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特許7443378プレリチウム化エネルギー貯蔵デバイスのための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】プレリチウム化エネルギー貯蔵デバイスのための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240227BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240227BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240227BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240227BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20240227BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240227BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240227BHJP
   H01G 11/50 20130101ALI20240227BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20240227BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20240227BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
H01M4/58
H01M4/136
H01M4/139
H01M10/058
H01G11/50
H01G11/86
H01G11/06
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021540107
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020013513
(87)【国際公開番号】W WO2020150240
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】62/792,544
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509316442
【氏名又は名称】テスラ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ズーイン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥオン ヒエウ ミン
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517862(JP,A)
【文献】特表2015-508220(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 4/62
H01M 4/38
H01M 4/58
H01M 4/136
H01M 4/139
H01M 10/058
H01G 11/50
H01G 11/86
H01G 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵デバイスの乾燥電極フィルムであって
燥活物質と、
乾燥バインダと、
前記乾燥活物質及び前記乾燥バインダの全体に均一に分布した乾燥プレリチウム化材料と、
を含み、
前記乾燥電極フィルムは、自立型であ溶媒残留物を含まない、
乾燥電極フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥電極フィルムにおいて、
前記乾燥プレリチウム化材料は、LiO、Li、LiS、LiN、LiN、LiF、LiFeO、LiNiO、Li及びLiMoO又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、乾燥電極フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乾燥電極フィルムにおいて、
前記乾燥プレリチウム化材料はLiである、乾燥電極フィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の乾燥電極フィルムにおいて、
前記乾燥プレリチウム化材料は、前記乾燥電極フィルムの0.5~10重量%を構成する、乾燥電極フィルム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の乾燥電極フィルムにおいて、
前記乾燥活物質は乾燥カソード活物質である、乾燥電極フィルム。
【請求項6】
請求項5に記載の乾燥電極フィルムにおいて、
前記乾燥カソード活物質は、硫黄又は硫黄含有材料を含む、乾燥電極フィルム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の乾燥電極フィルムにおいて、
前記乾燥プレリチウム化材料は、元素リチウム金属を含まない、乾燥電極フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の乾燥電極フィルムを備える、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
請求項に記載のエネルギー貯蔵デバイスにおいて、
前記エネルギー貯蔵デバイスはバッテリである、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
エネルギー貯蔵デバイスの乾燥電極フィルムの乾燥製造方法であって
燥プレリチウム化材料と乾燥導電性炭素添加剤とを混合して、第1の乾燥混合物を形成することと、
前記第1の乾燥混合物と乾燥活物質とを混合して、第2の乾燥混合物を形成することと、
乾燥フィブリル化可能バインダを前記第2の乾燥混合物に添加して、乾燥電極フィルム混合物を形成することと、
前記乾燥電極フィルム混合物における前記乾燥フィブリル化可能バインダをフィブリル化することと、
を含み、
前記乾燥製造方法は、溶媒を含まない乾燥製造プロセスである、製造方法
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法おいて、
前記乾燥電極フィルム混合物をカレンダ処理して、自立型の乾燥電極フィルムを形成することをさらに含む、製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の製造方法おいて、
前記自立型の乾燥電極フィルムを集電体上に配置して電極を形成することをさらに含む、製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の製造方法おいて、
前記電極をエネルギー貯蔵デバイスに組み込むことと、
前記エネルギー貯蔵デバイスの初期サイクルを実行し、それによりプレリチウム化材料を酸化することと、
をさらに含む、製造方法
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記第1の乾燥混合物と前記乾燥活物質とを混合することは、乾燥炭素材料と乾燥導電性炭素材料とを混合して、前記第2の乾燥混合物を形成することをさらに含む、製造方法。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、第1の混合物の温度が最大でも150℃であるように行われる、製造方法。
【請求項16】
請求項10~15のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、第1の混合物の温度が最大でも100℃であるように行われる、製造方法。
【請求項17】
請求項10~16のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、プレリチウム化材料の一次粒子と導電性炭素添加剤との間に電気的接触を生じさせる、製造方法。
【請求項18】
請求項10~17のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、前記第1の乾燥混合物を過度に加熱することなく行われる、製造方法。
【請求項19】
請求項10~18のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤との比は10:1~1:1である、製造方法。
【請求項20】
請求項10~19のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤との比は5:1~5:3である、製造方法。
【請求項21】
請求項10~20のいずれか1項に記載の製造方法おいて、
前記第1の乾燥混合物と前記乾燥活物質とを混合することは、第2の混合物の温度が最大でも100℃であるように行われる、製造方法。
【請求項22】
請求項10~21のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記乾燥プレリチウム化材料と前記乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、前記第1の乾燥混合物の温度が最大でも200℃であるように行われる、製造方法。
【請求項23】
請求項10~22のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記乾燥プレリチウム化材料は、元素リチウム金属を含まない、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
あらゆる優先権出願の参照による組み込み
本出願は、2019年1月15日に出願された米国仮出願番号62/792,544の利益を主張し、その全体は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分野
本発明は、エネルギー貯蔵デバイスに関し、特にエネルギー貯蔵デバイスの電極の組成物及び製造方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
様々なタイプのエネルギー貯蔵デバイスを使用して、例えばコンデンサ、バッテリ、コンデンサバッテリハイブリッド及び/又は燃料電池を含む、電子機器に電力を供給できる。改良された電極配合及び/又は製造プロセスを使用して準備された電極を備える、従来の又は固体リチウムイオンコンデンサ又はバッテリなどの、エネルギー貯蔵デバイスは、改良されたコンデンサの電気的性能を促進し得る。改良された電極配合及び/又は製造プロセスを使用して準備された電極を備えるリチウムイオンコンデンサ又はバッテリは、改良されたサイクル性能、低減された等価直列抵抗(ESR)値、増加した電力密度性能及び/又は増加したエネルギー密度性能を示し得る。改良された電極配合及び/又は製造プロセスはまた、エネルギー貯蔵デバイス製造のより低いコストを促進し得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示及び従来技術に対して達成された利点を要約する目的で、本開示の特定の目的及び利点をここに記載する。特定の実施形態において、そのような目的又は利点のすべてが達成され得るわけではない。したがって、例えば、当業者は、本発明を、教示又は示唆され得る他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、ここで教示される1つの利点又は利点群を達成し又は最適化する方法で、具体化し又は実行し得ることを認識するであろう。
【0005】
第1の態様では、エネルギー貯蔵デバイスの乾燥電極フィルムが提供される。乾燥電極フィルムは、乾燥活物質を含む。乾燥電極フィルムは、乾燥バインダをさらに含む。乾燥電極のさらなるフィルムは、乾燥活物質及び乾燥バインダの全体に分布した乾燥プレリチウム化材料(a dry prelithiating material)を含む。乾燥電極フィルムは自立型(free-standing)である。
【0006】
乾燥電極フィルムのいくつかの実施形態では、乾燥プレリチウム化材料はLiである。いくつかの実施形態では、乾燥活物質は、乾燥カソード活物質である。いくつかの実施形態では、乾燥カソード活物質は硫黄又は硫黄含有材料を含む。
【0007】
第2の態様では、エネルギー貯蔵デバイスの乾燥電極フィルムの製造方法が提供される。本方法は、乾燥プレリチウム化材料と乾燥導電性炭素添加剤とを混合して、第1の乾燥混合物を形成することを含む。本方法はさらに、第1の乾燥混合物と乾燥活物質とを混合して第2の乾燥混合物を形成することを含む。本方法はさらに、乾燥フィブリル化可能バインダを第2の乾燥混合物に添加して、乾燥電極フィルム混合物を形成することを含む。本方法はさらに、乾燥電極フィルム混合物における乾燥バインダをフィブリル化することを含む。
【0008】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、乾燥電極フィルム混合物をカレンダ処理して自立型乾燥電極フィルムを形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の乾燥混合物と乾燥活物質とを混合することは、乾燥炭素材料と乾燥導電性炭素材料とを混合して第2の乾燥混合物を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、乾燥プレリチウム化材料と乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、第1の混合物の温度が最大でも約100℃になるように行う。いくつかの実施形態では、乾燥プレリチウム化材料と乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、プレリチウム化材料の一次粒子と導電性炭素添加剤との間に電気的接触を生じさせる。いくつかの実施形態では、乾燥プレリチウム化材料と乾燥導電性炭素添加剤とを混合することは、第1の乾燥混合物を過度に加熱することなく行う。いくつかの実施形態では、乾燥プレリチウム化材料と乾燥導電性炭素添加剤との比は、約5:1~約5:3である。
【0009】
これらの実施形態のすべては、ここに開示される本発明の範囲内に属することが意図されている。これらの及び他の実施形態は、添付の図面を参照する好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになり、本発明は、開示されたどのような特定の好ましい実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様及び利点は、特定の実施形態の図面を参照して説明され、それらは、特定の実施形態を説明することを意図し、本発明を限定することを意図しない。
図1】一実施形態に係る、プレリチウム化エネルギー貯蔵デバイスの概略断面図である。
図2】プレリチウム化材料を含む電極フィルム混合物から電極フィルムを製造するためのプロセスの一例を示すプロセスフロー図である。
図3A】受け取ったままの過酸化リチウムのSEM画像である。
図3B】5対2の比でSuperP(登録商標)カーボンブラックと混合された過酸化リチウムのSEM画像である。
図4】水に沈められた過酸化リチウムを含むラミネート電極の画像である。
図5】2%の過酸化リチウムを含む電気化学セルを、過酸化リチウムを含まない対照セルと比較した、電気化学的プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示は、エネルギー貯蔵デバイスで使用するための、プレリチウム化材料を含む電極フィルム、及びその製造方法に関する。例えば、プレリチウム化材料は、対応するエネルギー貯蔵デバイスの初期サイクル中に電極上に固体電解質中間相(SEI)層を形成する際に消費されるリチウムを補うために電極フィルムに組み込み得る。プレリチウム化材料の反応はまた、ガスを生成する場合があり、これは、電極の多孔度を有益に増加させ得る。
【0012】
定義
ここで使用される場合、「バッテリ」及び「コンデンサ」という用語は、当業者にとってのそれらの通常の且つ慣習的な意味を与えられるべきである。「バッテリ」及び「コンデンサ」という用語は、互いに排他的ではない。コンデンサ又はバッテリは、単独で動作することも、マルチセルシステムのコンポーネントとして動作することもできる、単一の電気化学セルを指し得る。
【0013】
ここで提供されるように、「自己支持型(self-supporting)」の電極フィルムは、フィルム又は層を支持し、電極フィルム又は層が自立できるようにその形状を維持するのに十分なバインダマトリックス構造を組み込んだ電極フィルムである。エネルギー貯蔵デバイスに組み込まれる場合、自己支持型の電極フィルム又は活性層は、そのようなバインダマトリックス構造を組み込むものである。エネルギー貯蔵デバイスの製造プロセスを容易にするために支持要素が用いられるが、一般に、そして採用される方法に応じて、そのような電極フィルム又は活性層は、集電体、支持ウェブ又は他の構造などのあらゆる外部支持要素なしで、エネルギー貯蔵デバイス製造プロセスで使用されるのに十分な強度を有する。例えば、「自己支持型」の電極フィルムは、他の支持要素なしで、電極製造プロセス内で圧延され、扱われ及び展開される(unrolled)のに十分な強度を有し得る。カソード電極フィルム又はアノード電極フィルムなどの乾燥電極フィルムは、自己支持型であってもよい。
【0014】
ここで提供されるように、「無溶媒」の電極フィルムは、検出可能な処理溶媒、処理溶媒残留物又は処理溶媒不純物を含まない電極フィルムである。乾燥成分のみで製造されたカソード電極フィルム又はアノード電極フィルムなどの乾燥電極フィルムは、無溶媒であり得る。
【0015】
「湿潤」電極、「湿潤プロセス」電極又はスラリー電極は、たとえ後続の乾燥ステップで電極又は電極フィルムから水分が除去されたとしても、活物質、バインダ及びオプションの添加剤の、スラリーが関与する、少なくとも1つのステップにより準備された電極フィルム又は電極を備える。したがって、湿潤電極又は湿潤電極フィルムは、少なくとも1つ又は複数の、処理溶媒、処理溶媒残留物及び/若しくは処理溶媒不純物を含むであろう。
【0016】
「場合がある」、「可能性がある」、「であってもよい」、「し得る」などの条件言葉は、特に明記しない限り、又は使用される文脈内で別のように理解されない限り、一般に、特定の実施形態は含むものの、その一方で他の実施形態は特定の特徴、要素及び/又はステップを含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件言葉は、一般に、特徴、要素及び/又はステップが1つ又は複数の実施形態に何らかの方法で必要であることを暗に示すことを一般に意図せず、また、1つ若しくは複数の実施形態が、ユーザ入力若しくはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素及び/若しくはステップが含まれるか又は特定の実施形態で実行されるかどうかを、決定するためのロジックを、必然的に含むことを暗に示すことを一般に意図しない。
【0017】
「X、Y及びZの少なくとも1つ」というフレーズなどの接続的な言葉は、特に明記しない限り、項目、用語などがX、Y又はZのいずれかであり得ることを伝えるために一般に使用される文脈で代替的に理解される(otherwise understood)。したがって、そのような接続的な言葉は、一般に、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ及びZの少なくとも1つの存在を必要とすることを暗に意味することを意図しない。
【0018】
ここで使用される「略」、「約」、「一般に」及び「実質的に」という用語など、ここで使用される、程度を表す言葉は、記載された値、量又は特性に近い、所望の機能を実行し又は所望の結果を達成する、値、量又は特性を表す。例えば、「略」、「約」、「一般に」及び「実質的に」という用語は、所望の機能又は所望の結果に応じて、記載されている量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満及び0.01%未満の量を指し得る。
【0019】
説明
特定の実施形態及び例を以下に記載するが、当業者は、本発明が、具体的に開示された実施形態及び/又は使用並びにそれらの明白な変更及び同等物を超えて拡張することを理解するであろう。したがって、ここに開示される本発明の範囲は、以下に記載する特定のどのような実施形態によっても限定されるべきではないことが意図されている。
【0020】
リチウムイオン電気化学デバイスのエネルギー密度を高める試みでは、シリコンなどの比エネルギー密度の高いアノード材料が検討されている。最初の充電中に、カソード材料からのリチウムは、アノードの周りの保護層として機能する固体電解質中間相(SEI)層の形成プロセス中に、消費される。しかし、SEI層のこの形成で消費されるリチウムイオンは、電気化学デバイスの通常の動作中のサイクルに使用できなくなり、性能可能性(performance potential)が低減する。以下に説明するのは、プレリチウム化電極フィルムを形成するために使用される電極フィルム混合物へのプレリチウム化材料の導入を可能にする電極フィルムの組成物及び形成プロセスである。いくつかの実施形態は、溶媒及び高温への曝露によるプレリチウム化材料の分解を回避し又は低減する。さらに、いくつかの実施形態では、そのようなプレリチウム化材料は、多孔度が増加したプレリチウム化電極を製造するという追加の利点を有し得る。
【0021】
図1は、プレリチウム化電極フィルムを備えたプレリチウム化エネルギー貯蔵デバイス100の一例の側方断面概略図である。エネルギー貯蔵デバイス100は、例えば、コンデンサ、バッテリ、コンデンサバッテリハイブリッド又は燃料電池として分類され得る。いくつかの実施形態では、デバイス100はリチウムイオンバッテリである。
【0022】
このデバイスは、第1の電極102、第2の電極104及び第1の電極102と第2の電極104との間に配置されたセパレータ106を備える。第1の電極102及び第2の電極104は、セパレータ106のそれぞれの反対の表面に隣接する。エネルギー貯蔵デバイス100は、エネルギー貯蔵デバイス100の電極102、104間のイオン伝達を容易にするための電解質118を含む。例えば、電解質118は、第1の電極102、第2の電極104及びセパレータ106と接していてもよい。電解質118、第1の電極102、第2の電極104及びセパレータ106は、エネルギー貯蔵デバイスハウジング120内に収容されている。
【0023】
第1の電極102、第2の電極104及びセパレータ106、又はその構成要素のうちの、1つ又は複数は、多孔質材料を含み得る。多孔質材料内の細孔は、封じ込め及び/又はハウジング120内の電解質118と接するための増加した表面積を提供し得る。エネルギー貯蔵デバイスハウジング120は、第1の電極102、第2の電極104及びセパレータ106の周りで密封され得、そして周囲の環境から物理的に密閉され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の電極102はアノード(「負電極」)であり得、第2の電極104はカソード(「正電極」)であり得る。セパレータ106は、2つの隣接する電極間のイオン伝達を可能にしながら、セパレータ106の反対側で隣接する2つの電極、例えば第1の電極102及び第2の電極104を、電気的に絶縁するように構成され得る。セパレータ106は、適切な多孔質電気絶縁材料を含み得る。いくつかの実施形態では、セパレータ106は、ポリマー材料を含み得る。例えば、セパレータ106は、セルロース材料(例えば、紙)、ポリエチレン(PE)材料、ポリプロピレン(PP)材料並びに/又はポリエチレン及びポリプロピレン材料を含み得る。
【0025】
一般に、第1の電極102及び第2の電極104は各々、集電体及び電極フィルムを備える。電極102及び104は、それぞれ、高い電極フィルム密度及び/又は高い電子密度を有する電極フィルム112及び114を備える。電極102及び104は各々、示されるように単一の電極フィルム112及び114を備えるが、各電極102及び104のための2つ以上の電極フィルムの他の組み合わせが可能である。デバイス100は、単一電極102及び単一電極104で示されているが、他の組み合わせも可能である。電極フィルム112及び114は各々、任意の適切な形状、サイズ及び厚さを有し得る。例えば、電極フィルムは各々、約30ミクロン(μm)~約250ミクロン、例えば、約又は少なくとも約50ミクロン、約100ミクロン、約150ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約400ミクロン、約500ミクロン、約750ミクロン、約1000ミクロン、約2000ミクロン又はそれらの間の任意の範囲の値の厚さを有し得る。単一電極フィルムについて、本開示全体を通して、さらなる電極フィルムの厚さが記載されている。電極フィルムは、一般に、1つ又は複数の活物質、例えば、ここで提供されるようなアノード活物質又はカソード活物質を含む。電極フィルム112及び/又は114は、ここで提供される乾燥及び/又は自己支持型の電極フィルムであり得、ここに提供されるような、厚さ、増加した電極フィルム密度、エネルギー密度、比エネルギー密度、面積エネルギー密度、面積容量又は比容量などの、有利な特性を有し得る。第1の電極フィルム112及び/又は114はまた、ここで提供されるような1つ又は複数のバインダを含み得る。電極フィルム112及び/又は114は、ここで記載するプロセスにより準備できる。電極フィルム112及び/又は114は、ここで記載する湿潤又は自己支持型の乾燥電極であり得る。
【0026】
図1に示すように、第1の電極102及び第2の電極104は、それぞれ、第1の電極フィルム112と接する第1の集電体108と、第2の電極フィルム114と接する第2の集電体110とを備える。第1の集電体108及び第2の集電体110は、対応する各電極フィルムと外部電気回路(図示せず)との間の電気的結合を容易にする。第1の集電体108及び/又は第2の集電体110は、1つ又は複数の導電性材料を含み、対応する電極と外部回路との間の電荷の移動を容易にするように選択される任意の適切な形状及びサイズを有し得る。例えば、集電体は、アルミニウム、ニッケル、銅、レニウム、ニオブ、タンタル、並びに銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム及び合金及びそれらの組み合わせなどの貴金属を含む材料などの金属材料を含み得る。例えば、第1の集電体108及び/又は第2の集電体110は、例えば、アルミホイル又は銅ホイルを含み得る。第1の集電体108及び/又は第2の集電体110は、対応する電極と外部回路との間で電荷の移動を提供するようなサイズの長方形又は実質的に長方形の形状を有し得る。
【0027】
図1を引き続き参照して、第2の電極フィルム114はプレリチウム化されている。しかし、第1の電極フィルム112がプレリチウム化され得るか、又は電極フィルム112及び114の両方がプレリチウム化され得ることが理解されるべきである。電極フィルム112及び/又は114は、ここに記載されるようにプレリチウム化され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイス100は、適切なリチウム含有電解質118で満たされる。例えば、デバイス100は、リチウム塩、及び非水性又は有機溶媒などの溶媒を含み得る。一般に、リチウム塩は、酸化還元安定性のあるアニオンを含み得る。いくつかの実施形態では、アニオンは一価であり得る。いくつかの実施形態では、リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸塩(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSOCF)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)及びそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態では、電解質は、第四級アンモニウムカチオン、並びにヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン及びヨウ化物アニオンから構成される群から選択されるアニオンを含み得る。いくつかの実施形態では、塩濃度は、約0.1モル/L(M)~約5M、約0.2~約3M又は約0.3~約2Mであり得る。さらなる実施形態では、電解質の塩濃度は、約0.7~約1Mであり得る。特定の実施形態では、電解質の塩濃度は、約0.2M、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約1.1M、約1.2M又はそれらの間の任意の範囲の値であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、ここで提供されるエネルギー貯蔵デバイス電解質は、液体溶媒を含み得る。ここで提供される溶媒は、電解質のすべての成分を溶解する必要はなく、いかなる成分も完全に溶解する必要はない。さらなる実施形態では、溶媒は、有機溶媒であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、炭酸塩、エーテル及び/又はエステルから選択される1つ以上の官能基を有し得る。いくつかの実施形態では、溶媒は炭酸塩を含み得る。さらなる実施形態では、炭酸塩は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)及びそれらの組み合わせなどの環式カーボネート、又は、例えばジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びそれらの組み合わせなどの非環式カーボネートから選択され得る。特定の実施形態では、電解質は、LiPF及び1つ又は複数の炭酸塩を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、リチウムイオンバッテリは、約2.5~4.5V又は3.0~4.2Vで動作するように構成されている。さらなる実施形態では、リチウムイオンバッテリは、それぞれ約2.5~約3Vの最小動作電圧を有するように構成されている。さらに別の実施形態では、リチウムイオンバッテリは、それぞれ約4.1~約4.4Vの最大動作電圧を有するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスを製造するための方法が提供される。さらなる実施形態では、本方法は、アノード及びカソードを選択することを含む。いくつかの実施形態では、アノードを選択することは、乾燥自己支持型アノード又は湿潤アノードを選択することを含む。さらなる実施形態では、カソードを選択することは、乾燥自己支持型カソード又は湿潤カソードを選択することを含む。乾燥アノードを選択するステップは、活物質処理方法を選択すること及びバインダ処理方法を選択することを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ここで提供される電極フィルムは、少なくとも1つの活物質及び少なくとも1つのバインダを含む。その少なくとも1つの活物質は、当技術分野で知られている任意の活物質であり得る。その少なくとも1つの活物質は、バッテリのアノード又はカソードでの使用に適した材料であり得る。アノード活物質は、例えば、挿入材料(炭素、グラファイト及び/又はグラフェンなど)、合金化/脱合金化材料(ケイ素、酸化ケイ素、スズ及び/又は酸化スズなど)、金属合金又は化合物(Si-Al及び/又はSi-Snなど)及び/又は変換材料(a conversion material)(酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル及び/又は酸化銅など)を含み得る。アノード活物質は、単独で使用してもよく、又は混合して多相材料(Si-C、Sn-C、SiOx-C、SnOx-C、Si-Sn、Si-SiOx、Sn-SnOx、Si-SiOx-C、Sn-SnOx-C、Si-Sn-C、SiOx-SnOx-C、Si-SiOx-Sn又はSn-SiOx-SnOxなど)を形成してもよい。
【0033】
カソード活物質は、例えば、金属酸化物、金属硫化物又はリチウム金属酸化物を含み得る。リチウム金属酸化物は、例えば、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムマンガン酸化物(LMO)、リチウム鉄リン酸塩(LFP)、リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムチタン酸塩(LTO)及び/又はリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)であり得る。いくつかの実施形態では、カソード活物質は、例えば、層状遷移金属酸化物(LiCoO(LCO)、Li(NiMnCo)O(NMC)及び/又はLiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)など)、スピネル酸化マンガン(LiMn(LMO)及び/又はLiMn1.5Ni0.5(LMNO)など)又はかんらん石(LiFePOなど)を含み得る。カソード活物質は、硫黄又は硫化リチウム(LiS)などの硫黄含有材料又は他の硫黄ベースの材料又はそれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、カソードフィルムは、硫黄又は少なくとも50重量%の濃度の硫黄活物質含有材料を含む。いくつかの実施形態では、硫黄又は硫黄活物質含有材料を含むカソードフィルムは、少なくとも6mAh/cmの面積容量を有する。いくつかの実施形態では、硫黄又は硫黄活物質含有材料を含むカソードフィルムは、1g/cmの電極フィルム密度を有する。いくつかの実施形態では、硫黄又は硫黄活物質含有材料を含むカソードフィルムは、バインダをさらに含む。いくつかの実施形態では、硫黄又は硫黄活物質含有材料を含むカソードフィルムのバインダは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、その他熱可塑性材料又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0034】
電極フィルムは、1つ又は複数の炭素材料と組み合わされた少なくとも1つの活物質を含み得る。炭素材料は、例えば、黒鉛材料(graphitic material)、グラファイト、グラフェン含有材料、硬質炭素、軟質炭素、カーボンナノチューブ、多孔質炭素、導電性炭素又はそれらの組み合わせから選択され得る。活性炭は、例えば、蒸気プロセス又は酸/エッチングプロセスから得られた活性炭を実施し得る。いくつかの実施形態では、黒鉛材料は、表面処理された材料であり得る。いくつかの実施形態では、多孔質炭素は、活性炭を含み得る。いくつかの実施形態では、多孔質炭素は、階層的に構造化された炭素を含み得る。いくつかの実施形態では、多孔質炭素は、構造化カーボンナノチューブ、構造化カーボンナノワイヤ及び/又は構造化カーボンナノシートを含み得る。いくつかの実施形態では、多孔質炭素は、グラフェンシートを含み得る。いくつかの実施形態では、多孔質炭素は、表面処理された炭素であり得る。いくつかの実施形態では、ここに記載するこれらの炭素材料は、実施例1及び2及び図2に示されるプロセスに関して以下でさらに詳細に記載する導電性炭素添加剤並びに/又は導電性炭素材料とは異なる材料であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、リチウムイオンバッテリ又はハイブリッドエネルギー貯蔵デバイスのカソード電極フィルムは、約70~約92重量%又は約70~約96重量%を含む、約70~約98重量%の少なくとも1つの活物質を含み得る。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、約70重量%若しくは最大約70重量%、約90重量%若しくは最大約90重量%、約92重量%若しくは最大約92重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%若しくは最大約96重量%又は約98重量%若しくは最大約98重量%、又はこれらの間の任意の範囲の値の、少なくとも1つの活物質を含み得る。いくつかの実施形態では、リチウムイオンバッテリ又はハイブリッドエネルギー貯蔵デバイスのカソード電極フィルムは、約40~約60重量%の少なくとも1つの活物質を含み得る。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、最大約5重量%又は約1~約5重量%を含む、最大約10重量%の多孔質炭素材料を含み得る。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、約10重量%若しくは最大約10重量%、約5重量%若しくは最大約5重量%、約1重量%若しくは最大約1重量%又は約0.5重量%若しくは最大約0.5重量%、又はそれらの間の任意の範囲の値の、多孔質炭素材料を含み得る。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、約1~約3重量%を含む最大約5重量%の導電性添加剤を含む。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、約10重量%若しくは最大約10重量%、5重量%、約3重量%若しくは最大約3重量%、又は約1重量%若しくは最大約1重量%、又はそれらの間の任意の範囲の値の、導電性添加剤を含む。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、例えば、約1.5~10重量%、約1.5~5重量%、又は約1.5~3重量%を含む、最大約20重量%のバインダを含む。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、約1.5~約3重量%のバインダを含む。いくつかの実施形態では、カソード電極フィルムは、約20重量%若しくは最大約20重量%、約15重量%若しくは最大約15重量%、約10重量%若しくは最大約10重量%、約5重量%若しくは最大約5重量%、約3重量%若しくは約3重量%、約1.5重量%若しくは最大約1.5重量%又は約1重量%若しくは最大約1重量%、又はそれらの間の任意の範囲の値の、バインダを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、少なくとも1つの活物質、バインダ並びにオプションの導電性添加剤及び/又は導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、導電性添加剤は、カーボンブラックなどの導電性炭素添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、導電性材料は、カーボンブラックなどの導電性炭素材料を含み得る。いくつかの実施形態では、導電性炭素添加剤は、導電性炭素材料とは異なるタイプ及び/又は量の、材料である。例えば、いくつかの実施形態では、導電性炭素添加剤及び導電性炭素材料は、異なるカーボンブラック材料である。いくつかの実施形態では、アノードのその少なくとも1つの活物質は、合成グラファイト、天然グラファイト、硬質炭素、軟質炭素、グラフェン、メソポーラスカーボン、ケイ素、酸化ケイ素、スズ、酸化スズ、ゲルマニウム、チタン酸リチウム、混合物又は前記材料の複合材料を含み得る。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約80~約98重量%又は約94~約97重量%を含む、約80~約98重量%の、少なくとも1つの活物質を含み得る。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約92重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%若しくは約99重量%、又はこれらの間の任意の範囲の値の、少なくとも1つの活物質を含み得る。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約1~約3重量%を含む、最大約5重量%の導電性添加剤を含む。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約5重量%若しくは最大約5重量%、約3重量%若しくは最大約3重量%、約1重量%若しくは最大約1重量%又は約0.5重量%若しくは最大約0.5重量%、又はこれらの間の任意の範囲の値の、導電性添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約1.5~約10重量%、約1.5~約5重量%又は約3~約5重量%を含む、最大約20重量%のバインダを含む。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約4重量%のバインダを含む。いくつかの実施形態では、アノード電極フィルムは、約20重量%若しくは最大約20重量%、約15重量%若しくは最大約15重量%、約10重量%若しくは最大約10重量%、約5重量%若しくは最大約5重量%、約3重量%若しくは最大約3重量%、約1.5重量%若しくは最大約1.5重量%又は約1重量%若しくは最大約1重量%の、又はこれらの間の任意の範囲の値の、バインダを含む。いくつかの実施形態では、アノードフィルムは、導電性添加剤を含まなくてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態は、ポリマーバインダ材料を含む1つ又は複数の活性層を有する、アノード及び/又はカソードなどの電極フィルムを含む。バインダは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン、ポリアルキレン、ポリエーテル、スチレン-ブタジエン、ポリシロキサン及びポリシロキサンのコポリマー、分岐ポリエーテル、ポリビニルエーテル、それらのコポリマー及び/又はそれらの混合物を含み得る。バインダは、セルロース、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、それらのコポリマー及び/又はそれらの混合物を含み得る。例えば、バインダは、ポリ塩化ビニレン、ポリ(フェニレンオキシド)(PPO)、ポリエチレン-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(フェニレンオキシド)(PPO)、ポリエチレン-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジメチルシロキサン-コアルキルメチルシロキサン、それらのコポリマー及び/又はそれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、バインダは熱可塑性材料であり得る。いくつかの実施形態では、バインダは、フィブリル化可能ポリマーを含む。特定の実施形態では、バインダは、PTFEなどの、単一の、フィブリル化可能バインダを含むか、本質的にそれから構成されるか又はそれから構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、バインダは、PTFE及びオプションの1つ又は複数の追加のバインダ成分を含み得る。いくつかの実施形態では、バインダは、1つ又は複数のポリオレフィン及び/又はそのコポリマー、並びにPTFEを含み得る。いくつかの実施形態では、バインダは、PTFE、並びにセルロース、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエーテル前駆体、ポリシロキサン、それらのコポリマー及び/又はそれらの混合物のうちの1つ又は複数、を含み得る。ポリマーの混合物は、前記のポリマー又はコポリマーの相互貫入ネットワーク(interpenetrating networks)を含み得る。
【0039】
バインダは、様々な適切な比のポリマー成分を含み得る。例えば、PTFEは、バインダの最大約98重量%、例えば、約20~約95重量%、約20~約90重量%、約20~約80重量%、約30~約70重量%、約30~約50重量%又は約50~約90重量%であり得る。いくつかの実施形態では、PTFEは、バインダの約99重量%若しくは最大約99重量%、約98重量%若しくは最大約98重量%、約95重量%若しくは最大約95重量%、約90重量%若しくは最大約90重量%、約80重量%若しくは最大約80重量、約70重量%若しくは最大約70重量%、約60重量%若しくは最大約60重量%、約50重量%若しくは最大約50重量%、約40重量%若しくは最大約40重量%、約30重量%若しくは最大約30重量%、又は約20重量%若しくは最大約20重量%、又はそれらの間の任意の範囲の値であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、電極フィルム混合物は、選択されたサイズを有するバインダ粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、バインダ粒子は、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約10μm、約50μm、約100μm又はそれらの間の任意の範囲の値であり得る。
【0041】
ここで使用される場合、乾燥電極製造プロセスは、乾燥電極フィルムを形成するために溶媒を全く使用しない、又は実質的に全く使用しないプロセスを指し得る。例えば、炭素材料及びバインダを含む活性層又は電極フィルムの成分は、乾燥粒子を含むか、それから構成されているか又は本質的にそれから構成されていてもよい。活性層又は電極フィルムを形成するための乾燥粒子を組み合わせて、乾燥粒子活性層混合物を提供し得る。いくつかの実施形態では、活性層又は電極フィルムは、活性層又は電極フィルムの成分の重量パーセント及び乾燥粒子活性層混合物の成分の重量パーセントが実質的に同じであるように、乾燥粒子活性層混合物から形成され得る。いくつかの実施形態では、乾燥製造プロセスを使用して乾燥粒子活性層混合物から形成された活性層又は電極フィルムは、溶媒及びそれから生じる溶媒残留物などのあらゆる処理添加剤を含まないか、又は実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、得られる活性層又は電極フィルムは、乾燥粒子混合物から乾燥プロセスを利用して形成された自己支持型のフィルムである。いくつかの実施形態では、得られる活性層又は電極フィルムは、乾燥粒子混合物から乾燥プロセスを利用して形成された自立型のフィルムである。活性層又は電極フィルムを形成するためのプロセスは、フィルムがフィブリル化されたバインダを含むように、フィブリル化可能バインダ成分をフィブリル化することを含み得る。さらなる実施形態では、自立型の活性層又は電極フィルムは、集電体の非存在下で形成され得る。さらに別の実施形態では、活性層又は電極フィルムは、フィルムが自己支持するようにフィブリル化されたポリマーマトリックスを含み得る。フィブリルのマトリックス、格子又はウェブを形成して、電極フィルムに機械的構造を提供できると考えられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムは、約12mg/cm、約13mg/cm、約14mg/cm、約15mg/cm、約16mg/cm、約17mg/cm、約18mg/cm、約19mg/cm、約20mg/cm、約21mg/cm、約22mg/cm、約23mg/cm、約24mg/cm、約25mg/cm、約26mg/cm、約27mg/cm、約28mg/cm、約29mg/cm、約30mg/cm、約40mg/cm、約50mg/cm、約60mg/cm、約70mg/cm、約80mg/cm、約90mg/cm若しくは約100mg/cm又はそれらの間の任意の範囲の値の、高電極材料充填又は高活物質充填(これは、電極フィルム又は集電体の単位面積あたりの電極フィルムの重量として表され得る)を提供し得る。いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムは、少なくとも約12mg/cm、少なくとも約13mg/cm、少なくとも約14mg/cm、少なくとも約15mg/cm、少なくとも約16mg/cm、少なくとも約17mg/cm、少なくとも約18mg/cm、少なくとも約19mg/cm、少なくとも約20mg/cm、少なくとも約21mg/cm、少なくとも約22mg/cm、少なくとも約23mg/cm、少なくとも約24mg/cm、少なくとも約25mg/cm、少なくとも約26mg/cm、少なくとも約27mg/cm、少なくとも約28mg/cm、少なくとも約29mg/cm、少なくとも約30mg/cm、少なくとも約40mg/cm、少なくとも約50mg/cm、少なくとも約60mg/cm、少なくとも約70mg/cm、少なくとも約80mg/cm、少なくとも約90mg/cm若しくは少なくとも約100mg/cm、又はこれらの間の任意の範囲の値の、高電極材料充填又は高活物質充填(これは、電極フィルム又は集電体の単位面積あたりの電極フィルムの重量として表され得る)を提供し得る。
【0043】
電極フィルムは、特定の用途に適した選択された厚さを有し得る。ここで提供される電極フィルムの厚さは、従来のプロセスにより準備された電極フィルムの厚さよりも厚くてもよい。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、約110ミクロン以上、約115ミクロン、約120ミクロン、約130ミクロン、約135ミクロン、約150ミクロン、約155ミクロン、約160ミクロン、約170ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約260ミクロン、約265ミクロン、約270ミクロン、約280ミクロン、約290ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロン、約750ミクロン、約1mm若しくは約2mm、又はこれらの間の任意の範囲の値であってよい。電極フィルムの厚さは、所望の面積容量、比容量、面積エネルギー密度、エネルギー密度又は比エネルギー密度に対応するように選択され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、ここで提供される電極フィルムの電極フィルム多孔度は、従来のプロセスにより準備された電極フィルムの多孔度よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、ここで提供される電極フィルムの電極フィルム多孔度は、従来のプロセスにより準備された電極フィルム多孔度よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、約10%、約12%、約14%、約16%、約18%若しくは約20%、又はこれらの間の任意の範囲の値であってよい、電極フィルム多孔度(これは、細孔によって占められる電極フィルムの体積のパーセンテージとして表され得る)を有し得る。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約14%、少なくとも約16%、少なくとも約18%若しくは少なくとも約20%又はこれらの間の任意の範囲の値の、電極フィルム多孔度(これは、細孔によって占められる電極フィルムの体積のパーセンテージとして表され得る)を有し得る。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、最大でも約10%、最大でも約12%、最大でも約14%、最大でも約16%、最大でも約18%若しくは最大でも約20%又はこれらの間の任意の範囲の値の、電極フィルム多孔度(これは、細孔によって占められる電極フィルムの体積のパーセンテージとして表され得る)を有し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ここで提供される電極フィルムの電極フィルム密度は、従来のプロセスにより準備された電極フィルムの密度よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、ここで提供される電極フィルムの電極フィルム密度は、従来のプロセスにより準備された電極フィルムの電極フィルム密度よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、約0.8g/cm、約1.0g/cm、約1.4g/cm、約1.5g/cm、約1.6g/cm、約1.7g/cm、約1.8g/cm、約1.9g/cm、約2.0g/cm、約2.5g/cm、約3.0g/cm、約3.3g/cm、約3.4g/cm、約3.5g/cm、約3.6g/cm、約3.7g/cm若しくは約3.8g/cm又はこれらの間の任意の範囲の値の、電極フィルム密度を有し得る。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、最大でも約0.8g/cm、1.0g/cm、1.4g/cm、最大でも約1.5g/cm、最大でも約1.6g/cm、最大でも約1.7g/cm、最大でも約1.8g/cm、最大でも約1.9g/cm若しくは最大でも約2.0g/cm、又はこれらの間の任意の範囲の値の、電極フィルム密度を有し得る。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、少なくとも約0.8g/cm、1.0g/cm、1.4g/cm、少なくとも約1.5g/cm、少なくとも約1.6g/cm、少なくとも約1.7g/cm、少なくとも約1.8g/cm、少なくとも約1.9g/cm、少なくとも約2.0g/cm、少なくとも約2.5g/cm、少なくとも約3.0g/cm、少なくとも約3.3g/cm、少なくとも約3.4g/cm若しくは少なくとも約3.5g/cm、又はこれらの間の任意の範囲の値の、電極フィルム密度を有し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイス電極フィルムは、約3.5mAh/cm若しくは少なくとも約3.5mAh/cm、約3.8mAh/cm若しくは少なくとも約3.8mAh/cm、約4mAh/cm若しくは少なくとも約4mAh/cm、約4.3mAh/cm若しくは少なくとも約4.3mAh/cm、約4.5mAh/cm若しくは少なくとも約4.5mAh/cm、約4.8mAh/cm若しくは少なくとも約4.8mAh/cm、約5mAh/cm若しくは少なくとも約5mAh/cm、約5.5mAh/cm若しくは少なくとも約5.5mAh/cm、約6mAh/cm若しくは少なくとも約6mAh/cm、約6.5mAh/cm若しくは少なくとも約6.5mAh/cm、約6.6mAh/cm若しくは少なくとも約6.6mAh/cm、約7mAh/cm若しくは少なくとも約7mAh/cm、約7.5mAh/cm若しくは少なくとも約7.5mAh/cm、約8mAh/cm若しくは少なくとも約8mAh/cm又は約10mAh/cm若しくは少なくとも約10mAh/cm、又はこれらの間の任意の範囲の値の、面積容量(これは、電極フィルム又は集電体の単位面積あたりの容量として表し得る)を提供し得る。さらなる実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイス電極フィルムは、少なくとも約8mAh/cm、例えば約8mAh/cm、約10mAh/cm、約12mAh/cm、約14mAh/cm、約16mAh/cm、約18mAh/cm、約20mAh/cm又はこれらの間の任意の範囲の値の、面積容量(これは、電極フィルム又は集電体の単位面積あたりの容量として表され得る)を提供し得る。いくつかの実施形態では、面積容量は充電容量である。さらなる実施形態では、面積容量は放電容量である。
【0047】
いくつかの実施形態では、乾燥及び/又は自己支持型グラファイトバッテリのアノード電極フィルムは、約3.5mAh/cm、約4mAh/cm、約4.5mAh/cm、約5mAh/cm、約5.5mAh/cm、約6mAh/cm、約6.5mAh/cm、約7mAh/cm、約7.5mAh/cm、約8mAh/cm、約8.5mAh/cm、約9mAh/cm、約10mAh/cm、又はこれらの間の任意の範囲の値の、面積容量を提供し得る。いくつかの実施形態では、面積容量は充電容量である。さらなる実施形態では、面積容量は放電容量である。
【0048】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムは、約150mAh/g、約160mAh/g、約170mAh/g、約175mAh/g、約176mAh/g、約177mAh/g、約179mAh/g、約180mAh/g、約185mAh/g、約190mAh/g、約196mAh/g、約200mAh/g、約250mAh/g、約300mAh/g、約350mAh/g、約354mAh/g若しくは約400mAh/g、又はこれらの間の任意の範囲の値の、比容量(これは、電極フィルム又は集電体の質量当たりの容量として表され得る)を提供し得る。さらなる実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムは、少なくとも約175mAh/g若しくは少なくとも約250mAh/g、又はこれらの間の任意の範囲の値の、比容量(電極フィルム又は集電体の質量当たりの容量として表され得る)を提供し得る。いくつかの実施形態では、比容量は充電容量である。さらなる実施形態では、比容量は放電容量である。いくつかの実施形態では、電極は、アノード及び/又はカソードであり得る。いくつかの実施形態では、比容量は、最初の充電及び/又は放電容量であり得る。さらなる実施形態では、比容量は、最初の充電及び/又は放電の後に測定された充電及び/又は放電容量であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、ここに記載する自己支持型乾燥電極フィルムは、有利には、典型的な電極フィルムと比較して改良された性能を示し得る。その性能は、例えば、引張強度、弾性(伸び)、曲げ性、クーロン効率、容量又は導電率であり得る。いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムである、エネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムは、約85%若しくは少なくとも約85%、約86%若しくは少なくとも約86%、約87%若しくは少なくとも約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%又は約95%、又はこれらの間の任意の範囲の値、例えば90.1%、90.5%及び91.9%又はこれらの間の任意の範囲の値の、クーロン効率(これは、放電容量を充電容量で割ったパーセントとして表され得る)を提供し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/若しくは自己支持型フィルムであるか又は電極が乾燥及び/若しくは自己支持型フィルムを含む、エネルギー貯蔵デバイスの電極フィルム又は電極は、約10%若しくは少なくとも約10%、約20%若しくは少なくとも約20%、約30%若しくは少なくとも約30%、約40%若しくは少なくとも約40%、約50%若しくは少なくとも約50%、約60%若しくは少なくとも約60%、約70%若しくは少なくとも約70%、約80%若しくは少なくとも約80%、約90%若しくは少なくとも約90%、約98%若しくは少なくとも約98%、約99%若しくは少なくとも約99%、約99.9%若しくは少なくとも約99.9%又は約100%若しくは少なくとも約100%、又はこれらの間の任意の範囲の値の、充電容量保持パーセンテージ(所定速度での放電容量をC/10で測定された放電容量で割ったものによって表され得る)を提供し得る。いくつかの実施形態では、充電容量保持パーセンテージの放電率は、約C/10若しくは少なくとも約C/10、約C/5以上若しくは少なくとも約C/5、約C/3若しくは少なくとも約C/3、約C/2若しくは少なくとも約C/2、約1C以上若しくは少なくとも約1C、約1.5C若しくは少なくとも約1.5C又は2C若しくは少なくとも約2C、又はこれらの間の任意の値である。
【0051】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/若しくは自己支持型フィルムであるか又は電極が乾燥及び/若しくは自己支持型フィルムを含む、エネルギー貯蔵デバイスの電極フィルム又は電極は、約10%若しくは少なくとも約10%、約20%若しくは少なくとも約20%、約30%若しくは少なくとも約30%、約40%若しくは少なくとも約40%、約50%若しくは少なくとも約50%、約60%若しくは少なくとも約60%、約70%若しくは少なくとも約70%、約80%若しくは少なくとも約80%、約90%若しくは少なくとも約90%、約98%若しくは少なくとも約98%、約99%若しくは少なくとも約99%、約99.9%若しくは少なくとも約99.9%又は約100%若しくは少なくとも約100%、又はそれらの間の任意の範囲の値の、充電容量生成パーセンテージ(これは、所定の定電流速度で測定された充電容量をC/10で測定された放電容量で割ったものにより表され得る)を提供し得る。いくつかの実施形態では、充電容量生成パーセンテージの充電率は、少なくともC/10、C/5、C/3、C/2、1C、1.5C若しくは2C、又はこれらの間の任意の値である。
【0052】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムが提供し得る比エネルギー密度又は重量エネルギー密度(gravimetric energy density)(これは、電極フィルムの質量当たりのエネルギーとして表され得る)は、約200Wh/kg、約210Wh/kg、約220Wh/kg、約230Wh/kg、約240Wh/kg、約250Wh/kg、約260Wh/kg、約270Wh/kg、約280Wh/kg、約290Wh/kg、約300Wh/kg、約400Wh/kg、約500Wh/kg、約600Wh/kg、約650Wh/kg、約700Wh/kg、約750Wh/kg、約800Wh/kg、約825Wh/kg、約850Wh/kg若しくは約900Wh/kg、又はこれらの間の任意の範囲の値であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、電極フィルムが乾燥及び/又は自己支持型フィルムであるエネルギー貯蔵デバイスの電極フィルムは、提供し得るエネルギー密度又は体積エネルギー密度(volumetric energy density)(これは、最終的な又はその場(in situ)での電極フィルムの単位体積あたりのエネルギーとして表され得る)が、約550Wh/L、約600Wh/L、約630Wh/L、約650Wh/L、約680Wh/L、約700Wh/L、約750Wh/L、約850Wh/L、約950Wh/L、約1100Wh/L、約1400Wh/L、約1425Wh/L、約1450Wh/L、約1475Wh/L、約1500Wh/L、約1525Wh/L若しくは約1550Wh/L、又はこれらの間の任意の範囲の値であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、自己支持型の乾燥バッテリのカソードは、湿潤バッテリのカソードと比較して、低減されたオーム抵抗及び/又は改良された電圧分極特性を示し得る。さらなる実施形態では、自己支持型の乾燥カソードが組み込まれたリチウムイオンバッテリは、湿潤カソード及び湿潤アノードを備えるリチウムイオンバッテリと比較して、低減されたオーム抵抗及び/又は改良された電圧分極特性を有利に示し得る。さらに別の実施形態では、自己支持型の乾燥カソードが組み込まれたリチウムイオンバッテリは、湿潤カソードを備えるリチウムイオンバッテリと比較して、改良されたエネルギー密度及び/又は比エネルギー密度を示し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、経年劣化後の自己支持型の乾燥バッテリの電極は、経年劣化した湿潤バッテリの電極と比較して、低減されたオーム抵抗、改良された電圧分極特性及び/又は改良された容量を示し得る。いくつかの実施形態では、経年劣化後の乾燥バッテリの電極は、同様に経年劣化した湿潤バッテリの電極におけるオーム抵抗の低減よりも約5倍、約10倍、約15倍若しくは約20倍小さく、又はそれらの間のあらゆる範囲の値小さい、オーム抵抗の低減を示す。いくつかの実施形態では、経年劣化後の乾燥バッテリの電極は、同様に経年劣化した湿潤バッテリの電極の電圧の低下よりも、電圧の低下が、約1.5倍、約2倍、約3倍若しくは約5倍小さく、又はそれらの間の任意の範囲の値で、小さい。いくつかの実施形態では、経年劣化後の乾燥バッテリの電極は、同様に経年劣化した湿潤バッテリの電極よりも、容量の減少が、約1.5倍、約2倍、約3倍若しくは約5倍小さく、又はそれらの間の任意の範囲の値で小さい。
【0056】
プレリチウム化
電極のプレリチウム化は、電気化学デバイスの最初のサイクル中に消費されたリチウムを補うことを可能にでき、それはその後のサイクルにはもはや利用できない。犠牲的なプレリチウム化材料は、例えば最初のサイクル中にアノード上に固体電解質中間相(SEI)層を形成する際に、消費されるリチウムを補うために、電極に組み込まれ得る。
【0057】
ここで定義されるプレリチウム化材料は、電気化学デバイスのサイクルが行われて遊離リチウムイオン及び副生成物を形成するときに、酸化されるリチウムを含む材料である。そのリチウムイオンは、デバイスの電解質により溶媒和され得る。このように、プレリチウム化材料は、電極フィルム内からのリチウム源として機能し、電気化学デバイスの最初の充電プロセス中に消費されるリチウムイオンを補う。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料は強い還元剤である。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料は酸化リチウムである。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料は、酸化リチウム(lithia)(LiO)、過酸化リチウム(Li)、LiS、LiN、LiN、LiF、LiFeO、LiNiO、LiCO、LiMoO又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料はLiである。プレリチウム化材料は、酸化状態がゼロのリチウム金属である元素リチウム金属を含まないことが理解されよう。
【0058】
プレリチウム化材料の反応はまた、電極をリチウム化することに加え、有益な副生成物を生成し得る。いくつかの実施形態では、その副産物はガスであり得る。例えば、過酸化リチウムの分解により酸素ガスが発生する。電極内のプレリチウム化材料からのガスの生成は、電極の多孔度を有益に増加させ得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、電極フィルム混合物は、プレリチウム化材料を、0.5重量%若しくは約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%、又はそれらの間の任意の範囲の値、を含み得る。
【0060】
図2は、いくつかの実施形態に係る、プレリチウム化材料を含む電極フィルムを製造するためのプロセス200の一例を示すプロセスフロー図である。ブロック202では、混合ステップにより、プレリチウム化材料と導電性炭素添加剤とを含む第1の混合物を形成する。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料は過酸化リチウムである。いくつかの実施形態では、導電性炭素添加剤は、ここに記載するように、カーボンブラックである。いくつかの実施形態では、ブロック202に示される混合を、第1の混合物を過度に加熱することなく行う。いくつかの実施形態では、ブロック202に示される混合を、第1の混合物の温度が最大でも200℃若しくは最大でも約200℃、最大でも150℃若しくは最大でも約150℃、最大でも140℃若しくは最大でも約140℃、最大でも130℃若しくは最大でも約130℃、最大でも120℃若しくは最大でも約120℃、最大でも110℃若しくは最大でも約110℃、最大でも100℃若しくは最大でも約100℃、最大でも90℃若しくは最大でも約90℃、最大でも80℃若しくは最大でも約80℃、最大でも70℃若しくは最大でも約70℃、最大でも60℃若しくは最大でも約60℃又は最大でも50℃若しくは最大でも約50℃、又はそれらの間の任意の範囲の値になるように行う。いくつかの実施形態では、ブロック202に示される混合を、第1の混合物の温度が200℃未満若しくは約200℃未満、150℃未満若しくは約150℃未満、140℃未満若しくは約140℃未満、130℃未満若しくは約130℃未満、120℃未満若しくは約120℃未満、110℃未満若しくは約110℃未満、100℃未満若しくは約100℃未満、90℃未満若しくは約90℃未満、80℃未満若しくは約80℃未満、70℃未満若しくは約70℃未満、60℃未満若しくは約60℃未満又は50℃未満若しくは約50℃未満、又はそれらの間の任意の範囲の値になるように行う。いくつかの実施形態では、ブロック202に示される混合は、ブレンディング(blending)によって行う。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料と導電性炭素添加剤との重量比は、約10:1、約5:1、約5:2、約5:3、約5:4若しくは約1:1、又はそれらの間の任意の範囲の値である。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料及び導電性炭素添加剤は、第1の混合物全体に成分が均一に分布するように密接に混合される。いくつかの実施形態では、プレリチウム化材料及び導電性炭素添加剤は、プレリチウム化材料の一次粒子と導電性炭素添加剤との間の電気的接触をもたらすように混合する。
【0061】
ブロック208では、ブロック202の第1の混合物を、活物質、炭素材料及び導電性炭素材料と混合し、第2の混合物を形成する。いくつかの実施形態では、活物質、炭素材料及び導電性炭素材料は、ブロック202の第1の混合物と混合する前に、最初に混合して追加の混合物を形成する。いくつかの実施形態では、導電性炭素材料は、ここに記載されるようにカーボンブラックである。いくつかの実施形態では、炭素材料及び/又は導電性炭素材料は、第2の混合物を形成するためにブロック208で使用しない。いくつかの実施形態では、ブロック208に示される混合を、ブレンディングにより行う。いくつかの実施形態では、ブロック208に示される混合を、第1の混合物の温度が最大でも200℃若しくは最大でも約200℃、最大でも150℃若しくは最大でも約150℃、最大でも140℃若しくは最大でも約140℃、最大でも130℃若しくは最大でも約130℃、最大でも120℃若しくは最大でも約120℃、最大でも110℃若しくは最大でも約110℃、最大でも100℃若しくは最大でも約100℃、最大でも90℃若しくは最大でも約90℃、最大でも80℃若しくは最大でも約80℃、最大でも70℃若しくは最大でも約70℃、最大でも60℃若しくは最大でも約60℃又は最大でも50℃若しくは最大でも約50℃、又はそれらの間の任意の範囲の値になるように行う。いくつかの実施形態では、ブロック208に示される混合を、第1の混合物の温度が200℃未満若しくは約200℃未満、150℃未満若しくは約150℃未満、140℃未満若しくは約140℃未満、130℃未満若しくは約130℃未満、120℃未満若しくは約120℃未満、110℃未満若しくは約110℃未満、100℃未満若しくは約100℃未満、90℃未満若しくは約90℃未満、80℃未満若しくは約80℃未満、70℃未満若しくは約70℃未満、60℃未満若しくは約60℃未満又は50℃未満若しくは約50℃未満、又はそれらの間の任意の範囲の値になるように行う。いくつかの実施形態では、第1の混合物、活物質、炭素材料及び導電性炭素材料は、第2の混合物全体にそれら成分が均一に分布するように、密接に混合される。いくつかの実施形態では、ブロック208の混合プロセスを利用して、活物質の粒子を破壊し又は変質させる。いくつかの実施形態では、活物質の変質粒子は、電気化学デバイスの最初のサイクル中にプレリチウム化材料の反応の触媒となるように作用する。
【0062】
いくつかの実施形態では、ブロック202及び208の混合ステップは、連続混合プロセスを利用できる。そのような実施形態では、ブレンディング及び/又は粉砕の持続時間は、供給速度に反比例し得る。一般に、供給速度は、ミリングマシン(the milling machinery)に依存し、ここで提供されるガイダンスの観点から、機械の動作パラメータに基づき調整できる。さらなる実施形態では、より大きなチャネルを有する装置を使用して、ブレンディング及び/又は粉砕の持続時間を増加させ得る。バッチブレンディング及び/又は粉砕プロセスを利用する場合、その持続時間は、より長い時間及び/又はより高いRPMでブレンディングし及び/又は粉砕することによりシンプルに増大させ得る。
【0063】
ブロック210では、電極フィルム混合物は、フィブリル化可能バインダをブロック208の第2の混合物に添加することにより形成される。いくつかの実施形態では、フィブリル化可能バインダ及び第2の混合物は、電極フィルム混合物全体にその成分が均一に分布するように密接に混合され得る。ブロック212では、電極フィルム混合物中のフィブリル化可能バインダを、バインダ材料からフィブリルを形成するようにフィブリル化し得る。フィブリル化プロセスは、速度を下げ及び/又はプロセス圧力を上げたりして行い得る。速度を下げること及び/又はプロセス圧力を上げることは、フィブリル形成の増加を促進し得、その結果、引張、剪断、圧縮及び/又はねじれ応力に対して所望の耐性を有する電極フィルムを形成するために、より少ない量のバインダ材料を使用し得る。ここに記載するように、いくつかの実施形態では、フィブリル化プロセスは、例えばブレンディング及び/又は粉砕プロセスを含む、機械的剪断プロセスであってもよく、そして、いくつかの実施形態では、ジェット粉砕などの高剪断プロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、電極フィルム混合物の粒子がブレンダ及び/又はミルを循環する速度は、フィブリル化プロセス中に低下し得る。いくつかの実施形態では、フィブリル化プロセス中のブレンダ及び/又はミル内のプロセス圧力を増大させ得る。いくつかの実施形態では、ブロック210の添加ステップ及びブロック212のフィブリル化ステップは、1つ又は実質的に1つの連続ステップであり得る。速度の低下及び/又はプロセス圧力の増加により、単一のより高圧のカレンダ処理プロセス(単一のステップで)、又は、例えば、フィルムを巻き戻し(unwound)、その後、最初のカレンダ処理ステップの後に1回以上再カレンダする、複数のカレンダ処理ステップ、のいずれかによって、例えば自立型電極フィルムなどの十分に大きな強度を有する電極フィルムを製造できる。
【0064】
ブロック214では、電極フィルム混合物を、カレンダ装置でカレンダ処理し、自立型のフィブリル化された電極フィルムを形成し得る。カレンダ装置は、当技術分野でよく知られており、一般に、電極フィルム混合物などの原材料がその間に供給されて電極フィルムを構成する、一対のカレンダロール(機械的に固定された間隔又は水圧若しくは空気圧により固定された間隔のいずれかを有する)を備える。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、追加のカレンダ処理ステップなしで、第1のカレンダ処理ステップで形成でき、ここでさらに説明するように、所望の最小厚さでフィルムを形成できる。いくつかの実施形態では、カレンダ処理された混合物は、液体、溶媒及びそれらから生じる残留物を含まない又は実質的に含まない、自立型の乾燥粒子フィルムを形成する。いくつかの実施形態では、電極フィルムはアノード電極フィルムである。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、カソード電極フィルムである。
【0065】
いくつかの実施形態では、電極フィルムを製造するためのプロセス200は、乾燥プロセスであり、液体又は溶媒を使用せず、リストされた原材料(the listed raw materials)は乾燥しており(例えば、1つ又は複数が乾燥粉末である)、得られる電極フィルムは、液体、溶剤及び結果として生じる残留物を含まない又は実質的に含まない。他の湿潤電極フィルムプロセスでは、プレリチウム化材料が、溶媒、例えばPVDFやN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、反応する可能性があり、それがエネルギー貯蔵デバイスの性能に悪影響を与える可能性のある副産物を生成し得る。このように、乾燥電極プロセスは、溶媒にさらされることなく、プレリチウム化材料を電極フィルムに組み込むための固有の方法を提供し得る。さらに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、いくつかの許容可能なプレリチウム化材料、例えば過酸化リチウムに耐性があるので、有利に利用され得る。
【0066】
以下の具体的な例では、高いエネルギー密度、高い比エネルギー密度、大きな厚さ及び/又は高い電極フィルム密度の、バッテリ電極を製造した。
【実施例
【0067】
例1
例1は、図2に示すプロセスにしたがい形成された電極フィルムを説明する。過酸化リチウムを、アルゴングローブボックス内の低い設定で、10分間、Waringブレンダ内で5対2の比でSuperP(登録商標)カーボンブラックと混合する。図3Aは、過酸化リチウムのSEM画像を示し、これはサブミクロンの一次粒子を示している。図3Bは、5対2の比でSuperP(登録商標)カーボンブラックと混合された過酸化リチウムのSEM画像を示し、これは、両方の成分の密接な混合及び均一な分布を示している。図2を参照して説明したように、この第1の乾燥混合物を混合して、過酸化リチウム及び導電性カーボンブラックの分散を確実にした。ここで過酸化リチウム及びSuperP(登録商標)は、3000rpmで30秒の、間に30秒の冷却を行う、断続的なパルスで混合した。前記ブレンディングは、ブレンディング中の混合物の過度の加熱を回避するために、過酸化リチウム及びSuperP(登録商標)混合物の温度を約100℃未満に制限した。
【0068】
カソード活物質NMC-622、活性炭及びケッチェンブラック(登録商標)の予め緻密化された混合物(a pre-densified mixture)が形成され、これに過酸化リチウム/SuperP(登録商標)混合物を添加し、アルゴングローブボックス内で低設定で5分間ブレンドした。電気化学デバイスの最初のサイクル中に、より小さな一次粒子が過酸化リチウムの酸素発生反応の触媒として作用するように、ブレンディングは、カソード活物質の二次粒子の小さな一部を分解するように、部分的に行った。最後に、PTFEバインダを混合物に添加し、バインダをフィブリル化して電極フィルム混合物を形成した。
【0069】
電極フィルム混合物のカレンダ処理は、粉末の水分への曝露を最小限にして自立型電極フィルムを形成するためにドライルームで行った。次いで、自立型電極フィルムを、所望の負荷にさらにカレンダ処理し、接着剤コーティングでアルミホイル上にラミネートし、カソード電極を形成する。
【0070】
図4は、水中に沈められたそのようなラミネートされた電極の画像を示す。図4では、ラミネートされた電極の表面に酸素気泡の発生が見られ、これは、電極に存在する過酸化リチウムがまだ活性であり、分解されていないことを示している。過酸化リチウムと水との反応は、以下の化学反応式にしたがう:
2Li+2HO→4LiOH+O
【0071】
例2
図5は、例1で製造した2%過酸化リチウムセル及び過酸化リチウムを含まない対照セルの電気化学的プロファイルを示す。リチウムイオンを含有する過酸化リチウムのカソード電極の電気化学的サイクルは、過酸化リチウムからの酸素の電気化学的放出による初期充電容量の増加を示し、2%過酸化リチウムを添加すると約10mAh/gの充電容量の増加がみられる。これは、すべての過酸化リチウムが利用された場合、理論上の22mAh/gの約45%に相当する。この追加の充電容量は、形成サイクル中のアノードの不可逆容量を補うために利用できる。
【0072】
特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際は、ここに記載する新規の方法及びシステムは、他の様々な形態で具体化できる。さらに、ここに記載するシステム及び方法の様々な省略、置換及び変更は、本開示の思想から逸脱することなく行い得る。添付の請求項及びそれらの同等物は、本開示の範囲及び思想に含まれるような形態又は変形をカバーすることを意図している。
【0073】
特定の態様、実施形態又は例に関連して説明される特徴、材料、特性又はグループは、互いに両立しない場合を除き、このセクション又は本明細書の他の場所に記載する他の任意の態様、実施形態又は例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(添付の請求項、要約及び図面を含む)に開示されたすべての特徴及び/又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのすべてのステップは、そのような特徴及び/又はステップが相互に排他的である少なくともいくつかの組み合わせを除き、任意の組み合わせが可能である。保護は、前記の実施形態の詳細に限定されない。保護は、本明細書(任意の添付の請求項、要約及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規のもの若しくは任意の新規の組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0074】
さらに、別々の実装の文脈で本開示に記載する特定の特徴はまた、単一の実装において組み合わせて実装してもよい。対照的に、単一の実装の文脈で記載する様々な特徴は、また、複数の実装で別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実装し得る。さらに、特徴は特定の組み合わせで作用するものとして記載した場合もあるが、クレームされた組み合わせからの1つ又は複数の特徴は、いくつかの場合には、組み合わせから削除され得、その組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形としてクレームされ得る。
【0075】
さらに、操作は、特定の順序で図示され又は本明細書に記載され得るが、その一方で、そのような操作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序若しくは連続した順序で実行される必要はなく、またすべての操作が行われる必要もない。図示又は記載されていない他の操作は、例示的な方法及びプロセスに組み込み得る。例えば、1つ以上の追加の操作を、記載する操作の前に、後に、同時に又はそれらの間に、行い得る。さらに、操作は、他の実装で再配置し又は並べ替えてもよい。当業者は、いくつかの実施形態において、図示及び/又は開示されたプロセスにおいて採用される実際のステップが、図示されるものとは異なる可能性があることを理解するであろう。実施形態に応じて、前記の特定のステップを削除でき、他のステップを追加し得る。さらに、前記で開示された特定の実施形態の特徴及び属性は、異なる方法で組み合わせ、追加の実施形態を形成でき、それらはすべて、本開示の範囲内にある。また、前記の実装における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実装においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載するコンポーネント及びシステムは、一般に、単一の製品に一緒に統合されるか、又は複数の製品にパッケージ化され得ることを理解されるべきである。例えば、ここに記載するエネルギー貯蔵システムの任意のコンポーネントは、別々に提供するか、又は一緒に統合して(例えば、一緒にパッケージ化するか、又は一緒に取り付けて)、エネルギー貯蔵システムを構成し得る。
【0076】
本開示の目的のために、特定の態様、利点及び新規の特徴をここに記載する。必ずしもすべてのそのような利点が特定の実施形態にしたがって達成され得るとは限らない。したがって、例えば、当業者は、ここで教示され又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、ここで教示される1つの利点又は一群の利点を達成する方法で本開示が具体化され又は実行され得ることを認識するであろう。
【0077】
ここに提供される見出しは、あったとしても、便宜上のものであり、ここに開示されるデバイス及び方法の範囲又は意味に必ずしも影響を及ぼさない。
【0078】
本開示の範囲は、このセクション又は本明細書の他の場所における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図せず、このセクション若しくは本明細書の他の場所に提示されるか又は将来提示される、請求項によって定義され得る。請求項の文言は、請求項で使用されている文言に基づき広く解釈されるべきであり、本明細書に記載する例又は出願の審査中に限定されず、それらの例は非排他的であると解釈されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5