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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】温度調節システム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A41D13/005
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021533216
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2018001547
(87)【国際公開番号】W WO2020121011
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】519434156
【氏名又は名称】クリム8
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ゲリテ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ミゲ,フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】ムエット,ピエール
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0265533(US,A1)
【文献】特開昭60-90515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12
A41D20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の温度を調節するための温度調節システムであって、
- 体の所与の部分の近傍における湿度に関連する湿度測定値を生成するように適合させた少なくとも1つの湿度センサ(103、1005);
- 体の所与の部分に熱を提供するように適合させた少なくとも1つの温度調整要素(104、1006a、1006b、1006c);
- 少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)、および1つまたは複数の基準ユーザ情報関連値(tref)を記憶するように適合させたメモリユニット(101、1016、1024)であって、前記基準ユーザ情報関連値がユーザ不活動期間の持続時間を含む、メモリユニット(101、1016、1024);
- 前記湿度センサ(103、1005)、前記メモリユニット(1016、1024)、および前記温度調整要素(104、1006a、1006b、1006c)と通信している制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)であって、
・ ユーザ瞬間活動パラメータに関連するユーザ活動情報に基づいてユーザ不活動期間の少なくとも1つの瞬間持続時間(tinst)を決定し、前記制御ユニット(106、1022、1032、1034)は前記ユーザ活動情報を決定または受信するようにさらに構成され、
・ ユーザ不活動期間の少なくとも1つの瞬間持続時間(tinst)とユーザ不活動期間の少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)との比較を実行し、ここで前記ユーザ不活動期間の少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)は、前記ユーザ不活動期間の基準持続時間(tref)の1つに基づき、
・ 前記ユーザ不活動期間の少なくとも1つの瞬間持続時間(tinst)が前記少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)以上である場合に、前記温度調整要素(104、1006a、1006b)をアクティブ化して体の所与の部分に熱を提供し、
・ 前記体の所与の部分の近傍で測定された少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)を前記湿度センサ(103、1005)から受信し、前記少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)と少なくとも1つのトリガー湿度関連値(Htrig)との比較を実行し、前記少なくとも1つのトリガー湿度関連値(Htrig)は前記少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)に基づいており、前記少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が前記少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に、前記ユーザ不活動期間の少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)を前記少なくとも1つの基準持続時間(tref)×Y、ここでY>0およびY<1、に設定することにより、前記ユーザ不活動期間の少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)を前記ユーザ不活動期間の基準持続時間(tref)の1つより低い値に設定する
ように構成される制御ユニット;
を備える、
温度調節システム。
【請求項2】
前記湿度センサ(103、1005)が、前記体の所与の部分の近傍における空気中の水蒸気のレベルを測定するように適合され、前記少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)が、前記体の所与の部分の近傍における空気中の水蒸気飽和の閾値であることを特徴とする、請求項1に記載の温度調節システム。
【請求項3】
前記体が、人間または動物のユーザの体であり、前記湿度センサ(103、1005)が、前記ユーザの体の所与の部分の皮膚の近くの、好ましくは接触した測定に適合されることを特徴とする、請求項1または2に記載の温度調節システム。
【請求項4】
前記システムが、衣類の中あるいは内面または外面の上に統合されるように適合され、前記衣類が、好ましくは前記ユーザの皮膚に接触するための少なくとも1つの層を含み、前記湿度センサ(103、1005)が、前記層の中または上で測定するよう適合されることを特徴とする、請求項3に記載の温度調節システム。
【請求項5】
前記ユーザの体の所与の部分が背中であることを特徴とする、請求項3または4に記載の温度調節システム。
【請求項6】
前記ユーザの体の所与の部分が、背骨に沿ったまたはその周りの、および/または肩甲骨の間の領域にある、および/または背中の下側部位の領域にある、ストリップであることを特徴とする、請求項5に記載の温度調節システム。
【請求項7】
Y>0.4およびY<0.6であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項8】
前記ユーザ瞬間活動パラメータが、前記ユーザの前記体の少なくとも一部の活動に関連し、前記システムがさらに、前記ユーザの前記体の前記少なくとも所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を生成するように適合させた少なくとも1つのユーザ活動センサ(105、1010c)を備え、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、前記ユーザ活動センサ(105、1010c)と通信しており、前記ユーザ活動測定値を受信しかつ前記ユーザ活動測定値から前記ユーザ活動情報を決定するように構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項9】
前記ユーザ瞬間活動パラメータが、前記ユーザの前記体の少なくとも一部の活動に関連し、前記システムがさらに、前記ユーザの前記体の前記少なくとも所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を生成しかつ前記ユーザ活動測定値から前記ユーザ活動情報を決定するように適合させた少なくとも1つのユーザ活動センサ(105、1010c)を備え、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、前記ユーザ活動センサと通信しており、前記ユーザ活動センサから前記ユーザ活動情報を受信するように構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項10】
前記ユーザ活動センサ(105、1010c)が、モーションセンサまたは地理的位置センサ、または心拍センサであることを特徴とする、請求項8または9に記載の温度調節システム。
【請求項11】
前記ユーザ瞬間活動パラメータが前記ユーザの前記体の少なくとも一部の活動に関連し、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、外部デバイスから前記ユーザの前記体の少なくとも所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を受信するように適合させたインターフェースを備え、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、ユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項12】
前記ユーザ瞬間活動パラメータが前記ユーザの前記体の少なくとも一部の活動に関連し、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、外部デバイスからユーザ活動情報を受信するように適合させたインターフェースを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項13】
前記ユーザ瞬間活動パラメータが前記ユーザの前記体の少なくとも一部の活動に関連し、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、手動入力としてユーザ活動情報を受信するように適合させたインターフェースを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項14】
前記ユーザ瞬間活動パラメータの少なくとも1つが前記ユーザの前記体の少なくとも一部の活動に関連し、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、手動入力としてユーザ活動測定値を受信するように適合させたインターフェースを備え、該制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、ユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項15】
前記基準ユーザ情報関連値の少なくとも1つが、前記ユーザの前記体の所与の部分の温度であり、前記システムはさらに、体の所与の部分の温度に関連する温度測定値を生成するように適合される少なくとも1つの温度センサ(102、1004a、1004b、1004c)を備え、前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)は、前記温度センサ(102、1004a、1004b、1004c)と通信しており、該温度センサ(102、1004a、1004b、1004c)から前記体の所与の部分の少なくとも1つの瞬間温度(θinst)を受信し、該少なくとも1つの瞬間温度関連値(θinst)が前記少なくとも1つのトリガー温度関連値(θtrig)以下である場合に前記温度調整要素(104、1006a、1006b、1006c)をアクティブ化して前記体の所与の部分に熱を提供し、かつ、前記少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が前記少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に前記少なくとも1つのトリガー温度関連値(θtrig)を少なくとも1つの基準温度関連値(θref)-X℃、ここでX>0およびX<θref、に設定するよう構成される、ことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項16】
前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)がさらに、前記少なくとも1つの瞬間温度関連値(θinst)と少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)との比較を実行し、前記少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)は、前記少なくとも1つの基準温度関連値(θref)に基づくものであり、前記少なくとも1つの瞬間温度関連値(θinst)が前記少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)に等しくなるまで前記温度調整要素(104、1006a、1006b、1006c)をアクティブ化された状態に維持し、かつ、前記少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が前記少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に前記少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)を前記少なくとも1つの基準温度関連値(θref)よりも大きい数値に設定するよう構成される、請求項15に記載の温度調節システム。
【請求項17】
前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)が、外部デバイス(1016)と無線で通信するように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項18】
前記制御ユニット(106、1022、1024、1032、1034)に電力を供給するための電源をさらに備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の温度調節システムを含む、人間または動物のユーザが着用する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体の一部、特にユーザの体の一部の温度を調節するための温度調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱的快適性は、人の体内の温度と体の表面の温度によって決まる。人の深部体温は一般に37℃であり、また人の平均皮膚温度は一般に33℃である。例えば、風が強くなったり特別に日照りの日など、環境が変化した場合、あるいは人が涼しい場所に移動した場合、人は温度感覚で不快になる。一般的な状況では、温度感覚での不快感は、核心温度の変化ではなく、ユーザの皮膚温度が変化したときにユーザに感じられる。
【0003】
衣類に使用される従来の化学または電気加熱システムは、比較的高レベルで簡単に熱を供給することができる。現在利用可能なほとんどのデバイスは、ユーザが手動で調整できる加熱パッド付きのウェアラブル衣類(wearable garments)からなる。少なくともいくつかのデバイスでは、加熱パッドは等しい熱出力を生成し、すべての加熱パッドが作動して熱を提供する。既存の製品は、多くの場合、かさばり、重く、手動操作が必要であり、その作動範囲が限られている。
【0004】
これに加えて、これらのシステムの効率はまた、ユーザの活動の強度、または湿度に依存する。水の熱伝導率は空気のものよりはるかに高いので、体の周りの相対湿度は、熱的快適性の重要な決定因である。その結果、空気中または衣類中の水分含有量が高い場合に、ユーザの体から熱がより容易に逃げる。筋肉の活動により生じる熱は、周囲への熱伝達の増加を補うのに十分でありうるので、ユーザが物理的に活動的である限り、これは問題とはならない。しかしながら、ユーザが活動の途中でまたは終わりに停止すると、周囲の微気候においておよび/または衣類自体において皮膚上に蓄積された汗により、冷たい不快感が生じうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、他の問題の中でもとりわけ上記の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、体の近傍で測定された湿度に基づいて、体の一部の温度の調節を可能にする温度調節システムを提案する。
【0007】
第1の態様によれば、本発明の対象は、体の一部、特にユーザの体の一部の温度を調節するための温度調節システムである。
【0008】
このシステムは、以下を備える:
-体の所与の部分の近傍における湿度に関連する湿度測定値を生成するように適合させた少なくとも1つの湿度センサ;
-体の所与の部分に熱を提供するように適合させた少なくとも1つの温度調整要素;
-少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)、および1つまたは複数の基準ユーザ情報関連値(tref,θref)を記憶するように適合させたメモリユニット;
-湿度センサ、メモリユニットおよび温度調整要素と通信しており、以下を行うよう構成される、制御ユニット:
・少なくとも1つの瞬間(instant)ユーザ情報関連値(tinst,θinst)を決定し;
・少なくとも1つの瞬間ユーザ情報関連値(tinst,θinst)と少なくとも1つのトリガー(triggering)ユーザ情報関連値(ttrig,θtrig)との比較を実行し、前記少なくとも1つのトリガーユーザ情報関連値(ttrig,θtrig)は、前記基準ユーザ情報関連値(tref,θref)の1つに基づき;
・前記比較の結果に応じて、温度調整要素をアクティブ化して体の所与の部分に熱を提供する。
【0009】
制御ユニットはさらに、体の所与の部分の近傍で測定された少なくとも1つの瞬間湿度(Hinst)を湿度センサから受信し、少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)と少なくとも1つのトリガー湿度関連値(Htrig)との比較を実行し、少なくとも1つのトリガー湿度関連値(Htrig)は少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)に基づいており、少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に少なくとも1つのトリガーユーザ情報関連値(ttrig,θtrig)を基準ユーザ情報関連値(tref,θref)の1つより低い値に設定する、ように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、単独でまたは技術的に可能な任意の組み合わせに従って考慮される、以下の特徴の1つまたは複数をさらに含む:
-湿度センサは、体の所与の部分の近傍における空気中の水蒸気のレベルを測定するように適合され、少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)は、体の所与の部分の近傍における空気中の水蒸気飽和の閾値である;
-体は、人間または動物のユーザの体であり、湿度センサは、ユーザの体の所与の部分の皮膚の近くの、好ましくは接触した測定に適合される;
-システムは、衣類の内側または外側の内部または上部に統合されるように適合され、衣類は、好ましくはユーザの皮膚に接触するための少なくとも1つの層を含み、湿度センサは、この層の内部または上部で測定するよう適合される;
-ユーザの体の所与の部分は、背中である;
-ユーザの体の所与の部分は、背骨に沿ったまたはその周りの、好ましくは実質的に5cm幅の、および/または肩甲骨の間の領域にある、および/または背中の下側部位の領域にある、ストリップ(strip)である;
-少なくとも1つのユーザ情報関連値は、ユーザ不活動期間の持続時間であり、制御ユニットは、ユーザ瞬間活動パラメータに関連するユーザ活動情報に基づいてユーザ不活動期間の瞬間持続時間を決定し、ユーザ不活動期間の少なくとも1つの瞬間持続時間(tinst)が少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)以上である場合に温度調整要素をアクティブ化して体の所与の部分に熱を提供するよう構成され、制御ユニットはさらに、少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に少なくとも1つのトリガー持続時間(ttrig)を少なくとも1つの基準持続時間(tref)×Yに設定するよう構成され、Y∈]0、1[、好ましくはY∈]0.4、0.6[、最も好ましくはYは0.5に実質的に等しい;
-ユーザ活動パラメータは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、システムは、前記ユーザの体の少なくとも所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を生成するように適合させた少なくとも1つのユーザ活動センサをさらに備え、制御ユニットは、ユーザ活動センサと通信しており、ユーザ活動測定値を受信しかつユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される;
-ユーザ活動パラメータは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、システムは、前記ユーザの体の少なくとも所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を生成しかつそのユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように適合させた少なくとも1つのユーザ活動センサをさらに備え、制御ユニットは、ユーザ活動センサと通信しており、ユーザ活動センサからユーザ活動情報を受信するように構成される;
-ユーザ活動センサは、モーションセンサまたは地理的位置センサ、または心拍センサである;
-ユーザ活動パラメータは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、制御ユニットは、外部デバイスから前記ユーザの体の少なくとも所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を受信するように適合させたインターフェースを備え、制御ユニットは、ユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される;
-ユーザ活動パラメータは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、制御ユニットは、外部デバイスからユーザ活動情報を受信するように適合させたインターフェースを備える;
-ユーザ活動パラメータは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、制御ユニットは、手動入力としてユーザ活動情報を受信するように適合させたインターフェースを備える;
-ユーザ活動パラメータの少なくとも1つは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、制御ユニットは、手動入力としてユーザ活動測定値を受信するように適合させたインターフェースを備え、制御ユニットは、ユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される;
-ユーザ情報関連値の少なくとも1つは、ユーザの体の所与の部分の温度であり、システムはさらに、体の所与の部分の温度に関連する温度測定値を生成するように適合される少なくとも1つの温度センサを備え、制御ユニットは、温度センサと通信しており、温度センサから体の所与の部分の少なくとも1つの瞬間温度(θinst)を受信し、少なくとも1つの瞬間温度関連値(θinst)が少なくとも1つのトリガー温度関連値(θtrig)以下である場合に温度調整要素をアクティブ化して体の所与の部分に熱を提供し、かつ、少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に少なくとも1つのトリガー温度関連値(θtrig)を少なくとも1つの基準温度関連値(θref)-X℃、X∈]0、θrefに設定するよう構成される;
-制御ユニットはさらに、少なくとも1つの瞬間温度関連値(θinst)と少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)との比較を実行し、前記少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)は、少なくとも1つの基準温度関連値(θref)に基づくものであり、少なくとも1つの瞬間温度関連値(θinst)が前記少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)に等しくなるまで温度調整要素をアクティブ化された状態に維持し、かつ、少なくとも1つの瞬間湿度関連値(Hinst)が少なくとも1つの閾値湿度関連値(Hthresh)以上である場合に前記少なくとも1つの標的温度関連値 (θtarg)を前記少なくとも1つの基準温度関連値(θref)よりも大きい数値に設定するよう構成される;
-制御ユニットは、外部デバイスと無線で通信するように構成される;
-システムは、制御ユニットおよび論理ユニットに電力を供給するための電源を備える;
-電源は外部電源である。
【0011】
第2の態様によれば、本発明の対象はまた、上記のような温度調節システムを含む、人間または動物のユーザが着用する衣類である。
【0012】
上述される、そのような温度調節システム、およびこの温度調節システムを統合するそのような衣類によって、ユーザの体の一部の近傍のおよび/または衣類中の湿度に依存して、かつ、ユーザ活動(または不活動)および/またはユーザの体の一部の温度のようなユーザ関連情報を考慮して、温度のより細かい自動調整が可能となる。
【0013】
本発明およびその利点は、例としておよび例示のみを目的として与えられる以下の説明を参照することによって、および以下に列挙する添付の図面を参照することによって、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一般化された温度調節システムを示す。
図2図1に示す温度調節システムで使用できるコントローラの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、一般化された温度調節システムの概略図を示す。図1に示すように、温度調節システム100は、少なくとも1つの湿度センサ103、加熱要素などの少なくとも1つの温度調整要素104、制御ユニットまたはコントローラ106、およびユーザデバイス108を備える。
【0016】
湿度センサ103は、必ずしも温度調整要素104の近くに配置されない。
【0017】
システムはフレキシブルな支持体110をさらに備え、その支持体は、ウェアラブル物品110であってよく、またはそのようなウェアラブル物品、例えば衣類に統合させることも可能である。
【0018】
図1に示すように、湿度センサ103は、湿度センサ103がユーザの体の一部の近傍の湿度を測定できるように、フレキシブルな支持体110上に配置される。
【0019】
フレキシブルな支持体110は、ユーザがユーザの体の一部に着用することができる任意の適切な衣類110であるか、またはそれに統合されてもよい。例えば、衣類110は、長袖シャツ、Tシャツ、帽子、靴下、手袋、ズボン、タイツ、ジャケット、ビーニー、または他の任意の適切な着用可能な衣類であってよい。
【0020】
特定の実施形態において、少なくとも1つの温度センサ102は、温度センサ102がユーザの体の一部と接触するように、フレキシブルな支持体110上に配置される。温度センサ102は、少なくとも直接ユーザの皮膚と接触する。あるいは、温度センサ102は、例えば、衣類の層を介して、ユーザの皮膚と間接的に接触する。センサ102は、ユーザの皮膚温度を測定するように構成される。
【0021】
温度センサ102は、ユーザの体の一部の温度に対応する温度測定値を生成するように構成される。好ましくは、温度測定値は皮膚温度である。
【0022】
温度調整要素104は、ユーザに熱または寒冷を提供するための任意の適切な要素またはデバイスであってよい。例えば、温度調整要素104は加熱パッドであってよく、それは、ウェアラブル衣類110上に配置され、ユーザの皮膚と直接接触してまたはテキスタイルの層を介して接触して配置され、ユーザの体の一部に熱を提供することができる。温度調整要素104は、熱を提供して、ユーザの皮膚温度を高める。あるいは、温度調整要素は、車または家の空調ユニットであってよく、あるいはスマート家電もしくは建物のHVACシステム、またはユーザに熱または寒冷を提供するための他の任意の適切なデバイスまたはシステムであってよい。
【0023】
コントローラ106は、湿度センサ103から湿度関連測定値を受信し、かつ、温度センサ102が用いられる場合、この温度センサ102から温度関連測定値を受信するように構成される。コントローラ106は、湿度センサ103、温度調整要素104、および適用される場合は温度センサ102と、有線または無線で通信している。コントローラ106は、湿度センサ103から湿度関連測定値を、および適用される場合は温度センサ102から温度測定値を、電気信号として受信する。コントローラ106は、これらの信号を処理するおよび/または例えばセンサ自体によってすでに処理された信号を受信するように構成される。
【0024】
システムはさらに、少なくとも1つの閾値湿度関連値Hthreshを記憶するように適合させたメモリユニット101を備える。コントローラ106は、メモリユニット101とも通信している。
【0025】
コントローラ106は、体の所与の部分の近傍の湿度に関する、体の所与の部分の近傍で測定される瞬間湿度関連値Hinstを湿度センサ103から受信し、かつ、適用される場合は、体の所与の部分の瞬間温度θinstを温度センサ102から受信するよう構成される。
【0026】
さらに、以下で実施例においてさらに説明されるように、コントローラ106は、例えば体の所与の部分の瞬間温度θinst、またはユーザ不活動期間の瞬間持続時間tinstでもよい、少なくとも1つの瞬間ユーザ情報関連値を決定するよう構成される。
【0027】
コントローラ106は、少なくとも1つの瞬間ユーザ情報関連値tinst、θinstと、トリガーユーザ不活動期間持続値ttrigまたはトリガー関連値θtrigのような少なくとも1つのトリガーユーザ情報関連値ttrig、θtrigとの比較を実行し、その比較の結果に応じて、温度調整要素104をアクティブ化して、体の所与の部分に熱または寒冷を提供するよう構成される。
【0028】
トリガーユーザ情報関連値ttrig、θtrigは、基準ユーザ不活動期間持続値Trefまたは基準温度関連値θrefのような、メモリユニット101に記憶される、1つの基準ユーザ情報関連値tref、θrefに基づく。
【0029】
いくつかの特定の実施形態において、メモリユニット101はまた、ユーザプロファイルパラメータに関連する少なくとも1つのユーザプロファイル情報を記憶するように適合されてもよい。
【0030】
コントローラ106はさらに、瞬間湿度関連値Hinstと少なくとも1つのトリガー湿度関連値Htrigとの比較を実行するよう構成される。このトリガー湿度関連値Htrigは、閾値湿度関連値Hthreshに基づく。コントローラ106はまた、瞬間湿度関連値Hinstが閾値湿度関連値Hthresh以上である場合に、トリガーユーザ情報関連値ttrig、θtrigを、基準ユーザ情報関連値tref、θrefより低い値に設定するよう構成される。
【0031】
検出精度およびサイズの点でバリエーションのある多くの湿度センサが存在する。
【0032】
好ましくは、湿度センサ103は、システムが内部に統合され皮膚に近い衣類のベース層のレベルで湿度を検出でき、かつ、着用者の動き、フィットを損なわず衣服のアンサンブルのバルキネス(bulkiness)を増加させないほど十分に小さくなければならない。
【0033】
湿度センサ103は、湿度を測定し、連続的にまたは定期的に、可能な限り頻繁に、情報をコントローラ106に送信する。閾値湿度関連値Hthreshは、メモリユニット101内で予め定められてもよく、可能な限り低くなければならないが、校正工程中に決定されその後メモリユニット101に記憶されてもよい。
【0034】
例として、湿度センサ103は、体の所与の部分の近傍における空気中の水蒸気のレベルを測定するように適合されたセンサでもよい。そのような場合、閾値湿度関連値Hthreshは、体の所与の部分の近傍における空気中の水蒸気飽和の閾値であり、空気中の水蒸気飽和のこの閾値は、定義により、温度に依存する。
【0035】
本発明は、例えば人間のユーザまたは動物のユーザに適用でき、体は人間または動物のユーザの体である。そのような場合、湿度センサ103は、ユーザの体の対応する部分の皮膚の近く、好ましくは皮膚と接触した測定に適合される。
【0036】
上述のように、システムは、衣類中に統合されるように特に適合される。システムは次いで、より詳細には、そのような衣類の内側または外側の内部または上部に統合されるように適合される。
【0037】
衣類は、少なくとも1つの層を含む。この層は、好ましくは、ユーザの皮膚に接触するためであり、湿度センサ103、および適用される場合には温度センサ102は、前記層の内部または上部での測定に適合される。
【0038】
問題となる体の部分は、ユーザの背中でもよい。より詳細には、好ましくは実質的に5cm幅の、背骨に沿ったまたはその周りのストリップでもよい。また、2つの肩甲骨の間の領域、あるいは、背中の下側部位にある領域でもよい。2つ以上の湿度センサ、および適用される場合は温度センサを用いることにより、本発明によるシステムによって2つ以上の体の部分が処理できる。
【0039】
本発明による1つの実施形態において、体の一部の温度を調節するために湿度要素を考慮する1つの方法は、ユーザ情報関連値としてユーザの不活動期間を使用して、不活動期間の持続時間を調整し、その後に温度調整がアクティブ化されることである。
【0040】
正常状態では、コントローラ106は、トリガー持続時間ttrigよりも長く続く不活動期間の後に温度調整要素をアクティブ化するよう構成され、トリガー持続時間ttrigは、メモリユニット101に記憶された基準持続時間trefに依存する。これは、瞬間持続時間tinstがトリガー持続時間ttrig以上である場合に、コントローラ106が、ユーザ瞬間活動パラメータに関連するユーザ活動情報に基づいて、ユーザの不活動期間の瞬間持続時間tinstを決定し、温度調整要素104をアクティブ化するよう構成されることを意味する。
【0041】
上記の正常状態、すなわち正常な湿度条件において、コントローラ106は例えば、このトリガー持続時間ttrigが基準持続時間trefと等しくなるように構成されてもよい。
【0042】
この実施形態において、湿度要素を考慮するため、湿度が閾値を超える場合、コントローラ106はさらに、このトリガー持続時間ttrigをtref×Yに設定するよう構成され、Yは、厳密に0より大きく厳密に1より小さい数である。ある実施例において、これは、湿度センサ103により測定される瞬間湿度関連値Hinstが、閾値湿度関連値Hthresh以上である場合を意味する。
【0043】
好ましくは、コントローラ106は、Yが厳密に0.4より大きく厳密に0.6より小さい、実質的に0.5に等しいように構成されてもよい。
【0044】
Yの値は、活動のタイプ、活動の強度、季節、1日における時間、ユーザプロファイル等に依存して変化しうる。システムが構築される際に設定されてもよい、および/または、外部デバイスまたは装置上でまたはユーザデバイス108自体において適切なインターフェースを介してユーザによって任意の時間に修正されてもよい。
【0045】
ユーザ活動パラメータは、ユーザの体の少なくとも一部の活動に関連し、システムは、図示されていない少なくとも1つのユーザ活動センサも備える。このユーザ活動センサは、ユーザの体の所与の部分の活動に関連するユーザ活動測定値を生成するように適合させている。
【0046】
コントローラ106は、ユーザ活動センサと通信しており、ユーザ活動測定値を受信しかつユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される。
【0047】
あるいは、ユーザ活動センサはまた、ユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように適合させている。この場合、ユーザ活動センサと通信しているコントローラ106は、ユーザ活動センサからユーザ活動情報を直接受信するように構成される。
【0048】
ユーザ活動センサは、モーションセンサ、地理的位置センサ、または心拍センサであってよい。システムは、いくつかの活動センサを含んでいてよく、そのそれぞれが、例えば上記のタイプの1つである。
【0049】
モーションセンサの場合、このセンサは3軸加速度計であってよい。加速度計は、ユーザの体の動きを検出または測定する。モーション測定値は、加速度測定値または速度測定値である。モーション測定値は、モーションセンサからコントローラ106によってサンプリングされる。モーションセンサは、任意の適切なサンプリングレートでサンプリングされる。コントローラ106は、モーション測定値を使用して、所定の関係に基づき閾値温度を調整する。
【0050】
コントローラ106は、外部デバイスからユーザ活動測定値を受信するように適合させたインターフェースを備えていてよい。この場合、コントローラ106は、前記インターフェースを介して受信したユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される。
【0051】
あるいは、インターフェースは、外部デバイスからユーザ活動情報を直接受信するように適合させている。
【0052】
インターフェースは、ユーザから手動入力としてユーザ活動情報を受信するように適合させていてもよい。
【0053】
あるいは、インターフェースは、手動入力としてユーザ活動測定値を受信するように適合させている。この場合、コントローラ106は、インターフェースを介して受信したユーザ活動測定値からユーザ活動情報を決定するように構成される。
【0054】
本発明による別の実施形態において、体の一部の温度を調節するために湿度要素を考慮する別の方法は、ユーザ情報関連値としてユーザの体の一部の温度を使用して、温度調整要素104のアクティブ化をトリガーする温度を調整することである。
【0055】
正常状態において、コントローラ106は、瞬間温度関連値θinstがトリガー温度関連値θtrigより低くなる場合に温度調整要素をアクティブ化するよう構成され、トリガー温度関連値θtrigは、メモリユニット101に記憶される基準温度関連値θrefに依存する。
【0056】
上記の特定の実施形態において、システムはさらに、すでに上述された温度センサ102を備える。この温度センサ102は、体の所与の部分の温度に関する温度測定値を生成するよう適合される。コントローラ106は、温度センサ102と通信し、体の所与の部分の瞬間温度θinstを温度センサ102から受信し、瞬間温度関連値θrefがトリガー関連値θtrig以下になる場合に温度調整要素104をアクティブ化して体のこの部分に熱を提供するよう構成される。
【0057】
上記の正常状態、すなわち正常な湿度条件において、コントローラ106は例えば、このトリガー温度関連値θtrigが基準温度関連値θrefと等しくなるように構成されてもよい。
【0058】
この実施形態において、湿度要素を考慮するため、湿度が閾値を超える場合、コントローラ106はさらに、このトリガー温度関連値θtrigをθtrig=θref-Xに設定するよう構成され、Xは、厳密に0より大きく厳密にθrefより小さい数である。ある実施例において、これは、湿度センサ103により測定される瞬間湿度関連値Hinstが、閾値湿度関連値Hthresh以上である場合を意味する。
【0059】
コントローラ106はまた、以下の工程を実行するよう構成されてもよい:
-温度センサ102から受信された瞬間温度関連値θinstと、1つの標的温度関連値θtargとの間の比較を実行する工程であって、この標的温度関連値θtargもまた基準温度関連値θrefに基づく、工程;
-温度センサ102から連続的または定期的に受信される瞬間温度関連値θinstが、標的温度関連値θtargに等しくなるまで、温度調整要素104のアクティブ化を維持する工程;
-瞬間湿度関連値Hinstが閾値湿度関連値Hthresh以上である場合に、標的温度関連値θtargを基準温度関連値θrefより大きい値に設定する工程。
【0060】
ユーザデバイス108は、少なくとも、プロセッサと、メモリと、ユーザが入出力インターフェースとして使用することができるユーザインターフェースとを備えた携帯型デバイスである。ユーザデバイス108は、低エネルギー無線システムである。ユーザデバイス108は、例えば、スマートフォンまたはタブレットであり得る。ユーザデバイス108は、情報をユーザデバイス108からコントローラ106に伝送できかつ情報をコントローラ106からユーザデバイス108に伝送できるように、コントローラ106と双方向通信するように適合させている。ユーザデバイス108は、好ましくは、無線通信プロトコルとして、ブルートゥース(登録商標)または赤外線などの低エネルギー無線システムを使用する。
【0061】
システム100は、コントローラ106に電力を供給するためにコントローラ106に接続された電源112cをさらに備える。電源112cは、有線接続または無線で電力を伝送できる。コントローラ106および電源112cは、好ましくは、ウェアラブル衣類110上に配置される。
【0062】
あるいは、電源は、ユーザデバイス108の電源であってよい。
【0063】
コントローラ106は、少なくとも、プロセッサ、メモリユニット、および電源ユニットを備える。電源ユニットは電力を生成し、電源ユニットは好ましくは充電式電池を含む。プロセッサ、メモリユニット、および電源ユニットは、好ましくはケーシング内に配置される。
【0064】
ここで、温度調節システム用のコントローラの構造および動作を、コントローラ1000を示す図2に関して説明する。コントローラ106は、図2に関して説明するコントローラ1000と同じ構造を有し、このコントローラ1000と同様に機能する。
【0065】
図2は、湿度センサ1008、複数の温度調整要素1006a~1006c、および少なくとも1つのユーザ活動センサ(モーションセンサ1010cなど)と通信しているコントローラ1000の一般化された概略図を示す。上述の1つの実施形態において、それは、1つまたは複数の湿度センサ1004a~1004cも含む。図2に示されるセンサは、一般化されたコントローラ1000の動作を説明するための一般的な表示である。コントローラの機能やセンサおよびユーザデバイスとの相互作用は、前述の実施形態のいずれにも適用可能である。
【0066】
図2に示すように、コントローラ1000は、論理ユニット1022(プロセッサ1022など)、メモリユニット1024、および電源ユニット1026を備える。この例では、コントローラ1000はマイクロコントローラであり、すなわち、それは、単一のチップまたは集積回路上にすべてのコンポーネントを含む。プロセッサ1022は、電子コマンドを処理することができるマイクロプロセッサである。プロセッサ1022は、非一時的なコンピュータ可読メモリユニット1024に格納されたコマンドを実行することができる。プロセッサ1022は、好ましくは、集積回路の形態である。メモリユニット1024は、ROM 1028およびRAM 1030を含む。電源ユニット1026は、ケーシング内に配置されてプロセッサと通信する1つまたは複数の充電式電池を含む。コントローラ1000は、記載の様々な構成要素および適切なインターフェース回路を接続するための他の必須の電子部品を含む。
【0067】
コントローラ1000は、機能的に制御ユニット1032、1034の一部である通信モジュール1032をさらに備える。通信モジュール1032は、ブルートゥース(登録商標)モジュールなどの低エネルギー無線システムである。通信モジュール1032は、プロセッサ1022と有線または無線で通信しており、コントローラ1000がユーザデバイス1016と通信することを可能にする。
【0068】
ユーザデバイス1016で実行可能なローカルアプリケーションは、ユーザデバイス1016とコントローラとの間の通信を可能にする。このアプリケーションは、ユーザがインターフェースにアクセスすることを可能にし、それはユーザがたとえばユーザプロファイル情報(前述のとおり)を入力したり、コントローラの動作モードを追加で変更したりすることも可能にする。
【0069】
コントローラ1000はまた、複数の湿度センサ、適用される場合は温度センサ、および例えばウェアラブル衣類上に配置された温度調整要素と通信し、図1に関して上記で説明されるように構成される。
【0070】
コントローラ1000はまた、一定の時間の経過後におよび/または瞬間温度測定値が閾値温度を超えると、温度調整要素を非アクティブ化するよう構成される。本明細書に記載の温度センサは皮膚温度を測定するが、筋肉温度または核心温度などの他の温度測定を可能にする代替センサも使用できることに留意されたい。
【0071】
各湿度センサ、および適用される場合は温度センサは、温度調整要素に関連付けられてもよい。コントローラ1000は、各センサから複数の測定値を受信し、1つの湿度センサ、適用される場合は1つの温度センサ、および1つの温度調整要素を備えた構成に関して上記で説明したように、これらの測定値の各々を使用する。したがって、コントローラ1000は、ユーザの体の特定部分の局在化されたまたは選択的な温度調整を可能にする。
【0072】
コントローラ1000は、電力線に沿って温度調整要素1006a~1006cに起動信号を提供するように構成される。起動信号は、好ましくは、パルス幅変調(PWM)電力信号である。コントローラ1000は、機能的に制御ユニット1032、1034の一部であるPWMモジュール1034を備える。このPWMモジュール1034は、プロセッサに統合することも、あるいはプロセッサおよび電源ユニットに接続することもできる。PWMモジュール1034はPWM信号を生成し、それを電力線に沿って加熱パッド1006a~1006cに伝送する。PWM信号は、電力ユニットからの電力を節約する。
【0073】
説明した温度調節システムは、システムがユーザの皮膚全体の温度分布を調節し、対応する場所において温度調整要素を選択的に作動させまたはアクティブ化するので有利である。さらに、説明した温度調節システムは、人の熱的快適性または快適感に影響を与える可能性のある湿度を考慮に入れるため有利である。
【0074】
上述の2つの主要な特定の実施形態は、本発明による単一の調節システムと組み合わせてもよいことが指摘されたい。
【0075】
湿度は、ユーザが非活動的である場合に特に問題となる。非活動状態において、ユーザが生じる熱が少なく、湿度(水)が乾燥し、衣類の微気候、おそらく皮膚自体の冷却につながる。その上、衣類の微気候が水において飽和する場合、周囲に向かった体温損失はより速い。
【0076】
これが、ユーザの体の所与の部分の温度を調節するために湿度要素を考慮するための、本発明の調節システムが特に重要であることの理由である。
【0077】
上述の実施形態の1つにおいて、瞬間湿度関連値が、例えば該当の体の部分の近傍における空気中の水蒸気飽和の閾値のような閾値湿度関連値を超える場合、活動の休止中に温度調整要素をアクティブ化する前の遅延、または非活動期間が低減される、例えば半分になる。
【0078】
例えば、ユーザが寒い中で10分間走ると、温度調整要素は、走った最初の5分間にアクティブ化され、その後非アクティブ化される。11分後に、すなわち低湿度の条件での休止の1分後、温度調整要素は再びアクティブ化されるであろう。しかしながら、走行中の湿度の増加を考慮するために、システムは、1分ではなく30秒後にのみ、温度調整要素をアクティブ化する。
【0079】
また、寒い中で、および、湿度が増加中であるまたは校正(システムの初期構成)の時よりも高い環境でユーザが静的または準静的である場合、温度が安定していたとしても、瞬間温度関連値がそうでなければアクティブ化をトリガーするために使用される基準温度関連値よりも低い値に達すると、システムは、温度調整要素をアクティブ化することによりこの特定の構成を考慮に入れる。
【0080】
上記の説明は本発明の特定の実施形態に関するものであるが、本発明は、例示のみを目的として説明されたこれらの実施形態に限定されない。
【0081】
特に、本発明は、人間または動物のユーザの体の一部の温度を調節するための温度調節システムのみならず、より一般的には、食物または液体を受け取るためのレシピエントなどの任意の他の体の一部の温度を調節するための温度調節システムにも関する。
【0082】
また、上記の説明は、温度センサ、温度調整要素およびユーザデバイスと通信している、論理ユニット、メモリユニットおよび制御ユニットを備えたコントローラに関する。あるいは、メモリユニットは、温度センサの1つの一部またはユーザデバイスの一部であってよく、また論理ユニットはユーザデバイスの一部であってよい。
【0083】
また、上記の説明は、システムが、ユーザ、人間、または動物のウェアラブル衣類に統合されている例に関する。しかしながら、それは、ベルト、リストレースまたは時計などのアクセサリ、靴等に統合されたシステムまたはそれらの一部にまで及ぶ。
【符号の説明】
【0084】
100 温度調節システム
101 メモリユニット
102 温度センサ
103 湿度センサ
104 温度調整要素
106 コントローラ
110 ウェアラブル衣類
図1
図2