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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】凹状の対象物を形成する装置と方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20240227BHJP
   B29B 11/12 20060101ALI20240227BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20240227BHJP
   B29C 49/02 20060101ALI20240227BHJP
   B29C 49/08 20060101ALI20240227BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B29C43/34
B29B11/12
B29C43/02
B29C49/02
B29C49/08
B29C51/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021532891
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2019060610
(87)【国際公開番号】W WO2020121190
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】102018000010919
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509238432
【氏名又は名称】サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ プッチ
(72)【発明者】
【氏名】フィオレンツォ パリネッロ
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-344253(JP,A)
【文献】米国特許第06083449(US,A)
【文献】国際公開第2005/058572(WO,A1)
【文献】特開2009-073095(JP,A)
【文献】特表2018-530462(JP,A)
【文献】特開2018-171876(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0056952(KR,A)
【文献】独国特許出願公開第10235845(DE,A1)
【文献】特開2009-226766(JP,A)
【文献】特開2000-238734(JP,A)
【文献】特開2006-346989(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122412(WO,A1)
【文献】特開2014-73580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
B29C 43/00-43/58
B29C 51/00-51/46
B29B 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリマー材料で作られた前処理済みの素子を提供する段階と、
成形キャビティを有する雌型部品内に、前記前処理済みの素子を導入する段階と、
鋳型内において前記雌型部品と雄型部品との間で前記前処理済みの素子を成形する段階と、を含む方法であって、
前記雌型部品及び前記雄型部品は、前記前処理済みの素子から凹状の対象物を形成するように、成形方向に沿って互いに相対的に移動可能で、
前記成形キャビティは、前記成形方向に対して横方向に測定された横方向寸法を有し、前記成形キャビティは、前記横方向寸法が大きい値から小さい値へと徐々に減少する漏斗状の表面によって規定された遷移領域をさらに有し、前記成形キャビティは底部をさらに有し、
前記処理済みの素子を導入する段階の間に、前記前処理済みの素子は、前記成形キャビティ内に配置され、かつ前記成形キャビティ内の上部内の前記遷移領域上で静止し、それにより前記成形キャビティの底部から距離を置いて漏斗状の表面上に留まり
前記処理済みの素子は溶融状態のある分量のポリマー材料で、
前記分量は、可塑化装置によって供給される連続構造から切断され、
前記分量は、該分量を前記可塑化装置から前記鋳型へ輸送する輸送素子によって前記雌型部品へ放出される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記漏斗状の表面が、切頭円錐形状を有する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記漏斗状の表面が、前記雄型部品に面する凹部を有する凹形状、又は、前記雄型部品に面する凸部を有する凸形状を有する方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の方法であって、
前記成形キャビティが、底部と前記遷移領域との間に介在する中間領域を有し、
前記中間領域は、前記成形方向に対して垂直に測定された内部寸法を有し、
当該内部寸法は前記成形方向に沿って一定である、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記前処理済みの素子は、前記成形方向に対して横方向に測定された寸法を有し、
前記寸法は、前記中間領域の前記横方向寸法よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の方法であって、前記前処理済みの素子は、該前処理済みの素子の周縁部全体に沿って前記遷移領域上に静止させることにより、前記遷移領域上に配置される方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の方法であって、
前記前処理済みの素子が実質的に平坦な形状を有し、かつ、前記遷移領域上に位置する一方で、前記成形方向に対して垂直に配置された平面上に位置する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記前処理済みの素子が多層構造を有し、
前記前処理済みの素子が前記遷移領域上に配置されているときに、前記成形方向に対して垂直に配置された平面上にある機能層を含む、
方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の方法であって、
前記対象物が、前記雌型部品と前記雄型部品との間に画定された成形室内で形成され、
前記前処理済みの素子が前記遷移領域に配置された後、前記成形室が前記対象物の体積よりも大きい体積を有し、前記雌型部品と前記雄型部品とが互いに移動する間に前記成形室の体積が徐々に減少するときに、前記成形室は閉じられ、
前記前処理済みの素子は前記底部に接触する前に前記成形室が閉じられる、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の方法であって、前記前処理済みの素子が、前記遷移領域上に配置された後、前記雄型部品との相互作用を開始する前に、少なくともその中央領域において、重力により変形し、それにより、上向きの凹部を有する凹状の形状になる、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の方法であって、前記前処理済みの素子を成形する段階の間に、前記前処理済みの素子の下方に配置された前記成形キャビティの領域からの排出空気が提供される方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記分量が前記可塑化装置(20)から前記成形キャビティ(34)に向かって搬送される間に、前記分量は前記可塑化装置の出口で有する第1の実質的に垂直な方位から、前記分量が前記遷移領域上に設けられる第2の実質的に水平な方位になる、方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の方法であって、前記対象物が、容器を得るためにブロー成形又はストレッチブロー成形を行うことを意図したプリフォームである、方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の方法であって、前記前処理済みの素子が、前記雄型部品との相互作用により前記底部と接触する方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の方法であって、
前記雌型部品は、その上部領域に、センタリング面を有し、該センタリング面は前記雄型部品に係る他のセンタリング面と形状的に係合するのに適し、
前記センタリング面は、前記成形キャビティから前記雄型部品に向かって突出し、かつ、前記前処理済みの素子が遷移領域上に静止しているときに、前記前処理済みの素子の側面から間隔を空けた位置で、前記前処理済みの素子を少なくとも部分的に取り囲んでいる、
方法。
【請求項16】
可塑化装置を有して、該可塑化装置によって供給される連続構造から切断された溶融状態のある分量のポリマー材料である、少なくとも1つのポリマー材料からなる前処理済みの素子を供給するための供給装置、
前記前処理済みの素子から凹状の対象物を形成するために、成形方向に互いに相対的に移動可能な、雄型部品、及び、成形キャビティを有する雌型部品を含む少なくとも1つの鋳型、
前記前処理済みの素子を前記鋳型に向かって搬送し、前記前処理済みの素子を前記成形キャビティに放出する搬送装置を備える装置であって、
前記搬送装置は、前記分量を前記可塑化装置から前記鋳型へ輸送し、かつ、前記分量を前記雌型部品へ放出する輸送素子を有し、
前記成形キャビティは底部と側部領域とを有し、
前記側部領域は、前記成形キャビティの横方向寸法が大きい値から小さい値へと漸進的に変化する漏斗状の表面によって画定される遷移領域を有し、
前記遷移領域は、前記搬送装置によって前記成形キャビティ内に前記前処理済みの素子が放出されたときに、前記前処理済みの素子を静止して受け入れるように前記底部から離れた位置で前記成形キャビティの上部に供される
装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記成形キャビティの下部に配置され、前記前処理済みの素子が前記底部に接触する前に、前記前処理済みの素子の下に配置された前記成形キャビティの領域から空気を除去するために動作可能な空気排出装置をさらに備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧縮成形によって凹状の対象物を形成するための方法及び装置に関するものである。
【0002】
本発明による方法及び装置を用いて得られる凹状対象物は、ボトルなどの容器を得るためにブロー成形又はストレッチブロー成形の工程を施されるのに適したプリフォームであってもよい。あるいは、本発明による方法及び装置を用いて得られる凹状の対象物は、例えば、瓶、カップなどの容器であってもよい。
【0003】
本発明による方法及び及び装置では、少なくとも1つのポリマー材料-例えば押出機から出てくるポリマーの流れから切断された分量-からなる前処理済みの素子素子から凹状の対象物を得ることができる。前処理済みの素子は、多層構造又は単層構造を有することができる。
【背景技術】
【0004】
プリフォームを圧縮成形する機械が知られており、この機械は、成形キャビティを有する雌型部分と、この雌型部分と協働する雄型部分とを備えた型を有している。既知の機械は、押出機と、該押出機から切断された分量のポリマー材料分量を雌型部に向けて搬送する搬送装置とをさらに備える。既知の機械では、その分量のポリマー材料分量は、成形キャビティの底部に堆積され、その後、雌型部品と雄型部品の間で成形される。
【0005】
既知の機械は、高品質で生産性の高いプリフォームを製造することができる。しかし、これらの機械は、特に雌型部品の成形キャビティにその分量を挿入する方法に関して、改良することができる。
【0006】
成形キャビティの底部に到達させるためには、分量は成形キャビティの横方向の寸法よりも小さい横方向の寸法を有していなければならない。通常、成形キャビティの横方向の寸法-具体的には直径-は比較的小さい。このような場合、分量は一般的に成形キャビティの直径よりわずかに小さい横方向の寸法を有する。
【0007】
このような状況では、成形キャビティ内に落下中の分量が、成形キャビティの長手軸に対して中心から外れた位置に配置される可能性がある。この場合、成形キャビティを区切る円筒形の側壁に分量が付着し、成形キャビティの底部に線量が到達するのが妨げられる可能性がある。その結果、分量を構成するポリマー材料が鋳型内に不均一に充填されることにより、プリフォームに欠陥が発生する。最も深刻なケースでは、分量が成形キャビティの外に部分的に突出しているために、鋳型が閉じないことさえあり得る。
【0008】
上述の既知の機械では、分量は、成形キャビティの長手方向の寸法よりもわずかに小さい高さを有するシリンダとして形成される。その高さのために、分量は成形キャビティ内に堆積され、そのキャビティの底部に到達するまでに比較的長い時間を必要とする。
【0009】
特許文献1は、圧縮成形装置を開示しており、この装置では、分量が鋳型キャビティの底部に配置されている。
【0010】
特許文献2には、圧縮成形装置が開示されており、各分量は成形キャビティに設けられた段差を区切る平坦な面に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2018/297246号公報
【文献】独国特許第10235845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、少なくとも1つのポリマー材料で作られた前処理済みの素子、例えば分量から出発して、凹状の対象物を形成するための方法及び装置を改善することである。
【0013】
さらに、雌型部品内での前処理済みの素子の位置決めを改善することも目的としている。
【0014】
もう一つの目的は、従来の技術に比べて、前処理済みの素子を成形キャビティ内でより正確な方法で配置できるようにすることである。
【0015】
さらに別の目的は、ポリマー材料による鋳型の不均一な充填に起因する、形成された対象物に発生する欠陥を減らすことである。
【0016】
もう一つの目的は、前処理済みの素子(例えば分量)を雌型部品の成形キャビティに配置するために必要な時間を短縮することである。
【0017】
本発明の第1の側面では、少なくとも1つのポリマー材料で作られた前処理済みの素子を提供する段階と前処理済みの素子を成形キャビティを有する雌型部品に導入する段階と、雌型部品と雄型部品の間で前処理済みの素子を成形する段階を含む方法が提供される。当該方法では、前記雌型部品と前記雄型部品は、前記前処理済みの素子素子から凹状の対象物を形成するように成形方向に沿って互いに相対的に移動可能である。前記成形キャビティは、成形方向に対して横方向に測定された横方向の寸法を有し、前記成形キャビティが、前記横方向寸法が大きい値から小さい値へと遷移する遷移領域領域をさらに有し、前記成形キャビティが底部をさらに有する。前記導入段階段階では、前処理済みの素子が遷移領域に配置され、前処理済みの素子が成形キャビティの底面から間隔を空けた位置で遷移領域に載るようになっている。
【0018】
本発明のこの態様により、雌型部品内での前処理素子の位置決めを改善することが可能である。遷移領域に前処理素子を配置することで、雌型部品内での前処理素子の位置決めの安定性を大幅に向上させることが可能となり、それにより、前処理素子が成形キャビティ内に解放された後に望ましくない位置に配置されるリスクを低減することができる。
【0019】
特に、前処理済みの素子は、前処理済みの素子の周辺領域全体に沿って遷移領域上で静止していてもよい。これにより、前処理素子の位置決めの安定性が高くなる。
【0020】
さらに、遷移領域は、前処理済みの素子が成形キャビティの底部に向かって下降する間、ガイドする。これにより、成形キャビティ内での前処理素子の位置決め精度がさらに向上する。特に、前処理済みの素子が成形キャビティ内の中心から外れた位置に配置される危険性が低減される。
【0021】
本発明の第1の態様による方法は、成形キャビティ内に前処理済みの素子を配置するのに必要な時間を短縮することも可能である。実際、前処理済みの素子は、前処理済みの素子が成形キャビティの底部に到達するまで下方に移動するのを待つことなく、前処理済みの素子を遷移領域に載せるだけで、雌型部品内に導入される。これにより、前処理済みの素子の雌型部品への導入が迅速に行われる。
【0022】
実施形態では、遷移領域は漏斗状の表面である。
【0023】
漏斗状の表面は、前処理済みの素子が雌型部分に到達したときにその上に載る比較的大きな休息領域を規定する。これにより、前処理済みの素子がしわになったり、望ましくない位置に置かれたりするのを防ぐことができる。
【0024】
一実施形態では、前処理済みの素子は、遷移領域に配置された後、雄型部品との相互作用を開始する前に、少なくともその中央領域において、重力により変形し、それにより、上向きの凹部を有する凹状の形状となる。
【0025】
このようにして、重力の力によって、前処理済みの素子の一種の予備成形が行われ、前処理済みの素子が後に雄型部品によって成形されるように準備される。
【0026】
一実施形態では、雌型部品と雄型部品の間に成形室が設けられている。
【0027】
成形室は、前処理済みの素子が成形キャビティの底部に接触する前に閉じられる。
【0028】
前処理済みの素子がまだ成形キャビティの底部に接触していない早い段階で成形チャンバを閉じると、前処理済みの素子が雄型部品と相互作用し始めるときに発生する変形のために、前処理済みの素子が成形チャンバから流出するのを防ぐことができる。前処理済みの素子が成形室から流れ出てしまうと、鋳型を正しく閉じることができなくなるからである。
【0029】
一実施形態では、前処理済みの素子を成形する段階の間、前処理済みの素子の下に配置された成形キャビティの領域から空気が排出される。
【0030】
これにより、前処理済みの素子の下の成形キャビティ内に存在する空気を除去することができる。実際、成形キャビティの軸を中心に360°延長して遷移領域上に配置された前処理素子は、成形キャビティの下側の領域をほぼ密閉的に閉じており、それによって、前処理素子の下に配置された成形キャビティの領域に存在する空気を上から取り除くことは、不可能ではないにしても、困難である。
【0031】
一実施形態では、前処理済みの素子は、押出機の出口で押出物から切断された溶融ポリマー材料の分量である。
【0032】
分量は、単一のポリマー材料で作られていてもよく、その場合、分量は単層構造を有する。
【0033】
別の実施形態では、分量は多層構造を有していてもよく、特に、互いに異なる少なくとも2つのポリマー材料の層から構成されている。
【0034】
雄型部品と雌型部品は、圧縮成形によって、分量から凹状の対象物を形成するために適合させることができる。
【0035】
本発明の第2の側面では、少なくとも1つのポリマー材料からなる前処理済みの素子を供給するための供給装置と、前処理済みの素子から凹状の対象物を形成するために、成形方向に沿って互いに相対的に移動可能な雌型部分と雄型部分とからなる少なくとも1つの型であって、雌型部分は成形キャビティを有する鋳型と、前処理済みの素子を鋳型に向かって搬送し、前処理済みの素子を成形キャビティ内に放出する搬送装置とを有する装置が提供される。当該装置では、前記成形キャビティが底部と横方向領域とを有し、前記横方向領域が、前記成形キャビティの横方向寸法が大きい値から小さい値に遷移する遷移領域を有し、前記遷移領域が、前記底部から間隔を空けて配置され、前処理済み素子が前記搬送装置によって前記成形キャビティ内に解放されたときに、前処理済み素子を静止して受け入れるように構成される。
【0036】
本発明の第2の側面によれば、本発明の第1の側面を参照して上述した利点、特に成形キャビティ内での前処理済み素子の位置決めの精度と安定性を得ることができる。
【0037】
本発明の第3の側面では、少なくとも1つのポリマー材料で作られた前処理済みの素子を提供する段階と、前処理済みの素子を、成形キャビティを有する雌型部品に導入する段階と、雌型部品と雄型部品の間で前処理済みの素子を成形する段階であって、前記雌型部品と前記雄型部品は、前処理済みの素子から凹状の対象物を形成するように成形方向に沿って互いに相対的に移動可能である段階とを含む方法が提供される。当該方法では、成形キャビティは、成形方向に対して横方向に測定された横方向の寸法を有し、成形キャビティは、前記横方向の寸法が大きい値から小さい値へと徐々に減少する漏斗状の表面によって定義された遷移領域をさらに有し、成形キャビティは、さらに底部を有している。導入段階では、前処理済みの素子が遷移領域上の成形キャビティ内に配置され、前処理済みの素子が成形キャビティの底部から間隔を空けた位置で漏斗状の表面に載るようになっていることを特徴とする。
【0038】
本発明の第3の側面による方法は、本発明の第1の側面を参照して先に説明した利点を得ることを可能にする。
【0039】
前処理済みの素子を成形キャビティの底部から離れた位置に配置することにより、さらに、前処理済みの素子が成形キャビティの底部に早期に接触することが回避される。このようにして、形成される凹状対象物の底壁に、周囲の領域とは異なる外観及び/又は特性を有するスポットが生成されることが回避される。このスポットは、成形キャビティの他の領域に接触する前に、前処理済みの素子が成形キャビティの底部に留まっていた場合に生じる早期冷却に起因するものである。形成された対象物の底壁は、特にブロー成形やストレッチブロー成形を行う必要のあるプリフォームなどのある種の対象物にとっては、重要な領域となり得ることが強調されている。したがって、このような領域には可能な限り欠陥がないことが重要である。
【0040】
漏斗状の表面は、大きな値から小さな値へと段階的に、つまり段差なく減少する横方向の寸法を持っている。
【0041】
前処理済みの素子を漏斗状の表面に載せることで、前処理済みの素子を成形キャビティの底部に導くことが容易になり、前処理済みの素子を成形キャビティの中央に配置することができる。そのため、前処理済みの素子が成形キャビティ内で誤って配置され、その後の成形が妨げられるリスクが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明は、その非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して、よりよく理解し、実施することができる。
図1】凹形状の対象物を製造するための装置を模式的に示す、一部を断面とした透視図である。
図2図1の装置の鋳型を最大開口部の構成で拡大して示した断面図である。
図3図2と同様の図で、図2の段階の後に、まだ開いた状態の鋳型を示している。
図4図2と同様の図であり、図3の段階の後に、鋳型の成形室が閉じられている状態の鋳型を示している。
図5図4の詳細を拡大して示したもので、空気排出装置を備えた雌型部品の底部領域を開いた状態で示している。
図6】空気排出装置が閉じた状態を示す、図5と同様の拡大断続図である。
図7図2と同様に、鋳型が成形されている状態を示す図である。
図8図2と同様に、成形段階の終わりに鋳型を示す図である。
図9図2と同様に、代替的な実施形態による鋳型を示す図である。
図10】ポリマー材料の分量が配置された成形キャビティの概略断面図である。
図11図10の成形キャビティの上面図である。
図12】代替実施形態による成形キャビティを示す、図10と同様の概略断面図である。
図13】別の代替実施形態による成形キャビティを示す、図10と同様の概略断面図である。
図14図10と同様の概略断面図であり、現在の特許請求の範囲ではカバーされていない、さらなる代替実施形態による成形キャビティを示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、ポリマー材料で作られた対象物を、特に圧縮成形によって製造するための装置1を示している。装置1によって製造される対象物は、凹状の対象物、特に容器用のプリフォーム、つまりブロー成形又はストレッチブロー成形によって容器に変形されることを目的としたプリフォームである可能性がある。しかし、装置1は、他の種類の凹形状の対象物、特に、例えば、瓶やカップなどの容器の製造にも使用することができる。
【0044】
本装置は、少なくとも1つのポリマー材料からなる前処理済みの素子から、凹状の対象物を得ることができる。図の例では、前処理済みの素子は、凹状の対象物を得るために圧縮成形されることを目的とした、ポリマー材料の分量2である。
【0045】
図2によく示されているように、線量2は多層構造を有していてもよく、すなわち、複数の高分子材料の層から構成されていてもよい。図2の例では、ポリマー材料の3つの層、すなわち、2つの外層4の間に配置された機能的な中央層3が設けられている。中央層3は、例えば、ガス及び/又は酸素及び/又は光に対するバリア特性を有する材料で構成されていてもよい。外層4は、互いに同じであっても異なっていてもよく、得られる対象物に所望の機械的特性及び/又は美的特性を与えることを目的とした材料で作られることができる。外層4と中心層3との間には、それぞれの補助層を介在させることができ、例えば、中心層と外層との間の接着性を向上させる目的の相溶化材料の層を設けることができる。
【0046】
中心層3は、図2の例のように、外層4の間に埋め込まれていてもよく、その場合、中心層3は、ドアー2の外側の面には現れない。
【0047】
図示されていない代替的な実施形態では、中央層3は、一方で、分量2の外側に現れ、すなわち、分量2の側壁まで延びていてもよい。
【0048】
図の例では、分量2は平行六面体の形状をしている。つまり、正方形又は長方形の底面を持つ平行六面体のような形をしている。
【0049】
存在する場合、実質的に平坦な形状を有する中央層3は、平行六面体の底面に平行な平面上に位置する。
【0050】
図2に示した例では、分量2は、ベースの直線的な寸法よりもはるかに小さい高さ(すなわち厚さ)を持つ平行六面体のような形をしている。しかし、この条件は必須ではなく、分量2は、ベースの直線的な寸法よりもわずかに小さいか、ほぼ等しいか、あるいはさらに大きい高さを持つ平行六面体のような形状でもよい。
【0051】
平行六面体の形状は、断面が長方形又は正方形の押出成形品から分量2を切り出すだけで、特に簡単に得ることができる。
【0052】
しかし、理論的には、平行六面体とは異なる形状の分量を使用することも可能である。
【0053】
図8は、圧縮成形によって分量2から得ることができる対象物5の例を示している。
【0054】
図の例では、対象物5は、容器を得るためにブロー成形やストレッチブロー成形を行うのに適したプリフォームである。
【0055】
このプリフォームから得られる容器は、この場合、いわゆる「スプーンですくえる」容器であり、スプーンで内容物をすくうことができるように作られている。このため、容器は上端が大きく開いた口を持ち、そこから容器の内容物を入れたスプーンを通すことができる。このタイプの容器の典型的な例は、ヨーグルトポットである。
【0056】
装置1によって得ることができるプリフォームは、図8に示すように、プリフォームから得ることができる容器の口を形成するのに適した首部6を有している。首部6は、原理的には他の形状が可能であるにもかかわらず、実質的に円筒形の形状を有していてもよい。例えば、首部6は、上部フランジを備えていてもよいし、カムやねじ部など、容器の閉鎖素子と係合するのに適した保持素子を備えていてもよい。
【0057】
いずれにしても、首部6は、完成した容器において内容物にアクセスすることが可能な開口部7を取り囲んでいる。完成した容器では、開口部7は、熱封止可能な蓋、ねじ式の蓋、内部カムを備えた蓋などの閉鎖素子によって閉じられるようになっている。
【0058】
首部6は、プリフォームから容器を得るための後続のブロー成形やストレッチブロー成形の際に変化しない形状を有していてもよい。
【0059】
首部6の下、すなわち開口部7に対して首部6の反対側に、対象物5は胴部8を有している。対象物5がプリフォームである場合、胴部8は、プリフォームから所望の容器を得るために、その後のブロー成形又はストレッチブロー成形の過程で変形されることが意図されている。
【0060】
本体8と首部6の間には、環状の突出部9が設けられていてもよく、環状の突出部9は対象物5の外側に向かって突出している。環状の突出部9は、例えば、対象物が受けられる後続の処理段階中に対象物5を搬送するために使用されてもよい。
【0061】
本体8は、開口部7の反対側にある、図示の例では倒立したドームのような形をした底壁10から構成されている。本体8は、底壁10と首部6の間、特に底壁10と環状突起9の間に配置された側壁11をさらに備えている。
【0062】
本体8は、軸Vを中心に延びていてもよい。
【0063】
側壁11は、軸Vに対して横方向に測定された寸法D1が、首部6の横方向の寸法D2よりも小さい中間領域12を有していてもよい。中間領域12及び/又は首部6が円形の横断面を有する場合、寸法D1及びD2は、中間領域12の外径及び首部6のそれぞれの外径と一致する。しかし、中間領域12及び/又は首部6は、非円形の横断面を有する場合もあり、その場合、寸法D1及びD2は、軸Vに対して横方向、特に垂直方向に考慮された横断面の寸法である。
【0064】
図示の例では、寸法D1及びD2は、中間領域12及び首部6のそれぞれの円筒部分、すなわち、軸Vに沿って一定の横断面を有する部分で取られている。しかしながら、中間領域12及び/又は首部6は、軸Vに沿って可変の横断面を有する場合があり、その場合、寸法D1及びD2は、平均横断面寸法であってもよい。
【0065】
本体8、より具体的には、側壁11は、横方向寸法D2から横方向寸法D1に遷移するための遷移領域13を含んでいてもよい。遷移領域13は、図示の例では、首部6と中間領域12との間に介在しており、より具体的には、環状突出部9と中間領域12との間に介在している。遷移領域13は、開口部7から底壁10に向かって徐々に減少する横方向の寸法Dを有しており、その傾向は、線形(この場合、遷移領域13は、切頭円錐形状を有する)又は非線形(この場合、遷移領域13は、非切頭円錐形状を有し、例えば、内側又は外側に向かって膨らんでいる)である。
【0066】
首部6の横方向の寸法D2と中間領域12の横方向の寸法D1との間の比は、一般的に1よりも大きい。 例として、この比は、1.1、又は1.2に等しく、又は好ましくはこれらの値よりも大きくすることができる。
【0067】
対象物5は、軸Vに沿って測定された高さH(すなわち総寸法)を有しており、図示された例では、首部6の横方向の寸法D2とほぼ同じである。
【0068】
しかし、高さHは、首部6の横方向の寸法D2よりも大きくてもよく、また、首部6の横方向の寸法D2よりも小さくてもよい。
【0069】
一例として、首部6の高さHと横方向の寸法D2の比は、0.4より大きくてもよい。
装置1は、少なくとも1つのポリマー材料からなる前処理済みの素子を提供するための供給装置を備えており、前処理済みの素子は、対象物5を形成するために後に成形されることが意図されている。
【0070】
前処理済みの素子が分量2である図示の例では、供給装置は、図1に示すように、少なくとも1つのポリマー材料を分注するための分注装置20を備える。より具体的には、分注装置20は、1つ又は複数のポリマー材料を可塑化して、溶融状態の分量2を得る可塑化装置である。
【0071】
吐出装置20は、互いに異なるポリマー材料の複数の層からなる連続共押出し構造体を吐出するための共押出し装置を構成することができる。この場合、以下でより詳細に説明するように、連続共押出し構造体を切断することにより、多層形状を有する図2に示すタイプの分量2が得られる。
【0072】
代替的な実施形態では、ディスペンシングデバイス20は、単一材料の連続構造体、すなわち、互いに異なる複数のポリマー材料の代わりに単一のポリマー材料で作られた連続構造体を押し出すように配置された押し出しデバイスを含んでいてもよい。この場合、ディスペンシングデバイス20から出てくる連続構造体を切断することで、単一材料の分量2が得られる。
【0073】
吐出装置20は、長方形又は正方形の形状を有する出口開口部を備えており、長方形又は正方形である横断面を有するストリップのような形状の連続構造体を吐出するようになっている。ストリップの横断面が長方形である場合、この条件が必要ではない場合でも、長方形の底辺は高さよりもはるかに大きくてもよい。
【0074】
分量2の中心層3を形成することを意図した材料の任意の機能層は、ディスペンシングデバイス20から出てくる連続構造の内部に連続的又は断続的に延びることができる。
【0075】
図示の例では、図2に見られるように、ディスペンス装置20の出口開口部は下向きである。ディスペンス装置20は、垂直又は実質的に垂直である出口方向Eに沿って、連続した構造物を下方に吐出するように構成されている。しかし、この条件は必須ではない。
【0076】
装置1は、図1に示すように、少なくとも1つの鋳型21を備えた成形装置をさらに備えている。
【0077】
鋳型21は、モールディングカルーセルの周辺領域に取り付けられた、図示しない複数の鋳型に含まれていてもよい。造型カルーセルは、例えば、垂直に配置されたそれぞれの軸を中心に回転可能である。
【0078】
あるいは、鋳型21は、直線的な配置に従って配置された図示しない複数の鋳型に含まれていてもよい。
【0079】
いずれにしても、鋳型21は、圧縮成形によって対象物5を得るように、高分子材料からなる分量2を成形するように構成されている。
【0080】
輸送装置22は、複数の輸送素子23を備えており、その各々は、ディスペンシング装置20から出てくるポリマー材料から切り離されたポリマー材料の分量2を鋳型21に向かって輸送するように配置されている。図示の例では、表現を簡単にするために4つの輸送素子23を示しているが、異なる数の輸送素子23を設けることができ、輸送素子23は、特に垂直方向に沿って延びる軸Zを中心に規則的に分布している。
【0081】
搬送装置22は、図示されていない中央の本体が、図示されていないモータ手段によって軸Zを中心に回転可能に構成されていてもよい。
【0082】
輸送素子23は、中央の本体によって支持されてもよい。
【0083】
中心体が軸Zを中心に回転すると、輸送素子23は、分量2を型21にもたらすように、分注装置20から型21に向けられた経路に沿って移動する。この移動は、輸送素子23の第1の移動を規定する。図示されている例では、輸送素子23が第1の移動中にたどる経路は、閉じた経路、特に軸Zを中心とした円形の経路である。図示されていない代替の実施形態では、分注装置20から鋳型21に向けられた輸送素子23の経路は、閉じた非円形の経路、又は、例えば線形の非閉じた経路であり得る。
【0084】
閉鎖された非円形の経路は、輸送素子23の経路が、一点だけでなく、より大きな長さの部分で鋳型21の経路と重なる場合に特に適している。これにより、輸送素子23は、鋳型21の一部(より正確には、以下でより詳細に説明するように、雌型部分)に十分に長い時間重なったままとなり、分量2が鋳型21内で位置決め欠陥なしに放出されることが保証される。
【0085】
また、各輸送素子23は、第1の移動に加えて、第1の移動中に、輸送素子23自体の軸を中心に回転することで、第2の移動を行うように構成されており、この軸は、図1ではHで示され、単一の輸送素子23について示されている。この第2の動きにより、以下に詳細に説明するように、分量2の向きを変更することが可能になる。
【0086】
第2の動きを行うために、図示の例では、各搬送素子23は、それぞれの軸Hに沿って延びるアーム24に固定されている。
【0087】
各軸Hは、軸Zに対して横方向、特に垂直方向に配置されている。軸Hは、単一の平面上にあり、例えば、軸Zの周りに放射状に配置されていても構わない。
【0088】
各輸送素子23は、分量2を鋳型21に輸送するために分量2と接触するのに適した輸送面25によって区画されている。
【0089】
図示の例では、輸送面25は平坦である。搬送面25のこの形状は、図1に示すように、平行六面体の形状を有する分量2を搬送するのに特に適している。しかし、輸送面25は、平坦でない形状を有していてもよく、特に分量2が平行六面体の形状でない場合には、このような形状を有していてもよい。一般に、搬送面25は、搬送面25と接触することが意図される分量の部分の形状と一致する形状を有する。
【0090】
分量2の輸送における安定性を保証し、分量2の望ましくない変形を防止するために、輸送面25は、輸送面25と接触することを意図した分量2の面の面積よりも大きな面積を有する。
【0091】
輸送素子23は、吸引手段を備えていてもよく、この吸引手段は、輸送中に分量2を輸送面25に接触させて保持するために選択的に作動させることができる。吸引手段は、搬送面25に形成され、吸引源と連通する複数の孔26から構成されていてもよく、これにより、分量2を搬送面25に密着させておくことができる。
【0092】
また、搬送素子23は、搬送面25からの分量2の離脱を容易にして、分量2を鋳型21に届けることができるように、選択的に作動させることができる送風手段を備えていてもよい。吹き付け手段は、特に穴26を介して分量2に圧縮空気の流れを吐出するための圧縮空気源を含んでいてもよい。
【0093】
図示されていない実施形態では、吹き付け手段の代わりに、又は吹き付け手段と組み合わせて、輸送素子23に一種のピストン、すなわち、適切な瞬間に分量2を下方に押して、分量2が輸送面25から離脱して型21内に放出されるのを助ける機械的素子を備えてもよい。
【0094】
輸送素子23は、特に加熱手段のように設計された熱調整手段を備えていてもよく、輸送中に分量2が過度に冷やされるのを防ぐことができる。あるいは、熱調整手段は、輸送素子23が過熱する傾向にある場合に、分量2が輸送素子23に過度に付着するのを防ぐために、冷却手段のように設計されていてもよい。
【0095】
各輸送素子23は、輸送素子23が第2の動きを行うことができるように、それぞれの軸Hを中心に輸送素子23を回転させるための、例えば輸送装置22の中央本体に収容されてもよい移動装置(図示せず)と関連している。
【0096】
軸Zを中心とした経路の領域において、輸送素子23は、ディスペンシングデバイス20の近く、特にディスペンシングデバイス20の出口開口部の下を通過し、そこから、まだ溶融状態にあるポリマー材料の連続構造が流出する。
【0097】
分注装置20の上流では、輸送素子23は、図1に示すピックアップ構成Pに位置するそれぞれの軸Hを中心に回転し、輸送素子23は、分注装置20の出口開口部から切断された分量2をピックアップしている。ピックアップ構成Pでは、輸送面25は、垂直に向けられてもよいし、垂直方向に対してわずかに後方に向けられてもよい。
【0098】
このようにして、実質的に垂直な出口方向Eに沿ってディスペンシングデバイス20から出た分量2は、同じく実質的に垂直に配置された搬送面25上に載り、ポリマー材料の粘性のために結果的に搬送面25に付着する。
【0099】
より一般的に言えば、ピックアップ構成Pにおいて、搬送素子23は、搬送面25(搬送面25が円柱部分のような形状である場合には、その軸)が分注装置20からの分量2の排出方向Eと実質的に平行になるように配置されている。
【0100】
分量2は、ピックアップ構成Pにおいて輸送素子23から受け取られ、その際、分量2は、図示された例では実質的に垂直な第1の向きを有している。代替的な実施形態では、分量2は、ピックアップ構成Pにおいて、例えば出口方向Eが垂直ではないために、非垂直方向を有する可能性がある。
【0101】
ピックアップ構成Pで分量2を受け取った後、搬送素子23が軸Zを中心に移動する間(第1の移動)、搬送素子23は対応する軸Hを中心に回転し続ける(第2の移動)。輸送素子23は、図1に示す放出構成Rに到達するまで、軸Hを中心に回転し、以下でより詳細に説明するように、分量2が型21の内部で放出される。放出構成Rでは、輸送面25は下向きであり、特に実質的に水平であってもよい。
【0102】
放出構成Rでは、分量2は、鋳型21内で放出されるのに適した第2の方向性を有する。
鋳型21内の分量2を放出した後、輸送素子23は、輸送素子23が分注装置20の出口開口部の近くに戻るまで、放出構成R、すなわち、輸送面25が下向きになった状態で、後者の上流に残ってもよい。
【0103】
装置1は、さらに、分量2を分注装置20から切断するための少なくとも1つの分離素子を備える。
【0104】
図示の例では、複数の分離素子27があり、各分離素子27は、搬送素子23と関連し、特に搬送素子23によって支持されている。例えば、各分離素子27は、搬送面25のエッジに沿って配置された切断部材のような形状であってもよい。
【0105】
分離素子27が分注装置20の出口開口部の下を通過するとき、分離素子27は、特に出口開口部から掻き出すことによって、分量2を切断する。分量2は、鋳型21に向かって搬送されるように、搬送素子23、特に搬送面25に付着したままである。
【0106】
分離素子27は、図示されているものとは異なる形で適合されてもよい。例えば、各分離素子27は、対応する搬送素子23と一体的に作られるかもしれない。
【0107】
また、搬送素子23とは独立した分離素子27、特に搬送素子23の上流に配置され、搬送素子23とは異なる分離素子、例えば、塗布装置20と搬送素子23との間に介在する位置で回転するブレードや、レーザービームなどを設けることも可能である。
【0108】
出口の開口部が長方形又は正方形の形状を有する場合、分注装置20から出てくる連続構造から切断された分量2は、平行六面体の形状を有する。この場合、平行六面体の面、例えば、他の面に対して最大の面積を有する面が、分量2を鋳型21に向けて搬送する間に搬送面25に付着する。
【0109】
分量2が図示の例のように多層構造である場合、分量2が搬送素子23によって搬送される間、分量2の中心層3は搬送面25に平行な平面に位置する。
【0110】
図2により明確に示されているように、鋳型21は、雌型部分28と雄型部分29とから構成されており、互いに連携して作用し、分量2から対象物5を形成するのに適している。
【0111】
雌型部品28と雄型部品29は、垂直であってもよい成形軸Yに沿って互いに整列している。
【0112】
雌型部品28は、雄型部品29の下に配置されている。
【0113】
雄型部品29は、パンチ30を含んでいてもよく、このパンチ30は、主に軸Yに沿って延びていてもよく、対象物5の内表面を成形するために配置されている。
【0114】
抽出器素子31は、パンチ30と関連付けることができ、抽出器素子31は、特に、成形軸Yを中心に延び、パンチ30を少なくとも部分的に取り囲む管状の素子のような形状をしている。より具体的には、パンチ30の下側の部分は、抜き取り素子31の下端から突出している。
【0115】
抽出器素子31は、対象物5が形成された後に、対象物5がパンチ30から離れるのを助けるためにこの部分を押すように、対象物5の一部、特に環状突出部9と係合するようになっている。この目的のために、詳細には図示されていないばねのシステムが、抽出素子31に作用してもよい。
【0116】
また、抽出器素子31は、対象物5を得るために分量2を成形することに寄与してもよい。より具体的には、抽出器素子31は、環状突出部9の上面及び首部6の外面を成形することを意図した成形端部32によって画定されてもよい。
【0117】
雌型部品28は、その内部に成形キャビティ34が画定されている雌型素子33を含んでいてもよく、成形キャビティ34は、対象物5の本体8の外側を成形するために配置されている。成形キャビティ34は、さらに、環状突起9の下面及び横面を成形するために配置される。
【0118】
成形キャビティ34は、対象物5の底壁10の外側を成形するように構成された底部40を有している。底部40は、成形軸Yに対して横方向に延びる面で区切られている。
底部40は、成形キャビティ34の内側に向かって凹みがある形状、例えば、逆ドームのような形状を有していてもよい。
【0119】
また、成形キャビティ34は、対象物5の側壁11の外側を成形するように構成された横方向領域41を有している。横方向領域41は、成形軸Yを中心に延びる面によって画定され、横方向領域41は、底部領域5の上方に配置されている。
【0120】
成形キャビティ34の上端において、雌型素子33は、環状突起9の下面を成形するための環状成形面36を有していてもよい。
【0121】
雌型素子33は、その上部領域に、抽出素子31のさらなる中心面38と形状的に結合して係合するのに適した中心面37を有していてもよい。より具体的には、中心面37は、雌型素子33から上方に突出する突起部39を内部で画定している。さらなる中心面38によって画定された抽出器素子31の下端は、中心面37と係合するように突起39の内部に受け入れられるのに適している。このようにして、雌型部品28と雄型部品29は、ガイドされて中心に向かって互いに移動することができる。
【0122】
また、雌型素子33は、突起部39と環状形成面36との間に介在する位置に、以下に詳細に説明するように、抜き取り素子31の接触面45に突き当たるのに適したアバットメント面44を有している。
【0123】
雌型部品28及び雄型部品29は、成形軸Yに平行であってもよい成形方向に沿って、互いに相対的に移動可能である。
【0124】
成形キャビティ34の横方向領域41は、底部40に向かって、成形キャビティの横方向寸法が大きい値T2から小さい値T1になる遷移領域53を有している。横方向の寸法は、成形方向に対して横方向、特に垂直方向に測定される。成形キャビティ34が、成形方向に垂直な平面でとられた円形の断面を有する場合、成形キャビティの横方向の寸法は、円形の断面の直径である。成形キャビティが成形方向に垂直な平面上での非円形の断面を有する場合、横方向の寸法は、成形方向に対して横方向、特に垂直に配置された平面上での非円形の断面の最大寸法であってもよい。
【0125】
図示の例では、小さい方の値T1は、中間領域42の横方向の寸法であり、大きい方の値T2は、環状成形面36の直下の成形キャビティ34の横方向の寸法である。ただし、対象物5の形状によっては、小さい方の値T1と大きい方の値T2が、上記で想定したものとは異なる成形キャビティ34の寸法に対応する場合もある。
【0126】
図示の例では、遷移領域53は、漏斗状の表面43として適合している。
【0127】
漏斗状の表面43は、成形軸Yを中心に延びており、成形軸Yに対して垂直に測定された横方向の寸法を有し、この寸法は、成形キャビティ34の底部40に向かって徐々に減少する。
【0128】
遷移領域53、より具体的には漏斗状の表面43は、対象物5の遷移領域13の外側を形成するためのものである。
【0129】
図10に模式的に示すように、漏斗状の表面43は、底部40に向かって大きい値T2から小さい値T1へと直線的に減少する横方向の寸法を有していてもよい。この場合、漏斗状の表面43は、ひっくり返った切頭円錐のような形状をしている。
【0130】
図12及び図13に模式的に示す実施形態では、漏斗状の表面43は、底部40に向かって非線形に減少する横方向の寸法を有している。
【0131】
より具体的には、図12の例では、漏斗状の面43は、凹部が雄型部28の方を向いている。
【0132】
図13の例では、漏斗状の面43は、凸部が雄型部28の方を向いている。
【0133】
また、漏斗状の表面43には、他の形状を採用することも可能であり、例えば、凹状及び/又は凸状及び/又は錐状の形状の組み合わせが挙げられる。
【0134】
これらの例では、遷移領域53は、成形キャビティ34の底部40に向かって、大きい値T2から小さい値T1に向かって段差なく、つまり不連続に減少する横方向の寸法を有する。
【0135】
ただし、この条件は必須ではない。図14に示す代替的な実施形態では、遷移領域53は、大きい値T2から小さい値T1まで不連続に通過する横方向の寸法を有していてもよい。この場合、遷移領域53には、分量2(又は、より一般的には、前処理済みの素子)が型21に導入されたときにその上に載る上面によって区切られた段階54が存在する。
【0136】
なお、「大きい値」及び「小さい値」という用語は、相対的な意味で、つまり、横方向の寸法T2が横方向の寸法T1よりも大きいという意味で解釈されるべきであることに留意すべきである。これは、大きい値T2が成形キャビティ34の横方向の寸法の最大値であることや、T1より小さい値が成形キャビティ34の横方向の寸法の最小値であることを意味するものではない。
【0137】
成形軸Yに垂直な平面上で取った漏斗状の表面43、より一般的には遷移領域53の断面は、図示した例(特に図11参照)に示すように円形であってもよいが、得ようとする対象物5の形状に応じて、非円形、特に楕円形又は多角形であってもよい。
【0138】
図示の例では、中間領域42が、遷移領域53と成形キャビティ34の底部40との間に介在しており、中間領域42は、対象物5の中間領域12の外側を形成するように意図されている。中間領域42は、特に成形軸Yに沿って一定の直径を有する円筒面によって画定されてもよいが、この条件は必須ではなく、得ようとする対象物5の形状に応じて、他の形状も可能である。
【0139】
漏斗状部43、より一般的には、遷移領域53は、環状形成面36のすぐ下に配置することができる。
【0140】
雌型部品28は、図2に模式的に示すように、成形キャビティ34を取り囲む冷却回路46をさらに備え、対象物5が成形されて鋳型21内に留まっている間、対象物5、特にその外面を冷却及び/又は熱的に調整する。
【0141】
雄型部29は、パンチ30を熱的に調整するための冷却回路(図示せず)を備えており、したがって、対象物5を内部から冷却する。
【0142】
成形キャビティ34の下部、特に底部40には、空気排出装置47が設けられており、パンチ30によって分量2が変形し始める初期段階で、分量2の下の成形キャビティ34内に存在する空気を除去するために作動させることができる。
【0143】
空気排出装置47は、バルブの一種のように適合している。
【0144】
空気排出装置47は、ボトム40の中央領域、例えば、成形軸Yに対して中心となる位置に配置されてもよい。
【0145】
空気排出装置47は、図5及び図6でより明確に見えるシャッター素子48を、底部40に設けられたシート49に収容して構成されている。座部49は、貫通孔のような形状であってもよい。
【0146】
シャッタ素子48は、図5に示す開位置PAと、図6に示す閉位置PCとの間で移動可能である。開放位置PAでは、シャッタ素子48は、図5の矢印Fで示すように、シート49の内部に規定された通路を開き、成形キャビティ34内に存在する空気がシート49を介して外部に向かって流れることを可能にする。
【0147】
閉鎖位置PCでは、シャッタ素子48は、シート49を閉じるように係合する。これにより、成形キャビティ34からの空気の流出が防止される。
【0148】
シャッタ素子48は、図示されていない駆動手段(例えば、機械式、空気圧式、バネ式など)により、閉位置PCから開位置PAに移動可能である。
【0149】
図2に示す最大開口部構成P1と、図7に示す成形部構成P2との間で、雄型部29と雌型部28とを成形方向に沿って相互に移動させるために、各鋳型21には移動システムが関連付けられている。
【0150】
最大開放構成P1では、雄型部分29と雌型部分28とが互いに間隔を空けて、最大距離に配置されている。最大開放構成P1では、雌型部品28と雄型部品29との間に、輸送素子23によって放出された分量2を導入することが可能である。これは、輸送素子23を雌型部品28と雄型部品29との間に介在させることにより、特に輸送素子23を雌型部品28の上方に配置することにより、分量2を輸送面25に付着させて成形キャビティ34に対向させることにより生じる可能性がある。
【0151】
成形構成P2では、雌型部品28と雄型部品29との間に成形チャンバ50が画定される。形成チャンバ50は、図7に示されている。形成構成P2では、形成チャンバ50は、対象物5に実質的に対応する形状を有する。
【0152】
各鋳型21が最大開放構成P1から成形構成P2へ、又はその逆に通過することを可能にする移動システムは、雌鋳型部品28上、雄鋳型部品29上、又はその両方でアクティブにすることができる。
【0153】
図示の例では、移動システムは、雌型部品28に作用しており、雌型部品28は、雄型部品29に向かって移動するか、又は代替的に雄型部品29から離れて移動するように、成形軸Yに沿って移動可能である。
【0154】
動作方式は、油圧式、機械式、その他の方式がある。
【0155】
図示の例では、動作システムは、特に油圧式のアクチュエータからなり、ステム51が接続されている。雌型部品28は、ステム51に対して固定されている。操作部は、ステム51を成形軸Yに沿って移動させることで、雌型部品28を、雄型部品29から最大距離の位置(鋳型21の最大開口構成P1)と、代わりに雄型部品29から最小距離の位置(鋳型21の成形構成P2)との間で移動させることができる。
【0156】
動作中、例えば複数のポリマー材料の層からなる連続構造体は、図1に示すように、分注装置20によって分注され、出口方向Eに沿って後者の出口開口部から出てくる。連続構造を形成する層は、互いに平行で、かつ出口方向Eに平行なそれぞれの平面に存在する。
【0157】
搬送装置22の中央本体は、軸Zを中心に例えば連続的に回転し、中央本体に支持された搬送素子23は、軸Zを中心とした円の形をした閉路に沿って移動する。
【0158】
輸送素子23の経路は、分量2が分注される分注領域において、分注装置20の出口開口部の下を通過する。
【0159】
分注領域の上流では、各輸送素子23は、対応する軸Hを中心に回転し、輸送素子23が分注装置20の出口開口部の下にあるときに、ピックアップ構成Pになるようにする。この構成では、輸送素子23は、分離素子27のおかげで、分注装置20から出てくる連続構造から切断された分量2を拾う。後者は、特に出口開口部のすぐ下で分量2を切断する。分量2は、搬送面25上に置かれ、搬送面25は、分量2の対面する表面と平行に、又はほぼ平行に配置される。
【0160】
ピックアップ構成Pでは、搬送面25はさらに、分量2の中央層3に平行に、又はほぼ平行に配置されている。
【0161】
分量2は、分量2が第1の方向(図示の例では実質的に垂直)にある間に、搬送素子23によってピックアップされる。分量2は、大きな変形を受けることなく搬送面25に付着する。中心層3もまた、実質的に変形しないままである。
【0162】
このとき、搬送素子23は、分量2を運んで分注装置20から離れるが、この分量2は、その粘性のために搬送面25に付着したままであり、また、必要に応じて、搬送素子23の吸引手段によって分量が搬送面25に接触した状態で保持されている。
【0163】
同時に、輸送素子23は、それぞれの軸Hを中心に回転し、それによって、放出構成Rにおいて分量2を第2の向きに移動させるまで、分量2の向きを修正する。リリース構成Rでは、輸送素子23の輸送面25は、下向きであり、特に、それに付着する分量2のように水平に配向されている。
【0164】
ピックアップ構成Pからリリース構成Rに遷移する際に、分量2は第1の方向から第2の方向に向けられる。
【0165】
軸Zを中心とした経路の間、輸送素子23は、雌型部品28と雄型部品29との間に配置され、それによって雌型部品28に重なる。この重なりは、輸送素子23の経路の一点で発生してもよいし、輸送素子23及び鋳型21の経路のより広い範囲で発生してもよい(鋳型21もそれぞれの経路に沿って移動可能である場合)。
【0166】
輸送素子23が雌型部品28の上方にあるとき、輸送素子23は解放構成Rにあり、さらに、最大開口構成P1にある雌型部品28と雄型部品29との間に介在する。
【0167】
ここで、輸送素子23は、輸送している分量2を解放する。分量2は、雌型部品28内、特に上向きの成形キャビティ34内に堆積される。これは、搬送面25から剥離するように分量2に作用する吹き付け手段又は機械的素子の助けを借りて生じることができる。
【0168】
図2に示すように、搬送素子23によって放出された後の分量2は、成形キャビティ34内に落下し、図示の例では成形キャビティ34の上部に設けられている遷移領域53上に静止する。
【0169】
成形軸Yに対して横方向の分量2の寸法、特に分量2の長さ(出口方向Eに沿って測定)及びその幅(分注装置20の出口開口部の幅に対応)は、少なくとも成形キャビティ34の一部において、成形キャビティ34の横方向の寸法よりも大きい。その結果、分量2は、成形キャビティ34の底部40に到達するまで落下しない。
【0170】
一方、成形軸Yに対して横方向の分量2の寸法は、遷移領域53によって規定される通路部の少なくとも1つの下部の横方向の寸法よりも大きいため、分量2は遷移領域53上に載り、底部40から間隔を空けたままとなる。
【0171】
これにより、分量2が遷移領域53、特に漏斗状の表面43上で静止している間、拡張されたままであることが保証される。これにより、特に分量2の望ましくないシワを避けることができる。
【0172】
また、漏斗状の表面43は、成形キャビティ34内の分量2の中心をより適切にすることを可能にし、それにより、成形軸Yに対する成形キャビティ34の片側のみを境界とする内面に分量が付着することを防止する。
【0173】
分量2は、遷移領域53、特に漏斗状の表面43上で静止しているだけであり、周辺部に保持する制約がないことに留意すべきである。
【0174】
分量2が成形キャビティ34内に配置された後、雌型部分28及び雄型部分29は、互いに向かって移動し始める。図示の例では、これは、雌型部品28を成形方向に沿って雄型部品29に向かって移動させることによって行われる。
【0175】
この間、分量2は、パンチ30と相互作用することなく、遷移領域53、特に漏斗状の表面43に載っている。より詳細には、分量2の周辺領域のみが遷移領域53上で静止しており、分量2の中央領域は支持体がなく、すなわち成形キャビティ34の底部40に面しているが、底部40から一定の距離を置いている。重力と、分量2がこの段階では比較的高い温度でまだ流体状態であるという事実により、分量2は変形し、その中央領域で下方に流れることがある。その結果、図3に示すように、分量2は、上向きに、つまり雄型部分29に向かって凹みを有する、わずかに凹んだ形状を採用することができる。
【0176】
このようにして、分量2はある種の予備成形を受ける。つまり、雄型部品29と相互作用する前に変形するのである。この特徴は、分量2に予備的な凹形状を与え、その後、分量2がパンチ30と相互作用して対象物5の最終的な形状を達成するときに増加するので、否定的な効果として考慮されるべきではない。
【0177】
雌型部品28と雄型部品29は、お互いに向かって移動し続ける。この動きの間、ある時点で分量2はパンチ30と接触し、パンチ30は分量2を変形させてますます凹ませ、成形キャビティ34の底部40に向かって押し出すようになる。パンチ30が分量2との相互作用を開始したとき、分量2は底部40からまだ距離がある。
【0178】
雌型部品28と雄型部品29とが互いに移動し続ける一方で、図4に示すように、ある時点で、雌型部品28が雄型部品29と接触する。より具体的には、雌型素子33のアバットメント面44が、抽出器素子31の接触面45に突き当たる。
【0179】
このとき、雄型部品29と雌型部品28との間には、対象物5の体積よりも大きな体積を包んでいるため、対象物5の形状になっていない成形室50が形成される。しかし、雌型部分28と雄型部分29との間で変形した分量2の一部が逃げるのを防ぐために、成形室50は現在閉じられている。
【0180】
実際、分量2は最初、成形キャビティ34の上部に配置され、成形キャビティ34の上縁に近い。そのため、パンチ30との相互作用によって服用物が変形する際に、成形キャビティ34が開いていると、服用物2の一部が成形キャビティ34の縁の外側に突出してしまうというリスクがある。このリスクは、成形キャビティ34を閉じて、閉じた成形チャンバ50を定義することで回避される。
【0181】
成形室50は、パンチ30、抽出素子31、及び成形キャビティ34の間で定義される。
【0182】
成形チャンバー50は、分量2が成形キャビティ34の底部40にまだ接触していないときに閉じられる。
【0183】
この段階の間、パンチ30はすでに分量2を変形させ始めている。より具体的には、分量2は、その周辺領域において、遷移領域53、特に漏斗状の表面43上に再び置かれる。その中央領域では、分量2は、成形キャビティ34内を貫通しているパンチ30によって底部40に向かって引き伸ばされ始めている。
【0184】
その後、雌型部品28と雄型部品29は、互いに向かって移動し続ける。この間、雌型素子33のアバットメント面44が抽斗素子31の接触面45と接触しているので、雌型素子33と抽出器素子31の相対的な位置は変化しない。しかし、雌型部品28によって押されたパンチ30は、パンチ30を下方に押し出す傾向のある1つ以上のバネを圧縮しながら、抽斗素子31の内側に徐々に引き出される。この間、成形室50の容積は徐々に減少する。
【0185】
パンチ30が成形キャビティ34内を貫通している間、分量2は中央層3を破壊することなく変形し、実質的に中断することなく対象物5の側壁11の内側に配置されるようになっている。これは、分量2が、中央層3が成形軸Yに対して横方向、特に垂直な平面上にある状態で遷移領域53上に載るように、成形キャビティ34内に放出されるという事実によって可能となる。 パンチ30が成形キャビティ34内に侵入すると、分量2が引き伸ばされ、その層が薄くなるが、中央層3が大きな破損を受けることはない。
【0186】
雌型部品28と雄型部品29とを互いに向かって移動させ続けることにより、図7に示す成形位置P2に到達し、このとき、分量2を形成するポリマー材料が成形室50全体を満たし、その形状が対象物5の形状に対応することになる。
【0187】
図2図4及び図5に拡大して示すように、分量2が遷移領域53上に配置されているとき、排出装置47のシャッター素子48は開位置PAにある。分量2の下にある成形キャビティ34内に存在する空気は、このようにして、シート49に規定された通路を介して成形キャビティ34から流れ出て排出されることができる。
【0188】
これは、漏斗状の表面43又はより一般的には遷移領域53上に置かれた分量2が、分量2の下の成形キャビティ34内に存在する空気の上方への流れを妨害するため、良質の対象物5を得るのに役立つ。この状態では、空気を上向きに流すことによって、分量2の下の成形キャビティ34に閉じ込められた空気を排出することは困難である。
【0189】
図7に示すように、成形構成P2では、排出装置47のシャッター素子48は、対象物5の底壁10の外面を傷つけないように、図6に拡大して示す閉位置PCにある。
【0190】
なお、シャッタ素子48は、成形構成P2に到達する前に閉位置PCに移動してもよい。
【0191】
鋳型21は、対象物5の形状を安定させるのに十分な時間、成形構成P2に留まり、対象物5が損傷を受けることなく鋳型21から抽出されるようになっている。
【0192】
この時点で、雌型部品28と雄型部品29は互いに離れていき、特に雌型部品28を下方に移動させる。このようにして、対象物5は、成形キャビティ34から離脱し、パンチ30と関連したままとなる。
【0193】
雌型部品28が雄型部品29から遠ざかる一方で、抽出器素子31は、雌型部品28との相互作用によって以前に圧縮されたばねのシステムにより、雌型部品28に向かって押し出される。このようにして、図8に示すように、環状の突出部9と係合する抜き取り素子31は、パンチ30から対象物5を離す。
【0194】
ここで、対象物5は、図示しない除去装置によって回収され、型21から離れるようにしてもよい。
【0195】
この場合、対象物5は、保管場所、又は対象物5がさらに操作される操作ステーションや機械に向けて輸送することができる。
【0196】
より具体的には、対象物5がプリフォームである場合、対象物5を保管場所に搬送し、一定期間後に、鋳型21が属する機械とは異なる機械で、対象物5をブロー成形又はストレッチブロー成形して、容器を得ることができる。
【0197】
あるいは、対象物5がプリフォームである場合、鋳型21が属する同じ機械上で行われるブロー成形又はストレッチブロー成形操作によって、対象物5から容器を得ることができる。これは、対象物5を特別に設計されたパンチ30に係合させておき、雌型部品28をブロー成形用鋳型の雌型部品に交換することで、対象物5をブロー成形又はストレッチブロー成形にかけることができる。
【0198】
この代替案により、対象物5を自由に設計することが可能になり、特に対象物5の遷移領域13は、成形キャビティ34の遷移領域53がどのように形成されるかを決定し、それにより遷移領域53の形状を最適化して、後者が分量2を正しく支持できるようにすることができる。
【0199】
図9は、図1に示したタイプの装置に含まれる可能性のある、代替の実施形態による鋳型121を示している。
【0200】
鋳型121が上述の鋳型21と異なるのは、主に、鋳型121が、平行六面体のような形状ではなく、実質的に球状の形状を有する分量102から出発して、圧縮成形によって対象物5を形成することを意図しているからである。
【0201】
図示されたケースでは、この条件が必要ではないにもかかわらず、線量102は単一のポリマー材料で作られている。
【0202】
鋳型121は、容器用のプリフォームのような形状の対象物5を製造するために構成されている。鋳型121から得られるプリフォームは、特に、ブロー成形又はストレッチブロー成形によって、ねじ山付きの首部を有するボトルを得るために使用することができる。
【0203】
この目的のために、鋳型121は、1から8までの図を参照して説明した雌型部品28と同様の雌型部品128からなり、特に、遷移領域153を規定する漏斗状の表面143によって、その上部で区切られた成形キャビティ134を有している。
【0204】
雌型部分128は、分量102から得ることができるプリフォームの本体の外側を成形することを意図している。プリフォームの本体は、その後のブロー成形又はストレッチブロー成形の際に、ボトルの本体を形成するような方法で変形される。
【0205】
雄型部品129がさらに設けられており、雄型部品129は、対象物5の内部を成形するために成形キャビティ134内に入るように意図されたパンチ130を含んでいる。雄型部品129は、パンチ130を取り囲み、対象物5が形成された後に、パンチ130から対象物5を分離するのに役立つ可能性があるスリーブ131をさらに備える。
【0206】
鋳型121は、図9に示す接触位置と、図示しない間隔を空けた位置との間で移動可能な、少なくとも2つのインサート52をさらに備える。各インサート52は、対象物5の首部の一部、特にねじ山付きの首部の外側を成形するのに適した成形面を有している。図9に示す接触位置では、インサート52は、それぞれの成形面が対象物5の首部の外側を成形できるように、互いに接触している。また、間隔を空けた位置では、インサート52は、対象物5を鋳型121から抽出できるように、互いに間隔を空けている。
【0207】
図示の例では、この条件が必要でない場合でも、インサート52は雄型部品129によって支持されている。
【0208】
雌型部品128は、遷移領域153の上方に配置され、遷移領域153から間隔を空けて配置されたセンタリング面137を有する。
【0209】
センタリング面137は、インサート52の下端を画定する更なるセンタリング面138と、形状的に結合して係合するのに適している。より一般的には、さらなるセンタリング面138は、雄型部分129と関連している。
【0210】
センタリング面137は、さらなるセンタリング面138と係合し、雌型部品128が雄型部品129に対してセンタリングされた状態で配置されることを可能にする。
【0211】
図9に示すように、分量102が形成キャビティ134内で放出されると、分量102は、この場合、漏斗状の表面143によって規定される遷移領域153内に留まり、形成キャビティ134の底部40から間隔を空けたままとなる。
【0212】
遷移領域153は、既に述べたように、この場合、実質的に球形である分量102を成形キャビティ134内で中心に置くことを可能にし、それによって、雌型部品128内での分量102の位置決めを改善することができる。さらに、分量102が底部40に到達するのを待つことなく、遷移領域153上で分量102を静止させれば十分であるため、成形キャビティ134内に分量を位置決めするための時間が短縮される。
【0213】
分量は、次の段階で底部40と接触し、パンチ130によって変形される。
漏斗状の表面143に配置された後、分量102は、図3から8を参照して上述したのと同様の方法で圧縮成形にかけられる。
【0214】
漏斗状の表面43,143上に分量2,102が載っているとき、分量2,102は少なくとも部分的にセンタリング面37,137に囲まれていることが強調されている。より正確には、センタリング面37、137は、成形軸に平行な方向に分量2、102の少なくとも一部分に面している。図示の例では、分量2、102は、センタリング面37、137の上に突出していない。
【0215】
センタリング面37、137は、さらに、分量2、102から間隔を空けている。中心面37、137は、分量2、102が移送されている間に発生した不都合により、分量2、102が遷移領域53、153に対して中心に配置されていない場合であっても、その側面で分量2、102を画定する封じ込め面を画定する。
【0216】
すなわち、軸Zを中心とした閉じた経路に沿った第1の動きと、特に第1の実質的に垂直な向きから第2の実質的に水平な向きへと線量の向きを変更するための軸Hを中心とした第2の動きである。
【0217】
しかし、上述の型と組み合わせて、異なる種類の輸送素子を使用することも可能である。例えば、分量の向きを変更するための第2の動きを備えておらず、分量を分注装置から型に移動させるための閉じた経路に沿った動きのみを備えている輸送素子がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14