(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】偽造防止用印刷物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20240227BHJP
B41M 3/10 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B41M3/14
B41M3/10
(21)【出願番号】P 2021512279
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 KR2019012139
(87)【国際公開番号】W WO2020085655
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0127852
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521083061
【氏名又は名称】コリア ミンティング,セキュリティー プリンティング アイディー カード オペレーティング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】オウ,チャン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジョン ガプ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ガン フイ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,フイ セウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン ジュン
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-43656(JP,A)
【文献】米国特許第5708717(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0225362(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0046240(KR,A)
【文献】特開2013-95087(JP,A)
【文献】特開2000-313160(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054603(WO,A1)
【文献】特開2000-158791(JP,A)
【文献】特表2006-516337(JP,A)
【文献】特開平9-267543(JP,A)
【文献】特開平7-25130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00-3/18
B42D 15/02
B42D 2500-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像をC/M/Y/Kに1次色分解した後、C/M/Y/Kの分布度を分析し、各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で印刷される背景部と;
前記背景部の第1領域に形成され、前記第1領域から既設定の距離だけ離れた第2領域をC/M/Y/Kに2次色分解し、各分布度に基づいて、前記背景部のC/M/Y/K線数と異なる比率の線数で印刷される潜像部と;
を含
み、
前記C/M/Y/K線間の角度では、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて、最も低い分布度を有する2つの色間の角度を105°に配置し、残りの色間の角度を25°に配置することを特徴とする偽造防止用印刷物。
【請求項2】
原画像をC/M/Y/Kに1次色分解した後、C/M/Y/Kの分布度を分析し、各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で印刷される背景部と;
前記背景部の第1領域に形成され、前記第1領域から既設定の距離だけ離れた第2領域をC/M/Y/Kに2次色分解し、各分布度に基づいて、前記背景部のC/M/Y/K線数と異なる比率の線数で印刷される潜像部と;
を含み、
前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率では、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択し、選択された色の線数の比率を2:1.6~1.8で形成し、残りの色の線数の比率を1:1で形成することを
特徴とする偽造防止用印刷物。
【請求項3】
前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率を決定するための既設定の分布度の合計は、70%以上であることを特徴とする
請求項2に記載の偽造防止用印刷物。
【請求項4】
前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色は、少なくとも1つ以上であることを特徴とする
請求項2に記載の偽造防止用印刷物。
【請求項5】
前記潜像部の線の太さは、既設定値だけ追加されて印刷されることを特徴とする請求項
1又は2に記載の偽造防止用印刷物。
【請求項6】
前記潜像部の線の太さに追加する既設定値は、下記式により決定されることを特徴とする
請求項5に記載の偽造防止用印刷物:
【数1】
(式中、aは既設定値であり、bは前記背景部の線数の比率であり、cは潜像部の線数の比率である)。
【請求項7】
原画像をC/M/Y/Kに1次色分解するステップと;
1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度を分析するステップと;
前記1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で背景部を形成するステップと;
前記背景部から、潜像部が印刷される第1領域を選択するステップと;
前記第1領域から既設定の距離だけ離れた第2領域をC/M/Y/Kに2次色分解するステップと;
2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度を分析するステップと;
前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択するステップと;
前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの分布度の合計に基づいて選択された色を、前記背景部の線数と異なる比率の線数で形成して前記潜像部を形成するステップと;
前記背景部および前記潜像部を印刷するステップと;
を含むことを特徴とする偽造防止用印刷物の製造方法。
【請求項8】
前記1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で背景部を形成するステップにおいて、前記C/M/Y/K線間の角度では、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて、最も低い分布度を有する2つの色間の角度を105°に配置し、残りの色間の角度を25°に配置することを特徴とする
請求項7に記載の偽造防止用印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの分布度の合計に基づいて選択された色を、前記背景部の線数と異なる比率の線数で形成して前記潜像部を形成するステップにおいて、前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率では、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択し、選択された色の線数の比率を2:1.6~1.8で形成し、残りの色の線数の比率を1:1で形成することを特徴とする
請求項7に記載の偽造防止用印刷物の製造方法。
【請求項10】
前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率を決定するための既設定の分布度の合計は、70%以上であることを特徴とする
請求項9に記載の偽造防止用印刷物の製造方法。
【請求項11】
前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色は、少なくとも1つ以上であることを特徴とする
請求項9に記載の偽造防止用印刷物の製造方法。
【請求項12】
前記潜像部の線の太さを既設定値だけ追加して形成するステップが、前記背景部および前記潜像部を印刷するステップよりも先行して行われることを特徴とする
請求項7に記載の偽造防止用印刷物の製造方法。
【請求項13】
前記潜像部の線の太さに追加する既設定値は、下記式により決定されることを特徴とする
請求項12に記載の偽造防止用印刷物の製造方法:
【数1】
(式中、aは既設定値であり、bは前記背景部の線数の比率であり、cは潜像部(200)の線数の比率である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物に係り、さらに詳しくは、偽造防止用印刷物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のIT技術の発達に伴い、スキャナ、プリンタ、複合機、ソフトウェアなどのコンピュータ関連機器の解像度と再現能力の向上に応じて、銀行券や小切手、各種証明書、セキュリティ文書などを簡単にコピーして利用する犯罪が増加している。
【0003】
このような問題を解決するために、多くのコピー偽造防止技術が研究されてきているが、そのほとんどは、韓国公開特許第10-2001-0111242号等のように、貨幣、有価証券類、身分証明書、カード、およびセキュリティ目的の各種第証明書などの印刷物をカラーコピー機又は白黒コピー機でコピーしたり、スキャナでスキャンしたりする場合、印刷物に印刷されたパターンを介して潜像が現出されるようにすることにより、偽造物かどうかを判断できるコピー偽造防止用印刷技術である。
【0004】
しかしながら、このような技術が適用される印刷物に対しては、印刷物偽造者が、潜像現出位置を把握して、当該潜像が現出されないように追加の操作を行うことにより、コピー(複写)等により真偽を判断することが困難な偽造印刷物を作成することができる。言い換えれば、偽造コピー(偽造複写物)には潜像が現れるという点を悪用して、潜像が現れないコピー(複写物)を作成するのである。そのため、潜像が現れる従来のコピー偽造防止用印刷技術は、上記の点で偽造防止に対して脆弱である。
【0005】
また、従来は、潜像画像を印刷するために、CMYKインクにスポットカラーインクを加えて潜像画像を印刷した。したがって、印刷コストが高くなり、追加の工程が発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、肉眼でセキュリティパターンの潜像部を識別することが困難であり、しかも、コピーやスキャンによって潜像部が識別されない印刷パターンが印刷された、偽造防止用印刷物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、コピーやスキャンではなく、印刷物原本に偽造防止のために印刷された印刷パターンを認識し、認識された印刷パターンからセキュリティパターンの潜像部を導出し、導出された潜像部の形状を画面に表示可能なスマート機器用アプリケーション(アプリ)を通じて、偽造かどうかを確認できる、偽造防止用印刷物を提供することを目的とする。
【0008】
さらにまた、本発明は、CMYKインクのみを用いた偽造防止用印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の好適な一実施形態に係る偽造防止用印刷物及びその製造方法は、原画像をC/M/Y/Kに1次色分解した後、C/M/Y/Kの分布度を分析し、各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で印刷される背景部と;前記背景部の第1領域に形成され、前記第1領域から既設定の距離だけ離れた第2領域をC/M/Y/Kに2次色分解し、各分布度に基づいて、前記背景部のC/M/Y/K線数と異なる比率の線数で印刷される潜像部と;を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記C/M/Y/K線間の角度では、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて、最も低い分布度を有する2つの色間の角度を105°に配置し、残りの色間の角度を25°に配置することを特徴とする。
【0011】
また、前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率では、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択し、選択された色の線数の比率を2:1.6~1.8で形成し、残りの色の線数の比率を1:1で形成することを特徴とする。
【0012】
また、前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率を決定するための既設定の分布度の合計は、70%以上であることを特徴とする。また、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色は、少なくとも1つ以上であることを特徴とする。また、前記潜像部の線の太さは、既設定値だけ追加されて印刷されることを特徴とする。
【0013】
また、前記潜像部の線の太さに追加する既設定値は、下記式により決定されることを特徴とする:
【数1】
(式中、aは既設定値であり、bは前記背景部の線数の比率であり、cは潜像部200の線数の比率である)。
【0014】
また、原画像をC/M/Y/Kに1次色分解するステップと;1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度を分析するステップと;前記1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で背景部を形成するステップと;前記背景部から、潜像部が印刷される第1領域を選択するステップと;前記第1領域から既設定の距離だけ離れた第2領域をC/M/Y/Kに2次色分解するステップと;2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度を分析するステップと;前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択するステップと;前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの分布度の合計に基づいて選択された色を、前記背景部の線数と異なる比率の線数で形成して前記潜像部を形成するステップと;前記背景部および前記潜像部を印刷するステップと;を含むことを特徴とする。
【0015】
また、前記1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で背景部を形成するステップにおいて、前記C/M/Y/K線間の角度では、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて、最も低い分布度を有する2つの色間の角度を105°に配置し、残りの色間の角度を25°に配置することを特徴とする。
【0016】
また、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの分布度の合計に基づいて選択された色を、前記背景部の線数と異なる比率の線数で形成して前記潜像部を形成するステップにおいて、前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率では、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択し、選択された色の線数の比率を2:1.6~1.8で形成し、残りの色の線数の比率を1:1で形成することを特徴とする。
【0017】
また、前記背景部と前記潜像部とのC/M/Y/K線数の比率を決定するための既設定の分布度の合計は、70%以上であることを特徴とする。また、前記第2領域の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色は、少なくとも1つ以上であることを特徴とする。また、前記潜像部の線の太さを既設定値だけ追加して形成するステップが、前記背景部および前記潜像部を印刷するステップよりも先行して行われることを特徴とする。
【0018】
また、前記潜像部の線の太さに追加する既設定値は、下記式により決定されることを特徴とする:
【数1】
(式中、aは既設定値であり、bは前記背景部の線数の比率であり、cは潜像部200の線数の比率である)。
【発明の効果】
【0019】
以上で説明したように、本発明によれば、CMYKインクのみで印刷することにより工程を短縮して、印刷物の製造にかかる時間を短縮し、印刷物の製造にかかるコストを削減することができる。
【0020】
また、本発明によれば、色分解されたCMYKの分布度の合計が既設定値以上の2つのまたは3つの色を2:1.6~1.8の比率で印刷し、残りの色を1:1で印刷することによって潜像画像の隠蔽力を高めることができ、コピーやスキャン時に潜像画像が現出されることを防止し、スマート機器用アプリケーション(アプリ)でのみ偽造かどうかを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る一実施形態の偽造防止用印刷物である。
【
図4a】
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のCのポジションの画像である。
【
図4b】
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のMのポジションの画像である。
【
図4c】
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のYのポジションの画像である。
【
図4d】
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のKのポジションの画像である。
【
図5】(a)及び(b)は、エビングハウス錯視(Ebbinghaus Illusion)の例示図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態の偽造防止用印刷物の製造フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は種々の変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるが、ここでは、特定の実施形態を図示し、これについて詳述する。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に限定するためのものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物または代替物を含むものと理解すべきである。
【0023】
各図面を説明するに当たり、類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用した。本発明を説明するに当たり、関連の公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることができると判断した場合には、その詳細な説明を省略する。
【0024】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は、前記用語により限定されものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するための目的のみで使用される。
【0025】
例えば、本発明の権利範囲を脱しない範囲で、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。
【0026】
「および/または」という用語は、複数の関連記載の項目の組み合わせまたは複数の関連記載の項目のうちのいずれかの項目を含む。
【0027】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図はない。
【0028】
単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0029】
別に定義されない限り、技術的や科学的な用語を含めてここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味がある。
【0030】
辞書に定義された用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味に解釈されない。
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施形態に係る偽造防止用印刷物について詳細に説明する。以下で、従来周知の事項についての説明は、本発明の要旨を明確にするために省略するか、または簡略化する。
【0032】
図1は、本発明に係る一実施形態の偽造防止用印刷物である。
図2は、
図1のAの拡大画像である。
図3は、
図2のBの拡大画像である。
図4aは、
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のCのポジションの画像である。
図4bは、
図3の色分解されたC/M/Y/KのMの中のポジションの画像である。
図4cは、
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のYのポジションの画像である。
図4dは、
図3の色分解されたC/M/Y/Kの中のKのポジションの画像である。
【0033】
図1から
図4を参照すると、本発明に係る偽造防止用印刷物1は、印刷物の製造に必要な所要時間を短縮することができ、印刷物の製造にかかるコストを削減することができる。また、潜像画像の隠蔽力を高めることができ、コピーやスキャン時に潜像画像が現出されることを防止し、スマート機器用アプリケーション(アプリ)を介してのみ偽造かどうかを確認することができる。また、潜像部の文字や画像サイズを既設定値だけ大きく印刷することによって、肉眼での潜像画像の隠蔽力を高めることができる。偽造防止用印刷物1は、背景部100及び潜像部200を含んでもよい。
【0034】
背景部100は、原画像をC/M/Y/Kに1次色分解した後、C/M/Y/Kの分布度を分析し、各分布度に基づいて、既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で印刷でき、潜像部200が形成される第1領域110を含んでもよい。潜像部200が形成される第1領域110は、背景部100上での任意の領域であり得るが、背景部100上での位置を限定するものではない。
【0035】
背景部100の線数は1inch(25.4mm)当たり200個であり得るが、線間隔は25.4mm/200=0.127mmであり得、1inch(25.4mm)当たり200個の線が印刷できる。C/M/Y/Kの分布度は、原画像に分布する色をピクセル(Pixel)単位で計算することで取得できる。背景部100の線数が1inch(25.4mm)当たり200個で有る理由は、線数が1inch(25.4mm)当たり200個未満の場合、肉眼で区別される可能性があるからである。
【0036】
また、C/M/Y/K線間の角度では、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて、最も低い分布度を有する2つの色間の角度を105°に配置でき、残りの色間の角度を25°に配置できる。
【0037】
また、色分解されたC/M/Y/Kの中の最も低い分布度を有する色、または最も低い分布度を有する2つの色のいずれか一方をドット(網点)の形で形成し、最も低い分布度を有する色または最も低い分布度を有する色の2つのいずれか一方をレタッチ形で形成することにより、潜像部200の肉眼での隠蔽力を高めることができる。
【0038】
潜像部200は、背景部100の第1領域110に形成されてもよく、第1領域110から既設定の距離だけ離れた第2領域120をC/M/Y/Kに2次色分解した後、分布度を分析し、各分布度に基づいて、背景部100のC/M/Y/K線数と異なる比率の線数で印刷されてもよい。
【0039】
潜像部200の線数は、背景部100のC/M/Y/K線数を基準として決定でき、背景部100:潜像部200の異なる比率は2:1.6~1.8、好ましくは2:1.7であり得る。すなわち、潜像部200の線数は1inch(25.4mm)当たり160~180個、好ましくは170個であり得、線間隔は25.4mm/160~180=0.141~0.15875mmであり得、1inch(25.4mm)当たり160~180個の線が印刷できる。
【0040】
また、潜像部200のC/M/Y/K線のうち、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択し、選択された色の線数の比率を2:1.6~1.8で形成し、残りの色の線数の比率を1:1で形成してもよい。
【0041】
第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で、色を選択するための既設定の分布度の合計は、60~80%であり得、好ましくは70%以上であり得る。これによれば、分布度の合計が60~80%以上で選ばれた色だけで潜像部200を形成することができ、選択されていない色の背景部100および潜像部200の線数の比率を1:1で形成することで潜像部200の隠蔽力を高めることができる。また、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が60~80%以上の色は、少なくとも1つ以上であり得、最大3つであり得る。
【0042】
エビングハウス錯視(Ebbinghaus Illusion)の例示図である
図5(a)及び(b)を参照すると、同じ大きさの形状が周りの形状の影響で異なる大きさに見えるというエビングハウス錯視現象により既設定の潜像部200の大きさよりも小さく見えることを防止するために、潜像部200の線の太さを、既設定値だけの太さを強制的に追加して印刷してもよく、強制的に追加する既設定値を求める式は、以下の通りである。
【0043】
【0044】
前記式中、aは太さを強制的に追加するための値であり、bは背景部100の線数の比率であり、cは潜像部200の線数の比率であり得る。
【0045】
例えば、背景部200と潜像部200との比率が2:1.8である場合には、強制的な太さ追加値(a)=(2+2/1.8)-1.8=1.31となり得る。すなわち、潜像部200の線は0.0131%だけ追加された太さで印刷できる。
【0046】
背景部200と潜像部200との比率が2:1.6である場合には、強制的な太さ追加値(a)=(2+2/1.6)-1.6=1.65となり得る。すなわち、潜像部200の線は0.0165%だけ追加された太さで印刷できる。
【0047】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施形態に係る偽造防止用印刷物の製造方法について詳細に説明する。以下で、従来周知の事項についての説明は、本発明の要旨を明確にするために省略するか、または簡略化する。
【0048】
図6は、本発明に係る一実施形態の偽造防止用印刷物の製造フローチャートである。
【0049】
図6を参照して、本発明に係る一実施形態の偽造防止用印刷物1を製造する方法について説明する。以下の説明により、前述した構成がより明確になるはずである。
【0050】
本発明の偽造防止用印刷物1は、原画像をC/M/Y/Kに1次色分解をした後(S1)、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度を分析することができ(S2)、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で背景部100を形成することができる(S3)。
【0051】
ここで、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて既設定の線間角度を持つC/M/Y/K線で背景部100を形成するステップ(S3)において、C/M/Y/K線間の角度では、1次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度に基づいて、最も低い分布度を有する2つの色間の角度を105°に配置し、残りの色間の角度を25°に配置することができる。
【0052】
次に、背景部100から、潜像部200が印刷される第1領域110を選択することができ(S4)、第1領域110から既設定の距離だけ離れた第2領域120をC/M/Y/Kに2次色分解することができる(S5)。その次、2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度を分析することができ(S6)、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択することができる(S7)。
【0053】
次に、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの分布度の合計に基づいて選択された色を、背景部100の線数と異なる比率の線数で形成して潜像部200を形成することができ(S8)、潜像部200の線の太さを、既設定値だけ追加して既設定値だけ太く形成することができる(S9)。
【0054】
ここで、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの分布度の合計に基づいて選択された色を、背景部100の線数と異なる比率の線数で形成して潜像部200を形成するステップ(S8)において、背景部100と潜像部200とのC/M/Y/K線数の比率では、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が既設定値以上の色を選択し(S7)、選択された色の線数の比率を2:1.6~1.8で形成し、好ましくは2:1.7で形成することができ、残りの色の線数の比率を1:1で形成することができる。
【0055】
また、背景部100と潜像部200とのC/M/Y/K線数の比率を決定するための既設定の分布度の合計は、60~80%以上であり得、好ましくは70%以上であり得る。これによれば、分布度の合計が60~80%以上で選ばれた色だけで潜像部200を形成することができ、選択されていない色の背景部100および潜像部200の線数の比率を1:1で形成することで潜像部200の隠蔽力を高めることができる。
【0056】
また、第2領域120の2次色分解されたC/M/Y/Kの各分布度の中で分布度の合計が60~80%以上の色は、少なくとも1つ以上であり得、最大3つであり得る。
【0057】
最後に、分布度に基づいて形成される線間角度および線数の比率が適用された背景部100および潜像部200を印刷することができる(S10)。