物。
【請求項9】
前記マイクロカプセル顔料の含有量が、前記液状組成物の総質量を基準として、5~40質量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
支持体と、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロカプセル顔料とを含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる、積層体。
【請求項11】
支持体に、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロカプセル顔料が含まれている、成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。更に詳細には、消色状態からの加熱により発色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(a)電子供与性呈色性有機化合物、(b)電子受容性化合物、(c)(a)及び(b)成分による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体を含んでなる可逆熱変色性組成物のうち、(b)成分としてヒドロキシ安息香酸エステルを用いることによって、消色状態からの加熱により発色状態となり、降温により消色状態に復帰する変色挙動を示す可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなるマイクロカプセル顔料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの可逆熱変色性組成物は、加熱により発色状態を示すものの、発色する温度が高く、日常生活温度や日常生活温度近傍の温度で容易に発色させることは困難であった。また、日常生活温度や日常生活温度近傍の温度で発色させる可逆熱変色性組成物が得られたとしても、発色状態における色濃度が低く、実用性を満足させていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-105732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、消色状態からの加熱により発色する可逆熱変色性組成物について鋭意検討した結果、(b)成分として特定のヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物を用い、且つ、(d)成分として特定の化合物を添加することによって、生活環境温度域や日常生活温度近傍の温度で容易に消色状態からの加熱により発色状態となり、再び消色状態に復帰する変色挙動を示すと共に、発色時の色濃度が高い可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、
(a)電子供与性呈色性有機化合物と、
(b)電子受容性化合物として下記一般式(1)で示されるヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物と、
(c)(a)及び(b)成分による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体として、鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、及びハロゲン化炭化水素類からなる群から選ばれる化合物と、
(d)軟化点が5℃以上、且つ、質量平均分子量が200~10万のスチレン系化合物と
を含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる。
【化1】
(式中、
Rは、炭素数12~22の、直鎖又は分岐の、アルキル基を示し、
X、Y、及びZは、それぞれ独立に水素または水酸基であり、それらのうち二つ又は三つが水酸基であり、残りは水素である)
【0006】
本発明による可逆熱変色性液状組成物は、上記の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる。
【0007】
本発明による積層体は、支持体と、上記のマイクロカプセル顔料とを含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる。
【0008】
本発明による成形体は、支持体に、上記のマイクロカプセル顔料が含まれている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、生活環境温度域や日常生活温度近傍の温度で容易に消色状態からの加熱により発色状態となり、再び消色状態に復帰する可逆的変色挙動を示すと共に、発色時の色濃度が高く、教習要素、玩具、装飾等、多様な分野に適用可能な可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に各成分について具体的に化合物を例示する。
本発明の(a)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(b)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0011】
(b)電子受容性化合物としては、一般式(1)で示されるヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物が用いられる。
【化2】
式中、
Rは、炭素数12~22の、直鎖又は分岐の、アルキル基を示し、
X、Y、及びZは、それぞれ独立に、水素又は水酸基であり、それらのうち二つ又は三つが水酸基であり、
好ましくはX、Y、及びZのうち、二つが水酸基であり、一つが水素である。
更に好ましくはX及びYが水酸基であり、Zが水素である。具体的には、一般式(2)で示される3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物が好ましいものであり、これは発色時の色濃度が高いため好適に用いられる。
【化3】
式中、Rは式(1)中のRと同じである。
ヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物のアルキル基は、炭素数が12~22の、直鎖又は分岐の、アルキル基、好ましくは炭素数が14~22の、直鎖又は分岐の、アルキル基である。炭素数が12未満或いは22を越えるアルキル基を有する化合物では結晶性が低いため実用性を満足させない。また、変色特性や発色濃度に優れる等、実用性能を考慮すると炭素数12~22の直鎖アルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数16~22の直鎖アルキル基、更に好ましくは16~20の直鎖アルキル基、より更に好ましくは16~18の直鎖アルキル基である。
ヒドロキシフェニル酢酸エステル化合物としては、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ドデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸トリデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸テトラデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルトリデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ペンタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘキサデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルテトラデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘプタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘキサデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸オクタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘプチルデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルヘキサデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ノナデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸エイコシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルノナデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルオクタデシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘンエイコシル、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸ドコシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ドデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸トリデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸テトラデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルトリデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ペンタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘキサデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルテトラデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘプタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘキサデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸オクタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘプチルデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルヘキサデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ノナデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸エイコシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-メチルノナデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸2-エチルオクタデシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ヘンエイコシル、3,5-ジヒドロキシフェニル酢酸ドコシルが挙げられる。更には、さらには、X、Y、およびZのすべてが水酸基であるものとして、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ドデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸トリデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸テトラデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルトリデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ペンタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ヘキサデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-エチルテトラデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ヘプタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘキサデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸オクタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルヘプチルデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-エチルヘキサデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ノナデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸エイコシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-メチルノナデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸2-エチルオクタデシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ヘンエイコシル、3,4,5-トリヒドロキシフェニル酢酸ドコシルなども用いることができる。一般に水酸基が多い化合物は、発色時の色濃度が高い傾向にある。
【0012】
(c)(a)及び(b)成分による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体としては、鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、及びハロゲン化炭化水素類からなる群から選ばれる化合物が用いられる。
(c)成分の化合物を用いることにより、(a)成分と(b)成分の反応による発色性に対する減感性が小さく、加熱による発色する変色挙動と色濃度の向上に効果的に機能する。
なお、(b)成分のヒドロキシ安息香酸エステルはアルキル基の炭素数が大きい程、結晶性が高い傾向にあり、(c)成分の添加により結晶性の高いヒドロキシ安息香酸エステルを低温領域の変色温度で使用可能となる。
鎖式炭化水素類としては、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン等の飽和鎖式炭化水素類、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ヘンエイコセン、1-ドコセン、1-トリコセン、1-テトラコセン、1-ペンタコセン、1-ヘキサコセン、1-ヘプタコセン、1-オクタコセン、1-ノナコセン、1-トリアコンテン等の不飽和鎖式炭化水素類を例示できる。
脂環式炭化水素類としては、シクロオクタン、シクロドデカン、n-ペンタデシルシクロヘキサン、n-オクタデシルシクロヘキサン、n-ノナデシルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等を例示できる。
ハロゲン化炭化水素類としては、1-ブロモデカン、1-ブロモウンデカン、1-ブロモドデカン、1-ブロモトリデカン、1-ブロモテトラデカン、1-クロロテトラデカン、1-ブロモペンタデカン、1-ブロモヘキサデカン、1-クロロヘキサデカン、1-ヨードヘキサデカン、1-ブロモヘプタデカン、1-ブロモオクタデカン、1-クロロオクタデカン、1-ヨードオクタデカン、1-ブロモエイコサン、1-クロロエイコサン、1-ブロモドコサン、1-クロロドコサン等を例示できる。
【0013】
(d)軟化点が5℃以上、且つ、質量平均分子量が200~10万のスチレン系化合物を以下に例示する。
スチレン系化合物は質量平均分子量が200~6000ものが好適に用いられる。
なお、質量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
スチレン系化合物としては、低分子量ポリスチレン、スチレン-α-メチルスチレン系共重合体、α-メチルスチレン重合体、α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体等が挙げられる。
低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB-75(質量平均分子量2000)、ハイマーST-95(質量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン-α-メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(質量平均分子量317)、ピコラスチックA75(質量平均分子量917)、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックD125(質量平均分子量3000)等が用いられる。
α-メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(質量平均分子量664)、クリスタレックス3100(質量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(質量平均分子量2420)等が用いられる。
α-メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(質量平均分子量950)、ピコテックス100(質量平均分子量1740)等が用いられる。
スチレン系化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
(d)成分を添加することにより、反応媒体である、鎖式炭化水素類、脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類、およびハロゲン化炭化水素類からなる群から選ばれる化合物の極性が変化するため、(b)成分の反応媒体に対する溶解性が減少し、徐々に(b)成分の結晶化が進行することになる。そのため、発色状態から降温過程で消色誘発温度迄冷却した可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、簡単に、マイクロカプセル顔料ということがある)は放置すると消色する。
【0014】
本発明によるマイクロカプセル顔料は、(e)融点が50℃以上の、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、酸アミド類、及び芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる化合物(以下、簡単に、(e)成分ということがある)を更に含むことが好ましい。(e)成分を以下に例示する。
アルコール類としては、ヘキサデカン1-オール、ヘプタデカン1-オール、オクタデカン1-オール、ノナデカン1-オール、エイコサン1-オール、ヘンエイコサン1-オール、ドコサン1-オール、テトラコサン1-オール、ヘキサコサン1-オール、オクタコサン1-オール、トリアコンタン1-オール等が挙げられる。
【0015】
エステル類としては、ラウリン酸エイコシル、ラウリン酸ベヘニル、ラウリン酸テトラコシル、ラウリン酸ヘキサコシル、ラウリン酸オクタコシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、ミリシチン酸エイコシル、ミリスチン酸ベヘニル、ミリスチン酸テトラコシル、ミリスチン酸ヘキサコシル、ミリスチン酸オクタコシル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸エイコシル、パルミチン酸ベヘニル、パルミチン酸テトラコシル、パルミチン酸ヘキサコシル、パルミチン酸オクタコシル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エイコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸テトラコシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸オクタコシル、エイコ酸デシル、エイコ酸ウンデシル、エイコ酸トリデシル、エイコ酸ミリスチル、エイコ酸セチル、エイコ酸ステアリル、エイコ酸エイコシル、エイコ酸ドコシル、エイコ酸テトラコシル、エイコ酸ヘキサコシル、エイコ酸オクタコシル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸デシル、ベヘン酸ウンデシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸トリデシル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸セチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸エイコシル、べへン酸ベヘニル、ベヘン酸テトラコシル、ベヘン酸ヘキサコシル、ベヘン酸オクタコシル、シュウ酸ジステアリル、シュウ酸ジエイコシル、シュウ酸ベヘニル、コハク酸ジステアリル、コハク酸エイコシル、コハク酸ベヘニル、グルタル酸ジステアリル、グルタル酸ジエイコシル、グルタル酸ベヘニル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、アジピン酸エイコシル、アジピン酸ベヘニル、スベリン酸ジセチル、スベリン酸ジステアリル、スベリン酸ジエイコシル、スベリン酸ベヘニル、アゼライン酸ミリスチル、アゼライン酸ジセチル、アゼライン酸ジステアリル、アゼライン酸エイコシル、アゼライン酸ベヘニル、セバシン酸ジミリスチル、セバシン酸ジセチル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジエイコシル、セバシン酸ジベヘニル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジラウリル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジデシル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジラウリル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジセチル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,18-オクタデカメチレンジカルボン酸ジベヘニル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジデシル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジラウリル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジトリデシル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジミリスチル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジセチル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジパルミチル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジステアリル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジエイコシル、1,20-エイコシルメチレンジカルボン酸ジベヘニル、トリミリスチン、トリパルミチン、トリステアリン、トリノナデカノイン、カプロン酸コレステロール、カプリル酸コレステロール、カプリン酸コレステロール、ウンデカン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、エイコサン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール等が挙げられる。
【0016】
エーテル類としては、ペンタデシルエーエル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジエイコシルエーテル、ジドコシルエーテル等が挙げられる。
【0017】
ケトン類としては、ジオクチルケトン、ジノニルケトン、ジウンデシルケトン、ジトリデシルケトン、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジノナデシルケトン、フェニルオクチルケトン、フェニルウンデシルケトン、フェニルトリデシルケトン、フェニルペンタデシルケトン、フェニルヘプタデシルケトン等が挙げられる。
【0018】
酸アミド類としては、ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ラウリルアミド、トリデシルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、エイコシルアミド、ベヘニルアミド、ヘキサコシルアミド、オクタコシルアミド等が挙げられる。
【0019】
芳香族炭化水素類としては、ビフェニル、オルトターフェニル、メタターフェニル、パラターフェニル、テルチオフェン等が挙げられる。
【0020】
(e)成分として下記表に記載された化合物を用いることもできる。
【表1】
(e)成分は、好ましくはエステル類、エーテル類、及び芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる化合物であり、より好ましくは芳香族炭化水素類である。
【0021】
発色状態から降温過程で(d)成分によって(b)成分の結晶化が進行して消色するが、完全に消色するまでに時間がかかることがあり、(e)成分を添加することにより更に結晶化を促進させ、消色鋭敏性を向上させることができる。
【0022】
(a)、(b)、(c)、(d)成分の割合は、色濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(a)成分1に対して、(b)成分0.1~50、好ましくは0.5~20、(c)成分1~200、好ましくは5~100、(d)成分0.1~10.0、好ましくは0.5~5.0の範囲、(e)成分0.1~5.0、好ましくは0.1~3.0の範囲である(前記した割合はいずれも質量部である)。
【0023】
可逆熱変色性組成物はマイクロカプセルに内包して使用される。それは、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるためであり、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
可逆熱変色性組成物を内包してなるマイクロカプセル顔料は、粒子径0.1~100μm、好ましくは0.5~30μm、より好ましくは1~20μmの範囲が実用性を満たす。
尚、粒子径及び平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の粒子径及び平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合には、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の粒子径及び平均粒子径として測定することも可能である。
更に、コールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションしたレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)を用いて、体積基準の粒子径及び平均粒子径(メジアン径)を測定しても良い。
【0024】
尚、各成分は各々2種以上の化合物の混合であってもよく、更には機能に支障のない範囲で光安定剤を添加することができる。
光安定剤としては、(a)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する紫外線吸収剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等の一重項酸素消光剤、オキシドジスムスターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等のスーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等、酸化反応を抑制する化合物が挙げられ、0.3~24質量%、好ましくは0.8~16質量%の割合で配合される。なかでも、紫外線吸収剤と、酸化防止剤及び/又は一重項酸素消光剤を併用した系にあっては、耐光性の向上に特に効果的である。
又、老化防止剤、帯電防止剤、極性付与剤、揺変性付与剤、消泡剤等を必要に応じて添加して機能を向上させることもできる。
更には、一般染顔料(非熱変色性)を配合することもできる。
【0025】
(a)、(b)、(c)、及び(d)成分、又は、(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)成分を含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなるマイクロカプセル顔料の変色特性を説明する。
消色状態を呈する可逆熱変色性組成物は、加熱過程において発色開始温度(T)の温度より発色し始め、完全発色温度(T)に達すると完全発色状態となり、降温する過程で消色誘発温度迄冷却した可逆熱変色性組成物は放置すると消色する。
は、好ましくは15~35℃であり、より好ましくは15~27℃である。Tは、好ましくは25~50℃であり、より好ましくは25~40℃である。
【0026】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、必要により添加剤を含むビヒクル中に分散させて液状組成物とすることで、(i)スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷インキ、(ii)刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料、(iii)マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具用インキや,(iv)塗布具用インキ、(v)絵の具、(vi)化粧料、または(vii)繊維用着色液等の可逆熱変色性液状組成物に利用できる。
【0027】
添加剤としては、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、溶解助剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防かび剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
【0028】
本発明による液状組成物のビヒクルとしては、有機溶剤を含む油性ビヒクル、或いは、水と、必要により有機溶剤を含む水性ビヒクルが挙げられる。
【0029】
本発明において用いることができる有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等を挙げることができる。
【0030】
液状組成物としては、ビヒクル中に剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性液状組成物、ビヒクル中に水溶性高分子凝集剤を含み、顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性液状組成物を挙げることができる。
【0031】
液状組成物が剪断減粘性付与剤を含むことにより、例えばインキ組成物として利用した場合に、顔料の凝集、沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、良好な筆跡を形成できる。
【0032】
更に、剪断減粘性付与剤を含むインキ組成物をボールペンに充填する場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキ組成物の逆流を防止することができる。
【0033】
剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N-アルキル-2-ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0034】
本発明に用いることができる水溶性高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
【0035】
水溶性多糖類としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等が挙げられ、水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0036】
また、液状組成物をインキ組成物としてボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
【0037】
更に、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール及び/又はその塩を含有させることにより、インキのpHが酸性或いはアルカリ領域であっても、一度凍結したインキが再度解凍された後に生じるマイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制でき、インキの粘度の上昇やそれに伴う筆跡カスレや淡色化を防止することができると共に、ボールペンに用いる場合はボールの腐食を防止することもできる。
【0038】
その他、必要に応じて(i)アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の、紙面への固着性や粘性を付与する樹脂、(ii)炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、(iii)ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、(iv)フェノール、1,2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、(v)尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、(vi)消泡剤、(vii)分散剤、(viii)インキ組成物の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
【0039】
液状組成物の全質量に対し、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有することができる。マイクロカプセル顔料の含有量が上記の範囲であることにより、望ましい発色濃度が達成でき、更にインキ組成物として用いた場合にはその流出性の低下を防止することができる。
【0040】
本発明による液状組成物を収容することができる筆記具について説明する。一実施形態において、筆記具は、インキ組成物を収容した軸筒及び軸筒内のインキを導出するペン体を備えてなる。ペン体としては、マーキングペン体、ボールペン体、筆ペン体等が挙げられる。マーキングペン体としては、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングチップが挙げられる。ボールペン体としては、ボールペンチップが挙げられる。
【0041】
本発明によるマイクロカプセル顔料は、支持体と組み合わせて、積層体とすることができ、マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層と支持体とを具備してなる。また、支持体にマイクロカプセル顔料が含まれている成形体であってもよい。
具体的には、マイクロカプセル顔料は、膜形成材料であるバインダーを含む媒体中に分散されて、インキ、塗料などの可逆熱変色性材料として適用され、従来より公知の方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により、紙、合成紙、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材等の支持体上に可逆熱変色層を形成して積層体を得たり、或いは支持体中に分散して成形体を得ることができる。
更には、溶融状態の熱可塑性プラスチック中に混練して一体化された材料として成形体を得ることもできる。
【0042】
マイクロカプセル顔料を適用した製品として具体的には、以下のものを例示することができる。
(1)玩具類
人形及び動物形象玩具、人形及び動物形象玩具用毛髪、人形の家及び家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具等、
(2)衣類
Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴や靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、ふろしき等の布製身の回り品、手袋、ネクタイ、帽子等、
(3)屋内装飾品
絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、額縁、造花、写真立て等、
(4)家具
布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、冷暖房器具等、
(5)装飾品
指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ等、時計、眼鏡等、
(6)文房具類
筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、粘着テープ等、
(7)日用品
口紅、アイシャドー、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、歯ブラシ等、
(8)台所用品
コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等、
(9)その他
カレンダー、ラベル、カード、記録材、及び偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、コースター、楽器、カイロ、蓄冷剤、財布等の袋物、傘、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具等。
【実施例
【0043】
実施例1~14
本発明の可逆熱変色性組成物に用いられる組成を以下の表に示す。
なお、表中の( )内の数字は質量部を示し、以下の配合量を示す数字はいずれも質量部である。
【0044】
【表2】
【0045】
表中の(d)成分について、ピコラスチックA75は、低分子量ポリスチレン樹脂、軟化点75℃であり、ピコラスチックD125は、低分子量ポリスチレン樹脂、軟化点125℃であり、ピコラスチックA5は、低分子量ポリスチレン樹脂、軟化点5℃である。
表中の(e)成分に記載された化合物1、2、6とは、(e)成分を例示した表に記載された各化合物である。
【0046】
各可逆熱変色性組成物を加温溶融して相溶体とした後、エポキシ樹脂及びアミン硬化剤による界面重合反応によりエポキシ樹脂皮膜で内包されたマイクロカプセル形態のマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料について、以下の測定試料を作製した後、以下の測定方法により変色温度を測定した。
【0047】
測定試料
マイクロカプセル顔料の変色特性は、マイクロカプセル顔料40部をエチレン-酢酸ビニルエマルジョン60部中に分散してなる可逆熱変色性インキを用いて、スクリーン印刷により上質紙に印刷した印刷物を測定試料とした。
【0048】
測定方法
実施例1~14の測定試料を色差計〔TC-3600型色差計、(株)東京電色製〕の所定箇所にセットし、0℃から40℃の温度幅で速度10℃/分にて加熱する。
40℃迄加熱した後、消色誘発温度迄冷却し、放置して消色させた。
各実施例の色変化、発色開始温度(T)、完全発色温度(T)、消色誘発温度、発色時の色濃度(明度値)を以下の表に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
比較例1、2
可逆熱変色性組成物に用いられる組成を以下の表に示す。
なお、表中の( )内の数字は質量部を示し、以下の配合量を示す数字はいずれも質量部である。
【0051】
【表4】
【0052】
各可逆熱変色性組成物を加温溶融して相溶体とした後、エポキシ樹脂及びアミン硬化剤による界面重合反応によりエポキシ樹脂皮膜で内包されたマイクロカプセル形態のマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料について、以下の測定試料を作製した後、以下の測定方法により変色温度を測定した。
【0053】
測定試料
マイクロカプセル顔料の変色特性は、マイクロカプセル顔料40部をエチレン-酢酸ビニルエマルジョン60部中に分散してなる可逆熱変色性インキを用いて、スクリーン印刷により上質紙に印刷した印刷物を測定試料とした。
【0054】
測定方法
比較例1及び2の測定試料を色差計〔TC-3600型色差計、(株)東京電色製〕の所定箇所にセットし、0℃から40℃の温度幅で速度10℃/分にて加熱する。
40℃迄加熱した後、消色誘発温度迄冷却し、放置して消色させた。
各実施例の色変化、発色開始温度(T)、完全発色温度(T)、消色誘発温度、発色時の色濃度(明度値)を以下の表に示す。
なお、表中の明度値は、小さいほど濃度が高く、大きいほど濃度が低いことを示している。
【0055】
【表5】
【0056】
応用例1
実施例1で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30.0部、蛍光顔料(ピンク色)2.0部、アクリル樹脂エマルジョン50.0部、消泡剤3.0部、ターペンエマルジョン15.0部からなる可逆熱変色性スクリーンインキを調製した。
ポリエステルタフタに可逆熱変色性スクリーンインキを用いてスクリーン印刷により印刷し、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性シートを得た。
可逆熱変色性シートは26℃以上に加温すると紫色を呈する。
可逆熱変色性シートを18℃迄冷却した後、放置すると前記可逆熱変色性シートはピンク色を呈する。
【0057】
応用例2
実施例2で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
上質紙に前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性シートを得た。
シートは38℃以上に加温すると青色を呈する。
可逆熱変色性シートを26℃迄冷却した後、放置すると可逆熱変色性シートは無色を呈する。
【0058】
応用例3
実施例3で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料33.3部、硬質タイプの液状エポキシ樹脂66.4部、消泡剤0.3部を均一に分散練合させて得られた可逆熱変色性エポキシインキ中に常温硬化型の脂肪族ポリアミド20.0部を添加し、攪拌混合して可逆熱変色性エポキシインキを調製した。
陶磁器製カップ表面に可逆熱変色性エポキシインキを用いてステンレススチール製100メッシュスクリーン版にて曲面スクリーン印刷を行ない、70℃で60分間、加熱硬化して可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性カップを得た。
可逆熱変色性カップは50℃以上に加温すると青色を呈する。
可逆熱変色性カップを35℃迄冷却した後、放置すると可逆熱変色性カップは無色を呈する。
【0059】
応用例4
実施例4で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料10.0部、蛍光顔料(ピンク色)1.0部、50%アクリル樹脂/キシレン溶液45.0部、キシレン15.0部、メチルイソブチルケトン23.0部、ポリイソシアネート系硬化剤6.0部からなるビヒクル中に攪拌混合して可逆熱変色性スプレー塗料を調製した。
ミニチュア電車全体に可逆熱変色性スプレー塗料をスプレー塗装して可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性ミニチュア電車を得た。
可逆熱変色性ミニチュア電車は32℃以上に加温すると紫色を呈する。
可逆熱変色性ミニチュア電車を24℃迄冷却した後、放置するとの前記可逆熱変色性ミニチュア電車はピンク色を呈する。
【0060】
応用例5
実施例7で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料10.0部、青色顔料1.0部、50%アクリル樹脂/キシレン溶液45.0部、キシレン15.0部、メチルイソブチルケトン23.0部、ポリイソシアネート系硬化剤6.0部からなるビヒクル中に攪拌混合して可逆熱変色性スプレー塗料を調製した。
ミニチュア電車全体に可逆熱変色性スプレー塗料をスプレー塗装して可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性ミニチュアカーを得た。
可逆熱変色性ミニチュアカーは38℃以上に加温すると紫色を呈する。
可逆熱変色性ミニチュアカーを26℃迄冷却した後、放置するとの可逆熱変色性ミニチュアカーは青色を呈する。
【0061】
応用例6
実施例5で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部、黄色顔料0.04部、12ナイロン樹脂(融点178℃)1000.0部、紫外線吸収剤10.0部を混合し、ヘンシェルミキサーで分散した後、押出成形機を用いて可逆熱変色性12ナイロン樹脂ペレット(可逆熱変色性成形用樹脂組成物)を得た。
可逆熱変色性成形用樹脂組成物を用いて溶融紡糸を行ない、成形体として可逆熱変色性フィラメントを得た。
フィラメントを用いて人形の頭に植毛を施した。
フィラメントは32℃以上に加温すると青色と黄色が混色となった緑色を呈する。
フィラメントを10℃迄冷却した後、放置するとの前記フィラメントは黄色を呈する。
【0062】
応用例7
実施例6で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料30.0部を、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン45.0部、消泡剤1.0部、希釈水23.0部からなるビヒクル中に混合し、180メッシュスクリーンで濾過して可逆熱変色性スプレー塗料を得た。
スプレー塗料をスプレーガン(口径0.6mm)に充填して白色布帛(支持体)の全面に塗装を施した後、乾燥させて可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性布帛を得た。
布帛を縫製して、水着を作製した。
水着38℃以上に加温すると青色を呈する。
水着を20℃迄冷却した後、放置するとの前記水着は白色を呈する。
【0063】
応用例8
実施例8で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
上質紙に前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性シートを得た。
シート上からSEBS製の摩擦具を用いて擦過して摩擦熱を発生させ、32℃以上に加温すると青色を呈する。
可逆熱変色性シートを5℃迄冷却した後、放置すると前記可逆熱変色性シートは白色を呈する。
【0064】
応用例9
実施例9で作製した可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料50.0部を、アマニ油系オフセットインキビヒクル50.0部中に均一に分散混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
上質紙にオフセットインキを用いてオフセット印刷を行ない、可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性シートを得た。
シート上から通電加熱具を用いて32℃以上に加温すると青色を呈する。
可逆熱変色性シートを24℃迄冷却した後、暫く放置すると可逆熱変色性シートは白色を呈する。