(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】紙を切断するための切断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B26D 1/08 20060101AFI20240227BHJP
B26D 7/26 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B26D1/08
B26D7/26
(21)【出願番号】P 2021537020
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(86)【国際出願番号】 NL2019050535
(87)【国際公開番号】W WO2020046113
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-15
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521084910
【氏名又は名称】エスディーディー・ホールディング・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】SDD Holding B.V.
【住所又は居所原語表記】Brinkerweg 5,8166 GD EMST,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】オウドセン、ヨハネス・フランシスカス・ローランド
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/145678(WO,A1)
【文献】実開昭64-023396(JP,U)
【文献】特開平08-197485(JP,A)
【文献】特開2010-247251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/08
B26D 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙(9)を切断するための切断装置(1、101、201)であって、ここにおいて、前記切断装置(1、101、201)は、切断線(C)に沿って前記紙(9)を切断するように協働する切断刃(3、203)及び対向部材(4、204)を備え、前記切断装置(1、101、201)は、フレーム(2、202)を備え、前記切断刃(3、203)は、前記紙(9)を切断するために、前記切断線(C)を横断する又は前記切断線(C)に垂直な駆動方向(D)に、前記対向部材(4、204)に向かって及び前記対向部材(4、204)から離れるように前記フレーム(2、202)に対して移動可能であり、前記切断装置(1、101、201)は、前記対向部材(4、204)に対して前記切断刃(3、203)を保持するためのホルダ(5)を備え、前記切断装置(1、101、201)には、前記ホルダ(5)を直線的にガイドするために前記駆動方向(D)に又は前記駆動方向(D)に平行に延在する第1のガイド(61)及び第2のガイド(62)がさらに設けられ、前記切断装置(1、101、201)は、少なくとも前記第1のガイド(61)を前記フレーム(2、202)に対して固定するための1つ又は複数の第1の固定部材(81)を備え、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2、202)に対する前記第1のガイド(61)の前記固定を解放するように構成され、前記第1のガイド(61)は、解放されると、前記切断線(C)及び前記駆動方向(D)に垂直な調節方向(A)に前記フレーム(2、202)に対して移動可能であり、前記ガイド(61、62)の各々はガイド本体(60)を備え、前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)の前記ガイド本体(60)は、解放されると、それぞれ第1の調節軸(X1)及び第2の調節軸(X2)を中心として前記フレーム(2、202)に対して回転可能であるように構成され、各ガイド本体(60)は、前記それぞれの調節軸(X1、X2)を中心として偏心して移動し、前記それぞれの調節軸(X1、X2)を中心とする前記ガイド(61、62)の回転運動を前記調節方向(A)における前記ホルダ(5)の直線運動に変換するように構成された偏心部(64)を備える、切断装置(1、101、201)。
【請求項2】
前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2、202)に対して前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)を固定するように構成され、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2)に対する前記第2のガイド(62)の前記固定を解放するように構成され、前記第2のガイド(62)は、解放されると、前記調節方向(A)に前記フレーム(2)に対して移動可能である、請求項1に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項3】
前記ホルダ(5)は、前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)上を、又は前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)に沿って前記駆動方向(D)に摺動するように構成される、請求項1又は2に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項4】
前記ホルダ(5)には、前記それぞれのガイド(61、62)の前記偏心部(64)が受容されるスロット穴(51、52)が設けられ、前記スロット穴(51、52)は、横方向(L)における前記ホルダ(5)に対する前記偏心部(64)の偏心運動を吸収し、前記調節方向(A)における前記偏心部(64)の前記偏心運動に従うように、前記駆動方向(D)及び前記調節方向(A)に垂直な前記横方向(L)に細長い、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項5】
前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)の前記偏心部(64)は、それぞれ前記第1の調節軸(X1)及び前記第2の調節軸(X2)に対して変化する半径を有し、前記半径は、少なくとも0.5ミリメートルの最大調節範囲(R)内で変化する、請求項4に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項6】
各ガイド(61、62)には、それぞれの調節軸(X1、X2)の周りでガイド(61、62)を回転させるための工具とのガイド(61、62)の係合を容易にするための1つ又は複数の工具係合要素(65、66)が設けられる、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項7】
前記1つ又は複数の工具係合要素(65、66)は、前記ガイド(61、62)の手動回転を容易にするレバー(83、84)を受容するための工具穴(65、66)である、請求項6に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項8】
各ガイド(61、62)は、ガイド本体(60)の周りで円周方向にオフセットされた2つ以上の工具係合要素(65、66)を備える、請求項6又は請求項7に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項9】
各ガイド(61、62)は、前記それぞれのガイド(61、62)の特定の位置を示す基準要素(67)を備える、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項10】
前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2)の上端部(21)に配置され、前記ガイド(61、62)は、締結具(85)によって前記フレーム(2)の下端(22)に固定され、前記締結具(85)は、前記駆動方向(D)に平行な引張方向(T)に作用するばね(86)の張力によって、前記それぞれの調節軸(X1、X2)を中心とした前記フレーム(2)に対する回転に対して固定され、前記切断装置(1、101、201)には、前記ガイド本体(60)が、前記上端部(21)において前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)によって解放されたときに前記引張方向(T)に移動することを可能にするために、前記ガイド本体(60)と前記フレーム(2)の下端(22)との間の隙間(Z)が設けられる、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項11】
前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、ボルトを備える、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項12】
前記切断装置(1、101、201)には、前記駆動方向(D)における前記対向部材(4、204)に対する前記切断刃(3、203)の前記移動を駆動するための駆動機構(7、107、207)が設けられ、前記駆動機構(7、107、207)は、前記駆動方向(D)に又は前記駆動方向(D)に平行に前記ホルダ(5)に作用するように構成された第1の線形アクチュエータ(71、271)及び第2の線形アクチュエータ(72、272)を備える、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項13】
前記切断装置(1、101、201)は、前記ホルダ(5)を前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)の前記直線的に移動する部分に固定するための1つ又は複数の第2の固定部材(82)を備え、前記1つ又は複数の第2の固定部材(82)は、前記固定から前記ホルダ(5)を解放するように構成され、前記ホルダ(5)は、解放されると、前記調節方向(A)に前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)に対して移動可能である、請求項12に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項14】
各線形アクチュエータ(71、72、271、272)は、回転可能なねじ(78)と、前記ねじ(78)に沿って直線的に移動するように構成されたナット(79)とを備え、前記1つ又は複数の第2の固定部材(82)は、前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)の前記ナット(79)に前記ホルダ(5)を固定し、前記ナット(79)から前記ホルダ(5)を解放するように構成される、請求項13に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項15】
前記ホルダ(5)は、少なくとも0.5ミリメートルの最大調節範囲(R)内で前記調節方向(A)に前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)に対して移動可能である、請求項13又は請求項14に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項16】
前記切断刃(3、203)は、平坦な切断面(31)を備え、前記駆動方向(D)は、前記平坦な切断面(31)に平行である、請求項1に記載の切断装置(1、101、201)。
【請求項17】
前記対向部材(4、204)に対する前記切断刃(3、203)の較正を備え、前記較正は、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)を使用して、前記フレーム(2、202)に対する前記第1のガイド(61)の前記固定を解放するステップと、前記第1のガイド(61)を前記フレーム(2、202)に対して前記調節方向(A)に移動させるステップとを備える、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)を使用して紙(9)を切断する方法。
【請求項18】
前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2、202)に対して前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)を固定するように構成され、前記較正は、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)を使用して、前記フレーム(2、202)に対する前記第2のガイド(62)の前記固定を解放するステップと、前記第2のガイド(62)を前記フレーム(2、202)に対して前記調節方向(A)に移動させるステップとをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のガイド(61)又は前記第2のガイド(62)は、小さな増分にわたって移動され、前記較正は、前記紙(9)が切断されているかどうかをチェックするために、前記増分間に切断工程を実行するステップをさらに備える、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記切断刃(3、203)は、最初に、1枚の紙(9)を切断し、前記切断をチェックすることによって較正され、前記1枚の紙(9)に基づく前記較正が完了したとき、前記較正は、紙の束(9)を切断し、次いで1枚の紙(9)を再び切断するステップをさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記切断刃(3、203)は、平坦な切断面(31)を備え、前記駆動方向(D)は、前記平坦な切断面(31)に平行である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を切断するための切断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の切断装置、特にデジタル印刷市場における文書仕上げライン用のギロチン切断装置は、一貫した完全な切断を保証するために極めて正確に較正されなければならない切断刃及び対向刃を備える。この目的のために、切断刃及び対向刃を保持するフレームは、可能な限り剛性であるように設計され、切断刃及び対向刃の両方の位置は、複数のスペーサ及び対応する締結具によって、フレームに対して調節されることができる。
【発明の概要】
【0003】
既知の切断装置の欠点は、各スペーサを個別に調節して留めなければならないことである。これは、多くの専門知識を必要とし、そのため、初期較正は、通常、訓練された較正技術者によって行われる。しかしながら、訓練された較正技術者であっても、較正には少なくとも30分かかる。しかしながら、初期較正の後、経験のより少ない技術者によって現場で任意のさらなる較正が行われる。このようなさらなる較正にはかなり長い時間がかかり得る。
【0004】
本発明の目的は、切断装置の較正の容易さを改善することができる、紙を切断するための切断装置及び方法を提供することである。
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、紙を切断するための切断装置を提供し、ここにおいて、切断装置は、切断線に沿って紙を切断するように協働する切断刃及び対向部材を備え、ここにおいて、切断装置は、フレームを備え、切断刃は、紙を切断するために、切断線を横断する又は切断線に垂直な駆動方向に、対向部材に向かって及び対向部材から離れるようにフレームに対して移動可能であり、切断装置は、対向部材に対して切断刃を保持するためのホルダを備え、切断装置は、ホルダを直線的にガイドするために、駆動方向に、又は駆動方向に平行に延在する第1のガイド及び第2のガイドをさらに備え、切断装置は、フレームに対して少なくとも第1のガイドを固定するための1つ又は複数の第1の固定部材を備え、1つ又は複数の第1の固定部材は、フレームに対して第1のガイドの固定を解放するように構成され、第1のガイドは、解放されると、切断線及び駆動方向に対して垂直な調節方向に、フレームに対して移動可能であり、ガイドの各々は、ガイド本体を備え、第1のガイド及び第2のガイドのガイド本体は、解放されると、それぞれ第1の調節軸及び第2の調節軸を中心としてフレームに対して回転可能であるように構成され、各ガイド本体は、それぞれの調節軸を中心として偏心して移動し、それぞれの調節軸を中心とするガイドの回転運動を調節方向におけるホルダの直線運動に変換するように構成された偏心部を備える。
【0006】
したがって、それらのそれぞれの調節軸を中心としたガイドの単純な回転は、追加の機械的構成要素を必要とすることなく、調節方向におけるホルダの直線変位を効果的に生じさせることができる。
【0007】
第1のガイドを調節方向に移動させることによって、ホルダがガイドされる直線経路を調節することができる。その結果、対向部材に対する切断刃の位置を容易に調節することができる。さらに、切断刃がホルダに対してではなく第1のガイドがフレームに対して調節されるので、切断刃を前記ホルダにしっかりと固定することができ、それによって大幅に較正の複雑さを低減する、及び/又は公差を低減する。
【0008】
好ましくは、1つ又は複数の第1の固定部材は、フレームに対する第2のガイドの固定を解放するように構成され、第2のガイドは、解放されると、フレームに対して調節方向に移動可能である。第1のガイド及び第2のガイドを調節方向に移動させることによって、調節方向における対向部材に対する切断刃の位置だけでなく向きも調節することができる。より具体的には、対向部材が対向刃である場合、切断刃と対向刃との間にはさみ状のバイアス又は張力を得るために、切断刃の少なくとも一端が対向刃とわずかに重なるように、すなわち負の公差で切断刃を位置決めすることが可能である。
【0009】
さらなる実施形態では、ホルダは、駆動方向に第1のガイド及び第2のガイド上を又はそれに沿って摺動するように構成される。したがって、ガイドが調節方向に調節されている間に、ホルダをガイドに対して移動させることができる。
【0010】
さらなる実施形態では、ホルダには、それぞれのガイドの偏心部が受容されるスロット穴が設けられ、スロット穴は、横方向におけるホルダに対する偏心部の偏心運動を吸収し、調節方向における偏心部の偏心運動に従うように、駆動方向及び調節方向に直交する横方向に細長い。その結果、ホルダは調節方向にのみ移動し、横方向の偏心運動の成分を相殺する。したがって、ホルダは、横方向において所定の位置に留まり、対向部材の上方で切断刃を適切な整列状態に維持することができる。
【0011】
そのさらなる実施形態では、第1のガイド及び第2のガイドの偏心部は、第1の調節軸及び第2の調節軸に対してそれぞれ変化する半径を有し、半径は、少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは少なくとも1ミリメートル、最も好ましくは少なくとも2ミリメートルの最大調節範囲内で変化する。最大調節範囲は、偏心部が調節方向にホルダを変位させることができる最大距離を規定する。規定される範囲は、切断装置を適切に較正するのに十分であるべきである。
【0012】
そのさらなる実施形態では、各ガイドは、ガイドをそれぞれの調節軸の周りで回転させるための工具とのガイドの係合を容易にする1つ又は複数の工具係合要素を備える。好ましくは、1つ又は複数の工具係合要素は、ガイドの手動回転を容易にするレバーを受容するための工具穴である。ガイドを確実に係合させ、フレームに対するガイドの正確な及び/又は精密な調節を可能にするために工具が使用され得る。工具穴の実施形態では、ガイドを手動で調節するために、レバーなどの工具を工具穴の1つに容易に挿入することができる。
【0013】
その実用的な実施形態では、各ガイドは、ガイド本体の周りの円周方向にオフセットされた2つ以上の工具係合要素を備える。オフセットは、較正技術者に、ガイドを係合するための複数の選択肢を提供し、特に、工具係合要素のうちの1つが手の届かないときに、工具係合要素間の切り替えを可能にする。
【0014】
さらなる実施形態では、各ガイドは、それぞれのガイドの特別な位置を示す基準要素を備える。特別な位置は、開始位置、デフォルト位置又は最適位置であり得る。
【0015】
別の実施形態では、1つ又は複数の第1の固定部材はフレームの上端部に配置され、ガイドは締結具によってフレームの下端に固定され、締結具は、駆動方向に平行な引張方向に作用するばねの張力によってそれぞれの調節軸を中心としたフレームに対する回転に抗して固定され、切断装置は、ガイド本体とフレームの下端との間に隙間を備え、ガイド本体が上端部の1つ又は複数の第1の固定部材によって解放されたときに引張方向に移動することを可能にする。
【0016】
別の実施形態では、1つ又は複数の第1の固定部材は、ボルト、好ましくは六角形ソケットを有するボルトを備える。ボルトは、フレームに対してガイドを締め付け固定するために使用することができる一方で、解放されたときにそれぞれの調節軸を中心としたガイドの回転のための軸受として機能する。
【0017】
別の実施形態では、切断装置は、対向部材に対する切断刃の移動を駆動方向に駆動する駆動機構を備え、駆動機構は、駆動方向に又は駆動方向に平行にホルダに作用するように構成された第1の線形アクチュエータ及び第2の線形アクチュエータを備える。線形アクチュエータは、ガイドがホルダを駆動方向にガイドする間に、ホルダ及びそれに取り付けられた切断刃を駆動方向に確実に駆動することができる。
【0018】
その一実施形態では、切断装置は、ホルダを線形アクチュエータの直線移動する部分に固定するための1つ又は複数の第2の固定部材を備え、1つ又は複数の第2の固定部材は、ホルダを前記固定から解放するように構成され、ホルダは、解放されると、線形アクチュエータに対して調節方向に移動可能である。ここで、ホルダはガイドと共に調節方向に移動することができる。較正が完了した後、ホルダを再び固定することができる。
【0019】
そのさらなる実施形態では、各線形アクチュエータは、回転可能なねじと、ねじに沿って直線的に移動するように構成されたナットとを備え、1つ又は複数の第2の固定部材は、線形アクチュエータのナットにホルダを固定し、ナットからホルダを解放するように構成される。回転可能なねじとナットは共にスピンドルを形成する。ガイドでの較正を可能にするために、ホルダをナットから解放することができ、一方較正が完了した後に同じナットをホルダに再び固定することができる。
【0020】
そのさらなる実施形態では、ホルダは、少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは少なくとも1ミリメートル、最も好ましくは少なくとも2ミリメートルの最大調節範囲内で調節方向に線形アクチュエータに対して移動可能である。換言すれば、ホルダが線形アクチュエータから解放されたときにガイドにおける較正を可能にするために、線形アクチュエータとホルダとの間に公差又は間隙が設けられる。
【0021】
追加的に又は代替的に、切断刃は、平坦な又は実質的に平坦な切断面を備え、駆動方向は、前記平坦な切断面に平行又は実質的に平行である。
【0022】
第2の態様によれば、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つによる切断装置を使用して紙を切断するための方法を提供し、方法は、対向部材に対する切断刃の較正を備え、較正は、1つ又は複数の第1の固定部材を使用して、フレームに対する第1のガイドの固定を解放するステップと、第1のガイドをフレームに対して調節方向に移動させるステップとを含む。
【0023】
この方法は、上述した切断装置の実際の使用に関する。したがって、方法及びその実施形態は、上述の切断装置及びそのそれぞれの実施形態と同じ技術的利点を有する。これらの利点は以下では繰り返さない。
【0024】
好ましくは、較正は、1つ又は複数の第1の固定部材を使用して、フレームに対する第2のガイドの固定を解放するステップと、第2のガイドをフレームに対して調節方向に移動させるステップとをさらに含む。
【0025】
さらなる実施形態では、第1のガイド及び/又は第2のガイドは、わずかな増分にわたって移動され、較正は、紙が切断されているかどうかをチェックするために、増分間に切断工程を行うステップをさらに含む。したがって、切断刃は、対向部材に対して漸進的に較正され、切断装置への妨害、動作不良、又はさらには損傷につながり得る過剰な調節を防止し得る。
【0026】
その一実施形態では、切断刃は、最初に、1枚の紙を切断し、切断をチェックすることによって較正され、1枚の紙に基づく較正が完了したとき、較正は、紙の束を切断し、次いで1枚の紙を再び切断するステップをさらに含む。紙の束は、切断品質に悪影響を及ぼす可能性がある刃先のバリ取りをいくらか引き起こす可能性がある。紙の束がうまく切断された後、較正技術者は再び1枚の紙を切断し、前記1枚の紙が依然として一貫して切断されるかどうかを確認する。そうでない場合、上述の較正ステップを繰り返し得る。
【0027】
追加的に又は代替的に、切断刃は、平坦な又は実質的に平坦な切断面を備え、駆動方向は、前記平坦な切断面に平行又は実質的に平行である。
【0028】
本明細書に記載され示された様々な態様及び特徴は、可能な限り個別に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載の態様及び特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
本発明は、添付の概略図に示される例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による紙を切断するための切断装置の等角図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の線II-IIによる切断装置の断面図を示す。
【
図6】
図6は、
図2の線VI-VIによる切断装置の断面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態による紙を切断するための代替的な切断装置の下からの図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施形態による、紙を切断するためのさらなる代替的な切断装置の正面図を示す。
【
図9】
図9は、
図8の線IX-IXによる代替的な切断装置の断面図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第4の実施形態によるさらなる代替的な別の切断装置の断面図を示す。
【詳細な説明】
【0030】
図1~
図6は、本発明の第1の例示的な実施形態による切断装置1を示す。切断装置1は、例えばデジタル印刷市場のための文書仕上げラインにおいて、紙9、特に紙の束又は小冊子90を剪断、トリミング又は切断するように構成される。文書仕上げラインは、1つ又は複数の切断装置1を備え得、すなわち、片面、両面、又は3面のトリミングを可能にする。
【0031】
図1に示すように、切断装置1は、ハウジング又はフレーム2と、切断線Cに沿って切断するために前記フレーム2に対して移動可能に支持されたナイフ又は切断刃3とを備える。切断装置1は、移動可能な切断刃3と協働して紙9を切断するために切断線Cにおいて又は切断線Cに沿って固定位置に配置された対向ナイフ又は対向刃4の形態の対向部材をさらに備える。この例示的な実施形態では、対向ナイフ4はフレーム2に取り付けられている。
【0032】
本発明の第1の例示的な実施形態による切断装置1は、ギロチンカッターとして動作する。したがって、切断刃3は、紙9を切断するために、切断線Cに対して垂直な駆動方向Dに対向刃4に向かって及び対向刃4から離れるように移動可能である。この例示的な実施形態では、駆動方向Dは垂直又は実質的に垂直である。したがって、切断刃3は、鉛直下方の切断工程と鉛直上方の戻り工程とに移動可能である。切断刃3は、切断線Cに沿って紙9を漸進的に切断するために、切断線Cに対して斜角に角度付けられる。対照的に、対向刃4は、切断線Cに平行又は実質的に平行に延在する。
【0033】
図6で最もよく分かるように、切断刃3は、切断刃3が切断線Cを横切って移動するときに対向刃4に面する平坦な又は実質的に平坦な切断面31を備える。駆動方向Dは、好ましくは、前記平坦な切断面31に平行又は実質的に平行である。切断刃3は、切断面31に向かって次第に先細になって上側刃先30を形成する前面32をさらに有する。前記上側刃先30は、切断線Cに対して斜角に角度付けられている。したがって、上側刃先30は、駆動方向Dにおいて対向刃4に最も近い最下点と、駆動方向Dにおいて対向刃4からより離れた最高点とを有する。この例示的な実施形態では、前面32は、平坦な切断面31と共に鋭い片研ぎ刃(a sharp chisel grind)33を形成するように傾斜している。他の刃構成も可能であり、本発明の範囲が図示された構成に限定されないことは当業者には明らかであろう。
【0034】
この例示的な実施形態では、対向刃4は、切断刃3に対向する位置で切断線Cにおいて又は切断線Cに沿ってボルト又は他の適切な締結具によってフレーム2に固定される矩形ストリップとして形成される。対向刃4は、切断線Cに平行又は実質的に平行に延在する下側刃先40を形成する。対向刃4は、刃先40においてわずかに傾斜し得る。任意選択的に、
図2に示すように、対向刃4は、
図2に概略的に示すように、小冊子90の背91を支持するための支持部材41を備え得る。支持部材41は、対向刃4の一体部分であってもよく、又は適切な締結具を用いて対向刃4に取り付けられてもよい。支持部材41は凹状支持面42を有し、この凹状支持面42は、背91の湾曲にぴったりと適合し、及び/又はそれを所定の位置で支持するように構成され、それによって前記背91における切断品質を改善する。特に、紙の断片は、背91で止められ得る。
【0035】
図6にさらに示すように、切断装置1は、対向刃4に対して切断刃3を保持するためのホルダ5を備える。この例では、切断刃3は、ボルト又は他の適切な締結具によってホルダ5にしっかりと取り付けられる。好ましくは、切断刃3の表面31の後部は、切断刃3とホルダ5との間の公差を低減及び/又は除去するために、ホルダ5と直接隣接して、すなわち、間隔、調節又は較正手段なしで配置される。
【0036】
図4で最もよく分かるように、切断装置1は、切断刃3が取り付けられたホルダ5を駆動方向Dに直線的にガイドするために、駆動方向Dに延在する1つ又は複数のガイド61、62を備える。この例では、切断装置1は、好ましくはホルダ5の両端で互いに間隔を空けた第1のガイド61及び第2のガイド62を備える。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、1つ又は複数のガイド61、62は、対向刃4に対する切断刃3の位置を較正するための較正部材としても機能する。特に、
図3に示されるように、各ガイド61、62は、フレーム2の対向する部分の間、この例では、それぞれフレーム2の上端21及び下端22の間で、駆動方向Dに延在するガイド本体60を備える。ホルダ5は、駆動方向Dにおいて前記ガイド本体60上を又はそれに沿って自由に摺動するように構成される。切断装置1は、第1のガイド61及び第2のガイド62のガイド本体60をフレーム2に対して固定するための1つ又は複数の第1の固定部材81を備える。1つ又は複数の第1の固定部材81は、ボルト、クランプ、又は他の適切な締結具であり得る。1つ又は複数の第1の固定部材81は、フレーム2に対するガイド本体60の固定を解放する、すなわち緩める又は外すことによってそれを行う、ように構成される。この例では、1つ又は複数の第1の固定部材81は、
図1に示すように、六角キー8を使用して緩めたり締めたりすることができる六角形ソケットを有するボルトである。解放されると、ガイド本体60は、フレーム2に対して、切断線C及び駆動方向Dに対して垂直な調節方向Aに移動可能であり、それによってホルダ5及びそれに取り付けられた切断刃3を対向刃4に対して変位させる。
【0038】
図6に示す例示的な実施形態では、第1のガイド61及び第2のガイド62のガイド本体60は、解放されると、それぞれ第1の調節軸X1及び第2の調節軸X2を中心としてフレーム2に対して回転可能に構成される。特に、各ガイド本体60は、ガイド本体60をフレーム2に、それぞれの調節軸X1、X2の周りに同心円状に接続する1つ又は複数の同心セクション63を備える。この例では、同心セクション63は、フレーム2の上端21及び下端22に、又はその近くにおいて、ガイド本体60の上部及び底部に配置される。ガイド本体60は、ボルト形状の第1の固定部材81のうちの1つにねじ接続するために、それぞれの同心セクション63に同心に配置されたねじ穴を備える。したがって、前記1つの第1の固定部材81は、ガイド本体60に同心円状に接続し、及び/又はそれぞれのガイド61、62の調節軸X1、X2を画定する。好ましくは、フレーム2は、同心セクション63を同心円状に受容し、フレーム2に対するそれぞれの調節軸X1、X2を中心とした前記同心セクション63の信頼性のある回転を保証する1つ又は複数の軸受面を備える。
【0039】
各ガイド本体60は、1つ又は複数の同心セクション63及び/又はそれぞれの調節軸X1、X2に対して偏心している偏心部64をさらに備える。したがって、各偏心部64は、調節方向Aに少なくとも一成分を有してそれぞれの調節軸X1、X2の周りで偏心して移動するか、又は偏心経路を移動するように構成される。それぞれの調節軸X1、X2に対する偏心部64の半径は、少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは少なくとも1ミリメートル、最も好ましくは少なくとも2ミリメートルの最大調節範囲R内で変化する。したがって、各偏心部64は、規定範囲内で調節方向Aに効果的に変位させることができる。
【0040】
図5A~
図5Dに最もよく示されているように、ホルダ5には、それぞれのガイド61、62の偏心部64が受容されるスロット穴51、52が設けられている。スロット穴51、52は、横方向Lにおけるホルダ5に対する偏心部64の偏心運動を吸収し、調節方向Aにおける偏心部64の偏心運動の成分に密接に従うように、駆動方向D及び調節方向Aに直交する横方向Lに細長い。その結果、ホルダ5は、調節方向Aのみにおいて偏心部64の偏心運動に伴って移動する。換言すれば、スロット穴51、52と偏心部64との間の相互作用は、それぞれの調節軸X1、X2を中心とするガイド61、62の回転運動を調節方向Aにおけるホルダ5の直線運動に効果的に変換する。
【0041】
この例では、
図3及び
図4に最もよく示されているように、各ガイド61、62には、(手動)工具を使用してガイド61、62をそれぞれの調節軸X1、X2を中心として回転させるための工具とのガイド61、62の係合を容易にするための、1つ又は複数の工具係合要素65、66が設けられている。特に、この例では、1つ又は複数の工具係合要素65、66は、ガイド61、62の手動回転を容易にするピン又はレバー83、84を受容するための工具穴65、66である。好ましくは、各ガイド61、62は、それぞれの調節軸X1、X2の周りの異なる角度位置において、その工具、すなわちレバー83、84を受容又は係合するためにガイド本体60の周りの円周方向にオフセットされた2つ以上の工具係合要素65、66を備える。したがって、レバー83、84は、工具穴65、66のうちの一方が回転して届かなくなった場合でも、他方の工具穴65、66に挿入することができる。あるいは、ガイド61、62は、調節駆動部(図示せず)によって機械的に調節されてもよい。調節は、調節の結果として対向刃4に対する切断刃3の相対位置を検出する1つ又は複数のセンサ(図示せず)を使用して自動化されてもよい。
【0042】
任意選択的に、各ガイド61、62は、基準要素67、すなわち、それぞれのガイド61、62の特別な位置を示すマーキング、凹部、又は突出部を備え得る。そのような特別な位置は、ガイド61、62が、上側刃先30及び下側刃先40が調節方向Aにおいて対向刃4から最大に間隔を空けられる距離に切断刃3を位置決めする位置であり得る。切断刃3と対向刃4との間の最大間隔は、調節方向Aにおけるガイド61、62の最大調節範囲Rに必ずしも対応しないことに留意されたい。代わりに、切断刃3の位置が対向刃4と重なる最大調節範囲R内で対向刃4に対して較正され得るように、切断刃3を前記最大間隔で前記最大調節範囲Rよりも対向刃4に近付けることが好ましい。したがって、切断刃3及び/又は対向刃が摩耗したとき、最大調節範囲Rの一部は、それに応じて補うために使用されないままである。この例では、上側刃先30は、調節方向Aにおいて下側刃先40から約0.5ミリメートルの距離で最大に間隔を空けられる。したがって、例えば1ミリメートルの最大調節範囲Rで、切断刃3の位置は、最大調節範囲R内で対向刃4を越えて0.5ミリメートルにわたって調節されることができる。
【0043】
図2、
図3、
図4及び
図6に示すように、ガイド61、62は、適切な締結具85、好ましくはボルトによってフレーム2の下端22に固定される。この例示的な実施形態では、締結具85は、適切なばね86、例えばカップ状ばね又は皿ばねによって、それぞれの調節軸X1、X2を中心としたフレーム2に対する回転に対して固定される。特に、ばね86は、駆動方向Dに平行な引張方向Tにおいてフレーム2に対して締結具85に張力をかける。
図6に示されるように、フレーム2の上端部21における1つ又は複数の第1の固定部材81がフレーム2に対するガイド本体60の固定を解放するときに、それぞれのガイド本体60がフレーム2に対して引張方向Tに移動することを可能にするために、駆動方向Dにおいてガイド本体60とフレーム2の下端22との間に小さな隙間Zが設けられる。これにより、ばね86にかかる張力が減少し、これにより、ガイド本体60は、フレーム2の下端22において締結具85と手動で相互作用する必要なく、それぞれの調節軸X1、X2を中心として回転することができる。
【0044】
図3及び
図4に示すように、切断装置1には切断刃3の移動を対向刃4に対して又はそこから離して駆動方向Dに駆動するための駆動機構7が設けられている。駆動機構7は、駆動方向Dに又は駆動方向Dに平行に延びる第1の線形アクチュエータ71及び第2の線形アクチュエータ72を備える。第1の線形アクチュエータ71及び第2の線形アクチュエータ72は、ホルダ5及び/又は切断刃3に対して駆動方向Dに又は駆動方向Dに平行に作用するように配置される。駆動機構7は、モータ73と、モータ73を第1の線形アクチュエータ71及び第2アクチュエータ72に接続する伝達要素74とをさらに備える。両方の線形アクチュエータ71、72に共通又は共有される単一のモータ73を使用することによって、前記線形アクチュエータ71、72を機械的に同期させることができる。特に、伝達要素74は、モータ73を線形アクチュエータ71、72のそれぞれに、両方の線形アクチュエータ71、72に対して同じ固定比で接続するために、機械的、すなわちチェーン又は歯付きベルトであることができる。より具体的には、伝達要素74は、第1の線形アクチュエータ71と第2の線形アクチュエータ72とを1:1の比で相互接続するように構成される。したがって、伝達要素74は同期要素として作用する。好ましくは、駆動機構7は、モータ73に直接接続され、チェーン又はベルト状伝達要素74を駆動する主スプロケットホイール75を備える。駆動機構7は、主スプロケットホイール75の回転を等しい比率で両方の線形アクチュエータ71、72に出力する同じサイズの複数の遊動輪76、77をさらに備える。
【0045】
図2及び
図4に示すように、スピンドル71、72における主スプロケットホイール75及び遊動輪76、77は、駆動方向Dに平行又は実質的に平行なホイール軸W1、W2、W3を中心に回転可能である。したがって、主スプロケットホイール75の回転のアイドラホイール76、77への伝達はすべて、前記駆動方向Dに垂直な同じ平面内で行うことができる。
【0046】
好ましくは、主スプロケットホイール75は、少なくとも2:1、好ましくは少なくとも2.5:1、最も好ましくは少なくとも3:1の比で遊動輪76、77に接続される。
【0047】
好ましくは、モータ73は電気モータ、特に電気サーボモータである。したがって、モータ73の位置を非常に正確に決定及び/又は制御することができる。
【0048】
この例示的な実施形態では、線形アクチュエータ71、72は、機械式線形アクチュエータ、特にスピンドルである。したがって、各線形アクチュエータ71、72は、伝達要素74によって回転されるように配置されたねじ78と、ねじ78が回転するとねじ78に沿って直線的に移動するナット79とを備える。線形アクチュエータ71、72のねじ78は、ガイド61,62に対して平行に駆動方向Dに延びている。
【0049】
図2~
図4に示すように、ホルダ5は、1つ又は複数の第2の固定部材82を使用して、線形アクチュエータ71、72の直線運動部分に、この例ではナット78に固定される。1つ又は複数の第2の固定部材82は、ボルト、クランプ、又は他の適切な締結具であり得る。1つ又は複数の第2の固定部材82は、ナット78に対するホルダ5の固定を解放する、すなわち緩める又は外すことによってそれを行う、ように構成される。この例では、1つ又は複数の第2の固定部材82は、ガイド61、62において1つ又は複数の第1の固定部材81を緩めたり締めたりするために使用されるのと同じ六角キー8を使用して緩めたり締めたりすることができる六角形ソケットを有するボルトである。解放されると、ホルダ5は、前記調節方向Aにおけるガイド61、62の前述の調節を容易にするために、ナット79に対して調節方向Aに移動可能である。特に、
図5A~
図5Dでは、ホルダ5は、
図6に示すように、最大調節範囲R内で線形アクチュエータ71、72に対して調節方向Aに移動可能であることが分かる。
【0050】
次に、上述した切断装置1を用いて紙を切断する方法を、
図1~
図6を参照して説明する。
【0051】
紙を切断するとき、対向刃4に対する切断刃3の位置を較正することが重要である。切断刃3が対向刃4から離れすぎていると、紙は切断されない。切断刃3が対向刃4に近すぎると、切断装置1が動かなくなる可能性がある。さらに、切断刃3及び対向刃4は、好ましくは、切断線Cに沿って一定の距離にない。言い換えれば、それらの上側刃先30及び下側刃先40は平行であるべきではない。理想的には、切断刃3は、その上側刃先30の最下点が、接触することなく、対向刃4の下側刃先40に可能な限り近くなるように較正される。対照的に、切断中に切断刃3と対向刃4との間に小さな張力又はバイアスを生成するために、上側刃先30の最高点は、下側刃先40とわずかに重なるべきである。
【0052】
従来技術の切断装置では、較正には専門的な知識と、とりわけ時間が必要であった。較正は、較正技術者の経験に応じて、少なくとも30分以上かかった。本発明による切断装置1では、較正を数分以内に行うことができる。
【0053】
図1に示すように、1つ又は複数の第1の固定部材81は、フレーム2に対するガイド61、62の固定を解放するために、六角キー8でボルトの締め付けを緩めることによって緩められる。さらに、1つ又は複数の第2の固定部材82は、ホルダ5に対する駆動機構7、特にそのナット79の固定を解放するために、緩められる、すなわち、同じ又は別の六角キー8でボルトの締め付けを緩めることによって、緩められる。するとホルダ5は、もはやガイド61、62及び駆動機構7に対して固定されていない。その結果、ガイド61、62のそれぞれの位置を調節することができ、切断刃3が取り付けられたホルダ5は、前記調節中にガイド61、62の動きに自由に従うことができる。
【0054】
図4に示すように、工具は、ガイド61、62のうちの1つにおいて、前記1つのガイド61、62の位置を調節するために、1つ又は複数の工具係合要素65、66のうちの1つに結合される、挿入可能である、及び/又は係合するように構成される。この例では、第1のレバー83は、第1のガイド61における工具穴65、66うちの一方に挿入される。同じ第1のレバー83は、第2のガイド62における工具穴65、66のうちの一方と係合させるために使用されることもできる。代わりに、ガイド61、62の位置を同時に調節するために、第2のレバー84が使用されることができる。好ましくは、ガイド61、62は、最初に特別な位置、すなわち基準要素67によってマークされた位置に移動される。この特別な位置において、切断刃3は、調節方向Aにおいて対向刃4から最大に間隔を空けられた距離にある。代替的に、較正は、任意の位置、すなわち切断刃3の現在の位置から開始されてもよい。
【0055】
ここで、較正は、以下で説明され、
図5A~
図5Dに示されるステップに従って開始することができる。
【0056】
図5Aは、ガイド61、62が、切断刃3が対向刃4から最大限に間隔を空けられた位置にある状況を示す。
図5Bは、第2のガイド62を第2の調節軸X2を中心として時計回り又は反時計回りに回転させることによって、上側刃先30の最下端の位置が下側刃先40に向かって調節される状況を示す。経験に基づいて、較正技術者は、第2のガイド62の最適位置を近似するのに必要な回転量を既に知っている可能性がある。あるいは、小さな増分を使用してもよい。各増分の間に、較正技術者は、1枚の紙9に対して切断工程を実行して、前記1枚の紙9が上側刃先30の最下端によって既に切断されているかどうかをチェックすることができる。
図5Bに示されるように、上側刃先30が最下端で紙9を切断し始めるや否や、第2のガイド62は定位置にあり、もはや調節されるべきではない。好ましくは、第2のガイド62に関連付けられた1つ又は複数の第1の固定部材81は、フレーム2に対する第2のガイド62の位置を固定するために、適切な工具を用いて再び締められるか又は留められ得る。
【0057】
図5Cは、較正技術者が第1のガイド61の位置の調節を開始した状況を示す。この場合も、経験に基づいて、較正技術者は、第1のガイド61の最適位置を近似するのに必要な回転量を既に知っている可能性がある。あるいは、小さな増分を使用してもよい。各増分の間に、較正技術者は、切断工程を実行して、紙9が上側刃先30の最上端によって既に切断されているかどうかをチェックすることができる。各増分で、紙9の切れ目は、上側刃先30が紙9の幅全体にわたって切断線Cに沿って切断するまで、長さが徐々に増加する。
図5Cは、紙9が幅の途中までだけ切断されている状況を示す。
図5Dは、紙9が完全に切断された状況を示しており、これは、第1のガイド61が現在適切に位置決めされていること、及び/又は上側刃先30が下側刃先40に対して適切に較正されていることの指標である。第1のガイド61が適切に位置決めされると、第1のガイド61に関連付けられた1つ又は複数の第1の固定部材81は、フレーム2に対する第1のガイド61の位置を固定するために、適切な工具で再び締められるか又は留められ得る。
【0058】
任意選択的に、較正技術者は、例えば
図1に示されるような紙の束90が切断される追加のチェックを実行し得る。紙の束90は、刃先30、40において、切断品質に悪影響を及ぼす可能性があるいくらかのバリ取りを引き起こす可能性がある。紙の束90がうまく切断された後、較正技術者は、再び1枚の紙9を切断し、前記1枚の紙9が依然として一貫して切断されているかどうかを確認する。そうでない場合、上述の較正ステップが繰り返される。
【0059】
最後に、1つ又は複数の第2の固定部材82は、ホルダ5に対する駆動機構7の位置をその新たに較正された位置に固定するために、適切な工具で締められるか又は留められる。本発明による切断装置1は、これをもって較正され、切断の準備が整う。
【0060】
図1に示すように、紙の束90を切断するとき、切断刃3は、それの斜めに角度付けられた上側刃先30に沿って移動する負荷を受ける。これにより、線形アクチュエータ71、72に不均一な負荷が生じる。しかしながら、
図4に示される伝達要素74は、両方の線形アクチュエータ71、72が同じ速度で駆動されることを保証し、それによってそれらの動作を同期させる。したがって、切断刃3、線形アクチュエータ71、72、及び/又はガイド61、62の間の傾斜、位置ずれ、及び/又は張力を低減するか又は防止することさえできる。
【0061】
図7は、本発明の第2の例示的な実施形態による代替的な切断装置101を示す。代替的な切断装置101は、第1の線形アクチュエータ71及び第2の線形アクチュエータ72の移動を駆動方向Dにそれぞれ駆動するための第1のモータ171及び第2のモータ172を有する代替的な駆動機構107を特徴とする点で、前述の切断装置1とは異なる。したがって、各線形アクチュエータ71、72は、それ自体のモータ171、172を有する。したがって、線形アクチュエータ71、72は直接駆動され得る。代替的な駆動機構107は、線形アクチュエータ71、72を同期させる機械的同期要素174をさらに備える。特に、機械的同期要素174は、第1の線形アクチュエータ71と第2の線形アクチュエータ72とを1:1の比で相互接続するように構成される。この例では、同期要素174はチェーン又は歯付きベルトである。チェーン又は歯付きベルトは、それぞれの線形アクチュエータ71、72における遊動輪176、177と係合し、前記遊動輪176、177を1:1の比で相互接続する。このようにして、同期要素174は、線形アクチュエータ71、72のうちの一方が他方よりも速く回転すること、すなわち切断刃3に対する不均一な負荷の結果としてそうなることを防止することができる。
【0062】
図8は、本発明の第3の例示的な実施形態によるさらなる代替的な切断装置201を示す。さらなる代替的な切断装置201は、その駆動方向Dが切断線Cに対して斜め又は横断して延在するという点で、前述の切断装置1、101とは異なる。具体的には、
図8に示す代替的な駆動方向Dは、切断線Cに対して30~80度の範囲、より好ましくは40~60度の範囲の角度H、最も好ましくは約45度の角度Hである。
【0063】
さらに代替的な切断装置201は、それが代替的な切断刃203及び対向部材204の構成を特徴とするという点で、前述の切断装置1、101とさらに異なる。対向部材204が依然として実質的に水平(level)又は水平(horizontal)な向きで支持され、実質的に水平(level)又は水平(horizontal)な切断線Cに沿って紙9を支持している間、代替的な切断刃203は、対向部材204に向かって斜めの駆動方向Dに移動し、切断線Cに平行又は実質的に平行に延在する上側刃先230を有する。
【0064】
斜めの駆動方向Dの結果として、代替的な切断刃203は、切断線Cに向かって、切断線Cに平行な垂直方向の成分及び水平方向の成分で移動する。したがって、上側刃先230は、垂直ギロチン切断運動ではなく、紙の束90を通る鋸引き運動を行う。これにより、代替的な切断刃203は、より厚い紙の束90を通して鋸引きすることができる。
【0065】
斜めの駆動方向Dに移動する代替的な切断刃203を収容するために、代替的なフレーム202は、斜めの駆動方向Dに一致するように角度が付けられた上端221と、切断線Cにおいて対向部材204を支持する下端222とを備える。さらなる代替的な切断装置201は、切断線Cに対して斜めの駆動方向Dと同じ角度Hで配置された線形アクチュエータ271、272を有する代替的な駆動機構207を備える。言い換えると、線形アクチュエータ271、272は、斜めの駆動方向Dに又は斜めの駆動方向Dに平行に作用するように配置される。向きは別として、代替的な駆動機構207は、本発明の先の実施形態の駆動機構7、107と同様に機能し得る。
【0066】
ここで、フレーム202の一方の側が他方の側よりもかなり長いことに留意されたい。ガイド61、62は、ホルダ5の位置においてガイダンスを提供するだけでよいので、本発明の先の実施形態と同じ長さのままであり得る。任意選択的に、線形アクチュエータ271、272の長さは、切断工程の長さを増加させるために増加されてもよい。ガイド61、62の長さは、それに応じて長くすることができる。したがって、切断されることができる紙の束90の厚さは、原理上、利用可能な空間の幾何学的制限によってのみ制限される。
【0067】
斜めの駆動方向Dと、この斜めの駆動方向Dにおいて又は駆動方向Dに平行に作用する線形アクチュエータ271、272との組合せは、鋸引き動作をもたらし、この鋸引き動作中、代替的な切断刃230に対する負荷は、切断されている紙の束90の厚さにかかわらず、切断中、如何なる深さにおいても実質的に一定のままである。したがって、切断されることができる紙の束の最大厚さは原理的に無制限である。
【0068】
この代替的な実施形態では、対向部材204は、代替的な切断刃203と協働して紙9を切断する平坦な対向面240を切断線Cに形成する。切断プロセスは、紙9の断片又は他の紙の残留物を対向面240上に残し得る。従来の切断装置では、これらの紙の断片は手動で除去されなければならない。本発明では、対向部材204は、紙の断片を対向面240から、すなわち切断装置201の下の廃棄物容器内に落下させるために、フレーム202の下端222に対して旋回軸Pを中心に旋回可能である。旋回は、ユーザによって作動されてもよく、又は所定の数の切断の後に自動的に作動されてもよい。自動的な作動は、対向部材204を落下位置に押し込むために、旋回軸Pの切断線Cと同じ側で対向面240を押し下げる押圧部材205、すなわち機械的なフィンガによって行われてもよい。
【0069】
あるいは、本発明の第4の実施形態によるさらなる代替的な切断装置に示されるように、対向部材304は、駆動部306、すなわちサーボモータによって旋回軸Pを中心として回転駆動されてもよい。この場合も、対向部材304は、切断刃303に対して作動位置(破線で示された)及び落下位置(実線で示された)に移動するために、フレーム302の下端322に対して旋回軸Pを中心として旋回可能である。この特定の例では、駆動部306から対向部材304への伝達は、駆動部306によって回転駆動されるクランクシャフト307と、前記クランクシャフト307によって駆動されるアーム又はフィンガ305とを備える偏心駆動である。フィンガ305は、対向部材304上のレバーとして作用し得るように、旋回軸Pからある距離を置いて対向部材304に接続される。
【0070】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を説明するために含まれており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以上の説明から、本発明の範囲にさらに含まれる多くの変形例が当業者には明らかであろう。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 紙(9)を切断するための切断装置(1、101、201)であって、ここにおいて、前記切断装置(1、101、201)は、切断線(C)に沿って前記紙(9)を切断するように協働する切断刃(3、203)及び対向部材(4、204)を備え、前記切断装置(1、101、201)は、フレーム(2、202)を備え、前記切断刃(3、203)は、前記紙(9)を切断するために、前記切断線(C)を横断する又は前記切断線(C)に垂直な駆動方向(D)に、前記対向部材(4、204)に向かって及び前記対向部材(4、204)から離れるように前記フレーム(2、202)に対して移動可能であり、前記切断装置(1、101、201)は、前記対向部材(4、204)に対して前記切断刃(3、203)を保持するためのホルダ(5)を備え、前記切断装置(1、101、201)には、前記ホルダ(5)を直線的にガイドするために前記駆動方向(D)に又は前記駆動方向(D)に平行に延在する第1のガイド(61)及び第2のガイド(62)がさらに設けられ、前記切断装置(1、101、201)は、少なくとも前記第1のガイド(61)を前記フレーム(2、202)に対して固定するための1つ又は複数の第1の固定部材(81)を備え、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2、202)に対する前記第1のガイド(61)の前記固定を解放するように構成され、前記第1のガイド(61)は、解放されると、前記切断線(C)及び前記駆動方向(D)に垂直な調節方向(A)に前記フレーム(2、202)に対して移動可能であり、前記ガイド(61、62)の各々はガイド本体(60)を備え、前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)の前記ガイド本体(60)は、解放されると、それぞれ第1の調節軸(X1)及び第2の調節軸(X2)を中心として前記フレーム(2、202)に対して回転可能であるように構成され、各ガイド本体(60)は、前記それぞれの調節軸(X1、X2)を中心として偏心して移動し、前記それぞれの調節軸(X1、X2)を中心とする前記ガイド(61、62)の回転運動を前記調節方向(A)における前記ホルダ(5)の直線運動に変換するように構成された偏心部(64)を備える、切断装置(1、101、201)。
[2] 前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2)に対する前記第2のガイド(62)の前記固定を解放するように構成され、前記第2のガイド(62)は、解放されると、前記調節方向(A)に前記フレーム(2)に対して移動可能である、[1]に記載の切断装置(1、101、201)。
[3] 前記ホルダ(5)は、前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)上を、又は前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)に沿って前記駆動方向(D)に摺動するように構成される、[1]又は[2]に記載の切断装置(1、101、201)。
[4] 前記ホルダ(5)には、前記それぞれのガイド(61、62)の前記偏心部(64)が受容されるスロット穴(51、52)が設けられ、前記スロット穴(51、52)は、横方向(L)における前記ホルダ(5)に対する前記偏心部(64)の偏心運動を吸収し、前記調節方向(A)における前記偏心部(64)の前記偏心運動に従うように、前記駆動方向(D)及び前記調節方向(A)に垂直な前記横方向(L)に細長い、[1]~[3]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
[5] 前記第1のガイド(61)及び前記第2のガイド(62)の前記偏心部(64)は、それぞれ前記第1の調節軸(X1)及び前記第2の調節軸(X2)に対して変化する半径を有し、前記半径は、少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは少なくとも1ミリメートル、最も好ましくは少なくとも2ミリメートルの最大調節範囲(R)内で変化する、[4]に記載の切断装置(1、101、201)。
[6] 各ガイド(61、62)には、それぞれの調節軸(X1、X2)の周りでガイド(61、62)を回転させるための工具とのガイド(61、62)の係合を容易にするための1つ又は複数の工具係合要素(65、66)が設けられる、[1]~[5]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
[7] 前記1つ又は複数の工具係合要素(65、66)は、前記ガイド(61、62)の手動回転を容易にするレバー(83、84)を受容するための工具穴(65、66)である、[6]に記載の切断装置(1、101、201)。
[8] 各ガイド(61、62)は、ガイド本体(60)の周りで円周方向にオフセットされた2つ以上の工具係合要素(65、66)を備える、[6]又は[7]に記載の切断装置(1、101、201)。
[9] 各ガイド(61、62)は、前記それぞれのガイド(61、62)の特定の位置を示す基準要素(67)を備える、[1]~[8]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
[10] [1]~[9]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)であって、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、前記フレーム(2)の上端部(21)に配置され、前記ガイド(61、62)は、締結具(85)によって前記フレーム(2)の下端(22)に固定され、前記締結具(85)は、前記駆動方向(D)に平行な引張方向(T)に作用するばね(86)の張力によって、前記それぞれの調節軸(X1、X2)を中心とした前記フレーム(2)に対する回転に対して固定され、前記切断装置(1、101、201)には、前記ガイド本体(60)が、前記上端部(21)において前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)によって解放されたときに前記引張方向(T)に移動することを可能にするために、前記ガイド本体(60)と前記フレーム(2)の下端(22)との間の隙間(Z)が設けられる、[1]~[9]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
[11] 前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)は、ボルト、好ましくは六角形ソケットを有するボルトを備える、[1]~[10]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
[12] 前記切断装置(1、101、201)には、前記駆動方向(D)における前記対向部材(4、204)に対する前記切断刃(3、203)の前記移動を駆動するための駆動機構(7、107、207)が設けられ、前記駆動機構(7、107、207)は、前記駆動方向(D)に又は前記駆動方向(D)に平行に前記ホルダ(5)に作用するように構成された第1の線形アクチュエータ(71、271)及び第2の線形アクチュエータ(72、272)を備える、[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)。
[13] 前記切断装置(1、101、201)は、前記ホルダ(5)を前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)の前記直線的に移動する部分に固定するための1つ又は複数の第2の固定部材(82)を備え、前記1つ又は複数の第2の固定部材(82)は、前記固定から前記ホルダ(5)を解放するように構成され、前記ホルダ(5)は、解放されると、前記調節方向(A)に前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)に対して移動可能である、[12]に記載の切断装置(1、101、201)。
[14] 各線形アクチュエータ(71、72、271、272)は、回転可能なねじ(78)と、前記ねじ(78)に沿って直線的に移動するように構成されたナット(79)とを備え、前記1つ又は複数の第2の固定部材(82)は、前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)の前記ナット(79)に前記ホルダ(5)を固定し、前記ナット(79)から前記ホルダ(5)を解放するように構成される、[13]に記載の切断装置(1、101、201)。
[15] 前記ホルダ(5)は、少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは少なくとも1ミリメートル、最も好ましくは少なくとも2ミリメートルの最大調節範囲(R)内で前記調節方向(A)に前記線形アクチュエータ(71、72、271、272)に対して移動可能である、[13]又は[14]に記載の切断装置(1、101、201)。
[16] 前記切断刃(3、203)は、平坦な又は実質的に平坦な切断面(31)を備え、前記駆動方向(D)は、前記平坦な切断面(31)に平行又は実質的に平行である、[1]に記載の切断装置(1、101、201)。
[17] 前記対向部材(4、204)に対する前記切断刃(3、203)の較正を備え、前記較正は、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)を使用して、前記フレーム(2、202)に対する前記第1のガイド(61)の前記固定を解放するステップと、前記第1のガイド(61)を前記フレーム(2、202)に対して前記調節方向(A)に移動させるステップとを備える、[1]~[16]のうちのいずれか一項に記載の切断装置(1、101、201)を使用して紙(9)を切断する方法。
[18] 前記較正は、前記1つ又は複数の第1の固定部材(81)を使用して、前記フレーム(2、202)に対する前記第2のガイド(62)の前記固定を解放するステップと、前記第2のガイド(62)を前記フレーム(2、202)に対して前記調節方向(A)に移動させるステップとをさらに備える、[17]に記載の方法。
[19] 前記第1のガイド(61)及び/又は前記第2のガイド(62)は、小さな増分にわたって移動され、前記較正は、前記紙(9)が切断されているかどうかをチェックするために、前記増分間に切断工程を実行するステップをさらに備える、[17]又は[18]に記載の方法。
[20] 前記切断刃(3、203)は、最初に、1枚の紙(9)を切断し、前記切断をチェックすることによって較正され、前記1枚の紙(9)に基づく前記較正が完了したとき、前記較正は、紙の束(9)を切断し、次いで1枚の紙(9)を再び切断するステップをさらに備える、[19]に記載の方法。
[21] 前記切断刃(3、203)は、平坦な又は実質的に平坦な切断面(31)を備え、前記駆動方向(D)は、前記平坦な切断面(31)に平行又は実質的に平行である、[19]に記載の方法。