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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20240227BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20240227BHJP
   H02K 29/08 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K5/22
H02K29/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021530907
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 KR2019015300
(87)【国際公開番号】W WO2020116805
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0154428
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】チェ テ ホ
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154673(JP,A)
【文献】特開2016-082815(JP,A)
【文献】特開2018-126043(JP,A)
【文献】特開平06-351213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/215
H02K 5/22
H02K 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングを覆うように配置されるカバーと、
前記ハウジング内に配置されるステータと、
前記ステータの内側に配置されるロータと、
前記ロータの中央に配置されるシャフトと、
前記シャフトの端部に配置されるセンシングマグネットと、
前記センシングマグネットを感知するセンサを含む回路基板と、
前記センサを覆うように配置されるシーリング部材を含み、
前記カバーに形成されたホールの内部に前記センサが配置され、
前記センシングマグネットの一面は前記シーリング部材と接触する、モータ。
【請求項2】
前記ホールは内径が異なる第1領域と第2領域を含み、
前記第1領域の内径は前記第2領域の内径より大きく、
前記シーリング部材は前記第1領域に配置される、請求項に記載のモータ。
【請求項3】
前記シーリング部材は前記ホールを通じて前記センサに塗布されて硬化する、請求項に記載のモータ。
【請求項4】
前記センシングマグネットは前記シーリング部材を挟んで前記センサと向かい合うように配置される、請求項に記載のモータ。
【請求項5】
ハウジングと
前記ハウジングを覆うように配置されるカバーと
前記ハウジング内に配置されるステータと
前記ステータの内側に配置されるロータと
前記ロータの中央に配置されるシャフトと
前記シャフトの端部に配置されるセンシングマグネットと
前記センシングマグネットを感知するセンサを含む回路基板を含み、
前記カバーに形成されたホールの内部に前記センサが配置され、
前記ロータは、
ロータコアと前記ロータコアの外周面に互いに離隔するように配置される複数個のマグネットを含むロータ部と、
前記ロータ部の上部と下部をそれぞれ覆う一対の缶を含み、
前記缶は、
板状のプレート部と、
前記プレート部の外周面から軸方向に突出した側壁部と、
前記プレート部から突出した少なくとも二つの突出部を含み、
前記突出部は前記ロータコアに向かって突出する、モータ。
【請求項6】
前記突出部は前記プレート部の一領域を切開し加圧して形成される、請求項に記載のモータ。
【請求項7】
前記プレート部は中央に形成されたホールを含み、
前記ロータの中心(C)を基準として前記プレート部の内周面までの半径は前記ロータコアの外周面までの距離より小さい、請求項に記載のモータ。
【請求項8】
前記突出部は前記プレート部から折り曲げられて延びた連結部および前記連結部から延びた支持部を含み、
前記支持部は前記ロータコアの一側と接触する、請求項に記載のモータ。
【請求項9】
前記支持部が前記ロータコアによって加圧されることによって、前記支持部と前記連結部が会う一領域が前記ロータコアと線接触する、請求項に記載のモータ。
【請求項10】
一対の前記缶の前記側壁部の軸方向の長さの和は前記ロータコアの軸方向の長さより大きい、請求項に記載のモータ。
【請求項11】
前記突出部は中心を基準として回転対称となるように少なくとも一対が配置される、請求項に記載のモータ。
【請求項12】
前記缶の厚さは3.0~3.5Tである、請求項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例はモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータは電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換させて回転力を得る装置であって、車両、家庭用電化製品、産業用機器などに広範囲に使われる。特に、前記モータは自動車の操向安定性を保障するための装置に利用され得る。例えば、前記モータは電動式操向装置(EPS;Electronic Power Steering System)などの車両用モータに使われ得る。
【0003】
前記モータはハウジング(housing)、シャフト(shaft)、ハウジングの内部に配置されるステータ(stator)、シャフトの外周面に設置されるロータ(rotor)などを含むことができる。ここで、前記モータのステータはロータとの電気的相互作用を誘発してロータの回転を誘導する。そして、前記ロータの回転によりシャフトも回転する。
【0004】
前記モータはロータの位置を感知して制御することができる。それにより、前記ロータの位置を感知するために、前記モータはセンシングマグネットと前記センサマグネットを感知するセンサが配置される回路基板をさらに含むことができる。
【0005】
ここで、センシング性能を満足するために、前記センシングマグネットと前記センサの間の距離が非常に重要である。しかし、前記モータの軸方向(前記シャフトの長さ方向)のサイズの制限を要求する使用者の要請によって前記距離を維持するのに困難がある。
【0006】
一方、前記ロータには複数個のマグネットが設置されるが、前記ロータはロータコアの表面にマグネットが付着されるSPM(Surface Permanent Magnet)タイプのロータで形成され得る。
【0007】
このようなロータは前記マグネットの離脱防止およびサビ防止のために缶を利用することができる。
【0008】
ロータコアにマグネットを付着した状態で、上部側と下部側でそれぞれ前記缶を挿入して前記マグネットを完全に覆うように前記缶は二つの部材で提供され得る。
【0009】
しかし、前記缶の組立公差によって二つの部材間に所定のギャップが形成され得、前記ギャップによってマグネットが露出してサビが形成される問題を誘発させ得る。
【0010】
ただし、前記部材の厚さが0.15Tのように薄い場合には、前記ギャップを最小化することはできるものの、前記モータの高速駆動時に剛性を確保することが難しい。
【0011】
また、前記部材の厚さが0.3T以上に厚く形成される場合、前記缶の剛性が増加するため組立性が低下し得る。また、前記缶の端部が互いに接触するように前記缶を圧入する時、前記缶に印加される過度な荷重によって前記マグネットが破損する問題がある。
【0012】
したがって、前記ギャップの形成を防止しながらも剛性を確保できる缶が要請されているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
実施例はハウジングの開口を覆うように配置されるカバーにホールを形成し、前記ホールの内部にセンサを配置して前記センサとセンシングマグネットの間の所定の距離を確保することによって、センシング性能を確保し、軸方向サイズを縮小できるモータを提供する。
【0014】
実施例は所定の厚さで形成されたキャップにロータコアを弾性支持できる弾性構造を具現することによって、組立公差にかかわらずキャップの間にギャップの形成を防止しながらも剛性を確保できるモータを提供する。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題は実施例により、ハウジングと、前記ハウジングを覆うように配置されるカバーと、前記ハウジングの内部に配置されるステータと、前記ステータの内側に配置されるロータと、前記ロータの中央に配置されるシャフトと、前記シャフトの端部に配置されるセンシングマグネットと、前記センシングマグネットを感知するセンサを含む回路基板を含み、前記カバーに形成されたホールの内部に前記センサが配置されるモータによって達成される。
【0017】
ここで、前記モータは前記センサを覆うように配置されるシーリング部材をさらに含むことができる。
【0018】
そして、前記ホールは内径が異なる第1領域と第2領域を含み、前記第1領域の内径は前記第2領域の内径より大きく、前記シーリング部材は前記第1領域に配置され得る。
【0019】
そして、前記カバーに前記回路基板が結合された状態で、前記シーリング部材は前記ホールを通じて前記センサに塗布されて硬化され得る。
【0020】
そして、前記センシングマグネットは前記シーリング部材を挟んで前記センサと向かい合うように配置され得る。
【0021】
そして、前記センシングマグネットの一面は前記シーリング部材と接触し得る。
【0022】
一方、前記ロータは、ロータコアと前記ロータコアの外周面に互いに離隔するように配置される複数個のマグネットを含むロータ部と、前記ロータ部の上部と下部をそれぞれ覆う一対の缶を含み、前記缶は板状のプレート部と、前記プレート部の外周面から軸方向に突出した側壁部と、前記プレート部から突出した少なくとも二つの突出部を含み、前記突出部は前記ロータコアに向かって突出するように形成され得る。
【0023】
ここで、前記突出部は前記プレート部の一領域を切開し加圧して前記缶に形成され得る。
【0024】
そして、前記プレート部は中央に形成されたホールを含み、前記ロータの中心Cを基準として前記プレート部の内周面までの半径は前記ロータコアの外周面までの距離より小さくてもよい。
【0025】
そして、前記突出部は前記プレート部から折り曲げられて延びた連結部および前記連結部から延びた支持部を含み、前記支持部は前記ロータコアの一側と接触し得る。
【0026】
そして、前記支持部が前記ロータコアによって加圧されることによって、前記支持部と前記連結部が会う一領域が前記ロータコアと線接触することができる。
【0027】
また、一対の前記缶の前記側壁部の軸方向の長さの和は前記ロータコアの軸方向の長さより大きくてもよい。
【0028】
また、前記突出部は中心を基準として回転対称となるように少なくとも一対が向かい合うように配置され得る。
【0029】
また、前記缶の厚さは3.0~3.5Tであり得る。
【発明の効果】
【0030】
前記のような構成を有する実施例に係るモータは、ハウジングの開口を覆うように配置されるカバーにホールを形成し、前記ホールの内部にセンサを配置して前記モータの軸方向サイズを縮小させることができる。
【0031】
この時、前記ホールの内部にセンサを覆うように配置されるシーリング部材を利用してシーリング力を向上させることができる。
【0032】
また、前記シーリング部材に接触するようにセンシングマグネットを配置してセンサとセンシングマグネットの間の距離を確保することによって、センシング性能に対する一貫した品質を維持することができる。
【0033】
一方、前記モータは所定の厚さで形成されたキャップにロータコアを弾性支持できる弾性構造を具現することによって、組立公差にかかわらずキャップの間にギャップの形成を防止しながらも剛性を確保できる。
【0034】
実施例の多様かつ有益な長所と効果は前述した内容に限定されず、実施例の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施例に係るモータを示す斜視図である。
図2】実施例に係るモータを示す断面図である。
図3図2のA領域を示す拡大図である。
図4】実施例に係るモータのカバーを示す斜視図である。
図5】実施例に係るモータのカバーを示す断面図である。
図6】実施例に係るモータのロータを示す斜視図である。
図7】実施例に係るモータのロータを示す分解斜視図である。
図8】実施例に係るモータの缶を示す斜視図である。
図9】実施例に係るモータの缶を示す平面図である。
図10図9のC-C線を示す断面図である。
図11】実施例に係るモータに配置されるロータにおいて、ロータコアと缶の突出部の間の配置関係に対する一実施例を示す図面である。
図12】実施例に係るモータに配置されるロータにおいて、ロータコアと缶の突出部の間の配置関係に対する他の実施例を示す図面である。
図13】実施例に係るモータに配置されるロータにおいて、ロータコアと缶の突出部の間の配置関係に対するさらに他の実施例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0037】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想範囲内であれば、実施例間にその構成要素のうち一つ以上を選択的に結合、置換して使うことができる。
【0038】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0039】
また、本発明の実施例で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。
【0040】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうちなくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせられ得るすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0041】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0042】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0043】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0044】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」と表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含み得る。
【0045】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素は同一参照番号を付し、これに対する重複する説明は省略することにする。
【0046】
図1は実施例に係るモータを示す斜視図であり、図2は実施例に係るモータを示す断面図であり、図3図2のA領域を示す拡大図である。ここで、図2図1のA-A線を示す断面図である。そして、図2でy方向は軸方向を意味し、x方向は半径方向を意味する。
【0047】
図1図3を参照して詳察すると、実施例に係るモータ1は一側に開口が形成されたハウジング100、ハウジング100の上部に配置されるカバー200、ハウジング100の内部に配置されるステータ300、ステータ300の内側に配置されるロータ400およびロータ400とともに回転するシャフト500、シャフト500の一側端部に配置されるセンシングマグネット600およびカバー200の上部に配置される回路基板700を含むことができる。また、前記モータ1は回路基板700に配置されるセンサ710を覆うように配置されるシーリング部材800をさらに含むことができる。この時、前記モータ1の回路基板700に配置されるセンサ710は、前記センシングマグネット600を感知してシャフト500の回転を感知することができる。ここで、前記内側とは前記半径方向を基準として中心Cに向かって配置される方向を意味し、外側とは前記内側と反対となる方向を意味する。
【0048】
一方、前記モータ1はステータ300の上部に配置されるバスバー(図示されず)またはステータ300のインシュレーター330に配置されるバスバーターミナルをさらに含むことができる。そして、前記バスバーまたは前記バスバーターミナルはステータ300のコイル320と電気的に連結され得る。
【0049】
ハウジング100とカバー200は前記モータ1の外形を形成することができる。そして、ハウジング100とカバー200の結合によって収容空間が形成され得る。それにより、前記収容空間には、図2に図示された通り、ロータ400、ステータ300、シャフト500などが配置され得る。この時、シャフト500は前記収容空間に回転可能に配置され得る。このため、前記モータ1はシャフト500に配置されるベアリング10を含むことができる。
【0050】
前記ハウジング100は円筒状に形成され得る。そして、ハウジング100は内部にステータ300、ロータ400およびシャフト500などを収容することができる。この時、ハウジング100の形状や材質は多様に変形され得る。例えば、ハウジング100は高温でもよく耐え得る金属材質で形成され得る。
【0051】
前記カバー200は前記ハウジング100の開口を覆うようにハウジング100の開口面、すなわちハウジング100の上部に配置され得る。
【0052】
図4は実施例に係るモータのカバーを示す斜視図であり、図5は実施例に係るモータのカバーを示す断面図である。ここで、図5図4のB-B線を示す断面図である。
【0053】
図4および図5を参照すると、カバー200はホール210を含むことができる。
【0054】
前記ホール210は軸方向に貫通するように形成され得る。この時、ホール210の中心Cはシャフト500の中心Cと仮想の同一線上に配置され得る。
【0055】
前記ホール210は内径が異なる第1領域211と第2領域212を含むことができる。図5に図示された通り、前記第1領域211の内径D1は前記第2領域212の内径D2より大きい。そして、前記第1領域211はシーリング部材800を考慮して第2領域212の上部に配置され得る。
【0056】
前記ステータ300はハウジング100の内周面によって支持され得る。そして、ステータ300はロータ400の外側に配置され得る。すなわち、ステータ300の内側にはロータ400が配置され得る。
【0057】
図2を参照すると、ステータ300はステータコア310、ステータコア310に巻線されるコイル320、およびステータコア310とコイル320の間に配置されるインシュレーター330を含むことができる。
【0058】
前記ステータコア310には回転磁界を形成するコイル320が巻線され得る。ここで、ステータコア310は一つのコアからなるか、複数個の分割コアが結合されてなり得る。
【0059】
また、前記ステータコア310は薄い鋼板の形態の複数個のプレートが互いに積層された形態で形成され得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ステータコア310は一つの単一品で形成されてもよい。
【0060】
前記ステータコア310は円筒状のヨーク(図示されず)と前記ヨークから半径方向に突出した複数個のトゥース(図示されず)を含むことができる。そして、前記トゥースにはコイル320が巻線され得る。
【0061】
前記インシュレーター330はステータコア310とコイル320を絶縁させる。それにより、インシュレーター330はステータコア310とコイル320の間に配置され得る。
【0062】
したがって、前記コイル320はインシュレーター330が配置されたステータコア310のトゥース312に巻線され得る。
【0063】
前記ロータ400はステータ300の内側に配置され得る。そして、ロータ400はシャフト500が挿入されるように中心部に形成されたホールを含むことができる。それにより、ロータ400の前記ホールにはシャフト500が結合され得る。ここで、前記ロータ400はステータ300に回転可能に配置され得る。
【0064】
図6は実施例に係るモータのロータを示す斜視図であり、図7は実施例に係るモータのロータを示す分解斜視図である。
【0065】
図6および図7を参照すると、前記ロータ400はロータコア411と前記ロータコア411の外周面に互いに離隔するように配置される複数個のマグネット412を含むロータ部410および前記ロータ部410の上部と下部をそれぞれ覆う一対の缶420を含むことができる。この時、一対の缶420の端部は互いに接触するように配置されて異物などがロータ部410に流入することを防止することができる。
【0066】
ここで、前記缶420は同一の形状に形成され得る。それにより、ロータ部410の上部と下部にそれぞれ配置される缶420の共用化が可能であるため、生産単価を減少させることができる。
【0067】
したがって、前記缶420はロータ部410を取り囲むように配置されてロータ部410のマグネット412の離脱およびサビの発生を防止することができる。
【0068】
図7を参照すると、前記ロータ部410はロータコア411とロータコア411の外周面に既設定された間隔で互いに離隔するように配置される複数個のマグネット412を含むことができる。ここで、マグネット412はロータマグネットまたはドライブマグネットと呼ばれ得る。
【0069】
前記ロータコア411は円形の薄い鋼板の形態の複数個のプレートが積層された形状で実施されたりまたは一つの筒の形態で実施され得る。それにより、ロータコア411は軸方向に所定の長さL1を有するように形成され得る。ここで、ロータコア411の長さは第1長さと呼ばれ得る。
【0070】
そして、前記ロータコア411の中心Cにはシャフト500が結合するホールが形成され得る。
【0071】
前記マグネット412は既設定された間隔で互いに離隔するようにロータコア411の外周面に配置され得る。この時、マグネット412はボンドのような接着部材を利用してロータコア411の外周面に付着され得る。図7に図示された通り、前記マグネット412はスキューが形成されるように上下に二つが配置され得る。そして、前記スキューが形成されたマグネット412は円周方向に沿って複数個がロータコア411の外周面に配置され得る。ここで、前記スキューとは軸方向に対して上部に配置されるマグネット412と下部に配置されるマグネット412のずれを意味し得る。
【0072】
前記缶420は中央にホールが形成されたカップ状に形成され得、ロータ部410の上部と下部をそれぞれ覆うように配置され得る。ここで、前記缶420はキャップと呼ばれ得る。
【0073】
前記缶420は外部衝撃や物理、化学的な刺激からロータ部410を保護しつつ、ロータ部410に異物が流入することを遮断することができる。
【0074】
ここで、前記缶420の厚さは3.0~3.5Tであり得る。例えば、前記缶420の厚さが0.15Tのように薄い場合、前記モータ1の高速駆動時に剛性の確保が難しい。このため、前記モータ1は缶420の厚さを3.0~3.5Tで形成して剛性を確保することができる。この時、前記ロータコア411が複数個のプレートが積層された形状で実施される場合、前記プレートの厚さは0.5Tであり得る。
【0075】
また、前記モータ1は缶420に突出部423を形成してロータコア411を弾性支持できるようにすることによって、ロータコア411の軸方向長さL1に対する組立性の側面の制限を克服して一対の缶420の端部が互いに接触するようにすることができる。したがって、前記モータ1は缶420に形成された突出部423を通じてロータ400の組立性および缶420の汎用性を向上させることができる。
【0076】
図8は実施例に係るモータの缶を示す斜視図であり、図9は実施例に係るモータの缶を示す平面図であり、図10図9のC-C線を示す断面図である。
【0077】
図8図10を参照すると、缶420はロータ部410の上部または下部に配置されるプレート部421、プレート部421の外周面から軸方向に突出した側壁部422およびプレート部421からロータ部410に向かって突出するように形成された突出部423を含むことができる。ここで、前記プレート部421、側壁部422および突出部423は一体に形成され得る。
【0078】
プレート部421は中央にホール421aが形成された円板で形成され得る。ここで、前記ホール421aは所定の半径Rを有する円形に形成され得る。それにより、ロータ400の中心Cまたはプレート部421の中心Cを基準として前記プレート部421の内周面までの半径Rは、前記ロータコア411の外周面までの距離より小さくてもよい。したがって、前記プレート部421からロータ部410に向かって突出するように形成された突出部423はロータコア411の上面または下面と接触し得る。
【0079】
図7に図示された通り、前記プレート部421は水平上リング状に形成され得る。
【0080】
前記プレート部421はロータコア411の一部およびマグネット412を覆うように配置され得る。例えば、ロータ400の中心Cを基準としてプレート部421の内周面までの距離はロータコア411の外周面までの距離より小さい。
【0081】
前記側壁部422はプレート部421の外周面から軸方向に突出するように形成され得る。
【0082】
前記側壁部422は軸方向に所定の長さL2を有するように形成され得る。この時、側壁部422の軸方向長さL2の基準はプレート部421の下面であり得る。ここで、前記側壁部422の軸方向長さL2は第2長さと呼ばれ得る。そして、前記側壁部422の軸方向長さL2はロータコア411の軸方向長さL1の1/2より大きくてもよい。
【0083】
例えば、一対の前記缶420の前記側壁部422の軸方向長さL2の和は前記ロータコア411の軸方向長さL1より大きい場合もあるため、一対の前記缶420の端部は互いに接触するように配置され得る。
【0084】
前記側壁部422は円筒状に形成され得る。
【0085】
前記側壁部422はマグネット412の外側に配置され得る。それにより、側壁部422はマグネット412が半径方向に流動することを防止する。すなわち、側壁部422はマグネット412の外側面を支持して前記ロータ400の回転による遠心力に対応することができる。
【0086】
前記突出部423はプレート部421に少なくとも二つが形成され得る。そして、複数個の突出部423はプレート部421の円周方向に沿って既設定された間隔で相互に離隔して配置され得る。例えば、三個の突出部423は中心Cを基準として120度間隔で配置され得る。それにより、前記缶420がロータ部410に配置される時、前記突出部423により軸方向に対して缶420が傾くことが防止され得る。
【0087】
一方、前記突出部423が偶数個で配置される場合、突出部423は中心Cに対して互いに対称となるように配置され得る。そして、前記突出部423は中心Cを基準として回転対称となるように少なくとも一対が配置され得る。図9に図示された通り、四個の突出部423は中心Cを基準として90度間隔で回転対称となるように配置され得る。
【0088】
前記突出部423は、プレート部421の一面からロータコア411に向かって突出するように形成され得る。ここで、前記突出部423はプレート部421の一領域を切開し加圧して形成され得る。それにより、前記ロータ部410に缶420を挿入する時、前記突出部423の一部はロータコア411に接触してロータコア411を弾性支持することができる。
【0089】
図10を参照すると、前記突出部423はプレート部421から折り曲げられて延びた連結部423aおよび前記連結部423aから延びた支持部423bを含むことができる。ここで、前記支持部423bはプレート部421と所定の間隔で離隔するように配置され得る。
【0090】
したがって、前記連結部423aがプレート部421の一面に対して傾斜するように配置され、前記支持部423bはプレート部421と所定の間隔で離隔するように連結部423aから延びるため、前記突出部423はロータコア411を支持する弾性構造を具現することができる。ここで、前記突出部423の軸方向突出長さL3の基準はプレート部421の下面であり得る。
【0091】
前記ロータ部410に缶420を結合する時、図8に図示された通り、支持部423bはロータコア411の一側と接触し得る。例えば、前記ロータ部410の上部に配置される缶420の場合、前記缶420の支持部423bはロータコア411の上面と接触し得る。
【0092】
したがって、前記ロータ部410と缶420の結合に対する軸方向の組立公差が発生しても、前記プレート部421を基準として突出部423の軸方向突出長さL3だけ組立公差を補償することができる。
【0093】
したがって、前記ロータコア411の軸方向長さL1の1/2より側壁部422の軸方向長さL2が大きく形成されるため、一対の缶420の端部は互いに接触できるようになり得る。この時、前記プレート部421を基準として、側壁部422の軸方向長さL2から突出部423の突出長さL3を差し引いた長さよりロータコア411の軸方向長さL1の1/2が長い場合でも突出部423の突出長さL3だけ補償できるため、前記ロータコア411の上面または下面は突出部423を加圧して配置され得る。それにより、一対の缶420の端部は互いに接触するようになり得る。そして、前記缶420の接触した端部は接着部材または溶接を通じて固定され得る。
【0094】
図11は実施例に係るモータに配置されるロータにおいて、ロータコアと缶の突出部の間の配置関係に対する一実施例を示す図面である。
【0095】
図11を参照すると、前記側壁部422の軸方向長さL2から突出部423の突出長さL3を差し引いた長さよりロータコア411の軸方向長さL1の1/2が小さい場合、突出部423は軸方向に前記ロータコア411と離隔するように配置される。この時、一対の缶420の端部は互いに接触するように配置され得る。
【0096】
図12は実施例に係るモータに配置されるロータにおいて、ロータコアと缶の突出部の間の配置関係に対する他の実施例を示す図面である。
【0097】
図12を参照すると、前記側壁部422の軸方向長さL2から突出部423の突出長さL3を差し引いた長さとロータコア411の軸方向長さL1の1/2が同一の場合、突出部423はロータコア411の上面または下面と接触することになる。この時、一対の缶420の端部は互いに接触するように配置され得る。
【0098】
図13は実施例に係るモータに配置されるロータにおいて、ロータコアと缶の突出部の間の配置関係に対するさらに他の実施例を示す図面である。
【0099】
図13を参照すると、前記側壁部422の軸方向長さL2から突出部423の突出長さL3を差し引いた長さよりロータコア411の軸方向長さL1の1/2が大きい場合、前記ロータコア411は突出部423を加圧することになる。この時、前記突出部423の突出長さL3だけ前記突出部423がプレート部421から突出して配置されても、一対の缶420の端部は互いに接触するように配置され得る。
【0100】
ここで、前記突出部423の支持部423bが前記ロータコア411により加圧されることによって、前記支持部423bと前記連結部423aが会う一領域が前記ロータコア411と線接触することができる。
【0101】
前記シャフト500はベアリング10によりハウジング100の内部で回転可能に配置され得る。そして、シャフト500はロータ400の回転に連動して共に回転することができる。
【0102】
前記センシングマグネット600はシャフト500の一側端部に配置され得る。ここで、センシングマグネット600は回路基板700のセンサ710と所定の離隔間隔Dを有するように配置され得る。
【0103】
そして、前記センシングマグネット600の一側は前記シーリング部材800と接触するように配置され得る。それにより、前記回路基板700が配置されたカバー200をハウジング100と結合する時、前記センサ710とセンシングマグネット600はシーリング部材800を通じて前記離隔間隔Dを確保できるため、前記モータ1のセンシング性能に対する一貫した品質を維持することができる。
【0104】
図1および図2を参照すると、前記回路基板700はカバー200の上部に配置され得る。ここで、前記回路基板700は印刷回路基板(PCB)であり得る。
【0105】
そして、前記回路基板700にはセンサ710が実装され得る。この時、前記センサ710はセンシングマグネット600と向かい合うように所定の離隔間隔Dを有するように回路基板700に配置され得る。ここで、前記センサ710はホールIC(Hall IC)で提供され得る。そして、前記センサ710はセンシングマグネット600のN極とS極の変化を感知してセンシングシグナルを生成することができる。
【0106】
したがって、前記回路基板700のセンサ710はロータ400と回転連動可能に設置されたセンシングマグネット600の磁力を感知してロータ400の現在の位置を把握できるようにする。
【0107】
前記シーリング部材800はセンサ710を覆うように前記回路基板700に配置され得る。ここで、前記シーリング部材800は弾性力を有する材質で形成され得る。
【0108】
前記シーリング部材800は前記ホール210を通じて前記センサ710に塗布されて硬化され得る。例えば、回路基板700がカバー200に結合された状態で前記シーリング部材800はホール210を通じて前記センサ710に塗布されて硬化され得る。そして、回路基板700およびシーリング部材800が設置されたカバー200はハウジング100と結合することができる。
【0109】
ここで、前記シーリング部材800はセンサ710に塗布されて硬化するものをその例としているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、別物で提供されるシーリング部材800がセンサ710を覆うように配置されてもよい。それにより、別物で提供されるシーリング部材800を通じて塗布型シーリング部材800の硬化時間を短縮することができるため、生産力を向上させることができる。
【0110】
一方、前記シーリング部材800はホール210に配置されてハウジング100とカバー200の間のシーリング力を確保することができる。
【0111】
図3を参照すると、前記シーリング部材800はホール210の第1領域211に配置され得る。それにより、前記シーリング部材800の下部にはセンシングマグネット600が接触するように配置され得る。そして、前記シーリング部材800によりセンサ710とセンシングマグネット600の間には所定の離隔間隔Dが維持され得る。
【0112】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0113】
1:モータ
100:ハウジング
200:カバー
300:ステータ
310:ステータコア
330:コイル
400:ロータ
410:ロータ部
411:ロータコア
412:マグネット
420:缶
500:シャフト
600:センシングマグネット
700:回路基板
800:シーリング部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13