(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】断熱中綿用の酢酸セルロース繊維ブレンド
(51)【国際特許分類】
D04H 1/4382 20120101AFI20240227BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20240227BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
D04H1/4382
D04H1/732
A47G9/02 E
A47G9/02 D
(21)【出願番号】P 2021510983
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 US2019047195
(87)【国際公開番号】W WO2020046634
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】チャンバーズ,ローレン・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】エバレット,チャールズ・スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】スティーチ,ジェレミー・ケネス
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ブライアン・ティンダル
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-125153(JP,A)
【文献】特開2006-219769(JP,A)
【文献】特開2016-067452(JP,A)
【文献】特開2000-313894(JP,A)
【文献】特開平07-102460(JP,A)
【文献】特開平07-145543(JP,A)
【文献】特表2003-519297(JP,A)
【文献】特表2008-513620(JP,A)
【文献】特表2017-516924(JP,A)
【文献】特開2014-079324(JP,A)
【文献】米国特許第05783505(US,A)
【文献】特表平07-503291(JP,A)
【文献】特表平07-503292(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0180592(US,A1)
【文献】特表2020-509254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/00 - 11/00
B68G 1/00 - 99/00
D01F 2/28 - 2/30
D04H 1/00 - 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酢酸セルロースから形成されたステープル繊維;および
(b)バインダー繊維、を含む繊維ブレンドであって、
ステープル繊維は、2.54cm(1インチ)あたり10~30捲縮(CPI)の捲縮頻度、55mm以下の切断長さ、および非円形の断面形状を有
し;繊維ブレンドを含む不織布ウェブのロフトのミリメートルあたりのclo値が少なくとも0.180であり;酢酸セルロースステープル繊維の量が、ブレンド中の全ての繊維の重量に対して少なくとも45重量%であり;バインダー繊維の量が、ブレンドの10~30重量%の範囲であり;ステープル繊維が、2.0未満のフィラメントあたりのデニールを有する、繊維ブレンド。
【請求項2】
酢酸セルロースステープル繊維の量が、ブレンド中のすべての繊維の重量を基準にして、少なくとも60重量%である、請求項1に記載のブレンド。
【請求項3】
ステープル繊維が、Y字形または三葉形断面を有する、請求項1に記載のブレンド。
【請求項4】
ステープル繊維が、15~25CPIの捲縮頻度を有する、請求項1に記載のブレンド。
【請求項5】
ステープル繊維が、10~55mmの切断長さを有する、請求項1に記載のブレンド。
【請求項6】
(c)羊毛、綿、亜麻、および麻から選択される天然繊維をさらに含む、請求項1に記載のブレンド。
【請求項7】
(d)ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンから選択される合成繊維をさらに含む、請求項1に記載のブレンド。
【請求項8】
酢酸セルロースから形成された2つ以上のタイプのステープル繊維を含む、請求項1に記載のブレンド。
【請求項9】
バインダー繊維が、ポリエステルおよびコポリエステルを含む二成分系繊維である、請求項1に記載のブレンド。
【請求項10】
バインダー繊維が、ポリエステルおよびポリオレフィンを含む二成分系繊維である、請求項1に記載のブレンド。
【請求項11】
請求項1に記載のブレンドを含む、熱接着不織布ウェブ。
【請求項12】
少なくとも0.210の
clo/mm値を有する、請求項
11に記載の不織布ウェブ。
【請求項13】
エアレイ加工されている、請求項
11に記載の不織布ウェブ。
【請求項14】
酢酸セルロースステープル繊維が、ウェブの厚さに対して水平にラッピングされている、請求項
13に記載の不織布ウェブ。
【請求項15】
ウェブの厚さに対して複数の垂直平行プリーツを含む、請求項
13に記載の不織布ウェブ。
【請求項16】
請求項
12に記載の不織布ウェブを含む、断熱芯地。
【請求項17】
ダウン、フェザー、ポリエステル繊維、ポリエステルマイクロ繊維、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項16に記載の芯地。
【請求項18】
請求項17に記載の芯地を含む製造物品であって、衣類、靴、手袋、枕、掛け布団、毛布、スロー、マットレス、マットレスパッド、寝袋、またはクッションを含む、製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、断熱中綿として有用な繊維ブレンドに関する。本発明は特に、酢酸セルロース繊維を含むブレンドであって、熱接着のために不織布ウェブになり、その後、例えば、衣類および寝具において断熱材として使用することができる、酢酸セルロース繊維を含むブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]自然界で最も優れた断熱材の1つは、ダウンである。ダウンの断熱材は通常、ガチョウまたはアヒルの羽毛(フェザーの下にある嵩高いふわふわした層)で作製されている。ダウンにより、空気および体熱を閉じ込める高ロフトのクラスターが作られる。効率的に熱を閉じ込める能力に加えて、ダウンは非常に通気性があり、湿気を逃がして蒸発させることができる。
【0003】
[0003]しかし、ダウン断熱材には、濡れたときに断熱力を失うこと、比較的高価であること、および動物福祉の懸念を提起することを含むいくつかの欠点がある。
[0004]ダウン断熱材の通常の代替品は、ポリエステル不織布断熱材の中綿である。中綿には、短ステープルまたは連続ポリエステルフィラメントを含めることができる。ポリエステルの中綿は、ダウンに対する懸念のうちのいくつかに対処するが、ダウンの快適さを伴うロフトに対する暖かさの性能は提供しない。さらに、現在入手可能なポリエステル繊維のほとんどは石油から供給されているため、繊維は本質的に非生分解性であり堆肥化できない。
【0004】
[0005]したがって、当技術分野では、これらの欠点の1つまたは複数に悩まされない、衣類および家庭用用途のための代替および/または改善された断熱材を提供する必要がある。
【0005】
[0006]本発明は、この必要性ならびに他の必要性に対処し、これは、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0006】
[0007]本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
[0008]要約すると、一態様では、本発明は繊維ブレンドを提供する。ブレンドは、
(a)酢酸セルロースから形成されたステープル繊維;および
(b)バインダー繊維、
を含み、
ステープル繊維は、2.54cm(1インチ)あたり10~30捲縮(CPI)の捲縮頻度、55mm以下の切断長さ、および非円形の断面形状を有する。
【0007】
[0009]別の態様では、本発明は、本発明によるブレンドを含む熱接着不織布ウェブを提供する。
[0010]さらに別の態様では、本発明は、本発明による不織布ウェブを含む断熱芯地を提供する。
【0008】
[0011]さらに別の態様では、本発明は、本発明による芯地を含む製造物品を提供する。そのような物品の例としては、衣類、靴、手袋、枕、掛け布団、毛布、スロー、マットレス、マットレスパッド、寝袋、およびクッションが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]驚くべきことに、ある特定の酢酸セルロースステープル繊維およびバインダー繊維を含む繊維ブレンド由来の熱接着不織布ウェブは、特に同等のロフトで、他の合成繊維または繊維ブレンドから作製されたウェブと比較して、断熱または柔らかい手触りなどの優れた特性を提供できることが発見された。酢酸セルロース繊維に基づくため、本発明によるウェブは、再生可能な材料(例えば、木材パルプおよび綿リンター)から供給されるという追加の利点を有する。
【0011】
[0014]したがって、一態様では、本発明は繊維ブレンドを提供する。ブレンドは、(a)酢酸セルロースから形成されたステープル繊維、および(b)バインダー繊維、を含む。酢酸セルロースステープル繊維は、2.54cm(1インチ)あたり10~30捲縮(CPI)の捲縮頻度、55mm以下の切断長さ、および非円形の断面形状を有することを特徴とし得る。
【0012】
[0015]本発明において有用な酢酸セルロース(CE)ステープル繊維は、2017年2月28日出願の米国仮特許出願第62/464,715号、2017年11月16日出願の同第62/587,228号、および2017年12月7日出願の同第62/595,872号;および2018年2月27日出願の国際特許出願番号PCT/US2018/019995;に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた主題が本明細書の開示と矛盾する場合には、本明細書の開示が、組み込まれた内容よりも優先される。
【0013】
[0016]要約すると、CAステープル繊維は、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、またはそれらの混合物から形成され得る。CAは、1.9~3未満の範囲の置換度を有することができる。本明細書で使用する場合、「置換度」または「DS」という用語は、セルロースポリマーの無水グルコース環あたりのアシル置換基の平均数を指し、最大置換度は3.0である。場合によっては、CAは、少なくとも1.95、2.0、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、もしくは2.3、および/または2.9、2.85、2.8、2.75、2.7、2.65、2.6、2.55、2.5、2.45、2.4、もしくは2.35以下の平均置換度を有してもよい。DSは、上記の範囲のうちの1つまたは複数(例えば、2.2~2.8)に含まれる場合もある。場合によっては、CAの少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99パーセントが、2.15、2.2、または2.25を超えるDSを有する。場合によっては、CAの少なくとも90パーセントが、2.2、2.25、2.3、または2.35を超えるDSを有し得る。通常、アセチル基は、全アシル置換基の少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、もしくは60パーセントおよび/または99、95、90、85、80、75、もしくは70パーセント以下を構成する。
【0014】
[0017]CAは、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用いたゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定された、90,000以下の重量平均分子量(Mw)を有し得る。場合によっては、CAは、少なくとも10,000、少なくとも20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、もしくは45,000、および/または100,000、95,000、90,000、85,000、80,000、75,000、70,000、65,000、60,000、もしくは50,000以下であってもよい。
【0015】
[0018]CAを、好適な方法によって形成してもよい。場合によっては、酸性反応媒体中で木材パルプなどのセルロース材料を無水酢酸および触媒と反応させてCAフレークを形成することによってCAを形成してもよい。次に、フレークをアセトンまたはメチルエチルケトンなどの溶剤に溶解して「溶剤ドープ」を形成し、これを濾過して紡糸口金に通してCA繊維を形成してもよい。場合によっては、繊維の所望の特性および最終用途に応じて、濾過の前に、最大1重量パーセントまたはそれより多い二酸化チタンまたは他のつや消し剤をドープに加えてもよい。
【0016】
[0019]場合によっては、CA繊維を形成するために使用される溶剤ドープまたはフレークは、CEに加えて、添加剤をほとんどまたは全く含まなくてもよい。そのような添加剤には、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、酸化促進剤、酸捕捉剤、無機物、顔料、および着色剤が含まれ得るが、これらに限定されない。場合によっては、CA繊維は、繊維の総重量を基準にして、少なくとも90、90.5、91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99、99.5、99.9、99.99、99.995、または99.999パーセントのCEを含むことができる。本発明に従って形成された繊維は、本明細書に列挙されている特定の添加剤を含む、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.5、0.1、0.01、0.005または0.001重量パーセント以下の添加剤を含んでもよい。
【0017】
[0020]CA繊維は、同様の繊維の環境非残留性(environmental non-persistence)を促進するために元来使用されてきた添加剤を使用することなく、より高いレベルの生分解性および/または堆肥化性を達成することができる。そのような添加剤は、例えば、光分解剤、生分解剤、分解促進剤、および種々のタイプの他の添加剤を含むことができる。場合によっては、これらのタイプの添加剤を実質的に含まないにもかかわらず、本発明によるCA繊維および物品は、産業、家庭、および/または土壌条件下で試験したときに、生分解性および堆肥化性の向上を予想外に呈し得る。
【0018】
[0021]いくつかの実施形態では、CA繊維は、光分解剤を実質的に含まなくてもよい。例えば、繊維は、繊維の総重量を基準にして、1、0.75、0.50、0.25、0.10、0.05、0.025、0.01、0.005、0.0025、もしくは0.001重量パーセント以下の光分解剤を含んでもよく、または繊維は、光分解剤を含まなくてもよい。そのような光分解剤の例としては、光酸化触媒として作用し、任意選択で、1つまたは複数の金属塩、被酸化性促進剤、およびそれらの組み合わせの存在によって増強される顔料が挙げられるが、これらに限定されない。顔料としては、コーティングまたは非コーティングアナターゼまたはルチル二酸化チタンを挙げることができ、これらは、単独で、または、例えば、種々のタイプの金属などの1つまたは複数の増強成分と組み合わせて存在し得る。光分解剤の他の例としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、キノン、チオキサントン、フタロシアニンおよび他の光増感剤、エチレン-一酸化炭素コポリマー、芳香族ケトン-金属塩増感剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
[0022]いくつかの実施形態では、CA繊維は、生分解剤および/または分解剤を実質的に含まなくてもよい。例えば、繊維は、繊維の総重量を基準にして、1、0.75、0.50、0.25、0.10、0.05、0.025、0.01、0.005、0.0025、0.0020、0.0015、0.001、0.0005重量パーセント以下の生分解剤および/または分解剤を含んでもよく、または繊維は、生分解剤および/または分解剤を含まなくてもよい。そのような生分解剤および分解剤の例としては、リンの酸素酸塩、リンの酸素酸エステルまたはその塩、炭酸またはその塩、リンの酸素酸、硫黄の酸素酸、窒素の酸素酸、これらの酸素酸の部分エステルまたは水素塩、炭酸およびその水素塩、スルホン酸、ならびにカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
[0023]そのような生分解剤および分解剤の他の例としては、分子あたり2~6個の炭素原子を有するオキソ酸、分子あたり2~6個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸、ならびにオキソ酸または飽和ジカルボン酸と1~4個の炭素原子を有するアルコールとの低級アルキルエステルからなる群から選択される有機酸が挙げられる。生分解剤はまた、例えば、リパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、およびそれらの組み合わせなどの酵素を含んでもよい。他のタイプの生分解剤および分解剤としては、リン酸セルロース、リン酸デンプン、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム(calcium phosphate hydroxide)、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、酢酸、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0021】
[0024]CA繊維はまた、環境非残留性を促進するために他の繊維に添加されているいくつかの他のタイプの添加剤を実質的に含まなくてもよい。これらの添加剤の例としては、脂肪族および低分子量(例えば、5000未満)のポリエステルを含むポリエステル、酵素、微生物、水溶性ポリマー、変性酢酸セルロース、水分散性添加剤、窒素含有化合物、ヒドロキシ官能性化合物、酸素含有複素環式化合物、硫黄含有複素環式化合物、無水物、モノエポキシド、ならびにそれらの組み合わせ、を挙げることができるが、これらに限定されない。場合によっては、CA繊維は、0.5、0.4、0.3、0.25、0.1、0.075、0.05、0.025、0.01、0.0075、0.005、0.0025、または0.001重量パーセント以下のこれらのタイプの添加剤を含んでもよく、またはCA繊維は、これらのタイプの添加剤のいずれも含まなくてもよい。
【0022】
[0025]紡糸口金において、溶剤ドープは、複数の穴を通って押し出されて、連続酢酸セルロースフィラメントを形成することができる。フィラメントは一緒に集められて、数百、または数千もの個々のフィラメントの束を形成することができる。これらの束またはバンドのそれぞれは、少なくとも100、150、200、250、300、350、もしくは400、および/または1000、900、850、800、750、もしくは700以下の繊維を含み得る。紡糸口金は、所望のサイズおよび形状を有するフィラメントおよび束を製造するのに好適な任意の速度で操作することができる。
【0023】
[0026]複数の束を組み上げて、捲縮または非捲縮トウバンドなどのフィラメントヤーンにすることができる。本明細書で使用する場合、「フィラメントヤーン」または「トウヤーン」は、複数の連続した、個々の無撚フィラメントから形成されたヤーンを指す。フィラメントヤーンは、任意の好適なサイズのものであってもよく、いくつかの実施形態では、総デニールが少なくとも20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、75,000、100,000、150,000、2000,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、または500,000であってもよい。代替的にまたは追加的に、フィラメントヤーンの総デニールは、5,000,000、4,500,000、4,000,000、3,500,00、3,000,000、2,500,000、2,000,000、1,500,000、1,000,000、900,000、800,000、700,000、600,00、500,000、400,000、350,000、300,000、250,000、200,000、150,000、100,000、95,000、90,000、85,000、80,000、75,000、または70,000以下であり得る。
【0024】
[0027]全体的に長手方向に整列した方法で押し出され、最終的にフィラメントヤーンを形成する個々のフィラメントもまた、任意の好適なサイズのものであってもよい。例えば、各フィラメントは、フィラメントあたりの線状デニール(繊維長9000mの、gによる重量)が、FAVIMAT振動計手順を使用してASTMD 1577-01に従って測定して、少なくとも0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、もしくは5、および/または30、25、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4.5、4、3、もしくは2.75以下であり得る。本明細書で使用する場合、「フィラメント」という用語は、細長い連続した単一ストランド繊維を指し、下記にさらに詳述される、規定の長さに切断されたステープル繊維とは区別される。種々の実施形態では、CAステープル繊維は、上記の範囲のうちの1つまたは複数(例えば、少なくとも3.0、3.0未満、0.5~3.0未満、1.0~2.5、または1.5~2.0など)内に入るフィラメントあたりのデニール(DPF)を有し得る。種々の実施形態では、繊維ブレンドは、2つ以上の異なるDPFを有するCAステープル繊維を含んでもよい。例えば、あるセットのCAステープル繊維は、少なくとも3.0のDPFを有してもよく、別のセットは、3.0未満のDPFを有してもよい。
【0025】
[0028]紡糸口金から排出される個々のフィラメントは、任意の非円形の断面形状を有してもよい。例示的なそのような断面形状としては、Y字形、I字形(ドッグボーン)、閉じたC字形、三葉形、多葉形、X字形、または小鈍鋸歯状が挙げられるが、これらに限定されない。フィラメントが多葉形断面形状を有する場合には、それは少なくとも4、5、または6以上の葉部を有していてもよい。場合によっては、フィラメントは、1以上、2以上、3以上、または4以上の軸に沿って対称であってもよく、他の実施形態では、フィラメントは非対称であってもよい。場合によっては、CAステープル繊維は、Y字形または三葉形であってもよい。本明細書で使用する場合、「断面」という用語またはその変形は、一般にフィラメントの伸長方向に対し直交する方向で測定されたフィラメントの横断面を指す。フィラメントの断面は、定量的画像分析(QIA)を使用して測定し決定してもよい。ステープル繊維は、それらが形成されたフィラメントと同様の断面形状を有してもよい。
【0026】
[0029]個々のフィラメント(またはステープル繊維)の断面形状は、円形の断面形状からのその偏差に従って特徴付けることができる。場合によっては、この偏差は、以下の式:
形状係数=外周の長さ/(4π×断面積)1/2によって決定されるフィラメントまたは繊維の形状係数によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、個々のCAフィラメントまたは繊維の形状係数は、少なくとも1.01、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.25、2.5、2.75、3、もしくは3.25、および/または5、4.8、4.75、4.5、4.25、4、3.75、3.5、3.25、3、2.75、2.5、2.25、2、1.75、1.5、もしくは1.25以下であり得る。(注:これらの値はまた、列挙された数の1に対する比、例えば1.45:1として表すこともできる)。円形の断面形状を有するフィラメントまたは繊維の形状係数は1である。形状係数は、フィラメントまたは繊維の断面積から計算することができ、断面積は、QIAを使用して測定することができる。
【0027】
[0030]さらに、フィラメントまたは繊維の断面形状はまた、所与のフィラメントまたは繊維に等しい断面積を有する円形のフィラメントまたは繊維の等価直径であるその等価直径によって円形の断面と比較してもよい。いくつかの実施形態では、CAフィラメントまたは繊維は、少なくとも0.0022、0.0023、0.0024、0.0025、0.0030、0.0033、0.0035、0.0040、0.0045、0.0050、0.0055、0.0060、0.0065、0.0070、0.0073、0.0075、0.0080、0.0085、0.0090、0.0095、0.0100、0.0103、0.0104、0.0105、0.0110、0.0112、0.0115、0.0120、0.0125、0.0126、0.013、0.014、または0.015mmの等価直径を有することができる。代替的にまたは追加的に、CAフィラメントまたは繊維は、0.0400、0.0375、0.036、0.0359、0.0350、0.0033、0.0327、0.0325、0.0300、0.0275、0.0250、0.0232、0.0225、0.0200、0.0179、0.0175、0.016、0.0150、0.0127、0.0125、または0.0120mm以下の等価直径を有してもよい。等価直径を、QIAを使用して測定されたフィラメントまたは繊維の断面積から計算する。
【0028】
[0031]フィラメントヤーン(またはトウヤーン)を捲縮ゾーンに通すことができ、そこでパターン化された波様形状を、個々のフィラメントの少なくとも一部または実質的に全部に与える。
【0029】
[0032]捲縮ゾーンは、フィラメントヤーンを機械的に捲縮するための少なくとも1つの捲縮装置を含む。機械的クリンパーの一例として、複数のローラーを使用して摩擦力を生成させて、それにより繊維を座屈させてボックス内に捲縮を形成する「スタッフィングボックス」または「スタッファーボックス」クリンパーが挙げられる。他のタイプのクリンパーも使用することができる。フィラメントヤーンに捲縮を与えるのに好適な装置の例は、例えば米国特許第9.179,709号;同第2,346,258号;同第3,353,239号;同第3,571,870号;同第3,813,740号;同第4,004,330号;同第4,095,318号;同第5,025,538号;同第7,152,288号;および同第7,585,442号に記載されている。場合によっては、捲縮工程は、1分あたり少なくとも約50、75、100、125、150、175、200、225、もしくは250メートル(m/分)、および/または750、600、550、500、475、450、425、400、375、350、325、もしくは300m/分以下の速度で実施してもよい。
【0030】
[0033]場合によっては、最小の破断および高い程度の残留テナシティ(retained tenacity)を呈する、フィラメントあたりの捲縮が低くデニールが低いCA繊維を形成することができる。本明細書で使用する場合、「残留テナシティ」という用語は、パーセントとして表される、同一であるが非捲縮のフィラメント(または繊維)の平均テナシティに対する捲縮フィラメント(または繊維)の平均テナシティの比を指す。例えば、1.3重量グラム/デニール(g/デニール)のテナシティを有する捲縮繊維は、同一であるが非捲縮の繊維が1.5g/デニールのテナシティを有していた場合には87%の残留テナシティを有するであろう。
【0031】
[0034]いくつかの実施形態では、捲縮CAフィラメントは、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、または99パーセントの残留テナシティを有し得る。追加的にまたは代替的に、CAフィラメントの残留テナシティは、本明細書に記載のように計算して、99、97、95、90、92、90、87、85、82、または80パーセント以下であり得る。残留テナシティは、場合によっては100%になることがある。これらの範囲内の残留テナシティを呈する捲縮フィラメントは、ほとんどの酢酸セルロースフィラメントの固有の脆弱性を考慮すると予想外である。場合によっては、最終的な酢酸セルロースステープル繊維は、同一であるが非捲縮のステープル繊維と比較して同等の残留テナシティを呈することができる。
【0032】
[0035]捲縮は、最終のステープル繊維が、ASTM D3937に従って測定して、2.54cm(1インチ)あたり少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14捲縮(CPI)、および/または、2.54cm(1インチ)あたり30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、10、9、8、7、もしくは6捲縮(CPI)以下の捲縮頻度を有するように実施する。捲縮フィラメントヤーンの捲縮頻度はまた、1つまたは複数の上記の範囲内(例えば、10~30、15~25など)であってもよいが、捲縮フィラメントヤーンは、フィラメントヤーンを切断することによって形成されるステープル繊維と同様であるかまたはわずかに異なる捲縮頻度に関する値を有し得る。例えば、場合によっては、フィラメントヤーンの捲縮頻度と、そのフィラメントヤーンから形成されるステープル繊維の捲縮頻度との間の差は、少なくとも0.5、少なくとも1、もしくは少なくとも1.5CPI、および/または5、2.5、2、1.5、1、もしくは0.75CPI以下であり得る。いくつかの実施形態では、フィラメントヤーンに関して測定する場合には、捲縮頻度は、フィラメントヤーンに沿って少なくとも5つの異なる位置において測定することができる。通常、これらの位置は、互いから、およびフィラメントヤーンの端部から少なくとも1.27cm(1/2インチ)隔置することができる。
【0033】
[0036]いくつかの実施形態によれば、個々のフィラメントのフィラメントあたりの捲縮頻度の線状デニールに対する比は、2.75:1、2.80:1、2.85:1、2.90:1、2.95:1、3.00:1、3.05:1、3.10:1、3.15:1、3.20:1、3.25:1、3.30:1、3.35:1、3.40:1、3.45:1、または3.50:1より大きい可能性がある。場合によっては、この比は、特に例えば捲縮されるフィラメントが比較的微細である場合には、例えば4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、またはさらには10:1より大きいなど、さらに大きくてもよい。
【0034】
[0037]繊維またはフィラメントの捲縮振幅は変動してもよく、例えば少なくとも約0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、または1.05mmであってもよい。追加的または代替的に、繊維またはフィラメントの捲縮振幅は、1.75、1.70、1.65、1.60、1.58、1.55、1.50、1.45、1.40、1.37、1.35、1.30、1.29、1.28、1.27、1.26、1.25、1.24、1.23、1.22、1.21、1.20、1.19、1.18、1.17、1.16、1.15、1.14、1.13、1.12、1.11、1.10、1.09、1.08、1.07、1.06、1.05、1.04、1.03、1.02、1.01、1.00、0.99、0.98、0.97、0.96、0.95、0.94、0.93、0.92、0.91、または0.90mm以下であってもよい。
【0035】
[0038]さらに、ステープルCA繊維またはフィラメントは、少なくとも1:1の捲縮比を有し得る。本明細書で使用する場合、「捲縮比」とは、繊維またはフィラメントの非捲縮長さの、繊維またはフィラメントの捲縮長さに対する比を指す。いくつかの実施形態では、繊維またはフィラメントは、少なくとも1:1、1.025:1、1.05:1、1.075:1、1.1:1、1.125:1、1.15:1、1.16:1、1.175:1、1.2:1、1.225:1、1.23:1、1.25:1、1.275:1、1.3:1、1.325:1、1.35:1、1.375:1、1.39:1、1.4:1の捲縮比を有し得る。追加的または代替的に、捲縮されたトウ繊維またはステープル繊維は、2.01:1、2:1、1.975:1、1.95:1、1.925:1、1.9:1、1.875:1、1.85:1、1.825:1、1.8:1、1.775:1、1.75:1、1.725:1、1.7:1、1.675:1、1.65:1、1.625:1、1.6:1、1.575:1、1.55:1、1.525:1、1.5:1、1.475:1、1.45:1、1.425:1、1.4:1、1.39:1、1.375:1、または1.35:1以下の捲縮比を有し得る。
【0036】
[0039]捲縮振幅および捲縮比は、以下の計算に従って測定し、参照される寸法を
図1に示す。捲縮長さ(L
c)は、捲縮頻度の逆数(1/捲縮頻度)に等しく、捲縮比は直線部長さ(L
0)を捲縮長さで割った値(L
0:L
c)に等しい。振幅(A)は、直線部長さの半分(L
0/2)と捲縮長さの半分(L
c/2)を使用して、幾何学的に計算される。非捲縮長さは、従来の方法を使用して測定してもよい。
【0037】
[0040]捲縮した後、フィラメントヤーンの水分および/または溶剤含有量を減少させるために、フィラメントヤーンを乾燥ゾーンでさらに乾燥させてもよい。場合によっては、乾燥ゾーン内で実施される乾燥は、フィラメントヤーンの最終水分含有量を、フィラメントヤーンの総重量を基準にして少なくとも3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、もしくは7重量パーセント、および/または約9、8.5、8、7.5、7、もしくは6.5重量パーセント以下に減少させるのに十分なものであってもよい。例えば強制通気オーブン、ドラムドライヤー、またはヒートセットチャネル(heat setting channel)のような任意の好適なタイプの乾燥機を乾燥ゾーン内で使用することができる。乾燥機は、フィラメントヤーンを損傷しないで必要なレベルの乾燥を与える任意の温度および圧力条件で操作することができる。単一の乾燥機を使用して、または2つ以上の乾燥機を並列もしくは直列で使用して、所望の最終水分含有量を達成することができる。
【0038】
[0041]乾燥したら、フィラメントヤーンは、ベール梱包ゾーン(balling zone)においてベール梱包する(baled)してもよく、得られたベールは切断ゾーン中に導入してもよく、そこでフィラメントヤーンを切断してステープル繊維にしてもよい。本明細書で使用する場合、「ステープル繊維」という用語は、通常は約150mm未満である個々の長さを有する、フィラメントヤーンから切断された繊維を指す。いくつかの実施形態では、本発明のステープル繊維は、少なくとも1、1.5、2、3、4、5、6、8、10、12、15、17、20、22、25、27、30、32、または35mmの長さに切断してもよい。追加的または代替的に、ステープル繊維は、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、51、50、45、40、35、30、25、20、10、または8mm以下の切断長さを有し得る。CAステープル繊維の切断長さはまた、上記の範囲のうちの1つまたは複数(例えば、10~55、20~55、30~55、または30~51mm)内にあり得る。繊維を過度に損傷しないでフィラメントを所望の長さに切断することができる任意の好適なタイプの切断装置を使用することができる。切断装置の例としては、ロータリーカッター、ギロチン、牽切装置、往復ブレード、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。切断したら、その後の輸送、保管、および/または使用のために、ステープル繊維をベール梱包するかまたは別様に袋詰または包装してもよい。ステープル繊維の切断長さは、ASTM D5103に従って測定することができる。
【0039】
[0042]CAステープル繊維(またはそのような繊維を形成するのに使用されるフィラメントヤーン)は、少なくとも部分的に少なくとも1種類の繊維仕上剤でコーティングしてもよい。本明細書で使用する場合、「繊維仕上剤」および「仕上剤」という用語は、繊維に施すと繊維の近くまたは繊維上に働く摩擦力を変化させて、繊維が互いに対しておよび/または表面に対して移動する能力を変化させる任意の好適なタイプのコーティングを指す。仕上剤は、繊維に加えるとそれらを互いに接着することによって繊維の間の移動を阻止する接着剤、結合剤、または他の同様の化学的添加剤と同じではない。仕上剤は、施すと繊維が互いに対しておよび/または他の表面に対して移動することを可能にし続けるが、摩擦力を増加または減少させることによってこの移動の容易性を変化させることができる。場合によっては、仕上剤は、繊維の間の摩擦力を変化させないことがあるが、その代わりに最終コーティング繊維に1つまたは複数の他の所望の特性を与えることができる。
【0040】
[0043]いくつかの実施形態では、ステープル繊維は、繊維製造プロセス中の1つまたは複数の時点においてステープル繊維表面の全部または一部に施される少なくとも2種類の仕上剤を含んでもよい。他の場合では、ステープル繊維は、1種類のみの仕上剤を含んでもよく、一方で他の場合では、繊維は仕上剤を全く含まなくてもよい。2種類以上の仕上剤を繊維に施す場合には、これらの仕上剤を、2種類以上の異なる仕上剤のブレンドとして施してもよく、またはこれらの仕上剤を、プロセス中の異なる時点において別々に施してもよい。例えば、場合によっては、ステープル繊維を形成するプロセス中の1つまたは複数の時点において、ステープル繊維を、フィラメントヤーンに施される紡糸仕上剤またはスピン仕上剤で少なくとも部分的にコーティングしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、紡糸仕上剤は、紡糸の直後に繊維に加えてもよい。代替的にまたは追加的に、紡糸仕上剤は、捲縮工程の直前に、または紡糸工程と捲縮工程との間の任意の時点でフィラメントヤーンに加えることができる。場合によっては、紡糸仕上剤を施さなくてもよい。
【0041】
[0044]紡糸仕上剤を施す任意の好適な方法を使用してもよく、例えば、噴霧、吸上げ塗布、浸漬、またはスクイーズ、リック、もしくはキスローラーの使用を挙げることができる。使用する場合、紡糸仕上剤は任意の好適なタイプのものであってよく、フィラメントまたはステープル繊維上に、少なくとも0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.70、0.80、0.90、または1パーセントヤーン上仕上剤(FOY)の量で存在することができる。代替的にまたは追加的に、紡糸仕上剤は、乾燥繊維の総重量を基準にして1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.90、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、または0.50パーセント以下ヤーン上仕上剤(FOY)の量で存在し得る。本明細書で使用する場合、「FOY」または「ヤーン上仕上剤」とは、加えた水を差し引いたステープル繊維またはフィラメント、ヤーン上の仕上剤の量を指す。1種類または2種類以上のタイプの紡糸仕上剤を使用してもよい。場合によっては、紡糸仕上剤は疎水性であってもよい。
【0042】
[0045]追加的または代替的に、ステープル繊維は、フィラメントにある特定の特性または特徴を与えるために捲縮後に加えるトップコート仕上剤を含んでもよい。トップコート仕上剤は、例えばクリンパーの後、カッターの前、またはカッターの後を含む、ステープル繊維の形成中の1つまたは複数の時点で加えることができる。施す場合には、ステープル繊維またはフィラメントヤーン上のトップコート仕上剤の総量は、乾燥繊維またはフィラメントヤーンの総重量を基準にして、少なくとも0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、もしくは7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.90、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、0.45、0.40、0.35、0.30、もしくは0.25パーセント以下FOYであってもよい。繊維は、1種類または2種類以上のタイプのトップコート仕上剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、トップコート仕上剤を使用しなくてもよく、一方で他の実施形態では、紡糸仕上剤を施さない場合であってもトップコート仕上剤を施すことができる。いくつかの実施形態では、紡糸仕上剤を施さない場合には、繊維は少なくとも1種類のイオン性トップコート仕上剤を含んでもよく、0.05、0.01、もしくは0.005%以下FOY、または0%FOYの鉱油系仕上剤を含んでもよい。
【0043】
[0046]トップコート仕上剤は、イオン性または非イオン性であってもよく、イオン性の場合にはカチオン性またはアニオン性仕上剤であり得る。仕上剤は、溶液、エマルジョン、または分散液の形態であってもよい。トップコート仕上剤は、紡糸仕上剤に関して前述した方法を含む、任意の既知の方法に従って繊維またはフィラメントヤーンに施すことができる。いくつかの実施形態では、トップコート仕上剤は水性エマルジョンであってもよく、それは任意のタイプの炭化水素、シリコーン油などの油、ワックス、アルコール、グリコール、またはシロキサンを含んでもよく、または含まなくてもよい。好適なトップコート仕上剤の例としては、リン酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。仕上剤の安定性および/または加工性を向上させるため、および/またはそれを繊維の所期の最終用途のためにより望ましいもの(例えば、繊維がユーザーの皮膚に接触する場合には非刺激性)にするために、少量の界面活性剤のような他の成分が存在していてもよい。さらに、コーティングステープル繊維の最終用途に応じて、仕上剤は、種々の連邦および州の規制に準拠させることができ、例えば、非動物のプロポジション65に準拠し得、および/またはFDAによる食品接触の認可がなされ得る。
【0044】
[0047]フィラメントまたは繊維に施すトップコート仕上剤の特定のタイプは、少なくとも部分的に、ステープル繊維を使用する最終用途に応じて定めてもよい。いくつかの実施形態では、トップコート仕上剤は、繊維(またはフィラメント)の間の摩擦力、および/または繊維(またはフィラメント)に接触する他の表面との間の摩擦力を増大させることができ、一方、他の実施形態では、繊維および/または他の表面の間の摩擦力をトップコート仕上剤によって減少させることができる。さらに、仕上剤は、非コーティング繊維の親水性または疎水性を変化させて、それをより高親水性もしくはより低親水性、またははより高疎水性もしくはより低疎水性にすることによって、コーティング繊維と水との相互作用に影響を与え得る。トップコート仕上剤を使用することにより、繊維それ自体に更なる水分を与えてもよく、または与えなくてもよい。いくつかの実施形態では、トップコート仕上剤を加えることによって、非コーティング繊維またはフィラメントに、1.0、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、または0.20%未満FOYの水分をもたらす。
【0045】
[0048]場合によっては、繊維対繊維の摩擦力を、同一であるが非コーティングの繊維と比較して増大させるトップコート仕上剤は、比較的低い(例えば8CPI以下)またはゼロの捲縮頻度の繊維に関して望ましい場合があるということが見出され、一方、他の場合では、比較的高い(例えば16CPI以上の)捲縮頻度を有する繊維は、同一であるが非コーティングの繊維と比較して、繊維対繊維の摩擦力を変化させず減少もさせない、トップコート仕上剤の利益を享受する場合があるということが見出された。場合によっては、約8~約16CPIまたは約10~約14CPIの範囲の捲縮頻度を有する繊維は、トップコート仕上剤を用いないで加工することができる。場合によっては、トップコート仕上剤のみを繊維に施してもよい。
【0046】
[0049]さらに、いくつかの実施形態では、トップコート仕上剤(およびまたは紡糸仕上剤)は、例えば静電防止剤などの他の添加剤を含んでもよい。加えて、仕上剤はまた、湿潤剤、酸化防止剤、殺生物剤、腐食防止剤、pH制御剤、乳化剤、およびこれらの組み合わせなどの1種類または複数種類の他の添加剤を含んでもよい。1種類または複数種類の添加剤を、コーティングとして、しかし更なる摩擦力調節特性なしで繊維に加えることもまた可能である。例えば、別様にはトップコート仕上剤を含まない繊維に静電防止剤を施してもよく、これを本明細書に記載されたように好適に不織布ウェブに形成してもよい。
【0047】
[0050]存在する場合、任意の好適な静電防止剤を使用してもよい。場合によっては、静電防止剤は、極性および/または親水性化合物を含んでもよい。使用する場合には、そのような添加剤は、例えば、仕上剤の総重量を基準にして、少なくとも0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、もしくは0.35重量パーセント、および/または3、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.90、0.80、0.70、0.60、もしくは0.50重量パーセント以下などの任意の好適な量で存在し得る。
【0048】
[0051]ステープル繊維を静電防止仕上剤でコーティングする場合には、コーティング繊維は、AATCC 84-2011に従って測定して、100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、22、20、17、15、12、10、8、5、3、2、1.5、または1秒以下の静電気半減期を呈することがある。いくつかの実施形態では、ステープル繊維は、30、25、20、18、15、12、10、または8分以下の静電気半減期を有し得る。他の実施形態では、コーティング繊維の静電気半減期は、AATCC 84-2011に従って測定して、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5、8、10、15、20、30、40、50、60、75、90、もしくは100分、および/または120、110、100、90、75、60、45、40、35、30、20、15、もしくは12分以下であり得る。
【0049】
[0052]いくつかの実施形態では、これは、同一であるが非コーティングの繊維の静電気半減期の95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5パーセント以下であり得る。場合によっては、コーティング繊維の静電気半減期は、同一であるが非コーティングの繊維の静電気半減期より5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95パーセント短いことがある。
【0050】
[0053]代替的にまたは追加的に、コーティングCAステープル繊維は、AATCC TM76-2011に従って測定して、少なくとも2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、もしくは9、および/または11、10.5、10、9.75、9.5、9.25、9、8.75、8.5、8.25、8、7.75、7.5以下の表面抵抗率(LogR)を有し得る。表面抵抗率は、Keithley Instruments絶縁ボックス(モデルNo.6104)に接続したMonroe Electronics抵抗計(モデルNo.272A)を使用し、ステープル繊維の抵抗率を測定するための絶縁カップを使用して測定した。表面抵抗率(LogR)は、表面抵抗に、試験される領域の長さのその幅に対する比を乗じることによって計算され、結果を、計算値の10を底とする対数として表す。
【0051】
[0054]いくつかの実施形態では、CAステープル繊維またはフィラメントヤーンは、少なくとも1種類の紡糸仕上剤および少なくとも1種類のトップコート仕上剤で、少なくとも部分的にコーティングすることができる。ステープル繊維またはフィラメントヤーン上のすべての仕上剤の総量は、乾燥した繊維の総重量を基準にして、少なくとも0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、もしくは1.05パーセントFOY、および/または10、9、8、7、6、5、4、3、2、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.90、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、もしくは0.45パーセント以下FOYであり得る。重量%によって表される繊維上の仕上剤の量は、ASTM D2257に従って溶剤抽出によって決定することができる。
【0052】
[0055]コーティングステープル繊維は、米国特許5,683,811に記載のようにして、下記のように修正して測定して、少なくとも0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.32、0.35、0.40、0.42、0.45、0.50、0.55、および/または1、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、0.45、0.40、もしくは0.35以下の繊維対繊維(F/F)ステープルパッド摩擦係数(SPCOF)を呈することができる。
【0053】
[0056]その摩擦力を測定する繊維のステープルパッドを、ステープルパッド上部の重りと、ステープルパッドの下側の、基部との間に挟み、Series IXソフトウエアを搭載したInstron 5966 Blue Hill機(Instron Engineering Corp.、Canthon、Mass.の製品)の下部クロスヘッド上に取り付けて作製する。ステープルパッドは、ステープル繊維を(ローラートップ実験室用カードを使用して)カーディングしてバットを形成し、繊維をバットの長さ寸法に配向させて、このバットを長さ30.48cm(12インチ)、幅7.62cm(3インチ)の切片に切断する。ステープルパッドの重量が3gになる程度の切片を積み重ねる。ステープルパッドの上部の金属重りは、長さ(L)100mm、幅(W)45mm、および高さ(H)40mm、ならびに重量1200gのものである。ステープルパッドに接触する重りおよび基部の表面を、両面テープによって貼り付けた60GCのサンドペーパーで覆うので、ステープルパッドの表面に接触するのはサンドペーパーである。ステープルパッドを基部上に配置する。パッドの中央部上に、重りを配置する。重りのより小さい垂直(W×H)面の1つにナイロン製のモノフィラメントラインを取付け、小プーリーの周りをInstronの上部クロスヘッドまで通して、プーリーの周囲に90°の巻付角を形成する。
【0054】
[0057]Instronに連動したコンピューターによって信号を与えて試験を開始する。Instronの下部クロスヘッドを、150(+/-30)mm/分の速度で下方に移動させる。ステープルパッド、重り、およびプーリーも、下部クロスヘッド上に取り付けられている基部とともに下方に移動させる。下方に移動している重りと、静止状態の上部クロスヘッドの間で延伸されるにつれて、ナイロンモノフィラメントにおいて張力が増加する。張力を、ステープルパッド中の繊維の配向の方向である水平方向で重りに加える。最初は、ステープルパッド内でほとんどまたはまったく動きがない。Instronの上部クロスヘッドへ加えられる力をロードセルによって監視し、閾値レベル、すなわち、パッド中の繊維が互いにずれ始める時点、まで増加させる(ステープルパッドとの接触面におけるエメリー布のために、これらの接触面においては相対的な動きはほとんどなく、実質的にどんな動きも、ステープルパッド内の繊維が互いにずれることから生じる。)。最も高い摩擦力レベルは、繊維対繊維の静止摩擦力に打ち勝つのに必要なレベルを示しており、これを記録する。最も低い摩擦力は、動摩擦力である。平均摩擦力は、静止摩擦力と動摩擦力との平均である。
【0055】
[0058]4つの値を使用して、平均摩擦力(20~60mmの剥離伸びにおける平均荷重)を計算する。繊維対繊維ステープルパッド摩擦係数は、測定された平均摩擦力を1200gの重量で割ることによって決定される。スクループ値(scroop value)は、静止摩擦力と動摩擦力の間の差として決定することができる。
【0056】
[0059]追加的または代替的に、繊維対金属(F/M)ステープルパッド摩擦係数(SPCOF)を測定する際には、コーティングステープル繊維は、米国特許5,683,811に記載のようにして、上記のように修正して測定して、かつ1200グラムの金属重り表面をステープルパッドまたはサンドペーパーで覆わないで測定して、少なくとも0.10、0.12、0.15、0.17、0.20、0.22、0.25、0.30、0.32、0.35、0.40、0.42、0.45、0.48、0.50、0.55、0.60、および/または1、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、0.45、0.40、0.37、0.35、0.32、もしくは0.30以下の繊維対金属SPCOFを呈することができる。
【0057】
[0060]場合によっては、フィラメントヤーンを紡糸仕上剤および/またはトップコート仕上剤でコーティングする場合には、フィラメントヤーンは、少なくとも0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、もしくは0.40、および/または0.55、0.50、0.45、0.42、0.40、0.35、0.33、0.30、0.25、0.20、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、もしくは0.06以下の繊維対繊維(F/F)摩擦係数(COF)を呈することができる。連続フィラメントのF/F摩擦係数(COF)の値は、ASTM D3412に従って、規定のヤーンパラメータ、100m/分の速度、10グラムの投入張力を用い、フィラメントに片撚りを施して、決定することができる。
【0058】
[0061]別の実施形態では、本明細書に記載のヤーンは、ASTM D3412に従い、連続引張試験機電子装置(CTT-E)を使用して、規定のヤーンパラメータ、20m/分の速度、10グラムの投入張力を用い、フィラメントに片撚りを施して測定して、1つまたは複数の上記の範囲内のF/F摩擦係数値を有することができる。
【0059】
[0062]さらに、本発明の実施形態による紡糸仕上剤および/またはトップコート仕上剤でコーティングされたフィラメントヤーンは、少なくとも0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.57、0.60、もしくは0.65、および/または0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、0.50、0.45、もしくは0.40以下の繊維対金属(F/M)摩擦係数を呈することができる。連続フィラメントのF/M摩擦係数に関する値は、ASTM D3108に従って、規定のヤーンパラメータ、100m/分の速度、および48グラムの投入張力を用いて決定することができる。
【0060】
[0063]別の実施形態では、本明細書に記載のヤーンは、ASTM D3108に従い、連続引張試験機電子装置(CTT-E)を使用して、規定のヤーンパラメータ、100m/分の速度、および10グラムの投入張力を用いて測定して、1つまたは複数の上記の範囲内のF/M摩擦係数値を有することができる。
【0061】
[0064]コーティングステープル繊維の繊維対繊維の凝集性は、コーティング繊維によって示される「スクループ値」によって表すことができる。本明細書に記載のコーティング繊維の、静的引張力と動的引張力との間の差として測定されるスクループ値は、160重量グラム(g)未満であり得る。いくつかの実施形態では、コーティングステープル繊維は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、もしくは150重量グラム(gf)、および/または275、250、200、195、190、185、180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、もしくは100gf以下のスクループ値を呈することができる。より低いスクループ値によって示される凝集性がより低いコーティングステープル繊維は、全体的により柔らかい感触を有する不織布材料を形成することができる。
【0062】
[0065]静止摩擦力および動摩擦力(重量グラム)ならびに得られるスクループ値は、米国特許第5,683,811号および同第5,480,710号に記載されているステープルパッド摩擦法から、しかしInstron 1122機ではなくInstron 5500シリーズの機械を使用して計算することができる。繊維対繊維静止摩擦力は、平衡引張挙動に達した時点の低引張速度における最大閾値引張力として’710特許に記載されているように決定され、繊維対繊維動摩擦力は、同様に計算されるが、ステープルパッドがスリップスティック挙動を突破する際の力の最小閾値レベルである。スクループは、静止摩擦引張力と動摩擦引張力との間の差として、重量グラムの単位で計算される。
【0063】
[0066]コーティングステープル繊維はまた、予想よりも高い強度を呈することがある。例えば、いくつかの実施形態では、コーティングステープル繊維は、ASTM D3822に従って測定して、少なくとも0.5、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、1.05、1.1、1.15、1.20、1.25、1.30、もしくは1.35重量グラム/デニール(g/デニール)、および/または2.50、2.45、2.40、2.35、2.30、2.25、2.20、2.15、2.10、2.05、2.00、1.95、1.90、1.85、1.80、1.75、1.70、1.65、1.60、1.55、1.50、1.47、1.45、もしくは1.40g/デニール以下のテナシティを呈するフィラメントから形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、コーティングステープル繊維(またはステープル繊維が形成されるフィラメント)の破断点伸びは、ASTM D3822に従って測定して、少なくとも約5、6、10、15、20、もしくは25%、および/または50、45、40、35、もしくは30%以下であり得る。
【0064】
[0067]元来、CA繊維およびフィラメントは、最終繊維物品の形成および最終的な生分解性を促進にするために、可塑剤でコーティングされている。しかし、本発明による繊維およびフィラメントヤーンは、可塑剤をほとんどまたは全く含まなくてもよく、より高いレベルの可塑剤を含む酢酸セルロース繊維と比較しても、産業条件下、家庭条件下、および土壌条件下において向上した生分解性を、予想外に呈する可能性がある。
【0065】
[0068]いくつかの実施形態では、繊維は、繊維の総重量を基準にして、30、27、25、22、20、17、15、12、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.5、0.25、もしくは0.10パーセント以下の可塑剤を含むことができ、または繊維は、可塑剤を含んでいなくてもよい。存在する場合、可塑剤は、溶剤ドープもしくは酢酸セルロースフレークとブレンドすることによって繊維自体の中に組み込むことができ、または可塑剤は、噴霧、回転ドラム装置からの遠心力、もしくは浸漬浴によって繊維もしくはフィラメントの表面に施すことができる。
【0066】
[0069]繊維中または繊維上に存在してもよく、または存在しなくてもよい可塑剤の例としては、芳香族ポリカルボン酸エステル、脂肪族ポリカルボン酸エステル、多価アルコールの低級脂肪酸エステル、およびリン酸エステルを挙げることができるが、これらに限定されない。更なる例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメトキシエチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、テトラオクチルピロメリテート、トリオクチルトリメリテート、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アゼリン酸ジエチル、アゼリン酸ジブチル、アゼリン酸ジオクチル、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、ジグリセリンテトラアセテート、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリフェニル、およびリン酸トリクレジル、ならびにこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、CA繊維は、いかなるタイプの可塑剤も他の添加剤も含まなくてよく、CAおよび1%FOY以下の紡糸仕上剤から本質的になるか、またはそれからなることができる。
【0067】
[0070]さらに、CA繊維は、繊維の生分解性を高めるように設計された追加の処理工程を受けていなくてもよい。例えば、繊維は、加水分解されていなくても、酵素または微生物で処理されていなくてもよい。繊維は、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、もしくは0.01重量パーセント以下の接着剤または結合剤を含んでもよく、1、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、もしくは0.01重量パーセント未満の変性または置換酢酸セルロースを含んでもよい。いくつかの実施形態では、繊維は、接着剤または結合剤を含まなくてもよく、置換または変性CEから形成されていなくてもよい。置換または変性CAは、サルフェート、ホスフェート、ボレート、カーボネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基などの極性置換基で変性されたCAを含み得る。
【0068】
[0071]バインダー繊維(またはその少なくとも一部)が、CA繊維の融点よりも低い融点を有するならば、本発明の繊維ブレンドにおいて使用することができるバインダー繊維のタイプに特定の制限はない。ヒートセット中に、クロスオーバーポイントでバインダー繊維が融解してCAステープル繊維に接着し、こうして、接着した中綿は所望の構成および密度を保持する。バインダーを使用して、熱接着した中綿に安定性および復元性のある伸縮性を与える。バインダー繊維は、従来の繊維機械、例えばカードで処理することができ、ブレンド全体に分布させる。したがって、バインダー繊維のDPFは、CAステープル繊維のデニールと適合していることが望ましく、そのようにして従来の繊維加工によってブレンド全体に分布させることができる。バインダー繊維のDPFは、一般に0.5~10、0.5~8、または0.5~6の範囲になる。理想的には、CAステープル繊維と実質的に同じデニールのバインダー繊維を使用することが好ましいが、デニールがより高いまたはより低いバインダー繊維を使用することによって満足のいく結果を得る可能性がある。
【0069】
[0072]バインダー繊維の量は、ブレンドの10~30重量%、またはブレンドの15~25重量%の範囲であり得る。接着の量は、クロスオーバーポイントでCAステープル繊維を接着するためにバインダーが利用できるかどうかに大きく依存するため、ブレンド中のバインダーの割合が増加すると、得られる熱接着中綿は一般に剛性が高くなり、このことの統計的確率は、バインダーの量の増加とCA繊維の量の増加とともに増大する。バインダー繊維は、一般に、熱接着中に融解し、その後、次の冷却段階中にCA繊維上で凝固するため、熱接着中綿には、一般に、バインダー繊維自体は存在しないことが理解されるであろう。
【0070】
[0073]上記のように、バインダー繊維(またはその少なくとも一部)は、CA繊維よりも低い融点を有する。通常、バインダー繊維の固着温度は80℃を超え、CA繊維の固着温度よりも低くなる。場合によっては、バインダー繊維の固着温度は80~200℃である。繊維固着温度は、Beaman and Cramer、J. Poly. Sci、21、228(1956)に記載されたように測定する。平らな真ちゅう製のブロックを電気的に加熱して、ブロックの温度をゆっくりとした速度で上昇させる。繊維試料を、ブロックの表面上および表面近くのガラス棒の間にわずかな張力で吊るす。間隔を置いて、加熱したブロックと連続的に接触している200グラムの真ちゅう製の重りで繊維をブロックに5秒間押し付ける。繊維固着温度は、重りを除去した後、繊維が少なくとも2秒間ブロックに固着したときのブロックの温度である。
【0071】
[0074]一般に、バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル;そのコポリマー;ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィン;ならびにそれらの混合物、でできていてもよい。場合によっては、バインダー繊維は単一成分系繊維であり得るが、他の場合では、繊維は多成分系繊維であり得る。バインダー繊維が二成分系または多成分系繊維である場合には、繊維は、例えば、サイドバイサイド断面、芯鞘断面、海島断面、先端付断面(tipped cross-section)、またはセグメントパイ断面を含む、任意の好適な断面を有していてもよい。場合によっては、バインダー繊維は、ポリエステル(例えば、PET)およびコポリエステル(例えば、PETG)を含む二成分系繊維であり得る。場合によっては、バインダー繊維は、ポリエステル(例えば、PET)およびポリオレフィン(例えば、PEまたはPP)を含む二成分系繊維であり得る。また、場合によっては、バインダー繊維は、第1のポリオレフィン(例えば、PE)および第2のポリオレフィン(例えば、PP)を含む二成分系繊維であり得る。
【0072】
[0075]バインダー繊維は、通常、30~150mmの切断長さを有する。
[0076]バインダー繊維の特定の例は、米国特許第4,068,036号;同第4,129,675号;および同第4,304,817号に記載されている。
【0073】
[0077]本発明の繊維ブレンドは、従来のブレンド技術によって調製してもよい。
[0078]次に、繊維ブレンドは、ウェブ形成工程およびウェブ接着工程を経て、本発明による熱接着不織布ウェブを形成することができる。ウェブ形成工程は乾燥条件下で実施してもよく、ウェブ接着工程は熱的に行ってもよい。ウェブ形成工程は、1つまたは複数のドライレイプロセスを含み得る。ドライレイプロセスとしては、エアレイおよびカーディングプロセスが挙げられる。
【0074】
[0079]エアレイプロセスでは、コンベヤーに向かう空気流中に繊維を同伴させ、コンベヤー上に繊維を堆積させてウェブを形成する。カーディングプロセスでは、コンベヤーまたはカード上に配置した繊維を、1組の金属歯または他の把持表面を有する一対のローラー(または他の可動表面)に通す。表面が互いに対して移動するにつれて、繊維は機械的に分離され、整列されてウェブを形成する。
【0075】
[0080]場合によっては、CAステープル繊維は、ウェブの厚さに対して水平にラッピングされている。他の場合には、ドライレイプロセスの後、ウェブを垂直ラッピング機に通して、ウェブの厚さに応じて複数の垂直平行プリーツをウェブ上につけてもよく、これを次に圧縮してプリーツ加工ウェブを形成することができる。プリーツ加工ウェブを、第2の接着剤ウェブと向かい合わせに接合させて積層複合ウェブを作成してもよい。垂直ラッピング機の例は、米国特許第5,995,174号;同第7,591,049号;および同第9,783,915号に記載されている。
【0076】
[0081]ウェブが形成されたら、ウェブを、ウェブ接着ゾーンに移送し、そこで加熱して、接着ウェブを形成することができる。熱接着方法の例としては、カレンダリング、超音波接着、および通気オーブン接着が挙げられるが、これらに限定されない。ウェブ形成工程および接着工程の特定の好適な組み合わせとしては、カーディングおよび熱接着またはエアレイおよび熱接着による形成が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
[0082]CAステープル繊維およびバインダー繊維に加えて、ブレンドは、1つまたは複数の追加の繊維を含んでもよい。ブレンドでの使用に好適な他のタイプの繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、羊毛、綿、亜麻、麻、およびそれらの組み合わせから形成された繊維を含むがこれらに限定されない合成繊維および/または天然繊維を挙げることができる。
【0078】
[0083]CAステープル繊維は、ブレンドの総重量を基準にして、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95パーセントの量で存在し得る。追加的または代替的に、CAステープル繊維の量は、ブレンドの総重量を基準にして、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5パーセント以下であり得る。他の繊維のうちの1つまたは複数は、ブレンドの総重量を基準にして、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、もしくは95パーセントの量で、および/または95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、もしくは5パーセント以下の量で存在し得る。一実施形態または言及された実施形態のいずれかにおいて、CAステープル繊維の量は、それぞれの場合に、ブレンド(たとえばすべての繊維)の重量を基準として重量%として、60~95、または60~90、または60~85、または60~80、または70~95、または70~90、または70~85、または75~95、または75~90、または75~85の量で存在する。
【0079】
[0084]本明細書に記載のCA繊維を用いて不織布ウェブを形成するためのプロセスは、実験室スケール、パイロットスケール、および/または商業スケールで実施することができる。本明細書に記載のCA繊維を使用すると、不織布ウェブをより大きな商業的スケールで形成することが可能になる加工上の利点を提供し得ることが発見された。例えば、いくつかの実施形態では、ウェブ形成工程は、1分あたり少なくとも50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または500メートル(m/分)の速度で実施してもよい。追加的または代替的に、ウェブ形成工程は、600、575、550、525、500、475、450、425、400、375、350、325、または300m/分以下の速度で実施してもよい。
【0080】
[0085]いくつかの実施形態では、本発明の不織布ウェブは、少なくとも0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、もしくは0.95mm、および/または2.75、2.5、2.25、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.05、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、0.60、0.55、もしくは0.50mm以下の厚さを有することができる。場合によっては不織布ウェブの厚さは、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、もしくは200mm、および/または400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、90、80、70、60、50、40、30、もしくは20mm以下であり得る。厚さは、NWSP 120.1.R0(15)に従って測定することができる。
【0081】
[0086]不織布ウェブは、少なくとも1平方メートルあたり15、20、25、30、35、40、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、もしくは62グラム(gsm)、および/または80、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、もしくは62gsm以下の目付を有してもよい。場合によっては、不織布ウェブは、少なくとも50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、700、800、900、または1000gsmの目付を有し得る。代替的にまたは追加的に、不織布ウェブは、8000、7500、7000、6500、6000、5500、5000、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、400、300、200、もしくは150gsm以下の目付を有してもよい。目付は、NWSP 130.1.R0(15)に従って測定することができる。
【0082】
[0087]いくつかの実施形態によれば、不織布ウェブは、以下の特性:(i)不織布の目付に関して正規化して10~2000Nm2/kgの範囲の機械方向(MD)の湿潤引張強さ;(ii)不織布の目付に関して正規化して10~1000Nm2/kgの範囲の幅方向(CD)の湿潤引張強さ;(iii)不織布の目付に関して正規化して10~2000Nm2/kgの範囲の機械方向(MD)の乾燥引張強さ;(iv)不織布の目付に関して正規化して10~1000Nm2/kgの範囲の幅方向(CD)の乾燥引張強さ;繊維グラムあたり5~20グラムの範囲の水(g/g)の吸収量;および(vi)2.5~6dBの範囲の実際の柔らかさ(real softness);のうちの1つまたは複数を呈することができる。場合によっては、不織布は、上記に列挙した特性(i)~(vi)のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または全部を呈することができる。
【0083】
[0088]本発明による不織布ウェブは、NWSP 110.4,オプションAに記載されている手順に従って、2.54cm(1インチ)の試験片を用いて測定して、少なくとも0.5、1、2、5、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、もしくは60N/25.4mm(1インチ)、および/または250、245、240、235、230、225、220、215、210、205、200、195、190、185、180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、100、95、90、85、90、75、60、5、50、45、40、35、30、もしくは25N/25.4mm(1インチ)以下の機械方向の乾燥引張強さを有することができる。すべての引張強さの測定は、他に記載がない限り、2.54cm(1インチ)の試料片について実施した。
【0084】
[0089]追加的または代替的に、不織布ウェブは、NWSP 110.4,オプションAに従って測定して、少なくとも0.5、1、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、もしくは45N/25.4mm(1インチ)、および/または225、200、190、180、175、170、160、150、140、130、125、120、110、100、90、80、75、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、もしくは5N/25.4mm(1インチ)以下の幅方向の乾燥引張強さを有することができる。
【0085】
[0090]機械方向の乾燥引張強さの幅方向の乾燥引張強さに対する比(乾燥MD:CD)は、10:1、9.5:1、9:1、8.5:1、8:1、7.5:1、7:1、6.5:1、6:1、5.5:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1.25:1、または1.1:1以下であり得る。場合によっては、乾燥MD:CDの比は、少なくとも1.01:1、1.05:1、1.10:1、1.15:1、1.20:1、1.25:1、1.30:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1、1.55:1、1.6:1、1.65:1、1.7:1、1.75:1、1.8:1、または1.85:1であり得る。
【0086】
[0091]不織布ウェブは、NWSP 110.4,オプションAに従って測定して、少なくとも0.5、1、1.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50N/25.4mm(1インチ)、および/または250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、50、40、35、30、25、もしくは20N/25.4mm(1インチ)以下の機械方向の湿潤引張強さを有してもよい。
【0087】
[0092]さらに、不織布ウェブは、NWSP 110.4,オプションAに従って測定して、少なくとも0.5、1、1.5、2、3、4、5、8、10、12、15、18、もしくは20N/25.4mm(1インチ)、および/または120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、28、25、20、15、12、もしくは10N/25.4mm(1インチ)以下の幅方向の湿潤引張強さを有することができる。
【0088】
[0093]いくつかの実施形態では、機械方向の湿潤引張強さの幅方向の湿潤引張強さに対する比(湿潤MD:CD)は、10:1、9.5:1、9:1、8.5:1、8:1、7.5:1、7:1、6.5:1、6:1、5.5:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1.25:1、または1.1:1以下であり得る。場合によっては、湿潤MD:CDの比は、少なくとも1.01:1、1.05:1、1.10:1、1.15:1、1.20:1、1.25:1、1.30:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1、1.55:1、1.6:1、1.65:1、1.7:1、1.75:1、1.8:1、もしくは1.85:1であり得る。
【0089】
[0094]不織布ウェブの引張強さは、ウェブの目付、厚さ、および/または嵩密度に従って正規化してもよい。場合によっては、不織布ウェブは、NWSP 110.4,オプションAに従って測定して、少なくとも10、20、40、60、80、100、200、300、400、500、600、700、800、もしくは900Nm2/kg、および/または2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200、1100、1000、900、800、700、600、500、もしくは400Nm2/kg以下の、不織布の目付に関して正規化された、機械方向の湿潤引張強さを有してもよい。さらに、不織布ウェブは、NWSP 110.4,オプションAに従って測定して、少なくとも10、20、40、60、80、100、200、240、もしくは250Nm2/kg、および/または1000、900、800、700、600、560、500、400、もしくは300Nm2/kg以下の、不織布の目付に関して正規化された、幅方向の湿潤引張強さを有してもよい。
【0090】
[0095]NWSP 100.4オプションAに従って測定して、不織布の目付に関して正規化された、機械方向の乾燥引張強さは、少なくとも10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、もしくは1000Nm2/kg、および/または5000、4500、4000、3500、3400、3000、2500、2000、1500、1000、750、もしくは500Nm2/kg以下であってもよく、一方、目付に関して正規化された、幅方向の乾燥引張強さは、少なくとも10、25、50、100、200、もしくは300Nm2/kg、および/または4000、3500、3000、2500、2000、1500、1200、1000、900、もしくは500Nm2/kg以下であり得る。
【0091】
[0096]不織布ウェブは、NWSP 110.4オプションAに従って測定して、少なくとも2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、もしくは45,000N/m、および/または150,000、145,000、140,000、135,000、130,000、125,000、120,000、117,000、115,000、110,000、100,000、80,000、60,000、40,000、もしくは20,000N/m以下の、不織布の厚さに関して正規化された、機械方向の湿潤引張強さを有してもよい。さらに、不織布ウェブは、NWSP 110.4オプションAに従って測定して、少なくとも2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、12,000、15,000、もしくは20,000N/m、および/または100,000、95,000、90,000、85,000、83,000、80,000、75,000、70,000、65,000、60,000、55,000、50,000、47,000、45,000、もしくは40,000N/m以下の、不織布の厚さに関して正規化された、幅方向の湿潤引張強さを有してもよい。
【0092】
[0097]NWSP 100.4オプションAに従って測定して、不織布の厚さに従って正規化された、機械方向の乾燥引張強さは、少なくとも1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、12,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、もしくは50,000N/m、および/または450,000、417,000、400,000、350,000、300,000、283,000、250,000、もしくは200,000N/m以下であってもよく、一方、厚さに関して正規化された、幅方向の乾燥引張強さは、少なくとも3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、もしくは15,000N/m、および/または400,000、350,000、300,000、250,000、200,000、150,000、100,000、75,000、もしくは50,000N/m以下であり得る。
【0093】
[0098]嵩密度に関して正規化した場合には、不織布ウェブは、NWSP 110.4オプションAに従って測定して、少なくとも0.01、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.54、もしくは0.55Nm3/kg、および/または2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、もしくは0.3Nm3/kg以下の機械方向の湿潤引張強さを有してもよい。さらに、不織布ウェブは、NWSP 110.4オプションAに従って測定して、少なくとも0.01、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.54、もしくは0.55Nm3/kg、および/または2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.90、0.80、0.70、0.60、0.56、0.50、0.40、もしくは0.3Nm3/kg以下の、不織布の嵩密度に関して正規化された、幅方向の湿潤引張強さを有してもよい。
【0094】
[0099]NWSP 100.4オプションAに従って測定して、不織布の嵩密度に従って正規化された、機械方向の乾燥引張強さは、少なくとも0.01、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、もしくは0.60Nm3/kg、および/または5、4.5、4、3.5、3.4、3、2.5、2、1.5、1、0.5、もしくは0.3Nm3/kg以下であってもよく、一方、目付に関して正規化された、幅方向の乾燥引張強さは、少なくとも0.01、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.18、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、もしくは0.60Nm3/kg、および/または2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.90、0.80、0.70、0.60、0.56、0.50、0.40、もしくは0.3Nm3/kg以下であり得る。
【0095】
[0100]場合によっては、不織布ウェブの湿潤接着性指数(wet bondability index)(BI20)は、少なくとも0.1、0.2、0.5、1、2、2.5、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13、および/または30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、もしくは4以下であり得る。不織布の乾燥接着性指数は、少なくとも0.1、0.5、1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、または20であり得る。代替的にまたは追加的に、不織布の乾燥接着性は、50、45、40、35、30、25、20、15、または10以下であり得る。不織布の接着性指数は、機械方向の引張強さと幅方向の引張強さの積の平方根として定義される。計算された接着性指数に20をかけ、g/m2による実際の目付で割って、20g/m2の標準不織布目付における接着性指数(BI20)を報告する。湿潤および乾燥引張強さは、本明細書に記載のように測定される。
【0096】
[0101]追加的にまたは代替的に、不織布ウェブは、少なくとも300パーセントの吸収量(繊維1グラムあたり3グラムの水)を有し得る。他の実施形態では、不織布ウェブは、は繊維1グラムあたり少なくとも400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、もしくは1150パーセントの水の吸収量、または繊維1グラムあたり少なくとも4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、もしくは11.5グラムの水の吸収量を有し得る。いくつかの実施形態では、不織布ウェブは、繊維1グラムあたり2500、2400、2300、2200、2100、2000、1950、1900、1850、1800、1750、1700、1650、1600、1550、1500、1450、1400、1350、1300、1250、1200、もしくは1150パーセント以下の水の吸収量、または繊維1グラムあたり25、24、23、22、21、20、19.5、19、18.5、18、17.5、17、16.5、16、15.5、15、14.5、14、13.5、13、12.5、12、もしくは11.5グラム以下の水の吸収量を有し得る。本明細書で提供された吸収量の値は、NWSP 010.1-7.2に記載されているように測定される。
【0097】
[0102]不織布ウェブはまた、望ましい吸上げ性も呈することができる。例えば、いくつかの実施形態では、不織布ウェブは、幅方向または機械方向で測定して、5分時点で200mm以下の吸上げ高さを有することができる。場合によっては、不織布ウェブの吸上げ高さは、NWSP 010.1-7.3に記載の通り測定して、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5mm以下であり得る。追加的または代替的に、吸上げ高さは、NWSP 010.1-7.3に記載の通り測定して、少なくとも、1、5、10、または20mmであり得る。
【0098】
[0103]いくつかの実施形態では、不織布ウェブは、NWSP 010.1-7.3に記載の通り測定して、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも12mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも25mm、少なくとも30mm、少なくとも35mm、少なくとも40mm、少なくとも45mm、少なくとも50mm、または少なくとも55mmの機械方向または幅方向において測定される吸上げ高さを有し得る。代替的にまたは追加的に、不織布ウェブは、NWSP 010.1-7.3に記載の通り測定して、70mm以下、65mm以下、60mm以下、55mm以下、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、15mm以下、12mm以下、10mm以下、8mm以下、5mm以下、3mm以下、または約2mm以下の機械方向または幅方向において測定される吸上げ高さを有し得る。
【0099】
[0104]不織布ウェブは、優れた同等の単位ロフトあたりの断熱性を呈することができる。一実施形態または言及された実施形態のいずれかにおいて、不織布ウェブは、ロフトのミリメートルあたりのクロー値が、それぞれの場合においてclo/mmとして、少なくとも0.180、または少なくとも0.185、または少なくとも0.190、または少なくとも0.195、または少なくとも0.2、またはそれぞれ、少なくとも0.205、または少なくとも0.21、または少なくとも0.215、または少なくとも0.22、または少なくとも0.225、または少なくとも0.23、または少なくとも0.235、または少なくとも0.24、または少なくとも0.245、または少なくとも0.250であり得る。
【0100】
[0105]不織布ウェブはまた、望ましいレベルの柔らかさおよび/または不透明度を示し得る。柔らかさは、下記の実施例セクションにおいて記載されたEmtecティシューソフトネス測定装置(Tissue Softness Analyzer)(TSA)法に従って測定される。いくつかの実施形態では、不織布ウェブの手触りは、QA1アルゴリズムを使用してTSA法によって決定し、少なくとも104、104.5、105、105.5、106、106.25、106.5、106.75、107、107.25、107.5、107.75、または108であり得る。追加的または代替的に、TSA法によって測定される不織布ウェブの実際の柔らかさは、少なくとも2、2.05、2.10、2.15、2.20、2.25、2.30、2.35、2.40、2.45、2.50、2.55、2.60、2.65、2.70、2.75、2.80、2.85、2.90、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、もしくは3.4dB、および/または6、5.75、5.5、5.25、5.0、4.75、4.50、4.45、4.40、4.35、4.30、4.25、4.20、4.15、4.10、4.05、4.0、3.95、3.90、3.85、3.80、3.75、3.7、3.65、3.6、3.55、3.5、もしくは3.45dB以下であり得る。
【0101】
[0106]いくつかの実施形態では、不織布ウェブの粗さは、少なくとも1、2、5、8、10、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、もしくは19dB、および/または30、28、25、24、22.5、22、21.5、21、20.5、20、19.5、19、18.5、18、17.5、17、16.5、16、15.5、15、14.5、もしくは14dB以下であり得る。TSA法に従って測定されたウェブの粗さは、ブレードの水平方向の動きおよび表面構造によって引き起こされるティッシュ試料自体の垂直方向の振動に相関している。
【0102】
[0107]不織布ウェブの不透明度は、NWSP 060.1.R0に記載されている手順に従って測定することができる。本発明による不織布ウェブは、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または最大100パーセントの不透明度を有し得る。代替的にまたは追加的に、不織布ウェブは、上記の手順に従って測定して、95、90、85、80、75、70、65、60、または55パーセント以下の不透明度を有し得る。
【0103】
[0108]CAステープル繊維およびそれから形成される不織布は生分解性であることができ、これは、そのような繊維がある特定の環境条件下で分解すると予測されることを意味する。分解の程度は、ある特定の環境条件に所定時間曝露した際の試料の重量損失によって特徴付けることができる。場合によっては、ステープル繊維、不織布ウェブ、または繊維から製造された物品を形成するために使用される材料は、土壌中に60日間埋設した後に少なくとも5、10、15、または20パーセントの重量損失、および/または通常の地方自治体の堆肥製造所に15日間曝露した後に少なくとも15、20、25、30、または35パーセントの重量損失を呈することができる。しかし、分解の速度は、繊維の特定の最終用途、ならびに残りの物品の組成、および特定の試験によって変化することがある。例示的な試験条件は、米国特許第5,970,988号および同第6,571,802号に提供されている。
【0104】
[0109]いくつかの実施形態では、CA繊維は生分解性であってもよく、そのような繊維を使用して、不織布ウェブを形成してもよい。予想外に、CA繊維は、種々の環境条件下における予想よりも良好な分解を特徴とする、向上したレベルの環境非残留性を呈する可能性があることが見出された。本明細書に記載の繊維および繊維物品は、産業堆肥化可能性、家庭堆肥化可能性、および/または土壌生分解性に関する国際的な試験法および機関によって設定された合格基準を満たすか、またはこれを超える場合がある。
【0105】
[0110]「堆肥化可能」であるとみなされるためには、材料は、以下の4つの基準:(1)材料は生分解性でなければならない;(2)材料は崩壊性でなければならない;(3)材料は最大量を超える重金属を含んでいてはならない;および(4)材料は生態毒性であってはならない、を満たさなければならない。本明細書で使用する場合、「生分解性」という用語は、一般に、ある特定の環境条件下で化学的に分解する材料の傾向を指す。生分解性は材料自体の固有の性質であり、材料は、それが曝露される特定の条件に応じてさまざまな程度の生分解性を呈する可能性がある。「崩壊性」と言う用語は、ある特定の条件に曝露された際に、材料がより小さい断片に物理的に分解する傾向を指す。崩壊は、材料自体、ならびに試験される物品の物理的サイズおよび構造の両方に依存する。生態毒性は、植物生命体に対する材料の影響を測定するものであり、材料の重金属含有量は、標準的な試験方法において定められた手順に従って決定される。
【0106】
[0111]CA繊維は、ISO 14855-1(2012)に従って、周囲温度(28℃±2℃)にて好気性堆肥化条件下で試験した場合に、50日以内の期間で少なくとも70パーセントの生分解を呈する可能性がある。場合によっては、CA繊維は、「家庭堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験した場合、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、または37日以内の期間で少なくとも70パーセントの生分解を呈する可能性がある。これらの条件は、水性または嫌気性ではない場合がある。場合によっては、CA繊維は、ISO 14855-1(2012)に従って、家庭堆肥化条件下で50日間試験した場合、少なくとも71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、または88パーセントの総生分解を呈する可能性がある。これは、同じ試験条件に供したセルロースと比較した場合、少なくとも約95、97、99、100、101、102、または103%の相対的生分解を表すことがある。
【0107】
[0112]フランス規格NF T 51-800およびオーストラリア規格AS 5810に従う家庭堆肥化条件下で「生分解性」であるとみなされるためには、材料は、(例えば当初の試料と比較して)合計で少なくとも90パーセントの生分解、または参照項目および試験項目の両方に関してプラトーに達した後に、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を呈さなければならない。家庭堆肥化条件下での生分解に関する最大試験期間は1年である。CA繊維は、14855-1(2012)に従って家庭堆肥化条件下で測定した場合、1年以内のうちに少なくとも90パーセントの生分解を呈することがある。場合によっては、CA繊維は、14855-1(2012)に従って家庭堆肥化条件下で測定した場合、1年以内のうちに少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの生分解を呈することがあり、または繊維は、14855-1(2012)に従って家庭堆肥化条件下で測定した場合、1年以内のうちに100パーセントの生分解を呈することがある。
【0108】
[0113]追加的または代替的に、CA繊維は、14855-1(2012)に従って家庭堆肥化条件下で測定した場合、350、325、300、275、250、225、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、または50日以内のうちに、少なくとも90パーセントの生分解を呈することがある。場合によっては、繊維は、家庭堆肥化条件下で14855-1(2012)に従った試験から、70、65、60、または50日以内のうちに、少なくとも97、98、99、または99.5パーセントの生分解を呈する可能性がある。その結果、CA繊維は、家庭堆肥化条件下で試験した場合、例えば、フランス規格NF T 51-800およびオーストラリア規格AS 5810に従って、「生分解性」であるとみなすことができる。
【0109】
[0114]CA繊維は、ISO 14855-1(2012)に従って、58℃(±2℃)の温度にて好気性堆肥化条件下で試験した場合に、45日以内の期間で少なくとも60パーセントの生分解を呈する可能性がある。場合によっては、CA繊維は、「産業堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験した場合、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、または27日以内の期間に少なくとも60パーセントの生分解を呈する可能性がある。これらは、水性または嫌気性条件ではない場合がある。場合によっては、産業堆肥化条件下で、CA繊維は、ISO 14855-1(2012)に従って45日間試験した場合、少なくとも65、70、75、80、85、87、88、89、90、91、92、93、94、または95パーセントの総生分解を呈する可能性がある。これは、同じ試験条件に供したセルロース繊維と比較した場合、少なくとも95、97、99、100、102、105、107、110、112、115、117、または119パーセントの相対的生分解を表すことがある。
【0110】
[0115]ASTM D6400およびISO 17088に従って産業堆肥化条件下で「生分解性」であるとみなされるためには、対照試料と比較した際、または絶対量で、全項目中の(または乾燥質量基準で1%より多い量で存在するそれぞれの成分に対する)有機炭素の少なくとも90パーセントが、試験期間の終了時までに二酸化炭素に転化しなければならない。欧州規格ED13432(2000)によると、材料は、合計で少なくとも90パーセントの生分解、または参照項目および試験項目の両方に関してプラトーに達した後に、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を呈さなければならない。産業堆肥化条件下での生分解性に関する最大試験期間は、180日である。本明細書に記載のCA繊維は、産業堆肥化条件下で14855-1(2012)に従って測定した場合、180日以内のうちに少なくとも90パーセントの生分解を呈することがある。場合によっては、CA繊維は、14855-1(2012)に従って産業堆肥化条件下で測定した場合、180日以内のうちに少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの生分解を呈することがあり、または繊維は、14855-1(2012)に従って産業堆肥化条件下で測定した場合、180日以内のうちに100パーセントの生分解を呈することがある。
【0111】
[0116]追加的または代替的に、CA繊維は、産業堆肥化条件下で14855-1(2012)に従って測定した場合、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、または45日以内のうちに、少なくとも90パーセントの生分解を呈することがある。場合によっては、CA繊維は、産業堆肥化条件下で14855-1(2012)に従った試験から、65、60、55、50、または45日以内のうちに、少なくとも97、98、99、または99.5パーセントの生分解性を呈する可能性がある。その結果、CA繊維は、産業堆肥化条件下で試験した場合、ASTM D6400およびISO 17088に従って、「生分解性」であるとみなすことができる。
【0112】
[0117]繊維または繊維物品は、周囲温度の好気性条件下でISO 17556(2012)に従って測定した場合、130日以内のうちに少なくとも60パーセントの土壌中生分解を呈することがある。場合によっては、繊維は、「土壌堆肥化条件」とも呼ばれるこれらの条件下で試験した場合、130、120、110、100、90、80、または75日以内の期間に少なくとも60パーセントの生分解を呈する可能性がある。これらは、水性または嫌気性条件ではない場合がある。場合によっては、土壌堆肥化条件下で、繊維は、ISO 17556(2012)に従って195日間試験した場合、少なくとも65、70、72、75、77、80、82、または85パーセントの総生分解を呈する可能性がある。これは、同じ試験条件に供したセルロース繊維と比較した場合、少なくとも70、75、80、85、90、または95パーセントの相対的生分解を表すことがある。
【0113】
[0118]VincotteのOK biodegradable SOIL認証マーク、およびDIN CERTCOの土壌認証スキームにおけるDIN Gepruft Biodegradableに従う土壌堆肥化条件下で「生分解性」であるとみなされるためには、材料は、(例えば当初の試料と比較して)合計で少なくとも90パーセントの生分解、または参照項目および試験項目の両方に関してプラトーに達した後に、好適な参照材料の最大分解の少なくとも90パーセントの生分解を呈さなければならない。土壌堆肥化条件下での生分解性に関する最大試験期間は、2年である。CA繊維は、ISO 17556(2012)に従って土壌堆肥化条件下で測定した場合、2年、1.75年、1年、9か月、または6か月以内のうちに少なくとも90パーセントの生分解を呈することがある。場合によっては、CA繊維は、ISO 17556(2012)に従って土壌堆肥化条件下で測定した場合、2年以内のうちに少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは99.5パーセントの生分解を呈することがあり、または繊維は、2年以内のうちに100パーセントの生分解を呈することがある。
【0114】
[0119]追加的または代替的に、CA繊維は、17556(2012)に従って土壌堆肥化条件下で測定した場合、700、650、600、550、500、450、400、350、300、275、250、240、230、220、210、200、または195日以内のうちに、少なくとも90パーセントの生分解を呈することがある。場合によっては、CA繊維は、土壌堆肥化条件下でISO 17556(2012)に従った試験から、225、220、215、210、205、200、または195日以内のうちに、少なくとも97、98、99、または99.5パーセントの生分解性を呈する可能性がある。その結果、VincotteのOK biodegradable SOIL認証マークを受け取るための要件、およびDIN CERTCOの土壌認証スキームにおけるDIN Gepruft Biodegradableの基準を満たすための要件を満たすことができる。
【0115】
[0120]いくつかの実施形態では、本発明のCA繊維(または繊維物品)は、1、0.75、0.50、または0.25重量パーセント未満の未知の生分解性の成分を含んでもよい。場合によっては、本明細書に記載の繊維または繊維物品は、未知の生分解性の成分を含んでいなくてもよい。
【0116】
[0121]産業および/または家庭堆肥化条件下において生分解性であることに加えて、本明細書に記載のCA繊維または繊維物品はまた、家庭および/または産業条件下で堆肥化可能であり得る。前述の通り、材料は、生分解性、崩壊能力、重金属含有量、および生態毒性に関するEN 13432に規定されている要件を満たすか、またはそれを超える場合、堆肥化可能とみなされる。CA繊維または繊維物品は、VincotteからOK compostおよびOK compost HOME認証マークを受け取るための要件を満たすのに十分な、家庭および/または産業堆肥化条件下での堆肥化性を示す場合がある。
【0117】
[0122]場合によっては、CA繊維および繊維物品は、EN 13432(2000)によって定められたすべての要件を満たす揮発性固形分濃度、重金属およびフッ素含有量を有することができる。さらに、CA繊維は、堆肥の品質(化学的パラメータおよび生態毒性試験を含む)に悪影響を及ぼさない場合がある。
【0118】
[0123]場合によっては、CA繊維または繊維物品は、産業堆肥化条件下でISO 16929(2013)に従って測定して、26週以内のうちに少なくとも90パーセントの崩壊を呈することができる。場合によっては、繊維もしくは繊維物品は、産業堆肥化条件下で26週以内のうちに、少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの崩壊を呈することがあり、または繊維もしくは物品は、産業堆肥化条件下で26週以内のうちに、100%崩壊し得る。代替的にまたは追加的に、繊維または物品は、ISO 16929(2013)に従って測定して、産業堆肥化(compositing)条件下で26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10週以内のうちに、少なくとも90パーセントの崩壊を呈することがある。場合によっては、CA繊維または繊維物品は、ISO 16929(2013)に従って測定して、産業堆肥化条件下で、12、11、10、9、または8週以内のうちに、少なくとも97、98、99、または99.5パーセント崩壊し得る。
【0119】
[0124]場合によっては、CA繊維または繊維物品は、家庭堆肥化条件下でISO 16929(2013)に従って測定して、26週以内のうちに少なくとも90パーセントの崩壊を呈することができる。場合によっては、繊維もしくは繊維物品は、家庭堆肥化条件下で26週以内のうちに、少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5パーセントの崩壊を呈することがあり、または繊維もしくは物品は、家庭堆肥化条件下で26週以内のうちに、100%崩壊し得る。代替的にまたは追加的に、繊維または物品は、ISO 16929(2013)に従って測定して、家庭堆肥化条件下で26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15週以内のうちに、少なくとも90パーセントの崩壊を呈することがある。場合によっては、CA繊維または繊維物品は、ISO 16929(2013)に従って、家庭堆肥化条件下で測定して、20、19、18、17、16、15、14、13、または12週以内のうちに、少なくとも97、98、99、または99.5パーセント崩壊し得る。
【0120】
[0125]本発明による熱接着不織布ウェブは、衣類、寝具、および他の家庭用品などの繊維タイプ用途における断熱芯地または層としての使用に特に好適である。そのような用途では、断熱芯地は、それ自体で、またはダウン、フェザー、ポリエステル繊維、ポリエステルマイクロ繊維、またはそれらの混合物などの他の断熱材料と組み合わせて使用してもよい。断熱芯地を含むことができる製造業者の物品の例としては、アウターウェア、靴、手袋、枕、掛け布団、毛布、スロー、マットレス、マットレスパッド、寝袋、クッションなどが挙げられる。
【0121】
[0126]場合によっては、本発明の熱接着不織布ウェブは、その重量に対して優れた断熱特性を有することができる。例えば、ウェブは、少なくとも0.030、少なくとも0.031、少なくとも0.032、少なくとも0.033、または少なくとも0.034g/m2のgsmあたりのクロー(またはclo/(g/m2))値を有することができる。
【0122】
[0127]疑いを取り除くために、本発明は、本明細書で言及される実施形態、特徴、特性、パラメータ、および/または範囲のありとあらゆる組み合わせを含み、明示的に企図し、開示する。すなわち、本発明の主題は、本明細書で言及される実施形態、特徴、特性、パラメータ、および/または範囲の任意の組み合わせによって定義され得る。
【0123】
[0128]本発明の一部として具体的に命名も特定もされていない任意の成分、構成成分、または工程は、明示的に除外され得ることが企図される。
[0129]本発明の任意のプロセス/方法、装置、化合物、組成物、実施形態、または構成成分は、「含む」、「から本質的になる」、または「からなる」、またはそれらの用語の変形である移行用語によって改変され得る。
【0124】
[0130]本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」および「an」は、文脈上別段の明確な示唆がない限り、1つまたは複数を意味する。同様に、文脈上別段の明確な示唆がない限り、単数形の名詞には複数形が含まれ、その逆もまた同様である。
【0125】
[0131]正確であるように試みがなされているが、本明細書に記載の数値および範囲は、文脈上別段の明確な指示がない限り、近似値とみなされるべきである。これらの値および範囲は、本開示によって得られることが求められる所望の特性、ならびに測定技術に見出される標準偏差から生じる変動に応じて、それらの記載された数から変動し得る。さらに、本明細書に記載の範囲は、記載された範囲内のすべての部分範囲および値を含むことが意図され、具体的に企図されている。例えば、50~100の範囲は、60~90、70~80などの部分範囲を含む範囲内のすべての値を含むことが意図されている。
【0126】
[0132]実施例において報告された同じ特性またはパラメータの任意の2つの数は、範囲を定義し得る。これらの数を、四捨五入して1000分の1の位、100分の1の位、10分の1の位、整数、10の位、100の位、または1000の位の数にして、範囲を定義してもよい。
【0127】
[0133]特許、特許出願、ならびに非特許文献を含む、本明細書で引用されたすべての文書の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。組み込まれた主題が本明細書の開示と矛盾する場合には、本明細書の開示が、組み込まれた内容よりも優先されるものとする。
【0128】
[0134]本発明は、以下の実施例によってさらに例示することができるが、これらの例は、単に例示の目的で含まれており、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0129】
例1~25
熱接着不織布中綿の調製
[0135]以下の表1に列挙された繊維を、手で混合し、確実に均一なウェブにするために30.48cm(12インチ)のカーディング機に3回通した。3回目の通過の後、中綿を静的オーブンに入れて、低融点バインダー繊維を硬化させた。各中綿の目標重量は100g/m2であった。
【0130】
[0136]1.8dpfのCA繊維(円形、Y、およびC/中空)はすべて38mmの切断長さを有しており、一方、3.0dpfのCA繊維は、51mmに切断された。すべての繊維を捲縮させた(>10cpi)。
【0131】
[0137]1.5dpfおよび15dpfの両PET繊維は、64mm(2.5インチ)の切断長さを有しており、これらを結合させた。PET繊維は、非シリコーン処理のものであった(つまり、シリコーンコーティングされていなかった)。
【0132】
[0138]6.4mm(0.25インチ)の切断長さを有する例12、23、24、および25を除いて、すべてのバインダー繊維は51mm(2インチ)の切断長さを有していた。dpfが2である例9を除いて、すべてのバインダー繊維はdpfが4であった。
【0133】
[0139]12、23、24、および25を除くすべての例では、硬化条件は、116℃にて10分であった。例12、23、24、および25では、硬化条件は135℃にて10分であった。例11では、上部ロール温度は135℃であり、下部ロール温度は128℃であり、機械は、1分あたり30.48cm(1フィート)の速度で稼働させた。
【0134】
【0135】
【0136】
[0140]1.8の三葉形繊維を除いて、すべての試料は良好にカーディングされた。多くのフライがあり、繊維は玉揚げシリンダーおよびコームに固着する傾向があった。フライおよび固着のため、80% 1.8 三葉形の中綿は重量がおよそ88gsmであったが、他の繊維では、およそ97gsmの中綿が達成された。
【0137】
[0141]1.8の中空繊維は、最良にカーディングされているように思われた。
[0142]PET/PEバインダー繊維を含む例12および23~25からの中綿は、それらの柔らかさをなお維持しながら、最も構造的な完全性を有していた。唯一の問題は、このバインダー繊維がこの用途には短すぎるため、カード内で多くの繊維が脱落したことであった。
【0138】
[0143]例13~19および21~24には、構造のために15dpfのコンジュゲートPET繊維が含まれていた。これらの中綿は、構造的繊維が存在するため、弾力性があり、圧縮に抵抗性があった。圧縮され、次いで解放されると、中綿はそれらのロフトを回復した。
【0139】
[0144]例20~22を、対照として調製した。
熱抵抗試験
[0145]ASTM D1518-14に従って、プレート上を流れる強制空気を用いたオプション2の気流速度条件により、試料を試験した。プレート上を流れる空気温度は、15℃であった。相対湿度を、65%に制御した。気流速度は、1.0m/秒であった。平均総熱抵抗を測定し、これを使用して固有のクローを計算した。
【0140】
[0146]例1~7からの中綿を熱抵抗試験に供し、それらの断熱特性を測定した。結果を以下の表2に報告する。
【0141】
【0142】
[0147]表2から分かるように、1.8の三葉形またはY字形CA繊維を含む例3および6のgsmあたりのクロー値は、CA繊維を含む他のものよりも高く、例3の値は著しく高かったが、いずれも80重量%の微細な1.5PETデニールを含む比較例20ほどは高くはなかった。しかし、厚さまたはロフトの関数として断熱中綿の熱性能を考慮すると、CA繊維を含む中綿の多くは、単位ロフトあたりの優れた断熱性を呈した。各中綿のミリメートルあたりの固有のクローデータを計算して、表3に示す。多くの場合、ロフトが増加するにつれてクロー値は向上する。2つの中綿が同じロフトを有するが、一方がより高いクロー値を提供する場合、クロー値がより高い中綿の方がより望ましい。この中綿は、さらにかさばることなく、より高い熱抵抗性を提供することができる。2つの中綿のクロー値が同じであるが、一方がより低いロフトを有する場合、ロフトがより低い中綿の方がより望ましい場合がある。この中綿は、同等の熱抵抗を提供しながら、嵩を小さくすることができる。
【0143】
【0144】
[0148]80%のCA繊維および20%のPET/coPETバインダー繊維からなる中綿の場合、平均clo/mmは0.170~0.257の間で変動し、平均clo/mmは0.219であった。clo/mmに関しては、この群の7つの中綿は、データセットの中で最も性能が高く、7つすべてが対照番号15および16のポリエステル(0.156および0.136)を上回っていた。40%のCA繊維、40%の15デニールコンジュゲートポリエステル繊維および20%のPET/coPETバインダー繊維で構築された中綿は、clo/mm値が0.138~0.166であり、平均は0.157clo/mmであった。これらの中綿では、ポリエステル対照と同様に実施した。40%のCA繊維、40%の15デニールコンジュゲートポリエステル繊維および20%のPET/HDPEバインダー繊維で作製された中綿は、最も性能が低く、平均clo/mmは0.117であった。酢酸セルロース繊維を大量に含む中綿は、100%ポリエステル中綿よりも低いロフトでより高い熱抵抗性を提供することができる。
【0145】
[0149]本発明は、その特定の実施形態を特に参照して詳細に記載されてきたが、本発明の精神および範囲内で変更および改変を行うことができることが理解されるであろう。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1](a)酢酸セルロースから形成されたステープル繊維;および
(b)バインダー繊維、を含む繊維ブレンドであって、
ステープル繊維は、2.54cm(1インチ)あたり10~30捲縮(CPI)の捲縮頻度、55mm以下の切断長さ、および非円形の断面形状を有する、繊維ブレンド。
[2]ステープル繊維が、2.0未満のフィラメントあたりのデニールを有する、[1]に記載のブレンド。
[3]酢酸セルロースステープル繊維の量が、ブレンド中のすべての繊維の重量を基準にして、少なくとも60重量%である、[1]に記載のブレンド。
[4]ステープル繊維が、Y字形または三葉形断面を有する、[1]に記載のブレンド。
[5]ステープル繊維が、15~25CPIの捲縮頻度を有する、[1]に記載のブレンド。
[6]ステープル繊維が、10~55mmの切断長さを有する、[1]に記載のブレンド。
[7](c)羊毛、綿、亜麻、および麻から選択される天然繊維をさらに含む、[1]に記載のブレンド。
[8](d)ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンから選択される合成繊維をさらに含む、[1]に記載のブレンド。
[9]酢酸セルロースから形成された2つ以上のタイプのステープル繊維を含む、[1]に記載のブレンド。
[10]バインダー繊維が、ポリエステルおよびコポリエステルを含む二成分系繊維である、[1]に記載のブレンド。
[11]バインダー繊維が、ポリエステルおよびポリオレフィンを含む二成分系繊維である、[1]に記載のブレンド。
[12][1]に記載のブレンドを含む、熱接着不織布ウェブ。
[13][1]に記載のブレンドを含み、少なくとも0.180のクロー:mm値を有する、不織布ウェブ。
[14]少なくとも0.210のクロー:mm値を有する、[13]に記載の不織布ウェブ。
[15]エアレイ加工されている、[12]に記載の不織布ウェブ。
[16]酢酸セルロースステープル繊維が、ウェブの厚さに対して水平にラッピングされている、[15]に記載の不織布ウェブ。
[17]ウェブの厚さに対して複数の垂直平行プリーツを含む、[15]に記載の不織布ウェブ。
[18][14]に記載の不織布ウェブを含む、断熱芯地。
[19]ダウン、フェザー、ポリエステル繊維、ポリエステルマイクロ繊維、またはそれらの混合物をさらに含む、[16]に記載の芯地。
[20][17]に記載の芯地を含む製造物品であって、衣類、靴、手袋、枕、掛け布団、毛布、スロー、マットレス、マットレスパッド、寝袋、またはクッションを含む、製造物品。