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特許7443346モジュール式拡張及び仮想現実乗り物アトラクション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】モジュール式拡張及び仮想現実乗り物アトラクション
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/16 20060101AFI20240227BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20240227BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240227BHJP
【FI】
A63G31/16
G06F3/048
G06T19/00 600
G06T19/00 300A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021514028
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019052950
(87)【国際公開番号】W WO2020068977
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】62/736,433
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/580,543
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ゲルゲン パトリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホルスタイン ダニエル マリー
(72)【発明者】
【氏名】トルヒーヨ トマス マヌエル
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-309381(JP,A)
【文献】米国特許第09463379(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
A63F 9/24、13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式アトラクションシステムを備えた遊園地システムであって、前記モジュール式アトラクションシステムは、
乗客を収容する座席を有する乗り物車両と、
ネットワークを介して接続された複数のゲームシステムを含む、前記乗り物車両に一体化された車載システムと、
を含み、前記複数のゲームシステムの各ゲームシステムは、それぞれの視覚体験生成装置を介して、前記複数のゲームシステム間で共有されるゲーム内で拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験又はこれらの両方を提供するように構成され、前記車載システムは、乗客からのユーザ入力に基づいて、前記複数のゲームシステム間で共有されるゲームの間に発生するARイベント及び/又はVRイベントを引き起こすように、前記乗客からのユーザ入力を受け取るように構成され、
前記複数のゲームシステムは前記乗り物車両に一体化され、前記複数のゲームシステムの個々のゲームシステムは、前記複数のゲームシステムの残りのゲームシステムの動作に影響を与えずに、前記複数のゲームシステムのうちの少なくとも1つのゲームシステムを前記乗り物車両から容易に除去できるように、及び、前記少なくとも一つのゲームシステムを他のゲームシステムに置き換えることができるように前記ネットワークを介して互いに接続される、
ことを特徴とする遊園地システム。
【請求項2】
前記車載システムは、前記複数のゲームシステムの各ゲームシステムに通信可能に個別に結合された車載ネットワークスイッチを含む、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項3】
前記車載システムは、前記車載ネットワークスイッチを介して前記複数のゲームシステムに通信可能に結合された車載ゲームサーバを含み、該車載ゲームサーバは、前記ユーザ入力を受け取って、前記車載ネットワークスイッチを介して前記ユーザ入力を前記複数のゲームシステムに分配するように構成される、
請求項2に記載の遊園地システム。
【請求項4】
前記それぞれの視覚体験生成装置は、複数の視覚体験生成装置のうちの一つであり、前記複数の視覚体験生成装置は頭部装着型ディスプレイ(HMD)を含み、前記車載システムは、ユーザインターフェイスと、前記HMDの動き、配向又はこれらの両方を追跡するように構成された追跡システムとを含み、前記ユーザインターフェイス及び前記追跡システムは、前記車載ゲームサーバに前記ユーザ入力を提供するように構成される、
請求項3に記載の遊園地システム。
【請求項5】
前記車載システムは、車両ショースーパーバイザ(VSS)を含み、前記車載ゲームサーバは、前記車載ネットワークスイッチを介して、前記追跡システム、前記複数のゲームシステム及び前記VSS間の通信を連動させるように構成される、
請求項4に記載の遊園地システム。
【請求項6】
前記車載ゲームサーバは、第1のタイプの情報が他のタイプの情報よりも高い優先度で伝達される情報階層に従って前記複数のゲームシステム及び前記VSSと通信するように構成される、
請求項5に記載の遊園地システム。
【請求項7】
前記車載システムの前記複数のゲームシステムの各ゲームシステムは、
前記車載ネットワークスイッチを介して前記車載ゲームサーバに通信可能に結合され、前記車載ゲームサーバから受け取られた前記ユーザ入力に基づいて、前記AR体験、前記VR体験又はこれらの両方のグラフィックをレンダリングするように構成されたゲームコンピュータと、
前記乗り物車両に連結されて前記ゲームコンピュータに通信可能に結合された前記それぞれの視覚体験生成装置と、
を含み、前記それぞれの視覚体験生成装置は、前記レンダリングされたグラフィックを1又は2以上の表示面上に表示するように構成される、
請求項3に記載の遊園地システム。
【請求項8】
前記複数のゲームシステムの各ゲームシステムは、前記ゲームコンピュータに通信可能に結合されて、対応するゲームシステムに対応する座席を占有した乗客に関する識別情報を検索するように構成された識別認識システムを含み、前記ゲームコンピュータは、前記識別情報に従って前記グラフィックをレンダリングするように構成される、
請求項7に記載の遊園地システム。
【請求項9】
前記モジュール式アトラクションシステムは、前記ネットワークを介して前記車載システムと通信する車外システムを含み、該車外システムは、前記複数のゲームシステム間で共有される前記ゲームと協調して車外ショー効果を提供するように構成される、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項10】
前記車外システムは、
それぞれが車外ゲームコンピュータを含む1又は2以上の車外ゲームシステムと、
前記乗り物車両から離れて位置するショー効果装置を制御するように構成された乗り物スーパーバイザシステム(RSS)と、
前記1又は2以上の車外ゲームシステムの各々に個別に通信可能に結合されるとともに前記RSSに通信可能に結合された車外ネットワークスイッチと、
前記車外ネットワークスイッチを介して前記1又は2以上の車外ゲームシステム及び前記RSSに通信可能に結合されて、前記1又は2以上の車外ゲームシステムと前記RSSとの間の通信を連動させるように構成された車外ゲームサーバと、
を含む、請求項9に記載の遊園地システム。
【請求項11】
前記車外システムは、前記乗り物車両から離れて配置されて前記1又は2以上の車外ゲームシステムに通信可能に結合された1又は2以上のメディアシステムを含み、前記1又は2以上の車外ゲームシステムの各車外ゲームシステムの車外ゲームコンピュータは、前記複数のゲームシステム間で共有される前記ゲームと協調して前記1又は2以上のメディアシステムのそれぞれのメディアシステムによって表示されるメディアを生成するように構成される、
請求項10に記載の遊園地システム。
【請求項12】
前記乗り物車両は、乗り物経路に沿って移動するように構成される、
請求項1に記載の遊園地システム。
【請求項13】
モジュール式遊園地乗り物車両であって、
乗客を収容する客室及び座席を有する本体と、
複数の車載ゲームシステムと、
を備え、前記複数の車載ゲームシステムの各車載ゲームシステムは、前記複数の車載ゲームシステム間で共有される拡張現実(AR)及び/又は仮想現実(VR)ゲームに前記モジュール式遊園地乗り物車両の各乗客が参加することを可能にするようにそれぞれの座席に関連付けられ、前記複数の車載ゲームシステムの各車載ゲームシステムは、AR及び/又はVRグラフィックをレンダリングするように構成されたゲームコンピュータと、前記ゲームコンピュータと通信して前記AR及び/又はVRグラフィックを表示するように構成された頭部装着型ディスプレイ(HMD)とを含み、前記モジュール式遊園地乗り物車両は、
前記複数の車載ゲームシステム間で共有される前記AR及び/又はVRゲームに関連するゲーム入力を前記モジュール式遊園地乗り物車両の前記乗客から受け取、車両ショースーパーバイザ(VSS)と、
車載ネットワークスイッチを介して前記VSS及び前記複数の車載ゲームシステムの各車載ゲームシステムに通信可能に結合された車載ゲームサーバであって、前記乗客から受け取られたゲーム入力の各々が前記複数の車載ゲームシステム間で共有される前記AR及び/又はVRゲームにおける調整を引き起こすように構成されるように、前記VSSから前記ゲーム入力を受け取り、前記ゲーム入力の通信を前記複数の車載ゲームシステムに連動させるように構成される、車載ゲームサーバと、
をさらに備える、ことを特徴とするモジュール式遊園地乗り物車両。
【請求項14】
前記本体の表面内に形成されて、前記複数の車載ゲームシステムのうちの少なくとも1つの車載ゲームシステム、前記車載ゲームサーバ又は前記VSSへの容易なアクセスを可能にするように構成されたアクセスパネルを備える、
請求項13に記載のモジュール式遊園地乗り物車両。
【請求項15】
前記VSSに個別に通信可能に結合されたユーザインターフェイスを備え、各座席は、前記ゲーム入力の提供が前記AR及び/又はVRゲームに影響を与えることを可能にするように少なくとも1つのユーザインターフェイスに関連付けられる、
請求項13に記載のモジュール式遊園地乗り物車両。
【請求項16】
各HMDは、追跡システムに通信可能に結合された一体型追跡センサを含み、前記追跡システムは、前記HMDの動き及び配向に関する追跡データを生成するように構成され、前記車載ゲームサーバは、前記HMDが関連付けられた前記座席に対応する前記複数の車載ゲームシステムのうちの少なくとも1つの車載ゲームシステムに前記追跡データを分配するように構成される、
請求項13に記載のモジュール式遊園地乗り物車両。
【請求項17】
前記車載ネットワークスイッチに通信可能に結合されて、前記モジュール式遊園地乗り物車両と、前記モジュール式遊園地乗り物車両の車外に配置された他のネットワーク装置との間で共有されるネットワークに前記車載ネットワークスイッチがアクセスすることを可能にするネットワーク装置を備える、
請求項13に記載のモジュール式遊園地乗り物車両。
【請求項18】
遊園地アトラクションシステムであって、
乗り物車両と一体化され、前記乗り物車両内の各座席のための視覚体験生成装置を有し、少なくとも前記視覚体験生成装置を介して共有されるゲーム内で、拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験又はこれらの両方を提供するように構成された車載システムであって、複数の乗客からのユーザ入力に基づいて共有ゲームの間に発生するARイベント及び/又はVRイベントの調整を引き起こすように前記乗り物車両の複数の乗客からユーザ入力を受け取るように構成された車載システムと、
前記車載システムにネットワークを介して通信可能に結合され、前記乗り物車両から離れて位置する車外ショー装置を有する車外システムと、
を備え、前記車外システムは、前記車外ショー装置に通信可能に結合されて前記車外ショー装置の動作と連動させるように前記共有ゲームの間に発生するARイベント及び/又はVRイベントの調整に基づいて前記車外ショー装置を制御するように構成された車外ゲームサーバを含む、
ことを特徴とする遊園地アトラクションシステム。
【請求項19】
前記車載システムは、前記乗り物車両と一体化されて、遊園地における乗り物の最中に前記乗り物車両と共に乗り物経路に沿って移動するように構成される、
請求項18に記載の遊園地アトラクションシステム。
【請求項20】
前記車外ショー装置は、照明システム、アニメーション小道具ロボット装置、ディスプレイシステム、オーディオシステム又はこれらの組み合わせを含む、
請求項18に記載の遊園地アトラクションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年9月25日に出願された「モジュール式拡張及び仮想現実乗り物アトラクション(MODULAR AUGMENTED AND VIRTUAL REALITY RIDE ATTRACTION)」という名称の米国仮特許出願第62/736,433号に基づく優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入られる。
【0002】
本明細書に開示する主題は、遊園地アトラクションに関し、具体的には、遊園地アトラクションにおいて拡張体験、仮想現実体験又はこれらの両方を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
遊園地又はテーマパークは、ゲスト(例えば、家族及び/又は全ての年齢の人々)に娯楽を提供する様々なアトラクションを含むことができる。例えば、アトラクションは、ローラーコースター、モーションプラットフォーム付きの固定式乗り物及びダークライドなどの乗り物を含むことができる。また、乗り物沿いにはテーマ環境が存在することができる。従来、このようなテーマ環境は、設備、建具、建物レイアウト、小道具及び装飾などを使用して設定することができる。テーマ環境の複雑さによっては、テーマ環境の設定及び置換が非常に困難かつ時間の掛かるものであると判明することもある。乗り物上の乗客全員が楽しめるテーマ環境を設定することも非常に困難な場合がある。例えば、同じテーマ環境に対して興味を抱く乗客もいればそうでない乗客もいる。
【0004】
また、ビデオゲーム及び映画産業の発展などを通じて様々な設定においてエンターテインメント技術が改善され続けると、ゲストは、最先端の技術を反映したさらに没入的な体験を期待し始める可能性がある。毎日何千人ものゲストにサービスを提供するものもあるいくつかの遊園地アトラクションの複雑さ及び使用レベルによっては、このようなアトラクションの機能の修正、アップグレード、置換又は保守を行うことが非常に困難となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、本開示と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろ本実施形態の可能な形態の概要を示すものにすぎない。実際に、本実施形態は、以下に示す実施形態に類似することができる、又はそれとは異なることができる様々な形態を含むことができる。
【0006】
1つの実施形態では、遊園地システムが、乗客を収容する座席を有する乗り物車両と、ネットワークを介して接続された車載ゲームシステムを有する、乗り物車両に一体化された車載システムとを有するモジュール式アトラクションシステムを含む。各車載ゲームシステムは、それぞれの視覚体験生成装置を介して拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験又はこれらの両方を提供するように構成される。AR体験、VR体験又はこれらの両方は、車載ゲームシステム間で共有されるゲーム内で提供される。車載ゲームシステムは、乗り物車両に一体化され、車載ゲームシステムのうちの1つの車載ゲームシステムの全部又は一部を残りの車載ゲームシステムの動作に影響を与えずに容易に除去できるようにネットワークを介して互いに接続される。
【0007】
別の実施形態では、モジュール式遊園地乗り物車両が、乗客を収容する客室及び座席を有する本体と、車載ゲームシステムとを含み、各車載ゲームシステムは、車載ゲームシステム間で共有される拡張現実(AR)及び/又は仮想現実(VR)ゲームにモジュール式遊園地乗り物車両の各乗客が参加することを可能にするようにそれぞれの座席に関連付けられる。各車載ゲームシステムは、AR又はVRグラフィックをレンダリングするように構成されたゲームコンピュータと、ゲームコンピュータと通信してAR又はVRグラフィックを表示するように構成された頭部装着式ディスプレイ(HMD)とを含む。車両は、車載ゲームシステムに個別に接続された車載ネットワークスイッチを介して車載ゲームシステムとの通信を調整するように構成された車載ゲームサーバと、車載ゲームサーバに通信可能に結合されて、乗客からAR及び/又はVRゲームに関連するゲーム入力を受け取るように構成された車両ショースーパーバイザ(VSS)とをさらに含む。VSSは、車載ネットワークスイッチを介して車載ゲームサーバにゲーム入力を中継するように構成される。
【0008】
別の実施形態では、遊園地アトラクションシステムが、乗り物車両と一体化された車載システムを含む。車載システムは、乗り物車両内の各座席のための視覚体験生成装置を有し、少なくとも視覚体験生成装置を介して共有されるゲーム内で、拡張現実(AR)体験、仮想現実(VR)体験、又はこれらの両方を提供するように構成される。遊園地アトラクションシステムは、ネットワークを介して車載システムに通信可能に結合され、乗り物車両から離れて位置する車外ショー装置を有する車外システムも含む。車外システムは、車外ショー装置に通信可能に結合されて車外ショー装置の動作と共有ゲーム中に発生するAR又はVRイベントとを連動させるように構成された車外ゲームサーバを含む。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示のいくつかの態様による、モジュール式アーキテクチャを有する遊園地の実施形態の概略図である。
図2】本開示のいくつかの態様による、図1の遊園地において使用できるモジュール式アーキテクチャの実施形態のブロック図である。
図3】本開示のいくつかの態様による、車外システムと連動して拡張現実及び/又は仮想現実(AR/VR)体験を提供する車載システムを有する乗り物車両を含むモジュール式アトラクションシステムの実施形態の斜視図である。
図4】本開示のいくつかの態様による、図3の乗り物車両と共に使用できる車載システムの実施形態のブロック図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、図4の車載システムの車載ゲームシステムの実施形態のブロック図である。
図6】本開示のいくつかの態様による、図3の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図7】本開示のいくつかの態様による、図3のモジュール式アトラクションシステムの車外システムの実施形態のブロック図である。
図8】本開示のいくつかの態様による、図3のモジュール式アトラクションシステムにおいて使用できる車載システム及び車外システムの実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間の掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
現在では、従来の技術に比べて柔軟かつ効率的にアトラクションテーマを変更できるアトラクションを含めることが望ましいと認識されている。また、現在では、著しいアトラクション休止期間を生じることなく主要コンポーネントのアップグレード、保守又は交換を容易に可能にするアトラクション機能を提供することが望ましいとも認識されている。実際に、一例として、従来、乗り物車両を使用するテーマパークアトラクションは、技術的リフレッシュアップグレード(technical refresh upgrades)に関連するリードタイムが長かった。従って、これらのアトラクション内の先端技術(例えば、拡張又は仮想現実)は、家庭用消費者製品において利用できるものに容易に追い越されてしまう恐れがある。
【0013】
現在では、数ある中でも特に先端技術の初期統合に従う技術的リフレッシュの容易な統合を可能にするように遊園地アトラクション(例えば、乗り物車両システム)を設計することに対するニーズが存在すると認識されている。例えば、現在では、乗り物の美観及び動作に対する影響を最低限に抑えてソフトウェア及びハードウェアの両方の不可知論的かつ迅速なアップデートの実行を可能にする遊園地乗り物設計に対するニーズが存在すると認識されている。本開示は、これらの及びその他の懸念に対処するために、いずれもシステムに対する悪影響を最低限に抑えてアップデートできるハードウェア及びソフトウェアを含むアーキテクチャを提供する。
【0014】
本開示の1つの実施形態例としては、遊園地アトラクションが、モジュール式アトラクションシステムを含むことができる。このモジュール式アトラクションシステムは、車上体験(例えば、ユーザ及び/又は乗り物車両の局所での体験)を促す車載システムを(例えば、乗り物車両に)組み込むことができる。例えば、車載システムは、1又は2以上の表示機能(例えば、頭部装着型ディスプレイ(HMD))を通じて提示される視覚的体験を含むことができる拡張現実及び/又は仮想現実(AR/VR)体験をもたらすゲーム効果を提供することができる。また、モジュール式アトラクションシステムは、車載システムの様々なコンポーネントのいくつかの態様を連動させ、特定の遊園地アトラクションに関連する照明システム、アニマトロニクス、メディアシステム(例えば、投写型ディスプレイシステム及びサウンドシステム)、又はこれらの組み合わせを使用して他の娯楽体験を提供する(例えば、乗り物車両から離れた)車外システムを含むこともできる。これらの車載及び車外システムは、協動して乗客の乗り物体験を強化することができる。また、車載及び車外システム、並びにその様々なコンポーネントは、遊園地アトラクションの休止期間を最低限に抑えて個別に又は単独で交換、保守、修正及びアップグレードなどを行えるように設計される。
【0015】
本明細書で使用する「車載システム」及び「車外システム」という用語は、遊園地アトラクションにおける全体的体験を協働してもたらす2つのシステムを示すものであり、これらのシステムのコンポーネントは、乗り物車両に対するいずれかの特定の配置に必ずしも限定されるものではないと理解されたい。例えば、本明細書で詳細に説明する1つの実装では、車載システムのコンポーネントを全て(例えば、乗り物車両と共に動くように)乗り物車両上に配置することができ、車外システムのコンポーネントを全て(例えば、乗り物車両と共に動かないように)乗り物車両から離して配置することができる。しかしながら、これとは別に、又はこれに加えて、車載システムは、乗り物車両と同一場所に配置されるコンポーネント(例えば、乗り物車両上には配置されておらず、乗り物の少なくとも一部の最中に乗り物車両に近接するコンポーネント)を含むこともできる。例えば、車載システムの少なくともいくつかのコンポーネントを乗り物車両が辿る経路沿いの位置に配置することができ、これらの車載システムのコンポーネントは、乗り物車両がこの経路沿いの位置又はその近くに存在する時に、乗り物車両上に配置された車載システムの他のコンポーネントと(例えば、無線ネットワークを介して)通信して車上体験を促すことができる。別の例として、乗り物車両は、経路に沿って物理的に移動しないこともできる(例えば、固定することも、経路に沿って移動せずに適所で揺動又は回転などの動きを行うこともできる)。このようないくつかの例では、車載システムの少なくともいくつかのコンポーネントを乗り物車両に近接する位置に配置することができ、これらの車載システムのコンポーネントは、乗り物車両上に配置された車載システムの他のコンポーネントと(例えば、無線ネットワークを介して)通信して車上体験を促すことができる。
【0016】
さらに別の例として、アトラクションが乗り物車両を含まず、代わりにユーザが1又は2以上の表示機能(例えば、HMD)、スピーカ及び/又は触覚装置などの1又は2以上の対話型コンポーネントを装着又は携行してアトラクション内を歩き又は別様に移動することもできる。このようないくつかの例では、車載システムのコンポーネントを全て(例えば、ユーザと共に動くように)ユーザが装着又は携行し、車外システムのコンポーネントを全て(例えば、ユーザと共に動かないように)ユーザから離して配置することができる。しかしながら、これとは別に、又はこれに加えて、車載システムは、ユーザと同一場所に配置されるコンポーネント(例えば、ユーザによって装着又は携行されず、遊園地アトラクションの少なくとも一部の最中にユーザに近接するコンポーネント)を含むこともできる。このようないくつかの例では、車載システムの少なくともいくつかのコンポーネントを、ユーザが辿る又は別様にユーザに近接する経路沿いの位置に配置することができ、これらの車載システムのコンポーネントは、ユーザがこの経路沿いの位置又はその近くに存在する時に、ユーザが装着又は携行する車載システムの他のコンポーネントと(例えば、無線ネットワークを介して)通信して車上体験を促すことができる。
【0017】
これとは別に、又はこれに加えて、車載システムは、例えば乗り物車両及びユーザから離れて(例えば、遊園地アトラクションの物理的境界の外側を含むいずれかの位置に)配置されているが、乗り物車両上に物理的に配置された、或いはユーザが装着又は携行する車載システムの他のコンポーネントと(例えば、無線ネットワークを介して)通信して車上体験を構築できるコンポーネントを含むこともできる。さらに、車外システムは、車載システムのコンポーネントと協働して全体的体験を構築できる(例えば、車載システムのコンポーネントとは異なる)コンポーネントを含むこともできる。例えば、車外システムは、遊園地アトラクション内の乗り物車両及び/又はユーザを取り囲む環境において霧、煙、風及び/又は光などの車外体験を促すコンポーネントを含むことができる。
【0018】
説明を容易にするために、本明細書で詳細に説明するいくつかの実施形態は、HMDを介して提示される視覚的体験を含むが、これとは別に、又はこれに加えて、AR/VR体験は、ユーザが視覚化できる視覚的表現を生成することができる他のいずれかの好適な視覚体験生成器(例えば、ハンドヘルド型ディスプレイ、車載型ディスプレイ、ユーザの網膜上に投影を行う仮想網膜ディスプレイ又は網膜プロジェクタ)などを介した他のいずれかの好適な技術を通じて提示される視覚的体験を含むこともできると理解されたい。例えば、本明細書に開示するHMDは、他のいずれかの好適な視覚体験生成器と置換又は併用することができる。また、AR/VR体験は、視覚的体験、1又は2以上のスピーカ機能によって提示される聴覚的体験、及び/又は1又は2以上の触覚機能によって提示される触覚的体験を含むことができる。いくつかの実施形態では、AR/VR体験が、聴覚的体験のみ又は触覚的体験のみを含むこともできる。
【0019】
これらを踏まえて、図1に、1又は2以上のアトラクション12を含むことができる遊園地10の実施形態を示す。各アトラクション12は、複数のユーザ14(例えば、ゲスト、常連客)を収容することができる。本明細書で説明するように、遊園地10は、遊園地10の停止時間、並びに全体的な美観及び運営の影響を最小限に抑えながら、多層システムインフラ(multi-layer system infrastructure)を利用して技術的リフレッシュ及びアップデートなどに対応することができる。とりわけ、多層システムインフラのモジュール性は、システムの他の要素(例えば、他のハードウェアコンポーネント又はソフトウェアコンポーネント)に実質的に影響を与えることなく、1又は2以上のハードウェア又はソフトウェアコンポーネントの変更(例えば、アップデート、置換、追加及び/又は削除)を可能にすることができる。
【0020】
説明すると、いくつかの実施形態では、遊園地10が、第1のアトラクション16、第2のアトラクション18及び第3のアトラクション20を含むことができる。しかしながら、遊園地10は、あらゆる好適な数のアトラクション12を含むことができると理解されたい。本明細書でさらに詳細に説明するように、各アトラクション12は、1又は2以上のコントローラ28のメモリデバイス26に記憶されて特定のアトラクション12に関連するタスクを実行できるソフトウェアコンポーネント24を使用してこれらと相互作用(例えば、通信)することができる物理的コンポーネントなどのあらゆる好適な数のハードウェアコンポーネント22を含むことができる。実際には、あらゆる好適な数のコントローラ28が存在することができる。いくつかの実施形態では、各アトラクション12がそれぞれのコントローラ28に関連することができる。遊園地10は、遊園地10の環境29(例えば、待ち行列)内に、やはり1又は2以上のコントローラ28に通信可能に結合できる1又は2以上のハードウェアコンポーネント22をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、環境29がアトラクション12を含むことができる。
【0021】
コントローラ28は、特定用途向けプロセッサなどの1又は2以上のプロセッサを表すことができるプロセッサ30を使用することができる。コントローラ28は、本明細書で説明するような遊園地10の方法及び制御動作を実行するためにプロセッサ30が実行できる命令を記憶するメモリデバイス26を含むこともできる。プロセッサ30は、1又は2以上の処理装置を含むことができ、メモリ26は、1又は2以上の有形の非一時的機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又はその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶装置、或いは所望のプログラムコードを機械実行可能命令又はデータ構造の形で保持又は記憶するために使用でき、プロセッサ30、又はプロセッサを含むいずれかの汎用又は専用コンピュータ又はその他の機械がアクセスできる他のいずれかの媒体を含むことができる。
【0022】
コントローラ28は、通信システム32を通じて遊園地10の要素に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、通信システム32が無線で通信することができる。非限定的な例として、このような通信は、無線ネットワーク(例えば、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN))、近距離通信(NFC)、又はBluetoothを含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、通信システム32は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む有線ネットワークなどの有線通信を使用することもできる。
【0023】
各ハードウェアコンポーネント22(例えば、周辺装置)は、入力装置及び/又は出力装置として分類することができる。すなわち、各ハードウェアコンポーネント22は、入力装置、出力装置、又は入力/出力装置とすることができる。入力装置は、複数のユーザ14のうちの1人などから入力を受け取り、受け取った入力を示す入力信号をコントローラ28に送信することができる。ハードウェアコンポーネント22は相互作用コンポーネントを含むことができ、入力は、相互作用コンポーネントの1又は2以上のユーザ入力装置(例えば、ボタン、ノブ、タッチ画面、ジョイスティック、作動可能要素、ステアリングコントローラ、トリガ)を介して受け取ることができる。これに対応して、出力装置は、入力信号の結果としてコントローラ28から入力信号を受け取り、及び/又は入力装置から直接入力信号を受け取ることができる。その後、例えば、コントローラ28は、遊園地10内の出力装置などの1又は2以上の位置に1又は2以上の信号をさらに送信して、受け取った入力に従う適切な応答を提供することができる。これに応じて、出力装置は、装置の作動、或いはディスプレイ装置又はいずれかの好適な視覚体験生成器を介した画像/情報の表示などを通じて信号に反応することができる。例えば、第1のアトラクション16のハードウェアコンポーネント22に関しては、画像がHMDを介して表示されるので、入力装置がAR/VRツール及び頭部装着型ディスプレイ(HMD)などのAR/VR装置を含むことができ、出力装置がHMDを含むことができる。
【0024】
第2のアトラクション18のハードウェアコンポーネント22に関しては、入力装置が、乗り物サイクル中にユーザ14が相互作用できる乗り物装置(例えば、ツール)を含むことができ、出力装置が、アニマトロニックショー要素(animatronic show pieces)及び乗り物車両を含むことができる。第3のアトラクション20のハードウェアコンポーネント22に関しては、入力装置がハンドルを含むことができ、出力装置が、スコアボード及びゲームフロアディスプレイを含むことができる。しかしながら、遊園地10は、あらゆる好適な数及びタイプのハードウェアコンポーネント22を有するあらゆる好適な数のアトラクション12を含むことができると理解されたい。さらに、AR/VR装置は、アトラクション12とのユーザインタラクションを促して入力を生成するとともに別のハードウェア要素に応答を出力させる入力/出力装置としての役割を果たすこともできる。また、この応答は、AR/VR装置の(例えば、AR/VR装置のディスプレイの)出力変化をトリガすることもできる。
【0025】
ハードウェアコンポーネント22及びソフトウェアコンポーネント24の各々は、様々な要因に基づいて交換又はアップデートすることができる。例えば、遊園地10のハードウェアコンポーネント22及び/又はソフトウェアコンポーネント24の変更の動機としては、新たな技術の公表、映画又はその他のメディアの封切り、季節変化、時刻、定期メンテナンス、又はこれらのいずれかの組み合わせを挙げることができる。遊園地10内でコンポーネント(例えば、ハードウェアコンポーネント22又はソフトウェアコンポーネント24)の導入、アップデート、又は別様な変更が行われると、このコンポーネントを、遊園地10の他のコンポーネントと相互作用(例えば、通信)できるように遊園地10に登録することができる。すなわち、図2を参照しながらさらに詳細に説明するように、1又は2以上のコントローラ28は、遊園地10のコンポーネントとの間で情報を送受信するための様々なプロトコルを含むことができる。
【0026】
図1に関して説明した各アトラクションは、既に説明したモジュール式アトラクションシステムの全部又は一部を形成するモジュール式コンポーネントを含むことができる。このようなシステムを実装できる方法例を示すために、図2は、遊園地10のモジュール式アトラクションシステム50のシステムアーキテクチャのブロック図である。モジュール式アトラクションシステム50は、ゲーム層52、ソフトウェア層54(例えば、ソフトウェアアーキテクチャ層)、及びハードウェア層56(例えば、ハードウェアアーキテクチャ層)に分離することができる。ゲーム層52及びソフトウェア層54は、それぞれコントローラ28のメモリ26に記憶することができる。ゲーム層52及びソフトウェア層54は、通信システム32を介してハードウェア層56に通信可能に結合することができる。ゲーム層52は、アトラクション12がアトラクション12の要素(例えば、ハードウェアコンポーネント22及び/又はソフトウェアコンポーネント24)といつ相互作用し、これらをいつ変更及び/又は操作するかについてのロジックを決定するゲームロジック58を含むことができる。すなわち、ゲーム層52は、ゲームロジック58を操作して実行することができる。
【0027】
ソフトウェア層54は、1又は2以上のゲームアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)60と、1又は2以上のラッパーAPI62と、複数のラッパー64とを含むことができる。ゲームAPI60は、いずれかのゲーム実装(例えば、特定のアトラクション12のゲームロジック58)がソフトウェア層54及びハードウェア層56と通信するために使用できるインターフェイス言語セットを定めることができる。例えば、ゲームロジック58は、ゲームAPI60と通信して、遊園地10内の様々な環境刺激(例えば、ハードウェアコンポーネント22を通じて行われる反応)をトリガすることができる。
【0028】
ラッパーAPI62は、ゲームAPI60からのメッセージをラッパー64に転送することができる。ラッパー64は、標準インターフェイスクラスを順応させ、拡張し、及び/又は実装するソフトウェア要素であり、ラッパーAPI62に登録して環境刺激に関連するメッセージを受け取るように構成される。ラッパー64は、ハードウェアコンポーネント22が環境刺激に関連するメッセージを受信できるように、特定のハードウェアコンポーネント22に関連するドライバと通信することができる。いくつかの実施形態では、各ハードウェアコンポーネント22が、1又は2以上のそれぞれのラッパー64に関連することができる。ラッパー64は、ハードウェア層56のハードウェアコンポーネント22とソフトウェア層54のソフトウェアコンポーネント24との間の緩衝器としての役割を果たすことができる。例えば、ハードウェアコンポーネント22がアップデート又は変更された場合でも、ソフトウェアコンポーネント24の動作、ロジック及び/又は体型(build)がこの変更又はアップデートの影響を受けることはない。これとは逆に、ソフトウェアコンポーネント24がアップデートされた時には、ラッパー64が、ハードウェアコンポーネント22を最新のソフトウェアコンポーネント24に適合するようにアップデートする必要性を低減及び/又は回避することができる。いくつかの実施形態では、さらなるハードウェアコンポーネント22又は機能を追加することができる。このような実施形態では、新たに追加されたハードウェアコンポーネントに関連する1又は2以上のラッパー64をソフトウェア層54に追加することもできる。その後、この新たに追加されたラッパー64をラッパーAPI62に登録して信号(例えば、メッセージ、イベント)の正しい通信を可能にすることができる。
【0029】
ハードウェア層56は、本明細書で説明したように容易に交換及び/又はアップデートできるように構成されたハードウェアコンポーネント22を含むことができる。すなわち、ハードウェアコンポーネント22は、(例えば、標準ユニットで構成された)モジュール設計、標準(例えば、汎用)取り付け点及び動的内部構成を利用して、新たなハードウェアコンポーネント22の実装、及び既存のハードウェアコンポーネント22のアップデートを改善することができる。例えば、ハードウェアコンポーネント22は、通信システム32の一部を成すことができる汎用インターフェイスバス(GPIB)70(例えば、汎用インターフェイス(GPI))を利用して、ソフトウェア層54内のコンポーネント及びハードウェア層56内の他のハードウェアコンポーネント22と通信することができる。実際に、いくつかの実施形態では、ハードウェアコンポーネント22が有線及び/又は無線通信を利用することができる。いくつかの実施形態では、ハードウェアコンポーネント22が、有線手段及び/又は無線手段を通じた直接通信又は同報通信などによるネットワークの使用を伴わずに通信することができる。
【0030】
さらなる例として、ハードウェアコンポーネント22は、ユニットの動作位置において容易に交換可能なモジュラーコンポーネントである列線交換ユニット(line replaceable unit:LRU)72を利用することができ、及び/又は列線交換ユニット(LRU)72とすることができる。とりわけ、LRU72は、アトラクション12において(例えば、「列線上」で)素早く交換できることにより、アトラクション12の停止時間の短縮を可能にすることができる。実際に、ハードウェア層56内のハードウェアコンポーネント22は、例えば電源標準、入力及び出力モジュール標準などの様々なコンポーネントに関連する限定数の(例えば、1つの)標準を利用することができる。このように、ハードウェアコンポーネント22の一部(又は全部)を追加又は変更すべき場合でも、少なくとも部分的に標準的な(例えば、一般的、汎用、モジュール式)コンポーネントに起因して、この部分を容易に実装することができる。ハードウェアコンポーネント22のモジュール設計は、標準、ガイドライン及び最良事例に基づいて正しい実装を確実にすることができる。いくつかの実施形態では、ハードウェアコンポーネント22がセルフテストを行うことができる。すなわち、ハードウェアコンポーネント22は、自機が動作を継続するのに適しているかどうかを判定することができる。例えば、ハードウェアコンポーネント22は、ハードウェアコンポーネント22の入力及び出力をモニタして、ハードウェアコンポーネント22が目的通りに動作しているかどうかなどのハードウェアコンポーネント22の動作状態、及び/又はハードウェアコンポーネント22が製品寿命の終わりに近づいているかどうかなどの、ハードウェアコンポーネント22内の部品を交換/アップデートすべきであるかどうかを判定するように構成された1又は2以上のセンサ73を含むことができる。
【0031】
図3に、遊園地10内のモジュール式アトラクションシステム50の実施形態例を概略的に示す。図示のように、遊園地10は、第2のアトラクション18としての乗り物80を含むことができる。乗り物80は、テーマに対応する固定設備、建物レイアウト、小道具及び装飾などの様々な特徴を有する環境29内に配置することができる。いくつかの実施形態では、乗り物80が、ダークライド又は他の同様の絶叫マシンを含むとともに、乗り物経路82(例えば、乗り物経路82に沿った乗り物車両84の前進動作及び/又は後退動作を支える閉ループ軌道又は閉ループ軌道システム、乗り物経路82に沿った乗り物車両84の垂直動作を支える垂直延長軌道)を含むことができる。乗り物経路82は、ユーザ14が乗り物車両84に収容されている時に乗り物車両84が移動できるインフラとして提供することができる。従って、乗り物経路82は、乗り物車両84の動きを定めることができる。しかしながら、別の実施形態では、例えば乗り物経路82を、電子システム、磁気システム、又は乗り物経路82以外の他の同様のシステムインフラを介して乗り物車両84の動きを制御できる被制御経路に置き換えることもできる。換言すれば、乗り物車両84の乗り物経路を正確な経路に物理的に制約しないことにより、ユーザ14が自身の動き経路及び視野などをある程度制御できるようにすることもできる。乗り物80の十分に近くに他の遊園地アトラクションを配置して、ユーザ14にアトラクションが見えるようにすることもできる。一例として、このようなアトラクションは、建物86又は同様の構造を含むことができる。
【0032】
なお、乗り物車両84を4人乗り車両として示しているかもしれないが、他の実施形態では、乗り物車両84が、一人又は複数グループの乗客を収容するためにあらゆる数の乗客空間(例えば、1、2、4、8、10又はそれよりも多くの空間)を含むことができると理解されたい。また、1つの乗り物車両84を有する乗り物80を示しているかもしれないが、乗り物80はあらゆる数の乗り物車両84(例えば、1、2、4、8、10又はそれよりも多く)を含むことができると理解されたい。乗り物車両84が乗り物経路82に沿って移動すると、ユーザ14に移動風景ツアー(例えば、テーマに対応する固定設備、建物レイアウト、小道具、装飾などを含むことができるテーマ環境)を提供することができる。この風景は、乗り物80を取り巻く環境、及び/又は乗り物80を完全に又は部分的に収容できるインフラ内の環境を含むことができる。
【0033】
ユーザ14は、乗り物80が非常に楽しい体験であると分かる一方で、いくつかの実施形態では、ユーザの乗り物体験を強化することが有用となり得る。具体的には、モジュール式アトラクションシステム50によって提供されるゲーム効果及びその他の娯楽(例えば、マルチメディアエンターテイメント)を使用して、ユーザ14に提供される乗り物体験を強化することができる。図示の実施形態では、モジュール式アトラクションシステム50が、乗り物車両84と一体化された車載システム88と車外システム90とを含み、これらは共に、頭部装着型ディスプレイ(HMD)92及び/又はその他の装置(例えば、他の視覚体験生成器、スピーカ、触覚機能)を通じてユーザ14に拡張現実及び/又は仮想現実(AR/VR)体験を提供するように構成される。例えば、乗り物車両84が乗り物経路82に沿って移動すると、モジュール式アトラクションシステム50が、車載システム88を介して、(建物86上に浮かぶ道化師として示す)AR/VRオブジェクト94などのAR/VR画像又は特徴を、それぞれのHMD92上でユーザ14に表示されるように連動させることができる。車外システム90は、ディスプレイ及びアニマトロニクスなどの様々な物理的特徴を含むことができる。これらの装置の動作を、HMD92に提示される視覚化と連動させることができる。
【0034】
実際には、上述したように、モジュール式アトラクションシステム50が車載システム88及び車外システム90を連動させて、ユーザ14の乗り物体験を集合的かつ協調的に強化することができる。いくつかの実施形態では、車外システム90の全部又は一部を乗り物経路82沿いに配置することができる。例えば、乗り物車両84が乗り物経路82に沿って移動すると、モジュール式アトラクションシステム50は、車外システム90を介して、乗り物経路82沿いに配置された照明システム、サウンドシステム、アニマトロニクス、ディスプレイシステム又はこれらのいずれかの組み合わせを通じて提供される視覚媒体及び/又は聴覚媒体を連動させることができる。モジュール式アトラクションシステム50は、例えば車載システム88及び/又は車外システム90内のサーバ、ルータ、通信モジュール及びアンテナなどの通信装置などの通信システム32を利用して、ユーザ14に対する様々なショー特徴の提供を容易にすることができる。車載システム88及び車外システム90は、例えばネットワーク96を介して通信して、車上ショーイベントと車外ショーイベントとの間の連動を可能にすることができる。
【0035】
例えば、図示の実施形態では、車外システム90が、車載システム84と連動する車外システム90の特徴によって制御される自動化された小道具98を含む。具体的には、図示のように、アニメーション小道具98は、ダーツを発射する大砲である。大砲の動き、及び大砲がもたらす空気効果(例えば、衝撃波)、音及び/又は照明効果などを、道化師(ARオブジェクト94)のレンダリング及び表示と連動させることができる。例えば、車載システム88の動作と車外システム90の動作とを協調させることにより、大砲(自動化された小道具98)が道化師及び道化師の風船を追跡し、風船にダーツを命中させて破裂させ、道化師が地上に戻るように見せ掛けることができる。
【0036】
上述したように、図3には車載システム88が乗り物車両84上に配置されているように示しているが、車載システム88のコンポーネントは、乗り物車両84に対して様々な位置に配置(例えば、乗り物の少なくとも一部の最中に乗り物車両84と同一場所に配置されるように乗り物経路82沿いに配置)することができる。モジュール式アトラクションシステム50は、アトラクションに沿って移動しない固定乗り物車両を含むアトラクション及び/又は乗り物車両を含まないアトラクションを含む他のタイプのアトラクションと共に使用することもできる。
【0037】
この実施形態によれば、上述したように、車載システム88の特徴、車外システム90の特徴、又はこれらのいずれかの組み合わせは、保守及び技術的リフレッシュを容易に可能にするように設計することができる。例えば、最新技術では、道化師及びダーツなどのよりリアルなシミュレーションを可能にすることができる。図4図7に、リフレッシュ対応設計(refresh-ready designs)を達成するためのアーキテクチャ例を示す。
【0038】
図4は、モジュール式アトラクションシステム50の車載システム88の様々なコンポーネントのブロック図である。図示の実施形態では、車載システム88が、乗り物車両84上に配置された又は乗り物車両84と一体化された専用システムである。なお、車載システム88は、(図4に示すように)車載システム84の全てのコンポーネントが物理的に乗り物車両84上に配置されるように乗り物車両84と一体化することも、或いは車載システム88の少なくともいくつかのコンポーネントが物理的に乗り物車両84上に配置され、車載システム88の少なくともいくつかのコンポーネントが物理的に乗り物車両84から離れて配置される(例えば、乗り物車両84から物理的に分離される)ように乗り物車両84と一体化することもできると理解されたい。例えば、車載ゲームサーバ114を乗り物車両84から離して配置し、ネットワーク96を介して車載システム88の他のコンポーネントと通信して車上体験を促すようにすることができる。
【0039】
また、上述したように、アトラクションが乗り物車両を含まず、代わりにユーザが1又は2以上の表示機能(例えば、HMD)、スピーカ及び/又は触覚装置などの1又は2以上の対話型コンポーネントを装着又は携行してアトラクション内を歩き又は別様に移動することもできる。このようないくつかの例では、車載システム88のコンポーネントを全て(例えば、ユーザと共に動くように)ユーザが装着又は携行し、車外システム90のコンポーネントを全て(例えば、ユーザと共に動かないように)ユーザから離して配置することができる。しかしながら、これとは別に、又はこれに加えて、車載システム88は、ユーザと同一場所に配置されるコンポーネント(例えば、ユーザによって装着又は携行されず、遊園地アトラクションの少なくとも一部の最中にユーザに近接するコンポーネント)を含むこともできる。このようないくつかの例では、車載システムの少なくともいくつかのコンポーネントを、ユーザが辿る又は別様にユーザに近接する経路沿いの位置に配置することができ、これらの車載システム88のコンポーネントは、ユーザがこの経路沿いの位置又はその近くに存在する時に、ユーザが装着又は携行する車載システム88の他のコンポーネントと(例えば、無線ネットワークを介して)通信して車上体験を促すことができる。さらに、車載システム88のいくつかのコンポーネントをユーザ及び/又は乗り物車両84から離して配置することもできる。
【0040】
図4に示すように、車載システム88は、車載システム88の様々な特徴間の通信を管理するように、又は通信の管理を可能にするように構成された中央ネットワークスイッチ110(例えば、「車載」ネットワークスイッチ)を使用して確立されるローカルネットワークを含むことができる。スイッチ110は、ネットワーク通信装置112を介して車載システム88とネットワーク96との間の通信を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、スイッチ110及びネットワーク通信装置112を共に単一の装置(例えば、通信装置)に一体化することができる。一例として、スイッチ110は、ルータ又は同様の装置とすることができ、ネットワーク通信装置112は、モデム又は同様の装置とすることができる。なお、車載システム88は、車載システム88とネットワーク96との間の通信を可能にするいずれかの好適な(単複の)通信コンポーネントを含むことができると理解されたい。
【0041】
この実施形態によれば、ネットワーク通信装置112及びスイッチ110を分離することができるが、これらは標準的な通信プロトコル及びコネクタを利用して様々な装置との接続を容易にすることができる。図示の実施形態では、例えばスイッチ110が、例えば1又は2以上の通信バス、配線又は無線装置を通じた車載ゲームサーバ114、VSS116及び1又は2以上の車載ゲームシステム118との(車載システム88内部の)内部ネットワーク接続を有する。これらの特徴については、以下でさらに詳細に説明する。
【0042】
図示のように、車載ゲームサーバ114、車両ショースーパーバイザ(VSS)116、及び1又は2以上の車載ゲームシステム118は、乗り物車両84上の様々な装置に及び/又は互いに接続される。これらの接続は、1又は2以上の通信接続及び電力接続などを示すように意図される。さらに、いくつかのコンポーネントには1つのブロックしか使用していないが、このようなコンポーネントは複数の装置として存在することもでき、従って星印付きで示す。例えば、車載ゲームシステム118は単一のボックスとして示しているが、いくつかの実施形態では、この単一のボックスが、ユーザ14のうちの1人に対応する各位置(例えば、乗り物車両84の各座席)に冗長的に配置された一連の特徴(複数の車載ゲームシステム)を表すこともできる。ここでも、乗り物車両84の文脈では、いくつかの実施形態ではユーザ14が乗り物車両84の乗客を示すように意図される。他の冗長的に存在できる図示の特徴としては、追跡センサ120及びユーザインターフェイス122が挙げられる。
【0043】
1又は2以上の追跡システム124は、1又は2以上の追跡センサ120に接続された形で示されている。追跡システム124は、HMD92、ユーザ14、乗り物車両84又はこれらのいずれかの組み合わせの位置、場所、配向及び存在などを示す、追跡センサ120によって生成されたデータを処理するための、乗り物車両84上に配置された又は乗り物車両84と一体化された専用コンピュータ装置を含むことができる。追跡システム124は、様々な追跡装置と相互作用するように構成することができ、追跡センサ120からデータを受け取り、このデータを処理して車載ゲームサーバ114に追跡情報を提供するようにプログラムされる。実際に、追跡システム124は、追跡データの受信と、これに付随する車載システム88及び/又は車外システム99の様々な特徴による応答との間の待ち時間を最小化するように、車載ゲームサーバ114との直接ネットワーク接続を有することができる。さらに、車載システム88が追跡データを使用できる方法は必ずしもシステム内に存在する他のいずれの装置にも依存しないので、この直接接続は、技術的リフレッシュ及び保守を容易にすることができる。
【0044】
追跡センサ120は、配向及び位置センサ(例えば、加速度計、磁気探知機、ジャイロスコープ、全地球測位システム(GPS)受信機)、動き追跡センサ(例えば、電磁及び固体動き追跡センサ)、慣性計測装置(IMU)、及び存在センサなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、追跡センサ120をHMD92上に配置し又はHMD92と一体化し、従ってHMDの動き及び配向を表すデータを生成するように構成することができる。実際に、追跡システム124が受け取るデータは、各ユーザの注視方向、視野、視界、見ている関心及びゲームとの相互作用などを決定する上で有用となり得る。これに加えて、又はこれとは別に、追跡システム124は、追跡センサ120によって生成されたデータを使用して、以下に限定するわけではないが、乗り物車両84の位置、配向、速度、動きベクトル又はその他のパラメータを含む乗り物車両84の動作情報を追跡することもできる。
【0045】
上述したように、ユーザインターフェイス122は、各ユーザ14が自身の体験を一定レベルで制御できるようにユーザ14毎に存在することができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザインターフェイス122を乗り物車両84の各座席上又は乗客空間に配置し、又はこれらと一体化することができる。1又は2以上のユーザインターフェイス122は、ハンドヘルド型コントローラ、ジョイスティック、プッシュボタン及び運転ハンドルなどのアナログ及びデジタル装置を含むことができる。例えば、1又は2以上のユーザインターフェイス122は、車載ゲームシステム118の他の特徴を使用して、HDM92上に設定されたAR/VR環境において異なる動作及び/又は効果を適用できるように構成することができる。例えば、1又は2以上のユーザインターフェイス122は、AR/VR環境内でユーザ14がAR/VR特徴のキャラクタ又はオブジェクトに異なる方向(例えば、上、下、左、右)に影響を与えることを可能にすることができる。より具体的ではあるが非限定的な例として、1又は2以上のユーザインターフェイス122は、AR/VR環境内で乗客がAR/VR特徴のオブジェクトを選択又は把持/解放することを可能にすることもできる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザインターフェイス122が、乗り物車両84の速度及び/又は方向の変更などの、ユーザ14による乗り物車両84の動作の制御を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のユーザインターフェイス122が、ユーザ14への情報伝達を可能にする1又は2以上のディスプレイ画面及び/又はタッチ画面を含むこともできる。
【0046】
ユーザインターフェイス122は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができるVSS116に直接結合することができる。例えば、VSS116は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリに記憶された命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。VSS116は、図1に示すコントローラ28のうちの1つとみなすことができる。
【0047】
一般に、VSS116は、ユーザ入力に応答して、及びゲームロジックの実行などに起因して車載ゲームシステム118及び車外システム90によって与えられた命令に応答して、車載システム88の様々な動作を連動させるように構成することができる。図示の実施形態では、VSS116が、1又は2以上のユーザインターフェイス122及び1又は2以上の車載ゲームシステム118との間で情報をやりとりできるように、1又は2以上の車載ゲームシステム118及び1又は2以上のユーザインターフェイス122に通信可能に結合される。VSS116は、必要に応じて1又は2以上のユーザインターフェイス122及び1又は2以上の車載ゲームシステム118に電力を供給することもできる。
【0048】
非限定的な例として、VSS116は、車載ゲームシステム118に対して、電源オンコマンド、リセットコマンド、及び車載ゲームシステム118からの電力指示のための複数の電圧接続を有することができる。例えば、VSS116は、動作中に1又は2以上の車載ゲームシステム118のオン/オフ状態をリセット及び/又は変更する信号を送信することができる。VSS116とユーザインターフェイス122との間にも同様の接続が存在することができる。1又は2以上のユーザインターフェイス122が1又は2以上のディスプレイ画面及び/又はタッチ画面を含む実施形態では、VSS116が、装置の電力状態、装置のタイミング及び特定のコンテンツ(例えば、表示コンテンツ)などを制御することができる。他の車両ショー効果装置126がVSS116に接続して、VSS116による給電及び制御を受けることもできる。一例として、このような装置126は、車両のライト、乗り物車両84の自動装置、乗り物車両84の効果装置(例えば、空気砲、放水砲)などを含むことができる。
【0049】
上記で図示し説明したように、VSS116は、パワーサイクリング及び電力状態制御などを可能にするように、車載ゲームシステム118との1又は2以上の直接接続を有する。一方で、VSS116は、乗り物車両84の動きを担う他の装置を制御することもできる。例えば、VSS116は、ユーザインターフェイス122からの入力、並びに車載ゲームサーバ114から受け取られた他の乗り物車両84及び車外ショー要素などに関するデータに応答して、ステアリング機能(例えば、アクセル、車輪)を制御することができる。
【0050】
実際に、所与の乗り物アトラクションでは、それぞれが対応する装置の組を有する複数の乗り物車両84が存在することができる。これらの装置間の連動を容易にするために、また複数のユーザ14からの入力を使用して各ユーザの体験を更新できるという理由で、ユーザインターフェイス122からの入力は、個々のユーザに対応する車載ゲームシステム118に直接単純に提供するのではなく、代わりにVSS116とスイッチ110との間のローカルネットワーク接続を介してネットワーク96に提供することができる。上述したように、このような入力の提供は車載ゲームサーバ114によって制御することができる。このような実施形態では、各ユーザの入力が乗り物車両84のローカルネットワーク及びネットワーク96を介して連動して伝えられ、これにより個々の車載ゲームシステム118及びVSS116が入力を受け取る前に入力が処理されない(又は最低限しか処理されない)ため、待ち時間の短い高速通信が可能になる。なお、本明細書に開示するVSS116の能力の一部又は全部は、車載ゲームサーバ114などの車載システム88の別の処理コンポーネント(例えば、処理システム又はコンピュータシステム)に含めることもできると理解されたい。
【0051】
図4に示すアーキテクチャでは、それぞれが複数のユーザ入力装置122からの入力に従って制御される複数の車載ゲームシステム118が存在するので、他の入力装置122又は他の車載ゲームシステム118上で対応する動作を実行する必要なく、これらの車載ゲームシステム118に対して個別に容易な交換、保守及び更新を実行することができる。さらに、この種の接続及び通信スキームは、例えばユーザ入力に応答して車載ゲームシステム118によって実行されるグラフィカルレンダリング動作の待ち時間を低減することもできる。
【0052】
車載ゲームサーバ114は、上述した連動して制御されるデータ通信を可能にするために、乗り物車両84に関する情報をネットワーク96上で送受信する方法を連動させるようにプログラムされた専用コンピュータ装置(例えば、特別にプログラムされたコンピュータ装置)を含むことができる。すなわち、車載ゲームサーバ114は、ネットワーク96を介して車外システム90との間で送信されるデータ及び他の乗り物車両84に送信されるデータを含む、乗り物車両84のネットワークデータトラフィックを連動させることができる。この連動は、例えば情報階層(例えば、通信階層)に従って特定のデータタイプが他のデータタイプよりも優先されることを確実にするように行うことができる。車載ゲームサーバ114は、1又は2以上のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置を含むことができる。これに加えて、又はこれとは別に、車載ゲームサーバ114は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリに記憶された命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むこともできる。いくつかの実施形態では、車載ゲームサーバ114が、新たな、交換用の又は修理済みの装置の容易な統合を可能にするように標準的な通信ポートを含むこともできるとともに、適切な標準(例えば、専用の標準、IEEE標準)に従って通信するようにプログラムできるサーバコンピュータである。
【0053】
上述したように、一般に車載ゲームサーバ114は、車載システム88と車外システム90との間、及び車載システム88の様々なコンポーネント間の様々な情報の伝達を連動させるように構成することができる。具体的には、スイッチ110を介して様々な情報を転送することができる。また、上述したように、一般にスイッチ110は、ネットワーク(例えば、通信ネットワーク96及び乗り物車両84のローカルネットワーク)上でトラフィック誘導機能(traffic directing functions)を実行するように宛先ノード(例えば、車載システム88の様々な装置)又はコンピュータネットワークに情報(例えば、データパケット)を転送するルータ又はいずれかの好適なネットワーク装置である。一例として、車載ゲームサーバ114は、スイッチ110を介して1又は2以上の追跡システム124、1又は2以上の車載ゲームシステム118及びVSS116間で情報を導くことができる。
【0054】
また、車載ゲームサーバ114は、情報タイプ(例えば、情報優先度)に応じて情報の伝達を連動又は同期させるように構成することができる。一例として、車載ゲームサーバ114は、異なるタイプの情報の相対的優先度を決定し又は記憶しておき、これらの相対的優先度に基づいてこのような情報を伝達することができる。ある情報階層例では、乗り物80の動作に関する情報を第1のタイプの情報とし、ゲームの生成及び娯楽体験に関する情報を第2のタイプとすることなどができる。より具体的な例として、乗り物80の動作及び/又は安全性を保障する又はこれらに影響を与え得る情報が最も高い優先度を有し、ゲーム関連の通知又はゲーム関連情報を伝える情報が2番目に高い優先度を有することなどができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、車載ゲームサーバ114が、さらに低い優先度を有していると判定された他の情報を伝達する前に、最も高い優先度を有していると判定された情報を伝達することができる。例えば、実用的な意味で言えば、1つの乗り物車両84が停止していると確認された場合、この情報は、(例えば、残りの乗り物車両84の緊急停止を可能にするために)他の情報(例えば、ゲーム情報)が送信される前に他の乗り物車両84に伝達される。
【0056】
いくつかの実施形態では、車載ゲームサーバ114が、情報のタイプ及び相対的優先度、並びにネットワーク96の利用可能な帯域幅、ゲーム及び娯楽体験のタイミング、データパケットのサイズなどのその他の要因に基づいて情報を伝達することができる。従って、車載ゲームサーバ114は、様々な情報の伝達を効果的に連動又は同期させて、重要な情報の伝達を確実にすることができる。
【0057】
一般に、1又は2以上の車載ゲームシステム118は、HMD92及び/又はその他の装置(例えば、他の視覚体験生成器、スピーカ、触覚機能)を介してユーザ14にゲーム体験(例えば、AR/VR体験)を提供するように構成することができる。具体的には、乗り物車両84の各座席又は乗客空間が専用の車載ゲームシステム118を含むことができ、複数の車載ゲームシステム118が乗客による共有ゲーム(例えば、マルチプレーヤゲーム)への参加を可能にする。1又は2以上の車載ゲームシステム118については、乗り物車両84(又は複数の乗り物車両84)の1又は2以上の車載ゲームシステム118の実施形態の概略図である図5において詳細に説明する。
【0058】
図5に示すように、1又は2以上の車載ゲームシステム118は、ユーザ14のうちの1人にAR/VRグラフィックで強化されたゲーム体験を提供するように全体として構成された様々な特徴を含むことができる。具体的には、図5には、第1の車載ゲームシステム118A、第2の車載ゲームシステム118B、及び(例えば、乗り物車両84によって提供される利用可能な座席数及び対応する車載ゲームシステムに応じた)第nの車載ゲームシステム118Nを含む複数の車載ゲームシステム118を示す。本明細書では、第1の車載ゲームシステム118Aに関して特定のコンポーネントの説明を行うが、全ての車載ゲームシステム118に同様又は同一のコンポーネントが存在することができると理解されたい。さらに、本明細書で説明するコンポーネントは、図2に関して説明した方法に一致する形で車載ゲームシステム118に一体化することができる。なお、車載ゲームシステム118は、乗り物車両84の座席毎に設けないこともできると理解されたい。例えば、代わりに一群の座席(例えば、ユーザのチーム)又は乗り物車両84全体に対して1つの車載ゲームシステム118を提供し、複数のHMD92及び/又はその他のタイプの視覚体験生成器を介してAR/VR体験を提供することができる。別の例として、車載システム88は、乗り物車両84を含まないアトラクションで使用することもでき、このような事例では、各ユーザ又はユーザグループに対して車載ゲームシステム118を提供することができる。
【0059】
第1の車載ゲームシステム118Aは、適切なゲームロジックをプログラムされたゲームコンピュータ140を含み、図2に示すような高速保守、交換及び技術的リフレッシュを可能にする形で車載ゲームシステム118に一体化できる適切なレンダリングハードウェア及びソフトウェアを組み込むことができる。例えば、ゲームコンピュータ140は、グラフィカルレンダリング及びオーバレイに関連する機能を実行するように特別にプログラムされた処理回路142及びメモリ回路144を含むことができる。例えば、ゲームコンピュータ140は、1又は2以上のグラフィックカードを含むことができる。
【0060】
一例として、処理回路142及びメモリ回路144はゲームロジックを含むことができ、例えば記憶された実際の環境のマップ、動きプロファイル情報、及びHMD92を介した実空間内の仮想物体の配置の段階形状(stage geometry)に基づいて、実際の乗り物車両84のシミュレーションを実行することができる。各ゲームコンピュータ140は、車載ゲームシステム118毎にこれらの機能を実行することも、或いは車載ゲームシステム118の異なるゲームコンピュータ140間で特定の機能を共有することもできる。例えば、第1の車載ゲームシステム118Aのゲームコンピュータ140は、コンテンツをレンダリングして第1のユーザの行動に対応するシミュレーションを実行することができ、第2の車載ゲームシステム118Bのゲームコンピュータ140は、コンテンツをレンダリングして第2のユーザの行動に対応するシミュレーションを実行することができる。いくつかの実施形態では、車載ゲームシステム118全体にわたってこれらのレンダリング及びシミュレーションを伝達して計算時間を短縮することができる。一方で、いくつかの実施形態では、上述したように、車載ゲームサーバ114が、未処理の又は最低限しか処理されていないデータを全ての車載ゲームシステム118に伝達して入力待ち時間を短縮することができる。さらに、いくつかの実施形態では、ゲームコンピュータ140が、直接メモリアクセス能力などの、情報共有を可能にするさらに高度なプログラミング及び通信を有することもできる。
【0061】
ゲームコンピュータ140は、通信及び電力導体(例えば、有線)を通じてHMD92に通信可能に結合される。例えば、HMD92は、基本的にゲームコンピュータ140に対応するディスプレイとみなすことができる。ゲームコンピュータ140は、HMD92に電力及び通信を供給できるので、HMD92は、コンテンツをレンダリングするために必ずしもローカルな電源又はローカルな処理回路を必要としない。ゲームコンピュータ140とHMD92との間の接続は、いずれかの適切な通信及び電力標準に従って行うことができる。例えば、ゲームコンピュータ140は、いずれかの適切なユニバーサルシリアルバス(USB)標準、いずれかの適切な高精細マルチメディアインターフェイス(HDMI)標準、又はその他の通信、電力及び/又は接続標準、或いはこれらのいずれかの組み合わせを使用して、HDM92に電力及び/又はビデオを供給することができる。いくつかの実施形態では、HDM92を乗り物車両84に連結することができ、HDM92と乗り物車両84上及び/又は乗り物車両84内に配置されたゲームコンピュータ140との間に1又は2以上の中間インターフェイスが存在することができる。このような構成は、例えば乗り物車両84の休止期間を最低限又はゼロに抑えてHDM92に対するメンテナンス(例えば、異なるユーザ14によって使用される合間の清掃)の実行を可能にするために望ましいと考えられる。
【0062】
一般に、HMD92は、ゲームコンピュータ140によってレンダリングされるAR/VR環境を表示するように構成することができる。具体的には、HDM92は、AR/VR特徴の投影及び/又はオーバレイを可能にするように構成された1又は2以上のディスプレイを含むことができる電子眼鏡を含むことができる。HDM92は、加速度計、磁気探知機、ジャイロスコープ、GPS受信機、動き追跡センサ、電磁及び固体動き追跡センサ、IMU及び存在センサなどの配向及び/又は位置センサを含むこともできる。実際に、いくつかの実施形態では、HDM92が、図4に示す追跡センサ120を組み込むことができる。この実施形態によれば、HDM92は、AR/VRグラフィックを1又は2以上のディスプレイ上に表示できるように表示信号を受け取ることができる。
【0063】
ゲームコンピュータ140は、ユーザ14に関連する情報を識別したことに従ってコンテンツをレンダリングすることもできる。例えば、図示のゲームコンピュータ140は、識別システム146に通信可能に結合される。一般に、識別システム146は、ユーザ14に関連する装置(例えば、パーソナル電子装置又はウェアラブルなど)からのユーザ14に関する識別情報を読み取るように構成される。例えば、識別システム146は、それぞれのユーザ14の識別を特定する無線周波数識別(RFID)技術、近距離通信(NFC)技術、又は他のいずれかの好適な識別技術を含むことができる。例えば、識別システム146は、それぞれのユーザ14が携行するRFIDタグを読み取って、例えばユーザ14のチーム団体(例えば、「家畜」チーム対「道化師」チーム)などのユーザ14に関連する何らかの側面を特定できるRFIDリーダを含むことができる。いくつかの実施形態では、ゲームコンピュータ140が、識別システム146によって検出された情報を使用して、ユーザの情報に関連するコンテンツをレンダリングすることによって、個人向けのゲーム体験を生成することができる。例えば、ユーザ14が道化師チームに所属する場合には、道化師のテーマ(例えば、風船、綿菓子など)に従ってコンテンツをレンダリングすることができる。
【0064】
乗り物車両84は、より没入的な体験を提供するためにオーディオ出力を含むこともできる。図示の実施形態では、第1の車載ゲームシステム118Aが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)148と、1又は2以上のオーディオ装置150とを含む。オーディオは、例えば各ユーザ14に固有のヘッドフォン、及び各ユーザ14の頭部に近接するスピーカなどとして、各ユーザ14に専用の形で提供することができる。これに加えて、又はこれとは別に、乗り物車両84全体にオーディオを提供する一方で乗り物車両84の各スピーカに専用信号を提供してサラウンドサウンド効果などを提供することもできる。この点、DSP148は、ゲームコンピュータ140からの命令に基づいてデジタル信号処理を実行してオーディオ効果を生成し、1又は2以上のオーディオ装置150にオーディオ信号を出力するように構成された、対応する処理回路を含むことができる。乗り物車両84全体でオーディオ出力を共有する実施形態では、乗り物車両84毎に1つのDSP148が存在することができ、従ってこの乗り物車両84上の全てのゲームコンピュータ140が同じデジタルシグナルプロセッサ148に入力を提供することができる。
【0065】
いくつかの実施形態の実施では、ゲームコンピュータ140が様々なソースから入力を受け取ることができるが、これらの入力は、一般に識別システム146からのものでない限り、又は電力信号でない限り、スイッチ110及び車載ゲームサーバ114(例えば、図4を参照)から伝えられる。ゲームコンピュータ140は、これらの入力に基づいて、HMD92を使用して表示すべきグラフィックを処理してレンダリングすることができる。ゲームコンピュータ140は、グラフィックのレンダリングに呼応してDSP148にオーディオ情報を提供し、DSP148が1又は2以上のオーディオ装置150のオーディオ信号を生成することを可能にすることができる。入力は、それぞれのユーザ14のAR/VR体験を生成する上で有用な情報などの、車載ゲームサーバ114を介して伝達される情報を含むことができる。入力は、以下に限定するわけではないが、ユーザの位置、配向、焦点距離、視線方向、視野、動き又はこれらのいずれかの組み合わせに関する、又はこれらを示す情報を含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、入力は、以下に限定するわけではないが、乗り物車両の位置、配向、動きベクトル、速度又はこれらのいずれかの組み合わせに関する、又はこれらを示す情報を含むこともできる。
【0066】
これとは別に、又はこれに加えて、入力は、以下に限定するわけではないが、乗客のユーザ情報(例えば、支払い情報、会員情報などの、ユーザ/乗客が提供又は許可したいずれかの好適な情報)、個人情報(例えば、年齢、身長、特殊なニーズなど)、ゲーム情報(例えば、テーマアトラクションに関連するAR/VRゲームに関する情報、AR/VRゲーム内でユーザ/乗客が関連付けられた特定のキャラクタに関する情報、ユーザのゲーム履歴に関する情報)、又はこれらのいずれかの組み合わせに関する、又はこれらを示す情報を含むこともできる。理解されるように、識別システム146によって検出される情報は、ユーザ情報、個人情報、ゲーム情報又はこれらのいずれかの組み合わせを示すデータに対応する特定の入力部分にゲームコンピュータ140がそれぞれのユーザ14を結び付ける又は関連付けることを可能にすることができる。
【0067】
さらに、入力は、以下に限定するわけではないが、ハンドヘルド型コントローラ、ジョイスティック、プッシュボタン、或いは1又は2以上のユーザインターフェイス122のこれらのいずれかの組み合わせの操作などの、ユーザとAR/VR特徴との関与又は相互作用に関する、又はこれらを示す情報を含むこともできる。従って、ゲームコンピュータ140は、ユーザ14が適用する動作(例えば、水流の発射、AR又はVRオブジェクトの把持などのAR/VR環境内での動作)に対応するAR/VR特徴を生成することができる。入力は、以下に限定するわけではないが、共有ゲーム(例えば、複数のプレーヤを有するゲーム)におけるユーザの関与に関する、又はこれを示す情報を含むこともできる。従って、共有ゲームに関与する車載ゲームシステム118のゲームコンピュータ140は、同じゲームに参加しているユーザ14がそのHMD92上で同じAR/VR特徴を見ることができるように、AR/VR特徴の生成及びレンダリングを連動させることができる。
【0068】
図6は、乗り物車両84に一体化された車載システム88の様々なコンポーネントの例を示す乗り物車両84の実施形態の斜視図である。上述したように、いくつかの実施形態では、車載システム88のいくつかのコンポーネントを乗り物車両84から離して配置することができる。図示の実施形態では、乗り物車両84が、前部152A、後部152B、側部152C及び底部152Dを含む本体152又はフレームを有することができ、これらの全部又は一部にアクセスパネル153を固定することができる。例えば、アクセスパネル153は、本体152の表面内に形成することができる。この実施形態によれば、アクセスパネル153を使用して、乗り物車両84の機械的特徴及び/又は車載システム88の特徴に容易にアクセスすることができる。
【0069】
乗り物車両84の1又は2以上の座席又は乗客空間154(例えば、4つの座席)は、1又は2以上の乗客(ユーザ14)を収容するように構成される。乗り物車両84は、1又は2以上の座席154の前方に、ユーザインターフェイス122、HMD92などの様々な特徴にユーザ14がアクセスすることを可能にする1又は2以上のフロントパネル156を含むことができる。実際には、車載システム88の様々なコンポーネントの少なくとも一部は、後述するような配置で乗り物車両84に一体化し、及び/又は乗り物車両84上に配置することができる。しかしながら、このような配置は一例として示すものであり、他の実施形態では、少なくとも乗り物車両84の構成に応じて配置が変化することもある。
【0070】
図示の例では、車載ゲームサーバ114が、本体152の前部152Aに存在することができる。車載ゲームシステム118又はそのそれぞれの特徴のいくつかは、それぞれの座席154の使用可能な近傍に存在することができる。1つの特定の例として、車載ゲームシステム118のHMD92は、ケーブル又はワイヤを介してフロントパネル156に連結することができる。車載ゲームシステム118の識別システム146及びオーディオ装置150も、フロントパネル156に配置又は一体化することができる。
【0071】
各ゲームコンピュータ140は、例えば座席154のそれぞれの座席内又はその下方の空間又は区画内に配置することができる。ユーザインターフェイス122は、それぞれのフロントパネル156と一体化し、及び/又はそれぞれの座席154に隣接することができる。上述したように、各座席154は、専用HMD92、識別システム146、オーディオ装置150、ゲームコンピュータ140、及びユーザインターフェイス122を有する。追跡システム124は、乗り物車両84の機能に適した位置に配置又は一体化することができる。例えば、追跡システム124のセンサ120の一部(例えば、加速度計、GPS受信機、存在センサ、動き追跡センサ)を本体152の前部152Aに配置して、センサ120の一部(例えば、IMU、ジャイロスコープ)をHDM92に配置又は一体化することができる。なお、一般に車載システム88の様々なコンポーネントは、交換、修正、保守、アップグレードなどのためにアクセスパネル153を介してこれらのコンポーネントに容易にアクセスできるように乗り物車両84に一体化される。
【0072】
上述したように、乗り物車両84の車載システム88は、ネットワーク96を介して車外システム90と通信する。上述したように、車外システム90は、一般に車載ゲームシステム118によって生成されたAR及び/又はVRグラフィックを補完するように設計された様々な装置を含むことができる。
【0073】
図7は、モジュール式アトラクションシステム50の車外システム90の実施形態のブロック図である。図示の実施形態では、車外システム90を乗り物経路82に近接して又は沿って配置することができる。車外システム90は、車載システム88に関して説明したものと同様の役割を実行するいくつかの特徴を含むことができる。例えば、車外システム90は、ネットワーク96との接続を確立して車外システムコンポーネント間のローカルネットワークを確立するネットワーク通信装置160(例えば、モデム)及びスイッチ162(例えば、ルータ)を含むことができる。なお、車外システム90は、車外システム90とネットワーク96との間の通信を可能にするいずれかの好適な(単複の)通信コンポーネントを含むことができると理解されたい。車外システム90の様々なコンポーネント間の接続は、WLAN、WWAN及びNFCなどの有線及び/又は無線通信ネットワークを含むことができる。
【0074】
図示のように、スイッチ162は、車外ゲームサーバ164、1又は2以上の車外ゲームシステム166、及び乗り物ショースーパーバイザ(RSS)168に直接接続される。星印によって示すように、車外ゲームシステム166は1つだけ存在することも、又は複数の異なるものが存在することもできる。
【0075】
RSS168は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができる。RSS168は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリに記憶された命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。一般に、RSS168は、1又は2以上の照明システム170、1又は2以上のアニマトロニクス172又はその他の小道具を使用して車外娯楽体験を連動させるように構成することができる。具体的には、RSS168は、1又は2以上の照明システム170及び1又は2以上のアニマトロニクス172に通信可能に結合してこれらの動作を制御又は調整することができる。例えば、RSS168は、1又は2以上の照明システム170の強度、入射角、オン/オフ状態、色及びその他の効果を制御することができる。RSS168は、1又は2以上のアニマトロニクス172又はその他の小道具の動き、オン/オフ状態及びその他の動作(例えば、音響効果、照明効果)を制御することができる。いくつかの実施形態では、RSS168が、車載システム88によってレンダリングされるAR/VR体験に基づいて、又は車外システム90の他の要素と協調して、1又は2以上の照明システム170及び1又は2以上のアニマトロニクス72の動作を制御又は調整することができる。
【0076】
1又は2以上の照明システム170は、天井照明、ランプ、壁照明及び外部照明などの様々な照明を含むことができる。1又は2以上のアニマトロニクス172は、いくつかの実物そっくりの動きを模倣する様々なロボット装置を含むことができる。さらに、具体的には示していないが、RSS168は、スイッチ162を介して受け取られた信号に応答して、例えば車載システム88の動作と協調して、自動ショー効果などの他の小道具を制御することができる。
【0077】
1又は2以上の車外ゲームシステム166は、図4に関して説明した車載ゲームシステム118と同様の構成を有することができる。例えば、1又は2以上の車外ゲームシステム166の各々は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されて命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。1又は2以上の車外ゲームシステム166は、一般に1又は2以上のメディアシステム174を使用して乗客に娯楽体験を提供して連動させるように構成することができる。具体的には、1又は2以上の車外ゲームシステム166は、(例えば、高精細マルチメディアインターフェイス(HMDI)を介して)メディアシステム174にオーディオ/ビデオデータを送信することができ、メディアシステム174は、乗り物経路82沿いに配置された1又は2以上のディスプレイ装置(例えば、投写型ディスプレイ装置、デジタルディスプレイ装置)及び1又は2以上のサウンド装置(例えば、スピーカ)を介してオーディオ/ビデオデータを提示することができる。1又は2以上の車外ゲームシステム166は、オーディオ/ビデオコンテンツが連動/同期したタイミング又はスケジュールで異なるメディアシステム174上に表示されるように、オーディオ/ビデオデータの送信を連動させ、及び/又は1又は2以上のメディアシステム174の動作を制御することができる。
【0078】
車外ゲームサーバ164は、特別にプログラムされたサーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、又はその他の好適な制御装置とすることができる。車外ゲームサーバ164は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリに記憶された命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。車外ゲームサーバ164は、一般に車外システム90の様々なコンポーネント間の、及びネットワーク96を介した車載システム88と車外システム90との間の様々な情報の伝達を連動させるように構成することができる。
【0079】
具体的には、スイッチ162を介して車外システム90の様々なコンポーネントに様々な情報を転送することができる。一般に、スイッチ162は、ネットワーク上でトラフィック誘導機能を実行するように宛先ノード又はコンピュータネットワークに情報(例えば、データパケット)を転送するルータ又はいずれかの好適なネットワーク装置である。一例として、車外ゲームサーバ164は、スイッチ162を介してRSS168と1又は2以上の車外ゲームシステム166との間で情報を導くことができる。
【0080】
また、車外ゲームサーバ164は、車載ゲームサーバ114と同様に情報タイプ及び/又は優先度に応じて情報の伝達を連動又は同期させるように構成することができる。従って、車外ゲームサーバ164は、通信を効果的に連動又は同期させて、重要な情報の伝達を確実にすることができる。
【0081】
図8は、モジュール式アトラクションシステム50において使用できる車載システム88及び車外システム90の実施形態のブロック図である。図示のように、車載システム88は、車載ゲームサーバ114及び車載ゲームシステム118を含む。車載システム88は、VSS116及び車両ショー効果126、並びに車両制御スーパーバイザ(VCS)200、車両コントローラ/モータ202(例えば、ステアリングコントローラ、モータ)及び車両センサ204も含む。車両センサ204は、図4に関して説明した追跡センサ120の一例とすることができる。車載システム88は、例えば他のタイプの図4の追跡センサ120、追跡システム124及び/又はユーザインターフェイス122などの他の特徴を含むことができる。
【0082】
VCS200は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができる。例えば、VCS200は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリに記憶された命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。VCS200は、車載システム88の他のコンポーネント及び車外システム90によって提供された情報及び/又は命令に応答して、乗り物車両84の様々な動作及び動きを連動させるように構成することができる。具体的には、VCS200は、車両センサ204からの(例えば、乗り物車両84の位置、配向、速度、動きベクトル又はその他のパラメータを示す)信号、(例えば、接続点206を介した)車載型サーバ114からのゲーム情報、及び/又は他の乗り物車両84、車外ショー効果208(例えば、照明システム170、アニマトロニクス172)に関する他の情報を受け取ることができる。その後、VCS200は、受け取った信号及び情報に基づいて、車両コントローラ/モータ202に乗り物車両84の動き(例えば、軌道に沿った前進動作及び/又は後退動作)を制御するように命令する信号を送信することができる。図示の実施形態では、VSS116とVCS200との間で情報を交換できるように、VCS200がVSS116にも通信可能に結合される。このようにして、VCS200及びVSS116は、例えば車両ショー効果126と乗り物車両の動きとを連動させることができる。図示のように、車両センサ204からの信号を車載ゲームサーバ114に提供することにより、車載ゲームシステム118を介して再生されるゲームなどの他の効果又はイベントと乗り物車両84の動きとを車載ゲームサーバ114が連動させることを可能にすることもできる。
【0083】
図示の実施形態では、車外システム90が、車外ゲームサーバ164、車外ゲームシステム166及びメディアシステム174を含む。車外システム90は、RSS168、車外ショー効果208及び乗り物制御スーパーバイザ(RCS)210も含む。RCS210は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができる。RCS210は、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されてメモリに記憶された命令を実行するプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。RCS210は、例えば車載システム88のコンポーネント及び/又は車外システム90の他のコンポーネントによって提供された情報及び/又は命令に応答して、アトラクション内の(例えば、乗り物経路82に沿った)複数の異なる乗り物車両の様々な動作及び動きを連動させるように構成することができる。
【0084】
車載システム88及び車外システム90の様々なコンポーネントは、様々な通信接続及び電力接続などを表す接続点206によって示すように互いに接続することができる。例えば、通信接続の一部は、本明細書で図4及び図7に関して説明したスイッチ110、ネットワーク通信装置112、スイッチ162及び/又はネットワーク通信装置160を介して達成することができる。一般に、接続点206は、モジュール式アトラクションシステム50の様々なコンポーネントのいずれかが互いに通信できるようにするネットワーク及び関連する特徴を含むことができる(例えば、RSS168及びVSS116は、接続点206を介して通信することができる)。図8(及び他の図)には、モジュール式アトラクションシステム50の様々なコンポーネント間に(双方向通信を示すことができる接続線及び片方向通信を示すことができる矢印を介して)いくつかの接続を示しているが、本明細書で図示し説明したコンポーネントは、様々な方法のうちのいずれかで接続することができると理解されたい(例えば、図示のいくつかの接続を除去し、及び/又は他のいくつかの接続を追加することもでき、片方向接続を双方向接続とすることもでき、逆もまた同様である)。さらに、図8(及び他の図)にはいくつかのコンポーネントを示しているが、図示のコンポーネントの一部を除去し、及び/又は他のいくつかのコンポーネントを追加することもできると理解されたい。本明細書で説明した処理機能は、他の様々な方法でコンポーネント間で分割又は分散させることもできる(例えば、VSS116の一部の機能を車載ゲームサーバ114が実行することもできる)。
【0085】
なお、モジュール式アトラクションシステム50は、車載システム88及び車外システム90を含み、これらの各々は独自の個々に異なる機能を有することができる。これらの機能を組み合わせた場合、これらを使用してゲーム効果及びその他の娯楽を提供して全体的な体験を提供し、乗り物体験を強化することができる。さらに、車載システム88及び車外システム90の各々には、車載システム88及び車外システム90の様々な部分/コンポーネントがそれぞれ個々に異なる機能を有するようにモジュール性が組み込まれる。これらの機能は、全てモジュール式アトラクションシステム50によって連携して協調的に制御され調整される一方で、個々の異なる機能を柔軟に再設計することもできる。従って、全体的な乗り物体験の技術(例えば、設計、修正、アップグレード、保守、交換など)は、モジュール式アトラクションシステム50の特徴から恩恵を受けることができる。具体的に言えば、これらの技術的効果は、以下に限定するわけではないが、柔軟性(スケーラビリティ、アップグレードの可能性、交換の可能性、保守の利便性、展開の迅速性など)、費用対効果(例えば、単純な計画及び技術)、及び予測可能性(例えば、試験及び検証が容易な設計)を含むことができる。
【0086】
本明細書では、本実施形態のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。さらに、開示した実施形態のいくつかの要素は、互いに組み合わせ、又は入れ換えることもできると理解されたい。
【符号の説明】
【0087】
50 モジュール式アトラクションシステム
88 車載システム
90 車外システム
114 車載ゲームサーバ
116 車両ショースーパーバイザ(VSS)
118 車載ゲームシステム
126 車両ショー効果
164 車外ゲームサーバ
166 車外ゲームシステム
168 乗り物ショースーパーバイザ(RSS)
174 メディアシステム
200 車両制御スーパーバイザ(VCS)
202 車両モータ/コントローラ
204 乗り物車両センサ
206 車上/車外接続点
208 車外ショー効果
210 乗り物制御スーパーバイザ(RCS)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8