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特許7443372水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン
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  • 特許-水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/16 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
F03B13/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021536090
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 BR2019050024
(87)【国際公開番号】W WO2019241861
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】BR102018012716-0
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(31)【優先権主張番号】BR102019001010-0
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】521267926
【氏名又は名称】コレア アントゥネース、ハミルトン
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コレア アントゥネース、ハミルトン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-127136(JP,A)
【文献】特開2005-207332(JP,A)
【文献】特開昭51-065250(JP,A)
【文献】特開昭61-233244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジンであって、
海洋および河川を含む水の水面上に部分的に浮遊する中空の浮遊要素であって、船舶の外側面に配置され、その内部に液体からなる重りを含むものであり、当該重りは、前記浮遊要素の一部分のみが水面よりも上方に浮遊するような重量を有するものである、前記浮遊要素と
ケーブル、ロープ、またはチェーンを含む被牽引部材であって、第1および第2の端部を有し、
前記被牽引部材の前記第1の端部は前記浮遊要素に連結され、前記第2の端部は、前記被牽引部材の張力を調整するように構成された釣り合い重りに連結されているものであり、
前記被牽引部材は、前記第1の端部側に配置された第1の滑車、前記第2の端部側に配置された第2の滑車、および当該第1の滑車と第2の滑車との間に配置された第3の滑車に巻着されているものである、
前記被牽引部材と、
前記第3の滑車の回転中心を通るシャフトに接続された回転増倍装置および当該回転増倍装置の第1の出力シャフトに接続された発電機と、
を有し、
前記水の波または潮流の昇降運動にともなって、前記浮遊要素が上昇位置から下降位置に移動するとき、前記浮遊要素により前記被牽引部材が下降方向に牽引され、前記被牽引部材によって前記第3の滑車が回転されるものであり、その結果、前記浮遊要素の下降運動によって生じる機械的エネルギーが前記第3の滑車の前記シャフトを介して前記回転増倍装置および前記発電機に提供されて電気的エネルギーが生成されるものであり、
前記機械エンジンは、さらに、前記回転増倍装置の第2の出力シャフトに接続されたフライホイールを有し、
前記フライホイールは、前記浮遊要素が下降位置から上昇位置に移動する際の前記浮遊要素による前記被牽引部材の牽引停止期間において、前記発電機の回転の安定化を促進することを特徴とする、
水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン。
【請求項2】
水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジンであって、
海洋および河川を含む水の水面上に部分的に浮遊する中空の浮遊要素であって、船舶の外側面に配置され、その内部に液体からなる重りを含むものであり、当該重りは、前記浮遊要素の一部分のみが水面よりも上方に浮遊するような重量を有するものである、前記浮遊要素と
ケーブル、ロープ、またはチェーンを含む被牽引部材であって、第1および第2の端部を有し、
前記被牽引部材の前記第1の端部は前記浮遊要素に連結され、前記第2の端部は、前記被牽引部材の張力を調整するように構成された釣り合い重りに連結されているものであり、
前記被牽引部材は、前記第1の端部側に配置された第1の滑車、前記第2の端部側に配置された第2の滑車、および当該第1の滑車と第2の滑車との間に配置された第3の滑車に巻着されているものである、
前記被牽引部材と、
前記第3の滑車の回転中心を通るシャフトに接続された回転増倍装置および当該回転増倍装置の第1の出力シャフトに接続された発電機と、
を有し、
前記水の波または潮流の昇降運動にともなって、前記浮遊要素が上昇位置から下降位置に移動するとき、前記浮遊要素により前記被牽引部材が下降方向に牽引され、前記被牽引部材によって前記第3の滑車が回転されるものであり、その結果、前記浮遊要素の下降運動によって生じる機械的エネルギーが前記第3の滑車の前記シャフトを介して前記回転増倍装置および前記発電機に提供されて電気的エネルギーが生成されるものであり、
前記機械エンジンは、さらに、前記回転増倍装置の第2の出力シャフトに接続され、ギヤをニュートラルおよび逆回転にシフトさせる当該機械エンジン専用のギアボックスを有することを特徴とする、
水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン。
【請求項3】
請求項1または2記載の水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジンにおいて、
前記浮遊要素の前記重りの液体は、海水を含む水であり、前記重りは、前記浮遊要素の浮遊を最小限に抑えながらその重量が増加されるものであり、その結果、前記浮遊要素の質量と前記浮遊要素が上昇位置から下降位置に移動する際に生じる加速度、慣性、および重力の積により、前記機械的エネルギーおよび前記電気的エネルギーが増大することを特徴とする、
水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン。
【請求項4】
請求項1または2記載の水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジンにおいて、前記釣り合い重りは、前記浮遊要素の上昇位置から下降位置への移動、および下降位置から上昇位置への移動の双方の移動時において、前記被牽引部材の張力を調整するように構成されていることを特徴とする、水の動きによるエネルギー生成のための機械エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潮流、波、水位差、または水のあらゆる動きを使用して、機械的、電気的エネルギーを生成する機械的モーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の風力発電所は、風速を利用して機械的および電気的エネルギーを生成するという原理で動作する。
【0003】
太陽電池によって生成される従来の太陽エネルギーは、光を電気エネルギーに変換する特性を有する。
【0004】
熱による従来の太陽エネルギーは、太陽熱をエネルギー源として、機械的または電気的エネルギーを発生させる特性を有する装置を使用している。
【0005】
従来の水力発電所は、貯蔵された大量の水を流動させ、発電機のブレードを回転させることで電気エネルギーを生成する原理を利用して動作する。
【0006】
従来の火力発電所は、鉱物または植物性石炭を燃焼させて熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーを機械的および電気エネルギーに変換する。
【0007】
原子力発電所は、放射性原子核の核分裂を通じて、機械的および電気的エネルギーも生成する。
【0008】
発電機セットと呼ばれる、液体燃料を動力とする設備または小規模設備は、通常、複数の大型燃焼機関であり、これらに結合された電気エネルギーを生成するための発電機を有する。
【0009】
従来の風力発電所は、単純に見えるが、適切に機能するためには、機械的、電気的、電子的な複雑性が要求されるため、生産能力に比べてコストが依然として高い。
【0010】
太陽電池パネルとして広く知られている太陽電池で発電された太陽エネルギーは、太陽光に依存しているため、通常24時間連続して発電することはできず、発電能力の割にコストが高いのに加えて夜間は発電には使用できない。従来のバッテリーを使用しても、光が当たらないときや光が弱いときを補償するために、コストがそれほど重要でない場合や、数少ないケースの1つである人工衛星の場合を除いて、エネルギーを得る他の方法に比べて費用対効果はさらに損なわれる。
【0011】
太陽熱エネルギーは、通常は給湯に使用されるが、散発的であり、晴れた日にのみ使用が制限され、機械的および電気的エネルギーを生成する費用対効果が現実的でないため、継続的な使用も妨げている。
【0012】
従来の水力発電所は、浸水しなければならない広い面積を必要とし、環境への影響が大きく、また、乾季には水位が低下するため、要求される需要も損なわれてしまい、その建設場所だけでなく、それらの高コストな建設および保守も同様に極めて重要である。
【0013】
火力発電所は、コストが高いだけでなく、より特定の場所に建設する必要があることに加えて、高レベルの汚染を引き起こし、危険性を高める。また、石炭火力発電所は、いかなる種類の石炭であっても動作するわけではない。
【0014】
原子力発電所は、エネルギー生成効率を有するが、生物、特に人間の健康に対するリスクが非常に高いため、これらの放射能汚染のために放棄された都市もある。
【0015】
発電機セットとも呼ばれる液体燃料を動力とする設備または小規模設備は、それらを燃やすことによって環境を汚染することに加えて、高いコストを発生させ、高レベルの汚染のために、多くの場合、それらの使用を実現不可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、機械的または電気的エネルギー、またはその両方の生産におけるコストを大幅に削減するという基本的な役割を有しており、水上での船舶の移動を含み、それらのフル稼働のための燃料消費を大幅に削減するものであり、そして、そのような場合において、ブイは、ダクトや抑制レール部材を通してスライドさせることができ、船舶の空気力学に従って物理的形態を変化可能である必要がある。
【0017】
上記事項は、請求項1によって解決される。請求項1によれば、機械的または電気的エネルギーは、潮流、波、水位差、または地球の重力、慣性の利用を含むあらゆる水の動きを利用し、質量と加速度の積により回転を安定化および力を増倍させるによって生成される。
【0018】
本発明は、本システムを備えた発電所を、海、川、または島のほとりに建設できるという利点を有している。このような場所は、従来の方法によってはエネルギーの費用対効果ないか、若しくは実際にアクセスできない場所であるが、液体からなる波や潮流があり、それによってその機能としての水位差が形成される。潮流や波による、水位の異なるエネルギー源は地球上にたくさん存在するため、このシステムを利用する将来の設備は分散し、数多く存在可能であるため、柱、発電塔、設備、装置部品、部品、送電用のケーブルまたはワイヤの数を削減することができる。
【0019】
水上航行に使用する場合、この装置は、燃料の全部または一部、または搭載されている従来の発電システムを置き換えるために使用でき、船舶の移動を含む機械的および電気的エネルギーの生成に使用でき、従来の燃料とエンジンを全体または部分的な置き換えを可能とする。
【0020】
本発明は、内部に重りを含む1もしくはそれ以上の浮遊要素を有し、当該重りは、約10%が浮遊したままとなるように、水そのものであってもよい。これらの浮遊要素は、ラチェット付きの滑車に巻着されたケーブルから吊り下げられ、一方向のみの回転を保証し、ブイが下降するたびにこれらの回転を伝達し、滑車の軸は、回転増倍ボックスに接続され、次に、これらのブイまたは浮遊要素の一つの降下と別の降下との間の回転を安定させるためにフライホイールに接続されている。このフライホイールの軸に沿って、発電機が設置されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下では、図面の記載により本発明をより詳細に説明する。
図1】記載なし。
図2】記載なし。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面では、(1)~(41)の矢印は本発明を機能させるセットを示し、プラットフォームの場合は、(9)~(19)のコンポーネント、また航行の場合は、(6)、(8)、(9)、(13)~(19)、(32)、(35)がセットの一部を形成し、当該セットは複数の場合もあり、フライホイール(29)を介した発電機(3)のエネルギーの増加および回転の安定化の支援に寄与する。この全ての装置は、発電用に海上または河川の船舶上、プラットフォーム上、または非限定的に欄干、山、国境、川または海に設置することができる。
【0023】
本明細書では、プラットフォーム、船、または水上にある任意の船舶における実施形態を提供する。当該実施形態は、上記のすべての態様の説明としても役立つ。以下本発の動作についての説明。
【0024】
すべての機器は、プラットフォーム(1)または、船舶に取り付けられ、浮遊要素(18)および(31)は、約10%だけ浮遊し、残りは液体(この場合は海の波(30))に沈むような重量が必要である。これらの前記浮遊要素(18)および(31)の可能な最大重量、およびより大きな振幅を得るために、本実施形態においては、海水自体(19)、(33)を重りとして利用する。すなわち、浮遊要素(18)と(31)が約10%浮遊するまで水が充填される。前記海の波(30)により、前記重い浮遊要素(18)および(31)は、ケーブル、金属ガイド、または抑制ロッド(32)、(35)、(36)、および(37)を介して揺動するか、または、前記プラットフォームの支柱(1)、または船舶船体に固定することもでき、プラットフォームの場合、人工または天然の底(34)に固定することもできるが、固定しなくともよい。前記浮遊要素(18)および(31)が上方に移動すると、前記ケーブル(6)と(12)が緩む傾向があり、釣り合い重り(5)と(9)が重力によって、前記ロッド(7)と(10)、または前記船舶船体(1)に支持された滑車(8)と(11)、船舶の場合(17)と(22)、および前記プラットフォーム(1)の穴(17)と(22)を貫通、または前記船舶(1)の滑車(17)と(22)を通過する前記ケーブル(6)と(12)を介して、滑車(15)と(24)を(13)と(25)の方向に回転させる。これにより、前記滑車(15)および(24)は、前記方向(13)と(25)に引かれるときに、回転式部材(16)と(23)を介して、前記シャフト(21)上でいかなる牽引力が生じることなくスライドする。
【0025】
前記浮遊要素(18)と(31)が、前記波(30)の動きによって下降すると、当該浮遊要素により、前記ケーブル(6)と(12)が前記プラットフォーム(1)の前記穴(17)と(22)を通して、または前記船舶船体(1)の滑車(17)と(22)よって引っ張られ、前記滑車(15)と(24)が方向(14)、(26)に回転し、前記滑車(15)と(24)に固定されるとともに、前記軸(21)に固定された前記回転式部材(16)と(23)は、前記方向(14)、(26)に回転する。そして、この回転により、滑車(2)および(28)の有無に関わらず、慣性効果によって回転を安定させる機能を有する前記フライホイール(29)を介して、前記発電機(3)にとって理想的な増倍率(前記発電機(3)の特性である理想的な回転率)で回転増倍ボックス(20)が起動される。船舶上の回転増倍ボックス(20)は2つの出力軸(38)、(39)を有し、当該出力軸(38)、(39)はそれぞれ、前記発電機(3)、および前記フライホイール(29)とギヤをニュートラルおよび逆回転にシフトする機能を有するギヤボックス(40)を介してプロペラ(41)に出力を提供する。
【0026】
ほとんどの発電機には自動電圧制御があり、前記発電機(3)の速度に関係なく出力電圧(4)を制限内で一定に維持するため、前記フライホイール(29)の速度にわずかな変化があっても、前記発電機(3)の出力電圧(4)は変化しない。
【0027】
前記釣り合い重り(5)と(9)の重量は、前記浮遊要素(18)と(31)の重量に比べてできるだけ小さくする必要があるが、前記ケーブル(6)と(12)は、重い浮遊要素(18)と(31)によって引っ張られた時に、前記滑車(15)と(24)上で滑らないようにする必要がある。上述した前記フライホイール(29)が重要な役割を果たすことに加えて、前記浮遊要素(18)と(31)は、その重量に加えて前記ケーブル(6)と(12)に対する牽引力を増加させるために役立つ。すなわち、質量と加速度の積により、これらの浮遊要素(18)と(31)の重量に対してより大きい牽引力が生じるため、前記発電機(3)の出力(4)におけるエネルギー生成の効率が大幅に向上する。
図1
図2