(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】プラズマにより反射される電気出力を判定する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
H05H1/46 R
(21)【出願番号】P 2021514475
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2019062065
(87)【国際公開番号】W WO2019219537
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】102018111562.8
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505169226
【氏名又は名称】トゥルンプフ ヒュッティンガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Huettinger GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Boetzinger Strasse 80,D-79111 Freiburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ボック、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャナキ プレムクマー、サイ ガウタム
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-125729(JP,A)
【文献】特開2012-185922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ(P)により反射される電気出力を判定する装置(100;100a;100b)であって、第1の周波数(f1)を有する第1の高周波出力信号(LS1)と、少なくとも1つの第2の周波数(f2)を有する少なくとも1つの第2の高周波出力信号(LS2)とを前記プラズマ(P)に印加可能であり、前記第2の周波数(f2)は前記第1の周波数(f1)よりも低く、
前記第1の周波数(f1)の領域で前記プラズマ(P)により反射される出力を特徴づける第1の量(G1)を判定(500)し
、
第1の周波
数領域で前記プラズマ(P)により反射される出力を特徴づける第2の量(G2)を判定(502)し、ここで、前記第1の周波
数領域は、前記第1の周波数(f1)と、前記第2の周波数(f2)の整数倍との設定可能な数の周波数和(fs_1、fs_2、fs_3)及び/又は周波数差(fd_1、fd_2、fd_3)を有し、
かつ前記第1の周波数(f1)の領域を含んでおらず、
前記第1の周波数(f1)で前記プラズマ(P)により反射される出力と前記第1の周波
数領域でプラズマ(P)により反射される出力との間で区別をするように構成され、
制御のために前記第1の量(G1)と前記第2の量(G2)とがゼロに等しくないそれぞれ相違する重みづけ係数をもって制御に取り込まれる、高周波発生器(200;400;400a)を制御するための装置(100;100a;100b)。
【請求項2】
前記周波数和(fs_1、fs_2、fs_3)は式fs_n=f1+n*f2に依存して判定可能であり、且つ/又は前記周波数差(fd_1、fd_2、fd_3)は式fd_n=f1-n*f2に依存して判定可能であり、ここでfs_nはn番目の周波数和であり、f1は第1の周波数(f1)であり、nはゼロよりも大きい自然数であり、「*」は乗算演算子であり、f2は第2の周波数(f2)であり、fd_nはn番目の周波数差である、請求項1に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項3】
前記第1の周波数(f1)は約10MHz~約190MHzである、請求項1又は2に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項4】
前記第2の周波数(f2)は約10kHz~約2.3MHzである、請求項1~3の何れか1項に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項5】
前記装置(100;100a;100b)は、第1の高周波出力信号(LS1)を提供する第1の高周波発生器(200;400)へと前記プラズマ(P)により反射される電圧波(Ur)を特徴づける第1の信号(s1)に依存して前記第1の量(G1)及び/又は前記第2の量(G2)を判定するために構成される、請求項1~4の何れか1項に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項6】
前記装置(100;100a;100b)は、前記第1の信号(s1)又はこれから導き出される信号(s1′s1″)を第2の信号(s2)への下方変換によって変換するために構成され、前記第2の信号(s2)はベースバンド信号である、請求項5に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項7】
前記装置(100;100a;100b)は、前記第2の信号(s2)を得るために、前記第1の信号(s1)又はこれから導き出される信号(s1′s1″)を局部発振器信号(LO)と混合するために構成される、請求項6に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項8】
前記装置(100;100a;100b)は、第1の限界周波数を有する少なくとも1つの第1のローパスフィルタリングによって前記第2の信号(s2)から第3の信号(s3)を導き出すために構成され、前記装置(100;100a;100b)は前記第3の信号(s3)に依存して前記第1の量(G1)を判定するために構成される、請求項6又は請求項7に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項9】
前記第1の限界周波数は前記第2の周波数(f2)よりも低いか、又はこれにほぼ等しく、好ましくは前記第2の周波数(f2)よりも低い、請求項8に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項10】
前記装置(100;100a;100b)は、第2の限界周波数を有する第2のローパスフィルタリングによって前記第2の信号(s2)から第4の信号(s4)を導き出すために構成され、前記装置(100;100a;100b)は前記第4の信号(s4)と前記第1の量(G1)とに依存して前記第2の量(G2)を判定するために構成された、請求項6~9の何れか1項に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項11】
前記装置(100;100a;100b)は、a)前記第1の量(G1)と前記第2の量(G2)の和として、及び/又はb)第4の信号(s4)に依存して、第3の量(G3)を判定(510)するために構成された、請求項1~10の何れか1項に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項12】
前記装置(100;100a;100b)は、前記第1の量(G1)と前記第3の量(G3)とに依存して、前記第1の量(G1)と前記第3の量(G3)との重みづけされた和として、第4の量(G4)を判定するために構成され、前記第1の量(G1)に第1の重みづけ係数(a)が割り当てられ、前記第3の量(G3)に第2の重みづけ係数(b)が割り当てられる、請求項11に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項13】
前記装置(100;100a;100b)は前記プラズマ(P)のインピーダンスを判定するために構成され、前記プラズマ(P)のインピーダンスの時間的推移を判定するために構成される、請求項1~12の何れか1項に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項14】
前記装置(100;100a;100b)は、第4の量(G4)及び/又は第5の量(G5)を前記プラズマ(P)のインピーダンスに追加的に依存して判定するために構成される、請求項12又は請求項13に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項15】
前記装置(100;100a;100b)は、次の各量、前記第1の量(G1)、前記第2の量(G2)、第3の量(G3)、第4の量(G4)、第5の量(G5)のうち少なくとも1つを外部のユニット(200;400;400a)に出力(520)し、及び/又は表示装置(110;1040)を通じて出力(520)するために構成される、請求項1~14の何れか1項に記載の装置(100;100a;100b)。
【請求項16】
プラズマ(P)により反射される電気出力を判定する装置(100;100a;100b)を作動させる方法において、第1の周波数(f1)を有する第1の高周波出力信号(LS1)と、少なくとも1つの第2の周波数(f2)を有する少なくとも1つの第2の高周波出力信号(LS2)とを前記プラズマ(P)に印加可能であり、前記第2の周波数(f2)は前記第1の周波数(f1)よりも低く、
前記装置(100;100a;100b)は、
前記第1の周波数(f1)の領域で前記プラズマ(P)により反射される出力を特徴づける第1の量(G1)を判定(500)し
、
第1の周波
数領域でプラズマ(P)により反射される出力を特徴づける第2の量(G2)を判定(502)し、ここで、前記第1の周波
数領域は、前記第1の周波数(f1)と、前記第2の周波数(f2)の整数倍との設定可能な数の周波数和(fs_1、fs_2、fs_3)及び/又は周波数差(fd_1、fd_2、fd_3)を有し、
かつ前記第1の周波数(f1)の領域を含んでおらず、
前記第1の周波数(f1)で前記プラズマ(P)により反射される出力と前記第1の周波
数領域で前記プラズマ(P)により反射される出力との間で区別をすることができ、
制御のために前記第1の量(G1)と前記第2の量(G2)とがゼロに等しくないそれぞれ相違する重みづけ係数をもって制御に取り込まれる、高周波発生器(200;400;400a)を制御するための方法。
【請求項17】
請求項1~請求項15の何れか1項に記載の少なくとも1つの装置(100;100a;100b)を有し、第1の周波数(f1)を有する少なくとも1つの第1の高周波出力信号(LS1)を生成するための高周波発生器(200;400;400a)。
【請求項18】
前記高周波発生器(200;400;400a)は、次の各量、前記第1の量(G1)、前記第2の量(G2)、第3の量(G3)、第4の量(G4)、第5の量(G5)のうち少なくとも2つに依存して第1の制御器(402)によって前記第1の高周波出力信号(LS1)の生成を制御するために構成される、請求項17に記載の高周波発生器(200;400;400a)。
【請求項19】
前記高周波発生器(200;400;400a)は次の各量、前記第1の量(G1)、前記第2の量(G2)、前記第3の量(G3)、前記第4の量(G4)、前記第5の量(G5)のうち少なくとも1つについて第1の制御チャネルを有し、次の各量、前記第1の量(G1)、前記第2の量(G2)、前記第3の量(G3)、前記第4の量(G4)、前記第5の量(G5)のうち少なくとも1つの別の量について第2の制御チャネルを有する、請求項18に記載の高周波発生器(200;400;400a)。
【請求項20】
前記第1の量(G1)と前記第2の量(G2)とを表示装置及び/又は機械可読のインターフェースへ両方の前記量(G1、G2)の区別可能な表示及び/又は処理のために伝送するための、請求項1から請求項15のうち少なくとも1項に記載の装置(100;100a;100b)及び/又は請求項16に記載の方法の利用法。
【請求項21】
制御のために前記第1の量(G1)と前記第2の量(G2)とがそれぞれ相違する重みづけ係数をもって、前記第1の量(G1)が前記第2の量(G2)よりも数値的に大きい重みづけ係数をもって、制御に取り込まれる、インピーダンス整合装置を、整合ネットワーク(220)を制御するための、請求項1から請求項15のうち少なくとも1項に記載の装置(100;100a;100b)及び/又は請求項16、請求項20に記載の方法の利用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、プラズマにより反射される電気出力を判定する装置に関するものであり、第1の周波数を有する第1の高周波出力信号と、少なくとも1つの第2の周波数を有する少なくとも1つの第2の高周波出力信号とをプラズマに印加可能であり、第2の周波数は第1の周波数よりも低い。
【0002】
さらにこの開示は、プラズマにより反射される電気出力を判定する対応する方法、ないしは対応する装置の作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
たとえば半導体製造でエッチングプロセスのために利用可能である従来のプラズマシステムに、相応の高周波発生器によって、さまざまに異なる周波数の高周波エネルギーを供給することが知られている(「マルチ周波数システム」ないし「マルチ周波数プラズマシステム」)。たとえばこのようなマルチ周波数システムに、第1の従来の高周波発生器によって、冒頭に挙げた第1の周波数の第1の高周波出力信号を供給可能であるとともに、第2の従来の高周波発生によって、第2の周波数の第2の高周波出力信号を供給可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなマルチ周波数システムの動作のために第1及び第2の高周波出力信号を提供する従来の高周波発生器は、通常、マルチ周波数システムでの動作に合わせて最適化されてはいない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
好ましい実施形態は、冒頭に挙げた種類の装置に関するものであり、この装置は、第1の周波数の領域でプラズマにより反射される出力を特徴づける第1の量を判定し、第1の周波数領域でプラズマにより反射される出力を特徴づける第2の量とを判定するために構成され、第1の周波数領域は、第1の周波数と、第2の周波数との整数倍との設定可能な数の周波数差及び/又は周波数和を有する。ここで「プラズマにより反射される出力」とは、第1の発生器からプラズマに供給され、これによりたとえば不整合のために反射され、そのようにして本装置に到達する出力成分だけでなく、第2の発生器からプラズマに供給され、プラズマで第1の信号とともに混合生成物をなすように案内されて、プラズマにより本装置へと案内される出力成分も意味され得る。
【0006】
このとき本装置は、特に、第1の周波数の領域でプラズマにより反射される出力と、上記の第1の周波数領域でプラズマにより反射される出力との間で区別をすることができる。
【0007】
出願人の実験によれば、マルチ周波数システムではとりわけ非線形性(たとえば飽和効果)によって、プラズマへ投入される異なる周波数の高周波出力信号からなる混合生成物がプラズマに生じ、混合生成物は、たとえば第1の高周波出力信号を第1の周波数で提供する高周波発生器が、これにより提供される第1の周波数に合わせて理想的なインピーダンス整合ないし出力整合がなされている場合であっても、第1の高周波発生器にとっては「反射される出力」となる。上記の混合生成物は、異なる周波数の両方の高周波出力信号の相互作用のもとで初めてプラズマ中に生成されるものではあるが、たとえば第1の高周波発生器にとっては、反射される出力すなわちプラズマから発せられる出力として現れる。「側波帯」とも呼ぶことができるこのような混合生成物は、プラズマが両方の周波数で励起されていることを示しており、これは望ましいことであり、すなわちそれ自体として望ましくないものではないが、それでも、第1の高周波出力信号を提供する第1の高周波発生器で望ましくない損失熱及び/又は過電圧を生起する。しかし、混合生成物から生じる反射される出力は、出願人の実験によれば、以下において基本周波数とも呼ぶ第1の周波数で反射される出力とは異なる種類の、第1の高周波発生器の負荷となる。
【0008】
本実施形態の原理は、第1の周波数で、すなわちたとえば基本周波数で、プラズマにより反射される出力と、上記の第1の周波数領域でプラズマにより反射される出力との間で区別をすることを可能にするという利点がある。第1の周波数領域は、上に説明した混合生成物の少なくとも1つの部分を含むのが好ましい。換言すると第1の量は、第1の周波数の領域で、たとえば基本周波数で、プラズマにより反射される出力を表し、第2の量は、プラズマにより反射される、上記の混合生成物の少なくとも1つの部分の出力を表す。第1及び第2の量を判定することで、マルチ周波数システムのプラズマの動作をいっそう正確に特徴づけて評価することができる。さらに、それによって第1の高周波発生器ないしそのコンポーネントの実際の負荷を、従来のシステムよりも正確に判定することができる。このことは、たとえば故障、火災、破損などに対するこのようなプラズマシステムの確実性と信頼性もきわめて著しく高める。ここで重要なのは、一方ではプラズマシステム自体が非常に高コストかつ高価であり、さらには、その度合いが絶えず高くなっていることを考慮することである。たとえば、半導体製造における複雑性が1年から2年ごとに倍増することが予想され、このことは、製造設備の価格上昇をいっそう急速に引き起こす。さらに、設備の故障も非常に高価につく。絶えず増していく複雑性により、ウェーハ上にいっそう多くの素子が設けられていくからである。故障や誤測定が起こると、ウェーハ全体が破損する可能性がある。このことは望ましくないばかりでなく、常に向上していく蓋然性で排除されなければならず、その意義がいっそう増しつつある。
【0009】
以下においては主として第1の高周波発生器について説明し、ないしは第1の高周波発生器への各実施形態の原理の適用について説明するが、各実施形態の原理は、一般性を限定することなく、第2の高周波発生器にも代替として、又は補足として転用することができる。別の実施形態では、2つを超える高周波発生器を有するマルチ周波数プラズマシステムに各実施形態の原理を適用することも考えられる。
【0010】
別の好ましい実施形態では、第1の周波数領域は第1の周波数を含まないことが意図される。それにより、第2の量だけが混合生成物の成分を含み、第1の周波数はこれを含まないことを保証することができる。
【0011】
別の好ましい実施形態では、周波数和は式fs_n=f1+n*f2に依存して判定可能であり、且つ/又は周波数差は式fd_n=f1-n*f2に依存して判定可能であることが意図され、ここでfs_nはn番目の周波数和であり、f1は第1の周波数であり、nはゼロよりも大きい自然数であり、「*」は乗算演算子であり、f2は第2の周波数であり、fd_nはn番目の周波数差である。
【0012】
別の好ましい実施形態では、周波数和又は周波数差の設定可能な数は少なくとも2つであり、特に少なくとも3つであることが意図される。高次の混合生成物(nについて比較的大きい値)は、次数に伴って減っていく信号エネルギーを有するので、好ましい実施形態では、たとえば2つの周波数和と2つの周波数差とに着目すれば十分であり得る。別の好ましい実施形態では、1つの周波数和fs_1=f1+f2と1つの周波数差fd_1=f1-f2だけに着目し、そこから第2の量を判定することが意図されていてよい。
【0013】
別の実施形態では、そのつど少なくとも1つの周波数和と少なくとも1つの周波数差とに着目するのが好ましい。すなわち出願人の実験によれば、次数が同一であるが第1の周波数に対する周波数位置が相違している混合生成物は、それぞれ相違する信号エネルギーを含むことがあり得る。こうしたケースでは、それによって第1の周波数領域でプラズマにより反射される出力の正確な特徴づけが可能である。
【0014】
別の好ましい実施形態では、第1の周波数は約10MHz~約190MHzであることが意図され、特に、第1の周波数は少なくとも次の値、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz、81MHz、161MHzのうちの1つを有する。別の実施形態では、第1の周波数についてこれ以外の値も可能である。
【0015】
別の好ましい実施形態では、第2の周波数は約10kHz~約2.3MHzであることが意図され、特に、第2の周波数は次の値、300kHz、400kHz、500kHzのうち少なくとも1つを有する。別の実施形態では、第2の周波数についてこれ以外の値も可能である。
【0016】
少なくとも1つの別の、すなわち第3の高周波発生器が設けられる別の好ましい実施形態では、第3の高周波発生器により生成される高周波出力信号が第1の周波数又は第2の周波数を有し、又はそれ以外の周波数領域に位置し、たとえば第2の周波数よりも下に位置し、あるいは第1の周波数と第2の周波数との間に位置し、あるいは第1の周波数よりも上に位置することが可能である。
【0017】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第1の高周波出力信号を提供する第1の高周波発生器へとプラズマにより反射される電圧波を特徴づける第1の信号に依存して第1の量及び/又は第2の量を判定するために構成されることが意図される。それにより、第1及び第2の量の効率的な判定が可能となる。たとえば第1の信号は、たとえばプラズマを含んでいるプラズマ室と第1の高周波発生器とを接続する、ないしは第1の高周波発生器をプラズマ室と接続する高周波回線に配置された、方向性結合器によって得ることができる。別の好ましい実施形態では、第1の高周波発生器は、たとえば第1の周波数に関するプラズマ負荷のインピーダンス整合をそれ自体周知の仕方で可能にする整合ネットワーク(「マッチボックス」)を介してプラズマ室と接続されていてよい。別の好ましい実施形態では、第1の信号を判定するために、電圧減結合及び/又は電流減結合が意図されていてもよい。
【0018】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第1の信号又はこれから導き出される信号を下方変換(英語:downconversion)によって第2の信号に変換するために構成されることが意図され、特に、第2の信号はベースバンド信号である。換言すると、第1の信号ないしこれから導き出される信号が下方変換により、たとえば第1の周波数に応じて、より低い周波数への周波数偏移を受ける。このことは、効率的で低コストな第2の信号の処理を可能にする。別の好ましい実施形態では、第2の信号は中間周波数信号であってもよく、すなわち下方変換は、第1の信号ないし第1の信号から導き出される信号を中間周波数位置へと変換することができる。
【0019】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第2の信号を得るために、第1の信号又はこれから導き出される信号を局部発振器信号と混合するために構成されることが意図される。
【0020】
別の好ましい実施形態では、局部発振器信号は少なくともほぼ第1の周波数を有することが意図される。出願人の実験によると、局部発振器信号が少なくとも近似的に第1の周波数に相当していれば十分である(最大で2%の相違を容認可能である)。したがって、局部発振器信号の周波数と第1の周波数との厳密な一致は不必要となり、このことはいっそうの簡易化をもたらす。
【0021】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第1の限界周波数を有する少なくとも1つの第1のローパスフィルタリングによって第2の信号から第3の信号を導き出すために構成されることが意図され、特に本装置は、第3の信号に依存して第1の量を判定するために構成される。このとき第1のローパスフィルタリングについての第1の限界周波数は、第1の周波数の領域でプラズマにより反射される出力を特徴づける信号成分だけを第3の信号が有し、第1の周波数と第2の周波数とからなる混合生成物に属する信号成分は有さないように選択されるのが好ましい。
【0022】
別の好ましい実施形態では、第1の限界周波数は第2の周波数よりも若干低いか、又はこれに等しく、好ましくは第2の周波数よりも低いことが意図される。それにより、第1の周波数の領域でプラズマにより反射される出力信号成分だけを第3の信号が有し、特に、混合生成物に属する信号成分を第3の信号が有さないことを保証することができる。
【0023】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第2の限界周波数を有する第2のローパスフィルタリングによって第2の信号から第4の信号を導き出すために構成されることが意図され、特に本装置は、第4の信号と第1の量とに依存して第2の量を判定するために構成される。
【0024】
別の好ましい実施形態では、第2の限界周波数は第2の周波数よりも高く、好ましくは第2の周波数の3倍よりも高いことが意図される。それにより第4の信号が、特に、上記の混合生成物に属する信号成分も有することが保証される。これに加えて、第4の信号は基本周波数と対応する信号成分も有する。
【0025】
別の好ましい実施形態では、本装置は、a)第1の量と第2の量との和として、及び/又はb)第4の信号に依存して、第3の量を判定するために構成されることが意図される。別の好ましい実施形態では、第3の量は、第1の周波数(たとえば基本周波数)の領域でプラズマにより反射される出力に、プラズマにより反射される少なくともいくつかの混合生成物の出力を加えたものを特徴づける。
【0026】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第1の量と第3の量とに依存して、特に第1の量と第3の量との重みづけされた和として、第4の量を判定するために構成されることが意図され、このとき第1の量に第1の重みづけ係数が割り当てられ、第3の量に第2の重みづけ係数が割り当てられる。重みづけ係数は、スカラー量又は複素量であってよい。このような重みづけ係数と、それぞれの量とを乗算することができる。それにより、たとえば第1の量と第3の量とによって表される、それぞれの反射された出力成分による第1の高周波発生器の出力段のさまざまに異なる負荷を、考慮に入れることができるという利点がある。別の好ましい実施形態では、第1の高周波出力信号の出力ないし第1の高周波発生器を制御するために第4の量を利用できるのが好ましい。そのために、各実施形態に基づく装置は、たとえば第1の高周波出力信号を生成する第1の高周波発生器に第4の量を伝送するために構成されていてよい。
【0027】
別の好ましい実施形態では、本装置は、第1の量と第2の量とに依存して、特に第1の量と第2の量との重みづけされた和として、第5の量を判定するために構成されることが意図され、このとき第1の量に第3の重みづけ係数が割り当てられ、第4の量に第4の重みづけ係数が割り当てられる。それによっても、たとえば第1の量と第2の量とによって表される、それぞれの反射された出力成分による第1の高周波発生器の出力段のさまざまに異なる負荷を、考慮に入れることができるという利点がある。別の好ましい実施形態では、第5の量は第1の高周波出力信号の出力ないし第1の高周波発生器を制御するために利用できるのが好ましい。
【0028】
別の好ましい実施形態では、本装置は、特にプラズマの複素値のインピーダンスを判定するために構成され、特に、プラズマのインピーダンスの時間的推移を判定するために構成されることが意図される。別の好ましい実施形態では、インピーダンスの時間的推移をたとえばスミス図表の軌跡として図像化することができる。
【0029】
別の好ましい実施形態では、たとえばプラズマへの往路を進む電圧波と、プラズマから第1の高周波発生器への復路を進む電圧波との間で、インピーダンスを決定するための位相測定を実行することができる。別の好ましい実施形態では、第1の周波数ないし基本周波数に関する(通常は複素の)インピーダンスを判定するために、基本周波数を中心として比較的狭帯域のフィルタリングを有する、往路と復路を進む上記の電圧波から導き出される信号を利用することができる。第2の信号に関して上述した実施形態を参照すべき、任意の下方変換が行われる場合には、たとえば該当するベースバンド信号の比較的強力なローパスフィルタリング(低い限界周波数)によって、2タプルの信号(第2の信号(上記を参照せよ)に準じて、往路を進む電圧波を特徴づける第1の信号、及び、復路を進む対応する電圧波を特徴づける第2の信号)を得ることができ、これらから基本周波数に関するインピーダンスを判定可能である。それに応じて別の実施形態では、プラズマの瞬間複素インピーダンスについては、これよりも低い強度でフィルタリングされた信号を使用することができる。出願人の実験によると、別の好ましい実施形態ではインピーダンスから、特にインピーダンスの瞬間値から、たとえばスミス図表で視覚化される、複素平面におけるインピーダンスの軌跡の位置を推定することができ、それに伴い、反射される出力による第1の高周波発生器の負荷の種類(たとえば熱的、電気的)を推定することができる。
【0030】
換言すると、いくつかの実施形態では、往路と復路を進む電圧波を特徴づける信号を強力にフィルタリングし、そこからインピーダンスを判定することで、このインピーダンスについて実質的に1つの点を、すなわち特定の値を、複素平面ないし対応するスミス図表で得ることができる。この値は、別の実施形態では、基本周波数でのプラズマに合わせた第1の高周波発生器のインピーダンス整合を特徴づけるので、いわゆる「マッチング情報」として利用することができる。別の実施形態では、比較的弱いフィルタリングの場合、インピーダンスの軌跡について一揃いの曲線形状を(1つの点に代えて)得ることができる。側波帯の信号成分だけを許容するフィルタリングの場合、そこから判定される相応の「インピーダンス」は、混合の効果に関する情報だけを含む。
【0031】
別の好ましい実施形態では、本装置は、追加的にプラズマのインピーダンスに依存して、特にプラズマのインピーダンスの時間的推移に依存して、第4の量及び/又は第5の量を判定するために構成されることが意図される。それにより、たとえば通常は複素値であるプラズマのインピーダンスの位相も考慮することができる。このことは特に、たとえば第1の高周波出力信号の出力ないし第1の高周波発生器を制御するために第4及び/又は第5の量が利用される実施形態で好都合である。
【0032】
別の好ましい実施形態では、本装置は、その動作量のうち少なくとも1つを、特に次の各量:第1の量、第2の量、第3の量、第4の量、第5の量のうちの少なくとも1つを、外部のユニットに出力し、及び/又は表示装置を通じて出力するために構成されることが意図される。好ましい実施形態では、外部のユニットへの上記の各量のうち少なくとも1つの出力は、たとえば第1の高周波出力信号を生成する高周波発生器への、該当する1つないし複数の量の伝送を含むことができる。たとえば本装置から伝送される1つの量(複数の量)に依存して、第1の高周波出力信号のアウトプット出力を設定することができる。別の実施形態では、表示装置を通じてのインピーダンスの軌跡の視覚的な出力も同じく考えられる。
【0033】
別の好ましい実施形態は、プラズマにより反射される出力を判定する装置を作動させる方法に関するものであり、第1の周波数を有する第1の高周波出力信号と、少なくとも1つの第2の周波数を有する少なくとも1つの第2の高周波出力信号とをプラズマに印加可能であり、第2の周波数は第1の周波数よりも低く、この装置は、第1の周波数の領域でプラズマにより反射される出力を特徴づける第1の量を判定し、第1の周波数領域でプラズマにより反射される出力を特徴づける第2の量を判定し、第1の周波数領域は、第1の周波数と、第2の周波数の整数倍との設定可能な数の周波数差及び/又は周波数和を有する。
【0034】
このとき本装置は、特に、第1の周波数の領域でプラズマにより反射される出力と、上記の第1の周波数領域のプラズマにより反射される出力との間で区別をすることができる。
【0035】
別の好ましい実施形態は、各実施形態に基づく少なくとも1つの装置を有する、第1の周波数を有する少なくとも1つの高周波出力信号を生成するための高周波発生器に関する。
【0036】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器は、特に第1の制御器により、次の各量、つまり、第1の量、第2の量、第3の量、第4の量、第5の量のうち少なくとも2つに依存して第1の高周波出力信号の生成を制御するために構成されることが意図される。
【0037】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器は各実施形態に基づく装置を含まないが、各実施形態に基づく装置から次の各量のうち少なくとも1つを受信し(たとえばこの装置と高周波発生器との間のデータインターフェースを介して)、特に第1の制御器により、次の各量、つまり第1の量、第2の量、第3の量、第4の量、第5の量のうち少なくとも2つに依存して第1の高周波出力信号の生成を制御するために構成されることが意図されていてもよい。
【0038】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器は次の各量、つまり第1の量、第2の量、第3の量、第4の量、第5の量のうち少なくとも1つについて第1の制御チャネルを有し、且つ次の各量、つまり第1の量、第2の量、第3の量、第4の量、第5の量のうち少なくとも1つの別の量について第2の制御チャネルを有することが意図される。たとえば第1の量について第1の制御チャネルが設けられ、たとえば第2の量について第2の制御チャネルが設けられるのが特別に好ましい。
【0039】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器は、プラズマのインピーダンスの時間的推移に依存して第1の高周波出力信号のアウトプット出力を制御するために構成されることが意図される。このことは、好ましい実施形態では、たとえばスミス図表にプロットされるインピーダンスの軌跡ないし軌跡の位置に依存するアウトプット出力の制御に相当する。それにより、プラズマのインピーダンスに関して高周波発生器ないしその出力段にとって比較的クリティカルな動作状態(たとえばインピーダンスの位相についての望ましくない値を有する)を、低減ないし回避できることを実現できるという利点がある。
【0040】
別の好ましい実施形態では、プラズマのインピーダンスの(ないしは、プラズマと任意に存在してよい整合ネットワークとの合成インピーダンスの)インピーダンス変換(特に相回転)が、該当するインピーダンスの時間的推移に依存して行われることが意図される。換言すると、プラズマのインピーダンスの特に相回転の意味におけるインピーダンス変換を、たとえばスミス図表でのインピーダンスの軌跡の位置に依存して行うことができる。それにより、インピーダンスの軌跡をスミス図表でその原点を中心としていわば回転させて、スミス図表によって表される複素平面の、発生器にとって比較的さほどクリティカルではない領域へと移すことができる。たとえば高周波発生器の出力回路のトポロジーに応じて、クリティカル性がさまざまに異なる領域を定義することができ、好ましい実施形態では、上記の相回転によって特別にクリティカルな領域の回避を実現することができ、すなわち、インピーダンスの時間的推移ないし位相についての望ましくない値の回避を実現することができる。
【0041】
上に挙げたインピーダンス変換は、特に相回転は、いくつかの好ましい実施形態では、たとえば位相ないし任意の整合ネットワークと高周波発生器との間の回線長さを適合化することで行うことができる。別の好ましい実施形態では、上記のインピーダンス変換は、特に相回転は、ダイナミックに、すなわち特に高周波発生器の動作時間中に行うこともできる。そのために、たとえば高周波発生器とプラズマないし任意の整合ネットワークとの間に調相デバイスが設けられていてもよい。回線長さの整合化と、調相デバイスによるダイナミックな相回転との組合せも同じく考えられる。
【0042】
別の好ましい実施形態は、第1の量と第2の量とを表示装置へ、及び/又は機械可読のインターフェースへ、これら両方の量を区別可能に表示及び/又は処理するために伝送するための、各実施形態に基づく装置及び/又は方法の利用法に関する。
【0043】
別の実施形態は、高周波発生器を制御するための、各実施形態に基づく装置及び/又は方法の利用法に関するものであり、制御のために第1の量と第2の量とがゼロに等しくないそれぞれ異なる重みづけ係数で制御に取り入れられる。
【0044】
別の好ましい実施形態は、インピーダンス整合装置を、特に整合ネットワークを制御するための、各実施形態に基づく装置及び/又は方法の利用法に関するものであり、制御のために第1の量と第2の量とがそれぞれ異なる重みづけ係数で制御に取り入れられ、特に、第1の量は第2の量よりも数値的に大きい重みづけで取り入れられる。
【0045】
本発明のその他の構成要件や利点は、図面の各図に示されている本発明の実施例についての以下の説明から明らかとなる。記述又は図示されているすべての構成要件はそれ自体として、又は任意の組合せで、本発明の対象物を構成するものであり、特許請求の範囲でそれらがどのようにまとめられ、あるいは引用されているかを問わず、さらには、記述ないし図面の中でそれらがどのように表現ないし図示されているかを問わない。
【0046】
図面には次のものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、目標システムでの1つの実施形態に基づく装置の簡略化されたブロック図を模式的に示す。
【
図2A】
図2Aは、別の実施形態に基づく出力密度スペクトルを模式的に示す。
【
図2B】
図2Bは、別の実施形態に基づく出力密度スペクトルを模式的に示す。
【
図2C】
図2Cは、別の実施形態に基づく出力密度スペクトルを模式的に示す。
【
図3A】
図3Aは、別の実施形態の簡略化したブロック図を模式的に示す。
【
図3B】
図3Bは、別の実施形態簡略化のしたブロック図を模式的に示す。
【
図4】
図4は、別の実施形態の簡略化したブロック図を模式的に示す。
【
図5】
図5は、別の実施形態の簡略化したブロック図を模式的に示す。
【
図6】
図6は、1つの実施形態に基づく高周波出力信号のスペクトル図を模式的に示す。
【
図7】
図7は、1つの実施形態に基づく高周波出力信号の測定工学的に判定されたスペクトル図を模式的に示す。
【
図8】
図8は、1つの実施形態に基づくプラズマのインピーダンスの時間的推移をスミス図表で模式的に示す。
【
図9】
図9は、1つの実施形態に基づくプラズマのインピーダンスの時間的推移をスミス図で模式的に示す。
【
図10】
図10は、1つの実施形態に基づくプラズマのインピーダンスの時間的推移をスミス図で模式的に示す。
【
図11】
図11は、1つの実施形態に基づくプラズマのインピーダンスの時間的推移をスミス図で模式的に示す。
【
図12】
図12は、1つの実施形態に基づくプラズマのインピーダンスの時間的推移をスミス図で模式的に示す。
【
図13】
図13は、1つの実施形態に基づく高周波発生器の簡略化したブロック図を模式的に示す。
【
図14】
図14は、別の実施形態に基づく高周波発生器の簡略化したブロック図を模式的に示す。
【
図15】
図15は、1つの実施形態に基づく方法の簡略化したフローチャートを模式的に示す。
【
図16】
図16は、別の実施形態の簡略化したブロック図を模式的に示す。
【
図17】
図17は、別の実施形態に基づくコンフィグレーションを示す
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、プラズマ室PCと、その中で生成可能なプラズマPとを有するマルチ周波数プラズマシステムの簡略化したブロック図を模式的に示している。たとえばプラズマPは材料加工、たとえば半導体デバイスをコーティングやエッチングをするためなどに利用することができる。第1の高周波発生器200が、以下において基本周波数とも呼ぶ第1の周波数を有する第1の高周波出力信号LS1を生成し、対応する高周波回線210を介してこれをプラズマ室PCに、及びそれに伴ってプラズマPに供給可能である。それに応じてプラズマPは、第1の高周波発生器200にとっては電気的な負荷となる。第1の高周波出力信号LS1と対応する、第1の高周波発生器200からプラズマPへと往路を進む電圧波Uiも、同じく
図1に示されている。この電圧波は、通常は(特に定常状態にあるときには)基本周波数のみを含む。
【0049】
好ましい実施形態では、第1の周波数は約10MHz~約190MHzであることが意図され、特に、第1の周波数は次の値、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz、81MHz、161MHzのうちの1つを少なくともほぼ有する。別の実施形態では、第1の周波数についてこれ以外の値も可能である。
【0050】
任意選択として、第1の高周波発生器200とプラズマ室PCとの間に整合ネットワーク220が配置されていてよく、この整合ネットワークは好ましくはプラズマPのインピーダンスのインピーダンス整合を惹起して、第1の周波数ないし基本周波数でプラズマPにより第1の高周波発生器200の方向に反射される出力が低減されるようにする。任意の整合ネットワーク220は、それが存在する限りにおいて、プラズマPとともに第1の高周波発生器200にとっての電気的な負荷を形成する。高周波回線210の第1の回線区域210aが、第1の高周波発生器200を任意の整合ネットワーク220と接続する。第2の回線区域210bが、任意の整合ネットワーク220をプラズマ室PCと接続する。
【0051】
第1の高周波出力信号LS1に追加して、本例ではさらに、第2の高周波発生器300により生成ないし提供することができる第2の高周波出力信号LS2をプラズマPに印加可能である。第2の高周波出力信号LS2は、第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する。
【0052】
別の好ましい実施形態では、第2の周波数は約10kHz~約2.3MHzであることが意図され、特に、第2の周波数は次の値、300kHz、400kHz、500kHzのうち少なくとも1つを有する。別の実施形態では、第2の周波数についてこれ以外の値も可能である。
【0053】
図1に示す型式のマルチ周波数プラズマシステムは、たとえばすでに挙げたエッチングなどの材料加工など、高いイオン密度とイオンの高い加速度とが望ましい用途で好ましく適用可能である。
【0054】
プラズマPが高周波励起されるとき、好ましい実施形態では、負荷により反射される電気出力ができる限り低いことを特徴とする、最善の場合であればそうした電気出力がないことを特徴とする、良好なインピーダンス整合がなされるように留意される。それに伴い、一方では、たとえば第1の高周波発生器200から高周波出力信号LS1の形態で出される出力がプラズマPの励起のために最適に活用され、他方では、第1の高周波発生器200にとってのストレス(特に熱的又は電気的な性質のもの、たとえば高すぎる温度及び/又は電圧)が回避される。そのために別の好ましい実施形態では、第1の高周波発生器200とプラズマ室PCとの間で、たとえばプロセスパラメータが変化したときにインピーダンス整合を維持するために制御することができる、すでに挙げた任意の整合ネットワーク220が利用される。その代替又は補足として、別の実施形態では、インピーダンス整合のためにいわゆる「周波数同調」を行うことができ、すなわち、第1の高周波発生器から出される高周波出力信号LS1の第1の周波数の変更を行うことができる。
【0055】
出願人の実験によれば、
図1に示すマルチ周波数プラズマシステムでは、とりわけプラズマPにおける非線形性(たとえば飽和効果)によって、プラズマに注入される高周波出力信号LS1、LS2から混合生成物が発生し、このような混合生成物は、第1の高周波発生器200が、これにより提供される第1の高周波発生器200の基本周波数に関して理想的にインピーダンス整合ないし出力整合されている場合であっても、「反射される」出力となる。プラズマPで反射される出力に関する情報、及び、これに伴う混合生成物に関する情報は、たとえばプラズマPから第1の高周波発生器200まで伝搬する、復路を進む電圧波Urに含まれる。
【0056】
図2Aは、好ましい実施形態に基づく、周波数軸fに対する出力密度スペクトルを模式的に示しており、この図からは、第1の周波数f1(基本周波数)のもとでの第1の高周波出力信号と、第2の周波数f2のもとでの第2の高周波出力信号とが明らかとなり、第2の周波数は第1の周波数f1よりも低い。上ですでに説明した第1及び第2の周波数についての周波数値ないし周波数領域も参照のこと。たとえば第1の周波数f1、すなわち基本周波数は約13.56MHzであり、第2の周波数f2は約100kHzである。
図2Aには、第1の高周波発生器200(周波数f1)ないし第2の高周波発生器300(周波数f2)からプラズマPないしプラズマ室PCへと往路を進む電圧波に相当する出力成分LS1h、LSh2がそれぞれ示されている。
【0057】
それに対して
図2Bは、それぞれプラズマPから第1の高周波発生器200に向かう方向へ復路を進む電圧波Ur(
図1)に相当する、該当する信号の出力成分についての出力密度スペクトルを模式的に示している。
図2Bから見て取れるように、基本周波数f1に関して整合不良が生じている。復路を進む電圧波の出力成分が基本周波数f1でゼロにならない値を有するからである。
図2Bからは、プラズマPから第1の高周波発生器200へ、第2の周波数f2と基本周波数f1の混合生成物が伝送されることも認識することができ、これは、本例ではプラズマPで両方の高周波出力信号LS1、LS2の電気的な混合によって発生する(混合生成物)周波数和fs_1、fs_2、fs_3と周波数差fd_1、fd_2、fd_3を参照。
【0058】
周波数和は式fs_n=f1+n*f2に依存して判定可能であり、周波数差は式fd_n=f1-n*f2に依存して判定可能であり、ここでfs_nはn番目の周波数和であり、f1は第1の周波数であり、nはゼロよりも大きい自然数であり、「*」は乗算演算子であり、f2は第2の周波数であり、fd_nはn番目の周波数差である。それに応じて
図2Bには、周波数和と周波数差がn=1、2、3について示されている。
【0059】
図2Cは、各実施形態の原理を適用したうえで得ることができる、基本周波数f1に関する最適な整合がなされたケースについて出力密度スペクトルを模式的に示している。周波数和と周波数差の出力密度は、すなわち第1の側波帯SB1と第2の側波帯SB2とを形成する混合生成物の出力密度は、ゼロにならない振幅値を有することが明らかである。このような混合生成物は、基本周波数f1に関して完璧な整合がなされている場合であっても、プラズマPにより反射される(ないしはその中で生成される)電気出力となり、これが、高周波回線210を介してプラズマ室PCと接続された第1の高周波発生器200を負荷する可能性がある。このような混合生成物ないし側波帯はプラズマPの良好な励起を表しており、すなわち、それ自体として望ましくないわけではないが、基本周波数f1で反射される電気出力とは異なる仕方で第1の高周波発生器200を負荷する可能性も同じようにある。このことは、さらに後で例示として
図13を参照して説明する別の好ましい実施形態では、たとえば第1の高周波発生器200の動作の制御時に、基本周波数f1で反射される電気出力と混合生成物ないし側波帯の反射される電気出力とがそれぞれの実際の影響ないし効果に応じて、たとえば望ましくない損失熱の生成及び/又は第1の高周波発生器200での過電圧に応じて、重みづけされることによって考慮に入れることができる。
【0060】
図1及び
図3Aも参照するべき好ましい実施形態では、第1の周波数f1すなわち基本周波数の領域でプラズマPにより反射される出力を特徴づける第1の量G1を判定するとともに、第1の周波数領域でプラズマPにより反射される出力を特徴づける第2の量G2を判定するために構成される装置100ないし100aが設けられ、第1の周波数領域は、第1の周波数f1と、第2の周波数f2の整数倍との設定可能な数の周波数和fs_1、fs_2、fs_3(
図2B)及び/又は周波数差fd_1、fd_2、fd_3(混合生成物)を有する。
【0061】
各実施形態に基づく原理は、第1の周波数f1すなわち基本周波数の領域でプラズマPにより反射される出力と、上記の第1の周波数領域でプラズマPにより反射される出力とを区別することを可能にするという利点がある。第1の周波数領域は、上に説明した混合生成物の少なくとも1つの部分、たとえば
図2Cに示す第1の側波帯SB1と第2の側波帯SB2を含むのが好ましい。第1の周波数領域が、本例では両方の側波帯SB1、SB2によって特徴づけられる、必ずしも直接的に隣接するのではない複数の部分周波数領域を含むこともできるのは明らかである。特に、基本周波数f1は第1の周波数領域に含まれない。
【0062】
換言すると、第1の量G1(
図3A)は基本周波数f1の領域でプラズマP(
図1)により反射される出力を、特に同じく発生する、ないしは予想される側波帯SB1、SB2を排除したうえで表し、第2の量G2は、プラズマPにより反射される、上記の混合生成物の少なくとも1つの部分の出力を表す。第1及び第2の量G1、G2を判定することで、マルチ周波数システムのプラズマPの動作をいっそう正確に特徴づけて評価することができ、任意選択として、第1の量G1及び/又は第2の量G2に依存して高周波発生器200の動作に影響を及ぼすこともでき、このことは矢印A2によって示唆されている。
【0063】
たとえば別の好ましい実施形態では、基本周波数f1に関する負荷インピーダンス(すなわちプラズマPの、ないしはプラズマPと任意の整合ネットワーク220とを含む系のインピーダンス)に合わせた第1の高周波発生器200の発生器インピーダンスの整合化を判断するために(「マッチング条件」)、反射される基本波にのみ、すなわち基本周波数f1で反射される出力の成分にのみ着目することができる。換言すると、好ましい実施形態ではマッチング条件の判断をするために第1の量G1を評価することができる。そして、第1の量G1が設定可能な第1の閾値を下回っているときに、特にゼロになっているときに、たとえば基本周波数f1に関して負荷インピーダンスに合わせた第1の高周波発生器200の最善のインピーダンス整合ないし出力整合を推定することができる。それと同時に、プラズマPの励起を判断するために第2の量G2を利用できるという利点がある。
【0064】
好ましい実施形態では、
図1を参照すべき装置100は、たとえば高周波回線210に印加され、それに伴って測定工学的に判定可能である、マルチ周波数プラズマシステムの少なくとも1つの動作量に依存して、第1の量G1及び/又は第2の量G2を判定することができる。ブロック矢印A1を参照。装置100a(
図3A)は、プラズマP(
図1)から第1の高周波発生器200へと反射される、すなわち復路を進む電圧波Urを特徴づける第1の信号s1に依存して、第1の量G1及び/又は第2の量G2を判定するために構成されるのが特別に好ましい。
【0065】
図4は、別の実施形態の簡略化したブロック図を模式的に示している。本例では、第2の高周波発生器300にも整合ネットワーク320が付属していることがわかる。第1の高周波発生器200と、その任意の整合ネットワーク220との間に、プラズマP(
図1)から第1の高周波発生器200へと反射される電圧波Urを特徴づける第1の信号s1を提供する方向性結合器230が設けられている。方向性結合器230に代えて、別の実施形態では、電圧/電流減結合(「VIプローブ」、図示せず)が設けられていてもよく、これにより提供される電圧・電流信号から第1の信号s1を導き出すことができる。
【0066】
第1の信号s1は入力フィルタ102によってフィルタリングが施され、特にローパスフィルタリングが施され、それによってフィルタリングされた信号s1’が得られ、これがアナログ/デジタル変換器(ADC)104によって時間的かつ数値的に離散したデジタル信号s1’’へと変換される。入力フィルタ102は、ADC104の帯域幅に合わせて適合化されている。
【0067】
好ましくは、特に乗算による、局部発振器信号LOとの混合によってデジタル信号S1’’が下方変換され、それによって第2の信号s2が得られる。第2の信号s2は、(デジタルの)ベースバンド信号であるのが好ましいが(局部発振器信号LOの周波数は基本周波数f1に実質的に相当し、すなわち最大で2%、特に最大で1%の差異が許容される)、別の実施形態では中間周波数信号であってもよい(局部発振器信号LOの周波数は基本周波数f1よりも低い)。
【0068】
さらに装置100、100aは、第1の限界周波数を有する少なくとも1つの第1のローパスフィルタリングによって、第2の信号s2から第3の信号s3を導き出すために構成される。このことは、本例ではローパスフィルタ106、108によって行われ、第1のローパスフィルタリングの第1の限界周波数は第2の周波数f2よりも低いか、又はこれにほぼ等しい。それにより、第3の信号s3が、ベースバンドへと変換された基本周波数f1に対応する信号成分のみを有し、混合生成物の信号成分を有さないことを保証することができる。別の実施形態では、第2の信号s2から第3の信号s3を判定するために、ローパスフィルタ106、108に代えて、第2の限界周波数を有する単一のローパスフィルタを利用することもできる。装置100、100aは、第3の信号s3に依存して、たとえば第3の信号s3の値の平方(G1=|s3|
2)を形成することによって、第1の量G1(
図3A)を判定するために構成されるのが特別に好ましい。
【0069】
さらに装置100、100aは、第2の限界周波数を有する第2のローパスフィルタリングによって、第2の信号s2から第4の信号s4を導き出すために構成される。このことは、本例では第1のローパスフィルタ106によって行われ、第2のローパスフィルタリングの第2の限界周波数は第2の周波数よりも高く、好ましくは第2の周波数の3倍よりも高い。それにより、少なくとも1次から3次の混合生成物と対応する信号成分も第4の信号s4が有することを保証することができる。これに加えて第4の信号s4は、ベースバンドへと変換された基本周波数f1に対応する信号成分を有する。簡略化して表現すると、第4の信号s4は、基本周波数f1で、及び混合生成物の周波数和ないし周波数差の領域で、プラズマPにより反射される出力に関する情報を両方とも有しており、それに対して第3の信号s3は、基本周波数f1でプラズマPにより反射される出力に関する情報を有しているが、混合生成物の周波数和ないし周波数差の領域での情報は有していないと言うことができる。
【0070】
好ましい実施形態では、
図4を参照して上に説明したコンポーネント102、104、LO、106、108の機能性が、装置100、100aに少なくとも部分的に統合される。
【0071】
図5は、別の実施形態を模式的に示している。上ですでに説明したとおり、及び
図5から明らかなように、第1の周波数f1(
図2B)の領域でプラズマP(
図1)により反射される出力を特徴づける第1の量G1は、第3の信号s3の値の平方として得られる。
【0072】
第3の量G3は、同様の仕方で第4の信号s4の値の平方として得られ、任意選択として、さらに別のローパス109によるローパスフィルタリングが追加的に行われる。このことは、特に第3の量G3の視覚的な表示のために好都合であり得る。第4の信号s4の振幅値が、第2の周波数ないしその整数倍で変調され得るからである。
【0073】
装置100、100aは、第4の信号s4と第1の量G1とに依存して第2の量G2を判定するために構成されるのがさらに好ましい。
図5から明らかなとおり、別の好ましい実施形態では、たとえば第2の量G2は、第3の量G3と第1の量G1との差G2=G3-G1として判定することができる。この差形成は、本例では、詳しくは図示しない加算器ないし減算器によって行われる。
【0074】
別の好ましい実施形態では、
図4、
図5を参照してここで説明している各ステップを、たとえばハードウェア及び/又はソフトウェアないしこれらの組合せによって行うことができる。
【0075】
別の好ましい実施形態では、装置100、100aは、たとえば
図17に示すコンフィグレーション1000を少なくとも実質的に有する。
【0076】
コンフィグレーション1000は、たとえばマイクロコントローラ及び/又はマイクロプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ(DSP)及び/又はプログラミング可能なロジックモジュール(たとえばFPGA)及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの計算デバイス1010と、1つ又は複数のコンピュータプログラムPRG1、PRG2・・・を少なくとも一時的に格納するための記憶デバイス1020とを有する。コンピュータプログラムPRG1、PRG2のうち少なくとも1つは、装置100、100aの動作を制御するために、特に各実施形態に基づく方法を実施するために意図されていてよい。たとえば量G1、G2、G3のうち少なくとも1つの判定を、コンピュータプログラムPRG1、PRG2のうちの1つを制御して行うことができる。記憶デバイス1020は、たとえば作業メモリ(「RAM」)などの揮発性メモリ1022及び/又は不揮発性メモリ1024(たとえば読み取り専用メモリ(「ROM」)及び/又はEEPROM、特にフラッシュEEPROMなど)を有することができるのが好ましい。
【0077】
さらにコンフィグレーション1000は、少なくとも部分的にハードウェアで実行される少なくとも1つのフィルタデバイス1032(アナログ型のフィルタデバイスも可能)及び/又は混合デバイス1034及び/又はADC1036及び/又はデータインターフェース1038を有するも可である周辺デバイス1030を有してよい。たとえばフィルタデバイス1032は、いくつかの実施形態では、
図4に示す入力フィルタ102の機能を具体化することができる。別の実施形態では、ADC1036は
図4に示すADC104の機能を具体化することができる。別の実施形態では、
図17に示す混合デバイス1034は
図4に示すミキサの機能を具体化することができ、すなわち、たとえばベースバンド信号s2への信号s1’’の周波数変換を具体化することができる。別の実施形態では、データインターフェース1038は、少なくとも1つの量を、たとえば第1及び/又は第2及び/又は第3の量G1、G2、G3を、外部のユニット(図示せず)へ出力するために構成されていてよい。この外部のユニットは、別の実施形態では、たとえば第1の高周波発生器200及び/又は外部の表示装置であってよい。
【0078】
別の好ましい実施形態では、コンフィグレーション1000は任意の表示装置1040を有することができ、複数の別々の表示ユニット1042、1044、1046が、たとえば液晶(LCD)ディスプレイないし7セグメントディスプレイないしLED(発光ダイオード)ないしOLED(有機LED)の型式のディスプレイの形態で設けられるのが特別に好ましい。第1の表示ユニット1042で第1の量G1が出力され、第2の表示ユニット1044で第2の量G2が出力され、第3の表示ユニット1046で第3の量G3が出力されるのが好ましい。
【0079】
別の好ましい実施形態では、
図17に示すフィルタデバイス1032は、
図4に示す入力フィルタ102の機能を具体化するために構成され、ADC1036は、入力フィルタ102の出力部で得られる信号s1’を、すでに説明したようにデジタルドメインに変換することができ、すなわち信号s1’’を提供することができる。上で
図4を参照してすでに説明した処理、特に信号s2、s3、s4の判定は、別の好ましい実施形態では、たとえば計算デバイス1010によって、特に相当するコンピュータプログラムPRG1による制御のもとで、全面的にデジタル式の信号処理の枠内で行うことができる。
図4に示すローパスフィルタ106、108は、
図17に示すコンフィグレーション1000では、たとえば計算デバイス1010ないし相当するコンピュータプログラムによって評価可能であるデジタルFIR(有限インパルス応答)フィルタによって具体化することができる。このことは別の実施形態では、局部発振器信号LOとの混合についても当てはまる。
【0080】
別の実施形態では、
図4に示す順序に代えて、局部発振器信号LOとの混合による下方変換を、ADC104によるアナログ/デジタル変換の前に実行することが考えられる。それにより、帯域幅が比較的狭いADC104を、同じく
図17のコンフィグレーション1000に基づくADC1036の形態で設けることができるという利点がある。さらにこの実施形態では、
図17に示す混合デバイス1034によって下方変換が実行されることが意図されていてよい。
【0081】
別の実施形態では、上記のフィルタステップをアナログドメインで行うことも考えられ、それによりADCは必要なくなる。
【0082】
別の実施形態では、第2の量G2を判定するために、フィルタ曲線において基本周波数f1(
図2B)にノッチ(英語:notch)を含み、第1の周波数領域をカバーするように、すなわち着目されるべき混合成分ないしその周波数和と周波数差を包含するように、下側と上側の限界周波数が選択されたバンドパスフィルタ(図示せず)を利用することも考えられる。その代替として別の実施形態では、側波帯SB1、SB2のうちのそれぞれ1つについて、2つの別々のバンドパスフィルタ(図示せず)を設けることも考えられる。
【0083】
別の実施形態では、関心の対象となる各々の周波数和fs_1、fs_2...及び/又は周波数差fd_1、fd_2...(
図2B)について、又は相当する周波数群について、個別のフィルタを設けることも考えられる。別の実施形態では、側波帯を特徴づける信号に関わる振幅形成(たとえば絶対値又は平方)の後に、ローパスフィルタリングを設けることが提案される。側波帯の振幅値(出力値)は、第2の周波数f2又はその倍数で変調されていてよいからである。
【0084】
別の好ましい実施形態では、装置100、100aは、第1の量G1と第3の量G3とに依存して、特に第1の量G1と第3の量G3との重みづけされた和として、
図5を参照すべき第4の量G4を判定するために構成され、第1の量G1に第1の重みづけ係数aが割り当てられ、第3の量G3に第2の重みづけ係数bが割り当てられる。それに伴って次式G4=a*G1+b*G3が成り立つ。このとき第4の量G4はプラズマPにより反射される電気出力を特徴づけ、基本周波数f1の領域で反射される出力の成分が第1の量G1によって表され、基本周波数f1と混合生成物とを含む反射される出力の成分が第3の量G3によって表される。第1及び第2の重みづけ係数a、bを相応に選択することで、第4の量G4の形成のために、それぞれの成分を相応の仕方で重みづけすることができる。別の好ましい実施形態では、第4の量G4は、たとえば
図1を参照すべき第1の高周波発生器200による第1の高周波出力信号LS1の生成に影響を及ぼすために利用することができる。そのために装置100は、第4の量G4を高周波発生器200に伝送することができる。
図1に示す破線の矢印A2を参照。
【0085】
以下に
図3Bを参照しながら説明する別の好ましい実施形態では、装置100、100aは、第1の量G1と第2の量G2とに依存して、特に第1の量G1と第2の量G2との重みづけされた和として、第5の量G5を判定するために構成され、第1の量G1に第3の重みづけ係数cが割り当てられ、第4の量G4に第4の重みづけ係数dが割り当てられる。それに伴って次式G5=c*G1+d*G2が成り立つ。このとき第5の量G5はプラズマにより反射される電気出力を特徴づけ、基本周波数f1の領域で反射される出力の成分が第1の量G1によって表され、混合生成物を含むが基本周波数f1を含まない、反射される出力の成分が第2の量G2によって表される。第3及び第4の重みづけ係数c、dを相応に選択することで、第5の量G5の形成のためにそれぞれの成分を相応の仕方で重みづけすることができる。別の好ましい実施形態では、第5の量G5は、たとえば
図1を参照するべき第1の高周波発生器200による第1の高周波出力信号LS1の生成に影響を及ぼすために利用することができる。そのために装置100は、第5の量G5を高周波発生器200に伝送することができる。
図1に示す破線の矢印A2を参照。
【0086】
別の好ましい実施形態では、装置100、100aは、次の各量、第1の量G1、第2の量G2、第3の量G3、第4の量G4、第5の量G5のうち少なくとも1つを外部のユニット200に出力するために、及び/又は任意の表示装置110(
図1)を通じて出力するために構成される。上記の各量G1...G5のうちの1つ又は複数の出力は、たとえば第1の高周波発生器200へと行うことができ(
図1に示す矢印A2を参照)、別の実施形態では、たとえば第1の高周波発生器の動作ないし第1の高周波出力信号LS1の生成に、これに出力される量に依存して影響を及ぼすことができる。
【0087】
別の好ましい実施形態では、装置100は上記の各量G1...G5のうち少なくとも1つを表示するために(独自の)表示装置110を有する。それにより、たとえば装置100ないしプラズマシステムの利用者によって、相応に出力される量を視覚的に認知可能である。それにより、プラズマPの動作に関する、特にプラズマにより反射される電気出力に関する情報を利用者が得るという利点があり、基本周波数f1で反射される出力(第1の量G1)と、混合生成物ないし側波帯の領域で反射される出力(第2の量G2)との間で区別をすることができるという利点がある。
図5は、一例として施工された表示装置110a、110b、110cによって視覚的な出力をするこのような可能性を示唆している。
【0088】
図6は、別の実施形態に基づく高周波出力信号のスペクトル図を模式的に示している。基本周波数f1及び第2の周波数f2で、並びに、
図6では図の見やすさの理由から詳しくは示していない、基本周波数f1と第2の周波数f2との周波数和ないし周波数差を含む混合生成物で、プラズマPにより反射される電圧波Ur(
図1)の出力密度が基本周波数f1の周辺で示されている。別の好ましい実施形態では、基本周波数f1の領域でプラズマPにより反射される出力を表す目安を判定するために、第1のフィルタ曲線FC1によるフィルタリング(アナログ式又はデジタル式)が提案され、且つ基本周波数f1と混合生成物の領域でプラズマPにより反射される出力を表す目安を判定するために、第2のフィルタ曲線FC2によるフィルタリング(アナログ式又はデジタル式)が提案される。混合生成物の領域のみで(すなわち基本周波数f1の成分なしで)プラズマにより反射される出力を表す目安は、たとえばフィルタ曲線FC1、FC2によって得られる信号の差から判定することができる。上で
図6を参照して説明した実施形態では、たとえばベースバンド領域や中間周波数領域などの別の周波数領域への変換は必要ない。
【0089】
図7は、1つの実施形態に基づく、プラズマPから復路を進む電圧波の測定工学的に判定されたスペクトル図を周波数軸f’に対して模式的に示している。基本周波数f1での出力密度は比較的低いのに対して、基本周波数f1と第2の周波数f2との混合生成物と対応する側波帯SB1’、SB2’の成分は、比較的高い出力密度値を有している。
【0090】
図8は、スミス図表における軌跡T1として図示された、1つの実施形態に基づくプラズマPのインピーダンスの時間的推移を模式的に示している。任意の整合ネットワーク220(
図1)が存在している場合、軌跡T1は、
図1の第1の回線区域210aに関して右方を見たときの、プラズマと整合ネットワーク220との合成インピーダンスの時間的推移に相当する。
図8からわかるとおり、第1の高周波発生器200のインピーダンスに合わせた完全な出力整合は成立しない。むしろ、インピーダンスの位相と値がいずれも時間的に変化しており、このことは特に混合生成物によって引き起こされる。
【0091】
したがって別の好ましい実施形態では、装置100、100aは、プラズマPのインピーダンス(ないしプラズマPと整合ネットワーク220の各成分の合成インピーダンス)を判定するために、特にインピーダンスの時間的推移を判定するために、構成されることが意図されていてよい。それにより、インピーダンスのさまざまに異なる位相値によって特徴づけられ得る、高周波発生器200について生じる可能性のあるクリティカルな動作状態に関する情報を得ることができる。
【0092】
以下において、側波帯SB1、SB2(
図2C)の領域でプラズマPにより反射される電気出力による、第1の高周波発生器200に対するストレス効果の低減という観点からの別の好ましい実施形態を説明する。
【0093】
負荷インピーダンス(たとえばプラズマPと任意の整合ネットワーク220(
図1)との合成インピーダンス)が、いくつかの実施形態において、第1の高周波発生器200のインピーダンスに合わせて整合されていないと、高周波(HF)出力の部分的又は全面的な反射が生じる。それが該当するのは、たとえば「マッチボックス220プラスプラズマ室PCないしプラズマP」の系の負荷インピーダンスが、たとえば50オームの発生器インピーダンスに呼応していないケースである。このことは、たとえばマッチボックス220及び/又は高周波発生器200から出される高周波出力信号LS1の基本周波数f1の誤った調整によって、且つ/又はプラズマPの変化によって起こる可能性がある。スミス図表では、このような負荷インピーダンスは、たとえば中心点(=反射なし、負荷インピーダンスが発生器インピーダンスに呼応する)の外に位置する点によって表される。
【0094】
出願人の実験によれば、往路を進む電圧波Ui(
図1)と比較したときの反射される電圧波Ur(
図1)の位相位置に応じて、反射される電気出力に基づく第1の高周波発生器200にとってのストレスは、高周波発生器200のさまざまに異なるコンポーネントに対してさまざまに異なる影響を及ぼす。負荷のインピーダンスの位置がスミス図表の特定の領域にあるとき、第1の高周波発生器200のコンポーネントが熱による障害を受けることがあるのに対して、インピーダンスの位置がスミス図表の別の領域にあるときには、出力段(図示せず)の増幅部材(たとえばトランジスタ)が誤った切換(たとえばインダクタンス又は容量による切換)によって、且つ/又は過電圧によって損傷することが起こり得る。このことは、別の実施形態では、2つのHF発生源が3dB直角結合器にまとめられた3dB直角結合器を有する発生器のケースでも該当し得る。
【0095】
たとえば別の実施形態で、反射される電圧波Urが往路を進む基本波Uiと同じ周波数を有していないとき、このことは持続的な移相に相当する。このような反射された電圧波に相当するインピーダンスは、スミス図表では一定の点を表すのではなく、反射される電圧波Urの強さに直径が相当し、基本波に対する反射される電圧波Urの周波数オフセットに回転周波数が相当する円の上で絶えず動く点を表す。比較的高い周波数(基本周波数f1よりも高い周波数、
図2Cに示す上側の側波帯SB2を参照)は、角度が大きくなる方向への持続的な移相に相当し、それに伴って反時計回りに進む点に相当し、比較的低い周波数(基本周波数f1よりも低い周波数、
図2Cに示す下側の側波帯SB2を参照)は、時計回りに進む点に相当する。下側及び上側の側波帯における鏡像対称の2つの周波数(たとえば第1の周波数和fs_1と第1の周波数差fd_1、
図2Bを参照)では、それぞれの円が重なり合って1本の線になり、スミス図表ではその上で点が往復して進む。
図9のインピーダンスの軌跡T2を用いて、このことが模式的に示されている。
【0096】
復路を進む電圧波Urの成分が両方の周波数に関して等しい大きさでない場合、線が開いて楕円になる。
図10に示す軌跡T3を参照。基本周波数f1での追加の反射は、線の重心をスミス図表の中心から外れるように動かす。
図11に示す軌跡T4を参照。高次のスペクトル成分(たとえば第2の周波数和fs_2及び/又は第2の周波数差fd_2、
図2Bを参照)は線を湾曲させることがある。
図12に示す軌跡T5を参照。
【0097】
反射される電圧波Urにおける側波帯SB1、SB2の成分は、固定的なインピーダンスに相当するのではないため、第1の高周波発生器200ないしはその各コンポーネントは、側波帯の領域で反射される電気出力によって絶えずストレスを受けるわけではなく、さまざまな周波数オフセットのサイクルで、すなわちそれぞれの周波数和ないし周波数差と基本周波数f1との間の周波数差のサイクルで「のみ」ストレスを受ける。したがって別の好ましい実施形態では、側波帯SB1、SB2では基本周波数free1におけるよりも高い反射される電気出力が許容されていてよい。各実施形態に基づく第1の量G1と第2の量G2の判定は、別の実施形態では、側波帯に対応する反射される出力が設定可能な閾値を上回っているか否かの相応の判断を可能にするという利点がある。たとえばこのことは、別の実施形態では、使用される高周波発生器200の型式について、ないしはそのコンポーネントについて、特にプラズマシステムの作動中に判定される第2の量G2を評価したうえでチェックすることができる。
【0098】
別の好ましい実施形態では、-特に側波帯の領域で反射される電気出力の存在のもとでも-負荷のインピーダンスについて、特定の値領域が占められるべきでないことが意図されていてよい。このことは、たとえば時間的に変化するインピーダンスをスミス図表の軌跡として表現した場合、スミス図表によって表される複素インピーダンス平面における、軌跡ないしその一部が位置するべきでない、ないしは位置してはならない、少なくとも1つの領域に相当する。
【0099】
このような種類の回避されるべきインピーダンス領域が、一例として
図10に符号IG1によって表示されており、明確化のためにハッチングが付されている。プラズマPの瞬間インピーダンスは、領域IG1の内部に一時的にしか位置しないが(上記の説明を参照)、別の実施形態では、プラズマPの瞬間インピーダンスがいかなる時点でも領域IG1の中に位置しないように、軌跡T3が変調されると好ましい場合があり得る。
【0100】
たとえば別の好ましい実施形態では、このことは、たとえば高周波回線210の電気的な長さの変更によって惹起することができる位相シフトによって実現することができる。いくつかの実施形態では、たとえば高周波回線210の長さを、特に区域210a及び/又は区域210bの長さを変更して、特に軌跡T3を回避されるべき領域IG1から外に出るように動かす目的をもって、軌跡T3(
図10)の所望の回転を実現することが意図されていてよい。
【0101】
その代替又は補足として、別の実施形態では、高周波発生器200と、プラズマPないし任意の整合ネットワーク220との間に調相デバイスが設けられていてもよい。回線長さの適合化と、調相デバイスによるダイナミックな相回転との組合せも同じく考えられる。上に挙げた両方の方策(回線長さの変更、調相デバイス)はそれぞれ位相シフトを惹起し、それにより、実質的に側波帯SB1、SB2の影響によって生じるスミス図表でのインピーダンスの軌跡T3を、原点を中心として回転させることができる。
【0102】
図13は、好ましい実施形態に基づく高周波発生器400の簡略化したブロック図を模式的に示している。この高周波発生器400は、高周波信号s20を生成するために、好ましくは制御可能な発振器410(たとえば電圧制御発振器、VCO)を有しており、且つ任意選択として、好ましくは制御可能な増幅器として構成され、高周波信号s20を増幅するために構成されたドライバデバイス420を有しており、それによって増幅された高周波信号s21が得られる。さらにこの高周波発生器400は、ドライバデバイス420の出力信号s21をさらに増幅するために構成された、好ましくは同じく制御可能な出力増幅器430を有しており、それによって出力増幅器430の出力部では、好ましい実施形態ではたとえばプラズマPを励起するために利用可能である高周波出力信号LS1’が得られる。
図1に示す第1の高周波出力信号LS1も参照。
【0103】
任意選択として、高周波発生器400から発せられて往路を進む電圧波Ui’及び/又はプラズマP(
図1)から高周波発生器400へと復路を進む電圧波Ur’に関する情報を含む信号A1’を減結合するために構成された方向性結合器440が設けられる。信号A1’を装置100bに供給可能であり、この装置は上に説明した装置100ないし100aの機能性を有するのが好ましく、すなわち、第1の量G1と第2の量G2とを判定するために構成される。別の好ましい実施形態では、装置100bは、次の別の各量G3、G4、G5のうち少なくとも1つを判定するためにも構成される。装置100bも、
図17を参照してすでに上で説明したコンフィグレーション1000を少なくともほぼ有することができる。
【0104】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器400は、次の各量、第1の量G1、第2の量G2、第3の量G3、第4の量G4、第5の量G5のうち少なくとも2つに依存して高周波出力信号LS1’の生成を実行し、ないしはこれに影響を及ぼすために構成され、特に、上記の量G1からG5のうち少なくとも2つに依存して第1の制御器402によってこれを制御するために構成される。それにより、基本周波数f1の領域でプラズマPにより反射される電気出力だけでなく、側波帯SB1、SB2の領域でプラズマPにより反射される電気出力も考慮したうえで高周波発生器400の動作を実行し、ないしはこれに影響を及ぼすことができるという利点がある。特に、それによって基本周波数f1に関して理想的なインピーダンス整合ないし出力整合を行うことができるという特別な利点があり、それに応じて、基本周波数f1でプラズマPにより反射される電気出力がゼロになる。
【0105】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器400は次の各量、第1の量G1、第2の量G2、第3の量G3、第4の量G4、第5の量G5のうち少なくとも1つについての制御チャネルR1を有し、且つ次の各量、第1の量G1、第2の量G2、第3の量G3、第4の量G4、第5の量G5のうち少なくとも1つの別の量についての第2の制御チャネルR2を有する。任意の第3の制御チャネルも同じく考えられ、
図13では矢印R3によって表示されている。換言すると、別の好ましい実施形態では、各量G1...G5のうち少なくとも1つを、好ましくは複数を、高周波発生器400の少なくとも1つのコンポーネント410、420、430へ影響を及ぼすために利用することができる。
【0106】
別の好ましい実施形態では、高周波発生器400の制御のために、プラズマPないし負荷で反射される電気出力に依存して、反射される電気出力全体に占める基本周波数F1の成分と側波帯SB1、SB2の成分とがそれぞれ別様に重みづけされる。たとえば、側波帯SB1、SB2が高周波発生器400に対して基本周波数f1の半分のストレス効果しか有さない場合、制御についてPrgesamt=Prfundamental+0.5*Prsidebandとの想定がなされ、ここでPrgesamtはたとえば第5の量G5に相当し、Prfundamentalはたとえば第1の量G1に相当し、Prsidebandはたとえば第2の量G2に相当する。
図3Bに関する説明も参照。それに応じて本例では、第3の重みづけ係数cとして値1が適用され、第4の重みづけ係数dとして値0.5が適用される。別の好ましい実施形態では、重みづけ係数についてのこれ以外の値も同じく考えられ、たとえば高周波発生器400の回路コンポーネントに依存して、たとえば出力増幅器430のトランジスタ(図示せず)に依存して、たとえばトランジスタの耐電圧性などに応じて選択することができる。
【0107】
図14は、別の実施形態に基づく高周波発生器400aの簡略化したブロック図を模式的に示している。この高周波発生器400aは、たとえば
図13に示す高周波発生器400と比較できる構造を有していてよく、高周波出力信号LS1’’を出力するために構成されていてよい。
図14から明らかなように、高周波発生器400aには、高周波出力信号LS1’’の設定可能な移相を惹起する調相デバイス404が付属しており、それにより、たとえばプラズマP(
図1)へ供給可能である移相された高周波出力信号LS1’’’が得られる。調相デバイス404は、インピーダンスの軌跡に影響を及ぼすために、高周波出力信号LS1’’を通す高周波回線の回線長さの変更の代替又は補足として利用することができる。
図10を参照して上に行った説明も参照。
【0108】
図15は、1つの実施形態に基づく方法の簡略化したフローチャートを模式的に示している。第1のステップ500で、装置100(
図1)が、第1の周波数f1の領域でプラズマP(
図1)により反射される出力を特徴づける第1の量G1(
図3A)を判定する。ステップ502で、装置100が、第1の周波数領域でプラズマPにより反射される出力を特徴づける第2の量G2を判定し、第1の周波数領域は、第1の周波数f1と、第2の周波数f2の整数倍との、上に説明した設定可能な数の周波数和fs_1、fs_2、fs_3及び/又は周波数差fd_1、fd_2、fd_3(
図2B)を有する。いくつかの実施形態では、ステップ500、502を別の順序で、及び/又は少なくとも部分的に時間的に重なり合うように実行することもできる。
【0109】
任意のステップ510で、装置100が第3の量G3をa)第1の量G1と第2の量G2の和として、及び/又はb)第4の量s4に依存して判定する。
図4を参照。任意選択としてステップ510で、すでに判定されている量G1、G2、G3から、たとえば第4の量G4(
図5)及び/又は第5の量G5(
図3B)及び/又はこれから導き出される量など、さらに別の量を判定し、ないしは導き出すことができる。
【0110】
同じく任意の別のステップ520で、装置100が量G1からG5のうち少なくとも1つを外部のユニットへ、たとえば第1の高周波発生器200へ出力する。その代替又は補足として、装置100が量G1からG5のうち少なくとも1つを表示装置110(
図1)を介して出力し、それにより、1つ又は複数の量を人間によって視覚的に認知可能となる。このことは、プラズマシステムないし第1の高周波発生器200の動作のコントロールを可能にするという利点がある。
【0111】
図16は、
図4を参照して上で説明したコンフィグレーションに追加して、プラズマPに向かって往路を進む電圧波Uiの考慮がなされた別の実施形態の簡略化したブロック図を模式的に示している。そのために方向性結合器230により、プラズマPに向かって往路を進む電圧波Uiを特徴づける信号s10が提供される。
【0112】
信号s10が別の入力フィルタ101によってフィルタリングを施され、特にローパスフィルタリングを施され、それによりローパスフィルタリングされた信号s10’が得られ、これがアナログ/デジタル変換器(ADC)103によって時間的かつ数値的に離散したデジタル信号s10’’へと変換される。別の入力フィルタ101は、ADC103の帯域幅に合わせて適合化されるのが好ましい。
【0113】
好ましくは局部発振器信号LOとの混合によって、特に乗算によって、デジタル信号s10’’に下方変換が施され、それによって別の信号s12が得られる。信号s12は(デジタルの)ベースバンド信号(局部発振器信号LOの周波数が基本周波数f1に実質的に相当する)であるのが好ましいが、別の実施形態では、中間周波数信号(局部発振器信号LOの周波数が基本周波数f1よりも低い)であってもよい。
【0114】
複素値のベースバンド信号s2、s12の知見のもとで、負荷(プラズマP、ないしプラズマPと任意の整合ネットワーク220(
図1)との組合せ)の(通常は)同じく複素であるインピーダンスを判定できるという利点がある。
【0115】
別の好ましい実施形態では、装置100、100a、100bは、負荷のインピーダンスに追加的に依存して第4の量G4及び/又は第5の量G5を判定するために構成される。特に、たとえば第4の量G4及び/又は第5の量G5の判定にあたって利用される重みづけ係数a、b、c、dを、場合により負荷のインピーダンスに依存して、たとえばインピーダンスや位相の時間的な平均値に依存して、好ましくはスミス図表での軌跡の位置を考慮したうえで形成し、ないしは変更することができる。
【0116】
各実施形態に基づく原理は、特にマルチ周波数プラズマシステムにおいて基本周波数に関して改善された出力整合を可能にするとともに、プラズマPの励起の正確な特徴づけを可能にする。さらに、各実施形態に基づく原理は、側波帯SB1、SB2の領域で反射される出力による第1の高周波発生器200の負荷を正確に決定し、場合により低減することを可能にする。
【0117】
別の好ましい実施形態は、第1の量G1と第2の量G2とを表示装置及び/又は機械可読のインターフェースへ両方の量G1、G2の区別可能な表示及び/又は処理のために伝送するための、各実施形態に基づく装置及び/又は方法の利用法に関する。
【0118】
別の好ましい実施形態は、制御のために第1の量G1と第2の量G2とがゼロに等しくないそれぞれ相違する重みづけ係数をもって制御に取り込まれる、高周波発生器200、400、400aを制御するための、各実施形態に基づく装置及び/又は方法の利用法に関する。
【0119】
別の好ましい実施形態は、制御のために第1の量G1と第2の量G2とがそれぞれ相違する重みづけ係数をもって、特に第1の量G1が第2の量G2よりも数値的に大きい重みづけ係数をもって制御に取り込まれる、インピーダンス整合装置を、特に整合ネットワーク220を制御するための、各実施形態に基づく装置及び/又は方法の利用法に関する。